モンペの罵詈雑言と、ずさんな「人権派」弁護士……丸子実業高校いじめ自殺の真実

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『モンスターマザー』(新潮社)
 2005年12月6日午前6時半、自宅の自室で長野県・丸子実業高校の高山裕太くん(当時16歳)が自殺した。この事件の直後、バレーボール部に所属していた裕太くんに対して「部内で暴力を伴ったいじめがあった」こと、「学校側の適切な対処がなされなかった」ことが原因であると、母親は主張。一方、学校側は「学校ではなく、家庭に問題がある」と、意見はまったく食い違っていた。  この報道だけを見れば、過去に起こったさまざまな自殺事件から「いじめ問題に向き合わない」「事なかれ主義」の学校側と、「学校教育の被害者」である遺族側……という物語を描く人は少なくないだろう。しかし、ノンフィクション作家・福田ますみ氏の『モンスターマザー』(新潮社)によれば、事件の真相は真逆のものだった。  裕太くんが自殺する半年前に、時計の針を戻してみよう。  05年5月、裕太くんは家出した。これを受けて母親は、「自殺したのではないか」と警察に捜索を依頼。学校、バレー部員なども動員して行われた捜索によって、裕太くんは無事発見され、母親もこの時の学校側の対応に最大限の感謝をしている。しかし、8月になって再び裕太くんが家出した時、母親の対応はまるで異なるものだった。「子どもはもう自殺している。原因は担任にある」「先生、生徒みんなで捜せ!」。さらに担任には「のうのうと寝ていないで、外に見つかるまでいろ」……。当初、教師たちは命令口調で激しく叱責する母親の言動を、不安から来る焦燥感だと受け取っていた。しかし、ここから母親は「モンスター」と化していく……。  この家出事件で、6日ぶりに裕太くんが発見された後、母親から出てきた言葉は感謝ではなく「担任交代、いや退職しろ!」「もう二度と家に来るな!」という激しい罵声だった。事件後も彼女の罵声がやむことはなく、学校や県教育委員会、PTA会長にもしつこく電話をし、絶叫を交えながら学校側の非を一方的にまくし立てる。さらに、バレー部内部でいじめや体罰があったと主張する母親は、裕太くんを登校させず、学校側との話し合いもほとんど拒否。だが、母親が主張する「いじめ」や「体罰」とは、どう考えても部活内のコミュニケーションのレベルを超えるものではなかった。  バレー部員、保護者、顧問らに、電話・メール・FAXなどあらゆる方法を駆使して罵詈雑言の数々を叫ぶモンスターと化した母親は、周囲の人々から白眼視され、孤立していく。この間、裕太くんの「本音」と思えるような発言はなされず、母親の「裕太は自殺を考えている」「裕太の人生を台なしにした」という絶叫ばかりが周囲に響き渡る。連日、母親からかかってくる罵詈雑言の電話によって、バレー部監督は神経症を患い、いじめの首謀者とされる生徒の母親は円形脱毛症となる。誰もが、母親の暴言に精神を壊す寸前だった。  そして、母親の3カ月にわたる暴走の果てに、裕太くんは自殺する。だが、これが終わりではなかった。  この自殺を受けて、「悲しみに暮れる遺族」という称号を獲得した彼女は、周囲への攻撃をエスカレートさせる。そんな彼女の強力な同伴者として現れたのが、人権派弁護士として知られる高見澤昭治氏だった。自殺の原因を家族に求めた校長の会見に憤りを抑えかね、母親の代理人に就任した彼は、校長を殺人罪で告訴に踏み切るという異例の対応を行ったのだ。  準備書面で、高見澤氏は「校長は自己の行為によって裕太を自殺に追いやる虞があることを予見しながら(中略)裕太に対して登校するように約束させ、その結果、絶望と不安に駆り立てられた裕太を、12月6日自宅において自殺に追いやり殺害した」と記す。しかし、「絶望と不安に駆り立てられた」という裕太くんは、自殺の4日前に持たれた話し合いの中で、明るい声で「5日から登校します」と約束しているのだ。この話し合いは、録音テープに記録されていたものの、高見澤氏はこれを一度も聞いていないことが後の裁判で判明した。また、母親の証言も「他のバレー部員に、拳で殴られていた」と事実無根のものとなり、その供述に、一切信頼性がないことが明らかになっていく。  裁判所は、バレー部側の言い分をほぼ全面的に認め、母親に対して監督や部員などに損害賠償を支払うことを命じた。さらにその後、校長が起こした高見澤氏に対する損害賠償請求訴訟も校長側の主張が認められ、165万円の支払いと、新聞への謝罪広告の掲載が命じられた。だが、母親側は、損害賠償金を1円も支払っておらず、高見澤氏は、損害賠償金こそ支払ったものの「判決が間違っている」として、謝罪広告は掲載していない。  福田の丹念な取材が解き明かしたのは、部活内の陰湿ないじめと、それを隠そうとする事なかれ主義などではなく、「モンスター」として横暴に振る舞う母親と、彼女の抑圧によって自殺に追い込まれた裕太くん、「人権派」といわれる弁護士のあまりにもずさんな仕事ぶりだった。司法の判決によって、母親、弁護士の主張は退けられ、学校、バレー部側は全面的な勝利を収めた。しかし、ありもしない「いじめ」をでっち上げられ、高校時代をめちゃくちゃにされたバレー部員、そしてその保護者、学校が失った時間や心に負った傷の代償は計り知れない。そして何より、裕太くんが戻ってくることはない。 (文=萩原雄太[かもめマシーン])

これは世紀末うどん伝説か? 『北斗の拳』みたいなグルメマンガ『食戦記』

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『食戦記』(中村博文/双葉社)
 飽食の時代といわれる現代において、日々雑誌やネットで紹介されるグルメ情報やレシピ情報は、われわれにとって欠かせない情報のひとつとなっていますね。しかし、「食べログ」とか「クックパッド」などでお気軽に手に入れられるような情報が、ある日忽然と消滅し、特定の人間たちだけが情報を操ることのできる世界が訪れたら、人々はどうなってしまうのか……?  今回ご紹介するマンガ『食戦記』は、人類が壊滅し、あらゆる文化が崩壊、原始時代に逆行した近未来の世界が舞台。生き残った人間たちの間には、知性より暴力による支配が横行していて、まるで『北斗の拳』のような世界観になっています。出てくるキャラも、いかにも「ヒャッハー」って言いそうな格好をしています(実際は言わないけど)。  そんな世界において、数少ない知性を持った一族が「食師」という人々でした。食師は民を飢えから救うために、自然の中で食べられる物を見分け、 食物の栽培や料理法等を教えてくれるという、こんな時代に超ありがたい人たちなのですが、頭の悪そうなヒャッハーな人たちには理解されません。 「人間業とは思えないような超おいしい食い物を作る奴らがいる」→「なんだ? コイツらは妖術使いか!? きっと食べ物に呪いをかけているに違いない」→ 「悪いこと企てる前に皆殺しだ! 焼き払えー!!」 ……という思考回路により、食師の一族は皆殺しにされてしまうのです。魔女狩りならぬ食師狩り。人にレシピ教えただけで殺されちゃう時代とか、そうとうヤバイですね。クックパッドなんかに投稿した日には、命がいくつあっても足りません。  そんな悲劇の食師一族の中で唯一、一命を取り留めた青年・ワタルが本作の主人公です。ワタルは、自分の命を助けてくれた部族への恩返しとして、必殺の激ウマ料理を振る舞います。村の民を全員集めて、小麦をこねるワタル。  日時計を見ながら生地を数時間寝かし、作った驚愕のメニュー、それが……! 「かけうどんというものです!」 ドーン!!  なんと、数時間かけてドヤ顔で出してきたメニューが、まさかのかけうどんです。もちろん「食師」ってくらいですから、これだけで済むはずがありません。こんなメニューは軽いジャブに違いないのです。……ということで、さらに繰り出してきたメニューが「山菜うどん」とか「焼きうどん」。お前は香川県民か!!  しかし、さすが食の原始時代だけあって、初めて見た「うどん」に対するリアクションが半端ありません。 「!!」 「旨い」 「ああーーっ」 「このような食べ物が人間の手で作れるのか!!」  これ、繰り返しますが、かけうどんの話です。「人間の手で作れるのか!!」って……。ほかに誰が作るんだよ。この調子だと、もはや立ち食いそば屋のおばちゃんだって、神になれる時代です。香川に連れて行こうものなら、天国に連れてこられたと思い込むに違いありませんね。 ちなみに一連のうどんレシピのほかに出てきた食べ物といえば「大学いも」がありますが、これもまた渋いチョイスです。確かに、原始時代に大学いもが出てきたらビックリ仰天するでしょうね。 さて、うどんのくだりの後、いよいよワタルに旅立ちの時が訪れます。さんざん伏線をちりばめまくって、さあいよいよこれからどんな奇想天外なグルメ旅が始まるのか……というところで単行本第1巻が終了するのですが、どうやら掲載誌「A-ZERO」(双葉社)が休刊となったため、残念ながら2巻以降が出ておりません。食師の夢と希望は、そのままお蔵入りになってしまっている模様です。うどんだけを残して……。  そんなわけで極限世界のグルメを描いたマンガ『食戦記』、未完なのが残念ですが、グルメマンガにおける超異端児として、ぜひとも一度読んでみてはいかがでしょうか。とりあえず、かけうどんだけでこんなにテンションが上がるマンガって、そうそうないです。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

賞レースから外れた意外な話題作がめじろ押し!! 映画界のアンチテーゼ「日プロ大賞」GW開催

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『バクマン。』HPより。佐藤健、神木隆之介ら人気若手俳優が大挙出演し、興収17億6000万円を記録した。
 メジャーな映画賞の多くは映画会社の力関係や人気俳優を抱える芸能プロダクションの思惑に左右され、作品としてのクオリティーが高くても賞レースから漏れてしまう秀作は少なくない。また賞レース以前に、邦画だけで年間500本以上も公開されている近年の日本映画界では、宣伝予算もなく上映館数も少なく、人目に触れないまま埋もれていく作品が山のようにある。様々なしがらみに捕われることなく、また公開規模にかかわらず、“いい仕事”をしているプロフェッショナルな映画人たちに脚光を当てているのが、映画賞レースの最後を飾る「日本映画プロフェッショナル大賞」(日プロ大賞)だ。三池崇史監督、黒沢清監督といった国内では映画賞とは無縁だった才能を、日プロ大賞は90年代から顕彰してきている。  今年で25回目を迎えた日プロ大賞だが、今年は従来の傾向とは異なるタイトルが受賞作に選ばれている。これまでインディペンデント系の作品を推してきた同賞だが、今年は東宝配給で全国公開された大根仁監督の『バクマン。』がベストテンの第1位、そして作品賞に選出された。『バクマン。』は日本アカデミー賞では話題賞のみに留まっている。『バクマン。』は漫画家デビューを目指す若者たちの物づくりに注ぐ情熱と葛藤をハイテンポに描き、退屈になりかねない漫画製作の現場をプロジェクションマッピングを導入するなどしてエンターテイメント化してみせた力作だった。大根監督の前作『恋の渦』は製作費60~70万円という超低予算映画だったが、日プロ大賞では若手キャストたちに新人俳優奨励賞を贈っている。メジャーとインディペンデントの枠に縛られない大根監督の活躍は、もっと評価されていいだろう。 『ピース オブ ケイク』『深夜食堂』とコミック原作もの2作に出演した多部未華子が主演女優賞に選ばれているのも注目される。演技力はすでに折り紙付きな多部だが、映画賞の受賞は新人時代にまで遡ることになる。大根監督の劇場デビュー作『モテキ』もそうだが、格式を重んじる映画賞ではコミック原作ものは往々にして軽視される傾向にある。今年の日本アカデミー賞作品賞『海街dairy』もコミック原作だが、豪華女優陣を並べたカンヌ出品作『海街dairy』のことをコミックものという認識だった日本アカデミー賞会員はほぼいなかったはず。人気コミックの知名度に頼っただけの映画化企画はもちろん勘弁してほしいが、オリジナル脚本>文芸小説>エンタメ小説>コミック原作という映画賞の安易な格付けの仕方も見直すべき時期にあるようだ。  今回のもうひとつの注目ポイントは、売れっ子俳優・染谷将太と主演男優賞を分け合った形の川瀬陽太。テレビドラマしか観ない人には見慣れない名前だが、ピンク映画やインディペンデント系の映画に数多く出演してきた名バイプレイヤーだ。冨永昌敬監督の『ローリング』ではハレンチ行為で退職した元高校教師を軽妙に演じ、味のある存在感が改めて評価された。授賞式の場でどんなスピーチが飛び出すのか楽しみ。黒沢清監督と『トウキョウソナタ』『贖罪』『岸辺の旅』などでコンビを組んできた芹澤明子撮影監督に特別功労賞、橋口亮輔監督に7年ぶりの新作長編『恋人たち』を撮らせた深田誠剛&小野仁史プロデューサーに新進プロデューサー賞を贈るあたりも日プロ大賞らしい。  5月3日(祝)にテアトル新宿で行なわれる授賞式の後、恒例となっているオールナイト上映のプログラムも決まった。塚本晋也監督の渾身の自主映画『野火』や神戸連続児童殺傷事件をモチーフにした安川有果監督の『Dressing Up』などスクリーンで観賞する機会の限られていた作品が編成されている。授賞式に続いて、『バクマン。』の大根監督と東宝の川村元気プロデューサーが登壇してのトークショーも予定されているとのこと。日本映画界のこれからが気になる人は、ぜひともチェックしておきたい。 「第25回日本映画プロフェッショナル大賞」ベストテン&個人賞 ●ベストテン 1位 バクマン。(作品賞) 2位 野火   (監督賞) 3位 ローリング(主演男優賞) 4位 GONINサーガ 5位 ハッピーアワー 6位 岸辺の旅 (特別功労賞) 7位 ソレダケ/that’s it(主演男優賞) 8位 トイレのピエタ 9位 きみはいい子 9位 私たちのハァハァ ●個人賞 作品賞:バクマン。 監督賞:塚本晋也『野火』 主演女優賞:多部未華子『ピース オブ ケイク』『映画 深夜食堂』 主演男優賞:染谷将太『さよなら歌舞伎町』『ソレダケ/that’s it』 主演男優賞:川瀬陽太『ローリング』『犯(や)る男』 新人監督賞:安川有果『Dressing Up』 新進プロデューサー賞:深田誠剛、小野仁史『恋人たち』 特別功労賞:芹澤明子『岸辺の旅』および、長年の映画撮影の功績に対して ●5月3日(火)日プロ大賞授賞式イベント&特別オールナイト上映作品 授賞式イベントに引き続き、4作品の上映 『バクマン。』 『野火』 『ローリング』 『Dressing Up』 ●授賞式参加者(予定) 大根仁監督、川村元気プロデューサー、多部未華子、塚本晋也監督、安川有果監督、深田誠剛プロデューサー、小野仁史プロデューサー、芹澤明子 ● 日時:5月3日(火)夜9時30分開場/夜9時45分開演/翌4日朝6時終映(予定) 場所/テアトル新宿 料金/3000円 チケットはテアトル新宿窓口、およびWEBにて座席指定券を販売

賞レースから外れた意外な話題作がめじろ押し!! 映画界のアンチテーゼ「日プロ大賞」GW開催

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『バクマン。』HPより。佐藤健、神木隆之介ら人気若手俳優が大挙出演し、興収17億6000万円を記録した。
 メジャーな映画賞の多くは映画会社の力関係や人気俳優を抱える芸能プロダクションの思惑に左右され、作品としてのクオリティーが高くても賞レースから漏れてしまう秀作は少なくない。また賞レース以前に、邦画だけで年間500本以上も公開されている近年の日本映画界では、宣伝予算もなく上映館数も少なく、人目に触れないまま埋もれていく作品が山のようにある。様々なしがらみに捕われることなく、また公開規模にかかわらず、“いい仕事”をしているプロフェッショナルな映画人たちに脚光を当てているのが、映画賞レースの最後を飾る「日本映画プロフェッショナル大賞」(日プロ大賞)だ。三池崇史監督、黒沢清監督といった国内では映画賞とは無縁だった才能を、日プロ大賞は90年代から顕彰してきている。  今年で25回目を迎えた日プロ大賞だが、今年は従来の傾向とは異なるタイトルが受賞作に選ばれている。これまでインディペンデント系の作品を推してきた同賞だが、今年は東宝配給で全国公開された大根仁監督の『バクマン。』がベストテンの第1位、そして作品賞に選出された。『バクマン。』は日本アカデミー賞では話題賞のみに留まっている。『バクマン。』は漫画家デビューを目指す若者たちの物づくりに注ぐ情熱と葛藤をハイテンポに描き、退屈になりかねない漫画製作の現場をプロジェクションマッピングを導入するなどしてエンターテイメント化してみせた力作だった。大根監督の前作『恋の渦』は製作費60~70万円という超低予算映画だったが、日プロ大賞では若手キャストたちに新人俳優奨励賞を贈っている。メジャーとインディペンデントの枠に縛られない大根監督の活躍は、もっと評価されていいだろう。 『ピース オブ ケイク』『深夜食堂』とコミック原作もの2作に出演した多部未華子が主演女優賞に選ばれているのも注目される。演技力はすでに折り紙付きな多部だが、映画賞の受賞は新人時代にまで遡ることになる。大根監督の劇場デビュー作『モテキ』もそうだが、格式を重んじる映画賞ではコミック原作ものは往々にして軽視される傾向にある。今年の日本アカデミー賞作品賞『海街dairy』もコミック原作だが、豪華女優陣を並べたカンヌ出品作『海街dairy』のことをコミックものという認識だった日本アカデミー賞会員はほぼいなかったはず。人気コミックの知名度に頼っただけの映画化企画はもちろん勘弁してほしいが、オリジナル脚本>文芸小説>エンタメ小説>コミック原作という映画賞の安易な格付けの仕方も見直すべき時期にあるようだ。  今回のもうひとつの注目ポイントは、売れっ子俳優・染谷将太と主演男優賞を分け合った形の川瀬陽太。テレビドラマしか観ない人には見慣れない名前だが、ピンク映画やインディペンデント系の映画に数多く出演してきた名バイプレイヤーだ。冨永昌敬監督の『ローリング』ではハレンチ行為で退職した元高校教師を軽妙に演じ、味のある存在感が改めて評価された。授賞式の場でどんなスピーチが飛び出すのか楽しみ。黒沢清監督と『トウキョウソナタ』『贖罪』『岸辺の旅』などでコンビを組んできた芹澤明子撮影監督に特別功労賞、橋口亮輔監督に7年ぶりの新作長編『恋人たち』を撮らせた深田誠剛&小野仁史プロデューサーに新進プロデューサー賞を贈るあたりも日プロ大賞らしい。  5月3日(祝)にテアトル新宿で行なわれる授賞式の後、恒例となっているオールナイト上映のプログラムも決まった。塚本晋也監督の渾身の自主映画『野火』や神戸連続児童殺傷事件をモチーフにした安川有果監督の『Dressing Up』などスクリーンで観賞する機会の限られていた作品が編成されている。授賞式に続いて、『バクマン。』の大根監督と東宝の川村元気プロデューサーが登壇してのトークショーも予定されているとのこと。日本映画界のこれからが気になる人は、ぜひともチェックしておきたい。 「第25回日本映画プロフェッショナル大賞」ベストテン&個人賞 ●ベストテン 1位 バクマン。(作品賞) 2位 野火   (監督賞) 3位 ローリング(主演男優賞) 4位 GONINサーガ 5位 ハッピーアワー 6位 岸辺の旅 (特別功労賞) 7位 ソレダケ/that’s it(主演男優賞) 8位 トイレのピエタ 9位 きみはいい子 9位 私たちのハァハァ ●個人賞 作品賞:バクマン。 監督賞:塚本晋也『野火』 主演女優賞:多部未華子『ピース オブ ケイク』『映画 深夜食堂』 主演男優賞:染谷将太『さよなら歌舞伎町』『ソレダケ/that’s it』 主演男優賞:川瀬陽太『ローリング』『犯(や)る男』 新人監督賞:安川有果『Dressing Up』 新進プロデューサー賞:深田誠剛、小野仁史『恋人たち』 特別功労賞:芹澤明子『岸辺の旅』および、長年の映画撮影の功績に対して ●5月3日(火)日プロ大賞授賞式イベント&特別オールナイト上映作品 授賞式イベントに引き続き、4作品の上映 『バクマン。』 『野火』 『ローリング』 『Dressing Up』 ●授賞式参加者(予定) 大根仁監督、川村元気プロデューサー、多部未華子、塚本晋也監督、安川有果監督、深田誠剛プロデューサー、小野仁史プロデューサー、芹澤明子 ● 日時:5月3日(火)夜9時30分開場/夜9時45分開演/翌4日朝6時終映(予定) 場所/テアトル新宿 料金/3000円 チケットはテアトル新宿窓口、およびWEBにて座席指定券を販売

捧腹絶倒のレシピ本がワンコイン!? 人気連載「男のダジャレレシピ」が、ついに電子書籍化!

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「日刊サイゾー」で約3年にわたって連載されていたお料理コラム『男のダジャレレシピ』が待望の電子書籍化!   カレー、すき焼き、麻婆豆腐、ひつまぶし、丼ものから、クレープにアイスまで! ダジャレをこよなく愛する男が考案する、笑えるおいしいレシピ40を一挙公開。しかも、たったのワンコイン! 読めばあなたも、玉置ワールドにハマること間違いなし!? 【収録レシピ】 ・とってもジューシー(牛脂)なすき焼き ・麻婆茄子! 干し芋乗っかっちゃう!(まーボーナス! 欲しいもの買っちゃう!) ・大型連休ギュウギュウ詰め(O型レンコン牛牛詰め)」 ・簡単ピラフ!「SPAM × SPAM」(SMAP×SMAP) ・長いゴボウのキューピーハニー(永井豪のキューティーハニー) ・湯豆腐+ポトフ=ポ豆腐(ポトーフ) ・フランス人もビックリ!「トレビ餡クレープ」 などなど 【著者略歴】玉置豊(たまおき・ゆたか) 食材の採取や実験的料理が趣味のライター。快心の語呂合わせを「オヤジギャグ」の一言で片づけられると、ちょっと腹が立つダジャレ好き。「日刊サイゾー」「デイリーポータルZ」などのインターネットサイト、アウトドア雑誌「HUNT」(ネコ・パブリッシング)などで執筆中。家庭用製麺機の同人誌「趣味の製麺」編集長。個人サイトは「私的標本」(http://www.hyouhon.com/)。 ●商品情報 タイトル:『男のダジャレレシピ』 著者:玉置豊 表紙:オカダタカオ 発売元:サイゾー 発売日:2016年4月18日 価格:480円(+税) 対応端末: 電子ブックリーダー, Android, iPhone, iPad, デスクトップアプリ ご購入はこちらから! Amazon Kindleストア http://www.amazon.co.jp/dp/B019EXXUKK/ 楽天Kobo電子書籍ストア http://books.rakuten.co.jp/rk/b82f836dd5fe3d15a7894dd1548c5ce1/ ほか、各電子書籍取扱い書店にて順次発売開始!

スーパーアイデア炸裂! ザハもびっくりの建築デザインバトルマンガ 『建作ハンズ』

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『建作ハンズ』(河本ひろし/少年画報社)
 2020年の東京五輪を控え、新国立競技場問題などで何かと建築デザインが取り沙汰される昨今、世にも珍しい「建築デザイナーマンガ」というものが存在します。その名も『建作ハンズ』。東急ハンズとは、もちろん無関係です。テーマ自体かなりマニアックですが、その中で繰り広げられる建築デザインバトルもまた、ぶっ飛んでおります。  早速、内容をご紹介しましょう。主人公は、一流の建築デザイナーを目指して上京してきた、計建作(はかり・けんさく)という少年。  建作の才能は、上野駅で早くも発揮されます。なにやら駅の構内にあるショーウィンドーの飾り付けでモメている大人たち。まったく話がまとまりそうにありません。それを見た建作は、勝手にショーウィンドーの資材をいじり始めます。それが先ほどの大人たちに見つかって、ダッシュで逃亡。  実は建作、ショーウィンドーを勝手に飾り付けしてしまったのでした。しかも、それがメチャクチャ高評価です。建作は東京の有名建築デザイン学校「日本建築学院」にトップの成績で合格し、入学するために上京した優秀な学生だったのです。  ようやくたどり着いた日本建築学院の前には、超ミニスカートのヒロイン、白瀬まゆが登場します。彼女は建築学院の講師の娘ということで、そのツテで建作も入学前に学院内を見学させてもらえることになりました。そこで繰り広げられていた授業の課題は「広く感じる部屋の作成」というもの。  建築デザインという地味なテーマなので、こんなんでマンガが盛り上がるのかと心配になりますが、そこはご安心を。ちゃんとバトルが繰り広げられます。「広く感じる部屋」を自慢げに見せびらかしてきたのは、成績は優秀だけど、ちょっと性格の悪い天本先輩。その先輩のつくった「広く感じる部屋」ですが、コマの効果音が「ばん!」ときて…… 「おおー、さすが大きなことを言うだけはある!!」 「とても広く感じるぞっ!!」 と、ギャラリーたちは好リアクション! 正直、読者には広いのかどうなのかよくわかりませんが、なにしろ効果音が「ばん!」なので、きっと広いんでしょう。そんな天本先輩ご自慢の広く見える部屋を、建作が早速ディスりまくります。 「うーん…まだまだだなぁ…」 「この部屋をもっと広くできると思ってさぁ」 「基本を忘れてるんだよねー、基本を…」  まだ入学もしていない新入生にメンツを潰され、天本先輩も激怒します。 「よおーし、じゃあその基本とやらをここで見せてもらおうじゃないか」  というわけで、建築デザイナーズバトルが勃発するのです。調子に乗ってる奴を挑発してバトルに持ち込む構造は、『ミスター味っ子』とか『美味しんぼ』などのグルメマンガの構造とよく似ています。そして、建作がつくった広く見える部屋は、コマの効果音が「ぐあっ!」ときて…… 「あ、天本の部屋より広く見えるぞ!!」 「ほっ本当だっ!!」  ギャラリーからは、天本先輩のときより大きめのリアクション。効果音が「ばん!」から「ぐあっ!」となっているので、さぞかし広くなったのでしょう。タネ明かしはこうです。 「部屋づくりの基本として、その空間が正方形により近い方が広く感じられるんだよ!」  なるほど、勉強になります。さらに、建作には、もっと部屋を広く感じさせる裏技があるというのです。その名も、計建作の究極の超拡大部屋!!(そのまんまのネーミング) 「すっ…すごいっ!!」 「部屋がずっと広がり天井がつきぬけているっ!!」  またしても好リアクション。なにせ、見開きページで効果音が「グアアアッ」となっていますし、相当広くなったのでしょう。その、「劇的ビフォーアフター」な奥義とは…… 「カガミを壁と天井の一部に張ることによって視覚的に部屋に奥行きを持たせたんだ!!」  なるほど! ラブホとかによくあるアレですね!! っていうか、それなら最初から全面にカガミを張っておけば最強なのでは……?  そんな感じでバトルに勝利した建作。一息つくのも束の間、次のバトルがすぐにやってきました。自分の住まい探しのために、超ミニスカのまゆちゃんと一緒に不動産回りをする建作。  格安の物件につられて早速契約したのですが、実は悪徳不動産屋でした。ろくな説明もされず、超ボロアパートを押し付けられてしまった建作。返金を申し出ても、契約をタテに受け付けようとしません。しかし、建作が日本建築学院の学生だと知り、突然返金の条件を突き付けてきます。  その条件とは、この不動産屋のおっさんの自宅の和室を洋室に改装し、しかも気が向いたらいつでも和室に戻せるような部屋にしてほしいとのこと。これができれば返金してくれますが、できなければ金を倍額取られてしまいます。普通に考えてあり得ないほど無茶な条件ですが、そこはマンガですから、建作は驚くべきアイデアで不可能と思えた和室と洋室のハイブリッドな部屋を考え出します。その方法とは……。 「障子と掛け軸はロールブラインドで隠し、畳を全部ひっくり返して床をフローリングに!」  なんということでしょう! こんな方法があったとは!! まさに匠のワザですね。実はこのアイデア、自分の着ているリバーシブルのジャンパーがヒントになったのでした。この安っぽさがまた、少年マンガらしくていい味出していますね。  そんな感じで、建作のスーパーアイデアが炸裂して建築デザインバトルに次々勝ち進んでいきます。その後の展開としては、喫茶店の改装バトルで店内に滝をつくってみたり、“地獄の集中授業”と称して、学生全員が無人島に置き去りにされ、最小限の工具と食料で、自分で家を一からつくらなければいけないという、なんの意味があるのかよくわからないサバイバル実習を行わされたりします。  しかも、無人島で家づくりに失敗した学生たちは次々と原因不明の失踪をしてしまうという、まるで海外ドラマ『LOST』を彷彿とさせる恐ろしい島になっており、かなり想像の斜め上を行く展開です。そのあたりのトンデモなストーリーは、ぜひ作品を読んでいただければと思います。  というわけで、世にも珍しい建築デザインバトルマンガ『建作ハンズ』をご紹介しました。部屋を広く見せるテクニックなどは、ニトリとかIKEAでインテリアをそろえたりするのが好きな方には、微妙に役に立つかもしれませんね。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

「愛人の作り方、学べます!」不倫とポジティブに向き合うマンガ 『フリンジマン』

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『フリンジマン』(青木U平/講談社)
 サイゾー読者の皆様、こんにちは。早くも今年の流行語大賞の有力候補に、「センテンススプリング」や「ゲス不倫」といったワードが入ってきそうな勢いを感じるほど、あの人気タレントも、あの政治家も、あの師匠も、そしてあのスポーツライターも、みんな不倫、不倫、不倫だらけの昨今。「あれ!?  日本って、一夫多妻制だったっけ?」と、勘違いするレベルですね。 「不倫=バレたら破滅」というのは散々歴史が証明しているところですが、それでも不倫がなくならないところを見ると、やはり「不倫は文化」というフレーズは正しいのでしょう。そして、マンガの世界に目を移してみると、やはり多くのマンガで不倫は背徳行為のシンボルとして扱われています。しかし、もしかしたら唯一? といっていいほどポジティブに不倫と向き合っているマンガが存在しました。その名も『フリンジマン』。これを読めば、あなたも愛人が作れるかもしれない!? 『フリンジマン』の設定をご紹介しましょう。とある雀荘で卓を囲む男4人。しかし、彼らは、卓を囲みながらもお目当ては麻雀ではなく、ほかのところにありました。そう、一度不倫をしてみたい、愛人を作ってみたい男たちの密会が行われていたのです。    卓を囲んでいたのは、同時に最高5人の愛人と付き合う「愛人教授(ラ・マン プロフェッサー)」と呼ばれる不倫のエキスパート・井伏真澄。そして、不倫に憧れる田斉、満島、安吾という、3人の迷える子羊たちです。ここで、井伏の教えを請いながらお互いの愛人作りをサポートする「愛人同盟」が結成されます。  早速、愛人教授・井伏が繰り出す、数々の不倫名言が弟子たちの不倫モチベーションを高めます。 「愛人にどう告白すべきかでしたっけ?…愚問ですね。いらないんですよ、告白なんて」 「愛人にするのは好きな女ではありません、都合の良い女です」 「感情を捨てなければ愛人関係という任務は遂行できません。マシーンになるのです」  こんな感じで、思いっきり不倫に前向きなのです。教授いわく、不倫とは「ウニを食べる」「海外旅行に行く」「グリーン車に乗る」などと同様、少し手を伸ばせば手に入る、オトナだけに許された悦楽なのであります。そう考えると、全然ゲスな行為ではないんですね。  田斉をはじめとした弟子たちの愛人作りを通して、より実践的なレクチャーへと進んでいきます。例えば、田斉は会社の新人OL、山口詠美がターゲット。愛人教授によるGPSとイヤホンを駆使した的確な遠隔指示、さらに愛人同盟の協力体制により、着実に愛人作りを遂行していきます。  ところで、愛人作りにおいてまず課題となるのは、結婚している男に一体どんな女(ヒト)が興味を持ってくれるのかということですが、そこで役に立つのが「愛人の原石の見分け方」です。 「オハヨウゴザイマスの後にアナタの名前を呼ぶ女は愛人の原石」 「曲がっているネクタイを自ら直接直しに来る女は愛人の原石」 などなど。つまり、会社で単なる「おはようございます」ではなく「おはようございます○○主任」と名前まで呼んでくれる女性、あるいは曲がったネクタイを指摘するだけでなく、わざわざ直してくれる女性は間違いなく自分に好意があり、愛人候補として大いにチャンスがある! という理屈です。なるほどなるほど、つまり不倫をしたければネクタイは曲げておくべし、ということですね。実に勉強になります。  そして、自分に好意を持ってくれる愛人の原石を見つけたら、給湯室などの2人きりになれる場所で世間話をし、擬似不倫体験を共有する……これぞまさに、明日からすぐに(愛人を)探せるテクニックです。  しかし、愛人作りのためには、注意点も数多くあります。 ・待ち合わせ場所は書店がオススメ。道端、居酒屋などは避ける ・宝飾店や指輪は2人の会話に結婚のイメージが入り込む恐れがあるため、愛人との会話では厳禁 ・デパートの受付嬢は店舗案内…「店案」と呼ばれ、愛人にするには最も手ごわい職種のひとつ などなど。そうですか、デパートの受付嬢は手ごわいですか。覚えておいて損はない知識ですね。個人的には、役に立つ日が来るとは到底思えませんけど。  こんな感じで、かつてないほど実践的なレクチャーがちりばめられている「HOW TO 不倫」なマンガ『フリンジマン』なのです。不倫スキャンダルで芸能ニュースをにぎわせたタレントたちも、このマンガを一読してさえいれば、あんな悲劇は起こらなかったかもしれません。……と言いたいところですが、実は不倫をネタにしたギャグマンガなので、どこまで本気にするかはアナタ次第です。  ちなみにこの「愛人教授」ですが、恋愛だけでなく仕事のほうもデキる男なのかと思えば、仕事のほうはからっきしダメで、新人レベルの間違いで上司に怒られたり、全国の愛人行脚のために長期休暇を取って同僚に迷惑をかけたりと、ダメダメ男なのです。デキる男がモテるのかと思いきや、現実は案外そういうものではないのかもしれませんね。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

「愛人の作り方、学べます!」不倫とポジティブに向き合うマンガ 『フリンジマン』

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『フリンジマン』(青木U平/講談社)
 サイゾー読者の皆様、こんにちは。早くも今年の流行語大賞の有力候補に、「センテンススプリング」や「ゲス不倫」といったワードが入ってきそうな勢いを感じるほど、あの人気タレントも、あの政治家も、あの師匠も、そしてあのスポーツライターも、みんな不倫、不倫、不倫だらけの昨今。「あれ!?  日本って、一夫多妻制だったっけ?」と、勘違いするレベルですね。 「不倫=バレたら破滅」というのは散々歴史が証明しているところですが、それでも不倫がなくならないところを見ると、やはり「不倫は文化」というフレーズは正しいのでしょう。そして、マンガの世界に目を移してみると、やはり多くのマンガで不倫は背徳行為のシンボルとして扱われています。しかし、もしかしたら唯一? といっていいほどポジティブに不倫と向き合っているマンガが存在しました。その名も『フリンジマン』。これを読めば、あなたも愛人が作れるかもしれない!? 『フリンジマン』の設定をご紹介しましょう。とある雀荘で卓を囲む男4人。しかし、彼らは、卓を囲みながらもお目当ては麻雀ではなく、ほかのところにありました。そう、一度不倫をしてみたい、愛人を作ってみたい男たちの密会が行われていたのです。    卓を囲んでいたのは、同時に最高5人の愛人と付き合う「愛人教授(ラ・マン プロフェッサー)」と呼ばれる不倫のエキスパート・井伏真澄。そして、不倫に憧れる田斉、満島、安吾という、3人の迷える子羊たちです。ここで、井伏の教えを請いながらお互いの愛人作りをサポートする「愛人同盟」が結成されます。  早速、愛人教授・井伏が繰り出す、数々の不倫名言が弟子たちの不倫モチベーションを高めます。 「愛人にどう告白すべきかでしたっけ?…愚問ですね。いらないんですよ、告白なんて」 「愛人にするのは好きな女ではありません、都合の良い女です」 「感情を捨てなければ愛人関係という任務は遂行できません。マシーンになるのです」  こんな感じで、思いっきり不倫に前向きなのです。教授いわく、不倫とは「ウニを食べる」「海外旅行に行く」「グリーン車に乗る」などと同様、少し手を伸ばせば手に入る、オトナだけに許された悦楽なのであります。そう考えると、全然ゲスな行為ではないんですね。  田斉をはじめとした弟子たちの愛人作りを通して、より実践的なレクチャーへと進んでいきます。例えば、田斉は会社の新人OL、山口詠美がターゲット。愛人教授によるGPSとイヤホンを駆使した的確な遠隔指示、さらに愛人同盟の協力体制により、着実に愛人作りを遂行していきます。  ところで、愛人作りにおいてまず課題となるのは、結婚している男に一体どんな女(ヒト)が興味を持ってくれるのかということですが、そこで役に立つのが「愛人の原石の見分け方」です。 「オハヨウゴザイマスの後にアナタの名前を呼ぶ女は愛人の原石」 「曲がっているネクタイを自ら直接直しに来る女は愛人の原石」 などなど。つまり、会社で単なる「おはようございます」ではなく「おはようございます○○主任」と名前まで呼んでくれる女性、あるいは曲がったネクタイを指摘するだけでなく、わざわざ直してくれる女性は間違いなく自分に好意があり、愛人候補として大いにチャンスがある! という理屈です。なるほどなるほど、つまり不倫をしたければネクタイは曲げておくべし、ということですね。実に勉強になります。  そして、自分に好意を持ってくれる愛人の原石を見つけたら、給湯室などの2人きりになれる場所で世間話をし、擬似不倫体験を共有する……これぞまさに、明日からすぐに(愛人を)探せるテクニックです。  しかし、愛人作りのためには、注意点も数多くあります。 ・待ち合わせ場所は書店がオススメ。道端、居酒屋などは避ける ・宝飾店や指輪は2人の会話に結婚のイメージが入り込む恐れがあるため、愛人との会話では厳禁 ・デパートの受付嬢は店舗案内…「店案」と呼ばれ、愛人にするには最も手ごわい職種のひとつ などなど。そうですか、デパートの受付嬢は手ごわいですか。覚えておいて損はない知識ですね。個人的には、役に立つ日が来るとは到底思えませんけど。  こんな感じで、かつてないほど実践的なレクチャーがちりばめられている「HOW TO 不倫」なマンガ『フリンジマン』なのです。不倫スキャンダルで芸能ニュースをにぎわせたタレントたちも、このマンガを一読してさえいれば、あんな悲劇は起こらなかったかもしれません。……と言いたいところですが、実は不倫をネタにしたギャグマンガなので、どこまで本気にするかはアナタ次第です。  ちなみにこの「愛人教授」ですが、恋愛だけでなく仕事のほうもデキる男なのかと思えば、仕事のほうはからっきしダメで、新人レベルの間違いで上司に怒られたり、全国の愛人行脚のために長期休暇を取って同僚に迷惑をかけたりと、ダメダメ男なのです。デキる男がモテるのかと思いきや、現実は案外そういうものではないのかもしれませんね。 (文=「BLACK徒然草」管理人 じゃまおくん<http://ablackleaf.com/>)

遊廓や売春関連の書籍ばっかり復刊する「カストリ出版」ってなんだ?

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カストリ出版が販売する書籍の一部
「全国260箇所の遊廓を収録した奇書『全国遊廓案内』!!」「今から60年前に刊行された色街ガイドブック、『全国女性街ガイド』を完全復刻!!」「800ページ超180ヶ所の大著 全国の花街・遊廓・私娼窟を紹介」……これらはみな「カストリ出版」という、現在進行形で活動中の出版社によって販売されている書籍の紹介文である。  花街や遊廓というと遠い昔の話に感じたり、今もあるのかもしれないけど、表立った情報の極端に少ないタブーなテーマに思えたり、どちらにしても日常とは縁遠い世界であるような気がする。都市伝説に近い感覚。  しかし、カストリ出版が作っている本を手に取ってパラパラめくると、幻のようなものに感じていた世界が、ある時代までは確実に日本全国に無数に存在し、そこに多くの人々が行き交っていたことをゾワッとリアルに感じる。圧倒的な情報量に頭がぼーっとしてきつつも、面白すぎて読むのがやめられない。  例えば、昭和4年発行の『全国遊廓案内』では、日本各地の遊廓の妓楼・娼妓の数、サービスにかかる料金等が500ページ近くにわたって書きつづられているし、昭和30年発行の『全国女性街ガイド』はさらに生々しく、どこの地方の芸者はどんな性格で、どんなふうに遊ぶのがおすすめで、というような情報を著者が情感たっぷりに語り続ける。知らない世界をのぞき見ているような気分だ。  カストリ出版は、遊廓や色街といったものに関する書籍を復刻・販売する出版社で、扱っているものはどれも稀少本として、市場では当たり前のように数万円以上の価格で取引されているものばかり。面白い試みだと思いながら……なぜこのような狭いテーマに絞って活動しているのか、またどんな人がやっているのか? 代表者である渡辺豪さんに話を聞いた ――カストリ出版は、何人ぐらいでやられているのでしょうか? 「基本的には私ひとりです。一部外注でお手伝いしてもらっていますが、ほぼひとりでやっています」 ――そうなんですか! 個人出版社ということなんですね。 「カストリ出版は、2014年末からスタートして、現在までに10タイトルほどをリリースしています。私自身、遊廓や赤線(1946~58年の間に、半公認で売春が行われていた地域。警察が地図上の該当エリアを赤い線で囲ったことに由来)というテーマが大好きで、遊廓跡を調査してブログを書いていたので『好きなことを仕事にした』と言ってしまえば身もフタもないのですが、多少なりとも考えたところがあるとすれば、『遊廓の情報を残したい』というのが復刻しようと思った理由ですね」 ――具体的には、どのような本を復刻されているのでしょうか? 「私が最初に復刻した『全国女性街ガイド』という本は、古書マニアの中では3~5万円前後の値段で取引されている稀少本です。しかも、5万円出せばいつでも買えるというものではなく、まれに市場に出て、やっとその価格で買えるというものです。中身は売春防止法直前に全国の売春街350カ所あまりを取材して書かれたという、とんでもない本です。また、終戦直後に大変な勢いで生まれた『カストリ雑誌』の中から、売春街に関する記事を選り抜きした本なども出版しています」
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戦後の一時期には、約1,000種類も存在したというカストリ雑誌
――復刻にあたっての作業というのは、どのように行っているのでしょうか? 「文章はすべて手で打ち直して、テキストデータにしています。当時の書籍は活字が物理的に欠けていたり、印刷から半世紀、ヘタしたら1世紀近くたっていて不鮮明なので、一度データ化して、イチから作り直しています。写真・図版は1点ずつスキャンしています。テキストのデータ化は、かなりキツイです(笑)。写経のような感覚ですかね。先頃出した『全国花街めぐり』は800ページ以上ある大作なので、半年ほどかかってしまいました」
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『全国花街めぐり』の原著。市場では数万円の価格がつく
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各地の花街の人気芸者などの写真も多数
――カストリ出版の書籍は、パッと見ると高額なものも多いですが(例えば『全国女性街ガイド』は1冊5,400円)、そういった地道な作業の末に復刊されていることを思うと、決して高くはないかもしれませんね。 「5万円の本では、中身がどれほど良くても情報が行き渡りません。古本で買うよりはずっと安く、そしていつでも買えるようにすれば、遊廓・赤線について興味を持った方が調査していく上で有用な情報の提供になると思っています。また、原著をそのまま復刻するのではなく、関連する稀少な資料を付録として収録したりと、『原著以上の価値がある本』を目指しています」 ――カストリ出版の本の中で、特に初心者向けにおすすめなものはありますか? 「『全国遊廓案内』ですね。北から南まで、果ては外地まで、全国各地の遊廓が記載されていて、おそらく皆さんの地元の欄にも遊廓を見つけることができるんじゃないでしょうか? 著者が不明という謎に包まれた本ですが、新しい発見のある、興味の尽きない本です」 ――どんな人がカストリ出版の本を買うのですか? 「驚いたのですが、半分ぐらいが女性のようです。内容的には、女性にとってはこれまでタブー的なところが強かったものだと思いますが、時代が下ったこともあって、素直に自分の興味を表明できる環境になっているのかもしれません」 ――カストリ出版が掲げるテーマは、内容としてはタブーな部分というか、今の法に照らせば違法になりますし、なんというか、難しいですよね 「遊廓や売春の是非については、皆さんそれぞれ思うところがあって当然だと思います。ただ、今はできるだけ多くの情報を後世に伝えるほうが重要じゃないかと思っています。すでに遊廓や赤線は(一部の地域を残して)制度そのものが消滅しているから、今このタイミングで是非判断することにあまり意義を感じません。遊廓建築の多くは、ここ数年、これまでにないスピードで取り壊されているようです。直感的には今後10年ぐらいで、遊廓建築の多くが消滅していくのではないかと思っています。タブーだからと、なかったことにするのではなく、ありのままの情報を残していくことにこそ価値があると思います」 ――今後の展望は? 「現在は遊廓・赤線を専門に本を出していますが、それ以外のテーマも手掛けたいですね。遊廓や赤線は、落語・絵画・文芸・音楽・着物・工芸など、日本のさまざまな文化に影響を与えてきました。そういった遊廓周辺のテーマも、相当面白いと思います。また、赤線建築をモチーフにした服飾雑貨や、当時の洋服を着たパンパンガール人形なども作ってみたいと真面目に考えています(笑)。こういったテーマに興味のあるクリエイターの方は、ぜひご連絡いただきたいです。コラボ募集中です!」 ***  渡辺さんは30代後半と予想以上にお若く、過去の日本に確かに存在した物事をポジティブな視点で未来につなげていく柔らかな視点と熱い気概を感じた。また、個人でここまでできるのかー! と、新しい出版のあり方としても、とても刺激的だった。カストリ出版の今後の動向が楽しみだ! (取材・文=スズキナオ) ●カストリ出版 https://kastoripub.stores.jp/

遊廓や売春関連の書籍ばっかり復刊する「カストリ出版」ってなんだ?

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カストリ出版が販売する書籍の一部
「全国260箇所の遊廓を収録した奇書『全国遊廓案内』!!」「今から60年前に刊行された色街ガイドブック、『全国女性街ガイド』を完全復刻!!」「800ページ超180ヶ所の大著 全国の花街・遊廓・私娼窟を紹介」……これらはみな「カストリ出版」という、現在進行形で活動中の出版社によって販売されている書籍の紹介文である。  花街や遊廓というと遠い昔の話に感じたり、今もあるのかもしれないけど、表立った情報の極端に少ないタブーなテーマに思えたり、どちらにしても日常とは縁遠い世界であるような気がする。都市伝説に近い感覚。  しかし、カストリ出版が作っている本を手に取ってパラパラめくると、幻のようなものに感じていた世界が、ある時代までは確実に日本全国に無数に存在し、そこに多くの人々が行き交っていたことをゾワッとリアルに感じる。圧倒的な情報量に頭がぼーっとしてきつつも、面白すぎて読むのがやめられない。  例えば、昭和4年発行の『全国遊廓案内』では、日本各地の遊廓の妓楼・娼妓の数、サービスにかかる料金等が500ページ近くにわたって書きつづられているし、昭和30年発行の『全国女性街ガイド』はさらに生々しく、どこの地方の芸者はどんな性格で、どんなふうに遊ぶのがおすすめで、というような情報を著者が情感たっぷりに語り続ける。知らない世界をのぞき見ているような気分だ。  カストリ出版は、遊廓や色街といったものに関する書籍を復刻・販売する出版社で、扱っているものはどれも稀少本として、市場では当たり前のように数万円以上の価格で取引されているものばかり。面白い試みだと思いながら……なぜこのような狭いテーマに絞って活動しているのか、またどんな人がやっているのか? 代表者である渡辺豪さんに話を聞いた ――カストリ出版は、何人ぐらいでやられているのでしょうか? 「基本的には私ひとりです。一部外注でお手伝いしてもらっていますが、ほぼひとりでやっています」 ――そうなんですか! 個人出版社ということなんですね。 「カストリ出版は、2014年末からスタートして、現在までに10タイトルほどをリリースしています。私自身、遊廓や赤線(1946~58年の間に、半公認で売春が行われていた地域。警察が地図上の該当エリアを赤い線で囲ったことに由来)というテーマが大好きで、遊廓跡を調査してブログを書いていたので『好きなことを仕事にした』と言ってしまえば身もフタもないのですが、多少なりとも考えたところがあるとすれば、『遊廓の情報を残したい』というのが復刻しようと思った理由ですね」 ――具体的には、どのような本を復刻されているのでしょうか? 「私が最初に復刻した『全国女性街ガイド』という本は、古書マニアの中では3~5万円前後の値段で取引されている稀少本です。しかも、5万円出せばいつでも買えるというものではなく、まれに市場に出て、やっとその価格で買えるというものです。中身は売春防止法直前に全国の売春街350カ所あまりを取材して書かれたという、とんでもない本です。また、終戦直後に大変な勢いで生まれた『カストリ雑誌』の中から、売春街に関する記事を選り抜きした本なども出版しています」
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戦後の一時期には、約1,000種類も存在したというカストリ雑誌
――復刻にあたっての作業というのは、どのように行っているのでしょうか? 「文章はすべて手で打ち直して、テキストデータにしています。当時の書籍は活字が物理的に欠けていたり、印刷から半世紀、ヘタしたら1世紀近くたっていて不鮮明なので、一度データ化して、イチから作り直しています。写真・図版は1点ずつスキャンしています。テキストのデータ化は、かなりキツイです(笑)。写経のような感覚ですかね。先頃出した『全国花街めぐり』は800ページ以上ある大作なので、半年ほどかかってしまいました」
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『全国花街めぐり』の原著。市場では数万円の価格がつく
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各地の花街の人気芸者などの写真も多数
――カストリ出版の書籍は、パッと見ると高額なものも多いですが(例えば『全国女性街ガイド』は1冊5,400円)、そういった地道な作業の末に復刊されていることを思うと、決して高くはないかもしれませんね。 「5万円の本では、中身がどれほど良くても情報が行き渡りません。古本で買うよりはずっと安く、そしていつでも買えるようにすれば、遊廓・赤線について興味を持った方が調査していく上で有用な情報の提供になると思っています。また、原著をそのまま復刻するのではなく、関連する稀少な資料を付録として収録したりと、『原著以上の価値がある本』を目指しています」 ――カストリ出版の本の中で、特に初心者向けにおすすめなものはありますか? 「『全国遊廓案内』ですね。北から南まで、果ては外地まで、全国各地の遊廓が記載されていて、おそらく皆さんの地元の欄にも遊廓を見つけることができるんじゃないでしょうか? 著者が不明という謎に包まれた本ですが、新しい発見のある、興味の尽きない本です」 ――どんな人がカストリ出版の本を買うのですか? 「驚いたのですが、半分ぐらいが女性のようです。内容的には、女性にとってはこれまでタブー的なところが強かったものだと思いますが、時代が下ったこともあって、素直に自分の興味を表明できる環境になっているのかもしれません」 ――カストリ出版が掲げるテーマは、内容としてはタブーな部分というか、今の法に照らせば違法になりますし、なんというか、難しいですよね 「遊廓や売春の是非については、皆さんそれぞれ思うところがあって当然だと思います。ただ、今はできるだけ多くの情報を後世に伝えるほうが重要じゃないかと思っています。すでに遊廓や赤線は(一部の地域を残して)制度そのものが消滅しているから、今このタイミングで是非判断することにあまり意義を感じません。遊廓建築の多くは、ここ数年、これまでにないスピードで取り壊されているようです。直感的には今後10年ぐらいで、遊廓建築の多くが消滅していくのではないかと思っています。タブーだからと、なかったことにするのではなく、ありのままの情報を残していくことにこそ価値があると思います」 ――今後の展望は? 「現在は遊廓・赤線を専門に本を出していますが、それ以外のテーマも手掛けたいですね。遊廓や赤線は、落語・絵画・文芸・音楽・着物・工芸など、日本のさまざまな文化に影響を与えてきました。そういった遊廓周辺のテーマも、相当面白いと思います。また、赤線建築をモチーフにした服飾雑貨や、当時の洋服を着たパンパンガール人形なども作ってみたいと真面目に考えています(笑)。こういったテーマに興味のあるクリエイターの方は、ぜひご連絡いただきたいです。コラボ募集中です!」 ***  渡辺さんは30代後半と予想以上にお若く、過去の日本に確かに存在した物事をポジティブな視点で未来につなげていく柔らかな視点と熱い気概を感じた。また、個人でここまでできるのかー! と、新しい出版のあり方としても、とても刺激的だった。カストリ出版の今後の動向が楽しみだ! (取材・文=スズキナオ) ●カストリ出版 https://kastoripub.stores.jp/