ある日“イスラム過激派”になった──報道の裏にあるテロリストの素顔とは!? 『僕がイスラム戦士になってシリアで戦ったわけ』

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『僕がイスラム戦士になってシリアで戦ったわけ』』(金曜日)
 日本人ジャーナリスト・後藤健二さんがイスラム国に殺害されるショッキングな事件から、ちょうど1年が過ぎた。“イスラム過激派”。2001年のアメリカ同時多発テロ事件以降、日常的に目にする単語だが、一体彼らはどんな組織で、どんな人たちなのか? 私たちは知らない。  本書『僕がイスラム戦士になってシリアで戦ったわけ』(金曜日)の著者、鵜澤佳史(27)氏は“イスラム過激派”と呼ばれる人々と寝食を共にし、戦った人物。残虐性のみ取り沙汰される彼らの素顔や、内戦地シリアでの生活など、体験談を中心にした300ページにわたるルポをしたためた。  鵜澤氏がシリアに入ったのは、13年4月のこと。当時のシリアは、チュニジアから始まり中東各国に急速に広がっていった「アラブの春」を経て、現在も続くシリア政府軍と反体制派との戦いの真っ只中だった。  自ら志願して反体制派に加わった鵜澤氏は、指導者の元でイスラム教を熱心に勉強した。イスラム教徒でないと入隊できないうえ、彼らは、人々のために戦っているのではなく彼らの信奉する神のために戦っているため、イスラム教を理解することから始めなくてはならなかった。ムスリム(イスラム教信者)たちと共に、1日5回の礼拝をこなし、ラマダン(断食月)には水の一滴も飲まない生活を送った。そんな生活の中で、鵜澤氏は自分の中にあった彼らに対する「野蛮で残虐なテロリスト」というイメージが、「仲間思いで心温かい人たち」へと変わっていたことに気付く。  それが決定的となった出来事が起こる。シリアの都市、アレッポにある刑務所を政府軍から奪う作戦の際のこと。鵜澤氏は砲弾の攻撃に遭い、脚を負傷してしまう。身動きができないまま、1人戦場に取り残された。死を覚悟したが、銃弾の飛び交う中、決死の覚悟で鵜澤氏を助けだしたのは、他でもない“イスラム過激派”の彼らだった。  先の戦闘で受けた攻撃が原因で、眼の奥に銃弾の破片が埋没していることが発覚し、手術のために日本に帰国することになった鵜澤氏。この時も「帰国後の生活が大変だろうから」と多額の金銭を渡してくれた。たった3カ月の“イスラム過激派”としての生活だったが、鵜澤氏は彼らの本当の姿を伝えたいと強く感じたという。  本書を読み進めていくと、国内で報道される“イスラム過激派”と、鵜澤氏が目の当たりにした姿が大きく異なることに驚く。本書にもあるように、彼らは決して自爆攻撃を強要することはなく、戦闘も参加したい人が参加すればいいという程度だったのだという。  シリア騒乱での死者数は11万人以上といわれ、史上最悪の混乱となっている。幸い、日本国内では“イスラム過激派”とみられる集団による事件は、まだ起きていない。  日本人には、遠い国の出来事ではあるが、現地でいったい何が起きているのか、どんな悲惨な現状が繰り広げられているかを知るきっかけになる一冊である。

【PR まこプロ】めぐりあいアキバ! 2/28(日) ベルサール秋葉原でガンダムラストシューティングを目撃せよ!

フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-
 ※この記事はまこプロによるPR記事です。  実寸大のリアルなガンダムをお台場で見たことがある人は多いと思うが、大破寸前のリアルなガンダムを見たことある人はそうそういないだろう。ガンオタではなくても、一度は目にしたことがありそうなガンダム最後の雄姿「ラストシューティング」を、パチンコ業界を牽引するSANKYOが2月28日のベルサール秋葉原にて開催される、「フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-」試打会にて完全再現する。  実はこのガンダム像は、1月の「フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-」の新機種発表会でお披露目されたものだ。被弾したボディの細部までを完全に再現した完成度のあまりの高さにSANKYO の「-LAST SHOOTING-」にかける熱い思いがこめられている。  この試打会では前述のガンダムが見られるのと他に、ガンダム芸人でおなじみの土田晃之氏のゲスト出演が予定されていて、パチンコファンのみならずガンダムファンも楽しめるイベントとなっている。ちなみにプロモーションムービーもあるのだが、こちらは完全新作画でギレンの名演である「立てよ!国民」のシーンを「打てよ!国民!」に変えて制作されている。言うまでもなくギレンの声は銀河万丈氏ご本人だ。 ●フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-が示すニュータイプパチンコ
フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-
 2015年11月からパチンコの大当たり確率が1/400に近いMAX機と呼ばれる台の開発が、「差玉が10万発(等価で40万円)を越えるデータが見受けられ、とても娯楽とは言えない」という警察庁の判断で出来なくなった。  では「フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-」はどうか? 同機は2015年11月以降に検定を通過した新内規のパチンコ機であり、大当たり確率は現行開発できる1/320ギリギリを攻めた1/319.7 (確率変動中:1/56.9) となっている。一見、現行MAX機に対して弱体化している印象を受けるが、ST状態(100回転の確変状態)の継続率は83%を誇っている。ということはメビウスの輪から抜け出せないくらい連チャンする可能性を秘めていて、まさにパチンコ界のニュータイプといえる存在だ。  なお「フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-」の最新情報は公式ツイッターで順次配信中だ。そこではなぜか「赤い彗星」のシャアにかけたカニのプレゼントなど、ユニークなキャンペーンも展開中である。  Good luck.Good life.をスローガンに掲げ、新内規に変わっても前向きに業界を牽引するSANKYOの「フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-」の試打会を見逃すな! 打てよ国民! (まこプロ) 【フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-
フィーバー機動戦士ガンダム-LAST SHOOTING-
日時:2016年2月28日12:00-16:00(予定) 場所:ベルサール秋葉原 ※入場無料公式HP公式Twitter公式PVギレン演説『ジャンジャンバリバリ』篇

CGじゃない! キアヌ・リーブス主演の名作が、超絶スタントてんこ盛りで新登場!『X-ミッション』

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(C)2015WARNER BROS .ENTERTAINMENT INC.
 今週取り上げる最新映画は、エクストリームスポーツのリアルな過激スタントをストーリーに組み込んだクライムアクションと、米沿岸警備隊史上最も勇敢な救出ミッションを描くスペクタクル活劇。いずれも最先端の3D映像により、アクションシーンの体感度を高めているのがポイントだ。  『X-ミッション』(2月20日公開、2D/3D上映)は、キアヌ・リーブスが主演した1991年の名作『ハートブルー』をリメイクしたサスペンスアクション。元アスリートのFBI捜査官ユタは、謎のエクストリームスポーツ集団による連続強盗事件を追い、カリスマ的アスリートのボーディが率いるグループに潜入する。信念を持ち命懸けのトライアルに挑むメンバーたちと行動を共にするうち、ユタとボーディとの間に友情と信頼が芽生えてゆく。  20メートルを超す大波でのサーフィン、ウイングスーツによる超高速滑空、急峻な雪山でのスノーボード、超難所を攻めるモトクロスやロッククライミングなど、本物のトップアスリートたちが敢行したスタントを、CGを使わずに撮影した点が本作最大の売り。『ワイルド・スピード』(2001)で撮影監督を務め、長編監督作としては2作目となるエリクソン・コアは、アスリートたちの高速パフォーマンスに併走するカメラワークと3D映像で、雄厳な自然に対峙するエクストリームスポーツを疑似体験させてくれる。キアヌ主演のオリジナルに比べるとドラマ要素が弱いものの、超絶スタントの興奮と爽快感を味わいたいならオススメだ。  『ザ・ブリザード』(2月27日公開、2D/3D上映)は、真冬の米東海岸沖で実際に起きた海難事故を題材に、『スター・トレック』シリーズのクリス・パイン主演で映画化したディザスターアクション。1952年2月、マサチューセッツ州沖を史上最大級の暴風雪が襲い、大型タンカーのペンドルトン号が真っ二つに裂けてしまう。機関士のシーバート(ケイシー・アフレック)ら32人が沈没を防ごうと懸命に作業している頃、沿岸警備隊も事故を察知。若き救助隊員バーニー(パイン)ら4人は、定員12名の小型救助艇で荒海へ乗り出し、決死の救出に挑む。  救助に向かう側のパインと遭難タンカーで指揮するアフレックが、極限状況下で冷静な判断力と勇気を保ち続けるプロフェッショナルをそれぞれ熱演。『ミリオンダラー・アーム』(14年)のクレイグ・ギレスピー監督は、造船所跡に作られた巨大タンクに水を張っての実写撮影と、CG映像を巧みに融合させ、荒れ狂う洋上での救出劇をダイナミックに描き上げた。3D上映で観賞すると、荒波が迫り来る様子や巨大タンカー内での奮闘ぶりをリアルに体感でき、奇跡の救出劇が一層感動的に映るはずだ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『X-ミッション』作品情報 <http://eiga.com/movie/81637/> 『ザ・ブリザード』作品情報 <http://eiga.com/movie/83445/>

嗚呼、清原……『かっとばせ!キヨハラくん』で、かつてのプロ野球界のアイドルの全盛期を振り返る

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『かっとばせ!キヨハラくん』、『モリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくん』(小学館)
 ご存じの通り、清原和博が覚せい剤取締法違反容疑で逮捕された事件は、日本列島に衝撃を与えています。10代の若者からすれば「元野球選手かなんか知らないけど、ヤクザみたいなオジサンが逮捕されて、なんでこんな大騒ぎになってるの?」という感じかもしれません。しかし、我々アラフォー世代にとっては、清原といえば、野球に興味があるなしにかかわらず、誰でも知っている国民的大スターだったわけです。  そんな清原の全盛期の人気ぶりを象徴するのが、なんといっても、マンガ『かっとばせ!キヨハラくん』でしょう。1987年から94年まで「月刊コロコロコミック」(小学館)で、単行本にして15巻分の長期連載がなされていたのですから、当時の子どもたちへの影響力は絶大だったといえます。今でいうピカチュウ、ジバニャンと同等レベルの知名度といって差し支えないでしょう。  連載がスタートした87年ごろといえば、清原がシャブではなくホームランを打ちまくっていた時代。くしくもお笑い界では、マーシーこと田代まさしが「ギャグの王様」「ダジャレの帝王」と呼ばれてバラエティ番組を席巻し、アイドル界ではのりピーこと酒井法子が「のりピー語」をひっさげて衝撃のデビュー。歌謡界ではCHAGE and ASKAが「恋人はワイン色」「LOVE SONG」「SAY YES」を立て続けにヒットさせていました。 『かっとばせ!キヨハラくん』の主人公は、西部ライアンズの四番打者キヨハラ。第1話からファンの女の子にキャーキャー言われているシーンが、当時のアイドル的人気を物語っています。そのほかには、モリ監督、ピッチャーのクドー、イシゲ、アキヤマといったライアンズの面々や、パ・リーグ、セ・リーグの有名選手たちが登場し、毎回彼らとのドタバタギャグが繰り広げられます。内容はといえば、子どもたちが好きそうな下ネタあり、ダジャレありの、くっだらないギャグのオンパレードです。  たとえば、先発ピッチャーに悩むモリ監督が、クドーやワタナベに打診したところ拒否されてしまいます。そこで、「代わりにやりましょうか?」とキヨハラ。おもむろにモリ監督の頭をシャンプーしだします。「洗髪=センパツ」というわけです。  ほかにも、モリ監督が出したスクイズのサインを見てウグイスと間違えて「ホーホケキョ」と言ってみたり……。クドーの投げた牽制球がキヨハラの股間に当たり、チ●チンが膨れ上がったり……。いかにも小学生が大好きそうなギャグなのですが、大人が読んでも十分笑えるクオリティです。  そしてなんといっても、学生時代からのライバルである東京カイアンツのクワタの存在が作品の面白さを際立たせています。天然ボケで肉体派のキヨハラと、根暗でネガティブなクワタの掛け合いがバツグンに面白いのです。  クワタのキャラクターはかなりエキセントリックで、五寸釘を藁人形に打ち込んだり、いつもブツブツ言ってる不気味なキャラで、助っ人外国人や審判に変装したり、時にはウグイス嬢に女装するなど、ありとあらゆる手段でキヨハラの練習や試合を妨害します。主役のキヨハラを食うレベルの活躍で、作品中で『がんばれ!クワタくん』というスピンオフ作品を生んだほどでした。  このように、子ども向けギャグマンガの王道を行く『かっとばせ!キヨハラくん』でしたが94年に一旦終了。その後は、松井秀喜をモデルとした後継作品『ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくん』がしばらく連載されます。しかし、2003年に松井が大リーグ入りしたタイミングで、巨人に移籍した清原がモデルの『モリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくん』が開始されます。  ……しかし、この『モリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくん』がエライことになっていました。タイトルの通り、番長キャラに変貌した主人公キヨハラ。モトキをはじめとした舎弟たちを引き連れ、丸刈り、関西弁、目は据わっており、やたら裸になって筋肉を誇示します。ハラ監督やヨシノブ(高橋由伸)をはじめとした気の弱そうなキャラクターたちを恫喝して笑いを取るギャグが多く、『かっとばせ!』時代とは完全に別のキャラクターとなっているのです。ある意味、リアルさを追求した結果といえなくもないですが、これはこれでちゃんと笑えるギャグになっているところが、作者・河合じゅんじ先生の職人技なのかもしれません。  まるで何かのクスリをやっているのではないかと思うほどのキャラの変貌ぶりで、バイオレントに暴れまくるキヨハラですが、ここでもクワタが、暴走するキヨハラのストッパー役として登場。2人の掛け合いで、見事にギャグが成立しています。まるで長年連れ添った夫婦のようなコンビネーション。光と影、陰と陽。やはり、この2人は切っても切れない関係なのです。リアルの清原も、釈放されてイチから人生をやり直すとしたら、やっぱり一番頼りになる存在は桑田なのかもしれませんね。  ちなみに、14年から刊行されている大人版のコロコロコミックである「コロコロアニキ」では、番長時代ではないほうのマンガ『かっとばせ!キヨハラくん』が復活し、好評連載されていました。そして今回の事件を受けてその存続が心配されていましたが、残念ながら「諸般の事情」により休載が発表されています。一応「休載」ですから、いつの日か復活するかも……。そんなわずかな望みにかけて、再開を待ちたいと思います。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

一瞬の判断ミスが命取りに! 第一線の新聞記者が明かす、危険地帯の取材裏『戦場記者』

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『戦場記者 「危険地取材」サバイバル秘話』(朝日新書)
 約1年前の1月30日。イスラム国(IS)に拘束され、殺害予告を受けたジャーナリスト後藤健二さんの“その時”が近づき、日本中の人々がその行方をかたずをのんで見守っていた。  同日午前0時40分。朝日新聞東京本社に、外務省幹部から極めて異例ともいえる一本の電話が入った。 「シリアに、おたくのイスタンブール支局長が入っていますね。とても危険なんです。大臣の指示です。即刻出国してください」 「具体的に脅威が高まっているという情報があるのなら、教えてほしい」 「2人が誘拐されている。3人目を出したくはないんですよ。3人目の拘束者が出たら、どうするおつもりなんですか。3人目の邦人保護なんてできませんよ」  緊迫したやりとりを行ったのは、朝日新聞国際報道部長であり、『戦場記者 「危険地取材」サバイバル秘話』(朝日新書)の著者の石合力氏。およそ20年もの海外取材経験を持つベテラン記者で、2011年に中東特派員として派遣されたときには、“アラブの春”と重なり、エジプトやリビアで政権崩壊にも立ち会った。上記の外務省幹部とのやりとりの返事に、自身の経験から相当高い確率で安全を確保しながら取材できる地域がある、と考え「安全に最大限注意した上で、取材を続ける」と返答した。すると、ほかの新聞や週刊誌からは、シリアで取材を続ける朝日新聞に疑問を投げかけるような記事が出た。  外務省の邦人保護関係者の間に「冒険ダン吉」という言葉がある。それは戦前の人気漫画のタイトルで、南の島の王となった勇気ある少年ダン吉が、機転を利かせてさまざまな敵に打ち勝っていくという内容だ。「危険を顧みず、現場に飛び込むジャーナリスト」の隠語として使われているという。  そんな“ダン吉”とまでいかなくとも、危険地で取材している記者たちが、一体どうやって安全を確保し、取材しているのか? 本書では、爆弾テロが発生したらどのタイミングで近づくのか、どんな場所に宿泊するのか、催涙弾を受けたらどうするのか、危機や紛争に記者とともに現場に飛び込む“戦場運転手”の存在など、危険地取材の舞台裏が、石合氏の身に起きた実際の体験をもとに短いエッセー形式でつづられている。また、戦地で携帯は使えるのか、一日の滞在費用の相場など、一般人の素朴な疑問に対して、戦場の常識があまりにもぶっ飛んでいて、安全を確保することがどれだけ大変なのかを痛感させられる。場所はエジプト、シリア、レバノン、イラク、パレスチナ自治区など、日本人にはあまりなじみのない中東での経験がベースとなっているので、読んでいるうちに、中東情勢が難解ながらも少しずつわかってくる。  危険地に行かないから関係ない――。このご時世、なかなかそうも言っていられない。フランス・パリで起きた同時多発テロのように、いつ先進国の観光地がテロの現場となり、自分たちの身に危険が降りかかってくるかわからない。まして、4年後には東京オリンピックが開催されるのだ。今こそ、サバイバルスキルを上げておくべき、なのかもしれない。 (文=上浦未来) ●いしあい・つとむ 1964年、大阪市生まれ。朝日新聞国際報道部長。88年入社。カイロ、ワシントン両特派員、政治部次長、国際報道部次長、GLOBE副編集長、中東アフリカ総局長などを歴任。フセイン政権下のイラクや“アラブの春”に揺れる中東、アフリカ各国を現地取材。2013年6月から現職。同志社大学一神教学際研究センター共同研究員。

ロボット兵器と美少女が織りなすダークファンタジー『ライチ☆光クラブ』

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(C)2016「ライチ☆光クラブ」
 今週取り上げる最新映画は、女性同士の美しい恋愛を描いたアカデミー賞候補作と、退廃的な世界観にボーイズラブ要素も添えた異色の和製エンターテインメント。社会通念や価値観の変化に伴い、メジャー配給映画でも多様な愛の形を描く作品が増えてきたのは喜ばしい傾向だ。 『キャロル』(公開中)は、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの共演で女性同士の恋を描く恋愛ドラマ。同性愛への偏見が強かった1950年代のニューヨークで、デパート店員のアルバイトをしながら写真家を夢見るテレーズ(マーラ)は、来店したエレガントな女性キャロル(ブランシェット)を一目見て魅了されてしまう。キャロルが店に忘れた手袋をテレーズが郵送したことがきっかけで、2人は会食し、お互いを知るように。キャロルは別居中の夫ハージと離婚協議を進めていたが、ハージは娘の親権を盾に離婚を阻止しようとする。娘との面会を禁止されたキャロルは、テレーズを訪ね、車での小旅行に誘う。  米女性作家パトリシア・ハイスミスが52年に別名義で発表しベストセラーになった原作小説を、『アイム・ノット・ゼア』(2008年)で“6人のボブ・ディラン”の1人としてブランシェットを起用していたトッド・ヘインズ監督が映画化。ブランシェットが優雅な生活を送りつつも真実の愛を渇望する年上の主人公を、マーラが初めて同性との恋に落ち揺れながら成長していく女性を、それぞれ繊細な表情や視線の表現で熱演した。今月末発表のアカデミー賞ではブランシェットが主演女優賞、マーラが助演女優賞にそれぞれノミネートされ、さらにマーラは本作で『カンヌ国際映画祭』主演女優賞を受賞。美人女優2人の渾身の演技に加え、当時を再現したファッションや美術、フィルムの粒状感を生かした映像もひたすら美しく、熱く切ない恋の陶酔を一層引き立たせている。 『ライチ☆光クラブ』(2月13日公開、R15+指定)は、『先生を流産させる会』(11年)の内藤瑛亮監督、『日々ロック』(14年)の野村周平主演で描くダークファンタジー。黒い煙と油で汚れた蛍光町の廃工場に、夜な夜な集う9人の男子中学生がいた。この秘密基地「光クラブ」を最初に作ったのはタミヤ(野村)ら3人だったが、今ではゼラ(古川雄輝)が突出したカリスマ性と頭脳で他の8人を支配。少年たちは醜い大人を否定し、永遠に美しい世界を実現するため、ロボット兵器「ライチ」を完成させる。だが、ライチを使い美少女カノン(中条あやみ)を拉致したことで、光クラブ内に渦巻く愛憎が暴走し始める。  原作は、劇団「東京グランギニョル」が1985年に上演した舞台をベースに、古屋兎丸が2005年に漫画化した同名作品。センセーショナルかつ過激な作風で知られる内藤監督は、フェティシズムと狂気の際どい狭間に、スチームパンク風の美術、バイオレンスとスプラッターの要素も加味して、独特の世界観を創り上げた。難役のゼラを説得力十分に演じた古川雄輝の存在感、映画初出演・主演『劇場版 零 ゼロ』に続き2作目の映画出演となる中条あやみの清冽な美貌が印象に残る。ボーイズラブの描写やユーモラスな要素もあって、万人向けではないがコアなファンから熱烈な支持を集めそうな怪作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『キャロル』作品情報 <http://eiga.com/movie/81816/> 『ライチ☆光クラブ』作品情報 <http://eiga.com/movie/82615/>

ロボット兵器と美少女が織りなすダークファンタジー『ライチ☆光クラブ』

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(C)2016「ライチ☆光クラブ」
 今週取り上げる最新映画は、女性同士の美しい恋愛を描いたアカデミー賞候補作と、退廃的な世界観にボーイズラブ要素も添えた異色の和製エンターテインメント。社会通念や価値観の変化に伴い、メジャー配給映画でも多様な愛の形を描く作品が増えてきたのは喜ばしい傾向だ。 『キャロル』(公開中)は、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの共演で女性同士の恋を描く恋愛ドラマ。同性愛への偏見が強かった1950年代のニューヨークで、デパート店員のアルバイトをしながら写真家を夢見るテレーズ(マーラ)は、来店したエレガントな女性キャロル(ブランシェット)を一目見て魅了されてしまう。キャロルが店に忘れた手袋をテレーズが郵送したことがきっかけで、2人は会食し、お互いを知るように。キャロルは別居中の夫ハージと離婚協議を進めていたが、ハージは娘の親権を盾に離婚を阻止しようとする。娘との面会を禁止されたキャロルは、テレーズを訪ね、車での小旅行に誘う。  米女性作家パトリシア・ハイスミスが52年に別名義で発表しベストセラーになった原作小説を、『アイム・ノット・ゼア』(2008年)で“6人のボブ・ディラン”の1人としてブランシェットを起用していたトッド・ヘインズ監督が映画化。ブランシェットが優雅な生活を送りつつも真実の愛を渇望する年上の主人公を、マーラが初めて同性との恋に落ち揺れながら成長していく女性を、それぞれ繊細な表情や視線の表現で熱演した。今月末発表のアカデミー賞ではブランシェットが主演女優賞、マーラが助演女優賞にそれぞれノミネートされ、さらにマーラは本作で『カンヌ国際映画祭』主演女優賞を受賞。美人女優2人の渾身の演技に加え、当時を再現したファッションや美術、フィルムの粒状感を生かした映像もひたすら美しく、熱く切ない恋の陶酔を一層引き立たせている。 『ライチ☆光クラブ』(2月13日公開、R15+指定)は、『先生を流産させる会』(11年)の内藤瑛亮監督、『日々ロック』(14年)の野村周平主演で描くダークファンタジー。黒い煙と油で汚れた蛍光町の廃工場に、夜な夜な集う9人の男子中学生がいた。この秘密基地「光クラブ」を最初に作ったのはタミヤ(野村)ら3人だったが、今ではゼラ(古川雄輝)が突出したカリスマ性と頭脳で他の8人を支配。少年たちは醜い大人を否定し、永遠に美しい世界を実現するため、ロボット兵器「ライチ」を完成させる。だが、ライチを使い美少女カノン(中条あやみ)を拉致したことで、光クラブ内に渦巻く愛憎が暴走し始める。  原作は、劇団「東京グランギニョル」が1985年に上演した舞台をベースに、古屋兎丸が2005年に漫画化した同名作品。センセーショナルかつ過激な作風で知られる内藤監督は、フェティシズムと狂気の際どい狭間に、スチームパンク風の美術、バイオレンスとスプラッターの要素も加味して、独特の世界観を創り上げた。難役のゼラを説得力十分に演じた古川雄輝の存在感、映画初出演・主演『劇場版 零 ゼロ』に続き2作目の映画出演となる中条あやみの清冽な美貌が印象に残る。ボーイズラブの描写やユーモラスな要素もあって、万人向けではないがコアなファンから熱烈な支持を集めそうな怪作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『キャロル』作品情報 <http://eiga.com/movie/81816/> 『ライチ☆光クラブ』作品情報 <http://eiga.com/movie/82615/>

火星にたった1人──前人未到のサバイバルをマット・デイモンが熱演! アカデミー賞ノミネート作『オデッセイ』

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(C) 2015 Twentieth Century Fox Film
 今週取り上げる最新映画は、火星に取り残された探査隊員のサバイバルを描くSF作品と、2011年に他界したアップル創業者の実像に迫る伝記ドラマ。いずれも今年の第88回アカデミー賞(2月28日発表)に複数部門でノミネートされている傑作だ。 『オデッセイ』(2月5日公開、2D/3D上映)は、リドリー・スコット監督、マット・デイモン主演のSF超大作。火星での有人探査中、探査船を倒しかねない大嵐に見舞われNASAの宇宙飛行士ワトニーが吹き飛ばされてしまう。死亡したと推測されるワトニーを残し、仲間たちは探査船を緊急発進させ、火星を去る。だが、負傷しながらも生きていたワトニーは、酸素も水も食料も乏しく、通信手段もない絶望的な状況で、4年後の次回探査まで生き延びようと決意。あらゆる手段を講じてゆく。  原作は、プログラマー出身のアンディ・ウィアーがネット上で連載し、電子書籍化されてベストセラーになった『火星の人』。脚本は、監督デビュー作『キャビン』(2013)でホラーの約束事を脱構築してマニアをうならせたドリュー・ゴダードが担当した。『エイリアン』(1979)、『プロメテウス』(2012)でも宇宙SFを手がけてきたスコット監督は、火星地表の雄大な景観、探査基地でのサバイバル生活、手に汗握る火星脱出の試みなどを、3D映像で臨場感たっぷりに描き出す。デイモンが演じるワトニーは、豊富な知見と創意工夫で難題を乗り切るポジティブさや、記録用ビデオにジョークを交えて自分語りするユーモアで、観客も一緒にサバイバルを体験している気分にさせてくれる。アカデミー賞には作品賞をはじめ7部門でノミネートされた。 『スティーブ・ジョブズ』(2月12日公開)は、アップル創業者スティーブ・ジョブズの生き様を、3回の製品発表会の舞台裏を通じて描くドラマ。現在のパソコンの原型となった1984年のMacintosh。アップルを追放された後に再起を賭けた88年のNeXT Cube。復活を印象づけた98年のiMac。注目を集める発表会本番の直前、ジョブズ(マイケル・ファスベンダー)は控え室や通路、舞台を忙しく移動しながら、問題を急いで解決しろと部下を脅し、同僚や元恋人と言い争い、側近のジョアンナ(ケイト・ウィンスレット)に不満をぶちまける。元恋人との間に生まれた娘リサも舞台裏に現れるが、ジョブズは父親としてうまく接することができない。  作家ウォルター・アイザックソンがジョブズ本人のほか、多くの関係者に取材した公式伝記が原作。『ソーシャル・ネットワーク』(11)でアカデミー賞脚色賞を受賞したアーロン・ソーキンは、転機となった3度の発表会に、独自取材の情報も盛り込んだ会話劇として脚本化した。『スラムドッグ$ミリオネア』(09)のオスカー監督ダニー・ボイルは、実録風カメラワークに映像的ギミックも添え、言葉の応酬で緊迫感を増す舞台裏の人間模様を描き出す。革新的な製品の開発過程もプレゼンの本番も大胆に省略し、“人間ジョブズ”に迫ろうとするスタンスが印象的だ。膨大なせりふの難役を熱演したファスベンダーとウィンスレットは、アカデミー賞主演男優賞と同助演女優賞にそれぞれノミネートされている。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『オデッセイ』作品情報 <http://eiga.com/movie/82409/> 『スティーブ・ジョブズ』作品情報 <http://eiga.com/movie/83404/>

ダメ。ゼッタイ。 怖すぎドラッグマンガ 『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』

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『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』
 リスクをお忘れだ! 快楽だけじゃ、都合良すぎるぜ!!  かねて薬物使用のウワサがあったプロ野球界の大物OBが、ホームランだけでなくクスリも打っていたということで、ついに逮捕されました。一昨年は、同じく覚せい剤所持容疑で逮捕された大物ミュージシャンが、供述で「SAY YES!」と言ったとか言わないとか(たぶん言ってない)という話もありましたし、危険ドラッグの影響と思われる交通事故も多数発生しましたね。  ということで、ドラッグの恐ろしさをあらためて皆さんと共有すべく、世にも恐ろしいドラッグがテーマのマンガをご紹介いたします。その名も『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』。やだ……タイトルがすでに怖い!  本作はそのタイトルの通り、麻薬撲滅のために闘う男が主人公です。主人公、財前要は、厚生労働省地方厚生局麻薬取締部の麻薬取締官。いわゆる麻薬Gメンとか、マトリと呼ばれる人です。麻薬捜査官は警察ではないんですが、逮捕権や拳銃の所持も認められているんですね。  財前は、単なるマトリの捜査官とは比較にならないほど、尋常じゃないドラッグへの憎悪を燃やしています。それもそのはず、自分自身が過去に捜査中にハメられてシャブを大量に投与されてしまい、生死をさまようことに。10年以上たった今も、後遺症で恐ろしいフラッシュバック(幻覚症状)に悩まされているのです。主人公の麻薬捜査官が元シャブ中……とんでもなく、ダークなマンガです。まさに、エンドレス・ドラッグ・ウォーズ。  作中で表現されているフラッシュバックのシーンが、またヤバいです。体中の至るところを虫が這い回ったり、時には人の顔が歪んだり、目が3つになったり……。財前は、自分の身にフラッシュバックが起こると、正気を保つために、ある行為に出ます。  それは、サックスを思いっきり吹くこと! そのため財前は、捜査中でも常にサックスをケースごと持ち歩いています。どう考えても捜査のジャマだろうと思うところですが、ジャンキーに襲われた時にサックスのケースで思いっきりブン殴るなど、武器としても役に立ちます。  その財前の宿敵が、関東仙石会幹部ヤンマ組組長である鬼山丈。通称、鬼ヤンマ。街をシャブで埋め尽くし、日本の麻薬王になる! と息巻く武闘派ヤクザです。鬼ヤンマの覚せい剤への入れ込みようはハンパではなく、言ってることもやってることもムチャクチャ。とんでもなくクレイジーな男で、もちろん自分自身もシャブを打つという筋金入りのジャンキーです。この鬼ヤンマの、シャブ中名言がスゴいです。 「シャブは基本的に無害なんだよ!」 「ヴーーーーーッ 来た来た来たあ 上がって来たぞォ」 「シャブは最高の貿易だ!! 広告も宣伝もいらなけりゃ、ジャロに苦情も来ねえ」 「オレにはシャブは現実(リアル)へのパスポートだ!」  こんなヤバいやつですので、怒らせると世にも恐ろしい拷問が待っています。それが「眼球シャブ注射」です。ギャーーー! ダメ! ゼッタイ!!  そして、こういうマンガですから、麻薬にハマって人生が崩壊する悲惨な人たちがワンサカ登場します。いくつかご紹介していきましょう。  大手広告代理店にお勤めの城野チーフ、プレゼン絶不調で、もう3日寝ていない状況です。そしてフラフラと、飯も食わずにトイレに行ってしまいました。しかし、トイレに行った後の彼は全然違いました! シャッキーン! 別人のような輝き!! 劇的ビフォーアフター。 「ホラ、メシなんか食ってないでガンガンいくぞ」  3日間不眠不休の男が、数分で見違えるほどに元気になるとは……。シャブの効果恐るべし。 しかし、コトがバレれば、もちろん会社はクビです。あとは転落するのみ。これからが本当の地獄の始まりなのです。仕事のために頑張っても、全然報われません。  若者向けドラッグといわれているMDMA(通称エクスタシー)も出てきます。しかも、舞台は高校の学校内です。最初は離婚の寂しさを紛らわすために使っていた体育教師から、女子高生……そして、男子高生へと段階的に波及していきます。こんな広がり方もあるのか。身近なだけに、恐ろしいですね。  MDMAは覚せい剤ほど強烈ではありませんが、本人が感じてなくても異常に発汗していたり、少しずつ異常な行動が増えていくようです。そして最悪なパターンは、ウワサによく聞く、いわゆる「アイ・キャン・フライ」です。  高校生が給水塔からダイブして、死亡。本人が飛べると思っちゃってるんだから、助かりようがないですよね。この男子生徒が大物政治家の息子だったため、マスコミや政界を巻き込んだ大問題に発展していきます。こんな感じで、基本的にいろいろなクズ野郎が出てくるマンガではあるのですが、この作品の中でも最凶最悪なクズ・オブ・クズで、キング・クズなキャラクターがいます。それが、御手洗光司という男。  麻薬中毒患者の更生施設「メシア」を運営し、何人も麻薬中毒から立ち直らせた人格者。しかし、実はこの男自身がいつのまにか覚せい剤にハマり、ジャンキーになってしまっていたのです。ミイラ取りがミイラにとは、まさにこのことです。  幼い一人娘に飲ませるフルーツミックスジュースも、なんとシャブ入り。おかげで、8歳にして娘もジャンキーです。いかにこの男が、キング・クズであるか伝わりましたでしょうか。 「キャハハハハハ 気持ちいーィ」  めちゃくちゃ楽しそうにブランコに乗る娘。そんな気持ちいいブランコ、おかしいから!! 実は、若かりし頃の財前をシャブ中にしたのも、この御手洗です。ウワサを聞いて内偵していた財前に一服盛って、財前に致死量寸前のシャブを投与したのでした。  ……というわけで、エンドレスで危ないドラッグマンガ『エンドレス・ドラッグ・ウォーズ リスク』をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか? 気の利いたキャッチコピーで「ダメ。ゼッタイ。」を連呼するよりも、一発こういう超おっかないマンガを読ませたほうが、よっぽど抑止効果があるような気がします。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

「ああ、美しい思い出が……」『東京ラブストーリー』連載化に見る“中高年ビジネス”の可能性

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『東京ラブストーリー (1) (小学館文庫)』(紫門ふみ/小学館)
 先日「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に掲載された25年後の『東京ラブストーリー』が、好評を受け連載化が検討されていることがわかった。 『東京ラブストーリー』は、柴門ふみによって1988年から同誌で連載され、91年にフジテレビ系でドラマ化。主人公のカンチ役を織田裕二、恋人役のリカを鈴木保奈美が演じた。「ねえ、セックスしよ!」の大胆なフレーズも流行語となった。  舞台は、バブル真っ盛りの東京の広告代理店だ。結論からいえば、恋人同士であった2人は結婚しない。カンチは別の人間と結婚、リカはシングルマザーとなる。その後、思わぬ縁から25年ぶりの再会を果たすというのが、読み切りのストーリーだった。 「25年後のカンチは、民間人として学校の教頭先生となり単身赴任中。リカは、シングルマザーを続けつつ、ロハス的な農業に従事しています。この設定は、賛否両論といった感じですね。特に“自由人”だったリカが、収入よりも生きがい重視の農業で生活しているのは納得という人もいれば、都合がよすぎるという人もいますね」(雑誌編集者)  続編の連載化には、作者である柴門も乗り気なようだ。『東京ラブストーリー』だけでなく、『あすなろ白書』や『Age,35』など、彼女の作品は90年代に数多くドラマ化されている。いずれも、特定の年代、世代を描いたものであり、その後の展開が気になる読者も多いだろう。 「いまや雑誌文化は風前の灯火。若い人を狙うより、中高年の読者を“懐かし”のキーワードで取り込む方が効果的といえるでしょう。昨年の紅白で、マッチと聖子ちゃんが大トリを務めたのは示唆的です。やっぱり中高年は、若い人よりはお金も持っていますし趣味にお金をかけてくれますからね」(同) 「東京ラブストーリー」の登場人物と同世代の人間たちは、80年代に大学生活を送り、就職後の20代はバブル真っ盛りである。さすがに“勝ち逃げ”とはいかないまでも、恵まれた世代であり、経済的余裕もある。  そのため、高額なCD-BOXや何万円もするディナーショーチケットなど、彼らの“財布”をターゲットにしたようなビジネスが数多く存在する。懐かし漫画の復活も、そのひとつかもしれない。  だが、今回のリバイバルが賛否両論であったように、美しい思い出のままでとどまっていたほうがいいものがあることも確かだろう。 (文=平田宏利)