苦笑、失笑、ニヤニヤが止まらない! 鉄道マニア垂涎の駅舎本『珍駅巡礼』の続編は“私鉄編”

chinekibook.jpg
『珍駅巡礼2 (私鉄篇)』(イカロス出版)
 「本当にバカだよな~」と思う。「なんでこうなっちゃうんだろ?」と思わずにはいられない不思議なものや、「地域活性化」の名のもとに地元の名産をモチーフにした残念な建築もある。『珍駅巡礼2 (私鉄篇)』(イカロス出版)をめくると、性格の悪いニヤニヤが止まらない。  2010年に発売された『珍駅巡礼』は、遮光器土偶が不気味に張りつく「JR五能線木造駅」の写真を堂々表紙に据え、「駅舎ヲタ」という新たなジャンルを提示したムックだ。『珍駅巡礼2 (私鉄篇)』はこの続編であり、全国津々浦々の私鉄珍駅200カ所以上を収録している。2011年5月からおよそ1年間をかけて撮影された、撮りおろしの珍駅ばかりがズラリと並ぶ様はまさに圧巻。  一口に「珍駅」といっても、その内容はさまざまだ。著者の西崎さいき氏がライフワークとして追いかける駅舎シリーズとして掲載されるのは、まるで宇宙船のような「北越急行ほくほく線 くびき駅」、くじら型の「近鉄名古屋線 近鉄富田駅」など。たま駅長で知られる「和歌山電鐵貴志川線 貴志駅」は、全国の愛猫家をうならせるネコ型の駅舎だ。また、女子高生が体育祭の時にのみ使用する「えちぜん鉄道三国芦原線 仁愛グランド前」駅、米軍関係者専用出口を備えた「京急逗子線 神武寺駅」などのレア駅、「YRP野比」「京コンピュータ前」「宮本武蔵」などの珍名駅が紹介され、コアな鉄道マニアをうならせる「珍ホーム」の解説にはマニアならずとも「へぇ」という感嘆の声を漏らしてしまうだろう。  西崎氏は、本書のまえがきで「JRはどの駅も管理・整備され、そこそこのクオリティを保っているが、私鉄は都心の駅のような近代的なものが多い反面、地方のローカル線ではいまにも壊れそうなボロボロの駅舎があったりと、驚くほどバラエティ豊かだ」と記す。JRに比べて経営規模の小さい私鉄は、全国的に厳しい経営を迫られている。ましてや、車社会がいちだんと進む地方のローカル私鉄では、客足は遠のくばかり。イベントや副業、観光需要の掘り起こしなど、あらゆる工夫によって収益を確保しなければ、路線のみならず、会社全体が存亡の危機にさらされてしまうのだ。一時期、名物のぬれ煎餅販売が話題となり経営危機を脱した銚子電鉄も先頃、経営の自主再建を断念することを発表した。  一方、たま駅長が勤務するネコ型駅舎「貴志駅」には全国から観光客が訪れ、その経済効果は10億円あまりと試算されている。かつて、貴志川線は廃線が検討されていたほど赤字路線だったものの、たま駅長とネコ型駅舎、そして地域住民の協力によってその危機を脱出。まさに、駅を起点として町おこしがなされた好例だ。この仕掛け人である和歌山電鐵小嶋光信社長は「日本一、世界一の駅舎が創れれば、むしろ再生のみならず、紀の川市や和歌山市、また和歌山県の観光の大きな資源としてプラスになる」と語った。その目論見どおり、今日も貴志駅には観光客が絶えることはない。  苦笑、失笑、ニヤニヤが止まらない本書。しかし、珍駅舎には地域を支える人々の真剣な思いが込められている。 (文=萩原雄太[かもめマシーン]) ●にしざき・さいき 1965年岡山県生まれ。81年、高校入学時から駅舎撮影を始める。国鉄赤字路線の廃止予定駅を中心に撮影を進め、98年『国鉄・JR廃止駅写真集』を自費出版。2000年、ホームページ「さいきの駅舎訪問(http://ekisya.net/)」を開設。2006年、JR全駅訪問を達成し、ホームページ上にJR全駅の情報を掲載。現在、「ワンダーJAPAN」(三才ブックス)に「珍駅訪問」を連載中。ほか各媒体に駅舎画像提供多数。

レギュラー7本! 稀代の万能ボイスアクトレス・堀江由衣の魅力を再考察

qlxzpeek.jpg
『堀江由衣 キラキラみつばちをめぐる冒険』
学研マーケティング
 今、ほっちゃんが熱い!  「何を今さら?」と言われようがなんだろうが、ほっちゃんこと堀江由衣が今、もっとも注目すべき女性声優なのだ!  正統派ヒロイン声と言うべき可憐な声質と可憐なビジュアルを持つ堀江は、1998年のデビュー後、2000年に伝説の声優ユニット「やまとなでしこ」を田村ゆかりと結成し、多くの声優ファンを魅了。ユニット活動休止後もアイドル声優のトップランナーとして、アニメの出演のみならず音楽活動も精力的に展開。幕張メッセや日本武道館などの大舞台にも立ったことがある。  そんな彼女は2013年2月時点で、レギュラーおよびメインキャラとして現在出演しているテレビアニメ本数は7本。若手のエース・花澤香菜とタイで女性声優のレギュラー出演番組数トップをひた走っていることからも、衰えを知らない彼女の勢いがうかがい知れる。入れ替わりが激しく、なおかつ若手が台頭しがちな昨今の声優シーンの中では、芸歴10年以上の中堅女性声優が、これほど多くの作品でメインキャラを演じることはなかなか珍しい。  現在、彼女は正統派アイドルキャラである『AKB0048 next stage』の6代目柏木由紀、元気なヒロイン『バトルスピリッツ ソードアイズ』のキザクラなど、デビュー当時と変わらぬ瑞々しい少女の声で我々アニメファンを楽しませてくれているが、ここ数年の彼女は名バイプレーヤーとしての評価も高まってきている。  09年『夏のあらし!』では非美少女系キャラの山崎加奈子を演じ、11年『輪るピングドラム』の夏芽真砂子ではドスのきいた声で「怖い女」の演技を披露。デビュー10周年を迎えた2008年頃からメインヒロインを演じると同時に、さまざまな脇役を演じて役者として着実にスキルアップを図ってきた。  さらに、現在放送中のアニメでは『リトルバスターズ!』の主人公・直枝理樹、『さくら荘のペットな彼女』の赤坂龍之介など、それまでほとんど聞くことのなかった少年キャラ声に挑戦。見事に声変わり前後の少年を演じ切っている。  その他、『新世界より』ではシリーズ序盤のキーパーソン・天野麗子といった重要なキャラクターも演じており、いまや彼女は主役から脇役まで。さらには男も女も。人間も動物もなんでも来いの、万能ボイスアクトレスとして引っ張りだこだ。  誰もが「この人の演技はこれ!」と認めるような強烈なキャラクター性か。はたまた、さまざまな声を使い分けて役に寄り添う演技を行うテクニックか。役者の演技を評価する基準は一つではないが、だからこそ、さまざまなキャラクターを見事に演じ切り、なおかつ「このキャラクターはこの声じゃないと!」と思わせてくれる濃い演技を披露する堀江由衣は、今後、声優業界においてますます重要な存在となっていくことだろう。  アイドルとして、そして声優として実に15年もの長期間にわたってトップを走り続けるほっちゃんから、今後も目を離すことができない!  さあ、一緒にほっちゃんにエールを送ろう! ほっちゃーん! ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!! (文=龍崎珠樹) 「週刊アニメ時評」過去記事はこちらから

“ヘルバイク”にまたがった孤高のダークヒーローが帰ってきた!『ゴーストライダー2』

nightridar.jpg
(c)2012 Columbia Pictures Industries, Inc. All Right Reserved.
 今週紹介する洋画2本は、ハリウッド映画としては中規模の予算だが、作り手とキャストの愛情がたっぷり込められファンの期待にしっかり応えてくれる快作だ(いずれも2月8日公開)。  1本目の『ムーンライズ・キングダム』は、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(01)や『ライフ・アクアティック』(05)などで壊れかけた家族や仲間たちが繰り広げる冒険や騒動を、箱庭的映像世界で描き続けるウェス・アンダーソン監督の最新作。1960年代の米東海岸ニューイングランド島で、それぞれ環境になじめず孤独を抱えていた12歳の少年サムと少女スージーが行方不明に。2人は演劇の発表会で出会ってから、1年間の文通を経て駆け落ちを決行したのだった。島で唯一の警官であるシャープ警部や、サムが所属するボーイスカウトのウォード隊長、スージーの両親らは2人を追い、引き離そうとするが……。  タイトルの意味は「月が昇る王国」。全編を通じて映像を黄色っぽく処理し、日中も月に照らし出されているかのような、ノスタルジックでおとぎ話のような雰囲気を演出。ウェス作品では初顔のブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントンら名優陣も、「スター然」とした輝きを抑えて月明かりの箱庭世界の住人になりきり、本作が映画デビューとなるサム役ジャレッド・ギルマンとスージー役カーラ・ヘイワードのキュートな2人を引き立てる。蟻の巣の水槽を観察するような監督定番のシークエンスの冒頭から、タイトルの秘密が明かされるラストまで、秘境の楽園のように美しく愛らしい本作。『小さな恋のメロディ』(71)に心ときめかせた世代からの支持も集めそうだ。  もう1本の『ゴーストライダー2』は、炎に包まれたガイコツという異色のアメコミヒーローを、ニコラス・ケイジ主演で実写映画化した『ゴーストライダー』(07)の続編。父親を死から救うため冥界の魔王と契約し、自らの中に復讐の精霊“ゴーストライダー”を宿したジョニー(ケイジ)は、怒りや憎しみに呼応して突然出てくる闇の力に苦しんでいた。人里離れて暮らしていたジョニーは、ある日訪れた僧侶に依頼され、最強の悪魔が新たに取りつく体として狙っている少年を助けることになる。  アメコミオタクを自認し、車やバイクなど乗り物が大好きなニコラス・ケイジが出演を切望したという本シリーズ。典型的なヒーローとは趣を異にするダークなキャラクターを嬉々として演じるケイジが、本作ではわれらが日本のヤマハ「VMAX」をカッ飛ばしている点もポイントだ。監督を務めたのは、『アドレナリン』シリーズのマーク・ネベルダインとブライアン・テイラーのコンビ。おどろおどろしい設定と激しいアクションの合間にシニカルな笑いも忍ばせる本作、ひねりの利いた勧善懲悪でスカッとしたいアクション映画ファンにオススメだ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『ムーンライズ・キングダム』作品情報 <http://eiga.com/movie/58019/> 『ゴーストライダー2』作品情報 <http://eiga.com/movie/57826/>

「1億円あげるのでもらってください」巧妙な誘導で現金を巻き上げる、ネットの罠に注意!

1okusagi.jpg
イメージ画像
 昔から詐欺メールはあるものの、最近のニュースを見ると、なんで引っかかったのか不思議な事件が目に付く。自分だけは詐欺に遭わないと思っている人でも意外と引っかかってしまう、巧妙な手口を紹介しよう。  2010年に「1億円あげます」とYouTubeに動画をアップした人が現れた。余命が短く、身内もいないのでもらってくれという内容だ。連絡を取るべく書き込まれたURLを開くと、有料のSNSに誘導される。1億円の受け渡しなどについてメッセージをやりとりすることで、課金が発生するという仕組みだ。この罠のポイントは、「1億円あげます」と言っている人がお金を要求していないという点。もし、「手付け金をください」とか「抵当を外すので一度入金お願いします」とか言われれば、多くの人が手を引いたはず。しかし、第三者に見えるSNSが仕掛けたためカラクリに気がつかず、課金してしまったのだ。その被害者は、2年間で約2000人。被害総額は1億9000万円で、最大1000万円支払った人もいた。ある程度課金した人が、ココまで来たら1億円をゲットしないと損をしてしまうという状況にハメ込まれたというのも、被害総額が膨らんだ理由だ。ちなみにこのパターン、「遺産をもらってほしい」とか「若い男性に投資したい」など、さまざまなバリエーションが存在する。  「ロト6の攻略法を教えます」という手口も目にすることが増えた。まずは、第1段階で入会金をせしめる。これは1万円前後と小さい金額なので、もしやと思い支払ってしまう人もいる。その後、メールや電話でコンタクトを取り、ロト6の攻略情報を伝えるのだ。そのキモは、ロト6の当せん番号は作為的に選ばれており、確実に当てられる仕組みがあるというもの。その言い分を信じさせるためのテクニックが2つある。1つは、1等は当てられないが、2等は当てられるというもの。あえてできないことを言い、もっともらしく見せている。さらに、当たった金額の半額を戻してもらうように約束させること。すると、当たることは当たるのかな? と思ってしまう人が出てくるのだ。もう1つが、過去の八百長抽選の証拠を見せる手法。もちろん、八百長などは行われていないのだが、ロト6は数百回も行われているので、こじつけられる数字を見つけられることもある。例えば、「第○回の数字を全部2倍してください。それで10回後の第○回の数字を見てください。全部同じですね?」といった具合だ。ロト6の過去の当せん番号を公開しているページを見て、すわ! と思ってしまうのだ。  心理的な誘導方法は日々進化して、多様化している。そもそも、そんなオイシイ話が転がっているわけがない、と自分を強く持っていないと、誰もがネットの罠にはまってしまう可能性がある。自分だけは平気とタカをくくらず、詐欺かも? と疑うようにしたほうが被害に遭う可能性を減らせるので、日頃から注意を怠らないようにしていただきたい。 (文=柳谷智宣)

美観地区だけじゃない──ビミョーなお楽しみスポット満載だった町・倉敷

hirumakurashiki001.jpg
後楽園も、いまやリア充のデートスポットに堕ちたのか……。
 昨年末、取材のため長らく岡山県に滞在した。近年、「大都会岡山」はネットでよく目にするスラング。しかし、大都会であるはずの岡山市の人口はわずか70万人程度。倉敷市など周辺自治体を合わせて、ようやく100万人に達する程度である。そうした岡山県の実態は、先日発売された『これでいいのか岡山県』(マイクロマガジン社)で、じっくりと記した。  今回は、そんな岡山の隠れた観光スポットを紹介することにする。  岡山県で最も多くの人を寄せる観光地といえば、倉敷市の美観地区だ。岡山市には日本三名園のひとつ後楽園があるが、観光客の数ではかなわない。2011年の統計では、倉敷美観地区が323万人なのに対して、後楽園は66万4000人、圧倒的である。  何しろ、後楽園は単なる庭園。隣には岡山城もあるが、「見たらおしまい」である。茶店や土産物屋も数える程度で、よほど庭園や城が好きな人でなければ楽しめないだろう。対して、倉敷美観地区は街並みそのものが観光地になっているわけで、白壁の街並みを周遊しながら、ゆっくりと楽しむことができる。
hirumakurashiki002.jpg
冬でもそれなりに店は混んでいる美観地区。ただ、散策している人は少なめ。
hirumakurashiki003.jpg
それなりに賑わっている倉敷駅北口の大型店舗。
岡山県では、これくらいでも賑わっているんだよ!
hirumakurashiki004.jpg
単に歩いている人だけなら、たくさんいる美観地区に通じる商店街。観光客は用がなさそうだよなあ
 ただ、人が集まっているのは美観地区だけ。起点となるJR倉敷駅と美観地区とは徒歩10分あまりの距離だが、その間にある商店街は閑散としている。一昨年には、駅の反対側に大型ショッピングモールもオープンしたが、商店街にはなんの恩恵もない。  JR倉敷駅も、併設していたホテルが廃業したこともあり、うらぶれた雰囲気に満ちている。 ■何も観光するモノがない鉄道・水島臨海鉄道  その倉敷駅の隣にあるのが、水島臨海鉄道の倉敷市駅だ。倉敷市の産業の柱となっているのが、水島コンビナート。その水島コンビナートへ物資を輸送する鉄道が、水島臨海鉄道である。倉敷市駅から出発する、この鉄道の旅客営業の終点は、三菱自工前駅。まさに工場地帯にふさわしい駅名だ(本線の終着駅は倉敷貨物ターミナル駅なのだが、一般客は乗せてくれない)。  倉敷市駅へとJR倉敷駅から、案内を見ながら飲食店が集まるビルの脇を歩いていくと、大きく「水島臨海鉄道のりば」という表示が。まさか、三階建てとは随分と儲かっているのだなあ……と近づいたら、看板が掛かっているのは自転車置き場。駅は、その裏であった。
hirumakurashiki005.jpg
水島臨海鉄道はちょっと懐かしい感じのする車両。
 気を取り直して改札をくぐると、やってきたのはディーゼルカー。平日の日中だが、乗客はそれなりにいる。この先、ワクワクするような大工場が連なる車窓の風景現れるのかと期待していたが、まったく違う。  ずーっと続くのは住宅地ばっかり。終点一つ前の水島駅を過ぎると、ようやく工場群が見えてくる……ほんのちょっとだけ。なんとも期待はずれなまま、汽車は無情にも終点・三菱自工前駅に到着したのである。
hirumakurashiki006.jpg
単に道路沿いにある駅。観光すべきスポットはまったく存在しない。
hirumakurashiki007.jpg
工場群の中にあるだけに、過去に危険物を持ち込んだ人がいるんだろうか?
 降りたのは筆者のほかは、工場に用がありそうなサラリーマンが数人だけ。駅名の通り、駅の前には三菱自動車の工場が。あとは何もない。店も民家もなく、ただただ工場があるばかり。しばらく、折り返しの汽車もやってこないので、一つ手前の水島駅まで歩くことにしたのだが、途中、人に出会ったのはわずかに3人だけ。工場は絶賛稼働しているようだが、中を見ることもできず、ただ閑散とした道路が続いているだけなのだ。
hirumakurashiki008.jpg
駅名にもなっている三菱自動車だが、特に見るべきものは何もない。
 筆者は、こうした旅行の時には、極力同じ路線を折り返すのを避けることにしている。なので、帰りは鉄道以外で別の場所に向かう手段を探してみた。きっと、バス路線はあるだろう。そう思って大きな道沿いを歩いていたら、バス停はあった。確かにそこはバス停なのだが、バスはやってこなかった。なぜなら、バス停には「バス路線廃止」のお知らせが貼り付けてあったのだ。いまやこのバス停は、児島ボート(競艇)開催日の臨時バスのためだけに使われているのだ。途方に暮れながら水島駅までたどり着いたが、やっぱり水島駅からのバスも廃止されていたのだった……。おまけに、この水島駅も駅前にコンビニすら見当たらない。遠くには工場群、周囲には住宅。こんな何もない風景を味わえる場所も、国内ではそうそうないのではなかろうか。 ■レトロというか、リアリズムすぎる町・玉島  そんな、うらぶれた風景を見せる場所が、倉敷市にはもう一カ所。水島と高梁川を挟んだ対岸にある、玉島地区がそれだ。玉島は、もとは倉敷市とは別に玉島市を形成していた江戸時代からの港町で、鉄道唱歌にも「金刀比羅宮に参るには 玉島港より汽船あり」と歌われている。しかし、対岸にもかかわらず、公共交通機関を使って玉島へたどり着くのは、一苦労だ。  まず、水島臨海鉄道で倉敷まで折り返し、JRで福山方面へ二駅目。新幹線停車駅の新倉敷駅が、玉島地区の中心となる鉄道駅だ。
hirumakurashiki009.jpg
無機質な新倉敷駅で唯一、ほっこりするのは、このダルマのみ。
 だが新倉敷駅は、地名は「倉敷市玉島爪崎」となっているものの、港町として栄えた旧市街とは随分離れている。この新倉敷駅は、新幹線が開業する1975年までは玉島駅と呼ばれていたそうだが、もう、そのことを記憶している人も少ない。  旧市街地まではバスで10分ほど。しかし、バス停の前で筆者は愕然とした。次のバスは1時間10分後! 玉島の市街地へ向かうバスは、両備バスと井笠バスカンパニーの二つ。井笠バスカンパニーは、昨年、破産による事業停止で話題となった井笠鉄道バスの受け皿だ。もはや、バスを利用するのは高校生と老人くらいになってしまい、運行すればするほど赤字がかさんでいった結果の破産……日中とはいえ、この本数の少なさに「よほど乗る人が少ないのだ」と実感した。  でも、チェーン店と住宅地しかない住宅地を散策した後、ようやくやってきたバスには、もっと驚いた。先にやって来たのは井笠バスカンパニーのバス。一歩バスに足を踏み入れて、なにかのはずみでタイムスリップしてしまったのかと、思った。
hirumakurashiki010.jpg
よくもまあ、こんなバスが現役で走っているモノだ。途中まで同じ路線を走る両備バスとは大違い
 バスの床が木でできていたのだ。しかも、ものすごく掃除が行き届いておらず、ホコリや砂が溜まって、リアリズムたっぷりのレトロ加減。座席の背面には「おっぱいぼいんぼい~ん」とか、落書きもそのまま。「田舎のバスはおんぼろ車~」という昔の流行歌が似合うほど、田舎じゃないと思うのだが……(と、そのバスに海外旅行帰りとおぼしき、大きなスーツケースを持って乗り込んできた若い女性がいたのも驚き)。  さて、そんなバスに揺られて10分ほどでたどり着いたのは玉島中央町。玉島は良寛ゆかりの名刹・円通寺で知られる町だが、近年はレトロな街並みで売り出し中だ(そう考えると、あのレトロなバスも合点がいく)。
hirumakurashiki011.jpg
歴史を感じさせる? 落書きもちゃんとある。
hirumakurashiki012.jpg
というわけで、本文に記した通り取り壊し中。
今頃、跡形もなくなっているんだろうなあ。
 その町の中心部にあるのが映画『ALWAYS三丁目の夕日』のロケ地にもなった、1948年建造の港水門である。さっそく、水門の方へ行ってみると、事前リサーチと違う姿がそこにはあった。水門の半分あまりが消滅しているのだ。聞けば、県道の改良工事で取り壊すことになったのだとか。レトロな街並みで売り出しているというのに、目玉になりそうなスポットを取り壊すとは、玉島の人々は、どこへ行こうとしているのか?
hirumakurashiki013.jpg
人の数は少ないものの、意外に営業している店は多い。
hirumakurashiki014.jpg
少なくとも、よいセンスであることは間違いない。
hirumakurashiki015.jpg
ここなら、どんな機械音痴でもパソコンお知識が増えそう。
hirumakurashiki016.jpg
なお、この地域のお土産は大手まんぢゅうではなく、藤戸まんぢゅうである。
 ……気を取り直して、ブラブラと町を散策してみるが、やっぱりウリにしているだけあって、街並みは昭和レトロな雰囲気に溢れている。人通りは少ないものの、営業中の店もけっこうあるし、どれも「昭和からやってますよ」感が半端ない。オシャレなカフェのようなものはもちろん、存在しない。  近年、都内でも商店街に無理矢理「江戸とか明治の街並みを再現しました」みたいな形で、町おこしを行っている地域もある。ところが、この商店街にはそうした無理矢理な感じがまったくない。ただ、今まで通りにやっているだけなのだ。レトロさをウリにした土産物屋があるわけでもなく、生活感があって心地よい。でも、たまたま見つけた饅頭屋で観光客も増えているのかと聞いてみると 「ぼちぼちですねえ」 と、まったく気のない返事が。  レトロ感をウリにしながら、ちとやる気がないようにも見えるこの町。でも、考えてみれば、レトロな雰囲気を「再現」して観光客を呼び込もうとしている町は、イヤらしい感じがプンプンする(都内にも、東海道の雰囲気を再現と銘打って店の看板や屋根を江戸時代風にした、ちょっと無理のある商店街が)。生活のために古いモノが取り壊されるのも、暮らしている人々がいるからこそ。こっちのほうがリアルでいいのかも。 (文=昼間たかし)

汚れてでも勝ち抜け!――ヤクザに学ぶ最強ビジネス本『ブラック・マネジメント』

blackman_01.jpg
『ブラック・マネジメント』(双葉新書)
 昨今、『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』(漆原直行/マイナビ新書)、『ビジネス書大バカ事典』(勢古浩爾/三五館)などといったビジネス本批評のビジネス本が売れている。それほどまでにビジネス本は玉石混交のジャンル。そんなビジネス書の世界に異色な書籍が登場した。  それが丸山佑介氏の著書『ブラック・マネジメント』(双葉社)である。  このタイトルからおそらくまっとうな手段をまとめたものではないことは容易に想像ができる。実際、ヤクザやアウトローたちの裏稼業のビジネス手法を取り扱った本であることは間違いない。ただし、そんな裏社会の中でも「マネジメント」に特化して使えるところを取り上げたことが、この本のこれまでにないビジネス本としての特色となっているのだ。  著者の丸山氏は元々ジャーナリストとして裏社会を取材しながら、昼間はビジネス書系の出版社で一般企業の経営者などのビジネス書の編集をしてきたという。そんな著者だからこそ、冷静な視点で表社会でも役立つブラック・マネジメントを抽出できたのだろう。  本文に散りばめられたノウハウの数々を見ると、ヤクザの取材をしながら、「将来これ、ビジネスノウハウ本に使えるな」なんて思って情報を集めていた著者のツワモノぶりも相当際立つが、それ以上にそれぐらいのしたたかさがないと今のビジネスシーンは渡っていけないのだという厳しさも垣間見ることができる。では、そのしたたかなマネジメントとはどのようなものなのだろうか? ■「命がけ」の現場から生まれる究極の手法  ヤクザの仕事って何?  そう聞かれると北野武監督作『アウトレイジ』で繰り返された「バカヤロー」と怒声を張り上げたり、腕力を振るったり拳銃を撃ちまくったりすることをイメージする人も多いだろう。もちろん暴力的な側面は否めないが、その一方で巧妙な駆け引きも彼らの重要な仕事だ。  彼らは組という鉄の掟で結ばれた組織の中で、時に一人で、時にチームを組みながらシノギ(事業)を行うプレイヤーであり、その中で自らのブランディング法やポジショニングや交渉術を磨いていく。これは一般企業で働く人とまったく変わらない。さらに、彼らのビジネスは文字通り「命がけ」(!)の現場から生まれるだけに、さまざまな技術が駆使されている。そんな気合いと本気が詰まったノウハウが役立たないわけがないと著者の丸山氏は主張する。  例えば普段何気なく築いている社内の人間関係も、ヤクザ組織の中で捉え直すと、誰を支持するかや誰を味方につけるかがどれだけ大事かということがお分かりいただけるだろう。下手な兄貴分につけば、自分の命すら危うい世界なのだ。  そんな中で彼らがどのように立ち回り、どのように取り入り、どのように人を魅了するのかを、本書では実例と綿密な取材とインタビューで仕入れた情報をビジネススキルと融合して解き明かしていく。 ■なめられないためのブランディングとは?  『ブラック・マネジメント』の序盤でページを割いているのは、ブランディングである。例えば自分がその場で下位の人間だと思われて「お前なんかに仕事を任せられない!」と言われ、仕事をうまく進められなくなってしまう、という場面に遭遇したことはないだろうか。  本文では「個人をブランドにするためのセルフプロデュース」の手法として、若くして風俗店の統括を任されることになったヤクザが、職業を明かすことが許されない中、どのように百戦錬磨の風俗嬢たちを束ねたか、という実例を挙げている。そこで彼が取った手法は、風貌を野暮ったく演出し、髪形と髭で年齢を上に見せ、敬語を使わない、と言うよりもあまり言葉を発しないキャラ演出だったという。  さすがにこれを一般企業で真似すると上司から怒られそうだが、この手法を表社会でどう活用すればいいのかをちゃんと指南しているところがこの本の特色といえるだろう。特にビジネススキルと融合したノウハウに昇華させる際に何が重要か、自分をどういったキャラクターに設定すべきか、その設定を数年後にどのように変化させていくかなど、読んでいると自分でもできそうに思えてくるから不思議なものだ。 ■「汚い手段」と言われても勝ち抜け!  ディズニースタッフにキャビンアテンダント、果てはAV女優まで。ビジネス書では他業種の実体験に基づいた成功ノウハウ本が多く刊行されている。ある道を極めた人間の成功体験であれば、そこには必ず何かしら読者にフィードバックできるような含蓄が語られているだろうと皆が期待するからだ。  しかし、ビジネスが扱う最大の要求が「金(利益)」である以上、綺麗事や遠慮は無用だ。「笑顔で人のために」「いつかあなたの努力に気付く人が」みたいな上滑りの言葉で綴られたノウハウなんて役立つはずがない。  もちろん、ブラック・マネジメントだけに違法すれすれの手法も中にはある。しかしながら、今の厳しいビジネスシーンを勝ち抜くためにはある程度手を汚すことも必要だ。 本書を読むと、今属している会社生活が安穏とした場ではなく、シノギを削る戦いの場だということに改めて気付かされるだろう。しかし、表社会でタマ(命)を取られるようなことはないから、覚悟が決まったらどんどんブラック・マネジメントを実践すべし! (文=七井恵理)

「men’s egg」の牙城を崩す!?  サワヤカ好青年雑誌「キラリ!」でまさかのハメ撮り指南

menzushi1301.jpg  メンズファッション誌のスゴイ企画を紹介するというコンセプトなのに、ファッションに関する記事は完全スルー。毎回、ウンコチンチンな話題ばかり取り上げてお贈りしているこの連載。  この間、サイゾー編集部に行ったら、編集のK女史から「ネタ切れになったら言ってくださいね(はーと)」って言われたんだけど、アレは「もうちょっとファッション的な面に触れろよな」というプレッシャーだったのかも……とビクビクしている今日この頃。でも、ファッション用語なんて、リーゼントとアイパーしか知らないもん! そんなボクがチョイスした今月のランキング。 【1月発売のメンズファッション誌・激ヤバ企画ランキング】 1位「モテる! イバれる! メンエグ的HOW TO SEX 2013」(「men’s egg」2月号) 2位「萎えない下半身をもう一度手に入れる!」(「BODiVO」Vol.2) 3位「ボクと彼女の保健室・左手でスマホ右手でオナニー」(「キラリ!」2月号) ■サワヤカ好青年が楽しむスマホ時代のエロ  『仮面ライダーフォーゼ』に主演して注目を集めたサワヤカ若手イケメン俳優・福士蒼汰くんを表紙に起用しているところからも分かるように、狂おしいまでにサワヤカなオーラをビンビンに放っている髪&服マガジン「キラリ!」。どのページを開いても「サイゾー」なんて一度も読んだことなさそうなサワヤカ好青年たちが勢揃いで、メンナク、メンエグなどのチャラ男&ギャル男系メンズ誌とはまた違った意味で、ボクとは縁遠そうな雑誌です。  記事の内容も、女の子にウケるヘアスタイルから始まり、スキンケア、香水などなど……。髪を切る時はいつも1000円カットに直行して「3センチ!」(全体的に3センチくらい切って)と注文し、牛乳石けんでワシワシ洗顔、加齢臭も気にせず放出されるがままにしているボク的には、ほとんど興味の持てそうにないものばかり。  こんなサワヤカな「キラリ!」ですが、ラスト数ページに全然サワヤカじゃない特集がギュギュッと詰まっていました。それが「ボクと彼女の保健室・左手でスマホ右手でオナニー」。タイトルからしてサワヤカ系ファッション誌にあるまじきエロス漂うものですが、内容はもっとすごい。 kirari.jpg  要は「スマホ時代におけるエロの楽しみ方」みたいな特集なんですけど、のっけから「みんなスマホを使ってハメ撮りしてるよね?」とばかりに、彼女とのハメ撮り方法を紹介しております。ハメ撮りに適したスマホの設置方法、ライティング、マンコの撮り方など、撮影面でのノウハウ紹介もさることながら、「ハメ撮りに持ち込むまでにどうやって女の子を説得するか?」という口説きテクニックが興味深い。  「コスプレしたイキオイで」(これはなんとなく分かる)、「好きな人のオカズになりたい女心を利用する」(そーゆーものか!?)くらいはまだ想定の範囲内ですけど、中には「縛っちゃえばこっちのもの」なんていう意見も。「目隠し&手首拘束されてる時に撮影されても抵抗できません」って。だ、ダメだろそれは……。  ハメ撮りのほかにも、スマホで使える出会い系アプリや、スマホで検索してすぐに見られる女優さんのオナニー写真(映画の中などでオナニーしている画像)、スマホ内にたくわえたエロ画像の隠し方、さらにスマホとはもはや関係のない電マやオナホールの紹介まで、エンジョイ・エロスな情報が盛りだくさんでした。  しかし、なんでサワヤカ系ファッション誌なのに、最後の数ページでドエロ本に変貌してしまったのか……。サワヤカ好青年も、エロの誘惑に勝てないということでしょうかね。 ■「LEON」世代はツライ……深刻なED問題  もはやメンズファッション誌じゃないので恐縮ですが、オヤジ向けファッション誌「LEON」の臨時増刊「BODiVO」がなかなか面白かった。  全体のテーマとして、「ファッションだけじゃなくて体型も気にしなきゃモテねーぞ」ということで体を鍛えたり、ダイエットしたりし、モテる体を手に入れようという雑誌なんですが、とにかく「腹筋くらい割れてなきゃ人にあらず」くらいのイキオイで、モデルから素人まで、誌面に登場するメンズはみんなシャツを全面開襟して腹を見せつけまくりで、ブヨブヨメンズを威嚇。  バーッと目次を見ても「体脂肪」「腹」「胸筋&腹筋」「ヤセる」「太らない」「脂肪太り」「ジム」……などの言葉が頻出しまくり。うーん、やっぱりおっさんになると服や髪型云々以前の問題として、中年太りと戦わないとモテないんだなぁ。  そんな「BODiVO」でボクが最も気になったのが、モテるためにこういう雑誌を読んで一生懸命にジムなんかに通っているオヤジたちを絶望の淵に追い詰める企画「萎えない下半身をもう一度手に入れる!」。  ここでいう「下半身」とはもちろん、足や腰のことではなく、ズバリ……チンコ! 「いっくら体がムキムキでも、チンポがフニャフニャじゃ意味ねーだろ!?」っていうことなのだ。……コレは男的にはツライ。中年太りとかは努力次第で解消できるかもしれないけど、インポは自分ではどーにもならない部分もあるじゃない、そうじゃない!?  特集の中では、EDや中折れをしないためのさまざまな対策を紹介している。牡蠣やウナギなどの精力を向上させる食べ物からサプリメント、さらには勃起力をUPするツボやトレーニング、そしてもちろんバイアグラまで……。ジムに通ったりマラソンした上に、チンポのケアまで考えなきゃならないなんて……「LEON」世代もタイヘンですなぁ(あんま人ごとではないが)。 bodio.jpg  ED対策の中でも印象的だったのが「SEXYヨガ」。「古代インドで生まれたヨガには男性力アップに効果のあるポーズもある」ということで紹介されているのが、勃起力が高まるポーズ、中折れを防止するポーズ、早漏を防ぐポーズ、回復力が高まるポーズ……などなど、ヨガはここまで万能なのか!?  でもね、体調の問題もあるし、チンコが勃たなくても仕方がない時もあるでしょ。別に悪いことしてるわけでもないし、EDだって女の子も許してくれるんじゃ……。そんなスイートな考えを粉々に打ち砕く、怖ろしい「女性のホンネ座談会」も掲載されています。「女のコをイカせれば、自分は射精しなくても大丈夫だというのは勘違い」「射精してもらわないと終わった気がしない」「大きさよりも硬さが重要」「硬さは男の身だしなみです(笑)」と、インポ男をズバズバとぶった切りまくり。……こんな特集読んだら、プレッシャーかかりすぎて逆にチンポが勃たなくなっちゃいそうですよ。  ジムに通って腹筋をバキバキに割り、SEXYヨガでチンポもカチンカチン。「これでオレもモテモテだ!」……と思いきや、巻末に「口臭オトコは誰からも愛されない」という特集が。うーん、モテ男への道は果てしなく遠い。 ■指先を褒めたら「手マンして」のサイン!?  そして、今月の1位は、やはり不動の王者「men’s egg」! 今月号もバカ企画ページは飛ばしまくりです。  まず、読モたちが宅飲み感覚でまったりと本音トークを繰り広げる「宅飲み!」は赤フン祭り。参加読モ全員赤フンを着用し、朝日が昇る厳寒の海岸で半裸の宅飲みを開催しています。「……というかそれ、宅飲みじゃねーだろ!」と誰もがツッコミたくなるシチュエーションですが「オレらは地球という家に住んでんだよ」とのこと。……あ、そーっすか。  そして今月の最ヤバ企画は、全21ページにわたる総力特集「モテる! イバれる! メンエグ的HOW TO SEX 2013」。マンコの構造から始まり、女の性感帯、セックスの進行マニュアル、セックストラブルQ&A、48手マスター道場など、コレさえ読めば、いつ何時セックスをすることになっても困ることがないというセックス特集の決定版!  しかし、チャラ男・ギャル男のためのファッション誌におけるセックス特集だけに、童貞気質の文化系男が読むには少々敷居の高い内容です。「ヤレメン・モテメン・ヤレないメン」という企画では、自分がヤレメンなのか、モテメンなのか、ヤレないメンなのか、はたまたキモメンなのか判定できる「キミは何メン? チェックシート」が掲載されているのですが、そのチェック項目がハイレベル過ぎ。  「エッチの経験人数が100人オーバーである」「常に香水を持ち歩いている」「眼力だけで女を濡らせる自信がある」「出会って30分以内の女をホテルや部屋に連れ込んだコトがある」……等々。ちなみに「YES」の数が5つ以下だと「ヤレないメン」、さらに0だと「キモメン」と判定されてしまうんですけど、ボクの結果は……キモメンですよ。こんな質問で5つ以上「YES」といえるヤツなんているのかよ!? menegg.jpg  続いて、メンエグ読モのヤリチン神5が監修したという「ヤレる女発見トリビア」も、ボクらにはほとんど役に立ちそうにありません。「目の前に指を差し出して、すぐに指ナメ(もしくは指かじり)してくる女はヤレる」って、そんな女、今までの人生で会ったことないですよ! 女性側からのヤリたいサインも「指先を見ながらキレイだねって褒めたら『手マンしてもらいたいの』というサイン」とのこと……そんなサイン、受信できないって。  さて、メンエグの特集といえばイケメン読モたちのぶっちゃけすぎなトークも見どころのひとつですが、今月号ではゲスト・ギャルたちのセックス座談会のほうが暴走しています。「複数プレイ好きだから、経験人数が一度に8人とか増えちゃう」「複数プレイ中にチンコの争奪戦になって友情にヒビが入った」「ちっちゃいチンコの人に限って必死に奥まで突こうとするから笑っちゃう」、しまいにゃ「潮を吹くためにSEX前に水を飲んでる」……もう、ピュアな男子中高生が読んだら3年引きこもっちゃうような衝撃的なトークが続出。  さらに彼女たちはメンモ(メンズナックルの読モ)たちともヤリまくっているようで「アイツは手マンが上手い」「チンコでイカせるのが上手い」「チンコが細くて長かった」などとトップレベルの個人情報を名指しで次々に暴露。……自分がモデルとして載っている雑誌で、こんなこと言われて、読モたちはどう思ってるんだろ。女子だけの座談会に途中乱入した、メンナクの誇る変態読モ・たあはむ(マンカス好き)も押されっぱなしで、今月はほとんど活躍できていませんでした。もっと頑張れ、たあはむ!  こんな感じで、今月もチンチンの話題ばかりになってしまいました……。ちょっと気になったのは、これだけエロバカで押している「メンナク」ですら、女子の乳首は載せていないのに、サワヤカ系ファッション誌である「キラリ!」のほうは平気でビーチク丸出しにしているということ。サワヤカな顔して、さらっとハードなことをやっている「キラリ!」。「メンナク」の牙城を崩すことはできるんでしょうか!? (文=北村ヂン)

ねたみ・そねみ・因根が渦巻く、“大都会”岡山の実態『これでいいのか岡山県』

okayamahon.jpg
『これでいいのか岡山県』
(マイクロマガジン社)
 先日、「桃太郎市」に改名するしないで注目を集めた岡山県岡山市。その騒動と軌を一にして、岡山市のみならず県全体のイメージと実像を研究し尽くした書籍がリリースされた。  『これでいいのか岡山県』(マイクロマガジン社)は、さまざまな地域のイメージと実態を描いてきた「日本の特別地域」42冊目だ。このシリーズは、さまざまな地域の一般的なイメージ(足立区はホントにヤンキーが多いのか? など)と実情を、豊富な取材や資料によって実証していくもの。2007年に出版された足立区編以来、大田区や中野区など都市圏はもちろんのこと、群馬県や広島県など地方編も続々と刊行されている。  偶然の一致とは思えないタイミングでリリースされたこの書籍は、表紙からして「こんな本を出版して大丈夫なのか?」と心配になってしまう……。  なにしろ、表紙には「ねたみ・そねみ・因根が渦巻く 岡山の実態を暴く!」の文字。確かに、岡山と聞いて思い浮かべる「桃太郎」「瀬戸大橋」といった明るいキーワードはオマケみたいなもの。「津山三十人殺し」「獄門島」……近年は作家・岩井志麻子の影響もあってか、「ぼっけえ、きょうてえ」イメージのほうが多数派だ(執筆者個人の意見です)。  表紙には「出身高校で人生が決まる!?」「四国に対しては絶対的な上から目線」とか、とんでもないキャッチも。挙げ句の果てには「空は晴れても心はくもる県民の正体」とまで。いやいやホントに岡山は、そんなにひどいところなのか?  こんな奇書を執筆したのが、本サイトでも活躍するルポライターの昼間たかし氏だ。岡山出身の昼間氏は昨年、十数年ぶりに岡山の土を踏み、現地に住み着いて長期間の取材を行った。そんな昼間氏は「住んどったらわからんかったけど、ぼっけー土地じゃったんじゃー」という(この後も岡山弁の会話が続くが、めんどくさいので標準語で記す)。  昼間氏によれば、岡山の特徴はまず「住民が岡山県を、どういった分野でも日本の上位に位置すると考えている」ことだという。 「そもそも、中国地方であるという意識は希薄で、あくまで自分たちは関西文化圏。そして、山陰、四国地方はおろか、中国地方の覇者・広島県に対しても絶対的優位にあると思っているんです。食べ物は豊富で災害も少ない、新幹線はすべて停車する。テレビも民放5局がすべて放送されているし、文化レベルも昔から高いなどが、その理由です」  さらに、昼間氏は自身の出身地を「奇人変人の巣窟」だという。その代表格として挙げるのが、歴史の教科書にも登場する、大正時代の成金が足元が暗いので札束に火をつけて明かりにする風刺画。その元ネタとなったのが、山本唯三郎という実業家だ。大正時代に財を成した山本は、「征虎軍」を結成して朝鮮半島で虎狩りを行い、自作の「征虎軍歌」や「虎来い節」を歌いながら、大いに楽しんだという。  また、江戸時代に世界で初めて空を飛んだといわれる表具師幸吉も、岡山の人物。当時の記録では、幸吉は1785(天明5)年の夏に、当時、岡山随一の繁華な地だった京橋の上から、自作の翼で飛んで大騒ぎになったという(再現実験によると、飛んだのではなく落ちたらしいが……)。  この、頂点とか、第一人者とか第一号とか、妙な目立ちたがりの行動こそが、出世する岡山県民の基本スタイルだと昼間氏は断言する。 「かつて、岡山県一帯には大和朝廷に匹敵する勢力を持つ吉備国が栄えていました。しかし、古墳時代に吉備国は大和朝廷に敗北し、衰退しました。以来、岡山県は決して一番になったことがない。それでも、内部では自分たちが一番だと信じ、ほかの地域の人を見下しています。いや、地域だけじゃない。たいていの岡山県民は、互いに“自分が一番スゴイんだ!”と思っているんです」  自分が一番だと思っているから、目立つのも当然(いや、目立とうと思っているのではなく、結果的に目立ってしまったのかも)。ゆえに、ほかの土地で成功する岡山出身者には、ナンバーワンよりもオンリーワン系の人が多いハズだと、昼間氏は語る。  そんな素晴らしい土地なら、なぜわざわざ東京に出てくる必要があったのか? こんな素朴な質問をぶつけたところ、キレられた。 「学歴差別がひどいんじゃ!」  本書の中でも記されているが、岡山県の高校は公立優位。象徴的な事例として「普通科」という言葉は、県内のエリート校を指すもの。偏差値の低い高校の普通科に通う生徒が「普通科に通っている」と言うと、「何をいよーんなら、あんごうが」とバカにされるんだとか。30歳を回って、高校時代のことを怒るなんて……と思っていたら昼間氏は続ける。 「だいたい都会で成功する岡山出身者は、岡山に対して恨みや怒りを秘めている。だからこそ、成功できる……と漠然と思っていたのですが、今回さまざまな文献を読んでいると、岡山で“郷土の偉人”とされる人があまり岡山に帰ることはなかったとか、一切、岡山には触れなかったという事例が多々ある。故郷に対する複雑な思いも、岡山出身者が成功する原動力といえるでしょう」  うーん、ますます岡山県の謎が深まるばかり。発言とは別に執筆の際には、かなり論理的思考をしたらしく、本書では岡山県独特の複雑な県民性もきちんと分析されている。  この後、火がついたのか、とてもここでは書けないほど岡山県に対する批判を語りまくった昼間氏。最後に、一つくらい自慢することはないのか? と聞いたところ、 「食べ物がうまいんじゃ!」 と、語り出した。 「本の中でも記していますが、ラーメンは岡山県が最もおいしい。東京では半ば当たり前になった、ドヤ顔で腕まくりしたような店主のいる店なんて皆無なのが素晴らしい。そして、岡山の食の至高は岡山ずしです。どんなに高級な材料を揃えたとしても、岡山県産の食材でなくては、岡山ずしの味にならない。これよりうまいものを、私は食べたことがありません」  この後、岡山ずしの材料として「雄町の米」だのなんだのを、延々と語り続けた昼間氏。珍妙な岡山県に住む人々と土地の実情が、本書では次々と明らかにされている。  いずれにせよ、酸いも甘いも知る出身者ならではの容赦なき記述。“大都会”岡山の実態を暴く一冊なのは間違いない。

コミケがなくなっても、戻れる場はあった──100回を迎えた同人誌即売会・MGMの意義

R0035598.jpg  1月27日、コミックマーケットに次ぐ歴史を持つ同人誌即売会・MGM(まんが ギャラリー&マーケット)が、100回目の開催を迎えた。  創作系漫画を主体とするMGMは、コミックマーケットの創設母体ともなった同人サークル「迷宮」の主催で、1980年以来、年2回のペースで開催されてきた。ところが07年、長年会場として利用してきた川崎市中小企業婦人会館が閉館し、開催が中断。その後、11年に主催者代表の亜庭じゅん氏の死去を経て、12年1月にMGM98が開催。MGM99、MGM99.5を経て、いよいよ100回目の開催へと至った。  この間、MGM99の事後集会では、「迷宮」の原田央男氏が「迷宮」との関わりを外すことを宣言。そして、今回の開催を一区切りとすることがパンフレット及び事後集会で伝えられた。  今回の事後集会で、故・亜庭氏夫人の松田道子さんは 「1年前に“やるんだったら100回までやろう”となって、みんなのおかげでここまで来ました。MGMは描いている人を信じてきた。これからも、みなさんなりのMGMを続けてください」 と挨拶し、会場には大きな拍手が巻き起こった。  今回は大きな一区切りだが、MGMは終了ではない。日時未定だが、MGM2-01として新たなスタートを切る予定だ。  さて、ここで記しておかなければならないのは、創作系漫画同人誌を主体としたMGMは、単に老舗という枠を超えた即売会ということである。MGMは規模こそ小さいものの、明確な理念を持った運動体であった。そして、MGMはコミックマーケットが拡大する中で保持しえない部分を受け止める即売会でもあった。  いまや世界的に知られるイベントになったコミックマーケットの誕生に至る経緯は、原田氏が上梓した『コミックマーケット創世記』(霜月たかなか名義で執筆/朝日新書)に詳しい。しかし、この本ではコミックマーケットの初代代表であった原田氏が、79年の夏に代表を辞任した後の記述は少ない。  この時期にアニメブームなどの影響で、ファン同人誌や二次創作が急増したことや、その後のコミックマーケットの分裂騒動など断片的な情報は、コミックマーケット準備会が発行した『コミックマーケット30’sファイル──1975-2005』(コミックマーケット30周年を記念したコミケットスペシャル4の際に発行)などにも記載されている。  しかし、当時の同人誌即売会の状況を記した文献はほとんどない。今回、MGM100のパンフレットでは、81年春、コミックマーケット17の際の亜庭氏の発言、高宮成河氏(コミックマーケット創成のメンバーであると共に「漫金超」編集長としても知られる)が寄せた文章「あの頃……雑感」を掲載し、コミックマーケットの拡大とMGMの立ち上げは、切り離せないものだったことを、(おそらくは初めて)記している。  この文章の中で、高宮氏は亜庭氏がMGMで目指したものは、コミックマーケットを始めた頃の原点に戻ることだったと記している。70年代末から80年代初頭、ファン同人誌や二次創作(さらには、ロリコン同人誌)が増加して、コミックマーケットは規模を拡大していった。そして、そこには分裂騒動に見られるように組織が崩壊する危惧もつきまとっていた。その中でMGMが果たした役割は、高宮氏は「少なくともコミケットが仮に潰れたとしても、別に創作同人誌即売会が存続していれば、その部分だけでも救い出せることになるはずだった」と言及し、その上で「米やんはMGMはコミケットの保険だと言ってたよ」との、ベルさん(故・米澤嘉博氏夫人)の言葉を紹介する。  つまり、開催規模はどんどんかけ離れたものになっていったが、背景にいつでも戻ることのできる理念を守る場があることが、規模を拡大していくコミックマーケットに安心感を与えていたのだと見ることができる。  と、論評を交えて紹介してみたが、高宮氏の次に記された原田氏の「まんが同人誌と“日常”」を含め、同人誌即売会を創成した人々による「同人誌即売会とは何か」という問いは、重い(適当な言葉が見つからないが、参加者にとっても、趣味の本を買うため、売るための先のなにかがあるはずだ)。今や、同人誌即売会は日本社会の中で、ごく当たり前の存在になりつつある。この日常となった「場」が、これからどのようになっていくのか。それを考えるには、もっともっと、このような歴史の当事者たちの言葉を集めなくてはならないのではないかと、率直に感じる。 (取材・文=昼間たかし) 

コミケがなくなっても、戻れる場はあった──100回を迎えた同人誌即売会・MGMの意義

R0035598.jpg  1月27日、コミックマーケットに次ぐ歴史を持つ同人誌即売会・MGM(まんが ギャラリー&マーケット)が、100回目の開催を迎えた。  創作系漫画を主体とするMGMは、コミックマーケットの創設母体ともなった同人サークル「迷宮」の主催で、1980年以来、年2回のペースで開催されてきた。ところが07年、長年会場として利用してきた川崎市中小企業婦人会館が閉館し、開催が中断。その後、11年に主催者代表の亜庭じゅん氏の死去を経て、12年1月にMGM98が開催。MGM99、MGM99.5を経て、いよいよ100回目の開催へと至った。  この間、MGM99の事後集会では、「迷宮」の原田央男氏が「迷宮」との関わりを外すことを宣言。そして、今回の開催を一区切りとすることがパンフレット及び事後集会で伝えられた。  今回の事後集会で、故・亜庭氏夫人の松田道子さんは 「1年前に“やるんだったら100回までやろう”となって、みんなのおかげでここまで来ました。MGMは描いている人を信じてきた。これからも、みなさんなりのMGMを続けてください」 と挨拶し、会場には大きな拍手が巻き起こった。  今回は大きな一区切りだが、MGMは終了ではない。日時未定だが、MGM2-01として新たなスタートを切る予定だ。  さて、ここで記しておかなければならないのは、創作系漫画同人誌を主体としたMGMは、単に老舗という枠を超えた即売会ということである。MGMは規模こそ小さいものの、明確な理念を持った運動体であった。そして、MGMはコミックマーケットが拡大する中で保持しえない部分を受け止める即売会でもあった。  いまや世界的に知られるイベントになったコミックマーケットの誕生に至る経緯は、原田氏が上梓した『コミックマーケット創世記』(霜月たかなか名義で執筆/朝日新書)に詳しい。しかし、この本ではコミックマーケットの初代代表であった原田氏が、79年の夏に代表を辞任した後の記述は少ない。  この時期にアニメブームなどの影響で、ファン同人誌や二次創作が急増したことや、その後のコミックマーケットの分裂騒動など断片的な情報は、コミックマーケット準備会が発行した『コミックマーケット30’sファイル──1975-2005』(コミックマーケット30周年を記念したコミケットスペシャル4の際に発行)などにも記載されている。  しかし、当時の同人誌即売会の状況を記した文献はほとんどない。今回、MGM100のパンフレットでは、81年春、コミックマーケット17の際の亜庭氏の発言、高宮成河氏(コミックマーケット創成のメンバーであると共に「漫金超」編集長としても知られる)が寄せた文章「あの頃……雑感」を掲載し、コミックマーケットの拡大とMGMの立ち上げは、切り離せないものだったことを、(おそらくは初めて)記している。  この文章の中で、高宮氏は亜庭氏がMGMで目指したものは、コミックマーケットを始めた頃の原点に戻ることだったと記している。70年代末から80年代初頭、ファン同人誌や二次創作(さらには、ロリコン同人誌)が増加して、コミックマーケットは規模を拡大していった。そして、そこには分裂騒動に見られるように組織が崩壊する危惧もつきまとっていた。その中でMGMが果たした役割は、高宮氏は「少なくともコミケットが仮に潰れたとしても、別に創作同人誌即売会が存続していれば、その部分だけでも救い出せることになるはずだった」と言及し、その上で「米やんはMGMはコミケットの保険だと言ってたよ」との、ベルさん(故・米澤嘉博氏夫人)の言葉を紹介する。  つまり、開催規模はどんどんかけ離れたものになっていったが、背景にいつでも戻ることのできる理念を守る場があることが、規模を拡大していくコミックマーケットに安心感を与えていたのだと見ることができる。  と、論評を交えて紹介してみたが、高宮氏の次に記された原田氏の「まんが同人誌と“日常”」を含め、同人誌即売会を創成した人々による「同人誌即売会とは何か」という問いは、重い(適当な言葉が見つからないが、参加者にとっても、趣味の本を買うため、売るための先のなにかがあるはずだ)。今や、同人誌即売会は日本社会の中で、ごく当たり前の存在になりつつある。この日常となった「場」が、これからどのようになっていくのか。それを考えるには、もっともっと、このような歴史の当事者たちの言葉を集めなくてはならないのではないかと、率直に感じる。 (取材・文=昼間たかし)