中国で最近、「ホテル試睡員」というアルバイトが話題になっている。なんでも「ホテルに泊まるだけで月収数万元(数十万円)」というから、かなりオイシイ話に聞こえるが……。 「京華時報」の記事に登場した付夢晨さんは26歳の女性。彼女はネットショッピングサイトに自分の店を持ち、“兼業”としてホテル試睡員をやり始めて4年になるという。 「ホテル試睡員になるには、敏感なカラダが必要なのよ」と付さんは言う。 ホテルのフロントでチェックインを済ませた付さんは、エレベーターに乗り込んで11階のボタンを押すなり時間を計り始めた。エレベーターが11階に着くまでの時間を計っているのだ。11階の廊下では、部屋の声が外に漏れてこないか耳を澄ませる。そして部屋に入ると、掃除は行き届いているか、クローゼットの中は整っているか、バスルームのアメニティグッズはそろっているか、タオルは清潔か、お湯が出てくるまでには何秒かかるかなど、さまざまなチェックを行っていく。「お湯は10秒以内に出てくれば合格。3秒がベスト。冬場は寒くて、服を脱いでから、そんなに長く我慢できないから」と付さんは言う。 一番重要なのがベッド。枕は何種類あるか、柔らかさはちょうどいいか、サイドテーブルの高さはベッドより低いか(ベッドより高いと、寝返りを打った時に頭をぶつける可能性がある)、ベッドの寝心地はどうか、シーツの肌触りはどうか、実際に寝そべって体感していく。 実際には、ホテルに予約を入れる段階からチェックは始まっている。予約は入れやすいか。ホテルまでの交通は? ホテルの周りの環境は? チェックイン・チェックアウトにかかる時間は? などなど。 翌日、チェックアウトを終えるとレポートを書き、インターネットの旅行予約サイトに写真とともに送る。これがホテル試睡員としての仕事である。つまり“敏感なカラダ”とは、ホテル内の状態を五感で感じることのできる鋭い感覚のことを指すようだ。レポートはサイトに掲載され、ユーザーがホテルを予約する際の参考となっている。 それにしても、たったこれだけで本当に1カ月に数万元も稼げるのだろうか?ネットで話題の美人試睡員。
実は、付さんがこれで得られるのは現金ではなく、旅行予約サイトのポイント。このポイントは、同サイト上で予約するホテル宿泊費用や日用品購入に使うことができるのだ。 では“月収数万元”というのは単なる都市伝説だったのかというと、あながちそうともいえない。2009年、ホテル市場を発展させるために大手旅行予約サイト「去★児(★は口へんに那/チューナー)」が、6名の“月収数万元の常勤試睡員”を募集していたのだ。 ところが、あまりにも応募が殺到したため、翌年中止に。常勤という形態を取りやめ、付さんのような社外モニター制度に移行した。現在、同サイトには兼業の試睡員が4,700人以上もおり、“月収数万元”という話だけが伝説として残ってきたというのが真相のようだ。 2月半ばには、このほかにもいくつかのニュースサイトで試睡員に関する記事が連続して掲載されたが、登場する試睡員たちはすべて女性で、不思議なことになかなかの美人ぞろい。このミッションには、容姿も重要なのだろうか……。 (文=佐久間賢三) キャプション














