本当の気持ちに気づいて、人はまた少し幸せになる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』最終話

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 物事の本質を見極めることは大切だ。

「自分が本当はどうしたいのか?」「自分にとっていちばん大切なものは何か?」それに気づくのは案外難しい。一時の感情に流されて、短絡的な判断をしがちだからだ。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)も最終話。匡平(横浜流星)にとって、そして順子(深田恭子)にとっていちばん大切なものは、何だったのだろうか。

 匡平の東大二次試験の日、順子がバイクにはねられ病院に運ばれる。命に別状はないということだが、手術後は意識が戻らず、周囲の人達も経過を見守るしかなかった。

 従兄弟の雅志(永山絢斗)は、会社で重要な仕事があったにもかかわらず、それを投げ出して病院に駆けつけた。一方、匡平は、迷った末、東大の受験を続けた。

 この時の2人の判断は、それぞれ大きく分かれたことになる。雅志は、「自分の出世のチャンスを投げ捨ててでも、今順子のそばにいたい」という気持ちを優先した。そして匡平は、「今まで順子と一緒に積み重ねてきたものを、結果として残したい。そして順子をも幸せにしてあげたい」そんな思いを優先させたのだ。

 お互いの事情は異なるものの、より先を見て、本当に順子が喜ぶ決断をしたのは、匡平の方ではないかと思う。匡平は、戦っていたのだ。もちろん自分のためでもあるが、父親のためにも、そして順子のためにも。

 順子と出会って一年半、匡平は大きく成長した。それは、勉強で増えた知識ばかりではない。人の気持ちを思い、「本当に大切なことは何か」を見極める力をつけた。それこそが、彼が順子から学んだ、最大の知恵ではなかったろうか。

 事故の翌日、順子は目を覚ました。しかし、入院中、匡平が彼女に会いに来ることはなかった。匡平は、順子が事故に遭った時、受験を選んだことに後ろめたさを感じていたのだ。「選択するということは、他を捨てるということ」「高みを目指せば、必ず厳しい選択をしなければならない時が来る」そんな言葉が、彼の頭にうず巻いていた。

 とかく世の中が複雑になると、目的を見失うことがある。繰り返すが、匡平が受験をしたのは、順子のためでもあるのだ。その気持ちの整理を、自分でもできていなかったのかもしれない。

 その頃、順子もまた匡平のことを考えていた。匡平のことが好きだという気持ちに気づきながらも、「彼の気持ちは、受験期のつり橋効果のようなもの」「彼の未来を邪魔するような足手まといにはなりたくない」と考え、会わない選択をしていたのだ。

 ドラマの後半、最終回ということで、いろんなエピソードが収束していく。

 美和(安達祐実)と西大井(浜中文一)はお互いの嘘がバレてしまうが、結局交際はうまくいき、婚約までこぎつける。

 順子は雅志のプロポーズを断る。どうしても、恋人とか結婚というような関係にはなれなかったのだ。

 そして、順子と母親(檀ふみ)との確執も溶けていく。「子育てに失敗した」と言う母に、順子は答える。「子育ては成功している。だって今、私はすごく幸せだから」。

 塾では、牧瀬(高梨臨)が順子の代理で働き始め、順子も正規の講師となることが決まる。そして……。

 匡平は東大に合格していた。

 合格の報告をし、改めて順子に告白する匡平。順子は、匡平をあきらめさせるため、「雅志と結婚する」と嘘をつく。お互いがお互いへの思いを抱えたまま、2人は別れるのだった。

 4月になって、大学が始まった。匡平は入学のガイダンスを受け始めていた。順子との別れを覚悟していた匡平の背中を押したのは、高校の元担任である山下(中村倫也)だった。山下から、順子と雅志の結婚が嘘だと聞いた匡平は、順子に会いに行く。

 思いを伝える匡平に、それでも順子は交際を断る。年齢差や、将来のことなど、“理性的に”考えて問題が多いと判断したのだ。

 ここで登場するのが、小ネタとして使われていた「スプーン曲げ」である。入院時の暇つぶしで興味を持った順子は、スプーン曲げに挑戦する。しかし、もちろん簡単には曲がらない。

 美和と西大井の婚約祝いの席で、集まった人たちに匡平とのことを全てを話し、「まっとうな大人として誠実にさよならできたと思う」と語る順子に、塾長(生瀬勝久)は言う。「普通ですね。春見先生は普通の大人じゃないと思っていた」。

 その言葉を聞いて、自分のあり方を思い出した時、順子の持っていたスプーンが曲がる。そう、自分は“変わった大人”だったのだ。そして、そんな大人にしかなれない自分を好きになってくれたのは、他ならぬ匡平だ。それに気づいた順子は、匡平に会いに行く。

 東大の教室で、思いを伝える順子。ようやく気持ちが通じ合った順子と匡平は、しっかりと抱き合い、キスをするのだった――。

 雅志や山下の気持ちを考えると、少し切ない展開だったが、幸せなラストといえるだろう。

 最終回は、目に涙を浮かべた順子の姿がたくさん見られたが、深田恭子に潤んだ瞳で見つめられたら、それはもうたまらない。全話を通して視聴率は1ケタどまりと苦戦を強いられたが、せめてその涙が、順子を演じきることができた喜びによるものであってくれるよう、祈るばかりである。

 全体としては、「東大受験」というテーマに収束しがちだが、このドラマが伝えたかったのは、“自分の正直な思いを見つめ、それに従って生きることの大切さ”なのかもしれない。最終回で雅志の言った、「失敗したっていい。実らなくても幸せな恋もある。成功も失敗も全部自分のせい。大人は自由なんだから!」という言葉に集約されている。

「自分はまっとうな大人になりきれていないな」と思っている大人も、「つまらない大人にはなりたくはない」と思っている若者も、自分の心の声に耳を澄まし、それに従っていけばいいのだ。正解なんかない、失敗してもいい。本当に、大人は自由なんだからさ。

(文=プレヤード)

今、決戦の時が始まる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第9話

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 多くのドラマは、登場人物の誰に感情移入するかで、見え方が違ってくる。

 例えば、恋愛ドラマで、出てくる男優の仕草に心を奪われたとすれば、それは相手役の女性に感情移入していることになる。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)は、そのあたりの計算がちゃんとできている。匡平(横浜流星)を見てキュンキュンしている女性は、知らず知らずのうちに、順子(深田恭子)の気持ちを体感しているのだ。

 一方、男性視点で考えると、その感覚は3つに分かれる。順子の可愛らしさやセクシーさに心惑わされる点では共通していても、匡平、雅志(永山絢斗)、山下(中村倫也)、それぞれの立場で違った世界が見えてくるからだ。第9話では、特に、従兄弟である雅志の気持ちが強く伝わってきた。

 父親のスキャンダルから、一時は東大受験を諦めようとしていた匡平。担任の山下の働きで問題は収まったが、勉強の予定は遅れてしまっていた。順子はその遅れを取り戻すため、匡平、美香(吉川愛)、牧瀬(高梨臨)を自宅に連れていき、追い込みをかけていた。そこへ、意を決した表情で雅志がやってくる。

 匡平らが帰った後、ベランダで2人きりになる順子と雅志。そこで、雅志は順子にキスをする。実は雅志は、会社からロシアへの転勤を打診されており、結婚に向けて思い切った行動に出たのだ。キスをされて、パニックになる順子。雅志のことは、どうしても「従兄弟」としてしか見ることができずにいたのだ。

 思えばこのドラマ、男性たちが、“今までの関係をどう打ち破っていくか”を競っているような視点でも見ることができる。従兄弟同士、教師と生徒、昔振った相手と振られた男。それぞれの関係性から、一歩足を踏み出し、「恋愛関係」に持っていくまでの競争のようでもある。

 実は、この「最初に出会った関係から一歩踏み出す」というのは意外に難しいものだ。お見合いや合コンで出会ったのならば、初めから恋愛・結婚という関係が見えているが、幼馴染や友達としての関係が長かった場合などは、そこから関係を深めていくためには、何かしらのきっかけが必要である。そこには、常に、「うまくいかなかったら、それまでの関係まで崩れてしまう」というリスクがつきまとう。

 雅志が20年も気持ちを伝えられずにいたのは、順子との良好な関係が壊れてしまうことへの恐怖心もあったことだろう。

 12月になり、順子と雅志は、親戚の結婚式に出席する。その後の集まりの席で、「付き合っている人はいないのか?」「誰かいい人を紹介して」などと、親戚中から集中攻撃をされてしまう。

 私も経験があるが、この“いい年をした独身者が、親戚の集まりに行く”というのは、本当につらいものだ。特に、同世代の親戚が、皆家庭を持ち、幸せそうにしていたりすると、実にいたたまれない気持ちになる。「結婚しない生き方」も認められる社会になってはいるが、やはり、結婚して子どもを作ってという幸せに憧れたりもするのだ。

 集まりの後、部屋で2人になった順子に、雅志は改めて自分の気持ちを告白し、プロポーズをする。何かを答えようとする順子に、雅志は言う。

「すぐ答えなくていい。少しは俺で悩め」

 この言葉の本意はどこにあるだろう? 自分のことで悩んで欲しいともとれるし、簡単に断りの返事をされることを恐れたとも思える。

 雅志に告白されたことを知った、友人の美和(安達祐実)は、順子の家に駆けつけ、悩む彼女に言う。「相手は捨て身で向かってきた。ちゃんと気持ちに答えるべき」。

 年が明け、順子と匡平は初詣に行く。その神社は、初めて順子が匡平に勉強を教えた場所でもあった。その頃を思い、そして今の自分の状況も考えて、順子は「何を選ぶかで人生は変わる」としみじみ思うのだった。

 ここで、匡平と山下が、順子について話すシーンがある。「好きな女と毎日一緒にして、よく押し倒さずにいられるな」そう言う山下に、匡平は答える。「めちゃくちゃそういう目で見てる。けど、我慢してる」。この気持が見る側に共感されるのは、深田恭子がただキレイなだけではなく、どこかセクシーで、女性的な魅力を放っているからだ。つくづく、この役柄は彼女でなければ成立しなかったと感じさせる。

 センター試験前の最後の授業も終わり、いよいよ決戦の日がやってくる。体調も、気持ちも、万全のままその時を迎えようとしていた匡平であったが、ふとしたことから、順子と雅志が結婚するという話を聞き、動揺する。

 その頃、順子は雅志と一緒にいた。プロポーズの返事をするためだ。「雅志を結婚相手として見たことは一度もない。でも、ちゃんと考えてみるのでもう少し時間がほしい」そう言う順子に対し、雅志は、「順子が俺のこと考えてくれる時間が一番嬉しい」と答えるのだった。これこそが、雅志の気持ちだろう。好きな女性の心の中に長くいる。それはとても幸せなことなのだ。

 順子の結婚の話を聞き、精神的にも弱った匡平は、風邪をひいてしまう。迎えた1月19日、センター試験1日目。体調が万全ではない中、匡平は試験に臨む。自己採点の結果は、足切りにあうかどうか微妙なところ。それでも、二次試験に向け勉強を続けなければならない。

 そんな中、2月3日を迎える。この日は匡平の18歳の誕生日。順子たちは、匡平の家に行き、サプライズでお祝いをする。そして2人きりになった時、匡平は、誕生日を覚えていてくれたことに感謝をする。そして順子を抱きしめ、「好きだ」という気持を伝える。順子は自然に匡平の背中を抱きしめるのだった。

 一次試験の結果発表で、匡平は無事通過。そしていよいよ二次試験の日、待ち合わせの場所に順子は現れなかった。実は、順子はバイクにはねられ、病院に運ばれていたのだ。知らせを受けた匡平は、病院に行くか、試験を受けるか、迷う。

 しかし、匡平の姿は試験会場にあった。順子の思いも背負って、一緒に合格する。その気持を優先した。最後の戦いが始まったのだ。

 ラスト目前で主要キャストが事故に遭ったり、病気で倒れたりするのは、ドラマでよくある展開ではある。しかし、その試練を乗り越えてなお、強い結びつきを感じてしまうようなラストに、期待もしてしまう。

 今までの展開を見ると、順子の気持ちは匡平に傾いているように見える。しかし、私が一番感情移入できるのは雅志なのである。雅志のようにいい大学を出ているわけでもないし、エリート社員でもないが、順子に対する愚直なまでの思いと、それをうまく伝えられない不器用さにシンパシーを感じてしまうのだ。

 順子の人生は一つしかない。雅志と匡平、どちらかを選ばなければいけないのだ。それはわかっていても、できることなら、主要キャストみんなに幸せになってもらいたい。そんな祈りを持って、最終回を待ちたいと思う。

(文=プレヤード)

愛する人のため、人はどこまで犠牲にできるのか?――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第8話

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「雨降って地固まる」という言葉がある。

 何か問題が起きて、それが解決されると、元の状態よりも良くなっているという意味だが、こと人間関係においては、トラブルが起こった後、関わった人たちの絆が強まり、関係性が良くなる、というように捉えてよいだろう。

 テレビドラマの中では、このパターンは王道中の王道、それをどううまく料理していくかが、面白さに繋がってくると言ってもいい。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第8話。物語も終盤に向け、この「地固まる」展開が多く見られた。

 11月になり、匡平(横浜流星)の東大受験まで数カ月を残すのみとなった。東大模試に向け、指導に力が入る順子(深田恭子)の元に、自身の経歴を詐称していたことがバレ、花恵会を辞めた牧瀬(高梨臨)が現れる。自分がこれまでに作った授業ノートを順子に渡し、去ろうとする牧瀬を、順子と匡平は引き止め、理数系はこれまで通り教えて欲しいと頼む。一つの事件を乗り越え、ここに新たな絆が生まれているのだ。

 その夜、美和(安達祐実)の策略で、プチ同窓会をやることになり、順子と牧瀬、従兄弟の雅志(永山絢斗)、匡平の担任の山下(中村倫也)が集まった。不思議な関係で繋がった5人、それぞれの思いを抱えたまま乾杯するのだった。

 その席上、牧瀬が雅志を好きだったという話から、山下と順子もデートをすることとなる。日にちは、匡平の模試当日。その日であれば、先生はやることがないからだ。

 デートの当日、山下は、順子を自分のバイクの後ろに乗せて出かける。初めてバイクに乗った順子は思う。

「大人になって『初めて』が少なくなった。今見るこの初めての景色は、すごく気持ちがいい」

 子供の頃や、若い頃は、初めて経験することがたくさんあった。もちろん、楽しいこともつらいことも含めて。順子が言うように、大人になるとそれが減ってくるのは事実だ。いろんな経験をして、新しいことの絶対数が減ってくるというのもある。ただ、それ以上に、慣れたことを続けようとして、新しいことにチャレンジしなくなったという事情もあるだろう。

 どんなことであれ、新しい一歩を踏み出すのには、勇気がいる。その勇気を持ち続けることこそが、“若さ”なのではないかと思う。

 模試の当日、デートを終え、順子と山下が塾の前で別れたところを、匡平は目撃してしまう。「山下と何をしていたのか」そう問う匡平に、「デートしていた」と順子は正直に答える。模試の自己採点も芳しくなかった匡平は、心にモヤモヤしたものを感じる。

 一方で、匡平の家ではさらに大きな問題を抱えていた。

 大学の認可に絡んだ、国会議員・吉川(平泉成)の不正に、匡平の父親で文科省局長の菖次郎(鶴見辰吾)が関わっていたというのだ。自宅にはマスコミが押しかけ、大騒ぎになる。さまざまなことが重なり、プレッシャーに押しつぶされた匡平は「受験をやめる」とまで言い始める。

 学校にも塾にも行かず、一人で勉強を続ける匡平を、東大近くの喫茶店に誘ったのは雅志だった。匡平に「どうしてそこまでしてくれるのか?」と尋ねられた雅志は答える。

「人が動く動機は2つ。自分の幸せのためか、好きな人の幸せのため」

 つまり、雅志は、好きな順子の幸せのために、匡平を助けているというのだ。本当に優しい人だと思う。好きな人の幸せのためとはいえ、匡平と順子がうまく行けば、自分が悲しい思いをするかもしれない。それでも、順子がより幸せになるのはどちらなのか、その間で揺れ動きながら、今できる最大限のことをしているのだろう。

 不正事件については、山下も動いていた。実は、山下の別れた妻・優華(星野真里)は、吉川の娘だったのだ。吉川に会いに行った山下は、不正の事実を認める代わりに、自分が優華とよりを戻し、政治家として跡を継ぐことにしたのだ。

 匡平の父親の疑惑は晴れ、順子も安心することだろう。しかし、山下はそれで良かったのだろうか? もう、順子と結婚することはできない。一番好きな人のために、その人と一緒になることをあきらめたのだ。

 雅志と山下、2人の行動は、ある意味「自己犠牲」ということもできる。そして、匡平はそのことに気づいている。では、順子はどうだろう? 意外と、そこまで気が回っていないようにも思う。でも、それも含めて順子が魅力的な女性でもあることは間違いない。

 今回は、「先生」という言葉がキーワードになっていた。

 最初に出てきたのは、菖次郎が電話で吉川のことを話すシーン。「吉川先生はなんとおっしゃってるんだ!?」と叫ぶ。まずは、国会議員としての「先生」だ。

 次は、問題が発覚し、悩む匡平の元を、順子と山下が訪ねたシーン。ここで、匡平は、順子のことを「春見先生」と呼ぶ。自分のことを心配してくれている順子に対する、尊敬の念が、そう呼ばせているのだろう。

 そして最後、自分の生涯をかけて、不正を暴いてくれた山下に対し、匡平が声をかける。「山下先生!」。それまで呼び捨てにしていた山下に対し、感謝の思いがこもっていることを感じる。そして、匡平は、そんな思いを素直に口にできる、優しい人間になったのだ。

 さて、教師を辞めた後の山下はどうなることだろう。吉川の地盤を引き継ぎ、政治家としてまた違った「先生」と呼ばれるのかもしれない。それもまた悪くはない。

 今話では、大学の設置認可に、ヤンキー先生の国政進出など、現実の出来事とリンクするような展開が見られた。時間軸がリアルタイムに近づいてくるのを感じさせるためにも、有効な仕掛けだったと思う。

 今回の出来事を通して、それぞれの関係性は、より強くなったと思う。いわゆる「男女の愛情」以上のものを、見つけはじめているのかもしれない。順子の気持ちは、最終的に誰のもとに行き着くのか。深まる絆とともに注目していきたい。

(文=プレヤード)

負けを知ることで人は本当に強くなれる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第7話

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 人は嫉妬をする生き物だ。

 自分よりお金を持っている人や、異性にモテる人、仕事が順調な人などに会ったり、話を聞いたりすると、「何でこいつばっかりいい思いをしてるんだ?」という気持ちになって、その人の不幸を願ってしまう。有名人のスキャンダルを聞いておもしろがるのは、そんな嫉妬心を満足させることができるからだ。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第7話。今回は、そんな「嫉妬心」がテーマとなっていた。

 東大受験に向け、自分の授業では理数系が弱いと感じた順子(深田恭子)は、匡平(横浜流星)を東大専門の塾「花恵会」に通わせようとする。最初は反対した匡平だったが、通うのは理数3科目だけ、他は今まで通り順子が教えるということで、納得する。

 花恵会で、匡平の担当となったのが、塾で一番の人気講師・百田(高梨臨)だった。まだ27歳と若く、海外の有名大学卒で、美しく、生徒からの人気も抜群。自分にないものを全て持っている百田と今の自分を比較し、順子は落ち込む。

 友人の美和(安達祐実)に悩みを話すと、「それは嫉妬だ」と告げられる。順子は否定するものの、「負けていられない」という気持ちがあることは確かだ。

 花恵会で、百田は、匡平に特に熱心に教えようとする。しかし、そんな百田に、匡平は何か違和感を持つのだった。

 一方、順子に思いを寄せる従兄弟の雅志(永山絢斗)と、匡平の担任・山下(中村倫也)も、引き続きアプローチを続けていた。

 雅志は、順子にきちんと告白しようと段取りを整え始める。山下は、匡平について話をしたいと言って、順子を誘い出し、お酒を飲むのだった。その席で、順子は「先生は見送るのが仕事。よく考えたら寂しい」と、心情を吐露する。

 百田は、秘密を抱えていた。実は彼女、順子と雅志の高校の同級生であり、雅志に告白して振られたことがあったのだ。しかも、そのことをきっかけに、順子に嫌がらせをしていた。百田こそが、順子に対し、激しい嫉妬心を抱いていたのである。

 しかし、嫌がらせという形での嫉妬の解消の仕方は間違っている。自分の感情にまかせて相手を攻撃するだけでは、何も生まれてこない。本当の意味で、その感情と向き合うのであれば、自分が「嫉妬されるような人間」になることを目指すべきだ。才能だって、収入だって、何の努力もせずに手に入るものではない。浅はかな嫉妬心を抱く人は、その点を忘れている。もし、本質的な嫉妬をするのなら、それは「努力することができる能力」に対して向けられるべきだ。

 その頃、どんなにひどいいじめにあっても、順子は泣かなかった。「受験の邪魔さえしなければ何をしてもいい」「私は私と勝負してる」そう言う毅然とした強さに、雅志も恋心を抱いたのだ。

 学生時代の順子のことがまたひとつ明らかになった。深田恭子は、この過去を踏まえた上で、順子を演じているのだ。心の強さ、東大不合格という挫折、一見すると、大人になってだいぶ変わってしまったようにも思えるが、芯の強さは、変わっていない。いや、むしろ強くなっている。それは、「東大不合格」という負けを知ったからだ。

 負けを知らない人は、負けた人の気持ちを理解できない。それは多分、人として大きな弱みだ。「強さ」というものが、人生の中でいかに多くの人と気持ちを通じ合わせることができるかという基準だとすれば、負けを知った人ほど、より強くなれることになる。

 その頃、山下の元に女性が訪ねてくる。それは、別れた元妻・優華(星野真里)だった。「もう一度やり直せないか」という優華に、山下は、好きな人ができたことを告白する。

 花恵会では、百田にひいきされる匡平に対し、嫌がらせをする生徒が出てくる。そんな相手に匡平は言う。「何をしてもいいが、勉強の邪魔をしたら容赦しない」。

 そう、高校時代、いじめに負けず勉強に打ち込んでいた順子と同じような姿だ。順子と匡平は、どこか似ているのだ。そんなところが、惹かれ合っているのかもしれない。

 ある日、ふとしたことから、百田が学歴や年齢を詐称していることがバレてしまう。全てを知った順子は、百田に会いに行く。

「匡平を自分に預けてほしい。絶対合格させる」そう言う百田に、順子は言い返す。

「匡平は私の生徒、あなたの寂しさを埋めるために、あげるわけにはいかない」

 順子が、初めて嫉妬心をあらわにした瞬間かもしれない。それでも、順子は理性的に判断し、理数に関しては百田にお願いすると告げる。

 嫉妬は必ずしも悪いことではない。それを、人を攻撃することや、自分を繕うことに使うのではなく、成長するためのバネにすればいいのだ。

 今回は、男性3人のアプローチも激しかった。山下は順子の家の窓から部屋に入ってくるし、匡平は街なかで順子を抱きしめた。積極的な2人に対し、雅志はなかなかハードルを超えられないといったところだろうか。

 ドラマの中で語られた、「先生は見送るのが仕事。いつか忘れられてもかまわない」という言葉。順子は、匡平との別れも想定しているのだろう。卒業まで約半年、別れが近づいてくる中で、2人はどんな選択をしていくのだろう。

(文=プレヤード)

元レスリング・吉田沙保里、「急に美しく!」Instagramが話題!“深キョン化”加速で結婚一直線か

 1月10日、現役を引退した元女子レスリング選手の吉田沙保里が美しくなっていると評判だ。2月15日に自身が更新したInstagramにて、吉田はスイーツの乗った皿を手にして「サオリーナのれっどらいんでランチをしていたら、お店の方からサプライズでデザートが…こんなにもたくさんのデザートありがとうございます 美味しくいただきました」とコメントをアップ。その姿が美しいとして、コメント欄にファンから「雰囲気が深キョン」「美人やな……」「今日もお美しい」というコメントが寄せられている。

 ネットでは「女子力高いな〜 髪の毛だけでも時間とお金かけてケアしてるの分かる」「数年前から深田恭子に寄せてってるな〜とは感じてた」「引退会見も生で観てたが深キョンに見えて我が目を疑った。お友達の深キョンの担当ヘアメイクさんが吉田さんにもついたんだと思う。ヘアメイクがそっくり」「メイク習ったんだろうね。おでこが激狭だから、前髪あるだけでも随分印象変わる」といった声が。

 吉田といえば1月10日に都内で行われた引退会見で、ばっちりメイクにスタイリッシュな衣装で登場。2月19日のInstagramにも久々に会ったというローラとの2ショットを披露していたが、この時もヘアメイク、ネイル、ピアス、ファッションすべて完璧な女子力を発揮していた。

 この吉田の美意識の高さの理由について、1月17日発売の「女性セブン」(小学館)は吉田が友人の深田恭子や上戸彩などに影響され、女優や歌手といった芸能方面に意欲を燃やしているといった記事を掲載。また同日発売の「週刊新潮」(新潮社)では、吉田が引退会見で「やっぱり、女性としての幸せは絶対につかみたい」と結婚願望を口にしたことを受け、吉田の恋愛事情を報道。2012年に開催されたロンドン五輪で銅メダルを獲得した松本隆太郎選手(現・日体大専任コーチ)にアプローチしたが玉砕してしまったという話や、現在もジャニーズのNEWS・増田貴久がお気に入りだというエピソードが掲載されている。

「吉田さんのイケメン好きは一生もの、さらに今後の仕事場はレスリング界よりは芸能界に重きをおくようになると言われてますので、今後はますますルックスに磨きをかけて、花婿候補を狩りに行くのではと噂されています。新恋人との結婚が囁かれる深田さんより先にゴールを決める可能性もありますね」(テレビ局関係者)

 この調子なら、大の親友、深田恭子より先にゴールインなんてこともありえるかも!?

「肩書」を外した時、本当の気持ちが見えてくる――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第6話

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 基本的に、占いや呪いのたぐいを信じてはいない。元々疑り深い性格もあって、論理的に説明できないものを信じることができないのだ。ただ、こういった“あるかどうかわからないもの”が、ドラマのスパイスとして有効に機能することはよくわかっている。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第6話では、そんな占いや呪いが、効果的なアイテムとして使われていた。

 酔っ払って山下(中村倫也)を家に泊めてしまった順子(深田恭子)。さらに、二人で家から出てきたところを、教え子の匡平(横浜流星)に見られてしまい、パニックに陥る。

 悩んだ順子は、友人の美和(安達祐実)に相談するが、「一番大事なのは、匡平を東大に合格させること」だと諭されるだけ。ようやく気づいた匡平の自分に対する気持ちについても、「勉強のしすぎでおかしくなったのでは?」と、無理やり自分自身を納得させるのだった。

 順子に思いを寄せる従兄弟の雅志(永山絢斗)は、出張に行く途中で匡平を見かけ、声をかける。そこで匡平は、順子への思いを話すのだ。

「好きで好きで、嫌いになりそうなくらい好き」

 順子の存在が、自分の中で大きくなりすぎて、重荷にすら感じてしまっているのかもしれない。情熱的で、どこか不器用な言葉を聞いて、雅志はどう思っただろう。匡平よりも、ずっと長い時間、順子のことを想い続けてきた。しかし、ここまで強く気持ちをぶつけることができただろうか。そんなことを感じたかもしれない。

 そんな頃、美和は、店のキャバ嬢・もんちゃん(真凛)から、占いによると、今年は運命の出会いがあること、ラッキーアイテムはエメラルドグリーンのスニーカーであることを知らされる。これを聞いて、出会いを求めた美和は、店の客でもある雅志に電話をし、同窓会を開くようにけしかける。その席で、順子に雅志の魅力を認識させるとともに、美和の婚活にも役立てようというのだ。

 まずは、「占い」が物語の鍵として登場。そして「呪い」についても話が進む。

 いつものお好み焼き屋で飲んでいる順子と美和は、同窓会の話になる。アラサーで、結婚や仕事で一番差がついている時期に同窓会を開くなんてと、順子は「新しい靴を履いた日に、必ず土砂降りになる呪い」「割り箸が必ず変に割れる呪い」「毎回注文間違えられる呪い」などと、幹事に地味にダメージのある呪いをかけまくる。後々、これが大きな伏線になる。

 塾では、匡平がメキメキと力をつけていた。元々文系であった順子は、数学で自分の力不足を感じ焦り始めていた。

「合格させたい」そう言う順子に、塾長(生瀬勝久)は言う。

「普通ですね」

 塾長はこれまで、「普通では受からない」と言い続けてきた。ここで考えが変わったのかもしれない。

 同窓会を前に、雅志は同僚の西大井(浜中文一)から、「学歴と、商社マンという肩書に釣られた女子がやってくるのはむしろ短所だ」と言われる。さらに西大井は、「学歴も肩書も無い、別の自分になったら、本当の出会いがあるかもしれないと思う」と言うのだ。

 同窓会当日、会場は久しぶりの再会を懐かしむ人たちで溢れていた。そして予想通り、ハイスペックな雅志は女性たちからモテモテだった。一方、順子は匡平との授業が延びてしまい、会場に行くことができない。連絡を受け、雅志は落ち込む。

 うまく同窓生になりすまして会場に紛れ込んだ美和は、二次会に向かう途中、雨宿りをしていたときに新しい靴に水をかけられる。ここで、順子の呪いがきいてくる。

 同じく雨宿りをしにやってきたのは、エメラルドグリーンのスニーカーを履いた西大井だった。本当の出会いを求めていた西大井は、自分を「売れないダンサー」と紹介する。肩書を外し、「別の自分」になって、美和にアプローチしようと考えたのだ。

 その頃、バーで二人になった雅志と山下。山下から、順子とのことを聞かされた雅志は思い余って、山下のことを殴ってしまう。

 その後、一人でラーメン屋に入った雅志だったが、ここで、割り箸がうまく割れない呪いと、注文が間違われてしまう呪いに襲われる。

 翌日、学校で匡平と向き合った山下は、「順子のことは遊びじゃない」と気持ちを宣言する。それに対し匡平は、「取られるつもりはない。ひっこんでろ。俺のだ」と言い切るのだ。

 雅志は、順子の職場を訪ね、山下とのことを問いただす。順子は否定しながら、「雅志にだけは知られたくなかった」と話す。それは、「よりによって身内に言うなんて」という意味だったのだが、雅志は、自分だけには知られたくなかった、自分に気があるのではないかと勘違いをしてしまう。順子がかけたいろいろな呪いにかかっているようであるが、雅志が本当にかかっているのは、「どんなに思いを伝えても、相手に全く伝わらない」という呪いなのかもしれない。

 その頃、順子は、匡平を東大に合格させるため、他の塾に行かせることを考えていた。「どんな手を使ってでも、確実に東大に合格させる」そう言う順子に、匡平は答える。

「先生とか、年とか、肩書とか関係なく、ただ普通に会いたかった」

 肩書は大事だ。その人が、才能を活かしたり、努力をしたりして手に入れたひとつの証しだから。ただ、それだけで、人を見定めたり、恋愛対象にするかどうかを決めたりするのは、少し残念な気がする。匡平が言うように、逆に肩書があるために、自由を奪われることもあるからだ。

 とかく大人になると、利害や損得だけでものごとを考えてしまいがちだ。しかし、「肩書なんかどうでもいい」と言う匡平の言葉を聞いていると、論理的に考えるよりも、気持ちが先走っていた頃のことを、思い出したりもする。

 物語も中盤となり、今まで、頼りなさや鈍感さばかりが目立っていた順子も、凛々しい表情を多く見せるようになった。雅志、山下、匡平、三人の男性と向き合い、それぞれの気持ちを受け止める。実際の深田恭子もさぞやと思わせる芯の強さが、そこにはある。

 ラストでは、新たな塾講師、百田(高梨臨)が登場した。これまで、男性三人の戦いを見てきた中、今度は新たな女の戦いが始まるのかもしれない。高校3年の秋、受験まではあと少しだ。

(文=プレヤード)

元気の連鎖が生み出す幸せな関係――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第5話

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 愛にはいろいろな種類がある。

 男女の情愛、親子愛、師弟愛など、「相手を思い、慈しむ」という点では共通しているが、それぞれに微妙な感情の違いが出てくる。

 ただし、それが、どの愛なのか明確にするのは難しい。なぜなら、多くの場合、一つの感情だけではなく、複数の思いが複雑に絡まっているからだ。

 時として人は、その愛がどのような種類のものなのか、理解しきれずに悩んでしまったりする。ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第5話。登場する人たちはみな、そんな思いに振り回されているようだった。

 塾の強化合宿中、インフルエンザになってしまった順子(深田恭子)と匡平(横浜流星)。隔離された部屋で寝ていた二人だったが、それを知った従兄弟の雅志(永山絢斗)は、その部屋で一緒に寝て、インフルエンザを移されてしまう。

 もちろん、雅志の行動は、順子と匡平の仲を心配してのことだが、相変わらず無自覚な順子は、そんな雅志を「父性本能によるもの」と思い込む。そして、合宿中に見られた、匡平からのアクションも、全て「師弟愛」によるものだと考えているのだ。

 ここで、「いやいや、匡平の思いは完全に恋愛感情だろ!」とツッコミを入れることは簡単である。ただ、ちょっと考えてみてほしい。彼の中には、本当に恋愛感情しかないのだろうか?

 女性としての順子に魅力を感じていることは確かだろう、しかし、いざとなった時に自分を守り、悠然と意見を言う姿に、「人間愛」のようなものも感じてはいないだろうか。そして、順子の思っている「師弟愛」だって感じているはずである。それは、自分に生き方を教えてくれた人に感じる、自然な感情だから。

 つまり、匡平の順子への思いは、それらの複雑な感情が絡み合ってできている。そして多分、匡平自身も、その気持の整理ができていないのだ。

 今回、もう一つキーになっているのは「元気が出る」という言葉だ。

 学校の図書室で勉強中、スマホで順子の写真を見る匡平。その姿を見た担任の山下(中村倫也)に問われると、「元気が出るんです」と答える。

「好きなんです」でも「ずっと見ていたいんです」でもない。しかし、それは、どんな言葉よりも強く、彼の気持ちを表しているように思える。

 塾では、現代文の教習が行われていた。文章を読んで、作者の意図を答えるという問題。順子は、「自分の主観はなくし、相手の気持を先入観なく理解しなければならない」と教える。このシーンは非常に面白いところだ。なぜなら、周りの人の自分に対する思いを一番理解できていないのは、他ならぬ順子なのだから。

 模試に向けて、数学の強化が必須だと考えた順子は、雅志に指導を仰ぐことにした。雅志がアドバイスしたこと、それは、「徹夜はしない」「テスト時間に合わせ、朝方生活をする」「数学はスケッチブックを使う」ということだった。

 雅志の家からの帰り、匡平とともに自宅に寄った順子は、母親(檀ふみ)と遭遇する。匡平を見た母は、「あんな子が簡単に東大に受かるわけない」と言う。それに対し、順子は「私の生徒を否定することは許さない!」と強く言い返したのだった。自分が責められたときよりも、はっきりと感情をぶつける順子。そんな姿に母親も戸惑う。

 母親との関係がこじれた順子を心配し、匡平は電話をかける。そして言うのだ。「元気?」

 順子は答える。「今元気になった」

 匡平の言葉によって、順子が励まされ、順子の言葉によって匡平はまた励まされる。相手を思いやった上で、励ましが連鎖となり、元気もまた連鎖する。実に美しい姿だ。愛の作用というのは、実はこういうことではないかと思う。

 一方、山下は妻との離婚を決断し、バツイチとなった。離婚届を提出したことを伝え、相手を案じる山下に、妻から届いた返信は「ここ数年で一番元気なくらいです」というもの。ここでもまた、「元気」という言葉が使われる。彼と別れて自由になり、そして元気になる。愛情がなくなっていることを示すものだろう。

 順子と飲みに行った山下は、そこで離婚したことを告げる。順子は「無理して笑わなくていいよ」と言って、杯を重ねるのだった。酔いつぶれて、帰途についた二人は、順子の部屋までたどり着き、そこで寝入ってしまう。

 翌朝、目覚めた順子は、驚いて、一緒に寝ていた山下のことを布団とテープでぐるぐる巻きにしてしまうのだ。

 落ち着いた二人は、家を出て向かい合う。その様子を、訪ねてきた匡平に見られてしまう。匡平は、自分に合わせて早起きをしているという順子を思い、毎朝彼女の家の前に来ていたのだ。山下に、匡平の気持ちについて諭された順子は、今までの出来事を振り返り、自分がこれまで匡平の思いを弄んでいたような行動をとっていたことに気づき、頭を抱えるのだった。

 今回は、山下が順子にぐるぐる巻きにされているというシーンから始まり、その「タネ明かし」をするような構成で物語が進んでいった。毎回、何かしらのギミックを入れてくるところに、制作側の工夫が感じられる。

 そして、その工夫は、深田恭子の魅力をどう引き出すか、という点にも置かれている。今回で言えば、順子が林修のキャラを真似て「今でしょ!」というシーンや、ラストの、今まで匡平にしてきたことを思い出し、「私、全部0点じゃーん!」と叫ぶシーンなど。彼女のコメディエンヌとしてのキャラを存分に引き立てている。

 来週以降、三人のバトルは激しさを増し、順子も身の振り方を考えざるをえなくなるだろう。巧みな構成によって、深田恭子自身の魅力をどう引き出してくれるかも含め、期待していきたい。

(文=プレヤード)

深田恭子“無自覚”であることの才能と強さ――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第4話

(前回までのレビューはこちらから) 

 人間は、「自覚的」か「無自覚」かで、タイプ分けすることができる。

「自分がかわいいと自覚している女性」と「自分がかわいいことを自覚していない女性」、「自分が幸せだと思っている人」と「自分が幸せだと気づいていない人」など、どの場合にも言えるのは、自覚している人より無自覚であるほうが、よりかわいかったり、本当の意味で幸せだったりするものだ。

 なぜなら、「かわいい」とか「幸せ」を自覚している人は、それを維持するために大変な労力を要するから。それを失った時の恐怖心もあることだろう。「無自覚」の場合は、そのようなことは一切ないのだ。最強の人間は、「無自覚な人」ということができるだろう。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第4話。今回も、順子(深田恭子)の無自覚さが際立っていた。

 やっとの思いで、順子に告白した従兄弟の雅志(永山絢斗)。しかし、順子はその気持ちに全く気づかず、あくまでも親戚や友人としての情愛としか受け取らなかった。

 同じように、匡平(横浜流星)からの気持ちも、恋愛感情だとは気づいていない。順子は、東大受験に失敗して以来、自分に自信が持てず、今のモテ具合を全く自覚していないのだ。

 もちろん、先にも書いたように、無自覚であればあるだけ、順子の魅力は増していく。雅志と匡平も、お互いの順子に対する気持ちに気づきながら、どんどんと彼女への思いは募っていくのだ。もはや、ここまでくると一つの才能とも言える。

 この、無自覚な女性を演じるというのは、意外と難しい。なぜなら、下手な芝居をしてしまうと、「無自覚を演じている姿を演じている」というように受け取られてしまうから。いわゆる「ぶりっ子」に見えてしまうのだ。

 しかし、深田恭子がその役に入ると、本当に無自覚であるようにしか見えない。役に入りきっていることもあるだろうが、深田自身が、どこか無邪気な雰囲気を持っており、見ているものにあざとさを感じさせない力を持ち合わせているからではないだろうか。

 順子との微妙な関係を維持したまま、冬を越え、2018年春、匡平は無事高校3年生になった。勉強の方も、他の生徒たちに追いつき、1年後の東大受験に向け、順調に努力を続けるのだった。

 そんな頃、順子は、山下(中村倫也)から、匡平が中学時代に母親を亡くしていることを聞かされる。同情した順子は、匡平に対して、母親のような気持ちを募らせるのだ。

 複雑な思いを山下に相談する中で、順子は「幸せってなんなんだろう?」と口にする。それに答えて山下は言うのだ。

「幸せが何かなんて、幸せな時は考えない」

 今回のストーリーでは、この「幸せ」という言葉が大きなキーワードになった。

 迎えた5月のゴールデンウィーク、塾では、受験のための強化合宿が行われる。

 行きのバスの中、クラスのエリートである、鷲津(内藤秀一郎)や長宗我部(市川理矩)たちが、クラスメイトの大塚さつき(神岡実希)に嘘の告白をして、盛り上がる。それを注意した美香(吉川愛)と匡平は、エリートグループと対立することになってしまう。

 ここでまた新たな美少女の登場である。大塚役を演じた神岡実希は、2017年まで、アイドルグループ『ハコイリムスメ』のメンバーとして活動していた。愛らしいルックスと、強気な性格で人気を博し、卒業後は、映画『ナラタージュ』(2017)などで、女優として活躍している。こうしてメジャーなドラマに出てきたことで、人気が高まっていくかもしれない。

 さて、順子に対する匡平の気持ちを知った順子の友人・美和(安達祐実)は、「18歳の誕生日までは、法律的にダメ」と伝える。

 一方、雅志は順子を追いかけて、合宿所の近くにある会社の保養所に泊まりに来る。匡平は、雅志の元を訪ね、順子への思いを確認する。好きであることを告げた雅志に、匡平は言うのだ。「何の問題もなく告白できるなんて、幸せだ」。

 17歳はまだ子ども、そんな思いがあるのだろう。年が離れている自分への歯がゆさもあるのかもしれない。

 合宿中、相変わらず匡平に嫌がらせを続ける鷲津たちは、「匡平がロッジでタバコを吸っていた」と証言する。真偽を確かめるためロッジに向かった順子は、そこで匡平と二人きりになる。

  美和に言われたことを意識してか、匡平は「来年の2月3日、覚えておいて。18歳になるから」と告げる。

 ロッジのシーンでは、燃え上がる暖炉の炎や、ヤカンから吹き上がる蒸気が、匡平のあふれるような気持ちを暗喩していた。なかなか意味深な演出である。

 匡平に腰を抱かれて戸惑う順子が可愛らしい。

 深田恭子の魅力の一つは、戸惑ったような瞳の演技だ。一歩間違えば、わざとらしくなってしまうようなクルクルとした目の動きを、自然にこなしてしまう。

 そしてもう一つ、彼女の話し方にも、秘密があるような気がする。甘えるような、でもしっかりと気持ちを伝える口調と声。アリナミンAのCMで「だるおも~」とつぶやいただけで、そのセリフがしっかりと頭に残ってしまう。そんな声の魅力がある。

 合宿中のキャンプファイヤーのシーン。燃え盛る焚き火越しに、匡平が順子を見つめる。そこに主題歌である、back numberの「HAPPY BIRTHDAY」が流れる。“HAPPY BIRTHDAY”=誕生日。次の誕生日、匡平は18歳になる。そこが物語の最大のヤマ場になるのではないかと期待される。

 最後、インフルエンザで寝込んだ順子と匡平は、手をつないで眠っている。実はここで、ドラマの冒頭に出てきた、美和の店で働くホステス・もんちゃんの「男子高校生と手をつなぐだけで女性ホルモン出そう~」というセリフの伏線が回収されるのである。

 ロッジのシーンでの小道具の使い方や、主題歌の効果的なストーリーとのリンクなど、じっくり見ていくと、気付かされることがたくさんある。それらの仕掛けが、自然に見るものに伝わってくるのが、このドラマの妙なのだ。

 次回以降の展開だが、最後のシーンで、山下の手元には、妻からの離婚届が置かれていた。いよいよ、本格的に、順子への恋愛バトル参戦といったところだろうか。彼もまた、厭世観を漂わせながら、それほど不幸には見えない。

 そうなのだ。このドラマに登場する人たちは、それぞれの事情を抱えつつも、決して不幸ではない。それは、みんながさまざまな形で「恋をしている」からかもしれない。恋愛が全てだと言うつもりはないが、幸せであるための特効薬であることは間違いないだろう。

(文=プレヤード)

深田恭子“無自覚”であることの才能と強さ――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第4話

(前回までのレビューはこちらから) 

 人間は、「自覚的」か「無自覚」かで、タイプ分けすることができる。

「自分がかわいいと自覚している女性」と「自分がかわいいことを自覚していない女性」、「自分が幸せだと思っている人」と「自分が幸せだと気づいていない人」など、どの場合にも言えるのは、自覚している人より無自覚であるほうが、よりかわいかったり、本当の意味で幸せだったりするものだ。

 なぜなら、「かわいい」とか「幸せ」を自覚している人は、それを維持するために大変な労力を要するから。それを失った時の恐怖心もあることだろう。「無自覚」の場合は、そのようなことは一切ないのだ。最強の人間は、「無自覚な人」ということができるだろう。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第4話。今回も、順子(深田恭子)の無自覚さが際立っていた。

 やっとの思いで、順子に告白した従兄弟の雅志(永山絢斗)。しかし、順子はその気持ちに全く気づかず、あくまでも親戚や友人としての情愛としか受け取らなかった。

 同じように、匡平(横浜流星)からの気持ちも、恋愛感情だとは気づいていない。順子は、東大受験に失敗して以来、自分に自信が持てず、今のモテ具合を全く自覚していないのだ。

 もちろん、先にも書いたように、無自覚であればあるだけ、順子の魅力は増していく。雅志と匡平も、お互いの順子に対する気持ちに気づきながら、どんどんと彼女への思いは募っていくのだ。もはや、ここまでくると一つの才能とも言える。

 この、無自覚な女性を演じるというのは、意外と難しい。なぜなら、下手な芝居をしてしまうと、「無自覚を演じている姿を演じている」というように受け取られてしまうから。いわゆる「ぶりっ子」に見えてしまうのだ。

 しかし、深田恭子がその役に入ると、本当に無自覚であるようにしか見えない。役に入りきっていることもあるだろうが、深田自身が、どこか無邪気な雰囲気を持っており、見ているものにあざとさを感じさせない力を持ち合わせているからではないだろうか。

 順子との微妙な関係を維持したまま、冬を越え、2018年春、匡平は無事高校3年生になった。勉強の方も、他の生徒たちに追いつき、1年後の東大受験に向け、順調に努力を続けるのだった。

 そんな頃、順子は、山下(中村倫也)から、匡平が中学時代に母親を亡くしていることを聞かされる。同情した順子は、匡平に対して、母親のような気持ちを募らせるのだ。

 複雑な思いを山下に相談する中で、順子は「幸せってなんなんだろう?」と口にする。それに答えて山下は言うのだ。

「幸せが何かなんて、幸せな時は考えない」

 今回のストーリーでは、この「幸せ」という言葉が大きなキーワードになった。

 迎えた5月のゴールデンウィーク、塾では、受験のための強化合宿が行われる。

 行きのバスの中、クラスのエリートである、鷲津(内藤秀一郎)や長宗我部(市川理矩)たちが、クラスメイトの大塚さつき(神岡実希)に嘘の告白をして、盛り上がる。それを注意した美香(吉川愛)と匡平は、エリートグループと対立することになってしまう。

 ここでまた新たな美少女の登場である。大塚役を演じた神岡実希は、2017年まで、アイドルグループ『ハコイリムスメ』のメンバーとして活動していた。愛らしいルックスと、強気な性格で人気を博し、卒業後は、映画『ナラタージュ』(2017)などで、女優として活躍している。こうしてメジャーなドラマに出てきたことで、人気が高まっていくかもしれない。

 さて、順子に対する匡平の気持ちを知った順子の友人・美和(安達祐実)は、「18歳の誕生日までは、法律的にダメ」と伝える。

 一方、雅志は順子を追いかけて、合宿所の近くにある会社の保養所に泊まりに来る。匡平は、雅志の元を訪ね、順子への思いを確認する。好きであることを告げた雅志に、匡平は言うのだ。「何の問題もなく告白できるなんて、幸せだ」。

 17歳はまだ子ども、そんな思いがあるのだろう。年が離れている自分への歯がゆさもあるのかもしれない。

 合宿中、相変わらず匡平に嫌がらせを続ける鷲津たちは、「匡平がロッジでタバコを吸っていた」と証言する。真偽を確かめるためロッジに向かった順子は、そこで匡平と二人きりになる。

  美和に言われたことを意識してか、匡平は「来年の2月3日、覚えておいて。18歳になるから」と告げる。

 ロッジのシーンでは、燃え上がる暖炉の炎や、ヤカンから吹き上がる蒸気が、匡平のあふれるような気持ちを暗喩していた。なかなか意味深な演出である。

 匡平に腰を抱かれて戸惑う順子が可愛らしい。

 深田恭子の魅力の一つは、戸惑ったような瞳の演技だ。一歩間違えば、わざとらしくなってしまうようなクルクルとした目の動きを、自然にこなしてしまう。

 そしてもう一つ、彼女の話し方にも、秘密があるような気がする。甘えるような、でもしっかりと気持ちを伝える口調と声。アリナミンAのCMで「だるおも~」とつぶやいただけで、そのセリフがしっかりと頭に残ってしまう。そんな声の魅力がある。

 合宿中のキャンプファイヤーのシーン。燃え盛る焚き火越しに、匡平が順子を見つめる。そこに主題歌である、back numberの「HAPPY BIRTHDAY」が流れる。“HAPPY BIRTHDAY”=誕生日。次の誕生日、匡平は18歳になる。そこが物語の最大のヤマ場になるのではないかと期待される。

 最後、インフルエンザで寝込んだ順子と匡平は、手をつないで眠っている。実はここで、ドラマの冒頭に出てきた、美和の店で働くホステス・もんちゃんの「男子高校生と手をつなぐだけで女性ホルモン出そう~」というセリフの伏線が回収されるのである。

 ロッジのシーンでの小道具の使い方や、主題歌の効果的なストーリーとのリンクなど、じっくり見ていくと、気付かされることがたくさんある。それらの仕掛けが、自然に見るものに伝わってくるのが、このドラマの妙なのだ。

 次回以降の展開だが、最後のシーンで、山下の手元には、妻からの離婚届が置かれていた。いよいよ、本格的に、順子への恋愛バトル参戦といったところだろうか。彼もまた、厭世観を漂わせながら、それほど不幸には見えない。

 そうなのだ。このドラマに登場する人たちは、それぞれの事情を抱えつつも、決して不幸ではない。それは、みんながさまざまな形で「恋をしている」からかもしれない。恋愛が全てだと言うつもりはないが、幸せであるための特効薬であることは間違いないだろう。

(文=プレヤード)

大人らしい大人とはなんだろう?――ドラマ『初めて恋をした日に読む話』第3話

(前回までのレビューはこちらから) 

 学校の先生が主役のドラマには、定番の展開がある。

 不良であったり、心を閉ざしていたりする生徒が、初めは反抗するものの、先生の熱意に触れ、信頼を寄せていくというパターンだ。『3年B組金八先生』(TBS系)や、『ごくせん』(日本テレビ系)、『GTO』(フジテレビ系)などもこの流れをふんでいた。

 そんな中でキーになるのは、「大人らしくない行動」である。周囲の先生が見放した生徒を、あきらめずに信頼し、立ち直らせようとしたり、自分の思いにまかせて無茶な行動をしてみたりといった姿が、生徒たちの気持ちを変えていくのである。

 一般的に言われる“大人”は、自分の感情を抑え、周囲に気を使って生きている。それは仕方のないことだ。無駄な労力を使わず、楽に生きるための知恵だから。ただ、周囲との軋轢を恐れず、後先のことを考えずに、思いのままに行動する、そんな“子どもじみた”部分も、時には必要なのだ。

 GTOの鬼塚も、ごくせんのヤンクミも、金八先生だって、子供じみたところがあった。でも、それでいいのである。ドラマの中とはいえ、結果的に彼らは生徒たちの心を掴んだのだから。

 ドラマ『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)第3話。今回は、大人と子ども、それぞれの思いが交錯する展開となった。

 東大合格を目指す匡平(横浜流星)の指導法に悩む順子(深田恭子)は、同僚のカリスマ講師・勅使河原(髙橋洋)に相談する。しかし、現実的に合格は無理だということ、そして、万が一合格の可能性があるとしても、そのためには国語と英語を強化しなければならないことを論理的に説明されただけだった。

 国語と英語の重要性を知った順子は、古文の授業に力を入れる。そこには、匡平にアプローチをする女子高生・美香(吉川愛)も同席していた。

 順子に思いを寄せる従兄弟・雅志(永山絢斗)は、社内で「東大出のおぼっちゃん」と揶揄されたことで意地になり、新たなプロジェクトを引き受けてしまう。順子とデートする約束を取りつけていた彼は、時間を作るため、毎日無理をして仕事をこなすことになる。

 順子に比べれば、十分大人のように見える雅志も、どこか子どもじみたことをしてしまうのだ。ムキになって仕事を増やしてしまったり、照れてしまって順子にうまく想いを伝えられなかったり。でも、そんなところが人間的で、魅力があるようにも思える。

 匡平に対し、「普通のやり方では合格は難しい」と感じた順子は、友人・美和(安達祐実)の意見も聞こうと、相談をもちかける。しかし、そこでは「仕事もいいが、婚活も同時にした方がいい。昔からの知り合い男子はどうか」とアドバイスされるのだった。

 その時、店の前を美香が通りかかり合流、自身の過去の恋愛について語り始める。中学の時、家庭教師の男性と付き合ったが、相手に裏切られたことがあったという。そんな思いを吐露した後、彼女は言う。

「大人って、全然大人じゃないんだな」

 彼女の考える“大人”。それは、自分の行動に責任を持ち、逃げずに正面からぶつかっていく人のようなことだろう。でもそれは、“理想の大人”であって、現実の大人は、えてして要領よく問題からすり抜けていってしまうものだ。“大人”という概念は、捉え方次第で、良くも悪くもなってしまう。

 帰り道、順子は偶然、高校の同級生で匡平の担任でもある山下(中村倫也)と出会い、二人で飲みに行くことになる。美和の言った「昔からの知り合い男子」という言葉を思い出した順子は、山下を恋愛の対象と意識し、緊張してしまう。しかし、そこで山下が結婚していたことを知り、激しく落ち込むのだった。一方の山下は順子と会っていたことを、学校で匡平に話す。匡平は二人の関係に嫉妬を感じる。

 勉強に興味を持ってもらえるよう、順子は匡平と美香に、古典や歴史について学べる漫画を渡す。匡平は素直に受け取ったものの、美香はそんな順子に反抗する。

「いい先生ぶって、自分が気持ちいいだけでしょ」

 このセリフからは、美香の順子に対する嫉妬心が見え隠れする。匡平が順子に思いを寄せていることを知って、悔しさを感じているのだろう。匡平にたしなめられた美香は、やけになり、知り合いの男に連絡するが、優しく答えてくれる人はいない。唯一、過去に付き合っていた家庭教師の水野(森田甘路)だけが、下心を持って、明日会ってもいいと言ってきたのだった。

 そんな自分の状況に迷った美香は、塾の教員室を訪ね、思いをぶつける。

「どうやったら自分を好きでいてもらえるのか分からない……」

 自暴自棄になった美香は、そのまま水野と会い、ホテルに入ろうとする。そこに順子が現れ、美香を助けるのだった。「好きになった自分に、もっと責任を持ちなさい」そう言う順子に、美香は少しずつ心を開いていく。

 一方、プロジェクトが佳境に入った雅志は、仕事で荷物を運ばなければならない日、過労により街中で倒れてしまう。偶然通りかかった匡平らに助けられ、順子も駆けつける。なんとしてもやり遂げようとする雅志を見て、順子は、自分が運転して荷物を運ぶことを決意する。

 順子と匡平の助けもあり、無事に荷物を届けることができた。帰り道、休憩している時、雅志はそっと順子を抱きしめ、「好きだ」と告げる。そして、それを匡平に目撃されてしまうのだった……。

 今回は、恋愛のシーンが少なかったが、最後に波乱含みの展開を持ってきた。この時点で、匡平は雅志と山下に嫉妬心を抱いており、雅志もまた匡平に同じような感情を持っている。山下だけが、今のところ冷静に順子と接しているように見える。果たして、彼の“結婚”は、今も続いているのか? そのあたりが今後のカギになるだろう。

 さて、作中で問いかけられた、“本当の大人”とはどういうものなのだろうか。

 配慮しなければならない常識や周囲の目、それでも何かをしたいという自分の思い、それらをバランスよく考え、前に進んでいく人。ある意味、大人的な配慮と子どもじみた感情を両立させている人こそ、本当の意味で大人なのかもしれない。

 今週は、字幕を使うなど、面白い演出も見られた。笑って楽しめる部分と、真剣に人生を考える部分、そして恋愛の要素がバランスよく混ざりあったこのドラマ。大人になってしまった人が見ても、これから大人になる人が見ても、役立つことがふんだんに詰まっている。

(文=プレヤード)