フィールドは世界! 劇場、観客すべての概念を覆すにぎやか集団・快快って!?

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 ダンスをしたり、歌を歌ったり、パーティーを開いたりお化け屋敷をやったり......、快快(ふぁいふぁい)のステージはとにかく多幸感にあふれている。代表作となる『SHIBAHAMA』では、古典落語の「芝浜」をベースに、酒好きな夫と愛情深い妻の人情噺を、新たな解釈で刷新。巨大なスクリーンやガジェットを駆使し、観客を巻き込んだライヴ感あふれる試みで見事なエンターテインメントに仕立て、高い評価を得た。彼らのエンターテインメントは、「踊るあほうに見るあほう同じあほなら踊らにゃソンソン♪」とばかりに観客に迫ってくる。と書いていても、何をやっている集団なのか分からないだろう。快快リーダーの北川陽子さんに、快快とはいったいどんな集団なのか、そしてこれからどこへ向かっていくのか、話をうかがった。 ──まずは快快の成り立ちについて教えてください。 北川陽子(以下、北川) メンバーはみんな美大時代の同級生で、私が「いいな」って思った人をピックアップしたんですよ。セレクトの基準は適当で、オーラがあって、見た目もかわいくて、一緒に遊んでいて楽しそうな人って感じで。そしたら十人くらい集まって、それが今でも続いているという感じです。 ──メンバーを集めてどんなことをやりたいと思っていたんですか? 北川 最初は演劇ですね。今は恥ずかしくて絶対に人には見せられませんが、結構普通の演劇です(笑)。卒業してからのものは、がらっと変わりましたね。 faifai02.jpg ──では、とりあえず劇団と呼べばいいでしょうか? 皆さん普段は何をされているんです か? 北川 そうですね、劇団でいいですよ(笑)。エンターテインメント集団とよく言われますが、意外と真面目に作品を作ってます。メンバーの職業はみんなバラバラです。デザインをやっていたり、出版社に勤めていたり、料理人もいるし、何もしてない子もいますね。外国人もいます。彼女はもともとパパ・タラフマラの研究生で、いろんなヨーロッパの演劇も見た上でうちの芝居が面白かったと言ってくれて。で、そのときに私がちょうど外国人を芝居に出したかったんですよ。それで出演してもらったらすごくよくて、所属することになりました。 ──公演やパフォーマンスをたくさんこなしていると思うんですが、その内容についてはどうやって決めていくんですか? 北川 テーマとスタイルは一貫したものはなくて......。メンバーがそのときいちばん盛り上がっていることをやるんです。それがテーマですね。例えば、震災後、メンバーのみんながものすごく愛に目覚めたんです。そんな感じでみんなの中で高ぶっている気持ちをそのまま公演に入れちゃうんです。ゴールデンウィークに行われた『SHIBAHAMA』の大阪公演では、思いっきり愛に目覚めていました。そんな感じでホットトピックをすごい早さでやるという感じですかね。だから、現代じゃなくて現在美術みたいなものですね。 ──9月には『SHIBAHAMA』のヨーロッパ公演があるんですよね? この芝居は快快の代表作ともいわれていますが、どのような内容なんですか? 北川 ストーリーとしては、落語の「芝浜」のストーリーを分解して3部構成にしました。1部は芝浜を音で再生するというもの。2部は私たちと芝浜の関係をフィールドワークを通して解釈するというもの。みんながそれぞれ街に出てしょうもないことをやってきて、それを実際の芝居に入れ込みました。3部には全部がまとまったひとつの流れもくみつつ、私たちの物語も入ってきます。落語の物語というか、落語という文化についてかなり考えたと思います。こんなに「芝浜」のことをよく考えて、演劇に落とし込むなんて私たちにしかできないんじゃないかと思っています。立川談志さんにもこの作品のDVDを手渡したんですが、見てくれているといいなあ。
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7月に行われた「快快-faifai-のOBAKE
!!!!!!」の様子。
──落語の「芝浜」をやりたいと思った経緯はなんだったんですか? 北川 みんなが知っているお話で、それを分解して芝居を作ろうという話があって。たまたま、「芝浜」でいいんじゃないっていう話になった。「お酒」と「財布」と「芝浜」が出てくるっていうのがすごいしっくりときたんです。 ──快快は芝居を作り上げるのもみんなでやるということでしたが、脚本も結構変更されちゃうんですか? 北川 全然変えますね。面白いものは全部取り入れます。他人の意見万歳です。本当はよくないんでしょうけど、公演中も変えていきますね。「芝浜」では、1部と3部は同じで、2部のフィールドワークがその土地によって毎回変わるという構成なんですよ。ベルリン公演では、スペイン人の友達の家で女体盛りパーティーしたり、「FKK」というすべての快楽が味わえる、いわゆる風俗みたいなところに行ったり、他にも公演を見に来てもらわないと言えないようなことをたくさんしましたね。ほんっとに毎回フィールドワークがひどいんですよ(笑)。 ──快快は、観客参加型の芝居をやったり、定型にとらわれないスタイルの作品が多いですが、芝居を作っていく上で心がけていることとか、これはやりたくないとかいうのはあるんですか? 北川 もちろん観客の人たちが見るだけの芝居もやるんですけど。そういうんじゃなくて、もっとプロレスみたいな感じでお客さんとやり合うような演劇をやってみたかったんですよね。また、芝居を作るスタイルにしても、脚本演出をする、ある才能のあるトップの人がいて、その人のツルの一声で動くという世界が、まあ、一般的じゃないですか。でも、私はそうではなくて、みんなで意見を出し合う「場作り」をしていくというか。劇団の名前を「快快」にしたとき、どこでも人に見せられるものができる集団にしたかったんです。街に溶け込むというか。演劇から離れていたとしても、公園でもクラブでも、どこでも呼ばれたら出ることを意識的にしていました。そういうムーブメント作りですね。東京を自分たちが生きやすい場所にしたかったんです。  それは、「見る、見られる」の関係をもっとフラットにしたかったということがありますね。パーティーをやってみたりとか、でもちょっとやりすぎた感はあるんですけどね(笑)。それが一段落したので、次の作品には集中してぎゅぎゅっと面白いのをやろうかなと思っています。と言いつつ、年末にSHIBAHAMAパーティーをやるつもりだし、ベルリンですごく仲良くなったスペイン人アーティストと「KIMOI(きもい)」というイベントをやろうと計画しているし、結局面白いことはやめられませんね。日本がこんな状況になって、メンバーの海外移住も増えてきました。私たちにはやることがあると思います。世界は広い! はばたけ快快です☆ (取材・文=上條桂子/人物写真=後藤匡人) ●ふぁいふぁい 2008年結成。メンバー10人+サポートメンバーによる東京のパフォーマンスチーム。ステージ、ダンスにとどまらず、常にたのしく新しい場を発信している。10年9月、代表作「My name is I LOVE YOU」がスイスの伝統あるZürcher Theater Spektakelにてアジア人初の最優秀賞、「Winners of the ZKB Patronage Prize 2010」を受賞。 公式サイト<http://faifai.tv/faifai-web/>
落語名人会(42)芝浜 オリジナル。 amazon_associate_logo.jpg
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【TGS2011】日本を元気にする「東京ゲームショウ2011」極美コンパニオンさん一挙大放出!(前)

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カプコンブースでは拡張スライドパッドを装着した
ニンテンドー3DSと美女がお出迎え。
 9月15日~18日に、千葉・幕張メッセで開催されたゲームの祭典「東京ゲームショウ2011」(TGS2011)。日刊サイゾーでは主にゲーム業界の未来を感じさせるような講演・ブースを取材レポートしましたが、もちろんコンパニオンさんも忘れていませんよ。しかも今回は大豊作につき、今日明日の2回にわけて一挙大公開!  日本を元気する美女の艶姿をご覧あれ!
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こちらもカプコンブースから!
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美女尽くしなセガブース。『クロヒョウ』ブースでは
現役キャバ嬢のお姉さんが登場。
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セクシーなクロヒョウガールズの皆さん。
腰のタトゥーが色っぽいです!
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黒髪ロング×セーラー服×日本刀というツボを突きまくりの
組み合わせがたまりません!
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GREEでは健康的な笑顔がとっても
似合うお姉さんが、手とり足とりゲームを紹介!
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太陽のような笑顔がたまらない!
カプコンブースのモンハンお姉さん。
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クルリと巻いた髪がお上品な印象のバンダイ
ナムコブースのコンパニオンさん。
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「軟弱者!」と殴られないかと思いましたが、
快くポーズを決めてくれました。
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なんと森雪も登場! 永遠のヒロインに、
多くのフラッシュがたかれました。
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Mっ気をビシビシ刺激してくるアーミーガールズです。
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こちらも軍服がよく似合っています。
見えそで見えない胸元がセクスィ~!
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金髪ギャルと巫女さんという不思議な
組み合わせのコナミブース。
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きれいなお姉さんが勢ぞろい! 撮影する
こちらの方が緊張しちゃいます。
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背景のボードが気になりますが、
美女の前ではそんなの関係ねぇ!
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思わず胸元の谷間に目がいっちゃう
アークシステムワークスブースのお姉さん。
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アイレムブースではリゾート気分満点の
ギャルが笑顔を振りまいていました。
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ソーシャルゲームスペースでも美女は完備!
腰のラインがダイナマイツ!
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【TGS2011】『アイマス』『メタルギア』各メーカーの人気タイトルがステージイベントを連日開催!

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 メジャーなゲーム制作会社のフラッグシップタイトルは、東京ゲームショウ2011でもビジネスデイか一般公開かを問わず、連日ステージイベントが開かれている。  バンダイナムコゲームスの『アイドルマスター2』は16日から18日までの3回制で、16日の『THE IDOLM@STER TGS SPECIAL EVENT 01 PS3版アイドルマスター2の魅力を全部紹介しちゃいSHOW!』が初めての開催。星井美希役の長谷川明子、萩原雪歩役の浅倉杏美、我那覇響役の沼倉愛美(響のプロフィールに照らし合わせて前説では沖縄弁を大サービス)、そして坂上陽三プロデューサーが登壇して『アイマス2』にグイグイと迫った。   連日開催するイベントの一回目ということで、お題は本編ではなく、初回限定生産版「 『アニメもゲームもグラビアも! アイマス@スペシャルBOX』アニメ生フィルム付き」に同梱されている『グラビアフォーユー! 第1巻』(第2巻以降はアニメ『アイドルマスター』ブルーレイに同梱予定)。海岸で水着の彼女たちを撮影──というグラビア仕立てのシチュエーションで写真を撮り、印刷までできるという。
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 3人が「誰を選ぶの!」と坂上プロデューサーに迫ると、「ケンカになるといけないんで......」とメーンヒロインの天海春香をチョイスする無難な選択。ここからゲームデモンストレーションが始まるが、坂上プロデューサーの操作で「おまかせ」でポーズをつけると、なぜか春香の下半身にカメラが迫るハプニング。なにしろ「おまかせ」なのでこの結果は誰にも予想できず、壇上の全員が慌てふためいた。長谷川、朝倉、沼倉は「ちょwww」という吹き出し文字が見えてきそうな焦りと笑いを漏らし、ステージ上に妙な緊張感が立ち込めてしまう。  デモプレーが終わった後は、今回のテーマ「撮影」に引っ掛けて『グラビアフォーユー! 第1巻』で作成した担当キャラのデータを投影、登壇した3人が代わるがわるその等身大画像と並んでポーズを取り、また自分以外のターンではあれこれと演出指導をして楽しんでいた。実際に写真を撮ると、ステージと反対の方向にある他ブースの絵が背景に映り、キャラクターの肩から悪魔の羽が生えているかのように見える偶然も。  最後は竜宮小町の新曲『七彩ボタン』と、アニメ『アイドルマスター』のOP主題歌『READY!!』を熱唱して幕を閉じた。  コナミデジタルエンタテインメントは「Kojima Productions SPECIAL STAGE」と題して15日からの4日間、『METALGEAR SOLID HD EDITION』や『ZONE OF THE ENDERS HD EDITION』など小島プロダクション作品について小島秀夫監督らがトークを繰り広げている。
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 第1回目の15日はMCを森一丁が担当し、小島秀夫監督と声優、女優の菊地由美が登壇。小島監督は「Ust中継されているので、たいしたことはしゃべれない」と言いつつも、「(予定は1時間だが)第一回目なので1時間半くらいになるかも」とやりたい放題。情報出しは慎重にコントロールをしながらも奔放な口調はいつもの通りだった。    スタッフですら寝耳に水? の情報も飛び出すのが小島トーク。例えば、来年のメタルギア25周年に備えて今年は仕込みの年と表現するが、その年内発売の『METALGEAR SOLID HD EDITION』と『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER HD EDITION』はPS3版とXbox 360版とで同梱付属品に差がついてしまうことから「何かをつけます。考えています」とおそらく唐突に明言。数日のうちに新たな仕様が決まりそうな雲行きである。  内容の大半は前述の2タイトルの製品仕様紹介を中心に、朝のワイドショー風にボードの紙をめくりながらメタルギア史こぼれ話を振り返るものだったが、聴衆が色めき立ったのは『Z.O.E』方面について。  2001年の『ZONE OF THE ENDERS Z.O.E』と03年の『ZONE OF THE ENDERS ANUBIS』をHD化カップリングしたPS3/Xbox 360用ソフト『ZONE OF THE ENDERS HD EDITION』が2012年に発売されることは、前日14日開催のSCEJ Press Conference 2011で発表済みだった。問題はその時期である。  アニメ版『Z.O.E』Blu-ray boxの発売が2012年夏に決まったと発表し、その近辺ではないかと漏らしたことから、ゲーム版『HD EDITION』発売時期もおおよその察しがついたのだ。
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 2011年は『METALGEAR SOLID HD EDITION』と『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER HD EDITION』で『MGS4』よりも前のメタルギアシリーズを振り返る。そして来年は『Z.O.E』で盛り上がり、その先に『MGS2』と『MGS4』を結ぶシリーズ最新作『METALGEAR SOLID RISING』が待つという目論見のようだ。  SCEJが描くPS VitaとPS3クロス構想に積極的に関与しているのも小島プロダクション作品の特徴。『METAL GEAR SOLID PEACE WALKER HD EDITION』のトランスファリング(コナミの携帯機←→据置機相互乗り入れシステム)はPS3とPSPの間で行われるが、『METALGEAR SOLID HD EDITION』はPS Vita版の発売が予定されていることから、PS3とPS Vitaの間でのトランスファリングになると思われる。  この際のデータストレージ手段いかんによっては、PS3とPS Vitaでの同時プレーもありうる。ゲーム機に縛られていたプレー環境が制約から放たれることにもつながるかもしれないのだ。  ステージの最後にはまったく新しいゲームエンジンを使った新作にも言及していた小島監督。これらの具体化に注目したい。 (取材・文・写真=後藤勝) 
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【関連記事】 【TGS2011】基調講演から見えてくるコンシューマゲーム業界の現状 【TGS2011】SCEJ・PlayStation Vitaは国内コンシューマ市場に新しい波を起こすか!? TGSが大胆方向転換! アジアユーザーのための世界最大のイベントをめざす

新婚の杉本彩が! AVデビューの小向美奈子が!『花と蛇』3作品一挙公開!!

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『花と蛇 3』(c)2010東映ビデオ
 今年5月に亡くなったSM文学界における不世出の巨匠・団鬼六。その最高傑作といわれる『花と蛇』は、現在まで8回にわたって映画化されている。中でも21世紀に入ってから公開された3作の『花と蛇』シリーズは、映画界に大きな衝撃を持って受け入れられた。  1、2作目で主演を演じたのは、8月31日に結婚会見を開いた杉本彩。そして3作目の主演は9月9日にAVデビューが発表された小向美奈子。女優2人があまりにも鮮やかな人生のコントラストを描いたこのシリーズが、この秋、スカパー!のPPVチャンネル(パーフェクト チョイス)で一挙放送されている。
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『花と蛇』(c) 2003東映ビデオ
 2004年に公開されたシリーズ1作目の『花と蛇』では、SEXシンボル杉本彩が痛々しいまでの体当たり演技を披露。フルヌードはもちろん、延々と続くSMシーンは「専門の愛好者でも目をそらすほど」(SM雑誌編集者)という壮絶さで、世間の度肝を抜いた。
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『花と蛇2 パリ/静子』(c)2005東映ビデオ
 翌年には再び杉本彩が主演で『花と蛇2  パリ/静子』が公開。もっとも原作に近いと言われた前作から、あらゆる面でエスカレートした2作目。凌辱の限りを尽くされる杉本が、後半「真性のM」に目覚めたかのように快楽に溺れてゆくシーンは圧巻の一言だ。
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『花と蛇3』(c)2010東映ビデオ
 そして昨年、最新作となる『花と蛇3』が、主演に"奇跡のスライム乳"で知られる小向美奈子を迎えて公開された。ハードすぎるこのシリーズに参加することになった小向は「オファーをいただいたときは正直、迷いました」と語っているが、その演技に戸惑いや逡巡は皆無。比類なきボディで表現された"完璧なる恥辱"は、見る者すべてを官能の世界へといざなうはずだ。  今回テレビ初登場となる『花と蛇3』の撮影中、青竹に逆さ吊りにされて亀甲縛りを受ける「地獄吊り」の状態のまま半日放置されたこともあったという小向は、「撮影を通して、考え方が大人になった」と語っている。
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『花と蛇3』(c)2010東映ビデオ
 結婚と、AVデビュー。形は違えど、大きく人生の舵を切った2人の女優の"決断前夜"の艶姿、見過ごすわけにはいかないだろう。 ●団鬼六追悼企画 劇場版「花と蛇」3作品を一挙放送 パーフェクトチョイス 放送期間 9月23日(金)~9月29日(木)

【TGS2011】SCEJ・PlayStation Vitaは国内コンシューマ市場に新しい波を起こすか!?

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うわさのVita、実際どうなの!?
 14日に開催された「SCEJ Press Conference」にて、発売日が12月17日(予約開始が10月15日)、3G通信キャリアがdocomoと発表されたPlayStation Vita。15日から18日まで開催の東京ゲームショウでも注目度は高く、80台以上の試遊機が備えつけられ、SCEJブースの大半を占めている。  取材時には2階特設プレーラウンジで『王と魔王と7人の姫君たち~新・王様物語~』を遊ぶことができたが、まずは基調講演の様子からお伝えしよう。
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SCEJブースの様子
 「みなさんを現実の体験と連動するような、革新的な遊びをぜひ提供していきたい」と吉田修平ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオ プレジデントが言うように、PS VitaはAR(拡張現実)を志向し、感覚的なユーザーインターフェイスを備えている。  15日に行われた基調講演の第2部「PlayStation Vitaの全貌」では、VTRを見ながらの口頭による説明と実機を使ったデモプレーでこれらの機能を提示していった。  5インチの有機EL(エレクトロルミネッセンス。蛍の発光を電気的に再現するロジックで低電力高輝度が特長。バックライトが存在しない)ディスプレイ、前面タッチスクリーン、背面タッチパッド、モーションセンサー(3軸ジャイロセンサー、3軸加速度センサー)を採用し、PSPではアナログパッドだったところに左右ふたつの新しい専用アナログスティックを導入したことで操作性が向上したと、松本吉生ソニー・コンピュータエンタテインメント SVP兼第2事業部長は豪語する。  コンテンツの部分ではFacebook、Twitter、foursquare、Skypeと4つのソーシャルネットワーキングサービスを利用できるが、PS Vitaの軸はやはりゲーム機、純粋に操作機能の面で勝負してきた点が気になる。PSPよりもはるかに向上した画質≒処理速度、インターフェイスの工夫、ネットワーク常時接続によるコミュニケーションツール化と、和田洋一CESA会長が言うコンピューターゲームが進化する際の手順をまっとうに踏んできている印象だ。  FPS『レジスタンス』シリーズの最新作、PS Vita版『レジスタンス バーニングスカイ』のデモプレーを買って出たのは吉田プレジデント。暗闇に浮かぶスクリーンに、スタート画面から順にPS Vitaを操る様子を映し出していく。
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『レジスタンス バーニングスカイ』を紹介する
吉田プレジデント
 起動して最初に現れるのはすべてのゲームに共通の「ライブエリア」。ここではユーザーが必要とする情報が一覧できるという。このデモプレイでは、レジスタンスのオンラインコミュニティサイトに接続するブラウザが立ち上がり、ユーザーのプロフィールが示され、『レジスタンス』シリーズのPSP版を売っているPlayStation Storeのメニュー、トーナメント開催のお知らせ(出場者ロビーへのリンクともなっている)などがあることが確認できた。  ゲームデモンストレーションでは吉田プレジデントが、舞台となっているニューヨークのMAPを駆け抜けていく。プレーヤーは「キメラ」を相手に斧または銃器で戦う消防士だ。  武器は画面右のあるアイコンに触れることで持ち替えることができ、またもうひとつのアイコンをタップすることで手榴弾を投げることもできる。これらを吉田プレジデントは直感的だと評価している。  マシンが魅力的ということになると、後はその操作性を活かしたをゲームデザインができるか否か。  たとえばスーパーファミコンで『スーパーマリオカート』のスタートダッシュが決まったときのような、入力に対する出力結果の感触が生理的に納得でき、つまり「手応えがある」ゲームソフトを生み出せるかどうかが成功の鍵を握るだろう。  ローンチタイトルではないがプレーアブルロムが出展されていた『王と魔王と7人の姫君たち~新・王様物語~』は、一種のシミュレーションRPG。プレーヤーが配下の者に隊列を組ませ、自分と隊を同時に操り、敵を倒す。配下の敵への突撃は、従来のゲーム機のように右側のボタンを押してもよいが、タッチスクリーン上で直接標的となる敵に触ることでも実行できる。そのほうが「直感的」だ。タッチスクリーンの反応については実機の性能、反応速度の調整といった要素が絡んでくる。短い時間のプレーだったのでシビアなところへの言及は避けるが、タッチスクリーンそのもののレスポンスは悪くないように思えた。ある出展社の人間にも尋ねてみたが、おおむね「よい」という評判だった。
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実際に遊んでみた

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背面タッチパッドはこんな感じ
 反応がよすぎると背面タッチパッドに触れることでの誤操作が起きそうな気もするが、それは背面タッチパッドに何を割り振るかというゲームデザイン、反応範囲と速度をどこまでにするかという調整次第だろう。  画質と操作性の点で期待の持てるゲームマシンだ。  基調講演の後半ではARの説明に時間が割かれた。「何もないところに絵が立ち上がる」デジタル手品的な利用法が多いARだが、たいていはターゲッティングとデータ再生のためにARマーカーを必要とする。しかしPS VitaはマーカーレスARという、マーカーを用いないARが可能になるという。先を行っているのだ。
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マーカーレスAR。未来っぽい!
 人々がPS Vitaに慣れ、普遍化し、陳腐化するまでにかかる年月を延ばす仕込みがなされていることは確か。長く使ったときにどういう感想を抱くことになるのか。発売まであと3カ月だ。 (取材・文・写真=後藤勝)
ファミリーコンピュータ 本体 ファミコンやろうぜぇ......。 amazon_associate_logo.jpg
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【TGS2011】基調講演から見えてくるコンシューマゲーム業界の現状

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 東京ゲームショウ 2011(TOKYO GAME SHOW 2011)が9月15日、千葉・幕張メッセで開幕した。4日の会期中、初めの2日間がビジネスデー、後半の2日間が一般公開日となる。初日には以下の基調講演が行われた。 【第1部】「ゲーム産業革命の本質」 和田洋一(一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会会長) 【第2部】「PlayStation Vitaの全貌」 吉田修平(ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイドスタジオ プレジデント) 松本吉生(ソニー・コンピュータエンタテインメント SVP兼第2事業部長) 【第3部】「ソーシャルゲームが巻き起こすパラダイムシフト」 田中良和(グリー 代表取締役社長)  和田会長は、コンピュータゲームの歴史を30分に圧縮。市場の変遷を産業革命にたとえて分かりやすく解説した。一見すると、市場からは数年置きにクラッシックなゲームが退場して常に新しい主役に置き換わっていくようだが、実際は古い世代は地層のように積もり、上部に新しい要素が載っていくというのが和田会長の主張だった。 「一貫して右肩上がりに積み重なっていく。そしてそのときの推進役が評価される」(和田)  コンピュータゲームはあまりに複雑で、その始まりは特別にしつらえた装置、ひとつのソフト専用の筐体が必要だった。つまりゲームセンターのアーケードゲームである。ゲーム機は高価であり、ゲームセンターのオペレーターが購入して1プレーごとに100円玉やクォーター硬貨を回収する課金システムだった(※ゲームソフトの内容と課金システムに密接な関係があることは確かだ。ゲーセンの100円ゲームは数分で終わってしまうアクションゲーム多くなるが、数千円の家庭用ゲームでは何十時間もかけて遊ぶロールプレーイングゲームが繁栄した)。
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和田会長。
 それが、複数のゲームソフトを一台で賄える家庭用の据え置きゲーム機、主に任天堂のファミコンが登場することで、ゲーム機は一般市民が購入可能なものとなる。  PlayStation2が東京ゲームショウに見参したとき、映画『マトリックス』のDVDが展示されていたことを引き合いに出し、和田会長はここからゲーム専用機がハイブリッド機になったと指摘。そして携帯電話でのゲームプレー人口が激増した00年代前半を経て、さらに大きな変化が訪れる。 「2007年が分水嶺でした。すべてのゲーム機がネットワーク対応になったのです。かつ、iPhoneが出た」(和田)  ネットワークに常時接続された汎用機器(ゲーム専用機ではない)がゲームプレーの舞台となったのだ。匠の技で生き延びてきたコンシューマゲーム業界は慌てふためき、グリーやモバゲーが頭角を現した。コンソールで遊ぶコンシューマゲームに限らず携帯電話やスマートフォンで遊ぶソーシャルゲームまで含めれば市場全体は拡大している。そして一見さんが増えた。無料で遊んだ上で、もしアイテムその他の付加価値がほしければお金を払ってくださいというアイテム課金の制度と、ゲーム機の変化、ユーザーの変化は連動している。  この状況の変化にゲーム業界はどう対応すべきなのか。和田会長はゲームの何に重きを置くかが時代とともに変わってきたと言う。ゲーム機の処理能力が上がると次はインターフェイスの卓越さに視点が移り、それすらも特別ではなくなると、今度は誰がどんな経験をしたかというプレーログが重要になり、最後はこの経験のアウトプットを経て再びそれらを踏まえてゲーム機の処理能力開発に力点が移ると和田会長はみている(将棋は碁盤=ハードからルールとシステム、対人戦のおもしろさ、最後は解説・定石・単位取得にコンテンツのポイントが移っていったという)。  コンピュータゲームは最終的にブラウザからクラウドへとフィールドを移しそうだ。 「クラウドとは何か。根本的な革命だと思っています」(和田会長)  スマートフォンとPSPを足してPS3の描画能力を付与したかのようなPS Vitaは、流転するゲーム市場への、コンシューマゲーム業界からのひとつの回答といえるだろう。  携帯できる常時接続のネットワーク機。複数のソーシャルネットワークサービスが利用でき、もちろんゲームもプレーできる。そのゲームはセカイカメラ的なARシステムを採用した拡張現実感のあるものだ。ユーザーインターフェイスにも物珍しい感がある。第2部で行なわれたPS Vitaの講演については別稿で触れるが、この業界が時代に対応してきていることは間違いない。
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グリーの田中社長。
 第3部ではグリーの田中社長が登場。司会の男性がなかなか挑発的で、寄せられた質問から「まだ田中社長が敵なのか味方なのか分かりかねていますが」という声を取り上げるなど、グリーが東京ゲームショウに登場した意味を強調していた。  田中社長に向けられる疑問の目があまりに公然としているので、触れざるを得ないのだろう。コンシューマゲームの敵かもしれないという嫌疑をかけられている田中社長が、「そんなことはない、私はコンシューマゲームが大好きだ」と釈明に追われる部分に、ちょっと多めに時間を割く講演となった。  それは言い訳ではなく本心なのだろう。問題は、ソーシャルゲームでお金を稼ぐときには従来のコンシューマゲームとは違うやり方が出現するということだ。  例えばシステム開発に労力を費やすよりはいかにお金を使わせるための使途を考え出すかということもそうだし、徹底的にデバッグと内容の検討を繰り返してからリリースするのではなく、とりあえず一度リリースしてからネット上の反応をうかがって即座に内容を変更するということもそうだ。  裾野を広げるグリーと、技術開発を究めてトップを牽引するコンシューマ業界。コンシューマゲームを遊ばずにグリーだけを遊ぶユーザーがわざわざ幕張までやってくるかどうかも含め、ふたつの価値観が呉越同舟となる今回の東京ゲームショウ、見えてくる風景は例年とは少し異なる点があるのかもしれない。 (取材・文・写真=後藤 勝)
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最新のVFX技術を駆使した映像は圧巻!『世界侵略:ロサンゼルス決戦』

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 今週は、大迫力のアクションと新鮮な視覚体験を味わえる話題の娯楽映画2本を紹介したい。  まず1本目のオススメは、9月17日公開の『世界侵略:ロサンゼルス決戦』。1942年、米ロサンゼルス上空に未確認飛行物体の編隊が出現し、米軍が応戦する騒動が起きて以降、世界各国で同様のUFOの目撃情報が相次いでいた。2011年、ついに宇宙からの地球侵略が始まり、各国の主要都市が壊滅。人類最後の砦となったロサンゼルスを舞台に、米海兵隊員たちがエイリアンの攻撃に立ち向かう。  エイリアンの地球侵略というSFの定番の設定を、戦争アクション映画のタッチで描いた意欲作。エイリアンやUFOなど侵略側は当然架空の存在だが、これに応戦する米軍側は兵力も戦術もあくまでリアリズムに徹して描写されており、軍事オタクなら見逃せない貴重な映像が目白押し。『テキサス・チェーンソー ビギニング』(06)で知られる気鋭のジョナサン・リーベスマン監督は、『プライベート・ライアン』(98)や『ブラックホーク・ダウン』(02)などの名作戦争映画を本作の参考にしたという。圧倒的に不利な戦況の中、不屈の精神で小隊を率いる主人公の軍曹を、『ダークナイト』(08)のアーロン・エッカートが熱演。白昼の市街に描かれるUFOやエイリアンの恐ろしいほどリアルな実在感、ロサンゼルスの街並みが攻撃を受けてガレキと化す場面など、最新のVFX技術を駆使した映像が圧巻の本作、ぜひ映画館の大スクリーンで体感していただきたい。  2本目の『サンクタム』(9月16日公開、3D上映のみ)は、『アバター』(09)のジェームズ・キャメロンが製作総指揮を務めたアクションアドベンチャー。南太平洋パプアニューギニアにある孤島で"聖域(サンクタム)"と呼ばれる秘境には、迷宮のような洞窟と地底の湖が広がっている。この洞窟を探検していたダイバーたちは、巨大サイクロンに遭遇し、鉄砲水に襲われる。チームで一丸となり、洞くつからの脱出を試みるが......。  キャメロンとダイビング仲間の脚本家アンドリュー・ワイトが、洞窟探検中に崩落事故で閉じ込められた実体験をもとに執筆。「キャメロン製作による3D映画の監督」という大役に、オーストラリア出身のアリスター・グリアソン監督が抜擢され、手に汗握るサバイバル・アドベンチャーでハリウッドデビューを果たした。『ムーラン・ルージュ』(01)のリチャード・ロクスバーグ、『ファンタスティック・フォー』(05)のヨアン・グリフィスといった実力派俳優陣が、スキューバやロッククライミングを含む過酷な撮影に臨み、極限状況下で浮き彫りになる人間ドラマを演じ切った。『アバター』用に開発された3Dカメラも使われた本作は、臨場感あふれる3D映像の中でも、水中での冒険やアクションを描くシーンが特に素晴らしく、今後キャメロンが手がける3D映画のさらなる進化を期待させる内容となっている。 (文=映画.com編集スタッフ・高森郁哉) 『世界侵略:ロサンゼルス決戦』作品情報 <http://eiga.com/movie/55276/> 『サンクタム』作品情報 <http://eiga.com/movie/55949/>
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黒坂圭太『緑子/MIDORI-KO』×山村浩二『マイブリッジの糸』 公開記念対談(後編)

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黒坂圭太監督(左)と山村浩二監督(右)
前編はこちらから ■タルコフスキーの『ストーカー』 黒坂 TSUTAYA渋谷店のPFF(ぴあフィルムフェスティバル)ブースで、8月から10月まで、山村さんと僕のおすすめが10本ずつ紹介されることになったんですよね。山村さんの方が先に原稿を入れていたので、タイトルがかぶると良くないかなと思ってPFFの担当者にうかがったら、ものの見事にかぶっていませんと。ただ1本だけ二人とも押している映画があって、それがタルコフスキーの『ストーカー』だったんです。 山村 そうなんですか。僕の普段のベストならカール・ドライヤーや小津、加藤泰、ムルナウなんかが入ってくるんですが、今回は一般の人に向けてなので、"映画のうそに魅せられて"というサブタイトルをつけて映画の虚構性に自覚的な作品を選んだんです。『プレイタイム』(ジャック・タチ)と、ブニュエルの『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』、本当はブニュエルなら『皆殺しの天使』を入れたかったんですがレンタルになかったので。それから『アメリカの友人』(ヴィム・ヴェンダース)とオーソン・ウェルズの『フェイク』、鈴木清順の『ツィゴイネルワイゼン』、タルコフスキーが入って、カレル・ゼーマンの『盗まれた飛行船』、『カメレオンマン』(ウディ・アレン)、『シェルブールの雨傘』(ジャック・ドゥミ)、それからフェリー二の『8 1/2』(はっかにぶんのいち)です。黒坂さんは他には何を入れたんですか? 黒坂 ヤン・シュヴァンクマイエルの『オテサーネク』、塚本晋也の『東京フィスト』、近藤喜文の『耳をすませば』、パトリック・ボカノウスキーの『天使』、デヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』、そして『ストーカー』に、松本俊夫の『修羅』、それにセシル・B・デミルの『十戒』、ロナルド・ニームの『クリスマスキャロル』、最後は映画初体験として大映の『大魔神』(安田公義)ですね。特に『ストーカー』は本当に素晴らしい作品なのに意外と若い人たちが見てないので再び注目してほしいという願いを込めて選びました。 山村 『ストーカー』は実は迷ったんですよ。タルコフスキーの中で好きなのは、もうちょっと古い『アンドレイ・ルブリョフ』のあたりなんですけど、いろんなものを映し込もうとしてるのに、そこには映り込まない何かが漂っていて、気が周りに満ちているような映画だなというところで選びました。タルコフスキーの中でも、役者の表情の撮り方に惹き付けられた映画です。個人的な思い出話ですが、エストニアに行った時、マッティ・キュットというアニメーターがロケ地を案内してくれたんですよ。彼がストーカーになって(笑)、廃工場は進入禁止なんですが、そうっと入り込んで、これはストーカー体験を追体験している! って喜んだ思い出があります。
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『緑子/MIDORI-KO』より
黒坂 僕は『ストーカー』はベスト1にしてもいいくらいです。劇映画の形式でここまで風景に、例えば水や火や土といったものに、命が吹き込まれたような映画は初めてで、まさに風景こそが主役と思ったんです。人間は「風景の視線」から観察の対象として描かれている。アニメーションという言葉の語源がアニミズム、つまり命を吹き込む意味だとすると、コマ撮りしているかどうかに関係なく、これこそ究極のアニメーションではないかと。そういう見方をすれば、この映画は"キャラクター"が本当に豊かで、ほとばしる水しぶきとか、水たまりの中に沈んでいるイコンのレプリカみたいなやつとか、壊れた注射器とか、そんなものたちがやたらとおちゃめで愛らしく感じられるんですね。 ■先生と呼ばれたくない 黒坂 山村さんは非常に勤勉で、毎日起きる時間が決まっていて、1日の仕事量も決めてピタっと終わらせるそうですが。あまりに自分と対照的なので、どうやったらモチベーションが持続できるかお聞きしたいです。 山村 多分、締め切りを破る度胸がないんだと思います(笑)。アニメーションって、あとで焦っても取り返しがつかないじゃないですか。それを経験上よく分かっていますし、そのためには日々、積み重ねてゆくしかない。やっぱりクオリティーを上げるために、1枚でもいい絵を多く描かなきゃっていう思いはあって、コツコツやるしかないなと。黒坂さんは、やっぱり夜型ですか?  黒坂 乗ってくると朝も夜もぶっ続けで、トイレの中でもどこでもやっちゃうし、逆にテンションが低いと、ギリギリまで手を付けないタイプなので、本当にお恥ずかしい限りです(笑)。山村さんは、ホームページもご自身で運営されているんですよね? 山村 はい、全部自分でやってます。アニメーションズのホームページもやってますしアニメーションズ・フェステバルの公式ホームページも僕が作ってます。マメなんです!(笑) 黒坂 大学教授の仕事と、ご自分のプロダクションの社長業もやっていらして、よく制作する時間があるなと本当に感心します。僕も教職と作品づくりで二足のわらじなんですけれど、悲しいことに事務処理能力がゼロに近いんです。
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『マイブリッジの糸』より
(c)National Film Board of Canada /
NHK / Polygon Pictures
山村 絵を描いている人はそれが普通ですよ。だから絵を描くんですよね。僕の方が変わってるんだと思います。資金繰りなどいろいろ苦労した時期はもちろんありましたが、あくまで現場で作っている人間でいることをポリシーにしています。作家であることが一番のスタンスだし、大学で教えていますけど、先生と呼ばれたくないんです。勤勉に朝起きるのも、社会的な仕事をきっちりこなしながら、絵を描く時間をどう確保するかを常に考えて必死でやっているからです。 黒坂 「先生と呼ばれたくない」というのは、とても共感します。僕は"後進の育成"という言い方が大嫌いなんですよ(笑)。それって、もう自分自身が進むことは放棄して偉そうにアグラかいてる人みたいじゃないですか。もし僕が生徒の立場で、そういう人から"育成"されたら凄く嫌だなーと思うので(笑)。今回TSUTAYAのPFFブースでおすすめ映画の一本に入れた『東京フィスト』は、崖っぷちに立っているボクサーが、草食系へなちょこサラリーマンをパワフルに鍛え上げてから、最後にそいつをボコボコにすることで自分のアイデンティティを再確認するという話なんです。モノ創りの現場で教えている以上は、いつも生徒相手に本気で闘争心を燃やせるような緊張関係がないと、つまらないですよね。 山村 僕も逆にライバルを作るつもりで教えています。自分を打ちのめすような人が出てきてくれないと、面白くないですから。それに負けじと自分も進んでいけますからね。 (取材=鎌田英嗣、写真=駒井憲嗣) ●くろさか・けいた 1985年『変形作品第2番』がPFF入選。『海の唄』『みみず物語』『個人都市』などの短編映画を次々と発表。手がけた作品は数多くの映画祭や美術館で上映されている。代表作のMTVステーションID『パパが飛んだ朝』(1997)は、アヌシー、オタワの二大アニメ映画祭をはじめ数々の国際賞に輝き、世界中で放映された。一方、Dir en greyのPV『Agitated Screams of Maggots』(2006)は、あまりの背徳的過激さから賛否両論を巻き起こし、テレビやDVDで修正を余儀なくされた。近年では即興アニメとペインティングによるライブ・パフォーマンスも行っている。武蔵野美術大学 映像学科教授。 『緑子/MIDORI-KO』 20XX年、東京。謎の光によって生み落とされたヒトとヘチマの合体生物"MIDORI-KO"は意志を持ち喰われることを恐れ逃げ出した。よってたかって"MIDORI-KO"を襲う人間たち、逃げ惑う"MIDORI-KO"。欲望丸出しの滑稽で奇妙な争奪戦の果てに訪れる世界とは? 繊細な線と線の戯れ。色と色が折り重なる独特の美しさとグロテスクさ。色鉛筆一本で描かれた幻想的で摩訶不思議な世界観は、ユーリ・ノルシュテイン、ウィリアム・ケントリッジなど緻密で繊細な描写で知られる世界のドローイングアニメーションの巨匠たちに匹敵する画力と構成力を持つ。エンディングに流れる曲は芥川賞作家・川上未映子のオリジナル曲『麒麟児の世界』。 9月24日(土)より、渋谷アップリンクXはじめ、全国順次公開。 映画公式サイト<http://www.midori-ko.com//>  ●やまむら・こうじ 1964年生まれ。東京造形大学卒業。90年代『カロとピヨブプト』『パクシ』など子どものためのアニメーションを多彩な技法で制作。02年『頭山』がアヌシー、ザグレブをはじめ世界の主要なアニメーション映画祭で6つのグランプリを受賞。これまで国際的な受賞は60を超える。10年文化庁・文化交流使としてカナダで活動。11年カナダ国立映画制作庁との共同制作で『マイブリッジの糸』が完成。『くだものだもの』『おやおや、おやさい』(共に福音館書店)など絵本画家、イラストレーターとしても活躍。DVD作品集は日本、フランス、北米で発売されている。東京藝術大学大学院映像研究科教授。 『マイブリッジの糸』 時間を止めることはできるだろうか? 時間を反転することは? 映画の発明に大きなインスピレーションを与えた 写真家エドワード・マイブリッジと、母と娘のもうひとつの物語が、時空を超えて織りなす映像詩。カリフォルニアと東京、19世紀と21世紀を往き交いながら、マイブリッジの波乱に満ちた人生に焦点を当て、一方では母親のシュールな白日夢を紡いでいる――それは、人生の過ぎ去る一瞬をとらえたい、幸福の瞬間を凍結したいという、人間の飽くなき欲望を探る、私的な対位法である。サウンドデザインの巨匠、ノルマン・ロジェにより音の世界に彩られ、J.S.バッハ作の透明な音色の上に浮遊する「瞬間」と「永遠」を体感させてくれる。 9月17日(土)より、東京都写真美術館にて3週間限定公開。 映画公式サイト<http://www.muybridges-strings.com/>
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黒坂圭太『緑子/MIDORI-KO』×山村浩二『マイブリッジの糸』 公開記念対談(前編)

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黒坂圭太監督(左)と山村浩二監督(右)
 日本のインディペンデント・アニメーション・シーンを代表する二人の作家の新作が、奇しくも今月相次いで公開される。  黒坂圭太監督による初の長編アニメ『緑子/MIDORI-KO』は、13年の歳月をかけて3万枚を超える原画をひとりで描き上げた驚異の作品。かたや日本人としては初めてカナダ国立映画制作庁(NFB)との企画で誕生した、山村浩二監督の短編アニメ『マイブリッジの糸』。  作品のタイプはかなり異なるが、どちらもオリジナリティーあふれる渾身の傑作だ。かねてより親交のある二人が、お互いの仕事についてじっくりと語り合った。 ■二人の出会い 山村浩二監督(以下、山村) 黒坂さんとのお付き合いは、僕がまだ学生上がりの頃、「アニメーション80」(1980年に東京造形大学、武蔵野美術大学の学生を中心に結成された、個人映像作家による制作及び上映を目的としたサークル)からですから、26年くらい? 黒坂圭太監督(以下、黒坂) もう四半世紀以上はたっているんですね。 山村 その頃が一番頻繁にお会いしていたような気がします。月一くらいで会合があったり上映があったりして。黒坂さんは僕の先輩ですから、先にイメージフォーラムで作品を発表するなど活躍されていて、僕はまだ新人の若造で、隅っこの方で......。 黒坂 ただ、制作年代でいうと山村さんの処女作の方が古いんですよね。僕は『変形作品第1番』が84年ですから。 山村 僕はアニメーション80に参加したのは85年からでした。それに一応中学・高校から作品は作っていましたが、今でも人様に見せられるような作品だとすると卒業制作の『水棲』が1987年なのでやはり4〜5年は黒坂さんの方が早いです。 黒坂 そういう意味では、僕も人様に見せられるのは『海の唄』(88)以降だから。 山村 そんなこと言ったら僕も『頭山』(02)以降になっちゃいますよ(笑)。 ■『マイブリッジの糸』の緻密な構造 黒坂 『マイブリッジの糸』というタイトルから、マイブリッジの写真を主軸にしたコンセプチュアルな映画を想像してたんです。だいぶ昔の山村さんの作品ですが『遠近法の箱』(90)など、どちらかと言えば視覚的な、映像自体のメカニズムに根ざした作品群の系譜に来るものなのかなと。それがマイブリッジという人物そのものにスポットを当てた作品と聞いて、今までの山村作品とは違う、いわゆる人間ドラマになるのかとすごく興味がありました。 山村 実は『年をとった鰐』(05)で、初めて恋愛映画を撮ったつもりだったんですけど、確かに鰐なので人間ドラマではないですね(笑)。
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『マイブリッジの糸』より 
(c)National Film Board of Canada /
NHK / Polygon Pictures
黒坂 海外の短編アニメーション映画を見ていると、大変失礼ながら、いわゆる"名作"と呼ばれている巨匠の作品にも、物語が陳腐なもの、あるいは逆にストーリーが複雑すぎて映像的に弱くなっているものが結構あると思うのです。ところが『マイブリッジの糸』は、13分で読み解くのが困難な、ある意味とても難解な物語なのに、イマジネーションに満ちた映像の魅力にしっかり支えられ、それがまったく苦になりません。もともとアニメ作家は絵を描きたいわけだから、とかく手法が先行しがちになりますが、この作品は絵とストーリーが綿密なフーガになっている印象を受けました。バッハのように、あるところでは絵が主旋律となり、またあるところではそれが逆転し、融合したり衝突したりしながらひとつの"うねり"を形成している。作品そのものが音楽の構造に近いですね。かつてここまで緻密な結構を持ったアニメーションはなかったんじゃないでしょうか。 山村 いやあ、ありがとうございます! 今回はバッハの『蟹のカノン』を、このタイミングでこう使うという構成をかなり厳密に事前に決めていたんです。それで仮の効果音と、音楽もピアノだけの仮バージョンを入れた状態で編集を決め込んで、それからミュージシャンを誰にしようと考えました。カナダには優秀なサウンドデザイナーやプロデュサーが大勢いるのですが、以前から面識があって、いつか一緒にお仕事をしたいと思っていた巨匠ノルマン・ロジェさんにお願いしました。 ■短編のはずだった『緑子/MIDORI-KO』 山村 『緑子/MIDORI-KO』の出発点は何だったのですか? 黒坂 実は、元々は自主企画ではなく、環境汚染問題を扱った15分くらいのキャンペーン映像だったんです。当初は、もっとファンタジーっぽくて勧善懲悪のストーリーでした。 山村 黒坂さんの作品の中では異質な感じがしたので、その経緯を聞いて納得しました。オーダーされていながらも、その葛藤から自分で作っていくうちに、こういうものが出て来たんですね。絵のうまさだけで見ていられると言うと失礼なんですけど、一瞬一瞬が印象派の作家の絵を見ている気分になるというか、ドガのデッサンみたいな力強さに圧倒されました。『緑子/MIDORI-KO』は内容的には一種のスカトロジーだと僕は思ってるんですが(笑)、アブノーマルなキャラクター設定やストーリー展開が、逆にすごくポップだと思ったんですね。それまでのアンダーグラウンド色の強かった黒坂作品の中でも、『みみず物語』(98)や『海の唄』に共通するものはあるのですが、ポップさという点では、真逆の方向に弾けたという印象を受けました。
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『緑子/MIDORI-KO』より
黒坂 注文仕事って、意外と自分の回路にない部分に歩み寄ることになって、広がりが出るという意味ではいいですね。でも結局、普通の作品展開にはならなくて、どんどんいつも通りになっちゃって、自主企画に近い状態になったのです。決定的なのは、ちょうどこの作品に着手した時期に子どもが生まれたことですね。うちでは赤ん坊をロシアの子どもみたいに布で簀巻きに巻いてあやしていたんですが、それがそのままMIDORI-KOの造形になっているんです。 ■アート・アニメーションの世界 黒坂 僕はMTVの『ATAMA』(94)を作って初めて"アート・アニメーション"というジャンルを認識したんですよ。 山村 そもそもアート・アニメーションというジャンルがあるのかという疑問もありますが。 黒坂 確かに(笑)。ストーリーやキャラクターはあるけれど、いわゆるセル画タッチと違う"絵画テイストのアニメ"とでも呼んだら良いのか...もともと僕は、そういった作品群に全く興味がなく、ユーリ・ノルシュテインもフレデリック・バックも名前しか知らず、バックの最新作『大いなる河の流れ』を94年の広島国際アニメーションフェスティバルで初めて見たんです。「こういう世界があったんだ!」と、目からウロコ状態でした。それまでは主に分解写真を再撮影する手法で作品作りをしていましたが、そろそろマンネリ気味でモチベーションが落ちてきており、「動画を描いてコマ撮りする」というスタンダードなアニメ制作が逆に新鮮だったんです。そんな中で出てきたのが、不思議の国のアリスのみたいなかわいらしい女の子とグロテスクな生物が、晴れた日にラウンジで一緒にお茶を飲みながら世間話をしているようなイメージでした。『緑子/MIDORI-KO』の発端とも言えるイメージで、94年に描いたスケッチが残っています。 山村 黒坂さんは絶対楽しんで作っているなと感じます。その純粋さが、ある意味、本当の自主制作だと思います。余計なタガがはまっていないというか、だからこそ長編として完成したというのは本当にレアなケースだなという気がしますね。 黒坂 海外では、こういうことをやっているアニメーターは多いのですか? 山村 海外でも長編に挑戦するインディペンデントの作家が増えてきていて、ひとつのトレンドかなと思います。フィル・ムロイというイギリスの作家は、リミテッド(※動きを簡略化しセル画の枚数を減らすアニメ手法)ですが、長編をすでに3〜4本作っていて、暴力やSEXの問題を提起しています。彼の場合はシナリオ重視で、絵を描くのが非常に早くて、ミニマル・ミュージックのように数枚の口パクだけで長編を作ってしまう。彼と、その先駆けのビル・クリンプトンは、デッサンのタイプとしては黒坂さんにちょっと近いかもしれません。クリンプトンは昔から長編を手がけていますが、すごくドローイングが達者で、独自のデフォルメというかキャラクターを作って、グロテスクな表現が多い。今までは長編=商業ベースという見えない束縛がありましたけど、自主制作で長編もありだっていうひとつの形が見えてきたのかもしれません。まあ、シュヴァンクマイエルなんかも典型的にそうなんですけれどね。 (後編へ続く/取材=鎌田英嗣、写真=駒井憲嗣) ●くろさか・けいた 1985年『変形作品第2番』がPFF入選。『海の唄』『みみず物語』『個人都市』などの短編映画を次々と発表。手がけた作品は数多くの映画祭や美術館で上映されている。代表作のMTVステーションID『パパが飛んだ朝』(1997)は、アヌシー、オタワの二大アニメ映画祭をはじめ数々の国際賞に輝き、世界中で放映された。一方、Dir en greyのPV『Agitated Screams of Maggots』(2006)は、あまりの背徳的過激さから賛否両論を巻き起こし、テレビやDVDで修正を余儀なくされた。近年では即興アニメとペインティングによるライブ・パフォーマンスも行っている。武蔵野美術大学 映像学科教授。 『緑子/MIDORI-KO』 20XX年、東京。謎の光によって生み落とされたヒトとヘチマの合体生物"MIDORI-KO"は意志を持ち喰われることを恐れ逃げ出した。よってたかって"MIDORI-KO"を襲う人間たち、逃げ惑う"MIDORI-KO"。欲望丸出しの滑稽で奇妙な争奪戦の果てに訪れる世界とは? 繊細な線と線の戯れ。色と色が折り重なる独特の美しさとグロテスクさ。色鉛筆一本で描かれた幻想的で摩訶不思議な世界観は、ユーリ・ノルシュテイン、ウィリアム・ケントリッジなど緻密で繊細な描写で知られる世界のドローイングアニメーションの巨匠たちに匹敵する画力と構成力を持つ。エンディングに流れる曲は芥川賞作家・川上未映子のオリジナル曲『麒麟児の世界』。 9月24日(土)より、渋谷アップリンクXはじめ、全国順次公開。 映画公式サイト<http://www.midori-ko.com//>  ●やまむら・こうじ 1964年生まれ。東京造形大学卒業。90年代『カロとピヨブプト』『パクシ』など子どものためのアニメーションを多彩な技法で制作。02年『頭山』がアヌシー、ザグレブをはじめ世界の主要なアニメーション映画祭で6つのグランプリを受賞。これまで国際的な受賞は60を超える。10年文化庁・文化交流使としてカナダで活動。11年カナダ国立映画制作庁との共同制作で『マイブリッジの糸』が完成。『くだものだもの』『おやおや、おやさい』(共に福音館書店)など絵本画家、イラストレーターとしても活躍。DVD作品集は日本、フランス、北米で発売されている。東京藝術大学大学院映像研究科教授。 『マイブリッジの糸』 時間を止めることはできるだろうか? 時間を反転することは? 映画の発明に大きなインスピレーションを与えた 写真家エドワード・マイブリッジと、母と娘のもうひとつの物語が、時空を超えて織りなす映像詩。カリフォルニアと東京、19世紀と21世紀を往き交いながら、マイブリッジの波乱に満ちた人生に焦点を当て、一方では母親のシュールな白日夢を紡いでいる――それは、人生の過ぎ去る一瞬をとらえたい、幸福の瞬間を凍結したいという、人間の飽くなき欲望を探る、私的な対位法である。サウンドデザインの巨匠、ノルマン・ロジェにより音の世界に彩られ、J.S.バッハ作の透明な音色の上に浮遊する「瞬間」と「永遠」を体感させてくれる。 9月17日(土)より、東京都写真美術館にて3週間限定公開。 映画公式サイト<http://www.muybridges-strings.com/>
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多忙を極める磯光雄監督も登壇!『電脳コイル』夏期特別授業開講

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 9月9日、新宿バルト9で「電脳コイル Blu-ray Box 発売記念『電脳コイル探偵団集まれ!"夏期特別授業"開講!』」が開催された。  2007年文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞のほか、日本SF大賞、星雲賞メディア部門など幾多の賞を総ナメにした不朽の名作『電脳コイル』を、1時間のトークショーと2時間のBlu-ray版上映でたっぷりと味わおうという、かなり濃厚かつ素朴なイベントである。トークショーに登壇したゲストは磯光雄(監督)、泉津井陽一(撮影監督)、野村和也(絵コンテ・演出)というそうそうたる顔ぶれ。泉津井はジブリ作品の魅力を支えるスタジオ・ジブリCG部に所属し、野村は監督作品第2弾も決定と、活躍の場を広げており、磯監督も冗談交じりに惜しみない賞賛を述べるほどの出世ぶりだ。  肝心の Blu-ray Boxは11月25日の発売(※限定版の受注締切は10月11日正午)に向けてリテーク、リマスター作業が大詰めの段階。磯監督は徹夜でリテーク作業の後25、26話のコメンタリーを収録、そのままタクシーで会場に急行したということでかなりお疲れの様子だった。それでも満席のファンを前にサービス精神は旺盛で、冒頭、リテーク箇所についての解説を始める。 「本当はこっそり空いている穴をふさぐ作業なのであまり言いたくないのですが、20話、既に雑誌に出ているひげ増量(12話「ダイチ、発毛す」)と似たような増量系で、9話(「あっちのミチコさん」)のアイコの絵が設定と違っていた部分を直したりしました」 coil02.jpg  自身が描き下ろした限定版ボックスのパッケージイラストについては「こういうDVDやBlu-rayのイラストを描くのは初めてなので描き終わるまで気付かなかったのですが、ものすごくキャラクターのサイズが小さい......。顔やバストのアップじゃないと、Amazonなどに貼られるとまったく絵が分らない。ヤサコ(小此木優子、主人公)の等身が高いことにも終わってから気が付きました」と反省。それでも、細部に至る凝りよう、本気度がいかにも『電脳コイル』らしい。  Blu-ray化にあたってひとつ問題となったのは、5年前の作品なのでデータの行方が分からない、ということだった。 「昔のデータを引っ張り出してきてテクニカルな撮影ミスを直したり、監督のオーダーを反映する作業なのですが、まず元のデータがどこにあるか分からない。撮影用のデータはそれに付随するセル、背景、CGの素材が全部バラバラなので、探してリンクをつなげて読み込む作業をしないといけない」(泉津井)  なにやら電脳世界に迷い込んだ作中のキャラクターを救う手順のような話になってきたが、問題点はそれだけではない。 「ソフトウェアのヴァージョンが上がっちゃってるんですね、当時と比べると。その当時に設定したものを今のヴァージョンで開くとうまく反映しないので、一つひとつを探し出してプラグインをかけなおしたり、設定を全部やり直したり」(泉津井)  膨大な素材から「どれに何をしたか」を探すだけで非常に手間と時間がかかる。磯監督も『電脳コイル』内の世界観、設定に喩えて「素材が一部だけ壊れていたり、こちらの操作がおかしいのか素材がおかしいのか分からないことも多く、まるで"古い空間"をさまよっているようでした」とその労苦を漏らすほどだった。まさに作品の因果が子に報い。  素材がなければ描いてしまった方が早いと、磯監督が新規に描いたものもあるが、これはテレビシリーズ制作当時も同様だった。『電脳コイル』後半の作業部屋は、ちょうど登壇した3人がすぐ傍にいる配置になっており、泉津井の要望に応じて磯監督や野村が即座に足りない絵を補える環境にあった。普通は1~2日空くところ、30分で望みのカットが上がってきたという。 coilbd.jpg 「夜明けの朝日を浴びてコンテ作業を終え、ようやく帰れると思ったら、磯さんがそこで『じゃあ、直すか』と言い出す。二人三脚でやったことはいい経験になりました」(野村) 「僕らは"コイル部屋"と呼んでいたんですけど、途中で僕の席の後ろに磯さんがいて、通路があって隣に野村さんがいて挟まれるような感じ。すぐ話ができるのはよかったんですけど、ただ、あるときから磯さんが僕の使っているパソコンに"モニターのケーブル"をつなげと言い出して。僕がやっている作業をモニターで監視しようという。"あと3ミリ右"と後ろから指示が飛んで来る(笑)」(泉津井)  15話から絵コンテで参加した野村。磯監督から寄せられた注文は「俯瞰で引いたアングルは避けてほしい」ということだった。 「物事を引いて絵をとらえていると最初に指摘されて。この作品ではキャラクターに寄せて、キャラクターの感情をもっと画面に映り込むようにしてほしいと注文されたんです。それが、寄りや引きを意識するきっかけになりました。それに『電脳コイル』の特別な仕様だと思うんですが、俯瞰の絵をなるべく使わない。これは磯さんにきつく言われていて。なるべく子ども目線で物事をとらえてくれと。その2点は最後の最後まで意識してやっていました」  そうした集中力が作品の迫力につながったのは間違いない。この後さらにトークショーは続き、プレゼント抽選を経た後、全話を通した「おさらい講座」のほか、1話、12話、20話、最終26話が上映された。大スクリーンで鑑賞できる滅多にない機会とあって、集まったファンは食い入るように見つめていたが、終了後は拍手が起きるほどだった。  なお1話はBlu-rayにも収録されないスペシャル版。古い空間に迷い込んだデンスケを電脳ペットのオヤジが救うBパートが出色の回だが、オリジナル版ではオヤジは言葉をほとんどしゃべっていない。ここに目をつけ、スペシャル版ではここだけのサービスとして、ボーカロイドで声をアテてしまったのである。  「シモベイウナコラ」「ホナヨロシュウ」「(ヤサコに向かい)メンコイナァ」「ラジャー」「クンカクンカ」「ナンカヨウカ」「マダナンモミツカラヘンデ オモッタヨリヒロイワココ」「フヘェー オタスケー」と、かわいい人語を連発、狙い通りにウケていた。オンエア時よりも大幅に増量した12話のヒゲにも大爆笑が起きていたことはいうまでもない。  すべての上映を終えた後は「スペシャルキャスト オヤジ:リング・スズネ」のクレジットが。盛りだくさんな夜だった。 (取材・文=後藤勝)
電脳コイル Blu-ray Disc Box 11月25日発売。 amazon_associate_logo.jpg
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