単なる懐古に終わらない! 新しい魅力溢れるモノクロ無声映画『アーティスト』

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(C)La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine -  
JD Prod - France 3 Cinema- Jouror Productions - uFilm
 派手なアクションや最先端の視覚効果に興奮したり、斬新なトリックや凝った筋書きに驚愕したりするのも、もちろんオーケー。それでもやはり、俳優たちの素晴らしい演技を味わい、彼らが織りなす物語世界に心動かされることこそ、映画の楽しみ方の基本であり王道なのだと改めて教えてくれる、注目の新作2本を紹介したい。  4月7日公開の『アーティスト』は、今どきモノクロの無声映画の新作ということでまず意表を突き、さらに今年の第84回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞ほか5冠を獲得して世界を2度驚嘆させたフランス製のメロドラマ。サイレント映画が全盛期を迎えていた1920年代のハリウッドで、スター俳優のジョージ(ジャン・デュジャルダン)は新人女優のペピー(ベレニス・ベジョ)と出会い、彼女をスターへと導く。折しも映画業界がサイレントからトーキーへと移行するなか、ジョージが落ちぶれていく一方、ペピーはトーキー映画の新進スターとして人気を確立。ジョージの没落に心を痛めるペピーは、彼の再起を願って秘かに奔走する。  セリフを発することなく顔の表情と身体の動きですべてを表現しなければならない難役を、デュジャルダンとベジョが繊細かつ優雅に、時には大胆にまたユーモラスに熱演。レトロな雰囲気のなか繰り広げられる成功と挫折と切ない恋の物語を、過去の名作へのオマージュを込めた音楽が盛り上げる。モノクロ&サイレントとはいえ、ごく一部で色や環境音・セリフが効果的に加えられたシーンがあり、単なる懐古に終わらせず新しい魅力を創造したい、というミシェル・アザナヴィシウス監督の意気込みが伝わってくる。無声映画や白黒作品を愛するマニアや年配者はもちろん、カラー作品しか見たことがないという比較的若い世代にも新たな発見をもたらしてくれる娯楽作だ。  もう1本の『キリング・フィールズ 失踪地帯』(4月14日公開)は、米テキサスシティ郊外に実在する犯罪多発地帯を題材にしたクライムサスペンス。血気盛んでトラブルの絶えない刑事マイクと、ニューヨークから転属してきた穏やかで冷静な相棒ブライアンは、連続して発生した少女の失踪と殺人事件の捜査にあたる。なかなか手がかりがつかめず、ようやく容疑者が浮かび上がったころ、ブライアンが気にかけていた傷心の少女アンも失踪。アンが事件に巻き込まれたと直感した2人は、「キリング・フィールド(殺人地帯)」と呼ばれ恐れられる一帯に足を踏み入れる。  『ヒート』(1995年)、『コラテラル』(2004年)、『マイアミ・バイス』(06年)といった犯罪物や刑事物の監督で知られるマイケル・マンが製作を受け持ち、実の娘であるアミ・カナーン・マンが商業映画の長編監督としてデビューを飾った。マイク役には、『アバター』(09年)、『タイタンの戦い』(10年)など超人的なヒーローの役どころが記憶に新しいサム・ワーシントン。アン役には、『キック・アス』『モールス』(共に10年)でエキセントリックな少女を演じてきたクロエ・グレース・モレッツ。2人とも、過去の代表作ではなかなか見られなかった“現代の普通の人”のキャラクターを、生々しく切実に演じている。もう1人の刑事に扮するジェフリー・ディーン・モーガンや、『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(公開中)で今年のアカデミー助演女優賞にノミネートされたジェシカ・チャステインも含め、演技派のキャストたちのアンサンブルを堪能できる佳作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 「アーティスト」作品情報 <http://eiga.com/movie/57525/> 「キリング・フィールズ 失踪地帯」作品情報 <http://eiga.com/movie/57592/>
Artist サントラもチェケラ! amazon_associate_logo.jpg
風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』熱く、冷酷で、チャーミングな男たちが銃弾と踊る『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能

単なる懐古に終わらない! 新しい魅力溢れるモノクロ無声映画『アーティスト』

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(C)La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine -  
JD Prod - France 3 Cinema- Jouror Productions - uFilm
 派手なアクションや最先端の視覚効果に興奮したり、斬新なトリックや凝った筋書きに驚愕したりするのも、もちろんオーケー。それでもやはり、俳優たちの素晴らしい演技を味わい、彼らが織りなす物語世界に心動かされることこそ、映画の楽しみ方の基本であり王道なのだと改めて教えてくれる、注目の新作2本を紹介したい。  4月7日公開の『アーティスト』は、今どきモノクロの無声映画の新作ということでまず意表を突き、さらに今年の第84回アカデミー賞で作品賞、監督賞、主演男優賞ほか5冠を獲得して世界を2度驚嘆させたフランス製のメロドラマ。サイレント映画が全盛期を迎えていた1920年代のハリウッドで、スター俳優のジョージ(ジャン・デュジャルダン)は新人女優のペピー(ベレニス・ベジョ)と出会い、彼女をスターへと導く。折しも映画業界がサイレントからトーキーへと移行するなか、ジョージが落ちぶれていく一方、ペピーはトーキー映画の新進スターとして人気を確立。ジョージの没落に心を痛めるペピーは、彼の再起を願って秘かに奔走する。  セリフを発することなく顔の表情と身体の動きですべてを表現しなければならない難役を、デュジャルダンとベジョが繊細かつ優雅に、時には大胆にまたユーモラスに熱演。レトロな雰囲気のなか繰り広げられる成功と挫折と切ない恋の物語を、過去の名作へのオマージュを込めた音楽が盛り上げる。モノクロ&サイレントとはいえ、ごく一部で色や環境音・セリフが効果的に加えられたシーンがあり、単なる懐古に終わらせず新しい魅力を創造したい、というミシェル・アザナヴィシウス監督の意気込みが伝わってくる。無声映画や白黒作品を愛するマニアや年配者はもちろん、カラー作品しか見たことがないという比較的若い世代にも新たな発見をもたらしてくれる娯楽作だ。  もう1本の『キリング・フィールズ 失踪地帯』(4月14日公開)は、米テキサスシティ郊外に実在する犯罪多発地帯を題材にしたクライムサスペンス。血気盛んでトラブルの絶えない刑事マイクと、ニューヨークから転属してきた穏やかで冷静な相棒ブライアンは、連続して発生した少女の失踪と殺人事件の捜査にあたる。なかなか手がかりがつかめず、ようやく容疑者が浮かび上がったころ、ブライアンが気にかけていた傷心の少女アンも失踪。アンが事件に巻き込まれたと直感した2人は、「キリング・フィールド(殺人地帯)」と呼ばれ恐れられる一帯に足を踏み入れる。  『ヒート』(1995年)、『コラテラル』(2004年)、『マイアミ・バイス』(06年)といった犯罪物や刑事物の監督で知られるマイケル・マンが製作を受け持ち、実の娘であるアミ・カナーン・マンが商業映画の長編監督としてデビューを飾った。マイク役には、『アバター』(09年)、『タイタンの戦い』(10年)など超人的なヒーローの役どころが記憶に新しいサム・ワーシントン。アン役には、『キック・アス』『モールス』(共に10年)でエキセントリックな少女を演じてきたクロエ・グレース・モレッツ。2人とも、過去の代表作ではなかなか見られなかった“現代の普通の人”のキャラクターを、生々しく切実に演じている。もう1人の刑事に扮するジェフリー・ディーン・モーガンや、『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(公開中)で今年のアカデミー助演女優賞にノミネートされたジェシカ・チャステインも含め、演技派のキャストたちのアンサンブルを堪能できる佳作だ。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 「アーティスト」作品情報 <http://eiga.com/movie/57525/> 「キリング・フィールズ 失踪地帯」作品情報 <http://eiga.com/movie/57592/>
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風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』熱く、冷酷で、チャーミングな男たちが銃弾と踊る『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能

香港製のもうひとつの『チェイサー』 哀しき追跡『ビースト・ストーカー/証人』

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(c)2008 Emperor Classic Films Company Limited All Rights Reserved.
 デリヘル経営者と連続猟奇殺人鬼との息づまる追跡の行方を描いた韓国映画『チェイサー』(08)のヒットによって、犯罪サスペンス映画のハードルは一気に跳ね上がった。ハンパな捜査ものでは、映画ファンはもう満足できなくなってしまった。演出力ではジョニー・トーを超え香港映画界随一! との評判のダンテ・ラム監督による香港映画『ビースト・ストーカー/証人』は、奇しくも『チェイサー』と同じ2008年に製作された作品。追う側と追われる側との手に汗握る攻防が繰り広げられる。カーアクション&格闘シーンの迫力も、各登場キャラクターの人物造型も申し分なし。やりすぎ捜査のために周囲に多大な犠牲を強いてしまったトラウマを抱える刑事に『孫文の義士団』(09)のニコラス・ツェー、愛する妻の治療費を稼ぐために犯罪に手を染める隻眼の男に『エグザイル/絆』(06)をはじめジョニー・トー監督作品の常連ニック・チョン。夜の香港を舞台に、男泣きバトルが展開される。  重犯罪者を追う刑事トン(ニコラス・ツェー)は3か月前に、取り返しのつかない大失態をやらかしてしまった。逃走する犯罪者の車を、ベテラン刑事の新(リウ・カイチー)と共に追っていたが、交差点で突っ込んできた一般車と激突し、3台とも大破。この事故により相棒の新は後遺症をわずらう痛々しい体となり、刑事職から離れることに。さらにトンが犯罪者の逃走車両に撃ち込んだ銃弾のせいで、女検事アン(チャン・ジンチュー)の幼い娘が死亡。犯罪者を検挙するためなら、同僚を平気でなじり、無茶な捜査を重ねてきたトン刑事は、あまりにも大きな代償を払うはめとなった。  犯罪組織の幹部の裁判を進めていたアン検事には、もうひとり双子の娘リンがいた。残されたリンに母親として精いっぱいの愛情を注ぐアンだったが、犯罪組織の依頼を受けた隻眼の男にリンを誘拐されてしまう。アンを脅して、裁判を左右する重要証拠を消滅してしまおうという企みだ。隻眼の男は元ボクサーのホン(ニック・チョン)。ホンは重度の障害を持つ妻の治療費を稼ぐために、犯罪組織に雇われる身となっていた。アン検事に負い目を感じるトン刑事は、リンを救出するため単身でホンを追い詰めていく。ホンもまた、寝たきり状態の妻を守るために捨て身で立ち塞がる。ちなみに本作の演技により、ニック・チョンは香港電影金像賞(香港版アカデミー賞) 主演男優賞を受賞している。文句なしの受賞だろう。それぐらいの演技だ。
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(c)2008 Emperor Classic Films Company Limited All Rights Reserved.
 本作で重要な鍵となるのが、序盤で起きるカークラッシュシーン。CG全盛の時代によくぞ撮りましたと感心してしまうほどのガチンコな迫力。自動車教習所で本作を上映したら、運転免許の取得を辞退する者が続出するんじゃないかと余計な心配をしてしまうほどの出来映えだ。交通事故が原因で、登場キャラクターそれぞれの人生が大きく歪んでしまうストーリーが生々しい。ジョニー・トー監督の『ザ・ミッション 非情の掟』(00)やイー・トンシン監督の『ワンナイト・イン・モンコック』(04)といった香港ノワールの世界に、事故がきっかけで哀しい人間ドラマが交差するアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『アモーレス・ペロス』(98)ばりの緻密なシナリオが巧みに融合しているのが本作の魅力だろう。なんといっても、映画の最後の最後、この緻密さの真骨頂が炸裂している。見事という他ないし、ため息を禁じえない。チラシに「香港ノワール屈指の“終幕”」とあるが、看板に偽りなし、だ。  ここで、ちょっと映画の本題から外れるが、お許しのほどを。テレビ番組に出演するグルメレポーターにとって「美味しい」というフレーズは禁句だそうだ。テレビ番組のグルメコーナーで紹介される料理は、美味しいのが当たり前。ゆえに「美味しい」という言葉以外のボキャブラリーと臨場感溢れるリアクションが、プロのレポーターには求められる。同じように、ハードボイルドな犯罪ドラマの主人公も、安易に“泣く”ことは許されない。辛くて哀しいときに、泣くのは陳腐すぎるからだ。では、ニコラス・ツェー演じるトン刑事は辛すぎてやりきれないとき、どんな表情を見せるのか?  同僚を閑職に追いやり、罪のない少女の命を奪ってしまったトン刑事にさめざめと泣くことは許されない。トン刑事は涙を流す換わりに、自分自身への激しい憤怒でドス黒い鼻血をドクドクと垂れ流す。“鼻血デカ”、ここに誕生。かつてはイケメンぶりで人気だったニコラス・ツェーだが、30歳となりこういう汚れた顔がよく似合うようになってきた。ニコラス・ツェー自身も今回の役に手応えを感じたらしく、ダンテ・ラム監督と組んで、『密告・者』(10・5/9 DVD/Blu-ray発売)、『逆戦 The Viral Factor』(11・日本未公開)と3作続けて主演し、どれも高い評価を受けている。  人一倍、血の気の多い“鼻血デカ”が情の厚い愛妻家のヒットマンを追い掛けて、香港の街を駆け巡る。『ビースト・ストーカー/証人』は香港で生まれた、もうひとつの『チェイサー』といっていいだろう。 『ビースト・ストーカー/証人』 監督・脚本/ダンテ・ラム アクション指導/トン・ワイ カーアクション指導/ブルース・ロウ 出演/ニコラス・ツェー、ニック・チョン、チャン・ジンチュー、リウ・カイチー、シャーマン・チョン、ミャオ・プー 配給/ブロードメディア・スタジオ 4月7日(土)より新宿シネマスクエアとうきゅうほか全国ロードショー 提供/キングレコード 配給/ブロードメディア・スタジオ http://beaststalker.net 【関連記事】 ・風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』熱く、冷酷で、チャーミングな男たちが銃弾と踊る『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能

香港製のもうひとつの『チェイサー』 哀しき追跡『ビースト・ストーカー/証人』

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(c)2008 Emperor Classic Films Company Limited All Rights Reserved.
 デリヘル経営者と連続猟奇殺人鬼との息づまる追跡の行方を描いた韓国映画『チェイサー』(08)のヒットによって、犯罪サスペンス映画のハードルは一気に跳ね上がった。ハンパな捜査ものでは、映画ファンはもう満足できなくなってしまった。演出力ではジョニー・トーを超え香港映画界随一! との評判のダンテ・ラム監督による香港映画『ビースト・ストーカー/証人』は、奇しくも『チェイサー』と同じ2008年に製作された作品。追う側と追われる側との手に汗握る攻防が繰り広げられる。カーアクション&格闘シーンの迫力も、各登場キャラクターの人物造型も申し分なし。やりすぎ捜査のために周囲に多大な犠牲を強いてしまったトラウマを抱える刑事に『孫文の義士団』(09)のニコラス・ツェー、愛する妻の治療費を稼ぐために犯罪に手を染める隻眼の男に『エグザイル/絆』(06)をはじめジョニー・トー監督作品の常連ニック・チョン。夜の香港を舞台に、男泣きバトルが展開される。  重犯罪者を追う刑事トン(ニコラス・ツェー)は3か月前に、取り返しのつかない大失態をやらかしてしまった。逃走する犯罪者の車を、ベテラン刑事の新(リウ・カイチー)と共に追っていたが、交差点で突っ込んできた一般車と激突し、3台とも大破。この事故により相棒の新は後遺症をわずらう痛々しい体となり、刑事職から離れることに。さらにトンが犯罪者の逃走車両に撃ち込んだ銃弾のせいで、女検事アン(チャン・ジンチュー)の幼い娘が死亡。犯罪者を検挙するためなら、同僚を平気でなじり、無茶な捜査を重ねてきたトン刑事は、あまりにも大きな代償を払うはめとなった。  犯罪組織の幹部の裁判を進めていたアン検事には、もうひとり双子の娘リンがいた。残されたリンに母親として精いっぱいの愛情を注ぐアンだったが、犯罪組織の依頼を受けた隻眼の男にリンを誘拐されてしまう。アンを脅して、裁判を左右する重要証拠を消滅してしまおうという企みだ。隻眼の男は元ボクサーのホン(ニック・チョン)。ホンは重度の障害を持つ妻の治療費を稼ぐために、犯罪組織に雇われる身となっていた。アン検事に負い目を感じるトン刑事は、リンを救出するため単身でホンを追い詰めていく。ホンもまた、寝たきり状態の妻を守るために捨て身で立ち塞がる。ちなみに本作の演技により、ニック・チョンは香港電影金像賞(香港版アカデミー賞) 主演男優賞を受賞している。文句なしの受賞だろう。それぐらいの演技だ。
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(c)2008 Emperor Classic Films Company Limited All Rights Reserved.
 本作で重要な鍵となるのが、序盤で起きるカークラッシュシーン。CG全盛の時代によくぞ撮りましたと感心してしまうほどのガチンコな迫力。自動車教習所で本作を上映したら、運転免許の取得を辞退する者が続出するんじゃないかと余計な心配をしてしまうほどの出来映えだ。交通事故が原因で、登場キャラクターそれぞれの人生が大きく歪んでしまうストーリーが生々しい。ジョニー・トー監督の『ザ・ミッション 非情の掟』(00)やイー・トンシン監督の『ワンナイト・イン・モンコック』(04)といった香港ノワールの世界に、事故がきっかけで哀しい人間ドラマが交差するアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の『アモーレス・ペロス』(98)ばりの緻密なシナリオが巧みに融合しているのが本作の魅力だろう。なんといっても、映画の最後の最後、この緻密さの真骨頂が炸裂している。見事という他ないし、ため息を禁じえない。チラシに「香港ノワール屈指の“終幕”」とあるが、看板に偽りなし、だ。  ここで、ちょっと映画の本題から外れるが、お許しのほどを。テレビ番組に出演するグルメレポーターにとって「美味しい」というフレーズは禁句だそうだ。テレビ番組のグルメコーナーで紹介される料理は、美味しいのが当たり前。ゆえに「美味しい」という言葉以外のボキャブラリーと臨場感溢れるリアクションが、プロのレポーターには求められる。同じように、ハードボイルドな犯罪ドラマの主人公も、安易に“泣く”ことは許されない。辛くて哀しいときに、泣くのは陳腐すぎるからだ。では、ニコラス・ツェー演じるトン刑事は辛すぎてやりきれないとき、どんな表情を見せるのか?  同僚を閑職に追いやり、罪のない少女の命を奪ってしまったトン刑事にさめざめと泣くことは許されない。トン刑事は涙を流す換わりに、自分自身への激しい憤怒でドス黒い鼻血をドクドクと垂れ流す。“鼻血デカ”、ここに誕生。かつてはイケメンぶりで人気だったニコラス・ツェーだが、30歳となりこういう汚れた顔がよく似合うようになってきた。ニコラス・ツェー自身も今回の役に手応えを感じたらしく、ダンテ・ラム監督と組んで、『密告・者』(10・5/9 DVD/Blu-ray発売)、『逆戦 The Viral Factor』(11・日本未公開)と3作続けて主演し、どれも高い評価を受けている。  人一倍、血の気の多い“鼻血デカ”が情の厚い愛妻家のヒットマンを追い掛けて、香港の街を駆け巡る。『ビースト・ストーカー/証人』は香港で生まれた、もうひとつの『チェイサー』といっていいだろう。 『ビースト・ストーカー/証人』 監督・脚本/ダンテ・ラム アクション指導/トン・ワイ カーアクション指導/ブルース・ロウ 出演/ニコラス・ツェー、ニック・チョン、チャン・ジンチュー、リウ・カイチー、シャーマン・チョン、ミャオ・プー 配給/ブロードメディア・スタジオ 4月7日(土)より新宿シネマスクエアとうきゅうほか全国ロードショー 提供/キングレコード 配給/ブロードメディア・スタジオ http://beaststalker.net 【関連記事】 ・風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』熱く、冷酷で、チャーミングな男たちが銃弾と踊る『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能

“雪かき漫画家”初監督作品『憂恋の花』が「ゆうばりファンタ 2012」でワールドプレミア!!

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 2010年の12月5日、マンガ・アニメの規制を画策する東京都青少年健全育成条例改正案をめぐり、猪瀬直樹東京都副知事がTwitterに書き込んだ「ネトウヨは財政破綻した夕張を助けに行け。雪かきして来い」というつぶやきに呼応した一人が、キャリア20年を数える現役マンガ家の浦嶋嶺至氏だ。  一表現者としての主張を都政に反映させるべく、作家でもある猪瀬副知事との対論を希望したところ、取材に応じる条件として、財政破綻に苦しむ雪深い夕張市内での雪かきを提示されたのだった。  そこで浦嶋氏は2011年1月21日に夕張市を訪問し、同市の社会福祉協議会の案内で雪かきを実行。  さらに、同年2月24日より開催された「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2011」に併せて夕張市を再訪、2度目の雪かきを行い、一躍マスコミの脚光を浴びるようになった。 DSC00329.jpg  以上の流れが、2011年初頭に巻き起こった“雪かき漫画家”騒動の顛末なのだが、この話題、昨年のマンガ業界を彩るネタの一つとして早々に忘れ去られるものでは決してなかった……。  帰京後の浦嶋氏は、猪瀬副知事との対論を実現させようと準備を進めていたが、その矢先の3月11日、東日本大震災と原発事故が発生したため、しばし沈黙を余儀なくされた。そんな中、人知れず過去に発表した自作の短編マンガを脚本化し、その後、自らプロダクションを立ち上げて映画化に奔走。映画監督として現場に臨み、7月初旬のクランクインを経て、8月下旬にクランクアップを向かえるに至った。  そして11月23日、編集を終えた浦嶋氏は、初監督作品となる『憂恋の花』の零号試写を実施。各所から賞賛コメントが浦嶋氏へと届けられる中、ついには猪瀬副知事を表敬訪問するに至った。作家とマンガ家という垣根を越えた一表現者としての対話が実現し、猪瀬副知事からも以下のコメントが寄せられた。 「『憂恋の花』を観ました。僕の知っている風景がいくつかありました。知らないところも知っているような懐かしさのある、しっとりとした風景の映像ですね」  『憂恋の花』に出演した増田俊樹氏の監督作で、2010年1月に劇場公開された映画『おやすみアンモナイト 貧乏人抹殺篇/貧乏人逆襲篇』も、かっては2008年末の締め切り寸前に「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2009」にエントリーされ、出品が決まった経緯があった。  そんな縁も手伝って、増田監督と同作の脚本を執筆したジャーナリスト・昼間たかし氏の心強いアドバイスを得た浦嶋氏は、同映画祭の締め切り直前に監督作をエントリー。  そして、2011年の暮れに初監督作ながら国際映画祭出品というチャンスを掴み、念願の映画監督として、3度目の夕張入りを果たしたのだった。  以下、駆け足での、2012年の雪かきレポートとなる。 ***  2012年2月23日の早朝、新千歳空港に降り立った“雪かき漫画家”浦嶋氏は、メインキャストである大澤真一郎氏、出演者であり自主映画監督でもある岩崎友彦氏、出演者兼協力プロデューサーの増田俊樹氏、そして、ロフト報道チャンネルのディレクター・石崎俊一氏と共に、映画祭専用のシャトルバスに乗車。真っ白な北の大地を車窓から眺めつつ、車中での打合せは余念なく進行された。  チェックインした宿泊施設はホテルでなく、廃校を改装した「合宿の宿ひまわり」。修学旅行さながらの大部屋にて、スタッフ、キャストの親交を深めたり、大浴場がほかの映画祭ゲストとの絶好のコミュニケーションの場となるであろうとの思いもあった。身支度を整え、アディーレ会館ゆうばりでの映画祭オープニング・セレモニーに出席し浦嶋は、澤田宏一実行委員長、鈴木直道夕張市長のスピーチに続き、念願の映画監督としてその名が披露された。  セレモニー後、親交を結ぶ俳優・辻岡正人氏の出演作『くそガキの告白』をスタッフ全員で鑑賞。鑑賞後、同作品の監督・鈴木太一氏、映画評論家の塩田時敏氏との交流を持った浦嶋は、オープニング・パーティーの席上でも、夕張市長に就任した旧知の鈴木直道氏と1年ぶりとなるあいさつを交わし、今後の夕張市の再生への協力を約束した。  翌24日は早朝から夕張市社会福祉協議会に集合。浦嶋氏自ら雪かきを陣頭指揮するも、豪雪に見舞われた雪の壁を前に悪戦苦闘を強いられた。そんな様子が、ロフト報道チャンネルの石崎ディレクターの手腕によるネット中継にて、克明にレポート配信されている(http://www.ustream.tv/recorded/20652713 )。  午後からは、いまだソフト化されていない名作『黒部の太陽・特別編』を鑑賞。午前中、雪かきの際に手にしていたようなスコップでは到底歯が立たない鉄壁の黒部峡谷を、男たちが黙々と掘り進んで行く物語に圧倒され、夜半は、浦嶋氏推薦によるブラジル発のホラー映画『ナイト・オブ・ザ・チュパカブラ』に驚かされて夜が更けた。  そして、『憂恋の花』のワールドプレミアを迎えた25日の朝、メインキャストであるコンタキンテ氏が現地入り。また、『憂恋の花』応援ゲストとして、漫画家の結城らんな氏、さいたま観光大使である実樹香氏、女優の大山貴華氏、芸能プロダクション代表の角川清子氏など、女性陣も続々と現地入り。  浦嶋氏は本編撮影部の末松祐紀氏、ドキュメンタリー撮影担当の石崎ディレクターと共に吹雪の夕張市街を精力的に歩き回り、倒壊しかけた夕張市美術館に接近を試みるなど、さまざまな実景撮影を実施。17時になり、上映会場となるホテルシューパロ内のライムライトには続々と観客が詰めかけ、満席となった。鈴木直道夕張市長や澤田直矢ディレクターも顔を見せ、無事にワールドプレミア上映が始まったのだが、上映中にすすり泣く観客女性の嗚咽が聞こえたりと確かな手応えの中で終映を迎えた。 DSC00491.jpg  続いて、ロフト報道チャンネルにて生中継されるトークショーが始まり、猪瀬都副知事の映像コメントがスクリーン上映された。その途端、『憂恋の花』関係者に若干緊張が走ったものの、コンタキンテ氏お得意の暴露ネタトークが飛び出したあたりから雰囲気が一転し、大盛況の内に無事終了。  その足で、浦嶋氏は映画祭名物の“ストーブパーティー”へと向かった。ここでは、カンパ制で現地の方から皿とお箸を受取り、雪の舞う会場前広場にてホタテ、ジンギスカン、イカ、鹿肉、ホルモン等、焼きたての食材を堪能できるという贅沢な催し。その後、会館ロビーにて勝又悠監督、小栗はるひ監督等と順次交流。  浦嶋氏は深夜の上映プログラムをハシゴした後、夜更けにホテルマウントレースイ前の屋台村へと流れて、ユニジャパンのスタッフの面々、上原源太監督や『元気屋の戯言』俳優部の皆さん、俳優の林和哉氏等と一つのテーブルにて合同打ち上げを開催し、スタッフ、キャストと共に朝方まで映画の話題で盛り上がった。  当然のことながら、ここでの浦嶋氏はマンガ家としではなく、映画監督として認識されていた点も付け加えておこう。  翌26日は、同じくマンガ家で短編を出品したタイム涼介監督を表敬訪問、互いにエールを送りあった。また、旧知のギンティ小林氏とも遭遇するなど、映画祭ならではの実り多き交流を体験した。  もはや中年と呼ばれるマンガ家が、失意の中で映画という肉体言語に触れ、完成に至った『憂恋の花』。すべての表現者にとって辛く長いトンネルが延々と続く昨今、それでも浦嶋嶺至は作品を生み続ける。 「アジサイの咲く一軒家で、つつましやかな生活を始めた閏と希。一緒にいれば幸せだと思い暮らし始めたふたりだったが、次第に互いの想いがずれてきて……。女性同士の恋愛を透明感のある映像で描く。昨年1月、東京都の表現規制をめぐる騒動で夕張で雪かきをした現役漫画家が、今度はレズビアン映画でゆうばりファンタに凱旋!! 」(ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2012 公式カタログ72Pより)
ぬきまん。 浦嶋嶺至作品。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・"雪かき漫画家"が、自作マンガ『憂恋の花』で映画監督デビュー韓国インディーズ映画の奇才監督が、エロくて笑えるSF作品で日本上陸!トークライブで対決実現? 都条例をめぐる猪瀬直樹副知事の夕張雪かき騒動が新局面についにロリマンガ消滅へ 業界団体が示した「自粛案」の苛烈さ「表現の自由」では許されない エロマンガ「自粛案」の顛末と、児童ポルノ法改定強化の危機

“雪かき漫画家”初監督作品『憂恋の花』が「ゆうばりファンタ 2012」でワールドプレミア!!

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 2010年の12月5日、マンガ・アニメの規制を画策する東京都青少年健全育成条例改正案をめぐり、猪瀬直樹東京都副知事がTwitterに書き込んだ「ネトウヨは財政破綻した夕張を助けに行け。雪かきして来い」というつぶやきに呼応した一人が、キャリア20年を数える現役マンガ家の浦嶋嶺至氏だ。  一表現者としての主張を都政に反映させるべく、作家でもある猪瀬副知事との対論を希望したところ、取材に応じる条件として、財政破綻に苦しむ雪深い夕張市内での雪かきを提示されたのだった。  そこで浦嶋氏は2011年1月21日に夕張市を訪問し、同市の社会福祉協議会の案内で雪かきを実行。  さらに、同年2月24日より開催された「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2011」に併せて夕張市を再訪、2度目の雪かきを行い、一躍マスコミの脚光を浴びるようになった。 DSC00329.jpg  以上の流れが、2011年初頭に巻き起こった“雪かき漫画家”騒動の顛末なのだが、この話題、昨年のマンガ業界を彩るネタの一つとして早々に忘れ去られるものでは決してなかった……。  帰京後の浦嶋氏は、猪瀬副知事との対論を実現させようと準備を進めていたが、その矢先の3月11日、東日本大震災と原発事故が発生したため、しばし沈黙を余儀なくされた。そんな中、人知れず過去に発表した自作の短編マンガを脚本化し、その後、自らプロダクションを立ち上げて映画化に奔走。映画監督として現場に臨み、7月初旬のクランクインを経て、8月下旬にクランクアップを向かえるに至った。  そして11月23日、編集を終えた浦嶋氏は、初監督作品となる『憂恋の花』の零号試写を実施。各所から賞賛コメントが浦嶋氏へと届けられる中、ついには猪瀬副知事を表敬訪問するに至った。作家とマンガ家という垣根を越えた一表現者としての対話が実現し、猪瀬副知事からも以下のコメントが寄せられた。 「『憂恋の花』を観ました。僕の知っている風景がいくつかありました。知らないところも知っているような懐かしさのある、しっとりとした風景の映像ですね」  『憂恋の花』に出演した増田俊樹氏の監督作で、2010年1月に劇場公開された映画『おやすみアンモナイト 貧乏人抹殺篇/貧乏人逆襲篇』も、かっては2008年末の締め切り寸前に「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2009」にエントリーされ、出品が決まった経緯があった。  そんな縁も手伝って、増田監督と同作の脚本を執筆したジャーナリスト・昼間たかし氏の心強いアドバイスを得た浦嶋氏は、同映画祭の締め切り直前に監督作をエントリー。  そして、2011年の暮れに初監督作ながら国際映画祭出品というチャンスを掴み、念願の映画監督として、3度目の夕張入りを果たしたのだった。  以下、駆け足での、2012年の雪かきレポートとなる。 ***  2012年2月23日の早朝、新千歳空港に降り立った“雪かき漫画家”浦嶋氏は、メインキャストである大澤真一郎氏、出演者であり自主映画監督でもある岩崎友彦氏、出演者兼協力プロデューサーの増田俊樹氏、そして、ロフト報道チャンネルのディレクター・石崎俊一氏と共に、映画祭専用のシャトルバスに乗車。真っ白な北の大地を車窓から眺めつつ、車中での打合せは余念なく進行された。  チェックインした宿泊施設はホテルでなく、廃校を改装した「合宿の宿ひまわり」。修学旅行さながらの大部屋にて、スタッフ、キャストの親交を深めたり、大浴場がほかの映画祭ゲストとの絶好のコミュニケーションの場となるであろうとの思いもあった。身支度を整え、アディーレ会館ゆうばりでの映画祭オープニング・セレモニーに出席し浦嶋は、澤田宏一実行委員長、鈴木直道夕張市長のスピーチに続き、念願の映画監督としてその名が披露された。  セレモニー後、親交を結ぶ俳優・辻岡正人氏の出演作『くそガキの告白』をスタッフ全員で鑑賞。鑑賞後、同作品の監督・鈴木太一氏、映画評論家の塩田時敏氏との交流を持った浦嶋は、オープニング・パーティーの席上でも、夕張市長に就任した旧知の鈴木直道氏と1年ぶりとなるあいさつを交わし、今後の夕張市の再生への協力を約束した。  翌24日は早朝から夕張市社会福祉協議会に集合。浦嶋氏自ら雪かきを陣頭指揮するも、豪雪に見舞われた雪の壁を前に悪戦苦闘を強いられた。そんな様子が、ロフト報道チャンネルの石崎ディレクターの手腕によるネット中継にて、克明にレポート配信されている(http://www.ustream.tv/recorded/20652713 )。  午後からは、いまだソフト化されていない名作『黒部の太陽・特別編』を鑑賞。午前中、雪かきの際に手にしていたようなスコップでは到底歯が立たない鉄壁の黒部峡谷を、男たちが黙々と掘り進んで行く物語に圧倒され、夜半は、浦嶋氏推薦によるブラジル発のホラー映画『ナイト・オブ・ザ・チュパカブラ』に驚かされて夜が更けた。  そして、『憂恋の花』のワールドプレミアを迎えた25日の朝、メインキャストであるコンタキンテ氏が現地入り。また、『憂恋の花』応援ゲストとして、漫画家の結城らんな氏、さいたま観光大使である実樹香氏、女優の大山貴華氏、芸能プロダクション代表の角川清子氏など、女性陣も続々と現地入り。  浦嶋氏は本編撮影部の末松祐紀氏、ドキュメンタリー撮影担当の石崎ディレクターと共に吹雪の夕張市街を精力的に歩き回り、倒壊しかけた夕張市美術館に接近を試みるなど、さまざまな実景撮影を実施。17時になり、上映会場となるホテルシューパロ内のライムライトには続々と観客が詰めかけ、満席となった。鈴木直道夕張市長や澤田直矢ディレクターも顔を見せ、無事にワールドプレミア上映が始まったのだが、上映中にすすり泣く観客女性の嗚咽が聞こえたりと確かな手応えの中で終映を迎えた。 DSC00491.jpg  続いて、ロフト報道チャンネルにて生中継されるトークショーが始まり、猪瀬都副知事の映像コメントがスクリーン上映された。その途端、『憂恋の花』関係者に若干緊張が走ったものの、コンタキンテ氏お得意の暴露ネタトークが飛び出したあたりから雰囲気が一転し、大盛況の内に無事終了。  その足で、浦嶋氏は映画祭名物の“ストーブパーティー”へと向かった。ここでは、カンパ制で現地の方から皿とお箸を受取り、雪の舞う会場前広場にてホタテ、ジンギスカン、イカ、鹿肉、ホルモン等、焼きたての食材を堪能できるという贅沢な催し。その後、会館ロビーにて勝又悠監督、小栗はるひ監督等と順次交流。  浦嶋氏は深夜の上映プログラムをハシゴした後、夜更けにホテルマウントレースイ前の屋台村へと流れて、ユニジャパンのスタッフの面々、上原源太監督や『元気屋の戯言』俳優部の皆さん、俳優の林和哉氏等と一つのテーブルにて合同打ち上げを開催し、スタッフ、キャストと共に朝方まで映画の話題で盛り上がった。  当然のことながら、ここでの浦嶋氏はマンガ家としではなく、映画監督として認識されていた点も付け加えておこう。  翌26日は、同じくマンガ家で短編を出品したタイム涼介監督を表敬訪問、互いにエールを送りあった。また、旧知のギンティ小林氏とも遭遇するなど、映画祭ならではの実り多き交流を体験した。  もはや中年と呼ばれるマンガ家が、失意の中で映画という肉体言語に触れ、完成に至った『憂恋の花』。すべての表現者にとって辛く長いトンネルが延々と続く昨今、それでも浦嶋嶺至は作品を生み続ける。 「アジサイの咲く一軒家で、つつましやかな生活を始めた閏と希。一緒にいれば幸せだと思い暮らし始めたふたりだったが、次第に互いの想いがずれてきて……。女性同士の恋愛を透明感のある映像で描く。昨年1月、東京都の表現規制をめぐる騒動で夕張で雪かきをした現役漫画家が、今度はレズビアン映画でゆうばりファンタに凱旋!! 」(ゆうばり国際ファンタスティック映画祭 2012 公式カタログ72Pより)
ぬきまん。 浦嶋嶺至作品。 amazon_associate_logo.jpg
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『モーパイ』イメージソングで歌手デビューを果たす小松未可子を直撃!

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 テレビアニメ『モーレツ宇宙海賊(パイレーツ)』(原作『ミニスカ宇宙海賊』/笹本祐一・著、朝日ノベルズ刊)のヒロイン加藤茉莉香役も好評の小松未可子が、4月11日に発売されるシングル「Black Holy」(作詞:只野菜摘/作曲・編曲:nishi-ken、キングレコード)で、歌手デビューする。  ドラマ、舞台を中心に活動していた小松。2010年からは声優業に進出し、男の子役や凛々しい女の子役に定評があるが、そうした役柄がハマるのも発声のよさの表れといえる。レコーディングの際、「声が音にノリやすい」「よく通る」と評価されたのもうなずける美声を生かし、この度ついに歌手の世界に飛び込むことになったわけだ。  その歌声をどう操り、録音に臨んだのか。3月某日、都内で行われた会見で、小松がCDデビューを控えた今の心境などを語ってくれた。 「レコーディングも初めてで、まったく様子がわからなかったんですよ。それで、2~3時間カラオケでウォームアップしてから、デモや音源を聴きつつ現場に入りました。慣れもあったのかもしれませんが、テイクを重ねるごとにうまく歌えるようになった気がします」  本人によれば、何時間歌っても平気だという。相当丈夫な喉を持っていることは間違いない。 komatsumikako02.jpg  「Black Holy」初回限定盤付属のDVDにも収録されているミュージックビデオのフルver.は2月の頭に撮影された。 「もう、冬を甘くみていました。薄着で行ったんですけど寒くて……。現場は山梨の山奥で、陽の落ちた時間から撮り始め、気温がマイナス11度、12度まで下がったんですよ。白い息が出ないように氷を口に含んでいたんですけど、あとでMVを見たら白い息が出ていましたね(笑)。でも、カメラがまわると震えが止まりましたし、気温が低く、空気も澄んでいたこともあって、星空も美しく神秘的に撮れ、いい映像になったと思います」  「Black Holy」は『モーレツ宇宙海賊』のイメージソング&ゲストED。第9話「華麗なる船出」で初めてゲストEDとして使用されたが、実際にオンエアを見たときの喜びは大きかったようだ。 「それまで歌手デビューするという実感が湧かずにいたんですが、エンドロールの楽曲クレジットに自分の名前が刻まれているのを見て、初めて自分にとっての新しいスタートが始まるんだな、と実感しました。鳥肌が立ちましたね」  オンエア当時、Twitter上では本人の生実況PostにファンのRTやリプライが交錯し、ダイレクトに熱い反応を感じることができた。そのこともあり、いま小松は「せっかく歌う機会をいただいたので、ライブを開催してみなさんの前で歌いたい。それに自分でできることはとことんやってみたいので、詞を書きたいですね」と、“歌手・小松未可子”という新しい発見に燃えているようだ。  ストーリーは佳境にさしかかり、原作とは異なるまさかの展開をするという『モーレツ宇宙海賊』。カップリング曲の「透明な夜空~瞬く星に包まれて~」(作詞・作曲・編曲:sin)がゲストEDで流れた第13話はストーリーの分岐点かも!?  ドラマ性への評価が高い『モーレツ宇宙海賊』とともにどのようなブレイクを果たすのか、アーティストとしての小松未可子に注目が集まっている。 ●小松未可子のコメント 「4月11日にデビューシングル『Black Holy』をリリースさせていただくことになりました。この作品はいま放送中の『モーレツ宇宙海賊』というアニメのイメージソング&ゲストEDにもなっているんですが、曲を聴いていただき、さらにアニメも見てもらえたら、世界観をよりいっそう楽しんでもらえると思います。ぜひみなさん、応援よろしくお願いいたします」 (取材・文=後藤勝)
Black Holy(初回限定盤)(DVD付) よろしくね! amazon_associate_logo.jpg
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 テレビアニメ『モーレツ宇宙海賊(パイレーツ)』(原作『ミニスカ宇宙海賊』/笹本祐一・著、朝日ノベルズ刊)のヒロイン加藤茉莉香役も好評の小松未可子が、4月11日に発売されるシングル「Black Holy」(作詞:只野菜摘/作曲・編曲:nishi-ken、キングレコード)で、歌手デビューする。  ドラマ、舞台を中心に活動していた小松。2010年からは声優業に進出し、男の子役や凛々しい女の子役に定評があるが、そうした役柄がハマるのも発声のよさの表れといえる。レコーディングの際、「声が音にノリやすい」「よく通る」と評価されたのもうなずける美声を生かし、この度ついに歌手の世界に飛び込むことになったわけだ。  その歌声をどう操り、録音に臨んだのか。3月某日、都内で行われた会見で、小松がCDデビューを控えた今の心境などを語ってくれた。 「レコーディングも初めてで、まったく様子がわからなかったんですよ。それで、2~3時間カラオケでウォームアップしてから、デモや音源を聴きつつ現場に入りました。慣れもあったのかもしれませんが、テイクを重ねるごとにうまく歌えるようになった気がします」  本人によれば、何時間歌っても平気だという。相当丈夫な喉を持っていることは間違いない。 komatsumikako02.jpg  「Black Holy」初回限定盤付属のDVDにも収録されているミュージックビデオのフルver.は2月の頭に撮影された。 「もう、冬を甘くみていました。薄着で行ったんですけど寒くて……。現場は山梨の山奥で、陽の落ちた時間から撮り始め、気温がマイナス11度、12度まで下がったんですよ。白い息が出ないように氷を口に含んでいたんですけど、あとでMVを見たら白い息が出ていましたね(笑)。でも、カメラがまわると震えが止まりましたし、気温が低く、空気も澄んでいたこともあって、星空も美しく神秘的に撮れ、いい映像になったと思います」  「Black Holy」は『モーレツ宇宙海賊』のイメージソング&ゲストED。第9話「華麗なる船出」で初めてゲストEDとして使用されたが、実際にオンエアを見たときの喜びは大きかったようだ。 「それまで歌手デビューするという実感が湧かずにいたんですが、エンドロールの楽曲クレジットに自分の名前が刻まれているのを見て、初めて自分にとっての新しいスタートが始まるんだな、と実感しました。鳥肌が立ちましたね」  オンエア当時、Twitter上では本人の生実況PostにファンのRTやリプライが交錯し、ダイレクトに熱い反応を感じることができた。そのこともあり、いま小松は「せっかく歌う機会をいただいたので、ライブを開催してみなさんの前で歌いたい。それに自分でできることはとことんやってみたいので、詞を書きたいですね」と、“歌手・小松未可子”という新しい発見に燃えているようだ。  ストーリーは佳境にさしかかり、原作とは異なるまさかの展開をするという『モーレツ宇宙海賊』。カップリング曲の「透明な夜空~瞬く星に包まれて~」(作詞・作曲・編曲:sin)がゲストEDで流れた第13話はストーリーの分岐点かも!?  ドラマ性への評価が高い『モーレツ宇宙海賊』とともにどのようなブレイクを果たすのか、アーティストとしての小松未可子に注目が集まっている。 ●小松未可子のコメント 「4月11日にデビューシングル『Black Holy』をリリースさせていただくことになりました。この作品はいま放送中の『モーレツ宇宙海賊』というアニメのイメージソング&ゲストEDにもなっているんですが、曲を聴いていただき、さらにアニメも見てもらえたら、世界観をよりいっそう楽しんでもらえると思います。ぜひみなさん、応援よろしくお願いいたします」 (取材・文=後藤勝)
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「この罪悪感がたまらん……!」“三次元百合”の世界で妄想と戯れる写真集『ゆりもえ』

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 女学園を舞台にしたライトノベル『マリア様がみてる』(集英社)の登場以降、男性愛好家が増えたと言われる萌えジャンル“百合(ゆり)”。男同士の愛情を描くBL(ボーイズラブ)の対極に位置付けられ、主に思春期の少女たちが友情の一歩先にある精神的つながりがもたらすものとして、女性同士で手をつないだり、キスをしたり、抱き合うシーンなどが描かれてきた。 yurimoe142.jpg  今まで、主に二次元での趣向であった百合だが、近頃は“リアルの世界”でも百合の魅力にハマる男性が急増。その風潮の足掛かりとなっているのが、下着姿でのキスシーンが話題となったAKB48の「ヘビーローテーション」や、同性愛をテーマとしたSKE48の「片想いFinally」のミュージック・ビデオ、さらにオフショットでやたらとメンバー同士がイチャつくことでも有名なももいろクローバーZの映像など、グループアイドルによる百合行為なのだとか。 yurimoe153.jpg  そんな三次元の百合好き男たちのニーズに、ズポッとハマる写真集『ゆりもえ~After School Girls~』(マイウェイ出版)が4月5日に発売される。登場するのは、現役女子高生アイドル・牧野留美ちゃんと、ロリフェイスにファンも多い逢坂愛ちゃん。どの写真も、せっかくのかわいい2人の表情はあえてはっきり写さず、見る者の妄想力を最大限に引き出すことに重きを置いた作りとなっている。  仲良しの2人は、屋上で手をつないだり、誰もいない教室でひざ枕したり、リップクリームをぬり合いっこしたり、体操着で跳び箱にまたがりフザケ合ったり、スクール水着で胸をツンツンしてみたりと終始、楽しそうに戯れる。今にも「アハハ、ウフフ」と笑い合う甲高い声が聞こえてきそうな、さわやかな青春の風景だ。 yurimoe004.jpg  そんな彼女たちを眺めることで、胸に溢れる『多幸感』、無邪気過ぎるゆえの『ハラハラ感』、「見てはいけないものを見てしまった」「純粋な彼女たちに、一瞬でもエロさを感じてしまった」という『罪悪感』、この3つが次々と容赦なく押し寄せ湧き上がる何とも言えない甘酸っぱい感情。この複雑な感情こそが、男女の愛情でも、AVのレズビアンものでも決して味わうことのできない、百合の奥深い魅力ではないだろうか。  今後、さらなる広がりを見せそうな予感の三次元“百合萌え”作品。思春期の女子高生たちが織り成す男子禁制の美しき世界を、この写真集で先取りしてみてはいかがだろうか。 (文=林タモツ)
ゆりもえ なんか扉が開いた。 amazon_associate_logo.jpg
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