今年こそ出かけよう! 黒部の秘境を貫く「高熱隧道」見学ツアー

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 富山県には、一般人が乗車できない鉄道が2本も存在する。その一つが関西電力黒部専用鉄道である(もうひとつは、国土交通省立山砂防工事専用軌道)。この鉄道は、黒部峡谷鉄道の欅平駅から黒部第四発電所まで約6.5キロメートル。黒部川にある関西電力の水力発電所を管理するために存在する鉄道だ。黒部の秘境を貫く、この鉄道をぜひ、みんなにも体験してもらいたいと思いを込めてレポートする。  この鉄道に乗車するのは、案外簡単だ。関西電力が毎年行う「黒部ルート」には「小学校5年生以上で、乗り物の昇降や階段の歩行に支障がない方」であれば、誰でも応募できるので、これに当選すればいい。毎年3月頃から応募が始まり、見学会は5月末から11月初めまで2011年度には計34回開催されている。ただ、倍率は高めだ。見学ルートは欅平駅を出発するルートと黒部ダムを出発するルートとがあるが、休みが取りやすそうな夏の金曜日(開催は平日のみ)は応募倍率が最高7.3倍(2011年度)にもなる。シーズン前後の水曜日開催などは倍率は低いが、近県以外では前日泊が必須になる。これが、参加を厳しくすることになる。
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一般旅客向け列車も走っているが、シーズンオフで登山道なども整備中のため乗客はほとんどおらず。
 というわけで、応募したのはシーズンオフの欅平駅出発ルート。朝9時20分に集合とのことだが、その時間に到着するためには、黒部峡谷鉄道の始発駅のある宇奈月温泉に一泊して7時発の列車に乗らなくては到着不可なので、前日の夕方に宇奈月温泉に到着した。  到着して驚いたのは、シーズンオフの温泉のわびしさ。観光客は、ほとんどいないし店も、ほとんどが夕方5時には早くも閉店。メシを食べようと思ったら、コンビニと食堂が、一軒ずつ......。うん、山奥に来た気分になってきたぞ!  冬の厳しい黒部峡谷の維持管理は、大変な仕事だ。早い話、どこかが壊れたら発電所が停止してしまうので、一年中なにかしらの工事が行われているわけだ。観光鉄道である黒部峡谷鉄道は冬になると運休するので、線路沿いに設けられたコンクリートで覆われた通路を歩いて欅平駅へ向かうという。距離にして20キロあまり、トロッコ電車で1時間あまりの距離を歩いて向かうとは驚きである。それでも開通した昭和12(1937)年頃には、乗車の際に「生命の保証はしない」旨が書かれていたというから、マシになったというべきだろうか。  富山県出身の室井滋による観光アナウンスを聞きながら、景色を眺めているうちに電車は、欅平駅に到着。観光鉄道はここまでで、ここから先は関西電力の専用軌道となる。欅平駅を降りると、観光客がいっぱい! と思ったら工事関係の人たちだった。工事関係者も、ここからさらに奥へと向かうので、そのための専用列車も走っているのだ。
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こんな季節から観光客が?と思ったら工事関係のみなさんでした
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冬は、このコンクリートで覆われた通路を利用するのだとか。一度歩いてみたい
■巨大エレベーターの先に  再度、欅平駅からトロッコ電車に乗車。ここから先は、一般人乗車不可の路線。これで数百メートル進んで下車してからが本番だ。  トンネルの奥にあるのは、巨大な竪坑エレベーターだ。これは急勾配すぎて鉄道を延ばせないので建設されたもの。このエレベーターで標高599メートルから標高800メートルまで一気に上昇。ビルにして50階分の高さだ。このエレベーターが竣工したのは昭和14年、戦前の日本にすでに、このような技術力があったとは驚きだ。
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竪坑エレベーターは、車両をそのまま積み込めるようにレールも備えられている
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ここから見学終了までヘルメット着用厳守。観光ルートじゃないので、マジに危険と隣り合わせかも
 エレベーターを降りると、そこは欅平上部駅。専用軌道で一般人は乗車できないけど、ちゃんと駅である。駅名表示板も、時刻表も、待合室だってあるのだから。
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専用軌道だけれど、ちゃんと駅名表示が
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ちゃんと待合室も設置されてる
 ここから、仙人谷を経由して黒部第四発電所まで関西電力上部専用軌道は6.5キロメートル。ほとんどの区間が、トンネルの中だ。そして、ここから仙人谷までの間に、この見学会のメインともいうべき「高熱隧道」がある。
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一部に素掘りが残るトンネル。この先に「高熱隧道」がある
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途中の仙人谷にある工事関係者の宿舎へ食材を運ぶ重要なルートでもある
 昭和11(1936)年に開始された仙人谷ダムを建設から始まった黒部川第三発電所の発電事業。秘境の谷には、人間ひとりのすれ違いも困難な隘路しかなく、資材運搬にはトンネルを掘り、トロッコを運搬するしかなかった。そこで当時の日本電力によって建設されたのが、この専用軌道だ。  ところが工事は難航した。トンネルを掘り進めているうちに、岩盤の温度が以上に高い区間に突き当たったのだ。岩盤温度は摂氏100度にも上昇(最大165度になったという)し、急遽、黒部川の水をくみ上げて作業員にかけながら作業を進めることに。もちろん、焼け石に水である。まるで温泉の中で作業しているような具合になり、次々と作業員は倒れる、さらに熱でダイナマイトが自然発火する爆発事故も発生。冬には雪崩で飯場が峡谷の対岸まで吹き飛ばされ80名以上は死亡する事故も起こった。ダムが完成し発電が開始されたのは昭和15(1940)年。それまでに死者は300人を超えた。軍需産業のために電力が欠かせなかった当時だからできた人海戦術の工事、現在では不可能な事業だろう。  現在は、トンネルで貫かれたことで岩盤温度も下がっているが、それでも危険なため列車は独特の耐熱車両だ。狭い列車で膝を寄せ合いながらこのトンネルの難工事の説明を、イラスト入りで解説してもらっていると、ついに列車は高熱区間に。扉を開けてもらうと、熱風ではなく、生暖かい空気が流れ込んでくる。と、思ったら、あっと言う間に高熱区間は終了。吉村昭の小説『高熱隧道』でも書かれた、日本史上有数の難工事区間も、尊い犠牲のおかげで、難なく通過できるのである。
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舐めてたけど、窓ガラスが曇るくらいまでは温度は上昇。ぬるいサウナくらい
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この仙人谷ダムを建設するために、多くの尊い人命が失われた
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こちらの駅名表示は、けっこう立派
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食料は、ここまで
■「みゆき部屋」って何?  見学会は、仙人谷ダムの全景を眺めて、黒部第四発電所で美味しい水をもらって、発電所のタービンを見学していく。  黒部第四発電所には中島みゆきが、紅白歌合戦で「地上の星」を生中継で歌った時の控室があり、今でも「みゆき部屋」として語り継がれているのだとか。また、トンネルの途中の中島みゆきが歌った場所にはパネルが掲示してあるそうだけれど、暗くて何も見えず。中島みゆきネタはさらに続き、発電所から黒四ダムへ向かうインクライン(早い話がケーブルカー)の車内では、紅白の時の録画映像の鑑賞会が。関係者には、よっぽど嬉しい出来事だったのだろうか。途中で歌詞を間違えたところでは「ここで間違えたおかげで、口パクじゃないって証明できるんですよ」とフォロー(?)まで。
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関係者以外は、見学会参加者しか訪れない発電所だが、玄関は綺麗
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発電所のタービンは工事中。これ、全部地下にあるんだぜ......
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制御室は、現在は遠隔操作。整備の時以外はまったく無人で発電できるのだ
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「前駅」と書いてあるけど、ここからインクラインとバスを乗り継いでだいぶかかります
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ケーブルカーみたいなのが来ると思っていたら、特撮映画に出てきそうな乗り物がやってきた
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その車内で係の人が「まってました」とばかりに棚の扉を開けるとテレビが。インクラインで上昇しながら、中島みゆき鑑賞会
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帰りに見つけた、信濃大町駅のトイレ。
 見学会は、さらに「黒部トンネル内専用バス」という、これも関係者専用のトンネルを通過するバスに乗って黒四ダムまで続いていく。そのまま黒四ダムで現地解散だが、ここから人が住む町まで戻るのも一苦労だ。立山黒部アルペンルートを通って富山県方面へ抜けるか、トロリーバスとバスを乗り継いで長野県側の信濃大町まで向かうかである。筆者は、信濃大町方面へ向かったが、料金は合計で3,000円あまり。路線整備のために高額な費用のかかる路線であることを実感させる。  毎年開催される見学会だが、大々的な募集は行われず、2~3月頃から富山県と関西電力のサイトで、ひっそりと告知されるのみ。  応募期間を見逃さず、普段は行けない秘境に行ってみよう。 (取材・文=昼間たかし)
高熱隧道 (新潮文庫) [文庫] 泡雪崩こわいです。。。 amazon_associate_logo.jpg
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サイキックかマジックか……ユリ・ゲラーの弟子に向けられる疑問

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『ビートたけしの禁断のスクープ大暴露!!超常現象SP(秘)Xファイル』テレビ朝日
UMA、心霊現象、都市伝説、オカルト......科学や情報技術が発達した現代でも、今なお話題に上がり続ける真贋不明な有象無象を、"摩訶不思議"のオーソリティー・山口敏太郎が縦横無尽にぶった斬る  昨年末、大槻教授のブログが話題に上った。年末恒例のテレビ朝日『ビートたけしの超常現象Xファイル』に登場したユリ・ゲラーの弟子・リオー・スシャール氏のマジック(?)の種に関して、大槻教授が推理を展開しているのだ。  幾つか教授らしい興味深い推論が展開されているが、そもそもマジシャンの種明かしは野暮天の極みのように思えてしまう。これは筆者の推論に過ぎないが、大槻教授は、マジックでありながら"超能力(サイキック)"と主張するリオーサイドの言説が紛らわしいと言いたいのではないだろうか。  リオー氏は2010年、2011年と2年連続の出演となったが、番組共演者の大部分は、リオー・スシャール氏のことは"なかなか種が見破れない優秀なマジシャン"という認識で見ていた。感覚的に言うと"超魔術"のMr.マリックみたいなもので、視聴者の大部分も、"超能力(サイキック)"ではなく"マジック(手品)"だと思いながら見ていたのではないだろうか。  2011年の収録では、筆者こと山口敏太郎は後半に出演したが、同じ収録現場におり至近距離で見事なテクニックを見せてもらった。彼は、かつて世界中で超能力ブームを巻き起こしたユリ・ゲラーのフォロワーを探すべくイスラエルで開催された『ネクスト・ユリゲラーを探せコンテスト』(我々日本人で言うと『21世紀の石原裕次郎を探せコンテスト』みたいなものだろうか)で優勝し、名をあげた新手のエンターテイナーである。
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筆者・山口(右)とリオー氏
 コンテストでは人格・エンタメ性・サイキックなど数々のチェック項目を設け、審査員や観客が厳正に審査し投票。その結果優勝者に選ばれただけあって、人間性も良くファンサービスにも長けた好人物であった。筆者はスタジオだけではなく、新聞の対談で一度長く話しているので、非常に頭の良いエンターテイナーであり、21世紀のショービジネスには必要不可欠な存在だと思っている。  ただし、日本での展開に関して問題が無いわけではない。彼の基本コンセプトなのだろうか。明らかに種があるように思えるにもかかわらず「マジックではない超能力(サイキック)である」と主張するスタイルである。  見る人々を煙に巻くスタイルは、「ハンドパワー」と唸っていた初期のMr.マリックをも彷彿させる。この初期のマリックスタイルはオカルト否定論者の上岡龍太郎を激怒させ、Mr.マリック自身が"種がある"と公言していくソフト路線への転向につながっていく。このあたりのくだりが、今回の大槻教授の指摘と似ているように思えてならない。  どちらにしろ、マジシャンの種は"やらせ"ではなく、それは批判の対象にすべきではない。問題なのは演技の途中で、「マジックですよね?」と聞く共演者に対して「超能力(サイキック)である」と答えてしまうオーバートークであると思う。欧米人が笑って気にしない"超能力とマジックの違い"、その違いを我々日本人は気にしてしまうのだ。 (文=山口敏太郎) yamaguchibintaro200.jpg ●やまぐち・びんたろう 1966年7月20日生まれ、徳島県出身。血液型AのRHマイナス。作家・漫画原作者・ライター・オカルト研究家などさまざまな肩書を持つ。UMAや心霊・都市伝説など、あらゆる不思議分野に精通する唯一のオールラウンドプレイヤー。
2012年!!恐怖の人類滅亡預言の真実 巨匠!山口敏太郎B-FILEシリーズ B-FILE。 amazon_associate_logo.jpg
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「snoozer」「ぱふ」……およそ200誌 2011年休刊雑誌クロニクル

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「snoozer」最終号
 言わずもがな不況続きの出版業界。「Kindle」や「iPad」が華々しく登場し、「次は電子出版の時代だ!」とその一筋の光に数々の出版社が先行投資するも、フタを開けてみれば継続的に売れているのは携帯電話向けのエロ漫画くらいのもの。電子書籍が広まっている欧米と違い、日本人はエロでヲタクな電子化にしかお金を落とさない現状......。  そんな中、今年は「ぴあ」(ぴあ)、「PS」(小学館)、「MISTY」(実業之日本社)、「この映画がすごい!」(宝島社)、「PC fan」(毎日コミュニケーションズ)をはじめ定期刊行物がバタバタと休刊・廃刊。2011年のその数は、メジャー誌から専門誌までおよそ200誌にも及ぶ。今は亡き雑誌たちを、敬意を表していくつか思い起こしてみたい。 hanachu2011.jpg ●「Hana* chu→(ハナチュー)」 (主婦の友社/4月1日発売号にて休刊)  「花の中学生」が由来の誌名で2003年に創刊。成海璃子や北乃きい、南明奈らがモデルを務め、全盛期は約15万部を発行。しかし競合誌である「nicola」(新潮社)、「ラブベリー」(徳間書店)、「ピチレモン」(学研パブリッシング)との四つ巴の戦いに負け、発行部数は約半分まで落ち込んでしまった。

snoozer2011.jpg ●「snoozer(スヌーザー)」 (リトル・モア/6月18日発売号にて休刊)  「渋谷系」の名付け親としても知られる音楽評論家の田中宗一郎氏が1997年に創刊した隔月刊誌。日本のアーティストではくるりをよく取り上げ、終刊号の表紙も彼らであった。ちょっと引くくらいにアーティストに心酔するような文体は、良くも悪くも独特。それは田中氏による休刊の挨拶からも十分伝わるだろう。「どれだけ客観的に見ても、ここ十数年、こんなにも熱烈に愛され、必要とされた雑誌はなかった。時として我々は、あなたのことを家族よりも近しい存在のように感じていました」とか。

pahu2011.jpg ●「ぱふ」 (雑草社/6月30日発売号にて休刊)  少女漫画やBLを中心に漫画情報全般を取り扱う月刊誌。同人誌即売会のスケジュールなども掲載されており、30年以上に渡り腐女子のバッグにヌルッと忍ばされていた。休刊理由は明らかではないが、雑草社の他の刊行物もほぼ同時期に休刊しているため、版元の倒産が噂されているが真相は不明。ちなみに、"けもこびる"ことデビュー前の高橋留美子先生なども同誌で作品を発表していた。

owaraipoporo2011.jpg ●「お笑いポポロ」 (麻布台出版/8月6日発売号にて休刊)  アイドル誌「ポポロ」の姉妹誌として2002年に創刊。女子中高生向けにお笑い芸人をアイドルのように取り上げ、主にインタビューを掲載していた。「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)などネタ番組の終了を追いかけるように休刊。

popsister2011.jpg ●「PopSister(ポップシスター)」 (角川春樹事務所/9月17日発売号にて休刊)  ギャルファッション誌「Popteen」のお姉さん雑誌として創刊。専属モデルに益若つばさ、菅野結以、小森純などのカリスマモデルが多数いたが、数あるお姉ギャル誌に押され約1年半の歴史に幕を閉じた。

GAKUMANplus2011.jpg ●「GAKUMANplus(ガクマンプラス)」 (小学館/10月3日発売号にて休刊)  2009年に休刊した「小学五年生」及び「小学六年生」の事実上の後継誌として、2010年春に創刊。「世界初(!?)の学習まんが専門誌!!」を謳い、『名探偵コナン』の青山剛昌先生や『Dr.コトー診療所』の山田貴敏先生など豪華執筆陣が連載していた。TVCMも多く放送されたが、1年半足らずで休刊。小学館の代名詞でもある小学生向け学習誌は、このまま廃れてしまうのだろうか。

genshiryokueye2011.jpg ●「原子力eye」 (日刊工業新聞社/10月8日発売号にて休刊)  創刊は原子力基本法が制定された1955年。57年もの長きに渡り、原子力界をリードする専門誌として原子力発電を中心に、医療や食品などの放射線利用など幅広く取り上げてきた。版元サイトの「福島第一原発事故はなお深刻な状況が続いています。(中略)こうした重大局面で、休刊のやむなきに至ったことは残念でなりません」との文面に胸が痛む。ちなみに終刊号の特集は「原子力の解体的な再出発への提言」「汚染地域の本格的な除染に向けて」。

gekkayo2011.jpg ●「歌謡曲ゲッカヨ」 (ブティック社/11月24日発売号にて休刊)  1979年に「月刊歌謡曲」として創刊。「歌いたくって仕方がないヴォーカル・フリークのための日本一ハッピーに歌える元祖譜面雑誌!!」を謳い、流行のJ-POPを中心に300曲以上を掲載していた。小室ファミリー全盛期など流行歌がはっきりしていた時代には部数を伸ばしたが、人々の音楽の趣向も多様化してしまい部数が激減してしまった。

 最後に、"決して雑誌が悪いわけではない! 買わない消費者が悪いのだ!"......と、何となくフォローしたところで、いつか復活できるその日までどうか安らかにお眠りください(合掌)。 (文=林タモツ)
サイゾー 2011年 12月号 サイゾー買ってください!! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・すでに100誌近くが......「ぴあ」「PS」だけじゃない2011上半期 休刊雑誌クロニクル「有名雑誌が次々と...」'08休刊雑誌プレイバック"編集者のバイブル"もついに...月刊誌「編集会議」が休刊へ

「snoozer」「ぱふ」……およそ200誌 2011年休刊雑誌クロニクル

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「snoozer」最終号
 言わずもがな不況続きの出版業界。「Kindle」や「iPad」が華々しく登場し、「次は電子出版の時代だ!」とその一筋の光に数々の出版社が先行投資するも、フタを開けてみれば継続的に売れているのは携帯電話向けのエロ漫画くらいのもの。電子書籍が広まっている欧米と違い、日本人はエロでヲタクな電子化にしかお金を落とさない現状......。  そんな中、今年は「ぴあ」(ぴあ)、「PS」(小学館)、「MISTY」(実業之日本社)、「この映画がすごい!」(宝島社)、「PC fan」(毎日コミュニケーションズ)をはじめ定期刊行物がバタバタと休刊・廃刊。2011年のその数は、メジャー誌から専門誌までおよそ200誌にも及ぶ。今は亡き雑誌たちを、敬意を表していくつか思い起こしてみたい。 hanachu2011.jpg ●「Hana* chu→(ハナチュー)」 (主婦の友社/4月1日発売号にて休刊)  「花の中学生」が由来の誌名で2003年に創刊。成海璃子や北乃きい、南明奈らがモデルを務め、全盛期は約15万部を発行。しかし競合誌である「nicola」(新潮社)、「ラブベリー」(徳間書店)、「ピチレモン」(学研パブリッシング)との四つ巴の戦いに負け、発行部数は約半分まで落ち込んでしまった。

snoozer2011.jpg ●「snoozer(スヌーザー)」 (リトル・モア/6月18日発売号にて休刊)  「渋谷系」の名付け親としても知られる音楽評論家の田中宗一郎氏が1997年に創刊した隔月刊誌。日本のアーティストではくるりをよく取り上げ、終刊号の表紙も彼らであった。ちょっと引くくらいにアーティストに心酔するような文体は、良くも悪くも独特。それは田中氏による休刊の挨拶からも十分伝わるだろう。「どれだけ客観的に見ても、ここ十数年、こんなにも熱烈に愛され、必要とされた雑誌はなかった。時として我々は、あなたのことを家族よりも近しい存在のように感じていました」とか。

pahu2011.jpg ●「ぱふ」 (雑草社/6月30日発売号にて休刊)  少女漫画やBLを中心に漫画情報全般を取り扱う月刊誌。同人誌即売会のスケジュールなども掲載されており、30年以上に渡り腐女子のバッグにヌルッと忍ばされていた。休刊理由は明らかではないが、雑草社の他の刊行物もほぼ同時期に休刊しているため、版元の倒産が噂されているが真相は不明。ちなみに、"けもこびる"ことデビュー前の高橋留美子先生なども同誌で作品を発表していた。

owaraipoporo2011.jpg ●「お笑いポポロ」 (麻布台出版/8月6日発売号にて休刊)  アイドル誌「ポポロ」の姉妹誌として2002年に創刊。女子中高生向けにお笑い芸人をアイドルのように取り上げ、主にインタビューを掲載していた。「爆笑レッドカーペット」(フジテレビ系)などネタ番組の終了を追いかけるように休刊。

popsister2011.jpg ●「PopSister(ポップシスター)」 (角川春樹事務所/9月17日発売号にて休刊)  ギャルファッション誌「Popteen」のお姉さん雑誌として創刊。専属モデルに益若つばさ、菅野結以、小森純などのカリスマモデルが多数いたが、数あるお姉ギャル誌に押され約1年半の歴史に幕を閉じた。

GAKUMANplus2011.jpg ●「GAKUMANplus(ガクマンプラス)」 (小学館/10月3日発売号にて休刊)  2009年に休刊した「小学五年生」及び「小学六年生」の事実上の後継誌として、2010年春に創刊。「世界初(!?)の学習まんが専門誌!!」を謳い、『名探偵コナン』の青山剛昌先生や『Dr.コトー診療所』の山田貴敏先生など豪華執筆陣が連載していた。TVCMも多く放送されたが、1年半足らずで休刊。小学館の代名詞でもある小学生向け学習誌は、このまま廃れてしまうのだろうか。

genshiryokueye2011.jpg ●「原子力eye」 (日刊工業新聞社/10月8日発売号にて休刊)  創刊は原子力基本法が制定された1955年。57年もの長きに渡り、原子力界をリードする専門誌として原子力発電を中心に、医療や食品などの放射線利用など幅広く取り上げてきた。版元サイトの「福島第一原発事故はなお深刻な状況が続いています。(中略)こうした重大局面で、休刊のやむなきに至ったことは残念でなりません」との文面に胸が痛む。ちなみに終刊号の特集は「原子力の解体的な再出発への提言」「汚染地域の本格的な除染に向けて」。

gekkayo2011.jpg ●「歌謡曲ゲッカヨ」 (ブティック社/11月24日発売号にて休刊)  1979年に「月刊歌謡曲」として創刊。「歌いたくって仕方がないヴォーカル・フリークのための日本一ハッピーに歌える元祖譜面雑誌!!」を謳い、流行のJ-POPを中心に300曲以上を掲載していた。小室ファミリー全盛期など流行歌がはっきりしていた時代には部数を伸ばしたが、人々の音楽の趣向も多様化してしまい部数が激減してしまった。

 最後に、"決して雑誌が悪いわけではない! 買わない消費者が悪いのだ!"......と、何となくフォローしたところで、いつか復活できるその日までどうか安らかにお眠りください(合掌)。 (文=林タモツ)
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故デニス・ホッパーの愛息が好演!  優しくて切ない『永遠の僕たち』

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ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
 娯楽大作の話題が先行しがちな正月映画シーズンだが、派手さこそないものの心に染みる珠玉作、深く考えさせられる秀作も見逃せない。1年を振り返り新しい年を迎えるこの時期にふさわしい、静かな感動をもたらす青春ドラマと、さまざまな気づきを与えてくれるドキュメンタリーの2本を紹介しよう。  現在公開中の『永遠の僕たち』は、死にとらわれた若い男女の愛と再生を描く、ピュアでユニークで少し奇妙なラブストーリー。交通事故で両親を亡くした少年イーノックは、事故で臨死体験をして以来、自分だけに見える旧日本軍特攻隊員の幽霊・ヒロシと会話や戦艦ゲームに興じて過ごしている。見知らぬ故人の葬式に親戚のふりをして列席していたある日、子どものガン患者のためにボランティアをしているという少女アナベルと出会う。共に過ごすうち少しずつ心を開いていくイーノックだったが、アナベルに0はある秘密があった......。  監督は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)『エレファント』(2003)「『ミルク』(08)のガス・ヴァン・サント。若者の疎外感と葛藤、生と死のはざまで揺れる心情を、親密な雰囲気の美しい映像で表現した。イーノック役を演じた故デニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパーと、ベリーショートの髪がよく似合うアナベル役ミア・ワシコウスカ(『アリス・イン・ワンダーランド』、2010)のピュアな佇まいに、特攻兵姿のヒロシ役・加瀬亮が違和感なく共存。詩のように優しく切ない映像世界と愛おしい登場人物たちに、いつまでも浸っていたくなる。  もう1本の『第4の革命 エネルギー・デモクラシー』は、再生可能なエネルギーがテーマのドキュメンタリー(東京で公開中、2012年1月以降全国で順次公開)。ドイツで2つの主要な再生エネルギー法を制定させ、風力発電と太陽光発電の急速な普及に貢献したヘルマン・シェーア氏をナビゲーターに、各国の環境活動家、ノーベル賞受賞者、政治家、起業家らが、再生可能エネルギーへの移行を30年以内に実現できることをそれぞれ分析し、紹介する。  2010年にドイツで最も見られたドキュメンタリー映画。3.11後にはテレビ放映され200万人が視聴したことでエネルギーシフトの世論が高まり、原発事故の"当事者"である日本より先にドイツ政府が脱原発を決定することになった。太陽光・風力・水力・地熱といった各種の自然エネルギー源の可能性が語られるだけでなく、エネルギーの地産地消による地域活性化の成功例などビジネスのヒントも盛り込まれている。日本で今後エネルギーをめぐる建設的な議論が活発化するためにも、参考になり得る作品といえそうだ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『永遠の僕たち』作品情報 <http://eiga.com/movie/55280/> 『第4の革命 エネルギー・デモクラシー』作品情報 <http://eiga.com/movie/57414/>
グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~ いい映画です。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・ハリウッドスターが続々登場 映画『ニューイヤーズ・イブ』が豪華すぎる!米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決!ヒット確実!? 一足早いお正月娯楽映画『リアル・スティール』『ピザボーイ』

故デニス・ホッパーの愛息が好演!  優しくて切ない『永遠の僕たち』

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ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
 娯楽大作の話題が先行しがちな正月映画シーズンだが、派手さこそないものの心に染みる珠玉作、深く考えさせられる秀作も見逃せない。1年を振り返り新しい年を迎えるこの時期にふさわしい、静かな感動をもたらす青春ドラマと、さまざまな気づきを与えてくれるドキュメンタリーの2本を紹介しよう。  現在公開中の『永遠の僕たち』は、死にとらわれた若い男女の愛と再生を描く、ピュアでユニークで少し奇妙なラブストーリー。交通事故で両親を亡くした少年イーノックは、事故で臨死体験をして以来、自分だけに見える旧日本軍特攻隊員の幽霊・ヒロシと会話や戦艦ゲームに興じて過ごしている。見知らぬ故人の葬式に親戚のふりをして列席していたある日、子どものガン患者のためにボランティアをしているという少女アナベルと出会う。共に過ごすうち少しずつ心を開いていくイーノックだったが、アナベルに0はある秘密があった......。  監督は『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)『エレファント』(2003)「『ミルク』(08)のガス・ヴァン・サント。若者の疎外感と葛藤、生と死のはざまで揺れる心情を、親密な雰囲気の美しい映像で表現した。イーノック役を演じた故デニス・ホッパーの息子ヘンリー・ホッパーと、ベリーショートの髪がよく似合うアナベル役ミア・ワシコウスカ(『アリス・イン・ワンダーランド』、2010)のピュアな佇まいに、特攻兵姿のヒロシ役・加瀬亮が違和感なく共存。詩のように優しく切ない映像世界と愛おしい登場人物たちに、いつまでも浸っていたくなる。  もう1本の『第4の革命 エネルギー・デモクラシー』は、再生可能なエネルギーがテーマのドキュメンタリー(東京で公開中、2012年1月以降全国で順次公開)。ドイツで2つの主要な再生エネルギー法を制定させ、風力発電と太陽光発電の急速な普及に貢献したヘルマン・シェーア氏をナビゲーターに、各国の環境活動家、ノーベル賞受賞者、政治家、起業家らが、再生可能エネルギーへの移行を30年以内に実現できることをそれぞれ分析し、紹介する。  2010年にドイツで最も見られたドキュメンタリー映画。3.11後にはテレビ放映され200万人が視聴したことでエネルギーシフトの世論が高まり、原発事故の"当事者"である日本より先にドイツ政府が脱原発を決定することになった。太陽光・風力・水力・地熱といった各種の自然エネルギー源の可能性が語られるだけでなく、エネルギーの地産地消による地域活性化の成功例などビジネスのヒントも盛り込まれている。日本で今後エネルギーをめぐる建設的な議論が活発化するためにも、参考になり得る作品といえそうだ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『永遠の僕たち』作品情報 <http://eiga.com/movie/55280/> 『第4の革命 エネルギー・デモクラシー』作品情報 <http://eiga.com/movie/57414/>
グッド・ウィル・ハンティング~旅立ち~ いい映画です。 amazon_associate_logo.jpg
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計7時間!!『境界線上のホライゾン』にXmasイブイブの夜が燃えた!

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(C)川上稔/アスキー・メディアワークス/境界線上のホライゾン製作委員会
 Blu-rayの売上が好調、一気に秋アニメの主役に躍り出た『境界線上のホライゾン』。その第1期終了を飾る、1話から12話までのオールナイト一挙上映+最終13話先行上映会「境界線上のホライゾン オールナイト上映会~きみとあさまで~」が、12月23日の23時から翌朝の6時まで、東京・新宿の角川シネマ新宿 シネマ1にておこなわれた。  『境界線上のホライゾン』は川上稔の同名ライトノベル(電撃文庫/アスキー・メディアワークス刊、キャラクターデザイン原案:さとやす[TENKY])を原作としたテレビアニメ。原作小説は既に一定の認知度を得ていたが、平成の三国志演義とでも言うべき登場人物の多さ、世界設定の複雑さ、本の厚さから、原作になじみのない新規視聴者に理解を得られるかを危ぶむ声も放送開始以前にはあった。  しかし実際にはこの23日のイベント中、MCが「アニメから入った人はどのくらいいますか」と訊ねた際に、7割から8割に迫る観客が挙手をしたことによっても裏付けられるように、独特の作品世界に魅了された新規ファンが続出。Blu-rayのAmazonランキング上位進出につながっていた。  オリコンチャート初登場となった12月21日付のBlu-ray総合デイリーランキングでは『境界線上のホライゾン 1【初回限定版】』が安室奈美恵の『namie amuro LIVE STYLE 2011』を抑えて2位にランクイン。1位の『TIGER & BUNNY 8(初回限定版)』とともにサンライズ/バンダイビジュアル勢のアニメ作品がワンツーフィニッシュを果たした。  思えば『タイバニ』もノーマークの状態から大ヒットアニメへと躍進した先例。同一レーベルから一年に2作ものサクセスストーリーが誕生したことはたいへんな驚きと言える。  深夜アニメの世界ではBlu-rayのセールスが1万枚を超えるとヒット作、と言われるが、『境界線上のホライゾン』はまさにそうしたタイトルのひとつになった。  クリスマス三連休初日の夜遅く、総計7時間にも及ぶ長丁場のイベントにもかかわらず、会場はチケットを握りしめたファンで満席に。著名声優のトークショーがおこなわれること、同好の士と一気に全話を観られる、とりわけ最終話を世界の誰よりも早く観られることが、人々の心を揺り動かしたようだ。  開演に先立ち、まずサウンドトラックの発売日が1月25日に変更された旨が告知されたあと、注意事項のアナウンスの際、MCからこんなひとことが。 「お分かりの場合はJud.(ジャッジ)で答えていただければと思います。Tes.(テス)は認めません」  「Jud.」も「Tes.」も『境界線上のホライゾン』の舞台となる架空世界で通用する、了解に似た応答の言葉だが、「Tes.」は主人公と対立する勢力のもの。観衆はこれを了承して、一つひとつに「Jud.」と答える。この辺りの雰囲気は会場内架空貨幣が流通するSFコンベンションの類にも似てノリがいい。  トークショーにはホライゾン・アリアダスト役の茅原実里(写真左)、葵・喜美役の斎藤千和(中)、インノケンティウス役の中田譲治が登壇した。  挨拶の際に中田譲治は「今日、出がけにはスカートをはいてこようかなーと思ったけど、あんまり寒いんでパンツで来た人いますか」と魅惑の低音で問い、反応を探ったあとに怒声で「女なら女らしい恰好をしろ!」とキレ芸を演じる。これで場内のテンションがかなり上がった。  また、最終回にあたっての気持ちについて訊かれると「ぼくは昨日のおかずも思い出せない。キャラがいっぱい出るじゃないですか、だからあれ、これだっけ、と考えながら、なかなか筋に集中できなかったんですけれども。あらためて観直してみると、一人ひとりが個性的で、とってもかわいくて、ああこういう話だったんだ、このキャラいいじゃんというような発見がいくつもあったので、きょうは睡魔と戦って最後まで観ていただければ」とコメントした。  もう上映会が始まりそうな雰囲気だが、じつはトークショーはまだまだ続いた。 ・MIC(もっとも印象に残ったキャラクター=Most Impression Character)は誰 ・今後期待のキャラクター ・アフレコ中もっとも輝いていたキャストは誰 ・全話観直すならこの瞬間を見逃すな  MCがお題を出すたびに3人が答えていく。中田譲治の回答が軒並み長いうえ、ひとつに絞り切れないことがしばしばだったが、これは原作を読み込み、すっかりファンになっているからでもあるのだろう。  斎藤千和は見どころに関して「(自らが演じる喜美の)1話の......をノーカットで余すことなく聞いていただくことができる(※テレビ放送ではピー音になっていた部分の規制がBlu-rayでは外れている)、そこを楽しんでいただきたいです」「戦闘のシーンは本当に細かいところまで描かれています。ちょっと歩くだけでおっぱいが揺れたり(笑)。みんなが驚いているのに喜美だけ全然驚いていないとか、愚弟の行動に喜美だけ肯定的な表情をしている。それも見逃さずに。だから私は(台本に)一同と書いてあっても入れないことが多いんですよ。一同が驚いていても喜美だけ驚かないので。余裕を持った表情をしていたりするので、ぜひ大画面で観ていただきたいです」と語った。作り込みの細かさはたしかに『境界線上のホライゾン』のストロングポイント。その質が人気の源なのかもしれない。  このあと第2期放映時期が2012年夏に決まったと、PV内で発表。中田譲治は暗転時にアドリブで「Coming soon...」と重ねてノリノリだった。  2期への意気込みは、という質問に対して茅原実里は「1クールのアフレコが終わりまして。ここから物語が動くというか、始まる。(1クールかけて序章だった、とMCに答えられ)そうなんですよ。本当にそう思います。だから2期が私自身も楽しみです。いまお休みが寂しくて。毎週毎週、たくさんのみなさんに会ってアフレコさせていただいていたので。早く次のアフレコが始まらないかなという気持ちでいっぱいです」と答え、早くもやる気をみなぎらせている。  最後に最速先行上映された第13話には、弘中・隆包(CV:安元洋貴)、江良・房栄(CV:浅野真澄)、フアナ(CV:田中理恵)、フローレス・バルデス(CV:三瓶由布子)、ペデロ・バルデス(CV:川原慶久)といった「三征西班牙」の新キャラクターが登場。2期への布石が打たれた。  1期が序章に感じられる原作の長大なボリューム、1万枚を突破しそうなBlu-rayの売れ行きを考えれば、先々への期待も高まる。  プレゼント大会もあり、眠気にも負けずに盛り上がった上映会。納得感のある心地よい疲弊と2期への渇望を携えて大勢のファンは24日の日の出を迎えた。 (取材・文=後藤勝)
境界線上のホライゾン 〔Horizon on the Middle of Nowhere〕 2 1月27日発売! amazon_associate_logo.jpg
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コミケ超直前!「自爆行為!」のウワサまで……東方ホワイトキャンバス騒動の真相

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東方project フィギュア ねんどろいど 霧雨魔理沙
 本サイトでも既に報じている「東方Project」(以下、東方)。その原作者である、同人サークル・上海アリス幻樂団の代表・ZUN氏と同人ショップ・ホワイトキャンバスの間での批判の応酬、秋葉原界隈の同人誌ショップなどでは「ホワイトキャンバスの自爆行為」とささやかれていることが、取材によって明らかになった。東方が一大ジャンルに成長するまでに、少なからず貢献してきた、ホワイトキャンバスに、いったいなにが起こっているのだろう? 折しも今日からはコミックマーケット。東方と神主(ZUN氏の愛称)を愛して止まないファンたちは、戸惑いを隠せないのではないか。 「ホワイトキャンバスは数年前から、支払いが遅れたり、報告された売り上げと返品数が合わず"売り上げをごまかしているのではないか"といった疑念が持たれるなど、トラブルが相次いでいました。そこにきて、この騒動です。基本的に版権管理が緩やかで儲けさせてくれたはずの当人にケンカを売るなんて......。ホワイトキャンバスはもう二度と東方は扱えないでしょう。店を閉めるか別のジャンルに鞍替えするしかありませんね」  とは、絶対匿名を条件にして話してくれた同人誌ショップ関係者。この人物によれば、ホワイトキャンバスのビジネス手法は、あくまで同人である立場を取り「同人であれば自由に使って構わない」というZUN氏の懐の深さを悪用するものだったという。 「東方は、同人である限りはロイヤリティを要求しません。そこで、同人誌ショップやオタク系企業の社員が、既存の同人サークルに依頼し、原資やアイデアを法人から提供させてグッズを製作販売する方法を取るという事例がありました。これでも、表向きは"うちは同人サークルで、同人誌ショップに販売を委託しているんです"と言うことができる。ホワイトキャンバスは、この手法で収益を上げていたのではないかとウワサされています」(同前)  同人であることを一つの柱にしている東方では、一線を越えてしまったがためのトラブルが、これまでにも起こっている。10年には、AT Projectという同人サークルが、二次創作の東方同人カードゲーム「夢幻」を製作販売し、ユーザーから激しい批判を浴びる事件もあった。この事件で、もっとも問題になったのは「同人」のはずなのに、商業流通でも販売していたこと。このサークルは、謝罪文を発表し商品を回収することになった。  対するホワイトキャンバス側は「係争中のため不払いの金額相当額の全額を供託している」としているが、この訴訟とはどんなもののなのか? 「詳細は明らかではありませんが、秋葉原でもっとも真実味がある話とされているのは、実態はロイヤリティの額をめぐっての訴訟ではないかという説。ただ、ほかの商業ベースの製品で揉めている例はないので、払えない額ではないと思います」(同前)  そして、ホワイトキャンバスは、東方のファンを激怒させる、取り返しのつかない決定的ミスをやってしまっているとも。 「ホワイトキャンバスは"誰もが知っているけど公然の秘密"であった、ZUN氏の本名を晒して批判しています。これでは、神主が可哀想と思う人ばかりで、ホワイトキャンバスに味方する人なんて誰もいませんよ」(同前) ■ZUN氏は訴訟の当事者ではない  この騒動がはじまってから、Twitterなどでは「返本がツっ込み入れても一向に行われない」「売上金を間違って振り込んじゃったから返してね! でも振込手数料はお前持ちな!(と言われた)」といったサークル関係者のツイートが相次いでいるし、2ちゃんねるには社員とおぼしき人物の内情暴露の書き込みも見られる。  こうなってくると、どこまでがデマで、どこからが真実かはわからない。すべてが真実と捉えるのも、これまた危険だ。  そこで、ホワイトキャンバス側に電話取材を行った。まず、係争において問題となっているのが、ロイヤリティの金額であることは「事実ではありません」と全面的に否定する。 「訴訟の件は、取引の中の見解の違いによって、私たちが支払いを差し止めているものです。また訴訟は、弊社と黄昏フロンティア(の運営管理会社である有限会社SUNFISH)との案件です。ZUN氏はライセンサーで黄昏フロンティアはディストリビューターという関係です。つまり、訴訟は弊社とディストリビューターのものなのに、第三者であるZUN氏が、憶測でものを書いているんです。ですので、どういうつもりでしょうかという思いで文書を上げた(12月20日の同社の公式コメントのこと)。あのPDFがすべてです。係争中の案件ですので、様々考えて書かせて頂いた。読んで頂ければ、普通の人ならばわかるはずです」(対応した担当者)  その上で「今、お話ししたこと以外を書かれたら抗議する」と釘を刺された。  コミックマーケットでは多くの同人誌ショップの社員が、同人作家への委託依頼や挨拶回りをしている姿が見られるが、ホワイトキャンバスの人々は、本筋の商売よりも説明に追われることになるのではないか。前述のように、東方や同人ソフトの隆盛に同社が功績が大きかったのも事実だ。魔理沙を愛して止まない筆者としても、この騒動は悲しい。よって、この問題は引き続き追っていきたい。  なお、筆者はコミックマーケット期間中は、新著『マンガ論争6』が先行発売される東4ホールガレリア側(救護室横)特設販売スペースに常駐する予定なので、情報提供などは、こちらへ。(ホワイトキャンバスも出展する)企業ブースの状況など、なにか動きがあれば、コミックマーケット開催中も随時、続報をお知らせするつもりだ。 (取材・文=昼間たかし)
東方project フィギュア ねんどろいど 霧雨魔理沙 魔理沙も泣いとるよ。 amazon_associate_logo.jpg
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次世代の中島みゆき!? "声だけで泣ける路上の「シンデレラ」"奥華子


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 みなさんは、奥華子をご存知だろうか? 2004年頃から東京・渋谷や千葉県・柏、津田沼などを拠点にしたストリートライブで頭角を現し、06年にはアニメ映画『時をかける少女』(監督/細田守)の主題歌を手がけて一躍ブレーク。全国区の知名度を得たキーボード弾き語りの女性アーティストだ。  今年3月、シンガーソングライターの奥華子は全国ツアーの最中に震災に遭遇したという。その後、「奥華子にできること」を自ら企画し、「スマイルライブ」と題して全国各所で支援金を募るフリーライブを開催。6月にはコンセプトアルバム『君の笑顔-smile selection-』を発表し、その後も日本に笑顔を取り戻したいと、精力的なライブ活動を続けている。  そして来年1月11日、満を持しての新曲である「シンデレラ」が発表される。今回のシングルで彼女は、aiko、JUJU、いきものがかりなどでスマッシュヒットを飛ばしている島田昌典氏をアレンジャーとして迎えている。これまでは単独での弾き語りスタイルで、どちらかというと静かでバラード的な要素が強い作品が多かったが、「シンデレラ」の前向きなメロディラインと島田昌典のポップなアレンジは間違いなく彼女の新境地と呼べるものだろう。  奥華子は、特異なアーティストである。彼女のテーマにあるのは、いつだって"不幸な女性"。恋に破れ、望んだものに手が届かず、それを必死に求める様......それはともすれば「自己中心的」とも「ストーカー一歩手前」とも取られかねない、苛烈で切実な思いである。表現される物語はすこぶる重く、身勝手だ。男性側から見れば、「気持ち悪い」「ウザい」「もう関わりたくない」と思えるほどリアルな心象風景。軽やかなその歌声とは裏腹に、その肌触りは、中島みゆきの面影さえ感じさせる。  そんな奥の楽曲を評して、「まるで素足でアスファルトに立っているような感触」と評する声がある。失恋や届かぬ思いをストレートに表現するその歌詞は刺すような痛みを感じさせ、体感温度は低い。ところが、その場に立ち続けているとそのダイレクトな痛みがまろやかな心地よさに変わり、そのまま一歩、二歩と踏み出したくなってくるような感覚。あくまで個人的なその世界観は、日常の中でひととき非日常を感じさせ、すべてを洗い流してくれるような清冽さに満ちてくる。  好きすぎて 苦しくなって 信じたいのに疑って  「別れよう」って言ったのは  「別れたくない」って言葉が聞きたかっただけなのに
 今回リリースされる「シンデレラ」もまた、不意に別れを迎えた恋人同士の物語である。"声だけで泣ける"と言われた切ない世界観はそのままに、より前向きな楽曲に仕上がっている。  ちなみに過去の話になってしまうが、奥華子にとってトレードマークの赤いメガネについて、彼女はかつて日刊サイゾーのインタビューにこう答えている。 「路上ライブの時に、メガネをかけたら覚えてもらいやすいかも? と思って、はじめて赤いメガネをかけて歌ったら、それまではCDが30枚くらい売れていたのですが、その日にいきなり100枚売れたんです。偶然かもしれないんですが、それ以来ゲン担ぎで、ずっとかけています(笑)」  この楽曲を期にその赤いメガネを外し、黒ぶちメガネにかけ替えた奥華子。それでも、「シンデレラ」の魔法は、まだ解けない。
シンデレラ LIVE音源を含む、全6曲収録。 amazon_associate_logo.jpg
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「筋が通らないことをしている」カリスマ同人作家・ZUNが同人ショップを痛烈批判!


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上海アリス幻樂団公式サイトより
 ゲーム、音楽、小説、コミックなどさまざまな形態で展開され、若者を中心に絶大な人気を誇る「東方Project」。その原作者である、同人サークル・上海アリス幻樂団の代表・ZUN氏と、シリーズ初期から東方Projectと懇意にしてきた同人ショップ・ホワイトキャンバスの間で問題が発生。作品のファンや二次創作の作り手たちに波紋が広がっている。  事件の発端は、2011年12月20日付でZUNのブログ「博麗幻想書譜」にアップされた「冬コミとか業務連絡とかガイドラインの再確認とか」と題するエントリー(http://kourindou.exblog.jp/17092211/)。そこでZUNが次のように発表した。 「コミックマーケット80で発表した東方神霊廟(引用者注:「東方Project」のゲームのタイトル)の委託が9月から開始されていますが、ホワイトキャンバスについては取り扱いを一時休止しました」  理由としては、《委託販売している作品の売り上げが不払いなこと》と、《権利者であるZUNの監修を受けていない「東方Project」関連グッズを作成・販売したこと》の2点が挙げられている。  後者について補足すると、ZUNは自作の版権許諾について、ファン活動としての二次創作にはガイドラインを守ることを求めるのみで、広く許諾している。その一方で、企業による商業展開については、ZUN本人が監修したものだけを許諾。「東方Project」が隆盛を極めているのは、作品の魅力もさることながら、こうした版権の柔軟な運用によるところも大きい。 「未払いがあるままで新作の委託を開始してしまうと黄昏さん(引用者注:ZUNが「東方Project」の委託販売手続きを委任しているサークル・黄昏フロンティアのこと)に迷惑になりますし、皆さんがルールを守っているのに筋の通らないことをしているなぁということから、これらの問題が解決するまでは上海アリス幻樂団の作品をホワイトキャンバスさんで取り扱っていただくのはやめることにしました。これまで長い間色々とお世話になっていたショップだったので、今回の件は非常に残念に思っています」  という発言からも、金銭面での問題というより、「東方Project」という作品群を取り巻くコミュニティーを守るためのルール、仕組みを重要だと考えていることがうかがえる。  こうしたZUNの発言に対し、ホワイトキャンバス側も応答。「ZUNこと太田順也氏(同氏は株式会社香霖堂の現代表取締役。)が運営管理する、同人サークル上海アリス幻樂団公式Blogにおける「ホワイトキャンバスさんでの上海アリス幻樂団作品の取り扱い一時休止について」と題するコメント(2011年12月20日 13時11分)に対する弊社の見解」(http://w-canvas.com/html/WhiteCanvasComment20111221.pdf)を公開した。そこに記された主張は、《売上を払っていないのは、ZUNから作品の同人ショップへの委託販売を任されているサークル・黄昏フロンティア(=有限会社SUNFISH)と裁判にて係争中のため。不払いの金額相当額の全額は供託されている。ただの不払いではない》《ZUNとホワイトキャンバスの間では平成19年6月23日付で「商品化等許諾契約」が締結されており、その後、新しい契約の締結に至っていないので、この契約はまだ有効である。商品化等許諾契約の及ぶ範囲については、ZUNとホワイトキャンバスの間で代理人弁護士を通じて協議を重ねている最中だ》という2点に要約できる。つまり「これは法律の問題である」と主張した、と考えていいだろう。  日本の同人文化は、権利者のお目こぼしによって生じる、法的なグレーゾーンによって支えられてきた。先にも述べたとおり、「東方Project」は作者が明示的にグレーゾーンを目いっぱい広く設定することで盛り上がってきた作品だ。  法律を前面に押し出したホワイトキャンバスの行動は、「東方Project」のグレーゾーンを狭めかねないものだ。裁判に勝っても負けても、二次創作の作り手を含め、作品を取り巻くファンたちのホワイトキャンバスに対する信用は損なわれるのではないか。ただでさえホワイトキャンバスは、2009年に不特定多数の委託サークルに対し、計算ミスで過払いした売り上げを返還するよう通達するという不可解な行動を起こし、評判を損ねてもいる。  ホワイトキャンバスは12月29日~31日に開催される「コミックマーケット81」への企業参加が決まっている。裁判が進行中である以上、ホワイトキャンバスが自身の主張する商品化等許諾契約に則り、ZUN未監修の「東方Project」グッズを販売することは間違いないだろう。こうした行動が、「東方Project」のみならず、同人作家と一般企業の関係に対して、どのような影を落としていくのか。「東方Project」でなくとも、注視していただきたいところである。 (文=御船藤四郎)
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