先日「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に掲載された25年後の『東京ラブストーリー』が、好評を受け連載化が検討されていることがわかった。 『東京ラブストーリー』は、柴門ふみによって1988年から同誌で連載され、91年にフジテレビ系でドラマ化。主人公のカンチ役を織田裕二、恋人役のリカを鈴木保奈美が演じた。「ねえ、セックスしよ!」の大胆なフレーズも流行語となった。 舞台は、バブル真っ盛りの東京の広告代理店だ。結論からいえば、恋人同士であった2人は結婚しない。カンチは別の人間と結婚、リカはシングルマザーとなる。その後、思わぬ縁から25年ぶりの再会を果たすというのが、読み切りのストーリーだった。 「25年後のカンチは、民間人として学校の教頭先生となり単身赴任中。リカは、シングルマザーを続けつつ、ロハス的な農業に従事しています。この設定は、賛否両論といった感じですね。特に“自由人”だったリカが、収入よりも生きがい重視の農業で生活しているのは納得という人もいれば、都合がよすぎるという人もいますね」(雑誌編集者) 続編の連載化には、作者である柴門も乗り気なようだ。『東京ラブストーリー』だけでなく、『あすなろ白書』や『Age,35』など、彼女の作品は90年代に数多くドラマ化されている。いずれも、特定の年代、世代を描いたものであり、その後の展開が気になる読者も多いだろう。 「いまや雑誌文化は風前の灯火。若い人を狙うより、中高年の読者を“懐かし”のキーワードで取り込む方が効果的といえるでしょう。昨年の紅白で、マッチと聖子ちゃんが大トリを務めたのは示唆的です。やっぱり中高年は、若い人よりはお金も持っていますし趣味にお金をかけてくれますからね」(同) 「東京ラブストーリー」の登場人物と同世代の人間たちは、80年代に大学生活を送り、就職後の20代はバブル真っ盛りである。さすがに“勝ち逃げ”とはいかないまでも、恵まれた世代であり、経済的余裕もある。 そのため、高額なCD-BOXや何万円もするディナーショーチケットなど、彼らの“財布”をターゲットにしたようなビジネスが数多く存在する。懐かし漫画の復活も、そのひとつかもしれない。 だが、今回のリバイバルが賛否両論であったように、美しい思い出のままでとどまっていたほうがいいものがあることも確かだろう。 (文=平田宏利)『東京ラブストーリー (1) (小学館文庫)』(紫門ふみ/小学館)
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キムタク・浜崎あゆみコラボに捏造記事……名物ファッション誌「Free&Easy」休刊に見る出版不況の“深刻度”
ラギッドファッションなど、中高年を中心にライフスタイルを提唱してきた雑誌「Free&Easy」(イースト・コミュニケーションズ)が、現在発売中の3月号で休刊することが明らかになった。 同誌は1998年9月に創刊。男性ファッションやライフスタイルをメインテーマにさまざまな特集企画に取り組み、中高年の物欲を刺激し続けてきた。雑誌の世界観をリアルな店舗に表現したショップ「ラギッドミュージアム」を東京と大阪で展開するなど、新たな試みも行ってきたが、こちらもすでに閉店することが発表されている。 「同誌が提唱するラギッドファッションとは、アメカジやアイビーをベースに無骨なヴィンテージテイストなどを打ち出したものですが、一つひとつのアイテムが非常に高価。中高年ファッションの一潮流として、雑誌『LEON』(主婦と生活社)のようなイタリアンファッションがありますが、これに負けず劣らずカネがかかる。しかし、昨今は不景気もあって、高価な洋服が売れない時代。最近のファッション誌の主流は、H&MやZARAなどのプチプラブランドを取り入れて、いかにオシャレに見せるかというもの。そうした時代の流れに、雑誌が合わなくなってきたのでしょう。加えて、広告出稿の激減も原因のひとつだと思います。雑誌に広告を出しても売り上げにつながらないことが、各ブランドともわかっていますから。今は出版不況というだけでなく、特にファッション誌にとって“冬の時代”なのです」(ファッション誌編集者) 同誌の編集長の小野里稔氏は出版畑ではなく、テレビ業界の出身。それだけに出版界の既成概念にとらわれない誌面作りで話題を集めたこともある。 「同誌の全盛期は2000年代初頭で、当時は大人の男性ファッション誌にジャニーズのタレントを起用することは珍しかった時代なのですが、木村拓哉を大々的にフィーチャーしたり、浜崎あゆみとコラボして別冊を作ったりするなど、出版界の人間では思いつかないアイデアを発揮していたのが小野里氏です。もともとは、テリー伊藤氏のテレビ制作会社でディレクターを務めていました。強引な演出で知られるテリー氏の愛弟子だけに、編集部も小野里編集長のワンマン体制だったと聞きます。あの不祥事も、同誌のそんな体質から起きてしまったといっていいでしょう」(同) “あの不祥事”とは、14年6月号で特集したイラストレーターの故・安西水丸氏の追悼企画において、作家の赤瀬川原平氏や角田光代氏への取材記事を捏造し、同号が自主回収された件だ。 「担当者によると、実際に取材する時間がなく、ネット上の記事を参考に捏造していたとのことですが、これも小野里編集長が強引に進めたものだといわれています。雑誌が出れば必ずバレるのに、我々のような出版業界の人間からすれば考えられない不祥事ですよね。休刊は前述した事情もありますが、この不祥事もひとつのキッカケになったのでは」(同) 一時代を築いた雑誌だけに休刊が惜しまれるが、出版不況には抗えなかったということだろう。「Free&Easy 2016年 03 月号」(イースト・コミュニケーションズ)
部数激減中「スピリッツ」の『東京ラブストーリー』に総スカン! 35周年企画は大丈夫?
1991年に織田裕二と鈴木保奈美主演でテレビドラマ化されたコミック『東京ラブストーリー』の25年後を描いた『東京ラブストーリー ~After25years~』が、「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)の創刊35周年読み切り企画として、25日発売の同誌に掲載された。 『東京ラブストーリー』は1988~89年に同誌に連載された作品で、作者である柴門ふみの代表作の1つ。純朴な若手サラリーマンのカンチこと永尾完治、同僚でアフリカ育ちの自由奔放な赤名リカ、カンチの初恋の幼なじみである関口さとみ、さとみに惹かれる医大生の三上健一の恋愛模様が描かれ、バブル期だった当時、一世を風靡した。コミックやドラマの内容を知らなくとも、「カンチ、セックスしよう!」というリカのセリフだけは聞いたことがある人も多いのではないか。四半世紀ぶりの新作は、結局は結ばれなかったカンチとリカが25年ぶりに再会するというストーリーなのだが、これがなんとも肩すかし的な内容なのだ。 ネット掲示板などでも、「カンチ、セックスしよ! もう無理だよ 勃たないもん」「50歳のオッサン、オバサンの恋愛話とかゲロ出そうだわ」「勝手にSEXしてろよ。馬鹿バブル共が」「アラフィフの日常系恋愛ものなんざ、今さら見たくねーだろ」「50代トレンディーとか大丈夫なのか?」といった声が相次いでいる。 「新作ではカンチの娘とリカの息子との恋愛をキッカケに、50代になった2人が25年ぶりに再会するのですが、そこから新たな展開があるわけでもなく、再会するまでの25年間をカンチがただ振り返るというだけの内容。物語というよりは、ちょっとしたエピソードにすぎない感じですね。ハッキリ言って、創刊記念企画に相応しいとは言えないクオリティーです。老境を迎えた男女の心の機微を描かせたら、旦那の弘兼憲史の『黄昏流星群』のほうが1枚も2枚も上手でしょう」(コミック誌編集者) 35周年を迎えたスピリッツだが、現在の発行部数は約17万部で低落傾向にある。『東京ラブストーリー』が人気を博していた90年当時は、なんと約150万部もの発行部数を誇っていた。 「スピリッツに限らず、コミック誌はいずれも部数を落としているのですが、この25年間で10分の1近くまで部数を落としているのは、今さらながらに出版不況を痛感させます。柴門の新作は25年前の『東京ラブストーリー』を知らなければ、全く面白くない内容だし、思い入れも持てません。これだけ発行部数を減らしている中、当時を知る読者がどれだけいるのでしょうか。ちょっとピントがずれているとしか思えません。同誌の窮状がうかがえるというもの」(同) 今回の創刊35周年読み切り企画には柴門のほかにも、浦沢直樹や高橋留美子、細野不二彦など、スピリッツの興隆を支えた大御所らの作品がラインナップされているが、“夢よ、再び”となるか。「週刊ビッグコミックスピリッツ 2016年9号」(小学館)
安田顕に魅了されること間違いなし!? 緩い笑いが心地いい『俳優 亀岡拓次』
今週取り上げる最新映画は、売れっ子監督の中村義洋が久しぶりに手がけたホラーと、脇役専門の俳優が映画に舞台に恋に奮闘する姿を温かく描くコメディー。虚構と現実のあいまいな境界が独特の余韻を残す、印象的な邦画2作品だ(いずれも1月30日公開)。 『残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋』は、小説家・小野不由美の山本周五郎賞受賞作を、『アヒルと鴨のコインロッカー』(2006)、『予告犯』(15)の中村義洋監督が映画化した“実話風”ホラー。小説家の「私」(竹内結子)のもとに、女子大生の久保さん(橋本愛)から「住んでいる部屋で奇妙な音がする」と書かれた手紙が届く。2人が好奇心から調べると、そのマンションの過去の住人たちが転居先で自殺や殺人などを起こしていた。調査を進めるうち、土地に残る「穢(けが)れ」の存在が浮かび上がる。 コメディーからサスペンスまで幅広いジャンルの話題作を精力的に発表している中村監督だが、疑似ノンフィクションのホラーもビデオシリーズ『ほんとにあった! 呪いのビデオ』で初代の構成・演出として手がけていた。同シリーズのほか、『アヒルと鴨~』『ゴールデンスランバー』(09)など多くの中村作品で共同脚本を務めてきた鈴木謙一が、本作にも参加。原作のエッセンスを的確に再構成しつつ、「音」の演出を中心にじわじわと不安を高めるオーソドックスな手法で、観客の心に怖さを染み込ませる。竹内結子と橋本愛が、好奇心と恐怖をバランス良く表現しつつ物語をリードし、佐々木蔵之介、坂口健太郎らも個性的なキャラで好サポート。エンドクレジット後に最後の「ホラー」が待っているので、決して最後まで席を立たないように。 『俳優 亀岡拓次』は、『ウルトラミラクルラブストーリー』(09)の横浜聡子監督、人気演劇ユニット「TEAM NACS」の安田顕主演で描くハートフルな娯楽作。映画俳優の亀岡拓次は、ホームレス、泥棒、チンピラなど脇役を演じ続け、監督たちに重宝されていた。酒好きの亀岡は、ある日ロケ先で撮影後に立ち寄った居酒屋で、女将・あづみ(麻生久美子)に恋をしてしまう。さらに、初めての舞台の仕事や、世界的巨匠の新作のオーディションなど、亀岡に人生の転機が訪れようとしていた。 原作は、俳優や劇作家としても活躍する戌井昭人による同名小説。撮影現場のエピソードがバラエティー豊かに描かれ、いずれも味があって楽しい。実際に脇役として多数の作品に出演し、大の酒好きという安田顕がはまり役を得て、自然体に見せつつペーソスをにじませる演技力をいかんなく発揮。山崎努、新井浩文、染谷将太がそれぞれ個性的な監督に扮し、亀岡とのユーモラスなやり取りで大いに笑わせる。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を思わせる、演技の世界と現実との継ぎ目ない往来も刺激的。映画を作ること、演じること、そして生きることの楽しさ、面白さが詰まった快作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋』作品情報 <http://eiga.com/movie/82365/> 『俳優 亀岡拓次』作品情報 <http://eiga.com/movie/82489/>(C)2016『俳優 亀岡拓次』製作委員会
安田顕に魅了されること間違いなし!? 緩い笑いが心地いい『俳優 亀岡拓次』
今週取り上げる最新映画は、売れっ子監督の中村義洋が久しぶりに手がけたホラーと、脇役専門の俳優が映画に舞台に恋に奮闘する姿を温かく描くコメディー。虚構と現実のあいまいな境界が独特の余韻を残す、印象的な邦画2作品だ(いずれも1月30日公開)。 『残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋』は、小説家・小野不由美の山本周五郎賞受賞作を、『アヒルと鴨のコインロッカー』(2006)、『予告犯』(15)の中村義洋監督が映画化した“実話風”ホラー。小説家の「私」(竹内結子)のもとに、女子大生の久保さん(橋本愛)から「住んでいる部屋で奇妙な音がする」と書かれた手紙が届く。2人が好奇心から調べると、そのマンションの過去の住人たちが転居先で自殺や殺人などを起こしていた。調査を進めるうち、土地に残る「穢(けが)れ」の存在が浮かび上がる。 コメディーからサスペンスまで幅広いジャンルの話題作を精力的に発表している中村監督だが、疑似ノンフィクションのホラーもビデオシリーズ『ほんとにあった! 呪いのビデオ』で初代の構成・演出として手がけていた。同シリーズのほか、『アヒルと鴨~』『ゴールデンスランバー』(09)など多くの中村作品で共同脚本を務めてきた鈴木謙一が、本作にも参加。原作のエッセンスを的確に再構成しつつ、「音」の演出を中心にじわじわと不安を高めるオーソドックスな手法で、観客の心に怖さを染み込ませる。竹内結子と橋本愛が、好奇心と恐怖をバランス良く表現しつつ物語をリードし、佐々木蔵之介、坂口健太郎らも個性的なキャラで好サポート。エンドクレジット後に最後の「ホラー」が待っているので、決して最後まで席を立たないように。 『俳優 亀岡拓次』は、『ウルトラミラクルラブストーリー』(09)の横浜聡子監督、人気演劇ユニット「TEAM NACS」の安田顕主演で描くハートフルな娯楽作。映画俳優の亀岡拓次は、ホームレス、泥棒、チンピラなど脇役を演じ続け、監督たちに重宝されていた。酒好きの亀岡は、ある日ロケ先で撮影後に立ち寄った居酒屋で、女将・あづみ(麻生久美子)に恋をしてしまう。さらに、初めての舞台の仕事や、世界的巨匠の新作のオーディションなど、亀岡に人生の転機が訪れようとしていた。 原作は、俳優や劇作家としても活躍する戌井昭人による同名小説。撮影現場のエピソードがバラエティー豊かに描かれ、いずれも味があって楽しい。実際に脇役として多数の作品に出演し、大の酒好きという安田顕がはまり役を得て、自然体に見せつつペーソスをにじませる演技力をいかんなく発揮。山崎努、新井浩文、染谷将太がそれぞれ個性的な監督に扮し、亀岡とのユーモラスなやり取りで大いに笑わせる。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を思わせる、演技の世界と現実との継ぎ目ない往来も刺激的。映画を作ること、演じること、そして生きることの楽しさ、面白さが詰まった快作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『残穢(ざんえ) 住んではいけない部屋』作品情報 <http://eiga.com/movie/82365/> 『俳優 亀岡拓次』作品情報 <http://eiga.com/movie/82489/>(C)2016『俳優 亀岡拓次』製作委員会
地上411メートルのスリルを3Dで再現! 名監督が描く“伝説の男”の素顔とは『ザ・ウォーク』
今週取り上げる最新映画は、超高層ビル間の綱渡りを体感する3D超大作と、ヘタレな若者が凄腕エージェントに覚醒するコミカルな快作。2作品のタイプは異なるが、映画らしい刺激と驚きに満ちた充実作だ(いずれも1月23日公開)。 『ザ・ウォーク』(2D/3D上映)は、『フォレスト・ガンプ 一期一会』(1994)の巨匠ロバート・ゼメキス監督が、米国の超高層ツインタワーの間を綱渡りしたフランス人大道芸人の実話をスリリングに描くドラマ。幼いころ綱渡りに魅了され、独学で技術を体得したあとサーカスで修業したプティ(ジョセフ・ゴードン=レビット)は、パリの大通りで芸を披露して日銭を稼いでいた。ある日、世界一の高さとなる米ニューヨークのワールドトレードセンターが完成間際だと知り、ツインタワーの間にワイヤーを張って歩くことを決意。協力する仲間たちを集め、現地入りして準備を整え、1974年8月7日を決行の日に定める。 出世作『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(85)から一貫して視覚効果の可能性を切り開いてきたゼメキス監督が、本作では9・11テロで失われたWTCのツインタワーをCGで存在感たっぷりに再現。さらに『ポーラー・エクスプレス』(04)以降挑戦を重ねてきた3D映像で、地上から411メートルのビル間に張られたワイヤー上から見下ろす光景などを疑似体験させてくれる。準備段階のクライムサスペンス的な緊迫感と、仲間たちによるチームプレイの妙味も、丁寧に描かれていて楽しめる。 『エージェント・ウルトラ』(R15+指定)は、『ソーシャル・ネットワーク』(10)のジェシー・アイゼンバーグと『トワイライト』(08)のクリステン・スチュワートが共演したアクションラブコメディー。コンビニ店員のマイクは、恋人フィービーとハワイ旅行を計画するが、パニック障害で空港から引き返し、マリファナを吸って気を取り直すようなダメ男。だがある晩、バイト先で女性客が口にした言葉により封印されていた能力が覚醒し、駐車場にいた暴漢2人をスプーン1本で倒してしまう。動揺するマイクは、実はCIAの極秘計画で訓練され生き残った凄腕エージェントだった。マイクはフィービーを連れて、CIAが計画を闇に葬るため派遣した暗殺部隊から必死に逃げようとするが……。 マリファナ常習のヘタレ男と最強のエージェント、ギャップが際立つ主人公をアイゼンバーグが巧みに演じ分けた。スチュワートも、秘密を抱えた恋人役を好演。監督は、PVとCMでキャリアを築いた新鋭のニマ・ヌリザデ。CIAが極秘裏にマインドコントロールを実験していたとされる「MKウルトラ計画」に着想を得た点では、マット・デイモン主演の『ボーン』シリーズと共通するが、本作は青春コメディーの側面も持つところがユニーク。デンゼル・ワシントン主演『イコライザー』(14)の日用品で敵を殺傷するアイデア、英国発スパイアクション『キングスマン』(14)の過激なバイオレンス描写など、近年の同ジャンルの傑作を彷彿とさせる要素も盛り沢山の痛快娯楽作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『ザ・ウォーク』作品情報 <http://eiga.com/movie/80755/> 『エージェント・ウルトラ』作品情報 <http://eiga.com/movie/80332/>
『スカパー!アダルト放送大賞』紗倉まな・天使もえが襲来! 「くぱぁ」の素晴らしさを激白!!
AV界の“金字塔”として、毎年さまざまなドラマを生む『スカパー!アダルト放送大賞』も、今年で12回目。年々注目度を増すこのイベントは、3月3日に授賞式を迎える。 授賞式まで2カ月を切った中、昨年「女優賞」を受賞した大人気・紗倉まな(さくらまな)ちゃんと、同じく昨年「新人女優賞」を受賞した新星・天使もえ(あまつかもえ)ちゃんが、PRのために各媒体社をキャラバン行脚。日刊サイゾー編集部にも2人そろって来てくれました。 昨年「女優賞」を獲得して、AV界の頂点に立ったといっても過言ではないまなちゃんと、飛ぶ鳥を落とす勢いのもえちゃん……マブしすぎて直視できないほどのカワイさにデレデレになりつつ、“深い”お話を聞いちゃいました!きたよー!
――よろしくお願いします!(悶絶) 紗倉・天使 よろしくお願いします~。 ――お2人は昨年、この『スカパー!アダルト放送大賞』で「女優賞」と「新人女優賞」を受賞されての今回のキャラバンですが、まずは天使さん、昨年の「新人女優賞」受賞で、周りの反応で変わったことはありましたか? 天使 そうですね、私ってもともと何かをがんばるタイプではなかったんですけど、「ここまで一生懸命がんばれる子なんだね」って、褒めていただけるようになりました。ちょうどこの時、「今日のあまつか」っていうタイトルで1日1枚写メを載せて投票を呼びかけていたんですけど、そうしたら、つくばテレビさんが『今日のあまつか』って番組を今でも作ってくれたりとか……。本当に、仕事に大きく影響しましたね。がんばった甲斐がありました!(↑) ――つくばテレビさん以外で、印象深かったこととかは……。 天使 受賞後のイベントで、スカパーで受賞の様子を観たファンの方が「一言、おめでとうが言いたくて」という理由で来てくださったのが続きましたね。それが本当にうれしかったなあ。 ――紗倉さんは、2013年に「新人女優賞」、2015年には「女優賞」を受賞され、名実ともに「トップ女優」になりましたね。どんな1年でしたか? 紗倉 いやあ、運をすべて使い果たしてしまった感が……(笑)。実は、この「女優賞」を取ることが一昨年の目標で、願かけに神社を回ったりしてたんですよ。『スカパー!アダルト放送大賞』はAV大賞の中でも長い歴史がありますし、受賞の瞬間はすごい達成感があって……。それが自分の自信にもなって、どんなことにも臆せずチャレンジできた1年だったと思います。 ――最大の目標を見事手にしたわけですけど、新たな目標などは見つかりましたか? 紗倉 AVで自分を表現するのもすごく好きなんですけど、文章を書くのも好きだし、絵を書くのも好きだし……やりたいことが目白押しです☆ ――なるほど~。ところで、お2人ほど本当に「演技」が上手だなあという印象があるのですがムフフ。 紗倉 もえちゃん、超演技うまいよね~! 天使 (笑)。小説とかマンガを読むのが好きだから、作品の世界とか、役柄にのめりこんじゃうのかもしれませんね。 ――のめりこむんですか(興奮)。 天使 そうですねえ(笑)。紗倉まなちゃん(左)と天使もえちゃん(右)
――紗倉さんから見た天使さんの印象は? どんな後輩ですか? 紗倉 ありきたりだけど、めっちゃくちゃかわいいです! 私が男だったらヤリたいです!(一同爆笑)。新鮮な野菜っていうか、みずみずしいですよねえ。 ――食べてしまいたい、みたいな。 紗倉 まさにそうですね! ――では、天使さんから見た紗倉さんは、どんな先輩ですか? 天使 まなさんはやっぱり、誰よりも「才色兼備」ってイメージがありますね。 紗倉 わ、すごい、やだ、録音しとけばよかった!(笑) 天使 お話してて純粋に楽しいし、頭もいいのにすごく親しみやすいんです。たまに出る冗談がまた面白くて(笑)。アイドルと女優さんをカンペキの両立させてるんですよ! まさに「AV女優の新たな道の開拓者」じゃないかと! ――ベタ褒めですねえ。 紗倉 どうしよう、このあと地震でも起きるのかなあ(照)。 ――息の合ったお2人ですが、ファンの間ではお2人の共演を望む声も多いとか。もし作るなら、どんな作品がいいですか? 紗倉 そうですねえ、さっきもえちゃんと話をしていて、去年は陵辱モノが多かったらしいんですよ。もえちゃんて、見ての通りか弱い感じじゃないですか。だから逆に、私が「ちょっとまなちゃんしっかりして!」ってブッ叩かれるのとか面白そうだなって(笑)。もえちゃんが強気なお姉ちゃんみたいな。 天使 私がお姉ちゃんですか!? 私はまなさんにお姉ちゃんになってほしいです。カワイイ系じゃなくて、昼ドラみたいなドロドロしたやつとかもいいなあ。まなさんに台本も書いて欲しい! 紗倉 (笑)。2人とも顔ちっちゃい!
――いやー楽しいですねえ。ずっと聞いていたい(デレデレ)。では、お2人それぞれの、ご自身のオススメ作品を教えてください。まずは天使さん。 天使 『僕のことを大好き過ぎる僕だけの天使もえ』(エスワン ナンバーワンスタイル)です。いままでの私の総集編だと思っていて、エスワンさんが「これが天使もえだ!」っていう作品と言ってくださったので、オススメです☆ カメラの前でカワイイセリフをいうのは恥ずかしくて苦手なんですけど(笑)。 ――必ずチェックします! では、紗倉さんはどうでしょう。 紗倉 私は『都立しゃぶりながら高校』(SODクリエイト)ですね。学校の机や壁の穴からチ●ポが出てきて、それをスマホをいじるみたいな感覚で真顔で……みたいな。男優さんの顔と体が一切出てこなくて、出るのはイチモツだけ。すごいシュールなシチュエーションなんですよ! ぜひオススメです。 ――純粋に面白い意欲作ですよね(観賞済み)。では最後に、今年の『スカパー!アダルト放送大賞』の「女優賞」の予想とPRをお願いします。 紗倉 ファンの方が熱狂的だなと思うのは、桜井あゆちゃんと、初美沙希ちゃんですね。沙希ちゃんとイベント一緒のこともあるんですけど、「さきっぽー!」ってファンの方が絶叫してるくらいですから(笑)。桜井あゆちゃんは引退するので、ここで受賞する可能性もあるかも。誰が取ってもおかしくない混戦ですので、注目ですね! 天使 私は、小島みなみちゃんが受賞する姿を見たいかなあ。小島さんが「ハピネス!」って叫ぶところが見たいんです(笑)。すごくお世話になってる先輩なので、応援の意味も込めて。人気AV女優が一堂に集まるビッグイベントなので、多くの人に見ていただきたいです!編集部きってのAVマニアT、憧れの2人にはさまれてガチガチに……(何が?)
──今年は「アダルト流行語大賞」という部門が新設されましたね。「おっぱい募金」「くぱぁ」「膣ドン」「NTR(ネトラレ)」「ペニクリ」「パイスラ」「アヘ顔Wピース」「ローレグ」「エロメン」の9つが候補だそうですが、あのー「膣ドン」ってなんですか? 紗倉 あははは! 天使 『壁ドンしてひるんだ隙に膣ドン!』っていう作品ですよね。いきなりやっちゃう系。 紗倉 ドン! グッ! みたいな。 ──わかったようなわからないような……。では、「アダルト流行語大賞」の予想は、お2人とも「膣ドン」で? 天使 個人的には「くぱぁ」が好きですね。 紗倉 「くぱぁ」作品、去年多かったですよね。 天使 「くぱぁ」いいですよね。 紗倉 素晴らしい言葉だと思います。「くぱぁ」。 ──ありがとうございました! 「スカパー!アダルト放送大賞 2016」は、観覧応募と各賞への投票を受付中。観覧応募受付は、2月7日。各賞投票受付は、2月14日までと残りわずかとなっているので、公式サイトにアクセスしてお気に入りの女優に投票しよう。 (取材・文=編集部) ●「スカパー!アダルト放送大賞 2016」 http://adult-awards.com/ニヤニヤをかみ殺すサイゾー代表・揖斐。絶賛発売中の姫乃たま著『潜行』の宣伝も忘れません
“SMAPタブー”に触れて打ち切り!? 伝説のパロディマンガ『平成義民伝説 代表人』
ここ数日、世間はすっかりSMAP騒動一色。多くのマスコミにとって、SMAPやその他のジャニタレのスキャンダルを報じることはタブーであるというのは小学生でも知っている一般常識ですが、マンガの世界ではどうだったのでしょうか? 実は、ジャニーズをイジったマンガとしては、90年代にオッサンが美少年たちを次々と手込めにするホモネタを描いた4コママンガの怪作『ジャニーさん』(データハウス)という作品が存在しましたが、残念ながら、これはあまり一般には知られていません。 しかしその後、2002年にメジャー誌である「週刊少年マガジン」(講談社)で、堂々とSMAPをイジリ倒すという、神をも恐れない所業のマンガが連載されました。その名も『平成義民伝説 代表人』。『幕張』(ジャンプ・コミックス)、『喧嘩商売』(ヤンマガKCスペシャル)などの代表作を持つ木多康昭先生の作品で、単行本が2巻まで刊行されています。 もともと木多先生は、芸能・時事ネタを絡めたブラックジョークや、漫画界の暴露ネタを披露する作風で、発表される作品はことごとく問題作なのですが、かつて誰も触れることのなかった“SMAPタブー”に触れまくっている、この『平成義民伝説 代表人』こそが、木多作品の中で最もデンジャラスな存在といえます。では、一体どんな作品だったのでしょうか? 作品の冒頭は、こんなプロローグから始まります。 「皆様は覚えているだろうか!!? 今や芸能界の頂点に君臨しているIGARASHIが6人組だったことを!!」 「子供の頃からの夢、宇宙飛行士になるためにトップアイドルを辞めた米良君を!!!」 ……どこかで聞いたことがあるエピソードですね。そう、「IGARASHI」は嵐……の兄貴分「SMAP」に、「米良君」は「森君」(め→も、ら→り)と読み替えると、あることに気がつきます。これは、かつてSMAPに所属し、1996年にオートレース選手となるために脱退した6人目のメンバー、森且行の境遇によく似ているのではないかと。本作品はそんな元アイドル森且行……もとい米良勝男(めら・かつお)君が主人公の物語なのです。 ちなみに、国民的アイドルグループ「IGARASHI」の残る5人のメンバーはというと……。 ●小紫太郎(こむらさき・たろう)……愛称はコム太君。メンバーNo.1のイケメンで、SMAPでいうとキムタク的な存在です。 ●大井健次郎(おおい・けんじろう)……IGARASHIのリーダー。大井→中井→中居……ということで、中居君的ポジションと思われます。 ●六角武(ろっかく・たけし)……顔がホームベースのように六角形に角張っているが、性格は「良い人」。もちろん、草なぎ君でしょう。 ●菅野隊員(かんの・たいいん)……過去にトラブルを起こして謹慎していたが、復帰した過去を持つ。昔、菅野美穂と付き合っていた稲垣君に相当? ●ドク・サバラス……なぜか、メンバー唯一の外国人名。そういえば香取君が、『ドク』というフジテレビ系ドラマで主演していましたね。 という感じになっております。この時点で、固有名詞を巧みにカモフラージュしているようで全然隠しきれていない、かなり危険な作品であることはおわかりいただけると思います。 ストーリーはこんな感じです。人気絶頂から一気に転落した「ホタル源氏」のようになりたくないと、「IGARASHI」を脱退し、宇宙飛行士を目指すことになった米良君。「IGARASHI」を辞めたせいで彼女にフラれたりと散々でしたが、いつか見返してやるとばかりに、めげずに宇宙飛行士の訓練を続けます。しかし、ある日の訓練中、テレビをつけるとこんなニュースが……。 「今回、IGARASHIが日本製のスペースシャトルのパイロットに選ばれたことを発表します!!」 なんと、訓練など一切なしで、米良君より先にあっさりスペースシャトルに搭乗する権利を得てしまったIGARASHIメンバー。さらに、インタビューでリーダーの大井君が衝撃の発言。 「米良? もともとIGARASHIは5人組ですが?」 完全に存在をなかったことにされています。 怒り狂った森君……もとい米良君は、SMAP……もといIGARASHIのメンバーが搭乗するスペースシャトルに日本刀を持って忍び込み、ハイジャックならぬスペースジャックを行います。そして、スペースシャトル内は生き残るためにメンバー同士が殺し合う、バトルロワイヤル状態になっていきます。相当ムチャクチャなストーリーですね。 そう、ストーリー自体はハナから破綻しており、いかに作品中にブラックジョークをブチ込むかという一点に注がれたような作品なのです。 「IGARASHIのSはスポーツのSだ!」というセリフがあったり、菅野隊員が不祥事を起こした時の謝罪会見のシーンが描かれたり、六角の顔を引き合いに出して「人は、このような骨格を愛することはできない」って言ってみたり、「元ホタル源氏の星川君」なる人物が登場したり……明らかに、SMAPやジャニーズを小バカにする、センスあふれるパロディが満載です。 ただし、単行本2巻以降は「大人の事情」により、IGARASHIメンバーの登場回数が激減。SMAPと全然関係ない芸能ネタやほかの漫画家に対する愚痴(『GTO』藤沢とおる先生の休載が多すぎるとか)、マガジン編集部の暴露ネタだらけのマンガとなり、当初のコンセプトとは完全に別物になってしまいます。 そして、最後は作者の木多先生がなぜか訴訟を起こされ、裁判所に出頭するシーンが描かれます。そして、打ち切り同然で終了してしまうという謎のオチ。まあ、こんな内容の作品ですから、当然といえば当然なのかもしれませんが。 とにかく、ほぼ全編にわたってちりばめられているパロディの元ネタを調べて、ニヤニヤしながら読むというのがこの作品の正しい楽しみ方であり、何よりもマンガ界で唯一、SMAPをバカにした「世界に一つだけのあだ花」であるという意味で、歴史的意義のあるマンガといえるでしょう。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)『平成義民伝説 代表人』(講談社)
捕鯨船エセックス号を巨大な“怪物”が襲う! 名作小説の元になった実話を映画化『白鯨との闘い』
今週取り上げる最新映画は、故・森田芳光監督ゆかりのキャスト・スタッフが豪華に集う人情コメディーと、小説『白鯨』のモデルになった19世紀の実話を最新の視覚効果と3D映像で蘇らせた海洋活劇。新人監督による心温まる娯楽作と、ハリウッドの名匠がタブーに挑む衝撃作という点でも、好対照の2作品だ(いずれも1月16日公開)。 『の・ようなもの のようなもの』は、森田芳光監督のデビュー作『の・ようなもの』(1981)の35年後を描くオリジナル作品。落語家一門の出船亭で修行中の志ん田(しんでん)は、師匠から以前在籍していた志ん魚(しんとと)を探すよう命じられる。あちこち訪ね歩いてようやく見つけた志ん魚は、落語とは無縁の中年男になっていた。なんとか復帰させたい師匠の指示により、志ん田は志ん魚と共同生活を始めることになる。 森田作品の多くで助監督や監督補を務めた杉山泰一が、本作で監督デビューを果たした。森田監督の遺作「僕達急行 A列車で行こう」でも主演した松山ケンイチが志ん田に扮し、徐々に上達する落語とユーモラスな顔芸で楽しませる。『の・ようなもの』に出演した伊藤克信、尾藤イサオ、でんでんらが同じ役柄で登場するほか、森田作品ゆかりの北川景子、鈴木京香、ピエール瀧、塚地武雅ら豪華キャストが集結し、同窓会のような懐かしさも。スクリーンに映らないスタッフも含め、森田監督への変わらぬ愛情が心地よく伝わる好作で、きっと鑑賞後に過去の森田作品を改めて見たくなるはずだ。 『白鯨との闘い』(2D/3D上映)は、『アポロ13』(95)、『ビューティフル・マインド』(2002)のロン・ハワード監督が、名作小説『白鯨』の基になった史実を映画化したサバイバル巨編。1819年、捕鯨船エセックス号に乗り込んだ一等航海士オーウェンと21人の仲間たちは、米東岸沖から南下してホーン岬をまわり、はるか太平洋を目指す。クジラの群れを見つけた歓喜もつかの間、白い巨大マッコウクジラに体当たりされた船は沈没してしまう。わずかな食料と水を3艘のボートに移して脱出した乗組員らは、さらに過酷な漂流生活を余儀なくされる。 主人公のオーウェン役は、『ラッシュ プライドと友情』(13)からハワード監督と再タッグとなるクリス・ヘムズワース。自然の猛威を象徴する白鯨がCGでリアルに描写され、オーウェンと白鯨のスリリングな死闘が中盤のハイライトとなるが、そこからさらに壮絶なサバイバル劇が展開する。3D映像では、嵐との遭遇や捕鯨の場面などが臨場感たっぷりに描かれるほか、小物のクローズアップや超ローアングルからの撮影などで変化をつける工夫が効いている。欧米では過去の蛮行とされる捕鯨や、小説で描かれなかったタブーに真正面から取り組む、ハワード監督の変わらぬ挑戦と冒険に脱帽だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『の・ようなもの のようなもの』作品情報 <http://eiga.com/movie/81041/> 『白鯨との闘い』作品情報 <http://eiga.com/movie/79815/>(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED.
“それ”はジワジワと近づいてくる……ファン必見の新感覚ホラー『イット・フォローズ』
今週取り上げる最新映画は、青春映画の名手・行定勲監督が大胆な仕掛けで観客を驚かせる衝撃作と、斬新な設定で恐怖がジワジワ募る米国製ホラー。いずれもジャンルをクロスオーバーさせて味わいを深めた、創意工夫が光る2作品だ。 『ピンクとグレー』(1月9日公開)は、アイドルグループNEWSの加藤シゲアキが発表した小説を、『GO』(2001年)、『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年)の行定勲監督が映画化した青春サスペンスドラマ。人気俳優の蓮吾が、自宅で首を吊った姿で見つかる。第一発見者は、幼い頃からの親友で無名俳優の大貴。遺書に導かれ、蓮吾の伝記を発表して一躍時の人となるが、親友の死で得た名声に苦しむ大貴は、次第に自分を見失っていく。 脚本を担当した若手劇作家・蓬莱竜太と行定監督が、原作を大胆に改変。幕開けから62分後に「世界が一変する仕掛け」を組み込んだ。Hey!Say!JUMPの中島裕翔が映画初出演・初主演。菅田将暉、夏帆、マキタスポーツ、柳楽優弥らが脇を固める。前半の明示的な伏線や「ある種の違和感」から、仕掛けの予想がつく観客も多いだろうが、構造が明らかになる後半もストーリーの重層的な展開で飽きさせない。真相を知ったあとで二度観したくなる人が続出しそうな、巧みに構成された意欲作だ。 『イット・フォローズ』(公開中、R15+指定)は、長編デビュー作がカンヌ映画祭批評家週間で上映された新鋭、デビッド・ロバート・ミッチェル監督の第2作となる新感覚ホラー。19歳の女子大生ジェイは、ある男とセックスをしたことで、「それ(it)」をうつされてしまう。「それ」はうつされた者だけに見える存在で、ゆっくり歩いて近づき、時折姿を変える。捕まると必ず殺されるため、その前に誰かにうつさなければならないが、うつした相手が死ぬとまた自分に戻ってくる。ジェイは妹やその友達の助けを借りながら、追いかけてくる「それ」から逃げようとするが……。 ミッチェル監督が子ども時代の悪夢から着想を得たという、「それ」の設定が抜群にユニーク。スピードは遅く、普通の人の姿をしていて、夜に限らず白昼でもおかまいなしに現れる。設定だけ並べても大して怖くなさそうだが、10代後半の性交渉(および性感染症)に対する恐れ、他者との関係をめぐる漠然とした不安を重ね合わせて、青春の切なさややるせなさも加味した極上のサイコホラーに仕上がっているのだ。監督の出身地でもあるデトロイト市の、打ち捨てられ、時の流れから取り残されたような郊外の町並みや、無機質なシンセサイザーのBGMも、独特の世界観に貢献。J・カーペンター、Q・タランティーノ、E・ロスら名だたる個性派監督からも絶賛された本作は、ホラー好きなら必見、ほかにも一風変わった作品に出合いたい映画ファンにオススメの1本だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『ピンクとグレー』作品情報 <http://eiga.com/movie/81653/> 『イット・フォローズ』作品情報 <http://eiga.com/movie/82021/>(c)2014 It Will Follow. Inc./配給: ポニーキャニオン












