大公開! 13年9月度「日刊サイゾー」Amazonで売れたものランキング!!

IMG_0422_0203.jpg  いまや書籍のみならず、あらゆる分野の商品をそろえるネット上のマーケット空間「Amazon」。日刊サイゾーからも、記事の関連商品や人気の商品にリンクを貼り、ちょびっとだけアフィリエイト収入を頂いて、サーバー代やおやつ代をまかなっております。  日刊サイゾーからのリンクで購入されたAmazon商品をランキング形式で毎月発表! 売れ筋商品から、日刊サイゾーという媒体の特性だけでなく、時代の流れまで見えてくるとかこないとか……。 ●本のTOP5 第1位
中国のヤバい正体 (フリンジブックス) [単行本(ソフトカバー)]
トップは、「水道水は沸かしても飲めない」「学歴社会なのに成績はカネで買える」など、中国の真実が描かれたマジヤバ本!
【関連記事】下手すりゃ逮捕で死刑確実? 中国人マンガ家が現地で描いた命がけのマンガ『中国のヤバい正体』

第2位
統合失調症がやってきた [単行本(ソフトカバー)] お笑いコンビ・松本ハウスが実体験を綴った著書がランクイン。インタビューでは、思い出したくないであろう過去を、少しつらそうに話してくれましたよ。 【関連記事】「コーヒーを押すと、ミルクティーが出てきた」10年ぶり復活のボキャ天芸人・松本ハウスが語る“統合失調症”のリアル

第3位
タブーすぎるトンデモ本の世界 [単行本] 3位には、小社の新刊がイン。皇室、宗教、人権問題、北朝鮮の殺人教育アニメ……盛りだくさんのタブーを笑い飛ばしております。 【関連記事】天皇・宗教・差別・人権……と学会が日本のタブーに挑んだ「トンデモ本」シリーズの新境地誕生!

第4位
デーブ・スペクターの作り方 [単行本(ソフトカバー)] デーブさんを長年支えてきた京子さんの著書が4位。ご夫人いわく「デーブの情報収集能力はCIA並み」だそうです。 【関連記事】人気タレントの妻と、芸能ビジネスを乗り切る経営者……2つの顔を融合する京子スペクター

第5位
やおきん公認 うまい棒大百科 [単行本(ソフトカバー)] 5位は“キング・オブ・駄菓子”こと「うまい棒」の愛が溢れた一冊。このキャラクターは、どうやらドラえもんではないらしいよ! 【関連記事】裏・国民食! うまい棒のすべてがわかる『やおきん公認うまい棒大百科』


●DVDのTOP5 第1位
ももクロ春の一大事2013 西武ドーム大会~星を継ぐもも vol.1/vol.2 Peach for the Stars~DVDBOX トップは、“今、戦争を語るアイドル”ことももクロちゃんのライブ作品。11月には新曲「GOUNN」も発売だゼーット。 【関連記事】ネトウヨ激怒必至!? ももいろクローバーZが語った、意外な“戦争認識”とは?

第2位
Endless SHOCK 2012(完全予約生産限定) [Blu-ray] 2位は、ワイドショーでよく見る堂本光一主演のミュージカルがランクイン。なんと2000年から毎年やっているそうで。ジャニーさんのライフワーク! 【関連記事】「放送事故、板野ワキ毛事件、バイオリニスト炎上……」ジャニーズとAKB48ばかりの『火曜曲!』が遺したもの

第3位
『ブラックジャックによろしく』 THE AV [DVD] 3位はSODの医療ドラマがランクイン。作者の佐藤秀峰先生が著作権フリーにしたばかりに、こんなに愉快な作品が誕生してしまいました! 【関連記事】これが「著作権フリー」の功罪……!? AV版『ブラックジャックによろしく』の衝撃

第4位
GIRLS' GENERATION ~Girls&Peace~ Japan 2nd Tour [Blu-ray] (2013) 4位は少女時代のライブ作品。テレビでK-POPアイドルを見る機会もすっかり減りましたが、今年のジャパンツアーでは7都市でのべ20万人(!)を動員したそうです。 【関連記事】「日本の女はすぐヤレる!」K-POPアーティストに“食い散らかされる”日本人女性たち

第5位
あまちゃん 完全版 Blu-rayBOX1 5位は、ついに最終回を迎えたこちら。『あさイチ』に出た能年さんの挙動不審ぶりが話題となりましたが、あの感じを保ちつつ、大女優になってほしいですね。 【関連記事】「そう甘くはなかった!?」レプロのアイドルグループが『あまちゃん』人気便乗も、CDが思ったより売れず……


●【番外編】高額商品TOP5 販売実数にかかわらず、温かい気持ちにさせてくれた高額商品のランキングです。 第1位
けいおん!! 第2期 全9巻セット [マーケットプレイス Blu-rayセット] 56,820円。高額商品のご購入、ありがとうございます! まとめて買うと高いですねえ。

第2位
【送料無料】人工観葉植物・造花・人気の、クワズイモ130・光触媒製品 19,700円。水とかあげなくていいみたいです。植物は枯らすと悲しい気持ちになりますから、こういうのはいいですね。そういえば、加藤茶の奥さんも最近、観葉植物買ったみたいですよ。

第3位
Kalita ナイスカットミル (シルバー) 15,089円。コーヒー豆を挽く機械です。こんなモテアイテムが部屋にあったら、すぐにニャンニャンできそうですね。

第4位
コンビ ハイローベッドチェアー レミニスS 14,435円。お子様が産まれたのでしょうか。おめでとうございます! さぞかし読者様に似て、かわいいのでしょうね。

第5位
No53 コルトガバメント マークIV シリーズ70 (18歳以上ガスブローバックガン) [アダルト] 13,901円。アダルト商品となっていたので、エッチなやつかと思いきや、あたると痛いやつでした。かっこいいですね。

写真家はレントゲン写真の夢を見る? X線写真家が写し出す、美しきスケルトンの世界

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『世界で一番美しいレントゲン図鑑』(エクスナレッジ)
 昔、『志村けんのバカ殿様』で、女性の服が透けて見える眼鏡というコントをやっていた。ゴールデンタイムでおっぱいを放送するのにまだ寛容だった時代。男子たちは突如現れたおっぱいに、こぞって注目をした。そして、ひとしきり笑った後、「ああ、こんな眼鏡があれば……」と誰しもがため息をついたものだ。  外からはうかがい知ることができない内面への欲求は、男子ならずとも普遍的なもの。そんな欲求を具現化したような写真集が『世界で一番美しいレントゲン図鑑』(エクスナレッジ)だ。イギリス人写真家、ニック・ヴィーシーによる、タイトル通り、レントゲン写真によってスケスケの美しさを描き出した一冊となっている。  防護服に身を包み、防護グラスで完全防備する様子からは、とても写真家に見えないニック。彼の仕事場は写真スタジオではなく、厚さ700ミリの高密度コンクリートでできた専用のレントゲンハウス「ブラックボックス」。ここでX線写真を撮影し、現像したフィルムをスキャン。パソコンで編集を行った上で、ため息が出るばかりに美しいスケルトン写真を完成させていく。
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本書より(以下、同)
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 これまでに数千枚のX線写真を手がけてきた写真家は、被写体としてさまざまなジャンルのものに挑戦する。本書でも、スニーカー、自転車、電球、ゲーム機、パソコン、ギターなどの物体をはじめ、中指を立てられた手、バスに乗る人々、イギリスのバンド「スーパーグラス」のメンバーなどを撮影。また、花や昆虫などの自然物や、おそらくファッション誌には掲載されることのないスケルトンの洋服写真など、そのレンズは多岐にわたる物体に向けられる。  中でも彼の代表作となるボーイング777の写真は圧倒的だ。数カ月の制作期間をかけ、500個を超えるボーイング777の部品をX線写真で撮影。格納庫に納められたボーイング777の内部が再現されている。この一枚で、ニックは数々の写真賞を受賞した。  しかし、この風変わりなスタイルによって、彼は普通の写真家には考えられないような苦労をする。人体に有害な強い放射線を使用するため、生きているモデルは使えない。フリーダと呼ばれる骸骨を使用したり、献体された遺体にポーズを取らせて撮影する……と、あまり気分のよくない撮影も強いられるそうだ。撮影の最中の事故で2度も被ばくを経験しているし、夢で見る映像もX線写真のようになってしまうという。 41pmXgX2RlL._SS400_.jpg  では、なぜそこまでの危険や苦労を冒しながら、彼はX線写真を撮影するのだろうか? その意図について「僕たちは見た目にとらわれた世界に生きている」と語るニック。「表面の下にあるものを見せることによって、そのような表面的な外見へのとらわれに対抗したい」と、単なる好奇心や美的欲求だけではなく、明確なコンセプトのもとに、彼はX線写真を撮り続けている。  医療目的のみならず、郵便物のチェックや空港の手荷物検査などでもX線写真は使用されている。「監視社会に貢献する装置と技術でアートを作り、僕たちの生活から個性と自由を奪いかねない複雑で高度な機器を使って美を生み出すことができたら実に楽しい」と語る写真家。彼にとって、X線写真は社会への挑戦も意味している。毒を薬に変えることによって、新たな美を生み出しているのだ。  一時期より薄れたとはいえ、福島第一原発の事故以降、日本人は放射線の恐怖を意識しながら暮らしている。雑誌や広告にも使用されている彼の写真は、単なる美的趣味だけにとどまるものではない。原発事故を経験し、放射線を身近に感じざるを得ない日本人だからこそ、また違った角度から美しさを眺められるのではないだろうか? (文=萩原雄太[かもめマシーン]) ●ニック・ヴィーシー 1962年、イギリス出身。独学で写真を学び、数々の賞を受賞。『世界で一番美しいレントゲン図鑑』は2008年度IPA国際写真家協会賞書籍部門第1位獲得。

言論・表現の自由を守るために──法学者・清水英夫が最後に助けたのは「AV業界」だった

getget.jpg  6月に死去した法学者・清水英夫氏を偲ぶお別れ会が、9月21日、千代田区の東京會舘で開催され、700余名あまりが参加した。  清水英夫氏は、2003年に設立された放送倫理・番組向上機構(BPO)初代理事長のほか、日本出版学会会長、出版倫理協議会議長などを歴任。常に言論と表現の自由を擁護する立場からの発言と活動を行ってきた人物である。  法学者でありながら象牙の塔に閉じこもって研究をするのではなく、常に言論と表現の自由、そしてマスコミの自由と責任に対する活動を続けてきた、清水氏に対しては、その活動を表する人々もいれば、これを批判的に受け止める人々も居る。批判的な立場からは「肩書きマニア」と揶揄されることもあった。また、清水氏が出版倫理協議会議長の職にあった96年に導入された成人向け出版物への自主規制マークの導入は、表現の自由への権力の介入を防ぐ有効な手段になりえず、一部の出版社の首を絞める結果となった、と批判する人もいる。  しかしながら、そうした批判があったとしても、清水氏が常に言論・表現を行う人々の側に立ち、これまでその自由を守ろうとしてきたという事実は、変わらない。  その清水氏の晩年の大きな業績のひとつが、08年の日本映像倫理審査機構(現・映像倫理機構)最高顧問に就任したことだ。この組織は、日本ビデオ倫理協会(ビデ倫)が07年に警視庁による前代未聞の強制捜査を経て、新たに設立されたビデオ映像の法的、倫理的な審査を行う団体である。  この組織に清水氏が招かれた経緯を、日本映像倫理審査機構の事務局長を務めた酒井政雄氏は、次のように語る。 「ビデ倫の事件があり、これからどうしようかという時に有識者会議の座長にお招きしました。その時、清水先生から“第三者を入れた組織に変えなさい”とアドバイスを受けたのです。半分以上は業界関係者ではない、第三者を加えた組織です。そこに参加して頂ける識者も清水先生から、実際にご紹介して頂きました……いわば、今の映像倫理機構の枠組みは清水先生に作っていただいたんですね」  新たな組織を立ち上げるにあたり、不安な部分もあった。そこで、枠組みを作ってもらった清水氏に、ぜひ顧問を務めてもらいたいと酒井氏はお願いした。しかし、この時すでに86歳を迎えていた清水氏は、なかなか首を縦に振らなかった。 「鷺沼のご自宅まで、4回は足を運びましたね。最高顧問に就任していただいてからは、ウチの事務所が半蔵門線沿いにあったので、ほかの用事で出てこられた時も、時間が空いたときには、事務所で過ごしてもらうことが多かったですね」  ふと、疑問も感じた。日本映像倫理審査機構最高顧問に就任するまで、清水氏の勤めてきた役職は出版・放送業界の、いわば社会的な地位も名誉もあるものであった。そんな経歴がありながら、アダルト業界の業界団体の役職に就くことに躊躇はなかったのだろうか? 酒井氏は次のように語っている。 「清水先生は“表現の自由は必ず尊重されるもの”だとおっしゃり、アダルトへの偏見はまったく持っていませんでした。ですから、普通なら二の足を踏みそうな、ビデ倫が警視庁から強制捜査を受けた翌年にもかかわらず最高顧問に就いていただけたんだと思っています」  日本映像倫理審査機構は2010年に、コンテンツ・ソフト協同組合(CSA)と合流して新組織・映像倫理機構(映像倫)となり、現在に至っている。この映像倫はアダルトビデオからコンピューターゲームまで幅広い作品の審査を行う組織となった。この映像倫もまた、第三者機関としての独立性を第一に掲げている。自主規制を業界のメーカー同士という仲間内ではなく、第三者を含めて行うべきとの清水氏のプランは、どれほど有効なのだろうか。国士舘大学法学部教授で映像倫代表理事の片山等氏は語る。 「今でも、様々な業界団体で“警察の天下りを受け入れたら取り締まられないんじゃないか”って話がよく出ますよ。……出版業界でもね。しかし、それが安全策にならないってことはビデ倫事件で明らかになってしいます。でも、清水先生がおっしゃったように、業界外の方を招いた第三者機関にすると、どうでしょうか。審査を透明化して公平にやっていることをちゃんと世間に示すことができるようになりました。これによって、警察も手を出しにくくなるし、業界内での自主規制について自ら話し合う機会を持つこともできるようになったのだと考えています」 fvakhgakljh.jpg  人類の長い歴史において「エロ」は「うた」と並んで常に民衆の中にあり、民衆に求められてきたものである。「お上」とか「権力」と呼ばれるものは、常にそうした民衆の欲望を「俗悪」であるとか、一部のアンダーグラウンドな人々によって制作され流通しているものだというレッテル貼りを、規制を繰り返してきた。でも、もはやそうした公式が安易に通用しないことは、誰もがよく理解している。  そして、表現を発信する業界の側も、自分たちの商いに誇りを持ち、人目を憚るものではないことを示し、権力と対等に対峙しようと努力してきた。清水氏の提案により構築された第三者機関を軸とした審査制度は、権力が取り締まろうとする、民衆のための表現を守るものである(かつて、映画業界では、そのためにできた組織が映倫であり、そこで守られるべきと考えられた映画が『太陽の季節』であったことも忘れてはならない)。  生前、清水氏は「法学者が、とくに憲法研究者がこれ(言論・表現の自由を守る)をやるのは、当たり前なんだ」と語っていた、とも。  オリンピックに向けて過去のわが国の対応から、各種の表現領域、分野に於ける行き過ぎた表現を規制しようとする環境浄化の動きが強まることが予想される今、言論・表現の自由が規制されることへの不安の中で、この言葉の持つ価値は大きく、重い。  多くの参列者が詰めかけたお別れ会ではあったが、AVメーカーの参列が少なかったのが、非常に惜しまれるところだ。映像倫理機構では11月の臨時総会と同日に会員向け懇親会を開催し、改めて清水氏への哀悼の意を表す予定になっている。この席が、清水氏の業績を思い起こす場になることを願いたい。 (取材・文=昼間たかし)

「阿漕」「引っ張りだこ」「金字塔」の語源は? 百聞は一見に如かず『目でみることば』

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『目でみることば』(東京書籍)
 「几帳面」って、何かの面のこと? 「図星」の図って? 「羽目を外す」の羽目は? 普段、何気なく使っている言葉も、よくよく考えてみると一体なんのことやら、なぜこんな表現を? と疑問を感じることが多い。  『目でみることば』(東京書籍)はバカバカしくも大真面目に、言葉の語源を写真で表現した、非常に画期的な写真集。例えば、ずうずうしく、あくどいという意味で使われる「阿漕(あこぎ)」。この言葉には穏やかな海の写真が紹介されていて、一瞬“んっ?”と首をかしげさせられるのだが、実は阿漕の由来は、三重県津市に実在する阿漕ヶ浦。ここは、伊勢神宮に供える魚を獲るための漁港で一般的には禁漁区なのだが、かつては密猟をする人が絶えず、あくどい商売をする人のことを、こう呼ぶようになったのだという。  また、悪事や欠点を隠したつもりでも、その一部がバレてしまう「頭隠して尻隠さず」は、『古事記』『桃太郎』などにも登場する、日本で昔から親しまれている“ある鳥”が、臆病な上、飛ぶのが苦手で、危険を察すると草むらなどに隠れるのだが、しっぽが見えている様子からできた言葉で、草むらへ、とっとっとっと、と隠れていく、まさにその瞬間が写真に収められ、“なるほどこういうことか!”と、すぐに納得できる。  そのほかにも、「独活(うど)の大木」「瓜二つ」「金字塔」「引っ張りだこ」「反りが合わない」などなど、全部で40の言葉の語源が紹介されている。  著者は、言葉の謎や魅力を解き明かす創作活動「ことば探検プロジェクト」などを展開する、ライター&脚本家のおかべたかし氏。カメラマンには、「語源探しは、宝探しそのもの」と語る、雑誌、広告で活躍する山出高士氏を迎え、すべて撮り下ろし。2人が日本全国へと撮影に出かけ、5年もの歳月をかけて完成させたこだわりの一冊に仕上がっている。どのページをめくっても、「ほぉ~、へぇ~」と驚き、言葉の歴史、雑学が一発で頭に残ること、間違いなし!  (文=上浦未来) ●おかべたかし 1972年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒。出版社勤務後、編集者、ライター、脚本家。著書に『赤ちゃんを爆笑させる方法』(学習研究社)、『ブログ進化論』(講談社)、『Web2.0殺人事件』(イースト・プレス)など、漫画脚本作品に『ヒーローマスク』(小学館クリエイティブ)がある。

『第9地区』ニール・ブロムカンプ監督最新作 SFアクション大作『エリジウム』

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(C) 2011 Columbia TriStar Marketing Group, Inc. All rights reserved.
 今週紹介する新作映画は、未来を舞台にしたハリウッド製SFアクション大作と、実在の死刑囚に取材したノンフィクションに基づく和製犯罪ドラマ。一見印象が大きく異なる2本だが、「格差」「貧困」といった現代の問題を浮き彫りにする社会派作品という共通項もある。  9月20日公開の『エリジウム』は、『第9地区』(09)のニール・ブロムカンプ監督がマット・デイモン主演で描くSFサスペンスアクション。2154年、人類は地表から400キロ上空に浮かぶスペースコロニー「エリジウム」に暮らす富裕層と、スラム化した地球で過酷な労働と生活を強いられる貧困層に二分されていた。スラム暮らしの労働者マックス(デイモン)は、工場の事故で大量の放射線を浴びてしまい、余命5日と宣告される。エリジウムにはどんな病気でも治せる装置があることから、マックスは弱った身体を外骨格型スーツで強化し、エリジウムへ潜入を試みる。  南アフリカ出身のブロムカンプ監督は、かつて悪名高いアパルトヘイト政策をとっていた同国の人種差別を、「人類に隔離され支配されるエイリアン」という構図で風刺した長編デビュー作『第9地区』で高い評価を得た。今作でも、超リッチで高度な医療を享受できる層と、貧しく抑圧される層との格差を、天空のコロニーと地上のスラムという分かりやすいメタファーで描く。作品中に登場する日本刀や手裏剣、武士の甲ちゅうに似たプロテクターなど日本カルチャーからの影響も明らかで、特に木城ゆきと作のSF漫画『銃夢(ガンム)』と世界観がよく似ている点は、海外の映画情報サイトでも指摘されている。ちなみに『銃夢』の映画化権はジェームズ・キャメロンが取得したが、超人的な女戦士が活躍するキャメロン製作のテレビドラマ『ダークエンジェル』でブロムカンプはリードアニメーターを務めており、『銃夢』の存在を知っていても不思議ではない。こうした先行作品からの影響や共通点をマニアックにチェックするもよし、CGで驚くほどリアルに描かれたロボットやエリジウムの景観、スリリングで迫力満点のバトルに感嘆し興奮するもよし。さまざまな楽しみ方ができる娯楽大作だ。  続いて9月21日に封切られる『凶悪』(R15+)は、死刑囚の告発をもとに、雑誌記者が未解決の殺人事件に迫っていくベストセラーノンフィクション『凶悪 ある死刑囚の告発』(新潮45編集部編)を映画化。東京拘置所でヤクザの死刑囚・須藤(ピエール瀧)と面会した雑誌記者の藤井(山田孝之)は、須藤が死刑判決を受けた事件のほかに、3件の殺人に関与しており、すべての首謀者は「先生」と呼ばれる木村(リリー・フランキー)だと告白される。藤井が調査を進めると、やがて恐るべき凶悪事件の真相が明らかになっていく。  多額の借金を抱え家族からも「お荷物」になっている高齢者を預かり、病死などに見せかけて殺し保険金をせしめるという、ある意味究極の「貧困ビジネス」が実在することに驚かされる。取材を通じて「先生」らの凶悪な行為に触れるうち、次第に狂気に感染して変貌する藤井を演じ切った山田孝之が圧巻。藤井の認知症の母親と介護に疲弊する妻(池脇千鶴)のサブストーリーを織り交ぜることで、特殊な凶悪事件とジャーナリストの話にとどめず、多くの人にとって身近で切実な高齢化と介護の問題や、日常に潜む「邪悪な感情」と地続きであることを実感させる。監督は『ロストパラダイス・イン・トーキョー』(10)の白石和彌。長編2本目にしてこの構成力と演出力、緊張に満ちた語り口と重厚な映像に、今後のさらなる活躍を確信するはずだ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『エリジウム』作品情報 <http://eiga.com/movie/58255/> 『凶悪』作品情報 <http://eiga.com/movie/77879/>

ダル弟デビュー! 地元ヤカラ乱入で警察出動騒ぎも! 「THE OUTSDIER 大阪大会」がヤバすぎた!!

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前田に詰め寄る乱入者と、それを制するセキュリティー。
 ダル弟デビュー! ヤカラ乱入!──リングス・前田日明が主催するアマチュア総合格闘技大会『THE OUTSIDER(アウトサイダー)初・大阪大会』が8日、大阪市中央体育館・サブアリーナで開催された。メジャーリーガー・ダルビッシュ有の実弟、翔(24)が初参戦することで注目を集めた本大会だが、地元のヤカラが会場に乱入し、警察が出動する騒ぎも起きた。トラブルの原因は何なのか? そのとき翔は?──緊迫の舞台裏をレポートする!  これまで東京を主戦場としてきたアウトサイダーが、大阪へ初上陸。おまけに大阪が地元の翔も初参戦するとあって、この日の会場は超満員となった。  数試合が終わり、会場が温まったころに選手控え室を覗いてみると、ひときわ体の大きな男がジャージ姿で寝そべっていた。兄によく似た目鼻立ち。そう、この男こそが、第19試合に出場する翔である。  「格闘技を通じた不良の更生」をテーマとするアウトサイダーには、元不良が多く参戦しているが、翔もご多分に漏れず暴走族出身で、傷害と大麻所持で逮捕歴があるという。おまけに身長182センチ、体重100キロという巨漢ゆえ、その威圧感は半端じゃない。  恐る恐る近付いてインタビューを申し込むと、「すんません、試合前は勘弁してください。試合後やったらなんぼでも喋りますんで」と関西弁で丁重に断られてしまった。  仕方がないので客席へ戻ると、第9試合が終わった直後に、事件が起きた。  主催者席にいた前田日明の元に突然ペットボトルが飛んで来て、それを合図に5~6人のいかつい男たちが「前田、コラ!」などと叫びながらリングサイドになだれこんで来たのだ。そのうちの1人が前田につかみかかろうとしたところでセキュリティーが割って入り、前田はいったんバックスステージへ避難。それを追う者、群がる野次馬、逃げ惑う観客らで、会場はしばし騒然となった。
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前田と強者関係者が話し合う会議室の外には、警察官の姿も。
 乱入してきたのは、大阪の地下格闘技団体「強者」(昨年末に解散表明)の関係者たち。「大阪で興行をするのに、挨拶がなかった」ことに腹を立て、乱入を企てたようだ。ほぼ同時に、ロビーで消火器が撒かれる事件も起き、警察と消防が出動する騒ぎとなった。
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騒ぎを聞きつけロビーに現れた翔。
 やがて会場内の会議室にて前田と「強者」関係者の話し合いが持たれたが、その間、大会は中断。これが1時間以上に及んだため、痺れを切らした翔の後援者が「いつまで待たすんや! ワシらもう、選手も客も全員連れて帰るで!」と怒鳴り込んで来る一幕もあった。  騒ぎを聞きつけた翔もロビーに現れたが、後援者から「帰るで!」と言われると顔を曇らせ、「(試合を)やるんか?」と聞かれたら、「やります!」と即答。後援者はこれを聞き入れ、客席へと引き下がった。  結局、1時間半ほどの中断ののち、大会は再開。そして迎えた第19試合、翔がフードをかぶって颯爽と入場すると、会場はこの日一番の歓声に包まれた。アウトサイダー初出場の翔、その総合格闘技歴はわずか半年だという。  対する出田源貴(35)は、アウトサイダーの黎明期(2008年)から出場を続け、同大会で5勝2敗の戦績を誇る強豪。キャリアを考えれば、「翔に勝ち目なし」というのが下馬評だった。  ところが試合が始まると、翔は素早い踏み込みからフックやローを繰り出し、積極的に前に出る。力任せに押し倒し、丸太のような太い腕で出田を締め付ける場面も。 tososk04.jpg
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寝技で優勢に立つ場面も。
 しかし2ラウンドに入ると攻撃パターンを見切られたのか、出足をローで制される場面が増え、動きは鈍化。一方の出田もスタミナ切れで動きが鈍り、結果は判定ドローとなった。「倒せなかったのが悔しい」という翔だが、その表情からは満足感も見て取れた。
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兄の投球フォームに似ている?

tososk08.jpg  試合後の翔に話を聞く。 ──ナイスファイトでした。 「ですかね? まだわかんないんですよ、格闘技始めて3戦目なんで。(自分の攻撃が)効いてるのか効いてないのか、ようわからへん」 ──なぜアウトサイダーに出ようと思ったのですか? 「精神的に弱いんで、それを克服したかったんですよ。今までの人生、大事なところで弱気になってしまうことが度々あった。(今日出場したことは)格闘技うんぬんではなく、人生的にすごいよかったな、と思う。今後の人生につながっていけばいいな、と」 ──緊張は? 「まったくしなかったし、会場が大きいのもまったく気にならへんかったけど、やっぱり相手(のレベル)が普通のアレとは違いますね。要所要所、うまいっすよ。フックで入ったとき、ヒザ蹴りを合わせてきたりとか。うまいです。入り込めなかった」 tososk09.jpg ──翔選手の踏み込みも速かったですよ。 「それが売りなんですよ。でも、速かったけど、行き切れてなかったでしょ? ビビってんですよ、あれ」 ──ケンカとの違いは? 「あのね、ケンカって自分のアドレナリンで戦えるじゃないですか? ムカつくこと言われて自分でキレて、その勢いでバーッといけるけど、格闘技は違う。まったく知らない人と試合組まれて、日にち決められて、まったくムカついてもいない人とヨーイドン! で戦わなくちゃならない。これって結構、しんどいですよ(笑)」 ──完全燃焼できましたか? 「あとであれこれ思うだろうけど、今日の段階でのベストは尽くせました」 ──今日試合があるということをお兄さんに報告は? 「してないけど、知ってると思います。駄目出しされると思います」 ──激励メールなどはもらえないんですかね? 「(兄は)そういうヤツじゃないんで。心の中で何かしら感じるタイプなんで。もっと自分が上に行けば相手してもらえるかもしれないですね。自分はまだまだです」 ──今後の抱負は? 「とりあえず年内(の試合)はないです。次回は未定ですが、東京(開催のアウトサイダー)に行くかもしれません」 ──応援団の人数がすごかったですが、全部で何人? 「450人ぐらいです」 ──試合後、握手攻めにあっていましたね。 「こんなん、生まれて初めてです」 ──今日は人生最良の日? 「間違いないです!」  大会終了後、前田日明は翔について、こうコメントした。 「正直、出田には勝てないと思っていたので、引き分けたのはたいしたもの。技術的には接近戦のショートフックがよかったですね。ハーフは優性遺伝の塊。ヘビー級でやるならもっと筋肉をガッチリつけて、110キロぐらいまで持っていって、そこから絞って動けるようにすれば、プロでも85から90キロのトップでいけるかも。アウトサイダーはヘビー級が人材不足。日本人の相手はちょっと見当たらないので、米軍とやらせてみたいですね」  翔の参戦により、これからの展開がますます楽しみになってきたアウトサイダー。次回大会は12月開催の予定である。また、アウトサイダーを題材にしたドキュメンタリー映画『タイトロープ』が11月9日(土)よりシネマート六本木ほかで全国順次ロードショーされることが決定した。詳細は公式FB(https://www.facebook.com/tightrope1109)でご確認あれ! (取材・文=岡林敬太)

続編ものも意外としょっぱい!? パッケージ商品の売り上げ本数で見る、続編ものアニメの明暗

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『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000% 4』(キングレコード)
 人気アニメの続編。それは勝利を約束された鉄板コンテンツです。さまざまなタイトルが乱立し、限られたパイの奪い合いといった様相を呈している昨今のアニメ業界。折からの不況も相まって、アニメファンの財布のヒモも固くなってきたことから、まったくゼロから新規企画を立ち上げることは、なかなかリスキーな行為だといえます。それに比べて、かつてヒットした作品の続編なら、ある程度の売り上げは予測可能。大ヒットとはいわずとも、少なくとも大コケすることはないはず!  そんなビジネスライクな思惑と打算、そしてファンからのラブコールで作られる続編ものアニメですが、単純にBlu-ray&DVDといったパッケージの売り上げの動向を見ると、必ずしもそうではないようです。そこで今回は、2013年に入って放送された続編、リメイクもののDVD&Blu-ray第1巻の売り上げを前作と比較し、果たして続編ものは本当に勝利を約束されたコンテンツなのかどうかを検証してみます! 【パターン1・大躍進型】  続編が前作以上に大ヒット。パッケージ商品も、前作を上回る売り上げを達成するという、メーカーとしては一番うれしいのがこのパターンです。実はこのタイプは万に一つの特殊パターンで、2013年放送作品に限れば、約2万5,000枚から約6万5,000枚とダブルスコア以上の大躍進を達成した『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE2000%』(うたプリ)。そして『ちはやふる2』の2作品のみ。  なお、『ちはやふる2』に関しては、前作が全9巻を別売りする通常のパッケージ販売の形態でしたが、『2』では上下巻のBOX仕様で販売となっています。その結果、約2,100枚から約3,400枚と一商品あたりの売り上げ本数は増加しています。また、『うたプリ』第1巻にはライブイベントの先行抽選コードが封入されていたということもあり、複数買いしたファンも少ないと思われます。それを踏まえても、驚異的な数であることは変わりがないわけですが。 【パターン2・横ばい型】  前作とほぼ変わらない、もしくは7~8割程度の売り上げ枚数を維持するパターンです。 とりあえず、多くの作品がこのラインを目指すのではないでしょうか。このパターンも意外と少なく、ここに分類できるのは、『僕は友達が少ない NEXT』『俺の妹がこんなに可愛いわけがない。』『とある科学の超電磁砲S』の3タイトル。  こうしてみると、いずれも根強い固定ファンを持つ漫画、ライトノベル原作ものばかりですね。実際には各作品とも売り上げ枚数自体に差はあるものの、前作ファンを満足させられるクオリティを維持できれば、パッケージ商品の売り上げも維持できる、といったところでしょうか。 【パターン3・激減型】  実は、このパターンが一番多かったりします。前作の40%程度の売り上げとなってしまった『百花繚乱 サムライブライド』。ストーリーを仕切り直して再スタートした『ローゼンメイデン』は、約1万1,000枚から約2,000枚へと急降下。人気漫画の続編をアニメ化した『げんしけん二代目』は、前作の約2,600枚から約800枚に減少。『gdgd妖精s』は、約3,900枚から約1,900枚に半減。  昨年、日本全国に「(」・ω・)うー!(/・ω・)/にゃー!」旋風を巻き起こした『這いよれ!ニャル子さんW』は、約9,200枚から約5,100枚と6割弱に減少。はやり廃りのサイクルの速さを痛感せざるを得ません。  最も驚きなのが、『よんでますよ、アザゼルさん。Z』です。前作同様、今回も小野坂昌也、浪川大輔、神谷浩史といった人気男性声優が出演するイベントへの参加券を全巻購入者特典として封入しましたが、Blu-ray&DVDの売り上げ枚数は約9,600枚から約4,300枚へと半分以下に激減。人気声優の力をもってしても、作品の売り上げを維持することは難しいということなのでしょうか。 【パターン4・複合型】  これはパターン2とパターン3のハイブリッドともいえる分類で、シリーズ当初から大きく売り上げ枚数を減少させながらも続編が制作される長期シリーズもの特有のパターンです。シリーズ第4期となる『みなみけ ただいま』は、第2期で大きく売り上げを落としつつも、その後もシリーズ続行。シリーズ第1期では約9,000枚を初動で売り上げた『ハヤテのごとく!』は、第2期に約6,000枚の売り上げを記録。パターン2の動きを見せながらも、第3期は約1,000枚に急落。現在放送中の第4期『ハヤテのごとく! Cuties』は約700枚とさらに売り上げを落としており、パターン3的な動きも見せています。 ***  こうして見ると、続編アニメは思ったよりもヒットが約束されているわけではないことがわかりますね。もちろんパッケージ商品の売り上げが、アニメの面白さに比例するわけではありません。いちアニメファンとしては、今後も新作、続編問わず、面白いアニメが見られることを願うばかりです! (文=龍崎珠樹)

「早くノーベル賞が欲しい」村上春樹が衝撃告白! 大川隆法の霊言本がますますアツい

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『大川隆法の守護霊霊言』(幸福の科学出版)
 いま書店に行くと、あの村上春樹のインタビュー本が平積みになっているのをご存じだろうか? メディア嫌いでめったに取材を受けない春樹が、ぶしつけな質問にも答えているのだ。  たとえば、毎年のように受賞かと騒がれるノーベル賞について問われ、 「私も、ノーベル賞が欲しいです。早く早く」――――。  なかなか本音を語らないといわれる春樹にしては、あけすけすぎるというか、俗物っぽすぎるというか……。一体、どうしちゃったのか? 実はこれ、春樹本人が語っているわけではない。この本、『村上春樹が売れる理由―深層意識の解剖』は、「幸福の科学」の教祖・大川隆法が、春樹の守護霊を自らに降ろして、信者たちの質問に答えたものなのだ。もちろん版元は幸福の科学出版である。  この春樹の守護霊、実にカネに卑しく人間くさいキャラ設定で、たとえば、著書が売れる理由を教えてくれという身もフタもない質問には、「“秘伝のタレ”みたいなものでしょう? 絶対、教えちゃいけない」と、ちまたの酔いどれオヤジのように返し、発売前に内容を明かさないプロモーションについて問われると、「ビニ本とほとんど一緒の状態ではあるけども、そのへんの期待感を上手に盛り上げるのも、マーケティングなんですよね」と、純文学の作家とは到底思えないゲスな返事をしている。  先ほどのノーベル賞についても、「私も、ノーベル賞が欲しいです。早く早く」「去年、取り損ねたな。あれは悔しい」「今年、もう一回、挑戦」と野心を丸出し。「歴史に名前が遺るのは私で、大川隆法のほうは消えます。私は、ノーベル賞を取って名前が遺ります」と、なぜか大川に対してライバル意識まで燃やしている。  また、『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』(文藝春秋)の思わせぶりなタイトルについて信者から問われると、「まあ、『肩すかし』も、相撲の技としては通用するわけです。(中略)『やられた!』『くそー、外したなあ』というマゾ感覚で、読者が増えるんですよ」と居直ったり、『多崎つくる~』の版元である文藝春秋と幸福の科学が係争中であることを受け、「まあ、文藝春秋もベストセラーを出したくて、うずうずしていた。(中略)久々にベストヒットを打って、『損害賠償の賠償金が払える』と喜んでいるんじゃないかと思います。そういう意味では、ご協力申し上げているのではないかと、私は思うんですけどね」などと返答。春樹の作品論や作家性への言及はほとんどナシ、扱いは“マーケティングに成功した人”なのだ。  中でも最大の見どころは、「それで、大川さんみたいな人に、『ええかげんにせえ』と怒られるわけやけど」「思うたりもするんですけどねえ」などといった、“微妙な関西弁”がごくたまに登場する部分だ。関西出身ながら関西弁嫌いで知られる春樹だが、そんな彼の口からうっかり関西弁が出てしまうほどに本音を語っていることを表現しているのか、それとも徳島県出身の大川の素がついつい出ちゃったのか……真意はもちろん謎である。  この“大川隆法が有名人の守護霊を降ろしちゃった”シリーズ、いわゆる「霊言本」は、春樹だけに終わらない。8月には『風立ちぬ』が公開されたばかりの宮崎駿の守護霊を呼び出したインタビュー本『「宮崎駿アニメ映画」創作の真相に迫る』も発売。ここでは、幸福の科学が製作してきた映画について感想を求められた宮崎(の守護霊)が、「いい評価をしたら、お墨付きを与えたことになって、『宮崎ファンは、みんな、こっちを観に行きなさい』ということになるし、悪い評価をしたら、『喧嘩を売った』ということになって、君らは、また攻撃するんだろう? あ、これ(霊言収録)は、もうすでに攻撃だよ。“霊言集攻撃”だよ」と、幸福の科学の激しい抗議活動を揶揄する自虐ネタまで登場。  さらに、原発問題について問われた際には「まあ、あれを“有効利用”するんだったら、放射能がいっぱいの福島県に、われら老人を全員、全国からかき集めて、そこに住まわしたらいいよ。そうしたら、日本人の老人の平均寿命が縮んで、年金問題も解決するから」「原発の汚染水がたまってる所をプールにして、そのなかで泳いで回ったらいいんだよ。たっぷり浴びてもらえば、早く死ぬだろうよ」と、宮崎(しつこいですが守護霊です。念のため)がトンデモ発言を連発!  それに対し、原発推進派である幸福の科学信者から“電気が足りなくなる”などと追及され、「ちょっと、もう、問題が難しいから、やめてくれない? 私は政治家じゃないので」と、宮崎はやり込められてしまう……というオチがついていた。とにかくどんな人物でも、守護霊となると、とことん頭が悪い設定にされてしまうようである。もう気の毒としか言いようがない。  以前から幸福の科学出版では、天皇や歴史上の人物などの霊言本を出版してきた。しかし、最近は前出の春樹や宮崎にとどまらず、筑紫哲也に本多勝一、古舘伊知郎、池上彰といったジャーナリストから、ビートたけし、膳場貴子アナといった有名人の霊言本を続々と発表。とくに、ドラマ『ガリレオ』(フジテレビ系)の放映に合わせて『ガリレオの変心』というガリレオのインタビュー本を作ったり、8月には宮崎のほかに秋元康の守護霊にインタビューした『AKB48ヒットの秘密』を出版するなど、流行への丸乗り感は“すごい”の一言。そのうち「あまちゃん」や「半沢直樹」のインタビュー本も出しそうな勢いだ。しかも驚かされるのは、政治から芸能まで、これだけ早いペースで流行に合わせて本を量産している点。この力を生かせば、大川はコント作家としても成功しそうだ。  また、春樹や宮崎に対しても、とりあえず政治的な議論をふっかけ論破するというスタイルをとっているが、もはや布教や政治性は主題ではなく、完全にネタ化しているのも見逃せない。参院選前日に出版された福島瑞穂の霊言本『そして誰もいなくなった』などは、タイトルからして大喜利状態である。さらに、YouTubeには、霊を降ろしていると思われる大川がインタビューに応じる姿が公開されているが、それだけ見るとクオリティの低いモノマネ。これを信者はどんな気持ちで見ているのだろう……。  それにしても、これだけ勝手に発言を作られ、勝手に写真まで使われているのに、大川に守護霊を降ろされてしまった人たちは、なぜ名誉毀損や肖像権侵害で訴えたりしないのだろうか? やはり幸福の科学の抗議がめんどくさいからなのだろうか? そう考えると、幸福の科学とはつくづく最強である。 (文=和田実)

日米“サムライ対決”の勝敗は!?『ウルヴァリン:SAMURAI』『許されざる者』

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(C) 2013 Twentieth Century Fox.
 今週も数多く封切られる新作映画の中で最注目は、ウエスト・ミーツ・イーストな“サムライ対決”! アメコミヒーローが日本を舞台に刀を振り回す敵役と戦うハリウッド製アクションと、オスカーに輝く傑作西部劇を北海道開拓時代の物語としてリメイクした日本映画を紹介したい(いずれも9月13日公開)。  『ウルヴァリン:SAMURAI』は、『X-MEN』シリーズの人気キャラクターを主人公としたスピンオフ作品『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(09)の続編。カナダで隠遁生活を送っていたウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)は、かつて命を救った大物実業家・矢志田に請われて東京を訪れる。重病を患っていた矢志田は、再会を果たした直後に死去。葬儀の会場で孫娘マリコが謎の武装組織に拉致されかけたことから、ウルヴァリンはマリコと共に西日本へ逃れる。だが、矢志田家の内部に潜入していた女ミュータントにより、ウルヴァリンは不老不死を支える驚異的な治癒能力を奪われ、かつてない危機的な状況で敵と対峙する。  本作のハイライトの1つは、矢志田の息子シンゲンに扮する真田広之と、ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンとの真剣勝負。40代半ばながら筋肉隆々の裸上半身をさらすジャックマンと、50代前半で依然衰えないスピーディーな太刀さばきの真田による迫力満点の死闘は、単純な興奮や高揚感だけでなく、さまざまな感慨をも日本人観客にもたらすはず。ウルヴァリンと恋に落ちるマリコ役のTAOと、赤毛で武闘派のユキオに扮した福島リラは、共にモデル出身だが重要なキャラクターを魅力的に演じ、今後のさらなる活躍が期待される。監督は『“アイデンティティー”』(03)、『ナイト&デイ』(10)のジェームズ・マンゴールド。新宿駅や上野駅、増上寺といった日本の見慣れた風景の中にアメコミヒーローが存在しているという微妙な違和感や、外国映画にありがちな「ニッポンの変な描写」も含め、大いに興奮し随所で笑える娯楽作だ。  もう1本の『許されざる者』は、クリント・イーストウッド監督・主演で第65回米アカデミー賞で、作品賞など4部門を受賞した西部劇『許されざる者』(92)を、『悪人』の李相日監督がリメイクした作品。江戸時代末、幕府軍最下層の兵士として大勢の志士を斬りまくり「人斬り十兵衛」と恐れられた男(渡辺謙)が、幕府崩壊後の明治初期に北海道へ逃れ、人里離れた土地で細々と暮らしていた。亡き妻に「二度と人は殺さない」と誓った十兵衛だが、2人の子どもを養えないほどの貧困に追いつめられ、不良開拓民に懸けられた賞金を稼ぐため再び刀を手にする。  オリジナルが持つ骨太なエッセンスをそのままに、北海道の雄大な景観、明治初期の開拓時代、辺境地に落ち延びたかつての人斬り侍、先住民と開拓民との関係といった要素で見事に再構築したリメイク作。罪の重みに耐える男の佇まいから、怒りと痛みと悲しみを鬼気迫る表情で演じた終盤の大立ち回りまで、渡辺謙による重厚で味わい深い演技が絶品だ。柄本明、佐藤浩市、柳楽優弥ら共演陣も、コントラストの効いたアンサンブルで物語を盛り上げる。オープンセットが建てられた大雪山山麓の美しく広大な自然、水平方向の被写体配置を強調した構図など、ぜひ大スクリーンでその魅力をたっぷり味わっていただきたい。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『ウルヴァリン:SAMURAI』作品情報 <http://eiga.com/movie/77469/> 『許されざる者』作品情報 <http://eiga.com/movie/77402/>

バイク専門誌「MOTOツーリング」判型変更に見る“若者のバイク離れ”の現実とは

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「MOTOツーリング Vol.12」2013年8月号(内外出版社)
 「若者のバイク離れ」なるものが深刻だという。日本自動車工業会の調査によれば、2003年度に39.9歳だったライダーの平均年齢は、11年度には48.5歳に上昇しているという。  新規ライダーがあまり増加しない中で、バイク雑誌も以前ほどは売れず、苦戦を強いられているという話も。  そんな中、一部のライダーの中で話題になったのが、バイクツーリング専門誌「MOTOツーリング」(内外出版社)が最新の2013年夏号から判型を変更したことだ。通例、雑誌が判型を変更するのは、結構な一大事。ありがちな理由は、雑誌が売れていなくてリニューアルを図る場合、もしくは値上げの言い訳というもの。やはり、ツーリング雑誌も苦境に立たされているのか?  ところが、バイク雑誌関係者の見方は違う。 「バイクツーリング雑誌は、今から20年ほど前の北海道ツーリングがブームだった頃に生まれたものです。当時はどの雑誌も、A5かA5変形判でした。というのも、ライダーは雑誌の地図を見ながら走ります。通常はタンクバッグに差し込むのですが、当時はA4サイズを差し込めるタンクバッグはありませんでした。ですから、サイズはA5で固定されていたんです」  ここ20年ほどの間にタンクバッグも進化し、主流はA4サイズへと変化した。それに加えてライダーも高齢化したので、文字が大きいほうが読みやすい。さらに、大判にすれば写真も大きく掲載したり、ビジュアル面でも読んで楽しめるレイアウトにすることができる。そこで、バイクツーリング雑誌も、伝統的なA5サイズからA4サイズへの移行を検討している。その先陣をきったのが「MOTOツーリング」というわけだ。  ただ、もちろん使いやすさばかりが理由ではない。 「判型を大きくすれば、値段を上げることもできます。でも、それで黒字が増えれば読者に還元できるわけですから、むしろいいことではないでしょうか」(同)  「MOTOツーリング」の場合、値段は490円から200円アップの690円。わずか200円で読みやすく使いやすくなるのなら、読者としても言うことはないだろう。  さて「若者のバイク離れ」が深刻とされ、新規登録台数だけで見るとライダーは減少しているように思えるが、実際には中古バイク市場は活発だという。つまり、ライダーは減少し高齢化する一方ではなく、若者も昔ほどではないにしても、一定数が参入を続けているのである。  そうした中で、バイクツーリング、あるいはバイクと共に旅することは、ライダーにとっては憧れの楽しみ方。いま最も売れているバイク雑誌といわれる「VIBES」(新アポロ出版)は、ハーレーを中心としたアメリカンバイク雑誌だが、バイクそのものではなく、バイクと共に旅する楽しみも数多く扱っている。  バイクは単にチューンナップしたり、街中で人に見せて楽しむだけのものではない。バイクをツールに使って、まだ見ぬ土地へと向かう、それこそがバイクの醍醐味だと、多くのライダーは知っているのだ。  さらに、バイクと旅こそが、これから先のライダーの増加のカギになるかもしれない。 「徒歩、自転車、バイクと、旅の楽しみ方はさまざまです。ところが、旅やツーリングを楽しむ人にはジャンルを超えた行き来があるんです。自転車で楽しんでいた人がバイクに乗り換えたり、その逆もあります」(同)  長らく旅は自転車と決めてきた筆者だが、この記事を書くために「MOTOツーリング」を購入してみたところ「バイク旅もよいのではないか」と考え始めた次第(なお、脚でこぐかエンジンがついているかの違いなので、自転車旅にも応用できるのが吉)。いずれにしても、旅はたとえ日帰りでも人生を豊かにしてくれるもの。まずは、バイクツーリング雑誌で机上旅行だけでも楽しんでみないか? (文=昼間たかし)