
テレビ四国公式サイトより
8月下旬、「私の居場所はインターネット」と語る、引きこもりの少女が主人公のアニメ『despair/hope』がYouTubeを通じて公開され、2ちゃんねるをはじめ、各種ニュースサイトで話題となった。
このアニメは、愛媛県松山市の動画配信サイト「テレビ四国」が製作したもの。聞き慣れない局名を目にして「テレビ四国とはどういう会社だろう?」と疑問に思ったネットユーザーも数多くいたようだが、実はグル―ポンの「スカスカおせち」を最初に映像にして報じたのも、このテレビ四国だ。
この2つの取り組みを見ただけでも、インターネットの現在のあり方を非常に熟知していると感じられるのだが、実はプロデューサー兼監督を務めているテレビ四国の水口真吾報道制作局長は、その昔、2ちゃんねるのν速(ニュース速報板)やVIP板、2ちゃんねる証券取引所(2ちゃんねる株)などで、いわゆるコテハンの"したり@ν速ファンド"という名前で活動をしていたという。そんな水口氏が、インターネットで情報の送り手となったのはなぜなのだろうか。本人を直撃した。
水口 「もともと私は地上波民放テレビ局の正社員で報道記者をしていましたが、退職してからネットの世界にハマりました。自分は情報の送り手でしたが、テレビ局にいると、送り手が一方的に情報を発信するだけで、受け手は見ていることしかできないという構造に疑問を持っていました。でも、2ちゃんねるを知って、ここにこそ国民の声があると思って。ネットがあれば、全員が受け手にも送り手にもなれる。だから、自分がまずそれをやってみようと思ったんです」
テレビ局で記者をやっていれば、「受け手」の声に耳を傾けるようなことは徐々になくなっていくもの。それでも、情報の格差から目を背けなかったのには理由があるという。
水口 「実は、学生時代に別のテレビ局で4年間アルバイトをしていてたんですが、その時に記者やカメラマンに、僕らバイトはひとくくりにされて"バイト君"と呼ばれていたんです。この呼ばれ方に、2ちゃんで言う"名無し"になったような屈辱を感じました。その経験からテレビ局の特権意識に反発したし、だからこそテレビ局に入りたかったんです」
しかし、実際に記者となってからも、その"特権階級"に対しての疑問は消えず、退社して現在のテレビ四国での活動を始めた。今回のアニメは、ネット上でも賛否両論あったようだが......。
水口 「意見は10人いたら10通りあってもいいと思います。それに、ネットをしていて、フラッシュ動画やMADの面白さを知って衝撃的でした。特権的なテレビ局の人が作るものでなくて、ごく普通の人が作ったものの方が面白い。今回のアニメも、僕以外のスタッフのアイデアをどんどん取り入れていますし、このアニメの主人公も、2ちゃんねるのオフ会や、mixi、そのほか普通に生活していてリアルで知り合ったさまざまな女性や男性の話をもとに作ったキャラクターなんです」
水口氏の話の通り、ネットでは「自分のことのようだ」「リアルだ」という声も多かったが、人々の声をキャラに反映したからこその反応だろう。ほかにも、主人公のハルカの声が「まるでボーカロイドのよう」という意見もあったが......。
水口 「ハルカの声はボカロではなく、テレビ四国のアナウンサー・宇宙うさぎの生の声です。ニュースは普通に読んでいるんですが、はるかの心情を想像してしゃべったところ、あの声になっただけなんです(笑)」
現在、『despair/hope』は10話までを公開中だが、これからも、ネットだからこそできる活動は続くのだろうか。
水口 「テレビ局時代に視聴率ありきの姿勢に疑問を感じていたので、これからも本当にみんなが知りたいものや、受け手と作り手の間に隔たりのない創作物を公開していきたいですね。ネットっていうのは文明開化で平成の黒船。どんどんいろんな人が参加していけるメディアだと思いますから、ほかの人にも参加してほしいですね」
実は、このアニメを公開した直後に、ニコニコ動画から連絡があり、テレビ四国の公式チャンネルができることになったとのこと。これからも、テレビ四国は、ネットで話題を提供してくれそうだ。
●テレビ四国
<http://tvshikoku.com/>
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セクシータレント範田紗々がミュージカルで"893の姉御"に挑戦!
昨年のAV引退以来、活動の幅を飛躍的に広げているセクシータレントの範田紗々ちゃん。日刊サイゾーでもバニー姿でチャットに登場したり、SODプロデュースのラブホテルを案内したりと大活躍中だが、今度はなんとミュージカルに挑戦することになった! しかも"893の姉御"役!
今回、紗々ちゃんが出演するのは、坂上忍が作・演出を務める『株式会社893』(赤阪レッドシアター/9月7日~11日)。主演にTMネットワークの木根尚登を迎えた同作は、落ちこぼれの893(ヤクザ)たちが新たな組「株式会社893」を立ち上げる物語。人間味あふれる"893"たちの危ないエピソードが満載の超異色なミュージカルとなっている。

この作品のなかで、紗々ちゃんが演じるのはずばり、「株式会社893」の姉御という重要な役どころ。日々、厳しい稽古に臨む紗々ちゃんに意気込みを聞いてみると......
「いままでやった事がない、ドスの効いた役なので、声をからして稽古しています! そして、なんと! ミュージカル!! ささのダンスに期待してて下さい!!」
いつもニコニコな紗々ちゃんの新たな魅力が爆発しているかもしれない今作。見逃せない!!
●『株式会社893』
【公演日】2011年9月7日(水)~9月11日(日)
【劇場】赤坂レッドシアター
【脚本・演出】坂上忍
【出演】木根尚登(TMネットワーク)/岡田眞善/範田紗々/永島知洋/ヘイデル龍生/犬山ヴィーノ/りょうた(子役)/井ノ本尚汰(子役、Wキャスト)/サトマル/藤村直樹/白水萌生/由夏/今藤洋子/永澤俊矢/渋谷哲平
【チケットお申し込み】http://www.clarice.mobi/
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稽古に熱が入る紗々ちゃん。見栄も意外に決まってる!?

本読みも真剣そのもの。稽古場を緊張感が包みます。
●『株式会社893』
【公演日】2011年9月7日(水)~9月11日(日)
【劇場】赤坂レッドシアター
【脚本・演出】坂上忍
【出演】木根尚登(TMネットワーク)/岡田眞善/範田紗々/永島知洋/ヘイデル龍生/犬山ヴィーノ/りょうた(子役)/井ノ本尚汰(子役、Wキャスト)/サトマル/藤村直樹/白水萌生/由夏/今藤洋子/永澤俊矢/渋谷哲平
【チケットお申し込み】http://www.clarice.mobi/
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撮影日数3,000日、総製作費35億円! 『ライフ ―いのちをつなぐ物語―』

(C)BBC EARTH PRODUCTIONS (LIFE) LIMITED MMXI. ALL RIGHTS RESERVED.
配給:エイベックス・エンタテインメント
公式HP<http://www.onelifemovie.jp/>
娯楽色の強い夏休み映画の公開も一段落。落ち着いた秋の気配が漂い始める9月は、現実の世界へのさまざまな視点を提示する良質のドキュメンタリー映画とじっくり向き合うのに適した時期だろう。
まずは、自然好き、動物好きなら見逃せないのが『ライフ ―いのちをつなぐ物語―』(9月1日より TOHOシネマズ日劇ほか全国公開)。『ディープ・ブルー』(1999)『アース』(2008)の英BBCが撮影日数3,000日、総製作費35億円を投じた同局史上最大のネイチャードキュメンタリーだ。全大陸にまたがる世界18カ国24カ所で、ダイナミックな求愛の泳ぎを繰り広げるザトウクジラから、水面走行がユーモラスなバシリスク(トカゲ)、超高速で移動する愛らしいハネジネズミまで、多種多様な生物を最新のカメラシステムで撮影。それぞれの命をつないでいく様子を、動物と同じ目線でとらえた驚異的な映像に、自分が人間であることをしばし忘れてしまうほど。日本語吹き替え版のナレーションで松本幸四郎、松たか子が親子で共演したことも話題で、Mr.Childrenによる主題歌「蘇生」からは、震災で多くの命を失った日本への熱い応援メッセージも伝わってくる。
続いては、核兵器の脅威を訴える社会派ドキュメンタリー『カウントダウンZERO』(9月1日公開)。09年にバラク・オバマ米大統領が「核なき世界」構想を表明した一方で、地球上に今も2万3,000ほどの核兵器が存在する。危ういバランスで保たれている核が、事故・誤算・狂気によってたちまち大惨事を招くことになると、各国の元首脳や工作員らが警告。かつてオウム真理教がロシアから核爆弾を買おうとしていたエピソードも取り上げられ、非核平和をうたう日本で暮らしていても決して無関心ではいられない、と痛感させられる。オルタナティブな視点と社会的マイノリティーへのシンパシーが一貫した作品を撮り続ける女性監督のルーシー・ウォーカーが、『不都合な真実』(07)の製作陣とともに完成させた力作だ。
最後に、小規模ながら全国で順次公開が広がっている『無常素描』も紹介しておきたい。今年3月11日に発生した東日本大震災から約1カ月後の被災地を見つめたドキュメンタリーで、監督は『ただいま それぞれの居場所』(10)の大宮浩一。自ら被災地に入ってカメラを回し、日付や地名、人名といった情報を加えず、大地震と津波のつめ跡を素描していく。映像から伝わる自然の破壊力に息を飲み、言葉を失う。福島県内の寺の住職で小説家の玄侑宗久の語りから、私たちの暮らしや命について考えさせられ、新たな気づきをもたらしてくれる作品でもある。
(文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉)
「ライフ ―いのちをつなぐ物語―」作品情報
<http://eiga.com/movie/56377/>
「カウントダウンZERO」作品情報
<http://eiga.com/movie/55722/>
「無常素描」作品情報
<http://eiga.com/movie/56617/>
"核実験動画"の橋本公に聞く、もうひとつの不都合な真実『カウントダウンZERO』
オバマ大統領が2009年のプラハ演説において「核なき世界を目指す」構想を示し、世界的に核軍縮の機運が高まっている。しかしその一方で、知られざる核の脅威が我々の身近に迫っていることも事実である。
07年にアカデミー賞を獲得したドキュメンタリーの傑作『不都合な真実』のスタッフが、核兵器の脅威を警告する衝撃のドキュメンタリー映画『カウントダウンZERO』を制作、9月1日より日本で公開されている。
現在、箱根ラリック美術館の学芸主任で、03年に、1945年から98年にかけて世界中で行われた2,053回の核実験を、文字を使用せず、光の点滅と実験回数を地図上に示す映像作品を発表した橋本公(はしもと・いさお)氏は、本作をどう見るだろうか。話を聞いた。(聞き手/中村千晶)
橋本公氏 この映画は今までになく淡々と"核"の存在を語っていて、心に沁みました。核を描く映画は原爆実験シーンや焼けただれた皮膚など、直接的なものをこれでもかと見せるものが多い。でも今の若い人はそれだと内容以前に引いてしまうと思うんです。本作のようにクールな語り口で、実は驚くほど身近にある核の恐怖を伝え、問題を投げかけるスタイルは新鮮です。
多くの貴重なインタビューが入っていますが、どれも声高に叫ばないからこそ、事態の重さを伝えています。原爆の父であるオッペンハイマーが、うつろな目で「これ(核)は地球を滅ぼすものかもしれない......」と語る映像、怖いですよ。
核兵器のもとになる高濃縮ウランが、想像以上にたやすく手に入る現状もわかります。プルトニウムを少しずつ盗んで売っていた売人は、ランボルギーニとジャガーを乗り回していることを意気揚々とインタビューに答える。ロシアの海軍基地でウランが盗まれ、軍関係者が「じゃがいもですら、もっとしっかり保管されている」と言う。
アルカイダが高濃縮ウランを買おうとしていた事実も明かされます。これらは「ドカーン!」と爆発する映像よりも恐ろしいものです。「核を持っていることが安心」という意識が、9.11のようなリスクを引き起こすことを忘れてはいけない。どこかで振り上げた拳を下ろし、連鎖を断ち切らなければならないのです。
86年のレイキャビク会談は失敗してしまったけれど、今オバマ大統領が「核のない世界」を目指すと宣言し、ノーベル平和賞を受賞した。このチャンスを逃してはならない、今こそ「核ゼロ」を成功させようという思いが映画にも現れていました。ブレア元英国首相もほかの人々も訴えていますが、ゼロにすることは不可能ではないのです。
私は45~98年までに世界で行われた2,053回の核実験を、世界地図上に光の点滅と実験回数だけで示すという映像作品を作りました。「こんなにひどいんだよ」ではなく、その事実を一見キレイな映像にすると、若い人たちも「なんだろう」と興味を持ってくれます。そしてそれが何を表しているかわかったときに、真のシリアスさを感じてくれるようです。作品を見た小学3年生が核についての夏休みの自由研究を私に送ってくれたこともありました。
私は平和活動家ではありませんが、言うなれば核の現状を伝える「インターフェース」を作ったようなものです。いいインターフェースには時として"感情を排する"ということも大事。この映画も同じ意味合いを持っているのではと思います。大人はもちろんぜひ多感な少年少女に見てほしいです。
* * *
この映画は、核に対する世界中の人々の無知さ、意識の低さが最も恐ろしいものであると描く。くしくも、映画が公開された9月1日は"防災の日"。一人ひとりが自らの安全や身に迫る危険を意識する日である。核は決して、遠い存在ではない。
●『カウントダウンZERO』
9月1日(木)映画の日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国順次ロードショー
監督:ルーシー・ウォーカー
「戦争兵器は廃絶されなければならない。我々人類が兵器によって滅亡させられる前に...」1961年、ジョン・F・ケネディ大統領の国連演説を実現できていない現在。世界中で作られている核兵器が、いかに粗末に管理され世界を危険にさらしているのか、いつ何者かの手に渡り恐ろしいテロ行為が起きてもおかしくない実態。今、世界に存在する約2万3,000の核兵器。各国の元首脳と国際的な専門家、元CIA工作員など、さまざまな視点による証言と重なりながら、背筋が凍るような事実が目前に示される。

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橋本氏による動画「2053 Explosiones Nucleares 」
●『カウントダウンZERO』
9月1日(木)映画の日よりTOHOシネマズ 日劇ほか全国順次ロードショー
監督:ルーシー・ウォーカー
「戦争兵器は廃絶されなければならない。我々人類が兵器によって滅亡させられる前に...」1961年、ジョン・F・ケネディ大統領の国連演説を実現できていない現在。世界中で作られている核兵器が、いかに粗末に管理され世界を危険にさらしているのか、いつ何者かの手に渡り恐ろしいテロ行為が起きてもおかしくない実態。今、世界に存在する約2万3,000の核兵器。各国の元首脳と国際的な専門家、元CIA工作員など、さまざまな視点による証言と重なりながら、背筋が凍るような事実が目前に示される。
不都合な真実 スペシャル・コレクターズ・エディション 知らないことは、隠されたこと。
NHK『大科学実験』のキーマンに聞く、奥深き科学実験の世界

NPO法人・ガリレオ工房理事長で、
東海大学教育研究所・教育開発研究
所教授の滝川洋二氏。
昨年3月から放送され、各所で話題を呼んでいるEテレ(NHK教育)の科学教育番組『大科学実験』。わずか10分間という短い枠で、誰もが思わず見入ってしまうとんでもなくスケールの大きな大実験を繰り広げているこの番組のDVDブックが発売された。この番組をはじめ、数々の科学実験番組や書籍の監修を行っているのが、NPO法人「ガリレオ工房」だ。科学の楽しさを伝えるために、身近な材料でできる実験を年間数十件ずつ開発、その事例は1,300件を超える。今回はガリレオ工房の理事長で、たびたびテレビにも出演している滝川洋二氏に、『大科学実験』の裏話や科学の面白さについて話を聞いた。
―― "実験監修"というのは、どういうお仕事なのですか?
滝川洋二氏(以下、滝川) おもに実験のアイデア出しと、実験中に失敗や何かトラブルにあった際にアドバイスをしています。『大科学実験』では100本くらいの実験を提案し、最終的に26本の実験が採用されました。企画から収録までは平均してだいたい3カ月くらい。長いものでは6カ月かかったものもありました。海外のテレビ局との共同制作だったということもあり、予算は潤沢で、1,000万円くらいかかった実験もあったくらいです。
――確かにどの実験も、手間とお金がかかっていそうですね。

NHK『大科学実験』公式サイトより
滝川 たとえば、DVDブックにも入っている「空飛ぶクジラ」は、大きな袋に閉じ込めた空気を太陽の光で温め、人を浮かすことができるかという実験ですが、熱気球で人を持ち上げるという実験は今までにあったし、ただのビニール袋に人がぶらさがっても面白くない。そこで、全長50メートルのクジラ型ソーラーバルーンを作ることにしたんです。とは言っても、いきなり巨大クジラを作るのはとても大変ですから、まずは小さいサイズのクジラを作り、作り方や実験の進め方を確認していきました。ソーラーバルーンを空に飛ばすためには、太陽の光をしっかり当て、風がなくなるのを待たなければなりません。そのため、番組スタッフは6日間くらい山にこもって撮影したそうですよ。実験が大掛かりになればそれだけ面白いのは事実ですが、同時に危険度も増すので、安全性の確保ということはいつも一番に考えています。
――クジラが飛ぶ前と後で目の表情を変えたり、潮を吹いているように見せるためにバルーン内に紙吹雪を仕込んだりと、細かなところにもすごく手が込んでいますね。
滝川 番組のスタンスとして、ただ大掛かりなことをやるんではなくて、"エンタテインメントとして実験を見せる"ということに注力していましたね。「高速で止まるボール」という実験の時も、ボールが止まった時にボールに描いた顔がちょうど真正面に来るまで何度も撮り直したり、そういう発想は僕らには全然なかったので、とても新鮮でした。

NHK『大科学実験』公式サイトより
――ガリレオ工房は今年で26年目を迎えるそうですが、そもそも、どういうきっかけで設立されたんですか?
滝川 もともとは、中学・高校の理科の先生の勉強会だったんです。月に1度、例会を開催し、授業に役立つ研究や勉強しようということでスタートしたんですが、理科の授業では実験が大事だ、ということがみんなの共通認識としてありました。ですから、例会では必ず何か実験をやろうと決めたんです。実は米村でんじろうくんも初期メンバーで、彼は毎月、自分で開発した実験を発表していましたね。その後、米村くんはテレビに出るようになってあまり例会には顔が出せなくなってしまったんですが、他のメンバーも実験を開発をするようになって、例会のたびに新しい実験が発表されるようになりました。もともとある実験にひねりを加えていくというのが実験開発の基本なんですが、ひねっていくうちにものすごく新しくなったりすることもあって、それが面白いんです。
――滝川さんも毎月、新しい実験を発表しているんですか?
滝川 僕も毎月2つくらい発表しています。だいたい100円ショップに行って商品を眺めながら、「これはなにに使えるかな?」と案を練っています。実験を開発するときはまず、自分が面白いと思うかどうかという視点を大切にしています。何かモノを見ると、自然と「これを使ってどんな実験ができるだろう」と考えるようになっているので、すぐに新しい実験が思いつくんですよ。
学校の実験の授業では、試験管やビーカーなど専門用具を使うのが当たり前になっていますが、ガリレオ工房では身近なものでできる実験を開発しています。というのも、自分がやってみようと思った時にいつでも実験ができるということが大切だと思っているんです。今、学校の理科の実験の予算はとても少なくて、中学校では3学年合わせて年間で5万円なんこともザラにある。500人いればひとりあたり100円ですから、下手するとひとつの実験もできないような状況なんです。でも、たとえば100円ショップにある材料を使って実験ができれば、先生のポケットマネーでもできますよね。
――ガリレオ工房のお仕事のほか、滝川さんは東海大学教育開発研究所で東海大付属高校の先生向けの講義をやっていらっしゃいますが、先生たちにはどのようなことを教えているんですか?

インタビュー中に滝川氏が披露し
てくれた実験。(上)フライパン
の裏側のアルミ部分に氷を置くと
すぐに溶けてしまうが、紙を1枚
敷くとほとんど溶けない。紙は
アルミに比べて熱を伝える力が
4000分の1くらいなので、なかな
か解けない。(下)塩水を机の上
にこぼして乾かした状態のもの。
塩の結晶ができている。普通、塩
の結晶は立方体だが、これは水の
層が薄いため結晶が縦には成長で
きず横に成長している。
滝川 理科教育というのはただ実験を行うだけではなくて、実験を見て「不思議だなあ」と思った後に、それがなぜなのか、生徒が自分で考えられるように導いてあげることが大切なんです。ですので、そういった授業プログラムを紹介しています。ものを考える力というのは、実験を通して養われます。これは理科に限った話ではありません。今の日本に欠けているのは、"●●は安全だ"というメッセージがあったときに、それをどこまで信じていいのか、自分がどれだけ納得できているのかということを自分で考えたり、判断したりすることができなくなっていることだと思うんです。たとえ結論が出なくても、結論が出ないということに気づくことが大切なんです。
――ゆとり教育の影響で、ここ何年かは義務教育における理科の授業の時間は縮小されていました。最近では、少し見直されてきているようですが。
滝川 僕はNPO法人「理科カリキュラムを考える会」というところで世界の教科書の研究もしているんですが、たとえばイギリスでは、2006年から中学校の教科書の内容がすごく変わって、社会的に問題になっているけれど結論の出ないテーマを授業の中で扱うようになったんです。理科(科学)は知識の積み上げではありますが、それだけでは解決できない問題もある。たとえば、遺伝子組み換えの食物が安全かどうかという結論はまだ出ていないですよね? でも、現実には市場に出回っている。それを自分や社会はどう対処するのかということをみんながそれぞれ考えていかなければいけないのに、その判断基準を市民がまったく持っていない。国や調査機関が安全だというデータをそのまま鵜呑みにするのではなくて、そのデータをどのようにとらえ、どう判断するのか。自分なりの判断基準を持つことが市民の役割だ、ということを授業の中で教えているんです。今の日本の教育と比べると、だいぶ違いますよね。僕は、科学の一番の目的というのは、よりよい社会を作っていくための市民を育てていくということだと思うんですよね。
――滝川さんは軽視されがちな理科の授業を見直してもらうきっかけ作りのために、テレビやイベントなどに頻繁に出演されているわけですね。
滝川 理科は楽しい、面白いし、これからの時代に不可欠なものです。自分たちがどういう社会を作っていくか、自分たちの安全をどのように確保するか、そういった判断ができるような基礎知識を個々が身に付けるということが大切です。今の社会はまさに、科学者だけには任せておけない状況ですからね。今日の科学は、いろいろな人の膨大な知識や研究の積み重ねで成り立っています。僕はそのほんの一部に携わり、みんなに紹介しているだけですが、科学の大切さというものが社会にもっと伝わればいいなと思っています。
(取材・文=編集部)
●たきかわ・ようじ
1949年生まれ。埼玉大学理工学部物理学科卒、国際基督教大学博士課程修了。79年から国際基督教大学高等学校教諭、06年から10年まで東京大学教養学部附属教養教育開発機構特任教授。教育学博士。高校教諭時代からNPO活動を通した理科教育の改善に取り組み、この功績で05年文部科学大臣表彰。「青少年のための科学の祭典」2006全国大会実行委員長、NPO法人理科カリキュラムを考える会理事長、NPO法人ガリレオ工房理事長。専門は概念形成研究、科学カリキュラム研究、物理教育。『どうすれば『理科』を救えるのか-イギリス父子留学で気づいたこと』(亜紀書房)、滝川・吉村編『ガリレオ工房の身近な道具で大実験第4集』(大月書店)、『発展コラム式中学理科の教科書第1分野』(講談社)など著書、編著多数。
ガリレオ工房HP<http://www.galileo-sci.org/>
NHK大科学実験公式サイト <http://www.daikagaku.jp/>
真の集合知となれるのか? Yahoo!知恵袋の新機能"知恵ノート"への期待

Yahoo!知恵袋「知恵ノート」ページより
一般ユーザーの質問に一般ユーザーが答える「質問サイト」の代表として知られるYahoo!知恵袋。今年2月に、京都大学などの入試問題が同サイトに投稿された事件でも話題を呼んだ。そんな同サイトが「知恵ノート」なる新たなサービスを開始した。
「単なるQ&AだけだったYahoo!知恵袋に、知恵ノートとして、一般ユーザーがさまざまな知識をまとめたページが追加されました。税制問題から飲食店の選び方、満員電車でしっかり立つ小技など多種多様なものが書き込まれています。画像の添付や見出しを付けるなどの文章の強調化も可能で、単なる質問への解答よりも内容が読みやすくまとめられています。現在は、同サイトを積極的に活用してきたユーザーのみが投稿機能を利用できるようになっています」(インターネット関連雑誌の記者)
質問には専門家ではない一般ユーザーが答えるため、インターネットの利点である"集合知"ではなく、"衆愚"に陥る可能性も高かったYahoo!知恵袋。だが、このサービスでその状況が改善される可能性もありそうだ。
「Yahoo!知恵袋では、ほかのユーザーが提示した解答に対して質問者が主観で最良の答えを選択し、"ベストアンサー"を付けるため、時には誤った知識を流布してしまうこともあった。Yahoo!という大手サイトのサービスだけに、その情報がネット検索でも上位に来てしまうため、さらに誤情報が流布されるという状況も少なからずありました。また、質問の重複が多いのも特徴です。知恵ノートが活発化し、定番の質問がまとまれば、"集合知"として一段進化できるかもしれません」(同記者)
ユーザーを"チエリアン"と呼称し、パソコン、医療などの専門家や、スタッフが選出した優秀なユーザーも解答を行っている同サイト。自らを撮影した画像を掲載し、「(ジャニーズの)嵐に入れなくて困ってます」という、質問とも言い難い相談やアンケートなどもあまたある。知恵ノートの登場で情報収集がよりスムーズになるのは確かだが、結局は個々人が情報の取捨選択能力を磨くことが大切なのではないだろうか。
マンガ・アニメの未来はどうなる? またまた浮上した児童ポルノ法改定問題の行方

25日に開催された院内集会の登壇者。
(撮影=永山薫)
民主党代表選は野田佳彦氏の勝利に終わり、9月初めに臨時国会で新首相に就任する見通しだ。補正予算や関連法案の審議など、震災対応の課題が山積する臨時国会の中でマンガ・アニメファンから動向が注目されているのが、再び持ち上がった児童ポルノ法改定をめぐる審議である。
2009年6月、当時の与党だった自民・公明両党と民主党との間で一時は改定が合意された児童ポルノ法だが、この時の改定案は会期末の時間切れで廃案、直後の衆院選で規制に慎重な議員が多くを占める民主党が政権を得たことから、改定議論の再浮上はなかった。だが、今年6月になり、改定を求める与野党各党の議員らが改定と規制強化を求める院内集会を開催し、議論が再浮上してきたのだ。
これを経て、8月には自公両党と民主党がそれぞれ改定案を提出し、国会への審議がスタート。8月中には議論はまとまらず、次期国会での継続審議となっている。
2つの案の隔たりは大きい。自公両党は、児童ポルノの所持自体を禁止する「単純所持」規制の導入を柱に、マンガやアニメなどが児童ポルノが絡む犯罪の要因となっていることを重視し、政府による調査・研究も求めている。対して、民主案では「有償かつ反復の取得」を違法とした上で「専ら医学その他の学術研究の用に供するもの」に対する適用除外を明記するなど、犯罪となる基準を厳密にしようとする意思がみられる。また「この法律のいかなる規定も、架空のものを描写した漫画、アニメーション、コンピュータゲーム等を規制するものと解釈してはならない」と、マンガ・アニメへの規制を容認していない。
臨時国会での審議入りを前に、8月25日には規制強化に反対する立場から表現の自由の問題取り上げてきた市民団体・コンテンツ文化研究会主催による「児童ポルノ禁止法改正を考える院内集会」が開催された。平日の10時30分開会という時間設定にもかかわらず、70名あまりの一般参加者を得て開催されたこの集会、発言した上智大学文学部新聞学科の田島泰彦教授は民主案を評価しながらも、問題点を指摘した。田島教授が問題点として指摘したのは、民主案が自公案よりましながら、09年の案よりも後退していることだ。09年の民主案では、誤解を招きやすい「児童ポルノ」という用語についても「児童性行為等姿態描写物」への変更を求めていた。さらに「性欲を興奮させ又は刺激するもの」「衣服の全部又は一部を着けない児童の姿態」等の曖昧な定義の改定もなされていたが、今回の案では手がつけられていない。そのため、田島教授は「自公両党との修正協議が心配である」と不安の色を隠さない。
続いて発言した、児童の人権保護に取り組む弁護士で、子どものためのシェルターを運営する「カリヨン子どもセンター」理事長の坪井節子氏は、単純所持の前にやるべきことがあると指摘。実際の性犯罪の被害の現場では、捜査機関が被害児童に対して「気持ちよかったか?」などと平気で聞くような現状があること、性的虐待を受けた子どもが生きていくために援助交際をし、さらに性的搾取されている構造があることなどを述べた。
また、日本インターネットプロバイダー協会の立石聡明氏からは、インターネットでの自主規制の努力が報告された。
さて、この集会は児童ポルノ法の「改悪」を防ぐ上で効果があったのか。
主催者であるコンテンツ文化研究会の代表・杉野直也氏は「議員に事務所関係者を合わせれば、2ケタは参加しているので、関心があることは間違いないでしょう」と話す。
その上で改定は避けられないが最悪の状況を避けなければならないと杉野さんは語る。
「児童ポルノ法を、一度の改定で理想的なものにするのは困難です。現行法でも"3年に1度の見直し"が定められているわけですし、ちょっとずつ理想の方向に持って行きたいと考えています」
多くの人が動向を見守る児童ポルノ法改定の行方だが、実際にできることは少ない。
「規制に慎重な議員の方々は、既に意思表明をしてくれているわけだから、今さらメールや手紙を送っても効果は薄いと思います。できることがあるとすれば、集会の際に坪井さんも話していたように、対策の遅れている実際に性虐待の被害にあっている児童の保護などの問題に(寄付をするなりの行動で)眼を向けることではないでしょうか」
昨年、「非実在青少年」の言葉が象徴となった東京都青少年健全育成条例改定問題では、議員へのメールや手紙は非常に効果があった。ところが、児童ポルノ法改定問題では、事情が違うことは明らかだ。お手軽な方法だけでは、問題は解決できない。
(文=昼間たかし)
「甘ったるい理科教育に宣戦布告!?」マッドサイエンスで理科を学ぶ『アリエナイ理科ノ実験室』

マッドサイエンティストとして一部から
熱狂的な支持を受けている、へるどくたー
クラレ氏。
理系書でありながらも、一部の都道府県では有害図書指定されている悪名高き理科の実験本『アリエナイ理科ノ教科書』(三才ブックス)。生物兵器の話から核兵器まで、さまざまな科学のダークサイドと日常を結びつける斬新な切り口で、"理科をマッドサイエンスで学ぶ"というコンセプトのもと、その実験の手順を写真付きで指南してくれるシリーズ本だ。その最新刊である『アリエナイ理科ノ実験室』(同)が7月に刊行された。
空気砲やレーザー盗聴器を自作したり、草花から毒を抽出したりと、最新刊でも期待を裏切らない狂気ぶり。しかし、分かっているのは、著者が"薬理凶室"というマッドサイエンティスト集団ということのみ。いかにも危険な香りがするこの集団にメスを入れるべく、メンバーのリーダー格・へるどくたークラレ氏にコンタクトを図ったのだが、取材現場にやってきたのは、キツネのお面をかぶった謎の金髪男だった......。
――『アリエナイ理科』シリーズの著者集団のリーダーさんですか?
へるどくたークラレ(以下、クラレ) そうです。"薬理凶室"というはあくまで連名で実体はありません(笑)。関わった人たちは10人くらいでしょうか。最新刊の『アリエナイ理科ノ実験室』は、僕とPOKAという電子工作や機械工作を得意とする人物と共著ということになりますね。
――こんな危険な実験の数々は、いつもどこでやっているのですか?
クラレ フフフ、首都圏某所に実験室がありましてねぇ~。詳しい場所はヒ・ミ・ツ。でも、外でドカン系の実験をするときはちゃんと事前に許可を取っているし、周りの安全には何より気を付けています。警察に止められたことは一度もないですよ。......っていうのは読者の夢を壊しそうなので、あんまり言いたくないんですが(笑)。
――警察に止められてこそないけれど......有害図書指定はされまくってますよね?
クラレ 意外にも少なく、静岡と三重だけですね(笑)。三重県ではなぜか全シリーズが有害指定されているんですが、三重県にはすごいクレーマーのオバチャンでもいるのでしょうかね(苦笑)。もともとこのシリーズは、今の理科教育にケンカを売ろうと思って作り始めたので、叩く人が出てくるのは仕方ないと思っています。もっとも、悪書だと判断し子どもに与える、与えないは行政の仕事ではなく親の仕事じゃないんですかね? ......ま、規制大好きなファシズムに傾注しそうな低脳無能には馬の耳になんとやらでしょうけど(笑)。
――そもそも現代教育にケンカを売る意味は?
クラレ 理科に限らず、今学校で教えられている教科書の内容は約40年前からほぼ変化がないんですよ、受験テストのためだけにです。科学は日々進化しているのに、40年前と同じことを学校で教えるなんてどうかしている! こんなの、日本だけですよ。科学を理解すれば、身近にあるモノがハイテクで構成されていることを再認識できます。電子レンジからど派手な実験ができる部品が取れますし、コーラだって何が入っているか実際に作ってみることができる。教科書の中の科学は、もはや日常生活にあるごく普通の科学すら説明に値しない内容に落ちぶれていることに憂いているわけです。だから"学校の理科"にケンカを売るためにできるだけ不謹慎で、だけどちゃんとした理科になっている本を作りました。
そんな我々の蟷螂の斧ですが、実際に『アリエナイ理科ノ教科書』(2004年刊)を中学時代に読んで、今は薬学部に入りました、医学部に入りましたという声もいただいてしまい、うれしいやら恥ずかしいやらです。
――こういったアブナイ実験は、犯罪予備軍を生んでしまうという可能性も少なからずあると思うのですが。毒薬を作ったり、鉄の爪などの凶器も作ったりしてますし......。
クラレ でも、この本で作った毒薬や凶器じゃなくたって、鉄パイプで人を殴れば殺せるじゃないですか(笑)。こんな本に書いてある程度の内容で完全犯罪はできないですしね。そういうことをやっちゃうような人は、この本がなくても何らかの形でやっちゃうでしょ? 今の時代、情報へのアクセスはより容易になっているわけですから。実験本の内容が犯罪者を生むというなら、ありとあらゆる科学の本が危険書になってしまいます。火薬学の専門書なんかは、爆弾の製造マニュアルですし(笑)。科学には善も悪もありません、あってはならんのです。科学は物事を支配・制御するためのただの"道具"ですから。
――自分自身が、実験中に命の危険を感じたことはないのですか?
クラレ んー、あんまりないですねぇ。火だるまになったことがあるくらいですかね。
――ええ!? 火だるま!? それって、いわゆるお約束の"頭ちりちり"?
クラレ 残念ながら、アフロにはならなかったですが(笑)。服に火の粉が飛んで、そのままボーッと首あたりまで上半身全部が燃え上がって......。実験とは関係のない着衣着火ですけどね。
――ひえぇぇ! さすがに慌てたと......。
クラレ いや、そうでもないです。「あー、燃えてるわー」って感じ(笑)。喉と鼻の内部をヤケドすると治りにくくて大変なので、煙と火の粉は吸わないように上を向いて、燃えてる服を脱ぎました。ただ、化学繊維の服だったから、溶けたチーズのごとく糸を引き、それが固まって皮膚に貼り付いてきてたので、脱ぐ時はむちゃくちゃ痛かったですね。
――ずいぶん冷静ですね。
クラレ 慌てちゃいけないんです。事故が起こったらまずは冷静に。事故引火なら慌てて息を吸ったり、顔に燃え移ったりすると余計に大惨事になりますからね。こういう実験中の事故も貴重な経験値で、過去の痛い目を見た経験が大怪我を予防するわけです。
――『アリエナイ理科』シリーズを、実験経験の浅い人がマネして失敗する可能性もありますよね?
クラレ 失敗したらいいんじゃないですか? ちょっと爪がはがれたり、肉が削げたりするかもしれないけど、そんなケガくらいでは死なないでしょ。ケガをするのがどうしていけないんでしょう? 痛い経験をすれば、次はその轍は踏みません。今の時代、生徒にケガさせないように実験をしない学校も増えているけど、そんなんで科学を学ばせるとか噴飯モノです。科学は実学あってのものです。死なない程度のケガならどんどんしたほうがいい、その痛みの分、学ぶことがあるはずです。
――危ない実験だろうが何だろうが、臆せずトライすべし?
クラレ 身の丈に合わせて......だと思います。身の丈を知らずに危ない実験をすれば大事故の可能性が高まりますから。
余談ですが、僕は小中学生のころから、理科室の薬品や実験器具を勝手に使って実験していました(笑)。理科の授業自体は死ぬほどつまらなかったので、その分を高専など向けのちょっと本格的な教科書を読んで勝手に勉強していました。それだけに、学校のつまらない授業を聞いただけで理系分野に興味を持つ人は果たしているのか、って思いましたね。
――クラレさんにとって、"科学"って何ですか?
クラレ 科学の本質は、物事の支配と制御です。宗教や法律などに絶対的な解はないけれど、唯一科学には真理がある。お経を読んでも肌はキレイにならないけど、科学を理解すれば化粧品だって作れる。それに、災害時には法律の知識は役に立たないけど、科学があれば生き延びられるでしょう。我が家は、計画停電の時も、非常用バッテリーでずっと電気がついてましたよ(笑)。一応、今回の『アリエナイ理科ノ実験室』には、震災に乗じて非常用バッテリーやガイガーカウンターの作り方も掲載しました。実験としては危なくもなければ面白みもなく、地味ですけどね。
***
『アリエナイ理科』シリーズは本作でラスト。だが、別の形で実験シリーズの本は制作予定とのこと。マッドな"薬理凶室"の暴走は続く......。
(取材・文=朝井麻由美)
●へるどくたー・くられ
爆笑秘密結社「薬理凶室」のリーダー。不良科学者、サイエンスライター、トリック設定作家、理科講師などさまざまな肩書きを持ち、コンピュータサイエンスから一般科学まで幅広く手掛ける。著書に『アリエナイ理科』シリーズ、『デッドリーダイエット』(ともに三才ブックス)、「『ニセモノ食品作り』最前線」(宝島社)などがある。
アリエナイ理科ノ実験室 ニコニコミュニティ
<http://com.nicovideo.jp/community/co1274778>
つーか、これでしょ!「THE OUTSIDER第18戦」ラウンドエンジェル大鑑賞会!
"不良の格闘技大会"「THE OUTSIDER」開催のたびに観客席とモニターの前を興奮の渦に巻き込むうるわしのラウンドエンジェル。もちろん今回も、恍惚すぎるお姉さんたちがリングを華やかに彩ってくれました。というわけで、恒例のラウンドエンジェル大放出! もうティッシュが足りないよ!(鼻血的な意味で)
ジ・アウトサイダー 第十三戦 in 横浜文化体育館
試合も見てね。

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地下格闘技界の重鎮が、いよいよアウトサイダーに殴り込み!──リングス・前田日明主催の不良系アマチュア格闘技イベント『THE OUTSIDER(アウトサイダー)第18戦』が14日、東京・ディファ有明で開催された。
今回の目玉選手は、全国の地下格闘技大会を転々と渡り歩き、この2年余りで50戦ものケンカファイトを繰り広げてきた前田島純だ。人生の三分の一を獄中で過ごし、"地下"では勝率8割を誇るこの男。果たして"地上"の檜舞台で、栄光をつかむことはできたのか?
注目の前田島に密着取材するとともに、会場を沸かせた他のケンカ屋たちにもインタビューを試みた。

──その仲間とは、誰のことでしょう?
「漢塾の桜井貴大とか、将軍選手のことです」
──本日対戦する比夏瑠選手は、第6回大会でMVPを取っている若きストライカーですが。
「年齢は若いけど、アウトサイダーの中ではベテランですね。ま、大丈夫でしょう。似たようなタイプとの試合は経験したことあると思います」
──生い立ちを聞かせてください。
「生まれは沖縄で、小1のときに今の地元の行徳(千葉県市川市)に来て。そっから少年院3回入って、刑務所2回入って......」
──どんな悪事を働いたのでしょう?
「強盗とか、オヤジ狩りとか、監禁とか。通算すると10年ぐらい入ってましたね。自分、組織に所属してたんですけど、刑務所から出て来たら、組がなくなってました」
──ケンカは昔から強かった?
「親父がめちゃくちゃ怖かったんで、自分の身を守るためにも強くなるしかなかった。ちょっとでも中途半端なことしたらボコボコにされるんで......。ガキのころは地元の暴走族の特攻隊長をやっていたので、ストリートファイトはしょっちゅうでした」
──刑務所の中では?
「することないから、鍛えてました。毎日、腕立て腹筋500回ずつとか」
──失礼ですが、今は更生されてますか?
「昔に比べたら丸くなりましたね。ただ、酒とたばこはやめてません。酒ばっか飲んでると下痢になるじゃないですか。それで体重を調整してる感じです(笑)」
──現在30歳。体力の方は?
「落ちてるかもしれないけど、それなりに場数を踏んでるんで、要領で戦えますね」
試合はまさに、前田島の「場数」が物を言った感じであった。比夏瑠の勢いに押し込まれる場面がありつつも、ここぞというチャンスにラッシュを仕掛けてダウンを奪い、3-0で判定勝利。
試合後の前田島に喫煙所で話を聞く。
──ナイスファイトでした。
「どうも。たばこあります? 1本ください。いやー、でも久しぶりにあんなに食らいましたね。一瞬、"こりゃヤバい、負けるかも"って思いました。アウトサイダー、ちょっとナメてました」
──比夏瑠選手の印象を。
「パンチが速いし、強いですね。痛いっす......(と言って、腫れ上がった目尻に氷を当てる)。オレ、こんなにボコボコになったの初めてかも。蹴り過ぎて足も超いてーし......」
──とはいえ、勝ちは勝ちです。
「こういうのは最初が肝心なんでね。仲間のためにもぜってえ負けらんねえ、という気持ちで踏ん張りましたよ。オレ、気持ちだけは一流のつもりなんで」
"地下格"の猛者が、地上でつかんだ傷だらけの1勝。「今日はいい体験しました」と言って、うまそうに煙を吐き出した。

前田島にサイゾー賞を贈呈。
●"三枝軍団 平成の次世代ケンカ戦闘機"
島田勇(20歳・東京・出場2回目)
駆け引き、小細工、一切なし! 勇という名にふさわしく、フックをビュンビュン振り回す勇ましいファイトで観客を沸かせたのが、この島田だ。まるで組織の幹部のような風貌だが、まだハタチというからビックリ。試合後に取材してさらに驚いたが、この男、話し方や考え方も実に大人びているのだ。
──ハタチとは思えない風格ですね。
「普通に生きてたらこうなりました」
──ケンカでは負け知らず?
「いや、上には上がいるんで、ボコボコにされたこともありますよ。それにオレ、昔から臆病なんで、自分からはケンカを売ったりしないんですよ。ただ、売られたケンカは必ず買いますね。神輿の会に入ってるから、お祭りで殴り合いになることが多かったです」
──アウトサイダーに出ようと思ったきっかけは?
「なんも練習しないまま、ノリで地下格闘技の『素手喧嘩(ステゴロ)』『victory』『喧嘩一武道会』に出たら、全部負けました。で、負けっ放しは悔しいから、ちょっと前から格闘技のジムで練習を始めて、アウトサイダーにチャレンジしてみたら2連勝。オレ、同世代や年下の人たちに伝えたいことがあるんですよ」
──何でしょう?
「オレ、ホントにどうしようもない人間だったんですけど、格闘技始めてから仕事も続くようになったし、まじめにもなったし、こうして大舞台に立たせてもらえて、勝てるようにもなった。だから、同世代や年下でまだヤンチャやってる人たちに、『ちょっと努力すれば勝てるよ』ってことを伝えたい。格闘技に限らず、仕事でもなんでもそう。真面目に努力すれば、きっと報われる。ちょっと上から目線になっちゃいますけど、オレはそう思うんですよ。今日は技術じゃなく、そういう気持ちを伝えたかったから、ケンカスタイルで戦いました」
──気持ちは十分に伝わって来ましたよ。次に戦いたい相手はいますか?
「山田史博くんですね。以前、『素手喧嘩』って大会で戦ったときに、オレ、あっという間に負けちゃったんですよ。今日もマイクで言いましたけど、オレは一度戦った相手とはずっと良き関係でいたいんで、あの人のことを今でも好きで応援してるんですけど、やっぱ負けちゃった悔しさはあるんで、もう一度試してみたいな、と。別にケンカを売ってるわけじゃなくて、振り向いてくれるならお手合わせ願いたいと思ってます」
このところ欠場続きの山田にラブコールを送った。
●"埼玉白岡町の兄貴分 一蓮托生"
佐藤美朗(30歳・埼玉・出場3回目)
この佐藤も、格闘技で人生が変わったひとりだ。試合後の勝利者インタビューから。
──おめでとうございます。激しい打撃戦でしたね。
「大会前、対戦相手の須藤君と話す機会があったので、バチバチの殴り合いをしようって約束したんですよ。思い切り殴ったし殴られたけど、気持ちと気持ちでぶつかり合ったんで痛みは感じなかったですね」
──現在の佐藤さんは見た目もしゃべり方も好青年に見えますが、以前はどんな人だったんですか?
「あんまり言えないですが......。とりあえず、よく寝込みを襲ったり、刺したりしてました」
──それはいつまで......?
「格闘技を始めて、そういうヤンチャをやめました」
──格闘技を始めたのはいつですか?
「去年の9月です(笑)。後輩の齋藤龍正がやってるのを見て、格好いいと思ったし、自分もああいう場で更生して輝けたらいいんじゃないかと思って」
──格闘技を始めるだけで、そんなに人って変わるものですか?
「変わりますね。自分が井の中の蛙だってことがよく分かる。表の社会を見れば、ちっちゃい街でいきがっててもしょうがないって思えてきます。だったらもっと大きな場所で合法的にケンカファイトして有名になりたいし、そうなればこれまで突っ張ってきた意味があるというか、これまで僕についてきてくれた友だちや後輩にも多少は恩返しができるかな、と」
アウトサイダーによって更生した若者は、思いのほか多いようだ。
《番外編》
●"元・暴走族『陽炎』第十三代目総長"
大倉利明(32歳・愛知)
客席にいた大倉利明選手に「先月入れたばかり」という顔面タトゥーについて話を聞いた。
──痛くなかったですか?
「思ったより痛くなくて。電気彫りで2~3時間程度で終わっちゃいました」
──マイク・タイソンと同じ絵柄ですか?
「一緒ですね。タイソンが大好きで」
──それにしても、顔に彫るのは一大決心だったのでは?
「実は前から顔に入れたかったんだけど、いろいろ考えた結果、やめてたんですよ。ところが先日、僕に不良のイロハを教えてくれた地元の大先輩が、『今はなかなか会う機会がないけど、離れていても思いは一緒だ』と言って、僕が入れようと思ってた刺青を先に入れちゃったんですよ(笑)。というわけで、その思いを裏切るわけにはいかないから、僕も入れることにしました」
──親御さんには相談を?
「一応、入れる前に顔だけ見せに行って、『入れるから』って報告しました。別に反対も賛成もされなかったですね(笑)」
──街での注目度は?
「相当上がりますね。道が空くか、声かけられるか、どっちかです。こないだモンゴルに行ったんですけど、そこではスター扱いでした(笑)」
──もう悪いことはできないですね。
「覆面するしかないですね(笑)」
●"第4回大会MVP リアル神代ユウ"
佐野哲也(29歳・静岡・出場13回目)
更生するもへったくれもない。生まれてこのかたずっと優等生なのが、この佐野だ。しかし、腕っぷしの強さと向こうっ気の強さは不良にも決して負けていない。この日は65-70kg級ランキングトーナメントの準決勝と決勝に連勝し、宿敵・吉永啓之輔が保持する同級タイトルへの挑戦権を獲得。
佐野は客席にいた吉永をリング上に呼び出し、激しい睨み合いを展開した。
──リング上で舌戦を繰り広げていましたが、どんなやりとりがあったのでしょう?
「『今すぐここでやってやるよ』って言われたから、『やだ。疲れたから』って言い返しました」
──最後、吉永選手に「カス」と言われてましたが、返す言葉は?
「ないっ!! だって今日の試合、実際つまんなかったでしょ? 勝つのを最優先させたから」
──内容はなんであれ、勝ってコマを進めたのはすごい。
「だって、僕が勝ったほうが面白いでしょ? (吉永戦を)見たかったでしょ?」
確かに見たい、佐野VS吉永の因縁バトル。過去の対戦成績は1勝1敗で互角。11月13日(日)に横浜文化体育館で行われる次回アウトサイダーで、両者はいよいよ雌雄を決することになった!
(取材・文=岡林敬太)



















