夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線

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『探検ドリランド』公式サイトより
 話題作、問題作、期待作が百花繚乱の夏アニメが次々とスタートする中、「ド、ド、ドリランド♪」のフレーズもいまや懐かしさを禁じ得ないGREEのソーシャルゲーム『探検ドリランド』(テレビ東京系)のテレビアニメ放送がスタートした。  TOKIOが全員で出演し、「TOKIO、ドハマリ中。ド、ド、ドリランド♪」と歌うCMが全国のお茶の間に流れ、デカデカと街中に広告が張り出されていたことを覚えている読者も少なくないだろうが、今年2月に発覚したレアカードの不正増殖に端を発するリアルマネートレード行為問題やコンプガチャ(特定のアイテムを揃えると、レアなアイテムが手に入るシステム。課金によりガチャの回数や確率が上昇する)問題など、『探検ドリランド』に関するさまざまな問題が取り沙汰されるようになった。  さらに5月には、消費者庁がコンプリートガチャが景品表示法違反であるとして、ゲーム会社に注意を喚起。それを受けてソーシャルゲーム関連会社の株価が軒並み下がるというコンプガチャショックが発生した。  結果、ダーティなイメージを拭えなくなったソーシャルゲームは、一時期に比べてメディアへの露出を極端に減らすこととなってしまった。  そんなバッドなタイミングでスタートしたアニメ版『探検ドリランド』だが、どう考えてもいまさら感を覚えずにはいられない。例えるならば「面白うて やがて悲しき ドリランド」である。何事もブームがピークを迎えて、収束に向かうさまを見るのは切ない限りだが、今回の場合はゲームが悪い意味で世間の注目を浴び、結果、法の下に管理されるようになってしまった後という、なんとも気まずいタイミングでのアニメ化ということで、なおさら切なさが炸裂している。アニメが企画された時点では、ドリランド熱……いやソーシャルゲーム熱がまだまだ盛り上がっており、その中で鳴り物入りで『探検ドリランド』のアニメ放送スタート……と想定していたのだろうが、まさかソーシャルゲーム自体にアヤがついてしまうとは、誰も予想はしていなかったことだろう。  だからといって、『探検ドリランド』がダメアニメなのかというと、それが意外と面白いのだから困りものである。王道の子ども向けアニメのノリ全開の主題歌が流れる中、子ども受けしそうなディフォルメされたキャラクターが大立ち回りを演じるOP映像は、大人はもちろん、子どもが見てもワクワクすることだろう。外の世界への大冒険を夢見る主人公・ミコト姫が、世話係の美形男子・ウォーレンスの忠告を無視して洞窟を探検。モンスターに襲われ大ピンチのところを、実は優秀な剣士だったウォーレンスに助けられる……という、ベタながら魅力的なキャラクターのアクションや掛け合いには、目新しさはないものの普遍的な「テレビまんが」的な娯楽性に満ちている。一方、世界に忍び寄る怪しげな存在、それに気づいたのは歴戦のハンター・ポニーのみ……。この第1話ラストの引きも、いかにも少年漫画らしくて次回への期待感を煽る。  といったように、今も昔も子どもたちに人気のアニメを多数生み出している「東映アニメーション」の制作だけあって、非常に安定した仕上がりの作品となっているのだ。言うなれば、日曜朝9時枠で放送されていてもおかしくない内容なのだが、なぜか放送される時間は23時30分~。よい子はみんな夢の中の時間帯である。ソーシャルゲーム『探検ドリランド』に課金しまくっている「いい大人」をターゲットとして作ったのだろうか。それとも、まだソーシャルゲームに触れていない子どもに向けて作ったのだろうか。そんな「一体誰に見せたいのだろうか?」というチグハグ感でいっぱいな仕上がりとなっているのがアニメ版『探検ドリランド』なのだ。深夜に放送される子ども向けアニメという大いなる矛盾をはらんだ本作を、ビール片手にニヤニヤしながら眺めるのもまた味わい深し、といったところか。  百聞は一見に如かず。あらゆるアニメを楽しみ尽くしたエリートアニメファンの諸兄は、ぜひとも『探検ドリランド』を見て、ほかのアニメファンに差をつけよう! (文=龍崎珠樹) ■バックナンバー 【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い! 【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり 【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声 【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ 【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』 【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号 【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは? 【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情 【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー 【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!? 【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

夏アニメの穴馬!? “いわく付き”SNSゲームアニメ『探検ドリランド』に熱視線

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『探検ドリランド』公式サイトより
 話題作、問題作、期待作が百花繚乱の夏アニメが次々とスタートする中、「ド、ド、ドリランド♪」のフレーズもいまや懐かしさを禁じ得ないGREEのソーシャルゲーム『探検ドリランド』(テレビ東京系)のテレビアニメ放送がスタートした。  TOKIOが全員で出演し、「TOKIO、ドハマリ中。ド、ド、ドリランド♪」と歌うCMが全国のお茶の間に流れ、デカデカと街中に広告が張り出されていたことを覚えている読者も少なくないだろうが、今年2月に発覚したレアカードの不正増殖に端を発するリアルマネートレード行為問題やコンプガチャ(特定のアイテムを揃えると、レアなアイテムが手に入るシステム。課金によりガチャの回数や確率が上昇する)問題など、『探検ドリランド』に関するさまざまな問題が取り沙汰されるようになった。  さらに5月には、消費者庁がコンプリートガチャが景品表示法違反であるとして、ゲーム会社に注意を喚起。それを受けてソーシャルゲーム関連会社の株価が軒並み下がるというコンプガチャショックが発生した。  結果、ダーティなイメージを拭えなくなったソーシャルゲームは、一時期に比べてメディアへの露出を極端に減らすこととなってしまった。  そんなバッドなタイミングでスタートしたアニメ版『探検ドリランド』だが、どう考えてもいまさら感を覚えずにはいられない。例えるならば「面白うて やがて悲しき ドリランド」である。何事もブームがピークを迎えて、収束に向かうさまを見るのは切ない限りだが、今回の場合はゲームが悪い意味で世間の注目を浴び、結果、法の下に管理されるようになってしまった後という、なんとも気まずいタイミングでのアニメ化ということで、なおさら切なさが炸裂している。アニメが企画された時点では、ドリランド熱……いやソーシャルゲーム熱がまだまだ盛り上がっており、その中で鳴り物入りで『探検ドリランド』のアニメ放送スタート……と想定していたのだろうが、まさかソーシャルゲーム自体にアヤがついてしまうとは、誰も予想はしていなかったことだろう。  だからといって、『探検ドリランド』がダメアニメなのかというと、それが意外と面白いのだから困りものである。王道の子ども向けアニメのノリ全開の主題歌が流れる中、子ども受けしそうなディフォルメされたキャラクターが大立ち回りを演じるOP映像は、大人はもちろん、子どもが見てもワクワクすることだろう。外の世界への大冒険を夢見る主人公・ミコト姫が、世話係の美形男子・ウォーレンスの忠告を無視して洞窟を探検。モンスターに襲われ大ピンチのところを、実は優秀な剣士だったウォーレンスに助けられる……という、ベタながら魅力的なキャラクターのアクションや掛け合いには、目新しさはないものの普遍的な「テレビまんが」的な娯楽性に満ちている。一方、世界に忍び寄る怪しげな存在、それに気づいたのは歴戦のハンター・ポニーのみ……。この第1話ラストの引きも、いかにも少年漫画らしくて次回への期待感を煽る。  といったように、今も昔も子どもたちに人気のアニメを多数生み出している「東映アニメーション」の制作だけあって、非常に安定した仕上がりの作品となっているのだ。言うなれば、日曜朝9時枠で放送されていてもおかしくない内容なのだが、なぜか放送される時間は23時30分~。よい子はみんな夢の中の時間帯である。ソーシャルゲーム『探検ドリランド』に課金しまくっている「いい大人」をターゲットとして作ったのだろうか。それとも、まだソーシャルゲームに触れていない子どもに向けて作ったのだろうか。そんな「一体誰に見せたいのだろうか?」というチグハグ感でいっぱいな仕上がりとなっているのがアニメ版『探検ドリランド』なのだ。深夜に放送される子ども向けアニメという大いなる矛盾をはらんだ本作を、ビール片手にニヤニヤしながら眺めるのもまた味わい深し、といったところか。  百聞は一見に如かず。あらゆるアニメを楽しみ尽くしたエリートアニメファンの諸兄は、ぜひとも『探検ドリランド』を見て、ほかのアニメファンに差をつけよう! (文=龍崎珠樹) ■バックナンバー 【第15回】 キーワードはホモソーシャルな描写!? 今夏は「乙女ゲーム原作アニメ」が熱い! 【第14回】「まるで90年代の夕方6時枠アニメ!?」『モーレツ宇宙海賊』の大器晩成ぶり 【第13回】もはや“声優アイドルフェス”!? アニソン重鎮不在の「アニサマ2012」に不安の声 【第12回】「期待外れ?」「これぞ京アニ?」 賛否両論『氷菓』の本当の見どころ 【第11回】「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』 【第10回】「見たかったのはコレジャナイ!?」声優アイドルアニメ『夏色キセキ』に早くも黄色信号 【第9回】大コケの『機動戦士ガンダムAGE』を徹底検証! 求められる新たな「ガンダム像」とは? 【第8回】アニメ業界の新トレンド!? “分割2クール作品”急増の裏事情 【第7回】ついに世代交代!? 若手アイドル声優が続々歌手デビュー 【第6回】AKB48 vs 声優アイドルユニット アニメ界もついにアイドル戦国時代突入か!? 【第5回】一流アニメファンなら女児向け作品もチェックせよ!? 『スマイルプリキュア!』 【第4回】過激なピンク描写が男子の下半身を直撃!『アマガミSS+ plus』 【第3回】今クール話題の学園モノを徹底分析!『男子高校生の日常』『Another』 【第2回】ロボット好き必見! 洗練されたメカたちが大活躍『輪廻のラグランジェ』 【第1回】水樹奈々が歌いながらバトル!? 「戦うヒロイン」アニメに大注目!

東大卒、27歳の新人監督・松本准平の劇場デビュー作として、今春話題を呼んだ映画『まだ、人間』。

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(c)『まだ、人間』フィルム・パートナーズ
 ヒューマントラストシネマ渋谷にて5月26日(土)から3週に及んだ東京先行公開を皮切りに、翌週からはテアトル梅田にて大阪公開も果たして、賛否両論の渦を巻き起こした問題作『まだ、人間』が、遂に7月14日(土)より全国規模のアンコール公開が決定した。  公開直前、松本監督から再三の要請を受けてタッグを組むこととなった増田俊樹宣伝プロデューサーの発案により、5月6日の「脱原発杉並」5・6 原発ゼロパレードへと参加した松本監督は、『まだ、人間』とプリントされたTシャツを着て脱原発を訴えつつカラオケカーに登壇し、マイク片手にウルフルズの「バンザイ~好きでよかった~」を熱唱した。  また、5月18日に新宿のネイキッドロフトにて企画された『まだ、人間』の公開記念イベントも大盛況となり、ロフトチャンネルによる公式Ust中継の反響も手伝って、ユニークな松本監督の発言が多方面に知れ渡った。  さらにこの日は、全国トップクラスの動員を誇るシネマ・コンプレックス、新宿バルト9より毎週末生放送されているUst番組、「スターステージ」との相互中継の模様がスクリーン上映され、同番組MCのハイパー・メディア・フリーター、黒田勇樹氏との絶妙なトークの掛け合いから不思議な絆が生まれ、公開初日に松本監督自らお馴染みのTシャツ姿で渋谷の街を仲間たちと練り歩く、「渋谷ウォーキング」への参加を黒田氏が表明、両会場からは熱い拍手が沸き上がった。  こうして東京公開初日を迎えた松本監督だったが、何時になく落ち着きがない様子のまま劇場入りし、増田氏や懇意のスタッフ相手に、ついつい弱気な本音を漏らしながらも念願の「渋谷ウォーキング」へと出発。  渋谷の街並みを背にして、『まだ、人間』とプリントされたTシャツを颯爽と着こなし笑顔で歩く黒田勇樹氏の傍らで、同様のTシャツを着た映画関係者たちと共に練り歩く松本監督の不安気な表情が、何とも印象的であった。  話題沸騰中の黒田氏が初回舞台挨拶に登壇という告知が、劇場HPに記載された辺りから取材の問い合わせが殺到。  宣伝隊長を務める黒田勇樹氏、主演俳優の辻岡正人氏、共演者の上山学氏、宣伝プロデューサーの増田俊樹氏、主題歌を歌うチーナのメンバーたち、音楽担当の鈴木光男氏等、様々な個性派が初回の舞台挨拶を大いに盛り上げる結果を呼び、満員の場内が醸し出す穏やかな雰囲気ともあいまって松本監督もしばし安堵の表情に。  続いて、初日2回目となる舞台挨拶の際には、バグパイプ演奏後の加藤健二郎氏と軽妙なトークを展開しつつ、常に笑顔を絶やさぬ表情を見せ、直後にネット中継されたロフトチャンネルのトーク番組「ハード→ポップ!」に生出演した際には、既に余裕の表情を取り戻すまでに。  新人監督ながらも初日興行では一定以上の劇場動員に成功し、以降も効果的にバグパイプ奏者の加藤健二郎氏、女優の小滝かれんさん、出演者の上山学氏、音楽担当の鈴木光男氏、カトリック司祭である晴佐久昌英氏等と共に松本監督自らトークライヴへ参入した結果、あろうことか右肩上がりに観客動員を増やし続けて行き、奇跡とも呼べる全国規模のアンコール公開に結びついたのだろう。  一般的に、公開初日から緩やかに動員が落ちて行くことは多々あるのだが、『まだ、人間』が描く動員曲線は異例だっだ。  東京での先行劇場公開中は、業界の先達である様々な映画監督や映画プロデューサーと多くの酒席を共にし、耳の痛い注文やら執拗な叱咤激励を浴びせられ続けた松本監督ではあったが、幸いなことに業界の実力者から一目おかれた後、目をかけられる傾向が人並み以上に強いことは確かなのだが……その反面、それとは真逆に位置する不名誉な事実として、公開後にキャリア豊富な女性映画評論家から、「映画以前、作品未満」という、同情の余地すらない酷い批判を映画専門誌の紙上で全面展開されてしまい、涙を堪えて酒を呑み、増田氏やスタッフからの制止も聞き入れず、ツイッター上に夜な夜な自己弁護を書き連ねる孤独な姿に、それまで覆い隠されていた生身の脆い感性を垣間見てしまったのは決して筆者一人ではなかった筈だ。  生身の松本准平という観点から彼を見た場合、忘れられないのがテアトル梅田の舞台挨拶に同行取材した日の思い出だ。  東京での興行成績に気を良くした松本監督は、大阪での初回大入りに更に気が大きくなり、舞台挨拶後に俳優の上山学氏を誘ってミナミへと繰り出した際、戎橋で思わずキャッチ女性にまとわりつかれて上機嫌の渦中、傍らの上山氏から水を差され、通称「ひっかけ橋」と呼ばれる由来を説明されるや否や、目を見開き意地になって女性に声をかけ続けた挙げ句に、「コレ、次回作の取材ですからね」と、シラッと言い切ってしまうシャイで一途な感覚が何故か周囲に上手く伝わらぬことも多く、そんな強気一点張りの性格からも、あらぬ誤解を招いてしまうことも度々なのだ。  映画監督として生き残るには、興行的な成功を得ずしては存在意義すら危うい職能となりつつある現状において、松本監督は若い個性と努力と強運によって、やっとの思いで映画監督だと名乗れる辺りに辿り着いたばかりなのだ。  この先、次回作を撮って再びヒットさせることが可能なのかと問われれば、先ずは難しいだろうと応えるのが率直な意見であり、可能性を秘めた27歳の新人映画監督を試す意味でも、さらなる困難が必ずや待ち受けているであろうことは述べておく。  先が見えない現状でもがき苦しんでこそ、表現者・松本准平の原罪が再び暴発してしまうことが時として起こり得るだろう。  元祖惹句師と謳われた関根忠郎氏は、そこを確実に見抜いているからこそ以下の惹句を捧げたのであろう… <准平よ!若者の空洞共有現象を撃て!若者の心感温度ゼロを撃て!今、若い映画作家による冒険が始まる> ★上映案内 7月14日~20日新宿バルト9 ナイトショー梅田ブルク7 レイトショー 7月21日~27日横浜ブルク13 レイトショーT・ジョイ京都 レイトショー 7月28日~8月3日広島バルト11 レイトショーT・ジョイ博多 レイトショー 専用ネットサイトにて視聴可能(期間限定) KINEZO CINEMA http://cinema.kinezo.jp/ 詳細はKINEZOプレミア http://premiere.kinezo.jp/lineup/movie2.html ★トークライヴ企画「僕も、あなたも、『まだ、人間』」 8月12日(日) 19:00~ 出演:松本准平 上山学 鈴木光男 増田俊樹 他 会場:ネイキッドロフト http://www.loft-prj.co.jp/naked/ 東京都新宿区百人町1-5-1 百人町ビル1F 03-3205-1556

『ムカデ人間2』世界に繋げよう、ムカデ人間の輪! 谷ナオミを崇拝する怪優さん登場です

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『ムカデ人間2』に主演したローレンス・R・ハーヴェイさん。
“ムカデ人間”以上にインパクトのある風貌。
相当の日本通です。
 関係者の予想を大きく上回るロングランヒットを記録したトム・シックス監督の『ムカデ人間』(09)。3人の男女のお尻とお口を繋ぎ合わせた映像は、ほんっと巨大ムカデに噛まれたようなショッキングさがあった。だが、その考えは甘かった。間髪置かずに完成した『ムカデ人間2』は、前作を遥かに凌駕する猛毒インモラルパワーに溢れているのだ。なにしろ、ストーリーが激ヤバ。映画『ムカデ人間』を愛するあまり、地下駐車場の警備員が次々とお客を拉致し、大工道具でムカデ人間づくりにトライするというもの。繋げる人数も前作の3人から、一気に12人に増員。ゲゲッー。  『ムカデ人間』の日本公開の際には、“ムカデ人間第1号”こと北村昭博にムカデ人間になった心境を語ってもらったが(参照記事)、今回は主人公マーティンを演じたロンドン在住の個性派俳優ローレンス・R・ハーヴェイにスカイプでインタビュー。日本のサブカルチャーにやたらと詳しい、正真正銘の怪優さんなのだ。 ──ローレンンスさん、本日はよろしく。あれ、今何してたところですか?
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『ムカデ人間2』は英国、豪州で上映禁止。
英国ではDVD版も大幅カットとなった。
日本での公開は映倫に3度お伺いを立てて
R18での上映に。
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ローレンス ハロー! ええっと今はね、ちょっとお菓子を食べていたところ。ボクはマンチェスターのウィガン生まれなんだけど、地元の特産品の砂糖菓子が大好きでよく食べているんだ(モグモグ)。もう大丈夫、質問してくれてOKだよ! ──『ムカデ人間2』、強烈無比な作品ですね。主演されたお気持ちから教えてください。 ローレンス 本当にラッキーなことだと思うよ。ボクはこれまで性格俳優としてやってきたんだけど、今回はいきなりステージの真ん中に引っぱり出されたみたいで驚いているんだ(笑)。ボクにとって、これが初めての主演作。ボクを主演に選んでくれたトム・シックス監督に感謝だね。素晴らしい体験ができたし、また完成した作品を観て誇らしく思っているよ。いわゆるアーティスティックな感覚を備えた、ダークなエクスプロイテーション映画に仕上がったんじゃないかな。 ──前作『ムカデ人間』を観て、出演を決めたんですよね? 『ムカデ人間』のどこに惹かれたんでしょうか。 ローレンス えっとねー、実は前作を観たのは、オーディション当日の朝だったんだ。『ムカデ人間』を午前に観て、午後から『ムカデ人間2』のオーディションに参加したんだよ。ギリギリのタイミングだったんだ(苦笑)。前作は、ヨーロッパのアートフィルムの影響を感じさせたし、香港映画っぽい雰囲気もあったよね。ハイアートでありながら、とてもグロテスクな要素が織り交ぜてあり、すっごくインパクトがあった。ハイター博士を演じたドイツの俳優ディーター・ラーザーも、すごく印象的だったしね。パート2の主演をオーディションで決めると知り、「これは大きな責任を負うことになるな」と思ったよ。だから、オーディションでは、前作のキャストたちの名演に負けないように努めたんだ。
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家庭内で虐待されて育ったマーティン
(ローレンス・R・ハーヴェイ)は映画
『ムカデ人間』に異常に惚れ込み、ムカデ
人間に関する資料を収集する。
──『ムカデ人間2』も過去のいろんな映画を連想させますね。主人公が母親から抑圧されている生活は『サイコ』(60)や『キャリー』(76)のよう。部分的にカラーになっているのは『シンドラーのリスト』(93)っぽいし、若い女優を映画の面接と偽って呼び出すのは三池崇史監督の『オーディション』(00)みたい。 ローレンス そうだね、過去の名作映画の影響をいろいろ受けているようだね。日本のスプラッター作品だと、『ギニーピッグ』(85)のスタイルも踏襲しているんじゃないかな。それと60~70年代に流行した実験映画やニック・ゼッド、リチャード・カーンらの影響も明らかに入っていると思うよ。ボク自身もマーティンを演じる上で、醜いモンスターにならないよう、サイレント時代のコメディ映画をたくさん観て、暴力シーンが極力スプラスティックになるよう演じたつもりなんだ。
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『ムカデ人間』に主演したアシュリン・イェニー
(本人)は「タランティーノが会いたがって
いる」とウソの面談を信じて、英国まで来てしま
う……。
──役づくりには、柴田剛監督の『おそいひと』(04)も参考にしたそうですね。日本では単館系でひっそり公開された作品をよくご存じで。 ローレンス 以前、ボクは障害者の方たちと一緒にお芝居をしたことがあり、そのこともあって『おそいひと』(主人公の連続殺人鬼を重度障害者である住田雅清が演じている)のことは知ってたんだ。今回、マーティンをただのサイコ人間として演じるのはつまんないと思い、そこで障害者のイメージをうまく取り込めないかと『おそいひと』の主人公を参考にしたんだ。 ■この映画には、現代社会への風刺が込めてある! ──トム・シックス監督の脚本は設定のみ書かれてセリフが書いてないと聞いています。オーディションはどんな感じでした? ローレンス オーディションで、トム監督と妹であるプロデューサーのイローナ・シックスに初めて会ったんだけど、3人ですごくフレンドリーな雰囲気で盛り上がったんだ。ボクの場合、オーディションってだいたい15分くらいで終わるのに、このときは1時間くらい続いたよ。オーディション中にトム監督はストーリーの全貌を語ってくれたんだ。こーゆー映画を作りたいんだ。あーゆータイプの映画? いやいや、そーゆー映画じゃなくて、こーゆー映画だよ、みたいに映画マニア同士の会話をずっとしていたよ(笑)。それから、マーティンをどういうキャラとして演じるかということも話し合ったよ。マーティンはあんなこともする、こんなこともすると。そういう話を聞いた上で、マーティンが大事にしていたスクラップ帖を母親に見つかってしまう場面、マーティンがムカデ人間をレイプしてしまう場面などを、ボクはその場で演じたんだ。ものすごく役に集中して演じたよ。トム監督はボクがどこまで演技にトライできるのかを面白がり、またボクも俳優としてのやりがいを感じる時間でもあったんだ。ボクがマーティンを演じている間、トム監督もイローナも「ワォ!」「ワォ!」の連続だった(笑)。とても奇妙で不思議な時間だったけど、これまでの俳優人生の中でサイコーのセッションだったな。 ──ストーリーの全貌を知って「こりゃ、前作よりもヤバい映画だな」という考えはよぎらなかった? ローレンス 確かにショッキングな作品であることは認めるよ。でも、ボク自身が驚くことはなかったし、完成した作品を観てショッキングな内容の中にちゃんとしたテーマがあることが分かったよ。「暴力的な映画だ」「映画をマネする人間が現われたら、どうするんだ」とか英国のタブロイド紙は騒ぎ立てるわけだよ。それって、すごくバカげた論議。でも、そういったマスコミや世間の風潮をきちんと風刺するには、肝心な映画が誰にもマネできないくらい究極のものにならなくてはいけなかったんだ。そして、この映画はその究極にまでたどり着いた作品だと思うな。究極の映画に俳優として参加することができて、とても誇りに思っているよ。 ──なるほど、“誰にもマネできない映画”ですか。トム・シックス監督はヨーロッパ各国で監督作が上映禁止になるなど波紋を呼んでいる人物だけど、ローレンスさんから見たトム監督はどんな人? ローレンス おそらく、大勢の人たちがイメージしているような人間とは、実際のトム監督は違うと思うよ。「あれだけ問題になっている映画を撮っている人間だから、本人も問題があるに違いない」と多くの人はそう思い込みたいんじゃないかな。確かに、トム監督はとてもショーマンシップのある人だから、その部分を本気で受け止めてしまった人もいるみたいだね。でも、トム監督はとっても情熱的な人で、すべての物事に熱心に取り組む人。映画だけでなく、人生のすべてにおいて情熱を持って接している。直接本人に会えば、嫌うことができない人だよ。トム監督の撮影現場で過ごすことができたのは、ステキな体験だったしね。監督としてのトムは、すっごくハイアートな世界、それとは真逆の超グロテスクなもの、その二つをうまくミックスできる人。『ムカデ人間』シリーズの後、どんな新作を撮るのかとても楽しみなんだ。これから、さらに注目を集める監督であることは間違いないよ。 ■怪優の目下の夢は、熊本を訪問すること ──ローレンスさん自身についてお聞きします。英国BCCの児童向け番組で“リトルグリーンマン”というキャラクターを演じていたそうですね。これは一体どんなキャラだったの? ローレンス 土曜日の午前中に放映されていた『パラレル9』って子ども向けのバラエティー番組で、アメリカのアニメを紹介したり、ミュージックビデオを紹介したり、コメディドラマを見せたりしていたんだ。その中の1コーナーで、ボクはリトルグリーンマンって異星人役でショートドラマをやっていたんだ。その番組の放送作家の中から、後に犯罪ドラマで有名になった脚本家も育ったり、いろんな才能が飛び出した番組だったんだ。『パラレル9』を見ていた子どもたちも、もう『ムカデ人間』を観ても大丈夫な年齢になっているんじゃないかな。中には『パラレル9』と『ムカデ人間2』の両方を観て、ボクのファンになってくれる子もいるかもしれないね(笑)。
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こちらが1990年代の英国で放映
されていた子ども番組『パラレ
ル9』の人気キャラ・リトル
グリーンマン。かなり痩せて
ましたね。
──ローレンスさんは『蛇と花』(74)の谷ナオミさんの大ファンだそうですね。今の日本のポップカルチャーシーンはAKB48という若い女性アイドルたちが席巻しているんですが、ローレンスさん的にはやっぱり谷ナオミさんが推しメンですか? ローレンス (日本語で)アキハバラ四十八よりも、ボクはキノコホテルのほうがダイスキです。(英語に戻って)ティーンのガチャガチャした音楽は、あまり興味がないんだ。大人の女性のほうが好き。やっぱり、谷ナオミさんが出ているアートフィルムが大好き。それに梶芽衣子さんも好きです。 ──谷ナオミさんは映画界から引退してますけど、熊本でクラブを経営しているそうですよ。行ってみたい? ローレンス イエス! 実は友人が熊本に住んでいて、ボクが日本に行くことができれば、一緒に谷ナオミさんのお店に行こうと約束しているんです。あと、谷ナオミさんはピンク映画を販売しているお店も持っているそうなので、そちらにもぜひ行ってみたい。日本に行きたいデ~ス! ──谷さんのクラブでは、希望者はムチでぶってくれるみたいですよ。 ローレンス オー、それはいいなぁ。ボク自身はいろんな体験をしてみたいと考えているから、谷ナオミさんとならマゾ体験もいいかもね(笑)。 ──では、最後に日本の『ムカデ人間』ファンにメッセージを。 ローレンス OK! じゃあ、最後に日本語で1曲歌うよ。「ゲッゲッゲゲゲのゲ~。朝は寝床でグ~グ~グ~。楽しいな楽しいな。オバケにゃ学校も試験もなんいもない。ゲッゲッゲゲゲのゲ~♪」 (取材・構成=長野辰次) 『ムカデ人間2』 監督・脚本/トム・シックス 出演/アシュリン・イェニー、ローレンス・R・ハーヴェィ、マディ・ブラック、ドミニク・ボレリ  R18 配給/トランスフォーマー 7月14日(土)より新宿武蔵野館にてレイトショー公開ほか全国順次公開 <http://mukade-ningen.com/mukade2> (c)2011 SIX ENTERTAINMENT ●ローレンス・R・ハーヴェイ 1968年英国生まれ。ウェールズのカーディフでパフォーマンス集団「シアター・オブ・ミステイクス」のアンソニー・ハウエルに師事し、パフォーマンスアートを学ぶ。アート&パフォーマンス理論で修士号を取得。80年代後半からパフォーマンスアートを中心に活動をスタート。90年代は児童向け番組『Parallel9』『Knight School』などに出演し、子どもたちの人気者に。『ムカデ人間2』(11)で長編映画デビュー。親日家で、70年代の歌謡曲やピンク映画を愛し、日本語の勉強もしている。キノコホテルのライブを観ることと谷ナオミに会うことが夢。

どっこい生きてる“マンガ界の最終兵器”~卯月妙子『人間仮免中』~

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『人間仮免中』(イースト・プレス
マンガ評論家・永山薫のコミックレビュー。連載第9回は卯月妙子の『人間仮免中』です!  卯月妙子の10余年ぶりの描き下ろし新刊『人間仮免中』(イースト・プレス)を読んで俺は思わず、「なんじゃこりゃ~~!?」と、ぶっ飛んでしまった。あまりの絵の崩れっぷりに驚愕したのである。  もともと、卯月は粗いタッチで自らのハイテンション&ハイパッションを紙面に叩き付けてきた。漫画絵と劇画表現が融合した作風であり、そこにはやけっぱちの開き直りとしたたかな自己プロデュースが読み取れた。  それが、である。本書の絵はまるで子どもが見よう見まねで描いた『ちびまる子ちゃん』ではないか。線はヘロヘロで、デッサンは崩れ、どう見たって左手で描いたような絵なのだ。  卯月妙子に何が起こったのだろうか?  と、白々しく疑問形で書いたけど、このコラムを読んでいるような人はすでにご存じだろう。なんせ、本書が上梓されるやTwitterでは膨大な発言があり、毎日、新刊をチェックしている俺が、ちょいと遅れてアマゾンでポチッた時にはすでに2刷目になっていた。すでにアチコチで話題になっている。版元のイースト・プレスとしては、“してやったり”だろう(ついでに、俺の『エロマンガスタディーズ』も増刷してほしいものである)。  とはいうものの、卯月妙子といわれても、彼女が漫画を描けなくなって10年余り。罪障の深い漫画読みのおっさんおばはんや、若いくせに妙に昔のことに詳しいサブカルな若造を除いた若い世代には初めて聞く名前かもしれない。  卯月妙子は元ホステスで、元ストリッパーで、元AV女優で、舞台女優で、あやうく元漫画家になりかけた。  AV女優っていっても、動くヌードグラビア+疑似セックス付きとか、そういうアレではない。V&Rプランニングというマニアックなメーカーの、いわゆる「企画物」だ。そこで卯月妙子は単なる本番じゃなくって、食糞もゲロもミミズもオーライな女優さんだったわけだ。残念ながら、俺がAVライターをやっていたのは彼女のデビュー前だったので、現役当時の彼女のAVは見ていない。しかし、V&Rのエログロナンセンス&アナーキーなAVはそれなりに見ているので想像はつく。俺がAV評やってた当時の作品は、ハッキリ言ってひどかった。  余談だが「ビデオTHEワールド」誌(コアマガジン)で、同社社長である安達かおる監督作品に「田舎へ帰って田んぼでも耕してろ」と罵声を浴びせ、後に「東京出身だから田舎なんかないよ」と切り返されたのは俺だ。今なら炎上必至ですな。でも、俺は全然反省していない。V&Rが名作、問題作を連発し、多くの才能を育てたことは、いまさら言うまでもないが、それはまた別の話である。  で、卯月の代表作が『ウンゲロミミズ』(監督/井口昇)。タイトルだけでクラッと来る。ネット配信があるので現在でも視聴可能。見たいヤツは、気合いを入れて見るがいい。  彼女が水商売やエロ産業に足を突っ込んだのは、夫の会社が倒産したためだが、彼女の稼いだ大金を、精神病が悪化した夫はロクでもない企画に右から左に使い果たした挙げ句、「逝ってきまーす」と投身自殺。その顛末は本書にも描かれている。詳しく知りたい人は『実録企画物』『新家族計画』(全2巻/太田出版)を参照。いずれも電子書籍化されているので待たずに読めるぞ。後者はフィクションだが、卯月の体験がベースになっている。  さて、本書に話を戻そう。  本書はノンフィクションである。正確にはエッセイコミックと呼ぶべきかもしない。  プロローグは衝撃的だ。 「一日は一撃だ」  という寺山修司の『ロング・グッドバイ』がナレーションとして引用される中、虚ろな表情の卯月妙子が歩道橋へと向かう。「ぽー」「ぽー」「ぽー」がリフレインされる。  歩道橋にスタスタと上り、欄干に立ち、そのまま車道に向かって、顔面からダイヴする。  プロローグは第2章にあたる「人間仮免中 歩道橋バンジー編」へと続く。  第1章「人間仮免中」はバンジーの前日譚で、12年連れ添った夫と別れるところから話が始まる。統合失調症の卯月妙子が自殺するのではないかと危惧し続けた夫は、ついに神経症となってしまったのだ。  しかし、別れがあれば出会いもある。飲みに行った妙子の前に現れたのが、後に内縁の夫となるボビーだ。  下駄みたいな顔をした当時61歳。オーバー・ザ還暦。妙子とは二廻り以上、つまり親子ほど年の差がある。  卯月フィルター通してるから当然ちゃ当然だが、これがイイ男なのだ。とはいえ、只者ではない。堅気のサラリーマンで、昔気質の侠気溢れるオヤジ。若い頃には、民事介入であぶく銭を稼いだこともあれば、ヤクザとも付き合いがある。かんしゃく持ちで、それが原因で奥さんには逃げられてるし、酔うとセクハラ全開のエロジジイにもなる。しかし、卯月妙子一筋。一途である。  歩道橋ダイヴで顔面が崩壊し、かつての美貌がガタガタになってしまった妙子を変わらず愛し続ける。セックスもする。それによって卯月妙子は救われる。  本書の軸はボビーとの愛情生活である。その揺るぎない軸があるから、歩道橋ダイヴも、生還後の入院とリハビリと不自由な身体と執拗な幻覚も、日常の流れの中で読めてしまう。距離を置いて眺めれば深刻な地獄みたいな話なのに、笑えてしまう。  彼女は彼に無邪気に甘え、ダダをこね、ケンカし、仲直りする。愛が高じて、オマンコにボビーの名の刺青を入れる。気合いを入れて墨を入れるのではなく、自然と、気分で入れちゃうんである。背中には自殺した最初の夫の戒名を背負い、オマンコには内縁の夫の名前を刻む。単純にスゲェと言おう。覚悟の表明だろうとか、形を代えた自傷だとか理屈をこねても始まらない気がする。入れたいから入れた。子どもみたいな、ちびまる子みたいな絵がそう語っている。いや、そうとしか読めない。笑うしかない。  最初に書いたように絵はヘロヘロだ。  画力至上主義者ならば、目を背けたくなるようなヘタウマ絵である。  しかし、さらに驚いたのは、それが読む際の障害にはならないということだ。プロの漫画家が本気で「漫画」を描けば、多少の絵の崩れなんか関係なく、商品として通用するオモロイ漫画になってしまうのだから恐ろしい。  絵の崩れっぷりが、内容と絶妙に噛み合っている。  先述したが、以前の卯月作品には、捨て身のテンションがあった。露悪的で露出的で毒入りキケンだった。自暴自棄に破滅の坂道を転げ落ちる痛快さがあった。もちろん、それはそれで良かったのだ。俺ら、業の深い読者というケダモノは、狂った作家、暴れ者の作家、壊れた作家のタガの外れた作品が大好物なのだ。なので、当時の卯月妙子の凄味を懐かしむ人もいるだろう。だが、あれから10年以上。年を取れば取った分、人間は変わっていく。いいとか悪いとかではなく変わっていく。細胞だって全部入れ替わっている。変わらないヤツ、変わらないフリをしているヤツのほうが何倍もヤバイ。  残酷な結果論かもしれないが、吾妻ひでおがアルコール依存症になって失踪した結果、傑作『失踪日記』(イースト・プレス)が生まれ、花輪和一が銃刀法違反で投獄された結果、これまた傑作『刑務所の中』(青林工芸舎)が生まれたように、歩道橋バンジーが『人間仮免中』という漫画史に残る、あるいは暗黒漫画史に輝く傑作を生んだということもできるだろう。地獄に堕ちたからこそ描ける作品もまたあるのだ。もちろん、生還できなかったケースも多い。そして、彼らが地獄から掴んできた宝石を、俺を含めた読者たちは数時間で消費する。ヒデェ話だ。  とはいえ、卯月妙子の凄絶な人生は、少なくとも彼女自身にとっては凄絶でもなんでもなく成り行きである。どんな人間だってそれぞれ特殊で、それぞれがパーソナルな成り行きで現在に至る。  で、その成り行きの果てに子どもみたいな絵を描く彼女がいる。この絵は彼女が新たに獲得した絵なのだ。  本書で描かれる卯月妙子の姿は、子どものように素直で無邪気だ。衒(てら)いも、イイ格好も、ワルぶりも、プライドも全部脱ぎ捨てて、ヒトとしてのスタートラインに戻った。  ならば、完全に保護される子どものままで、周囲の愛情と援助に支えられて生きるのもありだろう。帯文に 「生きてるだけで最高だ!」  とあるように、人間なんてモノは生きてるだけで充分なのだ。生還できただけで幸せではないか。  だが、卯月妙子はどうしても漫画を捨てられなかった。  彼女は本書の「あとがき」にこう書いている。 「歩道橋から飛び降りて、顔を壊しましたし、片目の視力も失いましたが、この一件で、人の愛情のなんたるかを、思い知りました。  自分の、奇天烈な顔を見たとき、この一連の出来事を、漫画にしたいと思いました。漫画家の、業です」 (文=永山薫) ■【コミック怪読流】バックナンバー 【第8回】 他人のゼニカネ話ほどオモロイものはない! 読めば身体が痒くなる『アヴァール戦記』 【第7回】 分からなくってもダイジョーブ! 脳内麻薬を噴出させる異常な漫画『女子攻兵』 【第6回】リアルより魅力的かもしれない虚構はリアルが旬のうちに味わうべし『AKB49~恋愛禁止条例~』 【第5回】とことんブレない! 幕末でもヤンキー! おまけに下品~加瀬あつし『ばくだん! 幕末男子』~ 【第4回】人気はSNSのお陰? これからが勝負の絶望的活劇漫画~諫山創『進撃の巨人』~ 【第3回】小さく産まれて大きく育った、お風呂漫画~ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』~ 【第2回】ホラー少女が鈍感力でライバルをなぎ倒す~椎名軽穂『君に届け』~ 【第1回】いっそゾンビな世の中に──花沢健吾『アイアムアヒーロー』

「クオリティの劣化が激しすぎる……」大幅ページ減で作者謝罪『はじめの一歩』の“終われない”苦しみ

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「週刊少年マガジン」(講談社)
7月18日号
 「週刊少年マガジン」(講談社)連載の人気ボクシング漫画『はじめの一歩』が11日発売の最新号で大幅な減ページとなり、同時に掲載された作者・森川ジョージの謝罪文がネット上で話題を呼んでいる。前号で、主人公・幕之内一歩のライバルだったヴォルグ・ザンギエフの世界王座挑戦という展開に期待を寄せていた読者も多かっただけに、大幅減ページは肩すかしを食らった格好だ。  一方、「当然、こうなると思っていましたよ」と話すのはコミック誌編集者。というのも、今回の減ページは前号から始まった別の短期集中連載『会いに行くよ』執筆のあおりを受けてしまったからだ。毎週連載を続けるだけでも大変なのに、短期とはいえ、同じ雑誌に2本連載を抱えるのは無謀といえなくもない。 「森川ジョージは1989年に『一歩』の連載を始めて以来、執筆の大半を同作品に費やしてきました。『会いに行くよ』は22年ぶりの『一歩』以外の連載で、震災をテーマにした内容だけに森川としても気合十分だったのでしょうが、看板連載の『一歩』にしわ寄せがいってしまったのでは、本末転倒ですよね。ネット掲示板などでも酷評が相次いでいます」(同)  ネット掲示板には「一本の連載すら全うできてないくせに、何をのたまうか」「減ページや休載も多いのに、この上新連載? マジ?」「先週の展開で期待させといてこれはないわ」「同時連載できるわけねーと思ったら案の定」「むしろ、今の『一歩』のストーリー展開のほうを謝罪してほしいんだが」「まだこんなクソ漫画家に期待してるやついるのかよ?」と非難囂々。 「そうでなくても、『一歩』は普段から休載や減ページが多いですからね。こうした格闘ものは、次々と登場するライバルの新キャラたちをパワーアップしていくくらいしかストーリー展開のしようがなく、バリエーションに乏しい。しかも、やりすぎるとリアリティがなくなってしまう。また、スピンオフ的に脇役たちのサイドストーリーを描き込むという手もないわけではありませんが、『一歩』も連載からすでに23年、もはやネタ切れなのは明らか。毎回、煮詰まっているのが手に取るようにわかりますからね。最近の『一歩』はそうした点も、読者に不評なんです」(同)  『一歩』の人気を決定づけた初期の濃密なストーリー展開に対して、最近の露骨に水増ししたようなあまりに違いすぎるストーリー展開から、作者の森川ジョージに複数人説がネットでささやかれているほど。 「初代から数えて、現在は4代目の森川ジョージが執筆しているといわれています(笑)。もちろん、そんなわけはないのですが、そうしたウワサが出てもおかしくないほど、年を経るごとにクオリティの劣化が激しくなっている」(同)  こうした状況は、かつての『ドラゴンボール』を思わせるものがある。形骸化したストーリー展開に、作者の鳥山明は折を見ては連載を終了しようと試みたが、「週刊少年ジャンプ」編集部にその都度妨げられ、紆余曲折の末、ようやく終了にこぎ着けた経緯がある。同じ雑誌に連載を2本抱えるという暴挙も、『一歩』を終わらせたいという森川ジョージの“心の叫び”ではなかったのか。

次回は99.5回目!? 老舗同人誌即売会MGMがいよいよ100回目の開催へ王手!

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 コミケに次ぐ、日本で2番目に古い同人誌即売会MGM(まんが ギャラリー&マーケット)。6月10日、その99回目となる「MGM99」を開催し、いよいよ次回は記念すべき100回目の開催……と思いきや、次回は「MGM99.5」となることに。  コミックマーケットから分離独立する形で1980年から始まったMGMは、二次創作ジャンルが肥大化する同人誌即売会に背を向けて、創作系を中心にして開催されている。現在では、極めて独自色が際立つ即売会だ。今年1月に5年ぶりに開催された「MGM98」では、69サークルが参加。6月の「MGM99」では62サークルが参加と、規模は小さいながらも、70年代からの同人誌文化を知る人々も多数参加している。  「MGM99」では、いよいよ次回は100回目と参加者も考えていたのだが、会場で配布されたチラシで告知されたのは「MGM99.5」だったのだ。  「MGM99.5」の開催にあたっては、会場の都合などさまざまあるが、根本的には記念すべき100回目を盛り上げるためだ。告知チラシでは「MGM100に新刊で参加したくなるMGM」を宣言し、「次回MGM100を目前にして、前夜祭というか、初めての企画でMGM100準備編をやります」としている。つまり、この99.5回目を利用して、参加者にも100回目を記念碑的な即売会に位置付けるためのアイデアや企画を準備してほしいというのが、主催者の狙いなのだ。  開催日は9月1日、会場の都合で15時から19時30分までという、即売会にはおおよそあり得ない時間設定に。しかも翌日には、創作系同人誌即売会の大手である「コミティア」も予定されている。果たして、参加者が2日間続けてイベントを楽しもう! となるか、あるいは「コミティアがあるからMGMはいいや」となるかが気になるところだ。  毎回、即売会終了後には参加者全員で意見交換会、その後は打ち上げという流れになっており、極めて参加者同士のコミュニケーションの機会が多いのがMGMの特徴だ。単に同人誌を売り買いするだけ、あるいは買った同人誌を家に帰って読むのだけが楽しみ、といったサイクルから脱却したいなら、ぜひ参加してみるべきである。  ほかの同人誌即売会にはない、新たな発見があるはずだ。 (取材・文=昼間 たかし)

キワモノ転じて功を成す!?  『じょしらく』2代目襲名記者会レポ

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 「このアニメは女の子のかわいさをお楽しみ頂くため、 邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみ頂く番組です」という公式サイトの文言、権利関係的に危険なにおいが漂うキャラクター名、原作があの『さよなら絶望先生』の久米田康治(作画:ヤス)、監督がヒット作・問題作多数の水島努……という、何が起こるかわからない予感から、ファンがいい意味で戦々兢々の夏アニメ『じょしらく』(MBS、TBSほか)。その放送開始を記念し、7月4日、東京・講談社にて『じょしらく』2代目襲名披露記者会見が行われた。  なぜ、2代目なのか? 実は『じょしらく』は以前、単行本の特典としてドラマCDが付属したことがあり、そのときのキャストを初代に、今回のアニメ化にあたって配役されたメインキャストを2代目に見立て、襲名の決意を語ってもらおうという趣旨の会見だったのだ。  『じょしらく』は、女子の落語家が楽屋で繰り広げるゆるいトークを主題としたガールズ落語家マンガが原作であり、あくまでも落語家が2代目を襲名するという体を貫き通したのも、この会見の肝だった。  登壇したのは蕪羅亭魔梨威(ぶらてい まりい)役の佐倉綾音、防波亭手寅(ぼうはてい てとら)役の山本希望、波浪浮亭木胡桃(はろうきてい きぐるみ)役の小岩井ことり、空琉美遊亭丸京(くうるびゆうてい がんきょう)役の南條愛乃、そしてメインキャストの中で唯一、ドラマCDから引き続き同一キャラクターを演じる「初代」暗落亭苦来(あんらくてい くくる)役の後藤沙緒里の5名。司会はニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが務めた。  会見は、落語家の振る舞いに必須の深々としたお辞儀でスタート。続いて、2代目襲名に当たっての意気込みを述べる「口上」、三本締め、質疑応答、フォトセッションの順に進んでいった。  眼鏡をかけた南條愛乃は「クールビューティであることに加え、すぐに手が出るキャラクターで、一部では『バイオレンスメガネ』と呼ばれています」と、自らが演じる空琉美遊亭丸京を解説。「私も普段からこのような眼鏡をかけておりますので、ビビっとくるものがありまして」と、是が非でも演じたいという思いが、このキャスティングにつながったようだ。
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 佐倉綾音は「言葉を選ばずに言わせていただければ、大ヒットするように願っております」、小岩井ことりは「(役名が)『はろうきてい』なので、その辺、お間違えなきようお願いいたします」、山本希望は「5人の中で一番普通の女の子役なんですが、普通ってなんだろう、という壁にぶち当たりました」と、それぞれ切実な思いを表明。  しかし、なぜか山本のところでどんどん話が脱線。小学校2年か3年のときに好きな男の子ができ、告白をしようと思い、某番組の人気コーナー『未成年の主張』よろしく、学校でモーニング娘。の「抱いてHOLD ON ME!」を歌ったところ、見事にふられてしまったとカミングアウト。小学生の男子に聴かせるにしては歌詞の刺激が強すぎたのだろうか? 「今は二次元のキャラクターで十分です」という、山本のアニメ人生を予見していたかのような出来事の告白に、場内はカオスな空気に包まれた。 DSC_0319_b.jpg  最後に、後藤沙緒里が「(暗落亭)苦来とは2年以上のお付き合い、また携わらせていただけてうれしいなと思い、今後『じょしらく』に尽くしていく所存です」と決意を述べると、次は質疑応答コーナー。  「過去の自分から返してほしいものは何か?」という質問には、キャストの大半が「青春」と回答。なにやら、その楽しい怨念が劇中のトークに反映されそうな気がする。  また「2代目襲名にあたり、どんな噺家になっていきたいか?」という質問には、佐倉綾音が「『じょしらく』に関わるにあたって、初めて聴いた落語が桂枝雀さん。あの方のような、いつまでも新しい落語に触れたいなと思いました」と、意外にも本格的な答えが返ってきた。    果たして、ガールズトークに落語の持つ深みが表れるのだろうか? キワモノが転じて本物の風刺表現に化けそうな気配を漂わせながら、あっという間に45分は過ぎていった。  なお『じょしらく』はMBS(毎週木曜深夜26時25分)、TBS(毎週金曜深夜26時25分)、CBC(7月12日から毎週木曜深夜27時05分)BS-TBS(7月14日から毎週土曜深夜24時30分)の各局にて放映される。

キワモノ転じて功を成す!?  『じょしらく』2代目襲名記者会レポ

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 「このアニメは女の子のかわいさをお楽しみ頂くため、 邪魔にならない程度の差し障りのない会話をお楽しみ頂く番組です」という公式サイトの文言、権利関係的に危険なにおいが漂うキャラクター名、原作があの『さよなら絶望先生』の久米田康治(作画:ヤス)、監督がヒット作・問題作多数の水島努……という、何が起こるかわからない予感から、ファンがいい意味で戦々兢々の夏アニメ『じょしらく』(MBS、TBSほか)。その放送開始を記念し、7月4日、東京・講談社にて『じょしらく』2代目襲名披露記者会見が行われた。  なぜ、2代目なのか? 実は『じょしらく』は以前、単行本の特典としてドラマCDが付属したことがあり、そのときのキャストを初代に、今回のアニメ化にあたって配役されたメインキャストを2代目に見立て、襲名の決意を語ってもらおうという趣旨の会見だったのだ。  『じょしらく』は、女子の落語家が楽屋で繰り広げるゆるいトークを主題としたガールズ落語家マンガが原作であり、あくまでも落語家が2代目を襲名するという体を貫き通したのも、この会見の肝だった。  登壇したのは蕪羅亭魔梨威(ぶらてい まりい)役の佐倉綾音、防波亭手寅(ぼうはてい てとら)役の山本希望、波浪浮亭木胡桃(はろうきてい きぐるみ)役の小岩井ことり、空琉美遊亭丸京(くうるびゆうてい がんきょう)役の南條愛乃、そしてメインキャストの中で唯一、ドラマCDから引き続き同一キャラクターを演じる「初代」暗落亭苦来(あんらくてい くくる)役の後藤沙緒里の5名。司会はニッポン放送の吉田尚記アナウンサーが務めた。  会見は、落語家の振る舞いに必須の深々としたお辞儀でスタート。続いて、2代目襲名に当たっての意気込みを述べる「口上」、三本締め、質疑応答、フォトセッションの順に進んでいった。  眼鏡をかけた南條愛乃は「クールビューティであることに加え、すぐに手が出るキャラクターで、一部では『バイオレンスメガネ』と呼ばれています」と、自らが演じる空琉美遊亭丸京を解説。「私も普段からこのような眼鏡をかけておりますので、ビビっとくるものがありまして」と、是が非でも演じたいという思いが、このキャスティングにつながったようだ。
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 佐倉綾音は「言葉を選ばずに言わせていただければ、大ヒットするように願っております」、小岩井ことりは「(役名が)『はろうきてい』なので、その辺、お間違えなきようお願いいたします」、山本希望は「5人の中で一番普通の女の子役なんですが、普通ってなんだろう、という壁にぶち当たりました」と、それぞれ切実な思いを表明。  しかし、なぜか山本のところでどんどん話が脱線。小学校2年か3年のときに好きな男の子ができ、告白をしようと思い、某番組の人気コーナー『未成年の主張』よろしく、学校でモーニング娘。の「抱いてHOLD ON ME!」を歌ったところ、見事にふられてしまったとカミングアウト。小学生の男子に聴かせるにしては歌詞の刺激が強すぎたのだろうか? 「今は二次元のキャラクターで十分です」という、山本のアニメ人生を予見していたかのような出来事の告白に、場内はカオスな空気に包まれた。 DSC_0319_b.jpg  最後に、後藤沙緒里が「(暗落亭)苦来とは2年以上のお付き合い、また携わらせていただけてうれしいなと思い、今後『じょしらく』に尽くしていく所存です」と決意を述べると、次は質疑応答コーナー。  「過去の自分から返してほしいものは何か?」という質問には、キャストの大半が「青春」と回答。なにやら、その楽しい怨念が劇中のトークに反映されそうな気がする。  また「2代目襲名にあたり、どんな噺家になっていきたいか?」という質問には、佐倉綾音が「『じょしらく』に関わるにあたって、初めて聴いた落語が桂枝雀さん。あの方のような、いつまでも新しい落語に触れたいなと思いました」と、意外にも本格的な答えが返ってきた。    果たして、ガールズトークに落語の持つ深みが表れるのだろうか? キワモノが転じて本物の風刺表現に化けそうな気配を漂わせながら、あっという間に45分は過ぎていった。  なお『じょしらく』はMBS(毎週木曜深夜26時25分)、TBS(毎週金曜深夜26時25分)、CBC(7月12日から毎週木曜深夜27時05分)BS-TBS(7月14日から毎週土曜深夜24時30分)の各局にて放映される。

みかこし、七夕に浴衣姿を初披露! ミニアルバム『cosmic EXPO』発売記念フリーイベント

DSC_0225.jpg  BDセールスが好調、原作小説も売上増、今春のヒットアニメとなった『モーレツ宇宙海賊』のヒロイン加藤茉莉香役を演じている声優の小松未可子が、ミニアルバム『cosmic EXPO』の発売(7月11日)を記念し、7月7日、東京・東武百貨店池袋店8F屋上スカイデッキ広場にてフリーイベント「七夕祭り~星に願いを乗せて…~」を開催した。  メインのフリーライヴに先行して実施された物販には、雨天にかかわらず関係者の予想を遙かに超える長蛇の列ができ、最終的に集まったファンは800人を数えた。  たまたま現場に居合わせた一般客が、デパートの店員に事情を訊ねては「人気があるのねぇ」と感心した様子でしげしげと眺める光景が散見され、デッキ上層部分から見下ろすオーディエンスも出現するほどの盛況ぶり。 DSC_0592.jpg  階下がおもちゃ売り場ということもあり、タテノリ・飛び跳ね禁止となったが、ぎりぎりのラインで盛り上がった。ライヴのセットリストは以下のとおり。 1.Black Holy(デビューシングル) 2.M from(自作の詞) 3.未來航路(『モーレツ宇宙海賊』最終話EDに使用されたイメージソング) <MC> 4.ユメノアリカ もしくは 透明な夜空 ~瞬く星に包まれて~ 宇宙の海 ver.  大勢のファンが詰めかけた影響で物販が予定時間内に終わらず、若干押してスタートしたライヴは、小松が「蒸し暑さではなく、みんなの熱気で熱い!」というほどの熱に包まれた。  4曲目は会場に集まったファンの希望が多いほうを歌う予定だったが、採決を取る間もなく「両方! 両方!」というコールに包まれ、「どっちか悩んだ意味がない~」と苦笑しつつ、2曲とも歌うことに決めた。 DSC_0440.jpg  アーティストデビューから数カ月で、MCもパフォーマンスも板についてきた小松。圧倒的な声量を生かした歌唱はやはり魅力で、きちんと合いの手を入れて激しくノリつつも聴き惚れてしまうという不思議な満足感は健在だった。母のものだという浴衣に身を包んだ小松にファンはうっとり。およそ40分、わずか5曲とは思えない充実のライヴとなった。  冒頭には、ピンク色のニンテンドー3DSを取り出すと「私用なんですけど、いまポケモンの『ブラック2・ホワイト2』をやっていまして。せっかくなので、すれ違いたいなと思って。わたしはトレーナーだと『みかこし』なんですけど、さっき『みかこし』さんとすれ違ったんですよね。この中に、私じゃない『みかこし』さんがいる!」と発言。人となりを伝えるほんわかとしたMCのせいか、ほどよい距離感に会場の雰囲気が和む。 DSC_0664.jpg  自身の出演するラジオ番組の収録日がここ3カ月、雨か曇天という雨女ぶりにたたられていたが、この日はライヴ直前、奇跡的に雨がぴたりとやんだ。終了直後には、それを見届けるかのように本降りとなったが、ファンは傘を差し、うちわにサインをもらうサイン会に列をなして行儀よく順番を待った。  デビューシングル「Black Holy」がセールス2万枚を超え、『モーレツ宇宙海賊』の劇場版制作が決定するなど順風満帆の小松だが、8月19日には初のワンマンライヴも決定した。その名も「全曲EXPO」。Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASUREにて行われるこのライヴは、その名のとおりの「持ち歌全曲ライヴ」。  『モーパイ』の成功とともに勢いにのる彼女がどんなステージングを見せてくれるのか、期待は高まる。 (取材・文=後藤勝)