広瀬すず&松坂桃李『流浪の月』 恋愛とは異なる感情で結ばれた男女の新しい関係

 暗い夜空を、月は優しく照らしてくれる。いつも一定の距離を保ちながら、地球を見守り続けている。だが、そんな月の裏側は、まだ誰も見たことがない。2020年の「本屋大賞」を受賞した凪良ゆうの小説『流浪の月』(東京創元社)は、他人には知られたくない過去、見られたくない顔を持つ2人の男女を主人公にした繊細な物語だ。広瀬すず、松坂桃李が主人公を演じる映画『流浪の月』が、5月13日(金)より劇場公開され…

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星野源、松坂桃李のANNを絶賛! 最上級の褒め言葉『バカじゃないの?』20回

 こんにちは。ラジオ書き起こし職人のみやーんZZです。いつも聞きまくっているラジオの中から興味深かったエピソードを紹介する連載の第61回目。今回は2022年3月29日放送のニッポン放送『星野源のオールナイトニッポン』で星野さんが『松坂桃李のオールナイトニッポン』を絶賛していた部分です。

 菅田将暉さん急病のため急遽、代打でパーソナリティーを務めた松坂桃李さん。Radikoのタイ…

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松坂桃李と古田新太の男泣きで魅せる! 狂った運命の歯車が突き刺さる映画『空白』

 俳優・松坂桃李の役作りは、最近ますます凄みを増している。

 そう感じさせるのには役の幅広さの中に、ある共通する魅力があるからだ。しかもそれがすべて同じ演技に見えるというわけではなくて、全く異なるキャラクターの中に(松坂の本質にあると思われる)人間らしさを感じとることができる点だ。

 例えば、現在公開中の『孤狼の血 LEVEL2』では、主人公・日岡を演じている。前…

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モンスタークレイマーとヘタレ店長との壮絶戦!古田新太と松坂桃李が演じる不寛容社会『空白』

 どうしようもないダメ人間だけど、憎めない一面も持っている。人間は多面性を持った生き物であり、そんな人間の多面性まで全否定してしまうと、社会はとても息苦しくなってしまう。犯罪映画『ヒメアノ~ル』(16)などで巧みな心理描写を見せてきた吉田恵輔監督と、『新聞記者』(19)や『ヤクザと家族 The Family』(21)といった硬派な作品で知られる制作会社「スターサンズ」とのタッグ作『空白』は、…

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“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、『孤狼の血 LEVEL2』にモノ申す「あんなヤクザ、平成初期にいねーよ!」

“キング・オブ・アウトロー”こと瓜田純士が、森羅万象を斬る不定期連載。今回のテーマは、大ヒット中のヤクザ映画『孤狼の血 LEVEL2』(原作:柚月裕子、監督:白石和彌)だ。前作『孤狼の血』(2018年)を大絶賛した瓜田ファミリーだが、続編となる本作には、果たしてどのような反応を見せるのか?

 元極道の瓜田純士と、その妻・麗子。そして、かつては極道の妻だった、純士の母・恭子。そん…

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松坂桃李が『Apex』に降臨している! ボイチャでそれと知らぬガムくちゃプレイヤーにディスられた件をラジオで語る

 こんにちは。ラジオ書き起こし職人のみやーんZZです。いつも聞きまくっているラジオの中から興味深かったエピソードを紹介する連載の第30回目。

 今回は2021年8月23日放送のニッポン放送『松坂桃李のオールナイトニッポン』の中から、松坂桃李さんが『Apex Legends』について話していた部分です。

 スマホゲーム『遊戯王 デュエルリンクス』で無課金にもかかわら…

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投げかけられた問いに、私たちはどんな答えが出せるだろう――ドラマ『パーフェクトワールド』最終話

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 オー・ヘンリーの小説に『賢者の贈り物』という短編作品がある。

 ある若い夫婦が、クリスマスに相手へのプレゼントを渡そうと考える。妻は、夫が大切にしている懐中時計につける鎖を買う。ただし、そのお金を捻出するために、自分の髪を切って売ってしまう。一方、夫は、妻がその美しい髪をとかすための、櫛を買う。そのお金を捻出するため、懐中時計を売ってしまうというものだ。

 皮肉な結末にハッとさせられる部分もあるが、それでも、読んでいてお互いの愛情を感じ、温かい気持ちになる名作だ。

 ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)を見ていて、しばしばこの作品を思い出した。愛する人のために、自分の持っているものを差し出して、違う何かを手に入れる。足りないものと溢れ出るもの。それが何かを考えさせられるのだ。

 3カ月続いた、樹(松坂桃李)とつぐみ(山本美月)の物語もいよいよ最終回。一体どんな結末を見せてくれるのだろうか。

 

父の気持ちが変化していく

 樹と会うことを拒み続けていたつぐみの父・元久(松重豊)だったが、ようやく樹と二人きりで会うことを受け入れ、公園で話をする。つぐみと生活していく上での困難は承知の上、少しでもできることをしてあげたいと話す樹と、それでも結婚は認められないという元久。二人の話は平行線のままだ。

 その時、元久が心臓の発作を起こし、倒れてしまう。不自由な体ながら、救急車を呼び、薬を飲ませる樹。今できる全てのことを行い、元久を助けようとする。元久は病院に運ばれ、一命を取りとめた。

 翌日、元久は心筋梗塞を起こし、緊急手術となる。集まった家族の中で、妹のしおり(岡崎紗絵)は、樹とつぐみを責める。

「お父さんが死んだら、お姉ちゃんたちのせい」そう言うしおりをなだめたのは、幼馴染みの是枝(瀬戸康史)だった。

 樹について、「あの体になって失ったものはあるだろうけれど、あの体になったからこそ得たものも確実にある」是枝はそう話す。

 体が不自由になったからこそ得たもの。それは何だろう?

 人の痛みがわかる優しさ、困難に立ち向かう強さ、愛する人と巡り合うことの喜び……そんなものは、普通の健常者より、強く持っているのかもしれない。幸せの基準は一つじゃない。確かに、足りないものを認識することによって、気づく幸せもあるだろう。

 手術は成功し、元久はリハビリに取り組むことになる。そこで初めて、車椅子の生活を余儀なくされるのだ。そんなリハビリのつらさを一番良く分かっていたのは樹だった。つぐみを介して、メンタル面でのケアなどの助言をするのだった。

 自身で車椅子生活を経験し、また、つぐみのことを支えている樹を見て、元久の気持ちは徐々に変わっていく。退院した元久は樹に会いに行き、「弱いのは自分の方だ」と頭を下げる。そして、結婚を認める。

 しおりと、樹の同僚・晴人(松村北斗/ジャニーズJr.・SixTONES)の関係も、前に進みそうだ。しおりと付き合いたい一心で勉強に励んだ晴人は、見事二級建築士の試験に合格する。足に障害がある晴人は「やっとこれで対等になれる」と話すが、しおりは、「弱点や欠点のない人間はいない。最初から対等だ」と答える。しおりもまた、晴人と出会って変わったようだ。

 樹とつぐみは、結婚することとなり、役所に行く。結婚届を受理するシーン、窓口の人を演じたのは、主題歌「まちがいさがし」を歌っている菅田将暉だった。なかなかニクい演出だったのではないだろうか。

 そして、是枝と樹のヘルパーであった長沢(中村ゆり)も、何やらいい雰囲気だ。樹とつぐみの結婚式の日に、二人はデートしていた。

 彼らは、結婚式に呼ばれなかったのだろうか? いや、多分辞退したんだろう。自分たちとの関係から解き放たれて、樹とつぐみ、二人の世界を新たに築いて欲しい、そんな願いを込めて。

 結婚式、二人で暮らす家の様子、樹がバリバリと仕事をこなす様子、車椅子バスケの試合……ドラマのラストでは幸せなシーンが続く。それぞれが、それぞれの未来に向かって歩き出したのだ。

 今一度、このドラマのキャッチコピーを思い出してみよう。

「いつかこのドラマが、ただのありふれたラブストーリーになりますように」

 それは、障害がある人を特別視しない、ということではないと思う。誰もが足りないものを持っていて、それを補い合って生きている、もしかしたら、その足りない部分こそが、愛おしく、尊いものなのかもしれない。そんなことに気づかされる。

 このドラマは、見ている人にたくさんの問いを投げかけた。障害を持つことは不幸なことなのか? 自分の弱さと向き合うとはどういうことか? そして、普通の生活とはなんなのか?

 それらは、私たちに出された宿題のようなものだ。ドラマはきっかけにすぎない、後は私たち自身の頭で考え、さまざまな人たちと会って、答えを探していけばいい。

 今、社会のありかたや感じ方は、速いスピードで驚くほど変わっている。それはいい面も悪い面もあるだろう。ただ、こんな作品を通して、少しでも「いい方にいったらいいな」という気持ちが芽生えたなら、ドラマが目指した世界に一歩近づけるような気がするのだ。

(文=プレヤード)

人生に「もし」はないから――ドラマ『パーフェクトワールド』第9話

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 テレビや映画を見ていて、何か悪い展開になりそうなシーンが出てくると、ハラハラして見ていられなくなる人というのがいるらしい。「共感性が高い」という特性らしく、かくいう私もそんなシーンを見ると、「ああ、もうやめて」と思ってしまうことがよくある。

 ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)第9話。冒頭のシーンから、そんなハラハラが続いた。

 

復縁した二人に立ちはだかる壁

 冒頭、樹(松坂桃李)とつぐみ(山本美月)が立っていたのは、かつて樹が事故に遭った道だった。まず、前回の、松本で二人が再会するラストシーンとつながっていないことに「おや?」という気持ちになる。

 事故のことを思い出し、「あの時雨が降っていなければ」「あの時自転車を置いて帰っていれば」と、樹は後悔ともつかない気持ちを口にする。でも、人生に「もし」はない。樹は、その時のことをまざまざと思い出し、現状を認識するのだ。

「『もし』がない」ということを実感として知った時、多くの人は、生きていく上での指針を得る。それが樹にとっては、「後悔しないように生きたい」というものだった。その思いにかられ、樹はつぐみとやり直すことを選んだのだ。

 婚約までしていた幼馴染みの是枝(瀬戸康史)を裏切るような形での復縁。当然、周囲の人の反発は大きい。

 つぐみの妹・しおり(岡崎紗絵)は、姉に対し激しく怒りをぶつける。もちろん、そこには、想い続けてきた是枝への愛情や、彼のために諦めた自分の気持ちの無意味さなど、複雑な感情が絡んでいることだろう。

 ここで、時間が少し巻き戻る。樹とつぐみが松本でお互いの気持ちを告白した時、是枝(瀬戸康史)は、つぐみの実家にいた。誕生日を迎えたつぐみのために料理を作り、婚約指輪を用意して、彼女を驚かせようとしていたのだ。

 この時点で、見ている側は、またハラハラが止まらなくなってくる。「この後是枝はどれほどつらく、恥ずかしい思いをするだろう」「つぐみの父・元久(松重豊)はどれほど怒り狂うだろう」――巧みな場面構成によって、緊張の糸が張り詰める。

 そこへつぐみから電話が入る。これから東京に行くという。東京に行ったつぐみと樹が、冒頭のシーンにつながるのだ。

 つぐみの行動を察した是枝は、東京に戻り、樹の家を訪ねる。つぐみと復縁したことを責める是枝と、謝るばかりの樹。本心をぶつけ合った二人、最終的に是枝は、樹とつぐみのことを許す。その後、是枝はつぐみとも会い、婚約は解消。樹との交際も認めた。この是枝の優しさは、どこから来るのだろう。

「好きな人が本当に幸せになることを願う」などというのは、ある意味、綺麗事だ。騒ぎを大きくして関係がこじれたまま別れたら、幼馴染みとしても会えなくなる、という気持ちもあるかもしれない。しかし、一番の理由は、樹を想うつぐみの気持ちの強さに、負けたのではないだろうか。そんな潔さを、是枝は持っているように思う。

 翌朝、樹はヘルパーの長沢(中村ゆり)と会い、ヘルパー契約を解除したいと告げる。しかし、長沢は、特別な感情は抱かないので、続けさせてほしいと答える。

 その頃、つぐみは実家に戻り、樹と再び付き合い始めたことを両親に告げていた。父の怒りは大きかった。それ以降、つぐみとも樹とも話をしなくなったのだ。

 テレビ電話で会話する樹とつぐみ。父との関係に悩む姿をつぐみの様子を見て、樹は言う、「隠し事や嘘はもう無しにしよう」。カップルや夫婦なんて、それなりに隠し事はあるものだと思う。多分、それが普通だ。でも、この二人は、そういう失敗を越えてきている分、より嘘のない関係になれるのかもしれない。

 樹は、仕事で、交通の不便なところにある物件の下見に行くことになる。一人で大変だろうと考えたつぐみは、長沢に同行を依頼する。熱心にお願いするつぐみを見て、長沢は言う。 「あなた、変わったわね」。 そして、つぐみは、「変われたのは長沢のおかげ」と答えるのだ。

 樹は、何度も何度も松本を訪ね、元久と話そうとする。しかし、取り合ってもらえない。元久からすれば、苦労することが目に見えている結婚を認める気にならず、また、息子のように可愛がってきた是枝を裏切ったことにも、許せなさがあったのだろう。

 樹とのヘルパー契約解除を受け入れた夜、長沢は是枝を呼び出し、お酒を飲みながら、それぞれの思いを話す。長い間好きであった相手が、別の人と恋人になってしまう。その意味で、二人の心はわかり合えているようだ。

 このシーンを見ていて、漫画『みゆき』(小学館)のラストを思い出した。

 妹・みゆきの結婚式で、血の繋がらない兄・真人は、「妹と別れたくない」と告白。みゆきもそれに応え、結婚は取り消しになる。新郎であった、サッカー選手・沢田と、真人に想いを寄せていた鹿島みゆきが、旅先で偶然再会し、何かが始まるような雰囲気を残しているのだ。

 同じものを好きでいるという「共感」も大切だが、「同じ痛みを知っている」という共感もまた、人と人との関係においては重要なのかもしれない。是枝と長沢のこれからの関係にも注目だ。

 最後には、樹とつぐみの関係を象徴するようなアイテムが出てきた。つぐみが高校生の頃、樹を思って描いた体育館の絵である。樹への想いを断ち切るため、一度は捨てようとしたものを、是枝がとっておき、樹に渡したのだろう。「絵を見れば描いた人が相手をどれだけ好きかわかる」という是枝の言葉通り、10年以上前のつぐみの樹への想いが溢れている。そして、その二人が見つめる絵もまた、こうして結ばれた二人のことを喜んで見ているように思えた。

 波乱の末によりを戻した二人。応援する人も、認めない人もいる。

 来週はいよいよ最終回。いろんな人の優しさに溢れたドラマだったから、見終えて穏やかな気持ちになれるようなラストを期待したい。

(文=プレヤード)

 

あの疑惑で主演はもう無理!? 松坂桃李、ドラマ&映画の連続爆死に「AV男優にしか見えない」の声

 “爆死俳優”になってしまったのは、演技力不足というだけではなさそうだ。松坂桃李の主演作が立て続けに大コケしている。

 4月期の主演ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)は視聴率5~6%台(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同) と低空飛行。

続いて、5月の主演映画『居眠り磐音』は総製作費50億円を投入、326館という大規模公開にもかかわらず、初週末の興行成績ランキングは7位で、2週目にしてベスト10圏外に追いやられる始末だ。

「この数字では、製作を手掛けた日本テレビの担当プロデューサーは更迭される可能性が高い。テレビドラマ版で好演した山本耕史と比較され、『演技が下手』とのコメントが圧倒的に多いですね」(映画ライター)

 一方、映画の不入りを受けて、ネット上に溢れているのが、「マッサージ嬢に性的サービスを強要した人だっけ?」「俳優じゃなくてAV男優にしか見えない」「マッサージの対価は大きかったな」という声だ。

「やはり、昨年10月にエステ店で女性セラピストに性的サービスを強要したと『週刊新潮』(新潮社)で報じられた一件がイメージダウンにつながっているのは否めない。記事によると、オイルマッサージの最中に喘ぎだしたりしたとされ、複数のセラピストから苦情が寄せられていたとも。これで女性ファンが一気に離れてしまった」(芸能記者)

 窮地に立つ松坂だが、6月28日は、日本でも大ヒットを記録した『サニー 永遠の仲間たち』(2011)や『怪しい彼女』(14)などの韓国映画で注目を浴びた女優シム・ウンギョンとのW主演映画『新聞記者』が公開も控えている。

 もし爆死となれば、シム・ウンギョンも松坂が“不人気な理由”を知ることになるかもしれない。

本当の気持ちに気づいた二人の心の行方は?――ドラマ『パーフェクトワールド』第8話

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 東日本大震災の時、私は東京にいた。ビルの6階にあった事務所で、今まで経験したこともないような揺れを感じ、机の下にもぐりこみながら「これはヤバイかも」と思っていた。

 都内の電車はすべて止まり、道には人と車が溢れていた。親戚や知り合いと連絡を取りながら、30kmほど離れたところにある自宅まで、都内を歩いた。幸い、私自身や近い身内は大きな被害を受けずに済んだのだが、あの日の経験は、忘れることが出来ない記憶となって残り、その後の生き方にも影響したと思っている。

 ドラマ『パーフェクトワールド』(フジテレビ系)第8話は、そんな地震によるアクシデントから始まった。

 

地震によって気づく本当の思い

 樹(松坂桃李)とつぐみ(山本美月)が、仕事で松本へ戻っていた時、長野県地域を地震が襲う。実家にいたつぐみは、樹のことが心配になり連絡を取ろうとするが、電話は繋がらず、行き先もわからない。まずは行きそうなところを探そうと、家を飛び出す。

 その頃樹は、震源地近くのモデルルームで、倒れてきた木材の下敷きになっていた。人を呼んでも誰もおらず、圏外で電波も繋がらない。排尿ができない状況のため、尿毒症、さらには命の危険にまでさらされていた。薄れゆく意識の中で、樹はつぐみとの日々を思い出す。極限の状態で心の中に浮かんだ人。樹は改めて、つぐみが自分にとってどれほど大切な存在か気づいたことだろう。

 東京では、地震を知ったつぐみの婚約者・是枝(瀬戸康史)と、樹のヘルパー・長沢(中村ゆり)が、合流して松本に向かうことになる。

 松本で、樹の救出に向かったつぐみは、なんとか場所を突き止め、樹を救い出すことに成功する。「無事でよかった」と涙を流すつぐみを、樹は思わず抱きしめるのだった。

 無事に救い出された樹だが、道が通行止めになっているため家に帰ることはできず、やむなく避難所に泊まることとなる。しかも、避難所でも場所が空いていないということで、スタッフの車の中で一夜を過ごすことになるのだ。

 樹に付き添うつぐみ。樹は、「このまま死ぬのかもと思った時、つぐみのことを思い出した」と告白する。それを聞いてつぐみは涙を流す。「樹と別れ、是枝と結婚するという自分の決断は間違っていなかったのか」そんな思いに苛まれていたのかもしれない。

 翌朝、助けに来た是枝と長沢が避難所にやってくる。つぐみは是枝と、樹は長沢と抱きしめ合う。そんな姿を、それぞれがそれぞれの思いを抱いて見ている。

 もし、愛情の深さを数値化できるとしたなら、それぞれの思いは、どんな大きさになっているのだろう。樹のことを思う長沢とつぐみ。そして、つぐみを思う樹と是枝。誰の気持ちが一番大きいのか。現実にそんなことはないのだけれど、より強い愛情を持っている人が、幸せになってほしいと考えてしまう。

 是枝に昨夜のことを聞かれたつぐみは、車の中ではなく避難所で休んだと嘘をつく。樹はそれを聞いて、つぐみとの間にまた新たな秘密を持ってしまったことを感じる。そして、是枝は、ふとしたことから、つぐみが一緒に車の中にいたことを知ってしまう。

 愛情、嫉妬、疑念、迷い。そんな気持ちを抱いたまま、是枝はつぐみとの結婚の準備を進める。

 一方、東京に戻った樹は、今まで以上にバリバリと仕事をこなしていた。そして、松本の案件は、後輩の沢田(池岡亮介)に引き継ぐことにした。つぐみとは、次の地鎮祭で会うのが、最後になる。

 地鎮祭を終え、東京に戻る車中、樹はふいに車を降り、つぐみの元に引き返す。つぐみも樹の元に向かう。改めて再会した二人は、しっかりと向き合い、気持ちを口にする――。

 今回は、見ていてハッとした点が2つあった。

 ひとつは、地震の後、久しぶりに食べ物を口にした樹と是枝の言葉だ。どちらもひと口食べた後、言うのだ「生き返る」。もしかして、このシンクロは、樹と是枝がどこか似ているところがあるという、製作者側のメッセージではないだろうか。タイプは違って見えても、ともにつぐみを愛し、つぐみに愛されているのだ。その根底に、似たものがあっても不思議はない。

 そして、もうひとつはスローモーションの使い方である。今回、それが印象的に使われたシーンが2つある。

 まずは、避難所から、つぐみと是枝が帰っていくシーン。これは、樹の目線と心の動きを表したものだろう。次に、地鎮祭が終わり、つぐみと樹が分かれるシーン。こちらは、双方の目線、そして心情が表れているように思う。

 思いが溢れて、心が現実に追いつかない。そんな状況を、スローモーションという手法で表現したのではないか。確かに、このシーンで切なさが伝わってきた。演出は成功と言える。

 今回、地震というアクシデントを経験して、二人は本当の気持ちに気づいてしまった。心にフタをして忘れようとしていた気持ち。気づいてしまった以上、あとは、判断だ。多分、どの道を選んだからといって、不幸になるわけではない。是枝と一緒になれば、そういう幸せがあるし、樹と一緒になれば、また違った幸せがあるのだ。状況をしっかりと見つめ、自分の心に問いかける。彼女たちが出す結論は、一体どんなものなのか。終盤に向け、波乱の展開がやってきそうだ。

(文=プレヤード)