「残業100時間どころじゃない!?」電通批判の新聞社、現場記者から声にならない悲鳴が……

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ある新聞記者のタイムカード。一体、いつ寝ているのか?
 新入社員の過労自殺認定から始まった、電通の過重労働問題。その批判の急先鋒となっている新聞・テレビといった旧来のマスコミの取材現場から、ため息が漏れている。電通は社員に月100時間を超える残業を強いていたが、全国紙の中堅記者は「俺らはそんなもんじゃない」と苦笑いを浮かべる。最も地獄に近い職場からの叫びを聴いた。  そもそも各マスコミとも、表向き電通批判はしつつも、社員の実態告白モノといった、深掘りの企画記事は出していない。その理由を、40代の全国紙中堅記者はこう明かす。 「長時間勤務の問題を『やりすぎるな』というのが、社内では暗黙の了解」  この中堅記者によると、オールドメディアの広告は、かなり以前からジリ貧状態だ。そんな中で広告を運んでくる電通社員に対し、特に新聞の営業担当者は過大な接待攻勢をかけて、小さなパイ食い合っている状況だという。 「営業部にいる同期の話だと、帰りのタクシー代までタカられるらしい」(同)といい、数年前までは電通社員を出向として平然と受け入れる新聞社もあったという。ズブズブの関係が背後にあるワケだ。  また、中堅記者は「そもそもウチの会社は、もっとひどいことをやっている。部数が少なく、体力のない新聞社は電通以上の残業時間が当たり前で、深い追及ができない」とボヤく。  1日の労働時間は、長い日だと朝6時の朝駆けから深夜1時の夜回り終了まで、19時間ほど。9日に1回は宿直勤務で、徹夜明けも普通に日勤が続くため、実質は40時間近い連続勤務になるという。  コストカットから、どれだけ働いても残業代は定額という裁量労働制を取り入れている社が急増中で、労組が残業時間の上限を決める36協定を結ぶ会社でも、協定超えの残業は電通と同等、ないしは、それ以上のケースがほとんどだ。  地方はもっとひどい。部数の多い全国紙の地方支局でも完全に人手が足りず、自転車操業状態。1人支局長の態勢も少なくなく、「年に10回ほどの新聞休刊日ぐらいしか、ちゃんとした休日がない」(全国紙の50代支局長)。  こうなると、おのずと心臓発作や脳血管障害で急死する人が出てくるというが「仕事のほとんどが記者クラブ詰めといった外回りのため、タイムカードなど勤務時間を示す証拠がない」(地方紙中堅記者)。過労死をめぐって会社とモメて訴訟となったケースでも、たいがいは遺族側が敗訴に終わるという。  複数の記者らによると、こうした長時間勤務が長年続いて精神に異常を来す者もいれば、過度のストレスから、社内ではパワハラやいじめ、不倫は当たり前になっている。逃げ出そうにも、記者という職種はつぶしが利かない。転職先は同業種しかなく、「五十歩百歩だ」と、どの記者も嘆く。現場から声にならない悲鳴が上がる一方で、50代以上の新聞社幹部は9時~17時までの8時間勤務で1,000万円を超える年収があるものの、その実態は、複数の記者によると「何もしていない」。記者上がりの管理職は「俺の若い頃はなぁ……」と、過去のショボイ武勇伝を繰り返すばかり。  こんなブラック企業だらけのマスコミに労基署のメスが入るのも、時間の問題だろう。

「残業100時間どころじゃない!?」電通批判の新聞社、現場記者から声にならない悲鳴が……

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ある新聞記者のタイムカード。一体、いつ寝ているのか?
 新入社員の過労自殺認定から始まった、電通の過重労働問題。その批判の急先鋒となっている新聞・テレビといった旧来のマスコミの取材現場から、ため息が漏れている。電通は社員に月100時間を超える残業を強いていたが、全国紙の中堅記者は「俺らはそんなもんじゃない」と苦笑いを浮かべる。最も地獄に近い職場からの叫びを聴いた。  そもそも各マスコミとも、表向き電通批判はしつつも、社員の実態告白モノといった、深掘りの企画記事は出していない。その理由を、40代の全国紙中堅記者はこう明かす。 「長時間勤務の問題を『やりすぎるな』というのが、社内では暗黙の了解」  この中堅記者によると、オールドメディアの広告は、かなり以前からジリ貧状態だ。そんな中で広告を運んでくる電通社員に対し、特に新聞の営業担当者は過大な接待攻勢をかけて、小さなパイ食い合っている状況だという。 「営業部にいる同期の話だと、帰りのタクシー代までタカられるらしい」(同)といい、数年前までは電通社員を出向として平然と受け入れる新聞社もあったという。ズブズブの関係が背後にあるワケだ。  また、中堅記者は「そもそもウチの会社は、もっとひどいことをやっている。部数が少なく、体力のない新聞社は電通以上の残業時間が当たり前で、深い追及ができない」とボヤく。  1日の労働時間は、長い日だと朝6時の朝駆けから深夜1時の夜回り終了まで、19時間ほど。9日に1回は宿直勤務で、徹夜明けも普通に日勤が続くため、実質は40時間近い連続勤務になるという。  コストカットから、どれだけ働いても残業代は定額という裁量労働制を取り入れている社が急増中で、労組が残業時間の上限を決める36協定を結ぶ会社でも、協定超えの残業は電通と同等、ないしは、それ以上のケースがほとんどだ。  地方はもっとひどい。部数の多い全国紙の地方支局でも完全に人手が足りず、自転車操業状態。1人支局長の態勢も少なくなく、「年に10回ほどの新聞休刊日ぐらいしか、ちゃんとした休日がない」(全国紙の50代支局長)。  こうなると、おのずと心臓発作や脳血管障害で急死する人が出てくるというが「仕事のほとんどが記者クラブ詰めといった外回りのため、タイムカードなど勤務時間を示す証拠がない」(地方紙中堅記者)。過労死をめぐって会社とモメて訴訟となったケースでも、たいがいは遺族側が敗訴に終わるという。  複数の記者らによると、こうした長時間勤務が長年続いて精神に異常を来す者もいれば、過度のストレスから、社内ではパワハラやいじめ、不倫は当たり前になっている。逃げ出そうにも、記者という職種はつぶしが利かない。転職先は同業種しかなく、「五十歩百歩だ」と、どの記者も嘆く。現場から声にならない悲鳴が上がる一方で、50代以上の新聞社幹部は9時~17時までの8時間勤務で1,000万円を超える年収があるものの、その実態は、複数の記者によると「何もしていない」。記者上がりの管理職は「俺の若い頃はなぁ……」と、過去のショボイ武勇伝を繰り返すばかり。  こんなブラック企業だらけのマスコミに労基署のメスが入るのも、時間の問題だろう。

女性社員過労死問題で、電通社内に“かん口令!”「マスコミに答えるな」社員のメールチェックまで……

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 広告代理店の最大手・電通で昨年12月、24歳の女性社員が過労自殺したことについて、同社内では社員に本件に関する話を外部にしないようかん口令を敷いているという話だ。別の大手・博報堂の元営業マンで『電通と原発報道──巨大広告主と大手広告代理店によるメディア支配のしくみ』(亜紀書房)など、業界を掘り下げた著書で知られる作家の本間龍氏も「私も電通内でかん口令が敷かれているのは記者らを通じて存じています。クライアントからは『だからといって、仕事に影響するほどではない』との話も聞きましたが、刑事訴追されるかもしれないという話が出ていて、そうなるとまた話が変わってくるのでは」と話す。  実際、女性社員の自殺が過労による労災と認定されたことで、東京都労働局などは強制調査にも着手し、電通の労使協定が認めていない月70時間超の時間外労働など法令違反を確認した上で行政指導する方針。「悪質と判断した場合は検察庁に刑事処分を求めることも検討する」と労働局の職員。刑事事件となれば、広告を依頼する関連企業が減る可能性もある。 「電通は70時間を死守させるために労働時間の集計表を過小申告させていて、亡くなった女性は69.9時間と書いていたところ、実際には130時間なんてこともあったといわれます。協定を超えて違法な長時間労働が常態化していたことが証明された場合、協定違反で責任者を逮捕することも可能です。それでも罰則は6カ月以下の懲役か30万円以下の罰金程度ですが、社会的に大きな批判を受ける話ではあります」(職員)  このあたり電通の内部を探るべく、出入り業者でもある関係者の男性に聞いたところ、「過去、自社の問題で社員にかん口令を敷いたことは何度もあって、私のような外部の業者も『マスコミに答えたりもするな』と言われたほど」だという。 「社員からは、携帯電話のメール履歴までチェックされたことがあったという話を聞きました」(同)  これは、電通社員に友人がいる新聞記者も証言する。 「その友人と連絡を取ろうとしたら、『今はマスコミ関係と話すのはマズい』と言われたことがあります。聞いたところでは、リサーチ力に長けているので、その力を社員に向ければ、どの社員がどんなマスコミ関係者と付き合いがあるかリストぐらい簡単に作れるとか」  今回のかん口令がどこまで締め付けの強いものかはわからないが、ブラック企業に認定されつつある現状から考えれば、かなりの緊迫した状況であることは想像できる。 「メディア側は電通を敵に回しにくい体質から、この問題を控えめに報じていますし、実際に大きく報道して“無言の広告減少”という報復をされた媒体もありましたからね。テレビの報道番組なんかも、それを恐れて本件を扱わないことにしたところもあるそうです」と前出記者。  それでも、社内の悪質な労働環境に対する不満を持つ社員から、話が漏れる可能性もある。前出の電通関係者は「そりゃ漏れるものは漏れますよ。社内の空気を変えたい社員は、むしろ隠蔽された情報をマスコミにリークして、現体制を変えたいって言っているぐらいで」と話す。 「ただ、年収1,200万以上ぐらいのエリート連中は必死に守りに入るでしょうから、その犯人探しに躍起になりそうですけどね」(同)  日本社会のタブーに触れる形の電通過労自殺問題だが、社会がこれをどう是正できるのか、メディアに巨大な力を発揮する側の不祥事にマスコミはどこまで食い込めるのか、そして当の電通自身がこの問題にどこまで真摯に向き合うのか、人の口をいくら封じても、内外にその働きが問われるのは変わらない。 (文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)

AV女優所属のソープランド摘発は「いつもの感じ」じゃなかった!? 業界撲滅の恐れも……

YouTubeより
 AV女優も所属する吉原ソープランドが摘発されたことで、同業者の萎縮傾向が見てとれる。ある人気店でも、先日まで売り文句にしていた「元AV女優在籍」という文言を削除した。同店のスタッフは「あんな有名店でやられるんだから、明日は我が身。売り上げが下がっても、目立たなくするしかない」と話す。  売春防止法違反容疑で警視庁に逮捕されたのは有名店の「ラテンクオーター」の経営者、南雲豊作容疑者ら4人。ソープランドは風俗店の中で唯一、実質的に“本番”が行われている風俗であるが、表向き個室浴場の形をとり、風俗営業法で定められた業態でもグレーゾーン化している。そのため、過度な宣伝などをしていると警察が摘発することが過去にもあったが、前出スタッフは「今回は、いつもの“出る杭が打たれた”感じには見えない」という。 「いまAV女優の出演強要問題で、これまで曖昧だったAV業界への規制が始まると見られてますし、パチンコも釘の問題を入口にやられるという話。次は風俗ということでは……」(同)  風俗ライターに聞いたところ、摘発された「ラテンクオーター」は女性の質が高く、おおよそ120分6万5,000円という高めの料金設定ながら、「経営者がAVプロダクションも運営し、元AV女優が本当に店で働いていた」という。 「でも、それはこれまでもずっとやってきたこと。いま摘発されるのは、別の力が働いているのでは……」と、こちらも別の店のスタッフ同様、当局の取り締まりが厳しくなっているという見方を示した。風俗業界に詳しい作家の影野臣直氏は「そもそも風営法の定義は曖昧で、摘発しようと思えばいつでもできる解釈になっている」という。 「風営法で定義されているソープランドは、公衆浴場の施設に個室を設け、異性の客に接触するものとなっていて、その接触がどの程度を指すのか判然としないもの。それこそ手をつないだって違法な接触と解釈することができるので、警察はいつでも店を摘発できるんです。ソープランドは男女の出会いの場を提供するという建前もあるので、AV女優在籍という宣伝は、売春を誘うという見方をされることもありえます」(同)  影野氏は、警察がその摘発の手を厳しくしたのは、東京五輪・パラリンピックのための政策だと見ている。 「1985年に風営法が改正され、管轄に警察が加わり、店舗型の性風俗店は事実上、新規に出店するのが難しくなりました。新宿の歌舞伎町でも新たに病院や学校ができて、その周辺エリアには新規の風俗店はオープンできなくなっています。警察はそれこそ風俗店をゼロにしてしまいたいぐらいなので、現状では店がひっそりやるしかないのだと思います」(同)  前出の風俗ライターは、「元AV女優」の看板を下げても、別の形で摘発例が出てくることを懸念する。 「店とソープ嬢の間に厳密な契約なんかありませんから、たとえば『借金を返すために渋々風俗の労働を強制させられた』なんて女性が出てきたら、この業種自体が撲滅されてもおかしくないんです。AV業界のように世間のバッシングがないだけまだマシなので、そのうちに対応策が必要かもしれません」 また、新たに都知事に就任した小池百合子氏が女性とあって、「風俗業界に理解はなさそうなので、今後さらに締め付けがきつくなるのでは」とライター。 「ラテンクオーター」は、過去7年間で10億円以上の売り上げがあったというが、これから市場規模が縮小傾向となれば、風俗業界の収益も今後は減っていくかもしれない。 (文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)

激戦の米大統領選、トランプ勝利なら「日本に徴兵制」「NATO崩壊」の可能性も?

tlanp1029
『熱狂の王 ドナルド・トランプ』(クロスメディア・パブリッシング)
 11月8日に投票されるアメリカ大統領選の世論調査では、民主党候補ヒラリー・クリントン氏がわずかに有利と伝えられるが、共和党候補のドナルド・トランプ氏への支持もいまだ根強く、接戦が予想されている。  日本では、米軍の日本撤退を掲げるトランプが大統領となった場合の混乱も不安視され、軍事ジャーナリストの青山繁樹氏は「その場合は日本で徴兵制が必要となる」とする。 「現状の自衛隊は国土を自衛する程度の戦力を持つのみで、これに予備的な安全を確保するための戦力を追加するなら現有勢力の3~5倍は必要なので、隊員確保のため徴兵制は不可欠。さらに核を保有することになるなら陸海空軍をもう一組、必要とするぐらいの費用が必要になり、日本経済に大きくのしかかるでしょう」(同)  ただ、トランプ氏が言う「在日米軍を撤退させたくないなら、日本が防衛費用を負担しろ」という主張は「選挙向けの馬鹿げた大ボラ」と青山氏。 「なぜなら、すでに日本は米軍に対し駐留分担金を支払っていて、基地の賃貸費用も無料にしているからです。沖縄県には米軍施設の74%が集中していますが、その面積は沖縄県全体の約10%で、本来はその借地代を請求したらものすごい額になるんです。それに日本の拠点から撤退することはアメリカにとっても重大な損失で、横須賀には世界有数のメンテナンス施設がありますし、日本以遠の海軍活動は困難になりますよ」(同)  ただ、アメリカが資金不足から、兵員を沖縄からグアム、ハワイに後退させる方針を打ち出していることから「縮小はありえる」と青山氏。一方、トランプ氏が出したほかの仰天政策について青山氏は「実行可能なものもある」とする。トランプ氏はアメリカ国内にいる1,100万人の不法滞在者を強制送還し、メキシコとの国境沿いに壁を作り、不法入国者と麻薬を締め出すことや、銃規制を緩和するとした。 「そもそも移民によって成り立つアメリカが移民に出て行けというのはおかしな話ですが、過去、不法移民対策にかなり努力をしてきた国であるのも事実。それがいまやもっとも国籍を取りにくい国のひとつになったわけですから、テロ事件の影響で入国が極端に制限されているのを見てもわかるとおり、その延長で不法滞在者の強制送還は十分あり得ます。メキシコとの壁は物理的には無理でしょうが、民間の警備に任せている国境に軍隊を置くぐらいのことは可能でしょう」(同)  銃規制の緩和については「党内でも銃の規制派、反対派がいるため簡単ではない」と青山氏。 「単にトランプ氏が推進派であるから出た話なんでしょうが、物議を呼んだのは付け加えられた一言。『反対する者は銃で行動を起こすべきだ』というもの。つまり私を撃て、という意味にもとれます。一歩間違えれば大統領暗殺という事態になりますよ」(同)  こうしたトランプ氏の大胆政策は、孤立主義政策の「モンロー主義」の思想にあると青山氏。 「アメリカはアメリカだけでやっていけるという考え方で、農業大国なので農産物、畜産物は国内で賄え、原油生産もあり、ウラン産出で電力も確保できるのでアメリカ人の一部は鎖国のようなことを理想とする思想を持っていて、トランプ氏もそれに近いのです。もし、こういう人が権力を握ってそれを実行したら、世界からアメリカの影響が消滅するのでさらなる大混乱を引き起こすでしょう。アメリカの後押しがあってまとめ上げていた軍事機構である、ヨーロッパのNATOが崩壊しますし、分割された小国家による内戦が始まりかねません。ロシアとの代理戦争の様相になっているシリア内戦が終結しても別の無秩序が起こるのは目に見えてます。日本やイスラエルもかなり追い込まれるはずで、世界中で混乱が起きるといえます」(同)  スキャンダラスに報じられてもいる大統領選だが、地球の未来を左右するような恐ろしい分岐点なのだろうか。 (文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)

激戦の米大統領選、トランプ勝利なら「日本に徴兵制」「NATO崩壊」の可能性も?

tlanp1029
『熱狂の王 ドナルド・トランプ』(クロスメディア・パブリッシング)
 11月8日に投票されるアメリカ大統領選の世論調査では、民主党候補ヒラリー・クリントン氏がわずかに有利と伝えられるが、共和党候補のドナルド・トランプ氏への支持もいまだ根強く、接戦が予想されている。  日本では、米軍の日本撤退を掲げるトランプが大統領となった場合の混乱も不安視され、軍事ジャーナリストの青山繁樹氏は「その場合は日本で徴兵制が必要となる」とする。 「現状の自衛隊は国土を自衛する程度の戦力を持つのみで、これに予備的な安全を確保するための戦力を追加するなら現有勢力の3~5倍は必要なので、隊員確保のため徴兵制は不可欠。さらに核を保有することになるなら陸海空軍をもう一組、必要とするぐらいの費用が必要になり、日本経済に大きくのしかかるでしょう」(同)  ただ、トランプ氏が言う「在日米軍を撤退させたくないなら、日本が防衛費用を負担しろ」という主張は「選挙向けの馬鹿げた大ボラ」と青山氏。 「なぜなら、すでに日本は米軍に対し駐留分担金を支払っていて、基地の賃貸費用も無料にしているからです。沖縄県には米軍施設の74%が集中していますが、その面積は沖縄県全体の約10%で、本来はその借地代を請求したらものすごい額になるんです。それに日本の拠点から撤退することはアメリカにとっても重大な損失で、横須賀には世界有数のメンテナンス施設がありますし、日本以遠の海軍活動は困難になりますよ」(同)  ただ、アメリカが資金不足から、兵員を沖縄からグアム、ハワイに後退させる方針を打ち出していることから「縮小はありえる」と青山氏。一方、トランプ氏が出したほかの仰天政策について青山氏は「実行可能なものもある」とする。トランプ氏はアメリカ国内にいる1,100万人の不法滞在者を強制送還し、メキシコとの国境沿いに壁を作り、不法入国者と麻薬を締め出すことや、銃規制を緩和するとした。 「そもそも移民によって成り立つアメリカが移民に出て行けというのはおかしな話ですが、過去、不法移民対策にかなり努力をしてきた国であるのも事実。それがいまやもっとも国籍を取りにくい国のひとつになったわけですから、テロ事件の影響で入国が極端に制限されているのを見てもわかるとおり、その延長で不法滞在者の強制送還は十分あり得ます。メキシコとの壁は物理的には無理でしょうが、民間の警備に任せている国境に軍隊を置くぐらいのことは可能でしょう」(同)  銃規制の緩和については「党内でも銃の規制派、反対派がいるため簡単ではない」と青山氏。 「単にトランプ氏が推進派であるから出た話なんでしょうが、物議を呼んだのは付け加えられた一言。『反対する者は銃で行動を起こすべきだ』というもの。つまり私を撃て、という意味にもとれます。一歩間違えれば大統領暗殺という事態になりますよ」(同)  こうしたトランプ氏の大胆政策は、孤立主義政策の「モンロー主義」の思想にあると青山氏。 「アメリカはアメリカだけでやっていけるという考え方で、農業大国なので農産物、畜産物は国内で賄え、原油生産もあり、ウラン産出で電力も確保できるのでアメリカ人の一部は鎖国のようなことを理想とする思想を持っていて、トランプ氏もそれに近いのです。もし、こういう人が権力を握ってそれを実行したら、世界からアメリカの影響が消滅するのでさらなる大混乱を引き起こすでしょう。アメリカの後押しがあってまとめ上げていた軍事機構である、ヨーロッパのNATOが崩壊しますし、分割された小国家による内戦が始まりかねません。ロシアとの代理戦争の様相になっているシリア内戦が終結しても別の無秩序が起こるのは目に見えてます。日本やイスラエルもかなり追い込まれるはずで、世界中で混乱が起きるといえます」(同)  スキャンダラスに報じられてもいる大統領選だが、地球の未来を左右するような恐ろしい分岐点なのだろうか。 (文=ハイセーヤスダ/NEWSIDER Tokyo)

安倍晋三首相の妻・アッキーも捜査対象!? 高樹沙耶容疑者の次に“薬物”逮捕されるのは――

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安倍昭恵オフィシャルサイトより
 人気ドラマシリーズ『相棒』(テレビ朝日系)の美人女将役でおなじみの元女優・高樹沙耶(本名・益戸育江)容疑者が25日、大麻取締法違反(所持)の容疑で厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部に逮捕された。  自宅で乾燥大麻数十グラムを隠し持っていた疑い。同容疑者は当局の調べに「大麻は私のものではない」と、容疑を否認。一緒に逮捕された同居人で「大麻取締法第四条廃止勝手連」の代表・森山繁成容疑者は「(大麻は)私のものだ」と認めている。高樹容疑者は、今年7月の参院選に新党改革から東京都選挙区で出馬。医療用大麻の推進を訴えたものの、落選していた。 「逮捕」の一報を聞いても驚きはなく「なんだやっぱり」といった印象。捜査関係者は「数カ月前からマトリ(麻薬取締官)が数十人体制で内偵していた。彼女も、うすうす勘付いていたと思う。日本で解禁されていない医療用大麻の効能をテレビなどであれだけアピールしていれば、狙われるのは当然ですよ」と話す。  その数日前には、鳥取県智頭町(ちづちょう)で町おこしのために大麻の栽培許可を得ている会社「八十八や」の代表・上野俊彦容疑者が、自宅に乾燥大麻88グラムを所持していたとして中国四国厚生局麻薬取締部に現行犯逮捕された。  同容疑者は、2012年に群馬県から智頭町に移住。栽培した大麻草の種や茎から食品や衣類を作ることによる「町おこし」を提案し、昨年7月には安倍晋三首相の妻・昭恵さんが、智頭町を訪れ、同容疑者から話を聞いている。昭恵さんは報道陣の取材に「日本で盛んに行われて、廃れてしまっている伝統産業の麻(大麻草)に関心を持った」と話していた。  ある関係者は「上野容疑者と高樹容疑者の逮捕はワンセット。周辺人物の調べもついており、その中には昭恵さんもいる。今後掘り下げるかどうかは別として、日本のファーストレディが捜査対象というのは由々しき事態だ」と指摘する。  このほか、マトリが水面下で調査を進めているのが、人気男性グループのボーカルX。事情を知る人物が明かす。 「彼の大麻吸引キャリアは15年以上に及ぶ。もともと何かにのめり込みやすい性格で、以前、彼と“関係”を持った女性によると『冷蔵庫の中に、葉っぱを保管していた』そうだ。彼には他の薬物疑惑も浮上しており、動向を注視している」  マトリには、一網打尽を期待したい。

AV女優人気は高くても、業界トラブルには興味なし? あの“ヤバい中国人漫画家”は「AV出演強要問題」をどう見る!?

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ライターの井川楊枝氏と、漫画家の孫向文氏
 大手AVプロダクション関係者の逮捕や、屋外キャンプ場でAV撮影を行ったとして関係者が書類送検されるなど、このところ、AV業界が騒がしい。  10月19日、そんな一連のAV騒動をルポした書籍『モザイクの向こう側』(双葉社)が発売された。AV関係者や、被害相談の団体などにインタビューを重ね、業界の問題点を浮き彫りにした一冊だ。今回、この本の著者である井川楊枝氏と、『中国のヤバい正体』(大洋図書)などで知られる中国人漫画家・孫向文氏が対談。中国人の目には、このAV出演強要の問題は、どのように映っているのだろうか? ■紅音ほたる訃報に、3,000以上の書き込み 井川 日本のAVって、他国の人から見たらどうなんだろうと思って、今回は以前からの友人である孫さんとの対談を提案したところ、企画が実現しました。中国では、日本のAVが人気ですよね?  はい。中国ではBTダウンロード(高速でダウンロードができるように設計されたファイル共有ソフト)がはやっていて、大量の日本のAVがアップされていますね。みんな2ギガとかギガぐらいのデータ容量の高画質AVを、無料でダウンロードして見ていますよ。 井川 無料なんですか?  そうです。そのサイト自体は、広告収入で稼いでいるので。昔は街中で違法コピーDVDが販売されていたんですけど、最近はネットに移行していますね。 井川 今のAV業界は不況です。その要因のひとつが、FC2とかでタダでエロ動画が見られちゃうから、若い子たちがお金を払ってまで購入しないんですよ。中国でAVを見ている人たちからも、少しでもいいからAV業界にお金が入る仕組みにできたら、業界は潤うんですけどね(笑)。  うーん、それは難しいでしょうね。中国ではAV自体が違法なものですから、日本のAVメーカーが、表立ってAVビジネスを展開することはできません。それに、仮にAVが合法になったとしても、状況は変わりません。なぜなら、映画もドラマも漫画も、中国人は無料でアップロードされたものしか見ていないから。「週刊少年ジャンプ」(集英社)なんて、日本の発売日に中国語に翻訳されて、無料でアップされていますよ。
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人気AV女優が特集されている中国のサイト
井川 著作権って概念がない国ですね。ところで、AV女優は誰が人気なんですか?  これはある中国のサイトの順位なんですけど、1位が波多野結衣、2位が天海つばさ、3位が吉沢明歩、4位が大橋未久、5位が小川あさ美、6位が早乙女ルイ、7位が桜井りあ、8位がJULIA、9位が蒼井そら、10位が椎名ゆなってなってますね。 井川 やっぱり中国人って、スタイルが良くて、身長が高い人が好きですよね。日本だと、紗倉まなとかつぼみ、星美りかとか、かわいらしい顔立ちのロリっぽい子が、必ずランクインしてくると思います。  共産党員の愛人なんか見ると、みんな160センチ以上で美脚です。モデル体形の女性がおおむね人気があります。でも、最近は、SNH48とかの影響で、中国でも、小柄でかわいい女の子が好きだっていう人が増えていますよ。 井川 そういえば、最近、紅音ほたるさんが亡くなったけど、彼女も中国で活動されていたみたいです。話題になりましたか?  えーっと……紅音ほたるさんの中国版Twitter「微博」を見てみると、これはすごい! 20万人のフォロワーがいますね。最後のツイートが、訃報になっているんですが、そこにコメントが3,444件ついています(10月26日現在)。「ご冥福を祈ります」「噴水がひとつなくなって残念」「彼女は永遠に俺のハードディスクに保存されている(俺の中で生きている)」といったコメントが寄せられていますね。 井川 中国でも、潮吹き女優として認知されていたんですね。彼女が中国人に愛されていたのが伝わってきます。 ■中国でエロ事件が起こると、日本のAVのせいに!?
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『モザイクの向こう側』(双葉社)
井川 日本では現在、AV出演強要問題が話題になっています。中国ではこの問題、どうとらえられていますか?  今回、この対談の前に、中国最大の検索エンジン「百度」とか微博で調べてみたんですよ。そしたら、ほとんど話題になっていませんでした。中国人の中にはAV好きが多いんですけど、AV女優の人権問題については、興味がないみたいですね。あと、中国には人権がないでしょ? 今は何か事件が起こって、人権問題のことをSNS上で書くと、すぐに削除されたりするんですよ。「中国共産党は人権無視している」とか書いたら、即アウトで、警察が家に来たりしますよ。だから、AVの人権問題のことも、書き込みづらいといのもあるかもしれませんね。 井川 人権がない国っていうのは、すごいですねえ……。  ところで、出演強要は、実際にAV業界で起こっているんですか? 井川 はい。今回、『モザイクの向こう側』の中でも被害事例を載せています。今後、業界は、こうした被害の起こらない環境づくりをしなきゃいけないですね。でも現状だと、「AV業界をクリーンにするため、こういう撮影はするべきではない」といった表現規制につながりそうな意見も出ていて、それは違うかなあと思うんですよね。例えば、SMがダメとか、レイプものがダメとか、本番はダメとか。女の子に無理やり嫌なことを強いるのはもちろんダメだと思うんですけど、女の子が出演の同意を得ているんだったら、別にいいんじゃないかとは個人的に思います。まあ、規制派の方々の意見をお聞きすると、こうした行為は日本の法に触れる可能性があるとのことで。法的な側面から言われると、表現もへったくれもない感じですが。  漫画も表現規制の問題があるけど、僕はそれに反対しています。僕も井川さんと同様、表現は規制するべきではないと思います。ただ、日本のAVって、スカトロとかありますよね。あれは、中国人が見たらドン引きですよ。こういうAVを作っているのは、頭がおかしい人たちだって感じちゃいます。ああいうAVを出していると、日本のイメージが悪くなるんじゃないかと、そこが心配になりますね。 井川 まあ、日本人でもスカトロを理解している人は、ごく少数ですけどね(笑)。ああいうフェチ系のビデオって、スカトロに限らず、興味がない人からしたら理解不能なものですし、閉じられた輪の中で楽しむ分にはいいのかなあと思います。それがTwitterで上がったりして、興味もない人の目に触れたりするのは、ゲッて思いますけどね。  中国だと、エロい事件が起こるじゃないですか。例えば、バスの中で女の子を痴漢したとか、射精して精液をスカートにぶっかけちゃったとか。すると必ず「この人は日本のAVを見すぎ」って言われるんですよ。この人が考えたことではなくて、日本のAVの悪影響を受けて思いついたっていう解釈です。 井川 確かに、日本のAVには痴漢モノがありますね。でも、AVが犯罪を誘発しているなんていうと、AV業界側から大反発が起こるでしょうね。例えば、痴漢欲求のある人が、痴漢AVを見て、その欲求を解消するという側面もあると思います。AVの氾濫する日本は、世界でもトップクラスの、セックス頻度の少ない国でしょ。AVだけがセックスレスの要因とは思わないですけど、映像を見ただけで満足しちゃう部分はあると思いますよ。  でもそれを言ったら、日本の出生率を上げるためには、逆にAVは存在しないほうがいいっていう論理が成り立ちますね。 井川 まあ、そうなっちゃうのかな。実際、いまVRのエロ動画とかが話題になっていて、リアルな女の子が目の前に現れちゃうわけじゃないですか。そうなると、今後、ますますセックスレスになるのかもしれないですよね。  リアルに『電影少女』の時代が来るわけですね。クリエーターとしては、表現の幅が広がって面白い時代になりそうですけど。 井川 孫さんにとっては、そうですね(笑)。 (構成=杉沢樹) ●「AV出演強要問題」に揺れる業界を徹底取材! 『モザイクの向こう側』 井川楊枝 著 双葉社 刊 1400円+税

“慶大レイプ事件”加害者の実名をさらしたフジテレビに「グッジョブ!」の危うさ

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フジテレビ本社(Thinkstockより)
 まさかの現象に、局員も驚きを隠せないようだ。何かと不祥事続きのフジテレビが“慶大集団レイプ事件”で、とんでもないミスをやらかした。  16日放送の情報番組『Mr.サンデー』でこの事件を取り扱った際、加害者メンバーの実名が、うっかり流れてしまったのだ。  番組では、広告学研究会(以下、広研)の男性メンバーが被害女性に行った非道行為や、加害者メンバーの印象などを特集。そんな中、番組スタッフと疑惑の広研メンバーとのメールのやりとりが映し出された際、相手の名前にモザイクをかけ忘れた箇所が発見されたのだ。  放送では一瞬だったが、ネット上では文面のアップがさらされ「犯人の実名がわかった」と大騒ぎに。騒然となったのは、フジの局内も同じだ。フジの現役社員が明かす。 「事件を担当する報道のトップから、番組側に『なんてことしてくれたんだ!』と猛抗議が入ったそうです。番組では『広研の中心メンバー』と紹介され、事件と無関係な可能性も残していましたが、実際はもろに加害者メンバーのひとり。逮捕者が出ていない段階だけに、人権侵害と言われても仕方がありません」  ところが、事態は思わぬ展開を見せる。実名をさらされた学生の名字はSで、韓国人とおぼしき名前だったのだ。20日発売の「週刊文春」(文藝春秋)でも、Sの両親を韓国人と明記している。こうなると、その後の成り行きは想像の通り。 「ネット上では、主犯格の学生が韓国人である可能性が高いことがわかり、お祭り状態に。フジに対しても『グッジョブ』『たまには、いい仕事するじゃないか』などと称賛の声が相次ぎました。それを見て、フジの局員も『結果オーライかも』と言いだす始末。本来、あるまじき凡ミスが、フジの株を上げることになりました」(テレビ関係者)  韓国人へのヘイトスピーチがはびこる、今の世の中を象徴する出来事といえよう。週刊誌記者は「まだ逮捕されてもいないのにこの状況ですから、パクられて実名報道に切り替わった時は、一部の日本人が持つ“嫌韓感情”に火をつけることは間違いありません」と話す。 大阪の寿司店で起きた韓国人観光客への“わざびテロ問題”のように、無駄に騒動が拡大しなければいいが……。

【激動のAV業界】ターニングポイントは2008年? 「恵比寿マスカッツ」と「MUTEKI」誕生が意味するもの

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■生中出しがウリのメーカーが、疑似本番で撮影  今年3月3日、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)が、AV出演強要の被害を記載した調査報告書を発表して以降、AV業界に激震が走っている。  6月11日、経営していた芸能事務所に所属していた女性を無理やりAVに出演させたとして、大手AVプロダクションの元社長をはじめとする同社の男3人が労働者派遣法違反で逮捕された。また、7月8日には、神奈川県内にあるキャンプ場でAV撮影を行ったとして、制作会社の社長や、出演した女優9人、男性24人など計52人が公然わいせつなどの疑いで書類送検された。  次はいったい何が来るのか、AV関係者は戦々恐々としており、現場はこれまでになく萎縮している。大手AVメーカーのプロデューサーが内情を語る。 「今は生中出しがウリのメーカーが疑似本番で撮ったり、“本番”を隠すため、一部のメーカーがモザイクを気持ち大きくするといったような対応を取っています」  AVでは当たり前だった「本番行為」。しかし、労働者派遣法では、「本番」を含む性行為が有害業務と見なされる可能性が高い。お上のさじ加減でいかようにもなることを、業界関係者はキャンプ場の一件で痛感した。 「キャンプ場の摘発もあって、現在、野外撮影はまず行われません。ハウススタジオだというのに、窓から外が見えるということで、急きょカーテンで覆ったり、やりすぎなんじゃないかってぐらい敏感になっていますね。あと、これまで制作された野外撮影モノの作品が、お蔵入りにもなりました。人気AV女優が100人の男と追いかけっこして、その女優をつかまえたらセックスできるっていう、あの話題作とか……」(同)  そして業界関係者が何よりも恐れているのが、「出演強要被害」で女優に訴えられることだ。 「今は、撮影の合間のセッティング中とか、オフショットを回しています。仮に無理やりやらされたなんてことになったら、あとで警察にそれを見せて『無理やりに見えますか?』って反論するためです」(同)  現場では和気あいあいとしていても、後日、女優が事務所とモメたりして、作品が問題視されることもあると、プロデューサーは語る。地雷を踏まぬよう、恐る恐る撮影する業界人の様子が垣間見える。 ■AVと芸能をごちゃ混ぜにして誘うスカウトがまん延  一連の騒動の発端となったAV出演強要問題──しかし、本当に業界内では、こうした被害がまん延しているのだろうか? 私は拙書『モザイクの向こう側』(双葉社)の取材20人以上の業界関係者に話を聞いたのだが、大半の関係者は「昔に比べて、今のAVはクリーン」だと語った。  20年前であれば、ヤクザまがいの者が業界で幅を利かせ、女性をソープに落としたり、AV出演を強要したりする事例は日常茶飯事だった。しかし、近年、AVの位置付けは大きく変わっていて、アイドルを目指すようにAV女優を目指す女性が増えてきた。  その転換期が、08年だったと思う。この年、恵比寿マスカッツがデビューし、芸能人AVレーベル「MUTEKI」が誕生した。そして同時期に、無数の着エロアイドルがAVに流入し、本来であれば相いれないはずの、芸能とAVの垣根が崩れたのだ。  AV出演強要が話題となったとき、多くの女優は、問題を提起した団体に怒りの声を上げた。それは「今のAVは無理やりやらされるようなものではない」という思いからだった。「アイドル強要」という言葉が生まれ得ないのと同様、「AV強要」という言葉もあり得ないというわけだ。    では、強要被害は存在していないのかというと、そんなことはない。被害者支援団体の報告を見ると、「アイドルになれる」といった言葉で業界にいざなわれている女性が多いことがわかる。都内の大手AVプロダクションのマネジャーが、匿名を条件に裏事情を打ち明けてくれた。 「昔は“パーッと稼いで。留学にでも行こう”って誘い方だったんですよ。AVは風俗みたいな位置付けだったから、カネで誘っていたんです。でも、今は業界も不況だから、そんなに稼げなくなっている。それで“蒼井そらみたいになれる”とか、“恵比寿マスカッツみたいになれる”とか、芸能志望の女の子たちの心をくすぐるような誘い方をするわけです。“売れないグラドルやるぐらいなら、AV女優になりなよ。布取っ払うだけで、『フラッシュ』や『フライデー』や『プレイボーイ』みたいな大手雑誌にだって出られるよ”とか、言ったりもしますね」  芸能とAVが、あたかも同一平面上に存在しているかのような誘い方が主流になっているというのだ。これは、AVと芸能の垣根が崩れかけてきたからこそ、生まれ得た誘い文句だといえる。    しかし、テレビ業界のコンプライアンスも厳しい昨今、ひとたびAVに出演すると、大幅に芸能活動が制限されるのが現状だ。この誘い文句には、大いに問題があるといえよう。  確かに、AV業界の地位は昔よりも向上した。しかし、AVを取り巻く法は非常に危うく、AVデビュー後の芸能活動へのステップアップのルートは確立されていない。出演強要問題を考察する上では、そんな業界のチグハグさを理解する必要があるだろう。 (文=井川楊枝)