ルポライターの仕事は、実際に現地を訪れねば始まらない。というわけで2013年も、さまざまな地域を訪れては、見て食べて楽しんでみた。見たり聞いたりも重要だけれど、国内であっても、現地の人と同じものを食べてみるのは重要だ。食べ物は生命の根源。ゆえに、食べ物が貧しければ、人の心も荒んでいく。
そんな中でも唖然としたのが、今回紹介する川越市役所の食堂である。官公庁関係の食堂は、基本的に無難な味である。決してまずくはない。あくまで、可もなく不可もない味なのである。昨年、国会議事堂に入居する吉野家の高級牛丼が話題となった。値段が高いだけあって、これはおいしい。しかし、この吉野家よりも一般市民が入りやすい衆参の議員会館の食堂はといえば、やっぱり官公庁の食堂にありがちな無難な味である。ちょっと高級感が味わえるのは、ウェイターが料理を運んでくることぐらいであろう。
さて、本題に戻ろう。この川越市役所の食堂の目玉は、バイキングである。バイキングなのに、値段はたったの600円。官公庁の食堂は、一般の店舗よりも幾分か値段が安いのが当たり前だ。でも、バイキングで600円とは、これいかに?
入り口の説明によれば「川越セット」と呼ばれるこのセットは、ご飯+味噌汁+メインと副食という構成だ。このうち、日替わりになるメイン以外は、すべておかわり自由なのだとか。
「おかわり自由」「食べ放題」が人生で最も好きな言葉である筆者は、食券を購入し、喜びいさんで中へ。カウンターで食券を渡して待っている間に、すでに食べ放題はスタートだ。どこにも制限時間は書かれていない。すなわち、600円で時間も無制限? これはなんともサービスのよい食堂だろうか……。
しかし、夢は無残に打ち砕かれた。食べ放題の副食コーナーには、2つのテーブルが用意されている。1つはサラダ。もう1つが総菜である。総菜に並ぶのは、芋の天ぷら、煮物、あとは漬け物の類いである。いやいや、サラダが豪華なのだろうと見てみると、生野菜のほかは、コーンくらい。おまけに、空になったスパゲティサラダのボールは、一向に補充される気配もない。時計を見ると、午後1時過ぎ。もはや、ピークを過ぎているため、補充は行われないらしい。総菜コーナーの煮物も、油揚げは残り数切れという状態だ。
しばらくして出てきた、この日のメインであるハンバーグも味は薄め。これでは、いったいナニをおかずに、米をかき込めばよいのか! 筆者は半ばヤケクソで、漬け物とサラダのドレッシングを使って飯を3杯かきこんだのである。
この川越セットだが、自称「人気メニュー」ということになっているらしい。確かに、600円でご飯がおかわり自由だったら、お得なような気がしないでもない。でも、食べ放題のコーナーが無残な残り物の状態だったために、かなり精神を削られてしまった。ま、市役所は小江戸で知られる川越市の昔ながらの町並みにも近い。怖い物見たさで訪れてみるのもよいかも。おそらく、日替わりのメイン料理に、一週間に一度くらいは「当たり」があるはずだが……。
(取材・文=昼間たかし)








