イジメ・自殺が深刻化するアメリカで支持された、『プリティ・リトル・ライアーズ』

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『プリティ・リトル・ライアーズ
<ファースト・シーズン> コン
プリート・ボックス』(ワーナー
・ホーム・ビデオ)

――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディティールから文化論をひきずり出す!

 『ビバリーヒルズ高校/青春白書』以来、アメリカの高校生を主人公としたメロドラマは、当たれば世界的な大ヒット間違いなしと言われている。そのため、最近のティーンドラマは昼メロ顔負けの刺激的でドラマチックな作品が多い。『The OC』『ゴシップ・ガールズ』はもちろんのこと、『ヴァンパイア・ダイアリー』のようなSFファンタジーにもメロドラマの要素が含まれているほど。もはや、メロドラマはオバサンたちだけのものではなく、ティーンの世界でも普通に受け入れられているのである。

 とはいえ暴走しやすいティーンが主役のメロドラマは、少しでも度が過ぎると世間から批判される。『ビバヒル』でティーンの妊娠・出産が描かれた時、『The OC』でミーシャ・バートン演じるヒロインがハメを外した時、『ゴシップ・ガールズ』で薬物乱用、飲酒に3Pなどが描かれた時は、PTA世代の逆鱗に触れ問題となった。だが、そんな風当たりをものともせず、その内容は年を追うごろに過激になってきている。それが、等身大のティーンを描いた結果だからだろう。

吸血鬼ブームの反動? ゾンビドラマ『ウォーキング・デッド』人気の要因とは

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『ウォーキング・デッド DVD-BOX』/角川書店

――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディティールから文化論をひきずり出す!

 アメリカのB級ホラー映画界で不動の人気を誇るキャラクターといえば、ずばりゾンビである。視覚的に刺激的で、いつどこから襲われるか分からないというゾクゾクするスリル感。容赦なく無差別的に、そして黙々と人を襲うゾンビは、アメリカ人にとって恐怖のツボをピンポイントに突く存在なのである。

 そんなアメリカで大人気のゾンビだが、そのルーツはコンゴにあると言われている。コンゴで信仰されていた不思議な力を持つ神「ンザンビ」が、アメリカに連れてこられた奴隷たちの口伝えによりいつの間にかお化けという意味の「ゾンビ」に変わってしまったというのだ。初期のゾンビは魂のない体だけの奴隷のようなもので、1932年にゾンビが初登場した映画『ホワイト・ゾンビ』でも、機械のような奴隷マシーンとして描かれている。

『グッド・ワイフ』が描く、浮気された妻による「キャリア」と「家庭」の両立

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『グッド・ワイフ 彼女の評決シーズ
ン1 DVD-BOX part1 』(パラマウント
ホーム エンタテインメント ジャパン)

――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディティールから文化論をひきずり出す!

 離婚大国として知られるアメリカだが、実のところ離婚率は1981年をピークに年々低下している。日本人女性はアメリカ人女性に比べて、耐え忍ぶ妻が多いとよく言われる。しかし、アメリカにも日本人以上に耐え忍ぶ妻が存在するのだ。その代表的な存在が、セックス・スキャンダルを起こした政治家たちの妻である。

 アメリカでは政治家の妻には才女が多い。高学歴で弁護士などのステイタスの高い仕事をしてきた女性も少なくない。夫を捨てても経済的に苦しむことはないのだ。しかし、彼女たちの中には、自分を侮辱した夫を許し、夫の顔をたてるためにセックス・スキャンダルの釈明/辞任会見に立ち会う者がいるのである。元ニューヨーク州知事エリオット・スピッツァーの妻でハーバード・ロー・スクール卒の法務博士シルダや、アメリカ合衆国上院議員デイヴィッド・ヴィッターの妻で元検察官のウェンディ。会見には立ち会わなかったが、離婚はせず夫をサポートすると声明を出したビル・クリントン元大統領夫人で現国務長官のヒラリー・クリントンも、夫を支えてきた我慢強い妻であった。

なぜアメリカで吸血鬼ブーム? 『ヴァンパイア・ダイアリーズ』がヒットした理由

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『ヴァンパイア・ダイアリーズ〈ファ
ー スト・シーズン〉コレクターズ・
ボックス1 』/ワーナー・ホーム
・ビデオ

――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディティールから文化論をひきずり出す!

 今、アメリカ人女性の間では空前のヴァンパイア・ブームが吹き荒れている。映画、テレビドラマ、雑誌など、ヴァンパイアは至るところに登場し、目にしない日はない。大手企業もCMにヴァンパイアを登場させている。きれいにヒゲを剃ったヴァンパイアに「死ぬほどセクシー」というキャップフレーズをつけた、ジレットのCMは大好評だ。

 その昔、吸血鬼といえば黒いマントを羽織り、ポマードをべっとりとつけた「ドラキュラ」で、恐怖の象徴であった。しかし、今は、吸血鬼といえば、彫刻のような美しい体を持ち、影のある美しい男「ヴァンパイア」であり、セックスシンボルとして騒がれている。

リメークブームの中、設定とWキャストで圧倒的支持を得た『NIKITA/ニキータ』

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『NIKITA /ニキータ 〈ファースト
・シーズン〉 コレクターズ・ボッ
クス1』/ワーナー・ホーム・ビデオ

――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディティールから文化論をひきずり出す!

 ハリウッドでは相変わらずリメークブームが続いている。火付け役は世界的に大ヒットした『ミッション:インポッシブル』シリーズであり、その後制作された『オーシャンズ11』『チャーリーズ・エンジェル』シリーズも社会現象を巻き起こすヒットになった。制作・配給会社の「すでに成功している作品をベースにすれば、大きく失敗することはないだろう」という思惑、監督・役者らの「オマージュとして制作している」という考え。多くの観客も、ハリウッドが古き良き時代の名作を現代風にアレンジ、リメークすることを歓迎している。

中毒者で不倫、だけど聖女? 医療ドラマの異端児『ナース・ジャッキー』

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『ナース・ジャッキー』(イーネ
ット・フロンティア)

 ここ数年、視聴者離れが進み、番組制作費などの大幅カットが続いている米テレビ界。とはいえ、ひとたび当たれば世界中に輸出され、長年に渡り儲けることができるため、どの局・プロダクションも、これまで以上に力を入れ「確実に視聴率がとれる番組」を制作しようと必死になっている。

全世界の人が2分17秒気を失ったら? 『フラッシュフォワード』の魅力

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『フラッシュフォーワード』(ウォル
ト・ディズニー・ジャパン株式会社)

 ここ数年の間、アメリカテレビ界では、ベストセラー小説を実写化したドラマが続々と制作・放送されている。ベストセラー本は、一般大衆受けがよい作品ということであり、ドラマ化しても人気が出る可能性が高い。ストーリー構成もキャラクター設定も、しっかりと出来上がっているという大きな利点もある。読書をあまりしないと言われるアメリカ人だが、ニューヨーク・タイムズ紙で毎週日曜日に発表される「各分野のベストセラー・リスト」に登場する本のタイトルは知っている人が多い。これらの要因から、ベストセラー本を原作としたドラマは、視聴者を引き寄せられると考えられているのだ。

差別的なギャグ多数でも、エミー賞に最多ノミネートされた『30 Rock』

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『30 ROCK』シーズン1 DVD-BOX1/
TCエンタテインメント

 一時の勢いは失ってしまったものの、アメリカではリアリティー番組が相変わらず高い人気を誇っている。オーディション番組の『アメリカン・アイドル』は今期も圧倒的な高視聴率を誇っているし、キム・カーダシアン一家の日常を追った作品は好調につきスピンオフが制作。大家族のすさまじい日常を包み隠さず紹介する番組、10代で未婚母となったシングルマザーの呆れた生活を追いかけまわす作品など、多くのリアリティ番組がテレビ電波を占領している。

救いのない犯罪者の心理に迫った『クリミナル・マインド』がウケた理由

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『クリミナル・マインド シーズン1
コレクターズBOX Part1』

――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディティールから文化論をひきずり出す!

 以前、『NCIS~ネイビー犯罪捜査班』を紹介したときに触れたが、21世紀に入りアメリカでは空前のクライム・サスペンス・ブームが起きている。視聴者のニーズに応えようと次々と犯罪捜査ドラマが制作され、その多くがヒットとなっている。アメリカ人が、ここまで犯罪ドラマを好む理由は、ずばりアメリカが犯罪大国であるからだろう。

 アメリカでは年間1,115万件の主要犯罪(放火を除く)が起こっているが、そのうち凶悪・暴力犯罪事件は138万件(外務省発表)。ちなみに日本の年間刑法犯認知総件数は182万件で、そのうち凶悪・暴力犯罪は約4万件(警察庁の警察白書)である。日本の人口はアメリカの半分以下であるが、それを考慮してもアメリカの犯罪が格段に多いことがよく分かる。