大友克洋最新作『ショート・ピース』製作発表会見レポート 大友アニメの現在地

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 3月22日、東京ビッグサイトで開催されていた東京国際アニメフェア会場内にて、大友克洋の最新アニメ『ショート・ピース』製作発表会見が行われた。  『ショート・ピース』は、7月20日に公開が決まった新作オムニバスアニメーション映画。森本晃司による「オープニングアニメーション」のほか、密度の高い短編が4作集まっている。大友克洋が脚本と監督を手がけた『火要鎮』0(ひのようじん)、造形作家・岸啓介のストーリー原案を森田修平が脚本化、監督した『九十九』(つくも)、石井克人の原案脚本を安藤裕章が監督しキャラクターデザイン原案に貞本義行を招いた『GAMBO』、そして大友克洋の原作漫画をアニメ化、田中達之がキャラクターをデザインしカトキハジメが脚本化、監督した『武器よさらば』。テーマは「日本」で統一されており、そこに和の意匠を操る岸啓介が参加した理由も求められそうだ。  この会見では、上記スタッフのうち貞本氏を除く8名が登壇。作品に込めた思いなどを語った。  冒頭、スピーチに立った株式会社バンダイナムコゲームスの浅沼誠上席執行役員は「決まり切ったフォーマットをやるのではなく、さまざまなクリエーターさんと仕事をしたいというところから始まった。4人のクリエーターの方々を中心に、我々の住む日本を舞台にいろいろな作品ができたら面白いんじゃないかと」「海外展開については海外向けにするのではなく、日本人がおもしろいと思うものをつくって持っていこうと思っていた」と今回の企画の発端を説明。 「今回はオムニバス4本ということで、少し変わった試みをしています。『火要鎮』(大友監督)の演出を『GAMBO』の監督の安藤裕章さんが担当、『九十九』の監督の森田修平さんは『武器よさらば』(カトキ監督)の演出と、4つの作品のメインスタッフが絡み合っている。そういった中から、新しいテーマが見えるんじゃないかとも考えています」 と、一本芯の通ったオムニバス作品であることを訴えた。  続いて、大友克洋監督を筆頭に、クリエーター陣が登壇。『九十九』のストーリー原案とコンセプトデザインを担当した岸啓介が「立体造形をメインにやっているので、本格的なアニメの仕事は今回が初めてだった」と自己紹介をするなど挨拶した後、各作品についての質疑応答に入った。
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森本晃司氏
【各作品についての談話】 『火要鎮』 「10分ぐらいの短編なので、やるなら時代劇かなと。着物の柄を貼りこむのは難しいことではないんですが、みんなやっていなかったので、ぜひやってみたかった。また火事の表現を古い絵巻もののようなテイストでやってみたかった。着物については手描きのものを貼りこんでいるので、それはそれで大変だった」(大友) 『オープニングアニメーション』 「時代劇やSFがすでにあったので現代劇で日本を表現したいと。3.11以降考えることも多く、扉を開けてその向こうに新しい発展があるものができるようになればいいと思っていました」(森本) 『九十九』 「何かモノにまつわるものをモチーフにしたいという最初の森田さんとの打ち合わせから浮かんだキーワードが『もったいない』だった。使えるものはぞんざいに扱わずに大事にしましょうという考えだと思うんですが、裏を返すと、使えるから使っているという、ある種の合理主義に基づいている。使えるものは使われているからこそ、いつかは使えないものになる。モノとしての役割を終えてしまったものに対する慈しみの心は合理的ではないですが日本的だと思い、そういったことをテーマに作っています」(岸) 「モノとしての存在を出したいと思っていたところ、和紙が眼に入った。そういうものを採り入れつつ、コトッと音が鳴りそうな絵作りにしました」(森田) 『GAMBO』 「白熊と鬼が本気で戦ったらどっちが強いのかな、というのが見たかった。見たいでしょ!? それが動きの中でどうなるか、心配ではあったんですが」(石井) 「石井さんの描かれていた最初の白熊と鬼のキャラクターデザインのインパクトがとにかく強かった。2つの異形が取っ組み合いの戦いをする。外からの異形と内から来る異形の戦いで話をまとめられたらと」(安藤) 「貞本さんは、なかなか描いてくれなくて大変だった(笑)」(石井) 「結果的に、後ろに張り付いて描いていただく感じになったんですが(笑)。貞本さんの事務所でカンヅメになったぶんだけ細かくできた。極力記号的な省略はしないで、ナマからデザインに落としこんでキャラクターを作っていただいた」(安藤) 『武器よさらば』 「責任重大という感じですね。僕ら40代半ば以上は当時、ものすごいショックを受けたと思うんです。特にメカをやっている人は。それを僕がやることになるとは思ってもみなかったんですが、どうやってみなさんに伝えたらよいか。でもスタッフと原作がいいから、いいものになるだろうと思って臨みました」(カトキ) 「僕も高校の時にこの作品に出会ったんですが、とにかく衝撃で。すべてが好きなんですね。ほかの作品でキャラクターデザインのお仕事をする場合は、こういうふうにアレンジしたらもっと膨らむんじゃないかという発想で自分の味が出てくるんですが、今回の場合は原作が偉大すぎるので『こうすれば大友さんぽくなるよ』という描き方のコツをメモとして描いたくらいの意識ですね」(田中) 「短編に関しては、誰かやりたい人がいれば、ぜひやってほしいと思っていた。カトキくんに頼んだのは、正解だったんじゃないかと思っています」(大友)
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大友克洋氏
 終盤の質疑応答では大友監督がさまざまな質問に答えた。 ――注目しているクリエーターは? 「たくさんいる。イラストや漫画のように、アニメーションにも新しい人材が入ってきて活気づけてほしいけれど、今はアニメーションは厳しいところがある」 ――『ショート・ピース』と同じ日にスタジオジブリ作品も公開されるが、意識しているか? 「ジブリにはかなわないですからね(苦笑)。僕らは僕らで頑張るしかないかなと」 ――日本が舞台というキーコンセプトは、どこから浮上したのか? 震災との関連性は? 「この企画は震災の前にあったので、実はあまり関係がない。『スチームボーイ』でイギリスを舞台にしていて、短編では日本をやりたいという話をしていた。クールジャパンなど日本を見直そうという話があったので、くくりが大きいですが、日本がテーマになるんじゃないかとプロデューサーの土屋康昌さんと話をして。本当は過去があって、江戸時代、そのさらに昔のファンタジックなもの、未来がある。現代は途中で立ち消えてしまいましたが、日本を過去から未来まで含め、なるべく新しい、若いいろいろなアニメーション作家に作ってもらおうというのがコンセプトです」 ――なぜいま日本なのか、その思いは? 「今でなくともいいんですけどね。僕らはずっと日本なんですが。後から少しずつ震災に関する思いが入ることはあるんですが、そんなに深く考えているわけではありません」 ――今後、長編作品の可能性は? 「震災以降、劇場用アニメーションの資金集めに厳しい部分があり、なかなか冒険できない時期がありまして。実写でも企画が通らず、映画の上映が延びてしまったり。それが今やっと少しずつ回復しつつあり、企画は以前から出していましたので、今から少しずつ動きだすようになるんじゃないかなと。僕も期待しています」 ――総括のメッセージをひとこと。 「いろいろな思いを持った若い作家たちが、日本について自分たちが思っていること、SFだったり時代劇であったり、それらを新しい形で出せるという素晴らしい機会をいただき、みんな非常に一生懸命作りましたので。みなさんに見ていただきたいと思います」  大友監督の口から何度か「厳しい」という言葉が出たが、そういった状況から振り絞られたものがこの『ショート・ピース』だとすると、よくないときにもどれだけの質のものを出せるのか、日本のアニメ力が問われる作品になりそうだ。  新しいものを生み出さなければ、という気概は確かに伝わってきた。その先にあるかもしれない長編のプロローグとしても、目撃しておく必要があるのかもしれない。 (取材、文、写真=後藤勝)

不可解な“原作改変”繰り返し、視聴者を挑発し続けた『さくら荘のペットな彼女』いよいよ最終話

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『さくら荘のペットな彼女』アニメ公式サイト
 人気ライトノベル原作のアニメ『さくら荘のペットな彼女』が、最終話を目前にして炎上的な意味で熱く燃えている。  先日放送されたばかりの第23話「卒業式」において、原作では描写されていた国歌斉唱シーンおよび式次第から「国歌斉唱」の項目が削除され、日本の学校なら本来掲げられて然るべきである日本国旗が描かれていなかったせいだ。  この事実に、ネット上では大炎上。その一方で「過剰反応じゃね?」と疑問を呈する声もあり、賛否両論が渦巻いている。  問題児の巣窟として悪妙高い学生寮「さくら荘」に集う高校生たちの、夢に向かって悪戦苦闘する姿や淡い恋愛模様が多くの視聴者の心を捉えた『さくら荘~』だが、本作の炎上事件は今回が初ではない。  昨年放送された第6話「雨あがりの青」において、風邪でダウンしたヒロインの一人・青山七海に三鷹仁が韓国の煮込みスープ・サムゲタンを作ってあげたシーンが登場。原作では「シンプルなお粥」と表現されていたはずだが、なぜか韓国料理が不自然な形で出現したことでネットは炎上。  時を同じくして、続々と芸能人がアメブロでサムゲタンについてのエントリーを投下したことから、「これはステマでは?」との疑惑が噴出した。  こういったアニメファンの声に対して、第6話を手がけた脚本家・伊藤美智子はツイッター上で彼らを挑発するような言動を繰り返しアカウントを削除。また、自称アニメ制作会社・サンライズの社員だという人物がツイッター上で「かつお出汁香るシンプルなお粥を美味そうに描くのは至難の業です」とアニメにおけるお粥表現の難しさを訴えるなど、アニメ業界を巻き込んで炎上は拡大した。  さらに6話の演出・絵コンテを手掛けた監督・シリーズ構成のいしづかあつこの名前が放送後に公式サイトから削除されるという事態に至り、制作側からは「作品の制作、演出に対する背景や意図については通常、お応えしておりません」(メディアファクトリー)、「韓国推しの意図は一切ございません」(アニマックス)といった公式コメントが発表された。  このような「前科」があるだけに、他のアニメ以上に厳しい視線にさらされ続けていた『さくら荘~』だが、最後の最後でまたも「やらかしてしまった」わけである(ちなみに今回の絵コンテも、やはりいしづかである)。  今回はまだ関係各所のコメントなどは発表されてはいないが、これら一連の騒動のそもそもの原因は、いわゆる原作改変そのものではないだろう。  多くのアニメファンが憤り、そして制作側への不満を露わにしているのは、「筋の通らない」原作改変が行われているためだ。  映像化する際に原作の設定やストーリーをアレンジする原作改変はこれまでもしばしば見られていた現象であり、例えば反社会的なシーン(未成年の喫煙や飲酒、性行為など)やNHKなどの公共放送で特定の商標を取り扱うシーン(最近の例ではアニメ『バクマン。』の出版社名や雑誌名の改変など)、原作が未完結の作品であるためキャラクターの設定を変更する(2003年版のアニメ『鋼の錬金術師』など)といった例がある。  確かに今までも原作ファンを中心に、こういった原作改変に対する不満が制作側に寄せられることはあったが、メディアの違いや放送時間の都合など、視聴者側も事情を察すれば納得できるものが大半である。  だが『さくら荘~』の場合は、「サムゲタン」にせよ「卒業式」にせよ改変することのメリットや意味合いが不明瞭であり、なおかつツイッターでの発言などから制作側がアニメファン、視聴者を馬鹿にしている感が透けて見える点が問題なのだ。  原作改変はどこまでなら許されるのか。また、制作者は視聴者に対してどう向き合うべきなのか。作品そのものの評価とはまったく異なる次元で、アニメ業界に多くの課題と問題を提示した『さくら荘~』も残すところあと1話。最後まで(いろいろな意味で)見逃すことはできない。  願わくば少しでもななみんが幸せになってくれますように! (文=龍崎珠樹) 「週刊アニメ時評」過去記事はこちらから

五代目・三遊亭円楽に捧げる、弟子たちからのラブレター『落語家 五代目円楽一門会生態録二〇一三』

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『落語家 五代目円楽一門会生態録
二〇一三』(ワイズ出版)
 2009年に肺がんのために亡くなった五代目・三遊亭円楽の弟子や孫弟子たちが所属する落語家集団「五代目円楽一門会」。「笑点」でお馴染みの三遊亭好楽や六代目三遊亭円楽(元三遊亭楽太郎)、末高斗夢としてタレント活動から一転、落語の世界に飛び込んだ三遊亭こうもりなどが知られているだろう。この一門会に所属するすべての落語家に迫ったインタビュー集『落語家 五代目円楽一門会生態録二〇一三』(ワイズ出版)が刊行された。  総勢44名の落語家たちに取材を行ったのは、今月真打に昇進したばかりの三遊亭きつつき改め四代目・三遊亭萬橘。兄弟子や弟弟子などの立場を超え、落語家としての本音を語り合っている。  一般的に、落語家の生態というのはほとんど知られていない。日本の伝統芸能を守る存在でありながら、同時に「毎度ばかばかしいお笑いを一席」と、集まった人々の心をつかみ笑いを勝ち得なければならない。そんな落語家たちが、自らの半生や哲学を語るというその内容も十二分に面白いが、本書をより味わい深くさせているのが、彼らの師匠にあたる五代目三遊亭円楽に対するそれぞれの熱い思い入れだ。  五代目円楽は、一昨年亡くなった立川談志や古今亭志ん朝らとともに、昭和~平成の落語界を牽引した存在である。しかし、彼をはじめとする円楽一門は落語協会や落語芸術協会に所属する落語家と異なり、鈴本演芸場、新宿末広亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場といった寄席で定席を持つことができない。1978年の分裂騒動で三遊亭圓生・円楽の師弟は落語協会を脱退する。これに対する制裁として、円楽一門会は寄席という活躍の場を失った。  五代目円楽は1985年から89年まで、寄席「若竹」を自ら経営した。最後には数億円もの借金を背負い、「笑点」で散々いじられ倒していたが、五代目が私財を投じ借金を背負ってまで寄席を開業したのは、自分たちの場所をつくるためだった。また、東京の寄席に出られないことから、地方での落語会を精力的に行ってきた円楽一門会。今では地方の落語会も当たり前のものとなったが、この状況は彼なしでは考えられないだろう。  普通の落語家が味わう以上の辛酸を舐めた五代目。その背中をずっと追い続けてきた弟子たちからあふれ出る言葉の数々は趣深い。 「大将(五代目)の凄さ? あれは人間じゃないよ。普通の人ではとにかくない(中略)あんだけわがままで、好き勝手で、気分屋でいながら、勤勉家で、あんなに温かくて、懐の深い人は最初で最後だろうね」(三遊亭貴楽) 「喜怒哀楽の激しい方で、きつくも叱るけど、『浜野矩随』の若狭屋甚兵衛とほぼ同じ。思いやりが、すごく優しくて」(三遊亭楽之介) 「どっかのインタビューで言ったけど、円楽と言うブラックホールの中にどんどん吸い込まれてたんだね。落語と言うブラックホールん中に」(六代目三遊亭円楽)  一般的には笑点の司会者としてニコニコしたイメージが印象に残っている五代目円楽。だが、彼は名実ともに間違いなく落語界を牽引した存在であり、後世にまで語り継がれるべき人物だ。本書は、弟子・孫弟子たちによって形作られる五代目円楽一門会のすべてを記した作品であると同時に、彼らによって綴られた五代目円楽へのラブレターなのだ。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

ぽっちゃり向けファッション誌「la farfa」に訊く、ぽっちゃりとデブの境界線

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仕掛け人である今晴美さん(左)と読者モデルの天貝旭花さん(右)。
日テレの水卜麻美アナや、渡辺直美、柳原可奈子、アジアン・馬場園梓といった女芸人など、このところ“ぽっちゃり女子”株が急上昇している。その人気を裏付けるかのように、今月21日、日本初のぽっちゃりさん向けファッション誌「la farfa」(ラ・ファーファ/ぶんか社刊)が創刊される。創刊号のイメージモデルを渡辺直美が務めるとあって発売前から話題騒然中の同誌だが、ひと昔前なら、太った女性が好きな男性は「デブ専」なんて言われる少数派だった。それが一体なぜ、今“ぽっちゃり”なのか?   「la farfa」の仕掛け人である今晴美さんによると、そもそもぽっちゃり向けのファッション誌を作ろうという話が出始めたのは、3年ほど前のこと。今さん自身、ぽっちゃり体形で、自社のファッション誌を見てもあまり着られる服がないと不満を抱いていたという。 「『だったら、自分でやればいいじゃん!』と周りにたきつけられて……(笑)。ニッセンのsmiLeLand(http://www.smileland.jp/)や、AS KNOW AS、Hakkaなど、今ぽっちゃりさん向けのおしゃれな服がすごく増えてきているので、この市場にポテンシャルはあるというのは、けっこう確信がありましたね。『やるなら一番最初』といううちの社風もあるんですが、動きだしてからは早かったです」  数々のファッション誌を手掛けるぶんか社といえど、ぽっちゃりは未知の領域。普通のファッション誌ならモデルがオシャレな服を着こなすだけでページが成立するが、ぽっちゃりの場合は“なぜこのコーデなのか”といったプラスαが必要になる。そのほかにも、いろいろと苦労があったようで……。 「まず、ぽっちゃり体形のモデルさんというのがいなかったので、イチから探さなければならないというのが大変でした。それと、普通のファッション誌だと、ぽっちゃりって、おなかやお尻、ふくらはぎといった部分をうまく隠すというのを先に考えちゃうんですよ。でも、私はそれがすごい嫌で。別に出せばいいじゃんって思うんですよ。結局、全体のバランスですからね。そこにネガティブにならないでポジティブに見せていくというのは、スタイリストやカメラマンにとってこれまでと180度違う仕事。そこが面白いところでもあり、大変なところでもありました」  ぽっちゃりさんと一言で言っても、その認識は人それぞれ。「la farfa」が定義する“ぽっちゃり”とは一体なんなのだろうか?  「服のサイズとしてはLL~5Lを載せてますが、あまり明確な定義はないですね。結局、本人がどう思うかでしかないですから。これは私の個人的な見解なんですが、健康そうなのがぽっちゃりで、不健康そうなのがデブじゃないかと。自分の体形を気にしすぎて『腹の肉が……』と縮こまっちゃうのは、人としてあまり健康的ではないですよね? 一方、ぽっちゃりって『腕肉ですが、何か?』って言えちゃう。ぽっちゃり体形の見せ方を分かってるんです」  確かに、ぽっちゃりの人は性格的に明るくて、一緒にいて楽しい人が多い気がする。では、今さんから見て、ぽっちゃりの魅力とはどんなところなのだろうか? 「懐の大きさではないでしょうか。自分の体形などコンプレックスを乗り越えてきている人が多いからこそ、心も丸いというか。なんでも受け止めてくれる土壌を持っていますね。私もよく社内で『お母さん』って言われてます(笑)。あと、おいしいものが好きだから、たぶん料理もうまい」
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スリーサイズは上から130cm、130cm、136cm。
 先日行われた3月16日に「la farfa ×smiLeLand SS Collection」へ出演する読者モデルオーディションには約250人の応募があり、最終的に12名が選ばれた。その中で編集部イチオシなのが、天貝旭花さん(26歳)。確かにサイズは大きいが、笑顔がかわいらしい、ふんわりとした雰囲気の女性だ。  ぽっちゃりでよかったなと思うことは? 「友達に触り心地が気持ちいいと言われたり、暖を取られたりしますね。あとは、もともと顔がキツめなので、お肉がついていると笑顔がいいねって言われます」  ぶっちゃけ、モテるのだろうか? 「……彼氏はいます。彼はぽっちゃり好きです。街で声かけられることも、けっこうありますね…(照)。『お酒飲み行こう』とか」  ぽっちゃりが個性として社会的にも認められるように頑張りたいと、今後の抱負を語る天貝さん。日本全体が元気がない今、ぽっちゃりさんの安定感と癒やしが求められているのかもしれない。 (撮影=名鹿祥史)

KARAに気を使いすぎ!? ウワサの有料KARAアニメをレビューしてみた

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『KARA THE ANIMATION』
 『ラブライブ!』『AKB0048』『アイカツ!』『プリティーリズム・ディアマイフューチャー』などなど、リアルワールド同様にアイドル戦国時代真っ最中のアニメ業界。各作品とも独自のキャラとストーリーでファンを魅了している中、3月1日より腰振りダンスで一世を風靡したK-POPアイドルグループ・KARAを題材にしたアニメ『KARA THE ANIMATION』がひっそりとスタートしたのをご存じでしょうか?    クイクイ腰を振りまくるダンスで日本中を席巻し、今年は1月6日にK-POPガールズグループとしては初の単独東京ドーム公演を成功させたとかさせないとか。そんなノリノリでイケイケでゴーゴーなKARAがアニメになったっつーわけで、当然のごとく多くのKARAファンはチェックしているはずの本作。「乗るしかない! このビッグウェーブに!」ということで、早速プレミアム放送中のスマホ向け放送局「NOTTV」にアクセス! 視聴料が500円かかるということですが、マ、この原稿を書けば全然元は取れるかってことでポチってみました。  「アニメーションだからできる、普段と違ったKARAが5つの物語で大活躍!」(公式サイトより)という本作は、KARAメンバー5人をそれぞれ主人公に据えた5本のオムニバス作品で、なんとメンバーがそれぞれ本人キャラクターを演じているそうです。これはKARAファンならうれしい配役と思われますが、本編は終始韓国語で展開するので今一つ演技の上手下手が分からないのが残念。とはいえ、韓国語もペラッペラなK-POPファンの皆様なら、これは無問題でしょう。  で、その中身なんですが、どうやら各メンバーが爆発物処理チームに所属する特殊警察官やら宇宙飛行士やらセクシー消防隊員になって大活躍するアクションものの様子。とりあえず誰が誰なのか、見分けがつかないので「理想的なボディーラインと美しいロングヘアを誇る」(公式サイトのキャッチより)ハラさんをご指名!(こう書くと、なんかいかがわしいお店みたいですね)  モナコ公国第2王子の身辺警護の任についたSPのハラさんは、彼と共に王立銀行に向かいますが、突然テロリストが乱入し、ハラさんや王子たちは追い詰められてしまいます。そこで明らかになる衝撃の事実! そして後半は『逮捕しちゃうぞ』顔負けのパトカーチェイス! と、20分強の短編ながら、なかなかエキサイティングな内容で見応えはあります。  ポイントはセクシーシーンでの「鼻血ブー」描写や、シリアスな展開の中で突然コメディタッチな掛け合い。男顔負けのアクションに惚れた他の王子たちから求婚されて、「もう王子はこりごりよー!」とか叫びながら駆けだすシーンで止め絵! というラストシーンなど、昔懐かしのアニメ演出が頻出する点でしょうか。全体的に「よく日本のアニメを研究しているなあ」といったところで、びっくりしちゃいました。  ただ気になったのは、KARAメンバー以外のキャラがいわゆるモブ顔デザインなのに対して、KARAメンバーはCGバリバリのハンコ絵モデリングという点です。パッと見て髪型以外に見分けがつかないお人形さんみたいなKARAメンバーは、確かに地味な顔つきの他のキャラよりもかわいいし派手に見えるんだけど、なんか違和感があるというか作りものくさいというか……。ある意味、リアルっちゃあリアルなんでしょうけど、もう少しなんとかならんかったんでしょうか?  それでも潤沢な予算で実現した安定のアクション作画のおかげで、20分見ていて飽きないのはプラスポイントでしょう。ただ、これも“割と見られるじゃん”というレベルなんですけど。  全体的に元ネタのKARAに気を使っている感がバリバリの無難な作りになっていて、ツッコミ待ちアニメにしてはちょっとばかりインパクトが弱く、一本のアニメ作品として見るには面白みがない、という芸能人ものアニメにありがちな「誰得アニメ」になってしまった感がありますが、百聞は一見にしかず。今後は劇場公開される計画があるそうなので、いざ全国で公開された日には、日本各地の映画館にKARAファンが大集結するかもしれませんね。いやー、楽しみですねー。 (文=龍崎珠樹) 「週刊アニメ時評」過去記事はこちらから

6つの物語が響き合う、2時間52分のSF超大作『クラウド アトラス』

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(C)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. / Photo Credit: JAY MAIDMENT
 アカデミー賞候補作や受賞作のような傑作や、安心して見られるウェルメイドな娯楽作もいいが、たまには毛色の違う映画も試したいという向きに、今週は実験精神あふれる意欲作2本を紹介しよう。  3月15日に封切られる『クラウド アトラス』は、英作家デビッド・ミッチェルの同名小説を、『マトリックス』3部作のラナ&アンディ・ウォシャウスキーと『ラン・ローラ・ラン』(99)のトム・ティクバが3人で監督を務めて映画化した壮大な物語。19世紀から文明崩壊後の24世紀まで、6つの時代でそれぞれの人生を生きる男(トム・ハンクス)が、同様に生まれ変わる数人の男女と関わりながら、数奇な運命をたどる。男は24世紀のハワイで、進化した種族の使者メロニム(ハル・ベリー)と出会い、人類の未来を決する重大な選択を迫られる。  腹黒い老医師から誠実な原発従業員、下品で暴力的な作家、平和主義のヤギ飼いまで、年齢も性格も異なるキャラクターを巧みに演じ分けるトム・ハンクスの名人芸が楽しめる。ほかにもヒューゴ・ウィービング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、スーザン・サランドン、ヒュー・グラントら豪華キャストが、それぞれ特殊メイクの助けも借りて各時代のキャラを熱演。輪廻思想をベースに、哲学的な要素、社会思想史や文明批判の側面、『マトリックス』に似たディストピアなどを盛り込みつつ、歴史ドラマ、近未来SF、サスペンスアクションなど多様なジャンルの手法を組み合わせて壮大な世界観を築き上げた。現在、過去、未来を何度も行き来する複雑な構成だが、パートの切り替えが絶妙で、各エピソードを結びつける設定も多々あり、2時間52分という長尺の上映時間を飽きさせない。  もう1本の『キャビン』(公開中、R15+)は、『クローバーフィールド/HAKAISHA』の脚本で知られるドリュー・ゴダードの長編監督デビュー作。女子大生のデイナ(クリステン・コノリー)は、カート(クリス・ヘムズワース)ら若者5人で連れだって山奥の別荘にやってくる。しかし、デイナたちの行動は謎の組織により監視されていて、事態がすべてシナリオ通りに進むようコントロールされていた。何も知らない若者たちはさまざまな恐怖に襲われ、1人ずつ命を落としていくが……。  人里離れた山小屋を訪れた能天気な若者たちが、得体の知れない怪物や異常な殺人鬼によって順番に血祭りに上げられる――という設定はホラー映画の定番中の定番。ところが、そうした状況を監視しコントロールする組織を登場させたことで、『トゥルーマン・ショー』(98)や『キューブ』3部作のような「メタ視点」が加わり、がぜん面白みが増した。もちろん、若者たちが思惑通りに全滅しては味気ないので、後半には生き残った数人が組織に立ち向かう場面も用意されているのだが、その先も予想を越える驚愕の展開。既出のアイデアをうまく組み合わせることでオリジナリティあふれる映画が作れるという、お手本のような快作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『クラウド アトラス』作品情報 <http://eiga.com/movie/77223/> 『キャビン』作品情報 <http://eiga.com/movie/58143/>

ヒロイン全員S女! 体験入部イベントまで開催したすげえエロゲー『サド★部 ~S女に虐めヌかれ部~』

R0036437.jpg  気がついたら人生の半分以上をエロゲーをやって生きてきた筆者。いやいや、不惑が近づこうともエロゲーはやめられませんよ。きっと、棺桶に入るまでエロゲーをプレイし続けるんじゃないかな……きっと、同じ思いの人は多いだろう。  エロゲーに何を求めるか、目的はさまざまあるだろうけど、筆者は「作者は何を考えているんだ」あるいは「制作した会社は、いったいどこへ行こうとしているのか」というマジ○チな雰囲気である。けなしているのではない、褒めているのだ。なぜか、エロゲーはエロマンガに比べて異端なもの、マニアックな内容に出会う機会が多い。どのようなユーザーを想定するかといったビジネス面はよそにして、我が道を行くエロゲーは、やっぱり面白い。そりゃそうだろう。なにせ、エロゲーは一人じゃつくれないわけで、複数の人間のリビドーの集合体なのだから。  そして、凡百な「萌え」よりも、我が道を行く会社のほうが知名度はアップするし、固定客を得られると思う。だからこそ、筆者は常にキャラの立ったエロゲーを探し求めているのだ。  そんな中、今年もとんでもないタイトルの作品を発見してしまった。その名も『サド★部 ~S女に虐めヌかれ部~』。タイトルからおのずとわかるように、登場するヒロインは全員S女である。なんとも、ニッチな層を狙ったタイトルであろうか! 世の中、エロマンガもエロゲーも百花繚乱だけど、やっぱりマニアックなプレイは、まだまだ広く受け入れられてはいない。筆者は、エロゲー雑誌でレビューの仕事などもしているのだが、ここ数年は際立った変態ゲー担当である。担当編集いわく「凌辱系とか嫌がるライターさんが多いんですよね……」だって。変態の間口は広くしておいたほうが、世の中が楽しくなるハズ! でもまあ、ニッチはニッチだよね……。  そんなこの作品、発売を記念して「“初心者(よい子)のためのSM講座”サド★部体験入部会!」なるイベントを開催するという。しかも、協賛はもはや秋葉原の名所と化している大人のデパートm’sである。これは、とてつもなく妙なイベントに違いない! まだ見ぬ変態を見ることができるのではないかと、期待して会場に駆けつけた。
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 このゲームを制作したCLOCKUPは、「実用性」もさることながら「ちょっと、大丈夫か」とワクワクさせてくれるメーカーだ。  筆者の個人的な意見を書き記すなら、2011年に発売された『プリーズ・レ○プ・ミー!』は、スゴかった。いや、タイトルもだけれど、オープニングで流れる主題歌のタイトルが『LOVEレイプ』である。これが、女性ボーカルで、けっこう上手いにも関わらず、歌詞がタイトルに即した内容なんだから……。もちろん、今回の『サド★部 ~S女に虐めヌかれ部~』の主題歌も、やっぱりか! というものである。こんな会社のやるイベントなんだから、期待しない方がオカシイのである(断言)!  さて、イベントはネット配信中のラジオ番組「☆(ド部)ラジ」出張版ということで、CLOCKUPのいけだかなめ。氏と声優ユニットのりん月(東かりん氏・鈴音華月氏)をMCに、『サド★部』出演声優のヒマリ氏をゲストに招いたトーク……と思いきや、ちょっと違った。いや、イベントタイトルに「サド★部体験入部会」と書いてあったんだけど「大人のデパートm’s協賛」と銘打っている通り、トークもそこそこにステージ上のテーブルの上に、次々とSMグッズが並べられるではないか! おまけにスタッフから「登壇される方に顔出しNGの方がいるんですが」と写真撮影の注意があったのだけれど、ステージ上の女性全員が女王様っぽいマスクをしているし……。いや、あのマスクってすごいね、もう装着しているだけで淫靡な香りがするよ。もはや、三次元には興味のないハズだった筆者も、次第に会場を包み込む、なんともいえない淫靡な雰囲気に取り込まれていくではないか!  それをさらに加速させるのは、出演した声優の皆さんが「これ、どう使うんですか?」と、エネマグラを手に取った瞬間である。会場にいた男性の諸君は、経験の有無に限らず、その使い方をネットなどでよ~く知っているハズ、それを、本気で疑問形で話しながら手に取られたらさあ……。  そして、イベントは本気で体験ということで、来場した男性諸君に鞭、ロウソクなどを体験させるターンへと突入。体験したい人は手を挙げてと問われて、大半は手を挙げるではないか! いや、そりゃそうだろう。プレイは素人の女のコにSMして貰えるなんて、まずあり得ない機会じゃないか(違うか?)。  見事に指名されて、登壇した男性諸君は鞭打たれたり、ロウソクを垂らされたりして、ちょっと嬉しそう……。  いや、こんなノリのよいユーザーたちがCLOCKUPのゲームを支えているんだなァと、ちょっと感動した。ちょっとニッチなテイストの作品にもかかわらず、イベントを開催したり広く世間に打って出ようとするCLOCKUPは、もっと評価されてしかるべき。今、エロゲー業界が冬を迎えているといわれる。そうした中で、こうしたタイトルの登場は「エロゲーは作品内容も売り方も禁じ手なし!」という冒険心をくすぐってくれるのではないだろうか。  なお『サド★部 ~S女に虐めヌかれ部~』は、筆者もプレイ中だし、発売から日がたっておらず、あまりネタバレするとマズイので、ちょこっとだけ感想を記して置くと、とにかくヒロインのキャラ立ちがたまらない。ゲームをプレイしてSMに目覚めるか否かは、個人差はあるだろうが(いや、目覚めても困る気が)「ねえよ!」と突っ込みたくなるような強引な展開を交えつつ、グイグイと引きずり込んでくれる……。きっと、このまま一生、エロゲーをヤリ続けるんだろうな、オレ。 (取材・文=昼間たかし)

「エログロ」をキーワードにたどり着こう! 国立国会図書館のデジタル化資料にはエロ本がいっぱい!

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「国立国会図書館―National Diet Library」
 国がエッチな本を無料配布してくれた? 文化庁が2月1日~3月3日まで行った電子書籍の無料配信実験「文化庁eBooksプロジェクト」で配信された13の電子書籍の中で、ダントツのダウンロード数を記録したのが、酒井潔の『エロエロ草子』だったのだ。総ダウンロード数は1万1,749。  この本、1930年に出版が予定されるも、検閲のあった当時、発禁とされてしまったエロ本。もちろん、今の感覚からすれば艶笑話のレベルなのだが、タイトルのインパクトが強すぎる! この効果で話題にもなり、文化庁としてはホクホクだ。しかし、今回の配信の元データとなった国立国会図書館のデジタル化資料には、もっとエロエロ風味な本があるのを、ご存じだろうか……。  建前上は、日本国内で発行されたすべての出版物を蔵書とする国立国会図書館。多くの貴重な本や新聞が閲覧できる図書館である。ただ、年月を経たものは紙が劣化して、ページをめくるだけでも傷んでしまうものも……。そこで、利用と保存の両立を図るために、多くの資料は媒体変換した上で提供されている。かつては、マイクロフィルム化が行われていたが、2009年以降はデジタル化が実施されている。これに伴って、一部の資料はインターネットで、誰でもいつでも閲覧できるようになったのだ。  インターネットで閲覧可能なのは、1968年までに受け入れた戦前・戦後期に刊行された図書などのうち、著作権処理済みの約34万点だ。当然『エロエロ草子』ほど露骨ではないにしても、まだまだエッチな本は山のようにあるに違いない! というわけで、検索キーワードを打ち込んでエッチな本を探してみることに。  ……出るわ出るわ。戦前期の表現である「エログロ」をキーワードに絞り込んでいったら、次々と扇情的なタイトルの本が出てくるではないか。  まず、おおっ! と思ったのは、尖端軟派文学研究会編『エロ戦線異状あり : 女給の内幕バクロ』。1930(昭和5)年に出版された「尖端エロ叢書」の一冊だ。ううむ「尖端」の語が既に扇情的な匂いをさせているではないか。 「絹子は、かう言って、○○○○○○○○○○なるものの、説明を加へた」  とか、エロ用語に対する検閲の後も見え隠れする本書で描かれるのは、女給と客の駆け引きの話。「内幕バクロ」とタイトルに記しているくらいだから、実話をもとにした小説なのか。ただ、ハァハァできるかといえば、まったく興奮できない……。 「じや、頭を下げなさい」 「これでいいかい」 「次にキツスして頂戴」 「とても急テンポだね」 「あたり前だわ」  といった具合なんだから。エロ以前に、なんだかライトノベルを読んでいるような気分に。  続いて読んでみたのは、赤木妖三著『エロ・グロ・表現考』1931年の本である。この本は、巻頭に当時としてはギリギリなヌード写真もあって、かなり期待できそうな本。  著者の赤木氏は、冒頭で「如何なる時代に於ても、人間の生活にはエロなりグロなりの趣味傾向が何れかの形式に依って必ず表現されているものである」と語り、様々な文化に潜むエログロについて語り尽くしていくのである。芸術とか、映画演劇にエログロの要素が潜んでいると語る本かと思っていたら、それだけじゃなかった。赤木氏はバナナやアスパラガスにタマゴや、チョコレートなど「近代人の食物は性欲増進が先づ第一の条件」となっていると語るのだ。  さらに、野球やラグビー、ゴルフに至るまでスポーツにも「多少のエロ感を認めぬものはない」と主張するのである。この赤木妖三という人物は、ほかにも『性画の研究』という本が国会図書館所蔵になっているのだが、いったい、どんな人物だったんだろうか……謎だ。  1933年発行の武内真澄著『実話ビルディング : 猟奇近代相』という本は強烈だ。恋愛絡みのスキャンダルとか心中事件やグロ犯罪をまとめた本なのだが、各章のタイトルがいちいち強烈である。 「ルンペンと性の悩み」という一説では「ルンペン」の性処理についてが生々しく綴られているのだ。 「あれで××××の×××××××気なんだからなあ。をかしいよ。うふふ……」  と、伏せ字の具合からヤバさも推して知るべし。さらにルンペンの中には「気狂ひ女、白痴娘」を犯してしまうヤツもいるといった記述が……。単なる偏見なのか、実際に調査したのかなんて、今となっては謎である。  この本、ほかにも「不良少年を弄ぶ制服の非処女群」とか「女工愛話地獄」とか、なんヒドいタイトルばっかりが続く。昭和の人は、こんなのでハアハア興奮していたなんて、かなり「上級者」なんじゃなかろうか。  と、このように検索キーワードを駆使する必要はあるものの、けっこうな数のエロ本に出会うことができるのだ。結局のところ、いつの時代でも、みんなエロやらスキャンダルは大好きだったんだなあと、感慨深くなる。あと100年くらいたったら、今、世の中に出回っているエロ漫画とかも、デジタル資料として公開されるようになるのだろう。未来人は、どんな感覚で現代のエロを読むのだろうか。 (文=昼間たかし) ●国立国会図書館 http://www.ndl.go.jp/

コッテコテのラブホテルは“愛とエロスの建築遺産”!? 『ラブホテル・コレクション』

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『ラブホテル・コレクション』
(アスペクト)
 ラブホテルを取材した都築響一の労作『Satellite of LOVE―ラブホテル・消えゆく愛の空間学』(アスペクト)が出版されたのは2001年。それから12年の時を経て、同じくアスペクトから、映画監督・村上賢司による『ラブホテル・コレクション』が刊行された。  都築をはじめとする先人たちの活動で、すでに昭和時代の香りを残すラブホテルのバカバカしいまでのセンスは広く認知されるようになった。正直なところ、「またこの手の本か……」という気持ちは拭えない。しかし、5年の歳月を費やして取材された本書が掲載する、東北から九州まで全国33のホテルを眺めていると、紙面からあふれ出さんばかりのラブホへの偏愛に、ページをめくる手は思わず止まる。  まえがきにおいて、『11PM』や『土曜ワイド劇場』『ウィークエンダー』などのテレビ番組でラブホと出会った過去を振り返る村上。85年の新風営法が施行される以前に建築されたラブホテルは、シティホテルと大差のない平成のそれではなく、「遊園地のような、バカバカしくも面白い」逸品ばかり。経済成長の波に乗って金は余り、精力もビンビンだった昭和の遺構であり、平成の男女にとってはまさかそこで睦言を交わすなど、夢にも思えない場所だ。  「ベッドが回転して、いったい何が楽しいんだろう」という程度の、セックス偏差値最底辺の不肖からすれば、銀河鉄道(可動式SLベッド)の上でコトを致すホテル亜想呼(「アソコ」と読みます)など、絶対に敷居をまたぎたくない。さらに、小人になった気分の味わえるホテルGAIAの「ガリバールーム」(オジサマたちはきっと「オレのアソコが大きくなっちゃったぜ!」と言うはずだ)があり、部屋の隅になぜかゴリラの置物があるホテルCOCO……すいません、意味不明も甚だしいです!  ラブホ内部の様子と共に、本書巻末に掲載されたオーナーたちのインタビューも興味深い。大阪・京橋にあるラブホテル「富貴」と「千扇」は、「ローマ」「江戸」といったコテコテのコンセプトルームが特徴のホテル。97年に先代オーナーが亡くなり、その経営は娘(氏名非公開)に引き継がれた。この際、彼女は物件を手放すことも考えたが……「『おねえちゃん、私、ここで働きたいねん』と昔からの従業員さんに言われまして……。で、よく見ると玄関や廊下のデザインがほんとうに可愛いんです」と、その魅力に目覚めたそうだ。「富貴の客層は60代から70代くらいが一番多いですね(中略)出るときは、昔の人なんで、ゴミを綺麗にまとめて帰る。おはぎとかを受付に差し入れしてくれたりとか、そういうお客さんが多いです」。人々に愛され続けてきたホテルだからこそ、男女の身体の交流だけではない、人々の心温まる交流が生まれるのだ。  日本には、現在3万軒以上のラブホテルがあるといわれている。しかし、新風営法によって、回転ベッドや鏡張りなどは設置不可能になり、時代の流れから、“性愛のワンダーランド”としてのラブホは姿を消しつつある。平成の人々が求めるのは、スッキリとして無機質な部屋で行われるフツーのセックス。もしかしたら、僕たちはとても寂しい時代を生きているのかもしれない。  特にゆとり世代の草食男子は、本書を読み、そのあり余るカネと性欲に打ちひしがれるべきではないだろうか。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

女性のマスターベーションに市民権を! iroha開発者の想いとは?

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左から「YUKIDARUMA」「HANAMIDORI」「HINAZAKURA」
 3月3日・ひなまつりの日にTENGA社から投入された「iroha」は、同社初の“女性用プレジャーアイテム”。男子の心とアソコを鷲掴みにしたTENGAから、淑女のソレにぴったり密着して離れないirohaへ。それは、「ボクらのTENGA」から「みんなのTENGA」へと脱皮を遂げる歴史的転換点なのだ!  この開発に携わった伊藤しずかさんは、TENGAに勤務する美人広報。女性のマスターベーション界におけるジャンヌ・ダルクともいえる存在だ。 ──いつ頃から、この開発が行なわれていたのでしょうか? 伊藤しずか(以下、伊藤) 3年程前から構想はありましたが、開発が具体的に動き出したのは1年半前ですね。もともとTENGAでは、「性を誰もが楽しめるものに」というコンセプトを掲げています。この「誰もが」の中には、男性だけでなく、女性も含まれていたんです。 ──やはり、irohaの開発は女性が中心になって開発されたのでしょうか? 伊藤 そうですね。女性メンバー4人が中心となりました。まず、市販されているローターやバイブなど、国内外のものを買い集めて、機能やスペック、外見的な特徴などを確認。自分たちで実際に使用してみて、使い勝手や感想を持ち寄りましたね。 ──松本社長がTENGA開発時に自らモニターとなったように、TENGA女性社員も自らの身体を張って開発を進めたのですか? 伊藤 その通りです。女性に向けたインターネットのリサーチや、知り合い、友達などに対して聞き取り調査を行いました。リサーチの結果によれば、全女性の中で、マスターベーション経験者は約7割。そのうち、4割あまりの女性が、アダルトグッズを使用したことがありました。中にはアダルトグッズだけでなく、シャワーやトイレのビデ、電動歯ブラシを使用する人もいるようです。 ──で、電動歯ブラシですか!? これからは、エロい目で電動歯ブラシを見てしまいそうです。 伊藤 女性のマスターベーションの現状や、競合商品を踏まえて社内コンペを行い、原案を作っていきました。irohaは「和モダン」をコンセプトにしていますが、没になってしまったモノの中には、ガーリーで洋風なモノもありましたね。何というか……森ガールみたいなかわいらしいモノです。 ──irohaはローター型ですが、バイブの開発は念頭になかったのでしょうか? 伊藤 リサーチの結果では、膣刺激よりも、クリトリスへの刺激を好んでいる人が多かったんです。また、irohaは、アダルトグッズのヘビーユーザーよりも、グッズ初心者や、興味があるけど今まで不安や抵抗があって手を出せなかった人をメインターゲットにしています。その意味でも、まずは挿入型のバイブよりも、振動型のローターのほうがハードルが低いだろうと判断しました。 ──和菓子のようなデザインも、卑猥さがなく手に取りやすいですね。 伊藤 ふにふにとした、やさしい手触りにこだわりました。また、振動音や強さのバリエーションにも気を使いましたね。心地いい振動の強さは使う人によって微妙に違うので、繊細な刺激から強い刺激まで、さまざまなニーズに対応するように工夫しました。 ──やはり、それも開発チームの女性たちが試しながら……。 伊藤 もちろん。ミリ単位の形状バリエーションをテストしてこの形に行き着きました。毎晩毎晩テストです。 ──お疲れ様です……。今回、3種類の商品が発売されましたが、この3種類にした意図は? 伊藤 マスターベーションの方法によって、製品のバリエーションが必要だと思いました。YUKIDARUMAは浅い挿入が可能、HANAMIDORIはあてがう、HINAZAKURAはつまむという特長があります。個人的には、フォルムがかわいいHINAZAKURAが好きですね。 ──その他に開発する上で、こだわった部分はありますか? 伊藤 irohaはきちんと洗えて、ケースに入れて保管できる、といった衛生面も当たり前のこととして考えております。また、1年間メーカー保証もついていますし、お客様相談センターも開設しています。デリケートな部分にあてがうものなので、信頼性、安心感はとても大切だと考えています。また、ローターによくあるプラスチックの感触は、グッズ初心者にとっては異物感や恐怖心に繋がる事もあります。手にとった時の馴染みやすさも、安心感を考えてのことです。 ──TENGAはケンドーコバヤシさん、福山雅治さんなど、多くの著名人が愛好家であることを語っています。irohaはどのような方に使って欲しいですか? 伊藤 そうですね……、個人名は出せませんが、モデルさん、アーティストの方などにも「使っているよ」と言ってもらえればうれしいですね。バラエティ番組のカバンチェックで、irohaが発見されたら、なんて想像しちゃっています(笑)。 ──そんな世の中になれば、社会の中ではまだタブー視されている女性のマスターベーションが変わりますね。 伊藤 それにホワイトデーが近いのでプレゼントにもぴったりだと思いますよ。 ──伊藤さん自身、irohaとセックスではどちらが気持ちいいでしょうか? 伊藤 マスターベーションとセックスは別モノです。どちらがいいというものではなく、それぞれにいいところがあります。たとえば平日はirohaを使って、一人で楽しみ、週末は彼氏とイチャイチャして……といったように使い分けを楽しんでほしいですね。 ●iroha公式サイト http://iroha-tenga.com/