“セックス”の意味に揺さぶりをかける、木嶋佳苗の男と金の価値観

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第3回]

首都圏 婚活連続不審死事件

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「死刑に処するのが相当だと思います」

 初公判からおよそ3カ月経った3月12日。検察の論告求刑は「極めて巧妙で悪質な手口。反省の態度、更生の意欲、可能性すら皆無と言わざるを得ない」として、極刑を求刑した。3人の殺害という起訴事実からも容易に想像できた求刑だが、しかしその瞬間も当事者である木嶋被告は、これまでの法廷と変わらず表情を変えなかった。

「とにかく頭が良かった」中学時代の木嶋佳苗、その異常なる行動力と冷静さ

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前編はこちら

■婚活サイト登録から9日で男性宅へ引越し

 異常なる行動力、熱意とタフさ。それは法廷での木嶋被告の尋問からもうかがえる。

 板についた丁寧語で、弁護側尋問には謳う様に証言する木嶋被告。傍聴席からは後ろ姿しか見えないが、"カナエ"の丁重な話し方、かわいい声だけを聞いていると、犯罪とは無縁の、育ちがいい女性にしか思えない。質問にも一拍置いて丁寧に答えるなど、受け答えの様子は決して頭は悪くないという印象だ。中学時代の木嶋被告は「とにかく頭が良かった」らしい。

 頭の良い木嶋被告なら、当時、引越しただけで捜査の手から逃れられるはずもないことは分かっていたはずだが、彼女を取り巻く過去の出来事を考えれば、逃げ切れると考えていたとも思える。

女としての自信と"落差"、騙される男たち……木嶋佳苗という女の闇を追う

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第3回]

首都圏 婚活連続不審死事件

 千葉県野田市。東武野田線の小さな駅がある。駅前にはコンビニや飲み屋が数件ある典型的な郊外駅だ。線路沿いをしばらく歩くと、一戸建て住宅が集合する一角がある。新築から数年と、さほど時間が経っていないのだろう。ほとんどの家は、外観も美しく延床面積も比較的広そうだ。夕方にはワゴン車から大きなスーパーの袋を抱えた若い母親が、子どもとおしゃべりしながら楽しそうに自宅に入っていく。幸せな一家団欒――。

 そんな郊外の典型的ともいえる新興住宅街の中に、木嶋佳苗被告(37)が逮捕まで最後に過ごした一戸建て住宅があった。

「ぜーんぶが、もういいやって」明かされた"セレブ妻"の生活苦

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■度重なるDVからの逃避、離婚への打算

 暴力が渦巻く生活の中で、転機は2度訪れている。離婚を決意して実家に戻った歌織は、父親から「あれだけ反対した結婚なのに、こういう形で戻ってくるのはどういうことだ。おまえが一番だらしない。今のこのざまは何だ」と罵られ実家を去る。その翌年、鼻の骨を折られ警察経由でシェルターに保護され、PTSDと診断され離婚を勧めらる。しかし、歌織は即離婚には踏み切らなかった。

ブランド信仰女が陥ったDV生活の果て…… 殺人者となった渋谷"セレブ妻"

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だったーー。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感ーー女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第2回]
渋谷セレブ妻バラバラ殺人事件

 渋谷の高級マンションに住み、ブランド物に囲まれ、何不自由ない暮らしを送っているように見えたセレブ妻、三橋歌織(当時32歳)が、年収1億円とも言われる外資系企業に勤めるエリートサラリーマンの夫を殺害。2006年12月12日早朝、夫の祐輔さん(当時30歳)の頭をワインボトルで殴打して殺害、遺体をのこぎりで切断し、路上や公園に遺棄した。逮捕された歌織は、友人男性と会話するブリッコ丸出しの「やだ、うっそー、何それ、どうしよう」という肉声が全国に流され、その際、「カオリン」と呼ばれていたことから呼び名が定着。女優の小雪似の美貌とセンスのよい法廷ファッションも世の好奇の目を集めた。

過剰な自己憐憫と独占欲……バラバラ殺人に向かった "女帝"のほころび

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世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だったーー。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感ーー女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第1回]
福岡美容師バラバラ殺人事件