<追悼>山本美香さんが伝えたかった思いとは?『戦争を取材する』

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『戦争を取材する――子どもたちは
何を体験したのか』(講談社)
 先月20日、内戦が続くシリア北部の主要都市・アレッポを取材中のジャーナリスト山本美香さんが、銃撃戦に巻き込まれ、死亡した。  山本さんが銃で撃たれる前、武装していない一般人のように見える男が「ヤバーニー!(日本人だ)」と叫び、その直後に銃撃が始まったことから、その男が銃撃を指示したのではないかなど、テレビや新聞ではさまざまな臆測が飛び交っているが、真相はいまだにわかっていない。  そのニュースを見るまで、恐縮ながら、わたしは山本さんのことをよく知らなかったので、テレビに映し出された彼女の生前の姿を見て驚いた。色白で、華奢で、美しく、日本で働いているOLとなんら変わらない。背丈もたった154センチだという。そんな彼女が、なぜ危険な戦地へ飛び込み、取材をしようと思ったのか? その思いを知りたいと、『戦争を取材する――子どもたちは何を体験したのか』(講談社)を読み始めた。  はじめの章「戦争ジャーナリストという仕事」に、こんなことが書かれていた。 「まだ戦場取材をはじめたばかりのころ、自分の仕事について悩んだことがあります。けっして仕事がいやになったのでも、つらくてやめたくなったわけでもありません。自分のしている仕事がどれほど意味のあることなのか。ふと自信がなくなったのです」(本文より)  そんな心境のまま、2000年、山本さんはアフガニスタンの移動診療所の取材を行っていた。その診療所では、アフガニスタン人の医師や看護師が働き、診療所の前には、山を越え、谷を越えてはるばる遠くの村からやってきた人々が、長い列を作っていた。  朝から何時間も待っていた女性は、肩でぜいぜい息をして、とても具合が悪そうにしていた。けれど、医師が診察しアドバイスを与えると、とたんに安心したような表情になった。それを見て、医師はなんて素晴らしい仕事だろう。患者にしてみれば、まさに神様のよう。それにひきかえ、ジャーナリストである自分は……本当にちっぽけな存在だ。そんなふうに感じていた。  そんな気持ちを抱えながら取材を続ける中、ある避難民の一家に出会う。父親の顔には40歳という年齢とは思えないほど深いシワが刻まれており、「これを見てくれ」と、彼の息子の墓へと案内した。それは寒い冬のこと、4歳だった息子は風邪をこじらせて、あっけなく死んでしまったのだった。 「もし薬があったなら、息子は死なずにすんだのに」  父親はそう言って、目を赤くして泣いた。山本さんはその姿をビデオカメラで撮影しながら、自問していた。どうしたら彼らを助けることができるのか、と。  ところがそのとき、父親は泣きながらこんなことを言った。 「こんな遠くまで来てくれてありがとう。世界中のだれも私たちのことなど知らないと思っていた。忘れられていると思っていた」  ありがとう、ありがとう、と言って、彼は涙を流した。  この瞬間、山本さんの悩みは吹き飛んだ。衝撃的だった。たったいま目撃した出来事を、世界中の人に知らせなければならない。やらなければならないことは山ほどある。強い使命感を持ち、ジャーナリストという仕事に全力を注いでいく決意が固まったのだった。  本書では、山本さんが出会った戦地で暮らす子どもたちの壮絶な体験が、写真と共にまとめられている。地雷で脚をなくした少年、ゲリラに誘拐され、無理やり兵士にさせられた少年、学校の教室にやってきたゲリラの襲撃による友達の死……。  どの話も、日本では考えられないような残忍な出来事ばかりで、子どもたちとの距離をゆっくりと時間をかけて縮めてからでないと、話してもらえないような内容ばかりだ。日本にいてはわからない、実際に訪れ、見て、話を聞いた者にしかわからない、山本さんが“伝えたかったこと”が詰め込まれている。  本の最後には、こう書かれている。 「世界は戦争ばかり、と悲観している時間はありません。  この瞬間にもまたひとつ、またふたつ……大切な命がうばわれているかもしれない――目をつぶってそんなことを想像してみてください。  さあ、みんなの出番です」  彼女が残したメッセージに対し、私たち何ができるだろうか? (文=上浦未来) ●やまもと・みか 1967年生まれ。山梨県出身。都留文科大学を卒業後、朝日ニュースターの報道記者、ディレクターとしてニュース、ドキュメンタリーを制作。1996年からジャパンプレスに所属し、世界の紛争地を取材している。2001年のアメリカ同時多発テロ事件後は、対テロ戦争の攻撃を受けたアフガニスタンで長期取材を続けた。2003年、空爆下のイラク戦争報道で、ボーン・上田記念国際記者賞特別賞を受賞。著書に『中継されなかったバグダッド』(小学館)、『ぼくの村は戦場だった』(マガジンハウス)がある。

「夢は国立競技場で大集会!?」コスプレ界を席巻する、自宅警備隊の秘めたる野望

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この集団、いったい何者?
 最近、各地のコスプレ会場に出没して話題を呼んでいる黒ずくめの武装(?)集団「自宅警備隊」をご存じだろうか。  ハリウッド映画に出てくる特殊部隊のようなカッコイイ装備で決めているのに、ヘルメットに燦然と輝く「NEET」の文字。そして彼らの守るのは愛する人でも日本でも、ましてや地球の平和でもなく、それぞれの自宅なのだという(主に自分の部屋のみ)。  2011年に初めての出現が確認された時にはたったひとりの部隊だった自宅警備隊も、入隊希望者が殺到して現在では総勢130名を超えているのだとか。彼らは一体何者なのか? そして目的は何なのか? 創始者にして隊長である鰐軍曹隊長(軍曹なんだか隊長なんだかよく分からないが)と隊員のみなさんにサイゾー編集部のある渋谷まで宅外派遣してきてもらい、インタビューを敢行した! ――まずは、この自宅警備隊を始めたきっかけというのは? 鰐軍曹隊長 「私はもともと、コスプレイヤーさんの撮影をするのが好きだったんですが、コスプレ会場で撮影するに当たって、こっちもコスプレしていないと浮いてしまうんですね。だから最初は普通にアニメとかのコスプレをして撮影していたんです。でもアニメキャラのコスプレって、機動性が悪くてバシバシ撮影するのには向いていない。そこで、動きやすくてちょっと面白いコスプレがないかなって考えたのが、この自宅警備隊なんです」 ――ああ、当初はほかのコスプレイヤーさんを撮影するために一応していただけのコスプレだったんですね。 鰐軍曹隊長 「以前からミリタリー系が好きで、サバイバルゲームなどで使う装備も持っていたし、撮影のためのいろんな道具なんかも持ち歩きやすい、実用的なコスプレなんですよ。でも、ただミリタリーのコスプレをしても面白くないので、ネットでよく使われている『自宅警備員』と書かれた紙を背中に貼り付けて会場に行ったんです。こんなにイカツイ格好をしているのに『自宅警備員』って面白いかなって」 IMG_3475.jpg ――確かに、違和感ありまくりですからね。会場での評判もよかったんじゃないですか? 鰐軍曹隊長 「私としては、こういう格好はしていても普通に写真を撮りに行くつもりだったんですが、予想外にウケてしまい、逆にいっぱい写真を撮られちゃいまして。コレはもう少しちゃんとしたコスプレにすれば話題になるんじゃないかと。それでヘルメットに『SWAT』(アメリカの特殊火器戦術部隊)みたいな感じで『NEET』とペイントして、自宅警備隊の腕章を作って着けたりして。そうこうしているうちに、なぜか『ボクもやっていいですか?』みたいな感じで入隊希望者がどんどん増えていったんです」 ――入隊希望する方って、やっぱり「ちょうどサバゲー用の装備を持っているからやってみよう」みたいな人が多いんですか? 鰐軍曹隊長 「いや、実はミリタリー好きの人ってあんまりいないんです」 隊員 「アイドル好きとか、バンドマンとか、アニメおたくとか、趣味はバラバラですからね」 鰐軍曹隊長 「だから、自宅警備隊をやりたくて装備一式を揃えたという隊員もいますし、もともとコスプレイヤーですらなく、自宅警備隊が初めてのコスプレという人も少なくないんですよ」 ――ちなみに、この装備を一式揃えようとすると、いくらくらいかかるもんなんですか? 鰐軍曹隊長 「結構ピンキリですね。安い人だと1万円で全部揃えた方もいますし、まあ上を見ると際限がないですよ。それこそホンモノの装備を揃えた人もいて、そうなるとヘタすりゃ数十万とかかかっちゃいますから」 ――数十万って……ニートにはとても買えない値段ですよ! 鰐軍曹隊長 「そこはね、お母さんのスネをかじって」 ――さすがニート! イチから装備を揃えてでも参加したい自宅警備隊の魅力って、どこにあると思いますか? 「ミリタリー系のお店に行って買ってきさえすれば誰でもできるという気軽さもよかったのかもしれませんけど、何よりこの格好だと顔が隠せるじゃないですか。同じような格好をした人もたくさんいるから、個人が特定されなくて恥ずかしくないというのもあるかもしれませんね」 IMG_3507.jpg ――コスプレイヤーさんて逆に、自己顕示欲が強くて、積極的に個人を特定してほしい! 有名になりたい! ……という人が多そうですけど。 鰐軍曹隊長 「普通はそうでしょうね。自宅警備隊にもたまに目立ちたがりな人が入隊希望してきて『自分だけのオリジナル装備を』とか言ってきたりするんですけど、それはダメということにしています。とにかく没個性な集団を目指しているので、装備も全身真っ黒というのは絶対! やっぱり特殊部隊なので、各自が思い思いの装備をしていたら統率が取れていない感じがするじゃないですか。それぞれが好き勝手にいろんなことをやりはじめたらマズイなと思ったんです。そもそも装備が装備なので、ちゃんとマナーを守った上でやらないと不必要に威圧感を与えてしまう場合もありますからね。ミリタリー系のコスプレがダメなイベントには絶対に行かない。銃器を持つ時は、弾を抜いておくのはもちろんなんですが、万一の可能性を考えて銃口は絶対にテープでふさいで、トリガーに指をかけない!」 ――ニートのわりに厳格なルールがあるんですね。 鰐軍曹隊長 「大人数を束ねるということには責任も伴いますから、もしも違反した人がいたら即除隊というルールになっています。でも以前、隊員じゃない人が勝手に自宅警備隊を名乗ってイベントに参加して、ちょっと問題になったことがあるんですけどね……その人は自宅警備隊の腕章を持っていなかったので、ニセモノだと判明しましたが。実は、各地でニセモノが確認されているんですよ。我々と同じ格好をするなとは言いませんけど、やるんだったらコスプレイヤーとしてのマナーはちゃんと守ってほしいですね」 ――コスプレ会場に限らず、コスプレイヤーさんのマナー問題というのはありますよね。 鰐軍曹隊長 「結構、マナーの悪いコスプレイヤーさんも多くて、一般の方からコスプレに対してあまりよくないイメージを持たれてしまうのが残念で。我々は人数も多いし目立つので、その辺のマナーを徹底していって、コスプレイヤーの模範になれればなとは思っています」 ――なるほど。最近ではコスプレ会場への宅外派遣だけではなく、ボランティア活動などにも力を入れているということですが。 鰐軍曹隊長 「特に深い意味はなく、『一緒にやらないですか?』と誘われたので、秋葉原の歩行者天国の清掃活動に参加したんですけどね。こんな格好した人たちがゴミを拾ってたら面白いじゃないかという発想で。秋葉原でも以前、コスプレイヤーさんのパフォーマンスなどが問題になったことがあったので、こうやって目立つコスプレで清掃活動をすることによって、コスプレイヤーの地位向上につながればいいなと思っています。それに、いくらニートといっても、あまり自宅に引きこもってばかりいると家族やご近所さんの目が気になるので、たまには世の役に立つことでもしなきゃ……っていうのもありますね(笑)」 ――どんどん規模が大きくなっている自宅警備隊ですが、今後の展望などは持っているんですか? 鰐軍曹隊長 「自宅警備隊としての活動も1年たって、いつまでやるのかなぁって感じですけど。もともとこんなに続けるつもりもなかったんですが……でも、やりたいっていう人が増えてきたから、ここまできたら行けるところまで行こうかなと。現在隊員が130人くらいいて、今年の夏のコミケでは30人くらい集まったんですが、そろそろコミケやコスプレイベントの枠じゃ収まらないんじゃないかと思ってまして……。一回、国立競技場みたいなところに自宅警備隊だけ集めて……たとえはアレですが、ヒ●ラーがやったナ●ス党の大集会みたいなことをやってみたいんですよ」 隊員 「バカだ!(笑)」 ――特に主義主張もないニートなのに! 鰐軍曹隊長 「そうです! たまに、我々のことを何か政治的な主張がある組織なんじゃないかと思っている人がいるんですが、そんなの何にもないですからね。国を守るのとかは自衛隊さんにやってもらえばいいんで。我々が守るべきは自宅と家庭ですから! 何の主義主張もなく、面白おかしくコスプレイベントやボランティア活動に参加していければいいかな、と思っています。……まあ私、個人的には自宅警備隊が注目されすぎちゃって、イベントに行っても写真を撮れなくなっているのが、ちょっと問題なんですけどね」 IMG_3633.jpg  いくら話を聞いても、どこまで本気でどこまでネタなのか分からない自宅警備隊。何か深い考えがあるのか、大いなる悪ふざけなのか……? はたまた何かで一儲けでも狙っているのかなー……と思いきや、自宅警備隊は一切の営利活動も禁止しており、夏のコミケで販売した同人誌の売り上げなどもすべて寄付をしているのだという。そして、実は今回の取材のギャラも「寄付してください」と断られてしまったのだ。  うーん、儲けられるもんなら儲けとけば、就職しないで食っていくというニートの夢も叶うし、いいことじゃないかと思うんだけどなぁ~。……そんな話を振ってみたところ「こういうことは仕事にしちゃダメなんですよ、働いたら負けですから!」という言葉を残して去っていった自宅警備隊の皆さん。うーん、ニートの鑑だ! (取材・文=北村ヂン/撮影=尾藤能暢)  ●自宅警備隊 N.E.E.T. 公式Wiki <http://www56.atwiki.jp/hgg01/>

アジア人と結婚する「なでしこ姫」増加と「生涯未婚率」上昇のやるせない関係

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『絶食系男子となでしこ姫
国際結婚の現在・過去・未来』
(東洋経済新報社)
 20代半ばを過ぎると、友人の結婚式や結婚式の2次会の案内状が届き、自らの結婚を考える機会が増える読者も多いのではないだろうか。しかし、2010年の国勢調査によると、生涯未婚率(50歳時点で一度も結婚したことのない人の割合)は男性が20.1%、女性が10.6%と30年前に比べ男性では約8倍、女性では2倍以上に増えているという。  そんな中、アジア人男性と結婚し、現地で暮らす日本人女性=「なでしこ姫」が増えている。そんな「なでしこ姫」たちへのインタビュー調査をもとに書かれたのが『絶食系男子となでしこ姫 国際結婚の現在・過去・未来』(山田昌弘、開内文乃:著/東洋経済新報社)である。  本書では、「なでしこ姫」や「絶食系男子」(草食系にとどまらず、異性との交際をあきらめたり、そもそも異性との恋愛自体を面倒くさいがる男性)というキャッチーなキーワードを用いながらも、国際結婚を通し、それが日本の社会や経済、ジェンダーの問題とどうつながっているのかを分析している。今回、著者であり、家族社会学、ジェンダー理論、グローバリゼーション論を専門とする開内文乃氏に、現在の結婚難、そして「なでしこ姫」現象について話を聞いた。 ――1980年には30代前半の未婚率は男性が14.3%、女性が7.7%でした。それが2010年では、30代前半の未婚率は男性が47.3%、女性が34.5%と大きく上昇しています。現在の結婚難というのは、やはり経済的要因が大きいのでしょうか? 開内 本書の共著者である中央大学の山田昌弘先生(中央大学文学部教授)がよく言われるように、20代半ばから30代半ばの未婚女性の約4割が期待する結婚相手の年収は600万円ですが、それに該当する未婚の男性は2~3%しかいない。大企業などで働く父親をもつ女性にとって、結婚相手に望む年収は、その父親の年収を基準に考えることが多い。また、86年に男女雇用機会均等法が施行されて以降、女性が社会に進出し始めました。彼女たちは父親を基準とし、同じような職場環境で働くことを望みます。これは、男性にも同じことがいえます。父親が大企業で働くような家庭で育った男女は、自分の父親の仕事を基準として就職先を考える傾向があるのです。そういった大企業に勤める父親をもつサラリーマン家庭で育つと、結婚にしても、就職にしても、親の期待や育った環境から大きく外れることがなかなかできない。しかしながら、現在のような経済状況のもとでは、男性ですら大企業の父親と同じようなポジションを得ることは厳しい。日本では女性の管理職比率が先進国最低レベルにあるように、女性が父親と同じようなポジションを得ることはさらに難しい状況です。父親と同じような職場環境で働けなかった女性は、せめて結婚後の生活は自らが育ってきた生活環境に近く、また子どもも同じような生活環境で育てたいと考えます。だからこそ、結婚相手には父親と同じくらいの稼ぎを求めるのです。しかし、若い男性側は厳しい経済状況の人が多いので、ミスマッチが起きているのです。 ――2010年に明治安田生活福祉研究所が行った「結婚・出産に関するアンケート」では「結婚後の生活は主に夫が支えるべきだ」という質問では、「YES」と「どちらかというとYES」と答えている独身女性が71.4%を占めています。 開内 特に若い男性は、自分たちを取り巻く経済状況を自覚しているので、結婚相手の女性には結婚後の生活費を稼ぐのを共働きである程度助けてほしいと考えています。しかしながら、女性側が共働きとして考えているのは、衣食住の生活費は男性が稼ぎ、女性はパートタイム労働で足りない分を稼ぐ。パートタイム労働で得た収入は海外旅行や子どもの習い事、家族イベントといった余剰に使いたいのです。このように共働きということだけを考えても、男女間では意識の差があります。こういった意識の差は恋愛だけならば問題ありません。しかし、結婚という未来のビジョンを一緒に描こうとなった時に、この差が問題となってきます。 ――男女の意識の差のほかに、結婚難の要因となっているものはなんでしょうか? 開内 日本では職業においても性役割、つまり男性的職業と女性的職業があります。男性が多い職場と女性が多い職場に分かれてしまう。そうすると、例えば同じ会社内でも、なかなか男女が出会えない。社外での出会いは、適齢期の人たちは仕事が忙しいのでなおさら難しい。そういった構造的な問題も大きな要因のひとつです。意識的にも構造的にも、男女間のミスマッチが起きているのが、結婚難の要因ではないでしょうか。 ■新たな結婚の流れ「なでしこ姫」とは? ――本書では、経済発展している中国や東南アジアの国々の男性と結婚し、現地で暮らす女性を「なでしこ姫」と名付けています。国外における「妻が日本人、夫が外国人」という婚姻件数が88年では約2,000件だったのに対し、その後増え続け、06年には8,000件を超えています。なぜ、そのような結婚が増えているのでしょうか? 開内 適齢期を過ぎても結婚しない男性は、エリートといわれる年収600万円以上の男性にも多い。この手の男性は結婚に非常に慎重なタイプか、結婚のチャンスをものにできないタイプの2つに分かれる。前者は、いつも恋人がいるのに結婚しない男性でしょうか。彼らは冷静で、自分の商品価値をよくわかっている。だから、恋愛は別として、いざ結婚となると自分の人生設計を考慮し、相手を見つけようとしがちです。つまり、恋愛相手と結婚するとは限らない。後者は恋愛経験が乏しく、女性の扱いに慣れていない男性でしょうか。このタイプはエリート男性であっても、30歳を超えると「絶食系男子」になりやすい。身もフタもない話になるのですが、エリート層の男性が本当に結婚する気があるのなら、簡単に結婚相手を見つけられる現状がある。だから、エリート層の男性は、結婚が早いか遅いかに分かれてしまう。理想とされる男性の中で、「婚活」女性の求める人は本当に少ないのです。  また、上昇婚を望む女性は、エリート男性と恋愛をすれば結婚にまで到達できるという幻想が強いことも多い。女性誌に「男性にいかにして愛されるべきか」などの特集が組まれ、愛されさえすれば結婚できると流布されているのが顕著な例です。しかし、アジア人男性と国際結婚するなでしこ姫は、上昇婚を目指す女性とはタイプが異なる。なでしこ姫は「モテない女性だ」と考えている人が多いが、それは違う。なでしこ姫はどちらかというと恋愛経験が豊富で、恋愛が必ずしも結婚に結びつかないことに気づいてしまっている女性です。 ――モテる女性がアジア人を選んでいると? 開内 モテる女性は経験上、モテる男性が必ずしも結婚に向いているわけではないことを知っている。そんな彼女たちが海外へ行き、現地の男性と親しくなった時に、中国や東南アジアの男性というのは、「結婚を前提に付き合ってほしい」と声を掛けてくれることが多い。それまで、恋愛をしても結婚に至らなかった経験のある彼女たちは、「この人は少なくとも結婚はしてくれる」と思うのです。また、中国や東南アジアの男性は上昇志向が強く、リスクをとって這い上がってやろうという気持ちが強い。日本のエリート男性や絶食系といわれる男性のように、リスクヘッジばかりしているのとは正反対です。そこに魅力を感じるのかもしれません。 ――現地で暮らすとなると、アジアとはいえ、日本の両親や友人たちの元からは遠くなりますよね? 開内 社会学では世界の中核都市をグローバル・シティと呼んでいます。例えば、それは香港などです。香港などのグローバル・シティである限り、日本の地方へ行くより移動時間や移動費用などは現実的に抑えられるので、日本に住む両親にも孫の顔を見せられる。だから、結婚生活を維持することができる。また、彼女たちの父親というのは、先ほど話したような大企業勤めのサラリーマンではないことが多いです。そういった家庭環境で育った女性たちは、普通のサラリーマン家庭の保守的な価値観だけが正しいとは考えていない。だからこそ、国際結婚にチャレンジしやすい。また、国際結婚により日本では難しい仕事と家庭の両立を目指すことができる。 ――最近、研究者や技術者などの海外への頭脳流出が話題になっていますが、「なでしこ姫」という現象は頭脳流出、人材流出につながるのでしょうか? 開内 頭脳流出というよりは、国民流出だと思います。「なでしこ姫」はある程度の高い教育を受けている方が多いのですが、頭脳流出というのは、高度な技能を持ったエリートが国外で働くことを選択し、国内の技術が衰退してしまう問題を指します。なでしこ姫の問題はそれとは違う。彼女たちがもし中産階級の男性だったら、ある程度の企業で、ある程度の役割を果たし、日本の社会や経済を動かしていくであろう女性たちです。さらにいえば、日本で結婚していれば、将来、日本の社会や経済を動かしていく子どもを育てるであろう女性たちです。そういった意味で、日本の国力の衰退に関わる国民流出と考えるべきでしょう。 ――そのような日本社会の中核を担っていくような女性たちは、今後も国際結婚をし、海外へ移っていくのでしょうか? 開内 内閣府が行った「結婚・家族形成に関する調査」では、「結婚相手が外国人でも構わない」という質問に男性は28.4%が「YES」と答えたのに対し、女性では46.3%が「YES」と答えました。これを東京の大学で調査すると、約70%の女性が国際結婚に好意的です。また、海外生活を経験したことのあるようなグローバル化したエリート男性は、日本人女性を結婚相手として選ぶことが多く、非常に保守的な考え方の人が多い。ですから、彼らは身近にいるグローバルに活躍する「なでしこ姫」とは結婚しません。そう考えると、日本人女性の国際結婚は増えていくのではないでしょうか。 ――結婚難についての対策はありますか? 開内 本書で、私と山田先生は、ジェンダーに関する問題を「なでしこ姫」や「絶食系男子」というキャッチーなキーワードで読みやすく書きました。しかし、本書で書いたことは社会構造の問題であり、経済や社会保障の問題とも関わってきます。一番の問題となるのは、就職も結婚も難なく手にした「勝ち組」の男性の意識でしょうか。「勝ち組」の彼らはモテ格差も就職格差もジェンダー格差も他人事なので、シビアでいられる。彼らが自分とその仲間以外の問題を見ようとしないなら、日本の恋愛だけでなく、男性間の格差も構造も変わりません。ですが、そのような「勝ち組」の男性と結婚し、とりあえず社会保障として守ってもらうのが、日本人女性の生き方として、一番、リスクが少ないのかもしれません。 ――本書を、どんな人に読んでもらいたいでしょうか? 開内 バリキャリ系の女性を応援したい男性に読んでほしいです。そういう男性には大きな心で、自分の力でやっていきたいという女性を温かく見守ってほしいですね。 (構成=本多カツヒロ) ●ひらきうち・ふみの 一橋大学大学院言語社会研究科博士後期課程退学。現在、中央大学文学部兼任講師、フェリス女学院大学文学部非常勤講師。専門は家族社会学、ジェンダー理論、グローバリゼーション論。主な訳書に、C.コーワン&P.コーワン『カップルが親になるとき』(共訳、勁草書房)、Z.バウマン『幸福論――“生きづらい”時代の社会学』(共訳、作品社)がある。

移籍の最大理由は不安定な雇用関係? コアマガジン→ワニマガジン大量移籍問題の真相

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ワニマガジン公式サイトより
 数カ月前から業界内で大きな話題となっていた、コアマガジンエロマンガ部門の編集と漫画家の、ワニマガジンへの移籍問題。8月後半から、その全貌がいよいよ明らかになってきた。渦中の人物であるコアマガジンの編集S氏は、部下と漫画家を引き連れてワニマガジンへの移籍を完了。ワニマガジンの「快楽天」10月号には、新雑誌「エロマンガシンドローム」の予告が掲載されており、移籍組は早くも雑誌を立ち上げることが明らかになっている。一方のコアマガジンは「メガミルク」が休刊、「コミックメガストア」と「漫画ばんがいち」を維持するのがやっと、という状態に追い込まれているという。 「今月のコアマガジン各雑誌を見れば一目瞭然ですが、実力のある漫画家が、ごっそり抜けています。ほとんどの漫画家は、編集について移籍をしたそうです」(エロ漫画編集者)  従来、実力のある漫画家を数多く抱え、コアマガジンとライバル関係にあったワニマガジンだが、そのライバルがすべて仲間となり、ひとり勝ちの時代がやってきたという具合だ。  では、今回の大量移籍の背景にあるのは何か? 「今回の移籍は、編集S氏に部下と漫画家が一緒についていった構図です。S氏は業界でも人格者として知られており、会社内でも、漫画家や部下の待遇のことで上と対立することもしばしばでした。もともと、コアマガジンは強烈な実力主義をとっており、雑誌を立ち上げないと正社員になれないというのが不文律でした。ですので、どんなに実力のある漫画家を育てて単行本で売り上げを出そうとも、“雑誌を立ち上げていない”という理由で、契約社員のままという優秀な編集者が何人もいたんです。対してワニマガジンは、コアマガジンよりも正社員になれるチャンスが多い。そのために、一緒になって移籍を決意したようです」  と、別のエロ漫画編集者は内情を暴露する。さらに、漫画家がごっそりと抜けてしまったコアマガジンでは「時々でいいから、ウチでも描いてください」と移籍を決意した漫画家に頭を下げて歩いているという話も。 「まだ、移籍をするかどうか迷っている漫画家もいるようですが、ワニマガジンでは近々、“決起集会”的な漫画家と編集者による宴会が予定されているそうです。そこに出席する、しないが、まさに死に別れになるでしょうね」(同)  ひとり勝ちとなったワニマガジン。しかし、これは新たなエロ漫画業界の危機の始まりという声もある。 「ただでさえワニマガジンの支配力は強いのに、これ以上寡占化が進めば、エロ漫画全体が似たような色に染められてしまいます。そうなれば、やがてはエロ漫画そのものが飽きられる時がくるでしょう」(書店員)  やはり、今回の騒動は「終わりの始まり」なのか? エロ漫画の未来は明るくない。合掌。 (取材・文=三途川昇天)

「性表現ガイドライン」の疑問にGREEが回答  「遵守に努めていただけるようお願いしていきます」

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GREE公式サイトより
 一部の開発者から「キャラクターの表現が制限される」と不安の声が上がっているソーシャル・ネットワーキング・サービス「GREE」などを運営する、大手インターネット企業・グリー株式会社の、開発者に向けた「GREEデジタルコンテンツ内の性表現に関するガイドライン」。前回に引き続き、今回はガイドラインに関するグリーからの回答を報告する。 ──「強調表現」について、イラストのポーズをかなり制限する可能性があると思われますが、どうお考えでしょうか? グリー広報 当社としましては、お客様へサービスの品質・内容の向上、安心してご利用いただけるコンテンツを提供する上で、必要かつ適切と考えられる事項についてガイドラインを作成しました。そのガイドラインを公開し、審査基準の明確化を図り、濫用による弊害の防止に努めています。 ──「未成年を想起させる表現により、児童ポルノの可能性があると当社が認めた場合は、禁止表現とします」とありますが、イラストである以上「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」第2条における児童ポルノの定義「写真、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物」と整合性が取れませんが、どうお考えでしょうか? グリー広報 ご指摘のとおり、日本の児童買春・児童ポルノ処罰法の規制対象は実在の児童に関する写真等に限定されており、漫画、イラスト等は対象となっていませんが、法令の趣旨を踏まえ、安心してご利用いただけるコンテンツを提供する上で、必要かつ適切と考えられる事項についてガイドラインを作成しました。 ──今回のガイドラインは、どういった経緯で作成されたものですか? グリー広報 ソーシャルゲームをはじめとしたコンテンツに対するさまざまなご指摘等に謙虚に耳を傾け、お客様へのサービスの品質・内容の向上、安心してご利用いただけるコンテンツを提供していくために、必要かつ適切と考えられる事項について、利用環境向上委員会による検討などを踏まえて作成しました。 ──ガイドラインの作成過程を教えて下さい。 グリー広報 利用環境向上委員会をはじめ、社内で各種法令・条例を踏まえて、当社が運営するプラットフォームに提供されているコンテンツ向けに作成しました。 ──デベロッパーが制作したデジタルコンテンツに対して、公開までにどういった立場の人物による、どのような審査を行っていますか? グリー広報 利用環境向上委員会による検討などを踏まえて作成されたガイドラインに則したかたちで、社内の審査部門の担当者がコンテンツの審査を行っています。 ──今回のガイドラインに関して、すでにデベロッパーから「キャラが描きにくくなる」との声がありますが、どのようにお考えでしょうか? グリー広報 当社としましては、お客様へのサービスの品質・内容の向上、安心してご利用いただけるコンテンツを提供していくために、必要かつ適切と考えられる事項についてのガイドラインを作成しましたので、策定の趣旨および内容をご理解いただき、遵守に努めていただけるようお願いしていきます。  * * *  今回の回答に対して、新たな疑問も見えてくる。従来、IT業界では、ほかの業界に比べると、少し厳しめのガイドラインを策定する傾向がある。問題が起きる前に対応するのは企業の姿勢としては正しいが、それがどういった結果をもたらすのか。いずれにしても、今回の回答から見えてきた疑問点に対しては、あらためて取材してみたい。 (取材・文=昼間たかし)

早くも続編製作決定! 名優デンゼル・ワシントン主演『デンジャラス・ラン』

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9月7日(金)より、TOHOシネマズ 有楽座ほか全国ロードショー(PG-12)
 今週紹介する新作映画2本は、架空のストーリーを楽しみながら現実の世界を垣間見ることができる、いわば“一粒で二度おいしい”お得感たっぷりの作品たちだ(いずれも9月7日公開)。  『デンジャラス・ラン』は、デンゼル・ワシントン、ライアン・レイノルズ主演のサスペンスアクション。CIAを裏切り各国で指名手配され、10年間逃亡を続けていた元工作員フロスト(ワシントン)が、南アフリカにあるCIAの収容施設(セーフハウス)に収監される。そこの管理を任されていた新人工作員のマット(レイノルズ)は、武装集団の襲撃を受けて味方が全滅する中、かろうじてフロストを連れて脱出。心理的な揺さぶりをかけ逃亡の機会をうかがうフロストと、彼を別の収容施設へ連行しようとするマットに、正体不明の勢力が迫る。  『トレーニング・デイ』(01)の悪徳警官、『アメリカン・ギャングスター』(07)のボスなどで強烈な悪役も演じてきた名優デンゼル・ワシントンが、本作でも元CIAの犯罪者役ですごみのある演技を披露。若手スターのライアン・レイノルズと共に、カーチェイス、銃撃戦、肉弾戦といった激しいアクションに挑んでおり、2人の関係性の変化に注目すればバディ・ムービーの発展形としても楽しめる。セーフハウスでの描写や実行する作戦などで元CIA関係者がアドバイスするなど、外交の裏側で実際に何が行われているのかをうかがい知ることができる点も見逃せない。  もう1本の『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』(R15+指定)は、喜劇俳優サシャ・バロン・コーエンが架空の独裁国家の元首に扮する風刺の効いたコメディ。世界一危険な独裁者アラジーン(コーエン)は、国連サミットに出席するためニューヨークを訪れるが、何者かに拉致されトレードマークのヒゲを剃られてしまう。隙をみて脱出するものの、人相が変わってしまったため誰からもアラジーンだと信じてもらえない。側近のタミール(ベン・キングズレー)は独裁者の影武者を立てて何やら陰謀を企てている様子。どうにかサミットに潜り込もうと、会場に食事を配達する予定の自然食品スーパーで働き始めたアラジーンは、博愛主義者の店主ゾーイ(アンナ・ファリス)と恋に落ちてしまい……。  コーエンは、2本の主演作『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(06)と「ブルーノ」(09)を通じ、架空のキャラを現実の社会で演じる独特なフェイクドキュメンタリーを世界に知らしめた。今作は純然たるフィクションだが、文化摩擦が生み出す気まずさを笑いに転化する“芸風”は健在。最近死去した北朝鮮の権力者のそっくりさんが登場したり、ハリウッドセレブが独裁者の夜のお供をする様子を描いたりと、キワどい笑いが続く。アラジーンの演説の中には「1%の富裕層が富を独占する、金融危機を招いた銀行を国税で救済する、選挙で投票数をごまかす」といった具合にアメリカを痛烈に皮肉る場面も。ユーモアに包まれた真摯なメッセージを受け止め、わが国を含む「民主主義国家を名乗っている国は、本当に“民主的”なんだろうか?」と自問するのも有意義だろう。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『デンジャラス・ラン』作品情報 <http://eiga.com/movie/56726/> 『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』作品情報 <http://eiga.com/movie/58128/>

イラストなのに「児童ポルノ」? 「GREE」性表現ガイドラインは業界に有益か?

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 ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「GREE」などを運営する、大手インターネット企業・グリー株式会社が、開発者に向けて「GREEデジタルコンテンツ内の性表現に関するガイドライン」を示していることが、明らかになった。  編集部が入手した資料によれば、 「本ガイドラインの目的は、グリー株式会社(以下、「当社」といいます)が定めた性表現に関する使用禁止行為を、GREEデベロッパー様にご理解いただき、本ガイドライン準拠により、青少年の保護、およびGREE Platformの健全性を向上させていくことを目的としています」  と、目的を述べた上で、下着表現・性行為表現・強調表現・裸体表現・児童ポルノ表現・留意すべきワードの項目ごとに禁止表現を定めている。  「下着表現」では「下着の露出が確認できる、または下着の露出を想起させると当社が認めた場合は、禁止表現とします」として、その定義を「下着が露出している」とするほか、例として「下着露出想起 衣服の下(隙間)から水着が露出している」「下着の一部が露出していることを想起させる」「水着がレース生地のような素材で描写されている」「水着やショーツの上にスカートのような衣服を着用している」「衣服の表現が濡れて透けている」「水着と下着の見分けがつきにくい」を挙げている。  また「性行為表現」では「性行為想起 液体のようなものが身体に付着している」のほか「棒状の物や食べ物などを局部に見たてた描写」「下腹部や胸部の周辺に手を添えたり、挟んでいる」「下腹部や胸の間に武器や棒などの物を挟んでいる」「触手のようなものが身体に巻き付いている」「日常的には通常行わない不自然な体勢」「抱擁の描写において衣服がはだけるなどの描写」「ベッドシーンでのキスや抱擁などの描写」を定める。  「強調表現」では「ポーズやしぐさにより、誘惑行為や強調行為にあたると当社が認めた場合は、禁止表現とします」として「誘惑表現 胸を寄せ、且つ露出が高い」「臀部を向けた表現で、且つ突き出している」「赤面、舌を出す、上目遣い、よだれや汗を流すなどの表情」「露出が多く、且つ著しく胸部を大きく描写している」「著しく開脚をした姿の描写」「強調表現 下半身を上半身よりも前面に突き出している」「衣服着用の有無に関わらず、ボディライン(筋肉や局部など)が著しく強調されている」「胸部の先端に突起がある」「脱衣行為想起 画像単体では問題なくとも、進化合成などにより衣服が脱げていく様子」「脱衣を想起させる描写」を挙げている。  「裸体表現」では「局部露出想起 モザイクやアイコン、衣服ではない物で局部が隠れている」「身体の一部で局部が隠れており、その下に衣服の着用が確認できない・液体状のもので局部が隠れている」「露出過多 胸部全体の約4割以上が露出している」「胸部の下側が露出している」「衣服の着用が全身の約1~2割前後しかない」「下半身が腰骨のあたりまで露出している」としている。  さらに「児童ポルノ表現」の項目では、「未成年を想起させる表現により、児童ポルノの可能性があると当社が認めた場合は、禁止表現とします」とし「未成年想起 一般的なものより露出している・破けている学生服、または学生服を想起させる描写」「スクール水着やブルマなど、未成年のみが着用する表現であり、且つその利用用途に必要性がない場合」「未成年を想起させる表現に該当し、露出度が高い」とし、さらに「未成年を想起させる表現の要素」として「鼻がない、もしくはないに等しい」「5等身程度」「目の大きさが頭部全体の5分の1以上」「乳房がない」を示している。  「留意すべき用語」の項目では「一般的に認識されている禁止用語以外であっても、次の表現については基準に抵触する可能性が高いため、原則利用を控えてください」として「エロ、すけべ、エッチ、セクシー、お色気など、性を表す、または想起させる」「胸部を表す、または想起させる」「臀部・下腹部周辺を表す、または想起させる」「AV、アダルト、ラブホテルなど、性行為を直接的・間接的に想起させる」「脱衣、脱ぐなど、脱衣を表す、または想起させる」「大人限定、大人の~~、夜の~~、など、年齢制限を表す、または想起させる」「幼女、児童、ロリコンなど、児童ポルノを想起させる」「SM行為を想起させる」「女性器、男性器を表す、または想起させる」を挙げている。  このガイドラインが示されたのは昨週だが、さっそくある開発者に話を聞いてみたところ 「これは、非常に厳しいガイドラインです。キャラクターを描くのが、かなり制限されることになるのでないでしょうか」  と話した。いうまでもなく、ソーシャルゲームの基本はカードバトルである。そのため、カードに描かれるキャラクターのイラストは重要である。また、最近ではソーシャルゲーム発のキャラクタービジネスも模索されている。つまり、メディアミックス戦略が形成される途上にあるのだが、このガイドラインは、新たな展開に、いきなり水を差すものになろうとしているのだ。  また、このガイドラインで最も気になったのが、「未成年を想起させる表現により、児童ポルノの可能性があると当社が認めた場合は、禁止表現とします」としていること。国が決めた法律である「児童ポルノ禁止法」でも、イラストは「児童ポルノ」の対象外である。「未成年を想起させる表現の要素」の部分も含めて、どうやってガイドラインを策定したのか、謎だ。また、このガイドラインに基づいて、誰がどのように判断するのかも見えてこない。  筆者は、引き続きグリー株式会社に対して、取材を申し込み中だ。 (取材・文=昼間たかし)

大型フェリーでコスプレ撮影会も!「OKESA!アニメクルージング」開催へ

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 大型フェリーでトークとコスプレ、さらに寄港地でアニソンまでもが楽しめる一大イベントが、9月16日に新潟で開催される。昨年初開催されて、大好評を博した「OKESA!アニメクルージング」が、それだ。このイベントは新潟と佐渡島を結ぶ航路を運航する佐渡汽船が主催し、全国に知られる同人誌即売会・ガタケット事務局と、同人誌印刷会社・ねこのしっぽの共催で行われるもの。  昨年は、全国から300人あまりが集まり大盛況となった、このイベント。今回は、さらに内容をパワーアップ。中でも目玉は、船内でコスプレができるという新たな試みだ。 「船内で自由にコスプレ撮影を行っていただけます。似合うコスですか? ONE PIECEとかヘタリアなんてよいんじゃないでしょうか」  と、ガタケット代表の坂田文彦さんは話す。  ちなみに、イベントに使われる船はカーフェリー・おけさ丸。なかなかの巨大な船なので撮影スポットは数限りない。様々な場所で、コスプレイベントが開催されるようになって久しいが、航行中の船内でコスプレができるというイベントは、おそらく史上初である(なお、筆者が佐渡島に似合うコスとして『カムイ伝』を提案したところ、坂田さんは渋い顔を……ごめん)。  イベントは新潟港を出港後に、船内でトークライブ、佐渡に到着後ライブを開催するというスケジュールだ。今年は、ゲストに、影山ヒロノブ・置鮎龍太郎・阪口大助・石田燿子が名を連ねており、男女共に楽しめる仕掛けになっている。  また、このイベントの魅力は新潟県民以外はなかなか訪れる機会のない、佐渡島に行くことにもある。筆者も、佐渡島には金山くらいしかイメージがないが、実際にはどうなのか? 「やっぱり金山です。それに、古来から高貴な人たちが流された島でもあるので、島内に多くの史跡があるんです。さらに、佐渡の米は、米どころの新潟県内でも特に美味しいと評判ですし、併せて酒蔵も多いです。海産物も美味しいし、じっくりと楽しんでほしいですね」(坂田さん)  なるほど、まず食べ物と酒が美味いということだけでも行く価値は高そうだ(余談だが、筆者の知人が佐渡に移住して、「美人が多い」と絶賛していたのを思い出した)。  そんな佐渡を満喫するために、イベントの乗船券は翌日まで有効になっており、イベントを楽しんだ後に宿泊し、翌日は佐渡島観光を楽しんで帰ることもできる設定だ。  地方でも例を見ない一大「まんが王国」と知られる新潟県。その地の利を存分に生かしたともいえる、このイベントは、是非体験してみる価値がある。 (取材・文=昼間たかし) ●OKESA!アニメクルージング2 2012年9月16日(日) 事前申込制 ゲスト:影山ヒロノブ・置鮎龍太郎・阪口大助・石田燿子(友情出演) MC:ショッカーO野 詳細は、公式サイトから http://gataket.com/okesa2/

まるで電波少年!? 『ココロコネクト』ドッキリ事件が業界を巻き込み大炎上中!

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『ココロコネクト』公式サイトより
 「ドッキリ」というと、古くから存在するバラエティ番組の演出の一つである。仕掛け人やスタッフが事情を知らないターゲットのタレントに対して、ウソの番組企画やいたずらを仕掛けて、そのリアクションを視聴者が楽しむという「ドッキリ」は、タレントの素の表情やリアクションが飛び出し、予測不能の笑いを生むことから、バラエティ番組の定番企画となっている。  しかし、ドッキリを仕掛けられることでタレントのイメージが崩れることや、ドッキリ企画を受けた事務所やテレビ局とタレントの関係が悪化することも少なくないことから、近年はイジられてナンボのお笑いタレントが、そのターゲットとなることが多い。つまり「ドッキリ」はリスキーな企画でもあるのだ。  そんな「ドッキリ」に安易に手を出してしまい、ファンのみならずアニメ業界を巻き込む大炎上を引き起こしてしまったのが、アニメ『ココロコネクト』(TOKYO MXほか)である。  7月からスタートした『ココロコネクト』は、人間関係に重大な影響を及ぼす超常現象に巻き込まれた高校生の男女5人の姿を描く、日常系SF。人気ライトノベルのアニメ化作品ということで放送前から注目を集めていた話題作であった。しかし、6月24日に開催された第1話先行上映会で番組スタッフが一丸となって用意したドッキリ企画が、今になって大きな問題を呼んでいる。  このイベントは出演声優のほかに、シークレットゲストとして声優・市来光弘が出演。「アニメのオリジナル企画がある」と聞かされていた彼は、てっきり「アニメのオリジナルキャラ」を演じることが発表されると思っていたのだが、事態は思わぬ方向に。突然「宣伝部長」に任命され、『ココロコネクト』公式Twitterアカウントのフォロワーを2万人以上にすること、そして、キャンペーンカーに乗って全国各地に赴き、プロモーション活動することを命じられたのだ(当然、アニメ本編への出演はない)。  実はこの企画、オーディション段階からの仕込みだったらしく、現場ではオーディション会場で必死に演技をする市来の姿も上映された。オーディションを受けた上でイベントに呼ばれた市来は本気で「アニメに出演できるもの」と信じていた模様で、ショックのあまりその場で崩れ落ちてしまうも、その姿に他の出演者やスタッフは爆笑。その意味では「ドッキリ大成功」だったといえるだろう。  しかし、その後、市来は周囲のスタッフや同業者に、ダマされた怒りと屈辱を何度も吐露。先輩声優・杉田智和や今井麻美のラジオ番組に出演した際には、彼らから同情とともに慰めの言葉をかけられ、特に杉田に関しては「俺がやられたら、その場の人間の顔全員覚えて帰る」と、『ココロコネクト』スタッフに対して怒りをあらわにする始末。そのほか、事態を知った業界関係者がこの「事件」について、Twitterで続々と発言。その大半が市来を擁護するものであったが、中には放送作家・稲葉央明氏のように「イジメやタチの悪いイジリやハラスメント以外の何ものでもないと思う」とスタッフを断罪するコメントも。現在この件に関して、関係者および発売元のキングレコードは一切の沈黙を貫いてはいるが、日増しに周囲の批判の声は大きくなるばかり。  今回の企画に関わった関係者は、この事態をどう沈静化させるつもりなのだろうか。なお、この炎上を受けて制作会社シルバーリンク代表取締役・金子逸人氏は「市来さんは14話から出演が決定しております」「これは企画当時より決定しておりました」とTwitter上で発言するも、直後に削除。現場の混乱具合がうかがえる。  ちなみにこの炎上事件の発端となったのが、主題歌を歌うユニットeufoniusのコンポーザー・菊地創氏がTwitter上で、歌手の桃井はるこに暴言を吐いたという事件だ。この一件をきっかけに、菊地氏の過去の問題発言がアニメファンによって発掘され、そこから今回のドッキリ企画についての発言も発見。そこから芋づる式に、関係者の発言や先述の市来のツイートも発掘されたというわけである。  くしくもアニメ本編のように、現実世界でも人間関係に大きな問題を発生させてしまった『ココロコネクト』。願わくば、物語のようにハッピーエンドになってほしいものである。 (文=龍崎珠樹) ■バックナンバー 【第20回】新ジャンル? 「不憫萌え」の女王・高垣彩陽の演技が光る話題作『ソードアート・オンライン』 【第19回】「売りスレ」では計測不能!? アニメDVDの売り上げを陰で支えるレンタル市場 【第18回】「求められるのは声優ソングばかり……」表舞台を追われたアニソン歌手の現在 【第17回】美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』 【第16回】夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線 【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い! 【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり 【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声 【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ 【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』 【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号 【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは? 【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情 【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー 【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!? 【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

仏映画史歴代No.2ヒット! ありえない出会いが生んだ、人生の転機『最強のふたり』

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(C) 2011 SPLENDIDO / GAUMONT / TF1 FILMS PRODUCTION / TEN FILMS / CHAOCORP
 今週紹介する新作映画2本は、人生を楽しむ極意をユーモアたっぷりに描き、笑いの中に自分らしく生きるためのヒントをちりばめた感動コメディだ(いずれも9月1日公開)。  『映画 ひみつのアッコちゃん』は、60年代に「りぼん」(集英社)に連載されテレビアニメ化もされた赤塚不二夫の少女漫画「ひみつのアッコちゃん」を、綾瀬はるか主演で実写化した作品。小学生の加賀美あつ子は、鏡の精からもらった「魔法のコンパクト」で22歳の女子大生アッコ(綾瀬)に変身。デパートの化粧品売り場で大好きなメイクを楽しんでいると、前日遊園地で出会った年上男性、化粧品会社勤務の尚人(岡田将生)と再会する。大人の常識にとらわれない発想が気に入られ、バイトとして雇われたアッコは、会社を立て直すため新商品開発に取り組む尚人を助けようと奮闘するが……。  「魔法で変身」という原作の基本コンセプトに、「メイクで美しく変身」「努力で願いをかなえる」という要素を巧みにオーバーラップさせたオリジナルストーリーが展開。時代設定は現代に置き換えられているが、綾瀬はるかの衣装に60年代ファッションのテイストを盛り込むオマージュも。共演陣には谷原章介、吹石一恵、塚地武雅、大杉漣、香川照之など豪華な顔ぶれが揃った。メガホンを取ったのは『のだめカンタービレ 最終楽章 後編』などコミックの実写映画化で定評ある川村泰祐監督。大人になり日々忙しく過ごすうちに忘れがちな、子どもの頃の純粋な想いや夢を思い出させ、“願い”がもたらすパワーに改めて気づかせてくれる快作だ。  『最強のふたり』は、実話に基づく笑いと涙のフランス製ドラマ。パラグライダーの事故で首から下が麻痺した白人の富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、スラム育ちで前科のある黒人青年ドリス(オマール・シー)を住み込みの介護人として雇う。社会的属性も趣味もまったく異なる2人だが、唯一の共通点は“偽善を嫌い本音で相手と向き合うこと”。衝突を繰り返しながらも、やがて互いを受け入れ、友情を育んでいく。そんなある日、ドリスの家族に重大な問題が持ち上がり、2人の関係は存続の危機に……。  重度の障害者を主人公に据えながら、表面的な美談でも同情を誘う悲話でもないのがいい。排泄の世話や性欲の処理といった話題もタブー視しないで取り上げているばかりでなく、2人のユーモラスなやり取りについつい笑わされ、気づくと目頭が熱くなっているという具合。本国フランスで同国映画史上歴代2位の興行成績を達成したほか、欧州各国で記録的ヒットを打ち立てたのは、昨今の経済危機と移民問題に苦しむ欧州の人々が本作に光明を見出したからという面もありそうだ。ただしそれだけではなく、「人生は気持ちの持ち方ひとつで好転する」という普遍的なメッセージが込められているからこそ、各国の幅広い世代に支持されるのだろう。アース・ウインド&ファイアーの懐かしいヒット曲が効果的に使われ、ポジティブ思考のドリスのキャラクターをポップに表現している点も好印象だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『映画 ひみつのアッコちゃん』作品情報 <http://eiga.com/movie/57257/> 『最強のふたり』作品情報 <http://eiga.com/movie/57365/>