
(C)2012『グスコーブドリの伝記』製作委員会/ますむら・ひろし
今週は、困難な状況に決死の覚悟で立ち向かう主人公が魅力的な新作映画2本を紹介しよう(いずれも7月7日公開)。
『崖っぷちの男』は、『アバター』(2009)のサム・ワーシントンを主演に迎え、絶体絶命の状況から起死回生の大勝負に賭ける男を描く異色のアクションサスペンス。ニューヨークの名門ホテルにチェックインした男(ワーシントン)が、意を決して21階の部屋の窓を越え、外壁のわずか35センチ幅の縁に立つ。今にも飛び降りそうな男に気づいた路上の通行人たちが騒然とする中、通報を受けた警察の交渉人(エリザベス・バンクス)らが説得を始める。やがて男の身元が判明。30億円のダイヤモンドを盗んだ罪で収監され、父親の葬儀に列席した際に脱走した元警官のニックだった。無実の罪を晴らすため、ニックは命懸けの計画を実行に移す。
壁面の縁に立つシーンの大部分で、実在するルーズベルト・ホテルの地上60メートルの外壁で演技したというワーシントン。目もくらむロケーションと、真に迫る恐怖の表情に、観客の緊張感も一層高まる。ニックの回想、交渉人とのやり取り、濡れ衣を着せた一味の動向、そしてニックに協力する弟とその恋人の“ミッション”がテンポ良く切り替わり、怒濤のクライマックスへとなだれ込む。監督はドキュメンタリー出身で本作が劇場用長編映画デビューとなるアスガー・レス。ご都合主義的な展開も若干あるが、巧みな演出により最後までスリルたっぷりに楽しませてくれる快作だ。
もう1本の『グスコーブドリの伝記』は、岩手出身の国民的作家・宮沢賢治が晩年に発表した傑作童話を、『銀河鉄道の夜』(85)も手がけた杉井ギサブロー監督がアニメ映画化。イーハトーブの森で両親と妹と幸せに暮らしていたブドリは、冷害のため家族を失ってしまう。青年になり火山局に勤めることになるが、森は再び大きな冷害に直面。故郷と大切な人たちを守るため、ブドリはある大きな決断をする。
『銀河鉄道の夜』に続き、ますむら・ひろしがキャラクター原案を担当し、擬人化した猫で登場人物を表現。制作には手塚プロダクションが参加した。声の出演も小栗旬、忽那汐里、草刈民代、柄本明、佐々木蔵之介と豪華。震災復興の願いが込められた本作は、東北を思う多くの人々に勇気と感動を与えてくれることだろう。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『崖っぷちの男』作品情報
<http://eiga.com/movie/57259/>
『グスコーブドリの伝記』作品情報
<http://eiga.com/movie/57598/>
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“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界

全身整形による外見的な美しさを手に入れたりりこ(沢尻エリカ)は、
自分の過去を封印して瞬く間に芸能界を登り詰める。
映画『ヘルタースケルター』は、沢尻エリカという名のアトラクションムービーだ。いわずもがな、主人公のりりこは、マスコミを賑わせるお騒がせ女優・沢尻エリカの分身である。映画の冒頭から、フルヌードを披露するりりこ/沢尻エリカの胸や腰まわりのなめらかなカーブに観客の目はクギづけ状態。人気フォトグラファーである蜷川実花が入念にディレクションした極彩色の世界へと、りりこ/沢尻エリカは毒蛾のように優雅に羽ばたいていく。財閥の御曹司(窪塚洋介)や映画プロデューサー(哀川翔)とまぐわうことで、男たちのエキスを吸い取ったりりこ/沢尻エリカは、さらに妖しい輝きを放つ。でも、毒蛾の命は思った以上に短い。人気のピークを極めた後は、もがき叫びながら堕ちていくだけ。人気女優のヌードを目当てに劇場に足を運んだ自分たちも、彼女と一緒にヘルタースケルター(しっちゃかめっちゃか)な芸能界をジェットコースター感覚で急降下し、束の間の陶酔感を味わう。

若手の台頭、整形手術の後遺症に怯える
りりこは、マネージャーの羽田(寺島
しのぶ)をマインドコントロールしていく。
原作は1995~96年に発表された岡崎京子の同名コミック。完璧なルックスを誇るりりこ(沢尻エリカ)はあらゆる雑誌の表紙を飾り、CMに引っ張りだこの人気スター。だが、りりこの美しさは全身整形で手に入れたもの。外見の美しさとは裏腹に、りりこの内面は歪んでいる。「目ん玉と爪と耳とアソコ以外」は全部整形した莫大な手術費を回収するために事務所の社長・多田(桃井かおり)から仕事を詰め込まれ、そのストレスを年上のマネージャー・羽田(寺島しのぶ)に向かって吐き出している。恐ろしく気分屋で、羽田に自分の股間をクンニリングスするよう命じたかと思うと、翌日には「一回マンコを舐めたぐらいで、調子にのってんじゃねぇよ。この変態女!」と罵倒する。
そんなりりこでも、優しい顔を見せることがある。整形手術と同時に自分の過去は棄てたりりこだが、田舎で暮らす妹に逢うときだけは姉としての思いやりを見せる。丸まるとした体型の妹は、手術によって別人に生まれ変わった姉のことを尊敬してやまない。りりこは「あなたも整形すればいいのに」と勧めるが、妹はりりこのようにはなれないと答える。女たちにとって“美しさこそ強さ”なのだ。りりこは勇気があったから、美しさ=強さを手に入れたらしい。

りりこがひとりで暮らす部屋。彼女の嗜好性を
感じさせるゴージャスな内装だが、生活用品
はどこにも見当たらない。
事務所に後輩として、新人モデルのこずえ(水原希子)が現われる。こずえの整形ではないナチュラルな美しさと若さに、りりこは嫉妬と恐怖を感じる。さらにりりこの受けた整形手術は定期的なメンテナンスを必要とし、仕事に追われるりりこの額や首筋に黒いアザが浮かび上がる。白い肌に黒いアザが次第に広がり、りりこは大笑いしながら卒倒する。整形医(原田美枝子)が処方したクスリを浴びるように呑むうちに、りりこは奇行に走り始める。
りりこは整形手術によって外見的な美しさと自信を手に入れたが、中身は限りなく空っぽだ。りりこの部屋には悪趣味なインテリアが雑然と並び、壁には赤いルージュを塗った唇の巨大画が飾られている。りりこの部屋がりりこの心の中を反映しているのなら、どんな物でも呑み込む巨大唇はりりこの欲望のシンボルなのだろう。欲望という名のエンジンに、フラッシュと喝采をエネルギーとして注入し、クスリを潤滑油にして、りりこは芸能界を突っ走る。でも、りりこが何を目指しているのかは分からない。マネージャーの羽田も、何を考えているのかさっぱり分からない。りりこに命じられるまま、年下の恋人(綾野剛)をりりこに差し出す。りりこがライバル視する若いこずえも、また空っぽだ。りりこに操られて顔を切り刻みに来た羽田に向かって、「いいよ」と自分の顔を突き出す。さらに、りりこを追い掛ける検事(大森南朋)も意味不明の言葉をつぶやき、自分が空っぽの存在であることをほのめかす。頭を叩けば、みんなカポーンといい音がしそうだ。そして多分、空っぽの存在のほうが大衆から支持を得やすいのだろう。大衆のみんなも空っぽだから。
空っぽな美女たちが、空っぽな芸能界をうつろう。いくらSEXシーンを盛り込んでも、欲望が一方的に吐き出されるだけで、そこには体温のぬくもり、体臭、生身と生身のぶつかり合いといった生の実感は観客側には伝わってこない。そこが蜷川版『ヘルタースケルター』の物足りなさであり、でも観客がシンパシーを感じるところに違いない。と、ここまで空っぽな頭で書いていたら、ある4文字熟語が思い浮かんだ。FUCK、ではない。色即是空。観音さまの有り難いお言葉だ。すべての事物はやがて色褪せ、空虚と化していく。なんという無常の世界。観音さまが2,500年も前から『ヘルタースケルター』の世界を見通していたことに、ちょっとビックリ。でも、きっと、多分、消費社会に生まれ落ちた現代人の多くは、この社会がいつまでも続かないことに小さなときからすでに気づいている。
整形手術により本来の肉体を棄て、芸能界で若さとモラルを消耗し、さらにスキャンダルによって名声と人脈も失ったりりこは芸能界から姿を消す。心の中は空っぽで、欲望のままに突き動かされてきた彼女に残されたものは、一体何だろうか。過去の栄光ではないことは確かだ。物語のラスト、空っぽの世界から新しい物語が誕生する。原作者である岡崎京子、ドラマ性よりもビジュアルにこだわる蜷川実花、そして渦中の人・沢尻エリカは、これからどんな物語を生み出していくのだろうか。
(文=長野辰次)

『ヘルタースケルター』
原作/岡崎京子 脚本/金子ありさ テーマソング/浜崎あゆみ 監督/蜷川実花 出演/沢尻エリカ、大森南朋、寺島しのぶ、綾野剛、水原希子、新井浩文、鈴木杏、寺島進、哀川翔、窪塚洋介、原田美枝子、桃井かおり R15 配給/アスミック・エース 7月14日(土)より丸の内ピカデリーほか全国ロードショー <http://hs-movie.com>
(c)2012 映画『ヘルタースケルター』製作委員会
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[第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い
[第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』
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[第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』
[第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある?
[第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』
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[第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』
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[第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』
[第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』
[第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』
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[第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』
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[第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』
[第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』
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[第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』
[第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張
[第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』
[第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』
[第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』
[第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』
[第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼!
[第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』
[第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ
[第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』
[第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』
[第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか?
[第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ!
[第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』
[第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』
[第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』
[第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』
[第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』
[第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』
[第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は?
[第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』
[第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』
[第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』
[第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』
[第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』
[第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』
[第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化
[第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』
[第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』
[第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』
[第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは?
[第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』
[第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』
[第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』
[第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』
[第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』
[第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』
[第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』
[第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』
[第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』
[第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』
[第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』
[第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』
[第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇
[第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』
[第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』
[第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』
[第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊!
[第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』
[第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』
[第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』
[第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』
[第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』
[第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』
[第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』
[第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』
[第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』
[第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』
[第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』
[第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』
[第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』
[第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』
[第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』
[第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』
[第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』
[第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』
[第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』
[第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』
[第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ
[第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々
[第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は......
[第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった
[第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学
谷川俊太郎meetsニャル子さん!? 朗読イベント「こえサイファー」で現代詩と声優が邂逅

「緊張感があった」と語った作家・朝吹真理子。
去る6月10日、現代詩の朗読イベント「こえサイファー vol.1」が、文京区シヴィックホールで開催された。出演者は、声優の阿澄佳奈、後藤沙緒里、ニコニコ動画などで人気の“歌い手”miko、ななひら、音楽家の吉田アミ、大谷能生、詩人・谷川俊太郎(ビデオ出演)、小説家の朝吹真理子。イベントのメインは、阿澄佳奈、後藤沙緒里、miko、ななひらによる詩の朗読だ。作品は詩歌の投稿SNS「しいか.com」で公募され、文芸批評家の坂上秋成、小説家の間宮緑らが選定。投稿者は4人の中から朗読してほしい人を選べるシステムで、彼女たちのファンからの応募も多かったのではないだろうか。公募作品のほかには、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」などの歴史的名作の朗読も行われた。
ちなみに、イベント名にも入っている「サイファー」とは、ラッパー数人が集まって路上で輪になり、フリースタイルでラップをし合う行為のことだ。そのヒップホップの「サイファー」を詩歌の世界に持ち込み、活動を広めているのが、第45回現代詩手帖賞を受賞した現代詩人の佐藤雄一。2010年4月からこの活動を開始し、これまでに国内15都市超、国外14カ国超で開催されているという(『しいか.com』より)。

明るいキャラのイメージが強い阿澄佳奈が、
この日はしっとり朗読。
メインの公募作品の朗読は、薄暗い舞台上に置かれたマイクスタンドにスポットライトが当てられ、一作品ずつ丁寧に行われた。声フェチの筆者は4人の声にまず注目していたが、読み上げられる作品はどれも個性的で、気づいたら読み手のことも忘れて聞き入っていた。作品ごとに、MCの武田俊(『KAI-YOU』代表)が選者の解説を読み上げ、詩に馴染みのない来場者でもじっくりと堪能することができたのではないだろうか。
音楽家の吉田アミと大谷能生による書き下ろし作品の朗読では、60分の作品のうち冒頭の6分ほどが披露された。2人が朗読を始めると、低く渋い声と艶っぽい声が、重なったり、微妙にずれたりと、まさに楽器のセッションのように絶妙なハーモニーを奏でていた。
以前、代々木公園で開催されたサイファーにも参加していた芥川賞作家の朝吹真理子は、吉増剛造の詩を朗読。「透明に、叙情が入らないように詠みました」と、終演後に振り返ったが、朗読前には不安もあったという。
「声優さんのファンがその声を聞きに来ていて、ほかの方の朗読は聞きたくないのかな、と不安でした。ところが、それぞれみんながいろんな人のことばを聞こうとしていて、声が届いている、響いている感じがしました。普段は声優さんも詩の朗読をすることはあまりないと思うので、全員がアウェイの中、緊張感を持って朗読するという今回のイベントは、とても勉強になりました」

後藤沙緒里。黒髪ロングのメガネ姿に、
ファンは静かに高まった。
谷川俊太郎はビデオ出演だったが、サイファーに参加した動機を「閉じられた空間でなく、公園みたいな広々したところで、ルーズな感じでできるのが面白い。現代詩でないいろんな人がいるのがいいなと思いました」と語った。その後、鉄腕アトムの挿入歌で自身が作詞した『ロボット・マーチ』を朗読。途中、「なんだかバカみたいな話だねぇ。なつかしい」とツッコミを入れると、会場からも笑いがおきた。サイファーについては、「活字は反応がない。朗読会に出れば目の前にいる30人とかが、つまらなかったらざわめくし、面白ければ拍手が起きる。フィードバックがあるのは、健康にすごくいいという感じがしました。つまらなかったら正直に帰ってしまう。こういうことが詩には必要」と、朗読に対して意欲をみせた。
また谷川は、阿澄佳奈が主演を務めるアニメ『這いよれ!ニャル子さん』をニコニコ動画で見ていることも明かし、会場を驚かせた。後藤沙緒里は「後藤が出演しているアニメ作品もぜひ観てください」とアピール。当の阿澄佳奈は「ビックリなのと、なぜそれだったのかなぁと」と戸惑っていたが、司会から「詩人や歌人で『ニャル子さん』を観ている人は多いらしいですよ」と伝えられ、さらに驚いていた。
イベントの最後には、阿澄佳奈、後藤沙緒里、miko、ななひらの4人による自作の詩が朗読された。披露された作品は、阿澄佳奈『あなたへ』、後藤沙緒里『憧れ』、miko『はばたき』、ななひら『すべての“あなた”へ』。会場に多数いたであろうファンたちは、長時間のイベントのラストにもかかわらず、この日一番の集中力で聞きいっていた。
Twitterなどでは、毎日のように詩のような投稿を見かける。ソーシャルメディアが普及し、ことばが以前よりも流通し、インタラクティブな創作活動も可能となった今、詩はいつ、どこででも生まれているのだ。『しいか.com』は、「<あなた>を詩人にする言葉が詩です」とうたっている。これを機に、「徹夜なう」などつぶやいていないで、詩を詠んでみたいと思う。
(取材・文=林健太/画像提供=しいか.com)
『ナイトライダーネクスト』ノーカット版DVDをミスFLASH2012の3人が熱烈応援!

ミスFLASH2012の3人。スーパーカーには美女がよく似合う!

こちらがナイト3000。しゃべる車。
巨大オタクビルの中に博物館「北九州市漫画ミュージアム」に行きたい!

この巨大なビルが新たなマンガとアニメの聖地になるのか。うん、巨大すぎる……

中は完全にオタク系ショップばかりの筋の通った感じがたまらない

さすがに平日の正午頃だったので客は少なかった

内部はまだ工事中だが。告知用の壁紙が、かなりキテていい感じの仕上がりに……

このセンスの独特さが新たな可能性を感じさせてくれるのだ

やはり松本先生といえば『男おいどん』だよ。
筆者もまだ、おいどんみたいな暮らしっぷりだよ
筆者もまだ、おいどんみたいな暮らしっぷりだよ

子供から大人まで楽しめる施設が充実しているのがいいよね

なんともレトロな雰囲気の市場が。こういうのが残っている街は間違いなくアタリだ

内部にも活気が。失われたなにかを思い出したよ……

きっと、この街の人々はフランクで付き合いやすいに違いない

レトロな映画館が残る街にハズレはない

アヤしげな雰囲気の場所も。知らない街の歓楽街で
カメラを出す勇気はありませんでした
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これが<聖地巡礼>の神髄──『究極超人あ~る』のクライマックス再現イベント

伊那市観光協会公式ホームページより
いまや全国各地で盛んに行われている、漫画やアニメ作品の舞台となった土地を訪問する「聖地巡礼」。訪れるファンの心を掴み、町おこしのきっかけにしようと、あちこちの市町村が作品にあやかった企画を展開している。祭りから婚活イベントまで、その内容は多種多様だ。そんな中、「聖地巡礼」の元祖といわれる土地で、作品のテイストを理解しまくったイベントが開催される。
7月28日(土)に開催予定の「田切駅→伊那市駅 1hour Bicycle Tour“轟天号を追いかけて”」だ。伊那市駅開業100周年記念行事の一環として行われるこのイベントは、飯田線の田切駅、伊那市駅をはじめ沿線が舞台となり、ファンが押し寄せる「聖地巡礼」の元祖となったアニメ『究極超人あ~る』(1991年OVAリリース)のクライマックスシーンを再現するというもの。
このイベントを主催するのは、Cycle 倶楽部R(伊那市役所自転車部)と伊那市の暮らし100年地域活性化推進委員会だ。伊那市駅開業100周年を記念すると共に、「聖地巡礼」の元祖でもある当地の町おこしを兼ねている。
ところが、このイベント、ほかの「聖地巡礼」イベントでは見たことのない強烈な個性を放っているのだ。
開催要項によれば、早くも92年夏に伊那市役所の自転車愛好者たちは、田切駅から伊那市駅を1時間で走れるのか実験を行ったという。その結果を開催要項では、次のように記す。
「参加車は36分から1時間10数分のうちに全員が完走。1台1人乗車であれば(普通に走れば)充分『田切駅→伊那市駅1時間』は走りきれることが証明されたのである(ちなみに1時間以上かかったヤツは普通に走っていない)」
田切駅から伊那市駅までは17.5キロ。36分なんて、よほど自転車に乗り慣れた強靱な肉体の持ち主でなければ不可能なんじゃなかろうか。さらに、開催要項の「開催主旨」の項目では「これを期に関係者・参加者全員が正気に戻ることを祈念します」と書いているし、開催日程の項目でもスタート後は「好きな角を曲がってください」と、元ネタを知らないと、まったくわからないギャグを挿入しているのだ。
さらに、「ゴールゲートやゴールラインはありません。が“西園寺ツーリスト”の辺りが、ゴールっちゃあゴールです。……そういえばスタートラインもないです」と投げっぱなし。おまけに、ゴールした後は「伊那市駅100周年ばんざーい! をして解散」とのこと。まるで、脳天気で出たこと勝負な『究極超人あ~る』の登場人物たちが作成したかのような開催要項である。
イベントを主催するCycle 倶楽部Rの一員である伊那市創造館の捧剛太館長は、「伊那市駅開業100周年記念でさまざまな行事が行われる中で、この資産を生かさない手はないと思ったんです」と話す。いまだに飯田線を旅する人々が『究極超人あ~る』のことを思い浮かべ、挿入歌「飯田線のバラード」を聞きながら列車に揺られているのは、よく見られる風景。さまざまな作品の舞台となる伊那市だが、これほど熱い作品はほかにない。
とはいえ、17.5キロを1時間以内に走破するのは、かなり苦しいような気がするのだが……。
「普通に走ると、ちょっとキツイかも知れません。ママチャリだと無理でしょうね」(捧館長)
とのこと。とはいえ、基本的なルートは国道沿いなので、それなりの自転車ならば無理のない距離らしい。それに、原作では自転車に10人乗りで走り抜いた(うち7人は途中で、振り落とされる展開)のだから、1台の自転車で1人なら、かなり楽勝なのではなかろうか。
さらに今回、参加者に配布されるスタンプカードは、原作者のゆうきまさみ氏、小学館、バンダイビジュアルの許可も得た公式のもの。しかも、無事にゴールすれば、このイベントのために制作された「西園寺ツーリスト伊那営業所17:59」のスタンプが押してもらえるのだとか。
参加者は50人限定、自分で自転車を持って田切駅まで集合と、かなりハードルの高いイベントだ。だとしても、この夏、これほど参加することに意義のあるイベントはないだろう。さっそく応募してトレーニングに励みたい。
なお、OVAを知っている人は「西園寺ツーリスト」のガラス戸を轟天号もろともぶち破ってゴールしたシーンを記憶していると思うが、現実には“西園寺ツーリスト”のあるあたりは無関係なお店なので注意を。
(取材・文=昼間たかし)
イベントの詳細:伊那市観光協会公式ホームページ伊那市駅開業100周年記念イベント
<http://inashi-kankoukyoukai.jp/cms2/archives/16906>
各種マスコミが完全無視! 狂気の不謹慎データベース本『完全自殺マニア』

『完全自殺マニア』(社会評論社)
漫画家・山田花子が没後20年を迎え、全国の気の利いた書店ではフェアを実施中。かと思えば、卯月妙子が10年ぶりの新刊『人間仮免中』(イースト・プレス)を上梓。90年代末期で勢いを失ったサブカルチャーに復活の兆しを感じる今日この頃である。
そんな空気にワクワクしながら、ふらりと立ち寄ったのは新宿御苑近くにあるカルト書店・模索舎。持ち込まれたものはなんでも売ることをテーゼとするこの書店は、左翼グループの機関紙と濃いサブカル系の品揃えが売りだ。店に入ったとたん「極左黒ヘルグループ(公安用語)」構成員から模索舎店員へと微妙な転身を遂げたエノモト君が「これが、面白いんですよ~」と一冊の本を持ってきた。ん? この装丁は鶴見済氏の名著『完全自殺マニュアル』(太田出版)……まさか、新装版でも出たのだろうかと手に取って驚いた。
あの、一世を風靡した超ベストセラー『完全自殺マニュアル』の表紙を、パクった……いや、パロった本のタイトルは『完全自殺マニア』(社会評論社)。ページをめくると、さらに衝撃が走る。なんとこの本は、日本国内での自殺を日本武尊の后の弟橘媛が入水した件から、年代順に追っていったデータベース本なのだ。おまけに、各所の自殺現場を写真で紹介、自殺に関するコラムまでもが掲載される徹底ぶりだ。
うーん、なんと役に立つ本だろうか! 毎朝ページをめくって「さあて、今日は7月2日、なるほど壬申の乱で敗れた蘇我果安が自殺した日か~」とか、その日に自殺した人物のことを思い浮かべることができる。さらに、年表には「1973年9月6日 立教大学助教授、大場啓仁が教え子を殺害後、静岡県賀茂郡南伊豆町奥石廊崎展望台下にて一家4人で飛び降り自殺」といった具合に、簡潔に自殺の顛末を記しているのだ。あまりに簡潔すぎて「一体どうしてそんなことになってしまったのか?」と好奇心をそそられることは請け合いだ。何より、過去の新聞などでの表記に従って、実名を出している事例が多いのも容赦ない。
まさに、これまでになかった充実の自殺データベースにもかかわらず、いかなるメディアも書評に取り上げていない。でも、こんな狂った人物に会わずにいられるものかと、早速コンタクトを取った。
取材を快諾してくれた著者・相田くひを氏だが、条件がひとつ。「顔写真撮影はNG」だという。なんでも、「マジキチ」な読者に襲撃されるのを本気で恐れているのだとか。それはともかく、こんなデータベース本を書き上げるなんて、自殺のどこにひかれているのか? まず聞いてみた。
「私は、もともと鬱っぽい性格なので……。真剣に生きようとか考えると、この問題にぶつかるじゃないですか」
ん? いきなりの本音か! ともあれ、相田氏が自殺のデータ収集に熱心に取り組み始めたのは1997年頃から。最初はパソコン通信で、次いでアングラが大流行していた時期のインターネットへと参入したという。そもそも、この本の出版を持ちかけられたのは2年前だが「間違った情報を掲載すると、訴訟が怖いから」と、改めてデータの調査に取り組んだのだとか。ちなみに、本書に掲載されている自殺の現場の写真は、マンションなど掲載するとクレームが来そうなところは除いたそうだ。
一部のスポットは地図に掲載しているが、東京都内だけでも随分と人が死んでいる気が……。
「200戸くらいの団地だと、必ず一人は自殺者がいます。統計から計算すると、都内でも1キロ四方で一人は必ず100年以内に自殺してることになりますね」
と冷静に語る相田氏。ところが、さまざまな現場を回っても、いまだに幽霊には出会うことができないのだとか。筆者がよくタバコを吸って休息を取る東京大学本郷キャンパスの三四郎池でも入水自殺に首つりと何人も自殺しているんだが、まったくそのような事件が起こった気配はない。やはり、幽霊なんていないのではないか……?
「いや、幽霊になっても欲望とかあるのか聞きたいんですけどね。女風呂とか覗いていると思うし……」
冒頭に記した山田花子の自殺現場を訪れた時には、花を置いていくのではなく、自殺した建物まで上って花を落としたという相田氏。やはり、常人とは何かが違う。
そんな相田氏に考えられる最もインパクトのある自殺方法を聞いてみたところ、話はさらにヒートアップ。
「京浜東北線上中里駅のあたりで鉄道自殺がいいと思いますよ。さまざまな路線が走っていて、電車を止めると最も迷惑な場所ですから。それから、飛び降り自殺も今の最高記録はサンシャイン60からですけど、スカイツリーからの飛び降り自殺を目指している人はいるでしょう。それに反原発も盛り上がっているので、国会議事堂前での焼身自殺もオススメです」
さらに高野悦子が自殺した後に遺稿集がベストセラーになった理由を「かわいかったから」と看破したり、日本最後の美しい切腹として影山正治の自決を讃える、相田氏。ううむ、ここまで危険な人物の本がメディアで書評されるワケがない。いや、こんな本を出版した社会評論社自体、どうかしているよ!
とはいっても、こんなに充実した自殺データベースが出版されることは向こう50年ないだろう。本書を読み込めば、誰でも学校や職場の「自殺博士」になれるハズだ。うん、この本を読んでいるうちに、筆者も来世に期待する気になってきたよ。
なお、本書のトークイベントが開催される予定は、まったくない。
(取材・文=昼間たかし)
最先端の視覚効果を駆使した特撮アクション大作『アメイジング・スパイダーマン』

配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(C)2012 Columbia Pictures Industries, Inc. MARVEL, and
all Marvel characters including the Spider-Man character TM &
(C)2012 Marvel Characters, Inc. All Rights Reserved.
今週紹介する新作映画2本は、主人公が特殊な状況に置かれて苦悩しながらも、やがて“自分”を見つけて行動するという、精神面での成長が明確に描かれた作品。仕事や生活の現状に満たされない思いを抱えている人なら、ヒントや勇気をもらうことを期待して劇場に足を運ぶのももちろんアリだ。
6月30日に封切られる『アメイジング・スパイダーマン』(2D/3D上映)は、サム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演で世界的大成功を収めた『スパイダーマン』3部作(2002、04、07)をリセットし、新たな製作陣とキャストで再始動するアメコミヒーロー実写化映画。幼い頃に両親が失踪し、伯父夫妻に育てられ高校生になったピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)。父の研究ノートを手がかりにオズコープ社にもぐり込んだピーターは、遺伝子操作されたクモにかまれたことで、超人的な身体能力を手に入れる。その頃、オズコープ社のコナーズ博士は、失った片腕を再生させるためトカゲの遺伝子を自らに移植。だが、大トカゲの怪物に変身してしまい、ニューヨークの街で暴れ出す。ピーターはスパイダーマンとして、街の人々を救うために立ち上がる。
“等身大のヒーロー”として根強い人気を誇るスパイダーマン。本作でも、常人離れしたパワーを突然身に付け、力に伴う責任に戸惑いながら、自らの使命に目覚めていく経緯が丁寧に描かれる。メガホンを取ったのは、新感覚の恋愛映画『(500)日のサマー』(09)でデビューし、大いに注目を集めた新鋭マーク・ウェブ。長編第2作となる本作でも、『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(11)のエマ・ストーンが扮するヒロイン、グウェン・ステイシーとピーターが互いに引かれ合う過程の甘く切ない情感を巧みに表現。3D映像では、ニューヨークの摩天楼をダイナミックに駆けめぐる「スパイダー・スイング」のスリリングな視覚体験にまず驚かされるが、ロマンスシーンでも手に取れそうなほど近くに感じられる立体的な俳優の顔と自然な奥行きが、感情移入をさりげなく促してくれる。最先端の視覚効果を駆使した特撮アクション大作と、登場人物の内面を描く人間ドラマの“いいとこ取り”をした、お得感いっぱいの快作だ。
同じく6月30日公開の『ラム・ダイアリー』(R15+指定)は、著名ジャーナリストの故ハンター・S・トンプソンの自伝的小説を、ハンターと親交があったジョニー・デップの製作・主演で映画化した作品。1960年代、ニューヨークの喧騒を逃れてプエルトリコにやってきたケンプ(デップ)は、地元新聞社で記事を書き始める。仕事仲間と日々ラム酒で酔いどれていたある夜、危険な魅力を漂わせる美女シュノー(アンバー・ハード)とビーチで出会い、恋心を抱く。だが、彼女と婚約しているアメリカ人企業家のサンダーソン(アーロン・エッカート)は、自ら手がけるリゾート開発に好意的な記事を書くよう、ケンプに持ちかける。
デップが90年代に親友トンプソンの自宅を訪問した際、未発表の『ラム・ダイアリー』の手稿を見つけ、2人は小説の出版と映画化を話し合ったという。出版は98年に実現したが、トンプソンは2005年に自殺。故人の遺志を継ぎ映画化に尽力したデップが、ケンプ役を思い入れたっぷりに好演している。端正な顔立ちとセクシーな肢体で人気急上昇中の新進女優、アンバー・ハードが扮するシュノーとケンプの恋の行方も気になるところ。無名の記者の葛藤、酒とドラッグによる酩酊体験、不正な儲け話への誘惑、危険なロマンスを通じて、アメリカの利権主義に搾取され翻ろうされる庶民の姿が浮かび上がる本作。趣は大きく異なるが、デップの代表作『パイレーツ・オブ・カリビアン』と同様、カリブ海を舞台にしたアンチ・ヒーローの物語でもある。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
『アメイジング・スパイダーマン』作品情報
<http://eiga.com/movie/53201/>
『ラム・ダイアリー』作品情報
<http://eiga.com/movie/57416/>
「無駄にデカい」だけじゃない! あの塔の“読み方”を知る『東京スカイツリー論』

『東京スカイツリー論』(光文社新書)
5月22日、ついに開業した東京スカイツリー。開業から1カ月で、周辺施設を含めた来場者数は550万人を超え、震災と不況に沈む日本に久々に聞こえてきた明るいニュースとなった。しかし、自立式電波塔としては世界一の高さを誇るスカイツリーだが、そもそもの目的だったはずのテレビ地上波デジタル放送は1年早く開始され、これがなくても地デジの視聴にはなんら問題がないことがわかった。ではこの正体不明の馬鹿でかいシロモノはなんなのか。そんな問に対して、さまざまな角度から答えてくれるのが『東京スカイツリー論』(光文社新書)だ。
本書によると、すべての発端は2001年。国会決議により電波法が改正され、11年7月までにテレビ放送を地上アナログからデジタル完全に切り替えることが決められた。テレビ放送のデータの容量をデジタル化により圧縮することで、空いた部分を携帯電話キャリアの通信事業者などに開放することができる。しかし、デジタルの電磁波は高層ビルなどの背後に回りにくい性質があるため、600メートル級の新タワーが必要になった。つまりスカイツリーは、家のテレビと携帯電話で見るテレビのために建てられることが決まったわけだ。だが前者については、スカイツリー建設前の03年、東京タワーからの地デジ放送が開始されたものの、大きな問題は起きなかった。後者についても、08年のiPhone日本発売以降、ワンセグ機能を搭載したいわゆる「ガラケー」はどんどん淘汰されている。さらに、本書執筆時点では開業前だったドコモ肝いりのスマホ向け有料放送『NOTTV』に対し、著者はニコニコ動画などの双方向性サービスを引き合いに出して、一方通行なこのサービスに懐疑的な目を向けている。実際、始まったサービスの評判の悪さは著者の予言通りだ。こういった問題の原因に対し、著者は日本の産業構造の問題点を指摘する。
「東京スカイツリーが、少なくともその出発点においては、こうした不合理かつ不名誉な日本の社会システムやテクノロジーの在り方の結晶体として登場してしまったという現実は、シビアに直視しなければならないだろう」(本書より)
しかし、本書がスカイツリー批判本かというと、それはまったく違う。
世界のタワー史をなぞる2章に書かれた、“先輩塔”東京タワーの変遷が興味深い。70年代後半頃から古くさい観光スポットに成り下がった東京タワーが、89年に始まった夜間ライトアップを皮切りに、05年のリリー・フランキーの小説『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(扶桑社)など、電波塔としてだけではない新しい意味を持つようになったからだ。
「昭和期には明るい未来に向かう<昼>の『進歩』一辺倒だった東京タワー」が「平成に入って人間の普遍的な性や死に寄り添う<夜>の面を獲得」できたように、スカイツリーが抱えた「不合理かつ不名誉な日本の社会システムやテクノロジーの在り方の結晶体として」の<昼>の機能ではなく、“<夜>のスカイツリー”への模索こそが本書の本質だ。そしてその多くのヒントが、スカイツリー計画発表から完成までの周囲の人々の姿を追った4章に詰まっている。
著者が最初に新タワー建設計画を知ったのは、地元墨田区が建設候補地に選ばれた05年。急速に進む新タワー計画に不安を感じ、SNSを通じて集まった有志で「すみだタワー(仮)構想を考えてゆく住民の会」を結成。事業者である東武鉄道に、新タワー試案の提案や電磁波の出力・周波数開示を要求するなど、自らタワー建設に関わってきた人物なのだ。また、建設予定地でサーチライトを使って夜空に光のタワーを描く「光タワープロジェクト」や、建設地を訪れる観光客の憩いの場としてオープンした「枕橋茶や」、スカイツリー完成までを定点観測で写真に収めるグループ「スカテン」、スカイツリー建設観測記録の同人誌『スカイツリー Report』など、事業者の意図とは関係のない形でスカイツリーをめぐって活動していく人々の姿が描かれる。
「かつての東京タワーが高度成長する日本の『大きな物語』への自己同一化として人々に目指されていった事態を逆に捉え返して、物語のない状態から、あくまでも個々のまなざしがとらえた『小さな物語』を集積していくことによって、スカイツリーの物語性をボトムアップ式に構築していくムーブメントとして自分たちの活動を位置づける意志性が、ここには垣間見えよう」(本書より)
つまり、こうした活動の中に、夜のスカイツリーはすでに芽吹き始めていたのだ。
スカイツリーは日本古来の五重塔を参考にしたとされる。中心に建てられた心柱と、それを囲むような籠編み状の塔体。タワー自体は心柱のみで支えられており、ほとんどの部分で心柱と塔体は固定されていない。鉄骨がむき出しの東京タワーとは違い、スカイツリー自体を支えるものは隠れており、タワーの外見を作っているのは塔体だ。その構造は、4章にも書かれたスカイツリーを中心とする周囲の人々のコミュニケーションこそが、スカイツリーの物語を形成していったことに似ている。つまり、意味としてのスカイツリーの形は、我々次第でこれから好きなように作ることができるのだ。これから昇る人も昇る気がない人も、本書を読んでスカイツリーについて一度考えてみてはどうだろうか。間違いなくあの馬鹿でかいシロモノの見え方を変えてくれる一冊だ。
(文=大熊信)