「プラモもすぐ半額、福袋に」キッズ層を取り損ねた『ガンダムAGE』に未来はあるか


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機動戦士ガンダムAGE』公式サイトより
 約2年半ぶりのテレビシリーズ新作として注目を集めていた『機動戦士ガンダムAGE』(MBS、TBS系)。昨年秋に放送がスタートし、2クール目に突入しているが、今のところ、思ったような人気が獲得できていないようである。あるアニメ関係者が言う。 「日曜の夕方という時間帯もあるのかもしれませんが、まず視聴率がよくないです。2~3%台のことも何度かありますね。裏番組が高視聴率番組の『笑点』(日本テレビ系)ですが、もともと視聴者層はかぶらないでしょうし、同じ枠で、倍ぐらいは取る作品もあります。ガンダムという鉄板のコンテンツということを考えると、ちょっと意外ですよね」  今回の作品はとくに、従来よりも低年齢層、キッズ層に向けたアピールを強化していたはずだが、 「その肝心のキッズ層に、あまり関心を持たれていないようなんですね。今回の作品は、小学生男子に人気の『イナズマイレブン』や『ダンボール戦機』(ともにテレビ東京系)のレベルファイブが手がけ、『コロコロコミック』(小学館)でも連動企画をやったりとかしているんですが、今のところはまだ厳しそうです。今、OVAや劇場版で展開している『ガンダムUC』は『ファースト』や『Z』といった、宇宙世紀の軸に乗った"正当派"とでもいえるようなものなので、コアな層はそっちに行ってしまっている。また、近年のテレビ版ガンダムは美形のキャラクターがたくさん出てきて、そこに女性ファンが大量に付いたりしていたのですが、その層も今回はちょっと付いてなさそう。結果的に、どの層にもいまひとつ響いていないというのが現状なんじゃないでしょうか」(同アニメ関係者)  たとえ視聴率が奮わなくても、DVDやブルーレイでの売り上げ、ましてやガンダムには、「ガンプラ」という超優良な商材がある。しかし、 「ガンプラも、今回は苦戦しているみたいなんですよ」  と言うのは、ホビー系のライター。 「番組が始まってまだ3カ月なんですが、年末にはすでに、半額以下の特価で販売されていたのをショップの店頭でよく見ました。お正月のホビーショップの福袋にも、あちこちでこの『AGE』関連のグッズが詰め込まれていたようです。最初に出たときは出足が好調だったようなんですが、その後、息切れしちゃったんでしょうか。プラモとしての出来そのものは相当いいだけに、もったいないというか、不良在庫化していないかとちょっと心配ですね」  2クール目に突入した番組では、主人公がいきなり代替わりし、最初の主人公の息子が新たな主人公となる(最終的には3世代目までを予定)という、スピード感ある展開。搭乗するガンダムも新世代のものに変更、イメージも一新されるかと思われるが、状況も変わってくるだろうか。前出のアニメ関係者は言う。 「1作目のガンダムだって、視聴率がふるわなくて打ち切りになってますしね(笑)。90年代の『Gガンダム』だって、1クール目はかなりヤバかったらしいんですが、途中から登場した主人公の師匠が起爆剤になって、一気に人気作になったというパターンもあります。『ガンダムAGE』も、2代目主人公のピンチに、最初の主人公が旧型のガンダムに乗って颯爽と現れるとか、カッコいいお父さんとして活躍する姿なんかに燃えることもあったりするかもしれませんしね」  まだまだ序盤が終わったばかりともいえる新作ガンダム。女性ファンのために再びアピールするために、3世代目のキャラクターはみんな美形ぞろいに、なんてこともあるかもしれない。今後の展開に、いろいろ期待したい。
機動戦士ガンダムAGE 第1巻 【豪華版】 買う人いるのかな。 amazon_associate_logo.jpg
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「大リーグボールはどうなる!?」野球からクリケットへ『巨人の星』インドでリメーク


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『巨人の星(1)』(講談社)
 元祖"スポ根"野球マンガ『巨人の星』(梶原一騎原作、川崎のぼる作画)のリメーク版『ライジング・スター(仮)』がインドで放映されることが分かり、話題となっている。  基本的なプロットは原作に沿って制作されるものの、インドでは肝心の野球の人気があまりないため、クリケットに置き換えたアニメーションにリメーク。建設ラッシュに沸く巨大都市ムンバイを舞台に、貧しい主人公が努力してクリケットのスター選手になる成功物語が描かれるという。  今回のインドでの放映は、星飛雄馬が生まれ育った日本の高度成長期と、発展著しい現在のインドの社会状況が似ていることから企画されたという。 「インドでは数年前から『クレヨンしんちゃん』や『ドラえもん』をはじめとする日本のアニメが大人気で、昨年9月には日本のアニメなどを紹介するインドで初の大規模イベントが首都デリー近郊で開催され話題になりました。それに加え、経済成長期のインドでは、豊かな生活を目指して努力することが美徳とされています。そのため、このインド版『巨人の星』も広く受け入れられるのでは」(アニメライター)   インドの文化や習慣、宗教観などに合わせて制作される今作、おなじみの父の「ちゃぶ台」返しは、食べ物を粗末にするのは反感を買うということからお盆をひっくり返すという設定に変更されたり、リメーク版ならではのみどころも満載のようだ。 「クリケットは、日本国内での競技人口は2,000人にも満たないマイナースポーツですが、インドでは絶大な人気があります。『巨人の星』といえば"大リーグボール養成ギプス"といった独特のガジェットや、それによって主人公が会得してゆく"大リーグボール1号"などのド派手な魔球が持ち味ですが、そうしたシーンがクリケットでどう再現されるのかも注目したいですね」(同アニメライター)  世界各国に進出している日本のアニメだが、プロットを変えずにローカライズするというこの手法が今後、新たなビジネスチャンスになるのかもしれない。
巨人の星(1) やっぱりエンディングはみんなでダンス? amazon_associate_logo.jpg
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たわわな美巨乳3連発!! ミス東スポお披露目会見で"吉本vsジャニーズ"抗争勃発!?

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左から、木嶋のりこちゃん、櫻井里佳ちゃん、市川みきちゃん
 昨春から9カ月間に渡り候補者たちによる激戦が繰り広げられてきた「ミス東スポ2012」の初代グランプリ3名がついに決定! 1月10日、都内で「グランプリお披露目記者会見」が行われた。  オーディションは、撮影会の参加人数や、ブログのアクセス数などにより順位付けされるサバイバル形式で実施。多くのファンを味方に付けこれを制したのは、吉本興業のアイドルユニット・YGAのメンバーでGカップが眩しい櫻井里佳(23歳、B94/W59/H85)、映画『ピョコタン・プロファイル』の主演など女優活動も好調なグラビアアイドル・木嶋のりこ(23歳、B83/W55/H84)、くびれと美乳が魅力的な"平成の人魚姫"こと市川みき(22歳、B84/W54/H83)。  オーディションを1位で通過した櫻井は、「私は"オカルトGカップ"というキャッチフレーズで頑張っているので、今年1年、皆さんに笑顔と、オカルトと、Gカップをたくさん届けれたらいいなと思っています!」と元気いっぱいに意気込んだ。
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賞金の50万円は「ファンイベントで使う」と櫻井さん。
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木嶋さんは「キュウリでビキニを作って河童を探しに行きたい」と怪気炎!?
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市川さんのライバルは、ずばり「吉木りさ」!
 また報道陣から「打倒、○○」を聞かれると、櫻井はオリコンウィークリーチャートでYGAよりも上位だったジャニーズ事務所のNYCを挙げ「打倒、ジャニーズ」と回答。木嶋は、「ミス東スポ」自体を大きくしていきたいという願いから「打倒、日テレジェニック」。市川は、グラビア界の頂点を目指す意味で「打倒、吉木りさ」をそれぞれ掲げ、会場では「おおお!」とどよめきと歓声が上がっていた。彼女たちは今後、「東スポ」関連のイベントへの出演などが決定している。 (取材・文=林タモツ)
[東スポ永久保存版]エンタメ劇場 東スポというジャンル。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・【連載】木嶋のりこのアイドル的アイドル思考法木嶋のりこ×梶野竜太郎「激しすぎる"アイドル愛"が少女を女優に変えた!?」DVD『ピョコタン・プロファイル』発売イベントに、木嶋のりこがボーダー水着で登壇!!

『デビルズ・ダブル』原作者の告白「ウダイを殺れなかったのが心残り」(前編)

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『デビルズ・ダブル』の原作者ラティフ・ヤヒア氏。
自分と顔が似ているウダイ・フセインと出会った
ばっかりに過酷な人生を歩んできた。
 もしも、人間の姿をした悪魔に出会ったら、あなたならどーする? そして、その悪魔の顔があなたにそっくりで、「思いのままの生活を保障するから、オレの身代わりを務めないか」と持ち掛けてきたら、どーする? ベルギー映画『デビルズ・ダブル』はホラー映画ではなく、実在した悪魔から"影武者"になることを強要された男の実話に基づいた社会派サスペンスだ。この実在した悪魔とは、イラクを長年にわたって支配した独裁者サダム・フセインの長男ウダイ・フセイン(1964~2003年)。父親の権力を傘に、欲望のままに生き、"悪魔のプリンス"と恐れられた。殺人、強姦などあらゆる犯罪に手を染め、自分に従わない人間には容赦なく拷問を加えた。父親のサダム・フセインでさえ、「生まれたときに殺しておけばよかった」と手を焼いたワル。『デビルズ・ダブル』の原作者であるラティフ・ヤヒア氏は、ウダイ・フセインとは高校時代の同級生であり、顔がよく似ていたことから影武者になることを命じられた。ラティフ氏が拒むと、1週間にわたる拷問が続き、さらには家族に危害を加えると脅され、屈服させられた。ラティフ氏が影武者として、ウダイの暮らす大豪邸で過ごした4年間が『デビルズ・ダブル』では描かれている。その後、ラティフ氏は命からがらイラクから亡命し、現在は国際弁護士として生計を立てている。来日したラティフ氏に悪魔と過ごした地獄の4年間を振り返ってもらった。  ラティフ氏がウダイ・フセインと出会ったのは高校時代。超進学校である高校の同級生の中にウダイがいたのだ。当然ながら親の威光によるコネ入学だ。青春時代を暴君Jr.と一緒に過ごすだけでも大迷惑な話。出会った当時のウダイはどんな高校生だった? ラティフ 「今でも出会いはよく覚えています。私の人生において、ウダイ・フセインとの出会いはサイアクの体験でしたから。ウダイは高校生のときから、もうすでにワルでした。同級生だけでなく、教師に対する振る舞いも尋常ではありませんでした。例えば、彼は黄色いポルシェがお気に入りで、ポルシェで通学していたんですが、校庭のバスケットコートにポルシェを駐車してしまうんです。なので、ウダイが高校に現われると、誰もバスケットができませんでした。授業にはガールフレンドも連れ込んでいました。まったく自分たちとは異なる価値観の持ち主でしたね」
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ウダイ・フセインの影武者ラティフ(ドミニク
・クーパー2役)は、披露宴中の花嫁をレイプ
するなどの悪行の数々に立ち会うはめに。
 とんでもない高校生がいたもんである。そんなウダイと「顔が似てる」と高校時代から評判になっていたとのこと。 ラティフ 「えぇ、確かに高校時代から、よく言われましたね。1970年代の当時はアフロヘアがとても流行していて、私もアフロヘアにしていたんです。ところが、ウダイもアフロヘアだったこともあり、友達には『似ているなぁ。キミもフセイン一族なのかい?』としょっちゅう尋ねられました。私自身は全然、顔は似ているとは思いませんでしたし、フセイン家とは民族も違い、血縁関係はまったくありませんでした。昔から私のことを知っている友達からは何も言われませんでしたけど、高校に入ってからの知り合いにはよく言われました」  ラティフ氏はウダイと同じ校舎で学ぶことを嫌い、工学志望だったが法律に専門を変更。大学を卒業するまではしばらく平穏な時間を過ごせたが、イラク男性の義務だった兵役に就いていたところ、バグダッドに呼び戻された。自分の名を棄て、ウダイのボディダブル(替え玉)を務めろという。自分が嫌って避けていた人間の言動を、ぴったり正確にコピーしなくてはならないという不条理。ラティフ氏は1987年から1991年の4年間をウダイの影武者として過ごした。その心境はいかに? ラティフ 「元々の私はジョークが好きで、よく笑っていたんです。でも、影武者を勤めた4年間は一度も心から笑うことはできませんでした。家族に危害が加えられていないか心配でしたし、私自身もずっと心に痛みを感じ続けていました。その4年間は自分が尊敬できない人間の言動をコピーしなくてはいけなかったわけですが、どんなに強制されていても『自分がウダイではない』という意識が常に脳裏に残っていました。『自分はウダイではないのだ』とずっと自分自身に言い聞かせていたんです」 ■悪魔が生まれたのは家庭環境のせい? それとも......?  ウダイは異常な性欲の持ち主で、イラクの女子学生たちを拉致強姦する常習犯だったことでも知られる。また、父フセインが信頼していた腹心を殴死させているが、微刑で済んでいる。1993年のドーハでは、サッカー日本代表チームとロスタイムで引き分けたイラク代表チームを『負けたら全員ムチ打ち』と脅していたことでも有名だ。父フセインから後継者として認められなかったことが、ウダイを過剰な暴力と狂気に走らせたとも言われているが、いちばん近くから見ていたラティフ氏はどのように感じていたのだろうか?
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ウダイから寵愛される愛人サブラ(リュディ
ヴィーヌ・サニエ)。だが、ウダイから飽き
られれば、彼女もオモチャのように処分される
身だ。
ラティフ 「権力を自在にかざせる立ち場にいたからだとか、有り余るお金のせいで常識を失ったのだとか言う人もいますが、私はそうは思いません。ウダイに関しては、生まれつきの"悪"だったと私は思います。サダム・フセインをはじめとする政治家たちにも会いましたが、ウダイほど酷い人間は他にはいませんでした。ウダイのことを昔からよく知っている人間も、『ウダイは生まれついてのサディストだ』と言っています。環境のせいではなく、根っからの悪です。ウダイは人間ではなかったと思いますね。  そんなウダイと4年間も身近に生活を送るとは、まさに災難である。ウダイの暮らす豪邸では美食や美女に囲まれていたわけだが、ラティフ氏の心が和む時間はあったのだろうか。 ラティフ 「いえ、一瞬たりともリラックスできるときはなく、幸せを感じることもできませんでした。ウダイと過ごした4年間の中で心残りがあるとすれば、自分の手でウダイを殺すことができなかったことです。1991年に私はイラクから脱出しましたが、その後、20年間の間に考え続けていたことがあります。もし仮に、私が20年前に後戻りすることができ、『イラクに残るか』『イラクを脱出するか』を選択できるとしたら、私は『イラクに残る』を選ぶかもしれません。そうすれば、少なくともイラクに自分の墓を残すことができたわけです」 (後編につづく/取材・文=長野辰次) ●『デビルズ・ダブル ある影武者の物語』 原作/ラティフ・ヤヒア 監督/リー・タマホリ 出演/ドミニク・クーパー、リュディヴィーヌ・サニエ 配給/ギャガ R18 1月13日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開 <http://devilsdouble.gaga.ne.jp> ●ラティフ・ヤヒア 1964年イラク・バグダッド生まれ。実業家の息子として生まれ、エリート学校に入学し、ウダイ・フセインの同級生となる。大学卒業後、軍隊に所属していたが、ウダイに呼び戻されて影武者になることを強要され、87~91年をウダイの影武者として過ごす。その後、ヨーロッパに亡命し、作家・国際法律弁護士となる。亡命後もCIAに協力しなかったことから拷問に遭ったと告白している。また正式なパスポートを持たないため、2011年11月の初来日時は成田空港で入国拒否に遭い、アイルランドにUターン。2度目の来日で無事に入国を果たした。
ディスカバリーチャンネル ZERO HOUR:サダム・フセイン拘束 フセインでさえ手に負えなかった息子......。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・何を信じていいの? カダフィ政権崩壊をめぐる「偽造映像」騒動硬直した映画興行に一石を投じる!? 河崎実監督が9人の美女を従えて帰還韓国インディーズ映画の奇才監督が、エロくて笑えるSF作品で日本上陸!

『デビルズ・ダブル』原作者の告白「ウダイを殺れなかったのが心残り」(前編)

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『デビルズ・ダブル』の原作者ラティフ・ヤヒア氏。
自分と顔が似ているウダイ・フセインと出会った
ばっかりに過酷な人生を歩んできた。
 もしも、人間の姿をした悪魔に出会ったら、あなたならどーする? そして、その悪魔の顔があなたにそっくりで、「思いのままの生活を保障するから、オレの身代わりを務めないか」と持ち掛けてきたら、どーする? ベルギー映画『デビルズ・ダブル』はホラー映画ではなく、実在した悪魔から"影武者"になることを強要された男の実話に基づいた社会派サスペンスだ。この実在した悪魔とは、イラクを長年にわたって支配した独裁者サダム・フセインの長男ウダイ・フセイン(1964~2003年)。父親の権力を傘に、欲望のままに生き、"悪魔のプリンス"と恐れられた。殺人、強姦などあらゆる犯罪に手を染め、自分に従わない人間には容赦なく拷問を加えた。父親のサダム・フセインでさえ、「生まれたときに殺しておけばよかった」と手を焼いたワル。『デビルズ・ダブル』の原作者であるラティフ・ヤヒア氏は、ウダイ・フセインとは高校時代の同級生であり、顔がよく似ていたことから影武者になることを命じられた。ラティフ氏が拒むと、1週間にわたる拷問が続き、さらには家族に危害を加えると脅され、屈服させられた。ラティフ氏が影武者として、ウダイの暮らす大豪邸で過ごした4年間が『デビルズ・ダブル』では描かれている。その後、ラティフ氏は命からがらイラクから亡命し、現在は国際弁護士として生計を立てている。来日したラティフ氏に悪魔と過ごした地獄の4年間を振り返ってもらった。  ラティフ氏がウダイ・フセインと出会ったのは高校時代。超進学校である高校の同級生の中にウダイがいたのだ。当然ながら親の威光によるコネ入学だ。青春時代を暴君Jr.と一緒に過ごすだけでも大迷惑な話。出会った当時のウダイはどんな高校生だった? ラティフ 「今でも出会いはよく覚えています。私の人生において、ウダイ・フセインとの出会いはサイアクの体験でしたから。ウダイは高校生のときから、もうすでにワルでした。同級生だけでなく、教師に対する振る舞いも尋常ではありませんでした。例えば、彼は黄色いポルシェがお気に入りで、ポルシェで通学していたんですが、校庭のバスケットコートにポルシェを駐車してしまうんです。なので、ウダイが高校に現われると、誰もバスケットができませんでした。授業にはガールフレンドも連れ込んでいました。まったく自分たちとは異なる価値観の持ち主でしたね」
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ウダイ・フセインの影武者ラティフ(ドミニク
・クーパー2役)は、披露宴中の花嫁をレイプ
するなどの悪行の数々に立ち会うはめに。
 とんでもない高校生がいたもんである。そんなウダイと「顔が似てる」と高校時代から評判になっていたとのこと。 ラティフ 「えぇ、確かに高校時代から、よく言われましたね。1970年代の当時はアフロヘアがとても流行していて、私もアフロヘアにしていたんです。ところが、ウダイもアフロヘアだったこともあり、友達には『似ているなぁ。キミもフセイン一族なのかい?』としょっちゅう尋ねられました。私自身は全然、顔は似ているとは思いませんでしたし、フセイン家とは民族も違い、血縁関係はまったくありませんでした。昔から私のことを知っている友達からは何も言われませんでしたけど、高校に入ってからの知り合いにはよく言われました」  ラティフ氏はウダイと同じ校舎で学ぶことを嫌い、工学志望だったが法律に専門を変更。大学を卒業するまではしばらく平穏な時間を過ごせたが、イラク男性の義務だった兵役に就いていたところ、バグダッドに呼び戻された。自分の名を棄て、ウダイのボディダブル(替え玉)を務めろという。自分が嫌って避けていた人間の言動を、ぴったり正確にコピーしなくてはならないという不条理。ラティフ氏は1987年から1991年の4年間をウダイの影武者として過ごした。その心境はいかに? ラティフ 「元々の私はジョークが好きで、よく笑っていたんです。でも、影武者を勤めた4年間は一度も心から笑うことはできませんでした。家族に危害が加えられていないか心配でしたし、私自身もずっと心に痛みを感じ続けていました。その4年間は自分が尊敬できない人間の言動をコピーしなくてはいけなかったわけですが、どんなに強制されていても『自分がウダイではない』という意識が常に脳裏に残っていました。『自分はウダイではないのだ』とずっと自分自身に言い聞かせていたんです」 ■悪魔が生まれたのは家庭環境のせい? それとも......?  ウダイは異常な性欲の持ち主で、イラクの女子学生たちを拉致強姦する常習犯だったことでも知られる。また、父フセインが信頼していた腹心を殴死させているが、微刑で済んでいる。1993年のドーハでは、サッカー日本代表チームとロスタイムで引き分けたイラク代表チームを『負けたら全員ムチ打ち』と脅していたことでも有名だ。父フセインから後継者として認められなかったことが、ウダイを過剰な暴力と狂気に走らせたとも言われているが、いちばん近くから見ていたラティフ氏はどのように感じていたのだろうか?
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ウダイから寵愛される愛人サブラ(リュディ
ヴィーヌ・サニエ)。だが、ウダイから飽き
られれば、彼女もオモチャのように処分される
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ラティフ 「権力を自在にかざせる立ち場にいたからだとか、有り余るお金のせいで常識を失ったのだとか言う人もいますが、私はそうは思いません。ウダイに関しては、生まれつきの"悪"だったと私は思います。サダム・フセインをはじめとする政治家たちにも会いましたが、ウダイほど酷い人間は他にはいませんでした。ウダイのことを昔からよく知っている人間も、『ウダイは生まれついてのサディストだ』と言っています。環境のせいではなく、根っからの悪です。ウダイは人間ではなかったと思いますね。  そんなウダイと4年間も身近に生活を送るとは、まさに災難である。ウダイの暮らす豪邸では美食や美女に囲まれていたわけだが、ラティフ氏の心が和む時間はあったのだろうか。 ラティフ 「いえ、一瞬たりともリラックスできるときはなく、幸せを感じることもできませんでした。ウダイと過ごした4年間の中で心残りがあるとすれば、自分の手でウダイを殺すことができなかったことです。1991年に私はイラクから脱出しましたが、その後、20年間の間に考え続けていたことがあります。もし仮に、私が20年前に後戻りすることができ、『イラクに残るか』『イラクを脱出するか』を選択できるとしたら、私は『イラクに残る』を選ぶかもしれません。そうすれば、少なくともイラクに自分の墓を残すことができたわけです」 (後編につづく/取材・文=長野辰次) ●『デビルズ・ダブル ある影武者の物語』 原作/ラティフ・ヤヒア 監督/リー・タマホリ 出演/ドミニク・クーパー、リュディヴィーヌ・サニエ 配給/ギャガ R18 1月13日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国公開 <http://devilsdouble.gaga.ne.jp> ●ラティフ・ヤヒア 1964年イラク・バグダッド生まれ。実業家の息子として生まれ、エリート学校に入学し、ウダイ・フセインの同級生となる。大学卒業後、軍隊に所属していたが、ウダイに呼び戻されて影武者になることを強要され、87~91年をウダイの影武者として過ごす。その後、ヨーロッパに亡命し、作家・国際法律弁護士となる。亡命後もCIAに協力しなかったことから拷問に遭ったと告白している。また正式なパスポートを持たないため、2011年11月の初来日時は成田空港で入国拒否に遭い、アイルランドにUターン。2度目の来日で無事に入国を果たした。
ディスカバリーチャンネル ZERO HOUR:サダム・フセイン拘束 フセインでさえ手に負えなかった息子......。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・何を信じていいの? カダフィ政権崩壊をめぐる「偽造映像」騒動硬直した映画興行に一石を投じる!? 河崎実監督が9人の美女を従えて帰還韓国インディーズ映画の奇才監督が、エロくて笑えるSF作品で日本上陸!

21世紀の奇跡! 吉備の山麓に幻の巨石信仰は実在した!!

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 「岡山文庫」というシリーズがある。これは岡山県にある日本文教出版が発行するもので、1964(昭和39)年以来、現在274タイトルが発行されている大河文庫だ。岡山県内では多くの書店で販売されているし、図書館には必ず配架されているメジャーなシリーズなのだが、おそらく岡山県民以外はほぼその存在を知らないだろう。『岡山の歴史』『岡山の宗教』といった真面目なタイトルがあるかと思えば、エロ話を集めた『岡山の艶笑譚』なんてのもあったり、最近では『岡山の山野草と野生ラン』とか『岡山の考現学』なんてタイトルも。地元民ですら知らないマニアックな郷土の情報が詰まっている、地方出版物の中でもほかに例を見ない濃密な文庫なのだ。  その中の1冊に『岡山の祭祀遺跡』(八木敏乗著)がある。この本、なにがスゴイかというと丸々1冊、岡山県内の巨石文明の遺跡(歴史的には「磐座」「磐境」などと呼ばれる祭祀遺構)を扱っているのだ。そう、実は岡山県には南部を中心に知られざる巨石を用いた祭祀遺構が現存しているのである。その歴史ロマンを感じてみたいと、旅立った。 ■日本にもストーンヘンジがあった  岡山駅から折りたたみ自転車を担いで、吉備線の二両編成のディーゼルカーに揺られて20分ほど。備中高松駅を下車してからしばらく自転車をこぐと、足守川沿いに丘が見えてくる。この丘自体が「楯築遺跡」と呼ばれる祭祀遺跡なのだ。近年は整備されて「王墓の丘史跡公園」となり訪問がしやすくなっているが、それでも急な坂を登ること5分あまり。頂上には、同心円状に配置された巨石群が待ち構えている。あまりに巨大なため、単に石が並んでいるだけに見えてしまうほどだ。この遺跡は、弥生時代後期に造営された「墳丘墓」と呼ばれるもの。いわば古墳の前段階のものだが、この遺跡はその中でも最大の規模を誇るものだ。
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 発掘調査によって埋葬施設が発見されており、墓であることは判明している。また、地元では「亀石」と呼ばれる不思議な紋様を刻んだ石を安置した収蔵庫もある。かつて、この墳丘の上で、なんらかの儀式が行われていたことは容易に推測できる。眺めもよいし、まさに墓としては一等地である。
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■山頂にそびえる規格外の巨石群    さて、次はどこに向かおうかと思っていたら、偶然出会った地元の人が「日差山という山の山頂に巨石が祭られている」と教えてくれた。なんでも、現在は「毘沙門天」が刻まれているが、由来が分からぬほど古くから祭られているものだという。山頂まで舗装道路が続いているというので、道順を聞いて向かうことに。「自転車で大丈夫かなあ......」という一言が気になったが、登り始めて後悔。舗装はされているが、ものすごい急傾斜のつづら折りが続くのだ。途中、くじけそうになりながらも、なんとか山頂に到着した。ちょっと結界っぽい雰囲気の岩の間を抜けて、社の奥へと進んでいくと、そこには規格外の大岩が鎮座している。なんでも、これ自体がご神体の様子、まさに巨石信仰を象徴するような場所である。また、神社なのに「南無妙法蓮華経」の文字もあり、神仏習合の名残が残っているのも、歴史を感じられるポイントである。
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   さて、規格外に大きすぎるものばかり紹介していてもしようがない。近くの吉備津彦神社には小規模なストーンサークルがあると聞いていたので、そちらにも行ってみることに。同じ山麓にある吉備津神社(吉備津彦神社=備前国一の宮、吉備津神社=備中国一の宮である)よりも少々初詣客の少ない神社前の大きな池に浮かぶ小島にそれはあった。 
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......ホントに小規模で、ストーンサークルかといわれれば間違いないが、ガッカリ感が漂う。そんな気持ちでシャッターを切ったのだが、帰ってから写真をチェックしてみると、すべての写真に神秘の光が! うん、確かに神域であることに間違いはなかったようだ。    今回は時間の都合もあり多くに触れることはできなかったが、『岡山の祭祀遺跡』によれば、岡山県には県南部を中心に36カ所。今回訪れた場所以外にもさらに多くの祭祀遺跡が存在するというわけだ。ここまで多くの巨石を用いた遺跡が存在するのは、古墳時代までこの地域に大和朝廷(最近の教科書だとヤマト王権)や出雲に匹敵する吉備国と呼ばれる巨大な地域勢力が存在したことに由来する。
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 残念なことに、大和朝廷との勢力争いに破れてしまったがために、今では地元の神社として信仰を残すのみになってしまった。もうちょっとうまく立ち回れば、今ごろ岡山が日本の首都になっていたかもしれないので、地元出身者としては残念でならない。    ただ、もはや地元の人くらいしか知らない歴史の片隅に埋もれそうなものばかりかと思いきや、近年はパワースポットのブームとかで、それなりに訪れる人もいるそうだ。一つの地域に、これだけの巨石信仰が存在するのは全国でもここだけ。こうなったら"城ガール"の次は"岩ガール"で! (取材・文=昼間 たかし)  
ぼっけえ、きょうてえ 岡山が生んだもう一つの奇跡。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・ウソくささゼロ! 昭和の香り溢れる藤子不二雄の聖地巡礼今年こそ出かけよう! 黒部の秘境を貫く「高熱隧道」見学ツアー藤子不二雄Aだらけの町・富山県氷見市!

21世紀の奇跡! 吉備の山麓に幻の巨石信仰は実在した!!

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 「岡山文庫」というシリーズがある。これは岡山県にある日本文教出版が発行するもので、1964(昭和39)年以来、現在274タイトルが発行されている大河文庫だ。岡山県内では多くの書店で販売されているし、図書館には必ず配架されているメジャーなシリーズなのだが、おそらく岡山県民以外はほぼその存在を知らないだろう。『岡山の歴史』『岡山の宗教』といった真面目なタイトルがあるかと思えば、エロ話を集めた『岡山の艶笑譚』なんてのもあったり、最近では『岡山の山野草と野生ラン』とか『岡山の考現学』なんてタイトルも。地元民ですら知らないマニアックな郷土の情報が詰まっている、地方出版物の中でもほかに例を見ない濃密な文庫なのだ。  その中の1冊に『岡山の祭祀遺跡』(八木敏乗著)がある。この本、なにがスゴイかというと丸々1冊、岡山県内の巨石文明の遺跡(歴史的には「磐座」「磐境」などと呼ばれる祭祀遺構)を扱っているのだ。そう、実は岡山県には南部を中心に知られざる巨石を用いた祭祀遺構が現存しているのである。その歴史ロマンを感じてみたいと、旅立った。 ■日本にもストーンヘンジがあった  岡山駅から折りたたみ自転車を担いで、吉備線の二両編成のディーゼルカーに揺られて20分ほど。備中高松駅を下車してからしばらく自転車をこぐと、足守川沿いに丘が見えてくる。この丘自体が「楯築遺跡」と呼ばれる祭祀遺跡なのだ。近年は整備されて「王墓の丘史跡公園」となり訪問がしやすくなっているが、それでも急な坂を登ること5分あまり。頂上には、同心円状に配置された巨石群が待ち構えている。あまりに巨大なため、単に石が並んでいるだけに見えてしまうほどだ。この遺跡は、弥生時代後期に造営された「墳丘墓」と呼ばれるもの。いわば古墳の前段階のものだが、この遺跡はその中でも最大の規模を誇るものだ。
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 発掘調査によって埋葬施設が発見されており、墓であることは判明している。また、地元では「亀石」と呼ばれる不思議な紋様を刻んだ石を安置した収蔵庫もある。かつて、この墳丘の上で、なんらかの儀式が行われていたことは容易に推測できる。眺めもよいし、まさに墓としては一等地である。
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■山頂にそびえる規格外の巨石群    さて、次はどこに向かおうかと思っていたら、偶然出会った地元の人が「日差山という山の山頂に巨石が祭られている」と教えてくれた。なんでも、現在は「毘沙門天」が刻まれているが、由来が分からぬほど古くから祭られているものだという。山頂まで舗装道路が続いているというので、道順を聞いて向かうことに。「自転車で大丈夫かなあ......」という一言が気になったが、登り始めて後悔。舗装はされているが、ものすごい急傾斜のつづら折りが続くのだ。途中、くじけそうになりながらも、なんとか山頂に到着した。ちょっと結界っぽい雰囲気の岩の間を抜けて、社の奥へと進んでいくと、そこには規格外の大岩が鎮座している。なんでも、これ自体がご神体の様子、まさに巨石信仰を象徴するような場所である。また、神社なのに「南無妙法蓮華経」の文字もあり、神仏習合の名残が残っているのも、歴史を感じられるポイントである。
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   さて、規格外に大きすぎるものばかり紹介していてもしようがない。近くの吉備津彦神社には小規模なストーンサークルがあると聞いていたので、そちらにも行ってみることに。同じ山麓にある吉備津神社(吉備津彦神社=備前国一の宮、吉備津神社=備中国一の宮である)よりも少々初詣客の少ない神社前の大きな池に浮かぶ小島にそれはあった。 
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......ホントに小規模で、ストーンサークルかといわれれば間違いないが、ガッカリ感が漂う。そんな気持ちでシャッターを切ったのだが、帰ってから写真をチェックしてみると、すべての写真に神秘の光が! うん、確かに神域であることに間違いはなかったようだ。    今回は時間の都合もあり多くに触れることはできなかったが、『岡山の祭祀遺跡』によれば、岡山県には県南部を中心に36カ所。今回訪れた場所以外にもさらに多くの祭祀遺跡が存在するというわけだ。ここまで多くの巨石を用いた遺跡が存在するのは、古墳時代までこの地域に大和朝廷(最近の教科書だとヤマト王権)や出雲に匹敵する吉備国と呼ばれる巨大な地域勢力が存在したことに由来する。
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 残念なことに、大和朝廷との勢力争いに破れてしまったがために、今では地元の神社として信仰を残すのみになってしまった。もうちょっとうまく立ち回れば、今ごろ岡山が日本の首都になっていたかもしれないので、地元出身者としては残念でならない。    ただ、もはや地元の人くらいしか知らない歴史の片隅に埋もれそうなものばかりかと思いきや、近年はパワースポットのブームとかで、それなりに訪れる人もいるそうだ。一つの地域に、これだけの巨石信仰が存在するのは全国でもここだけ。こうなったら"城ガール"の次は"岩ガール"で! (取材・文=昼間 たかし)  
ぼっけえ、きょうてえ 岡山が生んだもう一つの奇跡。 amazon_associate_logo.jpg
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ウソくささゼロ! 昭和の香り溢れる藤子不二雄の聖地巡礼

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我が家にあるのは中央公論社の愛蔵版。
 昨年、川崎市に「藤子・F・不二雄ミュージアム」がオープンし、藤子不二雄ファンにとって記念すべき1年だった。さらに2012年は、ドラえもんが誕生する2112年まで残り100年と、これまた記念すべき年である。だが、ちょっと待て。藤子ファンにとって、忘れてはならない作品といえば『まんが道』。富山県は高岡市で二人が出会い、志を立てて上京する自伝的物語は、地方から上京したすべての人にとってのバイブル。聖地のひとつトキワ荘は観光スポットになっているけど、高岡市はどうなっているのか? 行ってみたら驚いた!
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ヘッドマークがないので、まったくソソらない特急「はくたか」。
 『まんが道』で満賀道雄と才野茂は夜行列車に揺られて上京していたが、今では交通機関も発達し、かなり移動時間は短くなった。それでも、東京から富山県への道のりは遠い。最速の交通手段が飛行機といえば、その距離感が分かるだろうか。ただ、聖地を訪ねるのに飛行機では味気ない。鉄道で向かうなら、まず上越新幹線で越後湯沢駅へ向かうのが最も知られた路線だ。東京から越後湯沢までは1時間と十数分あまり。スキーシーズンを除けば、下車する客のほとんどが富山、金沢方面へと向かう人々だ。待っていた特急「はくたか」に乗って、越後湯沢からは北越急行ほくほく線を経由して列車は信越本線へと入っていく。この特急は、一部区間を最高時速160km/hで運転する在来線では最高速度の列車だが、それでも高岡へは2時間あまりかかる。ほくほく線内はトンネルも多くて車窓を楽しむというわけにはいかず、多少うんざりとし始めたころ、列車は北陸本線へと入っていく。ここからは、右に日本海、左に立山連峰の望める楽しい旅路へと変わる。 ■街には藤子先生が......溢れてなかった  さて、ようやくたどり着いた聖地・高岡市。駅を降りると、そこに広がっていたのは日本のあちこちにある寂れた地方都市と同じ光景だった。藤子不二雄の聖地だというのに、駅で目にした藤子キャラといえば『忍者ハットリくん』のゴーフルの看板だけだった。あぜんとしながら駅を出て路面電車へと乗り換える。ここの乗り場も先客は、孫を連れたおばあちゃんだけ。運転手と「孫が乗りたいっていうもんだからね......」と話していたところをみると、普段は利用する機会が少ないのだろう。
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駅で見つけた藤子キャラは、これだけ。
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路線存続のためとはいえ、全面コカコーラの広告ってどうよ?
 今回の聖地巡礼では、最近流行のキャラクターの銅像だとかの類を避けて「同じ空気を吸うこと」に重きをおいていたのだが、実のところ、かなり困難だということに途中で気づいた。もっとも困ったのは、藤子・F・不二雄先生の旧宅跡探しだ。事前に位置は把握して置いたのだが、特に道案内もあるわけでなく、旧宅跡自体も渋めの倉庫があるだけ。国民的漫画家が住んでいた場所だというのに、案内もないというのはちょっと寂しいものだ。それでも道は当時のままだろうから、多少はノスタルジックな気分に触れることもできる。藤子不二雄(A)先生の旧宅跡も同じく、なんら聖地であることを示すものもない。これはちょっと悲しいことだ。
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ここがF先生の旧宅跡。まず観光客が来るようなところではない様子。
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こちらはA先生の旧宅跡。意外に駅の近くに住んでいたんですね。
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『まんが道』に登場する文苑堂は、今でも営業中。
   そして高岡大仏も、ちょっと残念スポット。『まんが道』読者には、満賀道雄が憧れのマドンナ霧野涼子さんが見知らぬ男とキスする瞬間を目撃してしまう名場面の舞台だ。てっきり、街角の道沿いにあるのかと想像していたが、ちゃんと参道があって台座の部分に入るには拝観料も必要。中に入ると、なぜか地獄を描いた絵が並んでいて、いくつもさい銭箱が......。信心深い人は、一つ一つにおさい銭を入れていくのかもしれないが、かえって信心深さが失われていく。
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予想外に綺麗でびっくりする高岡大仏。
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なぜか台座の下は地獄巡りの絵が続く。
■濃厚な昭和の香りが漂う街  さほど宣伝していなくても、きっと「藤子不二雄先生は高岡の誇り」みたいな感じの観光案内とかがあるかと思いきや、あまりになんにもなかったので、ちょっとがっかりした気分。しかし、路面電車を降りて、聖地を探しながら街を歩いていると、次第に妙な味がジワジワと染みこんできた。
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し、渋すぎる看板。いったいいつからある飲み屋街なんだろうか......。
 まず「これは渋い!」と驚いたのは、さっさと拝観を終えて、人通りもほとんどない道を歩いていて見つけた「大仏飲食店街」。サビが目立つ看板の向こうにあるのは、新宿ゴールデン街を彷彿とさせるような渋すぎる飲み屋街だ。街そのものが、昭和が続いているような雰囲気を漂わせているのだけれど、ここだけ昭和どころか終戦直後のバラックから、変わっていないのではないか(違ったら失礼)と、思うほど。一見には敷居の高いエリアだが、どのような客が集まるのか、機会があれば見てみたいエリアだ。
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ここで飲めるようになるには相当修行が必要そうだ。
 さらに渋さを漂わせていたのは、高岡駅とその前にあるビル。「駅前ビル」と、そのままな名前の看板が掲げられたビルは、これまた昭和のまま時が止まったような建物。飲食店とサラ金が同居しているだけならまだしも、なぜか神社まで同居している。一歩間違えると、廃墟系のマニアが喜びそうなくたびれ具合なのに、現役で使われているのがレベルが高い。
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まったく飾り気のない「駅前ビル」という名称がイイ!
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ビルの中に神社があるのは、どういう事情なんだ?
 高岡駅の駅ビルも、くたびれた具合が濃厚な渋さを味わせてくれる建物だ。いくつも空きテナントがあるので建て替え予定でもあるのかと思ったら、「テナント募集中」の張り紙があるので単に店子がいないだけのようだ。建物の最奥には、昭和を濃縮したような喫茶店も。コーヒーの味もしっかり昭和をしているし、駅ビルなのに一見客がおらず常連らしき客で溢れているのも独特の光景だ。
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空きテナントのほうが多い駅前ビルなんて初めてだよ。
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催事場にも人の姿は少ない。休日になると、人出はあるのか?
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東京だとサブカルスポットとして注目されそうな喫茶店。
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『まんが道』読者なら、おみくじをひくのはちょっと怖い神社だ。
 
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こ、このポスター欲しい。
 この街には渋さだけでなく珍スポットも。『まんが道』でいく度も登場する射水(いみず)神社がある古城公園の動物園が、それだ。文章だと伝えるのが難しいが、なぜか鳥の三角関係を写真で解説していたり、手作り感溢れる妙な解説が満載なのだ。この動物園、入園料無料のため子どもたちで賑わっていたのだが、この解説を見て子どもたちはどう思うのだろうか......。
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この動物園。楽しい職場なのは間違いないよ。
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だから、どうしたいんだ......?
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こんな独特のセンスが溢れてます。  
 純粋な気持ちで聖地巡礼をしようと思ったら、妙な物ばかりに出会ってしまった取材。やはり東京で出会う、ウソくさいレトロ感と違い、もはや地方でなければ出会えない、リアルな感覚の昭和がそこにはあった。こんな街がまだ日本のあちこちにあるハズ。今年も都会の喧噪を離れて、未だ見ぬ昭和の残像を追っていくぞ! (取材・文=昼間 たかし)
るるぶ富山 立山 黒部 五箇山 白川郷'11~'12 アツイぜ、富山。 amazon_associate_logo.jpg
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「俺はいってぇ誰なんだ?」板尾創路監督が第2作で魅せた妙味『月光ノ仮面』

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(C)2011『月光ノ仮面』製作委員会 / 配給: 角川映画
 今週は、クラシカルな題材の現代的な翻案、日常に浸食する非日常、キャスティングの妙が味わい深い日米の新作映画2本を紹介したい。  まず1本目は、1月7日公開のホラーアクション『フライトナイト/恐怖の夜』(2D/3D上映)。ラスベガス郊外で母と暮らし、美人の彼女エイミーと楽しく過ごしていた高校生チャーリー。だが、隣家に魅力的な男ジェリーが引っ越してきてから、級友や町の住民たちが次々と行方不明に。かつてのオタク仲間から、頻発する失踪事件がバンパイアのジェリーの仕業だと知らされたチャーリーは、母と恋人を守るため、ジェリーとの戦いを決意する。  85年の伝説的カルト映画『フライトナイト』(トム・ホランド監督)を、『ラースと、その彼女』(2007)のクレイグ・ギレスピー監督が最新の視覚効果と3D映像でリメーク。主演のアントン・イェルチンは、『スター・トレック』『ターミネーター4』(ともに09)といったSF大作や、堀北真希の恋人役を演じた『誰かが私にキスをした』(10)などへの出演が記憶に新しい。タフガイ役の多いコリン・ファレルのバンパイアも意外にハマっているが、エイミー役の新進女優イモージェン・プーツも派手な目鼻立ちとキュートな笑顔が印象的で、今後の活躍を期待したい。オリジナルを尊重し全体にオーソドックスな展開だが、3D特有の臨場感と没入感でテーマパークのアトラクション的にスリルと興奮を味わえる娯楽作だ。  続いては、板尾創路が監督・脚本・主演の『月光ノ仮面』(1月14日公開)。日本が敗戦から立ち直り始めた昭和22年、ボロボロの軍服に顔じゅう包帯の男が寄席小屋のある町に帰ってくる。男は一切の記憶をなくしているが、どうやらかつての若手人気落語家・森乃家うさぎらしい。古典落語『粗忽(そこつ)長屋』を呪文のようにつぶやく男は、森乃家一門に支えられ、やがて高座に復帰するが......。  板尾監督作品としては『板尾創路の脱獄王』(10)に続く第2作。浅野忠信、石原さとみ、前田吟、木村祐一、宮迫博之といった個性派出演陣をそろえ、テレビでもおなじみのシュールな世界観とナンセンスな笑いをディープに展開。浅野、六角精児、矢部太郎らが劇中で聞かせる達者な噺も、落語ファンにはうれしいポイント。じわじわと溜まっていた不条理が一気に爆発するかのような終盤のクライマックスと、『粗忽長屋』の筋とリンクする不確かなアイデンティティーの妙味が余韻を残す異色作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『フライトナイト 恐怖の夜』作品情報 <http://eiga.com/movie/56859/> 『月光ノ仮面』作品情報 <http://eiga.com/movie/56010/>
しんぼる ホントの"天才"は松っちゃんじゃなかったようで。 amazon_associate_logo.jpg
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「どうしてこうなった?」サッカー天皇杯 新春からJ2大躍進の怪

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天皇杯で優勝したFC東京公式ページより
 お正月の風物詩としておなじみの、元日に開催されるサッカー天皇杯決勝。第91回を迎える今年は史上初のJ2同士の対戦で話題を呼んだ。天皇杯はJ1からアマチュアまでが参加するオープントーナメントで、下のチームが上を食う番狂わせが醍醐味のひとつ。しかし、この決勝戦にはJ1勢がひとつも残れなかった。  その少し前に行われたFIFAクラブワールドカップには、地元開催のJリーグ代表としてJ1王者の柏レイソルが出場したが、この柏にしてもJ2で優勝して2011年に昇格したばかりのチーム。  日本サッカーのトップディビジョンであるJ1のレベルが落ちたのではないかと素人目には思えるのだが、実際にはどうなのだろうか? 「半分は当たっていると思います。一流の外国人選手が来なくなりましたし、いい選手はすぐ欧州に引き抜かれていきますからね。ただ、J2のレベルが上がっているということでもあるんです」(サッカーライター)  J1で行き場のない指導者や選手がJ2に行き渡り平準化、J1とJ2の戦力が均衡しつつあるというのだ。 「優秀な監督のおかげでJ2が強くなっているというのは、この天皇杯で優勝したFC東京の大熊清監督も言っていたことです。J1でも強力なのは上位の数チームだけ。J1中位からJ2上位まではほとんど差がないと考えていいでしょう」(サッカー雑誌編集者)  さらに、天皇杯の大会方式そのものがこの結果を生んでいるという説もある。毎年、リーグ戦終了後の12月は契約更改の時期で、公式戦に臨むモチベーションはおしなべて減退気味。下克上に燃えるJ2のほうが有利というわけだ。  それだけでなく、そもそもJ2のほうがチーム強化に適しているという意見すらある。 「チーム数が増えたことで、今後はJ2とその下のJFLとの間で入れ替えが始まるといわれていますが、今まではJ2からJFLへの降格がありませんでした。だから降格の心配をすることなくチームづくりができましたし、J1のようにナビスコカップやACL(AFCチャンピオンズリーグ)といった別種の大会に煩わされることもない。一部の例を除き、日本代表に選手を持っていかれもしませんし」(サッカー関係者)  J2でじっくりチームづくりに取り組んだ結果、J2優勝チームが翌年、即J1で活躍する例が増えている。前述の柏だけでなく、2008年にJ2優勝のサンフレッチェ広島が翌年J1で4位に入った。  ただ、この天皇杯で決勝に進出したFC東京と京都サンガF.C.を含め、話題となったJ2勢はすべてJ1経験組。後発の純粋なJ2クラブが旋風を巻き起こした例はない。  それがJ1のレベルが極端に下がったわけではないという理屈の根拠になってもいる。 「今年はJ2にJ1昇格プレーオフ制度が導入されますから、例年よりも天皇杯の時期にJ2のチームが疲れている可能性もあります。次は巻き返しがあるんじゃないでしょうか」(サッカーライター)  どれだけ理屈をこねてもJ1がJ2に負けている事実に変わりはない。やられっぱなしでは面目が立たないだろう。逆下克上(?)があるかどうか、次の天皇杯が見ものだ。
ワールドサッカーウイニングイレブン2012 サッカー! amazon_associate_logo.jpg
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