劇中歌にも注目! クロエ・モレッツ主演『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』

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「イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所」(C)2014 Warner Bros. Ent. and Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All rights Reserved./配給:ワーナー・ブラザース映画
 今週取り上げる最新映画は、突然の悲劇に見舞われた女子高生が生死の淵で苦悩する姿を描くドラマと、人並み外れた性衝動を抱え、多くの男性と性交渉を重ねた女性の数奇な半生が語られる衝撃作。生きることの意味や、人生における性の意味について、あらためて考える機会を与えてくれる洋画2作品だ(いずれも10月11日公開)。  『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』は、人気若手女優クロエ・グレース・モレッツが主演、交通事故で生死の境をさまよう高校生のある決断を描くドラマ。優しい家族と親友、恋人にも恵まれた17歳のミアは、チェロ奏者になる夢をかなえようと、ジュリアード音楽大学の入試に挑戦することに。だがある雪の朝、家族と同乗していた車が事故で大破。瀕死の重傷を負ったミアは、意識が体から離れ、病院に搬送された家族と自分自身の過酷な状況をただ傍観するしかない。充実していたこれまでの人生を振り返りながらも、ミアは次第に生きる意欲を失っていく。  米作家ゲイル・フォアマンのベストセラー小説『ミアの選択』を映画化。監督のR・J・カトラーは、舞台とテレビでキャリアを築き、本作が長編映画デビューとなる。『キック・アス』(2010年)の過激なヒットガール役で一躍有名になったクロエも、いまや青春がよく似合う可憐な17歳。ロックミュージシャンを目指すボーイフレンドとの恋愛と苦悩から、家族や友人とのやりとり、自らの生死をどうするかという究極の選択までを、瑞々しく繊細に演じた。劇中で流れるクラシックとロックは、選曲もBGMとしての効果も見事で、キャストらの好演を引き立てている。ミアが置かれた状況は特殊ではあるけれど、恋愛、家族、夢、幸福、人生の選択といった、誰もが経験する普遍的な要素がたくさん詰まった本作。ネタバレの記事や口コミを避けて、ぜひ主人公と一緒に悩み、一緒にラストの決断を体験してもらいたい。  『ニンフォマニアック Vol.1』(R18+指定)は、デンマークの鬼才ラース・フォン・トリアー監督が、強い性的欲求を抱えた女性の半生を2部作で描く問題作。ある冬の夕暮れ、年配のインテリ独身男性セリグマンは、殴打され倒れていた女性ジョーを見つけ、自宅に連れて介抱する。回復したジョーは、セリグマンに何があったのか質問され、幼い頃からの性への強い関心と、大勢の男たちと交わってきた数奇な半生を語り始める。  タイトルは「色情狂」の意味。現在のジョーをシャルロット・ゲンズブール、若い頃のジョーをフランス出身の新人ステイシー・マーティンが熱演。前編にあたる本作ではマーティンが実質的な主人公として、細身の裸身をさらしながら性の渇望と冒険を体現している。官能の探求と重ね合わせて、数学、宗教、音楽などさまざまな分野の知識と真理の追求が語られ、ユーモアを添える効果も。ウェルメイドの対極にあるかのような、突き抜けた問題提起と、安易な理解や共感を拒む濃厚なエピソード。相当に強度のある作品なので、後編にあたる『ニンフォマニアック Vol.2』(11月1日公開)とともに、体調を整えて臨みたい。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所』作品情報 <http://eiga.com/movie/80699/> 『ニンフォマニアック Vol.1』作品情報 <http://eiga.com/movie/80589/>

ユーザーへの感謝を込めたAV業界単独見本市が誕生! 『Japan adult Expo 2014』が11月開催

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AVファン感謝祭 Japan Adult Expo 2014
 アダルト業界の浮沈がささやかれて久しい。違法アップロードなど、かつてはあり得なかった大規模な著作権侵害行為は、業界の未来を暗くしている。  そうした暗いニュースばかり流れる業界。しかし、その雰囲気を変えようと、業界が一丸となった新イベント『Japan Adult Expo 2014』が、11月14・15日の2日間にわたり、東京のディファ有明で開催される。  このイベントは、さまざまなジャンルのコンテンツ業界が開催している見本市を、AV業界単独で、かつ一般来場者も受け入れて開催しようという試みだ。出展社にはSOD、プレステージ、Moodyzなど70社を超えるAVメーカーが名を連ねる。まさに、アダルトビデオ業界最大級の見本市である。イメージガールは、いわずと知れた名女優である吉沢明歩、麻美ゆま、希志あいの。一般ユーザーにも訴求力のある3人を揃えたところからも、このイベントの本気度がわかる。  会場では、各メーカーがブースを出展し、ステージイベントも開催される予定。また、今年から復活した本年ナンバーワンのアダルトビデオを決定する『AVOPEN 2014』の授賞式も、同会場で開催される予定になっている。  主催団体であるNPO法人知的財産振興協会(IPPA)は、これまでも本サイトで報じているように、違法アップロードの温床であるFC2に対して訴訟を提起するなど、業界を保護するために精力的な活動を行ってきた。  FC2は一般作品までもが違法にアップロードされている、いわば「悪の総本山」だったのだが、実はこれを訴えたのは、数あるコンテンツ業界の中でもAV業界が初ということで、注目されたことを覚えている人も多いだろう。  率先してコンテンツの制作者、そして、正規品を購入する真っ当なユーザーを守ろうとしているなんて……。もはや「実用性」の面でお世話になっているだけではないAV業界には、感謝するよりほかない。  そんなAV業界が見せる新たな本気である、このイベント。「ユーザーへの感謝」の意味もあり、チケット価格も前売り3000円、当日3500円で2日間通しに設定。これで、ステージやブースでの握手会や撮影会も予定されているというのだから、普段の秋葉原で開催されているイベントと比べると、お得すぎて驚く。  初めての開催ということで、試行錯誤は続いているようだが、いずれは国際的なイベントになりそうな予感もする。こうしたイベントが開催されてこそクール・ジャパン!  本サイトでは、当日も、あますことなくレポートする予定だ。 (取材・文=昼間たかし) Japan adult Expo 2014公式サイト http://www.jae.tokyo/ 前売りチケットは、DVD販売店等およびローソンチケットで発売中 ※Japan adult Expo 2014 チケットプレゼント 主催団体・NPO法人知的財産振興協会より、入場チケットを抽選で10名様にプレゼント 応募方法: 公式HPお問い合わせフォーム(http://www.jae.tokyo/contact/)、または info@jae.tokyo まで「チケットプレゼント希望」と書いてご応募ください。 ※個人情報を入力して頂く必要はありません。 抽選の結果、当選者の方にはメールでご連絡させていただきます。

スカーレット・ヨハンソンが異色SF映画で初ヌード!『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』

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『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(c)Seventh Kingdom Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014/配給: ファインフィルムズ
 今週取り上げる最新映画は、スカーレット・ヨハンソンとマイケル・ファスベンダー、大人気スターがそれぞれ新境地を見せる英国発の2作品。ハリウッド製娯楽大作への出演とはまた違った魅力を放つ、2人の演技に要注目だ(いずれも10月4日公開)。  『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』(R15+指定)は、スカーレット・ヨハンソンが地球の男たちを誘惑する妖艶なエイリアンを演じ、初のフルヌードも大きな話題のSFスリラー。セクシーな黒髪美女の外見に正体を隠した地球外生命体が、スコットランドの街で男たちを誘惑し、次々に捕食していく。だが、顔に障害を持つ孤独な男との出会ったことで、彼女に変化が訪れる。  監督は、『記憶の棘』(2004年)のジョナサン・グレイザー。「捕食」のシーンはシュールな映像で、SF的というよりはアート作品のよう。ストリングス系のシンセBGMが緊迫感をあおる。過去にもたびたびセクシーな役を演じてきたスカヨハが、初ヌードを披露する場として、小品の味わいのある異色SFを選んだことは意外な気も。ステレオタイプなキャスティングから「脱皮」したいという、願望のメタファーと読めなくもない。万人向けではないが、クセのある作品世界を楽しめる方にオススメしたい。  『FRANK フランク』は、イギリスでカルト的人気を誇った音楽コメディアン、故フランク・サイドボトムをモデルに、マイケル・ファスベンダーが終始かぶり物を脱がない男を演じたコミカルなドラマ。プロミュージシャンを夢見る青年ジョンは、ひょんなきっかけからインディーバンドに参加する。フロントマンのフランクは、巨大な張りぼてのマスクを常にかぶっていて、ステージ上はもちろん、普段の生活でも決して素顔を見せない謎めいた男だった。バンドがアイルランドで新作アルバムをレコーディングしている頃、ジョンがアップした演奏動画が反響を呼び、アメリカの音楽フェスに招かれることに。だが、これをきっかけにフランクが変調をきたし、バンド内の不協和音が高まっていく。  イギリス・アイルランド合作で、監督はアイルランド出身のレニー・アブラハムソン。ファスベンダーがハンサムな顔を「封印」し、ほぼ全編でマスクをつけて繊細に演じた。終盤の展開は、凡人には越えられない何かを見せつけられるようで、切なさも残る。オルタナ、アヴァンギャルド系バンドの物語は、音楽好きならストーリーとサウンドトラックで2倍楽しめるはず。『ザ・コミットメンツ』(91年)や『ONCE ダブリンの街角で』(06年)に連なる、音楽の素晴らしさと人生の哀しさを歌い上げる傑作がまた1つ誕生した。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』作品情報 <http://eiga.com/movie/57779/> 『FRANK フランク』作品情報 <http://eiga.com/movie/80487/>

無修正動画に飽きたら……!? エロの「新たな扉」 エロマンガにいきり勃て!

 インターネットをポチッとクリックすれば、世界中の無修正動画に愚息をたぎらせることができる時代になった。ここまで便利になると、思わず「ワシの若いころは、ポストに入ったチラシに電話をすると、宅配のお兄さんがやってきてじゃなあ……」と、昔話の一つでもしたくなるもの。  けれども、そんな便利な現代社会だからこそ、新たな問題が勃発している。  「無修正動画に……飽きた…」  毎日毎日ネットで検索すればいくらでもキレイな女性たちの、アレでアレな姿を拝むことができる。でも、そのプロセスが手軽すぎるあまり、味も素っ気もありゃしないのだ。無修正の強い刺激にもいつの間にか不感症に……。そして、生み出されたのは、性への欲求を失った草食男子たちの群れなのだ。  だが、エロのインフレによって引き起こされる問題は、そればかりではない!  エロは想像力の源であり、何人ものクリエイターがエロい妄想の大切さを語っている。エロこそが、クリエイティビティを養うのだ。しかし、無修正動画には想像力の付け入る隙がない。おそらく、他者への想像力を欠いたヘイトスピーチも、消費税が10%に上がることも、無修正動画を見過ぎたことによる想像力の貧困が原因だ!!!!  そんな「現代の病理」をまるっと解決するメディアが、エロマンガだ!  想像力が掻き立てられ、新たな刺激をもたらしてくれるエロマンガ。「しょせんマンガだろ?」と侮るなかれ、3次元のリアリティよりも、2次元のファンタジーの方が、僕らをより一層の興奮に導いてくれるのだ! 無修正動画全盛の現代、箸休め的に「敢えて」エロマンガを見るのではなく、むしろ「積極的に」見る人々も少なくない。  そこで、今回、男性も女性も股間をたぎらせること間違いなしのエロマンガ3作品を徹底レビュー。一般にはあまり知られていないエロマンガの世界だが、そこには現実よりもはるかにリアルなエロの世界が広がっていた!
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■『万引きセレブ妻~一つの間違いからすべてを調教されることに』作画:茉美ポテト/壬生卍丸 原作:SHIORI  財閥の跡取り息子と結婚し、金銭的に何一つ不自由のない生活を送っている貞淑な妻・九条しのぶ。しかし、彼女には他人に言えない秘密があった。ブランド物のワンピースに身を包んだ彼女が足を向けるのは、デパートではなく町の小さなスーパー。そこで、万引きをするスリルを味わうことで、彼女の精神的な欲求は満たされていた……。  だが、ある日しのぶの万引きがスーパーの店員に発見されてしまう。バックヤードに連れて行かれると、店員の汚らしい手はしのぶの白い肌に……。洋服を脱がされ、陵辱されてしまうのだ。リッチな自分の立場とは不釣り合いなオヤジを嫌々受け入れたしのぶだが、彼女の股間は旦那との情事とは比べ物にならないくらいに濡れていた……。  汚らしいオヤジから陵辱されるしのぶの姿には、男女問わず興奮を感じることができるはずだ。

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■『未亡人になった義母に毎夜、注ぎ続けました。』作画:乙丸 原案:SHIORI  「未亡人」「義母」と聞けば、もうたまらんエロの香りしかない! 本作では、未亡人となった義母・まなみと、夫の連れ子・桐人とのイケナイ情事が描かれている。義母との近親相姦といえば、AVでもよくある設定だが、そんな設定がよりスムーズに受け入れられるのもエロマンガならでは。嫌がる義母に無理やり……という描写も、マンガだからこそよりエロく、より淫らに描くことが可能になっている!!

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■『診察シテヤル。~ドS上司の診療室』作画:村上みちこ 原案:こゆき  八神総合病院に勤務する新人看護婦・寺島美紀が配属されたのは、イケメン内科医・八神一騎が主治医を務める内科B。この診察科は、通称「SEX科」と呼ばれており、患者たちは性の悩みを抱える人々だ。不感症の患者のために、八神と寺島はなんと身体を張って前戯を実演。上手く性交渉ができないカップルのためにはSEXのお手本まで! ドSの八神に反発していた寺島も、いつの間にか彼のことが頭を離れず、いつの間にかベッドで彼を考えながら股間に手を伸ばすまでに……。  少女マンガのような細い線と、キレイな描写、そして八神が寺島の股間を攻める描写は、まさに現実以上のエロさ! 特に責められ好きなMの女性であれば、間違いなくハマれる一作だ!  と、エロマンガの世界は、動画にはない魅力に富んでいる。ぜひスマートフォンやタブレットにダウンロードして、モロ見えとは違う新たなエロの扉を開いてほしい! ※記事掲載作品のすべてが2話または1巻無料で読めます。(11/5まで) ※auには本サービスは対応していません 『万引きセレブ妻~一つの間違いからすべてを調教されることに』 comic_qr01.gif 『未亡人になった義母に毎夜、注ぎ続けました。』 comic_qr02.gif 『診察シテヤル。~ドS上司の診療室』 comic_qr03.gif

と学会が「嫌韓・嫌中論争」に参戦! トンデモ本から読み解く、“真実”の日中韓関係と歴史

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『日・韓・中 トンデモ本の世界』(サイゾー)
 世の中、嫌韓・嫌中ブームである。書店へ行くと、韓国と中国の悪口本が山のように出ている。売れているのだ。中韓の日本嫌いは凄まじいが、これまではネット以外でこの2カ国の反日文化を知ることは難しかった。その実態を知らせるべく多くの本が書かれている。  しかし反日の実態がわかればわかるほど、疑問が浮かぶ。  彼らの反日は、日本人の知る日本やアジアの歴史とはあまりにもかけ離れている。従軍慰安婦や領土問題などの高度に政治的な案件はともかく、桜や剣道の起源は韓国だという韓国起源説、いわゆるウリジナルや日本を軍国主義化していると批判しながらチベットやウイグルを弾圧する中国の姿勢は、日本人からすると意味不明、トンデモな話である。  しかもそうした現状を知っているだろう日本の政治家や財界の大物たちが、過剰なほど中韓に肩入れをしているのだ。日本にもまた、トンデモない価値観の人たちがいるらしい。  トンデモのことはトンデモ本に訊け! 中韓を巡るトンデモ言説の真相を、日・韓・中3カ国のトンデモ本から解き明かそうとしたのが『日・韓・中 トンデモ本の世界』(と学会、水野俊平、百元籠羊/サイゾー刊)である。  韓国で政治問題にまで発展した超絶“嫌日”本(『悲しい日本人』)、悪名高き統一教会の教祖による丸ごと一冊自画自賛本(『平和を愛する世界人として 文鮮明自伝』)、敵が真っ赤っかな韓国の反北朝鮮アニメ(『ロボット王シャーク』)、さらには幸福の科学の教祖・大川隆法が北朝鮮の現在の首領・金正恩の守護霊を呼び出し、秘密のベールに隠された北朝鮮の「真実」を暴き出した一冊(『金正恩の本心直撃!』)など日・韓・中にまたがって、互いに互いがトンデモないことになっている本や映画を発掘し、その裏側にある民族的メンタリティを掘り下げる。そこでは歪んだ妄想が合わせ鏡のように増幅し合い、もう笑うしかない異様な価値観を生み出しているのだ。 『平和を愛する世界人として 文鮮明自伝』のパートを読むと、韓国人の唱える反日が理屈ではなく、宗教であることがよくわかる。  合同結婚式や開運壺売りで社会問題化した統一教会。彼らは、韓国を「防共の砦(とりで)」とする西側諸国の戦略に乗って勢力を拡大したが、そのバックに故・笹川良一など日本の右派がいたことは公然の秘密だろう。しかしその教祖の故・文鮮明が日本で早稲田高等工学校を卒業していたことや、反共を唱えながらも北朝鮮出身だったことは、評者はこの解説で初めて知った。  彼は韓国の反日思想を、神からの教えとして信者に伝えているらしい。『平和を愛する世界人として 文鮮明自伝』によると、日本は海に浮かぶ島国なので女性を表し、「世界の中でエバ国(母の国)の使命」(p.33)を担う。だから「世界の母として、たとえ飢えたとしても世界の国々を保護」(同)しなければならないという。ずいぶんな話である。  エバ国があるならアダム国(父の国)もあるだろう。それが韓国だ。その証拠に半島は男性を表す大陸から突き出している。その形は男性自身を表しているという。  たしかに大陸から朝鮮半島は突き出てはいるが、角度的には元気の尽きた老人のようだ。反日は、彼らにとってバイアグラなのか?  文鮮明いわく、エバはアダムに仕えなくてはならない。だから日本は日韓併合の贖罪として南北朝鮮の統一のために「生きなければならない」(同)。世界中に慰安婦像を建てるようなメチャクチャができるのは、それが宗教行為だからなのだ。  宗教といえば日本も負けてはいない。『金正恩の本心直撃!』で呼び出された金正恩の霊(本人が生きていても霊を呼び出せる、それが大川隆法流である)は、台湾が繁栄している理由を、南にあって「バナナがいっぱいとれる」(p.166)からと言い、父だった金正日を「注射を打てば死ぬでしょう」(p.170)と暗殺したことを認め、「君らの敵は、われわれじゃなくて、税務署だ」(p.180)と、幸福の科学の税金の心配までするのだ。  戦前の朝鮮と日本が同じ起源を持つという日韓同祖論(だから日本は朝鮮を併合していいという屁理屈である)は、日本にも(『韓国人は何処から来たか』)、韓国にも(『日本語の正体 — 倭の大王は百済語で話す』)あり、そのベクトルが真逆になっているのが面白い。前者では日韓は同じ民族が日本と韓国に分かれたといい(そして韓国だけが堕落したのだという)、後者では韓国から日本へと民族が移動したという(だから日本は韓国の亜流で二流)。日韓同祖論者の日韓同祖史観というべき独特の考え方が、この2つのパートを読むと理解できる。そして、そんなトンデモ説を掲げて朝鮮併合を行なった当時の日本の姿が、その向こう側に透けて見えるのだ。  トンデモ本を読むのは、多くの場合、苦行以外の何ものでもない。こういっては申し訳ないが、冗長で退屈で、正直、まったく面白くない作品が多いのだ。だが、と学会の面々がそんなトンデモ本のエッセンスを抽出し、こねくり回すとあら不思議、ゲラゲラ笑いながら読み進むうちに、トンデモ説の持つ視点のユニークさに気が付き、トンデモを生み出した背景を知ることができるのだ。  嫌中・嫌韓本のさらに先には、アジア3国の濃密な関係と隠された史実がある。その端っこを覗き見る、入門書としてぜひ一読をオススメしたい。 (文=コタロー)

日本の歴史を大きく変えたアメージングトーク集!『日本人の誇りを呼び覚ます魂のスピーチ』

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『日本人の誇りを呼び覚ます魂のスピーチ』(廣済堂出版)
 日本人はスピーチが苦手だというイメージが強いが、本当にそうなのか? 『日本人の誇りを呼び覚ます魂のスピーチ』(廣済堂出版)はそんな思い込みに再考を促す、日本人による歴史的スピーチを集めたものだ。スピーチを「演説」と訳した福沢諭吉による日本初のスピーチに始まり、政治家、実業家、文化人、スポーツ選手ら24人の名言&名スピーチを収録。日本人が発した言葉によって、日本の歴史が動いた瞬間を収めている。  現在に至る日本文化を語る上で、もっとも重要なスピーチとなったのはパナソニック(旧松下電器)の創業者・松下幸之助が1932年5月の第一回創業記念式で社員に向かって語った「水道哲学」だろう。 『水道の水は加工された価値のあるものであるが、道端の水道水を通行人が飲んでもとがめられることはない。それは、その量が豊富で安価だからである。松下電器の真の使命も、物資を水道のごとく安価無尽蔵に供給して、この世に楽土を建設することである』  松下のこの水道哲学は、企業とは単に営利追求だけを目的にした集団ではないことを明朗に謳い上げ、他の多くの産業にも多大な影響を与えた。家電製品、自動車、インスタント食品、ゲーム機、衣料など、高品質かつ低価格であることを売りにした数々の日本ブランドが誕生していくことになる。“経営の神様”の口から産み落とされた、まさに言霊だった。  本著に選ばれた24人の中で最も鋭い舌鋒を誇ったのは、軍部を敵に回して戦い抜いた孤高の政治家・斎藤隆夫だ。「反戦演説」と呼ばれる1940年2月に開かれた帝国議会での斎藤の質問演説には目を見張るものがある。原稿を手にすることのなかった斎藤は、この演説の中で「正義の戦争など存在しない」と看破してみせた。 『かの欧米のキリスト教国、これをご覧なさい。彼らは内にあっては十字架の前に頭を下げておりますけれども、ひとたび国際問題に直面致しますと、キリストの信条も慈善博愛も一切蹴散らかしてしまって、弱肉強食の修羅道に向かって猛進をする。これが即ち人類の歴史であり、奪うことの出来ない現実であるのであります。この現実を無視して、ただいたずらに聖戦の美名に隠れて、国民的犠牲を閑却し、曰く国際正義、曰く道義外交、曰く共存共栄、曰く世界の平和、かくのごとき雲を摑むような文字を並べ立てて、そうして千載一遇の機会を逸し、国家百年の大計を誤るようなことがありましたならば、現在の政治家は死してもその罪を滅ぼすことは出来ない』  日中戦争が泥沼化していく当時の社会情勢の中で、この反戦演説は命懸けの行為だった。軍部の怒りを買い、斎藤は所属していた民政党を離脱。さらに同年3月には議員除名動機が提出され、斎藤は国会から締め出される。多くの議員はこの決議を棄権、もしくは欠席したが、除名に反対した議員はわずか7名だった。日本の議員制民主主義は軍部に屈服し、太平洋戦争へと突き進むことになる。  戦後のスピーチで外せないのは、戦後50年の節目となる1995年8月15日に総理・村山富市が発した「村山談話」。日本とアジア諸国との関係を理解する上で、再読しておきたい発言である。 『我が国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大な損害と苦痛を与えました。私は、未来に過ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い追悼の念を捧げます』  “杖(よ)るは信に如(し)くは莫(な)し”という『春秋左氏伝』からの引用で締めた村山談話は、日本政府が公式的な立場から初めてアジア各国に謝罪を表明したもので、その後の歴代内閣はこの見解を踏襲する形をとっている。バブル経済が弾け、政治も混沌を極めた1993年に瓢箪から駒で連立政権の総理に担ぎ上げられた社会党委員長の村山だが、「自民党政権では成し得なかった問題解決に、連立政権の良さを生かして突っ走ろうと考えた」という翁が挑んだ大勝負がこのスピーチだった。政治家としての功績は今なお賛否が分かれるが、『──魂のスピーチ』の著者であるジャーナリスト・弓狩匡純氏は本著の中で、「戦後初めて、我が国が過去の戦争に対する見解を公に言及した事実は、諸外国の理解を得るために一定の役割を果たした」と評価している。  日本の近代・現代史を語る上で重要なスピーチを選び出し、解説を加えた弓狩氏は、日本の有名企業を“社歌”の成立からその社風や企業理念を紐解いた『社歌』(文藝春秋)、世界各国の“国歌”の中に秘められた国民性や国の成り立ちを読み取った『国のうた』(文藝春秋)などユニークな視点で著書を発表してきた。世界の偉人・著名人たちの名言を集めた『The Words 世界123賢人が英語で贈るメッセージ』(朝日新聞出版)を2012年に上梓し、今回の『──魂のスピーチ』はそれと対をなす日本版の名言集とも言える。 「米国の大学を卒業し、海外で取材することが多いのですが、欧米の文化圏では自分の意見を持ち、発言することで一人前として認められます。英語は口語文化であり、文語中心の日本語文化とは大きく異なることをこれまでたびたび実感してきました。前作『The Words』は欧米人が中心になりましたが、日本にも素晴しいスピーチを残している人たちはいるに違いない、と探し出したのが今回の『──魂のスピーチ』です。また、名言だけを紹介するのではなく、可能な限りスピーチ全体を掲載するよう努めたので、スピーカーの想いや真意も読み取れるのではないでしょうか。村山談話は確かにまだ評価は定まっていませんが、あの談話がなければアジア外交はもっと混迷していたはず。日本人はこれまでアジア各国に経済援助したことで謝罪の意を表したつもりになっていますが、アジアの各国はきちんとした言葉での謝罪をずっと待っていたわけです。“日本が欧米相手に戦争したから、他のアジアの国々は独立できたんじゃないか”という押し付けがましいことに一切触れていない潔さが村山談話にはある。大人のスピーチですよ。問題になっている河野談話とは、スピーチとしても格が違うように思います」(弓狩氏)  名スピーチと聞くと、舌先で操られた美句麗文を思い浮かべがちだが、本著で紹介されているスピーチの多くは、平易な言葉で、かつ発言者の生命そのものを懸けたもの、もしくはそれまで歩んできた人生の道程を言葉に凝縮した重みのあるものだ。日本の近代・現代史をスピーチの数々で振り返る入門書であり、人間が発する言葉の重みを改めて感じさせる一冊となっている。 ●ゆがり・まさずみ 1959年兵庫県生まれ。米テンプル大学教養学部アメリカ研究学科卒業。国際情勢、経済、文化からスポーツに至るまで幅広い分野で取材・執筆活動を続けている。主な著書に『社歌』『国のうた』(文藝春秋)、『国際理解を深める世界の国歌・国旗大事典』(くもん出版)、『The Words 世界123賢人が英語で贈るメッセージ』(朝日新聞出版)などがある。

ST専属モデル・中条あやみ、森川葵ら注目の美少女が勢ぞろい!『劇場版 零 ゼロ』

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(C)2014「劇場版 零~ゼロ~」製作委員会
 今週取り上げる最新映画は、山間の女学園を舞台に美少女たちが狙われるホラーと、同窓会を機に高校時代の封印された真実が明らかになるミステリー風味のドラマ。いずれも、女性たちの心理や感情が丁寧に描かれた邦画2作品だ。  『劇場版 零 ゼロ』(9月26日公開)は、人気ホラーゲーム『零』を『黒鷺死体宅配便』などで知られる作家・大塚英志がノベライズし、それを実写映画化した作品。山間の全寮制女学園で、アヤは「自分が死ぬ」という幻に襲われ自室に引きこもってしまう。そのころ学園内で、アヤそっくりの少女が写った写真を見た生徒が次々と失踪し、水死体で発見される。アヤは、クラスメイトのミチとともに、事件の真相を追う。  主演の2人、「Seventeen」専属モデルの中条あやみと森川葵をはじめ、主要キャストにモデル出身や子役時代から活躍する美少女たちがそろい、ガールズラブ的なムードも。特にアヤ役の中条あやみは、浮世離れした美しさとスタイルの良さでストーリーに説得力を与えている。この映画主演を機にファン層が一気に拡大しそうな新星だ。メガホンを取ったのは、『リアル鬼ごっこ』シリーズなど、ホラー作品を多数手がける女性監督・安里麻里。イタリアのクラシックなホラー映画を思わせるゴシックな雰囲気、緻密なストーリー構成、音声を繊細にコントロールした恐怖演出が印象に残る1本だ。  『太陽の坐る場所』(10月4日公開)は、直木賞受賞作『鍵のない夢を見る』などで知られる人気作家・辻村深月の同名ミステリー小説を、水川あさみと木村文乃の主演で映画化した作品。高校時代、クラスの女王として君臨していた響子(水川)と、物静かに彼女に寄り添っていた今日子(木村)。しかし、ある出来事をきっかけに2人の立場は逆転する。卒業から10年後、響子は地元地方局のレポーターとしてくすぶり、今日子は東京で人気女優として活躍していた。定期的に開かれていた同窓会に、響子が久しぶりに出席したことがきっかけで、封印されていた過去の真実が徐々に明らかになってゆく。幹事役の島津(三浦貴大)は、今日子にも出席してほしいと懇願するが……。  『ストロベリーショートケイクス』『スイートリトルライズ』など、女性の内面を繊細に描くことに定評のある矢崎仁司監督がメガホンをとった。水川あさみは、痛々しいこの役をよく受けたものだと感心させられる。木村文乃と高校時代の今日子役・吉田まどかは、雰囲気がよく似ているし、どちらも素晴らしい演技。原作小説と映画を比較すると、ラストを含め重要な要素がいくつか省略されており、映画だけ見るともやもやした疑問が残るかもしれない。ぜひ小説も読んで、それぞれの魅力を楽しんでいただきたい。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『劇場版 零 ゼロ』作品情報 <http://eiga.com/movie/80311/> 『太陽の坐る場所』作品情報 <http://eiga.com/movie/79724/>

月収はサラリーマン並みなのに……「やりがい」を見いだす風俗嬢たちのリアル

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『日本の風俗嬢』(新潮新書)
 「風俗嬢」のイメージは両極端だ。ブランド品を買い漁ったり、ホスト遊びに明け暮れるなど、派手な生活をしているイメージがある一方、「借金のカタに売られて……」「ソープに沈められる……」など、悲壮感に満ちたイメージも根強い。けれども、ルポライターの中村淳彦氏が新著『日本の風俗嬢』(新潮新書)で明らかにした彼女たちの生活は、そのどちらにも当てはまらない。彼女たちのリアルは、驚くほどに一般人の生活と変わらず、その仕事にはやりがいすらを見いだしているのだ。  2000年代に入り、風俗をめぐる環境は激変した。長引く不況とデフレによって夜の街に流れる金が激減したこと、1999年の風俗営業適正化法改正によってデリヘルが事実上合法化され、爆発的に店舗数を増やしたこと、また「草食男子」と呼ばれる性に強い興味を示さない男性が増えたこと。さまざまな要因が複合的に重なり、風俗業界は不況の苦しみにあえいでいる。にもかかわらず、風俗嬢を志願する女性は増加の一途をたどり、需要と供給のバランスは完全に崩れている。もはや、風俗嬢は決して「儲かる」商売ではなくなりつつあるのだ。  中村氏の推計によれば、日本には1万3000店の風俗店が存在し、およそ35万人あまりの女性たちが風俗嬢として働いている。これは、品川区や所沢市の人口とほぼ同数。しかも、中村氏の推論によれば容姿やコミュニケーション能力の問題で、風俗嬢になることすらできない女性が、さらに同数程度存在する。風俗嬢になるには「狭き門」をくぐらなければならなくなっているのだ。本書では、60分1万8000円の平均的なデリヘルの採用実態がこう語られる。 「年齢に問題のない女性を20人面接して、採用するのは多くて3人。過半数は風俗嬢として耐えうるレベルに達していないので断る」  風俗嬢として働くことは、「体を売るしかない」という最終手段だったはずだが、現代ではそこに入店することもままならない。女性たちのレベルが著しく向上しているにもかかわらず、その価値が下落の一途をたどっているという現状は、風俗を利用する男性にとってはこの上なくうれしいことだが、そこで働く女性たちにとってはたまったものではないだろう。だが、風俗嬢たちの中には、この仕事に「やりがい」を見いだしている女性も少なくないという。 「完全出来高制で頑張りが報酬に反映されて、収入に上限がなく、最近は年齢の上限もない。男性たちにも注目をされるから、本当にやりがいがあるといった意識を持つ者もいる。そのため90年代以前と比べると圧倒的に稼ぐことが困難になっているにもかかわらず、前向きに働く女性が増えている」(本書より)  報酬が下がっても、それを補うやりがいを見いだせる。もしも「裸になって男性にサービスを行う」ということに抵抗が薄ければ、「悪い仕事ではない」と思う女性がいても不思議ではない。では、そんな「やりがい」をもって働く彼女たちは、いったいどれほどの金額を手にしているのだろうか?  中村氏の推計によれば、サービスレベルも高い美女が勤める総額6万円の高級ソープランドで月収128万円という高給だが、都市部の人気ピンクサロンで月収36万円、格安デリヘルでは月収33万円、地方のデリヘルでは月収25万円、地方のピンサロでは月収22万円。もちろん、高級店に勤められる女性は、本番可能ということも含めてそれなりの商品価値がある女性。ルックスが良く、スタイルが抜群で、サービスレベルも高い女性でなければ、体を売ってもサラリーマンとほとんど大差のない金額しか手にすることはできない。 「まだまだ風俗嬢という職業には、社会的にスティグマを押されている。それでもその道を選んでカラダを売る以上は、高収入を目指すべきだろう。また、その能力がある女性だけが目指したほうがいいように思う。そして、能力的にそれがかなわないならば、近づかずに別の道を探すべきなのだと思う」(同)  もちろん、女性たちが風俗を始める動機には「お金」があり、その背景には非正規雇用やシングルマザーといった「貧困」があることもしばしばだ。けれども、だからといって、彼女たちが後ろめたさを感じながら「金のために」体を売っているわけではない。その中で、やりがいを見つけて、ポジティブに風俗嬢として生き抜いており、もはや風俗を「社会の歪みである!」と息巻いて告発することは実態にそぐわなくなってきているのだろう。中村氏は「社会の劣化と連鎖して生まれたポジティブに働く風俗嬢の姿を眺めて、このままでいいのだろうかという疑問は拭えない」と複雑な胸中を語っている。  本書を読んでいると、“最古の職業”である風俗嬢のリアルな姿は、現代日本を映しとる鏡のようであることがわかる。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

「もうアイドルじゃない!」元AKB48の加弥乃が金子修介監督の新作映画で本格アクション女優に開眼

kayano_kaneko_main.jpg  平成三部作『ガメラ』シリーズ、『デスノート』などで知られる金子修介監督の最新作『少女は異世界で戦った』が9月27日より全国公開される。本作は「忍者」「ソードアクション」「アイドル」をキーワードに、花井瑠美、武田梨奈、清野菜名、加弥乃ら人気若手女優がキュートなソードファイターに扮して、お色気たっぷりのアクションを展開する近未来アクションムービー。  今回、公開を前に本作の美少女ソードファイターの一人で、元AKB48の加弥乃と金子修介監督にインタビュー。作品の見所や撮影の裏話などを語ってもらった。 ──加弥乃さんといえば、元AKB48で、バリバリのアイドルのイメージ。改めてなんですが、卒業後、こうして女優業へシフトしていくことになったきっかけを教えてください 加弥乃 AKB48のオーディションを受ける頃から、女優さんになりたいと思ってました。当時のAKBのコンセプトも、夢を掴むためのステップ…というようなものだったんですね。AKB時代に主演ドラマをやってから、それまで以上にお芝居の虜になったんだと思います。 ──現在は事務所にも無所属とか 加弥乃 そうなんです。そんな中、金子監督にはよく声をかけて頂いてます。 ──監督との出会いは、監督が講師を務めるワークショップだったと聞きました。 加弥乃 インターネットでワークショップの募集を見た時に、「あ、あのデスノートの金子修介監督だ」って。ぜひ受けようって行ったのが出会いです。 ──監督の印象はどうでしたか? 加弥乃 映画監督ってすごく恐いっていうイメージだったんですけど、なんかもうオーラからして、恐くはなさそうだなって(笑)。でも、その時は監督の印象を見れるほど余裕はなかったですね。ワークショップって初めてでしたし、ずっと緊張していました。 金子監督 (加弥乃は)すごい目立ってたし、お芝居のレベルも高かった。この映画には架空のアイドルグループ「iDolls」というのが出てくるんですけど、この映画を撮ろうとなった時も、こういうグループを形成するなら彼女は絶対必要なんじゃないかなって思いましたね。アイドルグループにはマンネ(韓国語で「末っ子」)っていう存在が必ずいるんですけど、そのポジションにぴったりだなって。 ──加弥乃さんはこの作品でアイドルを演じていますが、実はプライベートではアイドルと呼ばれることには少々抵抗があるとか。 金子監督 嫌なの? 加弥乃 嫌かもしれない(笑)。今でもたまに町で「AKBのメンバー?」とか言われることがあるんですけど、「違います」って。アイドル時代、アイドルをすることに葛藤があったとかではないんですけどね。女優のお仕事をしていきたいのに、「アイドル」っぽく見られるのって、あんまり良くない気がするんです。 kayano_kaneko_032.jpg ──監督は加弥乃さんのキャリアをどう見られていたんですか? 金子監督 監督からしたらみんな被写体だから、女優もアイドルもモデルも変わらない。映画に出れば女優。出身がなんであろうと変わらないという考えです。でも、今回の映画では加弥乃ちゃんのアイドルっぽさというのが、すごく良い方向で出ていたと思いましたよ。 ──加弥乃さんは本作の完成を観て、ご自身の演技をどう思いましたか? 加弥乃 2~3回観たんですけど、撮ってる時はモニターチェックとかがなかったので、アクションシーンとか、正直どんなふうに映っているか不安だったんです。でも、思った以上にカッコよく映っていて、周りのスタッフに感謝しました。 ──本格的なソードアクションは初めてということで、現場ではアクション経験の豊富な武田梨奈さんに、非常に憧れの感情を持っていたとも聞きました。 加弥乃 現場で梨奈ちゃんと2人のシーンが多くて、よく話をしたりしました。わたし梨奈ちゃんと出会う前から、梨奈ちゃんのことが好きだったんですよ。尊敬していたんです。だから一緒の作品に出るというだけで、もうテンション上がってしまって(笑)。 ──監督の方は加弥乃さんはじめ、女性キャスト陣のアクションシーンにはかなり満足していらっしゃるとか。 金子監督 体操ができるっていう程度だと聞いていたんですけど、こんなにできるんだったら、もっとアクション増やしてもよかったなって思うくらい(笑)。まあ、武田さんはできるのは知っていたけど、後の3人は未知数だったのでね。 ──体操といえば加弥乃さんは以前、バルセロナ五輪の体操の銀メダリスト・池谷幸雄さんの体操教室に通っていたことがあるとか。 加弥乃 期間は短かったんですけど、小学校の頃通っていました。わたし、本当に運動音痴で逆上がりもできなくて、跳び箱も跳べなくて、うちのお母さんが「これはまずい、運動のできない子だ」って体操教室に入れたらしくて(笑)。小さいころは運動会で腕の振りを合わせての行進とかもできなかったんです。なんかこう、まっすぐに歩けなくて。運動会の入場を家で練習した記憶があります(笑)本当に運動音痴だったんです。 ──それでも本作では、運動音痴とは思えない見事なアクションシーンの連続。しかもスタントなしで挑戦されたとか。 金子監督 スタントは一応用意したけど、ほとんど使ってないね。ほぼ本人がやってますよ。 加弥乃 私は全部です。殺陣も経験なかったですけど、頑張りました。 ──ケガとかはなかったんですか? 加弥乃 アザとかはあったんですけど、大きいケガはなかったですね。 金子監督 大きなケガはなかったんですけど、結構みんな生傷は絶えなかったって。スタッフが気を遣って、僕の耳には入れないようにしていたみたいですけど。 加弥乃 そういえばわたし、現場で1回泣きました。撮影前にマットでずっと練習してたんですけど、急に現場に入ってマットなくしてやったら、背中を強く打ってしまって。体に来る衝撃が大きくて、痛いというより、びっくりで泣いちゃって。息ができなくて焦りました。ボロ泣きでしたよ。AKB時代はどんなに悔しいことがあっても泣かないって決めていたので、「あ、わたしスタッフの前で泣いてる」って、焦りました。(笑) kayano_kaneko_0002.jpg ──運動音痴とはいえ、AKB48時代はダンスもこなし、毎日レッスンにも通っていた。 加弥乃 AKBのころは確かに、ダンスの練習が毎日ありましたね。夜中の2時とかまで。 ──ダンスと殺陣だったら、どっちがハードなんですか? 加弥乃 全然殺陣です。筋肉痛どころじゃなくてベッドから起きれなかったくらいです。私だけじゃなく、瑠美ちゃんとかも本格的に体操やっていたのに、ひどかったみたいで。 ──アクションをするにあたっての稽古はあったんですか? 加弥乃 ありました。期間的には1カ月くらい。週に何回だろう。2回、3回とか。 ──アクションの稽古って、どういうことをするんでしょうか? 加弥乃 わたしはプロレスをやらされました(笑)。お手本を一度見せられて、これをやってって。もちろんコツは教えてもらえるんですけど、初めて見るような技をいっぱいやって、2人技も多く、相手がいないとできない技。それがすごく難しかったです。ひとりじゃ家で練習もできないし、イメトレもiPhoneで撮ったムービーだけで、結構たいへんでした。殺陣は稽古ではあまりやらせてもらえなかったですね。撮影が近くなって、ようやく剣を渡されて「なんか振り回してみな」って。 ──ほとんどスタントなしということで、監督は現場で撮影中、女優陣がケガをしないか心配になったりしませんでしたか? 金子監督 心配になる反面、もうちょっと(互いの距離が)近くないとそういうふうに見えないよ、とかね。そういう部分もありました。ケガされたら元も子もないだろうけど、それを恐れて距離が遠くなっちゃうと、当たってるふうに見えない。ギリギリのところで挑戦してもらいました。 ──劇中、4人のソードファイターは同時にアイドルでもあるという設定で、歌や踊りを披露していますが、元AKBということで、ほかの3人が加弥乃さんにアドバイスを求めたりすることはあったんですか? 加弥乃 めっちゃありました。特に梨奈ちゃんが頼ってくれました。梨奈ちゃんって、殺陣の型や順番を覚えるのはめっちゃ早いのに、ダンス覚えるのが意外と遅いんですよ(笑)。加弥乃は梨奈ちゃんにアクションを一から教えてもらっていたので、その逆バージョンという感じでした。一緒に深夜までダンスの練習をやってましたね。梨奈ちゃんのそういう(一生懸命な)ところが大好きでした。 kayano_kaneko_01.jpg ──撮影の楽しさが伝わってきますね。 加弥乃 楽しかったですよ。温泉で菜名ちゃんと一緒にお風呂に入ったり。菜名ちゃんとはもう裸の付き合いでしたよ。あと、撮影中にわたしが寝ている場面で本当に寝ちゃったり。 ──作品について聞きますが、監督は本作ではクールジャパンを意識して、「忍者」「ソードアクション」「アイドル」をキーワードに作品を作っておられます。 金子監督 そうです。例えばアイドルは日本の名物。原爆、忍者、富士山、アイドルなんかを念頭に、アイドルにミニスカートで刀持たしてとか、そういう日本的なアイテムを集めてストーリーを作ったらこうなったというね。 ──今の時代、こういう娯楽作品で描くにはタブーで描きにくいものもたくさん出てきました。原爆や震災、放射能とか。 金子監督 タブーかもしれないけれど、そんなものタブーにしてたらダメなんじゃないの? って思ってるんです。タブーだからこそやらないといけないんじゃないのって。 ──オープニングがいきなり原爆のキノコ雲とか、ショッキングに思う人もいるのでは? 金子監督 あれは『仁義なき戦い』へのただのオマージュだよ(笑)。 ──3.11、放射能、原発も出てきますが、作品に監督の政治的なメッセージもこめられているのですか? 金子監督 メッセージというか事実だからね。われわれはもう放射能まみれの世界に生きてるんですよ。あなたもわたしも。 ──この作品の試写会では、この映画を通じて、現代の志穂美悦子を発掘したかったともおっしゃっていました。 金子監督 昔、東映で志穂美悦子さんがやっていたような空手とか、『必殺女拳士』とかさ、そういう女の子のアクションを追求したんですよ。僕らが大学生のころって、オールナイトの上映で志穂美悦子がアクションをしだすと、客がみんな「えっちゃん! えっちゃん!」って手拍子して応援したりしたものだけど、今、そういうのを受け継ぐ人がいないなって。アクションをやりたいっていう女の子は多いけど、受け皿がないんですよ。作ってないから、みなさんやりようがないっていう。そういうもんを作っていかないといけないよなって。実際ないじゃないですか。 ──ノンスタントで女の子がアクロバットな動きを見せているシーンもありましたが、ワイヤーアクションなどを取り入れようと思わなかったのですか? 金子監督 思わなかった。本当に昔ながらの生身のものを作りたかったんです。武器も刀が使いたくて無理矢理そんな設定を作りました。刀ってかっこいいじゃないですか。最後の決まったところとか。 加弥乃 わたしも剣は使ってみて、すごく度胸がつきました。受けてくれる人もうまくて。「思い切り振り回していいから」と言われて、思い切り振り回したら、すごくうまくやってくださって。楽しかったです。でも先が尖ってるので恐かったです。目とかに入ったらどうしようって。 kayano_kaneko_02.jpg ──劇中、血がほとんど出てこないのも面白いなと思いました。意図的なんでしょうか? 金子監督 小学生にも見れるようにしたんです。あと、1回血を出すたびにコスチュームがどんどん血だらけになってしまうのも嫌でね。血まみれにするんじゃなくて、可愛いまんまでいてもらいたくて。 ──加弥乃さんは本作でアクションに開眼。今後は女優としてどんな方向に進んでいきたいと思っているんですか? 加弥乃 とりあえずアクションは絶対続けたいです。映画、ドラマ、アクションだったら舞台もやってみたい。なんか殺陣でも素手でもいいです。ずっとやりたいって思ってたんですけど、今回で目覚めました。ずっと体が動く限りやりたいなって。実際、アクションの稽古には、今も通っているんです。終わってからも「来ていいよ」って言われて。撮影の時にはできなかった技が、今になってできるようになっていたりします。大人しそうってよく言われるんですけど、動いたら動けるじゃん、みたいなギャップを楽しんでもらえるような女優になれたらいいなって思います。 ──最後にちょっと気が早いかもしれませんが、監督はこの作品の続編などは考えておられるんですか? 金子監督 わからないね。次の話をみなさんから募集しますよ。これが終わって、4人で次にやって行くにしても、新しい設定が必要なのでね(笑)。 (インタビュー・写真=名鹿祥史) 『少女は異世界で戦った』は2014年9月27日新宿バルト9ほか全国順次公開 オフィシャルサイトhttp://www.shojo-isekai.com/ 金子修介監督の小説を映像化した加弥乃主演のWEBドラマ「夏休みなんかいらない」も「VAP ORIGINAL CHANNEL(YouTube)」で配信中 https://www.youtube.com/channel/UCX2pZgr9yHgeGWeg9TTil8A

清少納言が紫式部をひっぱたく! 超訳モダン枕草子『砂子のなかより青き草』

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『砂子のなかより青き草』(平凡社)
 先日の内閣改造で女性活躍担当相が新設されたが、現在、日本は先進国の中で男女間賃金格差が最も大きい国である。女性の平均賃金は、男性の平均賃金の70%に満たないほどで、驚くべき低い水準だ。欧米では男女間賃金格差が確実に是正されているにもかかわらず、この30年間、日本の男女間賃金格差はほぼ横ばいで、男女の給与待遇は変わっていないのが現状だ。日本の性差は深刻で、根深い問題だといえる。  現代よりも圧倒的な男社会であった平安時代、男まさりの学問と教養を身に付けていた女性は、何を思って暮らしていたのか――。『砂子のなかより青き草』(平凡社)は、R-18文学賞を受賞した気鋭の女流作家・宮木あや子氏が、清少納言とその身辺を描いた小説だ。夫と離婚した清少納言(なき子)は、一条天皇の皇后・定子に仕える女房という仕事を得て、華やかな宮中の暮らしを草子に記す。原文『枕草子』ではうかがい知ることのできない清少納言の内面を、現代人の視点から巧みに描いている。バツイチの寂しさ、ライバルとの権力争い、イケメン貴族との恋など、特に古典に知識がなくともエンタテインメントとして楽しめる内容となっている。  なき子は、枕草子原文に描かれているような「春はあけぼの。いとをかし」なんて、ただ季節の移ろいを眺めているだけの女性ではない。「女が学をつけても良いことは何もない」と自嘲しながら、女が役に就ける世の中を待ち望み、自分から男に口づけをせがむ。意志と行動力の備わった現代の女性だ。特に、紫式部の胸ぐらをつかみ、平手打ちをかまし、懐刀を突きつける場面は、コミカルでありながら、鬼気迫るすごみを感じさせる。  男女雇用機会均等法が成立した80年代、橋本治氏は『桃尻語訳 枕草子』(河出書房新社)で、女子高生の言葉を用いて清少納言を現代に連れてきたが、宮木氏は、現代のアラサー女性を平安京にタイムスリップさせることに、この『砂子のなかより青き草』で成功したといえる。仕事や結婚で悩む女性に、またそんな女性を理解したい男性に手に取ってほしい一冊だ。枕草子のエッセンスは、1000年がたった現代においても“青き”草として、あなたの心にみずみずしく訴えかけるだろう。 (文=平野遼)