A・ロメロの幻の傑作が蘇る! 緊張と迫力のホラー映画『クレイジーズ』

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11月13日(土)より、シネマサンシャイン池袋、
TOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー!
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 ジャンルも別々でオリジナルの知名度も異なるが、ともに注目度の高いリメイク作品が2本、偶然にも11月13日にそろって公開される。  最初に紹介する『ゴースト もういちど抱きしめたい』(パラマウント+松竹配給)は、死者の霊と残された恋人のラブストーリーという斬新な筋立てが大当たりし、世界中で大ヒットを記録した『ゴースト ニューヨークの幻』(90)を基に、舞台を日本に移して再構成したアジア版リメイク。オリジナル版ではビジネスマンの男性が命を落としてゴーストになり、残された陶芸家のヒロインを守るという設定だったが、本作では会社経営者の七海(松嶋菜々子)が不運の死を遂げ、陶芸を志す青年ジュノ(ソン・スンホン)が後に残されるという、男女の立場の逆転も重要な変更点だ。  七海はある日、日本に留学して陶芸を学んでいるジュノと出会い、恋に落ちる。だが、2人で幸せな生活を始めた矢先、事件に遭遇し命を落としてしまう。七海の魂は天国に行くことを拒否し、ゴーストとなってジュノのそばに留まることを選ぶ。ジュノの身にも危険が迫っていた。七海は果たして、ジュノを敵から守ることができるのか。そして、大切な想いをジュノに伝えることができるのか。  日韓を代表するスターの豪華な共演に加え、物語のカギを握る霊媒師役には樹木希林が配され、独特の存在感で好演。オリジナルの名場面もしっかり再現されている。旧作を観た人なら懐かしさを覚えながら、また未見の人なら新鮮な驚きとともに、不朽のラブストーリーに心から感動することだろう。  2本目の『クレイジーズ』(ショウゲート配給)は、『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(68)でデビューし『ゾンビ』(78)で世界的大ヒットを放ったホラーの巨匠、ジョージ・A・ロメロ監督が73年に手がけた同名の"幻の傑作"がオリジナル。今回のリメイクでメガホンを取ったのは『サハラ/死の砂漠を脱出せよ』のブレック・アイズナーで、製作総指揮にはロメロ監督も名を連ねる。  アメリカ中西部に位置する人口1,000人余りの小さな田舎町。顔見知り同士のどかに暮らしていた住民たちが、ある日を境に突然発狂し、他の人々を襲い始める。異常な事件が相次ぐ中、保安官のデビッド(ティモシー・オリファント)らは、川に墜落した軍用機から流れ出た何かが、飲み水を通じて体内に入り、住民を凶暴化させていると推測。給水を遮断するも、暴徒化した"クレイジーズ"の殺戮と破壊は広がり続ける。その頃、軍隊が出動し町全体を封鎖。細菌兵器流出の証拠隠滅のため、クレイジーズだけでなく正常者も抹殺し町ごと焼却しようと目論む。デビッドと身重の妻ジュディ(ラダ・ミッチェル)は生き残りをかけ、町からの脱出を図るが......。  『バイオハザード』や『28日後...』といった感染サバイバル映画の原点とも言える傑作に、現代的な感覚が加味され、緊張と迫力に満ちた最新ホラーとして蘇った本作。ロメロ監督がかつて作品に込めた社会批評が、現代のリメイク作の中でどう再解釈されているかを読み解くのもまた一興だ。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「ゴースト もういちど抱きしめたい」作品情報 <http://eiga.com/movie/54873/> 「クレイジーズ」作品情報 <http://eiga.com/movie/55359/>
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野宿界のカリスマ『野宿野郎』編集長が語る"楽しい"野宿のディープな世界

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「野宿野郎」編集長・かとうちあき氏(左)と、放浪書房店主・富永浩道氏(右)。
 一部の人たちの間で爆発的な人気を誇る、「野宿野郎」というミニコミ誌をご存知だろうか。「野宿100人アンケート」、「野宿学会」、「誕生日野宿」、「妄想野宿」などマニアック極まる内容で、2004年から不定期で発行、現在7号まで制作されている。今回、編集長のかとうちあき氏が、初の著書『野宿入門』(草思社)を出版。それを記念して、全国を旅しながら本を売る『放浪書房』店主・富永浩道氏と西荻窪にある旅の本専門店「旅の本屋のまど」にてトークイベントを行った。  野宿歴10年以上、マットと寝袋さえあればどこでも野宿するというかとう氏はもちろん、富永氏も趣味や仕事で旅に出たときには野宿をしているという、野宿マニア。また、かとう氏とも何度か一緒に野宿した経験を持つ。そんなふたりが、「野宿のススメ」をテーマに互いの野宿体験談を熱弁。そして話題は、"野宿にふさわしい場所はどこか"という話に。富永氏は安全な図書館や市役所の駐車場を勧めたが、かとう氏がこよなく愛する場所は、なんと "トイレ"だと言う。 かとう氏「下痢になった時とか、トイレで寝てるとすぐに行けるじゃない? それ、大事なんですよ。それにトイレの便座って、パタンって下ろすと机にもなるし、座ればイス。手すりに洗濯物干せるしね。なんかホテルみたいな感じなんです」  「キレイでしょう?」と、うれしそうにかとう氏が指差したスクリーンの写真には、床に保温用の銀マットが敷かれ、手すりにはタオルが干され、すっかりホテル(?)使用になった、通常の個室よりはちょっと広めでこぎれいなトイレが......。  独特の淡々とした口調で野宿を語るかとう氏だが、そのとんでもない内容にはおそらく会場の誰も賛同できないまま、話は次々と進んでいく。そして、かとう氏を頼り、「野宿がしたい」と、誕生日に福岡から東京へやってきた謎の女性と富永氏の3人で、原宿で野宿をした思い出話に花が咲く。
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富永氏「原宿のGAPの向かいにある某銀行前で、コンロで水を温めてカップラーメン食べたよね。これはいけないよ、みなさん。ダメです。やっちゃいけない(笑)」 かとう氏「おいしかったよね、カップラーメン。このとき、ここで富永さんと本売ったけど、ぜんぜん売れなかったね。誰も近寄ってこなかった」 富永氏「本の下に敷くものを忘れて、ダンボールだったしね。それがまた、本当に貧乏臭くてね。普段はお店出すと誰かしら近寄ってくるんだけど、あのときは僕たちの周りを見事に人が避けて、迂回路みたいに人の波がカーブしてびっくりした。何この人たちって、みんなすごい目で見てたね」  その後、3人は代々木公園に移動し、女性のささやかな誕生日パーティーを行い、1月の極寒の中、野宿を決行する。しかし、明け方に目覚めた女性は、「寒かった」と一言つぶやき、それ以来、連絡が途絶えてしまったという。  そのほかにも、「靖国神社の鳥居とか何かの象徴っぽいところに寝ると、速攻で白い学ランみたいなの着た人が来る」(かとう氏)、「野宿をしていると、ホームレスの方に"ストリートの仲間"みたいな意識を持ってもらえる」(富永氏)など、話はどんどんとディープな世界へ。   そんなふたりにとって、野宿とは一体なんなのだろうか。 富永氏「初めて野宿をしたときに、自分が持っている荷物だけで人間って生きられるんだなぁと思って。こうやって朝は迎えられると思うと、すごく気持ちが軽くなったよね」 かとう氏「いいこと言った! その通りだと思う。わたしにとって、野宿は......よく分からない。なんか楽しいな~とは思うんですけど、大変なこともあるし、怖いなぁと思うこともある。プラスマイナスで考えると、そんなにプラスでもないはずなんだけど、なんか面白い」  この日、会場に訪れたお客さんは、意外にもスーツ姿のサラリーマンや若い女性、年配の女性など、パッと見はかなりキッチリしていそうな人ばかりだった。富永氏が60代前後の淑女に参加理由を尋ねてみると、「わたしがね、想像もつかない行動をしている人の話ってどんなかな、と思って......」と、見事に客の気持ちを代弁、会場全員がうなずいた。人間は本能として、"野宿"というキーワードに、どこか妙に惹きつけられ、体験してみたい、という思いを秘めているのかもしれない。 (取材・文=上浦未来) ※取材協力=旅の本屋のまど <http://www.nomad-books.co.jp/
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タイ人の想像力はハンパない! 究極のB級スポット満載『HELL 地獄の歩き方』

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 デフレ不況に空前の円高と、低迷が続く日本の景気。そんな世の中に不安を抱いてか、若い女性を中心にパワースポットめぐりがブームになっている。神様仏様にもすがりたくなる気持ちは分からないでもないが、そんなパワースポットとは真逆をゆく、世界初(!)の地獄の歩き方を記した写真集『HELL』(洋泉社)が発売された。著者は、日本、そして世界のロードサイドに埋もれたアート、カルチャーを追い続けている都築響一氏。そんな都築氏が今回注目したのが、地獄庭園だ。  地獄とは最強にネガティブな場所、それ以外のなんでもない。しかし世の中には、そんな誰もが絶対に行きたくないスポットNo.1である地獄を、わざわざ手間ヒマかけて再現している人々がいる。彼らはプロのアーティストではなく、地元のコンクリート職人や寺の信者たち、そして時には子どもたちというケースも。まったくの素人ゆえ、"止まりどころを知らない"強烈な地獄の世界が作り上げられているのだ。  日本をはじめ、世界各国にはさまざまな地獄めぐりスポットはあるものの、そのなかでも群を抜いているのが、微笑みの国・タイだ。タイは国民の約95%が仏教徒というほどの仏教国。在家信者に向けた通俗仏教書と言われる「トイプーム」によると、宇宙には3つの世界(三界)、「欲界」、「色界」、「無色界」がある。「欲界」は、天、人間、阿修羅、餓鬼、畜生、地獄に分かれており、地獄庭園のジオラマもこの三界の説く世界観に基づいている。在家信者が守るべき戒律「五戒」を守らなければ悪いことが待っている、という因果応報観を現しているのだ。
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 本書の中には16カ所の地獄庭園が紹介されているが、どの庭園の造形物もグロテクス極まりない。「プレート」と呼ばれる死者の霊、冥界の人間たちが悶え苦しむ姿が、これでもかというほどリアルに表現されている。とくに彼らの目の据わり方、血走り方はハンパない。「こんな地獄に行きたくない」と身が引き締まる思いがするのは確かだが、その強烈なインパクトに腹の底から笑いがこみ上げてくる。  そして先日、この本の発売を記念したトークイベントが、青山ブックセンター六本木店で行われた。    そもそも、都築氏と地獄庭園の出会いは10年以上前。バンコクのホテルで現地の雑誌を眺めていると、ページの片隅におどろおどろしい立体地獄庭園の写真が載っていた。その写真に衝撃を受けた都築氏はすぐさまフロントで場所を突き止め、その足で現地に向かったという。
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独特の語り口調で地獄庭園の魅力を語る、
都築氏。会場は爆笑の渦だった。
「地獄庭園は『地球の歩き方』にはもちろん載っていないし、『ロンリ―プラネット』にも載っていない。『タイの田舎めぐり』みたいなタイ語のガイドブックでも一言も触れられていない。僕らにとってはB級の面白スポットだけれど、タイ人にとってはB級以下。観光地でもなんでもない、見下されるかわいそうなスポットなんです。本の中で紹介している場所はどこも情報がまったくなかった。それでタイ人の友達を総動員して、最初はバンコクに住んでる友達に聞くんだけど、英語が通じるような高い教育を受けているようなヤツらは、こういうものを知らない。『昔聞いたことはあるけど、行ったことはない』『なんでそんな場所に行くの? タイにはもっときれいな寺院はいっぱいあるよ』と言われる始末」 そこで、友人たちに各地の観光案内所に片っ端から電話をかけてもらい、地道に一カ所ずつ探しあてていったという。まるで宝探し状態。タイ人からみれば、さぞかし変わり者の日本人だったことだろう。イベントではタイ以外にも日本や台湾、そして中国本土にある"地獄スポット"もスライドショーで紹介された。 「聖書だろうが仏典だろうが、どこの宗教でも考えることは大体一緒。天国はバリエーションがあまりなくて、キレイな女の人がいるとか、おいしいごはんがタダでいっぱい食べられるとか、寿命が永遠みたいな感じ。退屈で平凡な描写しかできない。でも地獄にはバリエーションがある。みんな痛いのは嫌だから、なるべく痛いこととか嫌なことを考えていくと、人類は一つのところに行きつくのかもしれない。だからどこの地獄にも力が入っている。これって人間の不思議なところ」
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 「タイしかり台湾しかり、ごはんとエステがよければ地獄もいい」というのは都築氏の持論だが、それにしても観光名所でもなんでもなく、タイ人にさえ知られていない地獄庭園。一体誰に向けて作られたものなのだろうか。 「地元の人が子どもを連れていって、そこで戒律を教えるわけです。『生き物を大切にしなさい、親の言うことは聞きなさい。そうしないとこうなるよ』という教育の場所なんです。子どもを怖がらせるために作られているんだけど、実際、子どもは大喜びして走りまわっている場合がほとんど。これで泣くのは4歳まで」  地獄庭園のコンセプトは寺の一番偉い僧侶が考えるらしいのだが、仏教のほかタイの精霊信仰とも絶妙にミックスされ、もはやなんだか分からない境地に達している場所も少なくない。また、小銭を入れると造形物が動き出す細工がされているものもあり、もっぱら寺の小銭稼ぎの場となっていることも。  「素人がやっているだけに、止まりどころを知らない。ここまでやることはないだろう、っていうのが多い。思いついたらとにかく作っちゃう。この考え方がすばらしい。グロもあるけどもちろんエロもある。タイは厳格な上座部仏教徒ですが、売春産業は盛ん。でもポルノはダメ。それなのに性器なんかばっちり作っている。あんまりにもリアルに作りすぎちゃうから地元のおばあさんとかから反感もあるけど、地獄のリアリティを出すにはこれは欠かせないということで説得したとか。それくらいちゃんと作っている。プロジェクト・イン・アビリティ精神というか、やる気がなくなるまでやり続けるって精神はすばらしいですね」
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 こういった地獄庭園はバンコク周辺にはなく、たいてい田舎に作られている。だだっ広い土地に無数の「プレート」たちが何の脈絡もなく作られ、誰に見られるわけでもないのに、現在も延々と拡張され続けている。それらは例外なくまったくケアされておらず、それが地獄庭園の独特な雰囲気をさらに演出するのに一役買っているのかも知れない。 「これがタイの田舎にあって誰も行かないから六本木で笑われているけど、これが東京都現代美術館みたいなところにあったらパーフェクトに現代美術なわけよ。で、タイ人の名前なんかつけてりゃ、「おぉー」ってことになる。地獄庭園ってすごく面白いけど、素人が作って場所も場所だってことで、ぜんぜん美術だと思われていないものの典型。考えてみると、僕はここ30年ほどずっとそんなことをやってきた。秘宝館、ラブホ、暴走族しかり、バリエーションに過ぎないのかもという気もする。アートって不思議だよね。場所によってB級になったり、美術館にあると笑っちゃいけないものになる。一体基準はどこにあるのかって毎回思う」  これまでと同じアプローチでタイを旅したらどうなるか、ということで誕生した今回の写真集『HELL』。ただし、地獄庭園への具体的な住所や行き方は記載されていないのでご注意を。都築氏いわく、「この寺に行きたいってホテルのフロント係に言ったときに、『あぁ、それね。はい、パンフレット』って言われた時点で君の旅は負け」だそうです。 (取材・文=編集部)
HELL ~地獄の歩き方<タイランド編> 続編にも期待! amazon_associate_logo.jpg
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海賊版『容疑者Xの献身』が暗示する電子書籍の不確かな未来

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『容疑者Xの献身』(文芸春秋)
伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ギョーカイの内部情報を拾い上げ、磨きをかけた秘話&提言。  作家の村上龍自ら、電子書籍制作・販売会社を設立するなど、何かと話題になっている電子書籍だが、早々に海賊版が出回る、という事件が勃発した。  しかもこの海賊版小説、人気売れっ子作家の東野圭吾『容疑者Xの献身』(文芸春秋)だったというから驚きだ。しかも「App Store」で......。  「App Store」はアップルが運営するiPhone、iPadなどに向けるアプリのダウンロードサービスだが、そこにベストセラー作品『容疑者Xの献身』アプリが登場したのは11月初頭だった。値段は115円。だがその内容は、不審だらけのものだったという。 「誤字脱字だらけで、不自然な字間や、文字が追加されている箇所もあったようです。値段も安すぎる。不審に思った購入者が、版元の文芸春秋に問い合わせをしたようです。しかし、文芸春秋側も全く関知していない。そんなアプリがあることも、この問い合わせで知り、大騒ぎになった」(出版関係者)  もちろん、作者の東野もあずかり知らないという完全な無断販売・海賊盤だったのだ。急遽、販売停止の処置を要請したという。  厳格と言われる「App Store」でさえ、こんな事態が起こる。今後、楽天や角川グループなど、日本企業も次々と電子書籍業界に参入が予定されているが、こうしたチェック機能がどこまで働くのか。  電子書籍では、著作権や印税の配分を巡り議論があるが、しばらくは、こうしたさまざまなトラブルが起るのでは、と思わせる一件であった。 (文=神林広恵)
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バンパイヤ&女子高生、禁断の恋の行く末は!? シリーズ第3弾『エクリプス』

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 秋深まる11月。ファンタジー映画好きなら、世界的人気を誇る2大シリーズ、『トワイライト』と『ハリー・ポッター』の最新作がそれぞれ日本で封切られるこの月を待ちこがれたことだろう。今回は前者、バンパイアと人間の禁断の恋を描くラブ・ファンタジーの第3作『エクリプス トワイライト・サーガ』(角川映画配給、11月6日公開)を紹介しよう。  第1作『トワイライト 初恋』で、周囲に馴染めないでいた女子高生のベラ(クリステン・スチュワート)とバンパイアのエドワード(ロバート・パティンソン)は、許されぬ関係と知りながら、互いに惹かれ激しい恋に落ちてゆく。第2作『ニュームーン トワイライト・サーガ』では、ベラの幸福を願うがゆえに一度姿を消したエドワードと、ベラに恋心を抱くオオカミ族のジェイコブ(テイラー・ロートナー)の間で、種族を超えた三角関係に。  そして今作『エクリプス』では、ジェイコブの片想いに終わるかと思われたベラとの関係が急接近し、エドワードとの恋のバトルが一層激化。その一方で、凶暴なバンパイア集団"ニューボーン"の魔手がエドワードたちに穏健なバンパイア一家に迫る。ベラを守るためジェイコブらオオカミ族と手を組んだエドワードら一家と、邪悪なニューボーンたちとの死闘が、ついに幕を開ける。  全世界で1億冊を突破したステファニー・メイヤーの原作小説を映画化した本シリーズ。今回メガホンを取ったのは、『ハードキャンディ』『30デイズ・ナイト』のデビッド・スレイド監督。無駄のない演出と前作から飛躍的に向上した視覚効果のおかげで、シリーズのファンでなくとも楽しめる上質のアクション映画に仕上がった。  主役2人とテイラー・ロートナーを一躍ハリウッドのトップスターに押し上げたこの連作では、回を追うごとに出演陣も一層豪華に。特に第2作から続投のダコタ・ファニング、そして今作のブライス・ダラス・ハワード(『ヴィレッジ』)とジョデル・フェルランド(『ローズ・イン・タイドランド』)といった具合に、日本でも人気の高い若手美人女優が続々と参戦しているのは喜ばしい。  本作は製作費6,800万ドルに対し、興行収入は全米で3億ドル突破、全世界で7億ドルに迫る大ヒットを記録。日本でも大きな話題を呼ぶのは間違いない。切なさ一杯の禁断の恋と激しさ満点のアクションを合わせて楽しめるファンタジー娯楽大作を、どうぞお見逃しなく。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「エクリプス トワイライト・サーガ」作品情報 <http://eiga.com/movie/55256/>
ニュームーン/トワイライト・サーガ プレミアムBOX 1万枚限定だって! amazon_associate_logo.jpg
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ピースボートにハマる「イマドキの若者」とネットワークビジネスとの関係とは?

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古市憲寿氏。
 街中や居酒屋などで「ピースボート 地球一周の船旅」のポスターを見たことがある人も少なくないだろう。日数や寄港地などによって値段は違うが、なんといっても最低料金99万円(約80日間)で世界一周ができるという点に目が引かれる。そんな「地球一周の船旅」に参加した大学院生がいる。現在、東京大学大学院に在籍している古市憲寿氏だ。  参加したのは2008年5月14日に横浜を出航した「クリッパー・パシフィク号でゆく 第62回ピースボート 地球一周の船旅(この時の最低料金は148万円)」。彼は、この乗船体験と自らの本業である社会学の分析をもとに今年8月に『希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想』(光文社新書)を上梓し、その内容は、論壇界隈でちょっとした話題になっている。今回、ピースボートに乗る現代の若者とそこから見える現代の日本について古市氏に話を伺った。 ──ピースボートには、どのような経緯で乗船したのでしょうか? 古市憲寿氏(以下、古市) 知り合いから乗ってみないかと誘われたのがきっかけです。特に、研究対象にしようとは考えていませんでした。ピースボートについては、街中にあるポスターや安く世界一周ができる旅、あとは辻元清美(現・衆議院議員)さんが作った団体だろうから、少しは政治色も強いのかなというイメージぐらいでした。 ──辻元さんは、まだ関わっているのですか? 古市 今は直接関わってはいません。辻元さんが早稲田大学で同級生だった吉岡達也さんが代表を務めているだけです。 ──実際にピースボートに乗船している人たちは、どのような人たちですか? 古市 今回、僕が参加したクルーズでは、乗船者が約900人いたのですが、ほとんどが若者とリタイア後の年配者ですね。20代の若者が約4割でした。特に若い人には、日常に閉塞感を感じる中で「世界一周が自分を変えてくれるかもしれない」と思い乗船してくるタイプが多かったです。あとはリタイアして時間に余裕のある60代以上の年配者の方も4割近くいました。 ──船内での男女関係はどうでしたか? 古市 イメージしていたようなフリーセックス的なことは一切ありませんでした(笑)。若者に関しては、カップルになって、そういうことをする子もいました。ただ、基本的には仲良くはなっていくのですが、恋愛に発展するかといえば、そうでもなくて。高校生の男女のノリを思い浮かべていただければと思います。逆に、男女関係で元気なのは、年配者ですね。年配の方々は、夫婦で乗船する人が多かったのですが、船内で新しいカップルができて、デッキで抱きあったり、キスしているのをよく目撃しました。 ──著書の中で、乗船する若者について、「セカイ型」「自分探し型」「観光型」「文化祭型」と4つに分類していますが、それぞれについて簡単に説明してください。 古市 「セカイ型」は、船の雰囲気にも馴染めていて、ピースボートの理念である世界平和や難民問題などに関心が高く、憲法9条をダンスで表現した"9条ダンス"を踊る子たちです。「文化祭型」は、船の雰囲気には馴染んでいるけれども、ピースボートの理念には共鳴していない。文化祭的なノリで、9条ダンスは踊るけど、憲法9条(の遵守と維持)を訴えたいわけでなくダイエット目的などで踊る層ですね。「自分探し型」は、ピースボートの理念には共鳴するけれども、9条ダンスなどを見て、ちょっと違うなと距離を置いてしまった層で、「観光型」は、ピースボートの理念にも、雰囲気にも馴染んでいない人たちです。大体30歳前後の看護師さんや、正社員で仕事をしていたけれど、仕事が大変で逃げ出すように乗ってきた人たちが多かったです。 ■謎の"9条ダンス"とは? ──"9条ダンス"とは、具体的にどのようなものでしょうか? 古市 憲法9条の理念を主にヒップホップで表現したダンスです。結構、激しいダンスですよ。ピースボート側のロジックでは、憲法9条は日本語で書かれているから、言葉だと国境の壁を越えられないけど、ダンスでなら国境を越えられ、世界中に広がっていくと考えているんです。 ──9条ダンスは、主にどこで踊るのですか? 古市 世界中の寄港地で踊ります。パレスチナなら難民キャンプで、ニューヨークやカナダでは、街中でゲリラ的に踊って署名を求めるんです。突然、ダンスをして、日本の憲法9条に賛同してくださいと。ダンスを見せられたほうからしたら、日本の若い子が踊っているのは分かるけど、まさか憲法9条について踊っているとは思わないですよね。 ──先ほどの4類型のうち、「セカイ型」の若者たちは、ピースボートの掲げる政治性、世界平和に共鳴していて、ピースボート側としては理想的なお客さんだと思います。また、一般的にもピースボートに乗船している若者のイメージに近いと思うんですが、彼らの乗船動機はどういったものですか? 古市 乗船動機はバラバラなのですが、なんとなく大きいことをしたいとか、大人になる前に世界一周をして自分をもっと大きい人間にしたいとか、基本的には漠然としていて、もともと世界平和のために乗船したという人は少なかったです。ピースボートセンターに通っているうちに、今世界で起こっている貧困問題などを聞いて、それに共鳴していくんです(※ピースボートセンターという事務局に通い、ポスター貼りなどの雑務を手伝うとクルーズ参加料が割引される)。 ──彼らの特徴はありますか? 古市 すごく優しくて、無邪気で陽気な感じの若者が多かったです。ただ興味深かったのは、降りてからネットワークビジネスに関わる人が多い気がします。知っている限りでも、僕の乗ったクルーズでは20人ほどが何らかの形で関わっていました。ネットワークビジネスとスピリチュアルと自己啓発には似たところがあり、すごいポジティブシンキングで、私が変われば世界が変わるみたいな発想があるので、納得はできました。 ──船内の若者の中でも政治性を持っている彼らと、若い頃、学生運動に参加していた団塊の世代の年配者とを比較して象徴的な出来事はありましたか? 古市 今回のクルーズでは、エンジントラブルにより旅行日程が遅延したり、部屋の浸水、エレベータの故障、さらには、ニューヨークに寄港した際には、アメリカの湾岸警備隊の検査により、60以上の安全性の問題が指摘され、出港を差し止められるというトラブルがありました。年配の人たちはこうした事態に対して、主催者側に異議申し立てをして、対話や議論によって問題を解決しようとし、要望書を提出しました。それに対し、「セカイ型」の若者は、対話ではなく、ただ泣くだけで、閉じこもってしまうというシーンを目撃しました。共感のコミュニケーションで乗り切ろうとしたのだと思います。 ──共感のコミュニケーションとは? 古市 論理や言葉ではなく感覚によって繋がっていているんです。特に議論をして結論に達するのではなく、「世界平和大事だよね」「そうだよね」みたいな感じで、そこにロジックがあってそうなるわけではなく、なんとなく心情的に共感できるという。だから、彼らはピースボートに共感し一体化しているので、年配者の抗議が自分たちを批判しているように感じて、それで泣いてしまう。つまり、感覚で成立している共同体なので、議論によって解決しようとする年配者とは全く違ったベクトルで動いているのです。だから、意見が違う人には、意味が分からない、何でそういう人たちがいるのだろうと言って閉じこもってしまいます。一見、船でのトラブルへの対処も対立に見えますが、基本的にディスコミュニケーションでした。若者は想えば分かる、年配者は話せば分かるなので通じ合えないです。彼らは、想いが実現する、自分が想えば世界が変わるという考え方の人が多かったと思います。 ──もちろん想うことは大事ですが、実際の行動に移さなければ物事は変わらないと思うのですが。 古市 彼らからしてみれば、「こんなに世界平和と祈っているのに、どうして世界は平和にならないのだろう」なんだと思います。実際に、船内で戦争問題に関して、ディスカッションが行われたことがありました。憲法9条を持つべきか、つまり日本は軍隊を持つべきか持たざるべきかという議論になったとき、海外から攻められたらどうするのかというと、想えば分かる、世界平和を信じていれば分かってくれる、みたいな考え方をする人が多かったです。 ──彼らはそこで思考停止してしまうというか、具体的な行動は一切ない? 古市 彼らも、ピースボート側も具体的には、何も示せていない。ピースボート側も、憲法9条を守りましょうという団体なので、それ以上の道筋を提示してあげられない。 ──船を降りてから、具体的に難民問題や世界平和について行動することもないんですか? 古市 全くではないですが、ないですね。中には1、2人は、ピースボートの事務局のスタッフになる子もいます。この前、下船後、2周年記念パーティーが行われたのですが、政治的な話題や9条ダンスの話題は一切ありませんでした。これから変わっていくのかもしれませんが。結局、世界平和というのは、集まって、盛り上げるための"ネタ"に過ぎなかったとさえ言えるのかもしれません。 ■結局、若者は夢をあきらめた方がいいのか? ──古市さん自身が、ピースボートに乗船して感じたことは? 古市 僕個人としては、人と一緒に長い間過ごすことが苦手だと思っていたのですが、そうでもないことが分かりました。また、僕自身は、統計や研究、本などで非正規雇用やフリーター問題を知っているつもりだったのですが、研究では、若者は一元的に語られ過ぎていると思うようになりました。僕が思っていた以上に、多種多様な人々の顔が見られたことが大きいです。著書でも触れているのですが、僕が当たり前だと思っていた知識が、全く常識ではないことも分かりました。たとえば、「9条ダンス」を踊っているにも関わらず、憲法の制定年月日を知らない。それは1、2年の間違えではなく、1990年などと答えてしまう。他にも、三角錐が何か分からないとか。新聞や雑誌、本だけでなく、マンガすらも読まない人たちもいる。若年層の本を読む冊数は、20年前より増えているんですが、全く読まない人も増えていて、読む人と読まない人というように二極化が進んでいます。本当に身近な人との会話やmixiなどからしか情報を得ていない人も増えていると思います。 ──本を出版してからの反応はいかがですか? 何回か書評で取り上げられ、社会学的分析などについての異論もありましたが。 古市 別に「論壇社会学」に向けて書いてないんです。大きな物語という言葉を使ったけれど、それは補助線の一個として使っただけで、よくよく読んでもらえれば別に理論フレームでもなんでもないことに気づくと思うのですが。そのあたりのことは雑誌「サイゾー」(2010年11月号)で評論家の宇野常寛さんにフォローして頂きました。 ──最後に、本書の主張は「若者をあきらめさせろ」とも取れますが、若者には"あきらめさせた"ほうがいいですか? 古市 別に僕もこの本で「あきらめろ」とは言っていないんです。今のキャリアアップの仕組みも未整備で、セーフティーネットも十分に整っていない社会で、夢だけ見せて頑張れとは言えないし、それは無責任だとも思う。そういう社会は変えていかなくてはならないと思います。と思うと同時に、生活満足度調査を見ると、今の若い子はかつてないほど満足度が高い。こんなに若者の格差が叫ばれているのに、当の若者は満足している。そういうことを考えると、これが成熟した社会のあり方なのかと言われれば、思わなくもないのが難しいところなのですが。  33歳の筆者には、本書に書かれた「想えば叶う」という極端な考え方をする若者が、本当にそれほど存在するのかといった疑問と驚きがあったが、あのピースボートの内部ルポとしても読む価値は十分にあるし、古市さんの軽快な文体も楽しめる。ここに描かれる若者が、若者のうちの大多数ではないことを祈るばかりである。 (構成=本多カツヒロ) ●ふるいち・のりとし 1985年東京都生まれ。慶応義塾大学環境情報学部卒。現在、東京大学大学院総合文化研究科博士課程。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。有限会社ゼント執行役。
希望難民ご一行様 ピースボートと「承認の共同体」幻想 現代の縮図。 amazon_associate_logo.jpg
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ガンダムUC狂騒曲! 限定グッズバカ売れで転売屋は薄利にとどまる!?

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『機動戦士ガンダムUC』オフィシャルサイトより
 10月30日、『機動戦士ガンダムUC episode2 赤い彗星』のイベント上映とネット配信が全国で始まった。  劇場先行上映+ネット配信+Blu-ray販売という展開がハマり、クオリティーの高さが口コミで伝わってepisode1のBlu-rayが爆発的に売れた『ガンダムUC』だが、今回話題となったのもBlu-ray。実は、5,000枚限定でepisode1、2のシナリオブックがついた劇場限定版を発売したのである。このロットの少なさにファンは吃驚。「買えないのでは!?」とビビる声がネット界隈に溢れかえった。  上映館の中核とみられる新宿ピカデリーでは大量のグッズ購入希望者への対策を立て、その日の座席指定券を購入権として1枚あたり劇場限定Blu-rayを1枚、同じく劇場限定のプラモデル「HGUC 1/144 ユニコーンガンダム デストロイモード 劇場限定 NT-Dパールクリアver.」を3個まで購入可能という制限をつけた。  つまり、公開初日に限定グッズを買いたいなら、座席指定券を買わなければならなくなったのだ。  新宿ピカデリーの場合、座席指定券の販売は10月26日からだった。舞台挨拶がある午前の回が店頭販売のみだったため、劇場窓口には行列ができたほどだった。  しかし、"30日の座席指定券ならばどの回でも購入権として有効"ということが知れ渡ると、早い回のみならず、夕方の回までが爆発的に売れていった。制限は「1人につきBlu-ray1枚」ではなく、あくまでも「座席指定券1枚ごとにBlu-ray1枚」。転売屋と見られる人々も大量に購入したようだ。  その結果、転売屋とファンの別を問わず、グッズを買いたいだけの人々が上映を欠席するケースが続出。舞台挨拶回を含め、売り切れなのに空席が目立つという異常事態となってしまった。  オークションサイトでは定価7,000円のBlu-rayに約1万5,000円、1,900円のプラモデルに約4,000円の高値が付いているが、はたして転売屋はこの値段で売り抜けられるのだろうか。  ある来場者のひとりは「ちょっと値段が下がるかもしれませんね」と言う。 「六本木など他の上映館では瞬く間に売り切れてしまったようですが、新宿はプラモデルもBlu-rayも大量に入荷していたんです」  新宿ピカデリーの夜中の待機列は前日の終電まででおよそ50名。これが始発でどどっと増えて数百人の行列ができ、大混雑したのだが、行列がはけると並ばずとも買えたというのである。 「私は19時30分の回を見終えてからグッズ売り場に行ったのですが、Blu-rayを普通に売っていましたからね(笑)。プラモデルは確かめていませんが、少なくとも上映前にはあったはずです。新宿に限っては、前日の終電や始発で並ばなくても夜だったら苦もなく買うことができたんです」(前述の来場者)  念入りに劇場に問い合わせたファンによれば、初日の座席指定券総数の分のBlu-rayは確保している、との答えが返ってきたそうである。一部には2,000枚という説もある。購入希望者にある程度行き渡れば、転売屋が涙目になるという事態もありうるのだ。 「ちょっと新宿に集中しすぎたかもしれないですね(笑)。まあしかし座席指定券がただの購入権になり、空券として買われ、空席ができてしまうのも困ったものです」(アニメライター)  オークションを責めたい気分にもなるが、しかし一方で、自力で買いに行けないためオークションが頼り、という人々がいることもたしかだ。  限定グッズの販売方法を変えたほうがいいという意見もネットにはちらほら。次回はグッズの限定そのものを見直したりするのだろうか?  「全国で限定5,000枚」という呪文に振り回された一日だった。
機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) 2 通常版は11月12日発売です。 amazon_associate_logo.jpg
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オナニーで社会を変える!? TENGAが目指す次なる革命とは?

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「Roen」「VANQUISH」「SWAGGER」「X-LARGE」「roar」とコラボし、
よりスタイリッシュになったTENGA。
 男性ならもはや知らない人はいないと思われるほどに浸透した「TENGA」。  アダルトグッズ界に革命と呼べるほどの衝撃を巻き起こし、ケンドーコバヤシやくりぃむしちゅー有田、そして福山雅治まで、その魅力に捉えられた有名人も枚挙に暇がない。  そんなTENGAの新しいチャレンジとして、12月1日の世界エイズデーに向け、ファッションブランドとのコラボレーションTENGAを開発するプロジェクト「RESPECT YOURSELF」が始動した。  TENGAとエイズ、遠くて近いようなその関係に迫るべく、TENGA取締役の松浦隆さん、海外担当セールスマネジャーの佐藤恒樹さんにその思いをうかがった! ■TENGA1本で400円の寄付を! ──世界エイズデーに向けて始動した「RESPECT YOURSELF」プロジェクトについて、その経緯と趣旨を教えてください。 松浦隆氏(以下、松浦) 性に携わる会社として、設立当時からエイズ問題に何か貢献、協力できることはないかと考えていたんですが、結果これまでの4年間は何もできないでいました。また、TENGAが世間に浸透していくにつれ、いくつかのアパレルさんからコラボのお話を頂くようになりましたが、こちらもいろいろな障害があり、実現までには至りませんでした。それら1つ1つは実現不可能なことでも、その両者を組み合わせれば面白いことができるのではないか、と思い立ち企画したのが今年の3月です。そして、幾つかのアパレルブランドさんにオファーを始めました。 ──最終的に「Roen」「VANQUISH」「SWAGGER」「X-LARGE」「roar」という5社とのコラボが実現したわけですね? 松浦 この5ブランドさんの協力と理解がなければ、今回のプロジェクトは実現しませんでした。「RESPECT YOURSELF」というメッセージに賛同していただき、この個性的な5ブランドさんが集結したわけです。このTENGAが販売されることで1本につき400円が日本エイズストップ基金へ寄付されます。 ──TENGAというと、デザイン性の高さが魅力ですが、今回もデザインへのこだわりが伝わってくるパッケージですね。 松浦 パッケージのデザインは、ブランドさん側にお任せしました。ロゴの位置以外はデザイン的な制約をかけていないんですが、偶然にも全てのカラーが黒ベースに統一されたんです。それぞれのブランドさんが持つ世界観が、ディープスロートカップというキャンバスに描かれ、最初のサンプルを見たときには正直鳥肌が立ちました。ブランドさん同士は、特に打ち合わせとかしていないのに、5社のトータル感や、男っぽさ、骨太さが出ていますよね。 ■来年は「ヴィトン×TENGA!?」 ──今回は世界エイズデーに向けたプロジェクトということですが、この他にTENGAとして取り組まれている社会貢献事業はありますか? 松浦 主には身体障害者の支援と射精障害者のリハビリに対する支援を行っています。 ──身体障害者の支援というと? 松浦 具体的にはNPO法人ノアールさんと協力して、障害者の性に対しても支援を進めています。身体障害者の性に対する支援と言えば、セックスボランティアがありますよね。社会に障害者の性に対する問題を知ってもらうことはできましたが、同時にその響きから風俗サービスのようなものという誤解を与えている面もあります。TENGAとしては障害者のオナニーを支援しようとしているんです。 ──オナニーの支援というとどのようなものでしょうか? 松浦 健常者なら好きな時にオナニーができますよね。最も身近で手軽でお金もかからないストレス解消法であり性欲のコントロールになります。ところが障害者の方にとってオナニーはなかなか難しく、一回3時間もかかってしまうこともあります。今進めているのが、障害者がオナニーをしやすい環境をつくるという活動です。例えば手が不自由で物を握ることができない方もいます。そのような方のために、腕に装着するだけでTENGAを使用して頂けるよう、カフ(自助具)を開発いたしました。
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カフの取り外しはとっても簡単!
──手軽にオナニーをすることができれば、障害者にとっても性が身近になりますね。 松浦 風俗サービスのような一部の人だけが受けられる特別なサービスではなく、介助・介護をしている人なら誰でも提供できる"性的介助"にしたいんです。食事の世話、入浴の世話の延長上で、オナニーの手伝い、補助ができるようになれば理想ですね。 ──今回のように、他のブランドとのコラボは今後も続けていく予定ですか? 松浦 そうですね。今回は第1弾ということもあり、手探り状態からのスタートでした。今回参加していただいた5ブランドさんのご協力がなければ実現できませんでした。今年の成果次第になりますが、12月1日は国際的にエイズデーとして制定されているので、来年は世界中のブランドとのコラボができればと思います。メッセージを広く世界に伝えるには、ルイ・ヴィトンのモノグラム柄TENGAとかインパクトありますよね(笑)。 ──「株式会社TENGA」として、今後のビジョンを教えてください。 松浦 ゆくゆくは男性用オナニーグッズだけでなく、セクシャルウェルネス(性的な健康)に携わるトータルメーカーとして性に関するさまざまなプロダクトを展開していきたいですね。 ──ゆくゆくは「女性用TENGA」のようなものも開発されるんでしょうか? 松浦 かもしれませんね。男性のオナニーやセックスだけでなく、性に関わるあらゆることを手掛ける企業になり、総合的に性生活向上の役に立つ企業になることを目指しています。性欲は食欲、睡眠欲と並ぶ、人間の3大欲の1つですから、生活していく上で避けては通れない部分なんです。性欲をコントロールするためにオナニーをすることがあります。しかし間違ったやり方を覚えてしまうと射精障害にもつながってしまいます。 ──間違ったオナニーとは?
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TENGA取締役の松浦隆氏。
松浦 畳にこすりつけたり、机の角にこすりつけたりという方法を続けていると、強い刺激を受けないと射精できないという状態になってしまうんです。そうすると、膣の刺激では射精に至ることができず、女性とお付き合いしていく上での弊害となってしまいます。そんな射精障害の患者さんに対し、リハビリツールとしてTENGAが使われだしているんです。TENGAのカップシリーズは段階的に刺激が使い分けられるため、ハードからレギュラー、ソフトと徐々に刺激を弱めていくことで、膣圧に近い刺激でも射精できるようになるわけです。 ■オージーも仰天「Genius!!!!!」 ──現在ではヨーロッパ、アメリカ、アジアなど、世界各国でTENGAが販売されていますが日本と海外でTENGAの受け入れられ方に違いはありますか? 佐藤恒樹氏(以下、佐藤) 日本はアダルトグッズに対しては比較的オープンな国なんです。それがこと海外になるとその地域性がさまざまで、宗教観や倫理観の問題でこういったものは敬遠される場合がありますが、そこはTENGAの商品力で克服しています。ただ、共通して言えることはどの国に行ってもデザインや使用感は驚かれますね。 ──国によってデザインや使用感を変更しているんでしょうか? 佐藤 デザインや使用感は何も変えてません。(商品説明や注意事項等は各言語で表記) ──日本以外ではどの国で最も売れていますか? 佐藤 EUですね。特にスペイン、フランスなどで人気です。フランスは日本のサブカルが人気ということもあり、それに関連してTENGAも人気が出ているようです。フランスも性にオープンな国ですからね。 ──海外の方の感想はどのようなものでしょうか? 佐藤 先日、オーストラリアの展示会で即売を行ったんですが、初日に購入された方が、最終日に戻ってきて「お前らジーニアス(天才)だ!」と絶賛してくれました!(笑) ──(笑)。 佐藤 またAVメーカーとか、同じアダルトグッズメーカーの方にもファンが多く、アメリカで一番権威あるアダルト業界の団体『AVN』から賞も頂きました。 ──最後に、TENGAを愛する日刊サイゾーユーザーに対してお二人からメッセージをお願いします。 佐藤 恥ずかしがらずにどんどん使ってほしいですね。海外に行ってもいろいろな場所にTENGAが置いてありますから、海外旅行の際にはぜひ手に取ってみてほしいです。 松浦 TENGAはセックスの代用品ではなく、オナニーとして最高の快楽を追求して生まれた製品です。セックスや手でのオナニー、フェラしか知らない人にとっては全く別の快感なんです。一度味わったら絶対に手放せません!
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【TIAF2010autumn】アニメ市場動向と動画環境の未来を斬る!

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2009年アニメ界の状況。
 毎年春の東京国際アニメフェアに連動、過日、東京秋葉原のUDXにて開催された「東京国際アニメ祭2010秋」。10月22日(金)、4階UDXシアターでは合わせて4つの講演とシンポジウムが開催された。しかし平日の昼間ということもあり、聴講できた人数は限られたものだった。眠らせておくにはもったいない各々のシンポジウムと講演を振り返り、エッセンスを汲みとってもらえれば幸いとばかりにご紹介。 ◆主催者特別講演「日本のアニメーション産業の現状と未来」  イベントそのもののスタートとなる特別講演は、専修大学ネットワーク情報学部教授の福冨忠和氏が、一般社団法人日本動画協会理事長の布川郁司氏に問を投げかけるかたちで進んだ。  現在のアニメ業界はどういう状況なのか。今後どう変化していくのか。全体売り上げ、マーチャンダイジング売り上げ、音楽ソフト売り上げ、配信市場・携帯電話市場動向、海外市場動向など、さまざまなデータを提示しながら実態に迫っていった。  使用されたデータは日本動画協会会員企業の業績を集計したもの。厳密にはアニメ業界全体のデータではないが、日本アニメ界のおおよその傾向を知るには十分なものだった。  2006年をピークとしてテレビアニメの放映本数が減少傾向にある(09、10年は復調)ことは過去に何度か語られてきたが、これはリーマンショックなど世間一般の事情とともに、アニメーション業界特有の事情ももちろんある。  かつてスポンサー主導だったアニメ制作は、出資者の集合体である製作委員会主導で行われるようになっている。これによってギリギリまで制作が決まらないということがなくなり、計画的に作品づくりを進め、ビデオグラムを中心とする商品化によって制作費を回収するというビジネスモデルが定着している。  アニメが深夜帯に進出するようになり、好調だったビデオグラムの売上が06年までの右肩上がりを支えていたが、そのビデオグラムが売れなくなると従来のスキームが崩れてくる。1クールや2クールの短期シリーズが増え、品目は多くなっても、ファンの懐は広がらず、売上は向上しない。  一方で海外市場も売上が減少している。これはアメリカが自国のアニメーションに投資をしてそれが実り、日本のアニメが駆逐されていることにも原因があるようだ。  2005年以降はハリウッドの出資を受けた日本の実写映画やアニメ映画が増えつつあるというデータもあるが、もっと増やすための課題は何かと福冨氏が布川氏に訊ねると「日本のアニメーションはテレビのスケジュールに忙しく追いまくられる制作環境でつづけてきた。合作の話が来ても、そこに乗れる人材を育ててこなかったと思う」と指摘。クリエイティブな分野は高く評価されているが、マネジメントできる人材がいない点を問題に挙げた。  ところで、アニソンブームと言われ、J-POPと相対的にその地位を上げていることは実感として語られてきたが、これはデータの裏付けもとれている。売上枚数でみると09年度のJ-POPは前年比86.3%だが、アニソンやアニメサントラは同113.5%。『けいおん!!』が起こしたムーブメントも考慮にいれれば、音楽分野での商品化が武器のひとつになりえていることは間違いない。音楽も含め、二次商品でどう売上を立てていくかが重要になってくるようだ。 ◆シンポジウム「3D(立体視映像)の技術と歴史」  映像クリエーターの大口孝之氏が解説したのは、3Dは3DでもCGではなく、立体視映像の歴史だった。その歴史は当然のことながら、各年代における立体視技術の発明に関係がある。その度にブームとなりながら、定着してこなかったのはなぜなのか。  大口氏は冒頭「ことしは3D元年と言われていますけれども、こういったブームは過去に何度も起きている。それは失敗に終わってきた歴史でした」と喝破する。そしてなぜ失敗したのか、今回のブームでは何をしなければいけないのかを考えていきたいと表明し、語り始めた。
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大口孝之氏。
 3D映像の歴史は古く、1832年に開発されたホイートストンのステレオスコープがその始まりだった。まだ写真のない時代、鏡を真ん中に立てて2枚のイラストを立体視するという発明は画期的だった。  しかしこういった技術がことあるごとに発明されたのにもかかわらず、何か新しい娯楽が姿をあらわしたとき、脅威を感じた映画界が対抗策の飛び道具としての使い方しかできなかったために、3D映画は定着する機会を逃してしまうのである。  観客に向かって飛び出す、尖ったものを突き出す、何かを投げるという、ひたすら安直におどかすパフォーマンスに終始したため、いつの世も飽きられ、見放されてきた。  05年辺りからハリウッドが音頭をとって進化をしてきた3D映画には、未来のメディアとして特定の地位を占めるチャンスが巡ってきている。3Dメガネを軽量化する、通常版に比べて高価な入場料を安くする、立体映像の演出を成熟させるといった改良を施し、観客に受け入れられる道を探るべきだろう。 ◆基調講演「動画のメディア空間はどう変わるか」  ITジャーナリスト佐々木俊尚氏の講演は、Google TVを題材として次世代のテレビ視聴空間がどうなるのかを予測するものだった。  佐々木氏はGoogle TVの特徴を3つ掲げた。 1・検索バーを使い、地上波の番組とYouTubeなどのネット配信の動画をシームレスに検索。 2・Chromeブラウザを搭載し、ウェブを見られる。スマートフォンのようなQWERTYキーボードのあるリモコン。 3・Androidマーケットに対応。  新たな広告の掲載スペースを開拓してきたGoogleにとって、もっとも重要なのは3である。iPhoneにおけるApp Storeの役割をAndroidマーケットに負わせ、広告を見せ、アプリを買わせようというわけだ。Google TVが安価なのも、検索エンジンやブラウザが無料なのに似て、ハードやプラットフォームをばらまき、利益はあとでソフトの売上から得るという戦略のあらわれだろう。
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佐々木俊尚氏。
 佐々木氏はさらにテレビに連動して実況や天気を表示するANOBARを持ち出して「くだらない番組でもおもしろい」と、共感性が新たな楽しみであることを提示。そして、まるごと一週間録画型のHDD、SPIDERは、まるごと録画であるがゆえに話題のCMを探せる、CMをエンタテインメント化する、と豪語する。  かつて大河のようであった情報の流れが細分化した現在、そのこまかないろいろを、あるコンテクストに基づいて並べ替えるキュレーターの存在が重要になると佐々木氏は言う。  すでに食べログやTwitterに散見されるキュレーターとはカリスマレビュアーであり、口コミを起こす人である。ソーシャルメディアが情報流路の基盤へと成長していくという終盤の主題はネットをよく使う人間にはなじみのものだろう。リアルの知名度と関係なく、ネットに親和性のあるこの人ならば信用できるという考え方は、今後のメディア環境とおおいに関係がある。 ◆シンポジウム「2011年7月アニメ業界地上波デジタル対策」  地上波デジタル対策と言いながら、実際の内容はHDTV対策を語るものだった。地デジ放送に見合う映像をつくるにはHD画質は必須。それを実現するには高価な機材を揃えねばならず、これは予算に直結する。そして大きなデータをどう運ぶかは、制作時間に直結する。つまりHDTV対策は作品のあり方までをも規定する重要なテーマなのだ。  東京工科大学メディア学部メディア学科講師の三上浩司氏が質問役に立ち、プロダクション・アイジーでシステム管理・開発課課長を務める安芸淳一郎氏、アーティストゥリー・メディア所属のアニメーション監督である高木真司氏から知恵を引き出す展開。安芸氏と高木氏は3DCGアニメーション映画『ホッタラケの島』のスタッフであり、三上氏もふたりと過去にも登壇したことがあるために、話はかなり専門的なものとなった。  HD映像制作に必須な機材は ・高性能なPC(場合によってはレンダリングサーバ) ・大容量のストレージ(1TB以上) ・運搬用の大容量メディアまたは高速回線 ・HDSDI出力できるビデオカードとHDピクチャモニタ となる。このほか、業務によってはHD対応のノンリニアシステム、ディスクレコーダ、マスタモニタ、VTRが必要になるという。  PCの性能を示すMIPS(100万命令毎秒)は05年の15,187から09年には107,018と驚異的な伸びを示している。画像サイズも、D1サイズの720×480に対してフルHDの1920×1080は画素数が6倍にもなる。PCやストレージにかかる負荷は大きくなるばかりだ。  こうなると、高くなりすぎたスペックとどう付き合うかが問題になる。『ホッタラケの島』では、フィルムレコーディングテストをして、解像度が1280でもよいと判断した。その作品のルック(見た目の設計)によっては、解像度が最高でなくとも通用するのである。予算と納期にも直結するだけに、こうした見積りをできる立場のスタッフが重要になってくる。  三上氏は「今後、場合によってはステレオ3Dも入ってくるなか、プロダクション内の様々な問題はオープンにしてガイドラインをつくり、視聴者を楽しませる高品位な作品をつくることがアニメ産業の使命」だという。  安芸氏はこれを受け、ステレオ3Dへの対応が整っていない状況に、ディズニーに遅れをとているとの危機感をいだいていると表明。安全面も含めてつくり、届ける方法を模索したいと話した。高木氏も3Dに効果的なカット割り、画面構成、レイアウトを勉強しないといけないと言葉を揃える。  国内有数の制作会社であるプロダクション・アイジーにしてHDTV、3Dといった現在進行形の技術についていくのは決してやさしいことではなく、業界全体にとって大きな課題であるようだ。 (取材・文・写真=後藤勝)
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警察官、正義と悪、麻薬取引…… 好対照映画から見る現代アメリカ社会

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『クロッシング』10月30日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他全国ロードショー
(C)2008 BROOKLYN'S FINEST PRODUCTIONS, INC.
 警察官、正義と悪、麻薬取引、社会の底辺で苦闘する人々――。同じような題材を扱いながら、印象は180度異なる映画が2本、この秋相次いで公開される。現代アメリカ社会の苦悩を映す重厚な警察群像劇『クロッシング』と、メキシコから来た超ワイルドな元
警官が悪の一味を相手に暴れまくるB級活劇『マチェーテ』の2作品だ。  10月30日公開の『クロッシング』(プレシディオ配給)は、リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードル、ウェズリー・スナイプスという演技派の豪華俳優陣が紡ぐシリアスな刑事ドラマ。犯罪が多発するニューヨークのブルックリンで、ベテラン警官のエディ(ギア)は引退を1週間後に控え、人生に虚しさを覚えている。家族思いで信心深い麻薬捜査官サル(ホーク)は、身重の妻と5人の子どものために購入したい新居の資金作りに苦労していた。潜入捜査官のタンゴ(チードル)は、上層部から昇進と引き換えに、命の恩人であるギャングのボス(スナイプス)をおとり捜査で逮捕するよう命じられ苦悩する。正義感と現実の間で揺れ動く3人の警官の運命は、ある事件を機に交錯していく。  メガホンを取ったアントワン・フークアは、アカデミー賞受賞作『トレーニング・デイ』をはじめ、『リプレイスメント・キラー』『ティアーズ・オブ・ザ・サン』『ザ・シューター/極大射程』など、警官や軍人を主人公に据えた骨太なドラマやアクション作品で定評ある監督。逃げ場のない状況に追い込まれていく登場人物らの葛藤をサスペンスフルに描く確かな演出に、「自分がこの立場ならどうしよう......」と思わず引き込まれてしまうはず。  続いて11月6日に公開される『マチェーテ』(ソニー・ピクチャーズエンタテインメント配給)は、予告編などを目にして既視感を覚えた映画ファンも多いのでは。それもそのはず、ロバート・ロドリゲス監督が盟友クエンティン・タランティーノと競作した『グラインドハウス』(07)の冒頭で、偽の予告編(実在しない映画の予告編)として自ら制作した『マチェーテ』が流れていたからだ。実は『デスペラード』(95)の制作時から温めていたアイデアだったというが、3年前の偽予告編が世界中で大きな反響を呼び、長編映画の実現を後押しする格好になった。  "マチェーテ"(山刀)と呼ばれるメキシコ連邦捜査官(ダニー・トレホ)。麻薬王トーレス(スティーブン・セガール)の逮捕を目指したが、逆に妻と娘を惨殺され、自らも重傷を負う。3年後、米国テキサス州で日雇いの仕事を探す不法移民になっていたマチェーテは、移民嫌いの上院議員(ロバート・デ・ニーロ)の暗殺をしぶしぶ引き受ける。これがきっかけで、議員と結託するトーレスと麻薬密売組織、国境付近で「移民狩り」を行う自警団を相手に、マチェーテの壮絶な戦いが始まる。  ロドリゲス監督の持ち味である、バカバカしいほどにド派手で過激なバイオレンスシーンとスピーディなストーリー展開は本作でも健在。監督曰く「映画史上最高にすごい顔」のトレホが、悪人どもを山刀でバッサバッサとぶった切り、敵アジトの大爆発を背景にバイクでジャンプして高所から機銃掃射するなど、型破りなヒーローの刺激に満ちた活躍ぶりに、そこまでやるかと呆れながらもつい声援を送りたくなることだろう。女優陣もジェシカ・アルバ、ミシェル・ロドリゲス、リンジー・ローハンと豪華で、ナース服やシスター服でマシンガンをぶっ放す美女など、B級テイストあふれるセクシー要素も盛り沢山だ。  重苦しくも深い余韻が残る『クロッシング』と、痛快で元気が出る『マチェーテ』。好対照の2作品から好みの映画を選ぶのもいいし、見比べて現代のアメリカに思いを馳せるのもまた一興だ。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「クロッシング」作品情報 <http://eiga.com/movie/55371/> 「マチェーテ」作品情報 <http://eiga.com/movie/55720/>
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