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世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。
[第16回]
福島悪魔祓い殺人事件
1995年は今から振り返っても異様な年だった。1月、阪神大震災、3月、オウム真理教による地下鉄サリン事件、当時の警察庁長官・国松孝次狙撃事件。そして一連のオウム事件――世の中全体が不安と不穏な空気で充満していたのが95年だ。そして、この年7月に発覚した「福島悪魔祓い殺人事件」もまた、この時代にふさしい異様なものだった。
ことの発端は95年6月18日早朝、1人の老女が福島県須賀川市の「女祈祷師」を訪ねたことだった。老女には石田秀子(33)という娘がいた。しかし最近、娘とその家族と連絡が取れないことを不審に思っていた。娘一家は、孫のぜんそくを診てもらっている女祈祷師である江藤幸子(47)に心酔しているらしい。老女は胸騒ぎを覚え、女祈祷師の元に急いだ。


