賛否両論巻き起こす、アニメ版『惡の華』ロトスコープの功罪

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アニメ『惡の華』公式サイトより
 「ハ・ナ・ガ・ハナガ・サイタヨー」のエンディングテーマがいやでも耳に残るアニメ『惡の華』。皆さん、見てます? 「別冊少年マガジン」(講談社)連載中のコミックを原作とした本作は、全編にわたって実写映像をトレースする「ロトスコープ」という技法で制作された日本初のテレビアニメとして、TOKYO MXなどU系局やネットで4月より放送開始。記号的表現の真逆をいくような写実的な映像は、現在主流のアニメ表現に慣れ切ったアニメファンのみならず業界人にも大きな衝撃を与え、「すごい表現だ!」「いやいや、気持ち悪い!」「仲村さんがかわいくないブヒー!」と賛否両論を巻き起こしています。  本作を語る上で、ロトスコープという手法について触れないわけにはいけません。冒頭で触れたように、ロトスコープはモデルの動きをトレースした作画をアニメーションさせる手法で、その制作の手間は通常のアニメの比ではありません。全編ロトスコープで制作されたアニメはディズニー映画『白雪姫』(1937年)や『ガリバー旅行記』(39年)、キアヌ・リーブス主演の『スキャナー・ダークリー』(06年)などが挙げられますが、その多くは特撮映画のVFX表現やアニメ『坂道のアポロン』の楽器演奏シーンなどのように、一部で使用されるのみにとどまっています。ただその分、キャラクターを演じる役者の微妙な表情や何気ない仕種、息遣いまでもが生々しくアニメーションに再現されるのです。  そんな『惡の華』がいかにして作られているのか。この疑問に応えるかのように、4月30日よりニコニコ動画にて第3話の実写パートが公開されています(http://live.nicovideo.jp/watch/lv136003444)。この動画を見ると、本物の映画同様にセットが作られて、その中で役者が迫真の演技を繰り広げていることに、まず誰もが驚くことだと思います。  アニメの素材として使用される、というレベルではないあまりのガチっぷりに「もうこのまま実写ドラマにしちゃえばいいじゃない」というコメントが流れていました。確かに自分もそう感じたのですが、しかし、何かが物足りない。すでにアニメ『惡の華』の世界を覗いてしまった自分としては、この実写映像は『惡の華』の映像化作品としては安定しすぎている、と感じてしまったのです。  シリアスなドラマでは等身が高めキャラデザになるし、ほのぼのした作風なら柔らかそうで丸いタッチのキャラデザになる……といった具合に、作画やキャラクターデザインが演出に直結しがちなのがアニメというジャンルです(これは相当乱暴な解釈ですが)。  その中で『惡の華』はロトスコープという手法を用い、秒間24コマの実写映像を秒間8コマのリミテッドアニメに変換することで、「三次元」と「二次元」、「現実」と「非現実」の狭間で揺らぐ不安定なビジュアルを描き出しています。この独特の揺らぐビジュアルが、本作の持つ「正気」と「狂気」の狭間で揺らぐ主人公たちの不安定な心象風景を、非常にうまく演出しているのです。『惡の華』の世界観は、従来の記号的なアニメ表現でも、滑らかに動き回る実写映像だけでも描き出すことはできなかったと言えます。  おそらく本作は、Blu-ray&DVDのパッケージ販売という数字の上では成功するとは言い難いでしょう。しかし、アニメ表現における「想像力」という点で、莫大な遺産を残すことになるはずです。これから中学生たちの歪んだ青春は、どんな暴走をみせるのか。ASA-CHANG&巡礼による不穏なエンディングテーマを聴きながら楽しませてもらいましょう!  ドゥクシ! (文=龍崎珠樹)

本当にあった、ロス市警と大物ギャングの抗争『L.A. ギャング ストーリー』

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(C)2013 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED / Photo Credit: WILSON WEBB
 今週取り上げる新作映画2本は、約半世紀前の「戦い」が身近に存在していたアメリカと日本を舞台に、男たちと女の生きざまを生々しく刺激的に描写した意欲作だ。  5月3日に封切られる『L.A. ギャング ストーリー』(R15+)は、1949年のロサンゼルスで、街を支配するギャングに立ち向かう警察官らの姿を描いたクライムアクション。大物ギャングのコーエン(ショーン・ペン)は、ドラッグや売春、賭博仲介で得た金と暴力で、ロス市警や政治家をも意のままに操り、勢力を拡大していた。しかし、賄賂になびかず正義に燃えるオマラ巡査部長(ジョシュ・ブローリン)ら6人の警察官が立ち上がり、コーエンの組織を撲滅する命がけの「部隊」を結成。警官の身分を隠し、令状を持たないまま盗聴、麻薬取引の妨害、組織の拠点の急襲などあらゆる手段で戦いを挑む。  監督は初メガホンの『ゾンビランド』(09)で一躍注目を集めた新鋭ルーベン・フライシャー。容赦ないバイオレンス描写の中にもシニカルなユーモアを込め、独特な味わいを醸し出す。警察官がギャング顔負けに銃をぶっ放し悪党に鉄拳制裁を下す戦いぶりは圧巻だが、原作小説が史実にゆるやかに基づくというから二度驚かされる。物語としては、アル・カポネに立ち向かう若き財務官らの活躍を描いた名作『アンタッチャブル』(87)に近いものの、暴力表現は本作のほうが過激。ライアン・ゴズリングが演じる警察官と、エマ・ストーン扮するコーエンの情婦、美男美女の危険な恋が華を添えている。  もう1本の『戦争と一人の女』(公開中、R18+)は、坂口安吾の短編小説を映画化した官能文芸ドラマ。太平洋戦争末期から終戦後の東京で、時代に翻弄された男女の運命を描く。戦争に突き進む日本と国民に絶望した作家の野村(永瀬正敏)は、元娼婦の女(江口のりこ)と刹那的な同棲を始め、現実から逃避するように愛欲にふける。一方、中国戦線で片腕を失い帰還した大平(村上淳)は、戦場での行為がトラウマとなり妻と性交渉できなくなっていたが、ある日男たちに襲われている女性を見て激しく興奮していることに気づき……。  幼い頃に遊郭に売られ不感症になった女が、作家との性の行為を通じて「生きる力」を得ていく過程を、江口のりこが渾身の演技で体現。若松孝二監督の下で映画作りを学んだ脚本家の井上淳一が、本作で監督デビューを飾った。あえて観客に意識させるような明示的なズーミングなど、ドキュメンタリー作品にも似た映像の演出も相まって、遠い昭和の男女の営みを奇妙なリアルさで映し出す。あの戦争を風化させず、現代の日本人に「戦うこと」「生きること」の意味を考えてほしいという願いが伝わってくる。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『L.A. ギャング ストーリー』作品情報 <http://eiga.com/movie/57689/> 『戦争と一人の女』作品情報 <http://eiga.com/movie/77490/>

緊急用のはずが、ただの相談窓口に!?『ふしぎな110番』

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『ふしぎな110番』(彩図社)
「事件ですか? 事故ですか?」   110番、正式名称「警察通報用電話」へ電話をすると、必ず聞かれるこの質問。言うまでもなく、何かしら「緊急事態」が起こった時にかけるべき番号であり、事件、もしくは事故が起こったらからこそ、電話をしているはずだ。ところが、110番を受理する通信指令課には、3.5秒に1本電話がかかり、国民の14人に1人が110番に電話をしたことがあるという計算になる。この膨大な通報の中には、当然、どうでもいい内容の電話も数多く含まれている。  その一番大きな要因は、どうやら携帯の普及で、いつでもどこでも電話できるようになったこと。また、不景気の世の中、無料で電話できることを得と感じ、やたらと110番に電話する人が増えたのか、人とのつながりが薄く寂しがり屋が増えてしまったのか、理由はいろいろあるようだが、“えぇっ!? こんなことで電話してくるの!?”と驚くような内容の電話が殺到している。  『ふしぎな110番』(彩図社)は、元・警察署副署長で著者の橘哲雄氏が、警察本部の通信指令課を担当していた当時に書いていた日記を元に、少し変わったふしぎな通報110件をまとめた1冊。通報してくる人たちは、幼い子からお年寄りまで、実に幅広い。その内容もバラエティに富んでいて、たとえば幼い女の子からの通報で「悪いお兄ちゃんがいます。ブランコを独り占めにして順番を待っても乗せてくれません」という心温まるような、困っちゃうようなものやら、「彼氏と口論になって彼が悪いのに謝らないんです。そばに彼氏がいるので叱って下さい」というハタ迷惑系男女間のもつれ。さらには、夫婦ゲンカ中の酔っ払った男性からの電話で「通報したのにいつまでたっても警察官がこないじゃないか!」と言うので確認してみると、すでに現場に警察官は駆けつけていて、そのことを伝えると「俺の味方の警察官が来ないんだ!」と、自分勝手で意味不明なことをわめくなど、警察の人も大変だなぁと、同情したくなるような内容が次々と登場する。  笑ってしまうような内容が多いが、110番の場合、ひょっとしたらの「最悪の事態」があるかもしれないので、警察官はどんなにくだらないことでも動かなければならない。昨今、警察官の逮捕など、ニュースになることも少なくないが、東南アジアや南米など、ワイロで物事を考えて動く世界の警察事情を見れば、しょうもない電話に誠実に対応し、現場にわざわざ出かけている日本の警察はなんだか頑張っているなぁと、上から目線で偉そうだが、考えさせられる。 (文=上浦未来)  ●たちばな・てつお 昭和24年生まれ。昭和50年に県警察巡査(署外勤、強行盗犯係等)となり、巡査部長(署外勤・知能犯主任、警察本部捜査第二課特捜主任)、警部補(署盗犯係長、警察本部刑事総務課捜査共助係長)、警部(署刑事課長、機動捜査隊隊長補佐、警察本部捜査第三課補佐等)、警視(署刑事課長、通信指令課長調査官、署副署長、警察本部次席等)を経て、平成21年に退職した。

「やっぱり食べ物ネタは鉄板!」初の飲食系同人誌オンリーイベントが開催

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グルメコミックコンベンション公式サイトより
 同人誌=漫画のイメージが先行しがちだが、実はそうではないのは、イベントに足を運んだことがある人ならば知っていること。コミケでは3日目の「評論」スペースとして知られているが、自分の偏愛するものを同人誌という形でまとめて「布教」する活動は古来(って、どれくらい前だ?)より、ずっと行われているのだ。  そんな中、近年新たなムーブメントを巻き起こしているのが、食べ物を扱った同人誌である。これも古くからあるジャンルといえばその通りだが、いつの間にかオンリーイベントを開催するレベルまで発展していた。  5月3日に開催される史上初の飲食総合同人イベント「グルメコミックコンベンション」。継続的に食べ物を扱っている同人サークルの多くが集まるという、またとないイベントだ。一体どんな同人誌が集まるのだろうか、と参加予定サークルの同人誌を主催者に見せてもらったのだが、驚いた。やたらとデザインに凝っていたり、データが豊富だったり、とにかく「おいしそう」の一言に尽きる。 「飲食系同人誌と一言でいっても多種多様です。マンガや文章を使ったレポや体験系からレシピ系まであります。商業誌顔負けの、デザインに凝りまくった同人誌も増えてますね。中には、4ケタを売った人気サークルもあると聞きます」(主催者広報)  こういった同人誌で扱われるテーマは、マニアックかつ誰でも興味を持つものが多い。B級グルメやカフェめぐりなどのお店系、自家製ビールの製造記録などがそれだ。中には、すでに同人誌から一般書籍化されたものもあるのだとか。  やはり、テレビからネットまで、あらゆるメディアにおいて食べ物は幅広く受け入れられる鉄板のテーマ。それは、同人誌においても変わらないということらしい。  ただ、食べ物を扱った同人誌は、まだ数が「爆発的に増えている」とはいえない状況なのだとか。 「お店めぐりでも、レシピ作りでもネタを集めるのに時間がかかるからでしょう。1回出しても、次を作るのはかなり大変だと思いますよ。でも、オタクからそうではない人まで誰でも楽しめるジャンルですから、もっと多くの人に、食べ物系同人誌の存在を知ってもらいたいと思ってます。今回のイベントも、それが目的ですから」(同)  妙なオサレな雰囲気も漂う飲食系同人誌の世界。グルメを自負するなら、参加してみるのもよいかも。 ●グルメコミックコンベンション 日時:2013年5月3日(金・祝) 場所:都立産業貿易センター 台東館5F 主催:グルメコミックコンベンション実行委員会  <http://gurucomi.sakura.ne.jp/>

「制服姿で日本刀を振りかざす!」ジュニアアイドルの“非日常ポーズ”に世の男たちが悶絶『オールアバウトポーズ』

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『オールアバウトポーズ スクールガール編』
 漫画家・イラストレーターのためのポーズ集『オールアバウトポーズ スクールガール編』(マイウェイ出版)が、なぜかまったく絵心のない男性たちに売れているという。  何やらその理由は、ジュニアアイドル界の最高峰、水城るなちゃん(15歳・中3/撮影時)と、清水美蘭ちゃん(12歳・小6/同)をモデルに起用していること。第二次性徴真っ只中で、身体が丸味をおび始めた美少女2人が、天使のような表情であらゆるポーズを披露しているのだ。  収録ポーズには、「歩く」「しゃがむ」「振り返る」といった基本動作や、「書く」「手を挙げる」「サボる」「卓球部」「書道部」といった“スクールガール編”ならではの甘酸っぱいシーン。また、「制服を脱ぐ」「体操服を着る」といったちょっぴりエッチなカットまで、トレースフリーの写真が誌面に633カット、付録のCD-ROMに764カットの計1,397カットも収録されている。 IMG_17586.jpg  中でもおすすめなのが、セーラー服姿のるなちゃんが雑巾で床掃除をするカット。四つん這いになり、教室の床を一生懸命ゴシゴシする彼女を、真後ろから狙った写真では、見えそうで見えない、でも少し見えているような気もする白パンツのようなものがそこに! そんな神のごときアングルには、是非、純粋だったあの頃の自分の思い出を重ねてみたいものだ。  また、「日本刀で戦う」では、制服姿のるなちゃんと美蘭ちゃんが、日本刀で戦うカットを収録。接戦の末、美蘭ちゃんが切られてしまうのだが、倒れ込む彼女のスカートがめくれ、白パンツのようなものがちらり。死してなお、男性にパワーを与えてくれる美少女に、拍手と幾ばくかのお小遣いを送りたい気分だ。 IMG_23652.jpg  ほかにも2人が水着で抱き合う「百合ポーズ」や、制服姿で短剣を振りかざす「短剣で戦う」など、あらゆるシチュエーションが収録されている『オールアバウトポーズ スクールガール編』。特に妄想力に長けた男性は、今すぐチェックすべし。 ●「オールアバウトポーズ #001 school girls ver.」出版記念イベント@書泉グランデ 開催期間/日時 2013年5月11日(土)12:00~ 開催場所 SHOSEN+(書泉グランデ7階) 参加券配布場所 : 書泉グランデ地下1階(神保町) 【店頭受付】 2013年4月21日(日)10:00~ 【通販受付】 2013年4月21日(日)15:00~ http://info.shosen.co.jp/event/entry_959/ http://www.myway-pub.jp/2013/04/19/20130419_1042452202/

「制服姿で日本刀を振りかざす!」ジュニアアイドルの“非日常ポーズ”に世の男たちが悶絶『オールアバウトポーズ』

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『オールアバウトポーズ スクールガール編』
 漫画家・イラストレーターのためのポーズ集『オールアバウトポーズ スクールガール編』(マイウェイ出版)が、なぜかまったく絵心のない男性たちに売れているという。  何やらその理由は、ジュニアアイドル界の最高峰、水城るなちゃん(15歳・中3/撮影時)と、清水美蘭ちゃん(12歳・小6/同)をモデルに起用していること。第二次性徴真っ只中で、身体が丸味をおび始めた美少女2人が、天使のような表情であらゆるポーズを披露しているのだ。  収録ポーズには、「歩く」「しゃがむ」「振り返る」といった基本動作や、「書く」「手を挙げる」「サボる」「卓球部」「書道部」といった“スクールガール編”ならではの甘酸っぱいシーン。また、「制服を脱ぐ」「体操服を着る」といったちょっぴりエッチなカットまで、トレースフリーの写真が誌面に633カット、付録のCD-ROMに764カットの計1,397カットも収録されている。 IMG_17586.jpg  中でもおすすめなのが、セーラー服姿のるなちゃんが雑巾で床掃除をするカット。四つん這いになり、教室の床を一生懸命ゴシゴシする彼女を、真後ろから狙った写真では、見えそうで見えない、でも少し見えているような気もする白パンツのような水着がそこに! そんな神のごときアングルには、是非、純粋だったあの頃の自分の思い出を重ねてみたいものだ。  また、「日本刀で戦う」では、制服姿のるなちゃんと美蘭ちゃんが、日本刀で戦うカットを収録。接戦の末、美蘭ちゃんが切られてしまうのだが、倒れ込む彼女のスカートがめくれ、白パンツのような水着がちらり。死してなお、男性にパワーを与えてくれる美少女に、拍手と幾ばくかのお小遣いを送りたい気分だ。 IMG_23652.jpg  ほかにも2人が水着で抱き合う「百合ポーズ」や、制服姿で短剣を振りかざす「短剣で戦う」など、あらゆるシチュエーションが収録されている『オールアバウトポーズ スクールガール編』。特に妄想力に長けた男性は、今すぐチェックすべし。 ●「オールアバウトポーズ #001 school girls ver.」出版記念イベント@書泉グランデ 開催期間/日時 2013年5月11日(土)12:00~ 開催場所 SHOSEN+(書泉グランデ7階) 参加券配布場所 : 書泉グランデ地下1階(神保町) 【店頭受付】 2013年4月21日(日)10:00~ 【通販受付】 2013年4月21日(日)15:00~ http://info.shosen.co.jp/event/entry_959/ http://www.myway-pub.jp/2013/04/19/20130419_1042452202/

オッサン世代も大興奮! 今期の本命ロボットアニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』

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『革命機ヴァルヴレイヴ』
 例年になく豊作といわれている2013年春クールアニメ。個人的には、その中でもロボットアニメの充実ぶりに感激しまくりなんですが、皆さんはどのロボットアニメがお気に入りでしょうか。  近年のロボットアニメというと、『ガンダム』『マクロス』『ヱヴァンゲリヲン』のような定番シリーズもの以外は、『アクエリオンEVOL』のようなネタ方面に振り切れた変化球タイプや、社会問題への意識が高すぎた『エウレカセブンAO』のような作品。はたまた美少女アニメとロボットアニメのいいとこどりをしようとした『輪廻のラグランジェ』『トータル・イクリプス』など、「ロボットがガッツンガッツン活躍するアニメ」を期待していた自分としては、ちょいとばかり物足りない作品が多かったような印象がなきにしもあらず。 それはそれで面白かったりするんですが、やっぱり少年が戦闘状況にいきなり巻き込まれて、最新型ロボットに乗り込んで悪戦苦闘しながらもエースパイロットへと成長していく王道ロボットアニメっていうのも見てみたいじゃないですか! そんなオールドタイプなロートルアニメファンな自分としては、今期の新作ロボットアニメには、まるで80年代前半から中盤にかけてのロボットアニメブームを思い出させてくれるような懐かしさと、現代ならではの新しさをビシバシと感じられてうれしい限りです。  というわけで、今回はオッサン視点で今期のおすすめロボットアニメを紹介します。 ■『革命機ヴァルヴレイヴ』 『ガンダム』『ボトムズ』『バイファム』など、数多くのロボットアニメを生み出したサンライズが送る最新ロボットアニメが『革命機ヴァルヴレイヴ』です。あらすじは以下の通り。 人類が宇宙に進出し70年。人口の大半が宇宙都市に移住した時代、小国・ジオールに住む高校生・時縞ハルトはドルシア軍事盟約連邦と環大西洋合衆国の戦争に巻き込まれてしまい、謎の新型ロボットであるヴァルヴレイヴに乗り込んでドルシア軍との戦いに身を投じるようになります。(ちなみにヴァルヴレイヴ登場シーンは、プールが割れてその下から出現!というもの)  この最初の戦闘に先駆けて登場するのが、ドルシア軍の特務機関に所属する美少年5人組。彼らはジオールに潜入し、ヴァルヴレイヴ確保をもくろみます。結果的にその作戦は失敗。美少年5人組の一人・エルエルフは、ヴァルヴレイヴに乗り込むことで噛みついた相手の体内に人格を移植することができるという能力を手に入れてしまったハルトに体を支配されてしまい、ドルシア軍に戻れなくなってしまう。  そんな感じで、過去の名作ロボットアニメをオマージュしたシーンが続出! それらのシーンを気まずそうにこっそり盛り込むのではなく、堂々と、かつ超ハイクオリティな作画で描くのが本作のすごいところ。「だって、面白い要素を全部ぶち込んだら面白くなるに決まってんじゃん!」とでもいうような、突き抜けた割り切りが実に心地いい限りです。   肝心のメカアクションもバッチリです。CGで描かれながらも手描きのようなニュアンスのロボットが、バリバリグリグリとアニメーションする様は圧巻。さらにリアルロボット的なドルシア軍メカと、スーパーロボット的なデザイン&アクションを見せるヴァルヴレイヴの絶妙な対比のおかげで、『レイズナー』や『ガリアン』を思わせる一対多数のバトルが展開。毎回、手に汗握るバトルを繰り広げます。  あからさまなオマージュネタや、SFマニアの神経を逆なでするSF設定にツッコミを入れるもよし! ガチなロボットアニメとして、真剣に楽しむもよし! 美形男子&女子にブヒるもよし! な『革命機ヴァルヴレイヴ』は、今期の本命ロボットアニメといえるでしょう。 ■『銀河機攻隊マジェスティックプリンス』  もう一つの注目ロボットアニメが『マジェスティックプリンス』です。キャラクターデザインは『無限のリヴァイアス』『スクライド』『ガンダムSEED』『蒼穹のファフナー』でおなじみの平井久司。個人的に「平井キャラデザのアニメに外れなし!」と思っているのですが(異論は認める!)、今回もその期待を裏切りません。  宇宙に進出した人類が、謎の勢力・ウルガルの襲撃で絶滅の危機に瀕する中、落ちこぼれチーム「ザンネン5」の少年少女パイロットたちが次々と戦果を上げていく、という本作。ザンネン5の5人は、戦闘に勝つために遺伝子操作された子どもたち、というけっこう悲劇的な出自にもかかわらず、揃いもそろって天然というか緊張感ゼロで微笑ましい限り。そんな彼らが、ゆる~いチームワークを発揮して成果を上げていく姿は実に痛快。  割とヘビーな世界観の中、マイペースになんとなく状況を打破していく主人公たちの物語は、どことなく90年代ロボットアニメ的で、ライトに楽しむにはちょうどいい感じだといえます。  ちなみに『ヴァルヴレイヴ』は分割2クール。『マジェスティックプリンス』も2クール制作することが、すでに明らかになっています。じっくりと描かれるドラマにも期待が高まります。 ■『翠星のガルガンティア』  最後におススメするのが『魔法少女まどか☆マギカ』『PSYCO-PASS』などで話題を呼んだヒットメーカー・虚淵玄がシリーズ構成を手掛ける『翠星のガルガンティア』です。はるか未来、主人公・レドは宇宙生命体との激しい戦闘のさなかにAIで会話をすることができる人型マシーン・チェインバーと共に、かつて人類が住めなくなってしまったといわれていた地球に転移してしまう。そこでレドは、言葉の通じない現地の人々との共生の道を探っていくというストーリーの本作。映画『ウォーターワールド』を思わせるスチームパンク×世紀末な世界に生きる地球人と、高度な科学技術を誇る時代から転移してきたレドの交流は、時にシリアスでシビアなシーンも。それゆえに少しずつ歩み寄る両者の姿は、感動的でもあり微笑ましくもあります。  メカ描写も見どころ満載。単騎で無双できる性能を誇るチェインバーと、質より量で押し寄せる地球の作業用ロボット・ユンボロイドのバトルは、まるで懐かしの『ザブングル』。オーバーテクノロジーのチェインバーが最強の名をほしいままにするのか。はたまた数で勝るローテクロボットが押し勝つのか。一筋縄ではいかない物語と合わせて、そこにも注目したいところです。  それぞれ独自のストーリーとキャラが登場しながらも、しっかりとメカが物語の中心となって活躍する今期のロボットアニメ。その内容も前評判にたがわぬ見ごたえあるものばかりです。これまでロボットアニメを見たことのない皆さんも、この機会にその魅力を味わってみてはいかがでしょうか! (文=龍崎珠樹)

ダコタ・ファニングが子役から脱皮! 注目のGW映画『17歳のエンディングノート』

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(C) 2012 Blueprint Pictures (Now) Limited, BBC and The British Film Institute. All Rights Reserved.
 いよいよゴールデンウィークに突入する今週末、配給各社もかき入れ時とばかりに力作や話題作を一気に公開。その中から今回は、それぞれジャンルを踏襲しながらも新味を加えた洋画3本を紹介したい。  4月26日に封切られる『アイアンマン3』(2D/3D上映)は、ロバート・ダウニー・Jr.主演のアメコミヒーロー・アクションシリーズ第3作。人類滅亡の危機を救ったヒーローチーム「アベンジャーズ」の戦いから1年、トニー(ダウニー・Jr.)はトラウマに苦しみながら新型アイアンマンスーツの開発に没頭していた。トニーの公私のパートナーであるペッパー(グウィネス・パルトロウ)には、トニーに恨みを抱く研究者キリアン(ガイ・ピアース)が接近する。そんな時、謎のテロリスト・マンダリン(ベン・キングズレー)率いる悪の組織が米国家を相手に攻撃開始。標的になったトニーも襲撃され、開発拠点の自宅を多数のアイアンマンスーツもろとも失ってしまう。  『アベンジャーズ』(12)を含めるとアイアンマン役で4度目の登板となるロバート・ダウニー・Jr.は、社交的で軽薄なところもあるトニーがPTSDで苦悩するさまや、挫折と喪失の後、他者とのかかわりを通じて人間的に成長する姿を熱演。アイアンマンスーツもさらに進化し、単にトニーが装着して戦うだけでなく、別の人間を守ったり閉じこめたり、あるいは中身不在のままリモコンで操作したりと、観客をあっと驚かせる仕掛けが満載だ。監督は『キスキス,バンバン』(05)のシェーン・ブラックにバトンタッチしたが、前2作でメガホンを取ったジョン・ファブローも引き続き運転手ハッピー役で笑いを誘う。「トニー・スターク“最後”の戦い」と謳われる本作、シリーズは本当に完結してしまうのか、15年に公開予定の『アベンジャーズ2(仮題)』にはどうつながるのか。エンドロールの最後まで目が離せない。  同じく4月26日公開の『ジャッキー・コーガン』(R15+)は、ブラッド・ピットが現代のクールな殺し屋を演じるスタイリッシュなクライムサスペンス。ニューオリンズの街で、犯罪組織が運営する賭場から大金が強奪される事件が発生。支配人マーキー(レイ・リオッタ)に罪をかぶせようとする地元の悪党3人の仕業だったが、組織は事態収拾のため外部から凄腕の殺し屋ジャッキー(ピット)を雇う。「優しく殺す」がモットーのジャッキーは、感情を表に出さず独特の流儀で、事件にかかわった男たちを1人また1人と始末していく。  ブラピが立ち上げた「プランBエンターテインメント」の製作の下、『ジェシー・ジェームズの暗殺』(07)でもタッグを組んだアンドリュー・ドミニクが監督。スローモーションを多用して優雅にソフトに魅せる殺しのシーンや、オバマ大統領が演説で語る国の理想と現代の裏社会に生きる人々の現実をシニカルに対比させる構成など、従来のクライムドラマの枠にはまらない演出が印象に残る。圧倒的な存在感、無駄のない所作、冷徹な口調で新時代の殺し屋を創造したブラピはもちろん、リチャード・ジェンキンス、サム・シェパードら渋いキャストの演技も味わい深い。  3本目の『17歳のエンディングノート』(4月27日公開)は、ダコタ・ファニングが余命を宣告された少女を演じる英国発の切ない恋愛ドラマ。十代前半で白血病を発症し引きこもり生活を送ってきたテッサは、17歳で余命わずかと医者から告げられる。仕事を辞めて治療法探しにのめり込む父親や現実を受け止められない母親をよそに、テッサは「お酒を飲む」「セックス」など危険な「やることリスト」を作成し、残りの人生を精いっぱい生きようと決意。そんな折、隣に引っ越してきた青年アダムに恋をしたことから、テッサは外の世界を体験し、生きることの意味を考え直していく。  監督は『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(13)の脚本を書いたオル・パーカー、アダム役は『戦火の馬』(11)でスティーブン・スピルバーグ監督から主役に抜擢されたジェレミー・アーバイン。かつての天才子役、ダコタ・ファニングも現在19歳に。最近は『トワイライト』シリーズのバンパイア、『ランナウェイズ』(11)のロックスターなどある意味コスプレ的な役どころが続いていたが、今回は白血病患者の役ということでショートヘアにごく薄めのメイクと、少女から大人の女性に変わるハイティーンの素顔がスクリーンに瑞々しく映し出される。死を前にして苦しみながらも、恋を経験して生を実感するヒロインを繊細に演じきったダコタを堪能できる一本だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『アイアンマン3』作品情報 <http://eiga.com/movie/57266/> 『ジャッキー・コーガン』作品情報 <http://eiga.com/movie/77848/> 『17歳のエンディングノート』作品情報 <http://eiga.com/movie/78030/>

ノンキャリ刑事の回想録……新聞には載らない、殺人事件の物語『刑事の結界』

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『刑事の結界 叩き上げ警部 
補島田伸一の事件簿』(朝日新聞出版)
 過去には『太陽にほえろ!』『西部警察』、今は亡き藤田まことが人情刑事を熱演した『はぐれ刑事純情派』、あるいは古谷一行&木の実ナナ(もちろんお約束のヌードシーンも)でおなじみの『混浴露天風呂連続殺人』、近年では『相棒』や『踊る大捜査線』。刑事といえば、連続ドラマの定番テーマだ。そして事件の陰には、被害者やその肉親、刑事、犯人らの怒りや悲しみがつきまとう。  神奈川県警の捜査一課特殊班として、数々の凶悪事件を追った警察官・島田伸一氏。2012年に退職後、今だから話せる内容をまとめたのが本書『刑事の結界 叩き上げ警部 補島田伸一の事件簿』(朝日新聞出版)だ。朝日新聞の地方版で連載され、好評を博したことから書籍化された。  89年に発生し、日本中に一大センセーションを巻き起こした「竹やぶ1億円事件」や、地下鉄サリン事件に影響を受けて催涙スプレーをまいた「横浜駅異臭事件」(95年)、そして中国人グループの抗争によって5人の死傷者が出た「中国人集団強盗殺人事件」(99年)など、神奈川県内で発生した事件の数々を捜査してきた島田。本書では、現役時代に関わった事件のうち12を、捜査官の立場から振り返る。  本書に描かれている事件の一つが、95年に横浜で発生した横浜国立大学の女子大生殺人事件。20歳の女子大生が一人暮らしを営むアパートに、元配送業者の男が押し入り、現金1万円やキャッシュカードを奪い女性を殺害した。島田らの懸命な捜査により、犯人は逮捕され、裁判にかけられる。  しかし、大切な娘を失った両親にとって、その代償は大きい。事件を忘れるために一心不乱に働き詰めの毎日を送った結果、両親は病に倒れ、営んでいたそば屋も閉めることとなってしまった。3年を過ぎても娘を思い出し「ちぃちゃん、ちぃちゃん」とうなされる母。「もし横浜の大学に千瑞子が合格していなかったら……」。父の胸には、いまだに後悔の念がある。事件から17年後の3月、島田は一本の電話を受けた。「一生懸命やってくれたことはぁ、忘れません」。被害者の母親からだった。その月末に、島田は30年に及ぶ刑事人生にピリオドを打った。  「新聞紙上ではお目にかかったことがない刑事の物語を書きたい」と、連載を行った朝日新聞横浜総局長の脇坂嘉明は、この企画の真意を語る。普段は客観性を保つため、冷静な文体で事件を描くはずの新聞紙面。その中に掲載された異色の刑事ドラマは、「客観」という衣を脱ぎ捨て、事件の中へとグングンと飛び込んでいく。横浜総局の若手記者が描くストーリーはドラマめいた雰囲気がやや過剰に映るものの、これまでの新聞記事にはない味わいを持っていることは確かだ。  警視庁の発表によれば、2010年の1年間に全国で発生した殺人事件は1044件。かつてよりも減少傾向にあるとはいえ、実に1日に3人が何者かによって命を断たれている計算だ。毎日のように発生する凶悪事件の裏側には、新聞で語られる客観情報よりも深い、それぞれの人生があることを忘れてはならない。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

世界一危険な国に、平和な独立国家が存在!?『謎の独立国家ソマリランド』

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『謎の独立国家ソマリランド』
(本の雑誌社)
 独立国家ソマリランド。  その存在は謎に満ちている。場所はソマリア国内。んっ、ソマリア? 日本人には、あまりなじみのない国だが、アフリカ東北部、エチオピア、ケニア、ジブチと隣接している。ソマリア国内は現在、無数の武装勢力による内戦が続いており、無政府状態。北部は海賊国家プントランドと呼ばれ、外国船の乗組員を拉致を繰り返し、大儲け。南部は自称国家が乱立し、外国人は護衛なしで5分も立っていれば拉致されるといわれるほど。世界一治安が悪い地域として知られる、まぁとんでもない国だ。  そんな危険な国の一角で、奇跡的に十数年も平和を維持しているのが、独立国家ソマリランド。ある本によれば、独自に内戦を終結させ、普通選挙で大統領を選出。民主化に成功したそうなのだが、一体どういうこと!? 選挙のたびに敗者が「インチキだ! インチキだ!」と騒ぎ暴動に発展するアフリカで、そんなことが可能なのだろうか。  この謎にとことん深く迫っているのが、『謎の独立国家ソマリランド』(本の雑誌社)。ソマリランドだけでなく、海賊国家プントランド、世界一危険といわれる町・モガディシュについても踏み込んだルポルタージュで、全500ページを超える超大作に仕上がっている。世界的に見ても、おそらく前例がないほど濃い内容だ。  著者は「謎」や「未知」が三度の飯より好きな、ノンフィクション作家の高野秀行氏。誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それを面白おかしく書くがモットーで、これまで幻獣ムベンベやら雪男やら未確認動物を追ってきた。そんな彼が、今回は幻の「国家」を追う。    だが、取材といっても、ソマリアは危険すぎてひとりではとても取材ができない。特にモガディシュに至っては、単独行動が許されないため、マスコミ関係者は、通訳、車両、護衛の兵士、ビザの一式、取材アポまでお願いできるツアー業者にすべて任せるのが普通。ところが、さすがは高野氏。独自のルートで、大統領スポークスマン、ソマリランド政府情報省所属の元ジャーナリスト、プントランドのテレビ局の女支局長など、現地の情報通を味方につけ、彼らと共に行動することで、ソマリランドの奥の奥まで取材に成功している。  傲慢で、いい加減で、約束を守らず、荒っぽく、その上、金にとことんうるさい……と悪評高いソマリ人にもめげず、現地の人が愛する覚醒植物カートをかみながら現地の人と親交を深め、核心を突いていく。  果たして、ソマリランドは発見されたのか? そして、ソマリアとは一体どういう国だったのか? この国の本質に迫るために必須な氏族至上主義や、海賊行為を行った時の費用や利益の見積書までが紹介され、それを読むだけでも価値のある、高野氏渾身の1冊だ。 (文=上浦未来)