手のひらから癒やしパワー? 激安クーポンサイトで見つけた「宗教っぽい」施術を体験したら……

お安い金額で、イイことしたい! 得したい!」という女の欲望を刺激する、「クーポン雑誌」「クーポンサイト」が巷に溢れまくっている現代――。しかしあまりの安さに、「こんなに安くて大丈夫?」「逆に損するなんてやーよ!」と、クーポンに半信半疑の人もいるはず。そんなあなたに向けて、女が特に気になる「美容・健康クーポン」を、世界で最も「安い!」に弱い大阪出身の女性ライターが、覆面調査員としてレポートしちゃいます!

 最近、クーポンサイト「E」にハマっている筆者。というのも、この「E」は、年10回以上のサービス利用で得られる特典「ゴールドパスポート」を保持することで、年間を通して多くのプランが最大半額で体験できるお得なサイトなのだ。予約もスムーズに取れ、多くの店舗で「PayPay(ペイペイ)」を使って決済できるのもメリットだと感じている。今回はそんな「E」と、お馴染みのクーポンサイト「G」で見つけた3軒のサロンに潜入する!

潜入その1:「クーポンエステあるある」を打破!?/千石・L

【メニュー】フェイシャルエステ80分
【クーポン価格】2,000円(60%オフ)

 今回「E」で見つけたのは、「ジジババの原宿」こと東京・巣鴨からほど近い千石の激安クーポン。前日に予約を取り、いざ出陣したところ、お店は超高級住宅街の中にあるプライベートサロンだった。「個人のお客様を大切にする」というスタンスのお店のようで、オーナーさんが直々に施術を行ってくれるという。

 このサロンの特徴は、知る人ぞ知る化粧品が使われているところだろう。シワやほうれい線にも効果が期待できるなどと、クオリティーの高さで知られている化粧品だけに、そのアイテムをフルに使ってエステを施してくれるとなれば、必然的にテンションも上がる。オーナーさんが、写真よりもずっと若いと感じたのも、「もしかしてあの化粧品効果?」と期待を高めてくれた。

 今回筆者がセレクトしたコースは毛穴の黒ずみ、開き、くすみなどをケアするコース。スチームをあてつつ、途中、超音波機器で振動を与え、クレンジングとマッサージ、そして最後にパックをしてくれ、とにかく「施術者が肌に触れてくれる時間が長いこと」に感動した。クーポンエステ店では「施術時間だけやたら長く、なのに施術者が肌に触れてくれる時間は短い」というのは「あるある」なのだが、そのガッカリ感は皆無であった。ちなみにこのオーナーさん、エステ業界で10年以上のキャリアがあり、昨年このサロンをオープンしたとのことで、腕のほうもなかなかのものだった。

 コース終了後、鏡を見ると、肌がワントーン明るくなり、口角もキュと上がって、小顔なったように見えた。しかし、そんなふうに見えたのは筆者だけなのか、翌日会った知り合いに「大丈夫? 疲れた顔しているよ」と言われ、大撃沈であった。

クーポン満足度:★★★☆☆
リピート思案度:★★★☆☆
※「あの化粧品でエステ」というのは

【メニュー】温熱療法30分
【クーポン価格】1,000円(80%オフ)

 「コワイもの見たさ」から、思わず「E」で購入してしまったのが「温熱療法」なる施術のクーポン。調べてみると、なんでもこのお店の代表は「レイキヒーラー」だという。レイキとは一体……と思って調べてみたところ、民間療法の一つで、手当て療法、エネルギー療法の一種となっていた。漢字では「霊気」と書き、手のひらから発する癒やしのエネルギーによって、不調和を整えるといったものだというが……正直、なんだそりゃ! ますますわからん! と思ってしまう。何らかの宗教なのではと怪しくさえ感じる。

 ドキドキしながら予約を取り、お店へと足を運ぶ。店舗のドアを開けると、普通の事務所という印象だ。サイトに掲載されていた写真では、やや怪しげな雰囲気を醸し出していた代表だが、実際に会うととても紳士的な感じがした。

 まずはカルテ記入。その後、施術台にうつ伏せになり、温熱療法を施してもらう。この温熱療法は、熱刺激によって気の流れをスムーズにするというものらしく、ここでは、温熱器を押し当てながらの施術ということだった。たとえるなら「人間アイロン」だが、レイキヒーラーでも手のひらだけではダメなのか、温熱器はまた別の話なのか……と疑問がよぎる。

 このお店に伺ったとき、ちょうど仕事の忙しさがピークであったため、筆者の背中はガチガチの状態。温熱器で温められると、確かに気持ちいいにはいいのだが、代表が「一度しっかり治療した方がいいです。ゆっくり来てください」を連発するため、スッと我に返ってしまう。というのも、公式サイトで確認した「基本施術」は、60分で1万5,000円(初診料込み)のセレブ価格だったから。このお店はどちらかというと、スピリチュアルな世界に生きている人向けなのだろうと思ってしまった筆者である。

 ちなみに、行きつけの鍼灸院の先生の話では、「なんとなく『治療しなきゃ』と思わせるのが、施術者の腕の見せどころなのよ!」とのこと。怪しげな勧誘もなく、それなりに技術はある施術者だと思ったので、今回は良しとしよう。

クーポン満足度:★★★☆☆
リピート思案度:★★★☆☆
※レイキに興味があるなら、オススメかも?

【メニュー】シロダーラ約85分/ヘッドマッサージ約5分
【クーポン価格】4,000円(55%オフ)

 久々に使用した「G」で見つけたのは、アーユルヴェーダ式シロダーラ施術のクーポン。この施術は45〜60分で、通常価格1万円前後なので、「このお値段なら」と思い切って購入した。

 シロダーラは、ヘッドスパトリートメントの一種で、額の第3の目「チャクラ」にハーブオイルを垂らし続ける、いわば「脳のマッサージ」だという。誰でも受けてOKというものではなく、体質に合わない人が受けると、逆に体調が悪化する場合もあると耳にする。どうなるものかと少し不安を抱きながら、今回筆者は、施術時間約90分、約85分がシロダーラ、約5分がヘッドマッサージというコースを選んだ。

 筆者が潜入したサロン「N」では、まず5分ほどヘッドマッサージを行い、その後、シロダーラに。なお、体質をチェックしてから、どのハーブオイルを使用するか決めるのだろうかと思ったが、そういったことはなかった。

 さて、お待ちかねのシロダーラだが、温度調節したオイルを額に垂らすため、首に枕を入れたはいいものの、だんだん首が痛くなり、さらに生暖かいオイルは頭の後ろに伝うのではなく、顔や耳にも流れてくる始末。感覚的には頭からドクドクと血が流れるようなものだった。長時間ベッドに横になっていたのでウトウトはしたものの、リラックスには程遠く、施術後、すっきりと爽やかな感じも特になかった。

 翌日、行きつけの鍼灸院でボディーチェックしてもらったところ「首がガチガチなんですけど」と言われ、やっぱりそうだよねと深く頷いてしまった。

クーポン満足度:★★☆☆☆
リピート思案度:★★☆☆☆
※正直、美容院でだったら受けたいかも

吉原杏(よしわら・あんず)
大阪生まれ、大阪育ち。好きなモノは小銭。好きな場所はリサイクルショップに100円均一。美容・健康オタクとしてプチ整形、数々のダイエット法に挑戦したことも。数々の携帯小説家、『株一年生~ゼロからわかる株の教科書~』(オープンアップス)などのアプリ作家として活動。

プチプラ&デパコスから厳選! メイクアップアーティストが選ぶ「乾燥しないファンデ」3品

 毎週のように新製品が生まれる、変化の激しいコスメ業界。「何を買うのが正解なの!?」と悩むあなたに、ヘアメイクアップアーティスト・篠原奈緒子氏がズバリお答えします!

今月のお悩み……「お肌の乾燥が気になるのですが、“しっとり系”のファンデーションは何がおすすめですか?」

 空気がカラカラの冬はもちろん、暖房・冷房が一日中きいているオフィス、バスや飛行機などの移動中にも気になるのが、お肌の乾燥。スキンケアに気をつけていても、ファンデーションのせいでお肌が突っ張る……なんて経験をしたことがある人も、少なくないのでは? ということで今月は、乾燥知らずな“しっとり系”ファンデーションと、「乾燥を防ぐメイクテクニック」を篠原さんに伝授していただきます。

これで乾燥とおサラバ! しっとり系ファンデーション3選

■クレ・ド・ポー ボーテ「タンクッションエクラ」/9,900円(税込)

 クッションファンデは潤いがたっぷりで、乾燥が気になる人にはとてもおすすめです。その中でも保湿に優れていて、長時間たってもみずみずしさが続くのがこの商品。仕上がりは“ツヤッツヤ”でみずみずしく、素肌感があってケバくなりません。

 下地は不要ですが、スキンケアの際に乳液、またはクリームをしっかりつけ、肌のすべりをよくしておきましょう。スポンジの半分くらいに少量ファンデを取り、少しずつ少しずつ、叩きこむようにのせていきます。シミや毛穴など、気になる部分には重ねづけ。このときも、少量ずつたたきながらのせましょう。乾燥した毛穴をしっかりカバーしつつ、保湿もしてくれますよ。ただ、シミやソバカスまではカバーしきれないので、コンシーラーを併用する必要があります。なお、クッションファンデのスポンジはこまめに洗い、替えのスポンジも1つ以上持っておいたほうがいいでしょう。

 ほかのクッションファンデも同様ですが、「あとどれくらい量が残っているのか?」が、ちょっとわかりにくいんですよね。これ、なんとかならないかな~と思ってます。

■ゲラン「レソンシエル」/7,000円(税込)

 天然成分97%というだけあって、肌への負担が少なく、クレンジングや洗顔後のつっぱり、乾燥感もないです。しっとりしたお肌がずっと続いて、水分・油分が奪われていないように感じられます。夕方には、むしろ朝よりしっとりしているような感覚も!

 リキッドタイプのファンデーションでツヤツヤに仕上げる、「発光ツヤ肌仕上げ」が好きな私ですが、このファンデーションは若干セミマットに仕上がるので、トレンド感があってよいと思います。カバー力も申し分なく、特に大人の女性におすすめです。個人的にはとても好みですが、化粧品らしい香りが少し苦手と感じる方もいるかもしれませんので、気になる方は購入前にご確認くださいね。

 ちなみに、専用のブラシもあるようですが、私は持っていません。メイクアイテムとして、ファンデーションブラシがそんなに好きではないので……。専用ブラシを使わなくても、きめが細かく密度の高いスポンジでつけると、仕上がりがいいです。肌を磨くようにクルクルとつけるとイイ感じなんですが、「ブラシでつけたほうがよりきれい」というウワサです(笑)。

■モイストラボ「BBエッセンスクリーム」/1,320 円(税込)

 こちらはBBクリームですが、プチプラなのに高機能、美容成分が入っているうえに、ファンデーション並みのカバー力ということで選びました。紫外線は肌の乾燥を助長してしまうので、日焼け止め効果がしっかりあるのも高評価。しっとり潤うのですが、逆に夏場だと油分が高すぎるのか、Tゾーンがテカってしまうことも。まさに乾燥する冬場におすすめの商品です。

 少量でしっかり伸びるので、手のひら全体で肌にやさしく伸ばすように使うと◎。カバーしたい部分は、指の腹で上から叩くようにのせていくと、仕上がりがきれいです。指で小鼻を下から上方向に動かしてのせていくと、毛穴がきれいに消えてくれますよ。

 ただ、厚塗りすると崩れやすくなるので注意。仕上げにパウダーをはたくと、さらに崩れやすくなってしまうので、パウダーなしで使うことをおすすめします。どうしてもテカリが気になる方は、ごく薄くパウダーをのせるようにしてください。

お肌の乾燥を防ぐためのメイクテクニック

 まずは、メイク前のスキンケアで、水分と油分をしっかり補給してあげることが大切。化粧水は手ではなくコットンでつけ、肌の汚れを落としながら、しっかり化粧水を肌に入れ込んでいきましょう。保水・保湿はもちろん、紫外線対策をしっかり行い、毎日のクレンジングはやさしく丁寧に、肌をこすらないように時間をかけて行うと、乾燥は防げます。また、メイクの際に気をつけてほしいのは、以下の4点です。乾燥で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

・「テカリ防止下地」などは、必要なところだけに少量を使うようにする。逆に、美容効果の高い「しっとりタイプの下地」は顔全体に使う。
・ファンデーションのタイプはパウダリーよりリキッド、クリームタイプを選ぶ。今人気のクッションファンデもおすすめ。
・ファンデーションはとにかく薄くつけ、気になる部分はポイントでコンシーラーを使ってカバーする。
・メイク直しの際、肌の脂を過剰に取ることは避ける。あぶら取り紙は使わず、優しくティッシュオフする程度でOK。

プチプラ&デパコスから厳選! メイクアップアーティストが選ぶ「乾燥しないファンデ」3品

 毎週のように新製品が生まれる、変化の激しいコスメ業界。「何を買うのが正解なの!?」と悩むあなたに、ヘアメイクアップアーティスト・篠原奈緒子氏がズバリお答えします!

今月のお悩み……「お肌の乾燥が気になるのですが、“しっとり系”のファンデーションは何がおすすめですか?」

 空気がカラカラの冬はもちろん、暖房・冷房が一日中きいているオフィス、バスや飛行機などの移動中にも気になるのが、お肌の乾燥。スキンケアに気をつけていても、ファンデーションのせいでお肌が突っ張る……なんて経験をしたことがある人も、少なくないのでは? ということで今月は、乾燥知らずな“しっとり系”ファンデーションと、「乾燥を防ぐメイクテクニック」を篠原さんに伝授していただきます。

これで乾燥とおサラバ! しっとり系ファンデーション3選

■クレ・ド・ポー ボーテ「タンクッションエクラ」/9,900円(税込)

 クッションファンデは潤いがたっぷりで、乾燥が気になる人にはとてもおすすめです。その中でも保湿に優れていて、長時間たってもみずみずしさが続くのがこの商品。仕上がりは“ツヤッツヤ”でみずみずしく、素肌感があってケバくなりません。

 下地は不要ですが、スキンケアの際に乳液、またはクリームをしっかりつけ、肌のすべりをよくしておきましょう。スポンジの半分くらいに少量ファンデを取り、少しずつ少しずつ、叩きこむようにのせていきます。シミや毛穴など、気になる部分には重ねづけ。このときも、少量ずつたたきながらのせましょう。乾燥した毛穴をしっかりカバーしつつ、保湿もしてくれますよ。ただ、シミやソバカスまではカバーしきれないので、コンシーラーを併用する必要があります。なお、クッションファンデのスポンジはこまめに洗い、替えのスポンジも1つ以上持っておいたほうがいいでしょう。

 ほかのクッションファンデも同様ですが、「あとどれくらい量が残っているのか?」が、ちょっとわかりにくいんですよね。これ、なんとかならないかな~と思ってます。

■ゲラン「レソンシエル」/7,000円(税込)

 天然成分97%というだけあって、肌への負担が少なく、クレンジングや洗顔後のつっぱり、乾燥感もないです。しっとりしたお肌がずっと続いて、水分・油分が奪われていないように感じられます。夕方には、むしろ朝よりしっとりしているような感覚も!

 リキッドタイプのファンデーションでツヤツヤに仕上げる、「発光ツヤ肌仕上げ」が好きな私ですが、このファンデーションは若干セミマットに仕上がるので、トレンド感があってよいと思います。カバー力も申し分なく、特に大人の女性におすすめです。個人的にはとても好みですが、化粧品らしい香りが少し苦手と感じる方もいるかもしれませんので、気になる方は購入前にご確認くださいね。

 ちなみに、専用のブラシもあるようですが、私は持っていません。メイクアイテムとして、ファンデーションブラシがそんなに好きではないので……。専用ブラシを使わなくても、きめが細かく密度の高いスポンジでつけると、仕上がりがいいです。肌を磨くようにクルクルとつけるとイイ感じなんですが、「ブラシでつけたほうがよりきれい」というウワサです(笑)。

■モイストラボ「BBエッセンスクリーム」/1,320 円(税込)

 こちらはBBクリームですが、プチプラなのに高機能、美容成分が入っているうえに、ファンデーション並みのカバー力ということで選びました。紫外線は肌の乾燥を助長してしまうので、日焼け止め効果がしっかりあるのも高評価。しっとり潤うのですが、逆に夏場だと油分が高すぎるのか、Tゾーンがテカってしまうことも。まさに乾燥する冬場におすすめの商品です。

 少量でしっかり伸びるので、手のひら全体で肌にやさしく伸ばすように使うと◎。カバーしたい部分は、指の腹で上から叩くようにのせていくと、仕上がりがきれいです。指で小鼻を下から上方向に動かしてのせていくと、毛穴がきれいに消えてくれますよ。

 ただ、厚塗りすると崩れやすくなるので注意。仕上げにパウダーをはたくと、さらに崩れやすくなってしまうので、パウダーなしで使うことをおすすめします。どうしてもテカリが気になる方は、ごく薄くパウダーをのせるようにしてください。

お肌の乾燥を防ぐためのメイクテクニック

 まずは、メイク前のスキンケアで、水分と油分をしっかり補給してあげることが大切。化粧水は手ではなくコットンでつけ、肌の汚れを落としながら、しっかり化粧水を肌に入れ込んでいきましょう。保水・保湿はもちろん、紫外線対策をしっかり行い、毎日のクレンジングはやさしく丁寧に、肌をこすらないように時間をかけて行うと、乾燥は防げます。また、メイクの際に気をつけてほしいのは、以下の4点です。乾燥で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

・「テカリ防止下地」などは、必要なところだけに少量を使うようにする。逆に、美容効果の高い「しっとりタイプの下地」は顔全体に使う。
・ファンデーションのタイプはパウダリーよりリキッド、クリームタイプを選ぶ。今人気のクッションファンデもおすすめ。
・ファンデーションはとにかく薄くつけ、気になる部分はポイントでコンシーラーを使ってカバーする。
・メイク直しの際、肌の脂を過剰に取ることは避ける。あぶら取り紙は使わず、優しくティッシュオフする程度でOK。

ニトリのスキンケアを成分解析! 日焼け止め、クレンジング、化粧水は「お、ねだん以上。」なのか?

 大手家具企業のニトリが1月、スキンケア市場に参入することを発表し、注目を集めている。スキンケアシリーズ「GUARDIO(ガーディオ)」では、日焼け止めの「UVさらさらボディミルク/SPF50、PA++++」(1,990円、90g)と「UVしっとりフェイスミルク」(1,990円、50g)、クレンジングの「クレンジング&ウォッシングジェル」(1,490円、150mL)、化粧水の「薬用ホワイト二ングローション」(999円、130mL/2,490円、400mL)の4アイテムを展開している。

 ニトリといえば、「お、ねだん以上。」というキャッチコピーで知られ、家具やインテリア、生活雑貨が「お得に手に入る」として全国に広がっただけに、「スキンケアアイテムもきっと『お、ねだん以上。』に違いない」と、期待を抱いている人は多いはず。そこで今回、化粧品検定一級で化粧品開発の経験を持つ安藤美和子氏(「アンチエイジングの神様」)に、4アイテムの成分解析と、果たして本当に「お、ねだん以上。」なのかをジャッジしてもらった。

日焼け止め「UVさらさらボディミルク/SPF50、PA++++」(1,990円、90g)

(成分一覧)
シクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、水、PEG-10ジメチコン、イソノナン酸イソノニル、メチコン、ポリプロピルシルセスキオキサン、BG、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、ポリピドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、オクテニルコハク酸デンプンAl、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジメチコノール、グリセリン、シア脂、ポリグルタミン酸、テンニン果実エキス、アーチチョーク葉エキス、チャ葉エキス、プラセンタエキス、水溶性プロテオグリカン、グリチルレチン酸ステアリル、シリカ、硫酸Mg、フェノキシエタノール、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、水酸化Al

【成分解析】
「つけ心地にこだわった紫外線吸収剤不使用のUVミルク」
 テクスチャーを良くするための感触剤が多く使われているので、日焼け止め特有の不快感がなく使いやすいでしょう。

 ボディ用のUVミルクは、後で紹介するフェイスミルクよりも伸びがよく、しっとりするけどベタベタしすぎない、つけるとサラッとするテクスチャーです。

 また、美容成分が配合されているのですが、これは「GUARDIO」シリーズ全体の特徴と言えますね。ただし、プラセンタなど配合量は控えめなので、美容効果は期待しない方がよいと思います。

【「お、ねだん以上。」かジャッジ!】
「やや高めかな、という印象。せめて1,300円くらいであれば需要はありそう」
 紫外線吸収剤不使用で肌への負担が少なく、白浮きやベタつきが気にならない、さらに美容成分も配合している、このようなアイテムは、確かに多くありません。ただし、1,990円(90g)は、ドラッグストアで人気のカネボウ化粧品「ALLIE」や資生堂「ANNESSA」と同価格帯で、消費者に「買いたい」と思わせるほどの魅力があるかは疑問です。テクスチャーにこだわっている日焼け止めも増えてきているので、「高い」と感じます。

(成分一覧)
シクロペンタシロキサン、水、メチルトリメチコン、パルミチン酸エチルヘキシル、PEG-10ジメチコン、ジメチコン、ポリグリセリン-4、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、イソノナン酸イソトリデシル、BG、メチコン、ポリプロピルシルセスキオキサン、トリメチルシロキシケイ酸、ポリヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、オクテニルコハク酸でんぷんAI、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、ジメチコノール、シア脂、ポリグルタミン酸、テンニンカ果実エキス、アーチチョーク葉エキス、チャ葉エキス、プラセンタエキス、水溶性プロテオグリカン、グリチルレチン酸ステアリル、シリカ、シリル化シリカ、硫酸Mg、フェノキシエタノール、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、水酸化AI

【成分解析】
「保湿力があり、化粧下地としても使える日焼け止め」
 肌への負担が少ない「紫外線散乱剤」の日焼け止めなので、日焼け止めで乾燥しやすい方やUVカット力が強いと肌荒れしやすい方におすすめです。

 また、使う前にシャカシャカ振る「紫外線散乱剤タイプ」は、成分が分離しやすいので白浮きするものが大半なのですが、こちらは時間がたっても白浮きしない処方で使いやすいでしょう。

 ただし、紫外線散乱剤タイプの日焼け止めには、酸化チタンなどが含まれていて、金属アレルギーの方とは相性が悪いので、注意しましょう。

【「お、ねだん以上。」かジャッジ!】
「謙虚な実力者、妥当な価格」
 テクスチャーや肌への優しさにこだわって作られていますが、その点が強調されていないので、良さが伝わりにくいのがもったいないですね。「敏感肌OK」「白浮きしない」「化粧下地としても使える」などが伝われば、「妥当な価格」だと思います。ほかの日焼け止めと違い、”しっとり潤いはキープするのに、ベタベタしない”ので、朝の準備が忙しい時にも使いやすいでしょう。

(成分一覧)
水、ラウロイルメチルアラニンNa、ラウラミドプロピルベタイン、グリセリン、コカミドDEA、ラウリルグルコシド、クエン酸、グリコシルトレハロース、フェノキシエタノール、加水分解水添デンプン、エチルヘキシルグリセリン、香料、ペンテト酸5Na

【成分解析】
「W洗顔不要の低刺激な泡タイプクレンジング」
 低刺激な洗浄成分と保湿成分で作られているので、必要以上に潤いを洗い流さずに済みます。洗い上がりに肌がつっぱりやすい方にとっては、候補となるアイテムです。

 ただし、全体的に洗浄力が弱いので、しっかりメイクの人には物足りないかもしれません。石鹸でオフできる程度のメイクの人向けになるでしょう。

【「お、ねだん以上。」かジャッジ!】
「低刺激でこの価格帯は、お値段以上」
 “メイクが落ちる洗顔料”なので、朝晩これ一つで済むのは便利です。洗いすぎない洗浄成分のため、乾燥しやすい人、乾燥でニキビができやすい人は試す価値があります。泡タイプなので、泡立てるのが面倒な方にもおすすめです。注意点としては、日焼け止めのオフは対応できるものの、ウォータープルーフのアイライナーは落ちにくいことですが、W洗顔不要&低刺激でこの価格は、「お値段以上」と言えるでしょう。

(有効成分)
トラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカリウム
(その他の成分)
ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム液、サクシニルアテロコラーゲン液、加水分解ヒアルロン酸、アルピニアカツマダイ種子エキス、イエローヒマラヤンラズベリー根エキス、ヒナギク花エキス、テンニンカ果実エキス、カモミラエキス(1)、オウゴンエキス、タイソウエキス、カンゾウフラボノイド、海藻エキス(2)、トリメチルグリシン、濃グリセリン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ポリオキシエチレン効果ヒマシ油、クエン酸、クエン酸Na、ピロ亜硫酸Na、ペンチ連グリコール、1,2-ヘキサンジオール、BG、エタノール、精製水

【成分解析】
「植物由来の保湿&美白ローション」
 薬用ホワイトニングローションは、“できてしまったシミ”ではなく“シミ予備軍を増やさないため”の化粧水です。「保湿・美白・肌荒れ防止」成分が多く配合されていて、透明感を出したい方や美白したいけど乾燥しやすい肌質の方に向いています。

 気になるのは、ほかの化粧水ではあまり使われていない「ピロ亜硫酸Na」という酸化防止剤が配合されている点です。乾燥肌や敏感肌だと刺激を感じる可能性があるので、400mLよりも130mLから使うことをおすすめします。

【「お、ねだん以上。」かジャッジ!】
「高すぎず、安すぎず妥当な価格」
 美白有効成分を配合した“医薬部外品”の販売は、先行投資としての資金がかかっています。その点を考えると、999円で買えるのはお買い得です。ただし、最近ではプチプラでも同様の美白化粧水が増えてきたので、この価格設定は妥当だと思います。

 ニトリのスキンケア市場への参入について、まず思い浮かぶのは、無印良品のスキンケア商品のヒットでしょう。自前のリアル店舗やネットで拡販できるので、ニトリもアドバンテージを持って「GUARDIO」のアイテムを展開できると思います。

 肌を守るコンセプトで、“やさしい”成分配合での商品展開をしている「GUARDIO」は、競合と価格設定を比べると安め~同等で、“やや攻めている”という印象です。新規顧客の獲得は既存の販売経路を活用してうまくいくと思いますが、リピートされて「お値段以上」と受け取られ、ブランドとして認知されるかどうかは、継続的な商品開発力にかかっていると思います。

安藤美和子(あんどう・みわこ)
化粧品開発の経験とネットワークを活かし、医師、エステティシャン、スポーツトレーナー、美容部員、美容師、など美と健康の専門家を組織化。(「アンチエイジングの神様)サイトを立ち上げ、編集ディレクターを務める。サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級の有資格者で、雑誌やWEBメディアへの寄稿も行う。

ニトリのスキンケアを成分解析! 日焼け止め、クレンジング、化粧水は「お、ねだん以上。」なのか?

 大手家具企業のニトリが1月、スキンケア市場に参入することを発表し、注目を集めている。スキンケアシリーズ「GUARDIO(ガーディオ)」では、日焼け止めの「UVさらさらボディミルク/SPF50、PA++++」(1,990円、90g)と「UVしっとりフェイスミルク」(1,990円、50g)、クレンジングの「クレンジング&ウォッシングジェル」(1,490円、150mL)、化粧水の「薬用ホワイト二ングローション」(999円、130mL/2,490円、400mL)の4アイテムを展開している。

 ニトリといえば、「お、ねだん以上。」というキャッチコピーで知られ、家具やインテリア、生活雑貨が「お得に手に入る」として全国に広がっただけに、「スキンケアアイテムもきっと『お、ねだん以上。』に違いない」と、期待を抱いている人は多いはず。そこで今回、化粧品検定一級で化粧品開発の経験を持つ安藤美和子氏(「アンチエイジングの神様」)に、4アイテムの成分解析と、果たして本当に「お、ねだん以上。」なのかをジャッジしてもらった。

日焼け止め「UVさらさらボディミルク/SPF50、PA++++」(1,990円、90g)

(成分一覧)
シクロペンタシロキサン、メチルトリメチコン、水、PEG-10ジメチコン、イソノナン酸イソノニル、メチコン、ポリプロピルシルセスキオキサン、BG、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、トリメチルシロキシケイ酸、ポリピドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、オクテニルコハク酸デンプンAl、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、ジメチコノール、グリセリン、シア脂、ポリグルタミン酸、テンニン果実エキス、アーチチョーク葉エキス、チャ葉エキス、プラセンタエキス、水溶性プロテオグリカン、グリチルレチン酸ステアリル、シリカ、硫酸Mg、フェノキシエタノール、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、水酸化Al

【成分解析】
「つけ心地にこだわった紫外線吸収剤不使用のUVミルク」
 テクスチャーを良くするための感触剤が多く使われているので、日焼け止め特有の不快感がなく使いやすいでしょう。

 ボディ用のUVミルクは、後で紹介するフェイスミルクよりも伸びがよく、しっとりするけどベタベタしすぎない、つけるとサラッとするテクスチャーです。

 また、美容成分が配合されているのですが、これは「GUARDIO」シリーズ全体の特徴と言えますね。ただし、プラセンタなど配合量は控えめなので、美容効果は期待しない方がよいと思います。

【「お、ねだん以上。」かジャッジ!】
「やや高めかな、という印象。せめて1,300円くらいであれば需要はありそう」
 紫外線吸収剤不使用で肌への負担が少なく、白浮きやベタつきが気にならない、さらに美容成分も配合している、このようなアイテムは、確かに多くありません。ただし、1,990円(90g)は、ドラッグストアで人気のカネボウ化粧品「ALLIE」や資生堂「ANNESSA」と同価格帯で、消費者に「買いたい」と思わせるほどの魅力があるかは疑問です。テクスチャーにこだわっている日焼け止めも増えてきているので、「高い」と感じます。

(成分一覧)
シクロペンタシロキサン、水、メチルトリメチコン、パルミチン酸エチルヘキシル、PEG-10ジメチコン、ジメチコン、ポリグリセリン-4、PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン、イソノナン酸イソトリデシル、BG、メチコン、ポリプロピルシルセスキオキサン、トリメチルシロキシケイ酸、ポリヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、オクテニルコハク酸でんぷんAI、(HDI/トリメチロールヘキシルラクトン)クロスポリマー、ジメチコノール、シア脂、ポリグルタミン酸、テンニンカ果実エキス、アーチチョーク葉エキス、チャ葉エキス、プラセンタエキス、水溶性プロテオグリカン、グリチルレチン酸ステアリル、シリカ、シリル化シリカ、硫酸Mg、フェノキシエタノール、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、水酸化AI

【成分解析】
「保湿力があり、化粧下地としても使える日焼け止め」
 肌への負担が少ない「紫外線散乱剤」の日焼け止めなので、日焼け止めで乾燥しやすい方やUVカット力が強いと肌荒れしやすい方におすすめです。

 また、使う前にシャカシャカ振る「紫外線散乱剤タイプ」は、成分が分離しやすいので白浮きするものが大半なのですが、こちらは時間がたっても白浮きしない処方で使いやすいでしょう。

 ただし、紫外線散乱剤タイプの日焼け止めには、酸化チタンなどが含まれていて、金属アレルギーの方とは相性が悪いので、注意しましょう。

【「お、ねだん以上。」かジャッジ!】
「謙虚な実力者、妥当な価格」
 テクスチャーや肌への優しさにこだわって作られていますが、その点が強調されていないので、良さが伝わりにくいのがもったいないですね。「敏感肌OK」「白浮きしない」「化粧下地としても使える」などが伝われば、「妥当な価格」だと思います。ほかの日焼け止めと違い、”しっとり潤いはキープするのに、ベタベタしない”ので、朝の準備が忙しい時にも使いやすいでしょう。

(成分一覧)
水、ラウロイルメチルアラニンNa、ラウラミドプロピルベタイン、グリセリン、コカミドDEA、ラウリルグルコシド、クエン酸、グリコシルトレハロース、フェノキシエタノール、加水分解水添デンプン、エチルヘキシルグリセリン、香料、ペンテト酸5Na

【成分解析】
「W洗顔不要の低刺激な泡タイプクレンジング」
 低刺激な洗浄成分と保湿成分で作られているので、必要以上に潤いを洗い流さずに済みます。洗い上がりに肌がつっぱりやすい方にとっては、候補となるアイテムです。

 ただし、全体的に洗浄力が弱いので、しっかりメイクの人には物足りないかもしれません。石鹸でオフできる程度のメイクの人向けになるでしょう。

【「お、ねだん以上。」かジャッジ!】
「低刺激でこの価格帯は、お値段以上」
 “メイクが落ちる洗顔料”なので、朝晩これ一つで済むのは便利です。洗いすぎない洗浄成分のため、乾燥しやすい人、乾燥でニキビができやすい人は試す価値があります。泡タイプなので、泡立てるのが面倒な方にもおすすめです。注意点としては、日焼け止めのオフは対応できるものの、ウォータープルーフのアイライナーは落ちにくいことですが、W洗顔不要&低刺激でこの価格は、「お値段以上」と言えるでしょう。

(有効成分)
トラネキサム酸、グリチルリチン酸ジカリウム
(その他の成分)
ジラウロイルグルタミン酸リシンナトリウム液、サクシニルアテロコラーゲン液、加水分解ヒアルロン酸、アルピニアカツマダイ種子エキス、イエローヒマラヤンラズベリー根エキス、ヒナギク花エキス、テンニンカ果実エキス、カモミラエキス(1)、オウゴンエキス、タイソウエキス、カンゾウフラボノイド、海藻エキス(2)、トリメチルグリシン、濃グリセリン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、ポリオキシエチレン効果ヒマシ油、クエン酸、クエン酸Na、ピロ亜硫酸Na、ペンチ連グリコール、1,2-ヘキサンジオール、BG、エタノール、精製水

【成分解析】
「植物由来の保湿&美白ローション」
 薬用ホワイトニングローションは、“できてしまったシミ”ではなく“シミ予備軍を増やさないため”の化粧水です。「保湿・美白・肌荒れ防止」成分が多く配合されていて、透明感を出したい方や美白したいけど乾燥しやすい肌質の方に向いています。

 気になるのは、ほかの化粧水ではあまり使われていない「ピロ亜硫酸Na」という酸化防止剤が配合されている点です。乾燥肌や敏感肌だと刺激を感じる可能性があるので、400mLよりも130mLから使うことをおすすめします。

【「お、ねだん以上。」かジャッジ!】
「高すぎず、安すぎず妥当な価格」
 美白有効成分を配合した“医薬部外品”の販売は、先行投資としての資金がかかっています。その点を考えると、999円で買えるのはお買い得です。ただし、最近ではプチプラでも同様の美白化粧水が増えてきたので、この価格設定は妥当だと思います。

 ニトリのスキンケア市場への参入について、まず思い浮かぶのは、無印良品のスキンケア商品のヒットでしょう。自前のリアル店舗やネットで拡販できるので、ニトリもアドバンテージを持って「GUARDIO」のアイテムを展開できると思います。

 肌を守るコンセプトで、“やさしい”成分配合での商品展開をしている「GUARDIO」は、競合と価格設定を比べると安め~同等で、“やや攻めている”という印象です。新規顧客の獲得は既存の販売経路を活用してうまくいくと思いますが、リピートされて「お値段以上」と受け取られ、ブランドとして認知されるかどうかは、継続的な商品開発力にかかっていると思います。

安藤美和子(あんどう・みわこ)
化粧品開発の経験とネットワークを活かし、医師、エステティシャン、スポーツトレーナー、美容部員、美容師、など美と健康の専門家を組織化。(「アンチエイジングの神様)サイトを立ち上げ、編集ディレクターを務める。サプリメントアドバイザー、化粧品検定一級の有資格者で、雑誌やWEBメディアへの寄稿も行う。

チョコレートは「ダイエットに最適」説を管理栄養士に聞く! 「太りやすい/太りにくい食べ方」も

 今年も間もなくやって来るバレンタインデー。街を歩けば、さまざまな新作チョコレートの広告が目に入り、甘いもの好きには心躍る時期だろうが、一方で「チョコ=太る」というイメージも強いだけに、ダイエット中という人には「目の毒」と言えるかもしれない。

 しかし最近、チョコを「ダイエット中のおやつに最適」とする説を目にする機会はないだろうか。チョコに含まれる栄養素が体にいいとも言われ、チョコ党の人には喜ばしい情報だが、果たしてその実際はいかに? 今回、管理栄養士の岡田明子さんに話をお聞きした。

「チョコはダイエットにいい」は「積極的に食べよう」ではない!?

 そもそも、なぜチョコが「太る」と言われているのかといえば、栄養素に「脂質」と「糖質」が含まれているからだろう。しかしそのほかにも「体にいい」とされる特徴的な栄養素があるという。

「まず代表的なのがポリフェノール。これは活性酸素を減らす抗酸化物質で、体が錆びるのを抑える効果が“ある”……とまでは断言できないものの、“期待はできる”ものです。また、テオブロミン。これは気持ちを落ち着かせたり、集中力を高める効果があると言われるもの。あとは、リグニン。食物繊維の一種なので、腸内環境を整えてくれ、便秘改善等に役立つと言えるでしょう」

 チョコと一口に言っても、脂質と糖質だけではないということがわかるが、「ダイエット中のおやつに最適」という説を、岡田氏はどのように捉えているだろう。

「『ダイエット中のおやつに~』と言われているのは、全てのチョコではなく、カカオ含有量が80%以上などのカカオ量の多い苦いチョコを対象としている場合でしょう。あくまで、『ダイエット中でもチョコがどうしてもやめられない人は、カカオ量の多いチョコを食べるといい』という話で、『ダイエットにいいらしいから、いっぱい食べていい/食べた方がいい』ものではありません。何にせよ、食べすぎるというのはよくありません」

 よく「ナッツ類は美容・健康にいい」と言われるが、「これも同様で、食べすぎてカロリーオーバーになり、太ってしまったという人が結構います。『食べすぎないこと』が大事なんです」という。

 では、チョコの「太りやすい食べ方/太りにくい食べ方」というのは存在するのだろうか。まず選ぶ種類について、「先ほども少し触れましたが、カカオ量が多いものは、一般的なチョコに比べ、太りにくい」と岡田氏。

「なので、一般的なチョコの方が太りやすいと言えますが、中でも、例えばアーモンドが入っているものは脂質が、ウエハースやクッキーと一緒になっているものは、糖質が増えるので、さらに太りやすくなってしまいます」

 最近では、チョコの中にコーンフレークやフルーツなどを練り込み、「ビタミン」や「食物繊維」などが豊富に配合されているとアピールするチョコも多く、あえてそういったものを選ぶ人も少なくないが……。

「ビタミンや食物繊維が増えた分、脂質や糖質も増えていることも考えられます。管理栄養士の視点からすると、ビタミンや食物繊維を摂りたいなら、『野菜を食べた方がいいのに』と感じますね。以前、『寝る前に少量食べると、寝つきが良くなる』と謳うギャバ配合のチョコの話を耳にしたんですが、それも『ギャバのサプリを飲めばいいのに』と、管理栄養士の間で話題になったんです。太りにくいチョコを選びたいのであれば、ほかに何も入っていないシンプルな高カカオチョコがいいと思いますよ」

 また、甘いものを食べると多幸感を得られることから、チョコには「エンドレスで食べてしまう」という特徴も。そのため、「小袋にしてある、また板チョコなどを選ぶのは、食べる量が決めやすく、『エンドレスに食べてしまう』ことの防止にもなるので、太りにくい食べ方と言えるのではないでしょうか。逆に食べる量を決めにくいものを選ぶのは、太りやすい食べ方につながると言えるかもしれませんね」とのこと。

 さらに、食べる時間帯や食べ合わせにも、「太りやすい/太りにくい」があるという。

「よく言われることですが、夜寝る前は太りやすいです。日中の時間帯……例えば、午後3時の“おやつの時間”に食べる方が、寝る前に比べれば太りにくくはあります。なぜかと言うと、日中は活動している時間帯だけに、摂ったカロリーを消費しやすいから。寝る前だと、カロリーが消費されず、吸収されてしまうんです。また温かい飲み物を飲むと胃が落ち着くので、日中にチョコを食べるにしても、一緒にホットのブラックコーヒーやお茶などを飲むと、食べすぎ防止につながり、太りにくい食べ方になります。なので、逆に言うと、チョコだけを食べるというのは、食べすぎにつながり、太りやすい食べ方と言えるのではないでしょうか」

 たとえ高カカオのものでも、チョコは決して痩せやすくなるための食べ物ではないことがわかったが、「そもそもお菓子というのは太るもの」とズバリ指摘する岡田氏。

「チョコは、栄養素を見てみると、やはり『脂質と糖質のかたまり』であることは確かなんです。同じく、『脂質と糖質のかたまり』であるクッキーと比べると、ダイエット中に同じ量食べるなら、『高カカオのものに限り、まだチョコを食べておいた方がいい』のかもしれません。ただ、『ダイエット中のおやつに最適』と言われている、ドライフルーツや干し芋、ナッツと比べると、これらは『食物繊維が豊富』なだけに、同じ分量を食べるのであれば、チョコよりもダイエットに適していると思いますね」

 「何にせよ食べすぎたらダメですよ」と念を押す岡田氏。「チョコはダイエットにいいらしい」を妄信しすぎないように気を引き締めたいところだ。

岡田明子(おかだ・あきこ)
管理栄養士。一般社団法人「NS Labo(栄養サポート研究所)」代表理事。同志社女子大学 管理栄養士専攻卒業後、特別養護老人ホーム、ダイエットサプリメント会社の勤務を経て独立。自身の13キロダイエットの経験を生かし、さまざまなレシピ・商品開発を行う。著書に『美腸ダイエットジュース‐腸がきれいになると、やせる! 元気になる!』(池田書店)『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA)などがある。

チョコレートは「ダイエットに最適」説を管理栄養士に聞く! 「太りやすい/太りにくい食べ方」も

 今年も間もなくやって来るバレンタインデー。街を歩けば、さまざまな新作チョコレートの広告が目に入り、甘いもの好きには心躍る時期だろうが、一方で「チョコ=太る」というイメージも強いだけに、ダイエット中という人には「目の毒」と言えるかもしれない。

 しかし最近、チョコを「ダイエット中のおやつに最適」とする説を目にする機会はないだろうか。チョコに含まれる栄養素が体にいいとも言われ、チョコ党の人には喜ばしい情報だが、果たしてその実際はいかに? 今回、管理栄養士の岡田明子さんに話をお聞きした。

「チョコはダイエットにいい」は「積極的に食べよう」ではない!?

 そもそも、なぜチョコが「太る」と言われているのかといえば、栄養素に「脂質」と「糖質」が含まれているからだろう。しかしそのほかにも「体にいい」とされる特徴的な栄養素があるという。

「まず代表的なのがポリフェノール。これは活性酸素を減らす抗酸化物質で、体が錆びるのを抑える効果が“ある”……とまでは断言できないものの、“期待はできる”ものです。また、テオブロミン。これは気持ちを落ち着かせたり、集中力を高める効果があると言われるもの。あとは、リグニン。食物繊維の一種なので、腸内環境を整えてくれ、便秘改善等に役立つと言えるでしょう」

 チョコと一口に言っても、脂質と糖質だけではないということがわかるが、「ダイエット中のおやつに最適」という説を、岡田氏はどのように捉えているだろう。

「『ダイエット中のおやつに~』と言われているのは、全てのチョコではなく、カカオ含有量が80%以上などのカカオ量の多い苦いチョコを対象としている場合でしょう。あくまで、『ダイエット中でもチョコがどうしてもやめられない人は、カカオ量の多いチョコを食べるといい』という話で、『ダイエットにいいらしいから、いっぱい食べていい/食べた方がいい』ものではありません。何にせよ、食べすぎるというのはよくありません」

 よく「ナッツ類は美容・健康にいい」と言われるが、「これも同様で、食べすぎてカロリーオーバーになり、太ってしまったという人が結構います。『食べすぎないこと』が大事なんです」という。

 では、チョコの「太りやすい食べ方/太りにくい食べ方」というのは存在するのだろうか。まず選ぶ種類について、「先ほども少し触れましたが、カカオ量が多いものは、一般的なチョコに比べ、太りにくい」と岡田氏。

「なので、一般的なチョコの方が太りやすいと言えますが、中でも、例えばアーモンドが入っているものは脂質が、ウエハースやクッキーと一緒になっているものは、糖質が増えるので、さらに太りやすくなってしまいます」

 最近では、チョコの中にコーンフレークやフルーツなどを練り込み、「ビタミン」や「食物繊維」などが豊富に配合されているとアピールするチョコも多く、あえてそういったものを選ぶ人も少なくないが……。

「ビタミンや食物繊維が増えた分、脂質や糖質も増えていることも考えられます。管理栄養士の視点からすると、ビタミンや食物繊維を摂りたいなら、『野菜を食べた方がいいのに』と感じますね。以前、『寝る前に少量食べると、寝つきが良くなる』と謳うギャバ配合のチョコの話を耳にしたんですが、それも『ギャバのサプリを飲めばいいのに』と、管理栄養士の間で話題になったんです。太りにくいチョコを選びたいのであれば、ほかに何も入っていないシンプルな高カカオチョコがいいと思いますよ」

 また、甘いものを食べると多幸感を得られることから、チョコには「エンドレスで食べてしまう」という特徴も。そのため、「小袋にしてある、また板チョコなどを選ぶのは、食べる量が決めやすく、『エンドレスに食べてしまう』ことの防止にもなるので、太りにくい食べ方と言えるのではないでしょうか。逆に食べる量を決めにくいものを選ぶのは、太りやすい食べ方につながると言えるかもしれませんね」とのこと。

 さらに、食べる時間帯や食べ合わせにも、「太りやすい/太りにくい」があるという。

「よく言われることですが、夜寝る前は太りやすいです。日中の時間帯……例えば、午後3時の“おやつの時間”に食べる方が、寝る前に比べれば太りにくくはあります。なぜかと言うと、日中は活動している時間帯だけに、摂ったカロリーを消費しやすいから。寝る前だと、カロリーが消費されず、吸収されてしまうんです。また温かい飲み物を飲むと胃が落ち着くので、日中にチョコを食べるにしても、一緒にホットのブラックコーヒーやお茶などを飲むと、食べすぎ防止につながり、太りにくい食べ方になります。なので、逆に言うと、チョコだけを食べるというのは、食べすぎにつながり、太りやすい食べ方と言えるのではないでしょうか」

 たとえ高カカオのものでも、チョコは決して痩せやすくなるための食べ物ではないことがわかったが、「そもそもお菓子というのは太るもの」とズバリ指摘する岡田氏。

「チョコは、栄養素を見てみると、やはり『脂質と糖質のかたまり』であることは確かなんです。同じく、『脂質と糖質のかたまり』であるクッキーと比べると、ダイエット中に同じ量食べるなら、『高カカオのものに限り、まだチョコを食べておいた方がいい』のかもしれません。ただ、『ダイエット中のおやつに最適』と言われている、ドライフルーツや干し芋、ナッツと比べると、これらは『食物繊維が豊富』なだけに、同じ分量を食べるのであれば、チョコよりもダイエットに適していると思いますね」

 「何にせよ食べすぎたらダメですよ」と念を押す岡田氏。「チョコはダイエットにいいらしい」を妄信しすぎないように気を引き締めたいところだ。

岡田明子(おかだ・あきこ)
管理栄養士。一般社団法人「NS Labo(栄養サポート研究所)」代表理事。同志社女子大学 管理栄養士専攻卒業後、特別養護老人ホーム、ダイエットサプリメント会社の勤務を経て独立。自身の13キロダイエットの経験を生かし、さまざまなレシピ・商品開発を行う。著書に『美腸ダイエットジュース‐腸がきれいになると、やせる! 元気になる!』(池田書店)『妊娠できる体は食から 30代からの妊活食』(KADOKAWA)などがある。

グルタチオン配合の「白玉点滴」「美白サプリ」はニセ医学? 医師に聞く「証拠はほぼない」恐るべき実態

 近頃、美白効果が得られるとされる成分「グルタチオン」配合のサプリメントや点滴が、美容意識の高い女性の間でブームになっているのをご存じだろうか。人気有名人がオススメしていることもあってか、経口用サプリ「リプライセル リポソーム GSH グルタチオン」が飛ぶように売れ、また美容クリニックではグルタチオン配合の「白玉点滴」が人気を博しているという。ネット上には、実際に「肌が白くなった」「シミ対策に最適」といった声が飛び交っているが、一方で、その効果や安全性に疑問を抱く人も少なくない様子。そこで今回、『「ニセ医学」に騙されないために』(内外出版社)の著者であり、世にはびこる「医学のデマ情報」に鋭い目を向けている内科医・名取宏氏に取材を行い、グルタチオンの効果や安全性について、話をお聞きした。

1万円もザラの「白玉点滴」――グルタチオン1アンプルは数十円!?

――まず、グルタチオンとはどのようなものでしょうか。

名取宏氏(以下、名取) グルタチオンは「グルタミン酸」「システイン」「グリシン」という3つのアミノ酸によって形成される低分子量のペプチドです。体内にも存在し、抗酸化作用を有するものなので、“理論上”、体に良い可能性は十分あると言えるでしょう。

 また、グルタチオンは、そもそも美容目的で用いられるものではなく、「日本薬局方」(医薬品の規格基準書)に収載されている公的な医薬品で、薬物中毒、慢性肝疾患における肝機能の改善、急性湿疹などに効能または効果があるとされています。

――薬物中毒に慢性肝疾患……「美白」とはまったく異なる病気に用いられる医薬品なのですね。

名取 ただグルタチオンは、一言で言うと「昔の薬」で、現在ではあまり使われない医薬品と言えます。慢性肝疾患は私の専門分野ですが、グルタチオンを実地臨床で使ったことはありませんし、使っているほかの肝臓内科医も知りませんね。また、肝疾患以外のほかの疾患にも、ほとんど使われていないのではないかと思います。グルタチオンの添付文書に掲載されている文献の多くが、和文の、しかも1970年前後のきわめて古いもので、現在の基準ではとうてい保険適用されるレベルの医薬品ではありません。EBM(エビデンスに基づいた医療)という考え方が浸透するずっと以前に保険適用されてしまった医薬品と言えるでしょう。

――「昔の薬」が、いま美容界でブームになっているのも、なかなか不思議な話ですね。グルタチオン配合の「白玉点滴」のように、自費診療のクリニックが、公的な医薬品を保険適用外使用するというのは、珍しくないのでしょうか。

名取 そうですね。国内で承認された医薬品は、薬局を通して容易にかつ安価で購入することができるのですが、それを「こうした効果・効能もありますよ」というふうに付加価値をつけて宣伝し、高額な自費診療で提供することは珍しくないでしょう。注射用グルタチオンも、薬価は実は1アンプル数十円程度なのですが、美容クリニックの「白玉点滴」は、何アンプル使用しているか不明ではあるものの、1万円以上することもザラだと言います。

 また、がんに効果があるとされる「高濃度ビタミンC点滴療法」も同様です。ビタミンCのアンプル自体は医薬品で安く手に入るのですが、それを自費診療として高い値段をつけて提供している。「高濃度ビタミンC点滴療法」自体、あまり根拠のないものなんですけどね。

――経口サプリの「リプライセル リポソーム GSH グルタチオン」が、現在、売れているようなのですが、実際に美白効果は望めるのでしょうか。

名取 私も調べてみて驚いたのですが、経口のグルタチオンについては美白効果があったとする臨床研究が少ないながらあります。ただし、研究の質はあまり高くなく、本当に効果があるかどうかは確定的ではありません。また、どれぐらいの量をどれぐらいの期間摂取すればいいのかも一定の見解はありません。うがった見方をすると、サプリを売りたいメーカー側が、小規模な臨床研究を行い、たまたま良い結果が出たものだけを発表した可能性も否定できません。そもそも「美白」というのは、主観的に判断されがちという点も踏まえ、経口のグルタチオンは、美白に「効かないとは言えないが、効くとも言えない」程度のものなのではないでしょうか。

――安全性の面ではいかがでしょうか。

名取 経口のグルタチオン摂取は、かなり安全だと思われます。ただ、医薬品のグルタチオン錠ではなく、グルタチオンを含むサプリメントの類いだと、安全性が保証されているとは限りません。

――ちなみに「リプライセル リポソーム GSH グルタチオン」は、「栄養素破壊から保護するために不可欠なリン脂質によって作られたリポソームを使用している」点をアピールしています。つまり「グルタチオンが体内に長く残る」ことで、ほかの経口サプリと差別化を図っているようです。

名取 「リプライセル リポソーム GSH グルタチオン」は、医薬品ではなくサプリなので、ちゃんとした論文がない、もしくはあっても提示されていないと思うのですが、本当にリン脂質によって栄養素破壊から保護されるというデータはあるのか、もし保護されたとして美白効果が上がるというデータはあるのか、疑問を抱かざるを得ません。そもそも美白効果自体があるかどうか、わからないですしね。

 もう一つ、グルタチオンが「体内に長く残る」というのは、直感的に「怖い」と思いました。それだけ副作用のリスクが上がるからです。一般的なグルタチオン錠には、これまで大きな副作用はなかったものの、リン脂質という“余計なもの”をくっつけたせいで、副作用が出る可能性もあります。副作用のリスクについては、果たしてちゃんと調べているのでしょうか。もし調べているのであれば、それを提示すべきだと思います。

―― 一方で、「白玉点滴」に関してはいかがでしょうか。

名取 注射によるグルタチオンの美白効果についての証拠はほとんどありません。逆に、効果の乏しさと危険性について、複数の専門家から注意喚起がなされています。臨床医の間でトップレベルに評価されているイギリスの医学雑誌「BMJ」で、ある皮膚科医が「非倫理的(Unethical)」と強く批判していたことも。色素異常症などの病理研究に携わる中、効果のほどがわからない美白目的でのグルタチオン注射の治療を行うのは「危ない」と感じ、警鐘を鳴らしたかったのではないかとも考えられます。また、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)も、消費者に対して「潜在的に重大な安全上のリスク(a potentially significant safety risk)」をもたらすとしています。このようにFDAが承認していない製剤が使われているため、米国では「危険性が高い」と考えられているようですね。

――海外で「危険」とされているのに、日本でブームとなっているとは、驚きを隠せません。

名取 ただ、日本では医薬品として承認されている製剤であれば、危険性は低いでしょう。一方で、製剤そのもののリスクとは別に、注射針を刺すこと自体に一定のリスクはありますし、薬液を点滴に混ぜたり、点滴ボトルに通気針を刺したりする一連の行為で、注射液が汚染されるリスクもあります。効果が同じであれば注射・点滴ではなく経口投与するのが医学上の常識です。

――美容クリニックでは、「経口より点滴の方が効果的」と説明されるケースも多いようですが。

名取 美容点滴に限らずですが、確かに「点滴の方が効きそうな気がする」という患者さんはたまにいらっしゃいます。日本では過去に、開業医がサービスの一環として、患者さんに点滴をよく打っていたことがあったそうなのですが、現在では「よろしくない」と認識されているのです。そんな中、美容クリニックでは堂々と行われていると聞くと、「文化が違う」と驚く部分はありますね。

 しかし、美容目的のグルタチオン投与では、効果が同じどころか、むしろ注射製剤の方がエビデンスに乏しい。そうなると、経口製剤ではなく、わざわざ点滴投与する意味がわかりません。「『点滴の方が効果的』と考える患者さんが多そうだから」「点滴の方が高い値段をつけられるから」といった、美容クリニック側のよこしまな動機が働いているとしか思えません。

――美容サプリや美容点滴などを試す際、どのような点に気をつけるべきだと思いますか。

名取 正直に言いまして、私にはわかりません。病気に対する治療であれば、保険適用になっているものを選べば、ほぼ間違いないのですが、美容に関しては、保険適用のようなわかりやすい基準がありません。強いて言えば、「あまりにも高価なものは避ける」「信じすぎない。期待しすぎない」「有名人がオススメしていることは、何ら根拠にならない」などを、肝に銘じることだと思います。

 今回、特に「白玉点滴」を調べてみて思ったのは、美容医療の分野には、信頼できない情報がはびこっているということ。まさに「魑魅魍魎」という感じですね。大きなお金が動く割に、一般的な医学分野のように専門家のチェックが入りにくいから、このような状況が生まれているのではないでしょうか。もちろん、美容クリニックが全て悪だというわけではなく、よろしくないことをやっているクリニックが、「白玉点滴」などの根拠に乏しい美容医療に手を出すイメージです。そういったクリニックは、美容以外にも、自費診療で「高濃度ビタミンC点滴療法」や「血液クレンジング」を提供しているように思います。

――今回の「グルタチオン」に限らず、「ニセ医学」が横行し、しかも流行してしまう背景についてどう思われますか。

名取 残念なことですが、標準的な医療が必ずしも満足のいく結果を出せていないことがその一因でしょう。標準的な医療が、がんでもアトピー性皮膚炎でも副作用なく、全部治せることができれば、「ニセ医学」がはやる余地はありません。ただ、医学は日々進歩しています。100%治すことはできなくても、少しでも治る確率の高い治療を提供することはできます。

 誇大な宣伝や嘘も、「ニセ医学」がはやる理由の一つです。標準的な医療を提供する医師は、治療の限界や副作用について、正確な情報を提供しなければなりません。治らないときは「治りません」と説明します。その際、医師は患者さんを不安にさせないよう、伝え方などに工夫を凝らすものですが、中には、患者さんに不信感を抱かせてしまうケースもあるように思います。そんなとき、しばしば治療の効果を誇大に宣伝したり、副作用がないと嘘をついたりする「ニセ医学」を求めてしまう患者さんが一定数出てくるのではないでしょうか。

――なかなか一般人が、エビデンスに基づく正しい情報を得るのは難しい面もあるように感じます。

名取 実際に、クリニックで横行する未承認の“インチキ”幹細胞療法に対し、日本再生医療学会が声明を出して、法律がつくられた例もあります。このように、医学会などの専門家集団が、もっと注意喚起をしていくべきなのかもしれませんね。

名取宏(なとり・ひろむ)
内科医。医学部を卒業後、大学病院勤務、大学院などを経て、現在は市中病院に勤務。Twitterやブログで情報を発信している。著書に『「ニセ医学」に騙されないために』(内外出版社)がある。
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グルタチオン配合の「白玉点滴」「美白サプリ」はニセ医学? 医師に聞く「証拠はほぼない」恐るべき実態

 近頃、美白効果が得られるとされる成分「グルタチオン」配合のサプリメントや点滴が、美容意識の高い女性の間でブームになっているのをご存じだろうか。人気有名人がオススメしていることもあってか、経口用サプリ「リプライセル リポソーム GSH グルタチオン」が飛ぶように売れ、また美容クリニックではグルタチオン配合の「白玉点滴」が人気を博しているという。ネット上には、実際に「肌が白くなった」「シミ対策に最適」といった声が飛び交っているが、一方で、その効果や安全性に疑問を抱く人も少なくない様子。そこで今回、『「ニセ医学」に騙されないために』(内外出版社)の著者であり、世にはびこる「医学のデマ情報」に鋭い目を向けている内科医・名取宏氏に取材を行い、グルタチオンの効果や安全性について、話をお聞きした。

1万円もザラの「白玉点滴」――グルタチオン1アンプルは数十円!?

――まず、グルタチオンとはどのようなものでしょうか。

名取宏氏(以下、名取) グルタチオンは「グルタミン酸」「システイン」「グリシン」という3つのアミノ酸によって形成される低分子量のペプチドです。体内にも存在し、抗酸化作用を有するものなので、“理論上”、体に良い可能性は十分あると言えるでしょう。

 また、グルタチオンは、そもそも美容目的で用いられるものではなく、「日本薬局方」(医薬品の規格基準書)に収載されている公的な医薬品で、薬物中毒、慢性肝疾患における肝機能の改善、急性湿疹などに効能または効果があるとされています。

――薬物中毒に慢性肝疾患……「美白」とはまったく異なる病気に用いられる医薬品なのですね。

名取 ただグルタチオンは、一言で言うと「昔の薬」で、現在ではあまり使われない医薬品と言えます。慢性肝疾患は私の専門分野ですが、グルタチオンを実地臨床で使ったことはありませんし、使っているほかの肝臓内科医も知りませんね。また、肝疾患以外のほかの疾患にも、ほとんど使われていないのではないかと思います。グルタチオンの添付文書に掲載されている文献の多くが、和文の、しかも1970年前後のきわめて古いもので、現在の基準ではとうてい保険適用されるレベルの医薬品ではありません。EBM(エビデンスに基づいた医療)という考え方が浸透するずっと以前に保険適用されてしまった医薬品と言えるでしょう。

――「昔の薬」が、いま美容界でブームになっているのも、なかなか不思議な話ですね。グルタチオン配合の「白玉点滴」のように、自費診療のクリニックが、公的な医薬品を保険適用外使用するというのは、珍しくないのでしょうか。

名取 そうですね。国内で承認された医薬品は、薬局を通して容易にかつ安価で購入することができるのですが、それを「こうした効果・効能もありますよ」というふうに付加価値をつけて宣伝し、高額な自費診療で提供することは珍しくないでしょう。注射用グルタチオンも、薬価は実は1アンプル数十円程度なのですが、美容クリニックの「白玉点滴」は、何アンプル使用しているか不明ではあるものの、1万円以上することもザラだと言います。

 また、がんに効果があるとされる「高濃度ビタミンC点滴療法」も同様です。ビタミンCのアンプル自体は医薬品で安く手に入るのですが、それを自費診療として高い値段をつけて提供している。「高濃度ビタミンC点滴療法」自体、あまり根拠のないものなんですけどね。

――経口サプリの「リプライセル リポソーム GSH グルタチオン」が、現在、売れているようなのですが、実際に美白効果は望めるのでしょうか。

名取 私も調べてみて驚いたのですが、経口のグルタチオンについては美白効果があったとする臨床研究が少ないながらあります。ただし、研究の質はあまり高くなく、本当に効果があるかどうかは確定的ではありません。また、どれぐらいの量をどれぐらいの期間摂取すればいいのかも一定の見解はありません。うがった見方をすると、サプリを売りたいメーカー側が、小規模な臨床研究を行い、たまたま良い結果が出たものだけを発表した可能性も否定できません。そもそも「美白」というのは、主観的に判断されがちという点も踏まえ、経口のグルタチオンは、美白に「効かないとは言えないが、効くとも言えない」程度のものなのではないでしょうか。

――安全性の面ではいかがでしょうか。

名取 経口のグルタチオン摂取は、かなり安全だと思われます。ただ、医薬品のグルタチオン錠ではなく、グルタチオンを含むサプリメントの類いだと、安全性が保証されているとは限りません。

――ちなみに「リプライセル リポソーム GSH グルタチオン」は、「栄養素破壊から保護するために不可欠なリン脂質によって作られたリポソームを使用している」点をアピールしています。つまり「グルタチオンが体内に長く残る」ことで、ほかの経口サプリと差別化を図っているようです。

名取 「リプライセル リポソーム GSH グルタチオン」は、医薬品ではなくサプリなので、ちゃんとした論文がない、もしくはあっても提示されていないと思うのですが、本当にリン脂質によって栄養素破壊から保護されるというデータはあるのか、もし保護されたとして美白効果が上がるというデータはあるのか、疑問を抱かざるを得ません。そもそも美白効果自体があるかどうか、わからないですしね。

 もう一つ、グルタチオンが「体内に長く残る」というのは、直感的に「怖い」と思いました。それだけ副作用のリスクが上がるからです。一般的なグルタチオン錠には、これまで大きな副作用はなかったものの、リン脂質という“余計なもの”をくっつけたせいで、副作用が出る可能性もあります。副作用のリスクについては、果たしてちゃんと調べているのでしょうか。もし調べているのであれば、それを提示すべきだと思います。

―― 一方で、「白玉点滴」に関してはいかがでしょうか。

名取 注射によるグルタチオンの美白効果についての証拠はほとんどありません。逆に、効果の乏しさと危険性について、複数の専門家から注意喚起がなされています。臨床医の間でトップレベルに評価されているイギリスの医学雑誌「BMJ」で、ある皮膚科医が「非倫理的(Unethical)」と強く批判していたことも。色素異常症などの病理研究に携わる中、効果のほどがわからない美白目的でのグルタチオン注射の治療を行うのは「危ない」と感じ、警鐘を鳴らしたかったのではないかとも考えられます。また、米国FDA(アメリカ食品医薬品局)も、消費者に対して「潜在的に重大な安全上のリスク(a potentially significant safety risk)」をもたらすとしています。このようにFDAが承認していない製剤が使われているため、米国では「危険性が高い」と考えられているようですね。

――海外で「危険」とされているのに、日本でブームとなっているとは、驚きを隠せません。

名取 ただ、日本では医薬品として承認されている製剤であれば、危険性は低いでしょう。一方で、製剤そのもののリスクとは別に、注射針を刺すこと自体に一定のリスクはありますし、薬液を点滴に混ぜたり、点滴ボトルに通気針を刺したりする一連の行為で、注射液が汚染されるリスクもあります。効果が同じであれば注射・点滴ではなく経口投与するのが医学上の常識です。

――美容クリニックでは、「経口より点滴の方が効果的」と説明されるケースも多いようですが。

名取 美容点滴に限らずですが、確かに「点滴の方が効きそうな気がする」という患者さんはたまにいらっしゃいます。日本では過去に、開業医がサービスの一環として、患者さんに点滴をよく打っていたことがあったそうなのですが、現在では「よろしくない」と認識されているのです。そんな中、美容クリニックでは堂々と行われていると聞くと、「文化が違う」と驚く部分はありますね。

 しかし、美容目的のグルタチオン投与では、効果が同じどころか、むしろ注射製剤の方がエビデンスに乏しい。そうなると、経口製剤ではなく、わざわざ点滴投与する意味がわかりません。「『点滴の方が効果的』と考える患者さんが多そうだから」「点滴の方が高い値段をつけられるから」といった、美容クリニック側のよこしまな動機が働いているとしか思えません。

――美容サプリや美容点滴などを試す際、どのような点に気をつけるべきだと思いますか。

名取 正直に言いまして、私にはわかりません。病気に対する治療であれば、保険適用になっているものを選べば、ほぼ間違いないのですが、美容に関しては、保険適用のようなわかりやすい基準がありません。強いて言えば、「あまりにも高価なものは避ける」「信じすぎない。期待しすぎない」「有名人がオススメしていることは、何ら根拠にならない」などを、肝に銘じることだと思います。

 今回、特に「白玉点滴」を調べてみて思ったのは、美容医療の分野には、信頼できない情報がはびこっているということ。まさに「魑魅魍魎」という感じですね。大きなお金が動く割に、一般的な医学分野のように専門家のチェックが入りにくいから、このような状況が生まれているのではないでしょうか。もちろん、美容クリニックが全て悪だというわけではなく、よろしくないことをやっているクリニックが、「白玉点滴」などの根拠に乏しい美容医療に手を出すイメージです。そういったクリニックは、美容以外にも、自費診療で「高濃度ビタミンC点滴療法」や「血液クレンジング」を提供しているように思います。

――今回の「グルタチオン」に限らず、「ニセ医学」が横行し、しかも流行してしまう背景についてどう思われますか。

名取 残念なことですが、標準的な医療が必ずしも満足のいく結果を出せていないことがその一因でしょう。標準的な医療が、がんでもアトピー性皮膚炎でも副作用なく、全部治せることができれば、「ニセ医学」がはやる余地はありません。ただ、医学は日々進歩しています。100%治すことはできなくても、少しでも治る確率の高い治療を提供することはできます。

 誇大な宣伝や嘘も、「ニセ医学」がはやる理由の一つです。標準的な医療を提供する医師は、治療の限界や副作用について、正確な情報を提供しなければなりません。治らないときは「治りません」と説明します。その際、医師は患者さんを不安にさせないよう、伝え方などに工夫を凝らすものですが、中には、患者さんに不信感を抱かせてしまうケースもあるように思います。そんなとき、しばしば治療の効果を誇大に宣伝したり、副作用がないと嘘をついたりする「ニセ医学」を求めてしまう患者さんが一定数出てくるのではないでしょうか。

――なかなか一般人が、エビデンスに基づく正しい情報を得るのは難しい面もあるように感じます。

名取 実際に、クリニックで横行する未承認の“インチキ”幹細胞療法に対し、日本再生医療学会が声明を出して、法律がつくられた例もあります。このように、医学会などの専門家集団が、もっと注意喚起をしていくべきなのかもしれませんね。

名取宏(なとり・ひろむ)
内科医。医学部を卒業後、大学病院勤務、大学院などを経て、現在は市中病院に勤務。Twitterやブログで情報を発信している。著書に『「ニセ医学」に騙されないために』(内外出版社)がある。
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傷んだ髪をサラサラに……「ドライヤー」「洗い流さないトリートメント」の使い方をプロに聞く!

 メイクやファッションと同じくらい、ビジュアルに影響を与える「髪」。スタイルはもとより、髪の毛自体の美しさでも、見た目の印象が大きく変わるだけに、さまざまなヘアケアグッズを揃え、毎日のケアを欠かさないという人も少なくないだろう。特に今の季節、夏の強い日差しにさらされ、ダメージを受けた髪に、大慌てでヘアケアを始めようとしている人もいるはずだ。そんな中、着目したいのが「髪の乾かし方」。どれだけ効果が高いと言われる高価なシャンプーやトリートメントなどを使っていたとしても、「間違った髪の乾かし方をすると、髪を傷めてしまう」と、毛髪診断士で「スキンケアサロンティナロッサ」代表のパーソナルビューティープロデューサー・齊藤あきさんは言う。果たして、ボロボロの髪を整える「正しい髪の乾かし方」とは?

秋口の髪トラブルは夏のダメージが原因

――夏の終わりから秋にかけて、髪がきしんだりパサついたり、抜けやすかったりするのは、やはり夏の強い紫外線のせいでしょうか?

齊藤あきさん(以下、齊藤) 髪の傷みや抜け毛の原因には、栄養バランスの乱れや疲れといった内的ダメージ、そして紫外線などの外的ダメージも大きく影響します。夏場は、紫外線や冷房による外的ダメージに加え、暑さで疲れが溜まったり、冷たいものを摂りすぎて体の中が冷えたり、食欲が落ちて栄養バランスが乱れたりしやすいので、蓄積したダメージが、秋口になって大きく出てしまうんです。

――夏に紫外線だけ予防してもダメなんですね。

齊藤 髪の毛はいわゆる“死んだ細胞”なので、自力で修復ができないんです。傷んだら補うしかありません。美髪を維持するには、紫外線予防やダメージにつながらない過ごし方を意識するとともに、トリートメントでのケアや髪の乾かし方にもきちんと気を配り、夏のうちから傷まないようにするのがベストです。

――夏場は暑いので、ドライヤーを使わず、自然乾燥で済ませてしまうという人もいると思うのですが、あまりよくないのでしょうか?

齊藤 自然乾燥だと、髪が乾燥してパサついたり、頭皮が蒸れてベタつきの原因になったりするので、夏でもきちんとドライヤーで乾かしてほしいですね。また、髪の毛の表面には、コーティングのような役割をするキューティクルがあるのですが、髪が濡れていると、そのキューティクルが開いてダメージを受けやすくなってしまいます。そのため、洗髪後は「20分以内」に乾かすようにしてください。

――では、髪の毛を傷ませない乾かし方を教えてください。

齊藤 基本は「洗髪後、時間をかけずに完全に乾かすこと」。キューティクルが開いた状態でドライヤーをあてると熱のダメージを受けやすいので、ダラダラ時間をかけて乾かすのはNGなんです。そのために何をすべきかと言うと、タオルドライで髪の水分をしっかり取り除くこと。水滴が落ちなくなるくらいまで、念入りにしてほしいですね。このタオルドライをあまりしていない人が結構いるようなんですが、ドライヤーの時短にもつながるので、ぜひやってほしいと思います。髪の長い人は、タオルで押さえるようにしながら、毛先の水分までしっかり吸い取ってくださいね。

――まだ暑い日が続いてるので、できるだけドライヤーをあてる時間を短くしたいという人も多いと思います。そのためにも、タオルドライは大切なんですね。

齊藤 時短という点では、タオル2枚を使ってのタオルドライもオススメ。1枚目は浴室に置いておき、髪を洗い終わってすぐに、水気を切った髪に巻きます。そのまま湯船に浸かったり体を洗ったりして、お風呂から上がったら、2枚目のタオルで巻き直します。そうすると、5分ほどで結構水分を吸い取ってくれるので、最後にワシャワシャっと拭いてからドライヤーをすると、早く乾かせるんです。洗髪後に巻くタオルを吸水性の高いものにするのもいいですね。

――ドライヤーの正しいあて方もあるのでしょうか?

齊藤 タオルドライ後の20分以内に、ドライヤーで頭皮、髪の毛、毛先の順に乾かしていきます。頭皮は髪の密度が高いので、かき分けるようにして、ドライヤーの風をまんべんなくあてて乾かしてください。頭皮がきちんと乾いたら、髪を浮かせながら風をあて、頭頂部の方から順に髪全体をしっかり乾かしていきます。髪の毛を動かすのではなく、ドライヤー自体を揺らしながらあてると、早く乾きますよ。傷みやすい毛先は最後に、キューティクルを毛羽立てないよう、斜め上側45度から風を送って乾かします。短い時間で全体をきちんと乾かすためにも、ドライヤーの風量は最強に。ただ、温度が高いと髪が傷みやすいので、ドライヤーの熱は70度くらいの低温に設定しておきましょう。

――温度設定ができないドライヤーで、熱が高い場合はどうしたらいいですか?

齊藤 ドライヤーを髪から離すと、風が届くまでのあいだに温度が下がるので、10~15センチくらい離してあててみてください。

――髪をしっかり乾かすことの大切さはわかりましたが、朝に髪を洗ったときなどは時間がなく、ととりあえず毛先だけ乾かして出てしまうことも多いです。

齊藤 それは最悪ですね……。洗髪後、皮脂が出るまでに約5時間かかるのですが、この皮脂は頭皮や髪を紫外線からガードする働きがあるもの。朝洗ってすぐ外に出ると、ノーガードで紫外線を浴びてしまい、頭皮も髪も傷めてしまいますよ。なので、朝シャンは良くないんです。さらに、きちんと乾いていない状態だと余計に紫外線の影響を受けやすくなってしまうので、毛先を乾かすくらいなら、頭皮だけでもしっかり乾かす方がまだいいですよ。

――なぜ毛先より頭皮なのでしょうか?

齊藤 紫外線予防というのもありますが、根本が乾いていないと、たとえきちんとスタイリングしても、時間がたつにつれて髪がうねってきてしまいます。何事も、土台からきちんと作っていかないと、崩れやすいということです。

――最近では、ドライヤーをかける前に、「洗い流さないトリートメント」を髪に塗るという人も多いですが、種類がたくさんあるので、いつも迷ってしまいます。選び方のポイントを教えてください。

齊藤 ポイントは、主に2つです。1つは、ダメージに合わせた選び方。髪の毛は、外側が親油性で、内部は親水性になっているので、内側から修復したいときはウォータータイプやミルクタイプなど水分が多いもの、表面を保護したいときは油分の多いクリームタイプやオイルタイプがいいと思います。もう1つは髪質による使い分けで、髪が細い人はペタッとしづらい水っぽいタイプがおすすめで、ハイダメージで髪が広がってしまう人は、オイリーなタイプの方がボリュームを抑えられます。

――正しい塗り方などはあるのでしょうか?

齊藤 髪は毛先が一番傷んでいるので、まずは毛先にしっかり塗り込んでください。上側は、毛先に塗り込んだ余りを馴染ませるくらいで十分です。なお、頭皮につくと、かゆくなったりベタついたりするので、根元から5センチくらいはつかないように気を付けてくださいね。髪全体を「3つくらいの束」に分けると塗りやすいと思います。使用量はタイプや商品によってそれぞれですが、どれも塗り過ぎは良くありません。

――おすすめの使い方があれば教えてください。

齊藤 ミルクタイプは油分と水分のバランスがよく、内側まで浸透しやすいため、髪の修復に向いています。一方オイルタイプは、油分が多いほどコーティング力が強いので、ドライヤーの熱からの保護や、紫外線予防に適しています。なので、タオルドライの直後にミルクタイプを塗り、その上からオイルタイプを重ね塗りしてドライヤーをするとベスト。また、外出前にオイルタイプを塗って紫外線をガードするなど、何種類かの洗い流さないトリートメントを用意して、うまく使い分けるといいと思います。
(取材・文=千葉こころ)

齊藤あき(さいとう・あき)
パーソナルビューティープロデューサー。美容師・毛髪診断士・美養研究家。「スキンケアサロンティナロッサ」代表。5万人以上ものあらゆる肌と髪に向き合ってきた美肌・美髪作りのスペシャリストとして、多くの人たちから支持を集めている。
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