<p> 近年、ミュージカル・ブームに沸いているハリウッド。『ドリームガールズ』(2006)、『ヘアスプレー』(07)、『マンマ・ミーア! 』(08)と立て続けにミュージカル映画が公開され大ヒットしたこともあるが、なんといってもブームの立役者は09年から放送がスタートしたミュージック・ドラマ『glee/グリー』だろう。</p> <p> 『glee』は、高校の合唱部を描いた作品で、舞台で活躍してきた役者たちを中心にキャスティングされている。演技ができて、歌唱力が高く、そこそこ踊れるという役者たちが、大物アーティストたちのヒット曲をカバーすることで番組は爆発的に大ヒット。視聴者はミュージカルシーン目当てでテレビのチャンネルを合わせるようになり、『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』など既存のヒットドラマも人気にあやかりミュージカル・エピソードを制作するようになった。</p>
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本格的な復讐劇『リベンジ』の人気は、格差社会が生んだ「欺まんへの憤り」が要因?
<p> 長引く不況に苦しむアメリカ。今年に入り、オバマ政権はやっと富裕層増税に動き出したが、経済的に搾取する富裕層のせいで、格差は広がるばかり。中間層・低所得層の怒りは沸騰点に達しており、富裕層に制裁を加えてほしいと強く望むように。『ゴシップガール』や『新ビバリーヒルズ青春白書』など、ゴージャスで現実離れした暮らしを描いたドラマに対しても辟易するようになったのか、視聴者は離れる一方。その結果、2作品とも放送の打ち切りが決定した。</p>
現実に疲れたアラフォー女性を発奮させるドラマ『リゾーリ&アイルズ』

『リゾーリ&アイルズ』/ワーナー・
ホーム・ビデオ
――海外生活20年以上、見てきたドラマは数知れず。そんな本物の海外ドラマジャンキーが新旧さまざまな作品のディテールから文化論をひきずり出す!
女の子が人形遊びをすることは、世界共通だといわれている。多くのアメリカ人女性も、幼い頃にバービー人形で遊んだ経験を持つ。凛とした表情にパーフェクトな体形、ロングヘアのバービー人形は、アメリカの少女たちの空想の世界で「優しい母親」や「厳しい教師」、そして「かっこいいキャリアウーマン」になるという。
男女平等な国として知られるアメリカだが、一昔前は男尊女卑がひどかった。70年代に入り、女が外で男に伍してバリバリ働くのが幸せなことだという新しい価値観が生まれたのだが、その流れに乗り、男性社会で働くバリキャリウーマンを題材としたテレビドラマが登場するようになった。女性スパイが男勝りのアクションを繰り広げる『チャーリーズ・エンジェル』(1976~81)、男勝りのジャーナリストがアンカーとして活躍する『TVキャスター マーフィー・ブラウン』(88~98)、そして2人組の女性刑事が大活躍する『女刑事キャグニー&レイシー』(82~88)。バービー人形を「憧れのかっこいいキャリアウーマン」に見立てて遊ぶ少女たちが急増したのは、前出のような「男社会の中で、男性以上に仕事を完璧にこなすスーパーウーマン」番組が大きく影響していると伝えられている。
高校生のキャリーを描く『The Carrie Diaries』vsリアルを追求した『Girls』
大都会ニューヨークを舞台に4人の個性的な女性たちが本音を炸裂させながら繰り広げる、愛と友情のスタイリッシュドラマ『Sex and the City』(以下SATC)。世界中で社会現象を巻き起こした『SATC』は、その後2回にわたり映画化され、中年になってもピュアなハートを持つバブリーな4人のガールズたちに、ファンは大いに魅了された。
今年4月、『SATC』を世に送り出した、米最大手ケーブルTV局「HBO」で、ニューヨークを舞台に奮闘する4人の女性たちの日常を描いたドラマが放送スタートした。ドラマのタイトルは『Girls』。メディアはこの作品を、“もう一つの『SATC』”として大々的に取り上げた。役者が最も気にするといわれる業界紙「The Hollywood Reporter」は、この作品を「近年まれに見る、オリジナリティにあふれたドラマシリーズ」と大絶賛。これぞ多くの女性たちが待ち望んでいたポスト『SATC』だと言われるようになった。
だが、それに待ったをかけるような形で、我こそはポスト『SATC』だと名乗りを上げる新作ドラマが、来年1月に放送スタートすることが発表された。80年代半ばを舞台に、『SATC』の主人公キャリー・ブラッドショーの高校生時代を描いた『The Carrie Diaries』である。放送するのは、青春ドラマの名手「CW」ネットワーク。『SATC』の原作者キャンディス・ブシュネルが執筆した同名小説をドラマ化した作品で、スタイリッシュ系ガールズドラマとして大成功のポテンシャルが高い、新作ドラマだと伝えられている。
今回は「ポスト『SATC』候補」と題して、この2つの作品を紹介したい。
肥満人口の増加が価値観の逆転をもたらした、『私はラブ・リーガル』

『私はラブ・リーガル DROP DEAD Di
va シーズン1 DVD-BOX』(エスピー
オー)
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「大人の3人に1人が肥満」だと言われるアメリカ。肥満は深刻な問題になっており、米疾病対策センター(CDC)は何十年も前から警鐘を鳴らし続けているが、肥満人口は増える一方である。成人の68%がBMI25以上(160cmで64kg以上)、33.8%がBMI30以上(160cmで77kg以上)、5.7%がBMI40以上(160cmで103kg以上)であり、このままだと医療費の負担額も増え続けると専門家たちは警告している。
そんなアメリカでは「肥満退治」を掲げたリアリティ番組が大人気。厳しい減量キャンプでトレーニングを受け、誰が一番痩せたかを競う『The Biggest Loser』、90kg以上の超肥満体の人を集めて「健康のため」の減量をさせる『Extreme Makeover: Weight Loss Edition』、踊りながら減量していく『Dance Your Ass Off』など、たくさんの汗と涙を流しながら減量に励み、「私ができたのだから、みんなも絶対にできる」と呼びかける番組を見て、みんな「本気を出せばできる」と安心するのだろう。
経済疲弊とタブー過多が起因? アメリカの懐古ドラマブーム

『PAN AM/パンナム』(東宝)
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アメリカでは5年ほど前からノスタルジックなテレビドラマが静かなブームとなっている。きっかけは2007年にスタートした、1960年代のニューヨークの広告業界を描いた『マッドメン』。とりわけ業界から大絶賛され、4年連続エミー賞を獲得した。『マッドメン』が視聴者に受けたのは、景気がよく、ケネディ大統領が活躍するなど若く躍動的な力がみなぎっている時代が舞台だからだと言われている。また、地上波に比べ規制が緩いケーブルテレビ専門チャネルで放送されたことにより、かつては普通だった現代のタブーをサラリと描いたことも「リアル」だと視聴者に受けたのだろう。人種差別や男尊女卑、妊婦がタバコを吸ったり、夫が妻にDVやモラハラまがいのことをするなど、「そのまんま60年代」を舞台にしたドラマを見て、人々は「半世紀でここまで変わったのか」と驚き、惹かれたのである。
【エミー賞】アメリカの社会情勢とマッチした『HOMELAND』が総ナメ!

『Homeland:Season1』
米国テレビ業界最大のイベント『第64回エミー賞授賞式』が9月23日、ロサンゼルスで開催され、受賞者・受賞作品が発表された。今年、ドラマ部門を総ナメしたのは、オバマ大統領お気に入りのサスペンスドラマ『HOMELAND』。コメディ部門を制覇したのは、3年続けて作品賞に輝いたドタバタコメディ『モダン・ファミリー』だった。
「世界で最もポピュラーなメディアであり、中国人が唯一コピーできないアメリカが誇る“テレビジョン”。そのテレビジョン最大の式典にようこそ」という司会進行役のジミー・キンメルの言葉でスタートした授賞式。本年度、最多ノミネートされた作品は『マッドメン』、ノミネートされた作品を最も多く持つ放送局はHBOであったが、ふたを開けてみると、話題をさらったのはShowtimeの『HOMELAND』であった。
“正反対な男女”という王道ストーリーと、メディアミックスで支持層を広げた『キャッスル』

『キャッスル/ミステリー作家のNY事
件簿 シーズン1 COMPLETE BOX』(ウォ
ルト・ディズニー・ジャパン株式会社)
アメリカでヒットすれば海外でも大ヒットすること間違いなしと言われている、クライム・サスペンス・ドラマ。近年は『Law&Order』『CSI:科学捜査班』『NCIS ~ネイビー犯罪捜査班』シリーズなど、チームで犯罪組織に挑む作品が主流となっており、スピンオフ作品も高視聴率を稼ぎ出している。このミステリー・クライムというジャンルの中で、不動の一番人気を誇るのは、何といっても「ミスマッチな男女が組んで、ケンカをしながらも力を合わせて犯罪を解決する」といった路線の作品だといえよう。
5代目ジェームズ・ボンドとして知られるピアース・ブロスナンの出世作『探偵レミントン・スティール』(1982~87)、ブルース・ウィリスの出世作『こちらブルームーン探偵社』(1985~89)、突然“同棲説”が流れ出し、現在ゴシップの渦中にいるデイヴィッド・ドゥカヴニーとジリアン・アンダーソン主演の『X-ファイル』(1993~02)、イケメン俳優として人気を集めたデヴィッド・ボレアナズ主演の『BONES』(05~)。これらの作品のように、「ミスマッチな男女」が繰り広げるミステリー/クライム・サスペンスドラマは、アメリカ国内外で空前の大ヒットとなっているのだ。
セレブの破天荒な日常を通じ、視聴者に“優越感”を与える『ダーティ・セクシー・マネー』

『ダーティ・セクシー・マネー DVD
COMPLETE BOX』/ウォルト・ディズ
ニー・ジャパン
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サブプライムローン問題により住宅バブルが崩壊した2007年以来、ずっと続いているアメリカの大不況。景気が悪い時には、セレブの豪華な日常が見たくなるものなのか、現在、アメリカのテレビでは数多くのセレブ番組が放送されている。
特に、ニューヨークやビバリーヒルズなど、アメリカの各大都市に暮らすリッチなセレブ主婦たちの日常を追うリアリティー番組『the Real Housewives』シリーズは、夢のような暮らしをしている彼女たちに全米が釘付けになった。出演者たちはパパラッチに追い掛け回されるようになり、整形手術を受けた、離婚したなど、下世話なプライベートネタでタブロイドを賑わせるようになった。
しかし昨年8月、『Real Housewives of Beverly Hills』の美人主婦と離婚問題で揉めていた夫が、邸宅で首吊り自殺をしているのが発見された。投資家であった彼は金銭的に問題を抱えており、豪華な暮らしも虚像だったことが判明。ゴシップ好きなアメリカ人も「人の不幸は蜜の味」という感覚を持っているが、現実はあまりにも悲惨だと世間に衝撃を与えた。浮世離れしたセレブの暮らしを覗くのには、やはりドラマが一番だと感じた人も多かったことだろう。
エロ・グロだけじゃない! 陰謀と愛憎が絡まる『スパルタカス』の魅力

『スパルタカス DVDコレクターズBOX』
(20世紀フォックス・ホーム・エン
ターテイメント・ジャパン)
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日本人が大河ドラマ好きなのと同じく、アメリカ人も古代ローマを舞台にした歴史ドラマや映画が大好きである。西部劇も好きではあるが、マッチョで精神的にも強いヒーローが男の理想だと感じるアメリカにおいて、古代ローマの剣闘士が繰り広げる闘いは、最も食指が動くようだ。
帝政ローマ時代中期の剣闘士の姿を描いた映画『グラディエーター』(2000)、内乱期のローマ共和国を描いた米英合作ドラマ『ROME ローマ』(05~07)、紀元前480年に起きたペルシア戦争のテルモピュライの戦いを描いた『300 スリーハンドレッド』(07)、近年制作された歴史スペクタクルはどれもヒット作となっている。