
画像は上から『デビル メイ クライ』、『デビル メイ クライ2』、『デビル メイ クライ3 Special Edition』



『未来国家ブータン』(集英社)
今、もっとも注目される“世界でいちばん幸せな国”、ブータン。
国民総幸福量(GNH)という独自の考え方を打ち出し、国民の約97%が「幸せ」と答える。このご時勢、「幸せとはなんぞや……」と頭を悩ます世界中の人々から熱い視線が注がれている国だ。昨年11月には、ブータン国王、王妃が来日し、その美男美女ぶりに加え、幸せそうな姿に、すっかりファンになった人も多いのではないかと思う。
私の勝手なブータンのイメージは、“な~んにもない山岳地帯に、日本人のような顔をした人々がのんびり暮らしている”という、かなりざっくりしたもの。しかし、『未来国家ブータン』(集英社)を読んでみると、予想もしなかった、何やらものすごく奥深い「正体不明のナゾの国家」であることが見えてくる。
著者は、辺境作家の高野秀行氏。これまで20年以上にわたり、コンゴの謎の怪獣「モケーレ・ムベンベ」や、ベトナムの猿人「フイハイ」、アフガニスタンの凶獣「ペシャクパラング」など数々の未確認動物を探し回ってきた、その筋(?)では有名な人物だ。
その高野氏が、今度は雪男を探しにブータンへ出発することになった。
きっかけは、友人の二村聡氏が聞いた雪男話。二村氏は、野生の植物や菌類といった「生物資源」から新しい医薬品や食品などを作るための研究を行う会社の経営者。意表をついたアイデアと驚きの行動力の持ち主で、ブータンの農業省・国立生物多様性センターとの業務提携を取りつけていた。
その二村氏によると、同センターのプロジェクト主任が、「わが国に未知の動物はいないが、雪男はいる」と語っていたというのだ。
政府の高官が雪男の存在を肯定したという事実にすっかり血が騒ぎ、高野氏はブータンへと旅立つ。
とは言っても、雪男探しだけのために、ブータンへ行った訳ではない。
公式の任務は二村氏の依頼で、ブータン政府もよく把握していない少数民族の村へ行き、彼らの伝統知識や現地の状況を調べ、今後、「生物資源」の現地調査に適した場所を探し出すこと。
その中に、個人的興味である“雪男調査”をこっそり(どっさり)入れ込み、雪男を探し回ったのだ。
現地に到着後、すぐに聞き込み調査を開始した高野氏。まもなく雪男の特徴がわかってきた。けむくじゃらで山奥に住んでいる。巨大だが、大きさは自由に変えられ、ものすごく臭い。山椒と腋臭が入り混じったようなにおい。それに、女バージョンもいるという。
なんだか笑ってしまうような特徴だが、証言してくれる現地の人々の顔は真剣そのもの。
そのほかにも、雪男を目撃するのは不吉なことで、運が落ちている状態だと考えられていることや、雪男に間違えられた老人、雪男に連れ去られた公務員の話など、次々と証言者が現れる。
だが、調査してみると、雪男以外にも、悪魔を崇拝するという「毒人間」と呼ばれる一族や、子どもを食べるといわれる未確認動物「チュレイ」など、ブータンでは“物の怪”の存在を信じる人々がまだまだ多いことがわかってくる。そして、それらを退治するための薬なども存在し、いつの間にやら、公式の任務である調査内容へとつながっていく。
ブータンは、開発よりも伝統を優先し、外国人観光客はガイドなしでは自由に歩き回ることもできない。その上、多くの土地でまだ電気も水道も通っておらず、高度な教育や医療、福祉の恩恵にあずかれるのは、ごくわずか。
その一方で、政府の公用語は英語で、学校教育も小学校高学年からはすべて英語。官僚やビジネスマンはほとんど外国の大学で学位を取っている。開発よりも環境を優先し、世界で最もエコロジーが進んでいるという環境立国でもある。
昔ながらの生活はちゃんと残っているのに最先端。どうしたら、こんなにいいとこどりの国になれるのか。
しかも、政府の官僚でさえも、まるで威張ったところがなく、村人に会って話を聞けば、「彼らの知恵や経験は実に勉強になります」と、目をキラキラさせながら話す。
ブータンの底知れぬ幸せ力とは、一体何なのか。そして、ブータンで雪男は発見できたのか!?
今まで見聞きしたこともないブータンの真実が、この1冊に濃厚に詰まっている。
(文=上浦未来)
●たかの・ひでゆき
1966年東京都生まれ。早稲田大学探検部時代に書いた『幻獣ムベンベを追え』でデビュー。92~93年にはタイ国立チェンマイ大学日本語学科で、08~09年には上智大学外国語学部で、それぞれ講師を務める。著書に『巨流アマゾンを遡れ』『異国トーキョー漂流記』『ミャンマーの柳生一族』『アヘン王国潜入記』『アジア新聞屋台村』『腰痛探険家』『辺境中毒!』(以上集英社文庫)ほか、『西南シルクロードは密林に消える』(講談社)、『世にも奇妙なマラソン大会』(本の雑誌社)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)など多数。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞受賞。

『未来国家ブータン』(集英社)
今、もっとも注目される“世界でいちばん幸せな国”、ブータン。
国民総幸福量(GNH)という独自の考え方を打ち出し、国民の約97%が「幸せ」と答える。このご時勢、「幸せとはなんぞや……」と頭を悩ます世界中の人々から熱い視線が注がれている国だ。昨年11月には、ブータン国王、王妃が来日し、その美男美女ぶりに加え、幸せそうな姿に、すっかりファンになった人も多いのではないかと思う。
私の勝手なブータンのイメージは、“な~んにもない山岳地帯に、日本人のような顔をした人々がのんびり暮らしている”という、かなりざっくりしたもの。しかし、『未来国家ブータン』(集英社)を読んでみると、予想もしなかった、何やらものすごく奥深い「正体不明のナゾの国家」であることが見えてくる。
著者は、辺境作家の高野秀行氏。これまで20年以上にわたり、コンゴの謎の怪獣「モケーレ・ムベンベ」や、ベトナムの猿人「フイハイ」、アフガニスタンの凶獣「ペシャクパラング」など数々の未確認動物を探し回ってきた、その筋(?)では有名な人物だ。
その高野氏が、今度は雪男を探しにブータンへ出発することになった。
きっかけは、友人の二村聡氏が聞いた雪男話。二村氏は、野生の植物や菌類といった「生物資源」から新しい医薬品や食品などを作るための研究を行う会社の経営者。意表をついたアイデアと驚きの行動力の持ち主で、ブータンの農業省・国立生物多様性センターとの業務提携を取りつけていた。
その二村氏によると、同センターのプロジェクト主任が、「わが国に未知の動物はいないが、雪男はいる」と語っていたというのだ。
政府の高官が雪男の存在を肯定したという事実にすっかり血が騒ぎ、高野氏はブータンへと旅立つ。
とは言っても、雪男探しだけのために、ブータンへ行った訳ではない。
公式の任務は二村氏の依頼で、ブータン政府もよく把握していない少数民族の村へ行き、彼らの伝統知識や現地の状況を調べ、今後、「生物資源」の現地調査に適した場所を探し出すこと。
その中に、個人的興味である“雪男調査”をこっそり(どっさり)入れ込み、雪男を探し回ったのだ。
現地に到着後、すぐに聞き込み調査を開始した高野氏。まもなく雪男の特徴がわかってきた。けむくじゃらで山奥に住んでいる。巨大だが、大きさは自由に変えられ、ものすごく臭い。山椒と腋臭が入り混じったようなにおい。それに、女バージョンもいるという。
なんだか笑ってしまうような特徴だが、証言してくれる現地の人々の顔は真剣そのもの。
そのほかにも、雪男を目撃するのは不吉なことで、運が落ちている状態だと考えられていることや、雪男に間違えられた老人、雪男に連れ去られた公務員の話など、次々と証言者が現れる。
だが、調査してみると、雪男以外にも、悪魔を崇拝するという「毒人間」と呼ばれる一族や、子どもを食べるといわれる未確認動物「チュレイ」など、ブータンでは“物の怪”の存在を信じる人々がまだまだ多いことがわかってくる。そして、それらを退治するための薬なども存在し、いつの間にやら、公式の任務である調査内容へとつながっていく。
ブータンは、開発よりも伝統を優先し、外国人観光客はガイドなしでは自由に歩き回ることもできない。その上、多くの土地でまだ電気も水道も通っておらず、高度な教育や医療、福祉の恩恵にあずかれるのは、ごくわずか。
その一方で、政府の公用語は英語で、学校教育も小学校高学年からはすべて英語。官僚やビジネスマンはほとんど外国の大学で学位を取っている。開発よりも環境を優先し、世界で最もエコロジーが進んでいるという環境立国でもある。
昔ながらの生活はちゃんと残っているのに最先端。どうしたら、こんなにいいとこどりの国になれるのか。
しかも、政府の官僚でさえも、まるで威張ったところがなく、村人に会って話を聞けば、「彼らの知恵や経験は実に勉強になります」と、目をキラキラさせながら話す。
ブータンの底知れぬ幸せ力とは、一体何なのか。そして、ブータンで雪男は発見できたのか!?
今まで見聞きしたこともないブータンの真実が、この1冊に濃厚に詰まっている。
(文=上浦未来)
●たかの・ひでゆき
1966年東京都生まれ。早稲田大学探検部時代に書いた『幻獣ムベンベを追え』でデビュー。92~93年にはタイ国立チェンマイ大学日本語学科で、08~09年には上智大学外国語学部で、それぞれ講師を務める。著書に『巨流アマゾンを遡れ』『異国トーキョー漂流記』『ミャンマーの柳生一族』『アヘン王国潜入記』『アジア新聞屋台村』『腰痛探険家』『辺境中毒!』(以上集英社文庫)ほか、『西南シルクロードは密林に消える』(講談社)、『世にも奇妙なマラソン大会』(本の雑誌社)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)など多数。『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞受賞。

『ふかくこの性を愛すべし』
昨年の東日本大震災以降、一時ブームだとされたのが「震災婚」だ。この「ブーム」は、厚生労働省が発表した2011年の人口動態統計で婚姻件数が前年度比の4.3%減だったことから、虚構であることは明らかになった。とはいえ、震災を機に日本人の価値観が大きく変貌しているのは間違いない。それはセックスでも一緒のハズだ。
5月12日から公開される映画『ヴァージン』は、まさに価値観と人生観の変貌する現代を舞台に、女性なら誰もが経験する“ロストヴァージン”をテーマに3人の監督が競作するオムニバス作品である。男性である筆者は想像するしかないが、女性にとってロストヴァージンの経験に対する思いはさまざまなハズ。若気の至りと恥じ入るのか、思い出になるのか、そうした愛憎の入り交じった人生の一大イベントを、本作では10代、20代、30代と、それぞれの世代ごとに焦点を絞って描いていくことになる。

『くちばっか。』
『たまの映画』(2010)などで知られる今泉力哉監督の『くちばっか。』は、10代の好奇心に満ちあふれた少女の、一風変わったロストヴァージンを描く作品だ。ヒロインは、高校2年生の中村翠(佐藤睦)。彼女は、以前、姉の二葉(川村ゆきえ)に告白してフラれた、同級生の市川(田村健太郎)と交際している。そんな翠は、自分が処女であること以上に、いまだに市川が姉のことを好きなのではないかという不安を抱えていた。そして、彼女は市川に処女を捧げる場所に、二葉の部屋を選ぶのだが……。

『ゴージャス・プリンセス』
20代編『ゴージャス・プリンセス』は、一風変わった青春劇から打って変わって、ラブコメテイストで描かれる。ブスで卑屈なヒロインのアズサ(大崎由希)は、モテキャラのリエ(梅田絵里子)とコンビを組む、駆け出しの女芸人だ。容姿がブサイクな上に性格もアレな感じのアズサは当然、処女。ところが、ある日突然、彼女の人生は一変する。生活のために昼間に働いている会社で同僚から、思いがけない告白、それに加えてライブ中にリエから、処女とバラされて大げんかに! 果たして、無事に処女を捨てることができるのか? 『アワ・ブリーフ・エタニティ/OUR BRIEF ETERNITY』(10)の福島拓哉監督が描く、ひたすらハイテンションなロストヴァージンの物語だ。
そして30代編『ふかくこの性を愛すべし』は、『家族X』で高く評価された吉田光希監督が担当。薬剤師として35年間堅実に(あるいは、男にも縁がなく)働いてきた和代(正木佐和)は、ひたすら淡々とした日々を過ごしていた。そんな彼女が出会ったのは、高校生の少年・遼(栁俊太郎)。なんら感情や肉体を突き動かされる衝動を味わったことがなかった彼女は、初めての狂おしい想いの止まない時を過ごすことになるのだが……。
3本の作品は、それぞれ約40分、計127分の構成だ。10代ではちょっと気恥ずかしい青春を、20代では、どんな女性でも処女を捨てるという願望がない者はいないと気づかせ、最後に30代にもなって処女って! と驚かせる構成になっている。
10代が30代編で、あるいは20代が10代編でなど、鑑賞後、観客には世代をまたいでさまざまな思いが去来するのではなかろうか。「婚活」とか「草食系」とか、男女の関係やセックスに絡むさまざまな言葉が流行しては消えていく現代、改めて男女の関係とはなにかということを考えてみたくなる作品だ。
●『ヴァージン』
5月12日(土)より、新宿K's cinema
<http://www.ks-cinema.com/schedule.html>
6月より、京都府・京都みなみ会館/大阪府・大阪第七藝術劇場/愛知県・名古屋シネマテークなどで随時公開予定。
公式サイト
<http://ameblo.jp/2012virgin/>

『ふかくこの性を愛すべし』
昨年の東日本大震災以降、一時ブームだとされたのが「震災婚」だ。この「ブーム」は、厚生労働省が発表した2011年の人口動態統計で婚姻件数が前年度比の4.3%減だったことから、虚構であることは明らかになった。とはいえ、震災を機に日本人の価値観が大きく変貌しているのは間違いない。それはセックスでも一緒のハズだ。
5月12日から公開される映画『ヴァージン』は、まさに価値観と人生観の変貌する現代を舞台に、女性なら誰もが経験する“ロストヴァージン”をテーマに3人の監督が競作するオムニバス作品である。男性である筆者は想像するしかないが、女性にとってロストヴァージンの経験に対する思いはさまざまなハズ。若気の至りと恥じ入るのか、思い出になるのか、そうした愛憎の入り交じった人生の一大イベントを、本作では10代、20代、30代と、それぞれの世代ごとに焦点を絞って描いていくことになる。

『くちばっか。』
『たまの映画』(2010)などで知られる今泉力哉監督の『くちばっか。』は、10代の好奇心に満ちあふれた少女の、一風変わったロストヴァージンを描く作品だ。ヒロインは、高校2年生の中村翠(佐藤睦)。彼女は、以前、姉の二葉(川村ゆきえ)に告白してフラれた、同級生の市川(田村健太郎)と交際している。そんな翠は、自分が処女であること以上に、いまだに市川が姉のことを好きなのではないかという不安を抱えていた。そして、彼女は市川に処女を捧げる場所に、二葉の部屋を選ぶのだが……。

『ゴージャス・プリンセス』
20代編『ゴージャス・プリンセス』は、一風変わった青春劇から打って変わって、ラブコメテイストで描かれる。ブスで卑屈なヒロインのアズサ(大崎由希)は、モテキャラのリエ(梅田絵里子)とコンビを組む、駆け出しの女芸人だ。容姿がブサイクな上に性格もアレな感じのアズサは当然、処女。ところが、ある日突然、彼女の人生は一変する。生活のために昼間に働いている会社で同僚から、思いがけない告白、それに加えてライブ中にリエから、処女とバラされて大げんかに! 果たして、無事に処女を捨てることができるのか? 『アワ・ブリーフ・エタニティ/OUR BRIEF ETERNITY』(10)の福島拓哉監督が描く、ひたすらハイテンションなロストヴァージンの物語だ。
そして30代編『ふかくこの性を愛すべし』は、『家族X』で高く評価された吉田光希監督が担当。薬剤師として35年間堅実に(あるいは、男にも縁がなく)働いてきた和代(正木佐和)は、ひたすら淡々とした日々を過ごしていた。そんな彼女が出会ったのは、高校生の少年・遼(栁俊太郎)。なんら感情や肉体を突き動かされる衝動を味わったことがなかった彼女は、初めての狂おしい想いの止まない時を過ごすことになるのだが……。
3本の作品は、それぞれ約40分、計127分の構成だ。10代ではちょっと気恥ずかしい青春を、20代では、どんな女性でも処女を捨てるという願望がない者はいないと気づかせ、最後に30代にもなって処女って! と驚かせる構成になっている。
10代が30代編で、あるいは20代が10代編でなど、鑑賞後、観客には世代をまたいでさまざまな思いが去来するのではなかろうか。「婚活」とか「草食系」とか、男女の関係やセックスに絡むさまざまな言葉が流行しては消えていく現代、改めて男女の関係とはなにかということを考えてみたくなる作品だ。
●『ヴァージン』
5月12日(土)より、新宿K's cinema
<http://www.ks-cinema.com/schedule.html>
6月より、京都府・京都みなみ会館/大阪府・大阪第七藝術劇場/愛知県・名古屋シネマテークなどで随時公開予定。
公式サイト
<http://ameblo.jp/2012virgin/>

発売以来、13万匹もの幼虫チョコがお客様の胃袋の中に。
購入してから1週間、食べる勇気が出なかったお菓子がある。それがこれ。
かわいらしい箱に入っていたのは……
虫! の形をしたお菓子だ。写真手前が「いもむし三兄弟」(200円)、左奥が「かぶと虫の幼虫チョコレート」(220円)、「かぶと虫の成虫チョコレート」(1,000円)。いずれも秋田県の製菓店・小松屋本店の商品である。なぜか同店のHPのトップには、虫のお菓子ばかりがズラリと並んでいる。

ちなみに、Facebookページ用に作られたオリジナルのロゴには、
「キモいね!」。
一体、このお菓子屋はどうしてこうなってしまったのか。小松屋本店の小原健一さんはケロリとした様子で語る。
小原健一さん(以下、小原)「気持ち悪いですか? 私は作り手ですので、気持ち悪いなどとは思いませんね。もともとは、7年前の秋田県横手市での昆虫展にて、面白いお菓子を作ってほしいという市からの依頼で『かぶと虫の幼虫チョコレート』が誕生したのですが、初めて試作品を作ったときも、普通のチョコとして食べましたよ」
――さすがに、最初は社内で反対もあったのでは……?
小原「ええ、気持ち悪いと反対する人もいたため、当初は昆虫展だけで出すつもりで作りました。ところが、これが予想以上に反響を呼び、昆虫展の翌年からインターネット販売を開始。その後、かぶと虫の成虫や、いもむし、はちのこなどあらゆる虫スイーツを開発しましたが、今でも一番の売れ筋はやはり『かぶと虫の幼虫チョコレート』ですね。現在、通算販売個数は13万個。つまり、通算13万匹も食べていただいてるんです」

これは『はちのこモゾモゾ♪プチキャラメル』。こうしてビッシリと並ぶと圧巻……。
小原「ちなみに、個人的に知り合いのおばさんに幼虫チョコをプレゼントした際、『キャー!!!』と箱ごと投げ飛ばされました。驚くくらいリアルにできていたんだと、うれしくなりましたね」
――あれ……そこ喜ぶところなんですか。
小原「本当は,
もっとリアルに作り込めるんですよ。ですが、あまりやりすぎるとお客様が引いてしまう可能性がありますので、多少やわらかいビジュアルにするようには心掛けています。とくに、『いもむし三兄弟』はかわいらしく作ってあるので、初心者には食べやすいかもしれません」
――やはり不人気な虫、例えばゴキブリなんかは、お菓子にするのに適してないのでしょうか?
小原「それも多少はありますね。店頭にはゴキブリのケーキを展示していますが、面白いから飾っているだけで、さすがに一般に販売する予定はございません。また、昆虫シリーズはネット販売が中心ですので、発送の際に壊れないような虫であることもポイントですね。ちなみに、カブトムシの成虫の足の細い部分は、チョコだけで作ると折れてしまうので、いかそうめんにチョコをコーティングして作っています。現在、次は何の虫をお菓子にしようかと検討中です」
***
ちなみに、大の虫嫌い、大のお菓子好きの筆者。数日に渡る試行錯誤の結果、虫っぽい模様を見ないように裏返しにし、できる限り細かく砕いてから口にするのが最もおいしく食べられる方法であった。そうして、やっとの思いで食べきったときの達成感たるや。努力した分、完食の感動もひとしおである。……あれ、そういう話じゃないっけ。
(取材・文=朝井麻由美)
●『小松屋本店』
<http://komatuya-h.jp/>
秋田県横手市田中町9-17/営業時間:9:00~18:00/定休日:火曜/電話: 0182-32-0369
これだけ豊富な種類の虫スイーツを展開する小松屋本店だが、実は一番のロングセラー商品は、60年以上前から安定した人気を誇る『アイスドリアン』(味はミルクとあずきの2種類)。ドリアンの食感をイメージして作ったアイスキャンディーで、夏は多いときで1日に5,000本売れる日も。

発売以来、13万匹もの幼虫チョコがお客様の胃袋の中に。
購入してから1週間、食べる勇気が出なかったお菓子がある。それがこれ。
かわいらしい箱に入っていたのは……
虫! の形をしたお菓子だ。写真手前が「いもむし三兄弟」(200円)、左奥が「かぶと虫の幼虫チョコレート」(220円)、「かぶと虫の成虫チョコレート」(1,000円)。いずれも秋田県の製菓店・小松屋本店の商品である。なぜか同店のHPのトップには、虫のお菓子ばかりがズラリと並んでいる。

ちなみに、Facebookページ用に作られたオリジナルのロゴには、
「キモいね!」。
一体、このお菓子屋はどうしてこうなってしまったのか。小松屋本店の小原健一さんはケロリとした様子で語る。
小原健一さん(以下、小原)「気持ち悪いですか? 私は作り手ですので、気持ち悪いなどとは思いませんね。もともとは、7年前の秋田県横手市での昆虫展にて、面白いお菓子を作ってほしいという市からの依頼で『かぶと虫の幼虫チョコレート』が誕生したのですが、初めて試作品を作ったときも、普通のチョコとして食べましたよ」
――さすがに、最初は社内で反対もあったのでは……?
小原「ええ、気持ち悪いと反対する人もいたため、当初は昆虫展だけで出すつもりで作りました。ところが、これが予想以上に反響を呼び、昆虫展の翌年からインターネット販売を開始。その後、かぶと虫の成虫や、いもむし、はちのこなどあらゆる虫スイーツを開発しましたが、今でも一番の売れ筋はやはり『かぶと虫の幼虫チョコレート』ですね。現在、通算販売個数は13万個。つまり、通算13万匹も食べていただいてるんです」

これは『はちのこモゾモゾ♪プチキャラメル』。こうしてビッシリと並ぶと圧巻……。
小原「ちなみに、個人的に知り合いのおばさんに幼虫チョコをプレゼントした際、『キャー!!!』と箱ごと投げ飛ばされました。驚くくらいリアルにできていたんだと、うれしくなりましたね」
――あれ……そこ喜ぶところなんですか。
小原「本当は,
もっとリアルに作り込めるんですよ。ですが、あまりやりすぎるとお客様が引いてしまう可能性がありますので、多少やわらかいビジュアルにするようには心掛けています。とくに、『いもむし三兄弟』はかわいらしく作ってあるので、初心者には食べやすいかもしれません」
――やはり不人気な虫、例えばゴキブリなんかは、お菓子にするのに適してないのでしょうか?
小原「それも多少はありますね。店頭にはゴキブリのケーキを展示していますが、面白いから飾っているだけで、さすがに一般に販売する予定はございません。また、昆虫シリーズはネット販売が中心ですので、発送の際に壊れないような虫であることもポイントですね。ちなみに、カブトムシの成虫の足の細い部分は、チョコだけで作ると折れてしまうので、いかそうめんにチョコをコーティングして作っています。現在、次は何の虫をお菓子にしようかと検討中です」
***
ちなみに、大の虫嫌い、大のお菓子好きの筆者。数日に渡る試行錯誤の結果、虫っぽい模様を見ないように裏返しにし、できる限り細かく砕いてから口にするのが最もおいしく食べられる方法であった。そうして、やっとの思いで食べきったときの達成感たるや。努力した分、完食の感動もひとしおである。……あれ、そういう話じゃないっけ。
(取材・文=朝井麻由美)
●『小松屋本店』
<http://komatuya-h.jp/>
秋田県横手市田中町9-17/営業時間:9:00~18:00/定休日:火曜/電話: 0182-32-0369
これだけ豊富な種類の虫スイーツを展開する小松屋本店だが、実は一番のロングセラー商品は、60年以上前から安定した人気を誇る『アイスドリアン』(味はミルクとあずきの2種類)。ドリアンの食感をイメージして作ったアイスキャンディーで、夏は多いときで1日に5,000本売れる日も。

『飼い喰い 三匹の豚とわたし』(岩波書店)
自分で豚を飼って、つぶして、食べてみたい――。
この湧き上がってしまった欲望を抑えきれず、自宅の軒下で約半年をかけて三匹の豚を飼い、育て、屠畜し、食べる会を開くまでに至る、驚愕の体験ルポ『飼い喰い 三匹の豚とわたし』(岩波書店)。
著者は、およそ10年間にわたり、国内外の屠畜現場を取材した『世界屠畜紀行』(解放出版社)が話題を呼んだ、イラストルポライターの内澤旬子氏。これまで、死んで肉となっていく家畜たち、牛、豚、山羊、馬、羊、ときにはラクダなどを、合計1万頭近くは眺めてきた。
だが、屠畜場に送られてくる前の段階はどうなのだろうか?
つまり、どうやって生まれ、どんな餌をどれだけ食べてきたか。出荷体重まで育てるのに、農家は毎日何をしているのか。
このことを知らずに屠畜場を見るということに疑問を抱き、自分の目で見て体験してみたいと、自宅の軒先で豚を飼い、イラストを入れながら、つぶさに記録した1冊である。
とはいえ、みなさんお察しの通り、豚なんてそう簡単には飼えるもんじゃない。臭いし、ブヒブヒうるさいし、餌やりだって大変だ。
しかも、自分の好奇心の赴くまま豚を育てるわけで、当然ながらどこかからお金をもらえるわけもなく、本業の仕事もしないといけない。並の人間ならば、このあたりで「やっぱムリ……」、萎えてしまうかと思うのだが、内澤氏はこの大きな大きなハードルを着々と乗り越えていく。
まずは、豚と暮らせる家探し。内澤氏が住む都内のマンションでは当然ながら豚は飼えず、知り合いのツテをたどって、千葉県旭市の150坪、敷金礼金なし、家賃5万の豚と住める廃屋を借りることに成功。
だが、かなりガタがきている物件のため、雨漏りする屋根を直し、なぜか残されていた大量のゴミを捨てるところからスタート。これが終われば、次は豚たちの寝床作り。物置小屋に糞尿対策のためおがくずをまき、給水器と餌やりの器具を設置し、さらに、豚を外で遊ばせるための運動場用に柵を張ったりと、やるべきことは次から次へと出てくる。
肝心の豚はいうと、こちらも知り合いのツテで、譲ってくれる農家の人が現れた。受精の瞬間から立ち会わせてもらい、ついに我が家へお出迎え。伸(オス)、夢(オス)、秀(メス)と、命名し、三匹の豚との生活がスタートする。
豚とはいえ、みんなそれぞれ性格が違い、伸は運動場でぐうぐうと寝ていることが多く、あまりなつかない。夢は人の好き嫌いがとても激しい。秀は、そばにいる人間をほとんど気にすることなく、黙々と餌を食べ、ひたすら眠る、豚らしい豚。
彼らとの暮らしぶりは、「面白すぎて寝られない」というぐらい、あれこれ何かが起こる。初日から、ドドドドッという音とともに、ギョーーーーーーーッキイイイイイイイッという悲鳴が上がり、ボス決定戦のタイトルマッチが行われたり、ある日の夜には、夢と伸が小屋から脱走。屠畜日の話をした翌日は、「食べられる!」ということを鋭く察知したかのように、運動場の端でうずくまり、伏し目がちに何か痛みをこらえているような表情を見せた夢など、読んでいると、豚たちにどんどん愛着が湧いてくる。
けれど、やはり彼らはペットではなく、家畜。最後は、大好物のバナナで誘導しながら、屠畜場へ連れて行き、100キロほどに太った彼らを、フレンチ、タイ、韓国料理の3種類に調理し、「食べる会」で、いただく。
手頃な価格で、ヘルシーで、いちばん身近ともいえる豚肉。豚という生き物が、どんな性格で、どんな風に暮らし、どうやって生きてきたのか。今まで、なんとなく食べていた豚肉が、深~く理解できるようになる。豚さん、ありがたや。
(文=上浦未来)
●うちざわ・じゅんこ
イラストルポライター。1967年生まれ。國學院大學卒業。日本各地、海外諸国へ出かけ、製本、印刷、建築、屠畜など、さまざまなジャンルを取材し、精密な画力を生かしたイラストルポに定評がある。著書に『世界屠畜紀行』(解放出版社)、『センセイの書斎』(幻戯書房)、『おやじがき』、(にんげん出版)、『身体のいいなり』(朝日新聞出版)など。

Jack English (c) 2010 StudioCanal SA
今週は、英国発のスパイ映画に米国産のコメディー映画という、それぞれお家芸的なジャンルの蓄積を土台にしつつも現代的な表現を取り入れることで普遍的な魅力を獲得し、本国をはじめ世界中で高い評価を得ている大人向けの新作2本を紹介したい。
現在公開中の『裏切りのサーカス』(R15+指定)は、英諜報部に所属したキャリアで知られるスパイ小説家、ジョン・ル・カレの代表作を映画化したスパイスリラー。英国の対外諜報部「サーカス」は東西冷戦時代、ソ連のKGBと水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていた。二重スパイの情報を求めてハンガリーに派遣した工作員が撃たれたことで、責任を取ってリーダーと共にサーカスを去ったスマイリー(ゲイリー・オールドマン)。失意のスマイリーはある日政府の次官に呼び出され、サーカス最高幹部4人の中にいる二重スパイを突き止めろ、との極秘指令を受ける。
本作で今年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたオールドマンをはじめ、昨年の同賞を『英国王のスピーチ』(2010)で受賞したコリン・ファースや、『エレファント・マン』(1980)のジョン・ハート、『ミュンヘン』(05)のキアラン・ハインズといった英国を代表する名優たちが、息詰まる心理戦を抑制の利いた演技で渋く表現。スウェーデンの凍てついた空気感を巧みに映像化した『ぼくのエリ 200歳の少女』(08)のトーマス・アルフレッドソン監督が、本作でもシックな色調と緊張感漂う画面構成、ジャズとストリングスのスタイリッシュなBGMにより、「目」と「耳」で堪能する芸術作品に仕上げた。スパイ映画といえば『007』や『ミッション:インポッシブル』といった人気シリーズのように、イケメンのスパイが銃撃戦やカーチェイスなど派手な大立ち回りを演じる娯楽アクション大作のイメージが強いが、『裏切りのサーカス』はそうした誇張されたフィクションとは一線を画し、「現実の諜報戦とはこういうものなんだろうな」と思わせる、まさに“本格”の味わいだ。
お次の『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』(4月28日公開、R15+指定)はガラリと雰囲気が変わり、花嫁介添人(ブライズメイド)たちが巻き起こす騒動を描いたコメディー。ミルウォーキーに住む30代独身のアニーは、手作りケーキの店を開業するも失敗、恋人には捨てられセフレがいるだけという、人生行き詰まり状態。婚約した親友リリアンから花嫁介添人のまとめ役を頼まれ、喜びと寂しさが相半ばする心境で大役を引き受けるが、クセ者揃いの介添人たちをまとめるどころか、奮闘が空回りして自らトラブルを連発。混迷を極める自身の人生とリリアンの結婚式準備に、果たして光は差すのか……。
主役のクリステン・ウィグが手がけた脚本はアカデミー賞にノミネートされ、丸々とした体型と謎の貫禄で介添人仲間でも一際印象的なメリッサ・マッカーシーも同助演女優賞の候補に。この2人に新婦役のマーヤ・ルドルフなど、米国の有名な即興コメディー集団「ザ・グラウンドリングス」の主要メンバーが大集合。下ネタ、汚物ネタも含む大人の女のホンネと仰天アクシデントの波状攻撃で、爆笑また爆笑となること請け合いだ。『無ケーカクの命中男 ノックトアップ』(07)『40歳の童貞男』(05)のジャド・アパトーによる製作、『ハング・オーバー』シリーズを意識した邦題からも、コメディー好きならおおよその傾向は察しがつくだろうが、過激な笑いの先に優しい人生賛歌が響く本作、ぜひ気心の知れた仲間やパートナーと連れだって、劇場で大笑いしながら楽しんでいただきたい。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『裏切りのサーカス』作品情報
<http://eiga.com/movie/57526/>
『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』作品情報
<http://eiga.com/movie/56483/>
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