
(c)2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC
今週は、壮大なスケールの活劇を楽しめる3Dアクションの続編と、人気少女漫画を映画化した純愛ストーリー2部作の後編を紹介したい。いずれも、前作からの展開が気になっていたファンたちにとって、待ちに待った公開といえるだろう。
4月21日に封切られる『タイタンの逆襲』(2D/3D上映)は、ギリシャ神話の英雄ペルセウスの活躍を描いた『タイタンの戦い』(2010)の続編。神々の長ゼウスと人間の間に生まれた半神半人のペルセウスは、怪物クラーケンを倒してから10年、漁師として息子とともに静かな生活を送っていた。その頃、地底深くの冥界に閉じこめられていた巨神クロノスが覚醒。ゼウスが冥界の神ハデスらの裏切りにより捕らわれたことで、人々の暮らしにも危険が迫る。ペルセウスは、愛する息子を守り、ゼウスを救うため、クロノスとの過酷な戦いに立ち上がる。
主人公ペルセウス役のサム・ワーシントン、ゼウス役のリーアム・ニーソン、ハデス役のレイフ・ファインズといった演技派のキャストが前作から続投し、重厚な神話の世界に説得力を与えている。前作で監督を務めたルイ・レテリエは今回製作総指揮に回り、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』(2011)の新鋭ジョナサン・リーベスマンがメガホンをとった。神話の世界にふさわしい質感を出すためあえてフィルム撮影し、ポストプロダクションで3D変換した映像は、立体感などで若干問題のあった第1作より大きく改善されている。ただし、激しいバトルのシーンは被写体がスピーディーに動きカットも細かく割られているので、3Dアクションを見慣れていない、あるいは苦手という方は、2D版を選択するといいだろう。
同じく4月21日公開の『僕等がいた 後篇』は、小畑友紀が月刊『ベツコミ』(小学館)に連載しコミック累計部数が1,000万部を突破する人気少女漫画を、2部作で実写映画化した作品。北海道釧路市の高校で同級生だった矢野(生田斗真)と七美(吉高由里子)は、困難や葛藤を乗り越えて恋を実らせるが、矢野は母親の都合で東京へ引越してしまう。七美は再会を夢見て東京の大学に進学するが、矢野は消息不明となっていた……。
監督は三木孝浩、共演に高岡蒼甫、本仮屋ユイカ、小松彩夏、比嘉愛未ほか。邦画初の前後編2部作連続公開ということで、3月17日に封切られた『前篇』の記憶がまだ新しい方も多いはず。前作では主要キャストの実年齢と高校生の役どころに若干の無理があったが、今作では大学生から社会人のキャラクターなので違和感なく物語に入り込める。矢野や七美らの不器用で純粋な恋愛が、もどかしく、切なく、やるせなくもあるが、中盤のそうした感情を観客も共有できるからこそ、心からの感動とともにフィナーレを迎えられるのだろう。涙もろい方はどうかハンカチをお忘れなく。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『タイタンの逆襲』作品情報
<http://eiga.com/movie/57687/>
『僕等がいた 後篇』作品情報
<http://eiga.com/movie/56234/>
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一晩でシリーズを総ざらえ! 『交響詩篇エウレカセブン』オールナイト上映会

三瓶由布子(左)、名塚佳織(右)
4月14日夜から15日朝にかけて、東京・テアトル新宿にて『交響詩篇エウレカセブン』オールナイト上映会が催された。
これは4月期の新作アニメ『エウレカセブンAO』(MBS・TBSほか)第1話の放送を記念し、その第1話と、2005年放送のテレビシリーズ『交響詩篇エウレカセブン』のうち11話分、そして劇場版『交響詩篇エウレカセブン ポケットが虹でいっぱい』を一挙に上映しようというもの。
一晩でシリーズを総ざらえする贅沢なイベントで、上映前には集まったファンの高ぶる気持ちをほぐし、また作品の記憶を取り戻させるかのように、メインキャストのふたり、レントン・サーストン役の三瓶由布子とエウレカ役の名塚佳織が登壇、トークショーを行った。
三瓶が「こんなに作品自体が成長していくのはなかなかないことだから、本当にみんなに愛されているなということを実感しています」と語ると、名塚も「7年経って、今日このオールナイトにこれだけ集まってくださって、立見のお客様までいる」と感慨深げ。
トークは、事前に回収されたアンケートの結果を見ながら進められた。
●好きなキャラクターランキング
1位 エウレカ 25.2%
2位 レントン、アネモネ 各22.6%(同票)
4位 ホランド 14.3%
5位 ドミニク 13.9%
レントン/エウレカと対になるカップルともいえるドミニク/アネモネとで、ほぼ票を分け合った恰好。三瓶は「レントンとしてはエウレカが1位でうれしいです」と、男の子目線で控えめなコメント。一方の名塚は、「当時のアネモネ人気はすごかった。衣裳が難しそうなのにコスプレしてくれる人が多かった」と、自分たちを脅かす(?)ライバルの人気を認めた様子だった。
自分以外で一票入れるとしたら、と問われた三瓶は「それはエウレカですよ」と、ここでも付き従うレントンの気持ちで答えるが、エウレカ役の名塚は「私はもう、ジョブスですよ」と、やや食い違いを見せる。ジョブスが好きな理由には、ミステリアスな側面もあるが、スキンヘッドが好きだからでもあるとか。演者である志村知幸とキャラクターのギャップにも魅力を感じているという。
●好きなメカランキング
1位 ニルヴァーシュ type ZERO 40.8%
2位 ターミナス type B303 デビルフィッシュ 25.2%
3位 ニルヴァーシュ type the END 22.6%
4位 月光号 3.4%
5位 スピアヘッド SH101 3.0%
好きなメカの投票は、メインで戦っていた3つの機体に集中。ニルヴァーシュについては、名塚は「何かあるとニルヴァーシュに相談してたもんね。(レントンとエウレカの)ふたりというよりは3人、という感じ」、三瓶は「劇場版に至ってはしゃべっちゃったよ!? ロボットの域を超えている感じがするんです。生き物感がある。一緒に旅をしてきた仲間という感じがしますね」と、もはやメカというよりキャラクターとしての距離感なのだなと思わせる言葉が飛び出してきた。
●テレビ版上映話数発表
1位 48話 バレエ・メカニック 26.9%
2位 26話 モーニング・グローリー 23.0%
3位 50話 星に願いを 17.4%
4位 28話 メメントモリ 各9.0%(以下、同票)
46話 プラネット・ロック
6位 2話 ブルースカイ・フィッシュ 各6.0%(以下、同票)
25話 ワールズ・エンド・ガーデン
32話 スタート・イット・アップ
33話 パシフィック・ステイト
39話 ジョイン・ザ・フューチャー
49話 シャウト・トゥ・ザ・トップ!
アンケートの最後の項目は、どの回を上映するか決めるための希望を募ったもの。ドミニクとアネモネの思いが通じ合う48話が1位という結果に、「まあ、1位はね。そうかなと思ってたけど」(三瓶)、「信じたくはなかった」(名塚)と、覚悟はしていたものの、やや肩を落としていた。投票したファンの声も、もちろん「悲しい。悲しいけどカッコイイ」「アネモネの独白が胸にぐさりときます」との賞賛が続く。三瓶も名塚も泣いたというから、やはり1位にふさわしい回だったのだ。
三瓶が「でも、あの感動的な落ちてくるシーンあるじゃん、あれ26話パクられたよね」とおどけてみせたのが唯一の抵抗といえば抵抗だったかも!?
なお、39話は伝説のサッカー回。まるまる一話を本筋と直接関係のないストーリーに費やした話数を劇場の大きなスクリーンで見ることのできる、貴重な機会となった。
最後の質問コーナーでも思い出話が弾んだ。もし自分の役と会話ができるとしたら、という質問には、京田知己監督が作品HPに「最終回を経て、もしもう一度会うことができたら、おかえりと言ってあげたいという気持ちはすごくありました」と書いたことを引き合いに出し、レントンにおかえりと言ってあげたいと三瓶は答えた。
「男らしくなったなぁ、と」(三瓶)
一方の名塚も、「レントンと出会って恋する気持ちというものが芽生えたので、やっぱり女子トークというか、一緒に買い物にいったり、(劇中で)化粧を教わっていましたけど、それこそ化粧品を買いに行ったりとか、一緒に女友だちとして遊んでみたい」と、自分の演じたキャラクターでありながらも年下の別人というスタンスで、優しい視線を投げかけていた。
すると、三瓶のエウレカ愛が爆発して「(エウレカに)かわいいって言ってあげたい。でもかわいい、を通り越して好きだ! って言うかもしれない(笑)」と激白。
これだけ役者とファンに愛され、年数をかけて成長したロボットアニメーションというのも、そうはないだろう。
現在、新たに発信する役目は新作の『エウレカセブンAO』に受け継がれている。前作メインキャストのふたりも『AO』に期待し、早くもハマっているようで、三瓶は「もう、毎回(アフレコに)行っちゃおうか。本城(雄太郎)くんに嫌がられるかもしれないけど(笑)」というほどの熱の入れよう。名塚も「エウレカの今までの世界観が残りつつも新しいものとして走り出しているのは、いち視聴者としてうれしい。アオがどんな成長を遂げてくれるのか、一緒に最後まで応援していきたい」と、ファンを代表するコメントを残した。
前作から最新話までを一気に駆け抜けた上映会。『エウレカセブン』シリーズを見守り続ける人々の存在を実感させるイベントだった。
(取材・文=後藤勝)
電子書籍普及の波は来ているのか? あの「自炊の森」が池袋に2号店をオープン

一昨年のコミケ会場でのチラシ撒き、昨年の突然の閉店騒動などで話題を呼んだ「自炊の森」(東京都千代田区)が、近く池袋に2号店をオープンすることがわかった。
同店は、持ち込んだ雑誌や書籍を裁断しスキャナで電子化できると共に、「店内の書籍を店内で電子書籍化して持ち帰ることができる」サービスを展開する店舗だ。一昨年12月末のプレオープンにあたっては、コミックマーケット会場周辺でチラシを配布し、著作権者に対する利益還元やモラルの問題など話題を呼んだ。さらに昨年10月には、突然の閉店を告知。9月に講談社・小学館・集英社ら出版社7社と作家・漫画家ら122人が自炊代行業者約100社に対して「自炊代行は複製権の侵害」とする旨の質問状を送付する事件があり、関連性も取り沙汰された。だが、筆者の取材で、閉店はオーナーの意向であることが明らかに(記事参照)。「なんらかの形で継続を模索する」と話していた同店の店長は、支援者を得て店舗を移転し、事業を継続していた。
今回オープンする2号店は、池袋駅から徒歩5分ほど。豊島区役所に近い、繁華街の外れのビルの1階にある。元は客だったという池袋店の店長は、新たな店舗を開く理由に、昨年の移転後からの客層の変化を挙げる。
「秋葉原の繁華街からは外れたところに店舗を移したのですが、ごく普通のサラリーマンや学生も利用するようになったんです。立地は最初の店舗に比べるとよくないのですが、現在でも新規の客足は絶えません。徐々に電子書籍が一般化してきており、この波はまだまだ続くと考えて2号店を開くことにしました」
最初の店舗があったのは、PCパーツショップが並ぶ、秋葉原の裏通りにあるビルの2階。やはり入りづらい雰囲気があったのか、客層は「ディープな客」が多かったという。対して、現在の秋葉原の店舗は繁華街からは外れたものの、1階にある路面店だ。
「自炊」サービスにおいて、店へ入りやすいか否かは、重要なポイントになるようだ。 事実、「自炊」機材を貸し出すサービスを行う店舗は、オープン後、短期間で閉店しているところも多い。
「他店は、ブースをなるべく狭くし設置するスキャナの数を増やして回転率を上げることを重視しています。対して、うちは1ブース125センチ幅とゆったりとしたスペースです。そこが、成功のカギの一つだと考えています」(池袋店店長)
現在、利用者のうち自分で持ち込んだ雑誌書籍を電子化する人と、店内のものを利用する人の数は1:1の割合。徐々に、自分で持ち込んで電子化する人の数が増えているという。そして池袋で狙うのは、やはり一般の客層だ。
「週末の買い物など、何かのついでに利用してもらうことを目指しています」(同)
元は客だった池袋店店長の助言で、料金体系を変えるなど利用者目線でサービスの充実化を図る同店、電子書籍普及の波に乗ってビジネスが成功するのか、今後も注目していきたい。
なお、池袋店は4月28日午後1時よりオープンする予定。開店記念キャンペーンも今後発表される。
(取材・文=昼間 たかし)
●自炊の森
<http://www.jisuinomori.com/>
電子書籍普及の波は来ているのか? あの「自炊の森」が池袋に2号店をオープン

一昨年のコミケ会場でのチラシ撒き、昨年の突然の閉店騒動などで話題を呼んだ「自炊の森」(東京都千代田区)が、近く池袋に2号店をオープンすることがわかった。
同店は、持ち込んだ雑誌や書籍を裁断しスキャナで電子化できると共に、「店内の書籍を店内で電子書籍化して持ち帰ることができる」サービスを展開する店舗だ。一昨年12月末のプレオープンにあたっては、コミックマーケット会場周辺でチラシを配布し、著作権者に対する利益還元やモラルの問題など話題を呼んだ。さらに昨年10月には、突然の閉店を告知。9月に講談社・小学館・集英社ら出版社7社と作家・漫画家ら122人が自炊代行業者約100社に対して「自炊代行は複製権の侵害」とする旨の質問状を送付する事件があり、関連性も取り沙汰された。だが、筆者の取材で、閉店はオーナーの意向であることが明らかに(記事参照)。「なんらかの形で継続を模索する」と話していた同店の店長は、支援者を得て店舗を移転し、事業を継続していた。
今回オープンする2号店は、池袋駅から徒歩5分ほど。豊島区役所に近い、繁華街の外れのビルの1階にある。元は客だったという池袋店の店長は、新たな店舗を開く理由に、昨年の移転後からの客層の変化を挙げる。
「秋葉原の繁華街からは外れたところに店舗を移したのですが、ごく普通のサラリーマンや学生も利用するようになったんです。立地は最初の店舗に比べるとよくないのですが、現在でも新規の客足は絶えません。徐々に電子書籍が一般化してきており、この波はまだまだ続くと考えて2号店を開くことにしました」
最初の店舗があったのは、PCパーツショップが並ぶ、秋葉原の裏通りにあるビルの2階。やはり入りづらい雰囲気があったのか、客層は「ディープな客」が多かったという。対して、現在の秋葉原の店舗は繁華街からは外れたものの、1階にある路面店だ。
「自炊」サービスにおいて、店へ入りやすいか否かは、重要なポイントになるようだ。 事実、「自炊」機材を貸し出すサービスを行う店舗は、オープン後、短期間で閉店しているところも多い。
「他店は、ブースをなるべく狭くし設置するスキャナの数を増やして回転率を上げることを重視しています。対して、うちは1ブース125センチ幅とゆったりとしたスペースです。そこが、成功のカギの一つだと考えています」(池袋店店長)
現在、利用者のうち自分で持ち込んだ雑誌書籍を電子化する人と、店内のものを利用する人の数は1:1の割合。徐々に、自分で持ち込んで電子化する人の数が増えているという。そして池袋で狙うのは、やはり一般の客層だ。
「週末の買い物など、何かのついでに利用してもらうことを目指しています」(同)
元は客だった池袋店店長の助言で、料金体系を変えるなど利用者目線でサービスの充実化を図る同店、電子書籍普及の波に乗ってビジネスが成功するのか、今後も注目していきたい。
なお、池袋店は4月28日午後1時よりオープンする予定。開店記念キャンペーンも今後発表される。
(取材・文=昼間 たかし)
●自炊の森
<http://www.jisuinomori.com/>
“金づる視聴者”卒業!『おもしろいアニメとつまらないアニメの見分け方』

『「おもしろい」アニメと「つまらない」
アニメの見分け方』
(キネマ旬報社)
「全米ナンバーワンヒット」というキャッチコピーに何度だまされたことだろうか。小説は出だしの3行を読めばわかる、なんてよく言われるけれども、映画だとそうはいかない。1,800円を払い、2時間、暗い場内で苦痛の時間を過ごすことになる。テレビアニメの場合だと、ヤメ時がわからず、「これから急展開が待っているのかも」と、つまらないアニメを1クール延々と見続ける……なんてことも、ままある。
ビジュアルはカッコイイけど、ストーリーはつまらない。一見判断しがたいアニメの“おもしろさ”だが、名作には共通した普遍的法則が存在している。『「おもしろい」アニメと「つまらない」アニメの見分け方』(キネマ旬報社)は、脚本家の沼田やすひろ氏が、おもしろいアニメの法則とその構造について言及した本だ。『天空の城ラピュタ』や『トイ・ストーリー』『輪るピングドラム』などのおもしろさを論理的に解説している。その一方、『フラクタル』などにはかなり辛口な評価をしており、同作を監督したヤマカンこと山本寛氏が自身のTwitterで怒りをあらわにしたという、業界で話題沸騰中の本だ。
では、沼田氏の考える“おもしろさ”とは一体何なのか? アニメの第一印象は「キービジュアル」「画創り」「ミスペンス」「論理骨折がないこと」の4点がポイントになるという。「キービジュアル」「画創り」は魅力的な絵柄や構図、「ミスペンス」はミステリーとサスペンスを合わせた造語で、ストーリーに“危機のある謎”があるか、「論理骨折」はストーリーや世界観に矛盾点があり、論理的に破たんしていることを指す。例えば『フラクタル』でいうと、主人公の父親は“交易の仕事をしている”のに、この世界は“仕事をしなくてもいい”と説明される。解決されない矛盾=論理骨折があり、素直に物語を楽しめなくなってしまうのだ。
上記4点に加えて、“安心から恐怖へ”“拒絶から受容へ”という感情のゆさぶりを画創りで表現する「リマインダー」の要素や、“対立→葛藤→変化”といったキャラクターの変化を13段階の流れで示す「13フェイズ構造」も、おもしろさを判別する大きな指標となる。この構造に適っていない作品、――例えば『ゲド戦記』のような、理由のない唐突な変化や成長は、視聴者に強い違和感を与え、途端“つまらない”作品となってしまうのだという。なお、同作については、約20ページにわたり“つまらなさ”の構造が語られており、駄作に金銭と時間を浪費した著者の怨念さえ感じられる。
「――アニメの創り方を知らない後進が、『売れるはず』という思い込みのレッテルだけでプロデューサーに創作の機会を与えられ、結果『つまらない』、商業作品でない実験作が、商品として平然と世に出てしまっているのです。正直、そんな作品を観るのはお金と時間のムダです。『おもしろさ』の本質をとらえることのできない商業リマインダー主義のアニメ制作システムに、踊らされているだけです。もう、彼らの『金づる視聴者』でいることをやめませんか」(本文より)
現在のアニメ・テレビ業界のヒサンな状況をつくっているのは、われわれ視聴者自身であるのかもしれない。
(文=平野遼)
クトゥルフ神話ブーム到来!? お色気とパロディ満載の邪神コメディ『這いよれ!ニャル子さん』

テレビ東京・あにてれ 『這いよれ!ニャル子さん』
クトゥルフ神話がブームである。
……ごめん、ウソ。ちょっと話を盛りました。正確にはアニメやライトノベル、エロゲーのユーザーの間で局所的に、少しだけ盛り上がっている。
「そもそもクトゥルフ神話って何?」という方も日刊サイゾー読者には多い気がするので、ごくごく簡単に解説しよう。クトゥルフ神話とは、H・P・ラヴクラフトという20世期初頭に活躍した作家の怪奇小説に登場する神々の名前や地名を用いて、彼の作家仲間たちが作り上げた架空の神話体系のことだ。「架空の神話体系」というのはつまり、どこかに信者がいたり、なんらかの民族と関わりがあったりしないということ。
これだけじゃなんのことかわからん人は、「藤沢周平の死後もほかの時代小説作家が海坂藩ものを書き続けて、『海坂藩史』というひとつの体系ができました」みたいな事態を想像してみれば、なんとなーくイメージはつかめるのではないかと。もしくは、日本のサブカルチャーでいちばん雰囲気が近いのは『機動戦士ガンダム』。最初のテレビシリーズを監督した富野由悠季が関わっていなくても、「宇宙世紀」や「モビルスーツ」といった単語や世界観を共有するシリーズ作品がたくさんある、というようなことを思い浮かべてもらえれば、ざっくりと雰囲気がつかめるのではなかろうか(もちろん、厳密にはどちらのたとえも違うのだけれども)。
『斬魔大聖デモンベイン』という、クトゥルフ神話を作品世界に取り入れつつ、美少女熱血ロボットバトルを描くというエロゲー(!)が2003年に発売されたことで、日本ではある意味、発祥の地であるアメリカ以上に、クトゥルフ神話に関してやりたい放題な空気が醸し出されてきた。この4月より放送が始まった『這いよれ!ニャル子さん』(テレビ東京ほか)は、そうした「なんでもあり」のカオスな土壌から生まれてきた作品のひとつだ。
原作はGA文庫からシリーズ刊行中の人気ライトノベル(作:逢空万太、絵:狐印)。平凡な高校生・八坂真尋を保護するという名目で地球にやってきた、「美少女姿のニャルラトホテプ(クトゥルフ神話に登場する強大な力を持つ神の一柱)」=「ニャル子さん」が巻き起こす騒動を、マンガ・アニメ・特撮のパロディを織り交ぜつつコミカルに描いた作品だ。アニメーション制作を『ToLOVEる』『かのこん』『れでぃ×ばと!』『えむえむっ!』など、明るくてちょっぴりエッチなアニメを作ることには定評のあるジーベックが担当しており、健康的なお色気&密度の高いパロディという原作の魅力を見事に映像化している。
ニャル子さんを演じる阿澄佳奈のハイテンションな演技もポイントが高い。オタク気質でアニメやマンガ、ゲームには反応しまくり、隙あらば男子高校生・八坂真尋に性的な接触を迫るニャル子さんなのだが、イヤらしさや不潔さ、うっとうしさを感じさせないのは、阿澄の声の存在感によるところが大きいのではなかろうか。彼女がメインボーカルを務めるユニット「後ろから這いより隊G」によるOP主題歌「太陽曰く燃えよカオス」も、「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」のコーラスが印象的なお祭り感溢れる名曲で、これまた素晴らしい。
コリン・ウィルソンやスティーブン・キングといった巨匠にも愛され、海外では高い認知度を誇るクトゥルフ神話だが、日本においては、1970年代初頭から80年代にかけて、ジャンル小説の読者やヤングアダルト小説の読者の間で瞬間風速的な盛り上がりを見せはしたものの、一般的な知名度を得るには至ってこなかった。ところが、『ニャル子さん』第1話の放送直後には、創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』第1巻がAmazonランキングを急上昇。ひょっとしたら、ここから、日本にも本格的なクトゥルフ神話ブームが巻き起こるのかもしれない。アナタも乗り遅れないうちに、クトゥルフの呼び声に耳をすませるべき……ああ……私にも聞こえる! 窓の外に! 宇宙的で冒涜的な恐怖の足音が!
……(」・ω・)」うー! (/・ω・)/にゃー!
(文=麻枝雅彦)
クトゥルフ神話ブーム到来!? お色気とパロディ満載の邪神コメディ『這いよれ!ニャル子さん』

テレビ東京・あにてれ 『這いよれ!ニャル子さん』
クトゥルフ神話がブームである。
……ごめん、ウソ。ちょっと話を盛りました。正確にはアニメやライトノベル、エロゲーのユーザーの間で局所的に、少しだけ盛り上がっている。
「そもそもクトゥルフ神話って何?」という方も日刊サイゾー読者には多い気がするので、ごくごく簡単に解説しよう。クトゥルフ神話とは、H・P・ラヴクラフトという20世期初頭に活躍した作家の怪奇小説に登場する神々の名前や地名を用いて、彼の作家仲間たちが作り上げた架空の神話体系のことだ。「架空の神話体系」というのはつまり、どこかに信者がいたり、なんらかの民族と関わりがあったりしないということ。
これだけじゃなんのことかわからん人は、「藤沢周平の死後もほかの時代小説作家が海坂藩ものを書き続けて、『海坂藩史』というひとつの体系ができました」みたいな事態を想像してみれば、なんとなーくイメージはつかめるのではないかと。もしくは、日本のサブカルチャーでいちばん雰囲気が近いのは『機動戦士ガンダム』。最初のテレビシリーズを監督した富野由悠季が関わっていなくても、「宇宙世紀」や「モビルスーツ」といった単語や世界観を共有するシリーズ作品がたくさんある、というようなことを思い浮かべてもらえれば、ざっくりと雰囲気がつかめるのではなかろうか(もちろん、厳密にはどちらのたとえも違うのだけれども)。
『斬魔大聖デモンベイン』という、クトゥルフ神話を作品世界に取り入れつつ、美少女熱血ロボットバトルを描くというエロゲー(!)が2003年に発売されたことで、日本ではある意味、発祥の地であるアメリカ以上に、クトゥルフ神話に関してやりたい放題な空気が醸し出されてきた。この4月より放送が始まった『這いよれ!ニャル子さん』(テレビ東京ほか)は、そうした「なんでもあり」のカオスな土壌から生まれてきた作品のひとつだ。
原作はGA文庫からシリーズ刊行中の人気ライトノベル(作:逢空万太、絵:狐印)。平凡な高校生・八坂真尋を保護するという名目で地球にやってきた、「美少女姿のニャルラトホテプ(クトゥルフ神話に登場する強大な力を持つ神の一柱)」=「ニャル子さん」が巻き起こす騒動を、マンガ・アニメ・特撮のパロディを織り交ぜつつコミカルに描いた作品だ。アニメーション制作を『ToLOVEる』『かのこん』『れでぃ×ばと!』『えむえむっ!』など、明るくてちょっぴりエッチなアニメを作ることには定評のあるジーベックが担当しており、健康的なお色気&密度の高いパロディという原作の魅力を見事に映像化している。
ニャル子さんを演じる阿澄佳奈のハイテンションな演技もポイントが高い。オタク気質でアニメやマンガ、ゲームには反応しまくり、隙あらば男子高校生・八坂真尋に性的な接触を迫るニャル子さんなのだが、イヤらしさや不潔さ、うっとうしさを感じさせないのは、阿澄の声の存在感によるところが大きいのではなかろうか。彼女がメインボーカルを務めるユニット「後ろから這いより隊G」によるOP主題歌「太陽曰く燃えよカオス」も、「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」のコーラスが印象的なお祭り感溢れる名曲で、これまた素晴らしい。
コリン・ウィルソンやスティーブン・キングといった巨匠にも愛され、海外では高い認知度を誇るクトゥルフ神話だが、日本においては、1970年代初頭から80年代にかけて、ジャンル小説の読者やヤングアダルト小説の読者の間で瞬間風速的な盛り上がりを見せはしたものの、一般的な知名度を得るには至ってこなかった。ところが、『ニャル子さん』第1話の放送直後には、創元推理文庫の『ラヴクラフト全集』第1巻がAmazonランキングを急上昇。ひょっとしたら、ここから、日本にも本格的なクトゥルフ神話ブームが巻き起こるのかもしれない。アナタも乗り遅れないうちに、クトゥルフの呼び声に耳をすませるべき……ああ……私にも聞こえる! 窓の外に! 宇宙的で冒涜的な恐怖の足音が!
……(」・ω・)」うー! (/・ω・)/にゃー!
(文=麻枝雅彦)
ピアノ×カホンの最強インストユニット「→Pia-no-jaC←」全国ツアー開始!
驚異的なペースでアルバムリリースとライヴツアーを続ける→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)が、4月14日の横浜赤レンガ倉庫1号館ホールから19カ所に及ぶ全国ツアー「→Pia-no-jaC← First Light Tour 2012」をスタートさせた。
→Pia-no-jaC←は2005年4月1日に結成され、今年活動8年目を迎えるHAYATO(ピアノ)とHIRO(カホン)によるふたり組のインストゥルメンタルユニット。アンプラグドな楽器編成からは想像もつかないヘヴィかつロック色溢れるパフォーマンスで熱狂的なファンを獲得、各地でソールドアウトを記録し、昨年9月から12月にかけては初の47都道府県ツアーを敢行。大きな反響を呼んでいる。
3月に発売された9枚目のオリジナルアルバム『暁(アカツキ)』を引っ提げてのツアー。→Pia-no-jaC←はこれまでとはガラッとやり方を変え、決め事を極力排して自由に演奏する、との覚悟で横浜公演に臨んだ。
即興演奏コーナーもある。アドリブを練習すると固まってしまうので、リハーサルのしようがない。未知の領域に踏み込むことで、ふたりはMCもおぼつかなくなるほどに緊張していた。
ただ、その試みは実ったようだ。当日券も出せないほどフルハウスとなった会場の反応はとても熱いものだった。『暁』の新曲から自由なフレージングを施し、今までにないニュアンスを加えた既存の楽曲群に到るセットリストが、新鮮な驚きをもたらした。
「ハッ!」と静寂を突き破るHIROの発声で始まるカホンソロナンバー「眞」、ピアノもまたパーカッシヴな楽器であることを思い知らされる「Paradiso」、スケールの大きさを感じさせる「Fantasista」。幕開けは『暁』収録の3曲だった。プログレッシヴロックの演奏バトルのような緊張感があり、それでいて閉じておらず、大衆娯楽として広く誰にでも届くポップさに包まれたこのオープニングで、→Pia-no-jaC←は完全にオーディエンスを魅了した。
大道芸人のごときギミックも用いて、フロアを飽きさせない。そのタイトルどおり、甘くかわいらしい「Fairly Dolce」では、機械じかけの人形と化してしまった(?)HAYATOが演奏を止めるたびに、HIROが大きなねじ巻きを持ち出しては、ギイ、ギイと歯車を廻す。直った、と思ったらそれはフェイクでまた止まったり。遊び心たっぷりにエンタテインメントを届けようとするふたりのもてなしが心地よい。
8曲目のあとはこの日の核心、即興コーナー。開演前に募ったリクエストの要望に沿って即興演奏をするものだが、手にとったリクエスト用紙に「ジョンソンの北京ダック」と書かれていたからたまらない。
ジョンソンとは演奏の一部にも登場する、声を発する黄色いアヒル人形の呼び名のこと。これを北京ダックにするのか……というところでHAYATOは考えあぐねてしまった。「これで『海』が出てきたら『海の北京ダック』になる」と、HIROに奨められて開いたもう一枚のリクエストは、なんと「アラサー」。
つまり、北京ダックにされるアラサーのジョンソン、というテーマでインプロヴィゼーションをしないといけなくなったのだ。それでも、「よし。いろいろ設定できるね。やってみようか」と、HAYATOはピアノを静謐に弾き始める。シリアスなトーンのピアノにHIROがジョンソンを絡めるなど、混沌とした序盤から、やがてリズムがシンクロする中盤に到ると、フロアが熱気を帯び始める。ドラマティックな展開のあと、メインのリフに戻り演奏を終えると、うおぉ、という歓声が待っていた。即興とは思えない完成度と言えばいいのか、それとも即興だからこその起伏溢れるテンションの高さと言えばいいのか。「最高!」というファンの叫びは本心だっただろう。
HIROは「今の1曲でジョンソンの一生が垣間見えた。これはまるで人生です!」と言った。短時間で劇的なストーリーを組み立ててしまう→Pia-no-jaC←、おそるべし。
もう、ライヴがひとつ終わったかのような達成感に会場が包まれたが、それでも全体の半分ほど。後半戦はMCも短めで、アンコールまで畳み掛けるように次々と豊富な楽曲を送り出していく。
東日本大震災後に制作をスタートした『暁』の中でも、しんしんと雪の降る冬にでき、とくに穏やかな日々が続くようにとの願いが表現された「雪月花」が、そこまでの「動」に対する「静」で会場の気持ちをひとつにする。そして一転、ラストの「威風堂々」「PEACE」では再びエネルギーを爆発させ、上昇感で空気を満たした。
その空気の高揚をさらに持続させたアンコールでライヴは幕を閉じたが、演奏に入る前に、ふたりから重大発表があった。
ひとつは、7月に予定されている、世界的ヴァイオリニスト・葉加瀬太郎とのコラボレーションアルバム発売。
そしてもうひとつは、デビュー5周年に向けた記念の全曲ライヴ(!)。会場は日比谷野外大音楽堂だ。
熱心なリスナーのみならず、広く世の中からアーティストとして認知されるステージに足を踏み入れようとしている→Pia-no-jaC←。すでに6月23日の東京国際フォーラム公演はソールドアウトになっているが、この横浜公演に始まる全国ツアーが、大きな変化の胎動を目撃するまたとない機会であることは確かなようだ。
(取材・文=後藤勝/写真=尾藤能暢)
●→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)Official Site
http://pia-no-jac.net/
●pianojac2011 - YouTube
http://www.youtube.com/user/pianojac2011
<横浜公演セットリスト>
SE
1.眞
2.Paradiso
<MC>
3.Fantasista
4.台風
5.ダイナマイト(バトルセッション)
<MC>
6.Fairy Dolce
7.ボレロ
8.新世界
—即興コーナー—
9.幻想即興曲
10.獅子奮迅
11.Jack
<MC>
12.雪月花
<MC>
13.威風堂々
14.PEACE
EN1.日替わり(4月14日はエレクトリカルパレード)
EN2.それでも猫は追いかける
<MC>
EN3.HAPPY

雄たけびをあげるカホンのHIRO。
これがなければ始まらない!?
これがなければ始まらない!?

まるで別の生き物のように
HAYATOの10指が鍵盤を跳ね回る。
HAYATOの10指が鍵盤を跳ね回る。

演奏中、2人の目線は何度も交錯する。

これがジョンソン。

してやったりのHAYATO。
熱心なリスナーのみならず、広く世の中からアーティストとして認知されるステージに足を踏み入れようとしている→Pia-no-jaC←。すでに6月23日の東京国際フォーラム公演はソールドアウトになっているが、この横浜公演に始まる全国ツアーが、大きな変化の胎動を目撃するまたとない機会であることは確かなようだ。
(取材・文=後藤勝/写真=尾藤能暢)
●→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)Official Site
http://pia-no-jac.net/
●pianojac2011 - YouTube
http://www.youtube.com/user/pianojac2011
<横浜公演セットリスト>
SE
1.眞
2.Paradiso
<MC>
3.Fantasista
4.台風
5.ダイナマイト(バトルセッション)
<MC>
6.Fairy Dolce
7.ボレロ
8.新世界
—即興コーナー—
9.幻想即興曲
10.獅子奮迅
11.Jack
<MC>
12.雪月花
<MC>
13.威風堂々
14.PEACE
EN1.日替わり(4月14日はエレクトリカルパレード)
EN2.それでも猫は追いかける
<MC>
EN3.HAPPY
ピアノ×カホンの最強インストユニット「→Pia-no-jaC←」全国ツアー開始!
驚異的なペースでアルバムリリースとライヴツアーを続ける→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)が、4月14日の横浜赤レンガ倉庫1号館ホールから19カ所に及ぶ全国ツアー「→Pia-no-jaC← First Light Tour 2012」をスタートさせた。
→Pia-no-jaC←は2005年4月1日に結成され、今年活動8年目を迎えるHAYATO(ピアノ)とHIRO(カホン)によるふたり組のインストゥルメンタルユニット。アンプラグドな楽器編成からは想像もつかないヘヴィかつロック色溢れるパフォーマンスで熱狂的なファンを獲得、各地でソールドアウトを記録し、昨年9月から12月にかけては初の47都道府県ツアーを敢行。大きな反響を呼んでいる。
3月に発売された9枚目のオリジナルアルバム『暁(アカツキ)』を引っ提げてのツアー。→Pia-no-jaC←はこれまでとはガラッとやり方を変え、決め事を極力排して自由に演奏する、との覚悟で横浜公演に臨んだ。
即興演奏コーナーもある。アドリブを練習すると固まってしまうので、リハーサルのしようがない。未知の領域に踏み込むことで、ふたりはMCもおぼつかなくなるほどに緊張していた。
ただ、その試みは実ったようだ。当日券も出せないほどフルハウスとなった会場の反応はとても熱いものだった。『暁』の新曲から自由なフレージングを施し、今までにないニュアンスを加えた既存の楽曲群に到るセットリストが、新鮮な驚きをもたらした。
「ハッ!」と静寂を突き破るHIROの発声で始まるカホンソロナンバー「眞」、ピアノもまたパーカッシヴな楽器であることを思い知らされる「Paradiso」、スケールの大きさを感じさせる「Fantasista」。幕開けは『暁』収録の3曲だった。プログレッシヴロックの演奏バトルのような緊張感があり、それでいて閉じておらず、大衆娯楽として広く誰にでも届くポップさに包まれたこのオープニングで、→Pia-no-jaC←は完全にオーディエンスを魅了した。
大道芸人のごときギミックも用いて、フロアを飽きさせない。そのタイトルどおり、甘くかわいらしい「Fairly Dolce」では、機械じかけの人形と化してしまった(?)HAYATOが演奏を止めるたびに、HIROが大きなねじ巻きを持ち出しては、ギイ、ギイと歯車を廻す。直った、と思ったらそれはフェイクでまた止まったり。遊び心たっぷりにエンタテインメントを届けようとするふたりのもてなしが心地よい。
8曲目のあとはこの日の核心、即興コーナー。開演前に募ったリクエストの要望に沿って即興演奏をするものだが、手にとったリクエスト用紙に「ジョンソンの北京ダック」と書かれていたからたまらない。
ジョンソンとは演奏の一部にも登場する、声を発する黄色いアヒル人形の呼び名のこと。これを北京ダックにするのか……というところでHAYATOは考えあぐねてしまった。「これで『海』が出てきたら『海の北京ダック』になる」と、HIROに奨められて開いたもう一枚のリクエストは、なんと「アラサー」。
つまり、北京ダックにされるアラサーのジョンソン、というテーマでインプロヴィゼーションをしないといけなくなったのだ。それでも、「よし。いろいろ設定できるね。やってみようか」と、HAYATOはピアノを静謐に弾き始める。シリアスなトーンのピアノにHIROがジョンソンを絡めるなど、混沌とした序盤から、やがてリズムがシンクロする中盤に到ると、フロアが熱気を帯び始める。ドラマティックな展開のあと、メインのリフに戻り演奏を終えると、うおぉ、という歓声が待っていた。即興とは思えない完成度と言えばいいのか、それとも即興だからこその起伏溢れるテンションの高さと言えばいいのか。「最高!」というファンの叫びは本心だっただろう。
HIROは「今の1曲でジョンソンの一生が垣間見えた。これはまるで人生です!」と言った。短時間で劇的なストーリーを組み立ててしまう→Pia-no-jaC←、おそるべし。
もう、ライヴがひとつ終わったかのような達成感に会場が包まれたが、それでも全体の半分ほど。後半戦はMCも短めで、アンコールまで畳み掛けるように次々と豊富な楽曲を送り出していく。
東日本大震災後に制作をスタートした『暁』の中でも、しんしんと雪の降る冬にでき、とくに穏やかな日々が続くようにとの願いが表現された「雪月花」が、そこまでの「動」に対する「静」で会場の気持ちをひとつにする。そして一転、ラストの「威風堂々」「PEACE」では再びエネルギーを爆発させ、上昇感で空気を満たした。
その空気の高揚をさらに持続させたアンコールでライヴは幕を閉じたが、演奏に入る前に、ふたりから重大発表があった。
ひとつは、7月に予定されている、世界的ヴァイオリニスト・葉加瀬太郎とのコラボレーションアルバム発売。
そしてもうひとつは、デビュー5周年に向けた記念の全曲ライヴ(!)。会場は日比谷野外大音楽堂だ。
熱心なリスナーのみならず、広く世の中からアーティストとして認知されるステージに足を踏み入れようとしている→Pia-no-jaC←。すでに6月23日の東京国際フォーラム公演はソールドアウトになっているが、この横浜公演に始まる全国ツアーが、大きな変化の胎動を目撃するまたとない機会であることは確かなようだ。
(取材・文=後藤勝/写真=尾藤能暢)
●→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)Official Site
http://pia-no-jac.net/
●pianojac2011 - YouTube
http://www.youtube.com/user/pianojac2011
<横浜公演セットリスト>
SE
1.眞
2.Paradiso
<MC>
3.Fantasista
4.台風
5.ダイナマイト(バトルセッション)
<MC>
6.Fairy Dolce
7.ボレロ
8.新世界
—即興コーナー—
9.幻想即興曲
10.獅子奮迅
11.Jack
<MC>
12.雪月花
<MC>
13.威風堂々
14.PEACE
EN1.日替わり(4月14日はエレクトリカルパレード)
EN2.それでも猫は追いかける
<MC>
EN3.HAPPY

雄たけびをあげるカホンのHIRO。
これがなければ始まらない!?
これがなければ始まらない!?

まるで別の生き物のように
HAYATOの10指が鍵盤を跳ね回る。
HAYATOの10指が鍵盤を跳ね回る。

演奏中、2人の目線は何度も交錯する。

これがジョンソン。

してやったりのHAYATO。
熱心なリスナーのみならず、広く世の中からアーティストとして認知されるステージに足を踏み入れようとしている→Pia-no-jaC←。すでに6月23日の東京国際フォーラム公演はソールドアウトになっているが、この横浜公演に始まる全国ツアーが、大きな変化の胎動を目撃するまたとない機会であることは確かなようだ。
(取材・文=後藤勝/写真=尾藤能暢)
●→Pia-no-jaC←(ピアノジャック)Official Site
http://pia-no-jac.net/
●pianojac2011 - YouTube
http://www.youtube.com/user/pianojac2011
<横浜公演セットリスト>
SE
1.眞
2.Paradiso
<MC>
3.Fantasista
4.台風
5.ダイナマイト(バトルセッション)
<MC>
6.Fairy Dolce
7.ボレロ
8.新世界
—即興コーナー—
9.幻想即興曲
10.獅子奮迅
11.Jack
<MC>
12.雪月花
<MC>
13.威風堂々
14.PEACE
EN1.日替わり(4月14日はエレクトリカルパレード)
EN2.それでも猫は追いかける
<MC>
EN3.HAPPY
台湾で小澤マリアの陰毛が1本80万円で取引されている!?

台湾で今、日本のある商品がブームになっているという。それは、「ジューシーハニー」と呼ばれるAV女優のトレーディングカードで、国内では8枚入りで税込み525円で販売されているものだ。
ところが、香港系のニュースサイト「鳳凰網」の4月16日付け報道によると、台湾ではカードの希少性や女優の人気度によってプレミアが付き、高額取引されるカードも少なくないのだという。
とくに人気がすさまじいのは、AV女優のキスマークやパイタクが付けられた「キスマークカード」「ニップルスタンプカード」、ブラジャーのホック部分やパンツの一部を付録した「ブラホックカード」「ジャージカード」など、一般のカードに比べて出現率の低い付録カードだ。
例えば、小澤マリアの陰毛付き「体毛カード」には、かつて約80万円の値が付いたこともあったという。そのほか、米大リーグ・レンジャーズのダルビッシュ有投手と浮名を流した明日花キララや、タレント活動も盛んな麻美ゆまの付録カードもトップクラスの人気を誇っているという。
記事によると、5年前からこのトレーディングカードを収集し始め、今までに少なくとも50万円以上を使ったという男性は、「触りたかったのに触ることがかなわなかった女優の服や髪の毛などをネタに、より深い妄想と欲望を満足させることができるんだ」と満足げに語ったという。
ちなみに、日本で販売を開始して7年が経過しているこのトレーディングカードは、マニアたちが日本からハンドキャリーで持ち込み市場が形成されたというが、2年ほど前からは正規輸入品が手に入るようになったという。ソニーやパナソニックなど、日本の主要電機メーカーが国際市場で不振に陥る中、このトレーディングカードが新たな輸出産業となるか!?
(文=牧野源)
