「都会的でトンでる女」宮崎知子、連続誘拐殺人の手口とフェアレディZ

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第6回]
富山・長野連続女性誘拐殺人事件

 戦後の女性死刑確定囚は14人。その1人が富山・長野連続誘拐殺人事件の宮崎知子(事件当時34)だ。この事件が人の記憶に残るのは、“フェアレディZ”という当時人気のスポーツカーが誘拐の道具として使われたこと、連続誘拐事件という凶悪な犯罪が“女”の手で行われた犯行だったことだ。さらに事件発覚から裁判に至るまで、宮崎と共に逮捕された愛人・北野宏(28)が“主犯”と誤認されたことも大きな話題となった。

 女性による誘拐殺人事件、共犯とされた男、冤罪とがセットになった事件だったのだ。

 1980年(昭和55年)2月23日、当時高校を卒業間近だった長岡陽子さん(18)は富山駅で、女に「お茶でも飲まない? 車で送っていってあげる」と誘われた。バスの時間までかなりあったこともあり、女の愛車・フェアレディZに乗ってしまう。そしてこの日、女の会社「北陸企画」に泊まった。翌朝、心配をしていた母親の元に陽子さんから電話が入った。「駅前で女の人に声を掛けられて『アルバイトをしませんか』と誘われて泊まった」。だがこの日も陽子さんは戻らず、さらに翌日、陽子さんは「北陸企画にいる」と母親に電話で伝えている。

「婚期を逃したハイミス」の時代に生きた、伊藤素子の「犯罪の影に男あり」

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(前編はこちら)

■「30歳を過ぎ、貯金も尽きた女には後がない」

 犯行当日の3月25日。出社した伊藤はオンラインを操作し、事前に開設しておいた4つの架空口座に計1億8,000万円を入金した。時間にして30分もかからなかった。銀行を出て大阪、東京と移動し、5,000万円の現金を引き出した。そして羽田空港から香港を経由して、マニラへと逃亡。1カ月後に必ずマニラに行く、という南との約束を胸に。

 この間、南は直接自らの手を汚してはいない。事前に架空口座を作る際も、伊藤に手続きをさせ、自分は通帳に指紋を残さないようにした。犯行当日も、最初の約束の時間に現れなかった南。その理由は自分のアリバイ工作のためだった。伊藤が1人で銀行を回っていた頃、知り合いに頼んだり、代議士に面会したりしてアリバイ作りをしていたのだ。その後伊藤と合流し5,000万円を手にした南は、そのうちの一割にあたる500万円だけを伊藤に渡した。また羽田空港への同行まで拒否している。「一緒に行ったら目立つから」という理由だった。自分だけ逃げられればいい。その証拠に約束の1カ月を過ぎても南はフィリピンに行くことはなかった。

「私の将来は金しかない」結婚への執着と諦観の先……伊藤素子の焦燥

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世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第5回]

三和銀行オンライン詐欺事件

 現在に機軸を置くとすれば、これほど“時代”を感じさせる女性犯罪者はいない。「三和銀行オンライン詐欺事件」の伊藤素子である。

 昭和56年(1981年)3月25日、三和銀行(当時)大阪茨木支店において1億8,000万円の架空入金が発覚する。入金オンライン操作をしたのは預貯金係の伊藤素子(当時32歳)。伊藤は当日午前「歯医者に行く」と言い残し銀行から外出、そのまま帰ってくることがなかった。だが当初、上司たちは伊藤が関与したとは思ってもいなかったという。14年間、真面目に働いてきた伊藤は周囲からの信頼が厚かった。だが、端末機や伝票記録を調べたところ、架空入金をしたのは姿を消した伊藤だった。

女の犯罪にはドラマがある!? 神林×安彦×高橋が木嶋佳苗を語り尽くす!

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『木嶋佳苗劇場』(宝島社)

 死刑判決が下されてから1カ月以上がたった現在でも、木嶋佳苗への世間の関心は薄れるどころか、関連書籍が次々と刊行され話題を呼んでいる。サイゾーウーマンで連載中の神林広恵と霞っ子クラブの高橋ユキによる共著『木嶋佳苗劇場』(宝島社)は、法廷証言録やカナエギャル座談会、そして岩井志麻子や中村うさぎらによる“木嶋佳苗考察”が収録された興味深い1冊となっている。今回は、共著の2人と漫画家・安彦麻理絵の3人による異色の座談会を決行。なぜ女は木嶋から目を逸らせないのか? 男が木嶋事件に無関心なのはなぜか――木嶋佳苗から女性犯罪者までを語り尽くす!

木嶋佳苗に翻弄された検事、記者、それぞれの“法廷ショー”

 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

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[第4回]

首都圏 婚活連続不審死事件

前回はこちら

 木嶋事件がこれだけ注目を浴びたのは、彼女がデブでブスだったからだ。もうこれは断言するしかない事実である。

死刑という“現実”を凌駕した女……裁かれたのは木嶋佳苗の人格か

 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

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木嶋に判決が下される日、さいたま地裁は報道
陣でごった返した

[第4回]

首都圏 婚活連続不審死事件

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 4月13日、さいたま地裁は木嶋佳苗被告に対し3件の殺人及び7件の詐欺(未遂)、窃盗全ての罪状を認めた上で、求刑通り死刑を言い渡した。

 今回の木嶋事件はその容姿や言動、木嶋の特異な価値観やパーソナリティが大きな注目を浴びた。だが、それと司法手続きにおける判決とは全く別ものだ。そもそも動機もほとんど解明されたとはいえず、また直接的な証拠もない。一審判決はしかし、殺人を含む全ての事件が木嶋の手によるものだと断じたのだ。

死刑という“現実”を凌駕した女……裁かれたのは木嶋佳苗の人格か

 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

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木嶋に判決が下される日、さいたま地裁は報道
陣でごった返した

[第4回]

首都圏 婚活連続不審死事件

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 4月13日、さいたま地裁は木嶋佳苗被告に対し件の殺人及び7件の詐欺(未遂)、窃盗全ての罪状を認めた上で、求刑通り死刑を言い渡した。

 今回の木嶋事件はその容姿や言動、木嶋の特異な価値観やパーソナリティが大きな注目を浴びた。だが、それと司法手続きにおける判決とは全く別ものだ。そもそも動機もほとんど解明されたとはいえず、また直接的な証拠もない。一審判決はしかし、殺人を含む全ての事件が木嶋の手によるものだと断じたのだ。

木嶋佳苗の巨大な欲望の前に打ち砕かれた、男たちの“儚い夢”

 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

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[第3回]

首都圏 婚活連続不審死事件

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良家の子女の顔と窃盗癖の顔……木嶋佳苗の10代と上京後

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第3回]

首都圏 婚活連続不審死事件

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「今まで(セックスを)した中で一番いい。テクニックよりも本来持っている機能が普通の女性よりも高い、と褒めてくれる人が多かった」
「(愛人関係にあったのは)企業の役員や会社経営者、学者、医師、弁護士など社会的地位の高い人ばかり」
「(セックスの到達点とは)長時間快感が持続すること。トランス状態で私をオーガズムに導き、トリップすること」
「性の奥義を究めたい」
「道具を使うセックスは邪道」

 木嶋被告が法廷で繰り出した数々の“セックス語録”である。悪びれるわけでもなく、法廷で自らのセックス談義を披露する木嶋被告は、一体どんな軌跡をたどり、この法廷に辿りついたのか。

“セックス”の意味に揺さぶりをかける、木嶋佳苗の男と金の価値観

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第3回]

首都圏 婚活連続不審死事件

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「死刑に処するのが相当だと思います」

 初公判からおよそ3カ月経った3月12日。検察の論告求刑は「極めて巧妙で悪質な手口。反省の態度、更生の意欲、可能性すら皆無と言わざるを得ない」として、極刑を求刑した。3人の殺害という起訴事実からも容易に想像できた求刑だが、しかしその瞬間も当事者である木嶋被告は、これまでの法廷と変わらず表情を変えなかった。