お色気溢れる神秘のレストランが出現 「フーターズ」日本一号店に(自腹で)突撃!

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 アメリカでは、400を超える店舗を持つ、レストランチェーン「フーターズ(Hooters)」が、ついに日本初上陸を果たした。ありきたりの外資系チェーンであれば、本サイトが記事にするまでもない。  このチェーンの価値は「お色気レストラン」であること。要は、ウェイトレスの衣装が、セクシーなのである。実際のコスチュームは白いタンクトップにオレンジのホットパンツが基本。これまで、日本のチェーンでもウェイトレスの衣装がかわいい云々は、数多くささやかれてきた。だが、それとはまったくベクトルが違う、アメリカナイズされた出し惜しみのないお色気が展開しされているのである。  アメリカでは、かなり田舎町でも店があるそうだし、アジア圏では既に韓国、台湾、シンガポールなどにも出店済み。にもかかわらず、これまで日本には出店していなかったのである。  果たして、アメリカナイズな溢れるお色気が、日本でも受け入れられるものなのか。オープンは10月25日午後5時と聞き、さっそく取材班も(自腹で)駆けつけてみることにした。 R0017931.jpg  到着したのはオープン1時間前の、午後4時。既に行列は60人余り。平日の、それも月曜日の夕方だというのに、サラリーマン風の男性の姿が目立つ。並んでいる9割は、当然男性である。サラリーマン風の男性は単独客が多く、グループ客は学生風が多いと行った感じだ。並んでいる人々に共通しているのは、なぜかやたらと、iPhone、それもiPhone4の所有率が高いこと。並んだのは1時間あまりだが、誰もがやたらとTwitterにツイートし続けていた。おまけに周囲の会話に聞き耳を立てていたら、既に近くは韓国、台湾。あるいは、アメリカ本国のフーターズ経験者が多い様子。なんとも世の中には、リビドーに正直な男性の多いことか。やはり「草食系男子」なんて、幻想の産物に過ぎない。  さて、オープニングイベント(マグカップ貰えた)とかはともかく、店内である。  まず、店に入ると既にテンションが高い。ウェイトレスがやたらと笑顔で拍手しながら出迎えてくれる!  店に入るまでは「ウェイトレスの衣装がセクシーなレストラン」程度に考えていたのだが、そうではなかった。ノリはキャバクラかガールズバーに近い。なぜなら、テーブルごとに担当のウェイトレスがつくからだ。 R0017945.jpg  椅子に座ると、ウェイトレスが「担当の○○です」と名前を書いたナプキンを、テーブルに置くのである。ちなみに「指名」も可能である。  もちろん、横に座って接待してくれるのではなく、いくつかのテーブルを兼任しているのだが、担当になったウェイトレスと、いかにその場のノリでコミュニケーションを取るかが楽しみの一つである。そうでなくては、単なるメシ屋である。  とはいっても、一人で店に来ていきなりハイテンションになるのは、ちょっとハードルが高いかもしれない。事実、単独客の座るカウンター席だけは、なぜか「お通夜」のように暗くなっていたのだ......。 R0017941.jpg  もちろん、ウェイトレスのレベルは高い。なんでも選考にあたってはダンスや英会話のスキルが問われたらしいが、容姿のハードルもかなり高かったことが伺い知れる。基本的には欧米人好みのアジアンビューティーなのだが、これが日本人に受け入れられるのか。開店初日は、金髪美女から黒い肌の黒人美女まで、日本では滅多に見ることのできないハイレベルな女性たちが揃っていた。もちろん、恐るべき迫力である。なんというか『コブラ』に出てくる、女性キャラみたいな......。太平洋戦争の敗北を素直に認めざるを得ない。  ただ残念なことも。常に外国人のウェイトレスがいるのか聞いてみたところ、 「彼女たちはトレーナーなので、一週間ほどで帰国してしまう」  というではないか。果たして、日本人だけで非日常的な空間を維持できるか、これからの課題になってくるだろう(この記事を読んで店に行こうと思った人は、お早めに)。 R0017942.jpg  ともあれ、料理もハンバーガーやらチキンやら、アメリカンスタイルな味付けにアメリカンスタイルのボリューム。これまでの日本にはなかった、新たなタイプのお色気を提供してくれる店であることには間違いない。料理の値段も1,000円前後なので、セクシーな女の子と、軽い気分で楽しい時間を過ごしたいと思えば、ガールズバーなんかよりも、よっぽど安い。オッパイとフトモモ好きな男性のみならず、まずは行ってみたほうがよい。もちろん、積極的にコミュニケーションを取らないと、暗いままに終わってしまう危険性もあるけどね。ここでウケるのは、リビドー溢れる男性しかない。ウェイトレス全員と、お友達になる気分で、突撃すべし。
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『THE OUTSIDER第13戦』伝説の横浜決戦、舞台裏密着レポート!!

os1301.jpg  リングス・前田日明主催の不良系格闘技イベント『THE OUTSIDER(アウトサイダー)第13戦』が11日、横浜文化体育館で開催された。今大会の目玉は、それぞれ5対5で行われた「アウトサイダー×在日米軍」「アウトサイダー×ZST」という豪華対抗戦の2本立て。結果は、対米軍が4勝1敗、対ZSTが1勝4敗に終わった。各試合の詳細は他媒体の報道にお任せして、日刊サイゾーでは、沖縄からはるばるやってきた在日米軍ファイターを中心に、舞台裏の選手たちの言動をレポート!
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大会に先立って、故・山本小鉄氏に黙祷が捧げられた
●対米軍・先鋒戦 三枝美洋(千葉)  vs ザ・グレート(キャンプフォスター・海軍) os1303.jpg  三枝はその昔、千葉の有名暴走族で頭を張っていた男。今でこそ更生したが、かつては札付きのワルだった。外国人との喧嘩経験もあるそうで、今回の対米軍にも臆する気配はまるでなし。  一方のザ・グレートは、果たしてどんな男なのか。自らを「偉大」と名乗るぐらいだから、相当な自信家なのだろうか。試合前の選手控え室で、ザ・グレートを直撃した。 ──ちょっとお話を聞かせてください。 「OK、構わないよ」 ──相手の三枝選手の印象は? 「ビデオで2回ほど見たけど、正直、よく分からないな。まあ、グッド・ファイターなんじゃないか」 ──三枝選手は元暴走族。グレートさんも立派な刺青が入っていますが、さてはギャングのメンバーだった? 「ノー! 僕もバイクは好きだけど、集団で走ったりはしてないなぁ。なんせ僕が育ったのはノースカロライナの片田舎。人口800人程度の小さな街だから、ギャングなんか組みようがないんだよ(笑)。バイクの他には、釣りやレスリングに夢中になった活発な少年ではあったけど、僕は決して悪ガキじゃないね」 ──ストリート・ファイトの経験は? 「そんなガキみたいなことやらないよ」 ──今日はお客さんがいっぱい入りました。この中で戦う心境は? 「イッツ・ナイス! 素晴らしい雰囲気だ。結果はどうなるか分からないけど、まあ、ぶっ倒すよ!」  しかし、試合開始早々、ザ・グレートは拳の骨折を訴えてリングから退散。  これには勝者の三枝もガッカリ。「下らない試合」と吐き捨てた。 os1304.jpg ●対米軍・次鋒戦 山田史博(神奈川)  vs ザ・ビースト(キャンプシュワブ) os1305.jpg  身長は162cmと小ぶりだが大胸筋の発達ぶりがハンパじゃない、ザ・ビースト。"アメリカン武勇伝"を期待して試合前にインタビューを試みたが......。 ──見るからに強そうですね。どういう少年時代を送ってきたのでしょう? 「7歳のときから、ハウス・クリーニングやペンキ塗りなど、いろんな肉体労働をやってきたよ。だから体が強いんだ」 ──少年時代はバッド・ボーイ? 「ノー。アイム・グッド・ボーイ」 ──本日の対戦相手の山田選手は、神奈川の暴走族の元リーダーですが。 「俺はイリノイ州のただの男さ。でも、暴走族だろうがなんだろうが、恐れることは何もないね」 ──見るからにビーストって感じの体型ですが、街で喧嘩を売られたことは? 「アイ・ウォーク・アウェイ。街で絡まれたら、相手にしない。無視して立ち去るよ(笑)」 ──ビーストさんの強さを象徴するエピソードは? 「ないね」 ──火事場から子どもを救ったとかは? 「アイム・ノット・ヒーロー。残念ながら、そんな話は一つもないよ」  受け答えは終始淡々。米軍に帯同している通訳からも「彼はチームの中で一番クール」と評された、ザ・ビースト。  しかし、いざ試合が始まると興奮状態で大暴走。力任せのスープレックスで山田をブン投げたまではいいが、禁止されている頭部へのヒザ蹴りを見舞ってしまい、あっという間の反則負け(山田は眼窩底骨折)。試合には敗れたが、ビーストという看板に偽りがないことを証明した。
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勝者・山田に笑顔なし......。
●対米軍・中堅戦 黒石高大(神奈川)  vs サンボ(嘉手納基地・空軍) os1307.jpg  黒石は大会直前の記者会見でこう語っていた。「米軍や外人が強いというのは単なる幻想。あんなの全然強くない」と。この言葉をそのまま伝えたら、対戦相手はどのようなリアクションをするだろう? 試合前のサンボを直撃! ──対戦を控えた今の心境をお聞かせください。 「リラックスしているよ。とても楽しみ」 ──昨晩は何をした? 「米軍チームのみんなでダーツバーに行ったよ。楽しかった」 ──今日の対戦相手の黒石選手は横浜のギャングのリーダーだが、彼と戦う恐怖心は? 「別に。ギャングは見慣れてるから」 ──というのは? 「俺はメキシコ系アメリカ人3世なんだけど、まわりにギャングのメンバーがいっぱいいたんだよ。俺は一味じゃないけどね」 ──ご出身は? 「テキサス。正直、あまり治安のいいエリアじゃなかった。俺も高校時代ぐらいまではしょっちゅう喧嘩していたよ」 ──喧嘩の戦績は? 「ほとんど負けたことがないな。俺、フットボールやってたから、背は低い(173cm)けど強いんだよ」 ──「米軍なんか強くない」と黒石選手は言ってますが。 「ハハッ。いいんじゃない? 人にはそれぞれ意見があって」  と、サンボは余裕綽々の構え。  一方、試合直前の黒石はというと、バックステージの椅子に腰掛け、鬼気迫る表情で精神集中。声をかけられる雰囲気ではなかった。会場の横浜は黒石の地元であるため、絶対に負けられないというプレッシャーと戦っているように見えた。  その気迫の差が勝敗を分けたのだろうか。ゴングが鳴ると黒石は、膝蹴りの連打でサンボを秒殺KO。爽快極まりない形でアウトサイダー軍の勝ち越しを決めた。 os1308.jpg  続く副将の庵野隆馬(神奈川)もメイヘム(嘉手納基地・空軍)を下し、「完封なるか」という期待も高まったが、最後の最後にアメリカの怪物が待ち受けていた......! ●対米軍・大将戦 出田源貴(福岡)  vs ライオン(キャンプフォスター・海軍) os1309.jpg  自らを「百獣の王」と名乗るだけのことはある。なにしろゴツい。そして怖い。控え室でのオーラは別格だ。  試合直前、米軍の大将・ライオンに恐る恐る近付いてインタビューを試みた。 ──いやはや、とんでもなく太い腕をしてますね。 「腕周りは20インチ(約51センチ)。ちなみに胸囲は54インチ(約137センチ)だ」 ──その見事なボディーはどうやって手に入れた? 「フロリダで3年間やったパワー・リフティング。それがベースだね。あとはプロテイン」 ──ストリート・ファイトの経験は? 「アメリカにいたころは、しょっちゅうやったな」 ──結果は? 「オール・ウィン! 全勝さ」 ──さすがライオン。今日の抱負は? 「ボクシングでぶちのめす!」 ──出田選手の情報は? 「相手が誰だろうが関係ない。ぶちのめす!」  一方の出田は試合前にこう語った。「外国人とやるのは初めて。正直、怖いです」。とかなんとか言いつつ勝ってしまうのがいつも出田なのだが、この日はまったく勝負にならず、ライオンの餌食となってしまった。一方的に殴られ続け、立ったまま失神状態に追い込まれた出田は、タンカで運ばれ病院送りに......。  弱肉強食の掟に従い出田をたいらげたライオンは、試合後、涼しい顔でこう語った。 「出田はパンチが遅すぎる。柔道のテクニックはあるのかもしれないけど、打撃がダメだな」  この男を倒せる日本人アウトサイダーは果たしているのだろうか......?  米軍との対抗戦は4勝1敗に終わったが、パワーの差をまざまざと感じる場面も多く、手放しでは喜べない団体戦勝利となった。 os1310.jpg ●対ZST・副将戦 アパッチ小次郎(福岡)  vs 島村裕(ZST) os1311.jpg  アウトサイダーのエース級を惜しみなく投入した、プロ団体ZSTとの対抗戦。結果は1勝4敗。唯一、プロに土をつけたのは、「勝っても負けてもアウトサイダーは引退」と宣言していた34歳のアパッチ小次郎だ。自らもフラフラになりながら、三度のダウンを奪う劇的勝利。精も根も尽き果てたのか、試合後のアパッチは歩くのもままならず、客席の床に倒れ込んだまま号泣した。  待つこと10分。泣きやんだアパッチに話を聞く。 ──すごい試合でしたね。 「......(相手が)強かった。でも勝てた」 ──涙のワケは? 「セコンドの声、リングサイドの選手の声、お客さんの声が試合中ずっと聞こえてきたから......。何度も心が折れそうになったけど、みんなの声があったおかげで、なんとかやれました」 ──「今日でアウトサイダーは最後」とのことですが、勝ったから続けたくなるのでは? 「いや、勝っても負けてもやめると決めてました。格闘技そのものはやめませんが」 ──今日はこのあとはどうするんですか? 「飛行機で九州に帰ります。いま何時ですか? ヤバい! 急いで帰らないと!」  本当に急いで帰ってしまったらしく、表彰式には不参加だったアパッチ。サイゾー賞を含む4賞は代理人に手渡された。おめでとう! そして、さようなら!
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アパッチの雄たけびに場内総立ち!
 次回アウトサイダーは12月4日(土)、東京・ディファ有明にて開催決定。チケット購入、選手募集などの詳細はリングス公式サイト(http://www.rings.co.jp)にてご確認あれ! (取材・文/岡林敬太)
THE OUTSIDER PHOTO BOOK DAMMIT! これが闘う男の背中。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 不良vs.米軍、不良 vs. ZST──11日開催の「THE OUTSIDER第13戦」が熱すぎる! 「ボコボコにしてから、ブスッと」"アウトローのカリスマ"瓜田純士が吼える! 『THE OUTSIDER第12戦』リングの上も観客席も怒号の嵐! 舞台裏完全密着レポ

『THE OUTSIDER第13戦』伝説の横浜決戦、舞台裏密着レポート!!

os1301.jpg  リングス・前田日明主催の不良系格闘技イベント『THE OUTSIDER(アウトサイダー)第13戦』が11日、横浜文化体育館で開催された。今大会の目玉は、それぞれ5対5で行われた「アウトサイダー×在日米軍」「アウトサイダー×ZST」という豪華対抗戦の2本立て。結果は、対米軍が4勝1敗、対ZSTが1勝4敗に終わった。各試合の詳細は他媒体の報道にお任せして、日刊サイゾーでは、沖縄からはるばるやってきた在日米軍ファイターを中心に、舞台裏の選手たちの言動をレポート!
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大会に先立って、故・山本小鉄氏に黙祷が捧げられた
●対米軍・先鋒戦 三枝美洋(千葉)  vs ザ・グレート(キャンプフォスター・海軍) os1303.jpg  三枝はその昔、千葉の有名暴走族で頭を張っていた男。今でこそ更生したが、かつては札付きのワルだった。外国人との喧嘩経験もあるそうで、今回の対米軍にも臆する気配はまるでなし。  一方のザ・グレートは、果たしてどんな男なのか。自らを「偉大」と名乗るぐらいだから、相当な自信家なのだろうか。試合前の選手控え室で、ザ・グレートを直撃した。 ──ちょっとお話を聞かせてください。 「OK、構わないよ」 ──相手の三枝選手の印象は? 「ビデオで2回ほど見たけど、正直、よく分からないな。まあ、グッド・ファイターなんじゃないか」 ──三枝選手は元暴走族。グレートさんも立派な刺青が入っていますが、さてはギャングのメンバーだった? 「ノー! 僕もバイクは好きだけど、集団で走ったりはしてないなぁ。なんせ僕が育ったのはノースカロライナの片田舎。人口800人程度の小さな街だから、ギャングなんか組みようがないんだよ(笑)。バイクの他には、釣りやレスリングに夢中になった活発な少年ではあったけど、僕は決して悪ガキじゃないね」 ──ストリート・ファイトの経験は? 「そんなガキみたいなことやらないよ」 ──今日はお客さんがいっぱい入りました。この中で戦う心境は? 「イッツ・ナイス! 素晴らしい雰囲気だ。結果はどうなるか分からないけど、まあ、ぶっ倒すよ!」  しかし、試合開始早々、ザ・グレートは拳の骨折を訴えてリングから退散。  これには勝者の三枝もガッカリ。「下らない試合」と吐き捨てた。 os1304.jpg ●対米軍・次鋒戦 山田史博(神奈川)  vs ザ・ビースト(キャンプシュワブ) os1305.jpg  身長は162cmと小ぶりだが大胸筋の発達ぶりがハンパじゃない、ザ・ビースト。"アメリカン武勇伝"を期待して試合前にインタビューを試みたが......。 ──見るからに強そうですね。どういう少年時代を送ってきたのでしょう? 「7歳のときから、ハウス・クリーニングやペンキ塗りなど、いろんな肉体労働をやってきたよ。だから体が強いんだ」 ──少年時代はバッド・ボーイ? 「ノー。アイム・グッド・ボーイ」 ──本日の対戦相手の山田選手は、神奈川の暴走族の元リーダーですが。 「俺はイリノイ州のただの男さ。でも、暴走族だろうがなんだろうが、恐れることは何もないね」 ──見るからにビーストって感じの体型ですが、街で喧嘩を売られたことは? 「アイ・ウォーク・アウェイ。街で絡まれたら、相手にしない。無視して立ち去るよ(笑)」 ──ビーストさんの強さを象徴するエピソードは? 「ないね」 ──火事場から子どもを救ったとかは? 「アイム・ノット・ヒーロー。残念ながら、そんな話は一つもないよ」  受け答えは終始淡々。米軍に帯同している通訳からも「彼はチームの中で一番クール」と評された、ザ・ビースト。  しかし、いざ試合が始まると興奮状態で大暴走。力任せのスープレックスで山田をブン投げたまではいいが、禁止されている頭部へのヒザ蹴りを見舞ってしまい、あっという間の反則負け(山田は眼窩底骨折)。試合には敗れたが、ビーストという看板に偽りがないことを証明した。
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勝者・山田に笑顔なし......。
●対米軍・中堅戦 黒石高大(神奈川)  vs サンボ(嘉手納基地・空軍) os1307.jpg  黒石は大会直前の記者会見でこう語っていた。「米軍や外人が強いというのは単なる幻想。あんなの全然強くない」と。この言葉をそのまま伝えたら、対戦相手はどのようなリアクションをするだろう? 試合前のサンボを直撃! ──対戦を控えた今の心境をお聞かせください。 「リラックスしているよ。とても楽しみ」 ──昨晩は何をした? 「米軍チームのみんなでダーツバーに行ったよ。楽しかった」 ──今日の対戦相手の黒石選手は横浜のギャングのリーダーだが、彼と戦う恐怖心は? 「別に。ギャングは見慣れてるから」 ──というのは? 「俺はメキシコ系アメリカ人3世なんだけど、まわりにギャングのメンバーがいっぱいいたんだよ。俺は一味じゃないけどね」 ──ご出身は? 「テキサス。正直、あまり治安のいいエリアじゃなかった。俺も高校時代ぐらいまではしょっちゅう喧嘩していたよ」 ──喧嘩の戦績は? 「ほとんど負けたことがないな。俺、フットボールやってたから、背は低い(173cm)けど強いんだよ」 ──「米軍なんか強くない」と黒石選手は言ってますが。 「ハハッ。いいんじゃない? 人にはそれぞれ意見があって」  と、サンボは余裕綽々の構え。  一方、試合直前の黒石はというと、バックステージの椅子に腰掛け、鬼気迫る表情で精神集中。声をかけられる雰囲気ではなかった。会場の横浜は黒石の地元であるため、絶対に負けられないというプレッシャーと戦っているように見えた。  その気迫の差が勝敗を分けたのだろうか。ゴングが鳴ると黒石は、膝蹴りの連打でサンボを秒殺KO。爽快極まりない形でアウトサイダー軍の勝ち越しを決めた。 os1308.jpg  続く副将の庵野隆馬(神奈川)もメイヘム(嘉手納基地・空軍)を下し、「完封なるか」という期待も高まったが、最後の最後にアメリカの怪物が待ち受けていた......! ●対米軍・大将戦 出田源貴(福岡)  vs ライオン(キャンプフォスター・海軍) os1309.jpg  自らを「百獣の王」と名乗るだけのことはある。なにしろゴツい。そして怖い。控え室でのオーラは別格だ。  試合直前、米軍の大将・ライオンに恐る恐る近付いてインタビューを試みた。 ──いやはや、とんでもなく太い腕をしてますね。 「腕周りは20インチ(約51センチ)。ちなみに胸囲は54インチ(約137センチ)だ」 ──その見事なボディーはどうやって手に入れた? 「フロリダで3年間やったパワー・リフティング。それがベースだね。あとはプロテイン」 ──ストリート・ファイトの経験は? 「アメリカにいたころは、しょっちゅうやったな」 ──結果は? 「オール・ウィン! 全勝さ」 ──さすがライオン。今日の抱負は? 「ボクシングでぶちのめす!」 ──出田選手の情報は? 「相手が誰だろうが関係ない。ぶちのめす!」  一方の出田は試合前にこう語った。「外国人とやるのは初めて。正直、怖いです」。とかなんとか言いつつ勝ってしまうのがいつも出田なのだが、この日はまったく勝負にならず、ライオンの餌食となってしまった。一方的に殴られ続け、立ったまま失神状態に追い込まれた出田は、タンカで運ばれ病院送りに......。  弱肉強食の掟に従い出田をたいらげたライオンは、試合後、涼しい顔でこう語った。 「出田はパンチが遅すぎる。柔道のテクニックはあるのかもしれないけど、打撃がダメだな」  この男を倒せる日本人アウトサイダーは果たしているのだろうか......?  米軍との対抗戦は4勝1敗に終わったが、パワーの差をまざまざと感じる場面も多く、手放しでは喜べない団体戦勝利となった。 os1310.jpg ●対ZST・副将戦 アパッチ小次郎(福岡)  vs 島村裕(ZST) os1311.jpg  アウトサイダーのエース級を惜しみなく投入した、プロ団体ZSTとの対抗戦。結果は1勝4敗。唯一、プロに土をつけたのは、「勝っても負けてもアウトサイダーは引退」と宣言していた34歳のアパッチ小次郎だ。自らもフラフラになりながら、三度のダウンを奪う劇的勝利。精も根も尽き果てたのか、試合後のアパッチは歩くのもままならず、客席の床に倒れ込んだまま号泣した。  待つこと10分。泣きやんだアパッチに話を聞く。 ──すごい試合でしたね。 「......(相手が)強かった。でも勝てた」 ──涙のワケは? 「セコンドの声、リングサイドの選手の声、お客さんの声が試合中ずっと聞こえてきたから......。何度も心が折れそうになったけど、みんなの声があったおかげで、なんとかやれました」 ──「今日でアウトサイダーは最後」とのことですが、勝ったから続けたくなるのでは? 「いや、勝っても負けてもやめると決めてました。格闘技そのものはやめませんが」 ──今日はこのあとはどうするんですか? 「飛行機で九州に帰ります。いま何時ですか? ヤバい! 急いで帰らないと!」  本当に急いで帰ってしまったらしく、表彰式には不参加だったアパッチ。サイゾー賞を含む4賞は代理人に手渡された。おめでとう! そして、さようなら!
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アパッチの雄たけびに場内総立ち!
 次回アウトサイダーは12月4日(土)、東京・ディファ有明にて開催決定。チケット購入、選手募集などの詳細はリングス公式サイト(http://www.rings.co.jp)にてご確認あれ! (取材・文/岡林敬太)
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豊作ズラリの3D映画 この秋おススメの厳選3本はこれだ!

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(c)2009 TWENTIETH CENTURY FOX
 新世代のデジタル方式による3D映画の上映が徐々に増え始め「3D映画元年」と呼ばれた昨年、そして家電業界では主要メーカーが相次いで3D対応テレビを売り出し「3Dテレビ元年」とも称される今年。さらにゲームやモバイル分野にも3Dコンテンツの波は広がり続け、見る側の目も肥えてきた。そうした観客の期待に応えるべく、制作段階から3Dの演出をしっかり念頭に入れて撮影し、適切な編集や視覚効果を加える作品が増えてきたことで、3D映画全体の質も着実に向上している。   この秋、3D映画を語るならまず、新世代3D映画ブームの立役者であり映画史上最高のヒットメーカーであるジェームズ・キャメロン監督の『アバター 特別編』(20世紀フォックス映画配給、公開中)は外せない。これは昨年末に公開されるや世界各国で特大ヒットを記録し(世界興収約2390億円)、前作『タイタニック』(97年)で10年以上破られなかった世界興収歴代1位の記録を自ら更新したSFアクション超大作『アバター』に、約9分の未公開映像を追加して新たに公開されるもの。衛星パンドラの瑞々しいジャングルに息づくバラエティー豊かな動植物、主人公が「アバター」となって先住民ナヴィに導かれ体験する冒険とロマンス、そして人間対ナヴィの壮絶な戦い。新たに加えられたシーンにより物語の深みが増したおかげで、壮大な世界観と一体化した3D映像に没入する感覚を一層楽しめるようになっている。  3Dアニメ映画の新作では、米興収で3D映画史上歴代5位に躍り出た大ヒット作『怪盗グルーの月泥棒 3D』(東宝東和配給、10月29日公開)がオススメ。バナナから作った小さな手下「ミニオン」たちと共に月を盗もうと企む意地悪な怪盗グルーが、孤児院育ちの幼い三姉妹に出会ったことで、人生の大きな転機を迎えるというストーリー。ファミリー向けの作りではあるが、ジェットコースターのシーンに代表されるように、アトラクション感覚一杯の躍動的な3D映像は大人の鑑賞にも十分堪えるクオリティーだ。  邦画で健闘が期待されるのは、雨宮慶太監督による特撮テレビシリーズの3D劇場版『牙狼<GARO> RED REQUIEM』(東北新社+ゴー・シネマ配給、10月30日公開)。人間の邪心にとりつく魔獣「ホラー」と戦う魔戒騎士(小西遼生)の活躍を描く。予算や日程の都合により通常のカメラで撮影した映像をポストプロダクションで3D変換する作品も多い中、本作は撮影からステレオカメラを用いた「リアル3D」が売り。テレビドラマ時代から話題を呼んだスタイリッシュなVFXと相まって、オリジナリティあふれる3Dアクション娯楽作に仕上がっている。  さらに、この週末から始まる東京国際映画祭の特別招待作品として24分のスペシャル・プレゼンテーション映像が上映される『トロン:レガシー』(ディズニー配給)も、12月17日の公開が待ち遠しい注目作。クールに構築された仮想空間のデザインとスタイリッシュなアクションを垣間見せるフッテージを試写やイベントなどで鑑賞した業界人やファンたちから、「『アバター』を超える3D映像」との呼び声も高い。  質の高い3D映画が豊作のこの秋。ぜひ映画館でお気に入りの作品に出会い、じっくりと味わっていただきたい。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 『アバター 特別編』作品情報 <http://eiga.com/movie/55658/> 『怪盗グルーの月泥棒 3D』作品情報 <http://eiga.com/movie/55464/> 『牙狼<GARO> RED REQUIEM』作品情報 <http://eiga.com/movie/55382/> 『トロン:レガシー』作品情報 <http://eiga.com/movie/55210/>
アバター ブルーレイ版エクステンデッド・エディション まだ見てないけど、もはやもういい。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 "3D映画元年" 巨匠キャメロンが満を持して挑むSF大作『アバター』 ドリームワークス歴代トップ評価を獲得! 3Dファンタジー『ヒックとドラゴン』 3Dで臨場感が倍増! 手に汗握る格闘シーン満載『バイオハザードIV』

"東京国際映画祭"サイゾー流裏ガイド 虫食い、毒ガエルなど味な珍品に注目!

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東京国際映画祭「コンペティション」のプログラミング・ディレクター・矢田部吉彦氏。
フランス生まれのスイス育ちで、元銀行員というユニークな経歴の持ち主だ。
 「第23回東京国際映画祭」が10月23日(土)~31日(日)、六本木ヒルズで開催される。上映作品約200本と国内最大の映画祭だが、「国際映画祭にしてはゲストが地味」「どれが面白い作品か、よく分かんない」などと言われることも。そこで、実際そこんとこどーなのよ、と映画祭スタッフへぶっちゃけインタビューを敢行することに。映画祭のメーン企画である「コンペティション」のプログラミング・ディレクターであり、「WORLD CINEMA」の選定、他にも「日本映画・ある視点」「natural TIFF」の選考にも関わっている矢田部吉彦氏に、映画祭について根掘り葉掘り聞いてみた。これを読めば、映画祭への興味が俄然湧いてくるはず!? ──依田巽チェアマンが「3年で3大映画祭に追いつく」と公約して3年目を迎えましたが、公約は実現できそうでしょうか? 矢田部吉彦氏(以下、矢田部) う~ん、依田チェアマンの発言はですね、公約というよりも、東京国際映画祭(TIFF)として大きな目標を持とう、ということだと受け止めています。なぜ3大映画祭があれほど映画界で敬意を払われているかというと、歴史があるということなんです。カンヌ、ベネチア、ベルリンとどれも60年以上の歴史を持っています。映画祭って、ものすごくお金がかかるし、手間も労力も要する。それを3大映画祭は半世紀以上続けているわけですから、大変なことですよ。TIFFも20回を越え、映画祭としてなかなかの時期にきていると思います。それに3大映画祭と言っても、実際はカンヌの人気が独走している状況で、カンヌの次には9月に開催されるトロント国際映画祭が業界的には重要視されており、もう3大映画祭という括りはあまり意味がないんです。そういう中で、TIFFも先行する映画祭に少しでも追いつこうということで、依田チェアマンは発言されたんだと思っています。 ──「コンペティション」では、第11回『オープン・ユア・アイズ』(97)、第13回『アモーレス・ペロス』(00)がグランプリ受賞、第15回『シティ・オブ・ゴッド』(02)などの秀作が上映されてきましたが、最近のコンペ作品は地味になっていませんか?
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「WORLD CINEMA」の『エッセンシャル・
キリング』はヴィンセント・ギャロ主演。
よゐこの濱口しかり、サバイバルに強い男は
女性にモテる?
矢田部 ボク自身は映画を見るにあたって、地味か派手かといった見方はしておらず、クオリティーの高さを求めています。でも、ご指摘のとおり、ボクがコンペティションのセレクションをするようになって4年目ですが、「コンペティション全体は粒ぞろいになったけど、作品は小粒になった」と言われているのは確かです(苦笑)。そこで今年はクオリティーは下げずに、粒の大きめな作品も意識的に選んでいます。ぜひ、世界76国832本の中から選び抜いたコンペティション15作品を1本でも見てほしいですね。理想を言えば、コンペティションの15本すべてTIFFで全世界初上映となるワールドプレミアならいいんですが、現実的にはそれは難しい。10月のTIFFに出品してくれと頼んでも、「いや、9月のベネチア映画祭に出品することが決まっているから」「もう少し待って、2月のベルリン映画祭に出そうと思う」など断られてしまう(苦笑)。そこはまだまだTIFFの弱いところです。そこでトロント国際映画祭はコンペティションを持たない映画祭なので、トロントでワールドプレミア上映される作品を、アジアプレミアという形でTIFFに持ってきたりしています。 ──10月開催という時期が、そもそも厳しいわけですよね? 矢田部 確かにそうです。でも、依田チェアマンが「世界に映画祭は数千ある」と会見で話していたかと思いますが、そう考えると、どの時期にやっても同じですね。1月開催にすれば、もっとベルリン映画祭に作品が流れるし、4月開催ならカンヌ映画祭の影に隠れてしまいます。どの時期にやっても難しい。なら、10月でやれるベストを尽くそうということです。10月は釜山国際映画祭もありますが、作品が重ならないようにしています。釜山のプログラミング・ディレクターとは仲が良いので、作品を奪い合って険悪な関係になるようなことはないです(笑)。11月には同じ東京で、東京フィルメックスも開催されますが、個人的志向に走れば、ボクもフィルメックスのような作品選びになるだろうなぁと思いますね。逆にTIFFはフィルメックスとはテイストや規模感の異なるものを入れようと考えています。フィルメックスのプログラミング・ディレクターはすごく楽しいと思いますよ。コアな映画ファンの期待に応えるシネフィル的な作品を上映するのは、とても楽しい作業。でも映画人口を少しでも増やし、すそ野を広げ、映画業界の人材の循環を活性化させることも映画祭の大事な使命なので、TIFFではその部分を強く意識しています。岡田准一主演の『SP野望編』やデヴィッド・フィンチャー監督の『ソーシャル・ネットワーク』を観に来た人が、ついでにコンペティション作品も見て「へぇ、意外と面白いじゃない」と思ってもらいたいんです。 ■09年の『ザ・コーヴ』に続く話題作はコレだ! ──TIFFというと、どうしてもマジメな作品が上映されているイメージがあるんですが、好奇心旺盛な日刊サイゾーのユーザーが食いつきそうなひねりの効いた作品をぜひ教えてください。 矢田部 分かりました、とんがりミーハーな方たちが興味を持つ作品を選びましょう(笑)。「特別招待作品」では草刈正雄さんが殺し屋に扮した『歌うヒットマン!』はどうでしょうか? ミュージカルで3Dという摩訶不思議さが評判になっていて、前売り券の売れ行きがいいんです(笑)。「WORLD CINEMA」ではロマン・ポランスキー監督の『ゴースト・ライター』は見応えのある政治サスペンスで、『スター・ウォーズ』シリーズのユアン・マクレガーが主演です。ヴィンセント・ギャロ主演の『エッセンシャル・キリング』もお勧めです。テロリスト役のギャロがCIAに追われる逃走劇なんですが、冬山の中で飢えたギャロが木の皮を剥いで食べたり、地面を掘って虫を捕まえて食べたりするサバイバルものです。これなんかサイゾー的にストライクじゃないですか(笑)。 ──ヴィンセント・ギャロが虫を食う! これは見てみたいですねぇ。矢田部ディレクターが直接担当するコンペティションのお勧めも教えてください。 矢田部 コンペティションのどれを見ればいいのか分からないという人に、まず見てほしいのが『サラの鍵』ですね。ユダヤ人のホロコーストを題材にしたものですが、フランスでもフランス人がユダヤ人を迫害していたというリアル・ドラマです。もうひとつ、『ビューティフル・ボーイ』もシビアですが、重厚な人間ドラマです。大学構内で起きた銃乱射事件を加害者である少年の親の立場から描いたもの。『クィーン』(06)でブレア首相をそっくりに演じたマイケル・シーンが熱演しており、ぐいぐい引き込まれます。若手女優で選ぶなら、『わたしを離さないで』。キーラ・ナイトレイも出演していますが、『17歳の肖像』(09)で今年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたキャリー・マリガンがメチャメチャかわいいんです。彼女は日本人が好きなタイプでしょう。
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「コンペティション」の『わたしを離さないで』。
キャリー・マリガン(手前)は現在25歳だが、
童顔なので10代の学生役にぴったり。
(c)2010 Twentieth Century Fox Film Corporation.
All Rights Reserved.
──童顔のキャリー・マリガンは、ロリ系好きは見逃せませんね。 矢田部 まぁ、そういう下世話な気持ちを持つことが申し訳なくなるような、ピュアな青春ドラマですよ(笑)。カズオ・イシグロの同名小説が原作で、彼女たちの暮らす寄宿学校には秘密が隠されていて、クライマックスにはドンデン返しが待っています。若手女優なら、日本の『海炭市叙景』の谷村美月も素晴らしい演技を見せています。もう1本、日本の作品である『一枚のハガキ』も是非ものです。今年98歳になる新藤兼人監督は「これが最後の作品」と公言しており、来場していただくことになっています。大ベテラン監督の来場は、それ自体がもう事件じゃないですか。 ──昨年、追加上映され大きな波紋を呼んだ『ザ・コーヴ』のような衝撃作はありませんか? 矢田部 毎年『ザ・コーヴ』みたいな作品があるのも考えものですけどね(苦笑)。でも、配給が難しいような問題作でも臆せずに上映するのが映画祭の醍醐味です。そうですねぇ、『ザ・コーヴ』級の衝撃作は、「natural TIFF」の『そのカエル、最凶につき』かな。オーストラリアで害虫駆除のために輸入された外来種のカエルを追ったドキュメンタリーなんですが、最初は100匹程度だったカエルが害虫を食べず、しかも民家を襲撃し、今やオーストラリアの半分を占めるまで異常繁殖した様子を数年掛けて追ったものです。そのカエルは毒性があり、噛んだ犬が死んでしまうほど。毒ガエルが異常繁殖している様子が大スクリーンに映し出されるので、これはかなりの迫力です。カエルが苦手な方は観ないほうがいいでしょうね。
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「natural TIFF」の注目作『そのカエル、
最凶につき』。異常繁殖した毒ガエルの
恐怖を描いたドキュメンタリーだ。
(c)Radio Pictures P/L and Screen Australia
■映画祭にまつわる"お金"の話 ──矢田部ディレクターの話を聞いていると、どれも面白そう。チラシやHPの淡々とした味気ない解説文はどうにかなりませんか? 矢田部 限られた文字数では、なかなか作品の面白さを伝えられずにいるかもしれませんね。PRの仕方はTIFFとして考えるようにしますし、ボクももっといろんな機会に宣伝に努めるようにします。 ──近年はすっかり海外のスターの来日が減ってしまい、華やかさに欠ける点はどう考えていますか? 矢田部 ハリウッドスターなどの招聘は映画祭側ではなく、メジャー系の配給会社が作品のプロモーションを兼ねて担当しており、ボクからは何とも言いにくいんですが、大物スターの来日とハリウッドの話題作の日本でのプレミア上映が減ってしまった原因は海賊版防止とセキュリティー対策なんですね。海賊版の流出を防ぐため、日米同時公開が増え、日本での事前のプロモーションができなくなってしまった。この秋にジュリア・ロバーツやトム・クルーズ、キャメロン・ディアスらが来日しましたが、公開直前に来日してテレビ取材だけ受けて帰るというパターンが最近は定着しています。とは言え、映画祭には華やかさは必要です。ゲストの招聘は考え直す時期に来ていますね。配給会社に委ねるのではなく、映画祭が独自のゲストを招くなど検討すべきでしょう。でも、TIFFがプライベートジェットを用意できるのか、いやそのくらいするべきだなどの議論がTIFF内で起きるでしょうね。 ──ウィキペディアに「予算13億円」と記述されていますが、映画祭ってお金が掛かるもんなんですねぇ。 矢田部 13億円!? いやいや、多分その半分ぐらいだと思いますよ。13億円もあれば、もっと豪華な映画祭になっています。プライベートジェットにリッツ級の最高級ホテルを用意すると言えば、来てくれるゲストは増えるでしょう(笑)。TIFFは海外の映画祭と比べても国からの援助の割合は決して多くないんですよ。でも、今のTIFFで13億円も使われていると思われているなら、成功していると言えそうですね(笑)。やはり映画祭はお金が掛かります。シネコンを丸ごと貸し切るわけですし、コンペティションの作品も英語字幕、日本語字幕を付けるのに1本につき100万円程度かかります。フィルムを15本用意するだけで、単純に1,500万円ですからね。 ──04~08年には「黒澤明賞」なる功労賞がありましたが、第1回の受賞者としてスピルバーグ監督に賞金10万ドルを贈っていましたよね。スピルバーグに1,000万円あげても、まったく無意味だったんじゃないですか? 矢田部 「黒澤明賞」にはボクはタッチしていなかったので、詳しいことは分かりませんが、先ほど話した映画祭独自に海外の大物スターを呼ぼうというトライアルのひとつだったんじゃないでしょうか。確かにスピルバーグ監督にとって1,000万円は、ほんのポケットマネーでしょうね。それに、スピルバーグ監督は来日してくれなかった。きっと、担当者は映画祭ギリギリまで来日するよう交渉していたんじゃないかと思います。でも、映画祭に功労賞みたいな賞は今後もあったほうがいいでしょうね。
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"生誕70年記念"としてブルース・リー主演作
『燃えよドラゴン』『ブルース・リー死亡遊戯』も上映。
ブルース・リー信者が多数ゲストとして登壇する模様。
(c) 2010 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved
──矢田部ディレクターは手堅い銀行員から転職して、映画祭の仕事に関わるようになったわけですが、年間500~800本もの映画を見る今の仕事は大変では? 矢田部 銀行には10年ほど勤めていたんですが、それはもう毎日がイヤでイヤで仕方なく、鬱屈した日々だったんです。映画はずっと好きで、海外駐在中に「こんなに面白い映画があるのに、なんで日本で公開されないんだろう」と思ったのが、この仕事に就いたきっかけですね。でも、「趣味は仕事にしないほうがいいんじゃないか」「今の仕事から逃げ出したいだけじゃないのか」と3年くらい悩みました。それを考えると、今のように映画を見てメシが食えるなんて夢のようです(笑)。自宅で延々とDVDを見るのはちょっとしんどいですけど、出張で海外の映画祭に出向き、朝から夜までずっと映画を見続けるのは楽しくて仕方ないですねぇ。映画祭も組織として動いているので会社員を経験できたことはプラスだと思っていますし、あの鬱屈した10年間があったので、映画祭の仕事を突っ走ることができているように思いますね(笑)。ひとりでも多くの方に映画祭に関心を持ってもらい、劇場で映画を見る楽しさを知ってもらえればと考えています。ぜひ、会場に足を運んでみてください。 (取材・文=長野辰次) ●やたべ・よしひこ フランス生まれ、スイス育ち。日本興業銀行(現みずほ銀行)を退職後、佐藤真監督のドキュメンタリー映画『阿賀に生きる』(92)のプロデュース、フランス映画祭の運営などを経験。東京国際映画祭には2002年から参加し、04~06年は「日本映画・ある視点部門」のプログラミング・ディレクターを担当し、舞台あいさつ、Q&Aなどの司会進行も手掛ける。07年から「コンペティション」のプログラミング・ディレクターに就任。また、海外の映画祭で受賞するなど話題になりながらも日本での公開が決まっていない秀作を集めた「WORLD CINEMA」を発案、企画するなど映画祭の改善、改良に努めている。 ●東京国際映画祭 公益財団法人ユニジャパンが主催する国際映画祭。1985年に第1回が開催され、これまでに『タイタニック』(97)のワールドプレミアが開かれるなどで話題を集めた。依田巽チェアマンが就任した08年から映画祭初日のレッドカーペットがリサイクル素材によるグリーンカーペットに変わり、定着している。映画祭の中心となる「コンペティション」は世界各国から公募された作品の中から厳選された15作品が競い、「東京サクラグランプリ」「審査員特別賞」「最優秀監督賞」「最優秀女優賞」「最優秀男優賞」「最優秀芸術貢献賞」が最終日のクロージング・セレモニーで発表される。今年は10月23日(土)~31日(日)、六本木ヒルズのTOHOシネマズ六本木ヒルズをメーン会場に開催される。 <http://www.tiff-jp.net>
こんなに楽しく面白い世界のファンタスティック映画祭 ファン! タス! ティック! amazon_associate_logo.jpg
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ここまでやるか!! 娯楽アクション映画の金字塔『エクスペンダブルズ』

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(c)2010 ALTA VISTA PRODUCTIONS, INC
 当代最高のアクションスターたちが結集した「消耗品軍団」が、ついに日本への上陸作戦を決行する! アクション超大作『エクスペンダブルズ』(松竹配給、10月16日公開)は、監督・脚本・主演のシルベスター・スタローンが、友人のアクション俳優やプロの総合格闘家らに自ら出演を呼びかけ、宿年のライバル同士だったアーノルド・シュワルツェネッガーとの初共演を含め、ブルース・ウィリス、ジェット・リー、ジェイソン・ステイサム、ミッキー・ローク、ドルフ・ラングレンといった錚々たる顔ぶれの競演が実現した奇跡のオールスターキャスト映画だ。  「エクスペンダブルズ」(消耗品軍団)とは、バーニー(スタローン)が率いる凄腕ぞろいの傭兵部隊。ソマリアの武装海賊を討伐し、人質救出作戦を鮮やかに完遂した彼らのもとに、チャーチと名乗る謎の男(ウィリス)から仕事の依頼が入る。それは、南米の軍事独裁国家ヴィレーナで非人道的な圧政を敷く将軍の殺害という困難な仕事。現地に赴いたエクスペンダブルズを待ち受けていたのは、屈強な軍隊とのかつてなく危険で過酷な死闘だった......。  『ロッキー』『ランボー』という2大人気シリーズでアメリカを代表するアクションスターとなったスタローン。CGやワイヤーを多用する今どきのアクション映画に喝を入れるかのように、本作ではリアルな肉弾戦に徹底してこだわった。自身も元プロレスラーのスティーブ・オースティンとの格闘シーンで首の骨を折ったほか、カンフーの達人ジェット・リーと極真空手の黒帯保持者であるドルフ・ラングレンとの"お宝"対決シーンも用意。さらに後半、日本ではPRIDEでの活躍で知られるノゲイラ兄弟をはじめ、プロの総合格闘家を敵軍のレッドベレー役に揃えてエクスペンダブルズの面々と対峙させ、痛みが伝わってくるほど壮絶なガチンコ勝負と、銃弾撃ちまくり爆破しまくりのド派手なドンパチの連続に、「ここまでやるか」と爆笑しつつ声援と喝采を送りたくなるだろう。  ブルース・ウィリスとシュワルツェネッガーがカメオ出演したシーンでは、シュワちゃんの政界転身をネタにしたジョークなど、軽妙なやりとりが笑いを誘う。正直物足りなさもあるが、続編ではウィリスがラスボス的な敵役として出番が増える可能性もあるというから楽しみだ(続編の出演候補にはほかに、ジャン=クロード・バン・ダムやジャッキー・チェンの名も挙がっている)。  一足早く8月に公開されたアメリカでは、2週連続で興行収入ランキング首位を記録し、スタローンのこれまでの監督作、主演作のオープニング記録を塗り替える歴代最高のヒット作となった。娯楽アクション映画の金字塔とも言える本作は、日本でもこの秋一番、いや今年一番の話題作となるかも。ハリウッドパワー全開の本作を映画館で体感すれば、大スクリーンからあふれ出すスターたちのオーラとファイティングスピリットを浴びてきっと元気になれるはず。アクション映画ファンにとってはマストの1本であり、難しいことは考えずに楽しい映画でスカッとしたいという向きにもオススメの快作だ。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 『エクスペンダブルズ』作品情報 <http://eiga.com/movie/55323/>
すべての男は消耗品である まさに。 amazon_associate_logo.jpg
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「二十年経ってやっと自分の写真になった」 森山大道が見た東南アジア

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「次はメキシコシティを撮りたい」と語る森山氏。御年72歳とはとても思えない。
「僕は街頭スナップ写真家だから」  写真家・森山大道氏は、自身のことをそう呼ぶ。モノクロでコントラストが強く、ギラっと締まった印象的な黒。粒子の粗さ、躍動感、ダイナミックな構図。犬、子ども、人、野菜、動物、商店......。街のあらゆる存在が森山氏の撮影対象となり、一枚一枚の写真から街の呼吸が伝わってくる。世界中の街を歩き回り、その姿をカメラに収めてきた森山氏。今回上梓した写真集『THE TROPICS』は、自身が二十数年前に撮影した、タイ・ベトナム・ラオスなど東南アジアの写真をまとめた一冊。なぜ、当時の写真をこの時期に本にまとめたのか。写真集出版の経緯と併せて、森山氏の街の歩き方について、写真についてお話を伺った。 ──まずは、写真を撮影された当時のお話をお伺いしたく。なぜ東南アジアに行かれることになったのでしょう? 森山大道氏(以下、森山) 最初は、僕の写真学校の教え子だった写真家の瀬戸正人くんという人がいて。彼はタイ生まれということもあって、よくタイに行っていて、その話を聞いていたんです。本の後書きにも書いたんだけど、当時の僕は北方思考を持っていて、何かと北に行きがちだった。だけど、瀬戸くんからの話を聞いて、南の方にも少しだけ惹かれる思いがあって、まずは行きたいという気持ちが湧いてきたんですね。僕は暑いところが好きじゃなかったんだけど(笑)。撮りたいというよりも、行きたいと。 ──東南アジアに降り立った時の印象はどうでしたか? 森山 まあ、当然のように面白かったわけ(笑)。何が面白かったかというと、常に僕が興味あるのは「人間が渾然といる場所」。街を歩いていると、子どもがゴロゴロたくさんいて、犬も猫もごちゃごちゃいる、人もいる生活もある。その雑多にいろいろなものが混在している感じが面白くなっちゃったの。もちろん街を歩くときにはカメラを持って撮影していたけれど、積極的に撮って本を出そうとは思っていなかった。でも、歩けば歩くほど面白くなっちゃって、たくさん撮ってしまった。最初にタイに行った後も、瀬戸くんに案内してもらってタイやラオス、ベトナムにも行って、結構撮りました。だけど、写真集を作るとか、自分の表現として発表しようとは思えなかった。 ──撮りたいけど本にはしたくないと。なぜそう思われたのでしょう? daidomoriyama02.jpg 森山 変な話だけどさ、面白い写真が撮れ過ぎるの(笑)。それは妙な感じで、自分の身体にきちんと入っていないっていうのかな。あの当時はまだ面白いとか珍しいとか、そういう気分で撮っていたから自分の撮った写真の実感みたいなものがなくて、写真と僕がまだ繋がっていなかった。当時、僕は渋谷の宮益坂に小さなプライベートギャラリーを持っていて、そこでプライベートに20~30点展示するという、小さな展覧会をやりました。それで、自分の中で東南アジアは一回終わっていたんです。 ──久々にネガを見て、このように写真集にまとめようと思われたのは何かきっかけがあったのでしょうか? 森山 ネガのケースにはタイトルが書かれているから、写真を整理する度にその文字を見ていて。中身を見たい気もするけど、なんとなくそのままにしてしまうってことを繰り返していて。ある時ふとネガを見て、写真から伝わってくる印象が変わって見えたんです。二十年以上の時間を経て自分と対面しているから、当時の自分の心情みたいなものがどこか薄れていて、写された対象だけが浮かび上がってきた。つまり写されたものだけが、しっかりと定着されていたように思えた。そんな風に自分の写真を見られるようになった。それで、東南アジアの写真集を作ってみようと、講談社の方に相談して実現しました。 ──写真って改めて見るとその当時の思い出が蘇ると言いますが、森山さんのそれはちょっと違うのでしょうか。時間を経て改めて見た時に、感情がなくなって写真を客観的に見られる。物質として写真が残るというのが面白いなと。 森山 全ての写真、特にスナップ写真というのは、最終的にはすべて記録として収れんされるんです。撮った時は撮った時の勢いや温度感があるけど、時間が経つと違った見方ができる。自分が撮ったものでも、再び出会った時に、違うコンテキストを見出すことができる。その構造が写真の一番の強度で面白いところだと思う。 ──撮影時に街に向かっていく時はどんなお気持ちなのでしょう? 森山 現場にいるときには暑いしさ、混沌としていて、そんな中で撮影すると既に自分が、ある種感電している状態で、街を探るセンサーみたいになっているから、あんまりいろんなことは考えないよね。身体的な感覚でヒートした状態になっている。もちろん撮る瞬間の思考はあるんだけど圧倒的に体感しながら撮っている。 ──写真を撮るときに街の人とのコミュニケーションはあるのでしょうか? それとも消えた存在になって撮っているのでしょうか? 森山 僕はほとんど対話はしないからね。理想は自分の存在を消したいところだけど、実際はカメラ持ったおじさんが単にいるってことだからね(笑)。小さいカメラを使ったりするくらいで。人間は、カメラのレンズという冷たい機械的なものに結構敏感なんだよね。深夜の新宿歌舞伎町でも、カメラを持って撮っていると、一瞬みんなふっと警戒する。視線を反らされたり、睨まれたりするよね。カメラっていうのはそういうヤバイ装置でさ。
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『THE TROPICS』より (c) Daido Moriyama
──写真を見ていると、ふっと写真家がいない瞬間があると思いました。 森山 写されたもの、その時に写された対象のエッジが際立つんだろうね。さっき話したその時の写真家の思いや気持ちがそぎ落とされて対象だけが浮かび上がってくる。撮るときの理論とか理屈とかはあるかもしれないけど、十年、二十年経つとそんなもんはさっと消えちゃうわけよ。特に街頭スナップ写真の場合は。 ──撮った写真を写真集に組んでいく時の作業というのは、どういう気持ちでページにしていくんですか? 本をめくるというのは時間を伴うものだと思うんですが、そういう時間軸のようなものは意識されてはいないのでしょうか? 森山 僕の場合はすべてではないけれど、基本的にストーリーを作るということはしない。もともとストーリーのある写真を撮っていないからね、街頭のスナップだから。だからページを繰るときの、ある種のインパクトやダイナミズムを大切にしている。時間はほとんど意識していなくて、あんまり重要じゃない。時間軸というよりも、すべてをシャッフルして、街の渾然、渾沌とした感じを見せる。今回はアートディレクターの町口覚さんに全部任せています。僕は数点この写真は入れて欲しいという話をしただけ。町口さんは町口さんで自分の哲学があって、それがとてもうまくいったということですね。 ──撮影される際に、惹かれる土地の特徴みたいなものはあるのでしょうか? 森山 それはね、人間が渾然といる場所。そうすると生活が見えるとかあるからね。圧倒的に街。街以外に興味はないよね。雑多に混在している場所。ということですよね、街であり都市である。そして野良犬がいっぱいいて、子どもがうろうろしているような。最近はそういう街も少なくなったけどね。日本でもちょっとローカルに行くと、街に人がいない。昔はもうちょっと人がいたよね。 ──いま興味のある街はどこでしょう? 森山 やっぱ東京だよ。僕が日本人だということの掛け値を抜かしたとしても、世界的に見ても東京なんじゃないかな。NYから帰ってきても、イタリアから帰ってきても、東京って変な街だねって思う。その「変さ」っていうのは僕にとっては魅力なわけ。今も、来年出そうと思って、東京の町を撮っているけど飽きないな。あと、外国ではメキシコシティに行きたいね。 ──常に好奇心を持って街に向かっていく、森山さんが放つエネルギーみたいなものを私たちは本から受け取っているような気もします。 森山 それは、エネルギーっていうよりも欲望なんじゃない? 僕の中には欲望があるんだよ。そこから出てくるんだよね、撮りたい気分、撮る対象との一瞬の衝突もね。だからスタティックな写真なんか撮ってたら街なんか撮れないのね。街にひっかき回されるからね。そうした外からの刺激を受けながら、それにリアクションしていって写真を撮る。
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『THE TROPICS』より (c) Daido Moriyama
──自分たちが普段生活していると慢心してしまって、外からの刺激に対して敏感に反応できない。写真を撮るという行為を通してそういった刺激に対して敏感になっていくというか。 森山 さっきエネルギーって言ったじゃない。もしそこにエネルギーがあるとしたら、そのエネルギーを作るのは街に出て写真を撮ることなんだよね。その中にしかエネルギーって生まれてこないから。あの、とにかく圧倒的にいろんなものがあるでしょう。だからちょっと理屈っぽくなるけれど、日常ってのは異常が集積している世界だから、どこ見ても異常なわけ。一枚変わればね。そういうところの行ったり来たりが面白い。写真ってのはその人のその時の経験だからさ。また、見る人ですべて解読のコードが変わる。自分の写真でも、見るタイミングによっても見方が変わる。それが面白いんだよね。 ──なるほど。確かに同じ写真でも、自分の精神状態で見方が全然違いますよね。そういう意味でも、この写真集はいろんな見方ができると思います。 森山 そうだね。パラパラとどこから読んでもいいし。だってさ、いろいろと考えてみたってしょうがないじゃない? 僕の写真は昔から難しいって言われていたんだけど、写っているのを見ればいいじゃないって思うわけ。シンプルに感じてもらえればいいと思う。もちろんコンセプチュアルな写真家の作品は、解読するためのコードがあると思うんだけど、スナップはね、目に入った部分だけを見ていればいいんだと思う。この写真集は、現代のタイの人たちにも見てもらいたいなと、現地の人の感想を聞いてみたいね。 ──ありがとうございました。森山さんの精力的な活動を見ているとこちらも元気が出てきます。 森山 だってさ、他に面白いことないじゃない。ごちゃごちゃした街に入っていって写真を撮ることだけがいちばんワクワクできる。ゴールデン街も飽きたしさ、俺、酒飲まなくなっちゃったから。勝手なもんで。写真がつまんなくなって酒が面白くなるよりいいんじゃない(笑)。 (取材・文=上條桂子) ●もりやま・だいどう 1938年大阪府生まれ。高校在学中から商業デザイン会社に勤め、後にフリ-の商業デザイナ-として独立。1960年、22歳の時に写真家・岩宮武二のスタジオに入り、翌61年に上京。細江英公の助手となる。以後「カメラ毎日」や「アサヒグラフ」「アサヒカメラ」などで活躍。「アレ、ブレ、ボケ」と形容されるハイコントラストや粗粒子画面の荒々しい写真表現は60~70年代の日本の写真界に一石を投じた代表作に『日本劇場写真帖』(68)、『狩人』、『写真よさようなら』(72)、『光と影』(82) 『サン・ルゥへの手紙』(90)、 『Daido hysteric』シリーズ(93~97)、『新宿』(02)、『記録』シリーズ(72~)など。 オフィシャルサイト<http://www.moriyamadaido.com/>
THE TROPICS 1980 年~90 年にかけて、東南アジアで撮影されながらも未発表のままお蔵入りしていた写真を集めた写真集。人々の息遣いや臭いまでもが感じられる森山節炸裂の圧倒的で濃密な世界。リアルで過酷な日常、ダイナミックな生命力にあふれた二十 年前のアジアの姿。 定価:本体7,500円(税別)/講談社刊 amazon_associate_logo.jpg
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アキバ系コスプレ×原宿系オシャレファッション=「ネオ・コス展」ってなんだ!?

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「ディアステージ」所属のアイドル、夢眠ねむちゃん♪
「秋葉原と原宿・渋谷を繋ぐ懸け橋になりたい――」  そんな高らかな理想を掲げたイベントが、東京・ラフォーレ原宿で開催中だ。  秋葉原を中心としたコスプレスタイルと、渋谷・原宿系のストリートファッションのスタイルをミックスさせた新しいファッションスタイルを「ネオ・コス」と命名、「ネオ・コス展 FASHION×COSPLAY EXHIBITION 2010」と銘打ち、このネオ・コスをアピールしていこうというこのイベント、主催するのは、東京都心部を中心に展開する個性派女子向けファッションフリーペーパー「MIG」だ。  開催初日の10月5日には、ラフォーレ原宿でオープニング・ナイトパーティーを開催、秋葉原のストリートで活動するアーティストによる「ライブペイント」も行われると聞きつけ、早速現場へ向かった。  開始前からラフォーレ原宿入り口前は、アート系男子からロリータファッションのギャル、さらにはサラリーマンや秋葉系オタクまでが混在する人種のサラダボウル状態。20時半のラフォーレ原宿閉店と共に入場が開始された途端、会場正面に設置された、初音ミクのぬいぐるみが飾られた巨大オブジェには、早くも人だかりが! R0013180.jpg 「ファッション×コスプレ」をテーマに、若手アーティストによるアート作品や服飾・アクセサリーなども展示販売され、ますますごった返す店内に、ひときわ目立つファッションの女の子を発見。白を基調としたセーラー服のスカート丈はやたら短く、よく見ると......スケスケじゃないですか!? ――あ、あなたは誰なんですか? 「秋葉原にある萌え系LIVE&BAR『ディアステージ』に所属するアイドル・夢眠ねむです!」 ――ちょっとその衣装、エロすぎないですか? 「女性ファッション誌や著名アーティストへの衣装提供でも有名なデザイナー・神田恵介さんとの共同プロジェクト『初恋てろりすと』のリーダー役なんです。テロリストなので、狙った獲物は逃さない、あえて透けていくぞ、みたいな感じです!(笑)」 ――今回の「ネオ・コス展」にかける意気込みを。 「もともと、渋谷とか原宿のファッションも秋葉原も両方大好きなんですけど、今までこの2つの間には、どうしても埋められない溝があったと思うんです。でもここ数年、ハイブランドがアニメのキャラをデザインに使ったりするようになって。逆に秋葉原でも、私が好きな原宿っぽいブランドの服を着ていくと、今までは『何その服?』って言われてたのが、最近は『それどこの服?』って聞かれるようになったり。そうやってこの2つの関係がギュッと近くなって、とうとう原宿の中心でこういうイベントまで開催されて、感動です!」 ――な、なるほど。 「あと、私の初のソロシングル『魔法少女☆未満』が、8月16日に発売されました。みなさん、ぜひ買ってください!!」 ――了解です!  その後、パーティーの目玉である「ライブペイント」が開始。
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 アーティスト・愛☆まどんなちゃんが、ハイテンションなアニソンDJをバックに、VJが壁に映写するアニメ動画に合わせて、オリジナルのアニメタッチの女の子をペインティング。いつの間にやら、今回作品を展示している参加者までもが次々と乱入し、総勢5人が展示作品の合間を縫うように縦横無尽にペイントしまくるパフォーマンスを繰り広げた。  なんと最後にはねむちゃんまで乱入し、ペイントパフォーマンスをバックに、秋葉原で鍛え上げた渾身のオタ芸を披露。"本場"のガチ技で、ヲタ芸など初めて見るハイファッション系の女子の心を、そして、見えそうで見えないスカートの中身で、会場内のすべての男子の心までも完全に占拠、さらには、彼女に追従してオタ芸を披露するオタク男子も現れ、会場の熱気は最高潮に! テロリスト最高!!  ライブペイントでメインパフォーマーを務めた愛☆まどんなちゃん、そして、ライブペイントに飛び入り参加した渡辺真子ちゃん【註:アーティストにして、アイドルグループ「フルーツ☆パンチ」リーダー】に話を聞くと、「楽しかったです。お客さんが楽しんでくれたなら、それで大成功!!」と満足げ。出展者も観客も一緒になってライブを盛り上げる感覚は、秋葉原ならではなのかもしれない。  イベント主催者で、ファッションフリーペーパー「MIG」編集長の田口まきさんは、今回のイベント開催に至った経緯をこう語る。 「私たちの雑誌『MIG』は、『MADE IN GIRL』をテーマに去年の10月末に立ち上げました。秋葉原にも渋谷のギャルのお店にも置いてあるような、ファッションのジャンルやエリアで区切られない雑誌を作ろうということで始めましたが、いざ創刊したら、さまざまなところから反響をいただきまして。それがきっかけとなって、今年7月1~4日にフランス・パリで開催されたJapan Expo【註】で、日本の面白いファッションや女の子カルチャーを紹介するセレクトショップを出店したんです。そこで、現地の10~20代の女の子たちが群がるように来てくれたことが、今回のイベントの大きなきっかけになりました」 DSC_0195.jpg  彼女たちの反応を見ているうちに、「海外の若者から見れば、渋谷のギャルや原宿のストリート系の女の子、そして秋葉原のコスプレ女子も、みな同じように見えるのだ」ということに気付いたという。 「日本は欧米のような宗教上の縛りもないので、『別の何者か』になることに対して寛容です。だったらもっとそれを楽しんじゃえばいい、という考えから、『普段着として着れるコスプレ』をテーマに、いろんなシチュエーションを作って遊べたらいいなと思って。それで、そういうテーマのショップを原宿でやってみようと思ったんです」(同)  秋葉原的なオタク文化を、若者ファッションの中心地・原宿であえて紹介してみせた今回のイベント。引き続きかなりの反響を呼びそうだが、主催者としては、今後の展開をどう考えているのだろうか? 「このイベントをきっかけに、もっともっといろんなことに挑戦したいし、海外にも日本の女の子たちのパワーやカルチャーをもっと持っていって、反応を試してみたいですね」(同)  ショップだけでなく、ファッションショーやもっと大きなパーティーなどもやってみたいと語る田口さんの夢は大きい。12月1日からは福岡パルコでも開催されるという今回のネオ・コス展、今後どんな広がりを見せていくのか、大いに楽しみだ。 (文=古賀麻美) 【註】:日本文化紹介のため、2000年より毎年パリで開催されている博覧会。欧州における日本マンガ・アニメなどの盛り上がりに伴い、今年は20万人近くの来場者数を記録した。 ●「ネオ・コス展 FASHION×COSPLAY EXHIBITION 2010」 開催日時/10月5日(火)~26日(火) 開催場所/ラフォーレ原宿1階WALL 公式サイト<http://madeingirl.jp/mig/neocos.html> 秋葉原ディアステージ<http://moejapan.jp/dearstage/> 夢眠ねむ<http://dearstage.com/nemu/> 愛☆まどんな<http://ai-madonna.jp/> 渡辺真子<http://makopuri.com/
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「心も体も満たされたい」冬に向けて"スローセックス"をマスターせよ!

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左から加藤聖良ちゃん、範田紗々ちゃん、原沢さなちゃん。
 2004年に「セックススクールadam」を立ち上げ、スローセックス理論を展開するアダム徳永氏。「スローセックス」はブームとなり、これまで数々の本やDVD、はたまた実践講座のAVも発売されるなどさまざまな広がりを見せて来た。そして今年の5月には日本文芸社よりDVD『アダム徳永のスローセックス 最高のエクスタシー術』が新たに販売され、好調な売り上げを伸ばしている。  そこで今回は、元トップAV女優で現在は女優として活躍している範田紗々ちゃんが、新人AV女優の原沢さなちゃん、加藤聖良とともにスローセックスについて赤裸裸トークを開催。範田紗々ちゃんは、引退前にスローセックスAVも撮影した経験者。スローセックスについて、2人にレクチャーしてくれました☆ ──今日はよろしくお願いします! まず、紗々ちゃんはスローセックス経験者なんですよね? 範田 はい、今年の2月に『究極の快感スローSEX ~絶頂ふたりタッチ編~』というAVを撮影したときに経験しました。でも、それまでスローセックスという言葉も知らなかったんですよ~。2人も未経験者なんですよね? 原沢 はい! でもアダム徳永先生の著書を読んだことがあったので、言葉自体は知っていました。 加藤 私もです。興味はあるんですけど、なかなか......。
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ついついアブナイ話も......!?
──なるほど。スローセックスは今までのセックスとは違う、ということですが、これまでセックスで男性に不満を抱いたことって皆さんありますか? 範田 紗々は、昔はプライベートのエッチで一回もイッたことがなかったんです。どうしても、相手に嫌われたくないから、とか思ってしまって、相手に合わせてた部分が多くて。 加藤 あんまり前戯をしないで、自分だけが気持ちよくなろうとする人が多いですよね、プライベートでも仕事でも。とにかく激しくすればいい、みたいに。 原沢 うん。ぜんぜん盛り上がってないのに、キスしたらすぐに脱がして挿れる、っていう人が多いと思う。でも不満があっても、男の人って「ここがいいんだろ?」「こうすればいいんだろ?」っていう感じでまったく聞いてくれないんですよねー。 範田 だからイッたふりをしちゃうことも多いんですよね。私、はじめて「イク」って感覚が分かったの、AVだったもん。で、さらにスローセックスの撮影をしてみて、カメラの存在を忘れるくらい意識が飛ぶってことを経験して。エッチして心も体も満たされたのは初めてだったかも。 ──そんなに気持ちいいんですね。では範田先生にさっそくスローセックスをレクチャーしてもらいましょうか! 範田 最初はキスから。アダム先生に教えてもらったんですが、キスにも7種類あって、いきなり激しくではなくて、最初は唇の暖かさを確かめ合うようについばむの。で、少しずつ舌を出して絡めていく。
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新人AV女優のおふたりもスローセックスに興味津々!
原沢 キスだけでどのくらいの時間をかけるんですか? 範田 10分くらい。 加藤 えー、考えられない! ふだん前戯なんて5分10分もかけない男性も多いのに......。 範田 うん、でも本当に最初はキスだけで、何もない段階から少しずつ気分を高め合っていくんだって。で、続いては、アダムタッチで全身を愛撫。アダムタッチっていうのは、指先をつけてたまま手のひらを2センチほど浮かして相手の体を触る方法で、これがすごく気持ちいい! しかも、いきなりアソコを触るのではなくて、首筋、肩、胸とひとつずつゆっくり愛撫していって......。 原沢 前戯はどのくらい? 範田 1時間くらいかな。でも、気持ち良くって、長いって感じなかった。全身をたーっぷり愛撫しあったあとは、ようやく挿入。挿入したあとも、ピストンの動きはゆっくりで、キスをしながら背中を愛撫し続けるんですよ。 原沢 スローセックスと言えど、けっこうハードに全身を使うんですね(笑) 範田 そう(笑)。アダム先生は、常に70~80%の気持ち良さを持続することが大きな快感を呼ぶって言ってました。でも本当に、スローセックスをすると余裕がなくなる。撮影のとき、気付いたら涙流してたもん、気持ち良くて。もちろん、いつもより多くイケたし(笑)。 加藤 本当に気持ち良さそうだからやってみたいですね。時間がかかりそうだなと思っていたけれど、休日に彼氏とまったりするのはいいかも。 原沢 ずっと自分は激しいエッチが好きで、スローセックスは合わないんじゃないかと思ってたけど、話を聞いて何だか新しい発見がありました。私も涙を流すくらい満たされたい♪ 範田 うん、一回やったら絶対にハマると思う。このDVDを部屋に置いといて、彼氏と一緒に見るのもいいかも。ふだんのエッチがマンネリしてる人も満足してる人も、ぜひ一回は試してみてください!
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電子書籍時代に"定期購読専門誌"を創刊! 北尾トロと考える、本と雑誌の未来

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「別に世のため人のために雑誌をやるわけではない。
同業者の後輩が育ち、若い人が出版業界に来てくれないと
読むものがなくなって自分がつまらなくなっちゃうからね」
と北尾氏。
 電子書籍元年と騒がれ、iPadやらキンドルやら出版業界は大騒ぎ。そんな状況にあって、「紙媒体」「定期購読」「ノンフィクション限定」という時代を無視したかのような雑誌「レポ」が創刊された。発行・編集は、ライターとして『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』(文春文庫)や『全力でスローボールを投げる』(文藝春秋)など数々の著書を持つ、ノンフィクションライターの北尾トロ氏。はたして、「レポ」は時代へのアンチテーゼなのか? それとも風変わりな視点から社会を見つめる北尾トロ一流の考えがあるのだろうか? ■コンセプトは"手紙" ――「レポ」創刊おめでとうございます。とにかく変わった雑誌、という印象があるんですが、まず「ノンフィクション限定」というスタイルにした理由を教えてください。 「いろいろな理由があるんですが、一つはノンフィクションを書く場所(媒体)が少なくなってきているということですね。だんだん雑誌が減ってきて、ノンフィクションが書ける場所も限られてきているんです。かつてなら、たとえば『別冊宝島』がノンフィクションライターの目標となり、『月刊プレイボーイ』はお金も時間もかけたノンフィクションを掲載していました。あとはエロ本ですね。エロ本の活字ページは、若いライターが好きにできる場所だったんです。雑誌の目的がエロだったから活字はどうでもよかったんですね。そういう場所でかつてはいろんな人がしのぎ合っていたんです」 ――巷では電子書籍が騒がれていますが、どうしてこのタイミングで紙の雑誌を創刊しようと思ったのでしょうか? 「やるなら今だなと思ったんです。あと3年後とか5年後になってしまうと出版業界がどうなっているか分からない。もしかしたら、その時に紙の雑誌はもはやノスタルジーになっているかもしれないですよね。今だったら読者としても出版する側としても、ぎりぎりノスタルジーにならないんじゃないかと思ったんです」 ――定期購読という販売方法も特殊ですね。このような方法を選んだ理由は? 「最初から通販で売る雑誌にしようと考えていました。通販っていうことはポストに届く、それはある種の手紙じゃないかということで『手紙』をコンセプトにしたんです。......ちょっと無理矢理ですが(笑)。けど、手紙というコンセプトなら直接読者とやり取りできますよね。手紙って、届くとうれしいじゃないですか。自分の宛名があって、開封する楽しみがある。本屋で購入するのとは別の楽しみが生まれるんじゃないかと思ったんです。ただ、さすがにそういう販売方法だけでは『ひどい』と言われることも多いので(笑)、定期購読だけではなく各号ごとの通信販売も行う予定です。現実的な問題として、書店との清算といった事務作業が苦手なんですよ。だから通販がメインで、書店は買い切りのみにしようと」 ――「手紙」というコンセプトなら読者との距離も縮まりますね。 「やっぱりダイレクトに届くのが一番いいと思うんです。手紙じゃなくて、例えばTwitterでもDM(ダイレクトメール)のうれしさがある。名指しで送られてくるというのはうれしいんですよ。だから、そんな『手紙』に対して返事を書いてくれる人もいるんじゃないかと期待しています」
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「レポ」は分厚い手紙(本誌)と年間定期購読者への手紙「ちびレポ」がセット。
本誌は年4回発行、「ちびレポ」は本誌発行月以外の月に発行。
年間定期購読者だけには毎月「レポ」からの手紙が届くというしくみ。
■電子書籍に"みんな騒ぎ過ぎ" ――北尾トロ"編集長"としては、雑誌の未来をどう考えていますか? 「マスメディアではない"ミドルメディア"は結構イケるんじゃないかと思っています。広告ではなく、その雑誌を読みたい人が支えるような形です。出版不況と言われていますが、面白いものを作ってしっかりそれが読者に伝われば、500円や1000円をケチるっていうのはないと思うんです」 ――ミドルメディアというのは具体的にどのくらいの規模でしょうか? 「『レポ』で考えると、5,000部から1万部程度ですね。広告なしでもなんとかやっていくために必要な部数が5,000部かな。逆に1万部を超えるといろんな人に喜んでもらわなきゃならならなくなって、雑誌がつまんなくなってしまう気がします。ミドルメディアの範囲で欲張らずにやって行けば、ウェブではできないことができるんじゃないでしょうか? 出版界全体の流れは電子書籍に行くんでしょうが、みんなちょっと騒ぎ過ぎなんじゃないかとは思います。媒体が何であれソフトが命なんだから、紙でいいものを作れない人は、電子書籍をつくってもロクなものはできません」 ――『本』というモノについてはどうでしょうか? 北尾さん自身、愛着もかなりあると思うんですが。 「装丁やデザイン、重さなど、モノとしても魅力的ですね。それは電子書籍とは違うところです。そんな本の魅力を知っている人にとってはしばらく忘れがたい物だと思います。けど、最初から本に触れずに育つ子どもにとっては別。次の世代にとっては趣味的なものになっていくんでしょうね。ただ、本好きな人も、ある一定の数いればいいじゃんと思うんですよね。授業で読み聞かせをしたりしてまで、『本は素晴らしい』と言う必要はないと思うんです。僕自身は本が好きなので、好きな人を集めて、ブックフェスをやったり、『本の町』を作りたいと思っていますが」 ――長野県の高遠町での活動ですね。手応えはどうでしょうか? 「ヨーロッパにたくさんある『本の町』を日本にも作りたいなと思っていたんですが、誰もやらないだろうからちょっとやってみようかと始めてみました。高遠は自然も歴史もあり、町のサイズも歩いて回れる程度のイメージに近い町だったんです。ただ、肝心の本屋がなかったので、まず自分たちで本屋をつくりました。ただ、町の人に『本の町をつくりたい』と話しても何のことだかよく分かってもらえない。だから『高遠ブックフェスティバル』を始めたんです。2年間やってようやくイベントとして独り立ちし始めた感じがしますね。9月に終了したばかりなんですが、町の人にも気に入ってもらってすでに来年の話が始まっています」 ■みんなが集う"場"としての「レポ」 ――ゆくゆくは「レポ」をどういう雑誌にしていきたいと思っていますか? 「今はプロの書き手がメインですが、ゆくゆくはもっとアマチュアというか若い人に参加してもらえるような媒体にしていきたいですね。面白ければ何でも構わないので、ページもじゃんじゃん与えます。やりたい人がいたら誰でも企画を送るなり原稿を送るなりしてほしいですね。その辺はオープンにしたいと思っています。現在も拘置所から"書きたい"と言ってくれている人なんかもいますから」 ――いろんな人を集めてくるという意味で"メディア"としても成立していますね。 「場があればそこに人は集うんです。だからそれはそんなに難しいことではないし特別なことをしているわけでもありません。おそらく今後、この雑誌から本が生まれてくると思うんです。『レポ』に書いたことがきっかけで本を出して世に認められる、そういった場になればいいですね」 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]) ●きたお・とろ 1958年、福岡市生まれ。 ライターとしての数々の執筆活動の他に、インターネット古書店「杉並北尾堂」の運営や、長野県伊那市高遠町での「本の町」プロジェクト、「高遠ブックフェスティバル」の開催など、本に関するあらゆる活動を行う。近著に『テッカ場』(講談社文庫)、『裁判長! 死刑に決めてもいいすか』(朝日文庫)など。
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「レポ」
ライター・北尾トロの編集・発行によるノンフィクション専門の季刊誌。北尾トロの他にも、コラムニスト・えのきどいちろうや漫画家・やまだないと、SM女王様ライター・早川舞などによるノンフィクション14本を掲載。定期購読(年間4,000円+税)か、一部書店のみでの取扱い。 <http://www.repo-zine.com/> ・映画『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 北尾氏の同名ベストセラーエッセイがついに映画化!"愛と感動の裁判映画"の脚本を書くため、三流ライター南波タモツ(設楽統)は、生まれて初めて裁判所に足を踏み入れる。が、法廷では"愛と感動"どころかツッコミどころ満載のワイドショーネタばかり。ある時、美人鬼検事マリリン(片瀬那奈)に、「楽しいでしょうね、他人の人生を高見の見物して!」とキツい言葉を浴びせられ......。 原作/北尾トロ 脚本/アサダアツシ 監督/豊島圭介 出演/設楽統(バナナマン)、片瀬那奈、螢雪次朗、村上航、尾上寛之、鈴木砂羽ほか 配給/ゼアリズエンタープライズ 11月6日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー <http://www.do-suka.jp/>
怪しいお仕事! 個人的にはこれが一番好きです。 amazon_associate_logo.jpg
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