【CINNAMON】──伝説の"レッド・ツェッペリン完コピバンド"が明かした素顔──

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(写真=江森康之)
 メンバーのプロフィールは、すべて非公開──。音楽史に燦然とその名を刻むロックバンド、レッド・ツェッペリンの楽曲のみを演奏するCINNAMON(シナモン)は、ロックファンの間で知る人ぞ知る存在である。    楽曲は知らない若年層でも、レッド・ツェッペリンの名前くらいは聞いたことがあるだろう。1968年のデビュー以来、80年にドラムのジョン・ボーナムが急死し、活動を休止するまでに売り上げたシングルとアルバムの累計セールスはクイーンやマドンナに匹敵する。そして、現在でも彼らの音楽は世界中で支持されており、"伝説"となった楽曲は、今でも売れ続けている。  そんなレッド・ツェッペリンが2度目の来日を果たしたのが72年。同公演を目の当たりにしたJIMY(ジミー/エレキ&アコースティックギター、マンドリン)とJOHN-G(ジョンジー/ベース、キーボード、マンドリン、アコースティックギター)が名古屋で結成したのがCINNAMONだ。以来、40年近くにわたってレッド・ツェッペリンのパーフェクトコピーバンドとして君臨。演奏技術はもちろん、使用する楽器の"プレミア度"でも世界的に注目を集めるバンドへと成長した。だが、そのディテールはベールに包まれ続けている。 「ステージ上では『レッド・ツェッペリン』でありたいから。ほかの情報は必要ないと思うんです」  4月29日、東京・渋谷『O-WEST』で行われたライブツアー「Rehabilitation(リハビリテーション)」のリハーサル後、取材と撮影に応じてくれたオリジナルメンバーのひとりJIMYは、穏やかに語ってくれた。レッド・ツェッペリンである以上、日本人アーティストとしての情報は不要。それがパーフェクトコピーバンドの美学なのである。  何度かのメンバーチェンジを繰り返し、現在はJIMY、JOHN-Gのほか、PER-C(パーシー/ボーカル、タンバリン、ハープ)、BO-NAM(ボーナム/ドラムス、タンバリン)の4名に落ち着いている。だが、国内のみならず、欧米やアジア各国の公演にも声がかかるそのパフォーマンスは健在だ。  レッド・ツェッペリンの音源を完全に再現するため、使用する楽器もギターを中心にビンテージの名品が多く、本家のジミー・ペイジが使用していたものとまったく同じ年代、製造ロットのレスポールやダブルネックのギター、そして70年代初期のマーシャル・アンプを見るために足を運ぶファンも。また、シンセサイザーの登場により製造中止になって久しいメロトロン(エアロスミスやキング・クリムゾンなども使用していた磁気テープでサンプル音声の再生ができる鍵盤楽器)は、なんと3台目。  完璧なサウンドは、ビデオのない時代に映画館に何度も足を運び、『レッド・ツェッペリン 狂熱のライヴ』の演奏をパーフェクトに覚えるところから始まった。オープンリールのレコーダーにLP盤の音源を録音し、回転数を落としてサウンドを解析することも繰り返したという。そして、もちろん衣装もパーフェクトコピーだ。 「......そうですね......ファンがプレゼントしてくれたり、オーダーしたり......」  JIMYはあくまで静かに語る。そして、気になるのはバンド名の由来だろう。 「......いえ、バンド名を考えていた時に、たまたまカプチーノについていたシナモン・スティックが目に留まったから(笑)」  そして将来の展望を尋ねると、「やっぱり武道館公演ですね」と即答する。  さて、満員となった4月29日のライブでは、円熟した演奏テクニックが披露され、まさに"ロックの博物館"といったクオリティ。ダブルネック・ギターのソロで始まる「天国への階段」やドラム・ソロがメインの「モビー・ディック」など、ツェッペリン・サウンドが聴衆を魅了した──本物ではない本物、CINNAMONが持つ世界屈指のクオリティは、ぜひライブで体感してほしい。 (文=三島 優) CINNAMON(シナモン)
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72年に名古屋で結成された、レッド・ツェッペリンのパーフェクトコピーバンド。メンバーは、JIMY、JOHN-G、PER-C、BO-NAMの4名。今後のライブは7月17日(大阪)、7月31日(埼玉)、8月14日(福岡)、9月10日(名古屋)、9月25日(東京)を予定している。ライブ情報は公式サイト、またはファンサイトまで。

昼夜トータル5時間の萌え萌えしいアニソンライブにULTRA-PRISMも見参!!

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 2008年5月の「001」からスタートしたアップフロントスタイルのライブプロジェクト、HAPPY! STYLE Communication Circuitがこの5月でついに4年目に突入。21日に開催された「008」では008≒∞ということで「アンフィニ・加速」をテーマに現レギュラーメンバー(能登有沙、ゆいかおり《小倉唯、石原夏織》、寺門仁美、三澤紗千香※夜の部のみ、松永真穂、市川利奈)が結集し、萌え萌えしいアニメソングを中心に2部合計で64曲を熱演した。  ギリギリまで発表されなかったゲストは、過去に出演経験のある月宮うさぎ。そしてシークレットゲストは、なんとその月宮が活動中のULTRA-PRISMだった。  表参道FABで開催されることが多いハピスタだが、この日は大きめの文化放送メディアプラスホール。「008」はゆいかおりのメジャーデビュー1周年記念公演も兼ねている、ふさわしい舞台だろう。  女性声優が半ばグループアイドル化したユニットを組み、キャラクターヴォーカルの状態でアニメのOP/EDを歌う傾向がここ数年続いている。キャラクターソング化したアニメソングは音楽的にもアイドルソングに近似で、女性ヴォーカル曲のストックが豊富になっているとも言える。  そうしたナンバーを選んだ結果か、セットリストには最新の萌えアニメに起用されたOP/ED曲がズラリ。ハピスタメンバーの2.5次元的な魅力を存分に引き出していた。  原曲に振り付けが存在しないものについては新たに起こさねばならず、「SUPER∞STREAM」を石原夏織が担当した以外は、リーダーの能登有沙が振り付け。準備期間はあまりなかったというが、本番に間に合わせ、完璧な踊りを見せた。  昼の部と夜の部の間には囲み取材が行われた。メンバーのコメントは以下の通り。 「ダンスは苦手ではないんですが、たくさん詰め込みすぎると頭がパンクしてしまう。でも今回はうまくいって、自分的には大満足です。歌はもっともっと頑張りたいなとあらためて思ったので、夜の部で挽回します」(松永真穂) 「私はダンスがすごく苦手だったんですが、みんなに少しずつ教えてもらって、ちゃんとしたものを見せられたかなと思っています。これからも、ダンスも歌も頑張っていきます」(市川利奈) 「今日は久々に、『ゆいかおり』2人の曲だけじゃなくてソロ曲も歌えて、ハピスタはそういうところもいいなと思っています。テーマは「加速」だったんですが、本当にアップテンポな曲が多かったので、みなさんにも楽しんでいただけたかと思います。夜も頑張ります」(小倉唯) 「能登の出ている楽曲で『SUPER∞STREAM』以外は私が振り付けを担当しました。メンバーに教えてリハ中にみんなに話をしてと、ダンスの先生みたいなところもやりつつの『008』だったんですが、自分的にも教えるという立場で、ちょっとだけ成長できたかなと思うし、ソロの曲もほかのアーティストさんの曲を歌わせていただくことで自分の課題がいっぱい見つかったので、加速して頑張りたいと思います」(能登有沙) 「『SUPER∞STREAM』は私が振り付けを担当させていただきました。今までハピスタでみんなに振り付けをすることはなかったんですが、デビューして1年が経ったことでもありますし、みんなに振りを付けることができて本当によかったなと思います。そしてソロ曲で、絶対に1年前の私だったら歌えないような水樹奈々さんやMay'nさんの曲に挑戦させていただいたことで、まだ粗い部分もたくさんあるんですけど、去年より成長した部分があることも分かったし、お客さんからも『うまくなっていたね』という反応もありました。そういう部分をもっと伸ばしていけるようにしたいと思いました」(石原夏織) 「今回、『008』は1年ぶりでハピスタメンバーが集まって、本当に一丸となってリハもやってきて。やっぱりこうやって本番を迎えると、お客さんの汗と、私たちの汗と、『ハピスタ』らしい008を終えることができました」(寺門仁美)
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「1年ぶりにハピスタにゲストに呼んでいただいたんですが、ハピスタらしさが確立されて、1回目2回目とは全然違う、新しいハピスタになっているなと思いました。その中でもULTRA- PRISMは見て楽しい聴いて楽しい、一緒に飛んだらもっと楽しい、2.5次元ポップの、オタク魂と萌え心の入った曲を、みんなで受信送信できた感じがして楽しかったです」(月宮うさぎ、ULTRA-PRISM) 「よかったと思います。『009』の出演? そうですね、ハピスタとULTRA-PRISMの新しい時代をつくっていきたい」(小池雅也、ULTRA-PRISM) 「1年前の『007』で初めて音楽的なライブをやらせていただくことになって。あの時よりも成長した自分がいるなと思っていますし、いろいろな仕事をして変わってきてもいます。そういうところを表現できたらいいなと思っています。頑張ります」(三澤紗千香)  昼夜ともオープニングを飾ったのはメンバー全員の「いちごコンプリート」、続いて能登有沙が1人残って「挑発Cherry Heart」を歌う。パッと聴いただけでアニメソングと特定できない曲調は、今回のコンセプトに合っている。  このあと昼の部は続けて、夜の部は三澤紗千香が歌う「only my railgun」を挟み、能登有沙、石原夏織、松永真穂、市川利奈の4人でスフィアの「REALOVE:REALIFE」に立ち向かう。徐々にハードルが高くなってきたところで「Taste of Paradise」(小倉唯)「STRAIGHT JET」(松永真穂)「大和撫子エデュケイション」(能登有沙、小倉唯、石原夏織、寺門仁美)といった直近の萌えアニメソングで雰囲気を和ませ、MCへ。  ここでゲストの月宮うさぎが登場。自らのキモヲタぶり、そして"よく訓練された王国民"ぶりをアピールしながら田村ゆかりの「You & Me」「fancy baby doll」を熱唱。歌われてみれば、かなりの近似値に驚く。  再びMCで転換すると市川利奈のターン。昼の部ではMay'nの「Ready Go!」、夜の部ではyoshiki*lisa(吉木りさ)の「Destin Histoire」に挑んだ。かと思えば、石原夏織が「1年前では歌えなかっただろう伸びやかで技術が必要な歌」と言う高難度な水樹奈々の「innocent starter」に挑戦するなど、メンバーがさまざまな特徴や個性を披露していく。  「SUPER∞STREAM」で全員がそろうと、ここが中段のクライマックス。その後、月宮うさぎに加えて小池雅也も登壇し、シークレットゲストのULTRA-PRISMとなった2人で自身の楽曲を演奏した。  女子ばかりでちょっとたたずむのが難しい"アニキ"こと小池雅也は、彼を徹底的に持ち上げるオーディエンスの盛り上げのおかげもあってか、「小池さん、こんなにしゃべる人だったかなって。前にいらしたときはクールなイメージだったのに」と能登有沙も驚くほどの冗舌ぶり。ファンを積極的にあおり、ギターを構える姿勢もよく、心なしかギターの音色も艶やかで、一躍彼らの名を上げた『侵略!イカ娘』のOP「侵略ノススメ☆」で会場の空気を圧倒的に侵略すると、余裕の体で去っていった。
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 後半は小倉唯と石原夏織が公式の衣装にチェンジし、「ゆいかおり」として「恋のオーバーテイク」(昼の部では「Our Song」)ほかオリジナル曲4曲を歌い、自らメジャーデビュー1周年を祝った。  そして終盤は再びメンバーをシャッフル。夜の部では三澤紗千香と松永真穂、ハピスタ内では長身の2人が160センチコンビを組み(オードリーのようなコンビ愛と称していた)、あるいは「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」ではヒャダル子パートを寺門仁美が、ヒャダインパートは市川利奈が男装&男声でトライするなど攻めに攻め、最後はモーニング娘。の「みかん」で全員が集合してフィナーレを飾った。  夜の部最後のMCが始まり、最初は笑顔だったハピスタメンバー。しかし小倉唯が学業と他の仕事と今回のライブの両立で苦しかった箇所に触れると涙腺は決壊し、楽屋裏の思いが次々に溢れ出る。  石原夏織が「大阪にいる(須磨)愛ちゃんや(阿部)麻美ちゃん(2人ともSI☆NA、元ハピスタレギュラー)が徹夜の深夜バスで来てくれて。こんなにうれしいことってないじゃないですか」と絆の深さを激白すれば、リーダーの能登有沙は「加速云々の前に練習時間が限られていて、すごいスピードでやらなくてはいけなくて。メンバーのみんなにリハでは辛く当たっちゃって、それはほんと、ごめんね」と涙ながらに謝罪した。しかしその能登有沙を、初期の頃から見てきた月宮うさぎは「みんなのお姉さんとして頼もしくなった」と言う。 「ハピスタはお祭り。メンバーのいろいろな経験を集めている」と言う能登有沙は「今までは、例えば私がああしてこうしてと言って、それに"はーい"と付いてきてくれる感じだったんですが、今はそれぞれ自分で考えているなと思いました。時間があったら"ここはこうしよう"とメンバー同士でコミュニケーションを取ることが増えてきた。それはうれしいなと思います。それぞれ(普段は)1人で活動しているからこそ出る言葉なのかなと思います」と後輩たちを評価した。  華やかさとは裏腹に根性とたくましさがにじむエンディング。プロスポーツやロックバンド同様に集合離散の激しいアイドルシーンで浮き沈みに揉まれながら、各自の進捗と成長を確かめる機会として、メンバーやファンにとって重要なステージだったのかもしれない。 ◆メジャーデビュー1周年を迎えたゆいかおり 「1年がたって次の目標に向かっていく中で、お互い学業やハピスタの練習でスケジュールがなかなか合わなかったりしましたが、個々の仕事を通して自分でイメージし作り上げる楽しさを覚えました。体力的には、去年は息がつづかなくてメドレーがボロボロだったところを、今回はベストな感じで歌えた。そういうところが、この1年で成長したなと思います」(石原夏織) 「今回1年ぶりのハピスタでうれしかったのが、前回もゆいかおりとして歌わせていただいたんですが、やっぱり持ち曲が少なくて他の方の曲を歌うことが多かった。それが1年たってシングルも4枚出してということで、今回、ゆいかおりはオリジナル曲を多く歌うことができたので、それは本当にうれしいなって思います。やっぱり持ち曲があるとみなさんの盛り上がり方も違うし、私たちの個性もすごく出せるので、これからもたくさん曲を出せるように頑張りたいと思います」(小倉唯) (取材・文・写真=後藤勝)
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THE OUTSIDERにトッププロ参戦決定 前田日明は「リングス」再始動を明言

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 7月17日に東京・ディファ有明で開催される"不良の格闘技大会"THE OUTSIDER第17戦の記者発表が20日、都内で行われた。この席でTHE OUTSIDER主催者のRINGS前田日明は今大会で、通算4度目となる「プロ対抗戦」が行われることを発表。格闘技団体ZSTから3名を招待し、3試合の「アウトサイダーvsプロ」がマッチメイクされたことを明らかにした。  また、同日夜に新宿FACEで行われるZSTの「BATTLE HAZARD 05」に、THE OUTSIDERから2名を派遣。同時多発的に対抗戦が行われることになった。  今回の注目は、何と言ってもZST側の出場選手である。上原譲ZST代表が「今回は、プロ選手とアウトサイダーとの本当の差を見せつけたい」と語ったように、そのラインナップは正真正銘の団体トップばかり。初代ZSTウェルター級王者の内村洋次郎、ZSTのエース・小谷直之、そして"ZSTの速射砲"の異名を持つ平山敬悟という3人が、アウトサイダーに乗り込んでくることになった。  内村を迎え撃つアウトサイダーの"格闘彫師"吉永啓之輔は今回、トッププロとの対戦となったことについて「相手の試合は見たことがない。誰が相手でも上等です。自分は決まった以上、やるだけ」と神妙にコメント。また、ZSTに乗り込んで山田哲也と対戦することになった"闘う弁護士"堀鉄平は「今回の相手は、僕がファンの立場で見ていた選手。やらせていただけるだけで光栄です。でも、格闘家としてそこまでレベルに差があるとは思っていない。人生経験を含め、すべてをぶつけて勝ちにいく」と力強く語った。  また、前田日明は厳しい戦いが予想されるアウトサイダー勢について、「胸を借りるというのではなく、全力でぶち当たることによって自分自身が気がつかなかった可能性に出会えるような試合になればいい。(自分の)才能に火を付ける起爆剤となるような試合を期待する」と述べた。 ◆2012年3月、リングス再始動へ――  さらに今回、前田は2002年に休止していた総合格闘技団体「リングス」を来年3月をめどに復活させることを明言。プロ格闘家による総合格闘技の世界に、いよいよ前田が復帰することになった。 「最初は後楽園ホールくらいの会場からやっていく。軽量級からヘビー級までやれる大会にもっていこうと思っている」(前田)  前田は、藤原敏男が代表に就任した「IT'S SHOWTIME JAPAN」と協力体制を築いていくことも示唆。気になるルールについては、「世界の情勢を考えて、独り善がりにならないようにやっていく。以前はWOWOWとの契約もあって毎月試合ができる前提のルールでしか開催できなかったが、今後はそこも考える余地がある」とした。  また、リングス再始動に至った経緯については、「FEGのギャラ未払い問題に端を発して、格闘技業界全体が地盤沈下を起こしている中、ちょっといかがなものかな、という人種が新しく格闘技の世界に入ってきている。多くの選手も巻き込まれているし、危機感を感じた」とし、FEGとのトラブルの渦中にある選手ともコンタクトを取り始めていることを認めた。  会見の席で、ギャラを払わずに選手を次の大会に出場させ、断れば前回のギャラも支払われないというFEGと谷川貞治代表の所業を厳しく糾弾し、「このままじゃ選手は借金をして試合をしなければならない」と訴えた前田。かつて前田がこの国にまいた「総合格闘技」という種は、一時期「K-1・PRIDEバブル」という大輪の花を咲かせ、いま再び種子となって前田のもとに戻ろうとしている。 ●THE OUTSIDER第17戦 http://www.rings.co.jp/ ●ZST「BATTLE HAZARD 05」概要 http://blog.livedoor.jp/zst_info/archives/1874242.html
RINGS 1991-2002 雌伏11年。 amazon_associate_logo.jpg
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ダニー・ボイルが描く「あきらめない」という心『127時間』

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(c)2010 Twentieth Century Fox
 今週紹介する2本の映画は、実話を基にしたヒューマンドラマに、エイリアンが襲来するSFもの。ジャンルは全く異なるが、絶体絶命の状況で最後まで決して望みを捨てず困難に立ち向かう主人公の姿が、新鮮な驚きと勇気を与えてくれる作品だ。  6月18日公開の『127時間』は、2008年の『スラムドッグ$ミリオネア』でアカデミー賞8部門獲得の快挙を成し遂げたダニー・ボイル監督の最新作。登山家のアーロン(ジェームズ・フランコ)はある週末、ユタ州の広大な峡谷へ単身ロッククライミングに出かける。岩盤のすき間を軽快に移動していたその時、手をかけた岩もろとも谷底に落下、右手首から先を岩に挟まれてしまう。家族や職場仲間にも行く先を知らせず、誰一人通りそうにない谷間で、身動きが取れなくなったアーロン。救助ボランティアの経験から、あの手この手で脱出を試みる一方、生存のタイムリミットが迫りつつあることも悟っていた......。  その期限"127時間"が迫るとき、アーロンはある決断をし、実行に移す。この行動も衝撃的ではあるが、本作の見どころはむしろ、主人公が死の恐怖と戦いながら、自分の人生と向き合い、生きることの意味を改めて問い直す過程にある。ボイル監督は、ともすると見た目に変化が乏しく単調な描写になるおそれがあった遭難の体験を、分割画面、フラッシュバックなどを効果的に使った巧みな構成で、見る者の感情を激しく揺さぶるスリリングな心理ドラマに仕立て上げた。  アーロンが数少ない装備の1つであるビデオカメラを通して、大切な人たちに、また自分自身に向かって語りかけるとき、私たち観客は自然に感情移入していく。終盤までにはすっかり主人公と同一化しているので、その決断に伴う感覚も半端ではない。それでも、いや、そうした体験を実感として共有できるからこそ、ラストの感動も一層大きくなるのだろう。困難な状況でも絶対にあきらめない、過去の失敗も必ず取り返せるチャンスが来ることを信じ、ベストを尽くすこと――そんなメッセージが込められた本作は、震災後の日本で今まさに見られるべき映画とも言える。  同じく6月18日公開のSFアクション『スカイライン 征服』は、『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』で監督デビューしたグレッグ&コリンのストラウス兄弟監督による長編第2作。ロサンゼルスの親友が所有するペントハウスに泊まったカップルのジャロッドとエレインは、未明に青白い光と不穏な音で目を覚ます。上空に突如出現した巨大宇宙船が強い光を発し、地上から人間たちを吸い上げていたのだ。さらに宇宙船から放たれた巨大なモンスターが、建物内にとどまる残りの人間たちを捕獲し始める。ジャロッドらは必死の脱出を試みるが......。  ストラウス兄弟は、『デイ・アフター・トゥモロー』『2012』『アバター』など名だたる特撮映画に参加してきたVFX会社、ハイドラックスの共同設立者。本作の製作費は1000万ドルと、この手の映画にしては驚異的な低予算だが、本編を観るとCGのクオリティーの高さに再び驚かされる。特に、CGのアラが出やすい日中の屋外シーンでも、巨大な宇宙船やモンスターの実在感は圧倒的で、あたかも間近で目撃しているかのような錯覚と恐怖を覚えるほど。  ハリウッド製アクション映画の定石から大きく逸脱する終盤の展開も、ある意味B級映画のトンデモ感に通じる魅力がある。SF好き、特撮ファンはもちろん、一風変わった映画を愛好するマニアにもぜひオススメしたい。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「127時間」作品情報 <http://eiga.com/movie/55846/> 「スカイライン 征服」作品情報 <http://eiga.com/movie/55857/>
トレインスポッティング ダニーボイルの大出世作。 amazon_associate_logo.jpg
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メイドアイドル・森川真羽ちゃんがDMMライブチャットに登場!

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 今年4月にデビューしたばかりのAV女優、森川真羽ちゃん。実は真羽ちゃん、秋葉原のメイド喫茶で働いており、「第1回AKIBA萌キュングランプリ」で準優勝をした超萌え~♪なメイドアイドルさんなんです!そんな真羽ちゃんが話題沸騰中の「DMMライブチャット」に、6月17日(金)に登場することに。真羽ちゃんとおしゃべりできるなんて滅多にない機会! ということで、プライベートからお仕事のことまで、直撃インタビューして来ました♪ ――本日はよろしくお願いします! 真羽ちゃんは今年4月にAVデビューをしたばかりですが、きっかけは何だったの? 秋葉原でメイドさんをしてたんだよね? 真羽 そうなんです~。メイド服を着てみたいなあって思って、秋葉原のメイド喫茶で働いていたんです。それで去年、「第一回AKB萌えキュングランプリ」で準優勝をいただき、その副賞として着エロに出させていただいて。それで、AVに出ないかって声をかけられて。今までやったことなかったし、プライベートでエッチの経験も少ないし、自分で良いのか不安だったけど......でも自分の幅を広げるにはいいかなって。 ――なるほど。最初の撮影はどうだった? 真羽 撮影前に控え室でひとりで待機してたんですが、緊張でもう泣きそうになっちゃいました(笑)。本番が始まって、こんなに明るい場所で、こんなにスタッフがいるなかでエッチするなんて~! ってすごくびっくりしました。 ――今まで一番印象に残っている撮影はある? 真羽 そうだなあ、どれもすべて印象に残っています。ほとんどやったことないことばかりだし......フェラとかも最初よくわかんなくて......。 maumorikawa002.jpg ――え、そうなの!? じゃあ撮影前に監督や男優さんにフェラの仕方を説明してもらったり? 真羽 ううん、監督からは、「思ったまま、本能のままにやってごらん。君がしたのが正解だから」って言われて。こんな感じかな? ってドキドキしながらがんばっちゃいました。 ――初々しくてかわいいなあ~うーん萌える! やっぱり男性はリードしてくれるようなタイプが好き? 真羽 そうですね、引っ張っていってくれるような人が好き。デートの時とかも、ドライブに連れてってくれたり、アクティブな男の人が良いです♪ ――秋葉原で働いていたということは、アニメや漫画が好きな男性も好き? 真羽 好きですよ~一緒に部屋でゲームするのもいいですね♪最近は忙しくて見てないんですけど、メイド喫茶で働いていたときは、よく学園モノのアニメは好きで見ていました! ――ところで、今週17日に「DMMライブチャット」がありますが。真羽ちゃんはプライベートでチャットとかしたりするの? 真羽 この前、「DMMライブチャット」さんで「トリプルセクシー」って言う、AVの子が3人でエッチなトークとかゲームしちゃう企画があって、そこに晶エリーちゃんとまりかちゃんと一緒に出させてもらいました! でも、今回は全部ひとりでやらなくちゃいけないので、ちょっと緊張しています! ――ファンの人たちとどんな話がしてみたい? 真羽 なんだろう~色んなことを話してみたいな♪どんなことでも良いので話しかけてほしいし、いろいろ質問して欲しいデス。 ――じゃあ、真羽ちゃんのエッチな話とかも聞いちゃっていいの? 真羽 うーん......恥ずかしいけど、一生懸命がんばって答えます!わたしもライブチャットを楽しみにしていますので、ぜひ遊びにきてください☆ ●DMMライブチャット <http://dbirth.dmm.co.jp/hit.html?ID=hv01-2>

ガンホーフェスティバル2011&RJC2011に中野腐女シスターズ&腐男塾も襲来!!

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イベントに参加した原田ひとみ、竹内幸輔、桜川めぐ
■RJC2011  日本一のギルドはどこか──6月4日、東京・江東区のディファ有明にて、MMORPG『ラグナロクオンライン』の日本最強ギルド決定戦「RJC2011(Ragnarok Online Japan Championship 2011)」決勝トーナメントが開催された。運営会社のガンホー・オンライン・エンターテイメントや協賛会社のコンテンツを出展するファンイベント「ガンホーフェスティバル2011」との併催で、同タイトルに関わりの深い中野腐女シスターズ、腐男塾のライブや、「ラグコレ 2011Summer」と題したファッションショーも行われ、好天の下、一日がかりの派手なお祭りとなった。  世界的にFPS、オンラインゲームが流行し、賞金の懸かった大会が開催され、プロゲーマーが多数出現しているが、ゲーム先進国の中でも日本だけはその潮流から外れていると言わざるを得ない。  そんな状況下、オフラインのステージを設け、競技性の高いゲームとしてショーアップする「RJC」は目立つ存在だ。顧客満足度ランキング(オリコン調べ)オンラインゲーム「プレイヤー数の多さ」部門No.1であり、世界観に傾倒したコスプレイヤーがつくり込んだ衣装とメイクを競う『ラグナロクオンライン』は、大規模トーナメントを開催するだけのキャパシティーを持っている。  RJC2011出場者はゲームシステムとして実装されているプレイヤー集団「ギルド」単位で大会に参加、予選トーナメントを勝ち抜いた8つのギルドがノックアウト方式で覇を競う。プレイヤー人口が多い長寿ゲームである『ラグナロクオンライン』といえど、その界隈での実力格差はある程度一定しており、決勝戦には実力No.1と目される「Greensleeves」(以下、GS)が順当に進出した。昨年の世界大会「RWC2010」に準優勝した世界2位のギルドである。一方、反対側の山からは国内大会「RJC2009」予選トーナメントでGreensleevesに敗れた過去を持つ「くまー将軍」が進んだ。  前回大会まで一本勝負だったRJCは今大会から二本先取の三本勝負となった。奇策によるラッキーな勝ち抜けは減り、地力が出やすい。  決勝戦はさらにセット数を増やした三本先取の五本勝負。このレギュレーションが試合の行方を大きく左右した。最初の二本はほぼ「秒殺」に等しい短期戦でGSが取ったが、続く二本をくまー将軍が取り返し、逆王手をかけたのだ。  試合後のインタビューで、くまー将軍のプレイヤーは三本目、四本目を取った理由をこう説いた。 「普通にやっても勝てなかったので、要所、要所で使っていた"パラ落とし"。LA(レックスエーテルナ)とADS(アシッドデモンストレーション)とSBr(ソウルブレイカー)をすべて被せてパラ(パラディン)を落とす戦略に換えたら、うまいこといけました」  しかし五本目は互いに耐えしのぐ長期戦の末にGSが取り、優勝を決めた。 「攻めていっていたのを"待ち"に換えて、来たところを迎撃しようと。相手の攻めていたポイントが分かったので、そこを下げることで相手の攻め手を潰そうという作戦でした」  ADSを投げられた時点で一度陣を下げ、あらためてゲイン(陣を前に運ぶ)するという対処をしたのだとGSのプレイヤーは言う。  門外漢には分からないテクニカルタームが頻出するが、これらのコメントからも戦略、戦術を尽くしていたことは分かってもらえるのではないだろうか。布陣の位置設定はサッカーなどの球技にも共通する要素だ。  両ギルドは今年度も10月に韓国で開催が予定されている世界大会「RWC2011」でも有力な日本代表候補、優勝候補となる。日本人が世界に名を残せるかに注目が集まる。 ■アイドル、声優、コスプレイヤー  この日は大会以外にもイベントが盛りだくさん。『ラグナロクオンライン』関連作品の発表も数多く行われたが、そのうちのひとつ『ECO(エミル・クロニクル・オンライン)』トークショー「ハートフルステージ2011」には声優の原田ひとみ、竹内幸輔、桜川めぐが登壇。アニメ『ストライクウィッチーズ』とのコラボレーションなど最新情報をレポートした。竹内は『ECO』は友だちがすごく増えると言う。 「バンガロー借りていっしょにキャンプに行ったりしていますもん。仲良くなりすぎて。みんな僕のことをタレントだと思っていないから。『竹ちゃん、ちょっと肉買ってきて』と言われる(笑)」  ゲーム内の関係がリアルに波及する度合いが高いらしいのだ。そんな仲間の倍増を狙うネット配信生番組『ハートフルTV えこなまっ!』開始にあたっては、「原田が自由に生き、めぐちーがカオスを沈め、僕は普通に楽しみます」とコメント。さらなる布教を誓っていた。  同じメインステージではお昼の「スペシャルコスプレステージ」で壇上いっぱいに市井のコスプレイヤーが溢れた。強い日差しの午後に屋外特設ステージにて行われた「ラグコレ 2011Summer」では第1部、第2部合わせて104名のコスプレイヤーがアピール。うち7名が後日公式サイトにて行われるユーザー投票に進出し、その中で最も票を集めた方がコスプレ専門誌「COSMODE (コスモード)」(インフォレスト)掲載の栄誉に浴すことが決定した。  午前中にはヲタク系アイドル「中野腐女シスターズ」の、RJC2011決勝戦終了後には男装ユニット「腐男塾」のライブがあった。  10時35分からのステージで、『ラグナロクオンライン』のイメージガール「ラグナロ娘。」を務める乾曜子は「本日は会場を盛り上げるために私の参加しているユニット、中野腐女シスターズでお邪魔させていただいております!」と謙虚なMC。メンバー7人、激しい振り付けとともに3曲を披露して満場の喝采を浴びると、囲み取材に応じた。
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724も熱いライブを展開!
 控え室を訪れると「バカでなくてもバカなのだ~」と、なぜか『天才バカボン』の一節でゴキゲンなメンバー。よく考えると腐男塾でカバーしている楽曲だ。ドアの張り紙も腐男塾に貼り変わっている。喋り方まで変わってしまわないうちに......と、『ラグナロクオンライン』とのかかわりからの飛躍が期待される中野腐女シスターズに今後の野望をたずねると、リーダーの乾からはこんな答えが返って来た。 「『ラグナロクオンライン』はもともと韓国のゲームですが、日本だけじゃなくて世界大会も行われたりして。コスプレもそうだし、アニメも、ヲタク文化は海外でも幅広い層のファンがいる。ワールドワイドに拡げていって、ヲタク趣味のすべてを出し切れる世界にしたい」  また、ブラック★ロックシューター名義でのプロレス参戦経験がある浦えりかも「スペースピースという目標があり、宇宙平和のためには世界を制さなければいけないので、こうやってヲタク文化を世界に発信していけたらいい」と言う。  そして夕方、同じ控え室を再訪するとそこには腐男塾の姿が。「男らしいですね」「男ですから」という取材陣とのやりとりのあと、部長の紫集院曜介がRJC2011イメージソング「Rusty Sword」創作秘話について語ってくれた。 「この曲ははなわさんがつくってくれたんですが、はなわさんも『ラグナロクオンライン』の世界を知ろうと、ゲームをやったりアニメを見たり。オレ、紫集院はもともと『ラグナ』をプレーしているので、いろいろ聞かれたんですが、はなわさんもすごく勉強してくださって。その中で愛とか夢とか希望とか、ゲーム性だけじゃなく人間関係もいっぱいあるんだね、という話を考えてくださって、夢や希望がいっぱいの、冒険心わくわくという歌をつくっていただきました」  「Rusty Sword」は優勝ギルド「Greensleeves」が表彰された興奮が冷めやらぬ19時過ぎから披露され、詰めかけたファンは攻撃的なサウンドとともに余韻に浸っていた。9時から19時30分過ぎまで10時間以上の長丁場。熱い一日だった。 (取材・文・写真=後藤勝)
「腐レンズ」(初回限定盤A) 男も女も、もりだくさん。 amazon_associate_logo.jpg
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「僕は一生懸命頑張っている」作家・前田司郎が"反・脱力系"宣言!?

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撮影=後藤匡人
 「脱力系」「自然体」と言われる、その独特の空気感に定評のある劇団「五反田団」主宰で作家の前田司郎氏。2009年に小説『夏の水の半魚人』(扶桑社)で三島由紀夫賞を獲得するなど、近年、劇作家としてだけでなく小説家としても高く評価されている。そんな彼の最新刊『ガムの起源 ~お姉さんとコロンタン』(光文社)が上梓された。辛酸なめ子氏による奇抜な装丁も話題の本書だが、その摩訶不思議な前田ワールドの原点に迫る! ――『ガムの起源』は、お姉さんと謎の生物・コロンタンが「ゴルフのはじめて」や「地獄のはじめて」、「ガムのはじめて」などさまざまなモノの起源を探すために時空を駆けめぐるお話ですが、どのようなコンセプトで書かれたんですか? 「光文社のPR誌『本が好き!』と『小説宝石』で連載していたものなんですが、当初は『まんがはじめて物語』(TBS系)の小説版を書こうと思っていたんです。1話完結で毎回いろいろなモノの"はじめて"を書こうとしていたんですが、1回目から1話完結にならずにどんどん続いていってしまって......。もっと短い予定だったんですが、気が付いたら長編になってしまいました」 ――お姉さんとコロンタンというモチーフも『まんが――』からですか? かなりアレンジが利いているようですが。 「『まんが――』は幼稚園のときに見ていたので、アレンジをしたというよりは記憶の彼方にあったものだから、あんまりはっきりとは覚えてないですね」 ――作中に、「直木賞を取りたい」とか「『ゴルフ』の章がちょっと長過ぎた」といった会話のやりとりが出てきますが、これは前田さんご自身の本音なんですか? 随所に散りばめられたこの"ぶっちゃけ"感が、独特のスパイスになっているように感じます。 「直木賞は取れないと思うんですが(笑)、"話がちょっと長過ぎた"というのは本音です。なんでもありだったんで、その時その時で思いついたことを書いた、という感じですね。きりがないから無理やり終わらせましたけど、どこまででも続けられるような感じでした」 ――「前田」や「前田2」というキャラクターも登場しますが、これは前田さんご本人なんですか? 「そうですね。厳密に言えば違うのかもしれませんが、ほとんど同じです。最初から考えていたわけじゃなかったんですが、途中からストーリー展開に困ってしまって、それで登場させたんです。お姉さんとコロンタンが同じ方向を向いていたので、別の視点を持った人物として書いています」 ――そもそも、いつごろから小説を書こうと思っていたんですか? _MG_8382.jpg   「幼稚園の時から空想をするだけでいいような仕事がしたくて、ずっとどんな仕事があるかと探ってたんですが、小4の時に物語を書いてみようという国語の授業があって、これはいけると思ったんです。そこから小説家になれたらいいなと思っていました」 ――前田さんが一番好きな小説はなんですか? 「『赤毛のアン』ですね。16、17歳のころに読んだと思うんですが、登場人物に『どこかにいそう』な感じがするんです。別段いいやつもいないし、すごく悪いやつも出てこない。そういう、ちょっといいやつかちょっと悪いやつが出てくるというところに共感が持てるんです。僕は芝居もやっているので、リアリティーのことはよく考えます。物語を進めようとすると、作者に都合のいいすごく悪いやつとかがいた方が話を進めやすいから、どうしてもそういう人物を作ってしまいがちなんですが、そうじゃないだろうって気がしていて。それは小説にしても同じです。僕、『はぐれ刑事純情派』に出てくるような不良がすごく嫌なんですよ。女がいると必ず絡んできたり、チーマーだったら大声で怒鳴りながら絡んできたり......そんなやついないじゃないですか」 ――今回の本に限らず、前田さんの小説を読んでいると、カッコいいことに対して恥ずかしがるというか、"照れる"という感覚を大事にされているように感じます。 「照れはすごく大事だと思っていますね。照れずにやっちゃうと気持ち悪いんです。カッコいいことを照れずにやると、見ている側が恥ずかしくなってしまいます。テレビドラマなんかでカッコいい人がカッコいいことを言っているのを見ると、自分はいったい何を見ているんだろうと思ってしまいます」 ――演劇にしても小説にしても、前田さんのスタイルはよく「脱力系」と評されますよね。 「よく言われるんですが、僕としては一生懸命頑張ってるつもりです。劇評家の方とかがカテゴライズしたがる気持ちはよく分かるけど、そんなきれいに分けられるものじゃないし、意味がないと思うんです。『ゼロ年代』と言われても、それって2000年代のことじゃないですか。そんなのバカでも分けられますよ(笑)。よく"『五反田団』はゼロ年代の脱力的な日常を描いている"とか言われますけど、僕にとっての日常は同世代の人と比べたら非日常のものかもしれないですし。そういう評価は、あまり信用していないです」 ――では、前田さんは何を書いているのですか? 「頭や言葉で考えても考えられないことを書けたらと思ってます。死ぬことや生きることについて、芝居や小説を使って考えることで、言葉で考えるよりもう少し深く、違った角度から考えられるんです。書いて何かを伝えたいということではなくて、書くことで何かを考えていますね。それが、お客さんや読者にとっても考える道具になったらありがたいと思います。老人だったり子どもだったり、いろいろな設定で書いていますが、何を題材にしても、自分としては同じことを書いているつもりです。『愛』とか『生きる』『死ぬ』といったことを考えるために書いているんです」 ――あわよくば、それを誰かが面白がってくれたらいいと。 「ただ書くだけでは"商品"として成り立ちづらいから、ストーリーを付けたり、最初と最後を作ったりして、一応そういう体裁を保っているんです。糖衣みたいなもんです。薬に砂糖をまぶすみたいに食べやすいように甘くしているだけで、薬本来の効用は変わらないんです」 ――小説と戯曲を書く際の違いは、どこに付けているんですか? 「戯曲の場合は生身の人間がしゃべるので、小説より恥ずかしいですよね。シリアスなことが恥ずかしくなるので、それをどう処理するかというところを小説よりも考えます。どちらもお客さんを驚かすことが必要だと思っているんですが、肉体があるのとないのでは違うので、そこに差がありますね。また、自由の方向が違う、という点もあります。例えば「男がいる」って書いたときに、舞台は一人立たせておけば大体こういう男だっていうのが明確ですが、小説の場合はその情報がすごく広いから、いくら「制服を着た30代の男」って書いても、そのとらえ方は人それぞれ違う。だから文章を重ねていって、その情報を狭めていくんです」 ――では、小説と戯曲、どちらの方が書いていて面白いですか。 「それは小説ですね。戯曲は書いただけでは完成していなくて、そこに俳優が入って、演出が入って、照明や美術が入って、上演してお客さんが見て、初めて完成する。小説も読者が読んで完成するものだけれど、自分も読者として読めるからそこで完成しますよね。だから小説の方がすっきりするというか。でも、芝居と小説どっちが面白いのかは言えない。戯曲は芝居の一部でしかないですから」 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]) ●まえだ・しろう 1977年、東京生まれ。劇作家・演出家・俳優・作家。和光大学在学中に劇団「五反田団」を旗揚げ。2005年『愛でもない青春でもない旅立たない』で小説家デビュー。08年『生きてるものはいないのか』で岸田國士受賞。09年『夏の水の半魚人』で三島由紀夫賞受賞。
ガムの起源 ~お姉さんとコロンタン 「アニメ化狙ってます」(編集担当談) amazon_associate_logo.jpg
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「ランドセルを背負ったリアル"のび太"」金子良a.k.a.のびアニキって一体どんなアーティスト!?

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リアル"のび太"、渋谷に現る!
 「ド〜ラ〜え〜も〜ん! なんか出して〜」といつも泣きながらドラちゃんの未来道具を頼りにするさえない少年、それはみなさんよくご存じの野比のび太。一方でこの写真に写っている大きな男、丸眼鏡に黄色いトレーナー、黒いランドセル、小学生しかはかないような短パンに水色の運動靴(実は風呂用のビニール靴だったが)、その名を「のびアニキ」という。身長185センチのデカイのびアニキは、もちろん小学生ではなく職業はアーティスト。現在、トーキョーワンダーサイト本郷でTWS Emerging「金子良/のびアニキ[のびアニキのザッツエンターテイメント!]」が開催中だ。この男、話を聞いたり作品を見たりしてみると、勉強嫌いののび太の皮をかぶってはいるがどこかクレバーな工学系男子のにおいがする。しかも、岡本太郎現代芸術賞を受賞している期待の若手作家だ。しかし、どうやらドジっ子なのはのび太と共通しているらしい。うーむ、なにやら得体の知れないアーティスト・金子良a.k.a.のびアニキとは一体どんな人物なのだろうか。ざっくばらんに話を聞いてみた。 ──えーっと(笑)。その格好で渋谷駅から編集部まで歩いて来たんですか? 絡まれたりしませんでした? のびアニキ(以下、のび) はい。もう慣れてますから、別に大丈夫ですね。たまに職質されることもありますが、おまわりさんも結構笑ってくれます。 ──まあ、そうですよね。今回はのびアニキさんのことを知らない読者に向けて、まずはのびアニキって誰なんだ? そして、どんなアート作品を作っている人なのかということをお話しいただければと。 のび はい、分かりました。あの、まず、その雑誌(「月刊サイゾー」本誌)を伏せてもらっていいですか? ちょっとそういうの......苦手で......。 ──ああ、お姉さんの表紙が刺激的過ぎましたかね(笑)。失礼しました。では始めましょうか。まずは、いつのびアニキが誕生したんですか? IMG_3472_.jpg のび え、えー、まず、なんとなく話していて分かると思いますが、僕はそもそもすごく不器用な人間なんです。不器用なので人と話していると、ちょっとうまくコミュニケーションが取れないんです。急におしゃべりになったりとか、もごもごしたりとか。それで、工学系の大学を卒業した後にIMI(グローバル映像大学/旧彩都IMI大学院スクール)という専門学校に入ったんです。(現代美術作家の)ヤノベケンジさんが好きだったので。在学中から卒業して少したつまでの間は、ヤノベさんのスタジオでスタッフをしていました。でも、僕はすごくドジで、作品を倒しちゃったり、モノを壊しちゃったりして毎日のようにヤノベさんに怒鳴られていて。でも、いくらやってもドジが直らないから、最終的には掃除係になっちゃいまして。みんなが「ジャイアント・トらやん」(http://www.yanobe.com/aw/aw_g_torayan.html)とかを一緒になって作っている時に、僕は一人で棚をふいたり掃除機をかけたりして、みんなの作業を遠くから見てました。すると、自然とヤノベさんともみんなとも距離が離れていくんですよね。で、そろそろ実家に帰るべきかな、とも考えてたり。 ──確かに。せっかくアトリエで働いていても作品制作にかかわれないとつまらないですよね。それで? のび ある日、ドジな自分に嫌気が差して、この格好でアトリエに行ったんです。最初はみんなから嫌われるかなと思ったんですが、みんなが笑ってくれたんですよ。いつもの仕事をしているのに、みんな笑うんです。その日を境に、僕はドジをしても笑って許してもらえるようになったんです。 ──おお、ずいぶん唐突な(笑)。のび太の格好をすることで、単なるドジっ子が愛されドジっ子キャラになったんですね。 のび 僕自身がやっていることは、いつもと変わらないんです。この格好をしていても、モノを倒すし壊すし。それでも、「あいつだからしょうがない」ということで許してもらえるようになって、ヤノベさんも「面白い」って言ってくれて。この格好をしていると得だし、周りの人とコミュニケーションを取れるようになる、ということに気が付いたんです。 ──具体的に作品の中ではのび太、じゃなくて「のびアニキ」はどんなことをやるんでしょうか? のび 作品台の上に僕が布団を敷いて寝ていて、お客さんが呼び鈴を鳴らすと僕が起きる。のび太も寝るのが得意ですが、僕もすごく得意で。特に引きこもりをしていた時は、本当に寝てばっかりいたので、それをそのまま人前に出したという。あとは、お客さんに僕のプロマイドを渡したり、ツアーガイドをしたり。それと、壁にたくさんのインターホンが付いていて、お客さんが押したところに僕が行って話をする作品もあります。
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枕元には呼び鈴が置いてあり、鑑賞者がベルを鳴らすことで、
のびアニキは起き上がり、ブロマイドにサインをし
プレゼントをするなど鑑賞者とコミュニケーションを取る。
──壁一面を隔てて裏側の構造がすごく入り組んでいて、簡単にインターホンにはたどり着けない。だから変な顔でインターホン越しに話をすることになる。面白いですね(笑)。のび太にしてもそうですが、何かフィルターをかませて人とコミュニケーションを取る、その方法が笑えます。人とコミュニケーションを取りたいけどなかなかうまくとれない、そのネジ曲がって屈折した感じが伝わってきますね。メディアアートというか工学部っぽい印象も受けます。 のび ドラえもんの道具のできそこないみたいな作品もあります。『ドラえもん』って、のび太がいかにドラえもんの力なしで成長していくかっていう話なんです。僕もできるだけ一人でドラえもんの道具を作ってみようと思って考えたのがこれです。秘密道具を、身の回りのモノを使って作りました。
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「タイムマシーン」(左)と「どこでもドア」(右)。
──こういうの、子どものころやりましたね(笑)。工学部ご出身なら、ドラえもんの道具をまじめに作ろうっていう方向には行かなかったんですか。いわゆるメディアアート系の方や研究者の方で、そういう作品に取り組んでいる方もいると思いますが。 のび 工学部ではプログラミングを勉強してたんです。でもイスにずっと座っているのが嫌になって、体を動かしたくなったっていうのがあるので、コンピューターの中で起こっていることだけよりも実際に手を動かしてモノを作るのがいいですね。キーボードを打っていてもあんまりアイデアが浮かばないなと。あと、ああいう研究は、何年もかけて一つのことをやってたりするんですが、それだと僕には遅いのだと思います。 ──だからこういう日用品を使った、子どもの工作がダイナミックになったような、そんな作品が多いんですね。ちょっと話は変わりますが、以前ネット上に「渋谷にのび太がいた!」みたいな情報が流れたのを見たんですが。それも作品の一環なのでしょうか?
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「アラウンド運動 マウンテン運転」(岡本太郎賞展バージョン)。
釣りざおの先に取り付けたのびアニキのミニチュアが
展示空間内を冒険するインスタレーション。
のび Twitterでのび太の目撃情報があったのは岡本太郎美術館で展示をしている時で、あの時は、街中で目撃した人がたくさんツイートしてくれて、それでいろんなところでウワサが立ったんです。展示期間中は、閉館後に作品作りに夜の街に繰り出して映像を作ったり、展示に関係あることをするために街に出たりしていて。その話題をTwitter上で広めて、美術館に人が集約されるように考えました。美術館では釣りざおの先に吊るした小さな僕が、会場内を冒険するという展示をしていたので、実際の僕も街に出て冒険をしたんです。で、その目撃情報だけを集めてTogetter(例:「2月17日のびアニキ目撃談 渋谷編」http://togetter.com/li/102250)に集めたんです。なので、それはネットも含めてそのシステム自体が作品というか。「耳にピアスを開けた若い兄ちゃん」だとか、「身長が2メートル」っていうツイートがあったり。そういうのを見た人が、僕のHPだとか美術館で僕に話し掛けてくれるのが面白かったですね。 ──ネットワークとか人のウワサも含めて作品にしているってことですよね。それもコミュニケーションですよね。ウワサからコミュニティーを広げて、実際の展示にフィードバックさせる。のびアニキさんの作品を見ていると、すごく構造的な作品が多いように思います。一見ぐちゃぐちゃしているように見えるけれど、ちゃんと一つのルールに基づいて動いている、やっぱり理系っぽい。現在開催されているワンダーサイトの展示では、どんな作品が見られるんですか? のび インターホンの作品を少し形を変えて展示する予定です。壁の両面に呼び掛けるタイプとそれに答えるタイプが両方あって、それをケーブルでつなぎます。空間の中はケーブルだらけなので、すごく動きづらくて、いくつものケーブルを乗り越えてインターホンにたどり着くような作品を考えています。
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壁の対面にインターホンを設置、ケーブルを渡している。
──楽しみです。では最後に今後やりたいことを教えてください。例えば、"のびアニキ"を脱ぐ......ということはありますか? のび 僕は岩手県盛岡市出身なんですが、3週間程度ボランティアに行っていたんです。盛岡では被災者がホールなどに避難していて、そこでこの格好で子どもの遊び相手をしたんです。子どもたちが「のび太のおじちゃんだー」って(笑)、すごい喜んでくれて。宿題を一緒にやったり、インターホンを使って子どもと会話をしたりしました。結局遊んじゃって勉強できなかったんですけどね。最後には感動的な別れがあったり。質問の答えにはなっていませんね(笑)。んー、でも今のところ、のびアニキに飽きる予定はありません。今までもずっと、のび太を演じていたわけじゃなくて、僕(金子良)自身としてのび太の格好をしているので。それと、またボランティアに行きたいですね。 ***  ぐうたらのび太のイメージとは少々違うが、まじめ(多分ものすごく)で不器用(ものすごく)だけど、人一倍サービス精神旺盛なのびアニキ。ぜひ、気持ち悪がらないで積極的にのびアニキと会話してみよう! トーキョーワンダーサイト本郷の展示は6月26日まで。 (取材・文=上條桂子) ●かねこ・りょう/のびあにき 1980年、岩手県生まれ。美術作家。何をしてもドジ、他者とのコミュニケーションが上手く取れないという自らのコンプレックスから生まれたキャラクター。街へ繰り出し、新しい出会い、発見を求めて作品を制作する。また、展覧会やイベントに出没し、制作した作品をもとに、出会う人々とコミュニケーションを取ろうと図る。黄色いトレーナー、白いシャツ襟、紺の短パン姿という日本の代表的なマンガ/アニメの中のドジなキャラクターを自らと重ね合わせている。 <http://nobi-aniki.com/> ●TWS Emerging 156金子良/のびアニキ[のびアニキのザッツエンターテイメント!] 会 期: 2011年06月04日(土) ~26日(日) 休館日: 6/20 時 間: 11:00〜19:00 入場料: 無料 主 催: 公益財団法人東京都歴史文化財団トーキョーワンダーサイト 会 場: トーキョーワンダーサイト本郷 <http://www.tokyo-ws.org/hongo>
「のび太」という生きかた 実例。 amazon_associate_logo.jpg
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「リミックス」劇場版試写会敢行!  見えてきた『アップルシードXIII』の容貌

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左から藤咲淳一氏、浜名孝行氏。
(撮影=後藤勝)
 士郎正宗の同名原作漫画を全13話でアニメシリーズ化、劇場公開・Blu-ray/DVD販売・ネット配信で同時展開する『アップルシードXIII(サーティーン)』。6月3日から第1話のネット配信が始まっているが、さらに13日からの平日レイトショー公開を控え、6日夜に劇場リミックス版『アップルシードXIII-遺言-』の関係者・マスコミ合同試写会が行われた。劇場リミックス版はシリーズ全13話を再編集した前後編二部作で、『-遺言-』は前編にあたる1時間25分の作品。まだネット配信およびパッケージ販売がされていない2話から7話(1巻から3巻)と重なる部分の内容を先取りすることができる。    上映に先立ち、一般から募ったレビュアーも含む観衆の前に姿を現した浜名孝行(監督)、藤咲淳一(シリーズ構成、脚本)の両氏が、事前に集められた質問に答える形式で舞台挨拶に臨んだ。その談話と試写会で見ることができた『-遺言-』の内容から、この作品のありようが分かってきた。  やはり注目すべき点のひとつはビジュアルだろう。リアルとトゥーンのはざまで追求した3DCGは珍しくなくなってきているが、その分バランスや完成度を厳しく判定されるはず。  今回のアニメ化にあたっては原作画の雰囲気を出そうという狙いが明確で、わけてもブリアレオスの描線と塗りにそれは顕著だ。ど派手な戦闘になるとさすがにCGという凄みを感じるが、むしろ日常的な場面でのなじみ具合を評価すべきなのかもしれない。 「CGのスタッフに注文以上にがんばっていただいて、最後はお任せ。いろいろな表情のブリアレオスとデュナンを観てもらえたらいい」(浜名)
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 CGは『ファイアボール』のジーニーズアニメーションスタジオが中核となり、各話制作の13社を統括するというスキームで制作されている。もちろんモデルそのものがバラバラになることはなく、統一感が保たれた上で個性が表出するということだ。『-遺言-』に用いられた1話から7話はそれぞれダイナモピクチャーズ、ウェルツアニメーションスタジオ、プレミアムエージェンシー、モズー、ダンデライオンアニメーションスタジオ、空気、フレームワークス・エンターテインメントのCG制作スタジオ各社が担当している。共通の土台がありながら滲み出る特色に目を凝らす楽しみもありそうだ。  非核大戦後の荒廃した世界、ふたつの大きな人工島、そこに存在する巨大都市オリュンポスと技術国家ポセイドンといった世界設定は、ほぼ原作と共通のもの。主人公のデュナン・ナッツとブリアレオスがオリュンポスでES.W.A.Tなる組織に属していること、サイボーグ化する以前のブリアレオスの肌が黒いこと、バイオロイドでデュナンの友人であるヒトミと宮本義経が登場することなども原作を踏まえている。  主な舞台は、ヒトの遺伝子からつくられたハイブリッドのクローン人間「バイオロイド」が多数存在し、生身の人間を助けるオリュンポス。ポセイドンとは握手をしながら机の下では拳銃を突きつけ合うという構図がある。  そしてオリュンポスに牙を向く「人類解放戦線」の背後に、テロリスト集団「アルゴノーツ」が浮かび上がるあたりから対立構造は鮮明さを増す。根底には人間、バイオロイド、サイボーグ、ロボットが混在する状況での生死観のゆらぎ、思想の衝突がある。アルゴノーツの指導者アル・ケイデスは世間的にはバイオロイド否定思想の推進役と見なされていた。人間とバイオロイドの対立軸が透けて見える。  緻密すぎる原作にオリジナルの要素を加え、ある程度分かりやすくという配慮が感じられる。それでもアニメとして消化することは簡単ではなかったようだ。 「13話という構成にしたところがいちばん大変だった。初めはどこから手を付けていいか分からない状態。やがて"映画をつくる"という天の声が降りてきて、3本でと言われていたのを2本にしてくださいとお願いしたところ、僕の中でプランが見えてきました。シリーズ全部を観てみると13なんだ、という仕掛けは用意しています。それと、劇場版の前編『-遺言-』と後編『-預言-』を見ると、また違って見える。そんな仕掛けになっているかと思います。それも12とか13という数字に引っ掛かっているんですが」(藤咲)  キーパーソンとなるキャラクターは『XIII』のオリジナルだ。 「ディアという新キャラがいて......みんなそれぞれ思惑を持ちいろいろな感情で動いている群像劇の要素があり、(ディアは)あまり語らないキャラクターでもあるので、特に前半は語らないんですが、何かを持っているというところを考えながらつくっていた。そこは楽しかったです」(浜名)  ディアは当初、見た目は聡明な若い美女として、職掌はバイオロイド研究者、役職はポセイドンから派遣された方舟計画の親善大使として、オリュンポスに現れ、デュナンやブリアレオスと親交を深める。  しかし過去の時間軸で描かれる恋愛の記憶と、現在のサイボーグ化した姿とのギャップからミステリーが生じる。描写されるどこまでが真実なのか。彼女は何者で、何が狙いなのか、どこから来てどこへ行くのか──。アル・ケイデスをめぐる真相の追究とともに謎が深まっていく。  『-遺言-』ではデュナンに与えられたとある任務の顛末までが描かれるが、そこでディアの正体がかなりの部分を示されながら、謎解きの興味はなお残る構成になっている。 「新しい原作が久しく発表されていないが、パラレルというか地続き。みんなで『アップルシード』を盛り上げていけたらいい」(藤咲)  1980年代末に一度OVA化がされた後、2000年代に映画化の運びとなり、今般とうとうシリーズ化を果たした『アップルシード』。士郎正宗のビジョンにようやく時代が追い付いてきたのか。7月6日に発売されるBlu-ray/DVD第1巻には第1話から第3話までが収録される。 (取材・文=後藤勝)
アップルシードXIII vol.1 7月6日発売。 amazon_associate_logo.jpg
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超人チーム結成の経緯が明らかに! 『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』

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 今週紹介する映画は、人気アメコミヒーローシリーズのVFXアクション最新作と、3人の登場人物が密室で繰り広げるクライムサスペンス。趣は大きく異なるが、どちらもスリリングな展開にスクリーンから目が離せなくなる刺激的な娯楽作だ。  『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(6月11日公開)は、特殊能力を備えたミュータントのチームが悪と戦う姿を描くアメリカンコミックを映画化した『X-MEN』シリーズのプリクエル(前章)。過去3作でX-MENを率いる"プロフェッサーX"ことチャールズと、敵対する"マグニートー"ことエリックという2人の主要キャラの青年時代を中心に、超人チームが結成されるまでのいきさつを改めて語り直す。    人の心を読むテレパシー能力を持つチャールズ(ジェームズ・マカヴォ)と、磁力を操り金属を思いのままに動かせるエリック(マイケル・ファスベンダー)は、ミュータント同士として親友になる。エリックは幼少時のアウシュビッツ収容所での過酷な体験から、元ナチスのセバスチャン(ケヴィン・ベーコン)を追っていた。セバスチャンは邪悪なミュータント軍団を率い、米ソの対立を裏で操って世界征服を企む。CIAの要請を受けたチャールズとエリックは、新たに見つけ出した若いミュータントたちと共に、セバスチャンらの計画を阻止するために戦うが......。  異形の超人キャラが多数登場し、特殊能力を駆使したバトルを展開する本シリーズは、当代最先端の視覚効果と特殊メイクをぜいたくに使った派手なアクション映像が最大の売り。今作でも、エリックが海中の潜水艦を磁力で持ち上げようとするシーンなど、大スクリーンでの鑑賞にふさわしいド迫力の名場面がたっぷり盛り込まれている。監督を務めたのは、アメコミヒーロー物を脱構築して青春ムービーに仕立てた『キック・アス』(2010)のマシュー・ヴォーン。今作でも、主要キャラの精神的な成長や葛藤、仲間同士の対立など、人間ドラマの部分が超人アクションの各シーンを貫く柱としてしっかり語られており、本国アメリカで「マーベル映画史上最高傑作」と高評価を得ているのもうなずける。シリーズのファンならもちろん必見、過去作を未見の人にも入門編としてオススメしたい。  もう1本の『アリス・クリードの失踪』(6月11日公開)は、英国で「クリストファー・ノーラン、ダニー・ボイルに続く存在」として期待される新鋭、ジェイ・ブレイクソンの長編監督デビュー作。刑務所で知り合ったダニー(マーティン・コムストン)とヴィック(エディ・マーサン)は、賃貸アパートの一室に防音を施し監禁部屋に仕立てる。2人は富豪の娘アリス・クリード(ジェマ・アータートン)を誘拐して部屋のベッドに拘束し、200万ポンドの身代金をアリスの父親に要求。完璧に見えた計画だったが、いくつかの「秘密」が明らかになる過程で、3人の心理状態が大きく変化していく。命と大金を懸け、極限の駆け引きを繰り広げる3人の運命は......。  登場人物が3人だけ、物語の大半もアパートの中だけで進行するという超低予算の作品だが、監督が自ら手掛けた緻密な脚本のおかげで、3人の関係が二転、三転するスリリングな逆転劇が生まれた。『007 慰めの報酬』(08)『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』(10)などハリウッド映画でも活躍するジェマ・アータートンら出演陣による迫真の演技、巧みなカメラワーク、効果的な演出も相まって、ストーリーへの興味と緊張感が最後まで持続する。良質のサスペンス映画を楽しみたい人や、未来の巨匠と目される新人監督の処女作を"先物買い"したい映画マニアにも、きっと満足してもらえることだろう。 (文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉) 「X-MEN:ファースト・ジェネレーション」作品情報 <http://eiga.com/movie/56050/> 「アリス・クリードの失踪」作品情報 <http://eiga.com/movie/56125/>
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