「やっぱり、騒いでいるのはネットだけ!?」あまりに空虚な『アイマス2』918事件

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「アイドルマスター2」バンダイナムコゲームス
公式サイト
 「918事件」といえば、中国における満州事変の呼称。ところが今年、日本では別の「918事件」が、ゲームユーザーたちを騒がせることになった。『THE IDOLM@STER 2(以下アイマス2)』を巡る騒動が、それである。  バンダイナムコゲームス(以下バンナム)が開発した、このゲームは公式には「アイドルプロデュース体験ゲーム」と呼ばれるもの。プレイヤーは、新米プロデューサーとして選んだアイドル候補生を、一流のアイドルへとプロデュースしていくことになる。2005年にゲームセンターに設置して以来、XBOX360やDSなどの家庭用ゲーム機にも進出している。人気の背景は多彩なヒロインの歌や衣装のセレクトなどキャラとの濃厚なコミュニケーション機能だ。ゆえに2011年春にXbox 360用で発売が予定されている『アイマス2』は以前より、注目を集めていた。  ところが9月18日、東京ゲームショーの席上でライバルとなる男性3人ユニットが登場すること。既存のヒロインのうち4人がプロデュースできないことが告知されたことで、騒ぎが始まった。Amazonの商品ページには発売前だというのに星一つの酷評が殺到(既に削除)。一部では、不買運動や「改悪反対」を主張する署名を呼びかける者まで現れている。ネットのあちこちで見られる批判の声に対しバンナム社は公式ブログで「一部の方による、出演声優様への『誹謗中傷の書き込み』等」を止めるよう呼びかけている。  それほどまでに「ファンの怒り」は強いものがあるのか。バンナム社に問い合わせてみた。 「ご意見は、数多く頂いておりますが脅迫めいたものは、それほどありません」  と、バンナム社の広報担当者は話す。担当者によれば、9月18日以降、ユーザーからの意見は数多く寄せられているものの、その多くはプロデュース不可になったキャラクターを可能にして欲しいといった要望。ネット上に溢れているような、誹謗中傷めいたものや、男性キャラが登場することへの怒りに満ちた声は、さほど見られないということだ。そして、「問題」とされている男性キャラの登場とヒロインの削減については「現時点では、変更をするなど新たな動きはないので、公式に伝えるべきこともありません」とのこと。ネットでの「大騒動」もあくまで限られた空間でのこと。製作現場を動揺させるようなものにはならず、空回りしているのが実情のようだ。  実は、これに類似する事件は過去にも起きている。2008年に起きたマンガ『かんなぎ』を巡る、いわゆる「かんなぎ騒動」がそれだ。これは、女性主人公が過去に性的関係を持ったことがある、すなわち非処女を疑わせる描写(あくまで、匂わせる程度で確定ではない)から巻き起こったもの。ネットでは怒り狂ったファンを自称する人物が、単行本を引き裂いた写真をアップロードするといった騒動になった。  ところが、実際に出版社には誹謗中傷も脅迫もまったく行われず、ネットの中だけの「祭り」だったことが明らかになっている。今回の『アイマス2』をめぐる騒動も、これと似たものといえる。  いわば『アイマス2』騒動の本質は、単純に騒ぎたいだけの人たちが、最初に仕入れた情報を消費して楽しんだけに過ぎない。 「おそらく、(騒動は)以前からのユーザーには、ほとんど関係ないことでしょう」  と話すのは『若者を見殺しにする国―私を戦争に向かわせるものは何か』(双風舎)等、社会批評の著書を持つフリーライターの赤木智弘さん。  赤木さんは、発表が行われた東京ゲームショーの時の映像が、ニコニコ動画などで「お葬式」等の非難めいた言葉と共に拡散していったことを指摘。多くの人は、その情報が正しいか否かを判断するのではなく「お葬式」だったという前提の下で「消費」したのだと論ずる。そうした情報の拡散を経て、情報の末端では動画を見て検証することもせず、ただ掲示板やニュースサイトに記された「アイマス2葬式会場」などの文字を見た人々が、Amazonのレビュー欄を荒らすような形で、祭りに参加したわけである。 「タチが悪いのは"自分は(アイマスを)やったことないけど"とわざわざ宣言して非難している人もいたこと。自分はプレイしていないから客観的に語れると思っているんでしょうけど...。一旦、立ち止まって考えたほうがいいですよ」  面白半分に繰り返されるネット上の「祭り」。それに参加することに、どのくらい価値があるのか。暇な時間を書き込みに費やすならばパソコンを離れて熟考したほうがいい。 (取材・文=昼間たかし)
THE IDOLM@STER MASTER ARTIST 2 Prologue サントラもバカ売れ中。 amazon_associate_logo.jpg
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【佐藤寛子】──清純派グラドルから"脱皮"した体当たりの演技は一見の価値アリ!!

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(写真/有高唯之)
 名作の続編映画『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』のヒロイン・れん役に抜擢された佐藤寛子。同作は、竹中直人が演じる主人公の紅次郎が、保険金殺人に手を染める一家のれんから殺人の証拠隠滅に絡んだ依頼を受けたことで、事件に巻き込まれていくという物語だ。 「石井隆監督は一切の妥協を許さず、納得がいくまでリテイクを繰り返します。特に、れんがあシャワーに打たれて殺人を決意するシーンでは『何かが違うんだよ』と言うのですが、『何が違うんでしょう?』と質問すると、『それは自分で見つけてよ』と(苦笑)。これまでにない演技を必死に考えながら続けていると、あるとき、自然と自分で思ってもいない表情や声が出て、OKをもらえたんです。そのためか、台本なしのアドリブが出てくることもありました」  ハードな現場へのプレッシャーは大きかったという。 「リテイクを考えると現場に行くのが怖くて......連日の撮影から疲労もピークを迎えたとき、撮影終了後、気分転換がしたくてビールを1缶買ったんです。が、ひと口飲んだだけで、眠りに落ちました(笑)。ただ、今回の作品では、自分に眠っているものに気づかされ、大きな自信につながりましたね」  大胆なベッドシーンにも挑戦した新たな"佐藤寛子"の魅力は、一見の価値あり! (文/丸山大次郎) 佐藤寛子(さとう・ひろこ) 1985年神奈川県生まれ。清楚なルックスと肉感的なボディのギャップが人気を集め、グラビアアイドルとして活躍した。その後、07年から女優活動を本格化させて、『クローズド・ノート』(07年)などに出演。2011年公開の映画『白夜行』に出演予定。 『ヌードの夜/愛は惜しみなく奪う』
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93年に公開され、男女のねじれた純愛を描き、高い評価を得た『ヌードの夜』の続編。とある街でバーを営みながら、保険金殺人を繰り返す母娘3人。その末娘のれん(佐藤寛子)が、「なんでも代行屋」を営む紅次郎の元を依頼者として訪れたことから、恐ろしくも悲しい事件が幕を開ける。 監督・脚本/石井隆 出演/竹中直人、佐藤寛子、東風万智子、井上晴美、宍戸錠、大竹しのぶ 10月2日より全国ロードショー (ヘアメイク/大和田京子 SLANGinc.) (スタイリスト/石野美穂 オランジェ)

【TGS2010】景気がいいのか悪いのか!? 美しきコンパニオンさんが幕張に大挙してあらわる!!

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コナミのブースでは白いレースクイーン風のお姉さんがお出迎え
 16~19日まで千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2010(TGS2010)。このご時世にもめげず大勢の美女が各ブースにアシスタントとして一挙集結!  3次元の潤いを大紹介!
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制服がいい感じの日本工学院クリエイターズカレッジ
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色気のある美女が目印なのはパロット
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メディア・マジックは綾波コスでご案内~♪
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ガーターベルトがエロイ!!
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日常で見ることがレアなツインテール
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露出度と黄色の衣装で目立っていたのはカプコン
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黒い衣装がセクシ~ですね
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こちらはコスパ。「けいおん!」コスです。
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オレンジと白の衣装がさわやか
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セガは「クロヒョウ 龍が如く 新章」と共に登場
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アイドルだけじゃない! 韓国発・超ド級ディザスター映画『TSUNAMI-ツナミ-』

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(C)2009 CJ Entertainment Inc. All Rights Reserved.
CJ Entertainment Japan/パラマウント ピクチャーズ ジャパン共同配給
9月25日(土)新宿バルト9ほか全国"メガ"ロードショー
 この秋、韓国発のとてつもないビッグウェーブが日本を襲う。『TSUNAMI-ツナミ-』は、数々のディザスター・ムービーを手がけたハリウッドのCG制作チームと作劇に定評のある韓国のキャスト・スタッフがタッグを組み、高さ100メートル時速800キロという"メガ津波"の恐怖と、未曾有の天災に翻弄される人々の運命をダイナミックに描き出す超一級の娯楽作だ。  韓国最大のリゾート地・海雲台(ヘウンデ)で生まれ育ったマンシク。2004年、スマトラ島沖地震に伴い22万人以上の命を奪った観測史上最悪のインドネシア大津波が発生したとき、遠洋漁船に乗りインド洋上にいたところを津波に巻き込まれ、密かに想いを寄せるヨニの父親を失う。事故以来ヨニへの愛を隠してきたマンシクだったが、葛藤の末ついにプロポーズを決意する。  そのころ地質学者のキム・フィは、ヘウンデ一帯の不穏な地殻の動きを察知。国際会議の仕事で娘を連れ当地を訪れていた元妻のユジンらに大津波の発生を警告し、避難を求めるが取り合ってもらえない。ヘウンデの美しいビーチには100万人の行楽客。そこにキムの予告通り超大型津波が発生、高層ビルをも飲み込む高さの大波がジェット機並みのスピードで迫ってきた......。  『シルミド SILMIDO』『力道山』のソル・ギョングがマンシク役、テレビドラマ「ファン・ジニ」のハ・ジウォンがヨニ役で共演。監督は『マイ・ボス マイ・ヒーロー』のユン・ジェギュン。映画の前半では、男女の愛、親子の絆、日常の喜びや人生の苦悩が丁寧に描かれ、登場人物たちへの自然な感情移入が促される。それゆえ、津波がヘウンデを襲う後半で、逃げまどい、命を落とし、あるいは愛する者のために懸命の行動を起こす人々の心情が、自分自身がその場で体験しているかのように共感できる。  映画後半の"主役"となるメガ津波を創造したのは、『デイ・アフター・トゥモロー』『パーフェクト ストーム』などのハリウッド超大作のCGを手がけたハンス・ウーリックを擁するポリゴン・エンタテインメント。巨大なスケールを保ちながら激しく動き反応するリアルな津波を、最新の流体シミュレーション技術で生み出した。  情感たっぷりに描かれる群像劇と、圧倒的なリアリティーで迫る怒濤のディザスター場面。この組み合わせによって生まれた"アジアならではのパニック映画"を、ぜひ映画館で体験していただきたい。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 『TSUNAMI ツナミ』作品情報 <http://eiga.com/movie/55567/>
デイ・アフター・トゥモロー 正直、どうにもならんよね。 amazon_associate_logo.jpg
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演劇界の奇才コンビが自称「お笑い通」を挑発! 「面白いことやってるのはお笑い芸人だけじゃない!」

 放送作家・福田雄一と、惜しまれつつ活動休止したコント集団・ジョビジョバのリーダーを務めたマギーのユニット、『U-1グランプリ』の最新コントDVD『CASE03 職員室』が今月15日に発売された。2人が協同で演出・脚本を手がけ、毎回異なる俳優を集めてワンシチュエーションコントを展開する、というコンセプトの同ユニット。今回のDVD発売を記念して早速2人を直撃し、その結成の経緯から、笑いに対する想い、ウラ話などを赤裸々に語っていただいた。お笑いの世界で異彩を放つ鬼才2人が『U-1グランプリ』を通じて描きたい「笑い」とは――? ――もう3作目になるU-1グランプリですが、結成の経緯について伺います。 福田雄一(以下、) 元々僕が、ジョビジョバのファンだったんですよ。人気があってチケットも取れないじゃないですか。だから、いろんな所で予約して、毎回3枚ぐらい取れちゃってたんですけど、それ全部観るぐらい好きで。 マギー(以下、) 取れない、っていうわりには、しっかり3枚も取れてるっていうね(笑)。  それで、ずっといつか一緒に仕事したいなと思ってたんですよ。で、その後テレビで一緒に仕事をするんですけど、その時マギーとは笑いのセンスが合っているな、って感じたんですよねー。何が面白いか、っていうのもそうなんですが、「何が嫌なのか」っていうのが、僕とマギーは一緒なんですよ。「今のはちょっとないでしょ」っていうところが。  好きなものよりも、嫌いなものが一緒、のほうが重要だと思うんです。例えば異種格闘技戦をやる時に、「目潰しと金的だけはなし」って感じで反則が共有されていれば、あとはなんでもOKにできる。そういう部分では、センスが共有できているなと。それで、ジョビジョバを解散して2年ぐらい経った夏のある日に、福田さんにいきなり呼び出されて。  ちょうど、僕自身も作家としてレベルアップしたいと思ってた時だったんです。だから、ジョビジョバで天下を取ったマギーの演出を学ぶことで、ひとつ上を目指したくて。  天下は取ってないけどね(笑)。  いや、確実に演劇界の頂点にいた時期があるわけだから。それと、自分の台本を否定された時に、マギーだったら受け入れられると思ったんですよ。まーまず受け入れられないですから、業界の人は(笑)。あと、できる人がやらないっていうのはホントもったいないというのもありました。  僕、ジョビジョバ解散して2年ぐらい、ライブでのコントをやってなかったんだよね。その間は、次の手を考えている時で。色々と考えていた時に福田さんに誘われた。毎回役者を変えて、作家だけが固定のコンビっていうのは、ちょっと面白そうだな、と。コントから離れて2年も経ってしまうと、次の一手が非常に出しづらかったんですけど、福田さんの誘いで、スッとコントに戻れた、っていうのはありますね。あと、福田さんが「お互いボケ合ってツッコミ合うようなことをやりたい」って言い出したんですよね。  すごくあいまいな感じでね(笑)。  そう(笑)。2人でボケ合って、ツッコミ合う漫才をやってるコンビがいる、っていう噂を聞いて、彼らには「それ、俺のオモロいヤツや」っていう決め台詞があるんですけど、「そういうのをマギーとやりたい」って言ってきたんですよ。  でもそれが多分、合作の一番のスタイルだと思うんです。お互い、しゃべっててオモロい事言ったときに、若干なりとも悔しがる気持ちが必要だな、と。  U-1は僕と福田さんで半分ずつ台本を書いているんですが、福田さんの書いた方を面白いと言われた時、「悔しい」「俺のだって」と思いつつも、「だろ、オモロいんだよ」って言えるような感じはありますね。舞台で発表する時には、2人の作品として捉えられる。  僕は悔し過ぎて完全に客観だけどね。「(棒読みで)あー、マギーのそれ、オモロいよね~」っていう(笑)
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――毎回変わる役者さんたちは、どういうポイントで選んでいるんでしょう?  僕は、ドラマの現場とかで出会った人で、「一緒にやりたいな」って思う人を呼んできます。「この人コント絶対好きだろうな」っていう人って、やっぱりニオイを発しているんですよ。お笑い好きって言っても、お笑い番組を見るのが好きなだけのヤツとかって山ほどいるんだけど......。  うん、いる。  「お笑い好きなんですよ」って言って、一生懸命俺を笑わそうとしてくるヤツよりも、僕が話したことに笑ってくれて、それにひとつでもいい"返し"をくれるようなヤツの方が一緒にできる。今まで呼んできた人たちはみんなそうです。  僕は確固たる基準があって、僕が台本を書く時に想像していた通りのセリフのトーンや面白さを、ひとつでも超えてくれた人は誘える。今回でいうと野波麻帆ちゃんとムロツヨシ君。2人とも一度、僕の別の台本を演じてくれた人なんだけど、自分が想像した感じじゃないものを、バンバン出してくる。 ――U-1グランプリの舞台に出したい人って、どんどん増えているんですか?  1回冗談で「もういなくなった」って言ったことあるんですけど(笑)、今のところ、1回出演してもらった方は、次は呼ばないってルールで3回やってきてて。「そろそろアイツ呼ばない?」っていうのもなんとなくありつつ。  ありがたいことに「出たい」と言って下さる方は増えてますね。こないだ、小栗旬くんにも言われました(笑)。「俺も目玉おやじやりたい」って(『職員室』では、福田さん自らが全身タイツを着て、目玉のおやじに扮するコントがある)。でも「君の体型、かっこよさでやっても面白くない。ちゃんとお腹が出てないと面白くないんですよ」って話をきちんとさせていただきました。 (一同笑)  人柄もあるんでしょうが、福田さんの周りの人は、軽々しく(笑)「出たい」って言う人が多いんですけど、僕の周りは逆に「あんなものを見せられると、軽々しくやりたいなんて言えないよ」っていう人が多い。「次狙ってるよ?」って言っても、そんなに喜んでくれないんですよ。  その最たる例が、ジョビジョバのメンバー(笑)。  僕のことを厳しい、怖いって思っているヤツが多いんでしょうね。全然そんなことなくて、結構楽しくやってるんですけど(笑)。  まー、2作目に出た長谷川(朝晴)は時間かかりましたからね、落とすのに。マギーから「長谷は、俺が言ってもアカンかもしれん。福田さんなんとかして」って言ってきたし(笑)。  俺が誘ったら、「考えさせてくれ」って即答しやがって(笑)。  で、長谷が最終的に決断してくれた時の僕のセリフが「俺がいるから大丈夫だ」っていう(笑)。ユルいから大丈夫だ、と。 ――今回は六角慎司さんが出演されていますが......。  六角はすぐOKでしたよ。多分、断ったらぶん殴られると思ったんでしょうね。  先輩に、「ちょっとこい」、って言われたようなもんなんでしょうね(笑)  ジョビジョバでのポジションを垣間見ましたよ。「お前断れるポジションなのかよ」っていう無言の圧力。僕、六角大好きなんですけどね。  それがいまだによく分からないんですけど。  で、この前『職員室』を坂田(聡)が見に来て、みんなで飲みにいった時「次お前だからな」って言い続けたんですよ。順番でいったらどう考えても次はお前だ、って言ってるのに、絶対うんって言わなかったですね。3時間ぐらい飲んでたのに。でもまあ、確実に次は、坂田が出てますよ、ハイ。  「ここに書いてあるから」って言えばもう逃げられないでしょ。......て何で外堀から埋めていくんだよ!(笑)
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――最後になりますが、オススメのポイントなどがあれば......。  「コントは芸人さんがやるもの」っていう常識が覆されているのが、今回なんじゃないかなと思うんですよ。芸人さんのコントって"言葉"の笑いが主だけど、やっぱり違うんですね、役者さんでやると。  姿勢、とかね。  ちょいとした表情とか間の作り方、とか。下手すると、セリフでひとつも面白いこと言ってないのに笑える。だから、お笑い芸人さんがやる単発の笑いに、ちょっと飽きたって人に見てもらいたい。「こんなのもあるんだ」って思ってもらえるかな、と。  「お笑いが好き」っていうぐらいなら、これ見ておかない? っていう感じですかね。芸人がやってる、売れてるコンビがやってる単独ライブ以外にも面白いものってたくさんある、っていうことを、お笑い好きって言うんだったら、知ってて欲しいなって思います。 福田雄一(ふくだ・ゆういち) 1968年生まれ。劇団「ブラボーカンパニー」の座長、バラエティ番組の放送作家として活躍するほか、ドラマ『東京DOGS』や映画『大洗にも星はふるなり』など、さまざまな媒体で脚本、演出を手掛ける。 マギー(まぎー)  1972年生まれ。93年にお笑い集団・ジョビジョバを結成。リーダーを務め、当時の演劇界を牽引する存在に。02年のジョビジョバ活動停止後は、俳優・タレント・演出家・脚本家と幅広く活躍している。
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U-1グランプリCASE 03『職員室』 今年4~5月の同名の公演を収録。誰もが知っている"職員室"を舞台に、福田・マギー両氏が、「好きで呼んだ」俳優たちと繰り広げるコント集。副音声で2人の解説も楽しめる。 出演:マギー、六角慎司、ムロツヨシ、野波麻帆、植木夏十、山西惇、福田雄一/価格:3990円(税込)/発売元:ポニーキャニオン

「モチーフは髪の毛と指」 絵本で読む、束芋『惡人』の世界

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現代社会の断片的風景を独特の感性で切り取る現代美術家・束芋。
 手は口ほどにモノを言う。目ではない、手。最近映画も公開され、各地で話題となっている吉田修一の小説『悪人』の挿画を手がけたアーティストの束芋が、同タイトルの画集を上梓した。とある殺人事件の裏側に果てしなく広がる淋しさ、怒り、孤独を丁寧に描き出し「本当の悪人とは誰か?」を問う。束芋が描く手は、なんとまあおしゃべりなことか。触る、抱く、叩く、掴む、指さす、突く、ねじる、握りしめる、締め上げる......。墨とペンで輪郭と影が強調された、表情豊かな「手」は、人の感情の奥底にある暗部をえぐり出し独特なリアリティを放ち私たちに迫ってくる。絵と小説の断章から、小説とはまた違った世界を作り上げた束芋に、作品について、悪人について話を伺った。 ──まず新聞連載が始まった時のことをお尋ねします。最初にリクエストされたこと。それを受けて、ご自身の中で決められたルールのようなものがあれば教えていただきたく。 束芋 わたしが挿絵画家ではないということは、担当の方から吉田(修一)さんに伝わっていて、その上で吉田さんが新聞小説『悪人』に私の絵の雰囲気を選んで下さいました。当初から吉田さんは「絵は絵の世界で自由にやって下さい」と。その言葉があったからこの挿絵のお仕事を受けることに決めました。ルールとしては、連載担当者からの「束芋さんは、男前は描けませんよね」というもっともな言葉を受け、"顔を描かない(特に目を描かない)"という決まりごとを作りました。また、細切れに連載される新聞小説は、第一話を受けて第二話は展開し、そして第三話に続いていく。それを目に見える形にしたいと考え、私が原画を描く際のルールとして横長の和紙に右から左に描いていく。絵は右から左に流れ、時間軸も右から左で、繋がる絵は展開するストーリーを表現し、最終話まで連ねると長い長い絵巻物になるように描いていきました。絵を繋げていくためのモチーフとしては、私の日頃の描く対象物でもある髪の毛と手(指)を使いました。もちろん、毎回の絵は吉田さんの原稿がきてから、小説を読み込んで描きました。自身がその空間にある空気の粒子になった気分でぐるぐる見渡したとき、目につくモチーフや風景を描いています。 ──『悪人』は、誰もが持つ鬱屈とした、行き場のない感情が克明に描かれていて、主役は清水祐一なんだけれども、登場人物すべてに感情移入ができる、不思議な小説でした。純愛小説というよりは社会や哲学の色が強く、ジャーナリズムとは何かということも考えさせられました。束芋さんはこの小説をどうお読みになりましたか? 束芋 私もさまざまな登場人物に感情移入してしまいました。当初は殺された(石橋)佳乃に感情移入していたのですが、この作品の一人をモチーフにしてインスタレーション作品を作りたいと吉田さんにお話して、それをご快諾いただいてから実際に制作に入ったとき、私の興味の対象はストーリーの展開にそれほど絡んできていないように見える金子美保という存在に移行していきました。私は読んでいる間、この金子美保という存在は、私自身と同年代だと勝手に思い込んで読んでいました。  ヘルス嬢として働いていたときも祐一が自分に本気になってきたのを感じて、逃げてしまう彼女。頑張って小料理屋をオープンしたのに、過労で倒れてしまい、店は長期休業。病院で祐一を見て逃げる彼女や、思い切って祐一に声を掛けてみたものの、拒絶される彼女。超えるべきハードルを超えることなく彼女の人生は続いていく。その中途半端さや、フワフワした感じから同世代感を得たのだと思います。『悪人』のストーリーの中では、彼女の人生は点でしか描かれていない。その点と点の間には、祐一と出会ったように、他にもいろいろな出会いがあるのだし、祐一に拒絶されたその後も、彼女の人生は続いていく。そういったことを考えると、彼女の『悪人』の中での扱いは、私自身が出会った多くの女性のようでもあるし、多くの人が出会った私自身のようでもある。吉田さんはヘルス嬢という少し特異な職業を彼女にあてがうことで、"とっても普通の女"を描いたように感じられ、劇的な最後を迎える「悪人」の重要な鍵を握る佳乃よりも、点の存在しかない美保に私は共感するようになっていました。そして私にとって大切な作品となる「油断髪(ゆだんがみ)」(※)ができたのです。  この『悪人』という小説は一人を切り出しても凄い存在感を持ち続けます。だからこそ、全ての人物に感情移入ができ、そして誰が惡人だったのかという強い問いかけを残すのだと思います。感情移入した登場人物の存在により、その問いかけを自分のこととして考えてしまうからこそ、哲学の域にまで及ぶのではないでしょうか。吉田さんのすごさですね。 ──一番印象に残っているシーンを教えてください。また、描写に悩んでしまった、描きにくかったシーンはありましたか? 束芋 印象に残っているシーンは......全部なんです。やっぱり全てのシーンを精一杯描いたので、全て鮮明に思い出せてしまいます。描きにくかったシーンは、ラブホテルのシーンです。性描写が描きにくかったというのではなく、主人公二人がなかなかラブホから出てくれないんです。(10話分近く)最初に書いたように、私はその空間にある空気の粒子になった気分でぐるぐる見渡したとき、目につくモチーフや風景を描いているので、一カ所に複数話も居られると、描けるものが無くなってしまいます。目をよくよくこらして、ぐるぐるぐるぐる回って何とか採取しましたが。 ──絵本の企画というのは、どういった経緯で持ち上がってきたのでしょう? 束芋 元々、全部揃ったら作品集を作りたいという漠然とした思いはありました。2007年に友人が、新聞連載時の絵を切り抜いて文庫本サイズのノートに貼って、「この本に題字を描いて」と持ってきてくれたんです。その文庫サイズの重量感、新聞を切り抜いた感じがものすごく良くて、「こんなの作りたい!」と火がつきました。作っていくうちに、ただの作品集ではなく、絵本にしたいと思い、原画の状態とも新聞連載時とも違う世界を作っていきたいと思い、絵を再構成していき、吉田さんの承諾を得て文章をピックアップし、絵の一部としてレイアウトしていきました。吉田さんのご協力なしでは不可能な企画です。 ──小説に絵があるという連載とは違い、絵と断章からシーンをつないでストーリーを作るのは、映画やアニメーションに近いような気がします。絵本を作っていくにあたって、注意されたところを教えてください。 束芋 絵本としてページをめくる面白さは大切にしました。特に観音のページなどは、二次元の絵が開くという行為で三次元になる瞬間があります。その空間的な広がりを考えることは、とっても楽しませてもらいました。注意したことは、何が一番この絵本「惡人」に合うのかということ。紙質や本の重量感、表紙やカバーの関係性など。普通、本を作るときには当たり前のように誰でも考えることですね。 ──海、涙、血、スープ、珈琲、体液といったような水にまつわるモチーフや物が溶け出していき融合するようなイメージが多かったような気がします。登場人物の心に潜むじっとりとした感情がよく現れていました。液体に対して何か特別な思い入れがあったのでしょうか。 束芋 以前スウェーデンで個展をさせてもらったとき、インタビュアーに同じように聞かれ初めて気がついたのですが、私のインスタレーション作品にも液体が頻繁に登場します。そのとき、考えてみたのですが、液体は流動体であり、その液体の形はその液体の入っている容器の形で決まります。そこに容器を描かなくても、液体の形でそこに存在する見えない物体を感じることができ、液体が動くことによって、その容器に何かが起こったことを意味します。例えば、容器に穴があいたら、液体はその外に流れていく。そしてその外側の容器の形に定着する。また、液体が移動した先にはそれなりの空間が存在することも示唆します。そういった液体の動きを利用して、言葉でも描くことでも表現できなかった何かを表現できるようになったのです。『惡人』の中に登場する液体は必ずしもそういったことを含んでいるわけではありませんが、流動体は何かの媒体として、大いに利用させてもらっています。 (取材・文=上條桂子) (※)の「油断髪」は本年横浜美術館、国立国際美術館で開催された「束芋─断面の世代」にて展示された。 ●束芋(たばいも) 1975年兵庫県生まれ、長野県在住。1999年、京都造形芸術大学卒業。99年、映像インスタレーション《にっぽんの台所》が、キリンコンテンポラリー・アワード99最優秀作品賞を受賞。01年、第1回横浜トリエンナーレで最年少の作家として出品。以後、2002年、サンパウロ・ビエンナーレ、06年、シドニー・ビエンナーレ、07年、ヴェネチア・ビエンナーレ(イタリア 館)など数々の国際展やグループ展に出品。06年、原美術館、パリのカルティエ現代美術館で個展を開催。2010年には、横浜美術館、国立国際美術館で初めての大規模個展を行った。11年のベネチアビエンナーレでは、日本館への出品が予定されている。
惡人 束芋が初めて新聞連載小説の挿絵を担当した吉田修一の代表作『悪人』に描き下ろした作品群を一挙に収録。指、髪の毛、内臓などをモチーフとする独自の作風が、小説のテクストと化学反応することで新たな深化を遂げる。横浜と大阪で開催の大規模な展覧会「断面の世代」で公開されたモノクロの原画を連載時のカラーで再現。 1890円(税込)/朝日新聞出版刊。 amazon_associate_logo.jpg
悪人(上) ブッキーまさかの金髪。 amazon_associate_logo.jpg
悪人(下) ふかっちゃん! amazon_associate_logo.jpg
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魚◎と書いてなんと読む? あなたの知らない漢字予備軍

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世の中のへんなものをこよなく愛するのり・たまみの、意外と知らないちょっとへんな社会学。  先日、NHKの番組を見ていたら、「絵文字は新しいコミニケーションルーツ。たった1文字でいろいろな状況や感情を表せるところは、まるで漢字のよう。使っている人も多いし、正式な字になる日が来るかも知れない」という議論がされていました。  絵文字って何気にすごい! 主に女性が携帯メールで活用している印象が強いのですが、何百年後、いや何十年後には正式な字になっている可能性があります。  もともと平仮名・カタカナだって、女性や僧侶などが勝手に漢字を崩して私的に使っていたもの。どちらも祖先は万葉仮名です。現在の絵文字のように、漢文の文章と比べて「地位が低い」「正式な文字でない」なんて言われていました。しかし、いつの間にか立派な日本語の字になっています。  だから、これだけ発達している絵文字が「正式な日本の文字」になっても、ちっともおかしくありません。絵文字は漢字のように、たった1文字でいろんな読み方ができ、意味があります。お馴染みのハートマークでも、前後の文章によって「好き」だったり「心臓」だったり「源氏パイ」だったり、いろいろ表現できます。  実は、私たちの使っている「文字」は、かなり柔軟な構造になっています。  平仮名・カタカナだって、110年くらい前までそれぞれ数百種類ありました。それを明治政府が一旦整理しようと1900年(明治33年)、小学校令施行規則で「これから使うカタカナ・平仮名はこれです」と発表し、現在私たちが使っている50文字前後の文字に落ち着きました。  その時に正式採用されなかった数百の平仮名・カタカナたちは現在、「異体文字」「変体文字」などと呼ばれています。今でも看板などでよく「ゑ」「ゐ」とか見かけますね。勝手に政府が区分けしただけで、それまではどの字も日常的に使われていました  たまに、「日本語が乱れてる!」「正式な語源や使い方が間違っている!」なんて話を耳にすることがありますが、漢字にしても平仮名・カタカナにしても絵文字も、あくまで人と人とのコミュニケーションのための道具なので、どれが正式でどれが間違っているなんて、時の流れで決まるもの。いつの時代でも正しいものなんて無いのかもしれません。  ところで、私たちでも「文字」を発明したり、それをみんなに認めてもらうことは出来るのでしょうか。「平仮名」「カタカナ」はかなり入り込むのが難しいでしょう。現在は、がっちり種類も固まっているし、仮に「<#"〃※!>と発音する新しい平仮名を発明した!」と発表しても、世間が振り向いてくれる可能性は限りなくゼロです。それより異体字・変体文字とされながら、今でもよく使われている「ゑ」などが復活する可能性のほうが高いかもしれません。  そう考えると、一番門戸が開かれているのはやはり絵文字でしょう。そして意外な穴場が「漢字」です。実は漢字は、今でもどんどん増え続けています。その数現在、では10万文字以上あり、「世界一文字数の多い文字の体系」として有名です。いろんな団体や場合によっては国家が「正式な漢字」を制定しようとしていますが、いまのところ統一したものはありません。  漢和辞典を見てみると、画数や形などはしっかり載っているのに、「この漢字の意味は分かりません」などと書かれている漢字が多数あります。主に昔使われていたから残っているけど、誰も意味も分からなくなっちゃんですね。漢字の世界は固いようですが、意外とルーズです。  また、今の日本で新しい漢字を発表して、正式に認めさせるのもそんなに難しい話ではありません。  一例を挙げます。「魚◎」という漢字を知っていますか。  これでチクワと読みます。魚肉を◎の形にしたという、そのまんまの文字です。竹輪とも書きますね。  実はこの字は、落語家さんが冗談みたいに作って発表してものですが、現在「正式な漢字」の一歩手前まできています。『今昔文字鏡』という文字ソフトにはしっかり入っていますし、ウィキペデアの「ちくわ」のところにも載ってます。権威ある大漢和辞典を出している大修館書店さんのHPでもこの「魚◎は漢字なのか」という話題が載っていて、「そもそも何が正式の漢字で、何が正式でないかは微妙な問題」としつつも、「現在は正式な漢字とは認められないが、将来辞典にのるような漢字になってるかもしれない」と含みを持たせる形となってます。  将来、名前ならぬ「字」を残したい方は、「絵文字や創作漢字」を作って発表するのも手かもしれませんね。あなたの発明・創作した文字が何千年も残り、使われるかもしれません。 (文=のり・たまみ) ●のり・たまみ 世界中の「へんなもの」をこよなく愛する夫婦合体ライター。日本のみならず、世界中の政治の仕組みや法律などをこよなく偏愛している。主な著書に『へんなほうりつ』(扶桑社)、『日本一へんな地図帳』(白夜書房)、『へんな国会』(ポプラ社)、『へんな婚活』(北辰堂出版)などがある。
漢検漢字辞典 漢検協会ってどうなった? amazon_associate_logo.jpg
■へんな社会学 バックナンバー 【第8回】「ち●こ祭り」と「ま●こ祭り」がまさかのコラボ 愛知県の奇跡とは...... 【第7回】一時の流行語で終わる可能性も...... 実はテキトー&曖昧な「メタボ」の実態 【第6回】未成年だけじゃない!? 知られざる日本の不自然な養子縁組 【第5回】世界でも日本だけ!? 血液型にこだわる日本人の国民性 【第4回】読み方は自分で決められる!? あなたが知らない日本人の名前の秘密 【第3回】"交通事故死減少"は真っ赤なウソ!? 軍事国家時代から続く「大本営発表」のカラクリ 【第2回】あの阿久根市より凄い! おっぱいで勝負をかける山口県光市 【第1回】皇居、ディズニーランド、甲子園球場......好きな場所に勝手に住み込む方法とは?

【TGS2010】2日目「ゲーム機として進化するiPhone~i Love iPhone×Games」レポート

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日本製ゲームが上位20タイトル中15タイトルを占める現在の市場の様子
 4日間にわたって開催される「東京ゲームショウ2010」。ビジネスデイ2日目の17日午後は、iPhoneアプリについて語る「ゲーム機として進化するiPhone~i Love iPhone×Games」が、イベントステージにておこなわれた。  アップル派やTwitter利用層を中心に伸びたiPhone市場では、ゲーム分野も急成長。その軌跡や今後の展開について、国内外、9社のコンシューマゲームメーカーがプレゼンテーションをおこなった。  据え置き機と異なり、iPhoneは非ゲームユーザーが数多く所有。まだまだ市場としてはガラケーに遠く及ばない成長段階だが、一般層に各メーカーのゲーム資産を知ってもらえるメリットがあり、ゲームユーザーの裾野を広げる好機と見て各社とも力を入れ始めているようだ。  セガは『ソニック・ザ・ヘッジホッグ4』をX-BOX360、Playstation3、Wii、iPhone & iPod touchで同時発売する。『ソニック』は楽しいだけでなくハイスピードかつ高難度で知られるアクションゲーム。通常のゲームコンソールに比べた場合、タッチパネルでは入力に対してマシン側の反応が遅れる、または入力を認識しないという可能性が高い。  そこで誤認識を防ぐ意味もあり、制作初期の段階からiPhoneを前提に設計、デザインしていったという。入力判定のタイミングを広くとり、ゲーム機同様、マシンがユーザーの言うことをきくようにチューニングされている。  またiPhoneの画面回転機能に対応し、マップが回転したり、傾きに応じてオブジェクトが位置を変えるといった、iPhone版だけの独自の仕様も存在する。  画面を傾けた際、トロッコが走りだすという仕掛けはiPhone版だけでほかの機種にはないものだ。  バンダイナムコゲームズでは、ソーシャルゲームサイトの影響もあり、iPhoneアプリのビジネスモデルが従量売切型から運営型に移行してきていると認識。トライ&バイの市場に変わりつつあるという前提で開発にあたっているようだ。『太鼓の達人+』は無料ダウンロードでプレイを始められ、有料アイテム(楽曲)の追加購入で遊びの幅を増やしていくという戦略をとった。まずはゲーム内容の認知に努めて安心してもらい、納得ずくで購入してもらう。この狙いがヒットし、iPhone市場に定着。今後はBluetooth対応にバージョンアップしていく予定だという。
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コーエーテクモゲームズのコンパニオンがステージ上でiPad対応アプリを実演
 こうした変動について、司会の新城健一氏(アプリヤ)が最後にまとめた。  iPhone3G発売直後の2008年11月から2009年1月までは、ゲームの売り上げランキング上位20傑のうち、日本製のゲームは4タイトルだけだった。海外ゲームの時代である。  iPhone3GS発売前の2009年2月から同年7月は20タイトル中9タイトルが日本製となり、半分近くを占めた。このなかには個人制作者の作品が2タイトルあり、新城氏はこの期間を「個人開発者参入時代」と呼んだ。  iPhone3GS発売後の2009年8月から2010年1月にかけては日本製が12本と優位を示し、ついに国内開発時代が到来。iPhone4発売前の2010年2月から7月は日本製が20タイトル中3/4にあたる15タイトルを占め、国内大手メーカー時代に至る。  他のゲーム機市場に近い傾向が出てきたわけだ。  今後はマルチプラットフォームのうちのひとつと認識して『ソニック4』のように注目の新作を同時発売するケースが増えてくるかもしれない。  もちろんiPhoneならではの新しい表現が誕生する可能性もある。パロット社(フランス)の『AR. Drone』は、iPhoneをコントローラーにジャイロを飛ばし、相手のジャイロと空中戦をおこなうという遊び。
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浮いています(吃驚!)
 iPhoneの画面上ではバーチャルなジャイロが「撃ち合い」をしており、画面内で着弾すると、ダメージを負ったほうのリアルのジャイロは、くるくると回転して被弾したことを示す──といった具合。  iPhoneアプリがゲームと融和、あるいは新しい表現を開拓することで、どのような地平が見えてくるのか。口より先に手を動かす頼もしい開発者、ゲーム制作者たちのクリエイティビティの、生かしどころではないのか。 (取材・文・写真=後藤勝)
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佐藤秀峰が漫画『海猿』全話を無料公開 漫画界の新たなスタンダートとなるか?

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佐藤秀峰氏
 「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)連載の『新ブラックジャックによろしく』を7月に完結させた漫画家・佐藤秀峰。映画『THE LAST MESSAGE 海猿』が9月18日に公開される中、佐藤は原作となった自身の漫画『海猿』の全119話を、自ら手がけているオンラインコミックサイト『漫画 on Web』で、1ヵ月間の期間限定で無料公開することを発表。サイトの日記で次のように明かした。 「オンラインコミック版「海猿」全119話を、本日から1ヶ月の期間限定でどーんと無料公開いたします。読者登録の必要もありませんので、こちらからどんどん読よみください」(原文ママ)  さらに、佐藤は『海猿』の1話をYouTubeでも公開。「漫画のコマを1コマずつ切り取って、多少の演出や調整を行い、紙芝居風(?)に閲覧できるようになっています」と説明している。漫画のYouTubeでの公開をめぐっては、「週刊少年ジャンプ」(集英社)掲載の『ONE PIECE』などを違法に投稿したとして、著作権法違反容疑で6月に名古屋市中区の男子中学生が逮捕された。佐藤は自ら公開しているが、彼はその点についてTwitterで次のように見解を示した。 「漫画の違法アップロードが時々問題になるけど、僕は規制をするより、その影響力を宣伝等に利用したほうが建設的だと思います。規制は読者のためにも作品のためにもならないし、ならば規制する側の自己満足」  規制をすることに対しての独自の価値観を明かした佐藤。さらに、「規制が読者の為にならない、ってどういう論拠ですか?」というあるユーザーの質問には、以下のように答えた。 「違法アップロードによって、単行本の売り上げが落ちたと証明するに足るデータがないので、であれば、読者が作品に触れる機会を奪うだけですよね」 「違法であることも多いと思いますが、現行法でも著者が了承すれば合法なので、考え方次第ですね。後、お金を出した人だけを『読者』とすると、図書館の利用者も『読者』ではないことになってしまいますし、読書文化が失われれば、結果的に損失は大きいと思います」  『漫画 on Web』では、手がけた作品を1話10円から販売し、『ブラックジャックによろしく』が「モーニング」(講談社)から「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)への移籍するてん末も暴露してきた佐藤。さらに同サイトでは、『ダービージョッキー』『日本沈没』などで知られる漫画家・一色登希彦との合作漫画の製作ノートも公開するなど、漫画の新たな可能性を探っている。作品の無料公開について、ある出版社の編集者は次のように明かした。 「iPad、Kindleなど電子書籍リーダーの誕生により、出版社は未曾有の岐路に立たされる中、作品の一時的な無料公開は増えています。無料ビジネスから収益を生みだす仕組みを説いた書籍『フリー <無料>からお金を生みだす新戦略』は、1万人限定で無料公開して話題をさらい、ベストセラーとなりました。また、五木寛之の『親鸞』上巻、渡辺淳一の『死化粧』も期限付きで無料公開され、世間の耳目をさらいました。漫画界では『モーニング・ツー』(小学館)が全ページ無料試し読みを行い、一時休止していましたが、9月22日発売号から再開を決めています。一時的に無料で公開して注目を集めるのは、今後出版界でのスタンダードとなるかもしれません」  基本的なサービスを無料で提供し、さらに高度な機能を課金することでまかなうビジネスモデルである"フリーミアム"。過渡期を迎える出版界で、コミックでは12巻もある『海猿』全話を無料公開する佐藤の挑戦が、今後どのような成果をもたらすのか注目だ。 ●漫画 on WEB http://mangaonweb.com/
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【TGS2010】日本ゲーム大賞は『DQIX 星空の守り人』が3部門獲得!!

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なんという架空のゲーム食堂!
◆メジャーメーカーの大ブースがバンバン  9月16日から千葉・幕張メッセで開幕した東京ゲームショウ2010は、各メーカーとも大作ゲームをド派手に展開。ここ数年の傾向を反映して、中小が整理され、再編成が進んでいることをうかがわせる。それに伴い、業界が再び勢いを取り戻しているように映る。  セガブースは『戦場のヴァルキュリア3』など"セガっぽい"タイトルをアピールする一方で、三上真司氏(元『バイオ ハザード』シリーズプロデューサー)の監督作『ヴァンキッシュ』、いま最も俗世間への訴求要素が高い『龍が如く』シリーズを前面に押し出していた。
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キャバ嬢を両脇に従えてゾンビが威嚇してきます。
 『龍が如く OF THE END』『クロヒョウ 龍が如く 新章』の描き出す新宿ハードボイルド小説系ゴッタ煮感は健在のようで、コンパニオンのスタンダードから外れたキャバ嬢プッシュのPRも好感度大。写真を見てお分かりのようにサービス満点だ。
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右は『維新の嵐 疾風龍馬伝』の北見健プロデューサー。
左は実甘子(みかこ)氏。高杉晋作が......。
 コーエーテクモブースでは幕末&坂本龍馬ブームのさなか、アドベンチャーゲーム『維新の嵐 疾風龍馬伝』のトークイベントを開催。プロデューサー北見健氏のほか、芸能界からも幕末ファンの実甘子(みかこ)氏、雑誌「RYOMA」(主婦の友社)編集部の坂本龍馬氏(史実の人物と同姓同名!)が登壇した。  注目は現代的なキャラクターデザイン。実甘子氏が気になるという「岡田以蔵」「高杉晋作」はかなりイマ風の絵柄で描かれたイケメンになっている。NHK大河ドラマ『龍馬伝』のキャスティングや無双シリーズの登場人物を思えば驚くことではないのかもしれないが、やはり時代の要請によるものか!? 「これ誰? ボタン」でキャラのプロフィールを呼び出せるというのも、幕末の知識があやふやなユーザーには大助かり。 ◆姿勢が面白すぎるカプコン  ゲームの"外側"に気合が入っていて面白いのがカプコン。JR海浜幕張駅では改札をくぐる前の構内で"ゲームクリエイターの保護に全力で取り組むカプコンの"「ゲームクリエイター剥製展」を開催。  これはプランナー、ディレクター、ゲームエンジンプログラマー、プロジェクトマネジャーの"剥製"に扮した役者さんが静止パフォーマンスをするというもの。機械仕掛けの剥製という設定で、ボタンを押すと「心の叫び」とともに感情の発露を表現した大仰な動きを抑えめにし、ピタリと止まる演技をしていた。なお心の叫びは録音で、常に同じセリフを繰り返している。  カプコンブースはもちろん『モンスターハンターポータブル 3rd』がイチオシ。まるで集会所のような100名弱収容の「YUKUMO MURA」が出現、ビジネスデイなのに長蛇の列ができ、多くの入場者がシングルプレイ、マルチプレイを各々楽しんでいた。  野菜が並ぶ食堂? 状のセットはゲーム中の世界がそのまま具現化したようで、PSPに触れる者をハンター気分にさせてくれる。ユーザーにはうれしいもてなしだった。 ◆タイトル多すぎコナミKJP  小島秀夫監督率いる小島プロダクション(KJP)は13時からスペシャルステージを展開。『メタルギアソリッド ピース ウォーカー』のスネーク(大塚明夫)が「昭和ブルース」、カズヒラ・ミラー(杉田智和)が「港のヨーコヨコハマヨコスカ」を唱うCD「平和と和平のブルース」をはじめとする関連商品を紹介した。  「カズが下手という設定で杉田さんに唄ってもらった」と小島監督。声優界きっての異能演技派だけに、ちょっとズレたMC入りのヴォーカル曲が様々な意味で波紋を巻き起こすことは間違いなさそう。
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銃刀法違反ギリギリの刀型武器を誇示する『メタルギア ソリッド ライジング』
の松山重信プロデューサー(中央)。
右は小島秀夫監督、左は声優の菊地由美氏。
 3D版『メタルギアソリッド スネークイーター』が2011年に発売決定の報のあとは、シリーズ最新作『メタルギア ソリッド ライジング』の実演。メインウェポンが刀である今作は、対象物を斬ったあと、断面が自動生成されるのがセールスポイント。スイカやボウリングピンの断面が色鮮やかに描かれ、驚くほどリアルな切れ味が表現されていた。  さらにTGSのメインタイトルとなる『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』の紹介では、7分半にも及ぶ日本語版トレーラーを初公開。スペイン・Mercury Steam社の手になる「日本人の我々にも通じるものがある繊細なグラフィック」満載のデモが、小島監督直々の編集により、超大作映画の予告編のように生まれ変わっていた。  ホラーファンタジーアクションゲームの真祖『悪魔城ドラキュラ』が『ゴッド・オブ・ウォー』などのフォロワーに応えるべく「リ・ボーン」した新たなるキャッスルヴァニアは、大いなる話題作となりそうだ。 ◆日本ゲーム大賞に新機軸!  昨年度のビデオゲームに贈られるゲーム界最高の栄誉「日本ゲーム大賞」は誰の手に輝いたか。  「すれちがい通信」によるユーザー同士の交流が注目を浴びた『DQIX 星空の守り人』は、作品としてはベストセールス賞と優秀賞を獲得。さらに個人としてはシナリオライターの堀井雄二氏が経済産業大臣賞を授与され、見事三部門の受賞作に輝いた。  そんななか、『DQIX 星空の守り人』を含む11の優秀賞作品から大賞に選ばれたのは『NewスーパーマリオブラザーズWii』。順当と言えば順当すぎる結果だが、それには選考サイドも気がついているようで、今回から「ゲームデザイナーズ大賞」が新設された。  これはマスに向けたセールスの結果ではなく、純粋にイノベーション、独創性を評価した賞で、自身がゲームデザイナーである各選考委員に10点を与え、好きなように割り振ってもらうというやり方でスコアの集計を行った。
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『HEAVY RAIN』の冷蔵庫をあけてジュースを呑むシーンを背景に、
壇上に立つディレクターのデビッド・ケイジ氏。
 あまたあるビデオゲーム作品のなかからゲームデザイナーズ大賞に選ばれたのは、ユーザー投票70位ながら2位以下に圧倒的な差をつけて選考委員集計1位に輝いた『HEAVY RAIN~心の軋むとき~』(Quantic Dream開発)。  登場人物の心の動きを表現するためでもある細かなアイコン・アクション──車のキーを回すのももどかしく、ドライブに出るまでがひと苦労──が印象的なアドベンチャーゲーム。事故で家族関係にひびの入った父子家庭の描写から始まる、よくできた映画のように現実的で奥深いシナリオは、ゲームによるストーリーテリングの可能性を大きく切り拓いた作品だと言える。  セールス重視ではない部門賞の新設は、ゲーム業界が健全に機能していることの証かもしれない。日本ゲーム大賞選考委員長の養老孟司氏はビデオメッセージで自己評価・点検ができているゲーム業界を励まし、「自分のモチベーションを実現することがゲームをクリエイトすることだ」という言葉を残した。  まだまだゲームには可能性がある。希望を感じさせる初日だった。 (取材・文・写真=後藤 勝)
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