思い通りにいかない人生はつまらない?――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第2話

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 学校の行事でよく行われる、「タイムカプセル」や「未来の自分への手紙」。あいにく私は参加した記憶が無いのだが、若い頃は、面白そうな企画だと思っていた。

 しかし、歳を重ねるごとに、“残酷さ”のようなものを感じてしまい、今では「ああいう企画がなくてよかった」と胸をなで下ろしている。

 誰もが感じているように、自分の将来などというのは、思った通りにいかないものだ。それを「過去の自分」という、誰よりも身近な存在に検証されるのである。厳しいことこの上ない。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第2話では、そんな「過去の自分からの手紙」が効果的に使われていた。

「東大に入りたい」という落ちこぼれ高校生・由利匡平(横浜流星)の熱意に押され、塾講師を続けることになった順子(深田恭子)。そんな彼女の元に、15歳の時、大人になった自分宛てに書いた手紙が届く。

「東大には行けたか?」「どんな人と結婚しているのか?」そして、「なりたい自分にはなっているか?」――それらの問いかけに、何一つ応えられていないことに順子は愕然とする。

 そんな挫折を味わいながらも、指導している匡平は、順調に勉強を続けており、順子の励みにもなっていた。

 ある日、匡平は、学校の仲間に誘われて行った合コンで、女子高生・江藤美香(吉川愛)と出会う。彼女は匡平を気に入り、彼と同じ、順子が勤める塾に通うようになる。

 新たなキャラクターの登場だが、演じている吉川は、かつて“吉田里琴”の名前で活躍した名子役であった。2008年に放送されたドラマ『オー!マイ・ガール!!』(日本テレビ系)では、6歳の天才子役という、自分の立場ともリンクした役を見事に演じていたことも印象深い。

 そして、16年、学業に専念することを理由に、一度芸能界を引退している。これからの活躍が期待される中での引退だったので、残念がる声は多かった。しかし、彼女は彼女なりに、「なりたい自分」を探していたのだろう。

 引退から一年後、女優として芸能界に復帰。どのような気持ちの変化があったかは知る由もないが、彼女なりに自分の人生を見直した結果だと思われる。そんな経緯をたどった彼女が、今回のドラマの「なりたい自分になれているか?」というテーマと重なって見えてしまう。子役時代から見ているが、愛らしいルックスと視線を巧みに使って演じる演技力は健在で、これからどう絡んでいくかが楽しみである。

 一方、順子に想いを寄せる、エリートの従兄弟・雅志(永山絢斗)。彼に届いた、未来の自分への手紙には、今でも変わらない順子への思いが綴られていた。雅志は、順子の幼馴染みの美和(安達祐実)から匡平のことを聞き、複雑な思いを抱く。

 そんな時、順子の塾で、近隣の高校に出向いて授業を行う「出張講師」をすることになる。なりゆきで、匡平の通う南校に行くことになった順子。そこで、学校側の担当となった教師は、高校の同級生・山下(中村倫也)だった。

 高校時代、山下は進学校の授業についていけず、落ちこぼれていた。そんな彼に、勉強を教え立ち直らせたのが順子だった。そして山下は、順子の人生で、唯一告白をしてきた男性でもあった。ほろ苦い思い出とともに、二人は再会したことになる。

 当時、付き合うことはなかったものの、「山下が自分を好きになってくれた」という事実は、その後も順子が落ち込んだ時に力をくれた。人が躓いた時に励みになるのは、誰かに愛されていたという実感なのだろう。それは、愛された経験が少ない者にとっては、大切にしておきたい思い出であるはずだ。

 山下と再会し、愛されることが励みになっていたことを思い出した順子は、匡平に「受験勉強しながら恋愛もしてほしい」と告げる。それに対し、「自分を肯定してもらったのが嬉しい」と答える匡平。いい雰囲気になったところで、順子の腰痛が再発する。心配して、生徒は立入禁止の講師ルームに付き添う匡平。他の先生が戻ってきたことから、順子は慌てて匡平を、自分の机の下に押し込む。

 同僚の教師が、匡平の父(鶴見辰吾)は文部科学省の局長であることを噂する中、順子は「受験会場でペンを持つのは本人、親なんか関係ない!」と言い切る。その言葉を聞いた匡平は、順子の膝に頬を当てるのだった。

 小さな出来事の積み重ねで、徐々に徐々に、匡平が順子に惹かれていくシーンが描かれる。年齢差もあるし、「先生と生徒」という立場もある分、匡平は自分の気持ちに戸惑っているようにも見える。20年もの長きに渡って恋をしている雅志や、これから大人の恋愛に発展しそうな山下とは違い、初々しさを感じる。おそらく、不良のような外見と、ピュアな気持ちとのギャップに、見ている女性の方々はキュンとなっているのではないだろうか。

 迎えた出張授業の日、教壇に立った順子に対し、生徒の反応は冷ややかだった。皆一様に聞く気がない。「勉強して何の役にたつのか?」そう尋ねる生徒に、「私もそう思う」と答える順子。

「だけど、みんなに大事な人ができた時、その人を守るために必要なことはある」

 そんなふうに語る順子に、生徒たちは耳を傾け始める。落ちこぼれた生徒たちは、順調に人生を歩んできた人の話を聞きたいわけではない。順子が自分のダメなところをさらけ出して話をしたことで、心を開いていったのであろう。

 打ち上げの席で、匡平と二人になった順子。酔った順子は、自分が今、匡平に夢中だと口にする。そして、匡平もまた、順子が好きな気持ちに気づくのだった。

 ドラマのラスト、順子のモノローグで、15歳の自分に向けた手紙を読んでいる。

「私は、君の想像する未来を、何一つ叶えていません。それでも、想像以上に忙しい日々を過ごしています」

 未来は、自分の思った通りになんかならない。でも、何かを手にしようという気持ちを持っていれば、そんなに悪い方向にはいかないんじゃないかな、と思う。大切なのは、何かを目指し、前に進もうという気持ちだ。

 このドラマは、そんな思いを持った人たちが、少しずつ幸せに近づいていく物語なのだ。ただの恋愛ドラマだと思って見ていてはもったいない。

(文=プレヤード)

「電信柱が並んでいる写真かと錯覚する」 “ガッカリ写真集”が話題になった女性芸能人たち

 昨年放送のNHK連続ドラマ小説『半分、青い。』でヒロインを務め上げてブレイクを果たした、女優の永野芽郁。今年3月には初写真集『moment』(SDP)が発売されるのだが、先行ショットを見た人たちからは「ガッカリ」との声が上がっている。

 同写真集は、永野自身が全てセルフスタイリングを行った渾身の一冊。カジュアルな印象のスタイルから少し大人っぽいスタイルまで、彼女が選んで集めた私服をオシャレに着こなす姿が収録されているという。

 先行ショットでは、ビキニ姿で肌を露出した1枚を公開。しかし、これを見た人たちからは、「乃木坂の写真集を見習えよ。いい脱ぎっぷりしてるぞ」「なにこのガッカリショット。露出なしの写真集って誰得なの?」「自分で選んだ私服とか、そういうのはたいてい期待できないよな」など落胆の声が続出していた。

 今回は永野のように、“ガッカリ写真集”が話題になった女性芸能人たちをご紹介していこう。

 

●堀北真希

 2017年に事務所を退所し、芸能活動を休止した堀北真希も“ガッカリ写真集”が話題になったことがある。13年9月に発売された写真集『Dramatic』(マガジンハウス)は、堀北にとって5年ぶりとなる一冊。清純派女優として名を轟かせていた彼女が、大胆な下着ショットやドレス姿を披露して注目を集めていた。

 しかし同作の購入者からは、「セクシーさを前面に出そうとしてるんだろうがすべてが微妙に残念」「オシャレでキレイなファッション誌の上位互換って感じ」「表紙の写真に惹かれて買っちゃうと後悔するぞ!」「立ち姿ばっかりで、電信柱が並んでいる写真かと錯覚する。女性の大人部分が表現されていない」など不評の声が。清純派路線を歩んできた彼女の“中途半端なセクシーショット”に不満を募らせる人も多かったようだ。

 

●深田恭子

 今月15日から、主演ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)が放送中の女優・深田恭子。グラマラスボディが男女問わず人気な彼女も、ガッカリ写真集が話題になっていた。深田に落胆の声が上がったのは、2014年に発売された写真集『Down to earth』(ワニブックス)でのこと。

 同写真で深田は、白ビキニでサーフィンを楽しむ姿などを公開。アスリートのように引き締まった体がウリの一冊として注目を集めていた。しかし引き締まった彼女の体を見た人たちからは、「深キョンはむっちりなのが良かったのに……」「セクシーさやエロさを求める人には消化不良だと思う」「スリムな深キョンなんて……」などの声が続出。彼女は少しふくよかなほうが好評なのかもしれない。

リアルと役柄がリンクする深田恭子のモテっぷり――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第1話

 いつの頃からか、深田恭子は、「恋多き女優」と言われるようになった。

   真偽のほどは別にしても、これまで多くの熱愛が報じられてきたし、今年に入ってからも、ドラマの開始に合わせるかのように、カリスマ経営者との熱愛が報じられた。

 1月15日にスタートした、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)。そんな彼女が演じたのは、「30歳を過ぎて初恋もまだ」という恋に不器用な女性だった。

 現実のモテっぷりとはまるで対極にあるような思われる役だが、これが不思議とハマっている。それは一体なぜなのか。

 彼女の魅力はたくさんあるが、「美しさ」と「親近感」の絶妙なバランスというのも大きな要素だと思う。親近感というのは、ちょっときつい言葉を使えば、「ダサさ」や「カッコ悪さ」でもある。長身で細身の美女というよりは、ちょっとふっくらとした愛らしさ。それが、今回の役柄でもある、「どこか人生がうまくいかない女性」にうまくシンクロしているのだ。

 そもそも、彼女がグランプリを受賞した、「ホリプロタレントスカウトキャラバン」は、オスカープロモーションが実施している「国民的美少女コンテスト」などに比べ、庶民性の高い人が選ばれる傾向にある。

 佐藤仁美や綾瀬はるかといった女優として活躍する人も、井森美幸、小島瑠璃子などのバラエティで活躍する人も、みんな美しいだけではない魅力を持っている。それは、言い換えれば、見ている人に“共感”される力であるだろう。今回のドラマのように、「成績優秀で人生勝ち組に見えても、実は自分に劣等感を抱いている」主人公に、共感を抱かせるのが、女優としての彼女の力量なのだ。

 幼い頃から東大合格を目指し、勉強一筋で過ごしてきた春見順子(深田)は、受験に失敗。教育熱心な母親との関係もぎくしゃくしたものになる。名門お嬢様大学に進学するものの、その後の人生の目標を見失い、漫然とした日常を送ってきた。

 32歳になり、塾の講師として働くものの、そこでもやりがいは感じられず、婚活サイトで出会った東大卒のエリート、安田(麒麟・川島明)からもふられてしまう。

 そんなある日、順子は、ひょんなことから、不良高校生のグループと知り合う。その中の一人、髪をピンクに染めていたのが、由利匡平(横浜流星)だった。

 匡平は、父親の菖次郎(鶴見辰吾)に連れられて、順子の働く塾にやってくる。そこで、息子を「ゴミ」「恥ずかしい」と言う菖次郎に対し、順子はつい言い返してしまう。

「人のことをゴミという人間の言うことなんて聞かなくていい!」

 結局、それが原因で退職することになった順子。幼馴染みで、キャバクラのオーナー松岡美和(安達祐実)、そのキャバクラで働くもんちゃん(真凛)などに悩みを打ち明けるが、なかなか打開策は見つからない。

 そんな時、順子にアプローチしてくるのが、いとこの八雲雅志(永山絢斗)だった。しかし、順子はその思いに気づくことなく、新しい恋を求めて、奔走する。

 一方、匡平は、父親を見返したい一心で、東大に入りたいと言って、再度塾を訪ねてくる。その熱意に押されて、順子も自分の中に眠っていた気持ちを思い出すのだった。

「青春は貯金できない」「勉強して覚えた知識は君のもの」「自由になったら迷子になった」など、ラブコメの要素の中に、「はっ!」とさせられる言葉やシーンが配されている。見ていて納得したり、考えさせられたりするのは、良いドラマの条件だ。

 ドラマの中でちりばめられた小ネタを探してみるのも楽しい。今回だと、直前に放送された『マツコの知らない世界』の「観覧車の世界」が終わってすぐに、ドラマのオープニングで観覧車が映ったところは驚いた。どちらの番組が合わせたのかわからないが、続けて見ていた人はニヤリとしたのではないだろうか。

 また、順子が不良グループに夕飯をごちそうするシーンで、グループの一人が「ハンバーグ!」と叫んだところも面白い。その後に、安達祐実演じる美和が入ってくる。これは、安達の元夫である、スピードワゴン・井戸田潤の持ちネタと絡めたものと思われる(ちなみに美和もバツイチという設定)。

 これはどこまで意識していたかわからないが、前クールの火曜ドラマ『中学聖日記』とも共通する部分がある。学校と塾という違いこそあれ、男子生徒が女性の先生に恋をするという展開(年齢差はこちらのほうが大きい)。

   加えて、どちらも過去の出来事を回想しているという設定で語られている点も、同じである。ドラマのテイストが違うと、ここまで雰囲気が変わってしまうというのも注目したい点だ。

 今後は、匡平と雅志、そして、匡平の担任である山下一真(中村倫也)からも好かれていくという展開になる。これこそ、モテ女深田の本領発揮であろう。

   どのシーンの順子も魅力的であったが、ラストの髪を束ねて気合を入れる姿は、抜群に凛々しくて可愛かった。

 深田恭子にしても春見順子にしても、人間としてかっこいい。そりゃみんな惚れちゃうよな!

(文=プレヤード)

三吉彩花、いまだブレイクせずも三浦春馬との「社内熱愛」に事務所は歓迎!? 過去に深田恭子の例も……

 5月末、俳優の三浦春馬と、モデルでタレントの三吉彩花の熱愛が写真週刊誌「フライデー」(講談社)によってスクープされた。

「青山の隠れ家風のバーで食事とお酒を楽しんだ2人が店を出たのは、深夜2時。入店時には三浦が着ていたダサいスウェットを、三吉が着て出てきたのを見ても、2人の親密度がわかるというもの。キャッキャと通りを歩いてタクシーを止め、2人はそのまま三浦のマンションに消えていったといいます。付き合いたてで、楽しくて仕方がない時期であることが、写真からも伝わってきましたね」(芸能記者)

 だが、気になるのは、2人が福山雅治やサザンオールスターズなどの国民的スターを多く抱える大手芸能プロ「アミューズ」所属のタレント同士であることだ。

「先輩後輩の関係にある、事務所内恋愛。アミューズへの忖度から、テレビでこのスクープが取り上げられることはほとんどありませんでしたが、三浦はともかく、三吉はおととしあたりから事務所が猛プッシュしながらも、いまいちブレイクせず……。“売り出し資金の回収がこれから”という存在だけに、事務所としても『おい、お前たち!』と言いたいところでしょう」(芸能プロ関係者)

 ということは、2人の恋はこのスクープと同時にピリオドが打たれたのか?

「いや、そうとは言い切れないでしょう。どこの馬の骨ともわからない他事務所のタレントと付き合って、妊娠でもさせられて、CM契約やドラマ出演が吹っ飛んで、膨大な違約金を負担させられるようなことがあっては、たまりません。そこへいくと、同じ事務所のタレント同士なら管理がしやすく、実は交際が認められやすい。かつて、ホリプロ所属の深田恭子は、同じ事務所の載寧龍二(現在はフリー)、内田朝陽と付き合っていましたが、事務所がこれを咎めることはありませんでした。それどころか、事務所がコンドームを用意し、男の方に渡していたというウワサもありました。扱いの難しい女優に、恋人の存在を認めることで、事務所のいうことを素直に聞くようになるなら、それでよしという考えもあるのです」(同前)

「フライデー」の記事では三吉が三浦と結婚したいと公言していると書かれていたが、事務所も公認となれば、そのうち「結婚」とビッグニュースも飛び込んでくるかも!?

過去最高視聴率!『隣の家族は青く見える』の“子どもができなくてもハッピーエンド”は番組の良心

 コーポラティブハウスを舞台に、そこに暮らす住民のさまざまな価値観の形を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)最終話。視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高をマーク。流産の末、家を飛び出した奈々の行く末や、4組の「家族」の顛末は?

 

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■奈々は別れを決意

 

 長い不妊治療の末、授かった子を流産してしまった失意の奈々(深田恭子)は地元・伊豆にいた。迎えに来た大器(松山ケンイチ)に、奈々は別れを切り出す。

「治療をやめるってことは、大ちゃんに赤ちゃんを抱かせてあげられないってことだよ。そしたら私は、もう一緒にいる意味がないから」

 第1話で大器は「俺の子どもを産んでください」とコミカルながらに告白、交際が始まった。この言葉が奈々の中で大きいのだろう、いい意味でもつらい意味でも。

「2人とも子どもがいない未来を描けていなかった。未来は空っぽ、何にもない。赤ちゃんと一緒に消えちゃった」

「俺はどこいったの? 奈々の未来に俺入ってないの?」

「私はもう大ちゃんのこと幸せにしてあげられないから」

「俺がどうしたら幸せになるかって、なんで奈々が決めるの?」

「なんで子どもいなかったら幸せじゃないって、奈々が決めつけてるの。奈々にとって夫婦ってさ、単なる子作りの相手? 奈々にとって俺ってその程度の存在だったの?」

 奈々の手に指輪がないのに気付いた大器は、実家の居酒屋で荒れて酔い潰れる。

 そんな大器を叱ったりせず「あいつだってつらいんだ」と理解をしめす父・健作(春海四方)。『アンナチュラル』(TBS系)4話でしあわせの蜂蜜ケーキの工場長を演じてた方。

 母・聡子(高畑淳子)と妹・琴音(伊藤沙莉)で、潰れた大器をコーポへ送り、わずか3日で荒れた部屋を片付ける。

「いつまでたっても親なんだね」と笑う琴音に、聡子は言う。

「あんた達がいくつになってもこっちは死ぬまで親だし、あんた達も死ぬまで子どもよ」

 琴音もきっと、そういう母親になるだろう。

 大器の部屋にずっとあった小さな滑り台が外されているのに気付いた聡子は、大器を叩き起こし、毎日でも迎えに行けと叱咤する。奈々には言えなかった本音を語る大器。

「何のために子作りしてきたのか、何のために子作りしてきたのか、何のために結婚したのか、わかんなくなっちゃった」

■広瀬・朔はパートナーシップ提出

 

 朔(北村匠海)は大検に合格。そんな朔に広瀬(眞島秀和)は、パートナーシップ宣誓書の用紙を渡す。

 コーポのある世田谷区、そして都内では他に渋谷区でパートナーシップ制度があり、同性同士の暮らしを支援する。条例である渋谷区に対し、世田谷区のそれは要綱で、例えば、同性同士だからと部屋を貸さない事業者に対し、渋谷区ではその事業者が公表されたりするのだが、世田谷区ではそういった「ペナルティ」はなく「性的少数者に基礎自治体が向き合い、啓発の第一歩となることに意味がある」としている。

 後日、2人で宣誓書を提出。そこに現れたのは、息子がゲイであることを受け入れられず仲違いしていた広瀬の母・ふみ(田島令子)。いつの間にか「朔ちゃん」「お母さん」と呼び合う仲になっていることに驚く広瀬。

「朔ちゃんはね、自分のせいで貴方と私の関係が悪くなるのを恐れたの。家族を作るのが夢だったのに大切な人の家族を壊すなんて、本末転倒だって自分のことを責めて……だから今日来たのよ、朔ちゃんのために」

「今じゃ息子が一人増えたみたいだわ」

 ノーガードで飛び込んでいく朔の身軽さが羨ましく見える。母親と朔の様子をうれしそうに見つめる広瀬もそこに惹かれているのかもしれない。

 

■亮司とちひろは事実婚

 

 亮太(平山浩行)を亮司と同じ川村姓にする「子の氏の変更許可申立書」を記入しつつ、ちひろ(高橋メアリージュン)に「事実婚契約証」「遺言証」を見せる亮司。

 相続なんてどうでもいいと言うちひろだが「亮太のこともちひろに託せる」と言われすぐさまサインをした。

「あの子がまだ自分の居場所をなくすのだけは避けたいから」

 書類などなくても、彼らが家族であることは間違いないが「これが俺なりの家族の守り方なんだ」と亮司は言う。

 名字に代表される個の喪失や、家制度や家柄などに縛られる抵抗感、家単位で管理しようとする戸籍制度への疑問等から事実婚を選ぶカップルは昔からいた。しかしなかなか理解されず後ろ指を指される時代があった。こうやって明るくドラマで描かれる時代になったのは感慨深い。

 いい雰囲気になり、キス寸前のところに亮太が現れて終了というお約束もあり。

 

■真一郎とみゆきは離婚取り消し

 

 長女・優香(安藤美優)のダンス大会に付き添いで来た真一郎(野間口徹)。深雪(真飛聖)も実はこっそり応援にくるなど、すっかり雪解けムード。

 あれほどこだわっていた中学受験に対しても「むしろ苦労したり失敗したりすることも、優香の人生にとっては大切なことかもしれない。行きたい中学に行きなさい」とすっかり柔軟に。

 そんな深雪を見て、真一郎は離婚の申し出を撤回し、頭を下げた。同時に、深雪の子育てに心から感謝する。

「やり直せるかな」という深雪に「一緒に頑張ってくれないかな、パパとママとしてだけじゃなく、夫と妻としてもう少しいい関係でいられるように」。

 いい雰囲気になり、深雪が真一郎のメガネを外すシーンで笑ってしまったのですが、これは笑ってよかったのでしょうか。確かにメガネを外した野間口は変な色気があるのですが、それはそれとして笑いました。

「やっぱりイケメン」とのろける部分は親のラブシーンを見るみたいで個人的に非常に居心地が悪かった。野間口は声がいいですね。いいバイプレイヤーは耳に残る声をしてる人が多い気がします。こちらもキスどころか、ベッドインしようとして、やはり子どもが現れて失敗するという「カブせ」あり。

■子どものいない人生も選択肢にいれた奈々と大器

 

 大器は、何度も何度も、ライン(的なやつ)で変顔を送ってくるなど、不器用なアプローチを続けるが、奈々は返信できない。そんな奈々の元を聡子が訪れるが、戻っても大器につらい思いさせてしまうと語る奈々。しかし聡子は言う。

「つらい思いさせればいいじゃないの。妻がつらい思いしてる時は夫も一緒につらい思いするべきでしょ。うれしいことや楽しいことは誰とでも共有できるけど、つらいことや悲しいことは一番大事な相手としか共有できないんじゃないの? つらくても悲しくても悩んでも苦しんでも、2人で一緒に生きていこうって約束したことが夫婦なんじゃないの? それが結婚ってもんなんじゃないの?」

 小さく振り絞るように語る高畑淳子が、またしても全部持ってく勢い。このドラマ見ていた人は、もはや全員高畑ファンだ。

 奈々は帰宅するなり大器を抱きしめ謝る。ひとしきり気持ちを伝える奈々を、ただ「おかえり」と受け入れる大器。

「赤ちゃんを授かることが奇跡だって思ってたけど、一生一緒にいたいと思えるパートナーと出会えたことがそもそも奇跡なんだなって」

「大ちゃんと出会えたことが一番の奇跡なんだよ」

 子どもができることはもちろん素晴らしいが、それだけでない価値観に気付いた奈々。

「子どものいない人生は耐えられるけど、奈々がいない人生は耐えられないよ」と大器も応える。

 大器を思わず抱きしめ「だいすきーだいすきーだいすきーー」という奈々が、異様に深キョンぽくて生々しかった。

 結局、不妊治療を一旦終了した奈々。子どもを持たない夫婦の居場所も、あのコーポにはある。

 

■子どもができなくてもハッピーエンド

 

 コーポでのバーベキューの最中、ちひろに内緒でサプライズの結婚パーティーが始まった。事実婚を「結婚」として捉えない人がいるが、個人的なつながりを第三者機関に届けないというだけで、普通の結婚だ。このサプライズが亮太の発案だと知り、涙するちひろ。

「口悪い人って涙もろいのよ」という深雪を見て、第2話で価値観を押し付けるなとちひろに言われ『モスラ対ゴジラ』のように派手に大げんかしていた頃を懐かしむ。メガネを外した真一郎が神父になりきり、和ませる。

 朔は広瀬の仕事を手伝いだした。深雪はケーキ屋で働き始め、真一郎は塾講師をしつつ学習ボランティアも続けている。亮司たちも、なんじゃもんじゃゲームを全員で楽しめるくらい亮太と打ち解けた。

 奈々は部屋の滑り台を戻した。「たとえ2人きりの人生だとしても、子どもを避けるような生き方はしたくない」「お母さんという形ではなくても、子どもとは触れ合って生きていたい」という気持ち通り、復帰した職場でキッズダイビング教室を提案。子どもがいること、いないこと、どちらにもとらわれすぎない柔軟な考え方は、奈々をますます生きやすくするだろう。

 大器は職場でプレゼン。「価値観や家族の形態が多様化した現代社会だからこそ、あらゆる形態の家族や仲間が共存共生する社会を目指します」タイアップしてる厚生労働省がちらつくが、このドラマで得体の知れない肩の重みが取れた人もいたかもしれない。

 なかなかこのドラマのように簡単にはいかないだろう。しかし、子どもができないまま奈々たちは前を向いた。「子どもができて、はいハッピーエンド」にしなかったところに、良心を感じました。最終回は少々展開的に物足りない感もありましたが、全体にうまくまとめたいいドラマでした。続編は難しいかもだけど、また別の価値観さんたちを集めて、ぜひ新シリーズを!
(文=柿田太郎)

 

過去最高視聴率!『隣の家族は青く見える』の“子どもができなくてもハッピーエンド”は番組の良心

 コーポラティブハウスを舞台に、そこに暮らす住民のさまざまな価値観の形を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)最終話。視聴率は7.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高をマーク。流産の末、家を飛び出した奈々の行く末や、4組の「家族」の顛末は?

 

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■奈々は別れを決意

 

 長い不妊治療の末、授かった子を流産してしまった失意の奈々(深田恭子)は地元・伊豆にいた。迎えに来た大器(松山ケンイチ)に、奈々は別れを切り出す。

「治療をやめるってことは、大ちゃんに赤ちゃんを抱かせてあげられないってことだよ。そしたら私は、もう一緒にいる意味がないから」

 第1話で大器は「俺の子どもを産んでください」とコミカルながらに告白、交際が始まった。この言葉が奈々の中で大きいのだろう、いい意味でもつらい意味でも。

「2人とも子どもがいない未来を描けていなかった。未来は空っぽ、何にもない。赤ちゃんと一緒に消えちゃった」

「俺はどこいったの? 奈々の未来に俺入ってないの?」

「私はもう大ちゃんのこと幸せにしてあげられないから」

「俺がどうしたら幸せになるかって、なんで奈々が決めるの?」

「なんで子どもいなかったら幸せじゃないって、奈々が決めつけてるの。奈々にとって夫婦ってさ、単なる子作りの相手? 奈々にとって俺ってその程度の存在だったの?」

 奈々の手に指輪がないのに気付いた大器は、実家の居酒屋で荒れて酔い潰れる。

 そんな大器を叱ったりせず「あいつだってつらいんだ」と理解をしめす父・健作(春海四方)。『アンナチュラル』(TBS系)4話でしあわせの蜂蜜ケーキの工場長を演じてた方。

 母・聡子(高畑淳子)と妹・琴音(伊藤沙莉)で、潰れた大器をコーポへ送り、わずか3日で荒れた部屋を片付ける。

「いつまでたっても親なんだね」と笑う琴音に、聡子は言う。

「あんた達がいくつになってもこっちは死ぬまで親だし、あんた達も死ぬまで子どもよ」

 琴音もきっと、そういう母親になるだろう。

 大器の部屋にずっとあった小さな滑り台が外されているのに気付いた聡子は、大器を叩き起こし、毎日でも迎えに行けと叱咤する。奈々には言えなかった本音を語る大器。

「何のために子作りしてきたのか、何のために子作りしてきたのか、何のために結婚したのか、わかんなくなっちゃった」

■広瀬・朔はパートナーシップ提出

 

 朔(北村匠海)は大検に合格。そんな朔に広瀬(眞島秀和)は、パートナーシップ宣誓書の用紙を渡す。

 コーポのある世田谷区、そして都内では他に渋谷区でパートナーシップ制度があり、同性同士の暮らしを支援する。条例である渋谷区に対し、世田谷区のそれは要綱で、例えば、同性同士だからと部屋を貸さない事業者に対し、渋谷区ではその事業者が公表されたりするのだが、世田谷区ではそういった「ペナルティ」はなく「性的少数者に基礎自治体が向き合い、啓発の第一歩となることに意味がある」としている。

 後日、2人で宣誓書を提出。そこに現れたのは、息子がゲイであることを受け入れられず仲違いしていた広瀬の母・ふみ(田島令子)。いつの間にか「朔ちゃん」「お母さん」と呼び合う仲になっていることに驚く広瀬。

「朔ちゃんはね、自分のせいで貴方と私の関係が悪くなるのを恐れたの。家族を作るのが夢だったのに大切な人の家族を壊すなんて、本末転倒だって自分のことを責めて……だから今日来たのよ、朔ちゃんのために」

「今じゃ息子が一人増えたみたいだわ」

 ノーガードで飛び込んでいく朔の身軽さが羨ましく見える。母親と朔の様子をうれしそうに見つめる広瀬もそこに惹かれているのかもしれない。

 

■亮司とちひろは事実婚

 

 亮太(平山浩行)を亮司と同じ川村姓にする「子の氏の変更許可申立書」を記入しつつ、ちひろ(高橋メアリージュン)に「事実婚契約証」「遺言証」を見せる亮司。

 相続なんてどうでもいいと言うちひろだが「亮太のこともちひろに託せる」と言われすぐさまサインをした。

「あの子がまだ自分の居場所をなくすのだけは避けたいから」

 書類などなくても、彼らが家族であることは間違いないが「これが俺なりの家族の守り方なんだ」と亮司は言う。

 名字に代表される個の喪失や、家制度や家柄などに縛られる抵抗感、家単位で管理しようとする戸籍制度への疑問等から事実婚を選ぶカップルは昔からいた。しかしなかなか理解されず後ろ指を指される時代があった。こうやって明るくドラマで描かれる時代になったのは感慨深い。

 いい雰囲気になり、キス寸前のところに亮太が現れて終了というお約束もあり。

 

■真一郎とみゆきは離婚取り消し

 

 長女・優香(安藤美優)のダンス大会に付き添いで来た真一郎(野間口徹)。深雪(真飛聖)も実はこっそり応援にくるなど、すっかり雪解けムード。

 あれほどこだわっていた中学受験に対しても「むしろ苦労したり失敗したりすることも、優香の人生にとっては大切なことかもしれない。行きたい中学に行きなさい」とすっかり柔軟に。

 そんな深雪を見て、真一郎は離婚の申し出を撤回し、頭を下げた。同時に、深雪の子育てに心から感謝する。

「やり直せるかな」という深雪に「一緒に頑張ってくれないかな、パパとママとしてだけじゃなく、夫と妻としてもう少しいい関係でいられるように」。

 いい雰囲気になり、深雪が真一郎のメガネを外すシーンで笑ってしまったのですが、これは笑ってよかったのでしょうか。確かにメガネを外した野間口は変な色気があるのですが、それはそれとして笑いました。

「やっぱりイケメン」とのろける部分は親のラブシーンを見るみたいで個人的に非常に居心地が悪かった。野間口は声がいいですね。いいバイプレイヤーは耳に残る声をしてる人が多い気がします。こちらもキスどころか、ベッドインしようとして、やはり子どもが現れて失敗するという「カブせ」あり。

■子どものいない人生も選択肢にいれた奈々と大器

 

 大器は、何度も何度も、ライン(的なやつ)で変顔を送ってくるなど、不器用なアプローチを続けるが、奈々は返信できない。そんな奈々の元を聡子が訪れるが、戻っても大器につらい思いさせてしまうと語る奈々。しかし聡子は言う。

「つらい思いさせればいいじゃないの。妻がつらい思いしてる時は夫も一緒につらい思いするべきでしょ。うれしいことや楽しいことは誰とでも共有できるけど、つらいことや悲しいことは一番大事な相手としか共有できないんじゃないの? つらくても悲しくても悩んでも苦しんでも、2人で一緒に生きていこうって約束したことが夫婦なんじゃないの? それが結婚ってもんなんじゃないの?」

 小さく振り絞るように語る高畑淳子が、またしても全部持ってく勢い。このドラマ見ていた人は、もはや全員高畑ファンだ。

 奈々は帰宅するなり大器を抱きしめ謝る。ひとしきり気持ちを伝える奈々を、ただ「おかえり」と受け入れる大器。

「赤ちゃんを授かることが奇跡だって思ってたけど、一生一緒にいたいと思えるパートナーと出会えたことがそもそも奇跡なんだなって」

「大ちゃんと出会えたことが一番の奇跡なんだよ」

 子どもができることはもちろん素晴らしいが、それだけでない価値観に気付いた奈々。

「子どものいない人生は耐えられるけど、奈々がいない人生は耐えられないよ」と大器も応える。

 大器を思わず抱きしめ「だいすきーだいすきーだいすきーー」という奈々が、異様に深キョンぽくて生々しかった。

 結局、不妊治療を一旦終了した奈々。子どもを持たない夫婦の居場所も、あのコーポにはある。

 

■子どもができなくてもハッピーエンド

 

 コーポでのバーベキューの最中、ちひろに内緒でサプライズの結婚パーティーが始まった。事実婚を「結婚」として捉えない人がいるが、個人的なつながりを第三者機関に届けないというだけで、普通の結婚だ。このサプライズが亮太の発案だと知り、涙するちひろ。

「口悪い人って涙もろいのよ」という深雪を見て、第2話で価値観を押し付けるなとちひろに言われ『モスラ対ゴジラ』のように派手に大げんかしていた頃を懐かしむ。メガネを外した真一郎が神父になりきり、和ませる。

 朔は広瀬の仕事を手伝いだした。深雪はケーキ屋で働き始め、真一郎は塾講師をしつつ学習ボランティアも続けている。亮司たちも、なんじゃもんじゃゲームを全員で楽しめるくらい亮太と打ち解けた。

 奈々は部屋の滑り台を戻した。「たとえ2人きりの人生だとしても、子どもを避けるような生き方はしたくない」「お母さんという形ではなくても、子どもとは触れ合って生きていたい」という気持ち通り、復帰した職場でキッズダイビング教室を提案。子どもがいること、いないこと、どちらにもとらわれすぎない柔軟な考え方は、奈々をますます生きやすくするだろう。

 大器は職場でプレゼン。「価値観や家族の形態が多様化した現代社会だからこそ、あらゆる形態の家族や仲間が共存共生する社会を目指します」タイアップしてる厚生労働省がちらつくが、このドラマで得体の知れない肩の重みが取れた人もいたかもしれない。

 なかなかこのドラマのように簡単にはいかないだろう。しかし、子どもができないまま奈々たちは前を向いた。「子どもができて、はいハッピーエンド」にしなかったところに、良心を感じました。最終回は少々展開的に物足りない感もありましたが、全体にうまくまとめたいいドラマでした。続編は難しいかもだけど、また別の価値観さんたちを集めて、ぜひ新シリーズを!
(文=柿田太郎)

 

深田恭子、号泣──『隣の家族は青く見える』彼女がオリーブの木を植えた意味は?

 コーポラティブハウスを舞台に、4組の「家族」の価値観を描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。評判もいいようで、第9話の視聴率は6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、わずかながら上がってきている。今回はある事件を軸に、人々が理解しようとしたり、和解に至ったりする様子が描かれた。

 

(前回までのレビューはこちらから)

 

■朔が広瀬の親の元へ突撃

 

 息子にゲイであることを告白された際、受け入れることができなかった広瀬(眞島秀和)の母・ふみ(田島令子)は、少し時間が経ったからなのか、単身訪ねて来た朔(北村匠海)を戸惑いながらも受け入れようとする。

「まだ理解が追いつかなくて。親が理解してあげなければ本当はダメよね。人様はもっと理解してくれないことだろうから」

 親を知らず育った朔は、産んでくれたことへの感謝と、現在幸せであることを、もし親に会えたなら伝えたいと言う。それは広瀬もきっとそうだと言われ、救われた顔をするふみが印象的。相手を理解しようとすることは、ひいては自分を救うことでもあるのかもしれない。

 朔がふみと会っているころ、届け物を持ってきた同僚・長谷部(橋本マナミ)が、一度だけでも抱いて欲しい、子どもだけでも欲しいと広瀬に迫る。「そんな格好(下着姿)をされても、本当に何も感じない」と悲しそうに語る広瀬。長谷部は広瀬への強い想いからか、逆に広瀬を理解しようとしてこなかったのかもしれない。

 

■人前で抱きしめ恋人宣言

 

 前回、真一郎(野間口徹)に離婚を切り出された深雪(真飛聖)。次女・萌香(古川凛)は、深雪を元気づけるため風船を追いかけ、危うく踏切で轢かれかける。通りかかった朔が助けたものの、その朔は怪我をして病院へ。

 深雪は数年前の夫の海外出張中にも、長女の優香(安藤美優)が何者かに誘拐されかけたトラウマがあるといい、すっかり怯えていた。深雪の全身を武装していた鎧がどんどん外れていく。

 朔の怪我は大したことなかったのだが、取り乱して駆けつけた広瀬は、「家族なんです! 戸籍上は違うけど、一緒に住んでるんです! 家族同然の恋人なんです!」と看護師に詰め寄り、朔を見つけるなり「見られたっていい、そんなこともうどうだっていいから」と、人目もはばからず抱きしめる。不覚にも普通に泣きました。

 子どもの教育上よくないと、以前広瀬に食ってかかった深雪は気まずそうだったが、「これからは多様性を認める世の中にしていかないとダメだよねー」と、すでにLGBTなど多様性について授業で習ってるらしい優香は笑ってるし、未就学の萌香も「朔ちゃんとわたるん、愛し合ってるね」と、微塵も偏見がない。偏見があるのは、ある程度人生を重ねた世代なのだろう。

 ちなみにその夜の朔と広瀬の入浴シーンも、この流れでなんの違和感もなく見れました。

■深い雪解け

 

 中庭。深雪は萌香のことだけでなく、ゲイに対する偏見について全家庭の前で謝罪する。

深雪「私は自分と違うものを排除することで自分を守ってた」「狭い世界に閉じこもって生きてきたこと、今さらながら後悔してるところです」

広瀬「誰だってそうですよ。自分が信じてきた価値観を覆すのは勇気がいります」

亮司(平山浩行)「悪気なく誰かを傷つけてることあるだろうなって思いますし」

朔「誰のことも傷つけずに、自分のことも傷つけずに生きるのって無理じゃないかな」

ちひろ(高橋メアリージュン)「誰かが傷つくのを恐れて、言いたいこと全部引っ込めちゃうのも違う気がするしね」

大器(松山ケンイチ)「傷つけたとしても後で声に出して話し合えば分かり合えるかもしれない」

奈々(深田恭子)「いつか分かり合える時が来るといいですよね」

「3・15中庭会談」として後世まで語り継がれる歴史的会談。根の深かった深雪の気持ちが溶けていくのを見て「深雪」の名前の意味に気付く。直後の深雪とちひろのお馴染みの口論も、もはや棘々しさは皆無で心地よく、舞台化しても映える脚本だと思った。

 筆者は、大器のいう全て「声に出して話す」という物語の運び方が説明的で苦手ではあるのだが、こうした意図を掲げられると、もう黙るしかないです、ごめんなさい。

 ちなみに撮影で使われた電車は「上用賀」行きと書かれていたが、おそらく群馬の上毛電鉄。以前大器が歩いていたのは東急池上線沿線だったが、いろいろ合わせて撮影している模様。

 

■オリーブの木

 

 不妊治療の末、ついに前回妊娠した奈々。親や職場に報告したり、エコーで心拍を確認したり、母子手帳をもらってきたり、マタニティマーク(「お腹に赤ちゃんがいます」のキーホルダー)をつけたりと、不安を抱えつつも幸せそうだ。そんな奈々は庭にオリーブの苗木を2株植える。

 調べてみると、樹齢の長いこのオリーブという種は「他家受粉」といって、他の木の花粉でないと受粉しにくいらしい。同じ個体で受粉できるものを「自家受粉」(一年草などに多い)というのだが、それに対し他家受粉は個々の遺伝子が多様性に富むため、耐性もさまざま(一気に全滅しにくい)で生物として強くなるというメリットがあるという。

 このドラマのテーマである「多様性」。さまざまな価値観を持つ、違った人間同士が関わることで、お互い学びあったり助け合ったりして成長することができるということを、この木は表しているのだろう。

 オリーブの樹を植えた直後に、萌香が行方不明になり、これまで以上に住人が協力したっていたのは象徴的だ。

 仲直り目的で開かれたバーベキューの最中、突然、奈々が倒れた。その時も、それぞれが補うように対処した。深雪は動転する大器からかかりつけの病院を聞き出し連絡、亮司は車を回し、ちひろはブランケットをかけ、流れる血を隠した。奈々が運び出されたあと、オリーブの木が映し出されたのが印象深かった。

 今回はオープニングがいつもの軽快な曲ではなく、最後に流れるミスチルのしっとりした主題歌からスタートし(といってもこのドラマのオープニングはいつも中盤だが)、ただならぬ気配を漂わせていた。

 奈々は、流産してしまった。医師(伊藤かずえ)から初期の流産は珍しいことではないと告げられるも、唐突すぎる展開に2人の気持ちはついていけてない。

 しばらく経ってから、それぞれ強烈に悲しみが襲ってくる様子がリアルだ。特に奈々は翌日、また病院へ行くためバッグを手にした瞬間、大器がつけたマタニティマークが目に入り、涙が止まらなくなる。マークを引きちぎりながら嗚咽する深キョンの芝居は、彼女史上最高のものと思えるくらい気持ちがこもっていた。

 奈々は置き手紙を書き、失踪してしまう。

「ママになりたかったのでなく大ちゃんをパパにしてあげたかったのだと気付きました」「ごめんね大ちゃん……、ごめんね赤ちゃん……」と、自分を過剰に責めてしまう様子がリアルだとの視聴者の声が多かった。

 次回、ドラマは最終回を迎える。今回植えられたオリーブの木が今後、どう成長するのかもっと見ていたい。
(文=柿田太郎)

 

 

深田恭子が深刻な悩みを打ち明けるも「服がエロすぎて話が入ってこない」と話題

 3月14日放送の『ホンマでっか!? TV』(フジテレビ系)に女優の深田恭子が登場。番組の専門家に“ガチな”人生相談を持ち掛けたのだが、視聴者は「深キョンの服がエロすぎて話が入ってこない」と、彼女の衣装に注目していたようだ。

 深田が持ち掛けた相談とは「さんまさんみたいな早口になりたい」というもの。彼女は「考えるスピードも他の人より遅い気がして」「みんなで会話してる時にパンパンパンって会話が進むとついていけなかったりとか、本当はわかってないのに笑ってる時がある」と悩みを語っている。

 深田の告白には、スタジオから「そのままでいいよ」と温かい声が上がったが、会話のペースが遅いのは彼女が幼少の時から密かに抱えてきた深刻な悩みだという。放送ではその後も深田の真剣なお悩み相談が行われたのだが、この時点で視聴者の関心は完全に彼女の衣装に引っ張られていた。

「この日、深田は胸元を大きく露出させた黄色いドレス姿で登場。彼女のふくよかな谷間もしっかり見ることができ、ネット上では『深キョンの谷間がエロすぎる!』『もう胸しか見えない』『まぶしすぎて直視できない』といった声が続出しました。また、35歳とは思えない美貌にも『この人本当にいつまでも可愛いな!』と驚きの声が。確かに30代半ばであの衣装を着こなせるのは深田くらいでしょう」(芸能ライター)

 深田の魅力には専門家の先生もすっかりメロメロになってしまった様子。彼女の相談に、生物学評論家の池田清彦氏は「ものすごく早くしゃべれたからといって、言語能力が高いというわけではない」「テンポよくしゃべれないのは個性だから、治さなくてもいい」と脳科学の知識を生かして回答。その後「おっとりしゃべった方が可愛いよ!」と個人的すぎる見解をつけ加え、明石家さんまに「好み言うたらアカンねん!」と突っ込まれていた。

 しかし視聴者からは「今日の深キョンセクシーすぎるから仕方ないよ」「俺もあの場にいたら絶対池田先生みたいになる」「専門家も落とす深キョンのフェロモンすごすぎ」「『おっとりしゃべった方が可愛い』はすごいわかる」と共感の声が相次いでいる。

「彼女は最近女優としてかなり評価されていますが、それでもセクシー路線は崩さないようです。写真集も毎年コンスタントに発売されており、昨年12月も『palpito』(講談社)で妖艶なグラビアを披露していました。新垣結衣や綾瀬はるかなどグラビアをやっていた女優は数多くいますが、やはり売れてくると距離を置きがち。吉岡里帆も過去の水着グラビアを『嫌だった』と振り返っています」(同)

 女優として大成しつつも世の男性を魅了し続ける、可愛すぎる35歳“深キョン”。彼女にはいつまでも若々しくあってもらいたい。

深キョンついに妊娠!『隣の家族は青く見える』第8話は高橋メアリージュンの強い芝居に涙させられる神回

 コーポラティブハウスを舞台に、4組の「家族」の価値観を描く『隣の家族は青く見える』。第8話は、視聴者も知らぬいくつかの「理由」があかされ視聴率は6.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、やや上昇。

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■『毒親』に悩まされてきた2人

 

 今回まず目立ったのは、ずっと仲違いしてきたちひろ(高橋メアリージュン)と深雪(真飛聖)の関係の変化。

 亮太(和田庵)の死んだ母親の言葉「人間いつ死ぬかわかないから、やりたいことやっとけ」という言葉に触発され優香(安藤美優)は、受験を辞めて公立中に進み、ダンスを続けたいと母・深雪(真飛聖)に告白。「ママの言う通りにして後悔するのが嫌なの」と言われ、激怒し手を上げかけた深雪のその手を、ちひろが掴む。「子どもをストレスのはけ口にしないで」と語るちひろには、何か理由がありそう。

 後日、亮太の誕生日が近いことを知り、ケーキ作りの手伝いを奈々に頼むちひろだが、奈々(深田恭子)はお菓子作りの腕が「プロ級」だという深雪を連れてくる。ギクシャクしつつも、距離が縮まりだす。

 ここで深雪は、自身が小・中と受験に失敗し、母親に褒められずに育ったという過去を明かす。確かに前回「あなたは受験に失敗したとこから人生狂ってしまった」と、いまだ年老いた実母に圧をかけられていた。

「でもね、子どもができた時、初めて喜んでくれて、ようやく両親に認めてもらえたって思った」という深雪は、子どもの存在を「両親と私をつないでくれた魔法の架け橋」だと言い、だから他人にもつい「子どもを作れ」と勧めてしまう、と。

 深雪も内側に、いわゆるインナーチャイルドを抱える弱い人間なのだ。初めて深雪の弱さを知ったちひろも、母親にいつも殴られていたという自身の過去を明かす。

 確かにちひろは前回「みんながみんな子ども時代が幸せだとは限らないからね」と朔(北村匠海)と共感していた。

「こんな親にだけはなりたくないと思ってて、ある日、気づいたんだよね。そっか、子どもを産まなきゃいいんだって」
「私みたいな育てられ方した人間がいい母親になんかなれるわけないから」
「産んだはいいけど愛してあげられませんでしたじゃ、子どもがかわいそう」

 反目していた2人には『毒親』によって苦しんだという共通する子ども時代があったのだ。深雪は子どもを育てることで、ちひろは子どもを持たないことで、当時のことに折り合いをつけているのだ。

 自分と同じく母親を「失った」亮太がSOSを発した時には必ずそばにいてあげたいと語るちひろの思いを知り、何かが溶けるような表情を見せた深雪が印象的。

 深雪はまだ自身の『毒親』に対し希望を持っているかもしれないが、ちひろは切り捨てているようだ。もし優香をあそこで叩いてしまっていたら、自分が優香に「切り捨て」られていたかもしれない。実際そんなことはないかもしれないが、深雪が、気まずい中、お菓子作りに来たのは、優香との関係を守ってくれたちひろに対する感謝があったのかもしれない。

 この物語では無理だろうが、いつかちひろが(勝手な推測だが)「切り捨て」た母親とまた通じ合い、亮太らを紹介できる、そんな日がきたらいいなと思った。

 そして、こういう場をちゃんとセッティングする奈々、頼もしい。

■死んだ母に「許された」亮太

 

 そして誕生日当日。ちひろは完成したケーキをうれしそうに差し出すも、亮太はいきなりそれを床に叩き落とし、「今日はお母さんが死んだ日だ」と外へ飛び出す。

「悪かった、私が! 知らなかったの! 今日がお母さんの命日だなんて知らなかったの」
「亮太ごめん、亮太を傷つけるつもりなんかなかったの! 本当にごめん、ごめんなさい、ごめんなさい!」

 正直知らなかったちひろに落ち度はないし、それはそれとしてケーキを叩き落とした亮太も幼いのだが、ちひろはすぐさま全力で亮太に飛び込んだ。本気で向き合おうとするちひろの思いが亮太に届く。

「仕事で(誕生日)一緒にいられないって言うから『お母さんなんか別にいらない』って言っちゃったんだ」
「でももう謝れない、お母さんのこと傷つけたの」

 あれから1年間、誰にも言えず、ずっと小さな身体で抱えていたのだろう。実父・亮司(平山浩行)にも言えなかった気持ちをちひろに向けて語ったのは、亮太もちひろに心から向き合おうとしているからだろう。

「2人とも亮太と暮らしたくて何年も親の権利を争ったんだよ? そうやって、やっと亮太と暮らす権利を手に入れたお母さんが、寂しさの裏返しで言った言葉を本気にするわけないじゃんか」
「悔しかったと思うよ、亮太を残して死ぬの、無念だったと思う。最後の最後まで亮太を残して死ぬの心配で心配で仕方なかったと思う」

 亮太はこの言葉がなかったら大人になっても後悔でずっと前を向けなかったかもしれない。死者は何も語れないが、亮太は初めて『許された』気持ちになったのではないか。高橋は強く気持ちを吐き出す芝居がよくハマる。筆者的にはこのドラマで一番のシーン。

 

■別れを切り出される深雪

 

 いつの間にか定期預金を解約していたことを知り、インスタ映えなど虚栄心を満たすために散財してるのでは? と深雪を責める真一郎(野間口徹)。しかし、夫のみならず子どもにまで裏切られたと思い込む深雪はもう限界を迎えており、「私はずっと後悔の連続」「私の人生は一体どこにあるのよ」と気持ちを吐き出すが、真一郎は「君一人に子育てをさせてしまったツケだな。済まない」と謝りつつも、離婚しようと告げる。

 争いを避けようとする彼らしい選択だが、今までと違い深雪の根底にある弱さを知った我々には、キレる深雪に、真一郎には届いていない彼女なりのSOSに感じる。子どもも引き取ると言われ、「魔法の架け橋」を奪われた深雪のこの先が心配だ。

 

■それぞれの「理由」

 

 今回、深雪やちひろの他にも、我々が初めて知る「理由」があった。

 子どもが1歳になったら仕事復帰したいという大器(松山ケンイチ)の妹・琴音(伊藤沙莉)と母親・聡子(高畑淳子)の対立。当初、早急な仕事復帰に反対してした聡子だが、「好きな仕事に汗水垂らして働いてるお母さんとお父さん見て育ったから、そんな姿を私も真奈(娘)に見せたい」という琴音の気持ちを知り、涙する。

 また奈々の上司・倉持(寿大聡)は奈々の不妊治療告白以後、やけに強く理解を示していたが、実は倉持にも7年間ずっと治療をして、やっと子を授かったという過去が。それゆえ「文句を言うとこっちが悪者みたくなる」と奈々への陰口をたたく他の部下に対し、「想像力が足りない」「人生には他人の協力がないとできないことがある」と理解を求める。

 それぞれ人には表面上ではわからない過去や背景がある。そんな当たり前のことに気付かせてくれ、他人に対する態度が短絡的な感情によるものではないか? と見ている我々にも自問させてくれる回だった。

 聡子は「自分と違う立場の人や違う事情を抱えた人のことも理解して思いやることができたら理想的だけど、実際はその立場になってみたり事情を聞いてみないとわからないことだらけ」と語っていたが、これが今回の主題だろう。

 厚生労働省とタイアップしてるだけに教訓めいたことをスローガンのように語ったり、言いたいことを言葉のみでつらつら語らせるシーンがときおり見られるのだが(言ってる内容は実に正論)、高畑が絡むと、演技が上手すぎて、その違和感がまったく気にならなくなるのが凄い。

 伊藤沙莉との親子ゲンカのシーンは毎回達者同士で見応えあるし、正直あまり上手い方ではない深田も高畑と絡むと見事に引っ張られているように見える。細かいが「二度見」の上手さなどは志村けんレベルだし、しつこいようだが高畑敦子、凄い。

 

■奈々が妊娠! だが……

 

 排卵を誘発する注射を自分で打ったり、一人で採卵の処置を受ける奈々の不安な様子も丁寧に描かれた。いよいよ体外受精、そしてついに妊娠。ここまで大器と苦労した回想が流れる。

 しかし、もちろん妊娠して終わりではないし、まだまだ不安定だ。この結末をどうもっていくのか。安易かもしれないが、無事出産してほしいと思う。しかし、実際悩んでいる人々は、あまりにご都合主義では冷めてしまう。もちろんその後の子育ても大変だし苦労は続く。

 残り2回。それぞれが腹を割り出してから面白さが加速している。次回が待ちきれない。
(文=柿田太郎)

大告白大会……登場人物全員が愛おしく見えてくる『隣の家族は青く見える』はどこか懐かしいホームドラマ

 集合住宅(コーポラティブハウス)を舞台に、4組の「家族」の価値観を軽やかに描く『隣の家族は青く見える』(フジテレビ系)。第7話で描かれたさまざまな告白。視聴率は5.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

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■3人の亭主の男子会

 

 夫が求職中のため、深雪(真飛聖)は実家の母(多岐川裕美・裕福そう)に生活費を無心したいが言い出せず。それどころか深雪の母が孫の中学受験の成功を願い口にした言葉がつらい内容だった。

「貴女は受験に失敗したところから、人生狂ってしまったから」

 おそらく深雪はずっとこの価値観を植え込まれて育ってきたのだろう。長女(優香・安藤美優)の受験に執着する悲しい背景。

 深雪は帰宅する途中、見知らぬ女性宅を隣人の大器(松山ケンイチ)が訪ねるのを目撃。「浮気では?」と奈々(深田恭子)に報告する深雪だが、奈々を思っての行為というよりは、自分の失意を他人の不幸で満たそうとする行為に見える。目撃時、思わず笑顔になっていた深雪の表情が忘れられない。こうやってずっと自分の精神を守ってきたのだろう。

 夫・真一郎(野間口徹)が、子どもに無償で勉強を教える学習支援ボランティアをしていると知り深雪は激怒。人生で初めてやりがいを見つけた真一郎は職探しをしつつボランティアを続けることを真剣に頼むが、それなら家を出て行けと言われ激高する。

 体外受精について相談する奈々に対し、大器はもう不妊治療をやめないかと提案。

「なんでステップアップするたびに、いろいろ理由つけて反対するの? 私もう反対されるの嫌なんだけど」

「俺だって嫌だよ! つらそうにしてる奈々見るのも嫌だし、つらいの我慢してる奈々見て見ぬふりするの嫌なんだよ?」

 不妊治療の話ばかりで余裕もなくなり衝突してしまうとデメリットを語り、これで夫婦と言えるのか? と吐き出す大器と、夫婦だからやってこれたんだと反論する奈々。後にそれはカウセリングに通っていただけだとわかるのだが、奈々は浮気のことも口にしてしまう。

 亮司(平山浩行)とちひろ(高橋メアリージュン)のカップルは、共に暮らすことになった亮司と前妻の子・亮太(和田庵)のことで衝突。

「亮司は亮太君に嫌われたくないんだよ? だから必死で機嫌とってるの。でも好かれもしないよ、このままじゃ? 彼の心の中に入ってってやらなきゃ、いつまでたっても欲しいもの買ってくれるだけの便利なおじさんのまんまだよ?」

「これは俺と亮太の問題だ、俺たち家族のことに口出さないでくれ」

 すぐさま言葉のあやだと謝るも、「家族」に加えてもらえなかったちひろは傷つく。そして「他人」だから見えていることもある。

 真一郎、大器、亮司は玄関を出たところで、ばったり遭遇。間髪入れず「いいところで会った、飲み行きましょう!」と誘ったのは、一番それを言わなそうなキャラ、真一郎。思わず「お前が誘うんかい」と言いたくなったが、このへんのセンスは毎回見事。大器の実家の居酒屋で発散する3人。

 楽観的過ぎるかもしれないが、この状況すら悪くないとすら思えてしまう。題材こそ現代的だが、どこか懐かしいホームドラマの匂いがする。今回特に。

■女子会に深雪乱入

 

 奈々、ちひろ、朔の女子会が今回も。ここだけドラマというより「コーナー」を見ている気持ちになる。ラジオの人気コーナーが始まった時の、あの気持ち。

 今回は、いきなり「子持ち」となったちひろの苦労話がメイン。「私はお母さんなんかしてません、良識ある大人として同居中の子どもに最低限の責任を果たしてるだけです」と謙遜しつつ、子ども嫌いのはずのちひろは、どこかうれしそう。

 子どもの面倒や家事で鏡を見る暇もないと語る中、奈々が言った「深雪さんのところとか2人もいるのに、いつもきれいにしててすごいよね」という言葉に共感する深雪の天敵・ちひろ。

 自分の芝がちゃんと他所からも、天敵からも青く見られているということを深雪にも早く気づかせてあげてほしい。そして自分の幸せを雑に扱い、安易に他人を羨む行為を自分はしていないのか? と、ふと考えさせられる。

「子どもがいない未来なんて考えられない」と語る奈々に「幸せな子ども時代だったんだね」と親のいない朔が、そして「みんながみんな子ども時代が幸せだとは限らないからね」と、ちひろが言う。奈々もまた、自分の当たり前の幸せに気づけていない部分があるのだ。

 今回はこの女子会に、なんと深雪が乱入。長女・優香が亮太と仲良くなってから成績が下がったと食ってかかる。「あの子の母親じゃないんで」と初めは流していたちひろだが、あまりの言われように「うちの亮太のせいでお宅の娘さんの成績が下がったっていう証拠でもあんのかって聞いてんのよ!」。

 第2話以来の両雄の激突。いつも思うが、高橋メアリージュンにはいつか女子プロレスラーを演じてほしい。きっとハマる。

 慌てる奈々に対し、「もっとやれー」と喜ぶ朔。そして、「うちの亮太」が聞こえたのか、うれしそうに覗き込む亮太。朔と亮太が絡むのが楽しみだ。

 

■広瀬のカミングアウト

 

 前回登場した広瀬の母・ふみ(田島令子)が、いきなり逆訪問。広瀬の意向でゲイカップルであることは隠しているため、それを汲んで広瀬不在の中、仕事の後輩として出入りしてるフリの朔が必死に「痕跡」を隠す。写真立てを隠し、ベッドを独り者っぽくして一安心……のはずが、リビングにデカデカと飾られた「(同居するにあたっての)三つの誓い」で即バレ。笑いました。それは以前決めた「喧嘩しても電話する」などの2人の取り決めで、しっかり布石回収。

 そこへ帰ってきた広瀬がはっきりとカミングアウトする。親に育てられず、しがらみなく生きてきた朔に対し、母親に初めてゲイを告白する広瀬はつらそうだ。

「何がいけなかったのかなあ……」「普通じゃないでしょ」「目を覚まして」と、息子を病気のように考え、原因を考えたり自分を責めてしまうふみ。

「原因とかない」「ゲイは病気じゃない」「普通ってなんなんだろうね」

 言い返すのも虚しそうな広瀬を見ていると、カミングアウトしたがらなかったことに納得してしまう。

 だが広瀬は「自分や自分の好きな人を否定されることが、こんなにも悲しいことだなんて、今の今まで知らなかった。カミングアウトしてよかった」と言い切った。おのおの同じタイミングで焼き芋を買ってくるほど繋がっている2人。朔はカミングアウトすることを安易に勧めていた自分を悔いているようだった。

 

■4つの「告白」

 

 今回、衝突と同時にさまざまな告白が見られた。

 ゲイであることの告白(広瀬が母に)、実は無職であったことの告白(真一郎が奈々に)は記したが、ちひろとまだ気まずい亮司は、亮太とベッドに入りつつ、離婚した原因を語った。お互い仕事のことばかりでの行き違いらしいが、時を経て仲直りし、ちひろとの再婚の予定を報告した際には「今度は大事にしなさいよ」と励まされたという。「遺言なら守らないとダメじゃん」と父をベッドから追い出す亮太と、その会話がうまい具合にちひろに聞こえているのもいい。

 そして、奈々は勇気を出して職場で不妊治療していることを告白。人手不足のためか理解してくれない目線も感じたが、それでも奈々は切り開きたかったのだろう。前の晩、ゴールの見えないつらさ、リセットされるたび、妊婦や赤ちゃんを見かけるたびに襲われるつらさを大器に語りつつ妊活続行への理解を求め、仲直りしつつベッドへ。

 男子会後、おそらくちゃんと喧嘩をしたことがなく落とし所がわからない真一郎だけは中庭にテントを張り、敷地内野宿。カップ酒で浮かれる野間口のアドリブっぽい芝居が光るが、深夜、凍える真一郎に「みっともないから戻って!」とイラつきながら許しを感じさせる真飛聖もよかった。この日は、この2人で副音声もしていたのだが、ここでも真飛が話をリードしていてなんか微笑ましかったです。

 今回、特に揉め事→理解、むず痒い仲直りの展開が心地よく、登場人物全員が愛おしく感じた回でした。次回も期待大です。
(文=柿田太郎)