セゾン系を受け継ぐ企業は? 意外な韓国企業に文化の遺伝子が!

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永江朗氏文化シーンの遷移を語って
頂いた

(前編はこちら)

――J文学、シブヤ系と呼ばれていたカルチャーを「セゾン系」と呼び変えたことも、興味深いです。

永江 無理矢理なところもありましたけれども。「文藝別冊」(河出書房新社)に、阿部和重とか、保坂和志、中原昌也、批評家だと佐々木敦とか......この人たちが実は、かつてセゾングループの現場にいた人たちなんだということを、J文学の一部は実はセゾン系なんじゃないかと書いたんです。すると、編集者から書籍化しませんかというお話があって、同時代史を書き残しておこうということになったのが、この本の最初の構想です。セゾン文化の当事者のインタビューを中心に構成することになりましたが、特に、堤さんには一連の文化事業についてどう考えていたのかをきちんと聞いておきたかったし、セゾン文化の中心を担っていた文化事業部部長の紀国憲一さんに至ってはなかなか表に出てこない方だったので、肉声を残しておきたかった。この本は、とりあえず自分のけじめとして記録しておきたかったものの集積なんです。

「セゾン文化」の証人・永江朗が語る、2010年代、文化と風俗のありか

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『セゾン文化はなにを夢みた』(朝日新聞
出版)

 西武百貨店、パルコから美術館まで......「セゾングループ」の名のもとに、流通を中心としたブランドイメージ戦略を仕掛けた企業グループが、かつて存在した。広告戦略やバブル消費の時代の象徴であったと同時に、西武百貨店の 文化事業部によって実現した数々の取り組みは、企業メセナの先駆けとなり、経営者・堤清二を中心に花開いた大がかりなカルチャー・ムーブメントでもあった。そして、自身もセゾン系の書店「アール・ヴィヴァン」などに勤めたのち、現在はフリーライターとして多くの著書も執筆している永江朗氏によって、『セゾン文化はなに何を夢みた』(朝日新聞出版)が刊行された。