かっこいいロボットがガンガン戦う『翠星のガルガンティア』『革命機ヴァルヴレイヴ』『銀河機攻隊 マジェスティックプリンス』(個人的には『マジェスティックプリンス』が好きです!)。ロトスコープとアクの強い物語がなんだか心地悪い『惡の華』。ダイナミックなアクションと危機的な制作状況が作品に妙な緊迫感をもたらす『進撃の巨人』などなど、この連載でも紹介してきたように、今クールは制作側の気合がビシバシ感じられるアニメが数多く放送されています。 ここ数年続いた「日常系アニメ」ブームの反動ともいえる物語回帰を果たした上記の作品群はいずれも見応え十分な半面、立て続けに見ていると少しおなかいっぱいになってしまうのも事実。ヘヴィな作品の合間にライトな作品を見て、箸休めをしたいのも人の性。そんな欲しがり屋さんな我々アニメファンの心を癒やしてくれるのが、現在TOKYO MX、AT-Xなどで放送中のアニメ『ゆゆ式』です。 野々原ゆずこ、櫟井唯、日向縁の女子高校生3人が繰り広げる、まったりした学園生活を描く本作。ここから何か物語が動き出すのかというとそんなことは一切なく、終始のんびりした雰囲気の中でとりとめのないガールズトークが展開するのです。正直「ここが斬新だ!」とか「この演出がすごい!」みたいな要素は皆無なのですが、何気ない日常を本当に楽しそうに過ごすヒロインたちの姿は、仕事や学業に疲れた現代人の心を癒やしてくれるような気がします。 ちなみに本作のメインキャラクター3人を演じるのは、同年代の若手女性声優たち。まず、ゆずこ役に大久保瑠美、唯役に津田美波が登板していますが、彼女らは日常系百合アニメとしてヒットした『ゆるゆり』でもメインキャラを演じていたというのは、声優ファンならもはや常識。本作でもノリノリのボケ&ツッコミを披露してくれるのも、声ヲタ的には高ポイントです。 そしてもう1人のメインキャラ・縁を演じるのは、昨年『新世界より』でヒロイン・早季を演じた種田梨沙。ほかの2人と一緒に、愉快なガールズトークを繰り広げます。その脇を固めるのが、茅野愛衣、潘めぐみに堀江由衣。爽やかで耳触りのいい女性声優の声が作品に彩りを添えます。 環境映像のようにぼんやりと映像を眺めるもよし。環境音楽のようになんとなく流しているだけでもよし。まさに一日の最後に楽しむのにぴったりなアニメが『ゆゆ式』なのです。 それにしても、世界の命運をかけて戦う大作アニメから、とりとめのない日常を描くアニメまで網羅する今クールのテレビアニメは、言うなれば日本のアニメの持つ懐の深さを象徴するようなラインナップといったところでしょうか。テレビ番組表をチェックするのが妙に楽しい今日この頃です。 (文=龍崎珠樹)テレビアニメ「ゆゆ式」公式サイトより
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中田秀夫VSクドカン“団地映画対決”勃発!? 『クロユリ団地』『中学生円山』
今週紹介する新作映画は、若い女性が体験する恐怖を描くホラーと、中2男子の妄想と現実が交錯する思春期コメディ。ジャンルは違えど団地が物語の舞台となる邦画2作品が、奇しくも5月18日に同日公開されることから、“団地映画対決”という見方もできそうだ。 1本目の『クロユリ団地』は、ジャパニーズホラーの旗手・中田秀夫監督が前田敦子と成宮寛貴を主演に迎えて描く戦慄の最新作。介護士を目指す明日香(前田)は、毒々しい色の花に囲まれたクロユリ団地に引っ越してきた。入居早々、隣室からの不気味な音に悩まされ、級友からは「幽霊が出る団地」とのウワサを聞き、不安を募らせる明日香。やがて隣室で孤独死した老人を発見してしまい、その日を境に不可解でおぞましい出来事に巻き込まれていく。明日香は、老人の遺品整理にやってきた青年・笹原(成宮)の助けを求めるが……。 90年代の『リング』シリーズ、ハリウッド進出作『ザ・リング2』(05)で日本テイストの新感覚ホラーで世界に名を馳せ、近年は『L change the WorLd』(08)、『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』(10)などジャンルを超えて活躍してきた中田監督が、久しぶりに本格ホラーに帰ってきた。元AKB48の前田敦子の主演作ということもあってか残酷描写などは控えめだが、映像の色調や照明、音響などでじわじわと不安感をあおる演出は健在。老巧化した団地の描写に、希薄な近所付き合い、孤独死といった社会問題も折り込まれるなど、現代の日本に「あり得そうな恐怖」を体感できるはず。 もう1本の『中学生円山』は、演劇・テレビ・映画とマルチに活躍する“クドカン”こと宮藤官九郎の、『少年メリケンサック』(09)以来4年ぶりとなる監督作。団地の中で平凡な家族に囲まれて育った中学2年生の円山克也(平岡拓真)は、あるエッチな目的を達成するため、極限まで身体を柔らかくする「自主トレ」に励んでいた。そんなある日、上の階に謎めいたシングルファーザーの下井(草なぎ剛)が引っ越してくる。ほどなくして団地の近くで殺人事件が発生。克也は下井の正体が殺し屋だと妄想し始める。 今でこそNHKの朝ドラ『あまちゃん』の脚本を担当するなど、上品なユーモアで包んだストーリーもお手のものだが、もともとは下ネタ含む過激な笑いと風刺で人気の劇団、大人計画の主要メンバーとして成功したクドカン。自らの中学時代の体験や妄想を脚本に盛り込み、淡々とした団地と学校での日常と、エロありアクションありの過剰な妄想が小気味よく切り替わるストーリーに仕立てた。共演陣も仲村トオル、坂井真紀、遠藤賢司、ヤン・イクチュンと豪華で、皆川猿時、三宅弘城、宍戸美和公ら大人計画でおなじみの面々も。エッチなネタがなぜか感動エピソードに昇華したり、平凡なはずの団地で現実に銃撃戦あり格闘ありのアクションが繰り広げられたりと、クドカンワールドが全開の本作は、最後まで目いっぱい笑えて少しほろ苦い青春映画の傑作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『クロユリ団地』作品情報 <http://eiga.com/movie/77733/> 『中学生円山』作品情報 <http://eiga.com/movie/77240/>(C)2013『中学生円山』製作委員会
出るの? 出ないの!? “一人負け”ドコモがiPhone参入できない深いワケ
製品発表や記者会見のたびに「iPhoneは出さないのか?」と質問され、「今回は出せないが、参入は断念していない」といった回答を続けているドコモ。一部のマスメディアも「次こそは出る」と毎回煽り立てているため、iPhoneを使いたくてもドコモが大好きで他のキャリアに動きたがらないユーザーは、その情報を信じて待っている状態だ。しかし、出ない。 もともと、2008年にiPhone 3Gが発売される際、ドコモが最初の交渉相手だった。アップルはiPhoneを展開する国のナンバーワンキャリアにしか取り扱わせていなかったためだ。しかし、ふたを開けてみればソフトバンク扱い。これは、ドコモがアップルの出す条件をのめなかったため。当時イケイケのアップルは、金銭面や供給量のほかにも厳しい要求を突きつけたのだ。当然、ソフトバンクにも似たレベルの要求があったはずだが、孫正義氏は即応。これが、明暗を分けた。 11年にはauが参入。直前まで、「Android au」と謳っていたのに、一夜にして様変わりしたのには驚いた。一部ユーザーは、AndroidのiPhoneが出ると混乱し、当時のツイートには笑える内容のものも多い。これもギリギリの経営判断だと思うが、結局ユーザーを増やすことに成功した。しかし、この段階でもドコモは参入しなかった。 ドコモがそれでも出さない理由はいくつかある。まずは、自社サービスを捨てきれない点。ドコモはiモードで爆発的な成功を収め、ユーザーの囲い込みと継続的な大きな利益の確保という蜜の味を知ってしまったのだ。それをスマホでも実現しようと躍起になっているが、さまざまなアプリや高性能なブラウザが利用できるスマホで、独自アプリや機能で囲い込むのは難しい。しかも、iPhoneを開発するアップルが、独自アプリや機能の搭載を受け入れるわけがない。 次に、利益や販売台数の制限。iPhoneはiTunes Storeという仕組みを構築し、ユーザーからのお金を直接稼いでいる。こうなるとドコモは土管屋となり、オイシさが半減する。しかも、一定台数以上を売らなければならない、というノルマも発生する。ドコモの販売力からすればこれは簡単なのだが、問題はしがらみ。ドコモはこれまで大手国内メーカーとタッグを組んで端末を開発してきた。メーカーはドコモの言う通りに独自機能やアプリを搭載したり、スペックや価格の歩調を合わせてきたが、突然「iPhoneを採用するから、次回でおしまいね」というのも無理がある。 これまで筆者は、iPhoneが登場した時や新モデルが出るタイミングで取材を受け、取り扱いキャリアの予想をしている。今のところ、最初からすべて当たっている。夏に登場する予定の次期iPhoneでも、ドコモの取り扱いはないと考えている。しかし「ドコモから出る!」と断言する同業者も多い。そちらの情報も紹介しておこう。 日経新聞はこれまで、ドコモからiPhoneが出るという報道を繰り返している。これはもうオオカミ少年状態で、東スポ並みと揶揄されると、東スポ自身から「同じネタの使い回し、うちはありません。やるなら『ドコモ iPhone導入のため、iPS細胞使ったジョブズ氏クローンでアップル説得へ』ですよ」とネタにされてしまう。 しかし、4月には産経新聞が「今夏にもiPhone投入へ」という記事を載せた。そのほかにも、内部情報として次期iPhoneを出すのは確定といったツイートやブログなども散見されるように。さらに先日、ドコモは2013年夏モデルを発表。11機種のスマホをリリースしたものの、「GALAXY S4 SC-04E」(サムスン)と「Xperia A SO-04E」(ソニー)をツートップと位置づけて推している。これは異例のことで、ほかのメーカーとのしがらみは清算に入っているように見える。そうなれば、iPhoneの販売台数割合を増やすことも可能になってくるだろう。さらに、ドコモのサイトで「2013夏の新サービス」を紹介するページがあるのだが、そこの画像になんとiPhoneを持った女性が登場。すぐに画像は削除されたが、この状況での出来事なので意味深である。 それでも筆者は、ドコモからのiPhone発売はないと思っている。新端末は6月10日から開催されるWWDC(Apple WorldWide Developers Conference)で発表されるとみられている。日本の取り扱いキャリアや7月に発売される日程などは、6月20日頃に公開されるはず。そこで、すべてが明らかになることだろう。ドコモ公式サイト「2013夏の新サービス」にiPhoneを手にした女性が!?
(この画像は現在、削除されている)
“北海道が生んだ大スター”大泉洋のハマリ役『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』
今週紹介する新作映画は、難事件を追う探偵が主人公の邦画と、詐欺を仕掛ける即席コンビを描く洋画、共に犯罪にからむ筋立てだが、コミカルなタッチで気軽に鑑賞できる娯楽作2本だ。 5月11日公開の『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』は、東直己の小説『ススキノ探偵シリーズ』を原作とし、大泉洋主演で映画化した『探偵はBARにいる』(11)のシリーズ第2作。札幌の歓楽街ススキノを拠点とする探偵(大泉)は、友人だったオカマのマサコちゃん(ゴリ)を殺人事件で失い、相棒兼運転手の高田(松田龍平)と共に調査に乗り出す。警察の捜査がはかどらないのは、カリスマ政治家・橡脇(渡部篤郎)の力が働いているせいらしい。調査の途上、マサコちゃんと交流があった美人バイオリニストの弓子(尾野真千子)が現れ、探偵に犯人を捕まえるよう依頼する。 いまや北海道出身のスターとしてすっかり認知された大泉洋にとって、『ススキノ探偵』はまさにハマリ役。札幌のススキノをはじめ大通公園や大倉山ジャンプ競技場、室蘭の鉄鋼工場群やさびれた商店街など、北海道の現状が刻まれたロケーションを背景に、トボけたキャラを保ちつつカーチェイスや銃撃戦といった派手なアクションも熱く演じきった。マイペースだが頼れる相棒役、松田龍平とのコンビネーションも健在で、尾野真千子を交えたオンボロ車での珍道中もいい。意外な事件の真相や、切なくもスリリングなクライマックスなど、最後までしっかり楽しませてくれる充実の内容だ。 5月17日に封切られる『モネ・ゲーム』は、コリン・ファースとキャメロン・ディアスが初共演した犯罪コメディ。美術鑑定士のハリー(ファース)は、モネの名画「積みわら」の贋作を用意し、詐欺をもくろむ。テキサスのカウガールPJ(ディアス)を絵画の所有者に仕立て、英国のメディア王シャバンダー(アラン・リックマン)から15億円をだまし取ろうとするが、天然なPJのせいで計画は思いもよらぬ方向へ。果たしてハリーは大金を手にすることができるのか……。 67年に公開された『泥棒貴族』を元に、『ノーカントリー』(07)のジョエル&イーサン・コーエン兄弟が脚本を担当した。監督は『終着駅 トルストイ最後の旅』(10)のマイケル・ホフマン。『英国王のスピーチ』(10)でアカデミー主演男優賞を受賞した名優ファースが、ある事情でスーツのズボンを失いパンツ姿で名門ホテルをうろつくほか、ディアス、リックマンら共演スターたちも文字通り“一肌脱いで”笑いを誘う。英国紳士とテキサス娘の迷コンビをはじめ、文化的・経済的ギャップのネタが要所でアクセントになり、軽妙なストーリーにシニカルな視点を添えている。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』作品情報 <http://eiga.com/movie/77702/> 『モネ・ゲーム』作品情報 <http://eiga.com/movie/58010/>(C)2013『探偵はBARにいる2』製作委員会
異例のアニメーター募集に、未完成バージョンの放映……アニメ版『進撃の巨人』は大丈夫か
もはや撤退不可能。されど進めば地獄。そんな進退極まる状況にあるのが、現在放送中のアニメ『進撃の巨人』だ。2009年10月より「別冊少年マガジン」(講談社)で連載をスタートした本作は、謎の巨大生物・巨人に蹂躙(じゅうりん)される人類の絶望的な戦いを描く、ファンタジーアクション作品。単行本が発売されるやいなや、「このマンガがすごい!」2011年版オトコ編1位。「全国書店員が選んだおすすめコミック2011」1位。第4回マンガ大賞第7位。第35回講談社漫画賞少年部門受賞といった具合に次々と高評価を獲得。最新巻10巻までに累計発行部数1200万部を突破している大ヒット作である。 そんな本作のテレビアニメが4月よりMBSほかで放送を開始。いろいろな意味で話題を呼んでいる。原作者・諫山創の荒削りながら緊迫感あふれる描線を残しつつも、アニメらしい洗練されたキャラデザインや、CGを駆使することでワイヤーアクションとガス噴出を組み合わせた本作ならではの「立体機動アクション」が乱舞する第1話は、Linked Horizonの壮大な主題歌「紅蓮の弓矢」の迫力も相まって、アニメファンの間で高い評価を獲得。すぐさま主題歌のMADムービーがニコニコ動画に投稿されるなど、ちょっとしたフィーバーとなった。 しかし、第1話放送後に総作画監督・浅野恭司がTwitter上でアニメーターの募集を訴えるツイートを投稿。放送開始早々、本作のアニメ制作体制に対する不安がアニメファンの間でささやかれていた。ついで、先日放送された第4話から不穏な空気が作品に漂い始める。福岡放送で番組をチェックした視聴者の間から、妙に静止画や使い回しのカットが多いという声がネット上で上がり始めたのだ。その後、ファンの手によって福岡放送版と全国放送版の比較動画が制作され、アクションシーンを中心に福岡放送版は画像が差し替えられていることが発覚。そして先週放送された第5話で、事態はより深刻さを増してくる。先述の福岡放送に加え、北海道テレビ、テレビ大分でも静止画像、風景カットなどを多用した未完成バージョンが放送されてしまったのだ。 局によって異なる内容が放送されてしまったという事態に対して、公式サイト上には「制作上及び放送局納品期限の都合」と謝罪文が掲載されたが、果たしてこのまま無事に2クールを乗り切ることができるのか、ファンとしては戦々恐々といったところだろう(『進撃の巨人』の制作元請を担当するのは、『ギルティクラウン』などを制作したProduction I.G 6課のスタッフが2012年に独立し、設立したばかりの制作会社・WIT STUDIOである)。 これまでも、制作スケジュールの遅延や、制作体制の破たんでオンエアに影響を及ぼした作品がなかったわけではない。制作スケジュールの破たんによる動画枚数の削減、ストップモーションの多用。さらに線画の使用まで演出に昇華してしまった『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)や、韓国スタジオに丸投げした結果、壮絶な紙芝居を放送する羽目になった『ロスト・ユニバース』(98年)は有名なところだろう。それ以外にも、ここ数年に限るなら、第7話の納品が間に合わず第6話を2週連続で放送せざるを得なくなってしまった『ガドガード』(03年)(本作は全26話のうち、20話で打ち切りとなってしまった)。主にシナリオ面、設定面での作り込みに時間をかけ過ぎたために、あまり作画に時間を割くことができなくなりお粗末な作画でオンエア。その後、ファンからのブーイングを受けてDVDの単品発売が中止。全面的に作画リテイクを施し、放送開始から1年後にBOX形態でようやくソフト化を実現した『咎狗の血』(10年)(BLゲームを原作とする本作において、キャラクターの作画崩壊はもっともクリティカルな問題だったようである)。はたまた超絶低クオリティー映像でアニメファンを震撼させた『MUSASHI -GUN道-』(06年)。「制作会社の都合」により、第6話で放送が中断してしまった『RGBアドベンチャー』(06年)など一連のACCプロダクション作品など、華やかなアニメブームの裏側では惜しくも討ち死にしてしまったアニメたちが死屍累々である。 この中に『進撃の巨人』が新たにリストアップされるのか。それとも、ここで見事踏みとどまり、アクションアニメ大作として歴史に名を残すのか。図らずも本編に負けず劣らずの危機的状況となってしまった(と思われる)『進撃の巨人』の制作状況だが、スタッフの奮戦に期待したいところである。 (文=龍崎珠樹)アニメ『進撃の巨人』公式サイトより
生きている証の“傷” ケガドル・野中ひゆ
大阪の日本橋を中心に、パフォーマンスアイドルとして活躍している彼女。
特殊メイクや造形・映像作品を生み出すなど、アイドル活動だけではなくアーティストとしての側面を見せ始めてもいる。
そんな彼女の特色は、体に施された特殊メイクの“傷”。
今までにもファッションの一部として包帯を巻いているアイドルは存在した。
しかし彼女はその下に敢えて傷を作ることで、傷つきやすく、また時に自傷行為に走ってしまう多感な女の子の内面を表現しているのだという。
今回はそんな彼女があまり見せない、普段の彼女に近い画(え)をお届けしたい。
●野中ひゆ
生年月日:1月29日 出身地:奈良
サイズ:T.163cm、B.87cm W.59cm H.87cm
特殊メイクを活かし、各種映像作品に参加。彼女が特殊メイクで参加した『大阪外道(石原貴洋監督作品、2011)』は、2012年のゆうばり国際ファンタスティック映画祭にてオフシアター・コンペティション部門でグランプリを獲得。
現在は出身地の奈良発信のインターネット放送局DEERs NARA Channel
にて「無意味診療所」に〝雷音〟こと声優の承太さんと毎回サブカルチャーに関する話題を提供する。
・公式ブログ野中ひゆ診療所
http://ameblo.jp/hiyu-nonaka/
破壊力抜群のオナホが鳥インフルも駆逐する!? 中国オナホ博覧会の今
反日デモが一段落しても、PM2.5や鳥インフルエンザなど、お隣の国・中国が抱えるトラブルは多い。しかし、そんな問題もなんのその。この中国市場に対して、オナホを片手にグングンと割って入るのがトイズハート社だ。「セブンティーン」「SI-X」といったオナホラインナップがすでに中国アダルトグッズ界でも人気なのは既報の通り(http://www.cyzo.com/2012/11/post_11903.html)。同社では今年4月にも、北京、上海のアダルトグッズ展示会に参加し、メイドインジャパンのオナホクオリティを見せつけた!
性の解放が進む一方の中国。アダルトグッズは、専門ショップのみならず、ホテル、コンビニなどでも販売されるほどに市民権を獲得している。その市場規模は2011年の1,300億円から2014年には5,200億円規模にまで成長する見込みだ。

上海生殖健康展覧会の様子

大賑わい。

トイズハートのブース前も立錐の余地なし。

女性も興味津々のようだ

大気汚染は深刻。“黒い雨”が降った後には高級車も
たいへんなことに……。
たいへんなことに……。
くまモン大ヒットの舞台裏『くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ』
くまモンが好きだ。 あのぽっこりとしたルックスと、体型に似合わない俊敏さ、そして空気を読まない行動……。くまモンのサイン会取材で出会って以降、かわいさ、サービス精神、そしてやんちゃぶりにすっかりと虜になってしまった。100メートル走11秒台、エアギターやバンジージャンプにも果敢に挑戦……一時期は夜な夜なくまモン動画を見る日々が続いた。 群雄割拠するゆるキャラ戦国時代を生き残り、もはやすっかり“体制派”となったくまモンを好きだと公言する行為は、“マスコミの裏をかく”というテーマを掲げる日刊サイゾー上において自殺行為に等しい。おそらく、読者は白い目でこの文章を眺めるのではないか……。まあ、いいか。 先日「熊本県庁チームくまモン」によって上梓された『くまモンの秘密 地方公務員集団が起こしたサプライズ』(幻冬舎新書)を引きながら、くまモンの素晴らしさについて語りたい。 2010年に初登場して以降、11年の「ゆるキャラグランプリ」を獲得し、関連商品の売り上げは1年間で293億円にも上る。キャラクターライセンスを持つ熊本県庁では、くまモンのキャラクター使用料を求めておらず、熊本県のPRにつながる商品であれば、審査通過後、誰でも無料でくまモンを使用することができる。結果、熊本から遠く離れた関東のスーパーやコンビニでもくまモンの商品が並べられており、熊本のPRに絶大な効果を発揮している。その手法はまさに「フリーミアム」。時代に即した高度なマーケティング力で、われわれの日常に浸透しているのだ。すごい、すごすぎる……。 そう、ゆるキャラ界の頂点に立つくまモンは、実は“テッパン”のキャラなのだ。 アカデミー賞を受賞した『おくりびと』の脚本家であり、『カノッサの屈辱』『料理の鉄人』(共にフジテレビ系)などを手掛けるヒットメーカー・小山薫堂がプロデュース。デザインはアディダスやNTTドコモなどのアートディレクションで知られるグッドデザインカンパニーの水野学。くまモンは生み出された当初からまったく「ゆるくない」血統を持ったサラブレッドであり、成功を約束された存在だった。本書での記述は薄いものの、くまモンの陰に広告代理店・博報堂の優秀な戦略的プロモーションがあることは間違いないだろう。 しかし、だからといってネット上で喧伝されているような“ゴリ押し”の批判は早計だ。どんなに血統がよくてもまったく走らない馬がいるように、いくらゴリ押しされても消費者に受け入れられなかったり、瞬間風速のブームに散る商品は多い。くまモンは、ゆるキャラグランプリ優勝後2年を経ても一線級の活躍を見せている。 では、なぜくまモンだけが、ここまで愛され、稼げるキャラになったのだろうか? そもそも、くまモンは九州新幹線の開業に合わせて企画された「くまもとサプライズ」キャンペーンのキャラクターだ。博多〜鹿児島中央を結ぶ九州新幹線が開業した時、影の薄い熊本県は多くの観光客にとってただの通過駅になってしまう可能性がある。「熊本で足を止めさせなければ……」観光客からスルーされるかもしれないという恐怖が、チームくまモンをひとつにまとめ上げ、くまモン躍進の原動力となった。 だが、待ちに待った新幹線開業の日、くまモンは挫折を味わうこととなる。 11年3月11日に発生した東日本大震災の煽りを受けて、3月12日に開業を予定していた九州新幹線の記念式典は中止・変更を余儀なくされた。全国から注目が集まり、くまモンの活躍が一番のピークを迎えるはずのその日、彼は被災地への配慮から出動することさえできなかったのだ。誕生から1年、くまモンとスタッフたちによる苦労は報われなかった。ようやく出動できるようになったのは、震災から2週間後のことだった。 その悔しさをバネに、破竹の勢いで知名度を広げたくまモン。ゆるキャラグランプリ2011を獲得して以降は、知名度・ビジネスの両面で最強のキャラクターに君臨している。 さらに、くまモンの成功は熊本県の職員たちの意識も変えつつある。 設定上は“公務員”であるくまモン。吉本新喜劇に登場したり、企業とのコラボ商品の開発、ニセの失踪事件など、ヘタすれば県内外からの批判も招きかねない。多くの公務員ならば、広告代理店から提案されても「前例がない」と消極的になるだろう。しかし、チームくまモンは違った。東大教授から政治家に転身した蒲島郁夫知事の理解のもと、「迷ったらGO!」を合言葉に、どんどんと突き進むのだ。 「くまモンと一緒に仕事をしてつくづく思ったけれど、行政だからこんなことやっていいのか? と言って遠慮していてもいかん。県民や企業のみなさんのためになると思うなら『やるしこやってみる(やるだけやってみる)』のが大事かな」 お役所体質とは無縁なその姿勢がなければ、いくら小山薫堂プロデュースとはいえ、有象無象のゆるキャラとして埋没していただろう。失敗を厭わない彼らの心意気があってこそ、くまモンの成功はあったのだ。 かつてはほとんどなんのイメージも持たれていなかった熊本だが、今ではくまモンか坂口恭平かというくらいにキャラが立った県になった。しかし、チームくまモンにとっての本当の戦いはこれからだ。くまモンを通じて、熊本の本当の魅力を伝え、観光客を呼び込めるか否かが、くまモンを生み出した「くまもとサプライズ」キャンペーンの成否を決定する。 頑張れ、くまモン。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])『くまモンの秘密 地方公務員集団が
起こしたサプライズ』(幻冬舎新書)
『惡の華 ~ハナガサイタヨ会~』徹底詳報 「原作ファンはこれを待ち望んでいると信じてた」
第1回(※正式な話数表示は「回」)オンエア直後から、絶大な賛辞と同時に強烈な拒否反応を呼び起こしたアニメ『惡の華』。ロトスコープの画が気持ち悪い、エンディングテーマ曲が怖すぎる……。しかし非難をよそに、評価の声も確実に増えてきている。緊張感あふれる日本映画的な第1回ののち、事態は仲村佐和の怖さと春日高男の挙動不審をもって笑いのターンに入り、大天使っぷりがたまらない佐伯奈々子の物語への本格参入によって恋愛の要素も醸しだされ、1話ごとにコロコロと表情を変えてきた。後述するスタッフの言葉によれば、今後も変転は続くという。最後まで見ないことには評価ができない作品であることは明白だ。 なぜこの作品はめまぐるしく表情を変え、見る者によって評価が著しく異なるのか? それもそのはず、スタッフやキャストも、第1回が完成するまでは着地点が見えていなかったのだ。 4月27日、パセラリゾーツ銀座店B3 BENOAにて開催されたイベント『惡の華 ~ハナガサイタヨ会~』には、監督の長濱博史、原作者の押見修造、春日高男役の植田慎一郎、それに飛び入りで仲村佐和役の伊瀬茉莉也、音響調整の名倉靖(SonoPower)、そして司会として山田役の松崎克俊(やさしい雨)が登壇。メイキング要素たっぷりのトークを繰り広げ、映像の元になった実写映像(第3回)の上映を行った。時系列に沿って言葉やリアクションを拾いつつ、『惡の華』考察の材料を積み上げていこう。 まず登壇したのは長濱、押見、松崎の三氏。長濱によれば、スターチャイルドの中西豪プロデューサーから「やってもらいたい作品がある」と声をかけられたことが、アニメ版『惡の華』制作のきっかけだったという。意欲的な中西に対し、長澤は否定的だった。これなら、と採用したのはロトスコープ。 「すごく原始的なアニメーションですね。今の進化したアニメーションとは違って、退化している」(長濱) ■絵柄が違う! 「原作と絵柄が違うので、原作のファンに生卵をぶつけられるのではないかと、長濱監督はずっと心配していたんです」とは司会を務めた山田役、松崎の弁。幸い、会場に卵を手にした原作ファンはいなかったが、実は初期の画は長濱自身が恐縮する出来だった。洗練されてきている現在とは、トレースの仕方が異なっていたのだという。 「唇とか眼の下のたるみ、鼻の小鼻を全部取った。試しに先生(押見)に見てもらって『実際はもっとかわいくなる、もっと格好よくなるはずだ』と。先生は『すでにかわいく見えてますよ』を言ってくれましたが」(長濱) 自分でもトレースしてみた押見は「適当に線を拾ったら、ああはならない」ことを確認。絵描きとして、その可能性を感じていたようだ。 「トレースは人によってバラバラでした。それをまとめるのが一番大変でした。今でも」(長濱) たとえば山田。演じる松崎のパーマヘアのラインを全部克明に取ると、存在感が半端なくなってしまう。そのためフォルムを整理し、髪の毛ではなくエフェクトのようなものだと考え、輪郭線を取っているのだという。 ■奥深い録音調整 登壇した3人ともロフトプラスワンのノリでビールを頼むが、それが運ばれて来る前に水を運んできたのは、なんと仲村佐和役の伊瀬。遊びに来たはずが急遽出演することになり、「後で戻ってくるから」と一度退散する。 ここで登壇したのは、録音調整の名倉だった。彼も飛び入りである。 「『蟲師』からずっと録音調整をお願いしています。録音調整は奥が深い!」(長濱) 『惡の華』の場合、たとえば学校の廊下で話すとして、建物の材質、窓がどちら側についていてどのくらいの大きさかといった空間情報を考慮しつつ反響をつけ、まるでその場で話しているかのように加工していく。ほかにも、アフレコ中に声優の声を画の口パクに合わせて調整するなど、作業は多岐にわたる。 「基本的にセリフに関する音周りのすべてと、深田さんがお持ちになられる音楽のバランスを調整しています。効果音は音響効果さんが作ってこられるので、録音現場では効果さんと2人でミックスしていくという作業です」(名倉) 音響制作についてはロトスコープということで、大きくは二段階に分かれている。あらかじめ編集された実写版にアフレコをしてセリフを載せるヴァージョンと、最終的にアニメーションになった画に対してさまざまな音源を搭載、ミックスした最終ヴァージョンだ。この日に上映された実写版は最終ヴァージョンだった。 原作の押見は「通っていた通学路で聞いた音がまざまざと甦る。あのカーブミラーのところ、すっげえ静かなんですよ。車の音もあまりしていなくて、烏の声と、3人の声が反響しているんですけど、それを僕は知っている」と、アニメ版『惡の華』の音響を評価する。「この人が要です。この人がいなかったら、薄っぺらい音になってる」と長濱が称賛する名倉ら音響制作スタッフの労苦の賜物だ。 ■植田慎一郎登場 そして、春日高男役の植田が登壇する。現場では「カス」「バッカス(馬鹿カスの略)」「負けカス」と呼ばれて散々な植田だが、それは愛されていることの証であるようだ。長濱はチャラいジュノンボーイの植田を、オーディションで落とす気まんまんだったという。 「最初にオーディションに来たときは、今よりチャラっチャラな男だったんです。絶対にコイツだけは選ばない、と思っていた。いや、そりゃそうですよ。ジュノンボーイですよ。絶対ダメ。春日じゃない。外す気満々だったんですよ。でも、真面目なんです。あと弱い。芝居がものすごく弱い。オーディションで、男の子の役は順繰りに全部やったんです。山田をやっても弱い。小島をやっても弱いんだ、これが。もう、ヘロヘロなんです。人一倍奥にいる」(長濱) 「ナイスガイだと思いました。すごく人懐っこかったですよ。一番先に来て話しかけてきてくださって『僕のお姉ちゃんの写メ見ますか?』とか」(押見) 1時間半早くオーディション会場に着き、無音に耐えられない植田は、自分から長濱や植田に話しかけた。 「いいヤツだなと。最終的にすべてを賭けてくれるんじゃないかとね。『髪を切るのも裸になるのもブルマを履くのも、問題ないです。なんでもやります』と言ったから、じゃあと、春日くん(役)に決めました」(長濱) ■伊瀬茉莉也登場 そして春日にブルマを履かせた変態類友、仲村佐和役の声優キャスト伊瀬が登壇した。伊瀬が仲村の役を射止めたことには、タイミングが大きく関わっていた。昨年、長濱に再会した伊瀬は「長濱監督の現場に帰りたい」と号泣。胸のうちをさらけ出したとき『伊瀬ちゃんにピッタリの役があるよ』と言われたという。 「“ピッタリ”とは、どういう意味なんだろうと思って原作を読ませていただいて『うおー……長濱監督はなぜわかってしまったんだろう? ピッタリじゃないか』と。『仲村の役は私でしか演じられません。演じさせてください』と、こちらからもお願いしました」(伊瀬) このときの伊瀬は、仲村のように髪を短くし、何かをぶつけたいという力が出ていたという。「今、この役の時期なんじゃないかと思った」と長濱。 自分の役者人生をすべてかけようと、伊瀬は原作を読み始めてから1年、心の中で仲村を育ててきた。仲村に「なる」作業は、もちろん現場でも継続してきた。 「アフレコ現場では、それぞれが役に入る準備をしているんです。植田くんはだいたい膝を抱えている。『俺は春日、俺は春日』と。ひよっち(日笠陽子)はソファーに体育座りして、ぼーっと抜け殻みたいになっていて。私は仲村の気持ちを作るために『おはよう』って、(植田に)近づいていくんですよ。でも彼は逃げていく。それを追いかけることから始まりました」(伊瀬) ■押見修造の指摘する「向こう側」 ノロウイルスで倒れた2回を除き、ブースの後ろで漫画の原稿を書きながらアフレコに立ち会った押見は、原作者として、演技の監修に当たる一言を、時折放っていた。 「伊瀬ちゃんが植田くんに何かをぶつけたり叫んだりするとき、それが春日に向かっている仲村の言葉だった場合、必ず先生は『違和感』があると言うんですよ。『今のは、春日に向いていたから』と。1話の『うっせえ、クソムシが』は(担任の)先生に言うんじゃなく、虚空に言う感じ、と押見先生は言ったんですよね。中村は、春日の後ろにある向こう側に向かって言っている。『自分をよく見ろよ』と言うときも、同じです。春日と中村は同じ方向を向いているから、お互いを見つめ合うことはない。『私が見る向こう側をあなたも見なさいよ。あなたにも見えるはずなんだから』というのが仲村だと」(長濱) 第1回「クソムシが」の本番テイクは、力が入りすぎ、向こう側ではなく手前の担任に向かってしまったため、テストのテイクが採用された。 ■実写版第3回上映へのリアクション そして、この日の目玉である実写版第3回上映の時間がやってきた。ロトスコープ方式でアニメーションを制作するための「素材」である実写版は、しかし尺も合わせて一度かっちりとしたフイルムになっている。映像はモノクローム。ときに某「ボ○ギノール」CM調の静止画カットが入る。ほぼそのまま実写映画として見られる出来になっているが、あくまでもロトスコープのベースとなる映像であるため、一部にいかにも制作中という感じの痕跡が残っていた。 ・お母さんの実写キャスト、茶髪の若い役者さん。 ・図書室で返却カウンターの上に助監督が立っている。 ・『惡の華』の本の表面はテクスチャを貼り込むため、マーカー仕様になっている。 ・いっしょに下校するシーンの仲村佐和実写キャストの佐々木南は、就活中で髪の毛の色が黒くなっている。 これらは逐一、長濱監督によって解説された。 冒頭、ブルマを手に挙動不審な春日のシーンから笑いが漏れる。これはこれでアリだ。十分鑑賞に耐え得る。OPを歌う「の子」の声に、「植田くんの声に似てません?」と伊瀬。その通り。ついでに言えば、第4回OPの後藤まりこ(元ミドリ)の声は、伊瀬に似ている。 春日が佐伯奈々子の体操着を捨て、証拠隠滅を図ろうとするカットの背後に見えるおばさんを「ここむちゃくちゃ怖いですよね」という松崎に、長濱監督は「『桐盛館』という俺たちがお世話になった旅館の女将さんなんですよ」と説明。 「うぉい春日、ドゥクシ」と山田が春日をいじるところでは場内から笑い。「春日、面白いことになってきたな」(山田)でまた笑い。とにかく山田はいるだけで笑える。 第3回のクライマックスは図書室で仲村が春日の服を脱がし、佐伯の体操着を着せる場面である。 「佐々木さんは一旦、ここで手を(体操着の袖に)通すんですよ。アドリブでやってくれたんです」 春日(海パンを履いた植田)を脱がして体操着を着せブルマを履かせるところは、本気で抵抗された状態で着替えさせ、かなり時間がかかったという。このシーンが終わり「先生どうですか?」と訊ねられた押見は「うらやましい!」を素直な感想をもらした。 満月に佐伯が浮かぶシーンでも笑いが起こる。 「今どきやらないですよね。これがシュールギャグたるゆえん」(長濱) フィリップ・K・ディックの『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』を手に持ち冷や汗をかく春日の背後で、山田が口笛を吹いて平静を装っているところでも、また笑いが起こった。完成したアニメ版ではピントをぼかした背後に山田がいたためわかりにくかったが、くっきりした山田(松崎)の顔に場内が和む。 ■ずれと想定外 気になるのは、この上映中、そして上映後に長濱から出てきたいくつかの言葉だ。 「(新人)は、昔の日本映画で必ず入れていたんです。縦書きだったらこれだろうと思って入れたんだけど、このギャグわからないかなぁ」 「これエンディング怖いですか? みんな格好いいと言ってくれると思っていたから」 「実写どうですか? 実写だけでもあり? そう言われると複雑な気持ち」 どうも視聴者と長濱の読みがズレているようなのだ。しかしズレているということは、想定外の作品を届けているということでもある。それが新鮮な驚きと捉えられれば賞賛に、期待していない要素を捉えられれば非難に、それぞれ転換されるのだろう。 賛否それぞれの要因となっている「実写でやらなかった理由」を松崎に訊かれた長濱は次のように答えた。 「実写でやったら、要は佐々木南(仲村佐和役)さん、三品優里子(佐伯奈々子役)さん、植田慎一郎です。でもどうしても、フイルムの中にしか存在しない人にしたかったんですよ、仲村佐和も佐伯奈々子も。だから、三品さんだけがいたら佐伯奈々子になるわけじゃない、日笠(陽子)さんの声が加わって佐伯奈々子になる。伊勢ちゃんの声がはまってようやく仲村佐和になるという方向に、持っていきたかったんですよね。だからどうしてロトスコープかと言われてもわからない。それが一番原作が求めていることだと思ったし、先生もそうだそうだと言った。俺たち2人は、原作ファンは絶対これを待ち望んでいると信じて疑わなかった。だから原作ファンの人が『なんじゃこりゃ?』となったと聞いて、『あれ?』って。俺は原作を読み間違えたのか? でも先生と俺はズレがないんですよね。そこが不思議なところです」 これに対して「僕がズレていたんですよ」と押見。伊瀬は次のように肯定した。 「あれが2次元の原作の画をそのまま描いたアニメーションだったら、また全然別物になっていたと思うんですよね。先生は最初に『惡の華』はジャンルに分けられないものだとおっしゃっていたじゃないですか。変態だけを描いている漫画ではないし、仲村に罵倒されてキュンキュンする作品ではない。それを提示するには、アニメでもない実写でもない2.5次元的なところで描いているこのロトスコープはすごいと思いました」 音響でもロトスコープは効果的に働いていた。 「実写の画は見られるんですが、最終的な画がどうなっていくかまったくわからない状態です。音をどう作り上げていくか、音響監督のたなか(かずや)監督と音響効果の川田(清貴)さんと3人で話して、わからないね、というのが、実は最初の結論だったんですよ。ただ実写をもとに画を描いていくということは、一度実写の画に対して説得力のある音を作っていこうという方向性があり、セリフのアンビエンス(背景音)とか、効果音の付け方も全部決まっていった。第1回の後に、初めからロトスコープの画でやっていたらこの音にはならなかったよね、という話をしました。その場合、アニメ的な方向に作りを寄せていくことになったんだろうなと。実写の音のままロトスコープに当てて逆にマッチした加減が面白い」(名倉) 「アニメでこの音出せるんですね」という長濱の言葉に、名倉は「アニメじゃねえもん、実写につけてんだもん」と返したという。 「こんなにリアルな音を作れるんだなと。全部が組み上がるまでは想像しきれなかった」(長濱) スタッフにも予測不可能な着地点が視聴者にわかるわけがない。なんともライヴな作りだが、それもある程度は狙いのうちだ。ホラーのように始まり、ギャグに転化した第3回を、松崎は「僕は仲村さんがかわいい回。河原でかわいい回」と評している。 「滑稽に見えるところから恋愛の要素が出てきて、いろいろ形が変わっていくところが面白い」と長濱が言えば、「主人公も一貫していないですしね」と押見。 人間とはそういうものだ。ちょっとの付き合いで表面はわかっても、心の深奥まではわからない。そのドロドロをえぐり出すことがテーマであれば、1話ごとに作品が表情を変えていくのも当然だ。『惡の華』は生き物のようなアニメであるらしい。 ●登壇者コメント 伊瀬茉莉也 「すみません、飛び入りで参加させていただいちゃいました。この思いがどれだけ伝わるかわからないんですが、この『惡の華』に携わっている人は、みんな同じ思いだと思います。特別なんですよ。どれだけ特別かって? むちゃくちゃ特別(笑)。最終回のアフレコが終わったときは寂しくて、自分の半身が持っていかれた気分。だからこうやってイベントに遊びに来て飛び入りしちゃうし、アフレコは終わったけど、来週からダビングのほうに……そういうこと、今までにないから。仕事として割り切っていない。本当に特別な作品なので、どうぞみなさんも、オンエアを最後まで見てください。ものすごい衝撃が待ってます」 名倉靖 「飛び入りでごめんなさい。本当にすいませんでした。アフレコも全部終わっちゃって、音響作業が概ね真ん中くらい。アフレコも衝撃なんですが、毎回毎回ダビングも『ああ~っ』と……。冷静な部分を持って現場に臨んでいるんですが、そこを超えた衝撃が毎回出来上がっていて。各話微妙にニュアンスが違うんですが、回を追ってすごくなる。この先、すっごく楽しみにしていてください」 植田慎一郎 「今日は実写の映像を見ていただいたんですが、僕のあられもない姿を見た責任として、最後まで見ていただきたいなと思います。今日放送の4話、5話と進むにつれて、春日が気持ち悪くなっていくので」 長濱博史 「特別なものにはなっていると思います。現場は毎回変なテンションになるんです。出来上がってくるものはまったく予想がついていない。毎回先が楽しみで。自分の中では最終回が一番大きな意味を持っているんですよね。最終回は相当すごいです。自分でハードルを上げるみたいであれなんですが、ないです。最終回は、本当にない最終回です。本当にない。(※それ、まったく伝わってこないですよ、と松崎に言われて)俺は見たことがないんです。最終回でロトスコープにしてよかったなと思ったんですよね。ロトスコープでしかできないことをやった。それを楽しみに、ずーっと見ていってくれたら、最終回はすごいものになります。最終回だけ見てもすごいですけど。またイベントも何回かやらせていただけるみたいなので、これからも『惡の華』をよろしくお願いします」 押見修造 「オンエアのたびに、監督に感想メールを送るようにしていたんですが、3話目くらいから素直に送れなくなってきて。悔しくて。漫画より面白いじゃないかと思って、あまりテンションの高いメールが送れなくなってきた(苦笑)。4話目も嫉妬して。しかもここからもっとすごい回ばっかりなので、これは自分も頑張って漫画を描かないとと、決意を新たにしました。これは、いち視聴者として見ないともったいない作品だと思っています。ぜひ見てください。漫画も読んでください」 ※なお、この実写版第3回はイベントのみの限定上映の予定だったが、ファンからの反響に応える形で後日配信された。 (取材・文=後藤勝)左から司会の松崎、飛び入りの伊瀬、主演の植田、原作の押見、監督の長濱、音響調整の名倉。
情弱ホイホイにご用心! ネット上のウソを見抜くテクニックとは?
ネット上は欺瞞に満ちている。 「ウソをウソと見抜けないと(2ちゃんねるを使うのは)難しい」。これは、2ちゃんねるの元管理人・西村博之氏の言葉だが、今の時代、SNSやTwitter、ブログにまで当てはまる箴言(しんげん)と言える。単に間違った情報を得てしまうだけならともかく、シェアして拡散したり、偏った意見に同調して知人に迷惑をかけるという実害も出る。ネットのウソを見抜き、正確な情報だけを効率よく得ることは、意外と難しい。 ネット上のウソは、ありとあらゆるところで問題を引き起こす。例えば、先日アメリカのボストンでテロが起きた際、とんでもない動画がYouTubeに投稿された。「テロを祝福する在日米軍は不要」といった内容の英語のメッセージで、プロフィールには「I am JAPANESE」と書かれていた。テロで死傷者が出ているところに、政治を絡めてあおり立てるのは最悪だ。これを日本人の投稿と受け取ったアメリカ人がいるなら、ひどい反感を持つに違いない。しかし、うかつに真に受けず、ちょっと調べると何か変だということがわかる。投稿者のアイコンは韓国国旗にも使われている太極マークで、過去の投稿はすさまじい反日コメントだらけ。突如として日本人を装った投稿を行ったのは、動画を見た人に日本を攻撃させることが目的だとわかる。当然のように炎上したので動画は削除されたが、著作権侵害の申し立てをしたのは「kim min songさん」。ここまでくれば、日本に反感を持つことはないだろう。 これは日本人にとってはわかりやすい事例だが、通常はブログやTwitter、SNSなどで目にした情報が自分の琴線に触れると、真実かどうかのジャッジを行わず、良かれ悪かれ過剰反応してしまう。「イイ話をシェアする情弱が急増中 SNSで感動話を創作して「いいね!」を稼ぐ輩たち」(http://www.cyzo.com/2013/04/post_12968.html)でも触れたように、創作話に飛びついて、このいい話をシェアする自分ってなんてセンスがいいのでしょう、と情弱ぶりを晒している人たちも増えている。URLの転送先がアフィブログで、金儲けのコマにされているのに気がつかないのだ。「いいね!」やフォロワーを集めてから、突然内容を変えて怪しい商材を売ったり、偏向メッセージの発信をし始めるケースもある。 自分が共感できる意見だとしても、他人に発信する前には真偽を確認すること。ものすごく反感を覚える意見だとしても、すぐには反論しないこと。その人を貶めるために、逆の立場の人が偽装している可能性も高いのだ。耳に優しい情報だけを流動食のように摂取するのではなく、検索してウラを取り、正確な情報を得るようにしたい。Googleで検索するテクニックはみんな持っているはずだし、ネットにはすべての情報がある。ウソをウソと見抜くのは技術の有無ではなく、心がけの問題。とはいえ、すべてを疑って陰謀論にハマってしまうのもまた情弱。情報の流れの中道に立ち、真実を手にしてほしい。 (文=柳谷智宣)くだんのYouTube動画。







