Microsoft Storeでの販売終了で、がぜん現実味を帯びる電子書籍の脆弱性

 4月にマイクロソフトが突如発表した「Microsoft Store」での販売終了が、電子書籍の危うさを実感させている。

 近年、紙に変わって雑誌や書籍を読む手段として普及してきている電子書籍。多数の電子書籍販売サイトが乱立し、さまざまなジャンルの作品が販売されている。

「すでにマンガ……とりわけエロに関しては電子が紙の売り上げを逆転しています。マンガも電子配信が主流になりつつあります。これによってユーザーも慣れてきたのか、最近では文字の本も電子版の売り上げが伸びてきています。一時は、文字を読むには紙でなくてはならないという意見もリアリティがありましたが、次第にそれも過去の話になっていますね」(編集者)

 だが、電子書籍には大きな問題がある。それは、販売されているのはあくまでデータを閲覧する権利だけであること。紙の本のように人にあげるとか、古本屋に売ることもできない。そして、その電子書籍のサービスがなくなれば、消失してしまうのだ。

 Microsoft Storeの場合、終了にあたって購入分の全額返金を打ち出している。けれども、すべての電子書籍サイトが、そういった措置をとれるかはわからない。

「これまでのところ、サービスを止めるにあたってなんら補填がなくても騒動になるということは起きた事例がありません。とはいえ、あくまで私企業の行っている事業ですから、突然なくなることも大いにあり得る。そこは、これからも電子書籍のネックになり続けるでしょう」(同)

 先日、eBookJapanがYahoo!と統合し、サービスを一新した際には、使い勝手が悪くなったとユーザーからフルボッコにされた。結局、電子書籍の問題点は、すでに本を購入しているのに、運営の論理に振り回されることだろう。

 これは電子書籍がどんなに普及しても消えない問題。そう考えると、紙の本が消え去るなんてことはなさそうだな。
(文=是枝了以)

普及すればするほど露わになる「電子書籍」が抱える“最大の危険”とは

 電子書籍サービスの終了が相次ぎ、本をデータで所有することの危うさが浮き彫りになっている。

 アメリカのMicrosoftは4月2日に、突如「Microsoft Store」から電子書籍を削除し、販売を終了することを発表。閲覧ができなくなる7月上旬に、購入代金の全額返金を行うとしている。

 日本国内でも大日本印刷子会社のトゥ・ディファクトがブクログから譲渡を受けて運営していた個人向けの電子書籍の作成・販売サービスである「パブー」を9月末で終了することを発表している(「パブー」はサービス終了後も、購入コンテンツをダウンロードしていればフォーマットに対応したビューアで閲覧は可能)。

 スマホやタブレット型PCの普及と共に電子書籍の市場は拡大してきた。書店に足を運ばなくてもすぐに本を購入することができる。さらに、紙の本に比べると再販制度の対象にはなっていないために、頻繁にバーゲンが行われて安く購入ができるという利点もある。さらに長編漫画のような紙で所有していれば置き場所に困るようなものも電子書籍ならば、気軽に購入することができる。

 そうしたよいとこばかりの電子書籍であるが、問題点はサービスを行っている企業が存続しなければ本は読めなくなるということ。

 電子書籍を購入する時に販売されているのは、あくまで実態のないデータであり、それを読む権利。なので、企業がサービスを止めるなり倒産するなりしてしまえば、それまでに所有していた膨大な本がすべて消滅してしまう危機感があるのだ。

 現在のところ、電子書籍でも大手であれば、そのような問題はないだろう。ただ、それらの企業はあくまで営利目的の私企業。もしも、収益があがらないなどの問題がおこればサービスがなくなり、本も消えてしまう可能性は避けられない。

 財産をデータだけで所有することの危険性。今は好調の電子書籍ゆえに、今後も問題にならないといいが……。
(文=大居候)

普及すればするほど露わになる「電子書籍」が抱える“最大の危険”とは

 電子書籍サービスの終了が相次ぎ、本をデータで所有することの危うさが浮き彫りになっている。

 アメリカのMicrosoftは4月2日に、突如「Microsoft Store」から電子書籍を削除し、販売を終了することを発表。閲覧ができなくなる7月上旬に、購入代金の全額返金を行うとしている。

 日本国内でも大日本印刷子会社のトゥ・ディファクトがブクログから譲渡を受けて運営していた個人向けの電子書籍の作成・販売サービスである「パブー」を9月末で終了することを発表している(「パブー」はサービス終了後も、購入コンテンツをダウンロードしていればフォーマットに対応したビューアで閲覧は可能)。

 スマホやタブレット型PCの普及と共に電子書籍の市場は拡大してきた。書店に足を運ばなくてもすぐに本を購入することができる。さらに、紙の本に比べると再販制度の対象にはなっていないために、頻繁にバーゲンが行われて安く購入ができるという利点もある。さらに長編漫画のような紙で所有していれば置き場所に困るようなものも電子書籍ならば、気軽に購入することができる。

 そうしたよいとこばかりの電子書籍であるが、問題点はサービスを行っている企業が存続しなければ本は読めなくなるということ。

 電子書籍を購入する時に販売されているのは、あくまで実態のないデータであり、それを読む権利。なので、企業がサービスを止めるなり倒産するなりしてしまえば、それまでに所有していた膨大な本がすべて消滅してしまう危機感があるのだ。

 現在のところ、電子書籍でも大手であれば、そのような問題はないだろう。ただ、それらの企業はあくまで営利目的の私企業。もしも、収益があがらないなどの問題がおこればサービスがなくなり、本も消えてしまう可能性は避けられない。

 財産をデータだけで所有することの危険性。今は好調の電子書籍ゆえに、今後も問題にならないといいが……。
(文=大居候)

「生まれ変わりました」じゃねえよ……「eBookJapan」がYahoo!ブックストアと一本化でユーザーの怒りが大爆発

「生まれ変わりました」じゃねえよ。3月初っぱなからあちこちで共通の話題になっている老舗電子書店「eBookJapan」とYahoo!ブックストアの一本化。新たな展開による魅力を語り合っている人は一人もいない。ほぼ例外なく、この話題には怒りと不安とが渦巻いているのだ。

 イーブックイニシアティブジャパンが運営する「eBookJapan」は、これまで多くのユーザーの支持を集めてきた。ラインナップが豊富で過去の名作も山のようにある。画質もなかなかよい。何よりも、読むときの閲覧アプリが優れていた。実際の本棚のように背表紙で並べることができ、読書している時の感覚はパソコンでもスマホやタブレットでも、長年慣れ親しんだ紙の本を読む時と遜色はなかった。

「アプリを使えば端末にダウンロードしながらでも読むことできます。それに、シリーズ各巻を並べた時も所有欲を満たすことができるデザインになっていました。そうした優れた要素が一本化によって完全に消滅してしまったんです」(編集者)

 ユーザーが激怒しているのは、アプリの改悪である。これまでの「eBookJapan」のアプリは、サイト上で購入した本を自分の手に持ってきて読む感覚に特化したもの。ところが、新たなアプリはまったく違う。

「本を買って読むという感覚がまったくなくなってしまいました。背表紙で並べることもできませんし、所有している感覚がまったくないのです。おまけに、必要もないのに毎日無料で読めるポイントがつくとは……」(同)

 もちろん、一本化そのものは悪いことではない。だが、これまでのユーザーが満足感を得ていた下地の部分がすべて消えてしまっているのだ。これは「改悪」以外の何物でもない。単にリーダーはそのままに、サービスだけ移行すればよかったのに、もっと本を売りつけようという意思が見え隠れしているのだ。

 それでも、ユーザーは使い続けるしかない。

 なにせ評判の高かった「eBookJapan」ゆえ、会社が潰れて読めなくなってしまうという不安や可能性はほとんどなかった。なので、すでに大量のマンガを所有しているユーザーが多いのだ。筆者も1,000冊程度を所有しているが、これはまだ少ない方。5,000冊どころか1万冊を所有しているユーザーもざらにいるのである。

 つまり、いまユーザーにできるのは「元のアプリに戻せ」と新「ebookjapan」に要求していくことであろう。

 これはきっと、何かの悪い巡り合わせで担当者がマヌケだっただけ。きっと要望が集まれば、すぐに前の状態に戻るはずだ。

 現在も旧アプリは使用できるが、これもいつまでかはわからない。一刻も早く要望を送りつけよう。
(文=昼間たかし)

もう、再販制いらなくないか? 電子書籍で漫画が売れて講談社は絶好調!

 出版不況という言葉も挨拶のようになり、もはや斜陽産業といわれる出版業界。そうした中で、講談社の決算発表が注目を集めている。純利益が前期の64%増加という好調ぶりを示しているからだ。

 2月21日に発表された2018年11月期の単独決算で、講談社は純利益で前期比64%増の28億円。売上高は2%増の1,204億円となったとしている。

 この利益増の理由は、電子書籍が好調なことだ。紙のほうは雑誌・書籍ともに前年を下回っているのだが、デジタル分野の売上高は34%増の334億円だった。けん引役は漫画を中心とする電子書籍で44%増の315億円となっている。いまだ、普及しているのかどうかもはっきりせず、足踏みが続いているように見える電子書籍だが、漫画に限っては、もはや紙に変わって主流になっているといっても過言ではない。

「すでに、漫画では電子書籍が紙と同時発売されるのは当たり前になりました。買いにいく手間もありませんし、紙に比べて若干安価だったり、販売サイトによってはポイントも獲得できます。何より紙の本に比べてかさばらないという利点は大きく、電子書籍が格段に有利なのは間違いないでしょう」(漫画編集者)

 さらに電子書籍の普及を後押ししているのは、頻繁に行われる割引きキャンペーンだ。現在、AmazonのKindleストアでは講談社の電子書籍が最大で実質半額になるセールを実施しているが、漫画ではこうしたキャンペーンが頻繁に行われている。紙の本は再販制の存在ゆえに、割引が困難。対して、割引が容易な電子書籍は、出版社が値段を下げてでも売りたい話題作を扱うのに適したシステムとなっている。

「紙の本は定価で販売することが常識でしたが、もし広く読者を獲得しようとするならば、期間限定のセールが実施されてもよいはず。今の時代、定価販売にこだわるような再販制を維持する必要もないんじゃないかと思います」(同)

 やはり、電子書籍が出版業界を次のステージへと移行させるカギとなるのか。
(文=大居候)

エロマンガでは、すでに電子書籍がメインに……マンガ単行本の「紙と同時発売」は売上を増やすのか

 紙の本とその電子書籍版の発売日がズレることは、売上にマイナスを及ぼすのか。マンガ家の問題提起が注目を集めている。

 この問題を提起しているのは『映像研には手を出すな!』(小学館)などで知られる大童澄瞳氏だ。

 大童氏は自身のTwitterで、根拠はないとしながらも「電子版と紙版の販売日ずらしたところで、書店にも出版社にも作者にもなんの意味もない。むしろ悪い影響しかない。」と発言。「電書読者に発売日の油断やミスを誘う事で起きるマイナス効果が大きい」のではないかと記している。

 最近、マンガに限っても電子書籍の需要は伸びている。電子書籍の大手イーブックスなどでは「紙と同時発売」と記された新刊も、当たり前の存在だ。それでもなお、電子書籍版は紙の単行本が出てしばらくしてからという作品も多い。このブランクを生んでいる要因は何か?

「出版社内でも同時に出すか、電子書籍版はしばらく時間を置くか作品によって対応はさまざまです。読者の傾向から見て、紙の単行本を求めるほうが多いのではないかと判断できる場合、電子書籍版を遅らせることが多いのです。ただ、明確な根拠となるデータがあるわけではありません」(編集者)

 判断材料はさまざまだが「作品によっては、紙でないと読みづらい場合がある」「巻数が増えた作品は本棚を圧迫するため電子版で揃えている人が多い」といった事例をもとに考えているという。

 ただ、これは一般向けマンガでの話。18禁の場合は事情がまったく異なる。18禁では、もう「紙よりも電子書籍」が当たり前になりつつあるのだ。

「すでに、エロマンガの市場は電子書籍が紙よりも増えています。紙で出版するのは、電子で売上がよかったものだけという方針の出版社も多いんです」

 そう話すのは、エロマンガ大手の編集者。エロマンガの場合、もはや紙の単行本は秋葉原などの専門書店が売上の大半を占めている状況。紙のほうはコレクターアイテム化しており、一般では電子書籍のオマケのようになっているのである。

「エロマンガの場合、実用重視ですから、いつでもどこでも買うことができる電子書籍版の需要が高いのは当然。それに作家ごとに、単話で買うこともできますし」(同)

 ネットで発売を知った時、すぐに買えるという利点が電子書籍にはある。それは、エロマンガに限らず、一般向け作品でも変わらない。読者が手に取る機会を増やすためにも、もっと「紙と同時発売」が増えてもよいのかもしれない。
(文=特別取材班)

エロマンガでは、すでに電子書籍がメインに……マンガ単行本の「紙と同時発売」は売上を増やすのか

 紙の本とその電子書籍版の発売日がズレることは、売上にマイナスを及ぼすのか。マンガ家の問題提起が注目を集めている。

 この問題を提起しているのは『映像研には手を出すな!』(小学館)などで知られる大童澄瞳氏だ。

 大童氏は自身のTwitterで、根拠はないとしながらも「電子版と紙版の販売日ずらしたところで、書店にも出版社にも作者にもなんの意味もない。むしろ悪い影響しかない。」と発言。「電書読者に発売日の油断やミスを誘う事で起きるマイナス効果が大きい」のではないかと記している。

 最近、マンガに限っても電子書籍の需要は伸びている。電子書籍の大手イーブックスなどでは「紙と同時発売」と記された新刊も、当たり前の存在だ。それでもなお、電子書籍版は紙の単行本が出てしばらくしてからという作品も多い。このブランクを生んでいる要因は何か?

「出版社内でも同時に出すか、電子書籍版はしばらく時間を置くか作品によって対応はさまざまです。読者の傾向から見て、紙の単行本を求めるほうが多いのではないかと判断できる場合、電子書籍版を遅らせることが多いのです。ただ、明確な根拠となるデータがあるわけではありません」(編集者)

 判断材料はさまざまだが「作品によっては、紙でないと読みづらい場合がある」「巻数が増えた作品は本棚を圧迫するため電子版で揃えている人が多い」といった事例をもとに考えているという。

 ただ、これは一般向けマンガでの話。18禁の場合は事情がまったく異なる。18禁では、もう「紙よりも電子書籍」が当たり前になりつつあるのだ。

「すでに、エロマンガの市場は電子書籍が紙よりも増えています。紙で出版するのは、電子で売上がよかったものだけという方針の出版社も多いんです」

 そう話すのは、エロマンガ大手の編集者。エロマンガの場合、もはや紙の単行本は秋葉原などの専門書店が売上の大半を占めている状況。紙のほうはコレクターアイテム化しており、一般では電子書籍のオマケのようになっているのである。

「エロマンガの場合、実用重視ですから、いつでもどこでも買うことができる電子書籍版の需要が高いのは当然。それに作家ごとに、単話で買うこともできますし」(同)

 ネットで発売を知った時、すぐに買えるという利点が電子書籍にはある。それは、エロマンガに限らず、一般向け作品でも変わらない。読者が手に取る機会を増やすためにも、もっと「紙と同時発売」が増えてもよいのかもしれない。
(文=特別取材班)