岡田准一 vs 福山雅治の視聴率バトルの結果は? 片岡支店長が運命の日を迎えた『集団左遷!!』第6話

 福山雅治が軽い銀行支店長役を軽~く演じたサラリーマンドラマ『集団左遷!!』(TBS系)。ここまでは脚本の粗さばかりが目立っていますが、まったく修正されることなく蒲田支店が廃店か存続かが決まる運命の日を迎えました。第1章完結編と銘打たれた第6話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 半期で100億円のノルマを達成できなければ、即廃店されることが決まっている三友銀行蒲田支店。第5話で片岡支店長(福山雅治)から20億円の小切手をだまし取った三嶋社長(赤井英和)のエピソードの続きから第6話は始まります。

 原作小説のひとつ『銀行支店長』(講談社)では三嶋社長の逃亡先であるフィリピンまで追跡劇は展開されますが、残念ながら『集団左遷!!』では三嶋社長は空港で片岡支店長にあっさりと見つかります。プロボクサー時代はハードパンチャーで鳴らした“浪速のロッキー”赤井英和ですが、実におとなしく体調不良の片岡支店長に取り押さえられるのでした。

 10年前の福山雅治主演作だったら海外ロケも考えられたかもしれませんが、国内の空港でちゃちゃっと済ませられたところに、現在の福山の置かれている状況を感じさせます。

 三嶋社長が低金利で近寄ってきた羽田支店ではなく、わざわざ蒲田支店にこだわって20億円をだまし取った理由は、まったく明かされないままでした。ただ三嶋社長に「お金が苦しかったんや~」と最後にひと言叫ばせただけで巨額詐欺事件解決です。「脚本を練る余裕がなかったんや~」という脚本家の叫びのように聞こえたのは気のせいでしょうか。

 

『半沢直樹2』を揶揄するギャグ

 20億円は無事だったものの、100億円のノルマは達成できていません。蒲田支店のみんなで営業会議を開き、アイデアを募ります。若手行員の滝川(神木隆之介)から「羽田支店に奪われたお客を奪い返したいと思います」という意見が提案され、「いいね」と一度はOKしかかった軽い片岡支店長ですが、「やられたんだから、やり返していいでしょ」と主張する滝川に対し「いやいや、ダメだよ」と“倍返し”を禁じます。

 堺雅人主演の『半沢直樹』(TBS系)の続編が2020年4月にオンエアされることが正式発表されたばかりで、さっそく『半沢直樹』の決めゼリフだった“倍返し”を揶揄するTBS内の身内ギャグが。『集団左遷!!』の製作チームは高視聴率を記録した『半沢直樹』や『下町ロケット』(TBS系)などの池井戸潤原作ドラマをライバル視していることがうかがえます。

 その後のドラマ展開も池井戸ドラマを意識したものとなっていました。蒲田支店の奮闘ぶりを後押ししたい本部の藤田頭取(市村正親)から、片岡支店長はかつて下町工場としてがんばっていた西村精機を紹介されます。物づくりの夢を追い続けていた社長が亡くなったため、未亡人・雪子(丘みつ子)が工場を閉鎖してコインパーキングを開くための1億円を融資してほしいという案件でした。

 西村精機に1億円を融資すれば、100億円のノルマ達成です。ところが工場を訪ねた滝川は、未亡人が亡くなった夫の夢を守るために工場を再開したがっていることに気づくのでした。そのことを片岡支店長も知り、悩みます。さっさと1億円を融資すれば、蒲田支店は廃店を免れるのですが、片岡支店長は支店員みんなを集め、「僕らがうまく行って、お客さまがうまく行かなくていいのか」と問い掛けるのでした。

 片岡支店長が自分から発した問い掛けの回答はこうでした。西村精機に1億円を融資はしない。その代わり、義足サイボーグを開発中のお金のない若者たち3人を未亡人に引き合わせるというものでした。跡継ぎのない高齢の農家などの事業主にやる気のある若い人材を紹介する「第三者継承」の下町工場版です。工場を持っているけど働き手のいない未亡人と、夢を持っているけど夢を叶える場を持たない若者たち3人組は、「Win-Win」の関係となったわけです。片岡支店長は「お金ではなく、心意気をご融資させていただきました」とドヤ顔です。一瞬、片岡支店長の顔に坂本龍馬の面影が宿りました。

  スパイ行為がバレたことからスーパーへ出向になった花沢(高橋和也)や片岡支店長の妻・かおり(八木亜希子)たちからの援護射撃があったものの、横山常務(三上博史)が決めた期限までには99億円しか用意できませんでした。本部から帰ってきた片岡支店長の口から、蒲田支店の今後について説明されます。

 本部の決定は、蒲田支店は約束どおり廃店。でも、支店員たちはみんな首都圏の支店へ銀行員として異動。真山副支店長(香川照之)は日本橋の副支店長、そして片岡支店長は本部の融資部へ……。みんなバラバラになるけれど、万々歳のフィナーレとなったのでした。

 蒲田支店の行員たちは自分たちがリストラや出向扱いにならず、銀行員のままでいられることに歓び浮かれまくります。でも、果たしてこれでいいのでしょうか。蒲田支店がなくなると困ると、地元の人たちがなけなしのお金を蒲田支店に預けることで、彼らは窮地を救われたはずです。ブタの貯金箱を持ってきた少年は、蒲田支店の閉鎖を知ってどう思うのでしょうか。

 片岡支店長は「銀行員としてのプライド」と常に口にしますが、そんな彼らにお金を託した地元の人たちの気持ちは軽んじられているように感じます。福山雅治主演ドラマ『集団左遷!!』にずっと付きまとっている違和感の正体は、これではないでしょうか。金融ドラマを軽快に描くことばかりに意識が向き、お金のやりとりをとても軽んじて描いているようにしか映りません。

 お金よりも大事なものがあると言いたいのかもしれませんが、このドラマはお金の重みがまるでないので、大事なものの重みもまったく伝わってこないままです。いつも冷静な真山副支店長ですが、病気の妻(西田尚美)の治療費のために実は真山家の家計は火の車だとかの描写があれば分かりやすいのですが、そういった背景は完全にスルーされています。本部への復帰が決まった片岡支店長は心の中で「これでいいのだ~♪」と『天才バカボン』の主題歌を口ずさんでいるかもしれませんが、本当にこれでいいんでしょうか。

 

岡田准一版『白い巨塔』最終話と激突!

 さて、岡田准一主演ドラマ『白い巨塔』(テレビ朝日系)の最終話と被った『集団左遷!!』第6話の気になる数字は? 『集団左遷!!』第6話の視聴率は、7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と同番組上ワーストとなってしまいました。初回13.8%のお陰で辛うじて平均視聴率10%台をキープしていましたが、ついに底が割れてしまいました。一方、岡田准一演じる財前教授が医療告発された『白い巨塔』最終話は15.2%。山崎豊子原作の重厚な社会派ドラマに完負けした結果となりました。

 視聴率の低下に加え、気になるのは今回で連続ドラマとして完結してしまった『集団左遷!!』をまだ続ける意味があるのかという疑問です。これで最終回だと思った視聴者もいるのではないでしょうか。無理に1クール10話というフォーマットに縛られなくてもいいように思います。次週からは原作小説とは関係のない、ほぼオリジナルエピソードが展開される模様です。

 ここまで来たら、脚本家もディレクターも視聴率を気にせず自由にやってください。でも、できれば残りの話数で、脚本家やディレクターたちには「ドラマ製作者としてのプライド」を感じさせるクライマックスにしてほしいと思います。

(文=長野辰次)

岡田准一 vs 福山雅治の視聴率バトルの結果は? 片岡支店長が運命の日を迎えた『集団左遷!!』第6話

 福山雅治が軽い銀行支店長役を軽~く演じたサラリーマンドラマ『集団左遷!!』(TBS系)。ここまでは脚本の粗さばかりが目立っていますが、まったく修正されることなく蒲田支店が廃店か存続かが決まる運命の日を迎えました。第1章完結編と銘打たれた第6話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 半期で100億円のノルマを達成できなければ、即廃店されることが決まっている三友銀行蒲田支店。第5話で片岡支店長(福山雅治)から20億円の小切手をだまし取った三嶋社長(赤井英和)のエピソードの続きから第6話は始まります。

 原作小説のひとつ『銀行支店長』(講談社)では三嶋社長の逃亡先であるフィリピンまで追跡劇は展開されますが、残念ながら『集団左遷!!』では三嶋社長は空港で片岡支店長にあっさりと見つかります。プロボクサー時代はハードパンチャーで鳴らした“浪速のロッキー”赤井英和ですが、実におとなしく体調不良の片岡支店長に取り押さえられるのでした。

 10年前の福山雅治主演作だったら海外ロケも考えられたかもしれませんが、国内の空港でちゃちゃっと済ませられたところに、現在の福山の置かれている状況を感じさせます。

 三嶋社長が低金利で近寄ってきた羽田支店ではなく、わざわざ蒲田支店にこだわって20億円をだまし取った理由は、まったく明かされないままでした。ただ三嶋社長に「お金が苦しかったんや~」と最後にひと言叫ばせただけで巨額詐欺事件解決です。「脚本を練る余裕がなかったんや~」という脚本家の叫びのように聞こえたのは気のせいでしょうか。

 

『半沢直樹2』を揶揄するギャグ

 20億円は無事だったものの、100億円のノルマは達成できていません。蒲田支店のみんなで営業会議を開き、アイデアを募ります。若手行員の滝川(神木隆之介)から「羽田支店に奪われたお客を奪い返したいと思います」という意見が提案され、「いいね」と一度はOKしかかった軽い片岡支店長ですが、「やられたんだから、やり返していいでしょ」と主張する滝川に対し「いやいや、ダメだよ」と“倍返し”を禁じます。

 堺雅人主演の『半沢直樹』(TBS系)の続編が2020年4月にオンエアされることが正式発表されたばかりで、さっそく『半沢直樹』の決めゼリフだった“倍返し”を揶揄するTBS内の身内ギャグが。『集団左遷!!』の製作チームは高視聴率を記録した『半沢直樹』や『下町ロケット』(TBS系)などの池井戸潤原作ドラマをライバル視していることがうかがえます。

 その後のドラマ展開も池井戸ドラマを意識したものとなっていました。蒲田支店の奮闘ぶりを後押ししたい本部の藤田頭取(市村正親)から、片岡支店長はかつて下町工場としてがんばっていた西村精機を紹介されます。物づくりの夢を追い続けていた社長が亡くなったため、未亡人・雪子(丘みつ子)が工場を閉鎖してコインパーキングを開くための1億円を融資してほしいという案件でした。

 西村精機に1億円を融資すれば、100億円のノルマ達成です。ところが工場を訪ねた滝川は、未亡人が亡くなった夫の夢を守るために工場を再開したがっていることに気づくのでした。そのことを片岡支店長も知り、悩みます。さっさと1億円を融資すれば、蒲田支店は廃店を免れるのですが、片岡支店長は支店員みんなを集め、「僕らがうまく行って、お客さまがうまく行かなくていいのか」と問い掛けるのでした。

 片岡支店長が自分から発した問い掛けの回答はこうでした。西村精機に1億円を融資はしない。その代わり、義足サイボーグを開発中のお金のない若者たち3人を未亡人に引き合わせるというものでした。跡継ぎのない高齢の農家などの事業主にやる気のある若い人材を紹介する「第三者継承」の下町工場版です。工場を持っているけど働き手のいない未亡人と、夢を持っているけど夢を叶える場を持たない若者たち3人組は、「Win-Win」の関係となったわけです。片岡支店長は「お金ではなく、心意気をご融資させていただきました」とドヤ顔です。一瞬、片岡支店長の顔に坂本龍馬の面影が宿りました。

  スパイ行為がバレたことからスーパーへ出向になった花沢(高橋和也)や片岡支店長の妻・かおり(八木亜希子)たちからの援護射撃があったものの、横山常務(三上博史)が決めた期限までには99億円しか用意できませんでした。本部から帰ってきた片岡支店長の口から、蒲田支店の今後について説明されます。

 本部の決定は、蒲田支店は約束どおり廃店。でも、支店員たちはみんな首都圏の支店へ銀行員として異動。真山副支店長(香川照之)は日本橋の副支店長、そして片岡支店長は本部の融資部へ……。みんなバラバラになるけれど、万々歳のフィナーレとなったのでした。

 蒲田支店の行員たちは自分たちがリストラや出向扱いにならず、銀行員のままでいられることに歓び浮かれまくります。でも、果たしてこれでいいのでしょうか。蒲田支店がなくなると困ると、地元の人たちがなけなしのお金を蒲田支店に預けることで、彼らは窮地を救われたはずです。ブタの貯金箱を持ってきた少年は、蒲田支店の閉鎖を知ってどう思うのでしょうか。

 片岡支店長は「銀行員としてのプライド」と常に口にしますが、そんな彼らにお金を託した地元の人たちの気持ちは軽んじられているように感じます。福山雅治主演ドラマ『集団左遷!!』にずっと付きまとっている違和感の正体は、これではないでしょうか。金融ドラマを軽快に描くことばかりに意識が向き、お金のやりとりをとても軽んじて描いているようにしか映りません。

 お金よりも大事なものがあると言いたいのかもしれませんが、このドラマはお金の重みがまるでないので、大事なものの重みもまったく伝わってこないままです。いつも冷静な真山副支店長ですが、病気の妻(西田尚美)の治療費のために実は真山家の家計は火の車だとかの描写があれば分かりやすいのですが、そういった背景は完全にスルーされています。本部への復帰が決まった片岡支店長は心の中で「これでいいのだ~♪」と『天才バカボン』の主題歌を口ずさんでいるかもしれませんが、本当にこれでいいんでしょうか。

 

岡田准一版『白い巨塔』最終話と激突!

 さて、岡田准一主演ドラマ『白い巨塔』(テレビ朝日系)の最終話と被った『集団左遷!!』第6話の気になる数字は? 『集団左遷!!』第6話の視聴率は、7.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と同番組上ワーストとなってしまいました。初回13.8%のお陰で辛うじて平均視聴率10%台をキープしていましたが、ついに底が割れてしまいました。一方、岡田准一演じる財前教授が医療告発された『白い巨塔』最終話は15.2%。山崎豊子原作の重厚な社会派ドラマに完負けした結果となりました。

 視聴率の低下に加え、気になるのは今回で連続ドラマとして完結してしまった『集団左遷!!』をまだ続ける意味があるのかという疑問です。これで最終回だと思った視聴者もいるのではないでしょうか。無理に1クール10話というフォーマットに縛られなくてもいいように思います。次週からは原作小説とは関係のない、ほぼオリジナルエピソードが展開される模様です。

 ここまで来たら、脚本家もディレクターも視聴率を気にせず自由にやってください。でも、できれば残りの話数で、脚本家やディレクターたちには「ドラマ製作者としてのプライド」を感じさせるクライマックスにしてほしいと思います。

(文=長野辰次)

福山雅治支店長の無能ぶりはいつまで続く!? 脚本のズボラ化が止まらない『集団左遷!!』第5話

 スーツ姿の福山雅治が“いだてん”のように走りまくるサラリーマンもの『集団左遷!!』(TBS系)。福山演じる銀行マンは毎回のように詐欺師に狙われます。どうも騙されやすいカモ体質のようです。こんなに事件ばかり起きる銀行にお金を託す預金者たちは心配で堪りません。折り返しとなる第5話を振り返ってみたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 三友銀行の蒲田支店は半期で100億円のノルマを達成できないと即廃店、支店員たちはリストラとなってしまいます。ところが第4話で蒲田支店が「集団左遷」の窮地に立っていることを経済誌がスクープ記事にしたことから、逆に心優しいお客さまが預金を預けに殺到します。片岡支店長(福山雅治)のがんばりによってこの記事が掲載されたわけではなく、まったくの超ラッキーパンチです。蒲田支店のノルマはどんどん減っていきますが、金融ドラマがこんな棚からぼたもち的な展開でいいんでしょうか。

 片岡支店長とは岩盤浴仲間の三嶋社長(赤井英和)が自社ビルを持ちたいと20億円の融資を頼んできました。これが成立すればノルマの残りはわずか5億円です。活気づく蒲田支店ですが、そうは問屋が卸しません。大規模なリストラ計画を進める横山常務(三上博史)から左遷をほのめかされた本部の宿利部長(酒向芳)が、容赦なく蒲田支店を潰しに掛かります。宿利部長は支店統括担当なので、蒲田支店の情報はすべて把握済みです。宿利部長から後押しされた羽田支店が、契約寸前だった蒲田支店の案件を次々と横からさらっていくのでした。

 

視聴者の感情を弄ぶ、胸クソ展開

 羽田支店の金利は1.4%と、蒲田支店の1.8%より低いので、当然みんな羽田支店へと乗り換えます。しかし、三嶋社長だけは片岡支店長との信頼関係を優先し、宿利部長と羽田支店の担当者を追い返してしまうのです。何とも男気溢れる三嶋社長です。さすが、浪速のロッキー! ところが、片岡支店長は三嶋社長に20億円の小切手を渡したところで、ふいに背筋に悪寒を感じるのでした。

 人間関係を尊重する三嶋社長の温かい人柄で視聴者を感激させておきながら、いきなり三嶋社長は小切手を手に海外へドロンしてしまいます。第5話は三嶋社長への高額融資を蒲田支店で進めると高金利になることを心配する真山副支店長(香川照之)の顧客への思いやりと、片岡支店長がそれに同意して融資を諦める過程が大きな見せ場となっていただけに、「はぁ?」と言いたくなるような強引展開です。三嶋社長をさんざん善人として描いておきながら、伏線まったくなしで実は詐欺野郎でした……というオチはすっごく胸クソ悪いです。

 三嶋社長は蒲田支店に試練を与えるためだけに存在する、制作サイドのご都合主義の産物となっています。三友銀行から20億円を騙しとるのなら、蒲田支店にこだわらず、猫なで声に擦り寄ってきた宿利部長&羽田支店を騙せばよかったのではないでしょうか。三嶋社長がなぜ蒲田支店を標的にしたのか、次週きっちりと説明されることを待ちましょう。しかし、第4話では地面師集団にもう少しで騙されそうになるなど、片岡支店長は相変わらず脇が甘いです。こんなズボラー銀行員がトップなら、蒲田支店の廃店は致し方ないのではないでしょうか。

 福山雅治の顔芸にはずいぶん慣れたものの、銀行支店長としてのズボラーぶりが目に余ります。当然ながら脚本もズボズボです。ここ数話で出番が増えてきた蒲田支店の女性行員・藤枝(橋本真実)ですが、マンションに不審者が現われたと悲鳴を上げます。若手行員の滝川(神木隆之介)は「本部の嫌がらせでは?」と訝しむのですが、滝川たちが捕獲した不審者の正体は藤枝の元カレ(浅香航大)だった……という衝撃的につまらないネタでした。脚本家は何を伝えたかったのでしょうか。ただ第5話の尺を埋めているかのような意味のないエピソードです。

 司法サスペンス『検察側の罪人』(18年)で主演の木村拓哉や二宮和也の存在感を上回った舞台出身の演技派・酒向芳、現在公開中のコンゲームコメディ『コンフィデンスマンJP ロマンス編』で凄腕詐欺師を演じている小手伸也など面白いコマを持っていながら、どうもうまく生かし切れていません。神木隆之介もこのままではまったくの無駄遣い状態です。

「平均視聴率10%を守れなかったら、脚本家もディレクターも全員リストラ!」とリアル“集団左遷”をTBSが打ち出せば、少しはスタッフもヤル気を見せるのではないでしょうか。働き方改革が叫ばれていますが、「日曜劇場」においてはズボラな脚本をそのままOKすることが改革なら、とても残念に思います。

 

善と悪を演じ分ける三上博史の性格俳優ぶり

 慎重派だった真山副支店長も第5話ではすっかりズボラーとなり、唯一まっとうに映るのは敵キャラである横山常務役の三上博史だけです。三上がしっかりと嫌われ役を演じていることで、『集団左遷!!』は辛うじてドラマとしての体裁を保っているといえそうです。三上は池井戸潤原作『下町ロケット』のWOWOW版では佃社長役を好演しており、今回は真逆なキャラをケレン味たっぷりに演じてみせています。三上の性格俳優ぶりが再評価されれば、このズボラードラマの存在意義もあるかもしれません。「がんばらなくていいんです」と言っていた三上が、結果的にはいちばんこのドラマに貢献しています。

 リストラの危機にある蒲田支店、本部から優遇される羽田支店、同じ三友銀行の支店同士でのローテンションな争いが描かれた第5話でした。WOWOW版『下町ロケット』に主演した三上博史だけでなく、池井戸ブームを決定づけた高視聴率ドラマ『半沢直樹』(TBE系)で堺雅人を助太刀した赤井英和も、池井戸ドラマではない『集団左遷!!』では悪者扱いです。もしかすると、7月から鳴りもの入りでスタートする池井戸潤の書き下ろし新作ドラマ『ノーサイド(仮)』への当てこすりかな。同じTBSのドラマチーム同士でもバトルが生じているのかな。ついついそんなことを勘ぐってしまいます。まっ、ドラマが純粋に面白ければ、こんなことは考えずに済むのですが。

 さて、気になる視聴率は? 第1話13.8%、第2話8.9%、第3話10.1%、第4話は9.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)でしたが、第5話は9.0%という数字でした。まぁ、視聴率ダウンは当然でしょうが、これから視聴率を二ケタに戻すための秘策を何か持っているのでしょうか。TBSの番組ホームページを覗くと、第5話で起きた大トラブルの顛末が第6話のあらすじであっさりと明かされています。番宣もかなりのズボラーです。奇しくも片岡支店長は蒲田支店のことを「泥舟」と自嘲気味に呼びました。ここまできたら、泥舟ドラマの成り行きを見届けたいと思います。

(文=長野辰次)

福山雅治のかわいいおじさんぶりが空振り残念!! 廃店銀行に預金が増える謎『集団左遷!!』第4話

 福山雅治が主演する超ライトなサラリーマンもの『集団左遷!!』(TBS系)。共演が香川照之、三上博史ら演技派だけに、より福山の芝居の軽さが目立ちます。軽さの中に味わいが出てくるといいのですが、さてどうでしょうか。早くも前半戦クライマックスを迎えた第4話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 三友銀行蒲田支店は半年で100億円のノルマを達成しないと廃店になることが決まっています。片岡支店長(福山雅治)たちは何とかノルマを達成しようとがんばっているのですが、本部の横山常務(三上博史)からいつも横やりが入ってしまいます。横山常務に蒲田支店の情報を流しているスパイを、片岡支店長はようやく見つけます。着任してきたばかりの片岡に最初に懐いてきた花沢課長(高橋和也)でした。娘の結婚を控えている花沢課長は、三友銀行の行員として結婚式に出席したいというあまり、自分だけはリストラされないという条件でスパイ活動に従事していたのでした。

 花沢課長役の高橋和也は、かつてジャニーズの人気バンド「男呼闘組」のベーシストでした。初めてサインを求めてきたファン第1号と結婚し、ジャニーズを解雇されています。その後は俳優としてかなりの苦労を積んできましたが、家庭に帰れば6児の父親でもあります。そんな家族LOVEな高橋にスパイ役をやらせるのは、なかなかナイスな配役です。

 スパイであることがバレ、蒲田支店から追い出されると観念した花沢課長に、片岡支店長は優しい言葉を投げ掛けます。「ここでやり直しましょうよ。きれいさっぱり忘れますから」と人間としての器の大きさを見せる片岡支店長でした。花沢課長を二重スパイに仕立て、逆に横山常務にフェイクニュースを流すなどの作戦も考えられましたが、NHK大河ドラマ『龍馬伝』に主演した福山雅治はそんな小細工には頼りません。「横山さんからの電話にはもう出なくていいんですよ」とスパイ活動の件は不問に処するのでした。

 ましゃのユルかわぶりがさらに発揮されます。駅前にて蒲田支店のみんなで「大商談会」のお知らせのチラシを配るシーン。蒲田のゆるキャラ「かまたん」の着ぐるみが首を外すと、中から50歳になった福山雅治の顔が。かわいいおじさんぶりをアピールします。このシーン、せっかく福山に着ぐるみを着せるのなら、単なるファン向けのサービスカットで終わらせるのはもったいないなと思いました。若手行員たちが片岡支店長のことを「相変わらず、がんばろうしか言わないよ」「あの年齢で、あの軽さ。ヤバくねぇ」とディスってる最中に、実は着ぐるみの中身は片岡支店長でした……などのギャグに使えたんじゃないでしょうか。福山の演技も軽ければ、脚本の甘さもずいぶん目立ちます。

 第4話では、その脚本の甘々さがくっきりと露呈します。木田(中村アン)たち蒲田支店の女性行員たちを、経済誌の編集者(猫背椿)がグラビア撮影するために訪れました。1週間後、片岡支店長たちが発売されたばかりの経済誌を開くと、お目当てのグラビアページはなく、蒲田支店が廃店&リストラの危機にあることをスクープした特集記事にすり替わっていたのです。三友銀行全体の財政内情が悪化していることにも言及した内容でしょうから、数日で裏どりしてサクッと書ける記事ではありません。そもそも大手銀行の内情を暴露した記事を掲載することは、普段から大量に広告出稿してもらっているクライアントタブーに抵触するため、容易ではありません。

 その後の展開はさらに「はぁ?」と首を捻りたくなるものでした。取引先の銀行の経営状態がヤバいとなれば、みんな預金を引き揚げる取り付け騒ぎが起きるはずです。当然のように蒲田支店の窓口にはお客が殺到しました。ところが驚いたことに解約を求める客はひとりもおらず、みんな「ここがなくなったら困るからさ」と新たに預金を預けたいと言うのです。片岡支店長はウハウハです。

 これが地域密着型のプロスポーツや地元で長年愛されてきた老舗の食堂などなら分かります。でも、シビアな金融業界を舞台にしたサラリーマンもので、この安直な展開はありえないでしょう。預金を預けにきたお客の中には、ブタ型貯金箱を手にした子どもも混じっています。脚本家は過去に『ROOKIES』(TBS系)などのヒット作を放っているいずみ吉紘ですが、ご都合主義が目に余ります。この脚本でOKしたディレクターとプロデューサーもどうかしています。視聴者を舐めきっています。サラリーマンドラマを軽快に描くことと、軽薄化することを完全に履き違えています。

 

信用を失ったら終わりだ

 第4話では、片岡支店長が本部へと走り、横山常務と直接対決するシーンが2度にわたって描かれました。花沢課長にスパイ行為をやらせていたことに加え、地面師(戸次重幸)の詐欺行為に気づきながら蒲田支店に40億円もの融資をさせようとしていたことを糾弾する片岡支店長。これに対し、横山常務は明後日の方向を向いて「ひどい言いがかりですね~」とシラを切ります。この明後日の向き方は、性格俳優・三上博史ならではの実に素晴しい妙演でした。

 片岡課長の直訴の甲斐なく、花沢課長は別会社に出向することが決まり、1人寂しく蒲田支店から去っていきます。多摩川沿いの暗い夜道、花沢課長の「がんばれ~、蒲田~。がんばれ~、蒲田~」というエールだけが響き渡ります。泣けるシーンのはずでしたが、せっかくの高橋和也の味のある演技も、ご都合主義が目立つ脚本のせいで感情移入できずに終わってしまいました。

 今回、横山常務は「組織の中で一度信用を失ったら、おしまいです」と語っていましたが、いくら俳優陣が熱演してもリアリティーのまるでない脚本が採用されているドラマを視聴者も信用することができません。最終的には蒲田支店は100億円のノルマを達成するのかもしれませんが、視聴者の信用を回復することは恐らく難しいでしょう。

 

気になるメガネ女子行員

 どうしても不満ばかり出てきてしまいますが、ここに来て女性キャストのひとりが気になってきました。三友銀行イメージガールの生田絵梨花ではなく、蒲田支店の窓口にいるメガネ女子行員の橋本真実です。経済誌のグラビア撮影では、中村アンと張り合ってポージングする姿がありました。地味な銀行の制服姿が似合っており、いい感じです。ドラマの本筋とは直接関係のない、中村アンvs.橋本真実の女性行員同士の影バトルを楽しみにしたいと思います。

 さて、気になる視聴率は? 第1話13.8%、第2話8.9%、第3話10.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)という推移でしたが、第4話は9.2%という結果でした。二ケタを守ることはできませんでしたが、あのズボラな脚本では仕方ありません。頼りない片岡支店長を支える真山副支店長役の香川照之や哀愁漂う高橋和也たちの名演があったから、まだこの程度の数字の落ち込みで済んだのでしょう。

 第5話はキムタク主演映画『検察側の罪人』(18年)の犯人役で注目を集めた酒向芳、支店総括部の宿利部長がクローズアップされるようです。脇役ひと筋で生きてきたおじさん俳優たちの熱演に応える、真っ当なドラマになることをせつに希望します。

(文=長野辰次)

“カマキリ先生”香川照之に福山雅治が喰われた!? 『集団左遷!!』第3話は視聴率二ケタを守れたか

 福山雅治が主演する初のサラリーマンもの『集団左遷!!』(TBS系)。元号が平成から令和に変わり、キャッチコピーも「平成最後の下克上だ」から「令和最初の下克上だ」に変わりました。さて、どれだけの人が気づいたでしょうか。第3話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 第1話からそこはかとなく漂う“コレジャナイ感”。第3話では廃店が決まっている三友銀行蒲田支店の片岡支店長(福山雅治)たちの前に、廃店計画を進める本部の横山常務(三上博史)が現われます。両者の間で激しい視殺戦が繰り広げられるかと思いきや、横山常務は「業績アップ、おめでとうございます」と蒲田支店の奮闘ぶりを讃え、あっさりと引き揚げていきます。あまり意味のないシーンでした。第2話のラストで盛り上げておいて、すっごい肩すかしです。

 片岡支店長は相変わらず「さらにがんばろ~!」としか言わないのですが、半期で100億円のノルマを達成しないと自分たちの居場所がなくなる蒲田支店の行員たちは尻に火が点いた状態となり、懸命に営業成績を上げていきます。

 

目の前の上司をスパイ呼ばわりする不自然さ

 ところが横山常務の指図で、またしても本部の横やりが入ります。廃店候補となっている支店が扱っている大口の取引先は、本部へと移管されることになったのです。さらに、廃店した支店の残務処理に10人回すように蒲田支店に命令が下ります。これでは、いくらがんばってもノルマを達成することは不可能です。

 せっかく団結しかかっていた蒲田支店ですが、亀裂が生じます。若手行員の滝川(神木隆之介)が「ここの情報がダダ漏れしている。おかしい。本部の肩を持つ真山さんがスパイじゃないか」とみんなの前で言い出します。滝川にとって、副支店長の真山(香川照之)は上司です。いくらドラマとはいえ、目の前にいる上司に向かってこれはないんじゃないでしょうか。若手演技派の神木くんから出てきた台詞だけに、余計に違和感がありました。

 もしかするとTBSのディレクターは、ダメダメ人間たちの中で起きる魔女狩りの恐ろしさを描きたかったのでしょうか。それにしても中途半端です。大手銀行を舞台にした企業ドラマにもかかわらず、“コレジャナイ感”がますます濃厚に漂ってきます。

 

カマキリ先生の意外な一面

 そんな第3話でも、見どころはありました。みんな残業してヤル気を見せているのに、副支店長の真山だけは定時でさっさと退社していきます。『下町ロケット』(TBS系)第2シーズンの変人・軽部(徳重聡)もそうでしたが、残業しないで帰る社員は「日曜劇場」の世界では白眼視されるのでした。でも、真山には定時に退社する理由がありました。愛妻・有里(西田尚美)が長年にわたって入院しており、元気づけるために病院へ足繁く通っていたのです。

 花束を手に病室を訪ねてきた真山に対し、ベッドに伏している妻・有里は「あなたがいっぱい仕事できるよう、私も退院したら張り切ってご飯つくるわ」と囁くのでした。小さく微笑んで妻を見守る真山。企業ドラマブームを巻き起こした『半沢直樹』(TBS系)での顔面演技が大きな話題を呼んだ香川照之ですが、抑えた演技もなかなかです。昆虫に大人げなく大興奮してみせる“カマキリ先生”香川の意外な一面を知り、視聴者もホロリとさせられるのでした。

 ちなみに“カマキリ先生”は5月3日に放送された『香川照之の昆虫すごいぜ! 6時間目』(NHK Eテレ)ではアリを取り上げ、働きアリたちの社会と人間社会を重ね合わせ「あなたにはあなたにしかできないことがある。それをアリの世界が証明している」と熱い言葉を残しています。味方に付ければ心強いけれど、敵に回すと恐ろしい男、それが香川照之です。

 カマキリ先生、いや違った真山副支店長の見せ場が続きます。第3話では主に真山を尾行していた片岡支店長は、病院のロビーでようやく真山を見つけます。真山が定時で退社していた理由が分かり、スパイの疑いも晴れました。

真山「妻が退院したとき、私の今の仕事をなくすわけにはいきません。例え、どんなゴールが待っているかは分からなくても、何もしないわけにはいきません」

 がんばらない代表だった真山が、ついに片岡と手を組み、がんばることを決意したのでした。片岡と真山、スーツ姿のおっさん2人で多摩川の土手を競い合うように走ります。まるでスポ根ドラマのような展開ですが、脚本家のいずみ吉紘って、映画『ROOKIES 卒業』(09年)を書いた人だったんですね。片岡支店長がやたらと土手を走りたがることに、妙に納得しました。

 片岡と真山の共闘作戦の第1弾は、「田口るみビューティーサロン」の杜撰な経営を立て直すことでした。るみ社長(浅野ゆう子)と夫である専務(高木渉)に再建計画書を渡し、お客の信頼を取り戻すよう進言します。それまでホスト遊びで散財していたるみ社長ですが、2人の熱意に打たれてすっかり改心。もう少しでるみ社長にうっかり30億円を融資するところだった片岡は、真山の慎重さのお陰で九死に一生を得たのでした。真山さまさまです。

 

大幅ダウンしていた第2話の数字

 いつもと違った抑えた演技で、第3話の美味しいところをさらっていった香川照之。福山雅治は主役の座を喰われたかっこうとなりましたが、視聴率はどうだったのでしょうか?

 初回13.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と思いのほか好発進した『集団左遷!!』でしたが、第2話は8.9%、第3話は10.1%という結果でした。第2話で4.9%も大幅ダウンしていたとは……。救いは福山と香川ががっちりスクラムを組んだ第3話で、二ケタに持ち直したことでしょうか。

 この数字をキープできるかどうかは、やはり福山主演ドラマとしてではなく、企業ドラマとしてアンサンブルの面白さを発揮できるか次第ではないでしょうか。第4話は元男呼闘組の高橋和也にスポットライトが当たるようです。おっさんたちが底力を発揮して、採算効率しか考えない体制側や世間の常識にひと泡吹かせる展開に期待したいと思います。

(文=長野辰次)

“カマキリ先生”香川照之に福山雅治が喰われた!? 『集団左遷!!』第3話は視聴率二ケタを守れたか

 福山雅治が主演する初のサラリーマンもの『集団左遷!!』(TBS系)。元号が平成から令和に変わり、キャッチコピーも「平成最後の下克上だ」から「令和最初の下克上だ」に変わりました。さて、どれだけの人が気づいたでしょうか。第3話を振り返りたいと思います。

(前回までのレビューはこちらから)

 第1話からそこはかとなく漂う“コレジャナイ感”。第3話では廃店が決まっている三友銀行蒲田支店の片岡支店長(福山雅治)たちの前に、廃店計画を進める本部の横山常務(三上博史)が現われます。両者の間で激しい視殺戦が繰り広げられるかと思いきや、横山常務は「業績アップ、おめでとうございます」と蒲田支店の奮闘ぶりを讃え、あっさりと引き揚げていきます。あまり意味のないシーンでした。第2話のラストで盛り上げておいて、すっごい肩すかしです。

 片岡支店長は相変わらず「さらにがんばろ~!」としか言わないのですが、半期で100億円のノルマを達成しないと自分たちの居場所がなくなる蒲田支店の行員たちは尻に火が点いた状態となり、懸命に営業成績を上げていきます。

 

目の前の上司をスパイ呼ばわりする不自然さ

 ところが横山常務の指図で、またしても本部の横やりが入ります。廃店候補となっている支店が扱っている大口の取引先は、本部へと移管されることになったのです。さらに、廃店した支店の残務処理に10人回すように蒲田支店に命令が下ります。これでは、いくらがんばってもノルマを達成することは不可能です。

 せっかく団結しかかっていた蒲田支店ですが、亀裂が生じます。若手行員の滝川(神木隆之介)が「ここの情報がダダ漏れしている。おかしい。本部の肩を持つ真山さんがスパイじゃないか」とみんなの前で言い出します。滝川にとって、副支店長の真山(香川照之)は上司です。いくらドラマとはいえ、目の前にいる上司に向かってこれはないんじゃないでしょうか。若手演技派の神木くんから出てきた台詞だけに、余計に違和感がありました。

 もしかするとTBSのディレクターは、ダメダメ人間たちの中で起きる魔女狩りの恐ろしさを描きたかったのでしょうか。それにしても中途半端です。大手銀行を舞台にした企業ドラマにもかかわらず、“コレジャナイ感”がますます濃厚に漂ってきます。

 

カマキリ先生の意外な一面

 そんな第3話でも、見どころはありました。みんな残業してヤル気を見せているのに、副支店長の真山だけは定時でさっさと退社していきます。『下町ロケット』(TBS系)第2シーズンの変人・軽部(徳重聡)もそうでしたが、残業しないで帰る社員は「日曜劇場」の世界では白眼視されるのでした。でも、真山には定時に退社する理由がありました。愛妻・有里(西田尚美)が長年にわたって入院しており、元気づけるために病院へ足繁く通っていたのです。

 花束を手に病室を訪ねてきた真山に対し、ベッドに伏している妻・有里は「あなたがいっぱい仕事できるよう、私も退院したら張り切ってご飯つくるわ」と囁くのでした。小さく微笑んで妻を見守る真山。企業ドラマブームを巻き起こした『半沢直樹』(TBS系)での顔面演技が大きな話題を呼んだ香川照之ですが、抑えた演技もなかなかです。昆虫に大人げなく大興奮してみせる“カマキリ先生”香川の意外な一面を知り、視聴者もホロリとさせられるのでした。

 ちなみに“カマキリ先生”は5月3日に放送された『香川照之の昆虫すごいぜ! 6時間目』(NHK Eテレ)ではアリを取り上げ、働きアリたちの社会と人間社会を重ね合わせ「あなたにはあなたにしかできないことがある。それをアリの世界が証明している」と熱い言葉を残しています。味方に付ければ心強いけれど、敵に回すと恐ろしい男、それが香川照之です。

 カマキリ先生、いや違った真山副支店長の見せ場が続きます。第3話では主に真山を尾行していた片岡支店長は、病院のロビーでようやく真山を見つけます。真山が定時で退社していた理由が分かり、スパイの疑いも晴れました。

真山「妻が退院したとき、私の今の仕事をなくすわけにはいきません。例え、どんなゴールが待っているかは分からなくても、何もしないわけにはいきません」

 がんばらない代表だった真山が、ついに片岡と手を組み、がんばることを決意したのでした。片岡と真山、スーツ姿のおっさん2人で多摩川の土手を競い合うように走ります。まるでスポ根ドラマのような展開ですが、脚本家のいずみ吉紘って、映画『ROOKIES 卒業』(09年)を書いた人だったんですね。片岡支店長がやたらと土手を走りたがることに、妙に納得しました。

 片岡と真山の共闘作戦の第1弾は、「田口るみビューティーサロン」の杜撰な経営を立て直すことでした。るみ社長(浅野ゆう子)と夫である専務(高木渉)に再建計画書を渡し、お客の信頼を取り戻すよう進言します。それまでホスト遊びで散財していたるみ社長ですが、2人の熱意に打たれてすっかり改心。もう少しでるみ社長にうっかり30億円を融資するところだった片岡は、真山の慎重さのお陰で九死に一生を得たのでした。真山さまさまです。

 

大幅ダウンしていた第2話の数字

 いつもと違った抑えた演技で、第3話の美味しいところをさらっていった香川照之。福山雅治は主役の座を喰われたかっこうとなりましたが、視聴率はどうだったのでしょうか?

 初回13.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と思いのほか好発進した『集団左遷!!』でしたが、第2話は8.9%、第3話は10.1%という結果でした。第2話で4.9%も大幅ダウンしていたとは……。救いは福山と香川ががっちりスクラムを組んだ第3話で、二ケタに持ち直したことでしょうか。

 この数字をキープできるかどうかは、やはり福山主演ドラマとしてではなく、企業ドラマとしてアンサンブルの面白さを発揮できるか次第ではないでしょうか。第4話は元男呼闘組の高橋和也にスポットライトが当たるようです。おっさんたちが底力を発揮して、採算効率しか考えない体制側や世間の常識にひと泡吹かせる展開に期待したいと思います。

(文=長野辰次)

嵐・二宮和也『ブラックペアン』の物足りなさは“ミスター日曜劇場”香川照之の不在が原因?

「面白いけど物足りない」……そんな感想を持った人も多かったのではないだろうか?

 4月22日に放送された嵐の二宮和也主演ドラマ『ブラックペアン』(TBS系)の初回平均視聴率が、13.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったと発表された。

 多くのメディアが「好発進」「好スタート」と報じていたが、『半沢直樹』『下町ロケット』『99.9 -刑事専門弁護士-』『陸王』など、平均視聴率15%超えの大ヒットドラマも多い日曜劇場と比較すると、やや肩透かしの船出と言えそうだ。

「全体的にモヤっとした感があった」と言うテレビ誌ライターが続ける。

「金に汚い天才的な技術を持つ外科医が、医療界の理不尽な常識と闘いながら、難手術を成功させる……『ブラックジャック』や『白い巨塔』、テレビ朝日系の『ドクターX~外科医・大門未知子~』など、これまでの医療モノのいいとこ取りの印象でしたね。とりわけ第1話は、有名教授の腰ぎんちゃくが手術に失敗して慌てふためくところに登場して、難手術を成功させるのは『ドクターX』とまったく一緒。要は二宮が男版・大門未知子というわけですが、大門と違って難しいところだけやってあとは丸投げですから、爽快感は薄い」

 さらに気になったのが、出演者の既視感だ。

「竹内涼真、小泉孝太郎なんてまんま『下町ロケット』に出演していましたね。竹内のさわやかキャラは『陸王』の“茂木”とまったく同じだし、『ブラックペアン』のメイン視聴者はこれらのドラマも観ているはずですから、感情移入も3割減でしょう」(同)

 そして、最大の物足りなさが、やはり“あの人”の不在だろう。

「“ミスター日曜劇場”の香川照之が登場していないのも、視聴率が伸び悩んだ理由かもしれません。『半沢直樹』『99.9』『小さな巨人』で見せた顔芸は、もはや中毒症状が出るレベル。ドラマに重厚な空気が足りないのも、視聴者が“香川慣れ”してしまったせいかもしれません」(同)

『小さな巨人』の初回視聴率は『ブラックペアン』と同じ13.7%。そこから最終回は自己最高の16.4%まで持ち上げているが、上積み材料に乏しい中、巻き返しができるか注目だ。

嵐・二宮和也『ブラックペアン』の物足りなさは“ミスター日曜劇場”香川照之の不在が原因?

「面白いけど物足りない」……そんな感想を持った人も多かったのではないだろうか?

 4月22日に放送された嵐の二宮和也主演ドラマ『ブラックペアン』(TBS系)の初回平均視聴率が、13.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だったと発表された。

 多くのメディアが「好発進」「好スタート」と報じていたが、『半沢直樹』『下町ロケット』『99.9 -刑事専門弁護士-』『陸王』など、平均視聴率15%超えの大ヒットドラマも多い日曜劇場と比較すると、やや肩透かしの船出と言えそうだ。

「全体的にモヤっとした感があった」と言うテレビ誌ライターが続ける。

「金に汚い天才的な技術を持つ外科医が、医療界の理不尽な常識と闘いながら、難手術を成功させる……『ブラックジャック』や『白い巨塔』、テレビ朝日系の『ドクターX~外科医・大門未知子~』など、これまでの医療モノのいいとこ取りの印象でしたね。とりわけ第1話は、有名教授の腰ぎんちゃくが手術に失敗して慌てふためくところに登場して、難手術を成功させるのは『ドクターX』とまったく一緒。要は二宮が男版・大門未知子というわけですが、大門と違って難しいところだけやってあとは丸投げですから、爽快感は薄い」

 さらに気になったのが、出演者の既視感だ。

「竹内涼真、小泉孝太郎なんてまんま『下町ロケット』に出演していましたね。竹内のさわやかキャラは『陸王』の“茂木”とまったく同じだし、『ブラックペアン』のメイン視聴者はこれらのドラマも観ているはずですから、感情移入も3割減でしょう」(同)

 そして、最大の物足りなさが、やはり“あの人”の不在だろう。

「“ミスター日曜劇場”の香川照之が登場していないのも、視聴率が伸び悩んだ理由かもしれません。『半沢直樹』『99.9』『小さな巨人』で見せた顔芸は、もはや中毒症状が出るレベル。ドラマに重厚な空気が足りないのも、視聴者が“香川慣れ”してしまったせいかもしれません」(同)

『小さな巨人』の初回視聴率は『ブラックペアン』と同じ13.7%。そこから最終回は自己最高の16.4%まで持ち上げているが、上積み材料に乏しい中、巻き返しができるか注目だ。

嵐・松本潤『99.9』最終話、シリーズ最高視聴率獲得も「ショボい事件&プロレス愛」の押しつけにウンザリ!

 嵐・松本潤が主演を務めるドラマ『99.9 -刑事専門弁護士- SEASONII』(TBS系)も今回で最終回。平均視聴率21.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、シリーズ通して最高の数字を叩き出しました。

 今回の依頼主は、久世亮平(Hey! Say! JUMP・中島裕翔)。その依頼内容は、8年前に母・直美(竹内都子)を殺した後、当時経営していた蕎麦屋に放火した罪で死刑判決を受けた父・貴弘(小林隆)の再審請求をしてほしいというもの。亮平いわく、「両親は仲が良く、父が母を殺すわけがない」とのことなのです。

 その8年前の事件のあらましは以下の通り。久世夫婦は、蕎麦屋の厨房内で口論を起こし、カッとなった貴弘が外出。そして、21時30分頃にガソリンスタンドで灯油を購入後、店へ戻ったら火災が発生していたというわけなのです。

 直美の後頭部には鈍器で殴られたような痕があり、ガソリンスタンドのレジ・データには灯油15リットル分の購入記録が残っていた。しかし、車から発見されたポリタンクには5リットル分の灯油しか入っていなかったため、貴弘は不利な状況へと追い込まれてしまったのでした。

 けれど、深山大翔(松本潤)が再調査した結果、防犯カメラの映像が示す時刻に8分のズレがあることが発覚。そして、正確な時刻とレジ・データを照らし合せたところ、貴弘は確かに5リットル分の灯油しか購入していなかったことが判明するのです。

 しかし、この証拠を突きつけても、裁判所は再審請求を却下。それもそのはずです。再審を認めるということは、死刑判決の非を認めるということ。最高裁で結審した判決を覆すことはほぼ不可能に近いのです。

 深山は諦めることなく、再び事件を洗い直します。すると、裁判では古紙類置き場への放火が火災原因とされたものの、ちょうど同じ時間、厨房内に置いてあった天カスも自然発火していたことが判明。このことから深山は、直美はなにかの拍子に転倒して頭を打ち、気を失っている間に天カスが燃えて一酸化炭素中毒で死んだのではないか、と推測します。

 では、誰が古紙類に放火を? ということで、事件当時、蕎麦屋と一体になっていたアパートの住人に事情聴取をすることに。その結果、厨房の隣室に住んでいた教師の海老沢晋(成河)が最初に厨房のボヤに気づき、騒動のせいで自分の罪(生徒たちの体操服を窃盗)が警察に発覚してしまうことを恐れたため、古紙類に放火したことが判明。再審請求は通り、貴弘の無罪が確定したところで終了となりました。

 さて、2時間スペシャルで放送された最終回。今シーズンはどの回も扱う事件がショボく、深山の調査に関してはご都合主義だらけの展開という、高視聴率に反比例して内容的には低レベルなものだらけでした。せめて最後ぐらいはビシッと、と期待していたのですが、やはり肩透かしをくらってしまいました。

 今回、最も気になったのは、海老沢を追い詰めていった流れ。ボヤに気づき自室を飛び出した海老沢が、古紙類置き場にあった雑誌の表紙を覚えていたことに対して、深山は違和感を抱き、当時の状況を再現したんですね。

 で、実際に火をつけた結果、雑誌はすぐに燃えてしまったため、事件当時も表紙を確認できたハズが“絶対に”ないと、海老沢を脅すような口調で迫ったのですが、必ずしも絶対とは言い切れないんじゃないですかね。

 たとえば、その雑誌だけたまたま灯油がかかっていなかったとしたら? あるいは、海老沢が見た時はすでに燃えてしまっていたとしても、その直前に通りかかった時に見た記憶とごっちゃになってしまった可能性だってありますよね。

 また、海老沢が放火した動機もイマイチ納得がいかない。ボヤ騒動で警察が立ち入り捜査に来たら、盗んだ体操服が発見されてしまうから、とのことですが、どこかに隠すなり捨てるなりすれば良かったのでは? 放火の方がよっぽど罪が重いのに、そんなことしますかね。

 なんだかんだで深山は無罪を勝ち取ったわけですが、結局、直美の後頭部のケガの原因は明かされず。転倒して頭を打ち、その間に天カスが燃えて一酸化炭素中毒になったというのは、あくまでも深山の推測にすぎない。転倒したことを証明する証拠はなにも提示されなかったのです。

 不完全燃焼で終わったのは、例のごとく無駄な小ネタやオヤジギャグがこれでもかと盛り込まれたからでしょう。実質、1時間でもこと足りる物語を間延びさせたにすぎません。

 特に今シーズンを通じてウンザリさせられたのは、執拗に挿入されたプロレスネタ。これは、前シーズンのヒロイン・立花彩乃(榮倉奈々)がプロレス好きという設定がウケたため、今回も引き継がれたのでしょう。しかし、前回はただ単に、肉食系のイメージが薄い榮倉が“プ女子”を演じる、というギャップがウケただけだと思うんですよね。

 それが、何を勘違いしたのか、プロレスネタ自体がウケたと受け止めた制作陣は、毎回のようにストーリーに関係のないプロレスラーをゲストに呼び、見せ場をつくる始末。プロレス愛を押しつけるヒマがあるのなら、深山が司法の闇に立ち向かう姿をもっと描いてほしかった。冤罪問題について、もっとガッツリ取り組んでほしかった。というのが、全体を通しての感想です。

 とはいえ、視聴率は良かったですから、恐らく続編が制作されるのでしょうね。次シーズンでは悪ふざけが増長しないことを願うばかりです。
(文=大羽鴨乃)

嵐・松本潤、『99.9』でシリアス演技で魅力発揮も、ストーリーには意外性なし……

 嵐・松本潤がマイペースな弁護士役で主演を務めるドラマ『99.9 -刑事専門弁護士- SEASONII』(TBS系)の第8話が11日に放送され、視聴率18.0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回より0.6ポイントアップとなりました。

 今回、深山大翔(松本潤)が弁護を担当することになったのは、ニシカワメッキ社長の西川五郎(おかやまはじめ)。西川は、選挙を控える藤堂正彦(佐野史郎)に羊羹を贈呈したのですが、それを食べた藤堂とその妻・京子(森口瑤子)、第一秘書の上杉、後援会長の金子源助(原金太郎)の4人のうち、上杉が死に、京子が意識不明の重体となってしまったのです。

 羊羹からはセトシンという毒物が検出され、西川が会社で個人保管しているセトシンとまったく同じ組成であることが発覚。羊羹の包みには毒薬の注入痕も残っており、西川の有罪はほぼ間違いなしの状態なのです。

 しかし、個人で鑑定を行っている沢渡清志郎(白井晃)が高精度の解析機器を用いて調べたところ、2つのセトシンは別物であることが判明。また、今回の事件で用いられたセトシンが、2年前に島根県にある平塚冶金工業で起きた殺人事件で用いられたものとまったく同じ組成であることもわかります。

 さらに、その平塚冶金工業の社長と藤堂が異母兄弟であることが判明。そして、上杉が藤堂の不倫スキャンダルを告発する動きをしていたという情報をキャッチしたため、深山は藤堂が毒殺犯なのではないかと疑います。

 しかし、藤堂が真犯人となると、2つの疑問が生じます。その1つは、いつ毒を注入したのか。もう1つは、どうやって上杉を狙い殺すことができたのか、という点。というのも、羊羹は4等分され、4人が無作為で選んで食べたからです。

 1つ目の疑問については、意識を取り戻した京子が、事件直前に自宅で同じ羊羹を見たことを思い出したため解決。つまり、藤堂はあらかじめセトシンを注入した羊羹を用意しておいて、切り分ける直前にすり替えたというわけです。

 そして迎えた裁判。京子の証言に検察側は明らかに動揺し、深山は勝訴を確信します。しかし、ここで裁判長・川上憲一郎(笑福亭鶴瓶)が、自宅に置いてあったという羊羹のラベルの色や柄などについて京子を質問攻め。京子がたじたじとなってしまったため証言の信頼性が失われ、結果的に西川の有罪が確定してしまうのです。

 川上の汚いやり口に憤った深山は、すぐさま控訴。そして、事件の捜査記録を洗い直した結果、あることに気がつきます。

 選挙事務所を訪れた深山は、藤堂、京子、金子の3人に事件時の再現を依頼。そして、切り分けた羊羹を食べる段になったところで、事件後に事務所から出されたゴミの中から見つけてきたという爪楊枝入れを取り出し、そこから1本1本、藤堂たちに爪楊枝を手渡していきます。

 実は事件時に用意された爪楊枝入れは、致死量のセトシンと死なない程度のセトシンを付着させたもの、何も付着していない爪楊枝とが、3つに仕切られ入れられていたのです。

 そしてもちろん、深山が用意したのは別の爪楊枝入れ。このトラップに引っかかり、毒死を恐れて羊羹を口にしなかった藤堂は、犯行を自白します。また、無差別殺人に見せかけるため、京子も共犯だったことが発覚。西川の無罪が確定し、一件落着となりました。

 さて、感想ですが、事件発生直後、警察はなぜ爪楊枝の行方を捜査しなかったのか、という疑問はありましたが、これまでを振り返ればミステリー的な要素については一番マシな回だったといえるのではないでしょうか。少なくとも、まず謎を提示し、いくつかのステップに分けて謎解きをするという体裁は今シーズンで一番整っていたと思います。

 とはいえ、日本の刑事事件における裁判有罪率“99.9”%をタイトルに用い、0.1%の可能性に賭けて無罪を証明する、という大風呂敷を広げてしまっていることを考慮すれば、期待外れの出来。京子が被害者に見せかけて実は共犯者という展開はありきたりですし、食べ物ではなく爪楊枝に毒を付着させるトリックも意外性はない。どれもミステリー小説やドラマでは手垢のついたものばかりです。

 そもそも、今シーズンで扱っている事件はどれも中途半端。有罪率が99.9%になってしまうのは、被疑者が絶対的不利な状況に追い込まれてしまっているからなのか、裁判所と検察のズブズブの関係による作為的なものなのか。つまりは、難解な謎解きをメインに描きたいのか、司法機関VS深山の構図を描きたいのか、テーマがはっきりしないのです。

 個人的には、深山VS川上のシーンをもっと見たい。今回、川上が京子に対して質問攻めをした結果、敗訴が決定した瞬間の深山のシリアスな表情がとても印象的でした。深山自身、実の父親が殺人の冤罪で逮捕された過去があるため、理不尽な判決への怒りや悔しさ、自分自身の不甲斐なさ、無力感などが入り混じった感情を、松本潤が顔の表情だけでうまく表現していたと思います。

 最終回となる次週、死刑囚の再審請求を巡り、深山と川上が再び対峙。しかも2時間スペシャルということで、おやじギャグの連発や笑えない小ネタなどの無駄シーンを極力カットして、正面切っての濃厚な対決を期待したいです。
(文=大羽鴨乃)