
『石井魂 「金メダルを捨てた男」が
明かす"最強"への道』(講談社)
北京五輪・柔道金メダリストのプロ格闘家、石井慧が離婚していたことが分かった。
石井は昨年4月、都内の私立大2年生で19歳だった美香さんと入籍。その3カ月前にハワイで知り合って石井が一目ぼれした、電撃スピード婚だった。
それから1年にも満たない離婚劇、一体何があったのだろうか。石井と親しい格闘技関係者によると「結婚当初から、石井が奥さんへの不満を漏らしていた」という。
「石井は練習の虫ですから、国内外を問わず、あちこち渡り歩いては練習に時間を費やしているんですが、それが奥さんには面白くないらしく、もめる原因になっていたみたいです。なぜか奥さんから隠れるように練習場所を決めていました」(同関係者)
神をも恐れぬような言動で知られる石井だが、妻からは逃げ腰だったようで、バラエティー番組『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)に恐妻家のゲストとして登場したこともあった。
浮気を勘繰られたときは「食器を壁にたたきつけられ」、ケンカになったときは「ホットコーヒーをぶっかけられ」、さらに「愛車にジャムの瓶を投げつけられた」と証言。自宅にある3台のクーラーうち2つは、美香さんがリモコンを投げて壊したのだという。「言い合いになるとモノを投げられる」とおびえる石井に対し、電話出演した美香さんが「彼はウソばかりで信用できない」と反論していた。
さすがに視聴者からは石井に同情の声が集まったが、一方で美香さんが通う大学の同級生知人はこんな話もしている。
「恐妻家という企画に協力してくれって石井さんに頼まれて、番組では大げさに演出されたと言ってましたよ。でも、あの番組のせいで彼女は周囲からヒステリックな女と見られてしまって悩んでいる様子でした」
夫婦間のことは他人には分からないが、離婚となれば慰謝料が発生する可能性もある。石井にとっては本業をおろそかかにするわけにはいかないが、近年の格闘技界は右肩下がりで人気凋落する大不況。過去に出場した日本版K-1のDREAMも、主催のFEGが経営難で興行自体が行われておらず、大金を稼ぐアテの国内ビッグマッチに出場することは困難な状況だ。
ビッグマウスをたたいて臨んだ一昨年のプロデビュー戦は、吉田秀彦に完敗。昨年は4勝したが、自分より体重の軽い選手や無名外国人など勝って当たり前の相手ばかり。加えて判定決着も多い試合内容も、「つまらない」とのレッテルを張られている。
今年が正念場となる石井は先ごろ、米国の有力団体ストライクフォースと契約。4月2日(現地時間1日)の試合に出場する予定だったが、不運なことに震災の影響による書類の不備などでキャンセルになったと伝えられている。
「今後、出場できても海外ではネームバリューがないのでファイトマネーは格安。よほど強い選手を連覇しない限り、額が上がることはありません。それに海外を主戦場にすれば、日本ではマニアでもない限り観戦する人はいないので、国内での知名度も下がっていきます」(格闘技ライター)
石井の高い才能は誰もが認めるところだけに、結婚も失敗、格闘家転向も失敗......などと言われないような活躍を見せてほしいものだ。
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数学者や文学者には自由業のような人も……工学部とは責務が違う!?

著者の今野浩教授。
筆者は大学生の時、理工学部に通っていた。そこで出会う理工学部の教授は、普段忙しくしているが、具体的に何をしているのだろう? と疑問に思ったものだ。もちろん、大学での授業はやっているし、研究もやっている。しかし、それ以外の時間は、どのように過ごしているのか。そうした疑問や大学のシステム、工学部の内部事情について書かれたのが、今野浩中央大学理工学部教授のノンフィクション小説『工学部ヒラノ教授』(新潮社)だ。
自ら、学生として東京大学、スタンフォード大学で学び、教官として筑波大学、東京工業大学、中央大学で教鞭をとってきた今野教授は、金融工学の権威でありながらも、小説をしたためる器用な学者である。東工大で大学改革を体験した同教授に、今回の小説や大学院重点化政策などについて聞いた。
――本書執筆のキッカケを教えていただけますか?
今野浩教授(以下、今野) 約20年前に、作家の筒井康隆さんが大学内部のゴタゴタをシニカルに描いた『文学部唯野教授』(岩波書店)という本がベストセラーになりました。この本が社会に与えた影響は極めて大きく、大学はレジャーランドの刻印を押されてしまいました。しかし、工学部の実態は文学部とはまったく違います。そこで、誰かが本格的にそれについて書いてくれればいいと思ったのですが、誰も書かないので、私自身が執筆しました。
――映画などで描かれる研究者は、研究や授業以外は、とてもゆったりと暮らしているようなイメージがありますが。
今野 私が在籍していた東工大の人文社会学群にはそういう人が何人もいました。数学者や文学者は、自由業のような生活をしている人が少なくありません。しかし、工学部の教授には、学生をきちんと育てるという任務があり、そういう人たちとはまったく違う暮らしをしています。
――学生をきちんと育てるというのは?
今野 工学部はしっかり学生を教育して、産業界に送り込まなければなりません。学生の評判が悪いと、次の年から、その大学の学生は採用してもらえなくなるのです。だから、おかしくなりそうな学生がいれば、きちんと指導する。学生の指導の他に、国際レベルの研究、大学・学科運営などもあります。学生や教官のマネジメント、さらに、東工大時代は、大学変革の時期だったので、膨大な量の文書を作らなければならなかった。その他にも、工学部の教授は企業における技術指導や学会業務、政府の委員会などと多忙を極めます。
――工学部の教授が一番忙しいのでしょうか?
今野 一番大変なのは研究・教育・雑用のほかに診療がある医学部教授ではないでしょうか。工学部には、診療はありませんからね。
――大学院重点化により、各大学は、学部を中心とした教育組織から、大学院を中心とする研究重視の組織になり、大学院の定員が増加し、修士号や博士号の取得者が増加しました。先程の話にも出ましたが、その大学改革時期に、先生は東工大にいました。大学院重点化の煽りを受け、現在博士号を持ってはいるが、職がない人や任期付のポストにしか就けない研究者が問題になっています。そこで、大学院重点化についてお聞きします。今野先生は、スタンフォード大学の大学院を卒業されていますが、日本の大学院とアメリカの大学院を比べた場合、教育に大きな違いはありますか?
今野 あくまでも工学部の場合に限りますが、まず日本では学部でかなりの基礎教育をやっているという認識があるので、大学院に入ると狭い範囲の先端的なことを教えます。それに対して、アメリカの学部では日本ほど基礎教育をやっていないので、大学院に入ると本格的なスクーリング(講義プラス宿題)で基礎教育を受けます。しかし、この教育が日本に比べてとても厳しい。最初は初歩的なところから始まりますが、宿題をたくさん出して集中的にトレーニングします。
――具体的にはどれくらいですか?
今野 たとえば、1時間の授業に対して3時間分の宿題が出され、1科目につき、1時間の授業が週に3回あるので、宿題だけで週に9時間はある。5科目を履修すると45時間になる。1科目を通年で勉強すると、たとえば『金融工学入門』(日本経済新聞社)という日本語版で600ページ以上ある教科書を、練習問題も含め、丸一冊全部やらされる。そうすると、金融工学に関する体系的な実力がかなりつきます。こういった幅広い基礎教育は日本の大学院ではやりません。
――現在、大勢の博士号を持った若者が職に就けていないことが問題になっています。今後、どうすれば大学院教育が改善され、職にあぶれないようになると思いますか?
今野 それには大学院での教育の中身を、企業が採用したくなるように幅広い基礎教育を行い、特定の狭い分野だけではなく、より広い知識をもった人材を輩出するようにすることです。そうしないと企業と学生のミスマッチはいつまでも解消されないでしょう。
――実際にそのような教育に変えていくためには?
今野 こういったアメリカ型の大学院教育をするには、研究に50%、教育20%、雑用に30%という日本の標準的な工学部教授の時間配分を変えなかえればならない。教育に割く時間を少なくとも30%にまで高める必要があります。
――政府は最初からこんなに大勢の職のない博士が生まれることは分かっていたのですか?
今野 政府は企業にいろいろとプッシュはしていました。ただ、大学というところは村社会なので、どこの大学の誰先生のところの博士は使いモノになるかどうかという情報が行き渡っています。大学が人を採用するときには、そういう情報によって判断するのです。新設の大学院で、あまり情報がない研究室の出身者はなかなか採ってもらえません。大学ですら情報がないのですから、企業はさらに情報がないわけですから採用しないでしょう。
――そういう理工系の博士号を持った人たちを、どういう分野で活用すべきでしょうか?
今野 理工系離れが言われて久しいですが、企業の元エンジニアが中学校などで授業をすると大変人気があるそうです。我々の高校時代にも、数学や物理を専攻した博士号を持つ人が高等学校の先生になることは珍しいことではありませんでした。部活などでかなりレベルの高い専門的知識を教えることもできるし、それによって生徒のモチベーションを高めることもできます。高等学校の先生というのは、やりがいのある仕事だと思うので、就職先としてもっと開拓すべきだと思います。
――『工学部ヒラノ教授』について、発売前にご友人や学生に原稿を見せたということですが、反響はいかがでしたか?
今野 友人は、こんなに大学の内情を書いて大丈夫なのかという反応がありました。学生からは、大学というものの仕組みがよく分かったという反応もありました。私自身も、平教授をやっている間は、大学の仕組みがよく分からなかったのですが、学部長になってみて初めてよく分かりました。平教授のときは、なんで俺がこのようなことをやらなければいけないんだ、と思ったこともありましたが(笑)。
本書は、大学での出世スゴロクを上がる過程で出会った文系スター教授、東工大での裏話、論文の書き方や研究費獲得のノウハウまで内容は多岐に渡っている。大学という不思議な組織を眺めるには、絶好の書ではないだろうか。
(文=本多カツヒロ)
●こんの・ひろし
1940年生まれ。東京大学工学部応用物理学科卒業、スタンフォード大学大学院オペレーションズ・リサーチ学科修了。筑波大学電子・情報工学系助教授、東京工業大学大学院社会理工学研究科教授等を経て、中央大学理工学部経営システム工学科教授。著書に『「理工系離れ」が経済力を奪う』(日経プレミア)、『すべて僕に任せてください 東工大モーレツ天才助教授の悲劇』(新潮社)、『金融工学20年 20世紀エンジニアの冒険』(東洋経済新報社)など多数。
『電波女と青春男』キャストが語る電波っぷり!!

TBS系で4月7日深夜1時55分から放送予定。
シャフト制作×新房昭之総監督×宮本幸裕シリーズディレクターによる超電波系アニメ『電波女と青春男』が4月からTBS系でスタートする! 原作は『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』の作者、入間人間によるライトノベル(電撃文庫、イラスト:ブリキ)。
宮本シリーズディレクターは、『さよなら絶望先生』、『化物語』、『魔法少女まどか☆マギカ』などに参加した経歴を持つ演出家。劇団イヌカレーとの関わりが深く、いわゆる"イヌカレー演出"同様、シャフト独特の強烈なインパクトがもたらされるのではないかと、大いに期待が寄せられている。
甘酸っぱい高校生活をエンジョイしようとする丹羽真(にわまこと)と、ふとんで簀巻き状態の従妹で自称宇宙人の"電波女"藤和エリオ(とうわえりお)を主人公とする、一風変わった青春ラブコメディー。エリオの母親で39歳ながら外見は超若い藤和女々(とうわめめ)、リュウシとしか呼ばれない天然気味な御船流子(みふねりゅうこ)、身長約180cmで虚弱体質、コスプレ好きな前川さん(まえかわさん)も絡み、ユーモアを交えてそれぞれの心の襞を描いていく。
第3話のアフレコ終了後に、メインキャストの大亀あすか(藤和エリオ役)、入野自由(丹羽真役)、加藤英美里(御船流子役)、渕上舞(前川さん役)、野中藍(藤和女々役)が取材に応じてくれた。
それぞれが演じるキャラクターについて、「簀巻きなところと生身の人間も楽しめて、二度おいしい」(大亀)、「アニメなので、真の内面と表向きの部分の二面性が見られるところが魅力」(入野)、「笑顔と無邪気さが一番」(加藤)、「毎回毎回、どこぞのコンビニの制服だったり気ぐるみで登場する。マスコットを目指したい」(渕上)、「39歳もマスコットキャラになれるようにギャップ萌えを目指して、自分の母を参考に演じていきたい」(野中)とのこと。
「登場人物が全員電波ですね」と言うのはヒロイン、エリオを演じる大亀だ。「なにかしら違う電波を発信しているな、というのは感じました」
相方となる真を演じる入野は、「スタッフもけっこう電波(笑)。会話のテンポも電波ですよね。普段ではありえない。テンポが速いと思ったらゆったりした空間へ持っていく。不思議と吸い込まれていく、いい電波なんじゃないでしょうか」と口を揃える。
天然キャラで知られる野中藍は「エリオの電波もそうなんですけど、ほかの子もみんなちょっとずつ変わっているので......どの子を見ていても飽きないと思います。後ろでアフレコ中、クスクス笑わせていただいています」
「エリオは最初、玄関に布団で簀巻きになってころーんと寝転がるところから登場するんです。なぜ布団を巻いているのかとか、3話でも見えていない部分も多く、謎の女の子。不思議な部分をいっぱい持っている電波だなと思いました」(大亀)
行方不明になっている期間のことを覚えておらず、自らを宇宙人だと言い張るエリオと真との間に、そもそもラブが成立するのか。萌え市場との整合性は甚だ心もとないが、OPに神聖かまってちゃんを起用している時点で、いわゆるハーレムアニメとは一線を画しているのは明らかだろう。
過日、ももいろクローバーとの対バンでさすがの貫禄を示した神聖かまってちゃんは、ヒロインのエリオ(大亀あすか)をヴォーカルに迎え、本作限定ユニット「エリオをかまってちゃん」を名乗り、OPテーマ「Os-宇宙人」(キングレコード)をリリースする。
大亀は初体験の「一発録り」に面食らっていたが、そのおかげでアニソンとは真反対のドライブ感溢れるロックナンバーに仕上がったようだ。
「ロック is 電波、みたいな」(大亀)
逆だろ! というツッコミを意に介さず、「ロックと書いて電波と読む」と堂々アピールする大亀あすかの"ズレた"ノリは、やる気を投げ出したかのような神聖かまってちゃんのアティテュードとシンクロする。
いったいシャフトがどれほどの斬新さで原作を料理するのか。戦々恐々として見守りたい。
(取材・文=後藤勝)
エロじじいたちが赤裸々に告白『性生活報告アーカイブ』文庫創刊!

シリーズ創刊とともに話題を呼んでいる『昭和
の「性生活報告」アーカイブ』。櫻木編集長
いわく、「ぜひ若い女性にも読んでほしい」
とのこと。
「お年寄りがこんなにお盛んだとは知らなかったって? それは分かってないんじゃないですか」
そう笑いながら言ってのけたのは、マガジン・マガジン相談役・櫻木徹郎氏だ。日本初のビジュアル系SM専門誌「SMセレクト」(東京三世社)に携わった後、元祖兄貴系ゲイ雑誌「さぶ」、栗本薫(中島梓名義)や竹宮恵子らも創刊から参加した元祖耽美派ボーイズラブ雑誌「JUNE」。そしてサブカル系コラムが話題を呼んだエロ雑誌「マガジン・ウォー」(ともにサン出版)などの編集長を歴任してきた伝説的編集者、リヴィング・レジェンドである。
その櫻木氏が現在手掛けているのが、サン出版より毎月2冊のペースで刊行されているSUNロマン文庫『昭和の「性生活報告」アーカイブ』シリーズである。
同シリーズは、一般読者が自身のセックスライフを赤裸々に告白する投稿手記をまとめた専門誌「性生活報告」のベスト・セレクション的位置づけの官能文庫。ちなみに「性生活報告」とは知る人ぞ知る高齢者向けエロ雑誌であり、創刊から30年を経た現在も発行され続けている。その投稿者の多くは 60~80代の性の熟練者たち。中には90歳を超えた猛者もいるというから驚きだ。
「歳を取って、社会生活の中での見栄なんかがなくなって、いろいろな物事に対してヌケてくるというか達観してくるんでしょうね。たまたま『性生活報告』という場があるから、それがエロという形で現れているだけでしょう」
と櫻木氏は語る。
ご老人と言えば、縁側でのほほんと日向ぼっこ......のようなイメージの強い若輩者には、のっけから大きなカルチャーショックである。

編集長の櫻木徹郎氏(左)と、副編集長の園田
敦史氏(右)。
そんな誌面には、「ズロース」「もんぺ」「赤線」「集団就職」「防空壕」といった昭和情緒あふれるワードが所狭しと踊っている。中には30代の投稿者なんかもちらほら見かけるものの、上記のお歴々の中ではまだまだヒヨッコ。
そんな「性生活報告」の中から選りすぐりの告白手記を集めた『昭和の「性生活報告」アーカイブ』文庫は、そのタイトルに違わぬ圧倒的なクオリティーの「報告」ばかりだ。投稿されたテキストには一切手を加えないという編集方針から、その筆致も実に荒削りで、「プロット」も「オチ」もろくに存在しないものも多い。だが、それゆえにプロにはとても描き出せないリアリティーが行間からはにじみ出ている。
つまり、匂い立つようなエロスが満ち溢れているのだ。
「いろいろな出版社が官能小説に参入しているのを見て、『性生活報告』のバックナンバーの森に入ってみたら、不倫、近親相姦に変態プレー、娼婦に戦争モノといろいろなジャンルの、膨大な量の優良コンテンツが眠っていたんですよ」
櫻木氏はシリーズ発足の経緯をこう語る。
確かに『昭和の「性生活報告」アーカイブ』を紐解けば、「防空壕で隣のおばさんと...」「犬のロッキーを恋人にした私の妻」「息子の親友を誘惑して」「夜の床屋」など、なんとも生活感あふれる、そして魅惑的なタイトルが後から後から飛び出してくる。
個人的には太平洋戦争出征前夜、母親に筆おろしをしてもらうという内容をそのままタイトルにした「出征前夜、私は母を抱きました」と、兄と近親相姦関係の妹が夭逝するまでを日記形式で綴った「妹との『大人ゴッコ』」というエピソードが大変印象的であった。いずれも近親相姦を扱ったアブノーマルな内容ではある。しかし、それ故に煩悩と本能が入り交じった、理屈では語り尽くせない人間の業や深い情愛を感じてしまい、興奮と同時に感動も覚えてしまう。
「昔は今と違って、すぐ隣に誰かいる、という住環境でしたから、親兄弟や隣のお姉さんなんかに"メスの匂い"を感じやすかったんでしょうね。昭和という時代は携帯電話がなかったり、職場の上司が部下をそういうお店に連れていってあげたり、同じ女性と関係を持ったりと人間関係が近いんですよね」
副編集長の園田敦史氏はそう語る。この生活に密着したエロスこそ昭和の一つの姿なのだ。
つまり、昭和はあちらこちらにエロ地雷が仕掛けられていた時代だったということか。う~ん。実にうらやま......けしからん。
また櫻木氏も、

今年で創刊30周年を迎える、"エロじじい誌"
こと「性生活報告」の創刊当時のバックナンバー。
「当時の日本は貧乏で、上昇していこうという活力が国全体に満ちていたから、こういったレポートにもパワーが満ちていますよね」
と、本書に滾るギラギラした力強さについて分析する。
つまり、数年前『ALWAYS 三丁目の夕日』『20世紀少年』など昭和をテーマにした映画が多数生まれヒットしたが、それらが(意図的かどうかは不明だが)見落としている昭和のリアルな「夜の生活」を見事に描き出したのが、『昭和の「性生活報告」アーカイブ』なのだ。
そんな同シリーズは「アーカイブ(保存記録)」と銘打たれているだけあって、今後はこれまでのような体験談のみならず、昭和のエロ文化、性風俗文化についての資料や記録も掲載していく予定だという。
そこで、櫻木氏は失われた昭和の空気を感じたい若い世代にもぜひ『昭和の「性生活報告」アーカイブ』を読んでもらいたいと語る。
「今の若い方はDVDとかグラフ誌ばかり見ているから、言葉の表現の豊かさをきっと知らないんだよね。だからぜひ読んでいただきたい。本当に変なエピソードばかりなんだけど、『人間って面白いな』と思えるようになるから」
戦前、戦中、そして戦後復興期の日本を支えたパワフルな性欲に満ち溢れる、風情たっぷりの昭和エロ。その色褪せない世界の魅力は、一度読んで確かめて欲しい。
(取材・文=有田シュン)
●『昭和の「性生活報告」アーカイブ』
伝説の投稿手記雑誌「性生活報告」の30年の歴史のなかで傑作投稿を選び出し、文庫版で甦らせせたシリーズ。現在までに『出生前夜、私は母を抱きました』、『三十路未亡人の淫らな手記』、『防空壕で隣のおばさんと......』、『今なお新鮮な兄嫁との情交』の4冊が刊行。今後、毎月2冊ずつ刊行予定。
勝利を信じて闘い抜け! 困難に立ち向かう不屈の闘志『ザ・ファイター』

『ザ・ファイター』(C)2010 RELATIVITY MEDIA. ALL RIGHTS RESERVED.
東日本大震災の甚大な被害とその影響で、日本中が悲しみと不安に覆われている今日この頃。心の支えになるような何かを映画に求めるとしたら、困難に立ち向かう不屈の闘志だろうか、それとも気持ちやすらぐ癒やしだろうか。
3月26日公開の『ザ・ファイター』は、実在の名ボクサーとその兄を題材にした感動の人間ドラマ。マサチューセッツ州ローウェルに住む元ボクサーのディッキーは、かつてはスター選手とも戦う町の英雄だったが、麻薬に溺れ自堕落な日々を送っている。そんな兄にボクシングを教わったミッキーは、兄がトレーナー、過保護な母親がマネジャーという体制で試合に臨むが、対戦相手に恵まれず一向に勝てない。だが、恋人との出会いと兄の逮捕が転機となり、順調に勝利を重ね、ついには世界タイトルマッチへの挑戦が決まる。そしてちょうどその頃、兄が刑務所から出所する......。
努力家で真面目な弟と、天才肌でお調子者の兄という好対照のふたりを、プロ並みのトレーニングを3年続けて撮影に臨んだマーク・ウォールバーグと、役作りで13キロ減量し髪を抜き歯並びまで変えたクリスチャン・ベールがそれぞれ熱演。ベールと母親役のメリッサ・レオが先月の米アカデミー賞で助演男優賞、助演女優賞をそろって受賞したことも話題となった。
メガホンを取ったのは、『スリー・キングス』のデビッド・O・ラッセル監督。試合のシーンでは、対戦相手に本物のプロボクサーを、撮影にテレビ中継スタッフを起用するこだわりぶり。テレビ画面風の処理を施したショットの挿入も相まって、リング上で実際に行われているファイトを生中継で観戦しているかのような迫力だ。家族と恋人に支えられ、長く苦しい時に耐え、勝利を信じて戦い抜く主人公の姿は、観客の心を振るわせ、明日への活力をもたらしてくれることだろう。
アツイ映画もいいけれど、心を和ませてくれるような作品が見たいという向きには、現在公開中の『ファンタスティック Mr. Fox』がおすすめだ。『チョコレート工場の秘密』で知られるロアルド・ダールの原作小説を、『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』『ライフ・アクアティック』のウェス・アンダーソン監督がストップモーション・アニメで映画化した。
野生のキツネMr.Foxは盗みのプロで、農家からニワトリやアヒルを失敬していたが、妻のMrs.Foxの妊娠と、罠にかかり絶体絶命のピンチに陥ったのを機に足を洗う。数年後、妻と息子の3人で穴ぐら生活を送りながら新聞記者として働くMr.Foxは、見晴らしのいい丘に立つ大木の家への引っ越しを決意。しかし丘の向こうには、意地悪な金持ちの農場主3人が住んでいた。泥棒稼業に復活し、人間たちの農場から獲物を盗むことを繰り返すMr.Foxら動物たちと、激怒してキツネを捕獲しようとする人間との穴ほり合戦が始まる。
これまで実写映画でもアンダーソン監督が一貫して表現してきた箱庭的な世界観と、愛らしい動物のパペットを1コマずつ動かして撮影したストップモーション・アニメの相性は抜群。作り手の愛情が伝わってくるパペットの造形と動きは、眺めているだけで自然と笑みがこぼれてしまう。動物対人間の冒険活劇も心躍るが、夫婦愛、親子愛もしっかり描かれており、大人から子どもまで幅広い世代が楽しめる作品だ。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
"バカ映画の巨匠"河崎実の逆襲!? 『新・巨人の星』のごとく復活せり

「才能のあるエド・ウッド」を自認する河崎実監督。
中野のバー「ルナベース」は、"ミニロフトプラスワン"として賑わいを見せている。
バカ映画を作り続けて四半世紀。『いかレスラー』(04)、『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発』(08)など一連のB級作品で知られる"バカ映画の巨匠"河崎実監督。80年代には"萌えカルチャー"を先取りしたSFコメディー『地球防衛少女イコちゃん』(87)シリーズで注目を集め、90年代には元祖人気フードル、可愛手翔をフューチャリングしたセクシー青春ドラマ『飛び出せ!全裸学園』(95)を大ヒットさせた。ゼロ年代に入ると、トルネード・フィルム率いる叶井俊太郎プロデューサーとのタッグで、『コアラ課長』『ヅラ刑事』(06)などの劇場公開作品を次々と発表する快進撃ぶり。『ギララの逆襲』はベネチア映画祭に正式出品され、松竹系で全国公開されている。河崎監督の半生は日本におけるインディペンデント映画の歴史であり、同時にメジャーの壁に果敢に挑む不屈の男の現在進行形のリアルドラマでもある。トルネード・フィルムが倒産した今、バカ映画の巨匠は何を考えているのか? 3Dソフト「ルナベース地球防衛軍女子部 飛び出せ!野球拳3D」を発売するとの知らせを聞き、2月某日、河崎監督が経営する中野のバー「ルナベース」を訪ねた。ハイボールを片手に気持ちよくなった河崎監督は、数々の業界裏話を語ってくれた。
──河崎監督、"実相寺昭雄監督のお宝開帳"以来ご無沙汰しています。昨年オープンした『ルナベース』、中野ブロードウェイから近くて、ステキなお店ですね。
河崎実監督(以下、河崎) 懐かしの特撮ドラマ『謎の円盤UFO』に登場する月面基地をイメージした内装ですよ。いつもなら、『謎の円盤~』のヒロイン、エリス中尉ばりのセクシーコスチュームを着た女性隊員がいるんだけど、まだ出勤前なんで来てないけどね。80インチの大型スクリーンがあるんで、DVDなどの上映ができるんです。イベントデイはけっこう賑わいます。毎週水曜日は中野貴雄監督の『大怪獣サロン』で、毎週木曜がボクがVJを務めている『河崎実ナイト』なんです。"ミニロフトプラスワン"っぽい感じで、楽しく過ごしてますよ。
──トルネード・フィルムが潰れた後、どうしているかと思えば、サブカルの聖地・中野でサバイバルされてたんですね。

河崎実監督の最新作となるゲームソフト「地球
防衛軍女子部 飛び出せ!野球拳3D」。知的
生命体と人類を代表したセクシー女子隊員たち
との激闘が繰り広げられる。
河崎 映画を作っているときも、毎晩のように酒を飲みながら打ち合わせしてたんでね、まぁ、自分専用の打ち合わせスペースを一般開放しているようなもんですよ。業界関係者、特撮ファン、間違えて入ってしまったOLたちを相手に、バカ映像を肴に盛り上がってます。このお店のテナント料ね、中野にしては激安なんです。内装もカウンターも全部手づくり。もともと自主映画やってたから、何でも自分で作っちゃうんです。『パラノーマル・アクティビティ』(07)なんて130万円程度で作ったらしいけど、このお店は敷金と内装費を合わせても同じくらいの金額だよ。まぁ、超低予算映画を一本撮る金額で、代わりにお店を開いたようなもんだね。ボクとしては、『ギララの逆襲』がベネチア映画祭に招待され、全国公開され、映画監督としてぐるっとひと回りして、また自主映画時代に戻ったわけですよ(笑)。
──河崎監督、相変わらずC調で明るいなぁ(笑)。新作ソフト「ルナベース地球防衛軍女子部 飛び出せ!野球拳3D」は、ブームの3Dをしっかり取り入れてますね。
河崎 これはね、SF作家フレドリック・ブラウンの短編小説『闘技場』をモチーフにしたゲームソフト。エイリアンと戦う地球防衛軍の美人隊員たちが野球拳に負けると、一枚ずつコスチュームを脱いでいくという男子なら釘付けになるゲームソフトですよ。特殊ステレオビューアーを輪ゴムを使って、PSPに装着するというところが、ボクらしくて笑えるでしょう? この3D映像はね、パナソニックが開発した業務用一体型3Dカメラを日本で初めて使用したゲームソフトなんです。まぁ、ひとつ楽しんでくださいよ。
■バカ映画に隠された驚愕の事実!
──おぉ、女子隊員がどこまでコスチュームを脱ぐのか気になるじゃないですか! いや、野球拳ゲームは後でじっくり楽しませていただきますが、今日は酒を飲んだ河崎監督がこれまでのバカ映画伝説を無礼講で語るという趣旨なんです。
河崎 ボク自身は過去を振り返らない男なんだけど、日刊サイゾーさんの頼みなら、いいでしょう。まず『地球防衛少女イコちゃん』? ボク自身はオタクじゃないんで"萌え"にはそれほど興味ないんだけど、『イコちゃん』で美少女+コスプレという企画を実写で真っ先にやったわけだよね。前回の取材で、実相寺監督は大変な熟女マニアということを話したけど、ボクはロリコン趣味じゃないからね。美少女よりも、美少女が着た特撮コスチュームが好きなんです(笑)。真性ロリコンの映画監督もいるけど、ボクは違うからね!
──どうりで「ルナベース」に勤務する女子隊員たちのコスチュームも凝ってるんですね。ヒット作『飛び出せ!全裸学園』はフードルの先駆者・可愛手翔を、河崎監督がみずからスカウトしたそうですね?

ルナベースで行なわれた「飛び出せ!野球拳
3D」の発表会見。女子隊員たちがコスチューム
を脱ぎ捨てる姿は、知的生命体ならずとも必見だ。
河崎 「『ビデオ安売王』が1億円で100本のビデオ作品を作るというプロジェクトの一環だったんです。テリー伊藤さんの紹介でボクもそのプロジェクトに参加し、『全裸学園』をプレゼンしたところ、いちばんウケたんですよ。高橋がなりさんがSODで『全裸』シリーズをヒットさせましたが、あのシリーズはボクの作品からインスパイアされたものなんです(笑)。ヒロインを演じた可愛手翔はね、あの頃は今みたいに風俗情報誌がなかったんで、見つけるのが大変でした。高田馬場に行列のできるファッションヘルスがあると聞き、ボクも行列に並んだ末に彼女に会って、「Vシネ、出ない?」と直接交渉しましたね。今考えると、人気風俗嬢に直接話を持ちかけるなんて、ボクも無謀でした(苦笑)。バックに怖い人がいなくて良かった!
──面白い作品を作るために、後先を考えないところが素晴らしいです。そして、フジテレビ系の月9『東京ラブ・シネマ』(03)のモデルとなった映画界の名物男・叶井俊太郎プロデューサーとタッグ結成。
河崎 叶井はその頃、イギリス映画『えびボクサー』(02)を日本でヒットさせていて、「えびがボクシングするなら、いかがプロレスしてもいいじゃないか」とボクから『いかレスラー』の企画を売り込みに行ったんです。叶井とは4年間に合計6本も劇場作品を公開することができました。6本のバカ映画は、どれもボクからの企画でしたが、彼はあの気取った顔で「いいっすね。やりましょう」といつも2秒で即答してくれたんです(笑)。ボクにとっては、実にいいプロデューサーでしたよ。
──叶井俊太郎プロデューサーが2005年に設立したトルネード・フィルムは、3億円の負債を抱えて2010年に倒産。一部では『ギララの逆襲』を調子に乗って全国公開したのが原因だと言われましたが......。
河崎 いやいや、『ギララの逆襲』はね、トルネードと共同配給した松竹の重役が「これは当たる!」と言い出して、宣伝費に数千万円も掛けちゃったんですよ。そうなると、もう誰も止められないわけです。それまでボクの劇場作品は単館公開だったのに、いきなり全国公開になっちゃった(笑)。若大将じゃないけど、「いやぁ、参ったなぁ」ですよ。その重役、もう松竹にいませんけどね(苦笑)。それにトルネード・フィルムが潰れたのは、『ギララの逆襲』だけのせいじゃないから。『いかレスラー』『日本以外全部沈没』『ヅラ刑事』は当たったんで、ボクの作品は勝率としては五分五分。それに『ギララ』は最近になって欧米で売れて、iTunesで配信されています。トルネードはねぇ、ボク以外の作品がこけたのが大きかったんですよ。そこは誤解なきよう、頼みますよ。
■『あしたのジョー』より『新・巨人の星』
ルナベースの美人女子隊員が到着して、酒の量が増す河崎監督と取材スタッフ。お店は、図らずしも貸し切り状態。ここから、いよいよ蔵出しトークが始まった。
河崎 『日本以外全部沈没』はね、原作者の筒井康隆先生からOKもらっただけじゃなくて、樋口真嗣監督がリメイクした『日本沈没』(06)の原作者・小松左京先生からもちゃんとOKをもらった上で製作したんです。それでボクが映画化権をもっていることが業界で広まり、イケメンアイドルを多数抱えるあの大手芸能事務所から、『日本以外全部沈没』に出資したい、国民的アイドルグループから誰か出してもいいという電話が掛かってきたんです。この話、本当はNGなんだけど、まぁ、どうせバカ映画ばかり撮ってる監督の発言は誰も信じないから、話しましょう(笑)。確かに国民的アイドルが出演すれば、もっと話題になったし、大ヒットしたでしょう。でも、ボクはこの話を断りました。いろいろと規制が多くなり、ボクが撮りたいような作品にならないわけです。『日本以外全部沈没』では金日成のそっくりさんを出演させましたが、そーゆーアブないネタ、バカなネタは全部できなくなっちゃう。それじゃ、ボクが撮る意味がありません。メジャーに魂は売りたくないんですよ。
──河崎作品はC調に見えますが、実は体を張って映画を作ってきたんですねぇ。今、そのインディペンデントシーンは厳しい状況です。

ルナベースを拠点に、新企画を進行させている
河崎監督。『新・巨人の星』の星飛雄馬のような
ミラクル復活劇を果たすに違いない。
河崎 厳しいね。映画界はテレビ局が出資する10億円規模の映画と、若い監督に100万円程度で撮らせる激安インディペンデント映画に二極化してるよね。ボクみたいな中間層がなくなっちゃったね。ボクの作品を上映してくれていた「シネセゾン渋谷」も2月で閉館しちゃったしね。
──最近では、園子温監督や井口昇監督のようなエッジを効かせたバイオレンス映画が人気を呼んでいます。そのへんは、どう見てますか?
河崎 井口監督の『片腕マシンガール』(07)、当たったらしいね。いいと思いますよ。でも、ボク自身は残酷映画を撮ろうとは思わない。河崎作品は、ゆるい世界なんでね。そこは曲げるつもりはありません。まぁ、学生時代の8ミリフィルムに始まって、オリジナルビデオ、テレビドラマ、劇場映画、それにゲームと、河崎作品はフォーマットにはこだわってません。DVDが売れなくなったことから、製作費を回収できず映画業界は苦しくなったわけだけど、その問題をクリアする秘策の目処はついています。いろいろ企画を準備しているところですよ。実は実写版『タイガーマスク』の企画も進めていたんです。ボクは特撮マニアと思われているけど、梶原一騎作品の大ファンでもあるんです。でも、これは出資者が集まらなくてね。今、公開してれば、ブームに便乗できたのにさ(笑)。
──梶原一騎と言えば、『あしたのジョー』が実写化されました。原作ファンとしは複雑な気分です。
河崎 うん、やっぱり『あしたのジョー』は梶原作品の中で、いちばん人気あるからね。とりわけ、全共闘世代の人たちに人気なんですよ。『タイガーマスク』のラストはすごく格好悪いし、『巨人の星』の星飛雄馬は肩を壊して、その後も栄光を引きずって生きながらえていく。ボクにすれば、そこがいいんですけどね。それに比べて『あしたのジョー』の矢吹丈は真っ白い灰になって幕を閉じるという美しい終わり方なんで、全共闘世代の人たちはそういう死に様に憧れたんですよ。その点、今のボクは『新・巨人の星』の星飛雄馬の心境ですね。『ギララの逆襲』でベネチア映画祭に呼ばれ、全国公開され、映画監督としてほんの一瞬でしたが、栄光に触れることができたわけですよ(笑)。『新・巨人の星』の飛雄馬が左投手ではなく、右投手として巨人軍にカムバックしたように、ボクも奇想天外なアイデアで復活してみせますよ。まぁ、大リーグボールのようなユニークな企画をいろいろと進めているところなんで、野球拳ゲームしながら楽しみに待っててください。
夜も更け、さらにぶっちゃけトークは続いた。ベネチア映画祭で日本からの招待枠を『ギララの逆襲』と争ったのが『おくりびと』(08)で、映画祭ディレクターの"『ギララ』の方が明るい"という判断から河崎監督がベネチアに呼ばれたそうだ。その結果、『おくりびと』はモントリオール映画祭に回り、北米の人たちの目に触れ、さらにはアカデミー賞外国語映画賞受賞の快挙につながったという不思議な巡り合わせがあったのだった。「映画というのは、大勢の人の想いが結実して形になるものだから、ときどき不思議な力を発揮するんですよ」と河崎監督はこのときだけは真顔で語るのだった。新しく注がれたハイボールの炭酸の泡が弾ける音の狭間に、バカ映画に情熱を賭ける男の情念がほとばしった。
(取材・文=長野辰次)
●Barルナベース
住所/東京都中野区新井1-14-16 ライオンズマンション中野第5B?101
営業時間/夜8:00~12:00 電話/03-5318-9980 貸し切りパーティーや1日カフェ&バーのオーナーとしての利用も可能。<http://luna-base.net>
●かわさき・みのる
1958年東京都出身。『フウト』『エスパレイザー』などの特撮映画を自主製作して名を馳せ、オリジナルビデオ『地球防衛少女イコちゃん』(87)で商業監督デビュー。青春ドラマとエロスを融合させた『飛び出せ!全裸学園』(95)は「ビデオ安売王」の大ヒット商品に。叶井俊太郎とのタッグで『いかレスラー』(04)を劇場公開。以後、『コアラ課長』『日本以外全部沈没』『ヅラ刑事』(いずれも06)、『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発』(08)と叶井とのタッグが続いた。中でも欧州で人気の高い北野武監督をキャラクター&ボイスキャストとして起用した『ギララの逆襲』は、"インディペンデント映画として、最大限のメジャー的展開を成し遂げた作品"と河崎監督は位置づけ、同じことの繰り返しはやりたくないと語っている。『ヅラ刑事 頭上最大の作戦』(07)がフジテレビ系で放映されるなど、TVドラマでもすちゃらかぶりを発揮。その他、永井豪原作の人気キャラクターを対決させた『まぼろしパンティVSへんちんポコイダー』(04)、中川翔子をヒロインに迎えた『兜王ビートル』(05)、河崎監督自身が主演するライフワーク的作品『電エース』シリーズなどがある。『ウルトラマンはなぜシュワッチ!と叫ぶのか?』(角川書店)、『「巨人の星」の謎』(宝島社)、『タイガーマスクに土下座しろ!』(風塵社)など著書も多い。現在は新作の企画を練る傍ら、中野のバー「ルナベース」を経営。
<http://www.ponycanyon.co.jp/ikochan>
"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』

スコットランドの離島で育った少女アリスは、パリからやってきた
タチシェフの奇術を本当の魔法だと思い込んでしまう。
(C)2010 Django Films Illusionist Ltd/Cine B/France 3 Cinema All Rights Reserved.
目の前に立ち塞がるどうしようもない現実の重みを、ほんの一瞬だけでも忘れさせてくれるのが一流のイリュージョニスト(奇術師)だ。ドラえもんの四次元ポケットのように、シルクハットの中から次から次へとサプライズを取り出してみせ、観客にひと時の夢を楽しませてくれる。もちろんシルクハットの底には仕掛けが隠されているが、イリュージョニストは決してタネを明かすことはしない。そそくさとステージを降り、観客が見た一瞬の夢を永遠の夢に変えてしまう。イリュージョニストは"粋"でなくては務まらない職業なのだ。映画『イリュージョニスト』は、フランスの喜劇王ジャック・タチ(1907~1982)が書き残したシナリオ"FILM TATI No.4"を、『ベルヴィル・ランデブー』(02)の人気アニメーション作家であるシルヴァン・ショメ監督が現代に甦らせたもの。ジャック・タチ作品ならではの"粋"の極意を、ショメ監督が哀惜の念を込めて見事にアニメーション化している。
『ぼくの伯父さんの休暇』(52)、『ぼくの伯父さん』(58)で、子どもと犬たちに慕われる"とぼけたオジさん"ムッシュ・ユロを演じ、世界的な人気を博したジャック・タチ。彼の監督作品の中でSEXや暴力が描かれることはなく、その上パントマイム出身だけに台詞もほとんどない。無声映画を思わせる静謐な世界だ。市井の人々の暮らしのおかしみに、額縁職人の家系に生まれた美術センスとシャレた音楽を施すことで、傑作コメディーに仕立てている。"FILM TATI No.4"は、『のんき大将』(48)、『ぼくの伯父さんの休暇』『ぼくの伯父さん』に続く、長編第4作『イリュージョニスト』として人気絶頂期に実写化されるはずだった。

主人公タチシェフのキャラクターは、往年の
喜劇王ジャック・タチの容姿や立ち振る舞いが
丹念にコピーされている。
『イリュージョニスト』は1950年代終わりのパリから物語は始まる。ベテラン手品師のタチシェフ(ジャック・タチの本名!)は、パリの劇場でシルクハットから白うさぎが飛び出す昔ながらの演目を続けてきたが、今のパリっ子は誰も見向きもしない。腰をくねらせる長髪の歌手の金切り声に、若者たちは夢中だ。仕事のない老手品師は、やむを得ず、欧州各地へのドサ回りの旅に出る。言葉の通じないスコットランドの離れ島でも淡々と"営業"を続ける老手品師。ただ一人、ボロ旅館で働く無垢な少女アリスだけが、目を輝かせてくれる。世話をしてもらったお礼にと、タチシェフは少女に赤い靴をプレゼントして、島を去っていく。
ところが、少女はタチシェフの奇術を本当の魔法と思い込んで、付いてきてしまう。いまさら、赤い靴は買ったものだとタネ明かしすることもできない。このとき老手品師は思う、自分は大勢の人たちに夢や驚きを与えるプロのエンターテイナーのつもりで生きてきたが、実は純真な子どもを騙してきたペテン師だったのではないかと。身寄りのない少女を島に追い返すことができず、老手品師と白うさぎと少女とのエジンバラでの共同生活が始まる。生まれて初めての都会に驚き、喜ぶ少女。老手品師は、街に似合う新しい靴とコートを魔法で取り出す。もう彼の財布はすっからかんだ。それでも老手品師は言葉の通じない街で不慣れなアルバイトをしながら、少女の前で魔法を使い続ける。
大衆演芸、自転車、駄犬への狂おしいまでの愛情を詰め込んだ『ベルヴィル・ランデブー』での長編デビューを控えていたシルヴァン・ショメ監督に、シナリオ"FILM TATI No.4"の存在を教えたのはジャック・タチの愛娘、ソフィー・タチシェフ。ソフィーはジャック・タチの晩年の作品『トラフィック』(71)や『パラード』(74)にフィルム編集者として参加しており、ジャック・タチの世界観を誰よりも理解している女性だった。ショメ監督が『ベルヴィラ・ランデブー』の劇中に、『のんき大将』の映像を使用したいと頼んだ際、ソフィーは父親の世界観と若いショメ監督のイメージする世界が通じることを感じとり、映像の使用許可だけでなく父親の遺稿を託すことを決める。まさに明断だ。彼女自身が、父親が残した魔法を見たかったに違いない。だが残念なことに、ソフィーは『イリュージョニスト』の映画化をショメ監督に依頼して間もなく、2001年に他界してしまう。

ウサ公と放浪の旅を続ける手品師のタチシェフ。
旅先の風景や大衆演芸の世界の描写にショメ
監督は並々ならぬ情熱を注いだ。
でもなぜ、ジャック・タチは『イリュージョニスト』の脚本づくりに2年の歳月を費やしながらも、製作に踏み切らなかったのだろうか。『ぼくの伯父さんの休暇』『ぼく伯父さん』の人気キャラクターであるユロ氏を愛したファンの前に年老いた姿を見せたくなかったから、手品シーンを完璧に演じることができなかったから......さまざまな理由があったようだ。それに加えて、もうひとつ言われているのが、『イリュージョニスト』の内容がジャック・タチにとって、あまりにリアルすぎるため映画化が見送られたという説。というのも、ジャック・タチ自身が映画界に入る前の独身芸人時代に婚外子をもうけていたことが最近になって明らかになったから。若い頃はさぞモテただろう元二枚目の老紳士が、イギリスの片田舎で暮らす少女のために甲斐甲斐しく尽くす『イリュージョニスト』の物語は、"贖罪"の意識で書かれたのではないかと。
もしジャック・タチが映画界に転身せずに、演芸の世界にこだわり続けていたら。そして、もし旅先で生き別れた自分の子どもに会っていたら。『イリュージョニスト』は、ジャック・タチが果たせなかった、切ない願望の世界であるらしい。結局、ジャック・タチは『イリュージョニスト』の企画はお蔵入りさせ、主人公がいない画期的な大作コメディー『プレイタイム』(67)に着手するが、『プレイタイム』は大コケしてしまい、生涯借金に追い立てられることになる。
実写では生々しくなるエピソードを、シャメ監督は温かみのある手描きのアニメーションとして端正な一本の映画に昇華させてみせた。シャメ監督もアニメ製作に理解のないフランス映画界には随分と不満を持っており、フランス映画界の異端児的存在だったジャック・タチに深いシンパシーを抱いていたようだ。喜劇王ジャック・タチの幻の作品が、娘ソフィーからショメ監督へと粋なバトンリレーによって新たに命を吹き込まれて劇場公開される。これを"イリュージョン"と呼ばずして、何と呼ぼうか。
(文=長野辰次)
●『イリュージョニスト』
オリジナル脚本/ジャック・タチ 脚色・作曲・キャラクターデザイン・監督/シルヴァン・ショメ 声の出演/ジャン=クロード・ドンダ、エルダ・ランキンほか 3月26日(土)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国順次公開
配給/クロックワークス、三鷹の森ジブリ美術館 <http://illusionist.jp>
FEGはギャラ未払い、戦極は消滅へ、海外では買い叩かれ──お茶の間から格闘技が消える日

UFC WORLD/WOWOWオンラインより
日本の格闘技界が虫の息だ。
例年なら3月にはFEGが大会を開催してきたK-1やDREAMが、今年はいまだ日程も出ないまま。それどころか、K-1王者だったアンディ・サワーやDREAM王者の青木真也からファイトマネーが未払いであることを明かされ、いまや身売りや破産といった説が囁かれている。
さらに、ライバル団体の総合格闘技SRC(戦極)は、主要スポンサーだったドン・キホーテが撤退。11日には公式ホームページで「親会社とスポンサー企業の全面支援に頼って事業を行ってきた弊社としては、それを打ち切られれば自力で独自興業ができるわけもなく」と、新たなスポンサー企業が見つからない場合は解散することを表明した。
日本の格闘技界に君臨した2大トップ団体が崩壊の道を辿っているのとは対照的に強大化しているのが、アメリカUFCだ。過去にPRIDEを買収したことで知られるUFCだが、エメリヤーエンコ・ヒョードルを出場させた第2団体ストライクフォースを買収することが先日伝えられ、まさに独走、一人勝ちの様相だ。
これに危機感を募らせているのは日本の選手たち。DREAM、戦極の両団体に出場経験がある日本人選手Aは困り顔で語る。
「国内がダメなら海外へと思っていたんですが、先に海外に出た選手たちに話を聞くと、これからはかなりギャラを下げられるというんです」
これまでは国内外で複数の団体が並立していたことで選手の引き抜き合戦が乱発され、結果的にファイトマネーが高騰してきたが、UFCに一本化されることで、その相場も売り手市場から買い手市場になるというわけだ。
別の選手Bは以前、アメリカで1試合400万円ほどで試合をしたことがあったというが、海外マネジャーに再度アメリカ行きを相談したところ「50万円ぐらいなら」と言われた話を明かしている。
ただ、海外出場にはルールに合わせた現地での練習が不可欠で、その分の滞在費がかかるため、50万円では赤字になってしまうのだという。
「だからといって日本の小さな団体で試合をすれば、その半分以下。これまで選手を専業でやってきましたが、他に仕事をしないともう無理でしょう。夢も希望もない世界になってきましたね」(前出選手A)
K-1がポスト魔裟斗として売り出したHIROYAも、K-1興行がないため他団体の小規模興行に出場を予定しているが、先日は総合格闘技にも挑戦すると表明。もはやK-1を捨て去ったかのような態度をとっている。
TBSに問い合わせたところ、毎年恒例だった大晦日の『DYNAMITE!!』も今年は予定がないとの回答で、格闘技ファンが人気選手の試合を見るには、海の向こうで開催されるUFCを衛星放送でテレビ観戦するしかないという状況だ。
ある関係者からは「経営が苦しいジムもあって、有名選手がやっている某ジムは早ければ夏までに閉鎖する」という話もあった。
かつてのPRIDE人気が嘘であったかのように、日本の格闘技が世間から消えつつある。海外では隆盛でも、日本ではドマイナーなジャンルと化してしまうのか。
天才子役ダコタちゃんが悩殺パフォーマンス! 『ランナウェイズ』

(C)2010 Runaways Productions, LLC.All Rights Reserved.
配給: クロックワークス
アカデミー賞受賞作や候補作に話題が集中しがちなこの時期。とは言え、もちろんそれ以外にも隠れた名作はたくさんある。今週紹介する新作2本は、いずれも実在のアーティストを題材にした音楽映画。ふんだんに挿入される楽曲そのものの魅力を味わいつつ、作り手であるアーティストの生きざまと時代の空気に触れられる佳作だ。
3月12日に封切られる『ランナウェイズ』は、1970年代に日本を含め世界中でセンセーションを巻き起こした元祖ガールズロックバンドの軌跡と、10代のメンバーたちの青春を描いた作品。女性ロックスターを夢見てギターを弾き始めたジョーン・ジェット(クリステン・スチュワート)は、地元ロサンゼルスで敏腕プロデューサーのキムに見いだされた美少女、シェリー・カーリー(ダコタ・ファニング)と共に「ザ・ランナウェイズ」を結成。女性だけのロックバンドという物珍しさと、セクシーで過激な歌詞や衣装が話題になり、メジャーデビュー、海外ツアーへと躍進。だが、家庭に問題を抱えるシェリーと、音楽よりもシェリーのルックスばかり注目されることにいら立つメンバーとの関係は次第に悪化する......。
サエない現実から抜け出すため夢に賭け、仲間と出会い、時に傷つけ合いながら成長していく。大人になるまでに誰もが経験する、そうした青春時代の高揚感や切なさが、往年のロックナンバーと共に綴られる。かつての天才子役、ダコタ・ファニングも本作の撮影時で16歳。利発な美少女という従来の役のイメージから打って変わり、下着同然のステージ衣装をまとい悩殺パフォーマンスを披露する。黒髪に革ジャンという外見でマニッシュな魅力を放つクリステン・スチュワート(『トワイライト』シリーズ)は、ボーカルとギターを猛特訓して劇中使用12曲を完全マスター。製作総指揮のジョーン・ジェットを驚かせたという貫禄の演奏ぶりも必見、必聴だ。
一方、現在公開中の『ショパン 愛と哀しみの旋律』は、「ピアノの詩人」とも呼ばれる名作曲家フレデリック・ショパンの激動の半生を描く。19世紀、若き作曲家ショパンは、帝政ロシアの支配下にあったポーランドを離れ、自由な芸術活動を求めてフランス・パリへ。当代随一の人気作曲家フランツ・リストによる計らいで、念願のパリ社交界デビューを果たす。美しい旋律と情感豊かなピアノ演奏で名声を高めるショパンに、恋多き女性作家ジョルジュ・サンドが情熱的にアプローチ。やがて2人の愛が始まる。
創作活動に情熱を注ぎ珠玉の旋律を紡ぎ出していくショパンと、そんな彼を愛し葛藤するサンド、そして2人の関係に深刻な影響を受けるサンドの子どもたち。彼らが織りなす人生のドラマが、時に繊細で、また時に荘重な音楽と共に描かれる。チェロのヨーヨー・マ、『戦場のピアニスト』の演奏で知られるピアノのヤーヌシュ・オレイニチャク、日本を代表する若手ピアニストの横山幸雄など、演奏家の顔ぶれも豪華。ショパンの人生が刻まれた名曲の数々を、当時の欧州の街並みや華麗な室内装飾等とともに、心ゆくまで楽しんでいただきたい。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
「ランナウェイズ」作品情報
<http://eiga.com/movie/55821/>
「ショパン 愛と哀しみの旋律」作品情報
<http://eiga.com/movie/55833/>
J・デップ×A・ジョリー 美しい古都で繰り広げられるサスペンス『ツーリスト』

今週は劇場に居ながらにして、異国情緒を味わいつつ、サスペンスや人間ドラマを堪能できる新作映画2本を紹介したい。
『ツーリスト』(3月5日・日劇ほか全国ロードショー/配給・宣伝:ソニー・ピクチャーズ)は、アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップという、2大スターの初共演が話題のリメイク作。謎めいた美女エリーズ(ジョリー)は、フランスからイタリア・べネチア行きの列車に乗り込む。金融犯罪者の恋人からの指示で、車中でエリーズが身代わりに選んだ男は、旅行中のアメリカ人教師フランク(デップ)。誘われるまま高級ホテルに泊まったことから、警察に追われギャング一味に狙われるハメになったフランクと、エリーズとの危険な恋の行方は? エリーズの正体は、そして、隠された大金を最後に手にするのは誰なのか?
水の都ヴェネチアで三者入り乱れて繰り広げられるチェイスは、激しさの中にも優雅さがあり、クラシカルな街の風情も合わせて楽しめる上品なアクションといった具合。憂いを秘めた表情が魅力のジョニーと、シックな衣装ときらびやかなジュエリーをまとって一層ゴージャスさが引き立つアンジー。美しい古都で絵になる二人の佇まいが、先の読めないサスペンスに華を添える。
同じく3月5日に封切られる『アレクサンドリア』は、ヨーロッパ映画史上最大級の製作費を投じ、本国スペインでゴヤ賞7部門受賞、同国映画史上最高興収を記録した歴史スペクタクルだ。
激動のローマ帝国末期、エジプト・アレクサンドリア。美ぼうと優秀な頭脳を併せ持つ女性天文学者ヒュパティアは、多様な人種が入り混じった弟子たちを分け隔てることなく、宇宙の法則と謎について熱心に講義していた。だが、急速に勢力を強めるキリスト教徒らは科学を否定し、学者たちと対立。激しい戦闘、権力争いの果てに、彼女の身に危険が迫る。
監督は『オープン・ユア・アイズ』『海を飛ぶ夢』のアレハンドロ・アメナーバル。『ナイロビの蜂』でアカデミー賞助演女優賞を獲得したレイチェル・ワイズが、高潔さと知性を持ったヒュパティアを熱演。建物や広場を実際に建設し、最先端のCGも駆使してよみがえらせたという古代アレクサンドリアの壮大な景観を、ぜひ映画館の大スクリーンで体感してもらいたい。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
『ツーリスト』作品情報
<http://eiga.com/movie/55376/>









