今週紹介する最新映画は、伝統的な様式をベースに新たな着想と現代的なセンスを加味して才気あふれる作品に仕上がった洋画2本。映画の楽しさと可能性をあらためて教えてくれる傑作たちだ。 9月6日に封切られる『サイド・エフェクト』(R15+)は、社会問題に切り込む硬派な作品から豪華スター競演の娯楽大作まで、多彩な話題作を送り出してきたスティーブン・ソダーバーグ監督が、自身の“最後の劇場映画”として挑んだヒッチコック風サスペンス。若妻のエミリー(ルーニー・マーラ)は、金融マンの夫マーティン(チャニング・テイタム)がインサイダー取引で収監された4年の間に、かつて患ったうつ病を再発させる。精神科医のバンクス(ジュード・ロウ)が処方した新薬により、エミリーはうつ症状を改善させるが、副作用で夢遊病を発症。出所して再び一緒に暮らし始めたマーティンを、意識がもうろうとした状態で刺殺してしまう。主治医としての責任を問われ、仕事も家族も失う危機に直面したバンクスは、問題の新薬を独自に調べ始める。 悲劇のヒロインか男を破滅させるファム・ファタールか、謎めいた美女をルーニー・マーラが迫真の演技で表現。『ドラゴン・タトゥーの女』(11)の女ハッカー役に続いてスレンダーな肢体を大胆に披露し、美しくも危険な魅力を放っている。ソダーバーグ監督は、精神疾患と司法制度、製薬会社と医師をめぐるカネ、株の不正取引などさまざまな現代の問題を盛り込みつつ、緻密に伏線を張って一級のサスペンスに組み立てた。登場人物らの言動が、意図しない副作用(サイド・エフェクト)を起こして予想外の事態につながっていくさまを、リアルさを重視した映像とともに楽しみたい。 続いて9月7日公開の『アップサイドダウン 重力の恋人』は、ジム・スタージェス、キルステン・ダンスト主演で描くSFラブストーリー。真反対に引力が作用する双子惑星で、貧困層の住む「下の世界」の少年アダムは、富裕層が暮らす「上の世界」の少女エデンに恋をする。両世界の交流を禁じる法を破った2人は警備隊に見つかり、アダムの家は焼き払われ、エデンは逃げる際の事故で記憶喪失になってしまう。それから10年後、アダムは両世界を唯一つなぐ「トランスワールド社」に就職し、上の世界に潜入してエデンとの再会を試みる。 メガホンをとったフアン・ソラナス監督は、カンヌ映画祭で監督賞を受賞したアルゼンチンの巨匠フェルナンド・E・ソラナスを父に持ち、長編映画はこれが2作目となる新鋭。夢で見たという逆さまに向き合う男女のビジュアルを出発点に、『ロミオとジュリエット』から連綿と続く格差恋愛物語のSFファンタジー版といった趣の脚本を書き起こし、オリジナリティあふれる世界観を驚異的な映像で表現した。トランスワールド社の上下シンメトリックにデスクが並び天井側にも社員が逆さまに行き来する圧倒的なオフィスの光景や、2人が逢瀬を重ねる山頂で逆さまにキスするファンタジックで詩的なシーンなど、二重の引力という設定から生まれるユニークでインパクト大の場面の数々に息をのみ、想像をかきたてられる。逆さまの男女が織りなすラブストーリーという点は、11月に公開される日本のアニメ映画『サカサマのパテマ』にも共通しており、こうした特殊な設定の映画がほぼ同時期に製作されるというシンクロニシティの不思議も感じつつ、両作品を見比べるのも一興だろう。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『サイド・エフェクト』作品情報 <http://eiga.com/movie/77977/> 『アップサイドダウン 重力の恋人』作品情報 <http://eiga.com/movie/78215/>(C) 2012 Happy Pill Productions.
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裏・国民食! うまい棒のすべてがわかる『やおきん公認うまい棒大百科』
熱烈なファンが多い、うまい棒のすべてがわかる本『やおきん公認うまい棒大百科 』(河出書房新社)がついに出た!! うまい棒といえば、1979年の発売以降、爆発的な人気を誇り、裏・国民食といっても過言ではない“キング・オブ・駄菓子”だ。一度聞いたら忘れられない、シンプル極まりない直球のネーミング。昔からずっと変わらぬレトロなパッケージに、ちょっと小腹がすいた時に片手で気軽に食べられるあのサイズ。そしてなんといっても、発売当初から揺らぐことのない、1本10円という値段。この不景気に、スゴイではないか。 もちろん私も小学生の頃から大好きで、テリヤキバーガー味をずっと偏愛している。超定番のチーズ味に、やさいサラダ味、めんたい味に、最近はなっとう味まで発売され、たまには冒険してみようと思うのだが、結局、同じものばかりを選んでしまう。おそらく日刊サイゾー読者の多くも、お気に入りの味があったり、子どもの頃の思い出や情景なんかが、ふっと出てきたりするのではないだろうか。 そんな長年にわたり愛され続けるうまい棒には、強烈なファンが存在する。この本が面白のは、「うまい棒同盟」が監修していて、販売元の「やおきん」はあくまで“公認”という立場なことだ。「うまい棒同盟」とは、うまい棒好きの管理人が立ち上げたウェブサイトの名前であり、管理人はいってみれば、ただのファン。この管理人氏の詳細は謎だが、誰よりもうまい棒を愛し、うまい棒の奥深さを知り尽くし、その愛ゆえに、やおきん公認のウェブサイトとなり、この本を監修するまでに至っている。ちなみに、パッケージに描かれている、飛び出さんばかりの元気なキャラクター「うまえもん」の名づけ親でもある。 本書では、これまでに発売されたうまい棒の紹介、うまい棒の歴史、うまい棒を知る上での最重要人物が語るうまい棒誕生秘話、トリビアなどに加え、うまい棒好きの森永卓郎氏へのインタビューや、作家の角田光代氏のエッセイまでもが掲載され、読み応えたっぷり! 「この頃、何かと企業の商品本がいろいろ出ているが、これは宣伝ではなく、どのページをめくっても、純粋なうまい棒へのあふれんばかりの愛が感じられる。うまい棒は国宝です」(うまい棒同盟HPより) あー、無性に食べたくなってきた! (文=上浦未来)『やおきん公認うまい棒大百科 』(河出書房新社)
大公開! 13年8月度「日刊サイゾー」Amazonで売れたものランキング!!
いまや書籍のみならず、あらゆる分野の商品をそろえるネット上のマーケット空間「Amazon」。日刊サイゾーからも、記事の関連商品や人気の商品にリンクを貼り、ちょびっとだけアフィリエイト収入を頂いて、サーバー代やおやつ代をまかなっております。
日刊サイゾーからのリンクで購入されたAmazon商品をランキング形式で毎月発表! 売れ筋商品から、日刊サイゾーという媒体の特性だけでなく、時代の流れまで見えてくるとかこないとか……。
●本のTOP5
第1位
いびつな絆 関東連合の真実 [単行本]
なんと3カ月連続首位! 悪い男好きでおなじみの藤井リナちゃん騒動で、今月も関東連合の暴露本がこんにちはしましたよ。
【関連記事】スターダスト藤井リナ契約解除は関東連合・六本木襲撃事件の関係か!?「北川景子へ“警告”の意味も……」
第2位 コワ~いパチンコ店の話 (宝島SUGOI文庫) [文庫] 「20兆円産業」といわれるパチンコ業界のコワ~いお話が詰まった本。そういえばパチ屋のトイレで首吊る人って最近あまり報道されていないような気がしますが、今でも多いのでしょうか? 【関連記事】「もうやめられない!?」酒井法子が“20分100万円”のパチンコ営業で荒稼ぎ!!
第3位 サイゾー 2013年 09月号 [雑誌] 雑誌版サイゾーが3位! 日頃のご愛顧、ありがとうございます! 今月は芸術界のタブーに切り込んでまーす。 【関連記事】現代アートが今ヤバい!
第4位 国旗 その“隠された意味"に驚く本 (KAWADE夢文庫) [文庫] なぜヨーロッパには3色旗が多いの? ネパールの国旗はなぜ三角を2つ合わせた形をしているの? など、国旗のナゾが分かる本。飲み会の小ネタにも使えそう。 【関連記事】国旗の数だけ存在する意外な歴史に大興奮!『国旗 その“隠された意味”に驚く本』
第5位 あまちゃんファンブック おら、「あまちゃん」が大好きだ! [単行本] 5位はフジグループの扶桑社が出した、あまちゃんファンブック。現時点のAmazonでは、本家NHK出版の公式本よりもランキングは上ですね。 【関連記事】「ユイが行方不明に!?」ついに東日本大震災が描かれる『あまちゃん』、結末は……
●DVDのTOP5 第1位 ラストホープ -完全版- DVD-BOX トップは嵐の相葉くん主演ドラマ。『24時間テレビ』のパーソナリティーをボランティアで務めた嵐の皆さんですが、放送事故もなく無事に終わってよかったですね。 【関連記事】「嵐は1円ももらってない?」『24時間テレビ』ギャラ5,000万円否定も、漂う違和感
第2位 『ブラックジャックによろしく』 THE AV [DVD] 2位には1位に続いて医療ドラマがランクイン。作者の佐藤秀峰先生が著作権フリーにしたばかりに、SODからこんなに愉快な作品が誕生してしまいました! 【関連記事】これが「著作権フリー」の功罪……!? AV版『ブラックジャックによろしく』の衝撃
第3位 スター・トレック スペシャル・エディション [DVD] 『スター・トレック イントゥ・ダークネス』が公開中の同シリーズから、名作がイン! これを見ずして、SFは語れません。 【関連記事】往年のファンもうならせる驚愕の展開!『スター・トレック イントゥ・ダークネス』
第4位 ARASHI LIVE TOUR Popcorn(通常盤) [DVD] 4位は嵐のコンサート。最近、一部の方のお行儀が悪いと話題の嵐ファン。北海道の「嵐の木」事件は、当事者にはお気の毒ですが笑ってしまいました。 【関連記事】北海道CMロケ地で「不法侵入!」「盗難騒ぎ!」「ポイ捨て!」“嵐ファン”のマナー違反が深刻化
第5位 今日の日はさようなら [DVD] 5位には、今年の「24時間テレビ」で放送されたドラマがランクイン。ガンで余命を告げられ、「ちゃんと生きて、ちゃんと死ぬ」ことを決意する青年のドラマです。 【関連記事】「体も心もボロボロ!?」北斗晶『24時間テレビ』チャリティーマラソンに増幅する不信感
●【番外編】高額商品TOP5 販売実数にかかわらず、温かい気持ちにさせてくれた高額商品のランキングです。 第1位 MSZ-ZXV713S-W 三菱 ルームエアコン ZXVシリーズ 23畳 186,930円。高額商品のご購入、ありがとうございます! 今年も蒸し暑かったですね。もう日本もタイも変わりませんね。
第2位 キャベスラー(手動) CKY03 29,232円。キャベツをスライスするからキャベスラーのようです。業務用でしょうね。
第3位 機動戦士ガンダム Blu-ray メモリアルボックス (1308) 27,325円。お! 大人買いしちゃいましたか。
第4位 ニンテンドー3DS LL ホワイト (SPR-S-WAAA) 18,040円。このタイミングで買ったってことは、「モンハン4」でしょうか?
第5位 ジョリージャンパー #108 ポータスタンド 13,398円。カナダで60年以上も歴史のある、ベビー用遊具だそうです。ビヨーンビヨーン。
全身サイリウム男、全力ダッシュする集団、失神寸前の『うたプリ』ヲタ……観客席も大盛り上がり「アニサマ2013」
アニメファン恒例の真夏の祭典といえば、コミケ。そして「Animelo Summer Live」(以下、アニサマ)だ。 アニサマとは、もはや言わずもがな。アニメソングシンガー、声優が一堂に会しアニソンを歌いまくる国内最大規模のアニメソングイベントだ。9年目を迎えた今年は、「Animelo Summer Live 2013 -FLAG NINE-」と題し、8月23日から25日の3日間、さいたまスーパーアリーナにて開催。連日およそ2万7000人の観客を集めるという、過去最大規模のイベントとなった。 出演者も水樹奈々、田村ゆかり、宮野真守といった人気声優から山本正之、串田アキラといったレジェンドクラスのアニソンシンガー。果てはももいろクローバーZ、中川翔子、土屋アンナといった、常にホットな話題を提供してくれるJ-POPシンガーやアイドルが集結。まさに「アニソンの祭典」と呼ぶにふさわしい盛り上がりを見せた。 そんなイベントだけあって、観客もほかのイベントにはない熱狂ぶりだった。というわけで、今回はアニサマで出会った素敵なアニソンファンの皆さんの姿をレポートしてみたい。 まず、筆者が最寄駅のさいたま新都心駅に降り立った時に目についたのが、全身にサイリウムを装着したフルアーマーヲタのお兄さんである。肩にたすき掛けしたベルトや、額・腰・腕・足に巻いたベルトに無数のサイリウムを装着し、完全武装。例えるならば、まさに敵陣に突入する直前のランボーだ。彼を目にした瞬間、誰もがこう思っただろう。「そうだ。これからの3日間はただのライブじゃない。戦争だ!」と……。 事実、連日5時間強の長丁場となった今年のアニサマ。その間、ずっと腕を振りっぱなし、立ちっぱなし、声援を送りっぱなし。中盤には20分の休憩が挟まれたものの、その間もアニソンカバーバンド・流田Projectのライブが生中継されたり、新作アニメの告知ムービーやら声優のトークが流されていたので、観客は片時も気が抜けないのである。俺たちにとってアニサマは遊びじゃないんだよ! ということだ。 というわけで、スタートした初日。この日の目玉は、なんといっても「アニサマ捕物帳 in DAYS of DASH」だ。鈴木このみが登場し、『さくら荘のペットな彼女』EDテーマ「DAYS of DASH」がスタートすると、アリーナ後方からステージに向かって通路を全力ダッシュする集団が出現! もちろん警備スタッフは黙っちゃいない。疾走感満点のポップチューン「DAYS of DASH」をBGMに、無数のウルトラオレンジのサイリウムが暗闇の中を縦横無尽にダッシュ(実際は、警備スタッフとサイリウムを持った輩が追いかけっこをしていたわけだが)。その様子は、スタンド上方の座席からもよく見えていた。なお、この捕物帳は次の曲「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」が終わる頃には終了。犯人たちは、もれなく場外に追放された模様。 ちなみに翌日以降、アリーナはブロックごとに厳重なチケット確認が行われるようになったそうだ。 また2日目には、水泳アニメ『Free!』OPテーマ「Rage on」を歌うODCODEXが登場した際、それまでヲタ芸を打っていた男性の観客が突然床に寝そべり、クロールを始めるという異常事態も発生していたという。そして3日目は、『うたのプリンスさまっマジLOVE2000%』に出演するイケメン男性声優による劇中アイドルユニット・ST☆RISH登場に会場のテンションは最高潮に。特に一十木音也役の寺島拓篤らが、アニメの映像同様にAメロで腰をクイクイ前後運動するシーンでは女性ファンの黄色い声というか、悲鳴というか奇声が、さいたまスーパーアリーナにこだましたのは印象深い。 そんな感じでステージの上下を問わず、さまざまな出来事が起きたアニサマ2013。きっと来年も、数え切れないほどのドラマが各所で生まれることだろう。 個人的には、キタエリ(喜多村英梨)の「ハピハピガー」が最高に楽しかったです! (文=龍崎珠樹)イメージ画像
新旧アニメソングのパワーを再確認!「アニサマ2013」全日リポート
日本最大級のアニソンライブイベント「Animelo Summer Live 2013 -FLAG NINE-」が、8月23日から25日の3日間にわたって、埼玉県・さいたまスーパーアリーナにて開催された。2005年にスタートした「Animelo Summer Live(以下、「アニサマ」)」だが、年々規模を拡大。今年は3日連続開催、そして61組(セッション、ゲスト含む)ものアーティストが出演と過去最大のスケールに到達。まさに日本のアニメソングの「今」を象徴するステージが繰り広げられた。 今回はこのライブの模様を、各日ごとに振り返ってみたい。 ■フレッシュな歌声が響く初日 アニサマ2013初日となる23日を一言で例えるなら、「アニメソングの最先端」だろう。毎年、フレッシュな人材が続々と誕生するアニソン界。その中でも、いま最も勢いのあるメンバーがスタートダッシュを飾った。 オープニングを飾ったのは茅原実里とALI PROJECTの宝野アリカという異色の豪華コラボ。彼女たちに続いて登場したのは、いまやアイドル界の頂点に君臨したといっても過言ではない「ももいろクローバーZ」だ。2年ぶり2度目の参加となる彼女たちが、アニサマ本編のトップバッターを飾った。 デビュー以来、頻繁にアニメタイアップ曲を歌ってきたものの、実際にアニメファンの前で歌う機会は、そんなになかった彼女たち。この日のステージも、正直いってかなりアウェーな現場ではあったが、来年劇場版公開が決定しているアニメ『モーレツ宇宙海賊』のOP主題歌「猛烈宇宙交響曲・第七楽章『無限の愛』」の全力パフォーマンスが披露されると、フロアのテンションは一気にヒートアップした。 その後も、フレッシュなアーティストの出演は続く。 Ray、三澤紗千香、ZAQ、earthmindなど、ここ1~2年のデビュー組が続々と登場し、フロアを盛り上げる一方、アニソンシンガーとしての30年以上のキャリアを誇りつつも、一向に衰えることのないフレッシュなシャウトを聴かせる串田アキラが登場。 現在放送中のアニメ『トリコ』主題歌や、特撮ソングのスタンダード「宇宙刑事ギャバン」を熱唱する。さらに、ここで再びももクロが登場! 『キン肉マン』キャラのコスプレで登場した5人は、アリーナのサブステージ上に作られたリングで、激しいバトルを繰り広げつつ「キン肉マンGo Fight!」(アニメ『キン肉マン』OP)をコラボ。熱いパフォーマンスに、会場は大きな盛り上がりをみせた。 後半のトップバッターは、2013年最大のブレイク作『ラブライブ!』から生まれた声優アイドルユニット「μ’s(ミューズ)」。アニメPVとまったく同じ振り付けで踊る9人に、フロアの声援も割れんばかり。二次元と三次元がクロスオーバーするステージに、会場は大きな感動に包まれた。 そして、この日のMVPを進呈したいのが、鈴木このみだ。弱冠16歳、デビュー2年目という彼女だが、伸びやかなボーカルと堂々たるステージングでフロアを圧倒。特にキバオブアキバのボーカルふとし、ZAQとのコラボで披露した最新曲「私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い」(アニメ『私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!』OP)の力強さは、特筆すべきだろう。超ラウドなバンドサウンドに負けない透明感あふれる歌声には、彼女の持つ無限の可能性を感じずにはいられない。 この日のトリを務めたのは、茅原実里である。今年、個人事務所を立ち上げ、声優としても歌手としても心機一転し、新たなスタートを切った彼女は、10月スタートの新アニメ『境界の彼方』OP主題歌「境界の彼方」を初披露。爽快なロックサウンドに乗せて、みずみずしい歌声を会場に響かせた。(C)Animelo Summer Live 2013/MAGES.
■バンドサウンドと熱いパフォーマンスで、ガッツリ盛り上がった2日目 華やかなステージが展開した初日に対し、2日目のテーマは「パワフルなパフォーマンスと、バンドサウンドによる見ごたえあるライブ」だったのではないだろうか。その方向性は、angelaとZweiのコラボによるオープニングアクト「バリバリ最強No.1」(アニメ『地獄先生ぬ~べ~』OP)で明確に示されていた。 続いて登場したのは、2年ぶりの出演となるflipSideだ。出世曲「only my railgun」(アニメ『とある科学の超電磁砲』OP)をラッパー・motsuとコラボし、会場を大きく盛り上げた。 さらにサブカル趣味全開の個性派声優・上坂すみれ、「蟹蟹蟹蟹!」という謎の蟹押し曲「カニ☆Do-Luck!」(アニメ『あいうら』OP)を引っ提げて登場した「あいう(はーと)らぶ」、「ニコニコ動画」からデビューを果たした男性シンガー・Geroなどがノンストップで登場し、力強いライブを展開した。 怒涛の序盤戦を終え、中盤に差し掛かると、今度はハードなバンドサウンドによるステージが続く。 まずは、オープニングでも活躍した女性2人組のロックユニット・Zweiが、アニメ『ROBOTICS;NOTES』OP「純情スペクトラ」を叩き込むと、意外にもアニサマ初出演の中島愛がパンキッシュなガールズポップ「そんなこと裏のまた裏話でしょ?」(アニメ『琴浦さん』OP)でキュートな歌声を聴かせる。 また、タイムボカンシリーズでおなじみのシンガーソングライター・山本正之が、女性声優ユニット「七森中☆ごらく部」やアイドルグループ「アフィリア・サーガ」とのコラボで「逆転イッパツマン」「ヤッターマンの歌」でオールドアニメファンを感涙させたかと思えば、声優・鈴木達央ことTa_2とペインター・Yorke.による異色のロックユニット・OLDCODEXが現在話題沸騰の水泳アニメ『Free!』OPテーマ「Rage on」で最高にエモーショナルなバンドサウンドを披露した。 「プロデューサーさん! アニサマですよ、アニサマ!」 中村繪里子の元気な声がアリーナに響き渡る。 ゲーム『アイドルマスター』から生まれたユニット「アイドルマスターミリオンスターズ」が8年間かけて培ってきた匠のライブで会場を盛り上げた後、今年メジャーデビュー10周年のangelaが「僕じゃない」(アニメ『革命機ヴァルヴレイヴ』ED)、「KINGS」(アニメ『K』OP)のほか、デビュー曲をはじめとする代表曲5曲のメドレーを演奏。ハードロックとシンフォニックなアレンジが融合した、angelaサウンドがアニサマ2013全体の折り返し地点を壮大に盛り上げた。 2日目終盤戦には、シークレットゲストとして土屋アンナが出演。『仮面ライダーフォーゼ』OPテーマ「Switch On!」を熱唱したほか、アニソン界の誇るロックディーヴァ・LiSA。そして武道館、横浜アリーナを制覇し、来年にはアニサマ2013の会場であるさいたまスーパーアリーナをワンマンで埋めてしまおうという最強のアニソンロックユニット・GRANRODEOがヒット曲を立て続けにドロップする。 クライマックスでは、GRANRODEOのライブでは定番となっているデビュー曲「Go for it!」における「I.G.P.X」コールが何度も炸裂。名実ともにアニソン界随一のライブバンドとして君臨する彼らの、王者の風格を感じさせるアクトであった。(C)Animelo Summer Live 2013/MAGES.
■問答無用のヒットチューンが連発! 3三日目 「アニソン&声優ソング ヒットパレード in 2012~2013」 アニサマ3日目を例えるならば、そんなところだろうか。 宮野真守、水樹奈々という声優界のツートップのコラボでスタートした3日目。本編の一番手は、12年、13年と電波な主題歌でアニソン界の話題を席巻したアニメ『這いよれ! ニャル子さん』シリーズの主題歌を歌う声優ユニット「後ろから這いより隊G」だ。「太陽曰く燃えよカオス」「恋は渾沌の隷也」とヒットナンバーを連発すると、フロアからは「うー!にゃー!」「SAN値!ピンチ!」の合唱がスタート! 驚異の一体感がさいたまスーパーアリーナを包み込んだ。 その後も、ゆいかおり、鈴村健一、小松未可子、日笠陽子ら人気声優や、いとうかなこといった人気シンガーが続々登場。 この盛り上がりは、『ジョジョの奇妙な冒険』第1部OPテーマを歌った富永TOMMY弘明の登場で、最高潮に達する。王道のヒーローアニメソングを思わせる疾走感あふれるサウンドと、ソウルフルな富永のボーカルが冴えわたる中、曲クライマックスでは観客全員を巻き込んだ「ジョオオオオォォォォォォジョオオ!」の大合唱が発生。「誰もが知っている」アニメソングを「みんなで歌う」感動と興奮に、誰もが酔いしれた。 ゲーム『うたの☆プリンスさまっ♪』シリーズから生まれた「平均年齢36歳」(一十木音也役・寺島拓篤のMCより)の男性アイドル声優ユニット「ST☆RISH」が登場した辺りから、グランドフィナーレに向けて会場の熱気はさらに上昇し始める。爆音と共にST☆RISHが登場すると、「こんなに会場に女性がいたの!?」と思うほど、かつてない黄色い歓声が響きわたる。 そんな彼らは、「マジLOVE2000%」「マジLOVE1000% -RAINBOW STAR ver-」を披露。先日テレビ放送を終えたばかりのアニメ第2期最終話を思わせる粋なセットリストに、いつしか女性のみならず男性客もノリノリに! さらに畳み掛けるように喜多村英梨、南里侑香、宮野真守、スフィア(豊崎愛生、戸松遥、寿美菜子、高垣彩陽による女性声優ユニット)と人気声優が続々登場。 この盛り上がりがピークに到達したのが、ゆかり王国のお姫様にして永遠の17歳・田村ゆかりのステージだ。彼女が登場すると、会場のサイリュームはたちまちピンク一色に! 彼女がしゃべれば、「ゆかりーん!」「ゆか!ゆかーーーーー!」と王国民(田村ゆかりのファンのこと)が声を張り上げる! 彼女が歌うと、リズムに合わせて観客も一斉にジャンプ!(そして、さいたまスーパーアリーナが揺れる!) とにかく、会場の一体感がハンパない。ゆかり王国、今年もさいたまスーパーアリーナを完全制圧である。 アニサマ2013の大トリを務めたのは、もちろんアニソン界のトップシンガー・水樹奈々だ。雄大なスローバラード「愛の星」(劇場版『宇宙戦艦ヤマト2199 第七章』ED)で、フロアを一旦クールダウンさせた彼女は、ここからラストに向けて「Vitalization」「Synchrogazer」と、『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの主題歌を立て続けに披露。ツインドラムがズンズンと刻む力強い音圧と、ストリングスによるシンフォニックな旋律が、ドラマティックなサウンドスケープを描き出す。その中でも水樹のボーカルは、凛と響きわたり、大きな存在感を示す。どんな楽曲、どんなサウンドの中にあっても決して埋もれることのないワン・アンド・オンリーな彼女のアクトは、アニソン界を背負って立つ歌姫としての自信に満ちあふれていた。 かくして各日およそ5時間。累計15時間に及んだアニサマ2013は、連日2万7000人のオーディエンスの声援に支えられながら見事フィナーレを迎えた。 *** 個人的に印象深かったのが、初日、ももクロから次の「アイドルマスターシンデレラガールズ」へのつなぎである。「今何時?」と、ももクロが話題を振ると、ステージ上のスクリーンに11時55分を指す時計が出現。やがて時計の針が12時を指すと、間髪入れずにアイドルマスターシンデレラガールズが登場したのだ。「シンデレラ」というネーミングにひっかけたネタなわけだが、今回のアニサマはこんな具合に幕間の演出にも強いこだわりが感じられる場面が頻出していたような印象を受ける。 そのほか、場面転換の際に、各アーティストのワンマンライブで使用されているSEや映像を多く取り入れていた点も素晴らしかった。そのおかげで、まるで各アーティストのワンマンライブを立て続けに見たかのような(実際には、2~3曲のステージなのだが)充実感を得ることができたのは、筆者だけではないだろう。 各日ともそれぞれ明確にテーマを打ち出し、「新旧のアニメソング」のパワーを再確認しつつ、各アーティストの魅力を限界まで引き出した今年のアニサマは、今後の同イベントにおける新たなスタンダードとなることだろう。終演後、来年も8月29~31日にかけて、同会場でアニサマ2014が開催されることが発表されたが、今年以上に熱いライブが炸裂することは間違いない。そんな確信と期待を覚えずにはいられない、最高の3日間であった。 (取材・文=有田俊)(C)Animelo Summer Live 2013/MAGES.
軍歌・北朝鮮、そして新左翼まで……アブないマニアが全国動員!「軍歌対決!北朝鮮 vs 世界」へ結集せよ
今年の夏の最後は、軍歌と北朝鮮歌謡でシメてみないか? 来たる8月31日、早稲田大学戦史研究会主催によるイベント「軍歌対決!北朝鮮 vs 世界」が、早稲田奉仕園・リバティホールにて開催される。このイベントは世界でもまれな、古今東西の軍歌を収録した奇書『世界軍歌全集』(社会評論社)の著者である軍歌研究家の辻田真佐憲氏と、北朝鮮マニアなら誰でも知っているサイト「朝鮮労働党万歳!」管理人のマカオ氏のトークを中心にしたイベントだ。トーク後には、交流会とバザーの時間を設け、主催者らが所有する秘蔵資料の販売も行う予定だという。 かつては、ごくごく限られた趣味だった軍歌や北朝鮮マニアの世界だが、YouTubeやニコニコ動画などの動画投稿サイトの普及もあって、信じられないほどコアなマニアの数が増殖している。しかも、意外に女性も増えている(特に軍歌)。軍歌と北朝鮮マニアは、結構な確率でかぶっているのだが、いずれにしても資料を収集するには資金が必要だし、歴史知識や教養がなければ楽しむ域には達することができない。カップリングが違うとか、自分の政治思想と異なる相手とも争うことなく、むしろ共に楽しむ心の広さも欠かせない。つまり、真面目に「これはネタだ!」と楽しめるという点で、ある程度インテリじゃないとできない趣味なワケ。文化系男子が好きな女性が集まるのも当然だ。 そんな軍歌趣味の盛り上がりの中心人物ともいえる辻田氏は、今回のイベントの意義を次のように語る。 「主催者の早大戦史研は、軍事関連であれば国内外はもちろんのこと、共産主義からオウム真理教の研究まで、なんでもアリの将来有望な学生の揃う組織です。私が今回のイベントで期待しているのは、北朝鮮の軍歌が体系的に紹介されることです。近年、メディアで報じられる映像の中で登場する機会の増えた北朝鮮の軍歌ですが、体系的に語られる機会はほとんどありませんでした。参加費は学生500円、社会人1000円と安いので、これまで以上に誰もが参加しやすいと思いますよ」 さて、読者の諸君もお分かりかもしれないが、このイベントは会場自体がネタを含んでいる。会場の早稲田奉仕園は、音楽系のイベントや結婚式も行われるが、左翼系団体の集会会場としても定番スポットなのだ。 「いや、単に大学に近いので備品を運びやすいからだと思うのですが……」(辻田氏) しかも、主催の早大戦史研究会の会誌のタイトルは「烽火」だという。これは、かつて存在した左翼党派・共産主義者同盟全国委員会、通称・烽火派の機関紙名のパクリとしか思えない……。やっぱりコイツら、真面目をネタにできるものすごい奴らなのかも。 (取材・文=昼間たかし) ●早大戦史研主催イベント「軍歌対決!北朝鮮 vs 世界」 【日時】8月31日(土) 16:30~ 【会場】早稲田奉仕園・リバティホール(〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2丁目3-1) 【入場料】学生500円、社会人1000円 (来場者には入場券の代わりとして「烽火」(早大戦史研機関誌)をご購入いただき、その売り上げを会場のレンタル料等に充てさせていただきます)
【サイゾーの新刊】天皇・宗教・差別・人権……と学会が日本のタブーに挑んだ「トンデモ本」シリーズの新境地誕生!
と学会の新刊が出た。『タブーすぎるトンデモ本の世界』。いわゆる、メディアではタブーとされるテーマに触れた、それでいてトンデモな本ばかり集めた内容だという。 タブーといえば、触れてはいけない、批判してはいけないもの。それを、ギャグのネタに?……死ぬ気か! タブーとはそういうものである。 私がタブーと聞いて思い浮かぶのは、天皇制と被差別問題とヤクザぐらいだが、どれも批判しようものなら、怖い電話がかかってきたり東京湾に沈められたり、と触らぬ神に祟りなしだ。ところが、この『タブーすぎるトンデモ本の世界』で、と学会は日本のタブーというタブーを、いつもの調子で笑い飛ばしてしまったのだ。大丈夫か、と学会? 本書が扱うタブーは、皇室、宗教、人権問題などはもちろん、大川隆法が呼び出す霊言からキリスト教の浣腸健康法、北朝鮮の殺人教育アニメから石原慎太郎の性教育、オスプレイのウソにUFOが映ったアダルトビデオ……毎度毎度、よくもまあこれだけ変な本や映画を見つけてくると感心する。 トンデモない珍説奇説を笑い飛ばす精神は健在ではあるのだけど、本書で紹介する本の内容をみると、何がタブーなのか、よくわからなくなってしまう。天皇制をギャグにすると右翼が飛んでくる、だから批判できない。だったら「幸福の科学」総裁、大川隆法氏が明治天皇の霊を呼び出した本はいいのか? ──それでは明治天皇の御霊言を賜りたいと思います。 明治天皇 明治です。 (『明治天皇・昭和天皇の霊言』幸福の科学出版) 大川氏自らに明治天皇の霊を憑依させ、その第一声が「明治です」。こんなことが許される日本に、本当に“菊のタブー”なんてあるのか? それどころか、存命の今上天皇や雅子さまの守護霊にインタビューした本も出版されていて、『タブーすぎるトンデモ本の世界』でも紹介されている。この存命の人の守護霊にインタビューするシリーズは、その後も村上春樹、宮崎駿、秋元康と続々と刊行されている。タブーも何もあったもんじゃないね。まさにやりたい放題である。 マンガなどの表現規制を推進し、タブーを拡大させる石原慎太郎氏だが、かつて自分の書いた性教育本『真実の性教育』(光文社)では、「日本の現代の文化を論ずるひとつの指標に、ポルノの解禁是か非かを云々することは、笑止な沙汰でしかない」と述べている。都議会で是か非かやったのは石原氏だろうに。 タブーをタブーとして奉る側が、タブーの対象をギャグにしてしまう倒錯。その向こうに見えてくるタブーの正体は、思い込みと我田引水の小さなエゴの王国だ。 知らぬままに恐れているタブーが、実は恐れるに足らない、矮小なものであることを本書は笑いに包んで教えてくれるのだ。 それにしてもキリスト教。本書の第一章に詳しいが、悪魔が宿便に宿るなんて……勉強になりました! ハレルヤ、浣腸! (文=コタロー) ■目次 第1章 皇室・神様・新宗教等にまつわるトンデモ本 第2章 右翼・左翼・任侠・人権問題等を扱ったトンデモ作品 第3章 医療と食を扱ったトンデモ本 第4章 政治・時事・差別問題を扱ったトンデモ本・映画 第5章 芸能界・文壇・オカルトのトンデモ本 <コラム> ・皇室をめぐるトンデモ説 ・嫌韓レイシストたちの奇妙な世界 ・オススメのサンカ本 ・トンデモ放射能デマの世界 ・猟奇と佐藤春夫――昭和5年のタブー ・フリーメイソン・おススメ本50連発『タブーすぎるトンデモ本の世界』
「もはやガッチャマンではない、別の何か」実写版『ガッチャマン』興収1億1,570万円で大コケ確定か
24日に公開された映画『ガッチャマン』に、大コケの予感が漂っているという。 同作は、1974年まで放送されたタツノコプロ原作の人気アニメ『科学忍者隊ガッチャマン』(フジテレビ系)の実写化。わずか17日で地球の半分を占領した謎の組織・ギャラクターに、究極の兵器「ガッチャマン」に変身した5人が立ち向かう物語だ。 企画・製作に日本テレビ放送網が携わっているため、公開前からテレビを中心に大々的にプロモーションを展開。メインキャストの松坂桃李、綾野剛、剛力彩芽、濱田龍臣、鈴木亮平らもインタビューに舞台挨拶にとフル稼働であった。 しかしフタを開けてみると、公開日から2日間で興収1億1,570万円(全国週末興行成績・興行通信社)と伸びず。CG制作に数億円を投入しているとも言われており、早くも大赤字の可能性が指摘されている。 また、劇場へ足を運んだ観客の評価も、総じてよくないようだ。 「映像や音楽は素晴らしかった」「キャストは悪くない」「アクションはいい」「松坂くんと綾野くんがかっこいい~」といった感想もあるが、「とにかく脚本が残念」「中盤で寝てしまった」「テレビ畑のスタッフが作った感、丸出し」「コメディーなんだか、シリアスなんだか最後まで分からなかった」という酷評が圧倒的。どうやら脚本に問題がありそうだ。 また、「原作へのリスペクトがみじんも感じられない」「原作ファンは、マジで見に行かないほうがいい」「ガッチャマンではない、別の何か」という声も多いため、これから見に行く予定の人は、原作のイメージを取っ払ったほうが安全のようだ。 しかし、「子どもと一緒に行く人はいいと思う」「日曜朝にやってるテレビの戦隊物と変わらない」「予告編を見て大人向けかと思いきや、完全に子ども向け映画だった」という意見も目立つため、子どもは楽しめるのかもしれない。 「宣伝の仕方が失敗でしたね。CMや予告編映像を見る限り、大人向けのシリアスな作品だという誤解を招く。実際は、ベタなセリフや幼稚なギャグも多く、中途半端な世界観がタツノコファンの怒りを買っています。 紀里谷和明監督の『CASSHERN』のようにシリアスに作るか、三池崇史監督の『ヤッターマン』のようにコメディータッチにするか、どちらかに振ったほうがよかった。映画『HK/変態仮面』で海外でも高い評価を得ている鈴木亮平をはじめ、いい役者も出ているだけに、もったいない」(映画サイト編集者) 宣伝が派手だっただけに、おサムい空気が漂っている同作。酷評の嵐に「逆に見たくなった」という人も続出しているため、まだ起死回生の可能性もある……か?映画『ガッチャマン』公式サイトより
往年のファンもうならせる驚愕の展開!『スター・トレック イントゥ・ダークネス』
夏休み映画の公開もいよいよ大詰めだが、アトラクション感覚の3Dムービーの封切りはまだまだ続く。今週の当コーナーでは、ハリウッドの才能と技術を結集したスペースアドベンチャー超大作と、比較的低予算ながらB級映画のよくあるプロットをテンコ盛りにした意欲作という、好対照な3D映画2作品を紹介したい。 『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(8月23日公開、2D/3D)は、60年代からテレビドラマと映画で根強い人気を集めてきたSFシリーズのリブート作『スター・トレック』の続編。西暦2259年、宇宙船USSエンタープライズを率いる若きカーク船長(クリス・パイン)は、惑星調査中に陥った危機からスポック副長(ザッカリー・クイント)を救うため重大な規則違反を犯し、艦長職を解任されてしまう。その頃、ロンドンの艦隊基地が爆破され、犯人は艦隊士官のハリソン(ベネディクト・カンバーバッチ)と判明。捕獲の命を受けエンタープライズで旅立つカークらに、ハリソンが仕掛ける冷酷な罠が待ち受けていた。 監督は前作に引き続きJ・J・エイブラムス。スティーブン・スピルバーグ製作の『SUPER 8 スーパーエイト』でメガホンをとり、『スター・ウォーズ』の新シリーズ監督をジョージ・ルーカスから委ねられたエイブラムス監督は、いまや2人の巨匠のみならずハリウッドから最も信頼されるSFアクション分野のヒットメーカー。カークとスポックを中心とする若きクルーたちの成長と絆のドラマや、強敵との手に汗握る攻防を、3DとIMAX撮影に最新の視覚効果を織り交ぜてダイナミックかつ情感豊かに描き出した。クルーを演じるゾーイ・サルダナ、サイモン・ペッグ、アントン・イェルチンらの続投もうれしいが、英俳優ベネディクト・カンバーバッチがメインキャスト陣を圧倒するほどの存在感で敵役ハリソンを熱演。対決の結末は明かせないが、往年のファンもうならせる驚愕の展開が待っている。前作を未見の方は、事前にDVDなどで鑑賞しておくと一層楽しめるはず。そして可能であれば、IMAX 3D版の上映館で迫力の映像を堪能していただきたい。 続いて8月24日公開の『パニック・マーケット3D』(R15+)は、オーストラリアとシンガポールの合作としては初の3D映画。オーストラリアの海岸でライフセーバーの仕事をしていたジョシュは、婚約者ティナの兄が自分の代わりに沖に出た時サメに食い殺されてしまったことで、ティナとも別れてしまう。1年後、海岸近くのスーパーマーケットで無気力に働いていたジョシュは、店内で偶然ティナと再会。それもつかの間、銃を持った強盗が発砲して1人の女性を射殺し、ティナを人質に取る。店内がパニックに陥った次の瞬間、津波が沿岸部に押し寄せ、半地下のスーパーのフロアに大量の海水が流れ込む。押し流されたトラックに入口をふさがれ閉じこめられた十数人に、津波とともに入り込んだ巨大人食いザメが襲いかかる。 人食いザメをはじめ、洪水、強盗殺人犯、高圧電線といった具合に、B級ホラーやサバイバルパニック系の「あるある」を寄せ集めた“見本市"的な一本。とはいえ、オリンピックサイズのプールにスーパーのセットを作って数千トンの水を流し込むというアイデアが奏功し、売り場フロアと地下駐車場の2面で展開するストーリー構成も相まって、こうしたジャンル映画のファンならそこそこ楽しめる出来に。『エクリプス トワイライト・サーガ』のゼイビア・サミュエル、『ステップ・アップ3』のシャーニ・ビンソン、『ファンタスティック・フォー』シリーズのジュリアン・マクマホンなど、それなりに知られた俳優陣も出演。宣伝文句によると中国では「アバター」を超えて2012年の興行収入ランキング1位に輝いたというが、過剰に期待せず、絶叫マシンやお化け屋敷の感覚で気軽に楽しむのがよさそうだ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『スター・トレック イントゥ・ダークネス』作品情報 <http://eiga.com/movie/55158/> 『パニック・マーケット3D』作品情報 <http://eiga.com/movie/58043/>Photo credit: Zade Rosenthal
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キャッキャウフフと見せかけ、意外と骨太!『ステラ女学院高等科C3部』が急展開
女子高校生たちが泥まみれになってサバイバルゲームに燃える青春模様が話題を呼び、一説には世間に「サバゲー女子」なる存在を生み出しつつあるというアニメ『ステラ女学院高等科C3部』。以前、この連載でもリアルなサバゲーシーンが見どころだと書きましたが、物語も折り返し地点を過ぎたあたりで、本作は主人公・大和ゆらの見せる「自己承認欲求がもたらす危うさ」という意外なメッセージを発し始めました。 ゆらはもともと極度の引っ込み思案、かつ妄想癖のある性格で、どちらかというとコミュ障的な要素を持つ内気な少女でした。しかし、そんな自分を変えようとステラ女学院に入学。そしてサバゲーを行う「C3部」に入部し、新たな自分に出会っていくという成長ドラマが本作の一つのテーマとなっています。 当初はBB弾飛び交う戦場に恐れをなして、身動きが取れなかったりあっさり敵に投降したりと、内気な性格が災いしてチームに迷惑をかけていたゆらですが、長かった髪を切り、心機一転。サバゲーに真面目に取り組むようになってからは、目覚ましい成長を遂げ始めます。果敢に敵陣に飛び込み、情け容赦なく敵を一掃していくなど、一気にエースクラスの活躍を繰り広げ、たちまちチームの中核的存在となると同時に、どんどん社交的な性格になっていきます。 ここまでなら、いわゆる「内気な少年・少女が意外な才能を発揮して自己実現を達成する成長譚」という、割とよく見る展開なのですが、そんなゆらの戦いぶりにC3部の先輩・鹿島そのらだけは何か思うところがある模様。そんな彼女の目線に気づいた視聴者は、ゆらの抱える危うさに直面することになります。 それまでは内気な性格もあってか、深く他人と接することもなく、それゆえに誰かを傷つけるような行動は見せなかったゆらですが、サバゲーの才能を発揮し始めると、徐々に好戦的(もしくは無鉄砲な)な側面を見せます。その片鱗が見えたのは第5話。他校とのゲームに勝利し、C3部一同はゆらを中心に喜びを分かち合いますが、そのらだけは、勝利しか目に入っていない言動を見せたゆらにどこか不安そうな表情。続く第6話では文化祭の出し物として、部員同士によるゲームを披露することになりますが、そこでもゆらはギャラリーを巻き込みかねない危険なプレースタイルでそのらに勝ってしまいます。 エースである先輩に勝てたことを純粋に喜ぶゆらと、ただ勝利の美酒の味のみを求める彼女を危惧するそのら。回を追うごとに、ゆらの持つ危うさは増していくように見えます(しかし、ゆらはそれを自覚してはいません)。 それまで、他者に認めてもらうことがなかったゆら。そんな彼女にとってサバゲーとは、初めて見つけた「自分が主役になれる」世界なのでしょう。劇中のゆらは、際限なく肥大化していく自己承認欲求に憑りつかれているかのようです。そんなゆらの無鉄砲さは、7話において、ついにそのらのケガ、そして入院という形で目に見える形で悪影響を及ぼし始めます。この一件に責任を感じてしまったゆらは、そのらの代わりになるべく孤軍奮闘。C3部のスパルタ教育を開始します。 しかし、責任感のあまりにゲームの勝利以外に価値を見出そうとしないゆらと、サバゲーを楽しみたいほかの部員との間でも徐々にすれ違いが生まれつつあるような……。今後の展開に一抹の不安を感じずにはいられません。果たしてゆらは、このまま勝利のみを追求するサバゲーの鬼になるのか? はたまた、仲間と共にサバゲーを楽しむ気持ちを取り戻すことができるのでしょうか? 単純にサバゲーの楽しさや、才能を発揮していくゆらのサクセスストーリーだけではなく、その裏にはらむ少女のダークサイドも隠すことなく描く『ステラ女学院高等科C3部』は、ポップなビジュアルとは裏腹にかなり骨太なテーマを内包しているのです。思わぬところでハラハラする展開になってきた同作から、今後も目が離せません! (文=龍崎珠樹)『ステラ女学院高等科C3部』公式HPより
























