アニメ業界の新潮流? 「キルミーベイベー」に「ラブライブ!」とOVA付きCDが出現!

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『キルミーベイベー・スーパー』(ポニーキャニオン)
「どしたのワサワサッ?」 「うるさいドーン!!」  このフレーズだけでピンときたアナタ。間違いなく、洗脳されてますネ! そう『キルミーベイベー』に!  2012年の深夜に放送され、当初はそんなに話題にならなかったものの、中毒性のある内容と主題歌のパワーで放送終了後もジワジワとファンというか信者、もしくは患者を現在進行形で増やし続けるギャグアニメ『キルミーベイベー』が今秋復活する。  10月16日に、テレビで使用されたOP、EDテーマやキャラクターソングを収録したベストアルバム『キルミーベイベー・スーパー』(ポニーキャニオン)をリリースする本作だが、今回のアルバムには、ほぼテレビアニメ1話分に相当する約27分のOVAが付属。「まさかの第2期フラグか?」とファンの期待感を煽っている。  それにしても、「CDにOVAが一本丸ごと付いてくる」という展開は、今までにあまり見なかった動きである。従来はOVAに特典CDがついてくるという形が主流だったが、『キルミーベイベー・スーパー』では主従が逆転してしまっている。  そのほぼ1カ月後となる11月27日にリリースされる、アニメ『ラブライブ!』のヒロインたちによるアイドルユニット・μ’s(ミューズ)のニューシングル(タイトル未定/ランティス)でも、CDにOVAを収録したBlu-rayが付属するバージョンが発売される予定だ。  μ’sは、これまでもシングル表題曲のアニメPVを収録したDVDをCDに付属してきたが、今回はPVを収録したDVD付きのバージョンのほかに、PVと短編OVAを収録したBlu-ray付きのバージョン。および前出のBlu-rayに加えて、さまざまな特典を封入した「超豪華盤」の3バージョンの発売が予定されている。お値段もDVD付き通常盤は2000円、BD付き通常盤は4500円、超豪華盤は7500円(すべて税込)と幅広い。  このように、まだまだ数はごく少なくはあるのだが、CDの特典にOVAを付けるという動きが生まれつつあるのは非常に興味深い。 「今後、こういう形態のアイテムが増えるかどうかはまだわかりませんが、どちらのタイトルも楽曲人気が高いアニメだと思います。アニメ本編は知らないけど、アニメソングとして気に入った人がCDを購入し、そこで特典に付いてきたアニメを見ることでアニメ本編にハマるという可能性もあると思います」 と、アニメ雑誌関係者は分析する。また、アニメソング関係のライブイベントによく足を運ぶというアニメ系ライターは、 「最近、アニメ本編は見ないけどアニメソングだけは聴く、というアニソンリスナーが増えています。そういう消費者には、アニメソングだけでなく、アニメ本編に触れるいい機会になるのでは」 と語る。やはり、アニメソングはアニメあってこそ。楽曲と作品を一度に楽しめる今回のようなパッケージングには、アニメ本編とアニメソングの関係性について再考させられる面もあるというのは考えすぎだろうか? CD+特典アニメという組み合わせのパッケージングについて、今後も注目していきたいところだ。  ドーーーーーン!!!!! (文=龍崎珠樹)

『スラムドッグ$ミリオネア』ダニー・ボイル監督の新たな挑戦『トランス』

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(C)2013 Twentieth Century Fox
 今週も数多く封切られる最新映画の中から、今回は犯罪を題材にした個性的な2作品を取り上げたい。名画強盗と失われた記憶をめぐる緊迫した心理劇と、殺し屋稼業の少女2人組を描く一風変わった活劇。日常をしばし忘れ、危うくも魅力的な世界に浸ってみよう。  公開中の『トランス』(R15+)は、『スラムドッグ$ミリオネア』(08)でアカデミー賞8部門受賞のダニー・ボイル監督が、『ウォンテッド』(08)のジェームズ・マカボイ主演で描くスタイリッシュなスリラー。競売人のサイモン(マカボイ)は、ギャングと手を結んでオークション会場からゴヤの名画を盗み出す。だが、計画にない行動をとったため首謀者のフランク(バンサン・カッセル)から殴り倒され、病院で目覚めたときには絵の隠し場所を含む記憶の一部を失っていた。フランクは催眠療法士エリザベス(ロザリオ・ドーソン)を使い、サイモンの潜在意識から絵画のありかを探ろうとする。  サイモン、フランク、エリザベスという3者の関係がストーリーの進行と共に二転三転し、キャラクターに対する観客の印象もがらりと変わる。催眠術にかかった状態(トランス)の記憶と妄想の入り混じった映像にまでしっかりと伏線が張られ、終盤ですべての謎が明らかになるシークエンスの衝撃はまさに圧巻。結末を知った後で、もう一度見返したくなる人も多いはず。オスカーを獲得しロンドン五輪開会式の総監督も務めるなど、50代にして巨匠の風格さえ漂うボイル監督だが、新たな表現にチャレンジする姿勢は本作でも健在だ。  『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』は、『つぐない』(07)のシアーシャ・ローナンと『旅するジーンズと16歳の夏』(05)のアレクシス・ブレーデルが、ティーンエイジャーの殺し屋に扮したアクションドラマ。清楚な尼僧服に身を包み拳銃で大男たちを次々に射殺するバイオレット(ブレーデル)とデイジー(ローナン)。新作ドレス欲しさに引き受けた次の依頼は、アパートで一人暮らしのマイケル(ジェームズ・ガンドルフィーニ)を殺すというごく簡単な仕事のはずだった。だが、マイケルが別の集団にも命を狙われていたことから、2人は思わぬ事態に巻き込まれる。  『プレシャス』(09)でアカデミー脚本賞を受賞したジェフリー・フレッチャーが、オリジナル脚本で監督デビューを飾った本作。ファッションと甘いお菓子が大好きで、名前の通り花のように可憐な十代の乙女たちが、表情を変えずに銃をブッ放し「バイオレンス&デス」を繰り広げるギャップが楽しい。撃ち殺したばかりの死体に乗って踊ったり、浴槽に集めた死体の上でシャワーを浴びたりと、無邪気さと残酷さが奇妙に同居したシーンの数々が不謹慎な笑いを誘う。今年6月に心臓発作で急死した名優ジェームズ・ガンドルフィーニの演技もしみじみと味わい深い。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『トランス』作品情報 <http://eiga.com/movie/78755/> 『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』作品情報 <http://eiga.com/movie/78059/>

「アドレナリンがドバーって出ちゃう☆」グラドル・くぼたみか熱弁するパチンコ愛

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いつもスマホ片手にパチンコに挑むという
くぼたみかちゃん
 情報を制する者が世界を制する現代社会。パチンコユーザーにおいても、情報の重要性は年々高まっている。さらなる大当たりを引くために、彼らは日夜ネットや雑誌をチェックし、情報をかき集めまくっているのだ。  そんなパチンカーたちから熱い視線を注がれているのが、7月にオープンしたサイト『激アツ.com』。東京、千葉、神奈川、埼玉にある優良ホールの情報や、機種情報、コミュニティ機能など、パチンコファン垂涎の情報が掲載されている。  この『激アツ.com』を、『今夜もドル箱S』(テレビ東京)に9月まで出演していたくぼたみかちゃんが初体験。セクシーなグラビアとともに、「1人でもパチンコに通い詰めちゃう」という、くぼみんのパチンコ愛をご堪能あれっ!
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表情は真剣そのもの
くぼた (『激アツ.com』を覗きこんで)ふむふむ……。あ、すごい! 優良ホールの情報がかなり載ってるんですね。勝ちやすい日なんて分かったら絶対に行っちゃうじゃないですか!! ──あの……インタビューが始まる前からすでにギャンブラーモードなんですが……。
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くぼた ホールの情報をまとめているサイトってあんまりないんですよ。これは便利かも。へえ、新台情報も充実してる~。 ──この姿を見ているだけで、くぼみんのパチンコ愛が伝わってきます! くぼた プライベートで行くときは、スマホを片手にパチンコをしていることが多いんです。台の攻略法とか、大当たりの確率とかの情報が細かく載ってるサイトを参考に打っています。片手で見れるから雑誌よりも楽ですよね。実は、『今夜もドル箱S』の出演が決まった1年半前は、まったくパチンコ未体験だったんですけど、その後、がんばって勉強していったらいつの間にかハマっちゃいました。
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激アツ.com』をチェックしまくるくぼみん
──どんな勉強を? くぼた 事務所の先輩にパチンコ好きの芸人さんが多いので、質問攻めにしたら熱く答えてくれたんです。Hi-Hiさんや、ハマカーンさんが私の師匠ですね。でも、始めた当初はビギナーズラックで引きがよかったのに、最近はどうも調子が悪くなってきちゃった……。番組で共演した及川奈央さんの説では、プライベートが上手くいっているとパチンコがダメになるみたいです。 ──ということは、プライベートは充実中!? くぼた それは……秘密です! ──もともとギャンブルは好きなんですか? くぼた そうですね。手持ちのお金がないのに「絶対勝てます!」とプロデューサーさんを言いくるめて、借りたお金でパチンコをしたこともあります。 IMG_5751_.jpg
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──それって、『闇金ウシジマくん』に出てくるようなダメ人間のすることじゃ……。 くぼた でも、そういう時に限って勝つんですよ! それに、プロデューサーさんにはちゃんと借りたお金は返しましたよ! ──くぼみんの台選びのポイントは? くぼた かわいい台を選んじゃいますね。「海物語」や「わんわんパラダイス」、「らんま1/2」なんかは、当たらなくても演出がかわいくて楽しい。もちろん、当たったら最高! 日常では感じれないアドレナリンがドバーって出ちゃいます。 ──いろんなタレントさんがパチンコ台に登場していますが、もしも「CRくぼたみか」が出たら、どんな台にしたい? くぼた 私、パチンコ台に出るのが夢なんです! そうだな……ロリセクシーな激アツリーチで登場したり、熱くないリーチの時は被り物をするおバカな面も見せたいかも。でも、誰も打たなくて、すぐに撤去されたら嫌だなぁ……。 ──セクシーなくぼみんを拝めるならぜひ打ちたい! パチンコメーカーさん、お願いします!! ●くぼた・みか 1985年9月23日生まれ。 現在、『真夜中のおバカ騒ぎ』(TOKYOMX/チバテレビ)や『革命!グラドル新党!』等にレギュラー出演中。9月まで出演していた『今夜もドル箱S』では持ち前の引きの強さで好成績を残す。 奇跡の童顔でグラビアでも活躍中! くぼたみか公式ブログ:http://ameblo.jp/cubomi/

祝AKB48論客卒業! 小林よしのり“AKBトンデモ語録”を振り返る

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『ゴーマニズム宣言スペシャルAKB48論』(幻冬舎)
 戦争論や天皇論で鳴らした『ゴーマニズム宣言』よりも、いまや“AKB論客”と呼ぶべき存在となってしまった、マンガ家の小林よしのり。昔からのファンには「ただのロリコンに成り下がった」と揶揄され、片やAKBファンからは「また指原の悪口かよw」と半笑いされるという悲しいポジションにも負けず、中森明夫や宇野常寛、濱野智らとAKB語りを続けてきた。しかし、9月末に発売した『ゴーマニズム宣言スペシャルAKB48論』(幻冬舎)をもって「『AKB評論家』として積極的に広告塔を引き受けるようなヲタは卒業したい」と宣言。本書ではAKBに現代日本の希望を見だしたり、独自のヲタ論などを展開している。そこで今回は、AKBの発展にくみしてきた小林に敬意(!?)を表して、これまで物議を醸した小林のAKB発言を振り返りたいと思う。  まず取り上げたいのは、「かなりアウト」な、キモさスレスレの迷言だ。いつ仕事してるのか? と心配してしまうほど、AKBグループ公演や発売されるシングル、PV、出演番組などの感想を逐一ブログにしたためてきた小林。その中には、推しメンが増加して困った際に発した「困惑こんこん丸だよ」のように、ファンも引いてしまうほどのキモ発言も度々登場してきた。  例えば、河西智美の写真集が「児童ポルノに抵触しているのでは?」と騒動になり雑誌回収&写真集発売中止に陥った時には、小林は問題となった写真を「聖母と天使の宗教画みたいで、少し残念。微笑ましいという感覚が、エロを減殺してる」と表現。あれが宗教画に見えるというのだから、「どうみてもエロだろ」というツッコミも野暮と言わざるを得ない、すべてを封殺してしまう、空恐ろしい擁護である。  また、常日頃から「(メンバーは)娘みたいなもの」と言ってはばからない小林だが、「BUBKA」(白夜書房)でHKT48のメンバー数人と対談を行ったあとの「わしから見れば、みんな赤ちゃんみたいに顔がかわいくて、ミルク飲ませたくなった」という発言は、さすがにドン引きな一言。赤ちゃんみたいと言いつつも、ミルクという言葉が持つ“含み”くらい気付いていると思うのだが……。  だが、よしりん先生が最も大きな話題をさらったのは、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)出演時の「大島優子とセックスしたい」発言だろう。『AKB48論』でも、その後、大島から「私はあの発言、うれしかったんですよ」「だって、AKBの中で私だけが女として見られているってことですから」と言われたことを明かし、「なんという頭のよさ! なんという優しさだろう!」と優子評価がさらに高まったことを描いている。これは小林のキモさというよりも、60絡みのオッサンをいとも簡単に籠絡してしまう大島の“オヤジ転がし”ぶりをあぶり出した名エピソードといえるだろう。  このように、AKBにハマッたおじさんの痛さをものの見事に体現してきた小林だが、その一方で“AKB言論”として果たした役割はとても大きい。たとえば、前出の河西智美が「週刊文春」(文藝春秋)にAKS社長の窪田康志との「お泊まり不倫」を報じられた際、あらゆるメディアは“黙殺”したが、小林は「あまりにも河西のイメージ通りで、がっかりだ」と世間の声を代弁するかのような一言を発表。そればかりか「運営会社の社長ってのも、どうかしてるぜ 自社の商品に手をつけるのは、芸能界では普通なのか?」と、毅然とその“喜び組体質”を批判したのである。  また、同じように各メディアには黙殺されたが、「文春」が柏木由紀とJリーガーの合コンを暴いた時も、「世間的には20歳過ぎの女性が朝までコンパしたって非難はできないが、わしが父親なら娘を叱る」「公式に謝罪だけはしたほうがいいとわしは思う」と明言。本来はAKBのシステムを語る上で言及すべき“暗部”にも踏み込む姿勢は、臭い物にはフタをし、運営のご機嫌をうかがって嬉々と「恋するフォーチュンクッキー」を踊る宇野や濱野とは一線も二線も画す部分だろう。  ……とはいえ、この小林の態度は“推しメン外のスキャンダル”だからこそ強気ともいえる。前田敦子が佐藤健との合コンで“泥酔お尻丸出し”写真を撮られ、その現場に居合わせた大島がコンサートで泣いて謝罪した時には、「前田敦子が今もっとも信頼を寄せてるのが大島優子なんだから、あっちゃんが好きな男にコクる場面に立ち会ってやるのは友情じゃないか」と、無茶苦茶な論理で援護。逆に“天敵”である指原莉乃のスキャンダルが発覚した際には「写真を流出させたりするようなしょうもない男と付き合ってしまう脇の甘さ」と、かわいそうなほどに非難している。この都合の悪い話には目をつぶり、都合がいい話は思いきり強調する点は『ゴー宣』の方法論と同じ。ついでに言うと『AKB48論』では、指原の顔がかなり憎悪に満ちた描き方がされているのだが(まともに描いた箇所には、わざわざ「かなりかわいく描いてしまったかも」と書き添えるほど)、これも『ゴー宣』ではおなじみの“味方=美麗、敵=悪人顔”という描き分けと一緒である。このことからもわかるように、小林がネタとして指原に暴言を吐いていたのではなく、かなり本気で嫌っているようだ。  ──こうして小林の発言を振り返ると、ツッコミどころは多々ありながらも、ある意味ヲタを楽しませ、運営に一石を投じてきた部分があることは確か。中には小林の“卒業宣言”に対して、「AKB評論家として引退してもヲタは辞めないだろうから、またきっと復活してくれるはず」と期待を寄せる者も少なからずいるようだ。だが、忘れてはいけないのは、あれだけ入れ込んでいた薬害エイズ問題でも運動がある程度の成果を挙げた途端、手のひら返しをして川田龍平批判を始めたり、『戦争論』や「新しい歴史教科書をつくる会」で若者の右傾化をさんざん煽りながら、突如ネトウヨ批判に転じたりという“前科”があること。熱を上げるものの、冷めるのも早いよしりん先生。もしかしたら、そのうち「AKBが日本をダメにした」などと言い出したりして……!? (文=エンジョウトオル)

祝AKB48論客卒業! 小林よしのり“AKBトンデモ語録”を振り返る

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『ゴーマニズム宣言スペシャルAKB48論』(幻冬舎)
 戦争論や天皇論で鳴らした『ゴーマニズム宣言』よりも、いまや“AKB論客”と呼ぶべき存在となってしまった、マンガ家の小林よしのり。昔からのファンには「ただのロリコンに成り下がった」と揶揄され、片やAKBファンからは「また指原の悪口かよw」と半笑いされるという悲しいポジションにも負けず、中森明夫や宇野常寛、濱野智らとAKB語りを続けてきた。しかし、9月末に発売した『ゴーマニズム宣言スペシャルAKB48論』(幻冬舎)をもって「『AKB評論家』として積極的に広告塔を引き受けるようなヲタは卒業したい」と宣言。本書ではAKBに現代日本の希望を見だしたり、独自のヲタ論などを展開している。そこで今回は、AKBの発展にくみしてきた小林に敬意(!?)を表して、これまで物議を醸した小林のAKB発言を振り返りたいと思う。  まず取り上げたいのは、「かなりアウト」な、キモさスレスレの迷言だ。いつ仕事してるのか? と心配してしまうほど、AKBグループ公演や発売されるシングル、PV、出演番組などの感想を逐一ブログにしたためてきた小林。その中には、推しメンが増加して困った際に発した「困惑こんこん丸だよ」のように、ファンも引いてしまうほどのキモ発言も度々登場してきた。  例えば、河西智美の写真集が「児童ポルノに抵触しているのでは?」と騒動になり雑誌回収&写真集発売中止に陥った時には、小林は問題となった写真を「聖母と天使の宗教画みたいで、少し残念。微笑ましいという感覚が、エロを減殺してる」と表現。あれが宗教画に見えるというのだから、「どうみてもエロだろ」というツッコミも野暮と言わざるを得ない、すべてを封殺してしまう、空恐ろしい擁護である。  また、常日頃から「(メンバーは)娘みたいなもの」と言ってはばからない小林だが、「BUBKA」(白夜書房)でHKT48のメンバー数人と対談を行ったあとの「わしから見れば、みんな赤ちゃんみたいに顔がかわいくて、ミルク飲ませたくなった」という発言は、さすがにドン引きな一言。赤ちゃんみたいと言いつつも、ミルクという言葉が持つ“含み”くらい気付いていると思うのだが……。  だが、よしりん先生が最も大きな話題をさらったのは、『アウト×デラックス』(フジテレビ系)出演時の「大島優子とセックスしたい」発言だろう。『AKB48論』でも、その後、大島から「私はあの発言、うれしかったんですよ」「だって、AKBの中で私だけが女として見られているってことですから」と言われたことを明かし、「なんという頭のよさ! なんという優しさだろう!」と優子評価がさらに高まったことを描いている。これは小林のキモさというよりも、60絡みのオッサンをいとも簡単に籠絡してしまう大島の“オヤジ転がし”ぶりをあぶり出した名エピソードといえるだろう。  このように、AKBにハマッたおじさんの痛さをものの見事に体現してきた小林だが、その一方で“AKB言論”として果たした役割はとても大きい。たとえば、前出の河西智美が「週刊文春」(文藝春秋)にAKS社長の窪田康志との「お泊まり不倫」を報じられた際、あらゆるメディアは“黙殺”したが、小林は「あまりにも河西のイメージ通りで、がっかりだ」と世間の声を代弁するかのような一言を発表。そればかりか「運営会社の社長ってのも、どうかしてるぜ 自社の商品に手をつけるのは、芸能界では普通なのか?」と、毅然とその“喜び組体質”を批判したのである。  また、同じように各メディアには黙殺されたが、「文春」が柏木由紀とJリーガーの合コンを暴いた時も、「世間的には20歳過ぎの女性が朝までコンパしたって非難はできないが、わしが父親なら娘を叱る」「公式に謝罪だけはしたほうがいいとわしは思う」と明言。本来はAKBのシステムを語る上で言及すべき“暗部”にも踏み込む姿勢は、臭い物にはフタをし、運営のご機嫌をうかがって嬉々と「恋するフォーチュンクッキー」を踊る宇野や濱野とは一線も二線も画す部分だろう。  ……とはいえ、この小林の態度は“推しメン外のスキャンダル”だからこそ強気ともいえる。前田敦子が佐藤健との合コンで“泥酔お尻丸出し”写真を撮られ、その現場に居合わせた大島がコンサートで泣いて謝罪した時には、「前田敦子が今もっとも信頼を寄せてるのが大島優子なんだから、あっちゃんが好きな男にコクる場面に立ち会ってやるのは友情じゃないか」と、無茶苦茶な論理で援護。逆に“天敵”である指原莉乃のスキャンダルが発覚した際には「写真を流出させたりするようなしょうもない男と付き合ってしまう脇の甘さ」と、かわいそうなほどに非難している。この都合の悪い話には目をつぶり、都合がいい話は思いきり強調する点は『ゴー宣』の方法論と同じ。ついでに言うと『AKB48論』では、指原の顔がかなり憎悪に満ちた描き方がされているのだが(まともに描いた箇所には、わざわざ「かなりかわいく描いてしまったかも」と書き添えるほど)、これも『ゴー宣』ではおなじみの“味方=美麗、敵=悪人顔”という描き分けと一緒である。このことからもわかるように、小林がネタとして指原に暴言を吐いていたのではなく、かなり本気で嫌っているようだ。  ──こうして小林の発言を振り返ると、ツッコミどころは多々ありながらも、ある意味ヲタを楽しませ、運営に一石を投じてきた部分があることは確か。中には小林の“卒業宣言”に対して、「AKB評論家として引退してもヲタは辞めないだろうから、またきっと復活してくれるはず」と期待を寄せる者も少なからずいるようだ。だが、忘れてはいけないのは、あれだけ入れ込んでいた薬害エイズ問題でも運動がある程度の成果を挙げた途端、手のひら返しをして川田龍平批判を始めたり、『戦争論』や「新しい歴史教科書をつくる会」で若者の右傾化をさんざん煽りながら、突如ネトウヨ批判に転じたりという“前科”があること。熱を上げるものの、冷めるのも早いよしりん先生。もしかしたら、そのうち「AKBが日本をダメにした」などと言い出したりして……!? (文=エンジョウトオル)

借金を抱えて失踪、死亡説も……発明家になっていた日活ロマンポルノの伝説・曽根中生

IMGP4049.jpg 「借金を抱えてヤクザに殺された──」  2011年に湯布院映画祭に姿を現すまで、そんな話が半ば事実として語られていた。日活ロマンポルノの名監督として知られた、曽根中生氏のことである。  生存が確認された後も、曽根氏は大分県に暮らし、インタビューに答えることも少ない。  ところが今回、映画関連書籍で知られるワイズ出版から『曽根中生 過激にして愛嬌あり』(倉田剛・著)が出版されるにあたり、東京で特集上映が開催され、曽根氏も上京するという。いまや日活ロマンポルノはサブカルチャーのアイテムとして、男性のみならず女性も楽しむものとなった。そんな時代の変化を、曽根氏はどう捉えているのか? また、20年あまりにわたる失踪の真実を知りたい。  そんな欲望を満たすべく、かつて、曽根氏と共に製作会社の運営に携わっていたという映画編集者の鵜飼邦彦氏のツテをたどって、今回、取材の段取りをつけたのである。  10月5日、土曜日。映画興行にとっては恵みの雨とも呼べる秋雨の中、オーディトリウム渋谷にて、『ソネ・ラビリンス 曽根中生 過激にして愛嬌あり』と銘打った特集上映が初日を迎えた。朝から6本立て上映のプログラムすべてを鑑賞した熱心な邦画ファンもいるほど、各回とも満員の客席は熱気に包まれていた。  今回の特集上映では、齢76歳になるベテラン映画監督・曽根中生氏の日活ロマンポルノ時代の傑作選的なラインナップが組まれ、初日と2日目には監督がトークショーを行うという事前告知が功を奏し、大方の予想を上回る動員を記録したわけだが、これほどの大入りなった背景には、それなりの理由があったのだ。  この曽根氏、かつて横山やすし主演の『フライング 飛翔』(1988)を監督した直後、忽然と映画界から姿を消してしまい、20年近くも失踪状態にあった映画監督なのだ。関係者の間では失踪直後よりさまざまな憶測が飛び交っており、いわく「借金が返せず、コンクリート詰めにされて海底に沈んだ」「北九州でヤクザの親分をやっている」「ダンプカーの運転手になった」等々、出所不明の黒いウワサがまことしやかに業界内でささやかれ続けてきた、まさに生きる都市伝説なのである。  上映初日、トークショー出演のために大分県より上京した曽根氏を直撃し、それら都市伝説の数々を検証すべく、取材班は「日活ロマンポルノ」監督時代からの軌跡をインタビューによってたどっていった。 「(日活ロマンポルノは)私の生みの親なんです。お袋みたいなもんですね。しかも、なんというか、私生児みたいなもんですよね。私のお袋は男に逃げられてしまった。その後、神代(辰巳)さんや、田中登とか、私みたいな映画監督がゴチャゴチャと産まれちゃった。そういう意味で、日活ロマンポルノは時代の異端児でしょうね。異端っていうのは、歴史の傷ですからね。傷は絶対に消えないんですよね」(曽根)  確かに、「日活ロマンポルノ」は30代前半の曽根中生という日活の助監督を、映画監督へと昇進させたのだ。  1962年、日活へと入社した曽根氏は、助監督として現場でのキャリアを積む傍ら、強烈な個性で知られる映画監督・鈴木清順や若松孝二などのシナリオを手掛け、ロマンポルノ路線後の71年に『色暦女浮世絵師』で念願の監督デビューを果たした。  以降、続々と話題作を発表し、88年の「日活ロマンポルノ」終焉までを第一線の監督として支え続け、ポルノのほか『嗚呼!!花の応援団』シリーズ(76~)や『博多っ子純情』(78)等の一般映画でも成功を収め、瞬く間に映画界のメインストリームへと躍り出たのだが、そんな曽根氏を輩出した「日活ロマンポルノ」の定義とは、そもそもなんだったのか?  60年代、石原裕次郎、小林旭らによるアクション映画路線で隆盛を極めた日活も、70年代に入るとテレビの普及と共に観客動員は衰退し、斜陽産業と呼ばれるようになっていった。そこで日活は起死回生の一打として、一般映画から撤退し、成人映画中心の製作にシフトしていくことを発表したのだが、この日本最古の映画会社でもある日活の決断は世間に強い衝撃を与えた。  「10分に1回、絡みのシーンを入れる」「上映時間は70分程度」等々、一定の条件や低予算という制約がロマンポルノ製作にはつきまとった。しかし、それら苦渋の選択が、皮肉なことに、若き映画作家たちの才能を飛躍的に開花させる役割をもたらしたのである。 「製作費は安いけれども、予算のない中でポルノを隠れ蓑にして、やりたいことをやってやろうじゃないかっていう機運が高まってきた。でも、そこは当然、男女の絡みに時間を取られちゃうわけだから、合間にさまざまな要素を詰め込んでいったんです。それで、だんだんと面白くなってきたんじゃないのかなぁ、と思います」(曽根)  そんな、過去の「日活ロマンポルノ」作品の魅力に、現代女性が惹き付けられつつあるのも事実だ。  セックス産業やアダルトコンテンツが充実していなかった70年代の世情とも相まって、当時のロマンポルノ上映館は、男性客で埋め尽くされていった。しかし昨今、徐々にではあるが、「日活ロマンポルノ」の特集上映が、ミニシアター系劇場を中心に企画されるようになると、かつて見かけることのなかった女性客が、座席の半数近くを占めるという現象が巻き起った。そんな現実を曽根氏にぶつけてみたところ、 「それはうれしい限りですね。ほかのいろんな映画の記憶なんていうのは、バンソコ(注:絆創膏)でも貼っておけばすぐに消えちゃう傷なんですよね。でも、ロマンポルノだけはバンソコではちょっと治らないくらいの傷だと、いまだに思ってるんですよ」(曽根)  まさしくロマンポルノ作品の劇中に登場する多くの女性たちは、心に何かしらの深い傷を負っている。だが、それにもめげず、現状を突破しようともがく行動力が共感を呼び、底抜けに明るく笑うことの少ない現代女性にとって、スクリーンで自由奔放に振る舞うロマンポルノのヒロイン像に憧れを抱いてしまうのだ。さらに、女性本来の姿で身を晒す体当たり演技と、妖しげな存在感に少なからず理解を深めていくようになるのだという。事実、劇場を後にする女性客の表情には、多少の戸惑いを感じつつも、その底知れない魅力に触れたすがすがしさに満ちあふれているのだ。 IMGP3977.jpg ■ヒラメの養殖が面白くなりすぎて  映画人としての曽根氏の話は尽きない。ただこちらは、冒頭で紹介した倉田氏の『曽根中生 過激にして愛嬌あり』に譲るとして、少々、興味本位の話題に移ろう。  やはり、筆者が聞きたいのは失踪中の出来事である。多くの業界関係者は、失踪の理由を、映画製作で莫大な借金を抱えたことだと語る。しかし、どうして失踪までしなければならなかったのか。そのあたりは不明瞭なところも多い。 「私自身は、いなくなったつもりはないんです」  曽根氏は、笑いながらそう答えた。会社を作って映画製作に乗り出したが、客の入りが悪く、借金をかぶったのは事実。その返済を考えていたときに転機が訪れた。 「横山やすしさんと大阪で飲んでいたのですが、彼も借金だらけだという。そこで、笹川良一さん(日本船舶振興会会長)に頼んで、競艇の映画を撮らせてもらおうということになったんです」  話はとんとん拍子に進み、映画は完成した。ところが、完成した映画は曽根氏にとって「撮るべき映画ではない」というデキであった。「そんな横道にそれたら、もう映画は撮れない」と、曽根氏は自身を恥じた。 「その時、競艇選手会の会長だった野中和夫さんに、飲み屋で“この映画を誰が見るんだ?こんな映画を作っていていいのか”とボロクソに言われてしまいました」  「もう映画はやめよう」と思った曽根氏は、自分の名前を刻んだ位牌を刻み、葬式を行った。そんな彼に野中氏は「九州でヒラメの養殖をやらないか」と、声をかけたのだ。 「それで、養殖を始めたら面白くなっちゃったんです。何しろ、この養殖場の社長が失敗ばかりするんですよ。何度やっても稚魚が死んじゃって、そのたびに野中さんに泣きついて“タマゴを買うからお金をください”と……。もう、熱くなってたんで、東京で私が失踪したってウワサになっているなんて、まったく知らなかった」  結局、養殖はうまくいかなかったが、映画とは違うモノづくりに曽根氏はのめり込んだ。ゴミを処理する機械などの発明に乗り出し、開発には理論も必要だと、九州大学に入学するまでに至ったのである。  今なお曽根氏は、新たな技術開発に熱心だ。最近は、生ゴミを入れるとバクテリアが処理してくれる生ゴミ処理機を実用化するべく力を注いでいる。しかも、この処理機はいま問題になっている福島第一原発の汚染水処理にも役立つと曽根氏は語る。 「汚染水をコンニャクにして、処理機に食べさせちゃえばいいんじゃないかと思っています。ただ、今のままだとコンニャクが足りなくなるので、まずは全国の休耕田にコンニャクを植えるところから始めて……」  生ゴミ処理機の商品名を『カラスも真っ青』にしようと提案したり、次々とアイデアを繰り出す曽根氏。ステージは変わっても、熱さだけは変わらない点に、真似できない人間力を感じた。 (文=昼間たかし/インタビュー=山口夢) <開催中> 曽根中生監督特集上映『ソネ・ラビリンス 曽根中生 過激にして愛嬌あり』 オーディトリウム渋谷 10/5(土)~11(金) <http://a-shibuya.jp/archives/7619

独創的な世界観は健在 松本人志、監督第4作『R100』の評価は?

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 今週は、漫才コンビ「ダウンタウン」でお笑いの頂点を極め、映画監督としても新たな表現を開拓している松本人志と、美男俳優として人気を博し、監督デビュー作でいきなりオスカーを獲得したロバート・レッドフォード、日米2人の才人による最新作を取り上げたい(いずれも10月5日公開)。  『R100』(R15+)は、2007年のデビュー作『大日本人』以来、2年に1本のペースで長編映画を撮ってきた松本人志による監督第4作。大手家具店に勤務し、家庭では良き父親の片山(大森南朋)は、秘めたマゾ趣味を抑えきれず、謎のクラブ「ボンデージ」に入会する。それ以降、ボンデージ衣装に身を包んだ美女たちが不意に片山の日常に現れ、肉体的、精神的な責めを繰り出す。そのたびに至福のひとときを味わう片山だったが、やがて職場や自宅にまで女たちが出没し、生活を脅かすようになる。    冨永愛から唐突に回し蹴りをくらい、佐藤江梨子には握り寿司を平手で無惨につぶされるなど、さまざまな受難に大森が浮かべる恍惚の表情がたまらない。大地真央、寺島しのぶ、片桐はいりもボンデージ姿の“女王様”に扮し、松尾スズキ、渡部篤郎らが脇を固める。主人公の顔をCGでマンガ的にデフォルメする手法に戸惑うかもしれないが、後半で不条理の傾向を強めていく展開も含め、松本監督流の独創的な世界を楽しみたい。  『ランナウェイ 逃亡者』は、名優ロバート・レッドフォードが『大いなる陰謀』以来5年ぶりの監督・主演で手がけた社会派サスペンス。ベトナム戦争の時代、反戦を訴え連続爆破事件を起こした過激派グループ「ウェザーマン」の主要メンバーは、FBIに指名手配されながらも正体を隠して30年間米国各地で暮らしてきたが、その一人ソラーズ(スーザン・サランドン)が逮捕される。事件の調査を始めた新聞記者シェパード(シャイア・ラブーフ)は、模範的な市民と評判の弁護士が実は主犯格のスローン(レッドフォード)であると突き止め、スクープ記事で驚がくの事実を暴く。スローンは築き上げた生活を捨てて逃亡を開始し、FBIとシェパードに追われながら、ある目的を果たそうとする。  俳優、監督としての輝かしいキャリアはもちろん、若手映画人の発掘育成を主眼とするサンダンス映画祭の主催や、環境保護活動など、社会への積極的なコミットでもよく知られるレッドフォード。表現者として、また個人としても、「人間と社会」にこだわり続ける監督が、実在した反体制組織ウェザーマンを題材に、社会を変えるという理想と現実、過去の行いと向き合うこと、真実の追求といったテーマを盛り込んだ。緊迫感に満ちたダイナミックな逃亡劇と、激情を秘めた静かな対話場面の切り替えも絶妙で、最後まで飽きさせない。リチャード・ジェンキンス、ニック・ノルティ、クリス・クーパー、アナ・ケンドリックと共演陣も豪華だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『R100』作品情報 <http://eiga.com/movie/78690/> 『ランナウェイ 逃亡者』作品情報 <http://eiga.com/movie/78046/>    

お蔵入り、連載中断、編集長交代……未完マンガはどうして生まれるのか?

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『別に放り出した訳ぢゃないんだけど…。~未完の漫画が或る理由~藤沢とおる単行本化初作品集』(一迅社)
 世の中には、いつまでたっても続きが出ない。なぜかはわからないが、未完のまま休載中、もしくは終了してしまったマンガがたくさんある。『ドラえもん』や『イタズラなkiss』のように、作者が亡くなってしまった場合は仕方がないが、やはりせっかく楽しみに読んでいたのに、いつまでたっても未完のままというのはどうも気持ちが悪いもの。しかし、そんな読者のモヤモヤした思いに答えるマンガが登場した。それが、『別に放り出した訳ぢゃないんだけど…。~未完の漫画が或る理由~藤沢とおる単行本化初作品集』(一迅社)だ。  『GTO』の作者としても知られる藤沢とおるが、完結していなかったり、短すぎたりして今後コミックスが出る予定のない作品ばかりを集めて作ったというこの本。未完のままここに収録されたマンガに対して、なぜ未完になってしまったのか。なぜ単行本にならなかったのか、というエピソードを語ったインタビューも掲載されているので、そこからどうして未完マンガや未収録マンガが生まれるのか見てみよう。  まず1つ目は、自分がギブアップしてしまった場合。藤沢がもともと「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載していたという『ひみつ戦隊モモイダー』は、モモイダーという改造人間の女の子5人組が登場する、ゆるーいギャグマンガだった。でも、これは作者にとって「初のショートマンガ」だったので、毎回オチを考えるのがつらくなってきて「ギブアップしちゃった」そう。この本に収録されているのは単行本化した後に描いた読み切りで、ページ数も16しかなく、次の単行本をつくるためにはあと170Pほど描き下ろさなければならなかったので、そのままお蔵入りになってしまっていたようだ。こんなふうに、自分の意思でやめたのなら未完でもまだ納得できる。  自分の意思は関係なく、雑誌自体が廃刊になってしまうことも。5年ほど前、「コミックチャージ」(角川書店)という月刊誌で連載されていた『あんハピっ!』がまさにそれだ。この作品は、疫病神と呼ばれている警部・黒天あん子と何度も死にそうになりながら決して死なない強運の持ち主・桜庭刑事が出会ってコンビを組み、事件を解決していくというもの。しかし、雑誌がなくなってしまったので、彼らがコンビを組んだところで話は終わっている。当時はどんどん新興雑誌が出ていたらしいが、「どれも創刊して数カ月とかさ、1年以内に廃刊になっちゃった」んだそう。「個人的にも続けたかった」と語っているが、やはり雑誌がなくなってしまったら自分の力だけではどうにもできないし、仕方がないのかも。  さらに、編集部とモメて、やめてしまう場合もあるようだ。『愛しのDUTCHOVENガール』というグルメマンガは、連載中に編集長が交代し、「編集部の方針が変わったとかで、いきなり作品内容を変えろ」と言われてしまったそう。納得できず、編集長を呼ぼうとしたら、編集長は「来やしない」。しかも、その理由が「打ち合わせの時間帯が夜」だから。作者は昼に仕事をしているので、編集と話す時間はおのずと夜になってしまうのに、マンガの仕事は二の次にして「編集長の都合に合わせろ」と言われたら、さすがに怒りも湧いてくる。あと1話分ぐらいで単行本にもできたし、まだ主人公の顔も見えていないのに、こんなに中途半端な形で終わってしまったのは残念だろう。それに、作品に対する愛着はあっただろうし、担当編集との仲も悪くはなかったそうなので、余計に腹立たしいかもしれない。  きっと、ほかの作者の未完で終わっているマンガや単行本に収録されなかった作品には、こんなふうにさまざまな事情があるのだろう。でも、その理由がわかっていれば読者も少しは納得できるし、もし作者本人が「描きたくない」「描けない」というわけではないのなら、「描いてほしい」「待っている」と伝えることもできる。そうすれば悲しい思いをする人も少なくなるので、作者のみなさんには、せめて未完の理由を教えていただきたいものだ。

吉野家、マック、サイゼリア……同じ味なはずなのに何かが違う?『全国飲食チェーン本店巡礼』

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『全国飲食チェーン本店巡礼 ルーツをめぐる旅』(大和書房)
 モスバーガー、CoCo壱番屋、ガスト、てんや、餃子の王将、牛角、築地銀だこ……などなど、日本中にあふれる全国飲食チェーン店たち。これらの記念すべき1号店は、一体どんなお店だったのか?  そのルーツに迫った本が『全国飲食チェーン本店巡礼 ルーツをめぐる旅』(大和書房)だ。チェーン店といえば、同じ味に、同じメニュー、同じような店内……と、何もかも「だいたい一緒」が大前提のような気がするのだが、本店は何かが大きく違う! 「天下一品総本店」本店で食べたラーメンの味に感動した著者が、本店めぐりに目覚め、ブログ「本店の旅」を開設。本書を出版するに至った。TBSラジオ『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』「本店道特集」をはじめ、メディアで話題沸騰中の新感覚グルメガイドなのだ。  紹介されている48店舗はどれも超有名飲食チェーン店で、その誕生秘話やエピソードは、“今まで何度も訪れていたお店にこんなルーツが!”と驚かされることばかり。だが、その中でも群を抜いて内容が濃かったのが、日本牛丼界のドン「吉野家」だ。  彼のお店の本店は築地市場場内にあり、創業はなんと1899年! ほかの飲食チェーン店が1970年代から急増したのと比べると、ダントツで歴史が長い。本店は今でも牛丼ひと筋で、「つゆだく」「ねぎだく」「つゆだくだくねぎだく」「あたま」など、独特の注文が繰り出され、それを店員さんは伝票を取らず、すべて頭に叩き込む。かつて吉野家といえば、どの店舗でも伝票を使わず、“みんなよく覚えられるな~”と思っていたのだが、いつしか伝票制になり、寂しくもあったが、ここ本店では健在だ。  お客は築地市場で働く、食にうるさいプロが常連で、味に厳しく、極端にせっかち。そんな中で生まれた「はやい・うまい・やすい」の牛丼文化が、本店を訪れれば、身に染みて体感できる。本書には、吉野家の成り立ちが、さらに深く掘り下げて書かれているので、一度その事実を確認してから訪れてみれば、かなり感慨深いものになるはず。  なお、「本店巡礼作法」なるコーナーがあり、どうやって満喫するかも紹介されているので、地元で人気のチェーン店などがあれば参考にして、全国あちこちへ出かけてみよう! (文=上浦未来)

“同性愛嫌い”ではなかった!? 石原慎太郎が書いた「BL小説」のすごい中身

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『石原慎太郎を読んでみた』(原書房)
 ロシアが今年施行した「同性愛宣伝禁止法」という同性愛差別を肯定した法律によって、ソチ冬季五輪のボイコット運動が世界各地で勃発している。この騒動を見ていてつくづく思うのは、石原慎太郎が都知事を辞めていてよかったということだ。ご存じの通り、石原といえば数々の“同性愛差別発言”で知られる人物。同性愛者に対し「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう」と暴言を吐いたり、過激な性表現が焦点となっていた都青少年健全育成条例改正案をめぐる発言でも、なぜか「テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になりすぎている」と論点と思いきりズレた話を展開し始めたりと、賛成派さえ困惑に陥れたことも。  プーチンにも負けず劣らずの、同性愛を憎悪するホモフォビア日本代表──。しかし、そんな石原に思わぬ過去があった。なんと、こともあろうかBL小説を書いていたというのだ。  石原がしたためたBL小説とは、『待伏せ』という1967年に発表された短編。今では読むのが困難な作品だが、これを発掘しているのが、書評家・豊﨑由美と評論家・栗原裕一郎の対談本『石原慎太郎を読んでみた』(原書房)だ。  同書によれば『待伏せ』は、石原がベトナム戦争真っただ中に現地へ取材に出かけた後に執筆した作品。ベトコン討伐のために掘った穴で夜を過ごす主人公が、「光も音も何もない空間で、だんだん現実感が薄れていって、自分の身体感覚すらも失われてしまう極限状態」が描かれているという。  問題はここからだ。主人公は状況にたまらなくなり、隣のカメラマンに手を伸ばす。すると、相手もぎゅっと指を握り返すのだ。そして、<二人の手は互いに躊躇しながらさぐり合い、相手を握りしめる>のである。さらに物語は、<いつ離していいのか迷いながら、二つの手はからんだまま、地の上に置かれてあった>と続く……。  これには栗原も「初体験のシーンなんかに転用できそうな描写が続きますが、これはやはりあれですか、萌え?(笑)」と言い、豊﨑も「萌えでしょう!」と大きく同意。背中に「コワイ」「ナガイ、ヨル」などと文字を書き合って会話するという少女マンガも真っ青な胸キュンシーンもあり、石原嫌いで知られる豊﨑でさえ「かーわーいーいー!」と発言してしまうほど。「セックスよりも濃いっ」とBL萌えのお墨付きを与えるだけでなく、「たとえ芥川賞候補作であっても、A評価で推せるくらいの秀作ですよ」と、純文学としても高く評価している。  芥川賞さえ獲れちゃうほどのBL小説……都青少年健全育成条例改正案の騒動ではBLを愛する腐女子にとっても敵対関係だった石原だが、果たして彼のBL作品はいかなるものか。ぜひ読んでジャッジを下してみてほしいものだ。