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今週は、自らの運命や過去の過ちに苦悩しながらも、困難に立ち向かう主人公を描く2本の映画を紹介したい。
スティーブン・スピルバーグ率いるドリームワークスの最新作『アイ・アム・ナンバー4』(7月8日公開)は、マイケル・ベイが製作を務めたSFアクション。故郷の星を滅ぼされ、地球で正体を隠して暮らす9人の若き戦士たち。強大なパワーを秘め守護者とともに各地を転々とする彼らだが、宿敵のエイリアン集団によってナンバー1からナンバー3までが抹殺される。危険を察知したナンバー4(アレックス・ペティファー)は、新たに移り住んだオハイオ州の田舎町でジョンと名乗り、高校生として普通の生活を始める。同級生のサラ(ダイアナ・アグロン)と恋に落ち、若者らしい暮らしを望むジョンだったが、やがてパワーが覚醒し、敵との壮絶な戦いに身を投じることになる......。
監督は『イーグル・アイ』(08)のD・J・カルーソで、派手なアクションを軸にしたスリリングな展開はお手のもの。「自分はどこか変わっている、他人とは違う」という若者特有の自意識と疎外感が入り混じった感覚をメタファーとして盛り込んだ本作は、非人間の主人公と女子高生の恋という点で『トワイライト』シリーズに通じる要素もあり、『ハリポタ』や『ロード・オブ・ザ・リング』などの人気シリーズを見て育った若い世代向けのファンタジーといった趣もある。日本ではテレビドラマ『glee』の勝ち気なチアリーダー・クイン役でお馴染みのダイアナ・アグロンが、本作では同級生から孤立し、ジョンと孤独な心を理解し合うヒロインの繊細な演技で新たな魅力を放つ。新進の若手俳優たちの共演と、視覚効果を駆使した超絶アクションをバランスよく楽しめる娯楽作だ。
もう1本の『陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル』(7月9日公開)は、9・11テロ後のニューヨークを舞台にしたクライム・サスペンス・アクション。2002年、治安悪化が著しいクイーンズ地区に配属された警官ジョナサン(チャニング・テイタム)。彼は少年時代、生まれ育ったこの町で誤って殺人を犯していたが、父親の相棒だったベテラン刑事スタンフォード(アル・パチーノ)の助けによりその事実は隠されてきた。しかし、ジョナサンがクイーンズに戻った途端、何者かから過去の殺人をほのめかす脅迫状が届く。地元紙には事件の隠匿を告発する手紙が掲載され、ジョナサンは厳しい立場に追い込まれるが、さらに警察を揺るがす大事件が起きる......。
主演のチャニング・テイタムをはじめ、アル・パチーノ、ジュリエット・ビノシュ、レイ・リオッタ、ケイティ・ホームズら豪華キャストによる共演が大きな見どころだ。若手からベテランまで個性豊かな演技派俳優陣のアンサンブルを引き出したのは、ミュージシャン、画家としても多彩な活動を続けるディート・モンティエル監督。緊迫したシリアスなドラマと先の読めないストーリーをじっくり味わいたい作品だ。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
「アイ・アム・ナンバー4」作品情報
<http://eiga.com/movie/55908/>
「陰謀の代償 N.Y.コンフィデンシャル」作品情報
<http://eiga.com/movie/56507/>
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『ウテナ』の幾原邦彦最新作『輪るピングドラム』1話先行上映!

登壇した幾原監督と荒川美穂。
7月3日、アニメイト横浜で今季深夜アニメの注目作『輪(まわ)るピングドラム』(TBS系、他)の1話先行上映会が午前・午後の2回に渡り開催された。このイベントは、OP・EDなしの本編映像上映ののち、幾原邦彦監督と高倉陽毬役の荒川美穂によるトークショーという1時間弱のもの。入場者にはお土産として、この日の朝に刷り上がったばかりというポスターが手渡されたが、ストーリーもキャラクターもそのほとんどが明かされぬまま放映週を迎え、何より知りたい本編の内容にいち早く触れることができることができたのが、最大の喜びであったに違いない。
劇場版『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』から12年ぶり、テレビシリーズから数えれば14年ぶりとなる監督作品。制作発表時、幾原監督は「緊張と興奮をしております」「僕らと10代の少年少女との断絶をつなげる輪を作品化したい」と発言していたが(参照記事)、一体どんな作品になっているのか。
OPとEDを除く20分強の本編上映中、シリアスな展開に客席からは咳払いひとつ漏れず、食い入るように画面を見つめていることが分かる。
そんな様相が一変するのは、「ペンギン」が出現したとき。ペンギンはメインキャラクター3人に近しい存在らしく、その行動が随所で笑いを誘っていた。
そして謎の変身。幾原監督は4日発売の小説版に触れて「ミステリーなので読むとこんな話かなと分かってしまうが、映像で見るとさらに"ええっ"という驚きがあるので(テレビ放映より先に読まれても)いいかなと思った」と話したが、確かにこの作品には謎が多い。それも、筋書きそのものや設定の謎だけでなく、シリアスなのかコミカルなのか、重いのか軽いのか、ネガなのかポジなのかといった的を絞らせない。
上映会が終わると幾原邦彦監督、そして劇中と同じ被り物をした(※被っていると表の人格ではないということで普段とは異なることを言っても許される、という了解ができつつある模様)荒川美穂が登壇、トークショーが始まった。幾原監督は開口一番、「こんなに『SUPER8』を見に来ていただいてありがとうございます」とボケてみせるなど、テンションは高めである。自身が演じる高倉陽毬の変身シーンを初めて見て「すごいインパクトで。どうなっちゃうのかなと」びっくりしたという荒川美穂のコメントを受け、幾原監督は「スタッフもきょとーんとしてる」と、初めて見る者の当惑具合を是認した。
また幾原監督は、司会の池田慎一プロデューサーに1話の自信のほどを聞かれると、冗談交じりに「まあ、良くできてるんじゃない」「たぶん面白いですよ」と答えてファンの拍手を誘っていた。
「アナウンスをしていなかったので、徐々にこういうヴィジュアルが出てきて、男の子が出て、かわいい女の子も出るのかな、くらいの情報で(この日来場したファンは)見たと思うんですよね。そうしたら、こんなことになっているわけですよ(笑)。それがこの作品のいいところかなと。まだまだ、でもこんなもんじゃないんですよ。見ていると"えーっ"ということがありますから」(幾原監督)と、驚きの展開には相当自信があるようだ。
なお、荒川美穂、木村昴、木村良平の他、石田彰、能登麻美子、堀江由衣、そして新人の三宅麻理恵という追加キャストも、この日配布されたポスターのクレジットにより明らかになった。
ネタバレにならない範囲で今後の注目すべきポイントを解説するのは難しいが、トークショーでは少なくとも、ペンギン以外にも、深夜アニメではありえないほどの動物が出てくる、ということだけは分かった。
そして「お笑いかと油断していると"えーっ"てくる」「本当になんだこりゃって思っていただけたら」「驚きの展開が続出」と、萌え全盛のシーンにあって他に類を見ないアニメになることだけは確かなようだ。
「いま本編を見たみなさんはUFOを見た、という感じだと思うんですが、OPを見たら"UFOキター!"という感じになるから」「予告を見たらUFOの扉がパカーン! と開くから! 脳みそパカー!」と、結局、幾原監督は何かがダダ漏れな状態を終始キープ。その姿勢こそが、どんなストーリーかと聞かれても答えに窮してしまう『輪るピングドラム』の"なんだか分からないけど、とにかくすごい"一筋縄では行かぬ作品性を表しているようだった。
(取材・文=後藤勝)
好きなコスプレは「脱ぎやすいやつ!」セクシーアイドル範田紗々とライブチャットへイン!
昨年、惜しまれつつもAVを引退し、現在はタレント・女優として活躍中の範田紗々ちゃん。彼女が時折登場しては、3時間に渡りファンと交流を楽しんでいるというのが『SOFT ON DEMAND ライブチャット』(http://www.angel-live.com/sod/)。同サイトは、ちょっぴりエッチなことが好きなかわいい素人女子はもちろん、人気SODスターともお話がでちゃうという、AVメーカー直営ならではの日本最大級ライブチャットサイトなのだ。
6月某日、都内某所に「今日もみんなといっぱいお話するぞぉー!」と、バニーちゃんコスで気合十分の紗々ちゃんがイン! ライブチャットの魅力を聞いてみました。
――『SOFT ON DEMAND ライブチャット』には、もう10回以上も参加しているとか。
範田紗々(以下、範田) 月1回のペースでやらせて頂いてます。ライブチャット自体は、AVデビューする前からちょこちょこやらせてもらっていて、そのころからずっと来てくれてる方もいるんですよ。
――ライブチャットでは毎回、さまざまなコスプレを披露しているそうですね。
範田 ナース、制服、OL......いろいろ着させてもらいました。衣装は事前に自分で選んでいるので、チャットで「似合うね」とか言ってもらえるとうれしいです。でも最近、人妻役のお仕事が控えてるのでパーマをかけたんですよ。だから何を着ても熟女っぽくなっちゃって......(笑)。




――いやいや、今日のバニーちゃんもすごく似合ってます! 紗々ちゃん自身はどんなコスプレが好き?
範田 脱ぎやすいやつ!
――裸族だねえ(笑)。
範田 ライブチャットでは毎回、衣装を脱いでいって最後には水着になるので、みんなに「そろそろ脱いでよ~」って言われた時にスムーズに脱げるのがいいですね。
――わー、えっち~。
範田 えっちと言えば以前、紗々が出たDVDをテレビ画面に流しながらチャットをやったんですけど、パソコン越しに見るDVDの画面ってナゼかモザイクがハズれたみたいに見えるんですよ。
――うっそ!
範田 それでみんなで「無修正だ、無修正だ♪」って喜んでたら、突然画面に事務局からの警告文が出て、「あ、ちゃんと止める人いるんだ」って(笑)。

――(笑)。ところで紗々ちゃんは、ニコニコ生放送とUSTREAMで配信中の番組『SOD生てれび』でMCを努めてるんですよね。
範田 毎回、ゲストの女のコに"ちょいエロ"なことに挑戦してもらう番組です。第1回目のゲストは、普段から仲良しの浜崎りおちゃんだったので、すごく楽しかった!
――生放送やライブチャットなど、もしかして紗々ちゃんは"生"に強いタイプ?
範田 一応、緊張はしますけど、生ってやったもの勝ちじゃないですか。怒られるのもやった後なので(笑)。
――頼もしい! でもニコニコ生放送って、エロや放送禁止用語に意外と厳しかったような......。
範田 でもやったもん勝ちですから。もしかしたら、次回で番組がなくなるかもしれないですね(笑)。とにかく『SOD生てれび』は、ここでしか観られないような面白い番組にできたらいいなあと思ってます。
そんなちょいエロ生番組『SOD生てれび』は、毎月第2・第4金曜日の夜8時から45分間配信中(次回の生配信は7月8日)。
■ニコニコ生放送『SOD生てれび』
http://live.nicovideo.jp/gate/lv54357705
■『SOD生てれび』on USTREAM
http://www.ustream.tv/channel/sod-ustreamtv
そして『SOFT ON DEMAND ライブチャット』には、今後も紗々ちゃんやさまざまな人気女優たちが参加するそうなので、気になる人は、こまめにサイトをチェックしよう。
(取材・文=林タモツ)
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楽屋でリラックスする範田さん。かわゆい。

というわけで今日のコスプレを選びます。

はろ~♪

さっそくマイクをつけて......

あ、あれ?

準備完了!

谷間を寄せたり、

キス顔のサービスも!
『マッハ!参』会見で、グラレスラー・愛川ゆず季がおのろけ芸人にキック炸裂!
ムエタイ・アクション映画の人気シリーズ最新作『マッハ!参』のDVDリリースを記念して7月5日、応援団を努めるタレントでプロレスラーの愛川ゆず季と、ムエタイ芸人のKICK☆が会見を行った。
同作を観てムエタイに魅了されたという愛川は、「ひざ蹴りってあんなにカッコイイんだって思いました! ムエタイに"ゆずポンキック"(自身の必殺技)がきくかどうか試してみたい!」とレスラーらしい視点で感想を語った。
この日、10歳年上の女性と婚約中であることを発表したKICK☆は、自身の性生活について「夜のファイトがマッハ」であることを明かしたが、愛川にすかさず「興味ないです」と一蹴りされる一幕も。さらに「一番強く見えるのは、象!」など映画にまつわるあるあるネタを披露したものの、会場は"ややウケ"。「婚約者と2人で作った愛の結晶のネタなんですが......」と肩を落としていた。
会見の最後には、「"ゆずポンキック"は、肩こりや冷え性にも効くんですよ♪」と愛川の脚がブンッと大きく上へ。KICK☆の頭上へきれいにヒットし、会見は幕を閉じた。
(取材・文=林タモツ)

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「自分が弱いという気持ちだけは、誰よりも強かった」武田幸三 拳に宿り続けるもの
この日、10歳年上の女性と婚約中であることを発表したKICK☆は、自身の性生活について「夜のファイトがマッハ」であることを明かしたが、愛川にすかさず「興味ないです」と一蹴りされる一幕も。さらに「一番強く見えるのは、象!」など映画にまつわるあるあるネタを披露したものの、会場は"ややウケ"。「婚約者と2人で作った愛の結晶のネタなんですが......」と肩を落としていた。
会見の最後には、「"ゆずポンキック"は、肩こりや冷え性にも効くんですよ♪」と愛川の脚がブンッと大きく上へ。KICK☆の頭上へきれいにヒットし、会見は幕を閉じた。
(取材・文=林タモツ)
マッハ!参 [DVD] トニー・ジャーはこの作品で引退だそうです。かなしい......。
「Happy birthday dear かなこぉ↑↑」で赤く染まったももクロZ Zeppツアーファイナル!
5月20日のZepp Nagoyaから始まった、ももいろクローバーZの全国ツアー「ももクロ ファンタスティックツアー2011 Zでいくって決めたんだZ!!」。名古屋、札幌、大阪、福岡の4都市を駆け巡り、7月3日の東京・Zepp Tokyo公演でいよいよファイナルを迎えた。
東京公演は3月に行われた同所でのライブ同様、3回まわしの完全入れ替え制。チケットはすべてソールドアウト、関係者やプレスも立ち見対応となる超満員すし詰め状態となった。3周できなかったファンも多く、かなりの人数が押し寄せたとみられる。
百田夏菜子が「前回、Zepp Tokyoでライブをさせていただいた時は、1部、2部は満員じゃなかったんだよ」とMCで発言した通り、人気急上昇中の熱気が如実に感じられた。特に女性ファンの増加が目立つことが、ファン層の拡大をあらわしている。
トータル6時間延べ64曲のセットリストは1部、2部、3部のすべてが異なる気合の入ったもの。しかし、3部構成でも出し惜しみの感はまったくなく、平常運転の全力パフォーマンスでオーディエンスを存分に楽しませた。
脱退した早見あかりのパートをメンバーそれぞれが補う姿も板についてきた。補うというよりも、むしろ見せ場が増えたという印象が強い。また、精神的な支柱であっただけでなく、"タメ"を作っていた早見がいなくなることで時間の流れが直線的になった。よりスピーディーなダンス、アクロバットが強調され、このツアーのコンセプトでもある"がっつりライブ"という方向性がはっきりしてきたとも言える。
MCでも新たなバランスが。例えば、「今日のために英語を勉強してきました」と言う百田は玉井詩織に年齢を問われると、「もうすぐ......」と日本語で答え、以下グダグダなやりとりに。さらに高城れにが入ってきて「私の方が勉強ができる!」と言い合いになり収拾がつかなくなると、有安杏果が「以上、私たち、いま会えるアイドル~」と自己紹介締めのあいさつに移行して無理やり流れをぶった切り、MCを終わらせた。また、百田が「てへぺろ」を使い出した理由を「話すと長くなる」と言った時にも、すかさず佐々木彩夏が「はーい、というわけでそれでは最後の曲に行きますか!」とラストに誘導してもいる。
早見が仕切っていたMCを自治する5人のバタバタ感も、ステージの妙味になってきているようだ。
メンバーのソロ曲を含むいつものレパートリーに加えて、6日発売の「Z伝説 ~終わりなき革命~」「D'の純情」(第2部は「D'の純情」が先/キングレコード)を熱唱。そしてアンコールでは、27日発売のファーストアルバム『バトル アンド ロマンス』(同)から「キミノアト」を初披露(第3部では2回目のMCの後)するなど、2時間はあっという間だった。
そして第2部の18曲目「あの空へ向かって」が終わり、メンバーがステージ袖に引き揚げると、もちろん客席はアンコールを連呼。しかし、それはただのアンコールではない。12日に誕生日を迎える百田を祝おうと呼び出すものでもあった。
ファンからのサプライズ。暗闇に真っ赤なサイリウムだけが映える。常連さんが振っているらしい大車輪状の特殊なサイリウムも確認できる。
驚いたのは当の本人。ファン、そしてメンバーから「Happy birthday dear かなこぉ↑↑」と歌われ、当惑を隠せない。「うっそー、うっそー、うわー」「へぇえ~どうしよう。えぇ~待って」「もうどうしよう、なんか、Zepp最後の日にいいのかなって感じ」と言葉を重ね、ついには「やばい、めっちゃうれしいんだけど」「これはイカン」と涙ぐんだ。
ファンが一体となって盛り上げる、ももクロZのムーブメント。この勢いをさらに加速するべく、この夏はぎっしりと予定が詰まっている。『バトル アンド ロマンス』初回プレス分に封入されたカードで応募、抽選で当選すると参加できるスペシャルイベント「選ばれしモノノフの集い」は8月7日横浜BLITZ、8月12日なんばHatchの2回決行予定だ。問題はその内容で、資料によれば「スペシャルLIVE+ボイン会」となっている。
玉井は「ボインはももクロだけのものやないんやで~」と、MCの告知タイムで思わせぶりな振りをしたが、メンバーにも詳細は分かっていない様子。謎は深まるばかりである。
さらに8月20日は、よみうりランドオープンシアターEASTで今夏のももクロ最大級イベント「ももいろクローバーZ サマーダイブ2011~極楽門からこんにちは~」を開催。指定席は一般販売開始をした7月2日に即日完売してしまい、急遽、芝生立見席を増発する事態となっている。
7月27日発売の『バトル アンド ロマンス』には、名曲との評価が高いにもかかわらずこれまでシングルに収録されていなかった「オレンジノート」が初音源化。「行くぜっ!怪盗少女」がメジャー殴り込みの名刺代わりだったとするなら、Zとしての名刺代わりになりそうな前山田健一作曲の「Z伝説 ~終わりなき革命~」、AKB48も手掛ける多田慎也作曲の「キミノアト」、ニューアルバム『5年後の世界』(キングレコード)を発売したばかりである特撮のNARASAKI作曲による「天手力男」など、多彩な楽曲が大集合。元気なだけではない、幅広い表現力と強さを備えたグループに進化しようとする、ももクロZの今を捉えた一作となった。
「Animelo Summer Live 2011」には、1日目の8月27日に出演することも決まった。アイドルらしくありつつも、アイドルの枠を超えていく彼女らの到達点はまだ見えない。
(取材・文=後藤勝)
なぜ、"のび太的な生き方"は10万人に支持されたのか?

富山大学名誉教授・横山泰行氏。
のび太と言えば、スポーツも勉強もうまく行かず、ドラえもんのひみつ道具に甘えるダメダメ少年......。ところが最近、のび太のような生き方が見直されているという。
「ツラいことがあっても前向きで明るく、楽天的で落ち込まない。先行きが見えない今の時代に、のび太的な生き方が求められているのだと思います」
そう語るのは、富山大学名誉教授の横山泰行氏。全1,345作のドラえもん作品を国会図書館などで調べ尽くし、1999年から8年間、自由参加型ゼミ「ドラえもんの世界」を開講。のび太の人物像を体系的に論じた「のび太メソッド」を提唱し、これを元に2004年に上梓した『「のび太」という生き方』(アスコム)が10万部を超えるロングセラーとなっている。今なぜ、のび太なのか。時代が求めるのび太像と、のび太的生き方の真髄を横山氏に聞いた。
――著書を上梓されたのが04年。息の長い人気の理由はどこにあるのでしょう?
横山泰行氏(以下、横山) 一つは時代の不安感でしょう。リーマンショック以降、景気は底をつき、足元を見直そうという意識が国全体に浸透しています。本が出たのは8年前ですが、実は3月の東日本大震災以降、再び問い合わせが増えています。不安感が充満する今の日本で、多くの人がのび太のような生き方を求めているのだと思います。
――「失敗しても大丈夫」という楽観的な生き方が共感を得ているのでしょうか?
横山 のび太の人生は失敗の連続のようですが、実は重要な節目では着実に希望をかなえているんです。しずちゃんとも結婚しますしね。ぐうたらなのに、どうしたら幸せになれるのか。のび太が夢をかなえる理由を「のび太メソッド」としてまとめたのがこの本です。
――中身を拝見すると、まずはドラえもん作品の代表的なお話をサンプルに挙げ、次にそこからのび太の人物像を掘り出し、最後に実社会への役立て方へ落とし込むという構成です。ダメ少年のイメージが強いのび太をさまざまな角度から検証されています。
横山 ドラえもん作品に出てくるのび太の「吹き出し」をすべて調べると、「ドラえも~ん」と泣きつくシーンが69回あります。一方で、「僕だって」という言葉を10回以上使い、さらにそれに近い表現を加えればその数は数十倍です。ここから、のび太が実は好奇心が旺盛で、ジャイアンやスネ夫への反発心も強いことが読み取れます。こうして作品一つひとつを精査すると、夢を持ちながら実現し続けていくのび太の姿が浮き彫りになるわけです。
――それでも、69回の「ドラえも~ん」は圧巻ですね。
横山 ただ、のび太は何もしないでドラえもんの助けを待っているわけではないんです。これも「吹き出し」を分析すると分かりますが、彼は彼なりに問題解決に向かいます。ただ、能力に限界があって結果的に助けを求める。ドラえもんやひみつ道具はあくまで補助で、最終的にはのび太自身の努力で人生を切り開いているのです。
――まずは努力して無理なら助けを求めるというのは、普通の人でもしますしね。
横山 そうなんです。のび太の実像を細かく見ていくと、多少デフォルメされてはいますが、実は一般的な日本人の姿にけっこう近かったりするんです。原作者の藤子・F・不二雄先生はのび太をご自身の自画像と常々おっしゃっていましたが、読者ものび太に自身を投影しながら読んでいるところがある。ダメ人間のようで彼が本気で嫌われない理由は、実はそんなところにあるのでしょう。
――なるほど。のび太に対する見方が俄然、変わってきました。
横山 のび太が素晴らしいのは、常に夢を見続けていることです。名作と言われる「モアよドードーよ、永遠に」(てんとう虫コミックス短編17巻)では、ひみつ道具「タイムホール」などを使って絶滅動物の楽園を作る夢を描き、実現にまい進します。途中、テレビ局が計画を嗅ぎつけるなどさまざまな障害が発生しますが、ドラえもんの助けを借りながら無人島を作ることに成功します。夢や希望を持ち続けることが人生にいかに大切かを、のび太が作品の中で教えてくれています。その凝縮が「のび太メソッド」ということになります。
――主な読者層は30代前半~40代前半のいわゆる「ドラえもん世代」ですか?
横山 実は10代から60代まで年齢、性別に関係なく幅広く読まれているようです。意外だったのが若い読者が非常に多いことで、編集部に返信されてきた読者アンケートのはがきは、大半が10代前半でした。書店さんからの声を聞くと置き場に困るらしく(笑)、教育・コミック・ビジネス・自己啓発など、いろいろなコーナーに置かれているようです。ドラえもん作品自体が老若男女を選ばない作品ですが、その普遍性がこの本の売れ方に表れているというのも興味深い現象だと思います。
(構成=浮島さとし)
昭和の割腹事件を再現した『MISHIMA』 問題作の封印を解いた鹿砦社の"蛮勇"
1970年11月25日に自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺を遂げた作家・三島由紀夫。性倒錯をテーマにした自伝的小説『仮面の告白』、大ベストセラーとなった実録犯罪小説『金閣寺』、純文学の中に宇宙人やUFOを登場させた『美しい星』など実に多彩な作品を45年の生涯の中に残した。三島の同名戯曲を原作にした美輪明宏主演映画『黒蜥蜴』(68)の劇中では蝋人形に扮し、美輪と濃厚なキスを交えている。三島が監督・主演した『憂国』(66)の切腹シーンは、4年後の三島事件を予告していたかのような衝撃がある。
スキャンダルに満ちた三島の生涯を再検証したのが、鹿砦社から出版された『三島由紀夫と一九七〇』だ。三島事件がきっかけで「一水会」を結成した鈴木邦男氏と『極説 三島由紀夫』(夏目書房)などの著書があるフラメンコ舞踏家である板坂剛氏が対談形式でタブーレスに三島について語り明かしている。ホモ疑惑のあった三島の交際相手、三島が結成した「楯の会」の選考基準はビジュアル重視、師匠にあたる川端康成のノーベル文学賞受賞作『山の音』は実は三島が書いていた......などのワクワクするエピソードが満載。そして、とりわけ注目したいのが巻末参考資料映像。"日本未公開映画"として知られる緒形拳主演の日米合作映画『MISHIMA』(85)が付録DVDとして封入されているのだ。
『タクシードライバー』(76)の脚本家であるポール・シュレイダーが監督した三島由紀夫の伝記映画『MISHIMA』は、85年のカンヌ国際映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞しながら、日本では劇場公開されなかった"封印映画"として有名だ。製作総指揮は『ゴッドファーザー』(72)のフランシス・F・コッポラ、『スター・ウォーズ』(77)のジョージ・ルーカス。日本側のプロデューサーに『太陽を盗んだ男』(79)の山本又一朗。キャストは三島役を緒形拳が演じている他、坂東八十助、佐藤浩市、沢田研二、倉田保昭、永島敏行、池部良、三上博史、横尾忠則......とうっとりするような豪華な配役となっている。
海外での公開タイトルは『MISHIMA A Life in Four Chapters』。厳格な祖母に育てられた虚弱な少年期から始まり、「楯の会」のメンバーと共に市ヶ谷駐屯地に乗り込み、割腹するまでの三島本人の伝記パートを軸に、三島の代表作である『金閣寺』『鏡子の家』『奔馬』の3作品が劇中劇として挿入されている。完璧なる美と自死への恍惚感に取り憑かれた男たちの3つの物語が次第に収斂していき、現実世界の主人公である三島本人を自決へと向かわせる構成が秀逸だ。製作当時はミスキャストとも言われた三島役の緒形だが、「楯の会」の制服に身を包み、総監室に立て篭るクライマックスシーンには異様な迫力が漂っている。
カンヌ国際映画祭での受賞後、同年よりスタートした第1回東京国際映画祭でも特別上映される予定となっていたが、一部の右翼による妨害活動があり、東京国際映画祭側が上映を取り止め。海外では一般上映され、ビデオ化、DVD化もされていたが、肝心の日本ではその後も一切上映されず、パッケージ化もされなかった。海外で販売されているDVDを取り寄せるしか視聴することができない"幻の映画"となっていた。
『MISHIMA』が日本で公開されなかった原因を探っていくと、同作を試写で観た三島由紀夫の未亡人である瑤子夫人が劇中の切腹シーンなどを嫌い、「肉親として気持ちいいものではない」と週刊誌に感想を述べたことが発端となったようだ。この記事を読んだ一部の右翼が上映反対のビラを街頭で蒔いたことから騒ぎに発展した。作品を観ることなく、週刊誌の記事を読んだ右翼が上映反対運動を起こしたドキュメンタリー映画『靖国 YASUKUNI』(07)のケースとよく似ている。
瑤子夫人がやはり切腹シーンを嫌ったことから短編映画『憂国』も三島の死後は上映の機会を失っていたが、瑤子夫人の死後、ようやく2006年にDVD化されるに至った。しかし、『MISHIMA』は依然"お蔵入り"したまま。『三島由紀夫と一九七〇』のあとがきによると、鹿砦社の社長・松岡利康社氏は「世界的名作がこのまま埋もれてしまっていいのだろうか」という心情から、三島の40回忌に合わせて発売された同書に『MISHIMA』をDVDとして封入する"蛮勇"を決意したとのことだ。『MISHIMA』は本当に封印されるべき作品だったのか。世界的作家・三島由紀夫の業績と封印映画の悲劇を改めて検証する上でも、絶好の機会だろう。一度手にしてみてほしい。
三島由紀夫と一九七〇年 あの封印映画がついに!
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浅野忠信がハリウッド本格デビューで魅せた!『マイティ・ソー』

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7月に入り、夏休み向けの娯楽大作映画の封切りもいよいよ本格化。今週は、壮大なスケールと豪華出演陣が話題のアメコミスーパーヒーローものと、二日酔いの男3人組による珍騒動を描いた大ヒットコメディーの続編を紹介したい。
まず7月2日公開の『マイティ・ソー』は、『スパイダーマン』『X-MEN』などの原作者スタン・リーによるマーベル・コミックを、ケネス・ブラナー監督が実写3D映画化した大作。神の世界で最強の戦士だったソーは、神々の王にして父のオーディンから高慢な性格を咎められ、能力と武器を奪われ地球へ追放される。人間界で暮らすうち、次第に謙虚さと愛を学ぶソー。そのころ、神世界の征服を企む邪神ロキが王オーディンの命を狙い、地球へも強大な"破壊者"を送り込む。はたしてソーは、失った力を取り戻し、天界と地上の危機を救うことができるのか......。
主演に抜てきされたオーストラリアの新鋭クリス・ヘムズワースは、役作りのためにビルドアップした肉体美を披露し熱演。そのソーと恋に落ちる科学者役を、『ブラック・スワン』(2011)でアカデミー主演女優賞に輝いたナタリー・ポートマンが可憐に演じる。本作でハリウッド映画本格デビューを果たした浅野忠信が、サムライを思わせる神々の国の戦士役で活躍しているのも、日本人観客としてうれしいポイント。さらに注目の女優として、『キミに逢えたら!』(08)でキュートなヒロインを演じ、本作ではメガネっ娘のインターン役でコミカルな魅力もみせたカット・デニングスの名を挙げておきたい。
舞台俳優としても活躍が知られるブラナー監督は、オーディン役に名優アンソニー・ホプキンスを迎え、北欧神話に基づく神々の世界を重厚かつ荘厳に演出。一方、地上でのストーリーには恋あり笑いありの軽妙な展開も折り込まれ、大人から子どもまで一緒に楽しめる、まさに夏向けのアクション娯楽作に仕上がっている。アメコミ映画のファンなら、事前に『アイアンマン2』(10)を見ておくと、ヒーローチーム「アベンジャーズ」につながる要素をさらに楽しめることだろう。
2本目のオススメは、7月1日公開の『ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える』(R15+指定)。二日酔いで記憶をなくした男たちの騒動を描き、R指定のコメディー映画としては歴代1位の大ヒット作となった『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』(10)の続編にあたる。
フィル、ステュ、アラン、ダグの4人は、タイ出身の花嫁を迎えるステュの結婚式に出席するためバンコクへ。前回の過ちを繰り返さぬよう、ビール1本だけのささやかなパーティーを開く。ところが、翌朝目覚めると例によって記憶はすべて飛び、部屋には猿がいて、アランは丸刈り、ステュの顔にはタトゥーが。さらに、一緒にいたはずの新婦の弟が行方不明に。式が始まるまでに弟を見つけ出そうと、3人組の悪戦苦闘が始まった......。
二日酔いで朦朧とした頭を抱えながら、行方不明の仲間を探す彼らに降りかかるドタバタに、徐々に明らかになる一夜の暴挙や愚行の数々が織りなす笑いの波状攻撃。前作の世界的ヒットの最大要因だった緻密な脚本のフォーマットを見事なまでにしっかり踏襲し、さらにパワーアップした続編で、型を丁寧になぞりながら新味もしっかり加えている点が素晴らしい。
監督のトッド・フィリップス、主演のブラッドリー・クーパーなど、前作のスタッフ・キャストが再結集。いい大人たちがこんなおバカで下品な映画を本気で作り、さらにそれが国境を越えて大ヒットしているという事実に、世界もまだまだ捨てたもんじゃないなという気にさせられる。「前作を見ていなくても楽しめる」というのは続編を紹介する際の常套句だが、本作に限っては、前作を未見の人と、見たけど細部を忘れたという人に、ぜひDVDなどで予習しておくことを強くおすすめしたい。前作を踏襲しているネタが隅々までわかり、2倍、3倍爆笑できること請け合いだ。
(文=eiga.com編集スタッフ・高森郁哉)
「マイティ・ソー」作品情報
<http://eiga.com/movie/54259/>
「ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える」作品情報
<http://eiga.com/movie/55407/>
『猫とあほんだら』著者・町田康さんに学ぶ、猫との微妙なカンケイ
売れないアイドルも9年続けるといろいろ不思議なことがあるもので、この度、なぜか、かねてからファンである作家の町田康さんの新刊エッセー『猫とあほんだら』(講談社)についてインタビューをすることに! 緊張で頭が真っ白になった私は、取材前に編集とカメラマンを集めて言いました。 「いいですか、町田さんのエッセー『実録・外道の条件』(角川書店)によると、町田さんは段取りの悪い現場と礼儀知らずなライターが大嫌いと見え、写真を撮られることに関しても『こんなことをしなければ飯を食っていかれないというのは、まことにもって情けない』と書かれています!」 緊張をほぐすには風邪と同様に他人に伝染すのが一番と考え、わざと脅すような箇所を引用してみたわけですが、特に自分の緊張がほぐれることはなく、むしろ同じく町田さんのファンである編集とカメラマンが「ヒッ」と悲鳴を上げ、全員がより緊張しただけでした。不安が隠せない我々の元に、遠方から、ヘビ柄の傘をさし、雨の中でも隠しきれない眼光を放った町田康さんがゆらゆらと現れ、かつてない緊張感の中でインタビューは始まったのでした。 ――あの、自分も猫を飼ってまして、今回は『猫とあほんだら』と併せて、あらためて『猫にかまけて』と『猫のあしあと』(すべて講談社)も読み返したんですが、町田さんちの猫たちは本当によくしゃべりますね。どのように猫語を翻訳されてるんですか? 町田康氏(以下、町田) ......そうですね。基本的にフィクションなんで、どこまで正確に訳せているかはかなり怪しい部分なんですけど......。 ――えっ、フィクションなんですか? 町田 ええ、いわゆる......。でも、まぁ、ずっと一緒に生活していると、だいたい日常会話というか、それぐらいのことは分かりますね。そんな複雑なことは言いませんから、基本的には。 ――今作では奥様がかなりパワーアップされていましたね! エッセーやブログにはご家庭の描写があまり出てこないので、「町田さんと暮らしているのはどんな女性なんだろう?」とずっと疑問だったんです(笑)。撮影=尾藤能暢
町田 ......はぁ。
――......あ、えっと、では猫の話を! うちにも何匹か猫がいるんですけど、どんなに手間を掛けても凶悪で......。猫をヒザの上に乗せてパソコンを打っていると、目の前で動いている私の手が気に入らないらしく、突然かみついてきたりして、「なんか悩んでるの?」って心配されそうな手首ができあがってしまいます。
町田 ははは、リストカットみたいな(笑)。でも、それが猫のかわいさでもあるんですけどね。かんできたり、激怒したり。うちなんかだと、猫がヒザの上に乗っているときに、5ミリくらい動いただけで「動物虐待をしてしまった!」っていう話になるんですよ。「1ミリにしなさいよ!」って。
――動くことさえ許されない......なんてハードな生活を! 町田さんは物事を俯瞰から見たり、斜めから見たりするニヒルなイメージなんですが、猫に対しては基本的に下僕のスタイルですよね。猫の数が増えてから、そのスタイルは変わりましたか?
町田 そうですね、自分がどう、と言うより、みんな性格が違うので、それぞれの主張もありますし、やっていることもありますから......。この本の最後に出てくる"ビーチ"はものすごく人間が大好きで、ものすごい甘えたがり。でも抜け毛がすごくって......。僕のバッグをイスの上に置いて3日くらい放置していたら、素敵なファーのバッグになっていたっていう(笑)。
――あはは! リアルファーですね。
町田 ブリジット・バルドーに怒られそうな。
――基本、人間の気に入っているものが好きですよね。パソコンのキーボードとか。以前、原稿用紙をビリビリに破られたことがあるとおっしゃってましたけど、そういう時に怒ったりしないんですか?
町田 犬は怒ると「これやっちゃいけないんだ」って分かりますけど、猫は怒っても怒り返してくるとかで、結局無駄なんですよね。最初のころは僕も怒ったりしていたんですが、無駄です。
――猫と暮らしていると、どうしても「なんでこのタイミングでこんなことするの!?」って時あるじゃないですか? 今日もこの自分の本(『アイドル墜落日記』)を町田さんにお渡ししようと置いていたら、猫が本の上に尿をしていて......。
町田 ......えっ!?(本から離れる)
――いや、これは新しいものです! 大丈夫です! アハ! ただ、PCの電源を得意げに長押しされたり、そんな時の怒りのやり場というか......。
町田 そういうときは、もう怒っても駄目ですから、あきらめるしかないですよね。「そういうことはこれからちょっとやめていこうか。やめていく方向で、ときどきそんな事をふっと思い出してくれたまえ」みたいな。
――......その口調で語りかけるんですか?
町田 そうですね。"なな"っていう猫はだいぶ高齢だし女性だし気難しいんで、かなり敬語ですね。彼女は六本木の猫なんで、かなり用心深くて、やっぱり警戒心が強くないと、あの辺では生きていけないんですよ。"ビーチ"は熱海の猫なんでのんびりしていて、"エル"は保健所から焼却処分寸前に引き取って......(中略)で、今度は"エル"が"トナ"を「お前だけは許さん、殺す」って言いだして......。あと、"シャンパン"と"パンク"は......。
――わー......今、総勢何匹の猫と暮らしているんですか?
町田 その本を書いてから現在までにタイムラグがあって、亡くなった猫も、新しく来た猫もいますから、現在は、ちょっと待って、えーと......(両手の指を折りながら)10匹ですね。
――ご自分でも把握しきれてないぐらい(笑)。10匹くらいがなんとかなる数なんですか?

最後の勇気を振り絞って、取材後にサインを
頂きました。
町田 いや、なんとかなんなかったから田舎に引っ越したんです。家の中がぐちゃぐちゃになってしまって、地価の安いところに。これでなんとかならなかったら、また別のところに移らなきゃね。どこまで移ればいいんだか(笑)。
――アハハ! ところで、猫と暮らしていると、もし猫が死んでしまったら......なんて考えるだけで怖いですよね。町田さんは何度も猫との別れの辛さを味わった上で、まだ保護団体から猫を預かるじゃないですか? 辛くなりませんか?
町田 そうですね。すごく悲しいですけど、「じゃあ、それを放って置いたらどうなるか?」って話ですよね。放って置いたら、その猫は死ぬわけですから。自分のことを考えれば猫が死んでしまうのは悲しい。ですが、それは猫でも友達でも家族でも同じことですよね。引き取った猫と、預かっている猫、彼らはいずれにしても行き場がないわけですから。......でも、まあ、主に僕の都合というか、僕ができるかどうかの話なんですが。もちろん、すべてできるわけじゃないですからね。
――今回の東日本大震災では飼い主が亡くなってしまった犬や猫も多いですしね......。
町田 こういう震災って、いろんなボランティア団体が入って、現地に入っている人も、そういう人たちを支援している人もいますよね。ただ、それでも行政から「立ち入らないでください」「そもそも犬や猫のために来ないでくれ」っていう場所があったり、「ペットを連れていく」って言っても、「持ち出すな」って言われている。「なんで?」って感じですよね。結局、割を食うのは年寄りや子ども、自分で生命の主張もできない犬や猫なんですよ。だから、やっぱり飼っている人が責任を持たないといけない。自分の精神の安定を得るためにペットを飼って、いざ危なくなったら見捨てるっていうのは、人としてどうなのかな。
――そういう、助けきれない動物へのジレンマはありますか?
町田 それって一番難しいところで、例えば一番矛盾を感じるのは、「かわいそうな猫がいます、みなさん助けてください」ってネットとかで言って、なんになる? ってことなんですよね。つまり、自分が何をするかなんですよ。僕だって毎回、猫を見るとすごく嫌なんです。全部は助けきれないですもん。しょうがない時はしょうがない。自分ができないってことも自分で認識しないと。でも、それは「見殺しにする」っていうことですよね。「俺は見殺しにした!」と思うしかないです。僕は、何回も、見殺しにしました......。
――わーなんていうか......えーと......慈悲深いですね! えっと、猫にそう思う気持ちって、人間に対してもあるんですか?
町田 まっっったくないですね。人間は言葉をしゃべるし、憲法で人権も保障されているじゃないですか。単純に自分が猫や犬がかわいそうだからやっているってだけで、人間には思わないですよ。「バカは死んでも直らない」ってよく良いますけど、本当にそう思ったこともありますよ。「こいつ死ななきゃ駄目だ!」って......(笑)。
――そうですよね! アハアハ、アハ......。
***
町田さんの独自の間合いとテンションに完全に飲まれたままインタビューと撮影を終え、ゆらゆらと去っていく町田さんの背を眺めながら、真っ白になる私たち。「......なんとも町田康でしたね」「ええ、町田康でした......」「猫の話しか聞けませんでしたけど、あの最後の『死ななきゃ駄目なやつ』って、もしかして私のことじゃ......」「それはさすがに考えすぎじゃ......」。
後日、恐る恐る聞いた録音テープには、静かにまじめに猫について語られる町田さんの声と、その独自の間合い(突然お黙りになる、遠くをじっと見つめる、笑い出す、など)に恐怖して、「アハハ アハハ」と意味不明な笑いで場をにごしながら間違った敬語で的を射ない質問を繰り返すという、まさに『実録・外道の条件』に出てくる失礼なライターのような声が入っていました。
やっぱりアレは、私のことじゃ......。
(取材・文=小明)
●まちだ・こう
1962年大阪府生まれ。作家、歌手、詩人として活躍。96年に発表した処女小説『くっすん大黒』(文藝春秋)でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞。2000年『きれぎれ』(同)で芥川賞。01年『土間の四十八滝』(メディアファクトリー)で萩原朔太郎賞。02年『権現の踊り子』(講談社)で川端康成文学賞。05年『告白』(中央公論新社)で谷崎潤一郎賞。08年『宿屋めぐり』(同)で野間文芸賞を受賞。
若手映像作家・入江悠監督の覚悟「メジャーでやれないことをやる」

注目度No.1の若手映像作家・入江悠監督。言葉にできない感情や
想いをラップで叩き付けた『SR』シリーズでブレイクを果たした。
地方都市でくすぶる若者の生の叫びが炸裂した『SRサイタマノラッパー』(09)のヒットで一躍、新世代映像クリエイターの旗手に躍り出た入江悠監督。故郷・埼玉に続いて群馬を舞台にした北関東シリーズ第2弾『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』が、劇場での1年近いロングラン上映を経て待望のDVDリリースされる運びとなった。今年4月に封切られた『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールが鳴り止まないっ』も現在絶賛公開中だ。『SR』シリーズのヒットで、入江監督を取り巻く製作環境は果たして変わったのか? それとも変わっていないのか?
――入江監督は埼玉県深谷市育ち。大学浪人中は東京ではなく、群馬の予備校に通ったそうですね。
入江悠監督(以下、入江) そうです。深谷から上り線に乗って東京や大宮に行くよりも、下り線に乗って群馬に行くほうが楽だったんです。それに満員電車に乗りたくなかった。でも群馬の予備校も、半年でドロップアウトしましたけど(苦笑)。
――東京への"距離"を感じていた?
入江 単純に人混みが嫌いだったんです。高校は私服だったんで東京には服を買いにはよく出てたんですけど、予備校行くのにわざわざ東京に通いたくなかった。生理的にダメというか、東京があまり好きじゃなかった。大学も本当は東京ではなく、関西の大学に進みたかったんです。横浜で生まれて、3歳から深谷で過ごしてきたので、大学4年間は関西で過ごしてみたいなと考えていたんですけどね。

「生活に根づいた女性の美しさを撮りたかっ
た」という入江監督。女優陣の魅力を独特の
長回しで引き出している。
――ニート男の切ない叫びが耳にこだました『SR1』から一転して、『SR2』は女性ラッパーたちが主人公。
入江 『SR1』はあの1作で完結したものなので、『SR1』に登場したIKKU(駒木根隆介)たちの後日談にはしたくなかったんです。まったく別のものにしたいなと。それで、まだ女性ラッパーを主人公にした映画は誰も作っていないなと気づいたんです。『Sex and the City』ってありますよね? ボクはほとんど観てないんですけど(笑)。洗練された都会の女性たちがカツカツカツとハイヒールの音を響かせながら並んで歩くあのイメージを、北関東を舞台に置き換えてできないかと考えたんです。ハイヒールで砂をジャリジャリ言わせながら女たちが並ん歩いてくるイメージが最初に浮かんだんです(笑)。
――『SR1』でも、みひろが東京に対して複雑な思いを持つ女性として出てきましたが、『SR2』の女性たちには実在のモデルがいるんでしょうか?
入江 いえ、取材ですね。mixiをやっていたので、女性からの失敗談や恥ずかしい体験を募集したんです。その頃は女性誌もけっこう読みました。具体的にそのまま映画のエピソードに使ったわけじゃないんですけど、「浮気相手とエッチしてる最中に、彼が来た」とか集まったネタの中からローカルならではのものを拾っていきました。でも取材しているうちに、最終的には失敗談って男も女も変わんねぇなぁと思いましたけど(笑)。ネタというよりは、そういうエピソードを集めていくことで、キャラクターが出来てくればいいなと考えたんです。
――取材を進めながら、映画化の手応えはどのように感じたんでしょうか?
入江 もちろん最初から映画化するつもりでいたんですけど、いちばん悩んだのは、女の子にラップで何を歌わせるかということでした。男だとどうしても夢だとかメイクマネーだとかビッグになってやるぜみたいなことを考えるし、実際にボクも以前はそんなことを考えていました。でも20代で働いている女性はもっと現実的ですよね。結婚や出産という問題もある。『SR1』もそうですけど、ボクが「こういうラップをやりたい」と大まかな歌詞を書いて、ラップ監修の友人に見てもらって直してもらうというスタイルで作っているんですが、今回はその友人と悩みながらのラップ作りでした。ラップはやはり『SR』シリーズの肝。台詞では言えないことをラップにして言うというのが一番大事な部分ですから。ラップがある程度できたとき、「あっ、映画が見えてきた!」と思いましたね。

『人の善意を骨の髄まで吸い尽くす女』(09)
で注目された山田真歩が主演。実家暮らしの
アユム(山田真歩)は高校時代の輝きを取り
戻そうと、女性ラップグループ
「B-hack」を再結成する。
――女性キャストたちは、あえてルックス的にイマイチな子たちをオーディションで選んでますよね?
入江 イマイチというと彼女たちに申し訳ないです(苦笑)。
――失礼しました! ちょっぴり垢抜けない子たちですね。
入江 そうですね、"グンマ感"のある子たち(笑)。オーディションには美人な子も来てましたけど、群馬を舞台にした作品なんで垢抜けた子じゃリアリティーが出ませんから。まぁ、グンマ感があるという理由で選ばれて、彼女たちはうれしいかどうか分かりませんけど。でも、"生活に根づいた美しさ"ってあるじゃないですか。その部分を出したかったんです。他の監督の映画でも最初は微妙だなぁと思っていた女の子が段々とかわいく思えてくる映画がボクは好きなんです。『SR1』のみひろも最初はダサい服装なんですけど、最後はかっこよく見えるようにしていますしね。
■タケダ先輩の伝説ライブとエンディングは追加撮影
――『SR1』がヒットしたことで、『SR2』の製作環境はずいぶん変わりましたか?
入江 製作体制という点では、基本的にほとんど変わってないですね。『SR1』の撮影初日はボクが録音マイクを持ったりしてましたけど、『SR2』はスタッフの人数が2~3人増えたぐらいです。ほとんどのスタッフが半分アマチュアです。ただ『SR1』のときは撮影場所を借りるのに、深谷市のフィルムコミッションに脚本を見せたところ、「こんな地元をバカにした作品に協力できない」と言われたんです。結局、その人は完成した『SR1』を観て泣いてましたけど(笑)。でも、やっぱり脚本だけでは一般の人には理解しづらいし、ラップの歌詞だけ読むと地元をバカにしてるとしか思えないでしょうし、登場人物はどんどん地元を離れて東京に出ていきますしね。そういう意味では『SR1』が完成していたのは大きかった。『SR1』のときのような反対には遭いませんでしたね。クライマックスシーンの法事に出席しているオジサンたちはみんな地元の人たちなんです。
――『SR1』のラストは奇跡のような感動的シーンでした。『SR2』でも同じように長回しでのラップバトルが繰り広げられますが、よくぞ思い切って挑みましたね。まさか2度目の奇跡が起きるとは......。

米国の大ヒットドラマ『Sex and the City』
を意識した「B-hack」のメンバー集合
シーン。NYにはない群馬女の生き様をお見せ
します。
入江 『SR2』は、『男はつらいよ』(69~95)、『トラック野郎』(75~79)、『釣りバカ日誌』(88~09)シリーズみたいに前作を踏襲したかったので、『SR2』のラストも最初からラップで長回しと決めてました。でも、『SR1』に比べると登場人物がかなり増えてますから、撮影にはずいぶん時間がかかりました。10分ほどの長回しシーンですが、10回くらい撮り直しましたね。安藤サクラが途中5分くらい経ってから加わるんですが、これまで映画の撮影で緊張したことが一度もないと話すくらい度胸のある彼女が「初めて足が震えた」と言っていましたね。10回も撮り直すと、最後のほうはかなりのプレッシャーだったみたいです。プロデューサーには「撮り切れないと思った」と撮影が終わってから言われました(苦笑)。
――『SR1』のホロ苦い終わり方と違って、『SR2』は苦さの中にもちょっとした前向きさが感じられるエンディングですね。
入江 多分、エンドロール部分に映像を加えたからだと思うんです。少しだけ前作と変えたいなと思い、撮影が終わってからエンドロール部分のラストシーンを追加で撮影したんです。タケダ先輩の伝説のライブシーンもそうです。埼玉と群馬の県境の河川敷でエキストラを集めて雨を降らせて一度撮ったんですけど、編集していて絵がどうも足りなくて、撮影から2~3カ月経った11月の多摩川に、エキストラのみなさんにもう一度半袖姿で集まってもらいました。
――予算の限られた自主制作で、追加撮影は大変じゃないですか。
入江 でも、普通はできないことをやるのが自主制作の良さだし、こういう小規模の映画の良いところだと思うんです。メジャー作品ではできないことですよね。商業映画のプロデューサーだったら「これはちょっと」と言われるようなことでも、『SR』シリーズは自分が面白いと思ったことはドンドンやろうという意識なんです。
■入江監督の今、そしてこれからのこと
――『SR3』の企画を進めていたところ、『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールが鳴り止まないっ』を先に撮ることになったわけですか?
入江 そうです。プロデューサーから「神聖かまってちゃんで映画できない?」と言われて、まぁ『SR3』は別に遅れても問題はないので『劇場版 神聖かまってちゃん』の脚本を書き始めたんです。でも昨年の春から脚本を書き始めたんですけど、予算が限られていたこともあり、「この内容では決められた日数内で撮り切れないよ」と脚本を19稿くらいまで書き直す作業が続きましたね。

女性キャストは合宿所、スタッフは入江監督
の実家に泊まりながら、群馬&埼玉で撮影。
入江監督が用意したラップをキャストが撮影
ギリギリまで自己流に手直しする作業が続いた。
――『劇場版 神聖かまってちゃん』は製作委員会方式で作られましたが、その点は問題なかった?
入江 プロデューサーが6人いて、それぞれやりたいことが少しずつ違ったりはしました。でも、全員がかまってちゃん好きだったので一体感があり、別にその点は大丈夫でしたね。ただ製作委員会方式といっても、低予算で作っていたので撮影日数が10日間と限られていたのがキツかった(苦笑)。
――入江監督は現在もロングラン上映中の『劇場版 神聖かまってちゃん』の舞台あいさつにも精力的に参加していますが、その一方で入江監督が2010年5月23日のブログで書いた記事「なぜか東京を去る理由」(http://blog.livedoor.jp/norainufilm/archives/51672315.html)が大きな反響を呼びました。自分の作品が評価されて各地で劇場公開され、取材や舞台あいさつにマメに対応すればするほど、自分の仕事ができなくなり生活が苦しくなるというジレンマ。その後、多少なりとも状況に変化はありましたか?
入江 う~ん、そんなに反響がありましたか? あの頃、単純に自分が映画の宣伝に追われて仕事をしてなかったってことなんですよね(苦笑)。ただ、自分と同じようにインディペンデント映画を作っている若い監督たちに「自主映画を劇場公開すると、こんなことも起きるよ」という事実を共有したかったんです。でも若い監督たちは自分の作品を作るので精一杯なんで、特にボクの記事に対する反応はなかったですね。ボク自身は『SR2』を完成させた後、『SR1』を観てくれたプロデューサーからオファーをもらい、WOWOWのドラマ『同期』の演出をしました。今年に入って、AKB48のユニットnot yetのPVや、フジテレビ系で放映されたドラマ『ブルータスの心臓』を撮っています。でも、映画業界そのものは『SR』シリーズを作り始めた頃と全然変わってないと思いますね。
――入江監督個人の経済状態を訴えたわけじゃなく、インディペンデント映画シーンの現状について一石を投じたかったわけですよね。
入江 そうです。自主制作で映画を作って、それが都内で単館上映されるだけでもすごくうれしいんです。このように取材してもらえることも自主映画だとなかなかないし、舞台あいさつにも積極的に参加するわけです。でも地方の劇場へ舞台あいさつに出掛けると、劇場側は交通費は出してくれますけど、その日1日は仕事を休むことになる。パブリシティーに協力すればするほど仕事ができなくなる。映画を作り、劇場公開する環境がどうにか今より少しでも好転しないかと思います。自主映画が単館で上映されるだけでも大変ですが、それを全国公開にまで持っていき、製作費をペイするのは容易なことではありませんから。
――具体的な解決案は考えられるものでしょうか?
入江 いや、それは分かりません。製作者、それに配給、宣伝、劇場......と、それぞれがそれぞれの立場でしっかり考えてもらうしかないですね。でも各地の映画館を回っていて、支配人の方たちと話していると参考になります。特に『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08)、『キャタピラー』(10)をヒットさせた若松孝二監督の話はいろいろと聞くので、すごく勉強になりますね。若松監督は自分のやりたい企画はどうすれば成立するか常に考えている人。自分で製作するだけでなく、自分で配給までやっていますよね。ボクも若い監督から「自主映画を劇場で掛けたい」と相談されたら、自分が『SR』シリーズで学んだことは惜しみなく伝えたいと思っています。
――入江監督も若松監督のように自主制作を続けていく?
入江 自主制作でなく、製作委員会方式でもいいんですけど、制約なしで作れる、自分の原点に戻れる場所は作っておきたいです。スティーヴン・スピルバーグ監督も自分で会社「ドリームワークス」を立ち上げて映画を作っているので、あれも一種の自主制作ですよね。ジェームズ・キャメロン監督の『アバター』(09)もそう。時間と手間を掛けた壮大な自主映画のモデルが日本でも実現するといいなとは思いますね。
――『SR』シリーズは全都道府県を制覇する構想もあるんですよね。
入江 はい。でも、よく考えたら、47都道府県を回り切る前に自分が死んじゃうなと(笑)。1年に1本ペースでも間に合わない。まぁ、夢としては短編でもいいから実現させたいですね。各地の映画館に舞台あいさつに行く際も、リサーチを兼ねて地元の名物を食べたり、現地の人の話を聞いたりしてるんです。映画に結びつくかどうかは分かりません。全都道府県巡りは、ほんと夢のような話ですから。
――最後に、『SR2』についてひと言お願いします!
入江 パート2といっても前作を観てなくても楽しめるようになっています。"サイタマ"や"ラッパー"というキーワードに抵抗を持たずに、まず気軽に観てほしいですね。『Sex and the City』の北関東版を狙ったので、ぜひ女性の方に観てもらいたいです。最初は『Sex and GUNMA』というタイトルも考えたんですけど、さすがにこれじゃお客さんが来ないだろうと思って自分でダメ出ししました(笑)。でも、女性の本音満載という点では『Sex and the City』にも全然負けてないと思いますよ。
(取材・文=長野辰次)
『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』
監督・脚本/入江悠 音楽/岩崎太整 ラップ指導/上鈴木伯周、上鈴木タカヒロ 出演/山田真歩、安藤サクラ、桜井ふみ、増田久美子、加藤真弓、駒木根隆介、水澤紳吾、岩松了 発売・販売元/アミューズソフト 税込価格/3,990円 6月24日(金)よりDVDリリース <http://sr-movie.com>
●いりえ・ゆう
1979年神奈川県生まれ、3歳から埼玉県深谷市で育つ。日本大学芸術学部映画学科卒業。SFロードムービー『ジャポニカ・ウィルス』(06)で長編監督デビュー。『SR サイタマノラッパー』(09)はゆうばり国際ファンタスティック映画祭2009オフシアター・コンペティション部門グランプリ受賞。さらに韓国プチョン国際ファンタスティック映画祭で最優秀アジア映画賞、第50回日本映画監督協会新人賞受賞。『SR』北関東シリーズ第2弾『SRサイタマノラッパー2 女子ラッパー☆傷だらけのライム』(10)に続いて、『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールが鳴り止まないっ』も全国各地でロングラン上映を続けている。2011年にはWOWOWでドラマW『同期』(8月5日DVDリリース)、フジテレビ系で東野圭吾原作のミステリー『ブルータスの心臓』の演出を務めた。AKB48の新ユニット「Not yet」のシングル「週末Not yet」のPVの演出も担当。












