1枚3万円でも高すぎる! ソーシャルゲームイラストの適正料金はおいくら?

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 まだまだ成長が止まらないソーシャルゲーム業界。その主流となっているのが、カードバトルだ。カードバトルには、イラストレーターの存在は欠かせない。どこの開発会社も、イラスト投稿サイト・pixivで、目を皿のようにしてうまいイラストレーターを探すのが日常業務の一部になっている。一方で、イラストレーターに支払われているギャラは適正か、という議論は絶えない。  果たして、イラストレーターの適正なギャランティはいくらなのだろうか? 「一流のイラストレーターならば、一枚あたり20~30万円を支払うこともあります。どんなに安くても、1枚3万円以下ということはありません」(開発会社の社員)  現在、イラストの価格はやや高騰気味。そこそこ描ける(素人目にはごまかせる)レベルのイラストレーターであれば、仕事には困らない状況ではある。  通常のイラストならば、一枚の絵の中にたくさんの情報を入れ込まなければならず、一枚のイラストを発注するにしても、何度も打ち合わせをして世界観を構築していくことが求められる。しかし、ソーシャルゲームには、そのような要素は求められない。開発会社が提供する資料をもとにして、発注を受けたものを期日内に仕上げることだけが重要なのだ。 「ソーシャルゲームのイラストは、アートとは違います。いかに量産できるかが、キモになるんです。ほとんどのイラストレーターは、パソコンを使って制作していますので、納品の際には線画と配色のレイヤーを分けて入稿してもらうこともありますよ。修正したい時に、作業をスムーズに行うためです」 (同)  つまり、イラストレーターに求められているのはクリエイターとして入魂の一枚を描くのではなく、職人として、右から左へと大量生産されるイラストを描いては流す作業をスムーズに行うこと。作者の意図とか、そんなことはどうでもいいことなのだ。  ところが「この仕事は金儲けのため」と割り切って職人に徹することができる人ばかりではない。 「今のところは、そこそこの実力があれば仕事の発注が途切れることはないでしょうから、修正を依頼しても断ってくるようなイラストレーターもいます。でも、pixivに次々と新しい描き手が登場していることから見ても、イラストレーターは徐々にダブつき始めていると思います。今は人気を得ているイラストレーターでも、5年、10年後に生き残っている人はわずかでしょう。職人に徹することができない人に、先があるとは思えません」(同)  職人であると割り切れば、ソーシャルゲームのイラスト制作は極めて割がよい。携帯電話やスマートフォンを通して見るものなので、塗りの部分も、複雑な色づかいよりも原色のほうが目立つ。つまり、作業を通常のイラスト制作よりもハイスピードでこなすことができるというわけだ。そのため、作業が効率化できることがわかっていけば、「超一流」以外のイラストレーターのギャラは下落していくと考えられている。 「イラストが1枚3万円というのは高すぎます。いずれは、1枚あたり1万円以下で、大量生産してもらう流れになるのではないでしょうか」(同)  今、有象無象のイラストレーターに求められているのは、筆者のような売文屋に求められていることと近い。原稿料が高かろうと安かろうと、一定のクオリティは保たなければならない。もちろん、原稿料が高ければ、それだけ熱心になるのは当然である。ならばと、原稿料が安いからと手を抜いたら、次から仕事はこなくなる。それにほとんどの仕事では、発注元の指示に従って書くのが当たり前だ。すべての仕事に自分の意見や意図を主張してなんていられない。そういうのは、文豪にでもなって「ぜひ、先生の玉稿を……」と依頼が来るようになってからやればよいことである。  アニメ・マンガ・ゲーム・ライトノベルといった消費されていくメディアの中で脚光を浴びるイラストレーターの立ち位置は、クリエイターではなく職人である。そのことを自覚できるか否かが、生き残りのカギだ。 (取材・文=昼間たかし)

1枚3万円でも高すぎる! ソーシャルゲームイラストの適正料金はおいくら?

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 まだまだ成長が止まらないソーシャルゲーム業界。その主流となっているのが、カードバトルだ。カードバトルには、イラストレーターの存在は欠かせない。どこの開発会社も、イラスト投稿サイト・pixivで、目を皿のようにしてうまいイラストレーターを探すのが日常業務の一部になっている。一方で、イラストレーターに支払われているギャラは適正か、という議論は絶えない。  果たして、イラストレーターの適正なギャランティはいくらなのだろうか? 「一流のイラストレーターならば、一枚あたり20~30万円を支払うこともあります。どんなに安くても、1枚3万円以下ということはありません」(開発会社の社員)  現在、イラストの価格はやや高騰気味。そこそこ描ける(素人目にはごまかせる)レベルのイラストレーターであれば、仕事には困らない状況ではある。  通常のイラストならば、一枚の絵の中にたくさんの情報を入れ込まなければならず、一枚のイラストを発注するにしても、何度も打ち合わせをして世界観を構築していくことが求められる。しかし、ソーシャルゲームには、そのような要素は求められない。開発会社が提供する資料をもとにして、発注を受けたものを期日内に仕上げることだけが重要なのだ。 「ソーシャルゲームのイラストは、アートとは違います。いかに量産できるかが、キモになるんです。ほとんどのイラストレーターは、パソコンを使って制作していますので、納品の際には線画と配色のレイヤーを分けて入稿してもらうこともありますよ。修正したい時に、作業をスムーズに行うためです」 (同)  つまり、イラストレーターに求められているのはクリエイターとして入魂の一枚を描くのではなく、職人として、右から左へと大量生産されるイラストを描いては流す作業をスムーズに行うこと。作者の意図とか、そんなことはどうでもいいことなのだ。  ところが「この仕事は金儲けのため」と割り切って職人に徹することができる人ばかりではない。 「今のところは、そこそこの実力があれば仕事の発注が途切れることはないでしょうから、修正を依頼しても断ってくるようなイラストレーターもいます。でも、pixivに次々と新しい描き手が登場していることから見ても、イラストレーターは徐々にダブつき始めていると思います。今は人気を得ているイラストレーターでも、5年、10年後に生き残っている人はわずかでしょう。職人に徹することができない人に、先があるとは思えません」(同)  職人であると割り切れば、ソーシャルゲームのイラスト制作は極めて割がよい。携帯電話やスマートフォンを通して見るものなので、塗りの部分も、複雑な色づかいよりも原色のほうが目立つ。つまり、作業を通常のイラスト制作よりもハイスピードでこなすことができるというわけだ。そのため、作業が効率化できることがわかっていけば、「超一流」以外のイラストレーターのギャラは下落していくと考えられている。 「イラストが1枚3万円というのは高すぎます。いずれは、1枚あたり1万円以下で、大量生産してもらう流れになるのではないでしょうか」(同)  今、有象無象のイラストレーターに求められているのは、筆者のような売文屋に求められていることと近い。原稿料が高かろうと安かろうと、一定のクオリティは保たなければならない。もちろん、原稿料が高ければ、それだけ熱心になるのは当然である。ならばと、原稿料が安いからと手を抜いたら、次から仕事はこなくなる。それにほとんどの仕事では、発注元の指示に従って書くのが当たり前だ。すべての仕事に自分の意見や意図を主張してなんていられない。そういうのは、文豪にでもなって「ぜひ、先生の玉稿を……」と依頼が来るようになってからやればよいことである。  アニメ・マンガ・ゲーム・ライトノベルといった消費されていくメディアの中で脚光を浴びるイラストレーターの立ち位置は、クリエイターではなく職人である。そのことを自覚できるか否かが、生き残りのカギだ。 (取材・文=昼間たかし)

『メタルギア』シリーズラインナップ推し! TGS2012コナミ・コジプロステージまとめ

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 1987年12月の第一作『メタルギア』(MSX2)発売から25年目を迎え、8月30日には『メタルギア』生誕25周年記念イベント「METAL GEAR 25th ANNIVERSARY PARTY」を開催した小島プロダクション。    そこで発表された要素を引き継ぐように、東京ゲームショウ2012コナミブースの小島プロダクションステージでも、「METAL GEAR 25th ANNIVERSARY STAGE at TGS 2012」と題するイベントで『メタルギア』シリーズの数々が紹介されていた。  ビジネスデイの20、21日から一般公開の22、23日まで連日のステージイベント開催。『METAL GEAR SOLID SOCIAL OPS』(Android OS、iOS)『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』(PlayStation®3)、そして現行機種であるPlayStation®3やXbox360相当のPC上で起動させたFOX ENGINEデモ作品『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』のトレーラーを流してのトークが主な内容。未発表の情報は少なかったものの、トークの中で連日、少しずつ漏らされる制作の舞台裏には、メイキングこぼれ話的な要素があり、いくつか聞き逃せない内容があった。  特に盛り上がった最終日23日の「小島プロダクションラインナップステージ」と「『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』ステージ」を中心に集めてみよう。  初日から最終日まで、基本的には同じ台本で進行するトークも、語りそのものはアドリブ。日毎にガードが緩くなる小島秀夫監督のリップサービスが狙いどころだが、まずは「小島プロダクションラインナップステージ」における、『メタルギアソリッド』ハリウッド映画化の報について。 「自分では台本は書きません。監修だけします」 「『METAL GEAR SOLID』の発売は1998年ですが、97年に米国でのショーに出展したときから、すでに映画化の引き合いがありました。とんでもないプロットもあった。宇宙に行くとか。一歩くらい進んだものもありましたが、二歩目が出なかった」 「プロデューサーのアヴィ・アラッド(『アイアンマン』など)さんはおもちゃのエアホッケーをデザインされた方で、アヴィさんのご自宅におじゃましてびっくりした。子どものときに遊んだおもちゃがたくさん置いてあった」
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「いろんな映画監督が勝手に『METAL GEAR SOLID』を映画化したいと発言してきた。勝手に作るな! しかし、リドリー・スコット監督が映画を撮りたいと言ったときは、作ってくれ、と思いましたけどね」 「誰が演じていようと、日本語版のスネークの吹き替えは大塚明夫さん」  そしてゲスト登壇の声優・大塚明夫氏が、実写と見紛うばかりの重厚な『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』デモを見たあと、そこで使用されている楽曲「Here's to you」(作曲:エンニオ・モリコーネ、歌:ジョーン・バエズ)に触れると、にわかに雰囲気が怪しくなってくる。  1970年代、安保闘争の最中にはやった、映画『死刑台のメロディ』(原題:Sacco e Vanzetti、1971年、日本公開は1972年)の主題歌「Here’s to you」は、それだけで大塚氏の鼻の奥を刺激するもののようで、歌詞の意味を考えると、『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』のテーマにも関わってきそうだ。  『死刑台のメロディ』は米国で実際に起きた疑獄事件の映画化。サッコとバンゼッティという2人のイタリア移民が証拠不十分のまま強盗殺人の罪で処刑された実話を描いたもので、「Here's to you」は苦境で戦い続けた2人を賞賛する詞を歌っている。 『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』は『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』(PSP®)と年代、世界設定を同じくし、『PEACE WALKER』に登場した少年チコと少女パスがそれぞれ囚われの身になっている。2人を救うことが『GROUND ZEROES』のミッションだと既にあきらかにされているが、小島監督のポロリ発言は、この流れでのことだった。 「『GROUND ZEROES』と、複数形になっていますよね。9.11などもありましたけれども、広島、長崎など、世界中にいろいろな爆心地がある。そういう意味合いです。で、おそらく……(言ってしまった、とつぶやいたものの続けて)この事件、出来事が彼らの世界のなかでの……」(小島監督)  ここで舞台袖からNGが出たようで、情報提供はストップ。続報を待つしかないようだ。 『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』ステージには是角有二プロデューサー(小島プロダクション)、玉利越リードライター(小島プロダクション)、稲葉敦志プロデューサー(プラチナゲームズ)が登壇した。 DSC_0546.jpg  周知のとおり、『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』は当初『METAL GEAR SOLID RISING』として制作が進んでいたが、中途で開発が頓挫。企画内容を大幅に変更し、プラチナゲームズとのコラボレーションで完成にこぎつけつつあるところだ。  やはり仕切り直しの際には激しいやりとりがあったようで、その辺りの事情が生々しく当事者の口から語られている。 「ウチで開発しましょうと始まったときに、シナリオを変えることも恐れずに、という話をしていました。これまでのものを捨てるということではなく、アクションゲームとしてステージを組んでいくうえで、変わるところもあるだろう、と。けれども、玉利さんが『おれが心血注いで書いたシナリオを一字一句変えるなど、なぜしないといけない』というところからスタートした。たぶんそこがいちばんのどん底で、真っ青になったのが是角プロデューサー」(稲葉プロデューサー) 「結局、全部新しくイチから書きましたからね。話し合っていくうちに、これは中途半端に変えたらクソゲーになると確信したので、やるんだったら全部書き直しましょう、と。前のシナリオはぼくのパソコンに眠っています」(玉利リードライター)  アフレコの際には玉利リードライターと齋藤健治ディレクター(プラチナゲームズ)のあいだで、収録された音声をめぐり、あっちのテイクがいい、こっちのテイクがいいと、何分間も口論(玉利リードライターによれば「建設的な議論」)になっていたという。あらゆるユーザーの厳しい視線に晒される『メタルギア』シリーズだけに、制作者にのしかかるプレッシャーも相当なものだろうが、激しいぶつかり合いを経ているからこそ、人前に出せるという自信が生まれたのかもしれない。  『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』の体験版は10月25日発売の『ZONE OF THE ENDERS HD EDITION』にプロダクトコード同梱というかたちで付属。『METAL GEAR SOLID SOCIAL OPS』がサービスインし、来年2月21日に『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』の発売が予定されている。  その先の『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』へ向け、進化する様子を見せ続けてもらいたいものだ。

『メタルギア』シリーズラインナップ推し! TGS2012コナミ・コジプロステージまとめ

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 1987年12月の第一作『メタルギア』(MSX2)発売から25年目を迎え、8月30日には『メタルギア』生誕25周年記念イベント「METAL GEAR 25th ANNIVERSARY PARTY」を開催した小島プロダクション。    そこで発表された要素を引き継ぐように、東京ゲームショウ2012コナミブースの小島プロダクションステージでも、「METAL GEAR 25th ANNIVERSARY STAGE at TGS 2012」と題するイベントで『メタルギア』シリーズの数々が紹介されていた。  ビジネスデイの20、21日から一般公開の22、23日まで連日のステージイベント開催。『METAL GEAR SOLID SOCIAL OPS』(Android OS、iOS)『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』(PlayStation®3)、そして現行機種であるPlayStation®3やXbox360相当のPC上で起動させたFOX ENGINEデモ作品『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』のトレーラーを流してのトークが主な内容。未発表の情報は少なかったものの、トークの中で連日、少しずつ漏らされる制作の舞台裏には、メイキングこぼれ話的な要素があり、いくつか聞き逃せない内容があった。  特に盛り上がった最終日23日の「小島プロダクションラインナップステージ」と「『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』ステージ」を中心に集めてみよう。  初日から最終日まで、基本的には同じ台本で進行するトークも、語りそのものはアドリブ。日毎にガードが緩くなる小島秀夫監督のリップサービスが狙いどころだが、まずは「小島プロダクションラインナップステージ」における、『メタルギアソリッド』ハリウッド映画化の報について。 「自分では台本は書きません。監修だけします」 「『METAL GEAR SOLID』の発売は1998年ですが、97年に米国でのショーに出展したときから、すでに映画化の引き合いがありました。とんでもないプロットもあった。宇宙に行くとか。一歩くらい進んだものもありましたが、二歩目が出なかった」 「プロデューサーのアヴィ・アラッド(『アイアンマン』など)さんはおもちゃのエアホッケーをデザインされた方で、アヴィさんのご自宅におじゃましてびっくりした。子どものときに遊んだおもちゃがたくさん置いてあった」
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「いろんな映画監督が勝手に『METAL GEAR SOLID』を映画化したいと発言してきた。勝手に作るな! しかし、リドリー・スコット監督が映画を撮りたいと言ったときは、作ってくれ、と思いましたけどね」 「誰が演じていようと、日本語版のスネークの吹き替えは大塚明夫さん」  そしてゲスト登壇の声優・大塚明夫氏が、実写と見紛うばかりの重厚な『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』デモを見たあと、そこで使用されている楽曲「Here's to you」(作曲:エンニオ・モリコーネ、歌:ジョーン・バエズ)に触れると、にわかに雰囲気が怪しくなってくる。  1970年代、安保闘争の最中にはやった、映画『死刑台のメロディ』(原題:Sacco e Vanzetti、1971年、日本公開は1972年)の主題歌「Here’s to you」は、それだけで大塚氏の鼻の奥を刺激するもののようで、歌詞の意味を考えると、『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』のテーマにも関わってきそうだ。  『死刑台のメロディ』は米国で実際に起きた疑獄事件の映画化。サッコとバンゼッティという2人のイタリア移民が証拠不十分のまま強盗殺人の罪で処刑された実話を描いたもので、「Here's to you」は苦境で戦い続けた2人を賞賛する詞を歌っている。 『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』は『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER』(PSP®)と年代、世界設定を同じくし、『PEACE WALKER』に登場した少年チコと少女パスがそれぞれ囚われの身になっている。2人を救うことが『GROUND ZEROES』のミッションだと既にあきらかにされているが、小島監督のポロリ発言は、この流れでのことだった。 「『GROUND ZEROES』と、複数形になっていますよね。9.11などもありましたけれども、広島、長崎など、世界中にいろいろな爆心地がある。そういう意味合いです。で、おそらく……(言ってしまった、とつぶやいたものの続けて)この事件、出来事が彼らの世界のなかでの……」(小島監督)  ここで舞台袖からNGが出たようで、情報提供はストップ。続報を待つしかないようだ。 『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』ステージには是角有二プロデューサー(小島プロダクション)、玉利越リードライター(小島プロダクション)、稲葉敦志プロデューサー(プラチナゲームズ)が登壇した。 DSC_0546.jpg  周知のとおり、『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』は当初『METAL GEAR SOLID RISING』として制作が進んでいたが、中途で開発が頓挫。企画内容を大幅に変更し、プラチナゲームズとのコラボレーションで完成にこぎつけつつあるところだ。  やはり仕切り直しの際には激しいやりとりがあったようで、その辺りの事情が生々しく当事者の口から語られている。 「ウチで開発しましょうと始まったときに、シナリオを変えることも恐れずに、という話をしていました。これまでのものを捨てるということではなく、アクションゲームとしてステージを組んでいくうえで、変わるところもあるだろう、と。けれども、玉利さんが『おれが心血注いで書いたシナリオを一字一句変えるなど、なぜしないといけない』というところからスタートした。たぶんそこがいちばんのどん底で、真っ青になったのが是角プロデューサー」(稲葉プロデューサー) 「結局、全部新しくイチから書きましたからね。話し合っていくうちに、これは中途半端に変えたらクソゲーになると確信したので、やるんだったら全部書き直しましょう、と。前のシナリオはぼくのパソコンに眠っています」(玉利リードライター)  アフレコの際には玉利リードライターと齋藤健治ディレクター(プラチナゲームズ)のあいだで、収録された音声をめぐり、あっちのテイクがいい、こっちのテイクがいいと、何分間も口論(玉利リードライターによれば「建設的な議論」)になっていたという。あらゆるユーザーの厳しい視線に晒される『メタルギア』シリーズだけに、制作者にのしかかるプレッシャーも相当なものだろうが、激しいぶつかり合いを経ているからこそ、人前に出せるという自信が生まれたのかもしれない。  『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』の体験版は10月25日発売の『ZONE OF THE ENDERS HD EDITION』にプロダクトコード同梱というかたちで付属。『METAL GEAR SOLID SOCIAL OPS』がサービスインし、来年2月21日に『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』の発売が予定されている。  その先の『METAL GEAR SOLID GROUND ZEROES』へ向け、進化する様子を見せ続けてもらいたいものだ。

“絶対王者”吉田沙保里はなぜ生まれたか──日本レスリング界の強さの秘密を探る『日本レスリングの物語』

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『日本レスリングの物語』(岩波書店)
 日本中が沸いたロンドン五輪で、日本選手団は7個の金メダルと14個の銀メダル、17個の銅メダルを獲得した。体操の内村航平や卓球の石川佳純、女子サッカー代表などにメディアの注目は集まるが、日本の金メダルのうち4つは吉田沙保里、伊調馨、小原日登美、米満達弘がレスリング競技で獲得したものだった。  数にして、日本の獲得した金メダルの半数以上を占める日本レスリング界の活躍。レスリング競技における金メダルの数でも、大国ロシアと同数の世界一。日本レスリング界の強さは、世界でも群を抜いているのだ。  いったい、どうして日本はこんなにレスリングが強いのか? その秘密を解き明かすべく、日本におけるレスリングの歴史を記した一冊が、ノンフィクションライター・柳澤健氏による『日本レスリングの物語』(岩波書店)だ。    日本におけるアマチュアレスリングの歴史は、1920年代にまでさかのぼる。1921年早稲田大学柔道部の庄司彦雄とプロレスラー、アド・サンデルが靖国神社で戦った異種格闘技戦を端緒として、日本にレスリングは導入された。引き分けに終わったこの試合の後、庄司はレスリング先進国のアメリカに留学。帰国後の1931年には、早稲田大学に日本初のレスリング部を設立した。  翌年にはロサンゼルス五輪に初めて選手を送り出した日本レスリング界。しかし、その実力はまったく伴っていなかった。レスリングという新しいスポーツに流れてきた選手たちのほとんどは柔道の経験者。当時は柔道がオリンピック種目となっていなかった時代であり、選手たちはオリンピックに出場できるという理由だけで、柔道の経験を応用できるレスリングに流れたのだった。全員が柔道の高段者だったものの、もちろんレスリングと柔道は異なる競技。ロサンゼルス五輪では惨敗を喫し、続くベルリン五輪でもかろうじて入賞者は出せたもののメダルには届かなかった。  その潮目が変わるのは、戦後になるまで待たなければならない。  身長が低く、脚が短いという体型を活かし、欧米の強豪たちをタックルでねじ伏せる日本レスラーたちが活躍したのは1952年に開催されたヘルシンキ五輪。日本選手団のうち唯一となる金メダルを石井庄八が獲得し、戦後復興期の国民たちを勇気づけた。この金メダルに勢いづき、次のメルボルン五輪では、日本が生んだ世界の殿堂入りレスラー笹原正三と池田三男が金メダルを獲得し、その実力を見せつけた。  黎明期から世界レベルへの発展に至るまでに、レスリング界に尽力した人物が八田一朗だ。早稲田大学レスリング部の初代主将であり、卒業後は大日本アマチュアレスリング協会を設立。私財をなげうちながら、レスリングの強化だけに人生を費やした。その人柄もユニークそのものの八田は、「ライオンとにらめっこをさせる」「合宿中は選手の夢精や自慰まで管理する」「将棋の名人の話を聞く」とハチャメチャな練習メニューを考案し選手を鍛える。「豪放」というイメージがふさわしいその人柄で、後年は参議院議員にも立候補した八田、1983年に永眠するまで日本レスリング界を牽引していった。  一方、女子レスリングの歴史は80年代から始まる。黎明期は女子プロレスブームにあやかりながら選手を集めなければならないほど注目度は低かったが、2004年のアテネ大会よりオリンピック種目に認定されるやいなや、吉田沙保里、伊調馨の2人の金メダリストを送り出す。さらに2008年北京大会、2012年ロンドン大会でもこの2人は金を獲得し前人未到のオリンピック3連覇を達成した。この女子レスリングの歴史を支えた人物が福田富昭だ。スパルタ練習を行いながら選手を強化し、マスコミをうまくリードしながらその普及に尽力。福田もまた八田と同様に、人生のすべてを女子レスリングに投じた人物だ。  新潟県の山奥の廃校を私財を投じて購入した福田は、そこを女子レスリングの合宿所兼道場としてしまった。「まわりには誰もいないから、いくらしごいて泣き叫んでも大丈夫」と福田が意図したように、そこでの練習は苛烈を極め、女子選手に対し、バットや竹刀で殴られるのは当たり前というトレーニングを課した。  また、女子レスリングの代名詞となったアニマル浜口・浜口京子親子の知名度も、福田の功績によるところが大きい。実は、アニマル浜口はボディビル出身であり、レスリングの技術はほとんどない。そんな彼を福田は無理矢理コーチに据え、メディアの注目が集まるように仕向けた。アニマル本人もはじめは当惑していたものの、福田からの「選手全員に向かって、マスコミの前でがーがー吠えろ」という指示を忠実にこなし、いつの間にか「気合だ!」という名言まで誕生。女子レスリング界に欠かせない存在となっていったのだった。  次のリオデジャネイロ五輪でも、日本レスリング界の活躍は世界中の注目を集めるだろう。その強さの陰には、八田一朗と福田富昭という2人の男が積み上げてきた類まれなる努力があることを思い出してほしい。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

『マブヤー』に続け! 沖縄発ご当地アニメ『はいたい七葉』が全国制覇を狙う!?

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『はいたい七葉』公式サイト
 さまざまな地方都市をアニメの舞台にすることで、聖地巡礼するアニメファンを観光客として呼び込む「ご当地アニメ」が認知されるようになって久しいが、それをさらに一歩推し進めた「ご当地アニメ」が今秋スタートする。  それが、10月6日より放送開始予定の『はいたい七葉(ななふぁ)』だ。  主人公の三姉妹が、かわいらしいキジムナーやシーサーの精霊と交流する中で不思議な騒動が巻き起こるという本作。監督に『NARUTO』シリーズの多くのエピソードで演出を手がけている木村寛、キャラクターデザインに『もえたん』シリーズのキャラクター原案のPOPなどが起用され、一見して多くの全国区アニメと大差がないように見えるが、キャストはほとんど沖縄県出身で、放送局も琉球朝日放送(QAB)のみ。現地での放送が終了する2013年からは、全国・海外での展開も計画されているという。  本作の総合プロデュースを手がけるのは、沖縄のローカルヒーロー『琉神マブヤー』を生み出した南西産業の畠中敏成社長だ。『マブヤー』は現在、地元・沖縄ではシーズン4まで番組を放送。全国各地でも、U局系列を中心にシーズン3までが放送されているほか、劇場版も昨年10月に沖縄で先行上映された後、今年1月には全国上映されるなどヒットコンテンツへと成長した。  『はいたい七葉』は登場する14人のキャラクターにそれぞれスポンサーを付ける優先キャラクター契約を募集している。現在、劇場版が公開中の『TIGER & BUNNY』でも注目を集めたプロダクトプレイスメントを積極的に取り入れ、作品を通じての広告収入も視野に入れているようだ。  ローカルヒーローとしては、異例の大ヒットを記録した『琉神マブヤー』に続いて、畠中社長は今度は萌えアニメで全国制覇を狙う。  本作のほかにも、近年、地方で企画・制作された「ご当地アニメ」がじわじわと現れつつある。例えば、佐賀県発のセル&クレイアニメ『河童五代目』は、クリエイターと地元学生のコラボレーション企画として誕生。現在第2シーズンまで制作され、海外展開もしている。  また「魅力発信!埼玉県観光アニメ制作事業」と称して、アニメを活用した県の観光資源PRを推進する埼玉県は、「アニメど埼玉」というサイトを立ち上げ、県在住のクリエイターや一般公募によって選ばれた声優を起用した作品を多数公開している。日常系アニメのオムニバス『The Four Seasons』や、美少女巫女の活躍を描く『観光大戦SAITAMA』などを見れば、地上波で放送されているアニメに見劣りしない作品の完成度に驚くことだろう。  特に3人の女子高校生が県のPRムービーを撮影する『埼玉高校放送部』は、出色の出来である。テンポのいい女子トークが繰り広げられ、思わず「もっと見たい!」と思わされること必至。声優は一般公募ということで若干棒くさいところもあるが、それが逆に味になっていると言えなくもない。『らき☆すた』で町興しを成功させた鷲宮という前例があるだけに、そのガチっぷりはほかの地方発「ご当地アニメ」の追随を許さない。さすがである。   これまで、首都圏から発信される作品が中心であった「ご当地アニメ」だが、今後は地方発信の「ご当地アニメ」も増えてくるのではないだろうか。人件費や制作に必要なコストなど、アニメ制作をする上でクリアしなければならないハードルは低くはないだろうが、より地方の魅力をふんだんに取り入れた上で「面白いアニメ」(ここが重要!)が生まれてくれることを願うばかりだ。 (文=龍崎珠樹) ■バックナンバー 【第21回】まるで電波少年!? 『ココロコネクト』ドッキリ事件が業界を巻き込み大炎上中! 【第20回】新ジャンル? 「不憫萌え」の女王・高垣彩陽の演技が光る話題作『ソードアート・オンライン』 【第19回】「売りスレ」では計測不能!? アニメDVDの売り上げを陰で支えるレンタル市場 【第18回】「求められるのは声優ソングばかり……」表舞台を追われたアニソン歌手の現在 【第17回】美少女たちが追いつめられる姿にゾクゾク!? リアル系ロボットアニメ『トータル・イクリプス』 【第16回】夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線 【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い! 【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり 【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声 【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ 【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』 【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号 【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは? 【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情 【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー 【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!? 【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

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(C)2012 Universal Studios. All Rights Reserved. 配給: 東宝東和
 今週は、過去の大ヒットシリーズや定番の映像コンテンツのエッセンスを継承しつつ、新たな魅力を獲得しているハリウッド製アクション2本を紹介したい(いずれも9月28日公開)。  『ボーン・レガシー』は、マット・デイモンが記憶喪失のCIA特殊工作員ジェイソン・ボーンを演じた『ボーン・アイデンティティー』(03)に始まる“ボーン”3部作の世界観を引き継ぎ、もう1人の工作員が巨大な陰謀と戦う姿を描く。最強の暗殺要員を人工的に作り上げるため、CIAが進めてきた極秘プログラムは、実は複数存在していた。その1つ、「アウトカム計画」で肉体改造されたのがアーロン・クロス(ジェレミー・レナー)。だが、ボーンが起こした事件により機密の一端が暴かれたことで、CIA上層部は全プログラムの抹消と養成した工作員らの抹殺を指示。アーロンは迫る追っ手を次々に倒しながら、計画の重要な鍵を握る科学者マルタ(レイチェル・ワイズ)を伴い、生き残りを賭けた逃避行に旅立つ。  メガホンを取ったトニー・ギルロイは、前3部作の脚本を手がけたほか、監督デビュー作の『フィクサー』(07)ではいきなりアカデミー賞の監督賞など7部門でノミネートされた才人。“ボーン”シリーズの特徴だった細かなカット割による刺激的な高速アクションシーンを今作でも存分に見せてくれるほか、CIAの主要幹部に扮したキャストの続投、『ボーン・アルティメイタム』(07)の一部シーンの再現など、シリーズのファンを喜ばせる仕掛けもばっちり。オートバイを10台所有するほどの熱心なバイク乗りでもあるレナーが、レイチェル・ワイズを後ろに乗せてマニラ市街で繰り広げるチェイスはスリル満点。この終盤のチェイスで2人を追走する日系人俳優のルイス・オザワ・チャンチェン(『プレデターズ』のヤクザ役)は、『ターミネーター2』(91)でシュワちゃんと戦った白バイ警官を彷彿とさせる強烈なキャラクターを演じており、あり得ないほどの無敵感が笑いさえ誘う。見どころの多い本作、その世界観をしっかり楽しむためにも、前3部作を未見の人は予習をお忘れなく。  もう1本の『ハンガー・ゲーム』は、全世界で累計7,000万部を突破したヤングアダルト小説を、『シービスケット』(04)のゲイリー・ロス監督、『ウィンターズ・ボーン』(11)でアカデミー主演女優賞ノミネートのジェニファー・ローレンス主演で映画化したサバイバルアクション。わずかな富裕層が住む都市キャピトルと12の隷属地区で構成される近未来の独裁国家パネムでは毎年、「ハンガー・ゲーム」と呼ばれる殺りくゲームが開催されてきた。各地区から十代の男女1人ずつ計24人がプレイヤーとして選ばれ、森林や草原や川といった自然環境の“闘技場”で殺し合い、その様子は全国民の娯楽としてテレビ中継される。弓矢が得意な少女カットニス(ローレンス)は、幼い妹に代わってプレイヤーとなり、同地区選出の少年ピータ(ジョシュ・ハッチャーソン)とともに命懸けの戦いに臨む。  原作者のスーザン・コリンズは、戦争報道とリアリティー番組を流し見しているうち、この「殺人リアリティーショー」のアイデアを思いついたという。やはり近未来の殺人サバイバルゲームを描いた『バトルランナー』(87)の原作者であるホラー小説の巨匠スティーブン・キングも、コリンズの原作を大絶賛。ほかにも邦画の『バトル・ロワイアル』(00)など、類似したテーマの作品は過去にいくつかあるが、ジャンヌ・ダルクを思わせる気高きヒロインの魅力が、幅広い世代に支持される要因だろう。全米公開では『アバター』(10)以来の4週連続1位というメガヒットを記録し、すでにシリーズ化も決まった本作。同じくティーン向け小説が原作で一大ブームを巻き起こした『トワイライト』シリーズが『トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part2』(12月公開)で完結する今年、バトンを受け継ぐように新たな強力シリーズが登場してくるあたり、米エンタメ界の層の厚さを思わずにはいられない。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『ボーン・レガシー』作品情報 <http://eiga.com/movie/56727/> 『ハンガー・ゲーム』作品情報 <http://eiga.com/movie/57839/>

“バイオ祭り”の掉尾を飾る、CG映画『バイオハザード ダムネーション』発表会&披露試写会

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 東京ゲームショウ2日目となる21日、イベントステージでは映画『バイオハザード ダムネーション』の記者発表会が行われ、神谷誠監督と小林裕幸プロデューサー(カプコン)が登壇。ストーリーの概要やモーションキャプチャーの舞台裏、米国でのファンイベントなどについて語った。  この映画は『バイオハザード ディジェネレーション』に続く、原作ゲーム『バイオハザード』シリーズと世界観を共有するフルCG映画第2弾。ストーリーもゲーム本編とほぼ同一線上にある。  時間軸でいうと、ゲーム『バイオ4』→映画『ディジェネレーション』→ゲーム『バイオ5』→映画『ダムネーション』→ゲーム『バイオ6』の順になる。つまり『バイオ5』の後日譚(シークエル)であり、『バイオ6』の前日譚(プリクエル)にもあたる、『5』と『6』をつなぐミッシングリンク的な位置付けの作品であるともいえる。物語内の時間では『バイオ6』が2013年、『ダムネーション』はその2年前の2011年に起きた出来事を描いている。  舞台は旧ソ連圏にあるとされる架空の国家、東スラブ共和国。富裕層の支援を受ける政府軍と貧困層を核とした反政府ゲリラとの内戦が絶えないこの国に、怪物を目撃したというウワサが拡がる。  原作シリーズ2作目『バイオハザード2』の主人公であり、現在は大統領直属エージェントとなっているレオン・S・ケネディが、B.O.W.(バイオ・オーガニック・ウエポン=生体兵器)拡散の疑いについての捜査を始めようとしたところ、現地に着いた途端、米国政府と東スラブ政府の関係が決裂、作戦の中止を告げられる。しかし、B.O.W.被害が拡大することを看過できないレオンは、中止命令を無視して単独で事件の解決に乗り出していく。  同国では、B.O.W.の一種リッカーが導入され、B.O.W.を従属させることが可能になる寄生体がゲリラの切り札として蔓延、すでに首都はゾンビのようにうごめく感染者の群れに覆われ始めていた。レオンはこの事態を打開できるのか──という筋書きだ。  前作『ディジェネレーション』には登場しなかったエイダ・ウォンが、東スラブ共和国の深奥に迫りつつ暗躍し、レオンの前に度々現れるヒロイン格のキャラクターとして登場することが話題になっている。
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 エイダは『バイオ2』以来、敵か味方か分からぬ、妖しい魅力を振りまく女として存在感を放ち続けてきた。『バイオ6』にもメインキャラクターのひとりとして登場する。『ダムネーション』での、ほぼもう一方の主人公としての扱いにも納得はいく。  舞台設定を旧ソ連~東欧辺りに、とは神谷誠監督のアイデアだったという。ロケーションハンティングはウクライナ共和国で行われた。旧ソ連から東欧に到るスラブ語圏の風景がリアルに描かれ、『バイオハザード』の舞台としては珍しい香りがするが、これがかなりハマっている。  フルCG映画の性質上、演技の収録はモーションキャプチャーとアフレコに分かれる。キャストは、ボイスアクターのみならずモーションアクターも米国人だったが、言葉の壁はなかった。 「まったく英語をしゃべることができないのですが(苦笑)、役作りをしてきていただいているので、こんな感じでやってと(身振りを交えて)言うと、OK分かったと理解してくれる。非常にやりやすかった」(神谷監督)  監督自身のモーション演技もそのまま使用され、メイキング映像で確認することができるという。  身体の動きだけでなく「顔芸」も見どころだ。 「モーションキャプチャーは精度を高めるためにフェイシャル(表情)を別撮りした」と小林プロデューサーが語るように、アップのカットも密度と精度が保たれ、違和感なくスクリーンに没入できる。  特報映像は米国サン・ディエゴにて開催されたコミックコンベンションで初お披露目された。ユーザー500人を会議室に集めたパネルディスカッションでは、登場するキャラクターやクリーチャーについての質問が多かったという。  前作『ディジェネレーション』の公開後には「レオンがいるのに、なぜエイダが出ないのか」との反響があり、結果として『ダムネーション』におけるエイダ登場につながった経緯を考えると、その場でファンから吸い上げた意見は、再び今後に活かされるのかもしれない。
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『バイオハザード ダムネーション』
10月27日(土)より2D&3D全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
(C)2012カプコン/バイオハザードCG2製作委員会 <http://www.biohazardcg2.com/>
 2008年中に、鍋をつつきながら小林プロデューサーが神谷監督にオファーし、翌年から制作に着手、『ダムネーション』は3年半をかけて完成した。 「映画(単体)としてだけ見ても、すごく面白いと思います。そこは自信があります。また、ゲームの世界観をちゃんと守ったつくりになっています。ゲームファンの方が『なんだよこれ、違うじゃねぇかよ』と不満を抱くこともなく、ストレスなく見られると思います。実はこの事件を経て、『6』の世界につながったのかと見ることもできる」(神谷監督) 「実写映画はポール・W・S・アンダーソン監督が描く『バイオハザード』で、この『ダムネーション』は、ゲームがお好きで、ミリタリーがお好きで、ホラーがお好きでゾンビがお好きな神谷監督が贈る、ゲームの世界観でつくるCG映画」(小林プロデューサー)  2人の言葉にある通り、『ダムネーション』にはバイオ感が満ちている。ゲームの通りの状況設定や間のつくり方。まるで、ゲーム用のシナリオを大災難ものハリウッド映画のフォーマットに叩き込んだかのような、息をもつかせぬ勢いの娯楽作品に仕上がった。ゲームに忠実で、エンタメ映画として楽しめる。その姿勢が全編を貫いている。  この日の夕方からは、幕張メッセからほど近い、海浜幕張駅前のシネプレックス幕張にて完成披露試写会が行われた。舞台挨拶に立った2人は、それぞれ「シリーズものはパート2がいちばん面白いという持論を証明したい」(神谷)、「とにかくレオンを痛めつけて苦労させ、どう乗り切るかというところを描きたい」(小林)と、それぞれエンタメ創作のツボのような一言を残している。観客へのサービスに徹した態度が心地よい。  前作の公開時には、今作でエンディングテーマ曲を歌う土屋アンナが、女性客に鑑賞を勧めようと「怖くないから見に来て」と言ってしまったというが、『ダムネーション』試写会の席では、思わず飛び上がった来場者が何人かいた。怖いかどうかはともかく、驚きがあることは間違いない。  9月14日から公開中の実写映画『バイオハザードV リトビリューション』、10月6日に発売されるゲーム『バイオハザード6』と続く“バイオ祭り”の掉尾を飾るにふさわしい快作の公開は10月27日だ。

今年はオッパイ推し!? 最新ゲームと美女に胸躍る「東京ゲームショウ2012」

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 9月20~23日、日本最大規模のコンピューターゲーム総合展示会「東京ゲームショウ2012」が、千葉・幕張メッセにて開催された。  8月6日付の日経産業新聞によると、2011年の国内家庭用ゲームソフト市場は販売本数が5, 130万本(前年比18.4%減)、金額ベースでは2,746億円(13.7%減)と大幅に縮小した一方、従来の家庭用ゲームメーカーも続々とソーシャルゲーム業界に参入。KONAMIの『ドラゴンコレクション』のヒットや、家庭用ゲームでのヒットが減少してしまったスクウェア・エニックスの2011年4~12月期連結決算が、ソーシャルゲームのヒットで純利益を倍増させたというニュースが流れるなど、ソーシャルゲームはいまやゲーム業界において見逃せない存在になったといっても過言ではない。  「東京ゲームショウ2012」においても、ソーシャルゲームの躍進ぶりは止まらず、各メーカーのブースでは家庭用ゲームとソーシャルゲームが同格に(時には家庭用ゲーム以上に)扱われている場面を目にすることも少なくはなかった。  片や、頑なまでに家庭用ゲームにこだわり、ぜひとも大画面で迫力の映像を堪能したいと思わせる大作や、『モンスターハンター4』『逆転裁判5』など、人気シリーズを数多く擁するカプコンなど、ゲーマー泣かせなメーカーも存在。ソーシャルゲームと家庭用ゲームが混在する会場は、ここ数年来感じられることのなかった熱気が充満していたことも事実だ。両メディアのゲームが切磋琢磨し、業界をさらに盛り上げていってほしいものだ。  そんな「東京ゲームショウ」の目玉といえば、なんといっても各メーカーのブースで来場者を出迎えてくれるコンパニオンのお姉さんたち! 例年通りサイゾーはばっちりとその美貌を押さえてきた。  なお、今年の傾向は豊満なバストだろうか。どのブースを覗いても、立派な谷間がボン! ボン! ボン! グラマー美女たちをその目に焼き付けてほしい。
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シエラレオネの国境なき医師団が見た『世界で一番いのちの短い国』

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『世界で一番いのちの短い国』(小学館)
 世界で1、2を争う長寿国、日本。平均寿命およそ80歳と、驚くべき長生きぶりだ。その半面、医療費の増加が社会的な問題となっており、贅沢な悩みではあるが、手放しでは喜べない状況でもある。  では、その間逆、世界一寿命の短い国はどこか? それは、この『世界で一番いのちの短い国』(小学館)の舞台となる、シエラレオネ共和国。西アフリカにある、北海道と同じ面積ほどの小さな国で、人口は約600万人。この国の平均寿命はわずか47歳で、世界最短。乳児死亡率も世界ダントツの1位だ。そのため、国連やWHO(世界保健機関)から、常に注目されている。  なぜ、そんな事態に陥ってしまったかといえば、この国にダイヤモンド鉱山があったばかりに利権争いが起こってしまったからだ。お隣の国、リベリアの大統領が悪知恵の働く人で、まともに攻めたのでは国際社会の非難を浴びる。だから、シエラレオネ国内に内戦が起きているように見せるため、「この国は腐っている! 賄賂ばかりだ。新しい政府をつくろう!」と呼びかけ、ダイヤモンド鉱山を支配下にした。  慌てたシエラレオネの政府は、国連に援助を依頼し、現在は西側が政府軍、東側がリベリア軍の支配下で、一応、停戦状態となっている。  本書は、著者の山本敏晴氏が、そんな予断を許さない状況の国に、国境なき医師団のひとりとして飛び、半年間に渡り医師を務めた記録だ。  少し話はそれるが、そもそも国境なき医師団というと、どんなイメージがあるだろうか? わたしは、「途上国の人々のため、国際協力のため、プライベートを捨て懸命に働くとっても偉い人」というイメージが“以前は”あった。けれど昨年、イランへひとり旅に出た時に、本物の元・国境なき医師団の医師に出会って度肝を抜かれた。  出会った場所は安宿で、その人物はとにかくお金がなかった。着るものは、現地の人に“かわいそうがられて”もらったジャケットに、冬なのに東南アジアのような巻きスカート。以前、同僚とケンカして相手を殴って、何千万もの賠償金を要求されている上、無一文なのに、今度は「イラクに行きたいから、お金を貸してほしい」と、日本人旅行者に拝み倒す。人の話をまったく聞かず、誰かと話していても、平気で自分の話を続けるこの男に出会い、とんでもない人が医師をしているものだと、心底驚いた。  もっとも、そんな人でも、やはり医師としてはちゃんと働いているようで、写真を見る限り、現地の人になじみ、頑張っている様子がうかがえた。旅行者から借りたお金も、彼の「愛人」の援助で返済していたようだし。  本書でも触れられているが、ひと口に医師といっても、みんながみんな神様のような心優しさを持っているわけではなく、ただの旅行好き、もう帰る場所がないなど、さまざまな理由で働いているのだ。  ただ山本氏は、「本当に意味のある国際協力とは、どんな形なのだろうか?」と考える、超のつくマジメなお方だ。診療に際して現地の人が安心するようにと、文字が存在しない現地語のティムニ語という言葉を耳で覚えた。 「チョーピア・オワンタ?」(子どもの調子はどう?) 「ムロ・タリン・タムン?」(何歳なの?) 「ンゲ・スガワ?」(子どもの名前はなんていうの?)  カタカナにするとかわいくて面白い言葉に見えるが、実際に覚えるとなったら、文字がない=辞書がないので、もう大パニック以外の何ものでもないだろう。  また、国境なき医師団の仕事は医療行為だけではない。まったく医療が機能していない国に医療システムを確立させ、機能させるところから始まる。  たとえば、シエラレオネは13州あるから、真ん中に大きな病院をつくって、その周辺に5つの診療所をつくろう……など、建設予定地を決めるところから始まり、建設するとなれば、「病院を運営させてください」と、地域のドンにお願いに行く。地域の人たちに受け入れてもらえなければ、追い出されてしまう。  さらにシエラレオネでは、10年以上にわたる内戦で医師や看護師がみんな国外へ逃げ出してしまっていたので、現地スタッフの多くは普通の一般市民。そのため日々、基本的な教育をしていくことも必須で、看護の授業も行い、その仕事量といったら普通の医師とは比べ物にならないだろう。  本書は、リベリア軍側の残虐行為で指や四股を切断された人などの話も出てくるが、感情が落ち込むような重たい本ではない。それは、山本氏の“悲惨さを誇張して見せれば見下す人が現れてしまう”という信条にある。彼らの国にも素晴らしい歴史があり、先進国と対等の尊厳がある、と。だから、どれほど悲惨な状況でも、さらりと書かれている印象だ。また、マジメな話の間には身の回りで起こった笑い話がちりばめられているので、肩肘張らずに読むことができる。  なぜ、シエラレオネでは長生きができないのか? そして、なぜこの日本で、わたしは当たり前のように、“死なずに”今まで生きているのか。それをこの本を通して、自然と考えさせられる。 (文=上浦未来) ●やまもと・としはる 1965年宮城県仙台市生まれ。医師・医学博士・写真家・国際協力師。南アフリカにて人種差別問題に衝撃を受け、中学生の頃から数十カ国を撮影。「本当に意味のある国際協力」について考え続ける。2000年より数々の国際協力団体に所属、アフリカや中東で医療援助活動を行う。2003年より2年間、国境なき医師団・日本理事。2004年、東京都からNPO法人の認証を受け「宇宙船地球号」を創設。「持続可能な世界」の実現を目指し、世界に目を向ける人々の育成を行う。