「03カルチャー」タグアーカイブ
高品質な紙と印刷に支えられてきた日本の出版文化は電子書籍に転換できるか?
森田芳光監督のラストメッセージ『僕達急行 A列車で行こう』

(C)2012 『僕達急行』製作委員会
1980年代の『家族ゲーム』、90年代の『(ハル)』『失楽園』、ゼロ年代の『間宮兄弟』『わたし出すわ』など、時代を切り取る話題作・問題作を撮り続けてきた森田芳光監督。昨年12月、61歳での早すぎる他界が日本中を悲しませた同監督の遺作、『僕達急行 A列車で行こう』が3月24日に封切られる。
大手デベロッパー、のぞみ地所に勤める若手社員・小町圭(松山ケンイチ)は、列車の車窓から風景を眺めながら音楽を聴くのが大好き。かたや東京下町の町工場、コダマ鉄工所の二代目・小玉健太(瑛太)は、列車の金属部品をマニアックに愛する職人肌。ともに鉄道オタク=“鉄ちゃん”の2人は、ローカル線の車内で出会い、すぐに仲良くなる。一度はコダマ鉄工所の寮に入居した小町だったが、ほどなく九州支社に転勤。失恋し傷心旅行で九州を訪ねた小玉が、小町と出かけた先でやはり鉄道オタクの大手企業社長(ピエール瀧)と知り合ったことから、2人の人生に転機が訪れる。
鉄道という趣味の世界でつながりを深めていく若者2人を軸に、それぞれの仕事での苦労と成長や、不器用さが微笑ましい恋愛のエピソードなどがユーモラスに語られるハートウォーミングなコメディー。東京近辺と九州でロケを敢行し、合計20路線80モデルにもおよぶ車両が登場するという鉄ちゃん必見の一本なのは間違いないが、けっしてそれだけではない。鉄道好きにもいろいろあって、車両が好きだったり、車窓からの眺めを楽しんだり、模型を収集していたり。作中でも多様な愛好家たちが登場するように、趣味などのテーマでゆるやかな共同体を作っていく、いわゆる「テーマコミュニティー」の可能性と、互いの個性を認め合いながら共存していくことの肯定が、森田監督らしいひょうひょうとした語り口で描かれている。TwitterやFacebookなどのSNSの普及により、テーマコミュニティーでつながることが容易になった現代、そうした若者たちの今どきのつながり方に希望を見出していた森田監督なりの想いが込められているようだ。どうか「鉄道オタクの映画でしょ」などと敬遠せず、森田監督の心温まるラストメッセージをしっかり受け止めていただきたい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『僕達急行 A列車で行こう』作品情報
<http://eiga.com/movie/55815/>
あまりの心地よさにウトウト……のら猫ファン垂涎のDVD『のら猫ニッポン』

『のら猫ニッポン~長崎・尾道
から江ノ島・函館まで~』(竹緒)
サザエさんの有名なテーマソングに、どら猫(のら猫)がお魚をくわえて逃げていく描写がある。今までなにげなく聞き流し、もしこの歌詞についてなんらかを思ったとしても、どちらかというとどら猫ではなく、裸足で駆けてく陽気なサザエさんのことに思いを馳せていた。それが、DVD『のら猫ニッポン~長崎・尾道から江ノ島・函館まで~』(竹緒)を見て、のら猫に対する意識が少しだけ変わった。
『のら猫ニッポン』は、日本全国で撮影したのら猫たちの生活ぶりを、「春夏秋冬のら」「名所のら」「島のら」「西日のら」とテーマ別に編集したDVDで、なんとトータル101分もの間、ひたすらのら猫の衣食住を拝める。しかも、北海道から長崎まで、18カ所にわたるロケ地マップ付き。ナレーションは一切なく、「池の西側を流れる用水路に、猫の姿があった――この場所は猫たちの格好な水飲み場になっているのだろう」といった説明はすべて字幕。聞こえてくるのはのんびりしたBGMに鳥の鳴き声、川の流れる音と、ヒーリング効果は抜群だ。のどかな音を聞きながら、トテトテとのんきに歩く猫、大あくびをする猫、ニューっと伸びる猫を見ていたら、あまりの心地よさに途中で何度もウトウトしてしまった。高すぎるヒーリング効果を逆手にとって、入眠DVDとして使用してもいいかもしれない。

(c)zeicompany

ほとんどが、のんべんだらりと過ごす猫の姿ばかりなのだが、時折ハラハラさせるワンシーンが現れる。特にイチオシなのが、「春夏秋冬のら」チャプター7の三重県志摩市大王町ののら猫たち。ここでは、町の人が干物干しの作業をする一瞬の隙に、干物を盗む猫の様子が撮影されている。作業する街の人たちは、優しいのかあきらめているだけなのか、猫が近寄ってきても厳しく追い返すことはほとんどない。目の前で干物を盗むのを発見したときのみ猫を叱り、そうでなければ黙認している。それでも、中には気の弱い猫もいて、街の人が少し通りかかるだけでも怖がって逃げ出し、干物になかなか近づけない。そして、やっとの思いで干物の作業場に忍び込めたのに、干物の箱が空っぽだったときの落胆した表情のいじらしさたるや。“のら”だから当たり前だが、彼らは危険をかいくぐらないと、ご馳走は得られないのだ。
今後は、サザエさんのあのテーマソングを聞くたびに、「サザエよ、どら猫くらい許してやれよ」と思うのだろうなあ……。
(文=朝井麻由美)
あまりの心地よさにウトウト……のら猫ファン垂涎のDVD『のら猫ニッポン』

『のら猫ニッポン~長崎・尾道
から江ノ島・函館まで~』(竹緒)
サザエさんの有名なテーマソングに、どら猫(のら猫)がお魚をくわえて逃げていく描写がある。今までなにげなく聞き流し、もしこの歌詞についてなんらかを思ったとしても、どちらかというとどら猫ではなく、裸足で駆けてく陽気なサザエさんのことに思いを馳せていた。それが、DVD『のら猫ニッポン~長崎・尾道から江ノ島・函館まで~』(竹緒)を見て、のら猫に対する意識が少しだけ変わった。
『のら猫ニッポン』は、日本全国で撮影したのら猫たちの生活ぶりを、「春夏秋冬のら」「名所のら」「島のら」「西日のら」とテーマ別に編集したDVDで、なんとトータル101分もの間、ひたすらのら猫の衣食住を拝める。しかも、北海道から長崎まで、18カ所にわたるロケ地マップ付き。ナレーションは一切なく、「池の西側を流れる用水路に、猫の姿があった――この場所は猫たちの格好な水飲み場になっているのだろう」といった説明はすべて字幕。聞こえてくるのはのんびりしたBGMに鳥の鳴き声、川の流れる音と、ヒーリング効果は抜群だ。のどかな音を聞きながら、トテトテとのんきに歩く猫、大あくびをする猫、ニューっと伸びる猫を見ていたら、あまりの心地よさに途中で何度もウトウトしてしまった。高すぎるヒーリング効果を逆手にとって、入眠DVDとして使用してもいいかもしれない。

(c)zeicompany

ほとんどが、のんべんだらりと過ごす猫の姿ばかりなのだが、時折ハラハラさせるワンシーンが現れる。特にイチオシなのが、「春夏秋冬のら」チャプター7の三重県志摩市大王町ののら猫たち。ここでは、町の人が干物干しの作業をする一瞬の隙に、干物を盗む猫の様子が撮影されている。作業する街の人たちは、優しいのかあきらめているだけなのか、猫が近寄ってきても厳しく追い返すことはほとんどない。目の前で干物を盗むのを発見したときのみ猫を叱り、そうでなければ黙認している。それでも、中には気の弱い猫もいて、街の人が少し通りかかるだけでも怖がって逃げ出し、干物になかなか近づけない。そして、やっとの思いで干物の作業場に忍び込めたのに、干物の箱が空っぽだったときの落胆した表情のいじらしさたるや。“のら”だから当たり前だが、彼らは危険をかいくぐらないと、ご馳走は得られないのだ。
今後は、サザエさんのあのテーマソングを聞くたびに、「サザエよ、どら猫くらい許してやれよ」と思うのだろうなあ……。
(文=朝井麻由美)
「東大話法」は単なる“批判”のためのロジックなのか?

『原発危機と「東大話法」―傍観者の
論理・欺瞞の言語―』(明石書店)
「東大話法」なる造語が注目を集めている。この言葉を発案したのは、東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授だ。安冨教授は今年初めに出版された『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―』(明石書店)の中で、「東大話法」なる欺瞞的な物言いを20項目に分類、批判的に分析している。
安冨教授がこの話法を発案したきっかけは、福島第一原子力発電所事故での学者や官僚たちの安全性を強調する発言だ。中でも安冨氏が「欺瞞的」と批判するのは、東京大学大学院の原子力工学の専門家・関村直人教授。関村教授は一号機が水素爆発を起こした時に「爆破弁を作動させた可能性もある」とコメントした人物だ。安冨教授はこうした発言を「安全と印象づける“欺瞞言語”」だと切って捨て、「東大で見聞きする独特の話しぶりとそっくり」だと指摘。さらに、東大出身者のみならず「正しくない言葉」を用いることが「東大話法」だとする(東京新聞2月25日朝刊)。
この「東大話法」、いくつか抜粋してみよう。
・規則1 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する
・規則5 どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す
・規則7 その場で自分が立派な人だと思われることを言う
・規則12 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する
・規則15 わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する
たしかに、テレビでコメントする御用学者たちに共通している部分がありそうだ。しかし、「東大話法」というレッテルを発案している本人が東大の教授である。何か自分の所属する大学に恨みでもあるのか。あるいは「規則7 その場で自分が立派な人だと思われることを言う」を意図的に実践しているのか。発想の原点が「原発事故で安全性を強調する発言」だというが、情報がない中で話しているんだから当然といえば当然だし、逆に情報もないのに「もうダメです……」なんてコメントされたほうがパニックになりそうだ。
1999年に東海村JCO臨界事故があった際、反原発の集会で広瀬隆が「もう東京は終わりだと思った」と語り、コンピューター2000年問題による原発の危機をあおったが、これは「規則1 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する」か、あるいは「規則5 どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す」なのか。
ひとまず原発の是非は置いておいて、やはり気になるのは「東大話法」なる新たなレッテルの登場に、東大出身者はどういった感想を抱いているのかということ。
「そんなことあるわけないでしょ。この著者は相当、嫌なヤツですね……」
と率直に話してくれたのは、東大工学部出身の松本准平さん。東大に通いながら吉本総合芸能学院(NSC)東京校に通ったり、今年5月には全国公開予定の映画『まだ、人間』で商業監督デビューを果たすなど、型破りな人物。それだけに期待して「東大話法」の感想を求めたのだが、最初に飛び出したのがこの言葉である。
「“東大話法”とされるような言葉を使う人がさほど大勢いるとは思いません。とはいえ、“東大話法”のようなレッテルを貼っての批判も一定程度、評価できるところがあります。これも、不安を抱えて何かに依存するしかない現在の人間の姿だと思うからです。僕は映画に携わっていますが、僕の劇場デビュー作『まだ、人間』では、今の僕と同世代の若者の“リアル”を捉えようとしました。あらゆる価値が混沌とした時代に、いつの間にかカネに依存したり、宗教に依存したり、恋愛関係に依存したりするのは弱い私たちの常だと思います。東大話法なんて、僕だって誰だってどこかで使ったことがあるのではないでしょうか」
「東大話法」をめぐっては、東京新聞は人気ページ「こちら特報部」で大きく紙面を割いて紹介。インターネット番組『マル激トーク・オン・ディマンド』で安冨教授がゲストに招かれた際には、首都大学東京の宮台真司教授が賛意を示すなど、本の発売以来2カ月余りのわずかな期間で、知識人を中心として、安冨教授への賛意は広がっている印象だ。
しかし、相手を批判するための新たなロジックとして利用するだけでは、5年も経たずに忘れ去られてしまうかもしれない。
(取材・文=昼間たかし)
「幻想百物語埼玉 妖怪編」完成記念イベントに監修者・山口敏太郎氏も登場!
埼玉県では、新しい地域の魅力を掘り下げ、再発見する新たな町おこしの一環として、埼玉県内で語り継がれている多くの妖怪を紹介・解説する冊子『幻想百物語埼玉 妖怪編』を作成。3月21日からの無料配布に先駆け、3月20日に川越市立博物館にて、完成披露イベントが行われた。
イベントでは、冊子作成に監修として携わった山口敏太郎氏による各妖怪の解説や、スピリチュアルアイドルの疋田紗也、妖怪の扮装で演奏を行うバンド・妖怪プロジェクトらによるトークショーや女優であり怪談師でもある牛抱せん夏による埼玉にまつわる怪談の朗読が行われるなど、盛りだくさんの内容。子泣き爺や猫娘も登場し、場を盛り上げた。
最後は冊子中で紹介された「川越城が危機に陥った時は霧を吹いて城を守る」と言う一風変わった妖怪「ヤナ」が住んでいたとされる『霧吹きの井戸』の実物を見学して、イベントは盛況のうちに幕を閉じた。
今回の埼玉県の試みに関し、監修を行った山口敏太郎氏は以下のように語る。
「このような妖怪・伝説、また現代人の見た化け物や都市伝説を使った町おこしはクリプトツーリズムといい、この概念や試みは最初アメリカで始まり、12年前に僕が日本にもこの考えを持ち込みました」
12年前に東京は青梅で地域独自の妖怪・伝説をテーマにした町おこしイベントを行って以来、多くのイベントの仕掛け人となってきた山口氏。
「他にもこのような話は四国や関西方面など各地から来ていて、岐阜では昨年行いました『口裂け女祭り』を今年も引き続き開催します。不況で町おこしの材料を新しい物に求めていくのが困難になる昨今、地元に眠っている資源を使った町おこしの形は今後より盛んになっていくことでしょう」
こう続ける氏は、今回の小冊子作成は「始まりに過ぎない」と話す。
「今後は更に妖怪伝説のイベントやツアーを仕掛けていきたいと思っております。例えば恋愛や試験、出世などに関係したパワースポットによる町おこしなども行っていくつもりです。妖怪は決して不気味な物や怖い物ではなく、そこに親の愛情や祖父母の知恵が含まれている。先祖が残してくれたタイムカプセルのようなもの。だからこそ、21世紀の現在だからこそ、再確認すべき内容が詰まっていると言っても良いのではないでしょうか」
氏はそう言って話を締めくくった。
妖怪のことをあまり知らない人から既に知っている人まで楽しめるよう、埼玉独自の妖怪達を集め詳細に紹介した、この冊子はフルカラー24ページ。3月21日より埼玉県を中心に各地に無料で配布される。
((株)山口敏太郎タートルカンパニー)
【お問い合わせは、埼玉県広聴広報課:048-830-2864まで】
本当にいる日本の「現代妖怪」図鑑
ギャー。

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『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』オールナイト上映会を“めっちゃ”レポート!

4月4日から放送が始まる、人気ライトノベル『これはゾンビですか?』(木村心一、富士見ファンタジア文庫)のアニメ化第2弾作品『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』。
昨今のゾンビブームの中でも異臭……もとい、異彩を放つこの作品を、放送前に6話まで先行上映してしまうという、脅威のオールナイトイベント「『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』 宇宙最速!めっちゃ6話までダンシンオールナイト!」が3月9日、角川シネマ新宿にて開催された。
あいにくの大雨に見舞われたものの、会場にはおよそ300人の熱い『これゾン』ファンが大集合。上映前には、“仮面P”こと蜂屋誠一プロデューサーを司会に、ヒロイン・ハルナ役の野水伊織、ユー役の月宮みどり、サラス役の合田彩、アンダーソン(下村)役の瀧澤樹ら本作に出演する声優陣によるトークショーが行われた。本作では声優として参加している芸人のイッキ(元・東京タイツ)も途中から加わり、会場の空気は一気にヒートアップしていった。
上映会は、『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』の前に、アニメ第一期『これはゾンビですか?』の1話、12話(最終話)の「絶叫上映」からスタート。
「絶叫上映」とは、作品の上映中にスクリーンに向けて感想を叫んだり、ツッコミを入れたりする特殊な上映形態のこと。近年、劇場アニメの本数が増える中、新たな楽しみ方として発見されてきた。今回の上映でも、「かわいいよー!」といった歓声を上げたり、劇中のライブシーンに合わせてサイリウムを振ったりと、客席は盛り上がりを見せた。
その後の『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』先行上映は通常の上映形態で、2話ごとに15分の休憩を挟みつつ上映していく流れ。安定したクオリティでテンポの良いフィルムに、客席からはたびたび大きな笑い声が起こった。
4話と5話の間には、シリーズ構成の上江洲誠、脚本を担当する森田繁、待田堂子、関根聡子、原作者の木村心一が登壇。上江洲の乾杯の音頭からトークショーへ。
「(続編が決まったときの率直な感想は)しんどいなー、と思った(笑)。パート1が本当に全力で、続編のことなんか考えずにシリーズ構成をして最終回まで書ききったので」(上江洲)
「(続編が決まって)(声優の)金元(寿子)さんにまた会えると思った」
「原作のセリフはじぇ~んじぇん使ってくれへん……それが正しいとは思ってるけども」
「最近清水愛さんの声がエロい」(木村)
……などなど、終始息のあったやりとりで、ぶっちゃけ発言が次々と飛び出し、会場は爆笑の渦に巻き込まれた。
最後には、サプライズ的に『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』第0話の上映もあり、お客さんも大満足の内容でイベントは締めくくられた。今後も、9月23日にディファ有明でメインキャスト総登場のビッグイベント 「『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』 めっちゃフェスティボー!」の開催が決定しているほか、『これゾン』のイベント攻勢はまだまだ続きそうだ。本編とイベントあわせて、今年は大いに『これゾン』の世界を堪能してほしい!
(取材・文=前田久)
●『これはゾンビですか? オブ・ザ・デッド』
<http://kadokawa-anime.jp/zombie/>
もこみちのピュアさにロックオン! DVDで楽しむ『MOCO’Sキッチン』

『MOCO’Sキッチン Vol.1』(バップ)
朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)内で、和製ジェイミー・オリヴァーこと俳優の速水もこみちが、毎日3分間のクッキング・ショーを繰り広げる人気コーナー「MOCO'Sキッチン」。
「なんにでもオリーブオイルを使う」「お手軽レシピと言いつつ見たこともない謎野菜を使う」「家庭的な料理と言いつつチーズを3種類使う」など、2011年4月のスタート以来、ネットを中心にその自由さばかりが取り上げられ、「追いオリーブオイル」「塩ファサー」といった面白造語まで生まれた同コーナー。しかしまずは、エンターテインメント性の高い海外テイストのクッキング・ワンマン・ショーを忠実に輸入し、日本に広く浸透させることに成功した初の番組として素直に評価したいのだ。
そんな「MOCO'Sキッチン」のDVD『MOCO’Sキッチン Vol.1』(バップ)が今月発売となった。いつもワイプで見せる半笑いのスタジオの様子は楽しめないものの、「骨付き鶏もも肉のワーテルゾイ」「うなぎの変わりちらし」「ロコモコ」など過去に番組で紹介した15レシピの映像に加え、50分にわたる特典映像には、収録現場の裏側、もこみちのスペシャルインタビュー、DVD用限定レシピ「チキンとハーブのグリル~バルサミコ風味の野菜とともに」を収録。すなわち、料理完成時にドヤ顔と共に繰り出すキメゼリフ「今日はこれで決まり」がこの1枚で16回も聴けてしまうのだ。
収録現場の裏側では、もこみちが300以上ものレシピを書き溜めているという私物のノートの中身や、自宅で栽培しているハーブの写真を披露。「番組のすべてのレシピを自分で考えている」という彼が、私生活から料理と向き合っている様子が感じ取れる。また何より、彼の素の表情を見ていると、「まっすぐな道」という意味の込められた「もこみち」という名の通り、まっすぐでピュアな人柄を愛さずにはいられなくなるだろう。
しかし、『きょうの料理』(NHK)や、『キユーピー3分クッキング』(日本テレビ系)で紹介される「今日すぐに作れるレシピ」がおなじみの日本人にとって、突然「仕上げに食用花とピンクペッパーを散らせば、完成!」(DVD収録「マッシュポテトのピザ風」より)などと言われたら、びっくりしてしまうかもしれない。しかし固定観念を捨て、いっそのこともこみちのことを「日本語をしゃべる外国人」だと思ってしまえば、そんなレシピも違和感なく受け入れられるのではないだろうか。もしかしたら、いや確実に、もこみちは海外の人気料理人を、俳優として演じてきっているのだから。
もちろんDVDには、2ちゃんねる的視点からのお楽しみも健在だ。最初の収録レシピ「牛フィレ肉のサラダ」は、オリーブオイルで焼き上げたステーキにさらにオリーブオイルを絡め、オリーブオイルであえた野菜の上に盛り付けるという料理であるし、得点映像のオリジナルレシピで彼は、「僕はこれくらい焦げたのが好き」と言うが、我々からすると鶏肉を明らかに黒く焦がしている。
また、これはDVD制作スタッフが視聴者に寄ろうとした思惑が見えてしまい、筆者個人としては彼が少々気の毒に感じてしまったが(すでにもこみちに心を奪われているため)、特典映像のインタビューで「(自宅のキッチンに)オリーブオイル20本くらいはありますね。ちょっと形がかわいいものがあったら飾ったりとか、いろんな産地のオリーブオイルを集めてますね」とプライベートのオリーブオイル事情について答えさせられている。何はともあれ「好きだとは思っていたけどそこまでとは……」という驚きを得られる貴重な映像だ。
インタビューの最後、「何に挑戦してみたい?」との質問に、もこみちは「海外に行って『MOCO'Sキッチン』をやる」と答えている。「『MOCO'Sキッチン』をやる」というのは、海外で番組をやるということなのか、海外で料理を学びたいという意味なのか真意は図れないが、とにかく彼は世界に目を向けている。オリーブオイルを抱え、速水もこみちが狭い日本を飛び出す日も近いかもしれない。
(文=林タモツ)
もこみちのピュアさにロックオン! DVDで楽しむ『MOCO’Sキッチン』

『MOCO’Sキッチン Vol.1』(バップ)
朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)内で、和製ジェイミー・オリヴァーこと俳優の速水もこみちが、毎日3分間のクッキング・ショーを繰り広げる人気コーナー「MOCO'Sキッチン」。
「なんにでもオリーブオイルを使う」「お手軽レシピと言いつつ見たこともない謎野菜を使う」「家庭的な料理と言いつつチーズを3種類使う」など、2011年4月のスタート以来、ネットを中心にその自由さばかりが取り上げられ、「追いオリーブオイル」「塩ファサー」といった面白造語まで生まれた同コーナー。しかしまずは、エンターテインメント性の高い海外テイストのクッキング・ワンマン・ショーを忠実に輸入し、日本に広く浸透させることに成功した初の番組として素直に評価したいのだ。
そんな「MOCO'Sキッチン」のDVD『MOCO’Sキッチン Vol.1』(バップ)が今月発売となった。いつもワイプで見せる半笑いのスタジオの様子は楽しめないものの、「骨付き鶏もも肉のワーテルゾイ」「うなぎの変わりちらし」「ロコモコ」など過去に番組で紹介した15レシピの映像に加え、50分にわたる特典映像には、収録現場の裏側、もこみちのスペシャルインタビュー、DVD用限定レシピ「チキンとハーブのグリル~バルサミコ風味の野菜とともに」を収録。すなわち、料理完成時にドヤ顔と共に繰り出すキメゼリフ「今日はこれで決まり」がこの1枚で16回も聴けてしまうのだ。
収録現場の裏側では、もこみちが300以上ものレシピを書き溜めているという私物のノートの中身や、自宅で栽培しているハーブの写真を披露。「番組のすべてのレシピを自分で考えている」という彼が、私生活から料理と向き合っている様子が感じ取れる。また何より、彼の素の表情を見ていると、「まっすぐな道」という意味の込められた「もこみち」という名の通り、まっすぐでピュアな人柄を愛さずにはいられなくなるだろう。
しかし、『きょうの料理』(NHK)や、『キユーピー3分クッキング』(日本テレビ系)で紹介される「今日すぐに作れるレシピ」がおなじみの日本人にとって、突然「仕上げに食用花とピンクペッパーを散らせば、完成!」(DVD収録「マッシュポテトのピザ風」より)などと言われたら、びっくりしてしまうかもしれない。しかし固定観念を捨て、いっそのこともこみちのことを「日本語をしゃべる外国人」だと思ってしまえば、そんなレシピも違和感なく受け入れられるのではないだろうか。もしかしたら、いや確実に、もこみちは海外の人気料理人を、俳優として演じてきっているのだから。
もちろんDVDには、2ちゃんねる的視点からのお楽しみも健在だ。最初の収録レシピ「牛フィレ肉のサラダ」は、オリーブオイルで焼き上げたステーキにさらにオリーブオイルを絡め、オリーブオイルであえた野菜の上に盛り付けるという料理であるし、得点映像のオリジナルレシピで彼は、「僕はこれくらい焦げたのが好き」と言うが、我々からすると鶏肉を明らかに黒く焦がしている。
また、これはDVD制作スタッフが視聴者に寄ろうとした思惑が見えてしまい、筆者個人としては彼が少々気の毒に感じてしまったが(すでにもこみちに心を奪われているため)、特典映像のインタビューで「(自宅のキッチンに)オリーブオイル20本くらいはありますね。ちょっと形がかわいいものがあったら飾ったりとか、いろんな産地のオリーブオイルを集めてますね」とプライベートのオリーブオイル事情について答えさせられている。何はともあれ「好きだとは思っていたけどそこまでとは……」という驚きを得られる貴重な映像だ。
インタビューの最後、「何に挑戦してみたい?」との質問に、もこみちは「海外に行って『MOCO'Sキッチン』をやる」と答えている。「『MOCO'Sキッチン』をやる」というのは、海外で番組をやるということなのか、海外で料理を学びたいという意味なのか真意は図れないが、とにかく彼は世界に目を向けている。オリーブオイルを抱え、速水もこみちが狭い日本を飛び出す日も近いかもしれない。
(文=林タモツ)







