二人の関係に名前をつけて縛りつけるのはもうやめよう――ドラマ『パーフェクトワールド』第7話

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 私の知り合いに、女友達がやたらと多い男がいる。出会いのきっかけはさまざまのようだが、その中にはかつて付き合っていた女性――いわゆる「元カノ」も結構含まれているらしい。

 正直、私にはそれが理解できない。人の性格によるのかもしれないが、一度恋人関係になって別れた後、何の気まずさもなしに友人関係になれるわけがないのではないかと思ってしまうのだ。

 ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)第7話。恋人としての関係を終わらせ、もう連絡は取らないと思っていた樹(松坂桃李)とつぐみ(山本美月)が、仕事のために再会する。そこには、お互いの思いを果たせなかった後ろめたさや、くすぶり続ける相手への恋心など、複雑な感情があった。

 

再び会うことになった二人

 地元の松本に戻り、インテリアコーディネーターとして働いていたつぐみは、そこで、車椅子生活になる妻のために家を建てたいというシェフ・高木(山中崇)と出会う。樹に設計をお願いしたいという高木のために、つぐみは、樹の事務所を訪ね、直談判するのだった。

 つぐみの説得もあり、松本に行って話を聞くことにした樹だったが、高木の妻・楓(紺野まひる)は家を建てることに難色を示す。実は、高木はシェフとして自分の店を持つことを夢見ており、そのために貯めたお金で家を建てようとしていたのだ。そんな二人のために、樹が提案したのは、店舗としても使える家だった。高木たちは喜び、つぐみと樹も、前向きに段取りを進めることとなった。

 一方、幼馴染みの是枝(瀬戸康史)とつぐみの関係も変化していた。結婚に向け、前向きに動き始めたのだ。つぐみの両親に挨拶に行き、結婚式場も探し始める。

 そんな時、樹のヘルパー・長沢(中村ゆり)がつぐみの元を訪ねてくる。そして、「樹と付き合い始めた」と話すのだ。それを聞いてつぐみは、気持ちにけじめがつく。高校時代に自身が描き、樹に「もう一度見てみたい」と言われていた絵を捨てようとする。これは、樹を好きになった高校時代の自分と決別するということだろう。

 それぞれにパートナーができたと思った二人は、お互いに新しい道を見つけ、前を向いて歩いていくことになる。つぐみと樹は、“仕事仲間”として、新しい関係を築きつつあった。

 しかし、「樹と付き合い始めた」というのは、長沢が、つぐみの心が樹に戻ることを恐れてついた噓である。相変わらず、長沢の樹への想いは、深く、そして鋭い。では、一方の樹は、長沢のことをどう思っているのだろう? 

 長沢が自分のことを好きだというのは知っている、その上で、ドッグランに誘ったり、料理をごちそうしたりする。長沢がつぐみに噓を言ったことを告白した時も、彼女をなだめ、そっと背中をなでてあげたりもする。正直、ドラマを見ていて一番読めないのは、この樹の気持ちなのである。

 ヘルパーとして頼りにしているのはわかる。ただ、自分への想いを断つために別の人と結婚したり、つぐみとの仲に激しく嫉妬したりする長沢は、少し極端すぎないだろうか。もし、長沢に特別な感情を持っていないのなら、樹は意識して、もう少し距離をとってもいいように思う。

 ただ、長沢と樹の関係以外にも、是枝とつぐみの関係、樹とつぐみの関係も、傍から見たらわかりにくいものかもしれない。それぞれに過ごしてきた歴史があり、思い出があるからだ。「ヘルパーと患者」「婚約者」「元・恋人」名前はいくらでもつけられる。でも、それは多分、あまり意味のないことだ。当人たちには当人たちにしかわからない関係がある。無理に関係を決め、型にはめようとするのは間違っているのかもしれない。

小さな「まちがい」が重なり合う関係?

 お互いの気持ちの整理がつき、ぎこちなさが消えていく樹とつぐみ。全てが収まるところに収まり、まとまっていくように見える中、菅田将暉による主題歌「まちがいさがし」が流れる。

 この曲を聴きながら見ていて、なんだかこの幸せなシーンが、“小さなまちがい”の積み重ねによって作られているように感じてしまった。つぐみの中に樹への想いがあるのを許してしまう是枝、是枝の存在を知ってつぐみの幸せを見届けようとする樹、自分の中に残っている樹への想いをぶつける長沢、それぞれが少しずつ間違いを犯してしまっているのではないか、そんな気持ちになったエンディングだった。

 そんな、どこかひっかかった気持ちの中、松本を地震が襲う。樹の上に倒れてくる建材は、まるで、これから起こる波乱を暗示しているかのようだ。

 このまま、つぐみと是枝は結婚するのだろうか。このドラマでは、自分の気持ちを押し殺すため、別の人と結婚して不幸になった長沢という例がすでにある。そことの対比というところが、このドラマの示す一つの教訓になるかもしれない。

 結婚に関しては、「初恋は成就しない」とか、「一番好きな人よりも、好きになってくれた人と結婚したほうが女性は幸せになれる」など、世間で言われている言葉はいくらでもある。つぐみの中にも、そんな考えがあるのかもしれない。でも結局、どんな決断をした人が幸せになったかなんて、正確な数値を出すことはできないだろう。

 ここまで来たら、つぐみの結婚式に、樹が花嫁を奪い去りに来る……なんていう展開はどうだろう? さすがにベタすぎて、それはないか。

(文=プレヤード)

「かたおもい」が紡ぐ色とりどりの景色――ドラマ『パーフェクトワールド』第6話

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「かたおもい」が紡ぐ色とりどりの景色――ドラマ『パーフェクトワールド』第6話

 小泉今日子が、ヒット曲「木枯しに抱かれて」で、「せつない片想い あなたは気づかない」と歌ったのは1986年のことだ。

 この曲に限らず、「片想い」のつらさ、切なさは、これまで幾多のドラマや歌で取り上げられてきた。相手に自分の想いが伝わらない苦しさには、多くの人が共感し、ドラマチックな物語が生まれる。人が人に恋をする限り、「片想い」は、永遠のテーマなのかもしれない。

 ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)第6話。今回は、いくつもの片想いが交錯する、切なさに溢れた展開となった。

 

帰郷を決意するつぐみ

 樹(松坂桃李)に別れを告げられた夜、つぐみ(山本美月)を待っていたのは、父・元久(松重豊)が倒れたという知らせだった。つぐみと、妹のしおり(岡崎紗絵)、幼馴染みの是枝(瀬戸康史)の3人は慌てて地元・松本に帰った。

 幸い、元久の容態は深刻なものではなかったが、以前から心臓が悪く、病院にかかっていたことを知らされる。樹との別れ、父親の病気、思い悩んだつぐみは、松本に帰ることを決意する。

 東京の会社を辞め、松本行きのバスに乗るつぐみ。それを知った樹は、バスターミナルまで見送りに行く。そこにいたのは、見送りをすませた是枝だった。樹は間に合わなかったのだ。是枝は樹に、「間に合わなくてよかった。会ったら迷ったかもしれない」と話す。そして、「近い将来、つぐみにプロポーズする」とも告げる。

 部屋に戻った樹は、喪失感に苛まれる。つぐみと別れたことが正しかったのか? 間違っていたのか? そこにやって来たのは、ヘルパーの長沢(中村ゆり)だった。二人が別れたことを聞き、彼女は涙を流す。

 長沢のこの涙は、どんな涙だったのだろう? 

「つぐみが現れてから自分の居場所がなくなった気がしていた。ずっと樹が好きだった」そう告白する長沢。10年、長い長い片想いだ。その想いの果ての、「邪魔者がいなくなった」という喜びなのだろうか? 「自分がまた樹のそばにいられる」という安堵なのだろうか? いずれにせよ、そこには、「片想い」の切ない気持ちが溢れていたのは間違いない。

 そして、このシーンには、もう一つ片想いが隠れている。長沢が結婚した相手だ。長沢は、「樹のことを忘れるために結婚した」と言った。でも、夫になった人は、長沢のことを本当に愛していたのではないだろうか。「結婚」という、ある意味、恋愛の成就を迎えてもなお、彼は片想いをしていたことになる。そんなことにも思いを馳せて、より切なくなってしまうのだ。

 東京と松本、距離が離れたこともあり、つぐみと樹は完全に別れを受け入れる。スマホの連絡先を削除し、心にけじめをつける。「今風の別れだな」と思う。

 数カ月後、しおりと晴人(松村北斗/ジャニーズJr.・SixTONES)は図書館で偶然に再会する。そして、お互いの話していた、「姉」と「同僚」がつぐみと樹であることを知るのだ。「運命じゃない?」と言う晴人に、しおりは答える「私、好きな人いるの」。

 しおりの好きな人――それはやはり、是枝なのだろうか。ドラマの後半で、「是枝の想いが報われてよかった」と話しているシーンもあるし、晴人に対して「恋人」ではなく、「好きな人」と言っているのもポイントだ。しおりに想いを寄せる晴人、そして是枝に恋をするしおり、ここでもまた「片想い」が、交錯する。

 松本に帰っても、是枝のつぐみへのアプローチは続いていた。ある日、つぐみと一緒に東京でミュージカルを観た是枝は、改めてプロポーズをする。まだ迷いを口にするつぐみに、是枝はそっとキスをするのだ。

 そのシーンを偶然通りかかった樹が目撃する。複雑な感情を抱いたことだろう。もしかしたら、まだつぐみに想いが残っていて、片想いのような気持ちを抱いたかもしれない。

 このような偶然が重なる展開に、“出来すぎ”との声があるかもしれない。しかし、私は、ドラマでの偶然は、いくらあってもいいと思っている。日常なんて、そんなに変わったことは起きない。ドラマであるからこそ、出来すぎた偶然や奇跡が起こり、見るものを楽しませるべきだろう。

 その頃、つぐみは、松本でインテリアコーディネーターの仕事を始めていた。そして、高木(山中崇)と、彼の妻・楓(紺野まひる)に出会う。楓は、進行性の病気で入院しており、車椅子での生活になるとのことだった。「楓のために家を建てたい」という高木と、「無理をしないでほしい」という楓、二人の優しさがすれ違っていく。

 そんな時、楓が病院からいなくなる。高木とともに病院の外を探すつぐみ。見つけたのは近くの河原だった。楓は高木に言う「自分のせいであなたが不幸になるのが耐えられない」。そんな姿が、別れを切り出した時の樹と重なる。「別れちゃダメ」、そう言うつぐみは、樹との別れを後悔しているようにも思えた。

 ちなみに今回、高木がいなくなった楓を見つけた河原は、1996年のドラマ『白線流し』(フジテレビ系)でも使われた場所だ。私も含め、懐かしさを感じながら見た人もいるのではないだろうか。

「お前の夢を叶えることが俺の夢」そう言い切る高木の言葉にうなずき、涙を流す楓。抱きしめ合う二人の姿を見て、つぐみは何かを決意する。そして、東京へ行き、樹の会社を訪ねる。久しぶりの再会に、またさまざまな想いが交錯することだろう。

 片想いが連鎖している場合、誰もが想いを遂げるということはありえない。ただ、例え想いが伝わらなくても、誰かを好きになったという気持ちは、決して無駄にはならない。そこで見える景色は、きっと輝いているはずだから。

 このドラマは、見ているといろんな人に感情移入してしまう。昔感じた切なさを思い出しながら、また新たな展開を待つことにしよう。

(文=プレヤード)

松坂桃李に主演は無理? ドラマも映画も大爆死で業界評暴落か!?

 松坂桃李の業界評が暴落の危機に瀕しているようだ。というのは、主演したドラマ、映画が相次いで大爆死しているからだ。

 現在放送中のフジテレビ系連続ドラマ『パーフェクトワールド』は初回6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)で発進し、以後、5.8%→6.0%→6.5%→6.1%と推移。視聴率は極めて低調で、上昇する気配がなく、このまま終わってしまう可能性が高くなってきた。

 同作は障害者の主人公と健常者との恋愛を描いた作品で、視聴者の満足度は決して低くはないようだが、いかんせんまるで数字が上がっていかないのが実状だ。

 これまで、松坂はプライム帯の連ドラで、『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(2015年、フジテレビ系)、、『視覚探偵 日暮旅人』(17年、日本テレビ系)と2度主演を務めているが、視聴率はいずれも1ケタ台に終わっており、『パーフェクトワールド』の爆死で、いよいよ“数字が取れない俳優”とのレッテルを張られかねない状況に陥ってしまった。

 だからといって、演技力が乏しいわけでもなく、準主役で出演したNHK連続ドラマ小説『わろてんか』(17年後期)や、『この世界の片隅に』(18年、TBS系)では一定の評価を得ており、その意味では“脇役向き”の俳優なのかもしれない。

 一方、17日に主演映画『居眠り盤音』が公開されたが、初週の「週末観客動員数ランキング」(興行通信社調べ)では初登場7位の爆死スタートとなった。ヒロインには木村文乃、3番手には芳根京子が起用され、そこそこのキャストがそろったが、日テレのバラエティ番組での宣伝成果も得られず惨敗となりそうだ。

 主演したドラマも映画もことごとくコケてしまった松坂は、業界評がグッと下がり、今後主演オファーが減っていく懸念がある。6月28日には、松坂と韓国女優シム・ウンギョンとのダブル主演による映画『新聞記者』が公開されるが、正直こちらもあまり期待はできそうにない。連ドラに関しては、3作連続でヒット作が出なかったとなると、当分“脇役専門”になりそうな気配だ。ただ、主演はなくとも、俳優としての松坂の評価が落ちることはないだろう。
(文=田中七男)

「ありがとう」と抱きしめあったまま二人は別れを選んだ――ドラマ『パーフェクトワールド』第5話

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 私が初めて松本に行ったのは、20年以上前のことだ。1996年に放送されたドラマ『白線流し』(フジテレビ系)が好きで、そのロケ地を訪ねて回ったのだ。

 当時の松本は、駅の周りこそそれなりに都会であったものの、モデルとなった学校の近くや、最終回で白線を流すシーンが撮影された川のあたりは、古くからの町や自然も残されており、その雰囲気に好感を抱いたものだった。

 ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)の登場人物の多くは、松本の高校に通っていたという設定だ。この作品を見る時、昔訪ねた松本を思い出しながら、「あの風景が彼女たちの性格を育んだのだろうな」と、なにか納得したような気持ちになる。『白線流し』に描かれた、渉(長瀬智也)と園子(酒井美紀)の拙くも純粋な恋のように、つぐみ(山本美月)や樹(松坂桃李)もまた恋をし、悩み、青春を過ごした、そんな気がするのだ。

■つぐみの父の思い

 駅のホームでバランスを崩し、線路に転落したつぐみ。樹は助けようと手を伸ばすが、彼女の手を掴むことはできなかった。

 幸い頭の傷は軽症だったが、足を骨折し、つぐみはしばらく松葉杖での生活を余儀なくされる。病院に駆けつけた樹は、つぐみの幼馴染み・是枝(瀬戸康史)から、彼女が樹のために介護セミナーに通っていたこと、かなり無理をして、疲れていたことを告げられ、ショックを受ける。

「すぐそばにいたのに、助けることができなかった」と、自分を責める樹。そして、「鮎川くんに手が届いていたら巻き添えにしていたかもしれない」と、同じように自分を責めるつぐみ。二人はどこか似た者同士なのかもしれない。それが、お互い惹かれ合う理由でもあり、同時に、苦しむ理由でもある。

 病院からの帰り、是枝は樹に言う。

「お前らは、純愛を絵に描いたようなカップルだ。キレイすぎる」

 もちろん、樹に対する嫉妬もあるだろうが、この是枝の気持ちは理解できる。

 どんな人でも、どんな事でも、全体を見ればキレイな部分も汚い部分もある。「清濁併せ呑む」という言葉があるが、私は、キレイなところだけしか見えない人が苦手だ。どんな人だって、心の中に闇や傷を抱えているものだし、それが見えない時、その人が抱えている醜い部分がどんなものかと恐怖を感じるのだ。だから、口が悪いとか、ちょっとクセがあるとか、そういう人との方が安心して付き合える。

 つぐみと樹に関して言えば、まず「障害を抱えていること」と、それに伴って制限されることが、負の部分だ。それが前提としてあるため、よりピュアな愛情を持つことができるのだろう。あとは、そのプラスの部分とマイナスの部分のバランスをどうとっていくかということになる。

 そのマイナスの部分が大きくなることを心配しているのが、他ならぬつぐみの父・元久(松重豊)である。樹と会った元久は、つぐみが子供の頃、体が弱く、よく背中に背負って病院に走ったという昔話をし、そして、「娘と別れてほしい」と頭を下げる。「娘は、私の代わりに背負って生きていける人に任せたい」、そう告げるのだ。

 しばらく仕事を休み、松本の病院で療養することになったつぐみ。松本の実家や、町中の風景が美しい。東京に比べて、ゆるやかな時間が流れているように感じる。しおりは、そこで、樹の元恋人・美姫(水沢エレナ)と再会する。そして、樹が体調を崩し、入院していることを知るのだ。

 樹のことを心配し、両親の反対を押し切って、東京へ戻ったつぐみ。樹の病院にいたのは、ヘルパーの長沢(中村ゆり)だった。

 熱が下がらず、3日も排便がないという樹に、長沢は摘便(手で便を取り出すこと)をしようとする。それを見たつぐみは、自分がやると言い出す。しかし、樹はそれを拒否し、「病室から出てくれ」とお願いするのだ。

 好きな女性に、惨めな姿を見られたくないという気持ちからだろうか。キレイな関係の恋人とは、キレイなままでいたかったのかもしれない。

 二人のやりとりを見つめる長沢の瞳。それは、怒りのような、哀れみのような、もしかしたら勝ち誇ったような、そんな複雑な目をしていた。

 そしてつぐみと二人になった時、長沢は宣言する。「私も樹が好き。あなたよりも彼の役に立つ自信がある」。

 つぐみが病院から帰る時、樹は、是枝がつぐみを背負って歩くシーンを目にする。文字通り、元久の言った「つぐみを背負って生きている」是枝の姿。おそらく、そこで樹は別れを決意したのだろう。

 幸い、樹の病状は重いものではなかった。回復した樹は、つぐみをデートに誘う。デートの終わり、二人きりになったところで、樹は、松本で過ごした学生時代を思い出し、「あの頃につぐみと会えてたら」と話す。「今までありがとう」、そう言って別れを告げるのだ。

 つぐみは、その思いを受け入れたのだろうか? ただ泣きじゃくるばかりではあったが、彼女の心の中には、長沢から言われた言葉や、両親の気持ち、是枝の存在など、さまざまな思いが交錯していたことだろう。別れを決断していてもおかしくない。

 人と人との関係には、目に見えるものと目に見えないものがある。障害を持ったことの辛さ、周囲の人の思いや反応、言葉にして言われたことは、まだ“見える”ものなのだ。それとは別に、相手を愛おしく思い、一緒にいたい、幸せにしてあげたいと思う気持ちは、定量的に感じることが難しい。“見えない”世界だと言ってもいい。

 現実と理想、その二つの世界を比べた中で、つぐみは結論を出していくことだろう。簡単には出ない答えを、どのように探っていくのか、今後も見守っていきたい。

(文=プレヤード)

 

松坂桃李の“恋人の条件”に「お前が言うな」の大合唱! モラハラ臭にドン引き

 人気俳優の松坂桃李が16日放送のTBS系『櫻井・有吉THE夜会』で、“恋人の条件20か条”を発表。その内容に「お前が言うな」とツッコミが相次いでいる。

 細かすぎる恋人の条件を持つという松坂は、その中から一部となる“好きな女性”と“嫌いな女性”のタイプをそれぞれ10か条ずつ紹介。好きなタイプには「ケガをした時のため常に絆創膏を持っている子」「手の甲にメモを書いている子」「ワインを飲んだあと、グラスの飲んだところを親指でキュッと拭く子」「衣装ケースに『肌着』『靴下』と1つずつラベリングする子」などが挙げられ、嫌いなタイプには「くしゃみをするときかわいい音を出す子」「へそピアスを開けている子」「旅先でデカいサングラスを頭にかける子」「自分がスポーツジムでトレーニングしている様子をSNSにアップする子」などが並んだ。

 全体的に、あざとい女性や派手な性格の女性が苦手で、素朴で飾り気のない女性を好むということが伝わる内容であったが、ネット上では、好きなタイプに挙げられた「箸や茶碗の持ち方がキレイな子」が話題に。「は? お前が言うな」「自分が気をつけていないことを、女に求めるなんて」「どの口が言ってるの?」と批判が相次いでいる。

 それもそのはず。松坂は14日放送の『火曜サプライズ』(日本テレビ系)のグルメロケに参加した際、残念すぎる箸の持ち方を披露し、女性ファンをドン引きさせたばかりなのだ。

「巣鴨ロケでうな重定食を食べた松坂ですが、左手の親指と人差し指だけで2本の箸を支え、小指が不自然と内側に伸びてしまっている独特すぎる箸の持ち方を披露しまった。ネット上では、『幻滅』『この持ち方、すごい嫌だ』と拒絶する女性が続出しました」(芸能記者)

 箸の持ち方が個性的なのは仕方ないとしても、女性にだけキレイな所作を求めたことで反感を買ってしまった松坂。「モラハラ臭がする」との声も見受けられるが、果たして?

“愛情”と“献身”のはざまで――ドラマ『パーフェクトワールド』第4話

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 ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)で、樹(松坂桃李)を献身的に介護するヘルパー・長沢を演じている中村ゆり。私が彼女を最初に知ったのは、今から20年ほど前、アイドルデュオ「YURIMARI」のメンバー(YURI)として出てきた時だった。爆風スランプのサンプラザ中野(当時)、パッパラー河合が手がけた曲を歌い、“かわいくて元気な女の子”という印象だった。

 残念ながら、彼女たちは大きくブレイクすることはなく、デビューから2年ほどで解散となる。それから8年後、映画『パッチギ! LOVE&PEACE』(2007)のヒロイン役に選ばれた中村ゆりが、アイドル時代のYURIと同一人物だとは、しばらく気づかなかった。それほどまでに、以前とは打って変わった、女優然とした佇まいになっていたのだ。

 それからは、映画やドラマで、どちらかというと影のある女性を演じることが多く、今回の作品でも、その「何かを抱えているような演技」は、いかんなく発揮されている。

 

相手を思いやる気持ちがすれ違う

 樹(松坂桃李)と付き合い始めたつぐみ(山本美月)は、少しでも介護の役に立てばと、資格を取ることを考える。仕事をこなし、樹の家に通い、資格の勉強もする。愛する人のために全て全力で取り組むが、そんな中で、少しずつ体に無理が生じてしまう。

 一方、ヘルパーの長沢は、つぐみの存在を気遣いながらも、樹の介護を続ける。長沢の存在の大きさを知れば知るほど、つぐみは、樹に尽くそうとする。2人の間には、ライバル心、嫉妬心のようなものが感じられる。

 幼馴染みの是枝(瀬戸康史)もまた、つぐみとの関係に悩んでいた。彼女に思いを伝えたことにより、気まずさもあったが、今までのように、一緒に食事をしたり、車で送り迎えをしたりして、“幼馴染み”としての関係を続ける。

 ここで気になるのは、是枝にとってつぐみは、「愛する人」であるが、つぐみにとって是枝はどんな存在なのか、ということだ。

 自分の家族からも信頼され、いつも身近にいてくれる男友達。そう見ているのだろうか。ただ、ドラマに出てきたように、樹のパソコンが壊れた時、電話一本で駆けつけたり、疲れて助手席で眠ってしまったつぐみを見守ったりという姿は、“献身的”とも言えるだろう。

 今回は、樹の同僚で、事務所社長(木村祐一)の甥、晴人(松村北斗/ジャニーズJr.・SixTONES)の存在もクローズアップされていた。

 仕事の途中、階段を踏み外して、義足をつけた脚を痛めてしまった晴人は、松葉杖での生活を余儀なくされる。そんな時、つぐみの妹・しおり(岡崎紗絵)を、レンタル彼女として再び指名する。

 前回、彼女に義足であることを知られ、「障害者は無理」と言われた晴人だったが、しおりを指名して言うのだ。

「障害者に対してはっきりと言ってくれた方が付き合いやすい」

 この気持ちは、共感する人も多いのではないだろうか。例えば、肌の色が違うとか、髪の色が奇抜だとか、自身が意図するしないにかかわらず、「相手はこれを気にしているな」と分かることがあるだろう。そんな時、見て見ぬふりをするのではなく、無理に偽善的なことをいうのでもなく、正直な気持ちを話してくれた方が、腹を割って話せるというものだろう。

 その頃、樹は、感覚をなくした脚に痛みを感じるという、「幻肢痛」に悩まされていた。

 ある夜、痛みを感じて眠れなくなった樹は、夜中に長沢を呼び、薬をもらう。しかし、つぐみに対しては、幻肢痛のことは隠していた。もちろん、彼女に余計な心配をさせないためだ。そのことを知ったつぐみは、ショックを受け、「痛みもつらさも全部話してほしい」と問い詰める。

 恋愛でも、結婚でも、相手のことを全て知りたいと願う気持ちはわかる。ただ、それは、“それぞれが背負いきれる範囲内で”ということを認識しなければならない。過去に受けた心の傷や、隠したい秘密があれば、相手に知らせないことも優しさだと思うのだ。

 樹のマンションの前で、偶然つぐみに会った長沢は、「樹には私が必要。自分の人生を犠牲にしてでも彼を支えたい」と告げる。信念を持った、毅然とした姿の演技は、中村の真骨頂だ。不幸や苦労も合わせ飲んだ、覚悟を持った女性の姿が、女優としての本人と重なる。

 長沢とつぐみが対峙するシーンは、見ていてヒリヒリする。“どちらがより樹のためになれるか”“どちらが彼の近くにいる存在か”それを2人が競い合っているように見えるからだ。

 例えば、普通の男性が相手であれば、体の関係を持った方がより近い存在、といえるだろう。しかし、樹に関しては、それは望めない。「愛される」か「必要とされる」か、これは、ドラマを見ている者にも課された問題のように思える。

 それにしても、長沢は、3人の未来をどう見ているのだろう。つぐみと樹が付き合ったとして、それとは別に、一生樹を支えていこうと考えているのだろうか。ここでも、“愛情”と“献身”がせめぎあっている。もしかしたらそれもありなのかもしれない。家族や恋人のあり方などは、多種多様な形が認められている時代だ。

 要は、世の中ものの見方なのだ。  

「障害者」というくくりで一様に見ようとするのが間違いだ。健常者に真面目な人もいい加減な人もいるように、障害者にもさまざまな人がいる。そこを見誤ると、悲劇になってしまう。今回のドラマでは、その“障害者の多様性”が描かれているのだろう。

 ドラマのラスト、駅で樹と電車を待っていた時、つぐみは疲れからめまいを起こし、倒れる。差し伸べた樹の手は届かず、ホームから転落してしまう。映画版でも描かれた、この作品の象徴的なシーンだ。

 ある意味、つぐみの“限界”が見えてしまったともいえる。自分にとって必要な人、そして愛する人、それぞれの関係性をどう保っていくか。次回以降も波乱が続きそうだ。

(文=プレヤード)

「第三者」の思いがあふれてくる――ドラマ『パーフェクトワールド』第3話

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 恋愛ドラマにおいて、第何話あたりで主人公の恋が成就するかというのは、その先の展開を予想する中で重要な問題だ。

 最初から「付き合っている」という設定であれば、今後、ライバルが出現し、別れたりよりを戻したりという展開だろうし、中盤までいっても気持ちのすれ違いが続くようであれば、その「焦れる気持ち」を楽しむものだなと心構えができる。

 体感的なものではあるが、接近や誤解などを繰り返して、最後の最後に思いが通じるというのが多いパターンであり、王道といえるだろう。2人の恋が成就するのを見届けて、ハッピーエンドを迎えるのは、見ている方も気持ちよく物語を締めくくることができるというものだ。

 ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)では、第2話の終わりで、主人公の2人は気持ちを確かめ合い、“恋人”になってしまった。この展開は実に早い。この流れから、二つの意味合いを読み取ることができる。

 一つは、先に挙げた、“2人の気持ちのすれ違いによるエピソードを描く”といった波乱の展開である。それぞれに想いを寄せる人物の存在もあり、どんな関係性になっていくかは、興味深いところだ。

 もう一つは、“恋人となった2人が、文字通りの「障害」をどう乗り越えていくかを描いていくか”という点だ。恋人として、そして結婚した場合は夫婦として、その障害とどう向き合っていくのか、さらには、それぞれの家族の問題、職場の問題など、普通に生活していたら気づかないことを広く世の中に知らしめるという意味で、意義のあるドラマになっていくことだろう。

 

“恋人”となった2人だが……

 前回のラストでお互いの気持ちを確かめ合い、晴れて“恋人”となったつぐみ(山本美月)と樹(松坂桃李)。2人の交際は、職場でも知られるところとなり、周囲も温かく見守ってくれていた。

 休みの日、2人は江ノ島にデートへ出かける。つぐみは樹のために手作りのお弁当を用意し、樹はつぐみのためにプレゼントを用意する。お互いの相手を思いやる気持ちが見ていて微笑ましい。

 プレゼントのネックレスを受け取ったつぐみは言う。「大事にするね」。そして樹もつぐみに言うのだ、「大事にする」。もちろん、これはつぐみ自身のことを大事にするという意味だ。

 その頃、つぐみの妹・しおり(岡崎紗絵)は、レンタル彼女のアルバイトをしていた。そして、彼女を指名したのが、樹の同僚でもある晴人(松村北斗/ジャニーズJr.・SixTONES)だった。仕事とはいえ、デートを楽しんだ2人だったが、ふとしたことから、晴人が義足であることを知り、しおりはあからさまに嫌悪感を示す。

 もちろん、ドラマであるから、障害に理解のある人とそうでない人を極端に描いているという前提はあるだろう。ただ、障害や、病気の人を見た場合、心の中でいくばくかの異質感を感じる人は多いのではないだろうか。偏見をなくすというのは、一朝一夕にできるものではない。まずは、“障害に対し差別的な認識をする人がいる”ということを考慮した上で、考えをめぐらし、世の中での感じ方を変えていくしかないのだ。しおりの存在は、私達の心にある、“差別心”を表したものだと言える。

 ゴールデンウィークになり、つぐみと樹、そしてしおりは、実家のある松本に帰省することになる。つぐみのことを過保護なくらいに溺愛している父・元久(松重豊)には、まだ付き合っていることを話さない予定であったが、樹が家まで送ってきたところを見られてしまい、本当のことを話す。

 それを知った元久は、交際に反対する。母親の咲子(堀内敬子)からも、「子供は作れるのか」と問われ、つぐみは言い返せない。理解のない父親に業を煮やしたつぐみは、「実家には帰らない。このまま東京で暮らす」と話し、東京へと戻るのだった。

 樹の家に戻った2人だったが、そこではヘルパーの長沢(中村ゆり)が待っていた。

「彼が苦しみもがいてきた姿を私は見てきた」という長沢と、「長沢さんは俺にとって特別な人」という樹の関係に、つぐみは複雑な思いを抱く。

 事故に遭って入院していた時、看護師だった長沢は樹のそばにいて、励まし続けた。そして長沢もまた、樹に“特別な”感情を持っていたのだ。

 一方、つぐみの方にも昔から想いを寄せている人がいた。幼馴染みで高校時代の同級生・是枝(瀬戸康史)だ。毎日のようにつぐみとしおりの住む家に行き、つぐみの頼みごとはなんでも聞いてきた是枝だが、樹への想いを語るつぐみを見て、思わず抱きしめてしまう。

 長沢と是枝、2人は、樹とつぐみの恋愛にとっては、あくまでも「第三者」である。ただ、私は性格上、どうしてもこの2人の心情に共感してしまう。自分が想いを寄せている人が、別の誰かを愛してしまう。その切なくもやるせない気持ちは、想いの通じ合った恋人同士ではわからないような、つらいものではないだろうか。そして、この2人には、もう一つ、「相手の障害をどう捉えるか」という問題もつきまとう。

「障害を持っているから恋愛できない」とは思いたくないだろう。ただ、結婚は? 子供は? と考えたときに、好きな相手にとって、どうするのが最善なのか、考えあぐねることは間違いない。

 そして、今回衝撃的だったのは、樹とつぐみが「性的な結びつきが持てるのか」という点だ。つぐみの母親も心配したとおり、樹はそのようなことができるのかどうか、視聴者には提示されていなかった。これまでも、ドキュメンタリーなどで障害者の性を取り上げたことはあるだろうが、ドラマで語られるのは珍しいだろう。

 結論から言えば、樹に関しては「性的な関係は持てない」だった。もちろん、障害の状況はさまざまだから、車椅子の人が全てそうであるわけではない。ただ、このドラマで「性的な関係を持たない恋人同士」が描かれた意味は大きい。

 ドラマの中でどこまで語られるのかはわからないが、性的な関係を持てなくても、例えば、人工授精を試みるとか、養子を迎えるとか、そういった話も出てくるかもしれない。

 そして、ドラマを見て最終的に考えたのは、何か一つを取り上げて、それが全てであるように思い込むのは危険だということだ。樹は、脚が動かないと知った時、自ら命を絶とうとした。つぐみの母は、子供が作れないならば結婚すべきではないと心配した。しおりは、障害を持った人を見て「無理」と言い切った。

 これらの全ては、思い込みに縛られた、狭い考え方なのだ。

 脚を動かさずに生きたっていい。子供を作らずに結婚したっていい。障害を抱えたまま誰かと付き合ったっていい。まずは「思い込み」を外して、世の中を見てみるといい。きっと世界はもう少し生きやすくなっているはずだ。

 恋愛の問題に限らない。生きていく上で何か問題にぶつかった時、思い込みを外して、見てみる。このドラマが、そんな思いに気づかせてくれるきっかけになってくれればいいと思っている。

(文=プレヤード)

「第三者」の思いがあふれてくる――ドラマ『パーフェクトワールド』第3話

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 恋愛ドラマにおいて、第何話あたりで主人公の恋が成就するかというのは、その先の展開を予想する中で重要な問題だ。

 最初から「付き合っている」という設定であれば、今後、ライバルが出現し、別れたりよりを戻したりという展開だろうし、中盤までいっても気持ちのすれ違いが続くようであれば、その「焦れる気持ち」を楽しむものだなと心構えができる。

 体感的なものではあるが、接近や誤解などを繰り返して、最後の最後に思いが通じるというのが多いパターンであり、王道といえるだろう。2人の恋が成就するのを見届けて、ハッピーエンドを迎えるのは、見ている方も気持ちよく物語を締めくくることができるというものだ。

 ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)では、第2話の終わりで、主人公の2人は気持ちを確かめ合い、“恋人”になってしまった。この展開は実に早い。この流れから、二つの意味合いを読み取ることができる。

 一つは、先に挙げた、“2人の気持ちのすれ違いによるエピソードを描く”といった波乱の展開である。それぞれに想いを寄せる人物の存在もあり、どんな関係性になっていくかは、興味深いところだ。

 もう一つは、“恋人となった2人が、文字通りの「障害」をどう乗り越えていくかを描いていくか”という点だ。恋人として、そして結婚した場合は夫婦として、その障害とどう向き合っていくのか、さらには、それぞれの家族の問題、職場の問題など、普通に生活していたら気づかないことを広く世の中に知らしめるという意味で、意義のあるドラマになっていくことだろう。

 

“恋人”となった2人だが……

 前回のラストでお互いの気持ちを確かめ合い、晴れて“恋人”となったつぐみ(山本美月)と樹(松坂桃李)。2人の交際は、職場でも知られるところとなり、周囲も温かく見守ってくれていた。

 休みの日、2人は江ノ島にデートへ出かける。つぐみは樹のために手作りのお弁当を用意し、樹はつぐみのためにプレゼントを用意する。お互いの相手を思いやる気持ちが見ていて微笑ましい。

 プレゼントのネックレスを受け取ったつぐみは言う。「大事にするね」。そして樹もつぐみに言うのだ、「大事にする」。もちろん、これはつぐみ自身のことを大事にするという意味だ。

 その頃、つぐみの妹・しおり(岡崎紗絵)は、レンタル彼女のアルバイトをしていた。そして、彼女を指名したのが、樹の同僚でもある晴人(松村北斗/ジャニーズJr.・SixTONES)だった。仕事とはいえ、デートを楽しんだ2人だったが、ふとしたことから、晴人が義足であることを知り、しおりはあからさまに嫌悪感を示す。

 もちろん、ドラマであるから、障害に理解のある人とそうでない人を極端に描いているという前提はあるだろう。ただ、障害や、病気の人を見た場合、心の中でいくばくかの異質感を感じる人は多いのではないだろうか。偏見をなくすというのは、一朝一夕にできるものではない。まずは、“障害に対し差別的な認識をする人がいる”ということを考慮した上で、考えをめぐらし、世の中での感じ方を変えていくしかないのだ。しおりの存在は、私達の心にある、“差別心”を表したものだと言える。

 ゴールデンウィークになり、つぐみと樹、そしてしおりは、実家のある松本に帰省することになる。つぐみのことを過保護なくらいに溺愛している父・元久(松重豊)には、まだ付き合っていることを話さない予定であったが、樹が家まで送ってきたところを見られてしまい、本当のことを話す。

 それを知った元久は、交際に反対する。母親の咲子(堀内敬子)からも、「子供は作れるのか」と問われ、つぐみは言い返せない。理解のない父親に業を煮やしたつぐみは、「実家には帰らない。このまま東京で暮らす」と話し、東京へと戻るのだった。

 樹の家に戻った2人だったが、そこではヘルパーの長沢(中村ゆり)が待っていた。

「彼が苦しみもがいてきた姿を私は見てきた」という長沢と、「長沢さんは俺にとって特別な人」という樹の関係に、つぐみは複雑な思いを抱く。

 事故に遭って入院していた時、看護師だった長沢は樹のそばにいて、励まし続けた。そして長沢もまた、樹に“特別な”感情を持っていたのだ。

 一方、つぐみの方にも昔から想いを寄せている人がいた。幼馴染みで高校時代の同級生・是枝(瀬戸康史)だ。毎日のようにつぐみとしおりの住む家に行き、つぐみの頼みごとはなんでも聞いてきた是枝だが、樹への想いを語るつぐみを見て、思わず抱きしめてしまう。

 長沢と是枝、2人は、樹とつぐみの恋愛にとっては、あくまでも「第三者」である。ただ、私は性格上、どうしてもこの2人の心情に共感してしまう。自分が想いを寄せている人が、別の誰かを愛してしまう。その切なくもやるせない気持ちは、想いの通じ合った恋人同士ではわからないような、つらいものではないだろうか。そして、この2人には、もう一つ、「相手の障害をどう捉えるか」という問題もつきまとう。

「障害を持っているから恋愛できない」とは思いたくないだろう。ただ、結婚は? 子供は? と考えたときに、好きな相手にとって、どうするのが最善なのか、考えあぐねることは間違いない。

 そして、今回衝撃的だったのは、樹とつぐみが「性的な結びつきが持てるのか」という点だ。つぐみの母親も心配したとおり、樹はそのようなことができるのかどうか、視聴者には提示されていなかった。これまでも、ドキュメンタリーなどで障害者の性を取り上げたことはあるだろうが、ドラマで語られるのは珍しいだろう。

 結論から言えば、樹に関しては「性的な関係は持てない」だった。もちろん、障害の状況はさまざまだから、車椅子の人が全てそうであるわけではない。ただ、このドラマで「性的な関係を持たない恋人同士」が描かれた意味は大きい。

 ドラマの中でどこまで語られるのかはわからないが、性的な関係を持てなくても、例えば、人工授精を試みるとか、養子を迎えるとか、そういった話も出てくるかもしれない。

 そして、ドラマを見て最終的に考えたのは、何か一つを取り上げて、それが全てであるように思い込むのは危険だということだ。樹は、脚が動かないと知った時、自ら命を絶とうとした。つぐみの母は、子供が作れないならば結婚すべきではないと心配した。しおりは、障害を持った人を見て「無理」と言い切った。

 これらの全ては、思い込みに縛られた、狭い考え方なのだ。

 脚を動かさずに生きたっていい。子供を作らずに結婚したっていい。障害を抱えたまま誰かと付き合ったっていい。まずは「思い込み」を外して、世の中を見てみるといい。きっと世界はもう少し生きやすくなっているはずだ。

 恋愛の問題に限らない。生きていく上で何か問題にぶつかった時、思い込みを外して、見てみる。このドラマが、そんな思いに気づかせてくれるきっかけになってくれればいいと思っている。

(文=プレヤード)

松坂桃李、菅田将暉、賀来賢人……アタックゼロの「イケメン大量CM」が示すジャニーズ崩壊危機

「アタックゼロのCM、洗剤の宣伝にこんなにイケメンたくさん揃えて何してんの???!!!」

「イケメン5人がでとる洗剤のCM最強すぎ、これからアタック使お」

「ドラッグストアに行ったらアタックのスプレー式の新しい洗濯洗剤の棚がそこだけ空っぽ。CM効果すごいな。」

「噂のアタックゼロのCMをやっと見られた! 最高。早速、洗剤変えようと思います。」

 これは、松坂桃李、菅田将暉、賀来賢人、間宮祥太朗、杉野遥亮が出演する、花王の『アタックZERO』のCMのこと。あまりの「イケメン大渋滞」ぶりにSNSでは上記のようなコメントが続出、洗剤を変えたという人も多数いるようだ。

 確かに、旬の売れっ子&人気イケメン俳優ばかりを揃えたCMのインパクトはすごいが、このCMが実は意外なところで話題を集めているという。

「最近、エンタメ系の編集者・ライターなどが集まる場では、このCMのことがよく話題になります。こんなにも旬の若手俳優を集めたことについて『すごいよね』ということと同時に言われるのが、『ジャニーズ、いよいよヤバいよね』ということです」

 そう話すのは、あるテレビ誌記者。ドラマ『今日から俺は!!』(日本テレビ系)、『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(同)など、昨年から若い視聴者を取り込む話題作にジャニーズの俳優が不在であることは、たびたび話題になってきた。

 雑誌などの紙媒体においては、お金を落とす固定ファンのパイが大きいジャニーズ事務所は、いまだに健在。むしろ出版不況の中、これまで取引のなかった媒体にも進出するなど、ますます力を拡大させている。

 しかし、ドラマ界には「ジャニーズ不要論」が流れ始めているという。

「アタックCMに出ている5人は、旬の俳優さんばかり。最年少の杉野遥亮さんは、他の4人に比べて知名度がやや落ちるものの、映画にドラマにと、引っ張りだこの注目株です。気になるのは、いま主役級になっている彼らのほとんどが、かつてはドラマや映画でジャニーズの脇で演じてきたこと。ジャニーズを5人揃えるよりも、よほど豪華に見えてしまっています」(先述の記者)

 また、あるエンタメ系のライターは言う。

「アタックのCMの5人は、『トップコート』『トライストーン』『アミューズ』所属の俳優さんたち。それらの事務所はいま、売れっ子俳優を輩出していることで、ドラマ界では注目されているところなんです」

 中でもいちばんの注目株は、トップコートだそうで、所属タレントは多くないものの、洗剤CMに出ている松坂桃李、菅田将暉、杉野遥亮のほか、中村倫也や新田真剣佑など、旬の俳優が揃っている。

 また、トライストーンには、間宮祥太朗のほか、田中圭、小栗旬、綾野剛、坂口健太郎や葉山奨之などがいるし、賀来賢人の所属事務所のアミューズといえば、福山雅治や佐藤健、神木隆之介、野村周平のほか、『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)出演で注目され、現在放送中の『腐女子、うっかりゲイに告る。』(テレビ東京系)で主演を務める金子大地もいる。

 確かに、ここに挙げただけでも売れっ子だらけで、ドラマ界での「ジャニーズ不要論」がささやかれるのも無理はない気がするが、なぜこのような流れになったのか。

「嵐・二宮和也さんのように、監督や脚本家などの作り手に惚れこまれる俳優が、若手ジャニーズにはあまりいなくなっていることもあるかと思います。でも、一番の問題は、個々のタレントさんではなく、むしろ事務所にあると思います。本人が脇役もやりたいと望んでいても、事務所の方針で他事務所の脇は一切やらせてもらえないケースもあります。また、ジャニーズが複数人出るドラマでは、『セリフの数を同じにしろ』などと、子どもの学芸会で文句をつけるモンスターペアレンツのようなクレームをジャニーズ事務所からつけられた脚本家もいるとか。視聴率がとれた時代は、それでも良かったのでしょうが、今はジャニーズが出ても2ケタに乗ればいいという程度。作り手が『面倒くさいから、あまり仕事をしたくない』と思ってしまうのも仕方ないのでは?」

 滝沢秀明氏が芸能界を引退し、子会社社長に就任して、ジャニーズJr.の育成を本格的に手掛けるなど、大きな変化を遂げているジャニーズ事務所。そろそろドラマ界での立ち位置が危うくなっていることに、気づいても良い時期ではないだろうか。

「無力」であることを知って人はまた少し強くなる――ドラマ『パーフェクトワールド』第2話

(これまでのレビューはこちらから)

 山本美月は不思議な女優だ。

 元々モデル出身だけあって、実に美しい整った顔立ちをしている。ともすれば、冷たくも感じられるその崇高さは、演じている時の表情の豊かさで、ぐっと親近感に変わっていく。この“振り幅”こそが、彼女の一番の魅力だと思っている。

 私が彼女の存在を強く認識したのは、2016年、本田翼とともに主演した映画『少女』だった。

 当時彼女は25歳、演じていたのは17歳の女子高生役。それでも、全く違和感なく女子高生になりきっていた。そして、作品のテーマである「生と死」を、その演技と表情で見事に描き出していた。彼女は、女優として、作品に込められたメッセージを余すところなく表現できる存在なのだ。

 車いすの障害者を描いたドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)第2話。今回も、そんな山本の存在感が際立っていた。

 樹(松坂桃李)を見舞った病室で、つぐみ(山本美月)は、樹のヘルパーをしている長沢(中村ゆり)の存在を知る。長沢と樹の親密な様子に、居づらくなったつぐみは、病室を後にする。

 病院のロビーで、樹の会社の後輩・渡辺晴人(松村北斗/ジャニーズJr.・SixTONES)と会い、彼もまた左足が義足であることを知る。前回同様、“障害”を目の当たりにした時の、戸惑いの様子を山本はうまく演じている。

 一方、長沢とともに自宅に帰った樹は、家の前に捨てられていた子犬を拾う。長沢の許可を得て飼うことにした子犬に、樹とつぐみは「チャコ」という名前をつける。

 そんなある日、つぐみは、樹をある場所へ連れて行く。「美術展」と偽って連れて行ったのは、車椅子バスケの練習場だった。高校時代、バスケ部のキャプテンであった樹は、事故の後、頑なにバスケから距離を置いていたのだ。そこで車椅子バスケをやっていた晴人に説得され、気後れしながらもボールを持った樹。コートの中で、彼は昔の感覚を思い出す。

 好きだったものが、何かの理由でできなくなった時、それを見るのも嫌にやる感覚は私にもわかる。レベルは違うかもしれないが、受験で志望校に落ちた後、合格してそこに通いだした友人が妬ましくてたまらなかった。「もしかしたら自分がそうなっていたかもしれない」そんな悔しさが、湧き上がってくるのだ。

 実際にコートに出た樹は、そのこだわりを乗り越え、楽しさを見出す。

 バスケを楽しんで、家に帰った樹を待っていたのは母・文乃(麻生祐未)だった。つぐみと会った文乃は、「感じのいい子」と喜びを隠せない。しかし、そんな文乃に樹は、「恋愛は一生しない。そのことは諦めてほしい」と告げるのだった。

 昨年、『黄昏流星群』(フジテレビ系)で、息子を溺愛する母親を演じたのが印象強い麻生だが、今回は明るく、理解のある母親役だ。樹とつぐみの関係にも味方になってくれることだろう。

 一方、つぐみの自宅には、父親の元久(松重豊)が突然訪ねてきていた。対応した妹のしおり(岡崎紗絵)と幼馴染みの是枝(瀬戸康史)だったが、つぐみを心配する元久に気圧されっぱなしであった。

 そんなある日、車椅子バスケの後、食事をしていたメンバーに、「邪魔だ」と言いがかりをつけてきた人たちがいた。怒った晴人と小競り合いとなり、止めに入ったつぐみを、樹は守ることができなかった。

 無力感に苛まれる樹。「自分には何もできない」――そんな無力感は、誰しも感じたことがあるだろう。

 つぐみにしても、樹が受け入れてくれなければ、自分が力になることができないことに、無力感を感じていると思う。この「無力感との戦い」こそが、この物語の一つのテーマであるように思う。

 実際、今の世の中には「無力感」が溢れている。

 逆境に置かれた女性アイドルが運営と戦っていても、ファンは直接何かをすることはできない。選挙の投票率が過去最低と言われても、自分の一票で何かを動かせる気持ちになれない。「政治」とか「組織」とか「運命」に対して、確かに人は無力だ。それは、「障害」に対しても同じだろう。「一人でも声を上げれば何かが変わる」などと綺麗事を言うつもりはない。でも、「自分が無力である」と感じることは決して無駄ではないはずだ。

 無力だからどうするのか、力をつけるために努力することもできるだろう。その分人に優しくしようという気持ちにだってなれる。いずれにせよ、無力さを認識することで、人は少し強くなれるような気がする。

 何もできなかったことにもどかしさを感じ、つぐみの気持ちには応えられないと告げる樹。ショックを受けたつぐみに、樹の母・文乃から「会えないか」との連絡がくる。

 文乃から、事故に遭ってからの樹の苦労、そして母としての思いを聞いたつぐみは自分の思いを伝える決心をする。

 気持ちを伝えるために、樹のマンションを訪ねたつぐみ。そこで、チャコがいなくなったことを知らされ、一緒に探す。そこで自分の気持ちを告白するのだった。

 結局、チャコは逃げておらず、樹の部屋にいた。ほっとした二人は、気持ちを確かめあうかのように、そっとキスをする。

 ラストシーン、二人の傍らで丸くなって眠る子犬が可愛らしい。チャコの存在は、「弱い者」「誰かの助けを必要とするもの」を暗喩しているように思う。他人の世話にならなければ生活できない樹も、捨てられた子犬の世話をして、力になることができているのである。世話や迷惑はどちらか一方がかけるものではない。お互いが相互に影響し合って生きるのが、あるべき姿なのだ。

 世話をされているだけのように見えるチャコだって、樹とつぐみに多くの癒やしを与えていることだろう。

 さて、来週は「平成の大晦日」の特別番組のため放送はお休み。次回は2週間後となる。次の時代が過ぎていって、障害者の暮らしやすい社会になった頃、時代が変わる節目に、こんなドラマがあったことを、思い出すことがあればいいと思う。

(文=プレヤード)