『刑事ゼロ』“超絶逆回転誘拐”の大風呂敷をキレイに畳めずガッカリな結末に……

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまった刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第3話が24日に放送され、平均視聴率11.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.4ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 今回、京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)が追うのは誘拐事件。といっても、普通の誘拐事件とは異なり、“逆回転”で展開します。

 事の発端は、ある夜、貴金属買取チェーンの会長・夏富輝一郎(竜雷太)の娘婿の武臣(佐伯新)が不審な電話を受け取ったところから。加工した声の主は、「身代金は受け取った。息子は解放する」とのメッセージを寄越してきたのですが、高校1年生の息子・輝(中島凱斗)は在宅だったため、武臣はいたずら電話とみなしてスルーしてしまいます。

 ところがその翌日、輝一郎が商談相手との取引のため、1億円が入ったアタッシェケースを搬送していたところ、何者かに強奪されてしまう事件が発生。そして、通報を受けた時矢と相棒の新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)が夏富家を訪ねたところ、郵便受けから1万円札ととともに、「現金1億円を夏富会長に持たせて駐車場まで来い」とのメッセージが書かれたメモと、縮れ毛が入った袋が見つかります。

 その後、その1万円札が奪われた1億円の中の1枚であることが発覚。さらに武臣には、子に恵まれなかったため養子として迎え入れた、永久(ながひさ)という長男がいることが判明します。

 しかし永久は、輝が誕生した後は輝一郎から邪魔者扱いされてしまい、長らく引きこもり状態が続いているとのこと。時矢が彼の部屋に踏み入ったところ、パソコンの画面には「夏富永久は誘拐した」の文字が。また、1万円札と一緒に送られて来た縮れ毛は、永久のものであることが判明します。

 時矢は、通常の誘拐と真逆の順序で進行していることから、この事件を“超絶逆回転誘拐事件”と名づけ捜査を開始。家庭内での恵まれない立場からまずは永久の自演を疑い、実の父親が経営する工場を訪ねることにします。

 ところが工場はすでに潰れ、永久の実父は1カ月前に交通事故がもとで他界してしまったことが判明。永久の叔母にあたる女性から、その葬式の際、永久らしき青年ともう1人、少年の姿を見かけたと知らされ、時矢は輝も共犯なのではないかと疑います。

 その矢先、輝の誘拐事件が発生。時矢が夏富家に駆け付けた時にはすでに、輝一郎が身代金3億円を手に出発した後でした。しかし、武臣が機転を利かせ、アタッシェケースにGPS発信機を忍ばせていたため、時矢は急いで輝一郎の後を追います。

 そして辿り着いた先は夏富家の別荘地。そこで監禁されていた輝を救出したところ、“逆回転誘拐”は、家庭で居場所を失った永久の存在感を示すために共謀したことが判明。ところが、輝一郎の側近の茂木潤三(大浦龍宇一)が身代金を横取りしたというのです。その説明を受けている最中、発砲音が轟き、時矢は慌てて現場へ向かいます。

 するとそこには、輝一郎に猟銃を向け、今まさに3億円を奪い取ろうとする茂木の姿が。しかし、時矢の先輩刑事・福知市郎(寺島進)らが駆け付け、最後は智佳が茂木に強烈な回し蹴りを決めたところで一件落着となったのでした。

“超絶逆回転誘拐事件”というキャッチーなフレーズを用いた今回。特にミステリー好きの関心を引く効果は抜群だったのではないでしょうか。筆者も前回終了後に流れた予告動画を見て期待感が高まり、今回の途中までワクワクしながら見ていました。通常どおりの犯行でも困難な誘拐を真逆の順序で行うという、とんでもない手間をかけるぐらいですから、余程の動機があるのだろうなと。なんらかの必然性があっての犯行なのだろうなと予想したのです。

 ところが犯人たちの動機は、金の亡者の祖父・輝一郎に永久の存在を認めさせることにあり、そのためにわざと奇をてらった犯行に及んだと、輝の回想シーンで明らかになった途端、「はぁ?」と脱力してしまいました。その説明を受けて時矢は、“たしかに異常性があるから輝一郎の関心を引ける”みたいな感じで納得した様子を見せましたが、こちらとしてはかなり肩透かしをくらった感が否めません。

 おまけに、最後に漁夫の利を狙った茂木は、それまでほとんど画面に登場していなかったため、「誰だっけ、こいつ?」状態。大風呂敷を広げるだけ広げておいてキレイに畳めないガッカリな結末となってしまいました。

 初回は犯人探しに源氏物語を絡め、前回は密室モノ。本格ミステリー風の流れが続いていましたが、今回でバッサリ断ち切られたように感じました。時矢が“通常の誘拐事件”の順序を説明した際に挿入されたイラストの雰囲気などを含め、かつて同局放送で人気を博した『トリック』シリーズのようなB級サスペンス路線を狙っているようにも思えます。同作での仲間由紀恵&阿部寛のコンビ同様、沢村と滝本のボケとツッコミの関係性はおもしろいのですが、本格刑事モノを期待していただけに今回の路線変更はちょっと残念でした。

 次回は“透明人間の殺人犯”が登場とのことで、また荒唐無稽な話となってしまうのか、あるいは驚きのトリックを繰り出すことになるのか注目です。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』“超絶逆回転誘拐”の大風呂敷をキレイに畳めずガッカリな結末に……

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまった刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第3話が24日に放送され、平均視聴率11.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.4ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 今回、京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)が追うのは誘拐事件。といっても、普通の誘拐事件とは異なり、“逆回転”で展開します。

 事の発端は、ある夜、貴金属買取チェーンの会長・夏富輝一郎(竜雷太)の娘婿の武臣(佐伯新)が不審な電話を受け取ったところから。加工した声の主は、「身代金は受け取った。息子は解放する」とのメッセージを寄越してきたのですが、高校1年生の息子・輝(中島凱斗)は在宅だったため、武臣はいたずら電話とみなしてスルーしてしまいます。

 ところがその翌日、輝一郎が商談相手との取引のため、1億円が入ったアタッシェケースを搬送していたところ、何者かに強奪されてしまう事件が発生。そして、通報を受けた時矢と相棒の新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)が夏富家を訪ねたところ、郵便受けから1万円札ととともに、「現金1億円を夏富会長に持たせて駐車場まで来い」とのメッセージが書かれたメモと、縮れ毛が入った袋が見つかります。

 その後、その1万円札が奪われた1億円の中の1枚であることが発覚。さらに武臣には、子に恵まれなかったため養子として迎え入れた、永久(ながひさ)という長男がいることが判明します。

 しかし永久は、輝が誕生した後は輝一郎から邪魔者扱いされてしまい、長らく引きこもり状態が続いているとのこと。時矢が彼の部屋に踏み入ったところ、パソコンの画面には「夏富永久は誘拐した」の文字が。また、1万円札と一緒に送られて来た縮れ毛は、永久のものであることが判明します。

 時矢は、通常の誘拐と真逆の順序で進行していることから、この事件を“超絶逆回転誘拐事件”と名づけ捜査を開始。家庭内での恵まれない立場からまずは永久の自演を疑い、実の父親が経営する工場を訪ねることにします。

 ところが工場はすでに潰れ、永久の実父は1カ月前に交通事故がもとで他界してしまったことが判明。永久の叔母にあたる女性から、その葬式の際、永久らしき青年ともう1人、少年の姿を見かけたと知らされ、時矢は輝も共犯なのではないかと疑います。

 その矢先、輝の誘拐事件が発生。時矢が夏富家に駆け付けた時にはすでに、輝一郎が身代金3億円を手に出発した後でした。しかし、武臣が機転を利かせ、アタッシェケースにGPS発信機を忍ばせていたため、時矢は急いで輝一郎の後を追います。

 そして辿り着いた先は夏富家の別荘地。そこで監禁されていた輝を救出したところ、“逆回転誘拐”は、家庭で居場所を失った永久の存在感を示すために共謀したことが判明。ところが、輝一郎の側近の茂木潤三(大浦龍宇一)が身代金を横取りしたというのです。その説明を受けている最中、発砲音が轟き、時矢は慌てて現場へ向かいます。

 するとそこには、輝一郎に猟銃を向け、今まさに3億円を奪い取ろうとする茂木の姿が。しかし、時矢の先輩刑事・福知市郎(寺島進)らが駆け付け、最後は智佳が茂木に強烈な回し蹴りを決めたところで一件落着となったのでした。

“超絶逆回転誘拐事件”というキャッチーなフレーズを用いた今回。特にミステリー好きの関心を引く効果は抜群だったのではないでしょうか。筆者も前回終了後に流れた予告動画を見て期待感が高まり、今回の途中までワクワクしながら見ていました。通常どおりの犯行でも困難な誘拐を真逆の順序で行うという、とんでもない手間をかけるぐらいですから、余程の動機があるのだろうなと。なんらかの必然性があっての犯行なのだろうなと予想したのです。

 ところが犯人たちの動機は、金の亡者の祖父・輝一郎に永久の存在を認めさせることにあり、そのためにわざと奇をてらった犯行に及んだと、輝の回想シーンで明らかになった途端、「はぁ?」と脱力してしまいました。その説明を受けて時矢は、“たしかに異常性があるから輝一郎の関心を引ける”みたいな感じで納得した様子を見せましたが、こちらとしてはかなり肩透かしをくらった感が否めません。

 おまけに、最後に漁夫の利を狙った茂木は、それまでほとんど画面に登場していなかったため、「誰だっけ、こいつ?」状態。大風呂敷を広げるだけ広げておいてキレイに畳めないガッカリな結末となってしまいました。

 初回は犯人探しに源氏物語を絡め、前回は密室モノ。本格ミステリー風の流れが続いていましたが、今回でバッサリ断ち切られたように感じました。時矢が“通常の誘拐事件”の順序を説明した際に挿入されたイラストの雰囲気などを含め、かつて同局放送で人気を博した『トリック』シリーズのようなB級サスペンス路線を狙っているようにも思えます。同作での仲間由紀恵&阿部寛のコンビ同様、沢村と滝本のボケとツッコミの関係性はおもしろいのですが、本格刑事モノを期待していただけに今回の路線変更はちょっと残念でした。

 次回は“透明人間の殺人犯”が登場とのことで、また荒唐無稽な話となってしまうのか、あるいは驚きのトリックを繰り出すことになるのか注目です。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』視聴率急落! 沢村一樹、絶妙な演じ分けも“記憶喪失の設定”を活かしきれず……

 沢村一樹が主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第2話が17日に放送され、平均視聴率10.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から4.2ポイントの大幅ダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、ビル屋上からの落下事故がもとで刑事生活20年分の記憶を失ってしまった京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)。今回は、7年前に自身が逮捕した建築士の芹野泰夫(中村靖日)が仮釈放され、再審請求の準備をしていると知り、新人刑事の佐相智佳(瀧本美織)とともに再調査に乗り出します。

 7年前の事件とは、芹野がリフォームの相談に訪れた直後、ファイナンス会社社長・逢沢省三(剣持直明)が自身の別荘の階段から転落死したというもの。ドアや窓はすべて施錠され、勝手口のドアだけはノブのボタンをプッシュしながら外に出ればカギがかかるタイプのものではあったけれど、そのすぐ近くの別荘に住む出版社社長・円城明日香(いしのようこ)が当時、犯人を目撃していないと捜査時に証言したため、いわゆる密室状態だったのです。

 しかし、それならばなぜ芹野が逮捕されることになったのか。さらに、時矢の元妻で、芹野の弁護人を務めた奥畑記子(財前直見)によれば、芹野は7年前は控訴を拒んだということで、裏に何か隠された事実があるのではないかと時矢は推測します。

 そして円城のもとを訪れたところ、実は事件当時、勝手口から出てくる芹野を目撃したものの、口外したら殺すと脅されたために捜査の段階では偽証したことが判明。ところがそれを見抜いた時矢によって出廷直前に説得されたため、公判では証言を撤回し、芹野が逮捕に至ったということが発覚します。

 ではなぜ、芹野は7年前に控訴しなかったのか。時矢はまず、円城の身元を調査し直します。その結果、出版社が倒産寸前であったことや、7年前に夫・公昭が失踪し、その死が認められて保険金1億円がもうすぐおりるタイミングであることなどが発覚。また、逢沢が脱税して別荘に隠していた1億円が何者かに盗まれたことも判明します。

 そんな折、仮釈放されたばかりの芹野が失踪。時矢は智佳を引き連れて円城の別荘へ向かいます。するとそこには、壁の中に隠した公昭の遺体を掘りだそうとする芹野と、それを見守る円城の姿があるのです。

 実は2人は共犯者で、早急に経営資金が必要になった円城が芹野を焚きつけ、公昭殺しを命令。睡眠薬で眠らせた公昭を首つり自殺に見せかけようとしたものの途中で目覚めてしまい、円城が慌てて撲殺してしまったのです。

 その後、逢沢の別荘から1億円を盗み出してくるよう円城に命じられた芹野は、犯行が見つかったために逢沢を階段から突き落としてしまい、とっさに密室工作をしたのでした。

 ところが出廷直前、時矢から偽証することを止められた円城は、公昭殺しもいずれ見抜かれてしまうのではないか、そうなれば自身も逮捕され、2件の殺人に絡んだ芹野は死刑が確定してしまうのではないかと恐れ、ギリギリになって証言を覆したのです。そして円城の意図を組み、芹野は控訴しなかったというわけだったのです。7年前の事件を、“アフター・時矢”が無事に決着させたところで今回は終了となりました。

 今回のように、ただ1つの逃走ルートに第3者がいたという密室事件の場合、その人物が共犯者かあるいは弱みを握られていたであろうことは容易に想像がつきます。それをどうにか奥行きのあるミステリーに仕立てようとしたのでしょうけれど、円城と芹野の関係性や事件時の状況をこねくり回した結果、糸がもつれあいすぎてワケがわからない状態となってしまった印象を受けました。

 そもそも早急に1億円を欲していた円城が、自殺に見せかけて夫を殺そうとするのが理解できません。確実に疑われますし、睡眠薬なんか飲ませている時点で計画がずさんすぎます。また、芹野のことを本当に愛していたのか、あるいは夫殺しのために利用していただけなのか、イマイチはっきりしませんでした。

 そのため、芹野が死刑になることを回避しようと、ギリギリで証言を撤回したというくだりがどうにも腑に落ちませんでした。そんな彼女の意図を察して芹野が控訴をしなかったという心理も、2人の結びつきの強さが見えないだけに説得性に欠けました。また、公昭の遺体をなぜ掘り起こそうとしたのかも意味不明でした。

 記憶を失ったことで刑事としてまっさらな状態になった時矢が、事件発生当時の捜査メモをバトンリレーのようにして過去の謎を追う。しかも、それが冤罪だったかもしれないというキャッチーな設定だったのですが、それを活かしきれていなかったのが残念であり、もったいなく感じました。

 ただ、記憶を失う前のスマートさと、現在のうだつのあがらない時矢を絶妙に演じ分けている沢村の演技力の高さには脱帽でした。あまりに違いすぎるので、記憶を失ったことを同僚たちが怪しまないのが不思議なくらいです。というより、記憶を失うと性格まで変わるものなんですかね? 

 前回のレビューでも触れましたが、時矢の言動はまるで子どものようであり、それを注意する智佳のツッコミは我が子を叱る母親のようでもあります。夫婦ならぬ親子漫才のようなコミカルな関係性は魅力的なので、これに事件解決の面白みがプラスされれば視聴率は取り戻せるのではないでしょうか。次回は“逆回転誘拐”という、なんだかトリッキーな事件を追うとのことで楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』視聴率急落! 沢村一樹、絶妙な演じ分けも“記憶喪失の設定”を活かしきれず……

 沢村一樹が主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第2話が17日に放送され、平均視聴率10.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から4.2ポイントの大幅ダウンとなってしまいました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、ビル屋上からの落下事故がもとで刑事生活20年分の記憶を失ってしまった京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)。今回は、7年前に自身が逮捕した建築士の芹野泰夫(中村靖日)が仮釈放され、再審請求の準備をしていると知り、新人刑事の佐相智佳(瀧本美織)とともに再調査に乗り出します。

 7年前の事件とは、芹野がリフォームの相談に訪れた直後、ファイナンス会社社長・逢沢省三(剣持直明)が自身の別荘の階段から転落死したというもの。ドアや窓はすべて施錠され、勝手口のドアだけはノブのボタンをプッシュしながら外に出ればカギがかかるタイプのものではあったけれど、そのすぐ近くの別荘に住む出版社社長・円城明日香(いしのようこ)が当時、犯人を目撃していないと捜査時に証言したため、いわゆる密室状態だったのです。

 しかし、それならばなぜ芹野が逮捕されることになったのか。さらに、時矢の元妻で、芹野の弁護人を務めた奥畑記子(財前直見)によれば、芹野は7年前は控訴を拒んだということで、裏に何か隠された事実があるのではないかと時矢は推測します。

 そして円城のもとを訪れたところ、実は事件当時、勝手口から出てくる芹野を目撃したものの、口外したら殺すと脅されたために捜査の段階では偽証したことが判明。ところがそれを見抜いた時矢によって出廷直前に説得されたため、公判では証言を撤回し、芹野が逮捕に至ったということが発覚します。

 ではなぜ、芹野は7年前に控訴しなかったのか。時矢はまず、円城の身元を調査し直します。その結果、出版社が倒産寸前であったことや、7年前に夫・公昭が失踪し、その死が認められて保険金1億円がもうすぐおりるタイミングであることなどが発覚。また、逢沢が脱税して別荘に隠していた1億円が何者かに盗まれたことも判明します。

 そんな折、仮釈放されたばかりの芹野が失踪。時矢は智佳を引き連れて円城の別荘へ向かいます。するとそこには、壁の中に隠した公昭の遺体を掘りだそうとする芹野と、それを見守る円城の姿があるのです。

 実は2人は共犯者で、早急に経営資金が必要になった円城が芹野を焚きつけ、公昭殺しを命令。睡眠薬で眠らせた公昭を首つり自殺に見せかけようとしたものの途中で目覚めてしまい、円城が慌てて撲殺してしまったのです。

 その後、逢沢の別荘から1億円を盗み出してくるよう円城に命じられた芹野は、犯行が見つかったために逢沢を階段から突き落としてしまい、とっさに密室工作をしたのでした。

 ところが出廷直前、時矢から偽証することを止められた円城は、公昭殺しもいずれ見抜かれてしまうのではないか、そうなれば自身も逮捕され、2件の殺人に絡んだ芹野は死刑が確定してしまうのではないかと恐れ、ギリギリになって証言を覆したのです。そして円城の意図を組み、芹野は控訴しなかったというわけだったのです。7年前の事件を、“アフター・時矢”が無事に決着させたところで今回は終了となりました。

 今回のように、ただ1つの逃走ルートに第3者がいたという密室事件の場合、その人物が共犯者かあるいは弱みを握られていたであろうことは容易に想像がつきます。それをどうにか奥行きのあるミステリーに仕立てようとしたのでしょうけれど、円城と芹野の関係性や事件時の状況をこねくり回した結果、糸がもつれあいすぎてワケがわからない状態となってしまった印象を受けました。

 そもそも早急に1億円を欲していた円城が、自殺に見せかけて夫を殺そうとするのが理解できません。確実に疑われますし、睡眠薬なんか飲ませている時点で計画がずさんすぎます。また、芹野のことを本当に愛していたのか、あるいは夫殺しのために利用していただけなのか、イマイチはっきりしませんでした。

 そのため、芹野が死刑になることを回避しようと、ギリギリで証言を撤回したというくだりがどうにも腑に落ちませんでした。そんな彼女の意図を察して芹野が控訴をしなかったという心理も、2人の結びつきの強さが見えないだけに説得性に欠けました。また、公昭の遺体をなぜ掘り起こそうとしたのかも意味不明でした。

 記憶を失ったことで刑事としてまっさらな状態になった時矢が、事件発生当時の捜査メモをバトンリレーのようにして過去の謎を追う。しかも、それが冤罪だったかもしれないというキャッチーな設定だったのですが、それを活かしきれていなかったのが残念であり、もったいなく感じました。

 ただ、記憶を失う前のスマートさと、現在のうだつのあがらない時矢を絶妙に演じ分けている沢村の演技力の高さには脱帽でした。あまりに違いすぎるので、記憶を失ったことを同僚たちが怪しまないのが不思議なくらいです。というより、記憶を失うと性格まで変わるものなんですかね? 

 前回のレビューでも触れましたが、時矢の言動はまるで子どものようであり、それを注意する智佳のツッコミは我が子を叱る母親のようでもあります。夫婦ならぬ親子漫才のようなコミカルな関係性は魅力的なので、これに事件解決の面白みがプラスされれば視聴率は取り戻せるのではないでしょうか。次回は“逆回転誘拐”という、なんだかトリッキーな事件を追うとのことで楽しみに待ちたいと思います。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』は、まるで逆『名探偵コナン』? 沢村一樹&瀧本美織の“新人刑事”コンビが魅力的

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまう刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第1話が10日、2時間の拡大版で放送され、平均視聴率14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進しました。

 京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)は、“京都府警に時矢あり”といわれるほどの逸材。しかし、連続殺人犯の能見冬馬(高橋光臣)を追跡中、ビルの屋上から貯水プールに落下し、刑事生活20年分の記憶をごっそり失ってしまいます。

 そんな折、見舞いにやって来た元相棒の福知市郎(寺島進)から、新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)の教育係を託されることに。刑事職を解かれることを恐れた時矢は、記憶喪失になったことを隠し、佐相と共に女性府議会議員・椎名蒼が刺殺された事件を追うことになります。

 その蒼が殺された現場では、あみだくじの一部分を切り取ったような奇妙な記号が書かれた紙が見つかるのですが、その直後に発生したフリーライター・今宮賢の殺害事件では、遺体そのものが同じような記号に見えるように、公園の鉄棒に粘着テープで吊るされた状態で発見。時矢は、そのテープと蒼の殺害現場に落ちていた紙から同じニオイがすることに気づきます。

 その後、今宮の父親・隆二(大澄賢也)と継母のもとを訪れた時矢は、応接室に置いてある香炉(香木を入れる器)が妙に気になり、直感を信じて香木の販売店へ足を運ぶことに。するとその店の主人から、殺人現場に残されていた奇妙な記号が、源氏香(5種の香を各5包ずつ計25包作り、任意に取り出した5包のニオイを嗅ぎ分ける組香の一種)で用いる香の図であることを指摘されます。この香の図には、源氏物語54帖のうち最初と最後の帖以外の巻名ひとつひとつが附されているというのです。

 さらに以前、蒼と今泉夫妻、小説家の鳴島恭三(小林稔侍)とその妻・桜子(富田靖子)が、同じお香のサークルに通っていたことが発覚。また、桜子のもとを訪れた時矢は、息子・芳孝(百瀬朔)が初めて書いた小説を恭三に焼かれてしまたっため、逆上して家出してしまったことを知るのでした。

 捜査を進めていくと、芳孝は隆二が桜子を襲った際にできた子であることや、その背景には、『郭公の庭』という小説を書くためだけに、恭三が自分の妻を隆二に襲うよう命じたこと、議員になる前に産婦人科医をしていた蒼が芳孝の出産を担当したことや、それらの事実をネタに賢が金を脅し取ろうとしていたことなどが判明します。

 蒼と賢の殺害現場に残された香の図がそれぞれ、源氏物語中で“不義の子”をテーマにした話であることから、時矢は一連の事件を芳孝の犯行による見立て殺人だと推測。そんな中、隆二がワイヤーで首を吊られ殺される第3の事件が発生してしまいます。

 芳孝を逮捕するべく、時矢は捜査に夢中になるのですが、ふとしたきっかけで記憶喪失したことが佐相にバレてしまいます。しかし、今回が刑事生活最後の事件ということで見逃してもらい、捜査を続行することに。そんな中、桜子が神社の階段で何者かに突き落とされる事件が発生します。

 ところがこれは桜子の狂言だったのです。桜子は、隆二を殺害した際に傷を負って死んでしまった芳孝の遺志を継ぎ、第5の事件を計画。かつて家族3人で暮らした家もろとも焼死すべく、恭三をスタンガンで気絶させて部屋中にガソリンを撒き散らすという凶行に及んだのです。

 そこへ駆けつけた時矢は、「人間は2度死ぬ」として、1度目は肉体が滅びる時、2度目は生きている人たちの記憶から忘却される時だと話し、息子の記憶をこの世に留めるためにも生き続けるべきだと説得。桜子がこれを聞き入れたことで事件解決となりました。

 その後、約束通り退職届を用意した時矢。しかし佐相は、今回の活躍から“新・時矢”も刑事として必要な素養を備えていることを認め、記憶喪失したことは誰にも漏らさないと約束。“旧・時矢”の捜査データを網羅していることから、彼の「取扱説明書」として支えていくことを表明したところで終了となりました。

 ベテラン刑事が20年間の記憶を失くすというトリッキーな設定や、沢口靖子・主演の人気シリーズ『科捜研の女』の“谷間”に差し込まれるカタチでの放送ということで、箸休め的な作品かと侮っていましたが、開始早々からかなり惹きこまれるものがありました。

 正直、源氏物語を見立てに用いた設定は複雑すぎるため映像作品には不向きで、被害者たちの関係性もごちゃごちゃしていてミステリー的には少し難ありかなぁ、という部分はありました。

 しかしそれを補って余りあるぐらい時矢が魅力的でした。記憶を失ったことで内面が20年前、つまり31歳の時に戻ってしまったという設定なのですが、今宮夫妻のもとを訪れた際には、妻と顧問弁護士との関係が怪しいと見て、「おふたり、デキてます?」と直球で訊いてしまうなど、その言動はまるで子どものよう。アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングでの名セリフ「見た目は子ども、頭脳は大人」の真逆のようなキャラクターなのです。

 それでいて、捜査に必要な観察力や記憶力、優れた五感、調査力、信念みたいなものは残っているんですね。証拠品が見つかれば夢中になって調べ、直感が働けば即座に行動する姿は、大人少年探偵とでもいうようなコミカルな雰囲気が漂っていました。

 そしてその時矢を支える佐相役を滝本が好演。佐相は庶務係に在籍時、たまたま目にした時矢の姿に憧れ、彼が関わった事件データすべてを記憶したという熱烈な信奉者なんですね。

 だからこそ、時矢とのバディが決まり張り切るわけですが、その活き活きとした様子を滝本が実直に演じていました。また、傍目からはベテラン刑事と新人なのですが、視聴者からすれば新人同士のコンビ、という設定も観ていてユニークでした。佐相は、他の先輩刑事と組んでいれば恐らく、「お前は引っ込んでろ」と言われかねないほど積極的すぎる面があるのですが、実はぺーぺーの時矢と組むからこそ持ち味を活かせているのだろうな、と思います。

 その佐相いわく、時矢は以前は理論派、記憶を失ってからは直感派になったということですが、次回は7年前に関わった事件に再び挑むということで、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。敏腕刑事時代の粗を自ら掘り起こしていくことになってしまうのですかね。
(文=大羽鴨乃)

『刑事ゼロ』は、まるで逆『名探偵コナン』? 沢村一樹&瀧本美織の“新人刑事”コンビが魅力的

 沢村一樹が20年分の記憶を失ってしまう刑事役で主演を務めるドラマ『刑事ゼロ』(テレビ朝日系)の第1話が10日、2時間の拡大版で放送され、平均視聴率14.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進しました。

 京都府警捜査一課刑事の時矢暦彦(沢村)は、“京都府警に時矢あり”といわれるほどの逸材。しかし、連続殺人犯の能見冬馬(高橋光臣)を追跡中、ビルの屋上から貯水プールに落下し、刑事生活20年分の記憶をごっそり失ってしまいます。

 そんな折、見舞いにやって来た元相棒の福知市郎(寺島進)から、新人刑事・佐相智佳(瀧本美織)の教育係を託されることに。刑事職を解かれることを恐れた時矢は、記憶喪失になったことを隠し、佐相と共に女性府議会議員・椎名蒼が刺殺された事件を追うことになります。

 その蒼が殺された現場では、あみだくじの一部分を切り取ったような奇妙な記号が書かれた紙が見つかるのですが、その直後に発生したフリーライター・今宮賢の殺害事件では、遺体そのものが同じような記号に見えるように、公園の鉄棒に粘着テープで吊るされた状態で発見。時矢は、そのテープと蒼の殺害現場に落ちていた紙から同じニオイがすることに気づきます。

 その後、今宮の父親・隆二(大澄賢也)と継母のもとを訪れた時矢は、応接室に置いてある香炉(香木を入れる器)が妙に気になり、直感を信じて香木の販売店へ足を運ぶことに。するとその店の主人から、殺人現場に残されていた奇妙な記号が、源氏香(5種の香を各5包ずつ計25包作り、任意に取り出した5包のニオイを嗅ぎ分ける組香の一種)で用いる香の図であることを指摘されます。この香の図には、源氏物語54帖のうち最初と最後の帖以外の巻名ひとつひとつが附されているというのです。

 さらに以前、蒼と今泉夫妻、小説家の鳴島恭三(小林稔侍)とその妻・桜子(富田靖子)が、同じお香のサークルに通っていたことが発覚。また、桜子のもとを訪れた時矢は、息子・芳孝(百瀬朔)が初めて書いた小説を恭三に焼かれてしまたっため、逆上して家出してしまったことを知るのでした。

 捜査を進めていくと、芳孝は隆二が桜子を襲った際にできた子であることや、その背景には、『郭公の庭』という小説を書くためだけに、恭三が自分の妻を隆二に襲うよう命じたこと、議員になる前に産婦人科医をしていた蒼が芳孝の出産を担当したことや、それらの事実をネタに賢が金を脅し取ろうとしていたことなどが判明します。

 蒼と賢の殺害現場に残された香の図がそれぞれ、源氏物語中で“不義の子”をテーマにした話であることから、時矢は一連の事件を芳孝の犯行による見立て殺人だと推測。そんな中、隆二がワイヤーで首を吊られ殺される第3の事件が発生してしまいます。

 芳孝を逮捕するべく、時矢は捜査に夢中になるのですが、ふとしたきっかけで記憶喪失したことが佐相にバレてしまいます。しかし、今回が刑事生活最後の事件ということで見逃してもらい、捜査を続行することに。そんな中、桜子が神社の階段で何者かに突き落とされる事件が発生します。

 ところがこれは桜子の狂言だったのです。桜子は、隆二を殺害した際に傷を負って死んでしまった芳孝の遺志を継ぎ、第5の事件を計画。かつて家族3人で暮らした家もろとも焼死すべく、恭三をスタンガンで気絶させて部屋中にガソリンを撒き散らすという凶行に及んだのです。

 そこへ駆けつけた時矢は、「人間は2度死ぬ」として、1度目は肉体が滅びる時、2度目は生きている人たちの記憶から忘却される時だと話し、息子の記憶をこの世に留めるためにも生き続けるべきだと説得。桜子がこれを聞き入れたことで事件解決となりました。

 その後、約束通り退職届を用意した時矢。しかし佐相は、今回の活躍から“新・時矢”も刑事として必要な素養を備えていることを認め、記憶喪失したことは誰にも漏らさないと約束。“旧・時矢”の捜査データを網羅していることから、彼の「取扱説明書」として支えていくことを表明したところで終了となりました。

 ベテラン刑事が20年間の記憶を失くすというトリッキーな設定や、沢口靖子・主演の人気シリーズ『科捜研の女』の“谷間”に差し込まれるカタチでの放送ということで、箸休め的な作品かと侮っていましたが、開始早々からかなり惹きこまれるものがありました。

 正直、源氏物語を見立てに用いた設定は複雑すぎるため映像作品には不向きで、被害者たちの関係性もごちゃごちゃしていてミステリー的には少し難ありかなぁ、という部分はありました。

 しかしそれを補って余りあるぐらい時矢が魅力的でした。記憶を失ったことで内面が20年前、つまり31歳の時に戻ってしまったという設定なのですが、今宮夫妻のもとを訪れた際には、妻と顧問弁護士との関係が怪しいと見て、「おふたり、デキてます?」と直球で訊いてしまうなど、その言動はまるで子どものよう。アニメ『名探偵コナン』(日本テレビ系)のオープニングでの名セリフ「見た目は子ども、頭脳は大人」の真逆のようなキャラクターなのです。

 それでいて、捜査に必要な観察力や記憶力、優れた五感、調査力、信念みたいなものは残っているんですね。証拠品が見つかれば夢中になって調べ、直感が働けば即座に行動する姿は、大人少年探偵とでもいうようなコミカルな雰囲気が漂っていました。

 そしてその時矢を支える佐相役を滝本が好演。佐相は庶務係に在籍時、たまたま目にした時矢の姿に憧れ、彼が関わった事件データすべてを記憶したという熱烈な信奉者なんですね。

 だからこそ、時矢とのバディが決まり張り切るわけですが、その活き活きとした様子を滝本が実直に演じていました。また、傍目からはベテラン刑事と新人なのですが、視聴者からすれば新人同士のコンビ、という設定も観ていてユニークでした。佐相は、他の先輩刑事と組んでいれば恐らく、「お前は引っ込んでろ」と言われかねないほど積極的すぎる面があるのですが、実はぺーぺーの時矢と組むからこそ持ち味を活かせているのだろうな、と思います。

 その佐相いわく、時矢は以前は理論派、記憶を失ってからは直感派になったということですが、次回は7年前に関わった事件に再び挑むということで、どんな展開が待ち受けているのか楽しみです。敏腕刑事時代の粗を自ら掘り起こしていくことになってしまうのですかね。
(文=大羽鴨乃)

フジテレビ月9『絶対零度』視聴率2ケタ復帰も肝心の“ミハン”が無能すぎ!?

 フジテレビ月9には、まるで似合わないハードな刑事サスペンスが繰り広げられているドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』も第3話。視聴率は10.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と2ケタ復帰、初回超えと好調のようです。

 さて、このドラマは国民のあらゆる個人情報を網羅する巨大AI「未然犯罪捜査システム(通称“ミハン”)」が主に殺人を犯す可能性が高い危険人物を割り出し、その情報をもとにミハンチームが捜査を行うことで犯罪を未然に防ぐ、という設定の物語でした。その設定が第3話にして早くも曖昧になってきたあたりから、振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

 

■もっとがんばれミハン!

 今回、ミハンが提示した人物は、若槻真帆(柴田杏花)という二十歳の女子大生。なんでも1年前に自殺未遂をして、それ以来、昏睡状態だそうです。昏睡状態なので、主に殺人を犯す可能性はゼロです。ゼロですが、真帆ちゃんのスマホから大学のテニサーのSNSに「復讐してやる」という脅迫メッセが入ったことと、同じスマホから大量の医療用ニトログリセリンが注文されていたことからピックアップされたようです。どうやら今回ミハンが彼女を割り出した根拠は、スマホの通信記録だけ。AIじゃなくてauでも割り出せそうな感じです。

 ともあれ、井沢警部補(沢村一樹)を中心としたミハンチームは、AIが「殺人を犯す可能性がゼロ」な人物を割り出したことを「システムエラーの可能性も?」とか軽く訝しがりつつ、真帆ちゃん周辺を洗い始めます。

 すると、謎の解明につながる重大な映像が出てきました。真帆ちゃんのスマホから注文されたという大量のニトロを、コンビニで受け取っている男が映った防犯カメラの映像が存在したのです。これは決定的! ミハンは日本中の防犯カメラの映像を持っていますので、この受け取り時間前後の周辺地域のカメラ映像を洗い出しつつ、大量のニトロをスマホで注文したというくらいだから、それなりの金額がオンライン上で動いているはずですし、何しろ国民のあらゆる個人情報を網羅するミハンですから、こんなアシの付きやすい方法でブツを受け取った人物を特定するのは、超カンタンなはず!

 と思ったら、ミハンは何もしません。結果、「男がパーカーのフードをかぶっていたので誰だかわからない」という結論をもって、謎は先延ばしにされました。テレ朝「木8」あたりの刑事だったら、この映像だけあればミハンなしでも身元を割りそうなものですが、このあたりが月9クオリティということなのでしょうか。

 で、なんだかんだあって、犯人像を2~3人くらいに手際よくミスリードしつつ、井沢警部補や同僚の小田切ちゃん(本田翼)らのトラウマをエッセンスとしながら真実に至ります。最後は前回同様、“ミハン”によって未然に犯罪の実行が防がれたために裁かれることのなかった極悪人(今回は佐野岳)が何者かによって暗殺され、次回へ。

 ミハンチームは犯罪を未然に防ぐことを目的に結成されましたが、その構成メンバーには、犯罪者に強い憎しみを抱く者だけが集められたそうです。井沢警部補は過去に妻子を惨殺された経験があり、小田切ちゃんも強姦被害者、そしてボスである東堂さん(伊藤淳史)も、25年前に起きた無差別殺傷事件に深いトラウマがありそう。未然に犯罪を防ぐためのチームに、なぜ犯罪被害者や犯罪遺族ばかりが集められたのか、そのあたりも次回以降に残された謎になっています。

■このドラマ、怖いよ

 前回のレビューでも書きましたが、このドラマはほとんどプロットだけで進行します。事件関係者は実に効率的に配置され、適切な順序とテンポで情報が開示されます。1・2話と今回の第3話では脚本家さんが変わっていますが、印象は同じです。シナリオを作る上で、方向性や手法について強力なディレクションが効いていることが伝わってきます。無駄なお肉は削ぎ落すだけ削ぎ落とされ、すごくよくできた、飽きさせない作りになっています。

 その反面、画面に登場する彼らが「誰」なのか、という描写は省略され、人物像については視聴者側が持つステレオタイプなイメージに依存することになりました。

 ヨレヨレのTシャツを着て、しつこく電話してくる引きこもり大学生。カフェ経営もしてる私学テニサーのイケメンリーダー。めっちゃいい人そうな病院のリハビリ担当。それぞれに「実は○○だった」という真相が用意されているわけですが、もともと提示された表側が極めて記号的なので、その真相が明らかになっても、「記号の裏」にしかなり得ない。記号の裏はどうあれ記号なので、人物固有の事情が浮き上がってこないのです。

 そのわりに、このドラマで扱われる感情は極めてシリアスで、重く、痛いものです。家族を殺されたとか、レイプされたとか、娘が自殺未遂したとか、昏睡状態のケガレなき美少女と心中したくてたまらないとか、そういう激しい痛みが“記号的な人物”に乗っかって“計算されたタイミング”で提示されてくる。これが、なんだか、すごく怖いんです。作り手側が、彼らの痛みに共感してる感じがしない。痛みの感情が、剥き出しのまま投げつけられている感じというか。最初からずっと言い続けてますが、よくできてるけど、楽しくないんです、『絶対零度』。

 でも、こういうスピード重視の作劇じゃないと、視聴者はついてこないのかもしれないですねー。視聴率は上がってるしね。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

早くも視聴率1ケタのフジテレビ月9『絶対零度』よくできてるのに「楽しくない」ワケは……?

「未然犯罪捜査システム(通称“ミハン”)」なる巨大AIが弾き出す“殺人予備軍”の情報を元に、まだ犯罪を犯していない人を対象に違法捜査しまくるドラマ『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』(フジテレビ系)。16日に放送された第2話の視聴率は9.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、早くも2ケタを割ってしまいました。

 月9らしからぬハード路線の刑事モノであり、主演も月9らしからぬベテラン俳優・沢村一樹。前シリーズまで主役を張っていた上戸彩はほとんど出てきませんが、女優らしからぬ棒演技がすっかり板についてきた本田翼と、ジャニーズらしからぬ地味な顔面の横山裕が今週も華を添えます。とりあえず振り返りましょう。

(前回までのレビューはこちらから)

■事件はサクサク進む

 今回、ミハンによってリストアップされたのは、藤井早紀(黒谷友香)さん。有名創作料理店「八節」の料理長として腕を振るいつつ、最近はやりになっている「子供食堂」の運営に13年も前から関わっているという43歳の善良そうな美人です。

 そんな美人な藤井さんですが、最近、西アフリカ原産の植物から抽出されるという猛毒を入手していたこと、天涯孤独なのに弁護士に遺言状の作成を依頼していることなどから、ミハンのリストに載ったようです。

「自分の命をなげうってでも、誰かを殺したい」

 誰にともなく、ミハンチームのリーダー・井沢警部補(沢村)がつぶやき、捜査が開始されます。

 料理人見習いとして「八節」に潜入した小田切(本田)が店に、山内くん(横山)ほか1名が藤井さんの自宅に不法侵入して盗撮カメラを仕込むと、どうやら藤井さんと一緒に子供食堂で働いていた女子高生・元宮七海(多田成美)が、かつて発生した連続殺人事件の被害者だったことがわかります。少年だった犯人は8年の刑期を終えて出所している。藤井さんは興信所を使って犯人・津田(笠松将)の居場所を割り出しました。どうやら津田への復讐が藤井さんの目的のようだ、とミハンチームは目星を付けます。

 その後、サクサクと事態は進展し、津田が七海ちゃん殺しの犯人ではなかったこと、藤井さんは七海ちゃんの実の母親だったこと、七海ちゃんは山菜採りの途中で害獣駆除に入った猟友会の男性・小松原忠司(中丸新将)に誤射されていたこと。小松原は当時の最高裁長官で、たまたま猟銃を使って女子高生を2人殺していた津田に罪をかぶせたことなどが明らかになっていきます。本当にサクサクです。プロットだけのダイジェストを見せられているよう。

 藤井さんは、小松原の来店時を狙って毒殺しようと思っていました。ところが、来店の予約がキャンセルされると、包丁を持って小松原の元に。政治家転身に向けて街頭演説をしている小松原を刺そうとしたところで、井沢たちによって確保されました。

 かくして、藤井さんは復讐を果たせず。藤井さんの実娘を殺した小松原は、のうのうと生き続けることになります。井沢警部補も、こればっかりは仕方ないと「お天道様は見てるよー」的な感じのことを言ってますが、次のシーンで小松原は何者かに突き飛ばされ、調整中のエレベーターの竪穴に落下して死亡。そんなころ、ミハンは井沢警部補を危険人物としてリストアップしていたのでした……。

■この“楽しくなさ”はなんなのか

 事件そのものは、目新しさこそないものの、ちゃんと作られているので安心感はあります。また、井沢警部補が“ヤベー奴っぽい”ことは前回から幾度となく示唆されていましたが、2話目で早くも「殺っちまったか?」的なシーンが出てきたのは意外でした。上戸彩演じる特殊班捜査員・桜木泉はベトナムで死んだことになってますが、たぶん死んでないしょう。1話完結の形を取りながら、伏線と謎が超たっぷり残っているので、3話目以降への引きになっています。

 これ、何が待ってるのかなーとは思うんですが、あんまり楽しみな感じがしないんですよねえ。というか、正直このドラマ、見てて全然楽しくないんです。よくできてるし、無理やり粗探しをしてもツッコミどころがあるわけじゃない。でも、楽しくない。

 2話目まで見て、ひとつ印象的な状態だなぁと感じるのが、「ザ・棒」として名高い本田翼と横山裕のお芝居が、全然ひどくなく感じるんです。キャリアを積んで上手くなってるということも万が一にはあるんでしょうけど、それよりも各人が脚本から要求されている芝居の難度が低いというか、表現するべき情報の量が少ない感じがするんです。

 それは、この2人だけじゃなくて、例えば今回のゲストである黒谷友香が、女子高生・七海ちゃんが殺されたことについて、警察に「悔やんでも悔やみきれない」と語るシーンがあります。自分が料理を教えたことで、彼女は山菜採りに山へ入り、そこで誤射された。悔やんでも、悔やみきれない……!

 実際には“面倒を見ていた子のうちの一人が殺された(最初に視聴者に提供された情報)”のではなく“実の娘が殺された(後に明らかになる事実)”わけですが、このときの黒谷のテンションが全然そんな感じに見えない。このシークエンスに(悪い意味で)違和感がないので、見ている側も、後の「実の娘でした」が単なる段取りとしてしか頭に入ってこないんです。

 最後の小松原を刺しに行くくだりもそうで、西アフリカから毒を輸入して遺言書を用意して……という周到さと、直情的に公衆の面前で刺しに行ってしまうヤバさの間には大きな隔たりがあってしかるべきなのに、そのヤバさを表現するくだりが入っていないので、「復讐は何も生まねぇ……! 止めてやってくれぃ……!」っていう気持ちになれない。

 要するに、あくまで印象ですけど、『絶対零度』にはプロットを積み重ねた箱と表面的なセリフ回しだけがあって、人物のディテールがないんです。カッチリとした段取りだけがあって、中身がない。与えられる情報に温度や熱量がない。人や物語に血が通ってる感じがしない。だから楽しくない。

 2話まで見て受けたそういう印象が、今後どう変わっていくのか、あるいはそういう印象の原因がもっとはっきり見えてくるのか、という興味でもって、来週からも見守りたいと思います。はい。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

フジテレビ月9『絶対零度』10.6%好発進も、米ドラマ“丸パクリ”の弊害が……

 さて、今期もフジテレビ系で月9ドラマが始まりました。沢村一樹主演の『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』の初回視聴率は10.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と、同枠としては1年ぶりの2ケタスタートです。おめでとうございます。

「沢村一樹主演の月9」という日本語もあまりピンときませんが、明らかに前シリーズまで主役を張っていた上戸彩をブッキングし損ねたということなのでしょう。逆に最初から「上戸など要らぬ! 沢村1本で勝つる!!」とフジテレビが判断していたとするなら、なかなかのクルクルパーです。

 また、ネット上には米ドラマ『PERSON of INTEREST 犯罪予知ユニット』のパクリじゃねーかよ、という声もあるようですが、そもそも2010年に放送されたシリーズ1作目の『絶対零度~未解決事件特命捜査~』のときは「『Cold Case 迷宮事件簿』じゃねーか!」といわれてましたし、翌年のシリーズ2作目『絶対零度~特殊犯罪潜入捜査~』は「『NCIS:LA 〜極秘潜入捜査班』じゃねーか!」だったので、まあこれはそういうシリーズとして楽しみたいと思います。では、振り返りです。

 

■事件は凡庸でした

 前作で上戸彩ちゃん演じる桜木泉とバディを組んでいた山内くん(横山裕)は、なんやかんやで資料課分室という窓際部署に配属されました。しかし、この資料課分室というのは、実は世を忍ぶ仮の姿。その実態は、膨大な国民の行動データから殺人などの重犯罪を犯す可能性が高い人物を弾き出す巨大AI「未然犯罪捜査システム=ミハンシステム」の実用化を目指すプロジェクトだったのです。

 山内くんは「違法捜査じゃないか!」とご立腹ですが、公安外事課からやってきた井沢警部補(沢村)や、ドS美女・小田切(本田翼)をはじめとする面々は、「あくまで実験中だから」と聞く耳を持ちません。

 そんなある日、「ミハン」は富樫(武井壮)という男を危険人物として提示します。どうやら「ミハン」によれば、富樫が近々、人を殺すのだそうです。しかし、さっそくみんなで富樫の事務所を訪れてみると、すでに何者かによって殺害されていました。「ミハン」の予測が外れたのは初めてのことですが、まだミハンによる捜査自体4例目とかなので、驚くべきことではありません。

 どうやら井沢警部補たちミハンメンバーは、事件の解決より「ミハン」がなぜ間違えたかのほうに興味があるようで、殺された富樫と付き合いがあった悪い人が普通の社会人2人を拉致ってボコったりしてても知らんぷり。富樫の死体が山中から出て、この“普通の社会人2人”が実は容疑者っぽいということがわかっても、とにかく「ミハンの誤認」の原因を探るために泳がせます。

 結局、富樫とこの2人(須藤と前川)が金塊を密輸したり内輪モメしたりで、富樫の死は、須藤(成河)を殺そうとした折の正当防衛でした。最終的には、その須藤がカネ欲しさに前川(山本浩司)を殺そうとして御用となりました。まあ事件は動機も段取りも凡庸そのものだったので、あえて説明するまでもありません。見どころといえば、本田翼ちゃんのアクションですね。チンピラの顔面を蹴っ飛ばしたり、股間を蹴り上げたりと大活躍。私も「蹴って蹴って」と思いました。

■「ミハン」マシンに魅力がない……

 すべての国民の行動をGPSで捕捉し、防犯カメラや無線通信、電話などを傍受し、預金の出し入れまですべて把握しているらしい「ミハン」ですが、初回から間違えました。「人を殺す」と予言された富樫という男は誰も殺さず、逆に殺されてしまいます。そして、その誤りに登場人物たちが振り回されることになります。

 冒頭で『PERSON of INTEREST(PoI)』のパクリ説を紹介しましたが、この米ドラマのマシンは「殺人を犯す人物」ではなく、「重大事件に関係しそうな人物」を弾き出すものです。ここで『絶対零度』は『PoI』を下敷きにしつつ、改変を行っているわけです。

 おそらくこの改変は、設定のインパクトを求めたものでしょう。「関係しそうな人物を」よりも「殺人者を」のほうが、なんか印象が強い。しかし、設定のインパクトを強めたせいで初回から間違っちゃった「ミハン」は、すでに万能感を失っています。ただ国民の行動情報を違法に集めるだけ集めて、間違った提示を出すマシンとなってしまっているわけです。

 そもそも殺人事件で加害者と被害者が瞬時の判断や偶然によって入れ替わってしまう、殺されそうになった人が逆に相手を殺してしまうケースなどというものを、私たちは何度もドラマや映画で見ています。実際にも、往々にしてあることなのでしょう。だから、こんなこと言ったら身もフタもないんだけど、データ収集によって「重大事件に関係しそうな人物」を弾き出すシステムはあり得ても、明確に「殺す側(殺害に成功する側)」を言い当てるシステムなんてものは、あり得ないのです。

 かように、物語の中心に屹立すべき「ミハンシステム」に畏怖も魅力も感じられないので、ドラマそのものが上滑りしているように感じられます。おそらくは今後、資料室メンバーの誰か、山内くんなり井沢警部補なりが「ミハン」によって「こいつが人を殺すよ」みたいな予言をされ、「なんでオレが……?」みたいな展開も出てくると予想しますが、いずれにしろ毎回、物語の起点となるのが「ミハン」の予測だとすると、ちょっとそれに乗っかれるかどうか不安だなぁというのが初回の正直な感想でした。今後、「ミハン」が危険人物をリストアップするたびに「正解なの? 間違ってんの?」と疑う必要が出てきてしまった。

■金塊密輸の話

 あと、完全に余談なんですが、金塊の密輸のくだりで、運び屋さんたちが税関をスルーしていましたが、実際には最近、韓国経由の金塊密輸は盛んに摘発されているようで、おばちゃんたちが尻の穴から数キログラムの金塊を突っ込んで密輸しようとしては捕まっているというニュースを耳にします。

 まあだいたい捕まるんでしょうけど、仮に成功すると、おばちゃんたちは尻の穴から黄金を出すことになるわけです。SMの世界ではウンコを「黄金」と呼ぶらしいので、なんだかしみじみする今日この頃ですね。暑い日が続きます。では、また次回。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

フジテレビが視聴率のために大暴走! 月9ブランドを破壊し、好調な他局の企画をパクる?

 18年7月より、フジテレビは月9ドラマとして沢村一樹主演の『絶対零度~未然犯罪潜入捜査~』を放送すると発表した。ネット上では期待の声が上がる一方で「もうなんでもアリだな」と呆れる声も上がっている。

『絶対零度』シリーズは、2010年と11年に上戸彩主演で連続ドラマを放送。この時はどちらも火曜9時枠での放送だったが、今回のシリーズより月9に枠を変え、さらに主演の俳優まで変更した。

 沢村が演じる主人公・井沢範人は、ひょうひょうとしてつかみどころのない印象を周りに与える人物ながら、実は元公安だというエリート刑事。上戸演じる女性刑事・桜木泉も前作に引き続き出演となるが、ある捜査中に突如失踪して消息をたってしまうことになる。

「人気ドラマシリーズの続編にファンは歓喜していますが、月9で放送することに疑問を抱く人も。『すっかり月9は恋愛というコンセプトから外れたね』『視聴率が取れればなんでもいいのかな』『月9ではもう恋愛ドラマをやってくれないのか』といった声が上がっています。近年月9はすっかり恋愛ものというコンセプトから外れ、17年は『貴族探偵』『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命- 3rd season』『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』など、4本中3本が恋愛以外の作品。18年も『海月姫』こそ恋愛ものでしたが、現在放送中の『コンフィデンスマンJP』に恋愛要素はほとんどありません」(芸能ライター)

 今回フジテレビが無理やり『絶対零度』を月9に持ってきたのは、どうしても月9で高視聴率を取りたいという思惑があるからかもしれない。

「18年4月期のドラマで視聴率が良いのは、テレビ朝日が放送している刑事ドラマです。『未解決の女 警視庁文書捜査官』『警視庁・捜査一課長シーズン3』『特捜9』はどれも視聴率2ケタを余裕でキープ。そのため『テレ朝で刑事ものがウケてるからってそれに乗っかる戦法か』『わかりやすく二番煎じを狙うフジが哀れ』といった呆れ声も上がっています」(同)

 果たして『絶対零度』は高視聴率を打ち出し、月9の威厳を復活させることができるのだろうか。放送が楽しみだ。