銀幕スターとの生活で膨らむ優越感……「高島家長男殺害」の少女

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第11回]
高島忠夫長男殺害事件

 2011年から12年にかけての芸能ニュース大トピックスの1つだったのが、俳優の高嶋政伸・美元夫妻のドロ沼離婚劇だ。「俳優生活を投げ打ってでも」離婚したい夫と「離婚する理由がない」と離婚を断固拒否する妻は、メディアを巻き込んでドロ沼の離婚裁判劇を演じた。

 父は俳優の高島忠夫、母は元宝塚の寿美花代、兄も俳優の高嶋政宏という華麗な芸能一家に巻き起こった次男坊の離婚騒動――。しかし、政伸は正確には高島家の“次男”ではない。政宏と政伸の兄弟には、昭和39年に誕生した“兄”が存在したのだ。本来なら高島家の“長男”となるはずだった、そして高島夫妻にとっては待望の最初の赤ちゃん。名前を道夫というその長男は生後5カ月で亡くなった。しかも自宅の浴槽に沈められて殺害されたのである。

世間と身内に隠され続けた女性と子ども――「栃木実父殺し」から現在へ

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 14歳の子どもが実の父親に無理やりレイプされた。そのことを母親は知っていた。それを阻止しようとするが、自身が暴力を振るわれ、子どもを人身御供のようにおいて家を出た。母親の親族も父娘の近親姦を知っていた。だが、政吉の剣幕の前に手をこまねくばかりだった。また政吉の親族も然りである。事件後の政吉の弟の供述調書には以下のような下りがある。

「実の父と実の娘が夫婦然として生活しており、世間に対していろいろ恥ずかしい行為をしていた。他兄弟や親戚の者も軽蔑して寄り付かなかった」

15年にわたる実父の強姦が黙殺された、「栃木実父殺し事件」の時代

 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

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[第10回]
栃木実父殺し事件(尊属殺法定刑違憲事件)

 昭和43年10月5日3人の子持ちの女、浅川サチ(29・仮名)が、父親の政吉(52)を殺害したとして逮捕された。罪名は刑法200条にあった“尊属殺人”である。現在では聞きなれない罪状だが、当時は歴然と存在していた罪だ。名前の通り、自分または配偶者の直系尊属――父母、祖父母、曽祖父母――に対する殺害であり、通常殺人より重い<無期または死刑>という罪が科せられるものだった。今の感覚からは時代錯誤で、人権、平等といった法理念からかけ離れたものだ。しかし家父長制度、家庭という社会的基盤維持、儒教的考えなどから、当時親殺しは重罪とみなされていた。

 だがこの父親殺しの背景には、サチに同情すべき事実が存在した。サチと父親の間には長年にわたる近親姦関係の強要、その上での妊娠、出産といったおぞましくも悲しい事実があったのだ。そのためこの事件は「尊属殺の重罰規定は法の下の平等に違反する」と、憲法議論にまで発展していく。

自作自演の膨大な嘘とストーリーで完全犯罪も――死刑囚・吉田純子

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■弁護士さえやり込む純子の巧妙な話術

 その後も純子の金に対する執着は高まるばかりだった。が、2人の収入など高が知れている。そんな、平成6年、純子は看護学校で知り合った石井ヒト美がマンションを売ってまとまった金を持っていることを知る。純子は早速接触を図り、ヒト美の夫の不倫トラブルと借金をデッチ上げた。そして“先生”を持ち出し解決を申し出る。結果、ヒト美からトラブル解決金として750万円を騙し取ることに成功するのだ。

 平成8には純子は同じく看護学校仲間だった池上和子に触し、かつて純子と和子がいじめた准看護婦が、「和子のせいで不幸な生活を送っている。和子を恨んでいる」と巧みにトラブルをデッチあげた。そして、その解決金として2,800万円を騙し取った。さらに平成9年、純子は別の同僚看護婦の医療ミスをデッチ上げ、被害者家族への解決金と1,000万円を要求、それを手にしたこともあった。この時のエピソードは純子の“力量”を知る上で興味深い。

女4人組の女帝と下僕――死刑囚・吉田純子が構築した異常な主従関係

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第9回]
福岡4人組保険金連続殺害事件

 社会を騒がせる重大事件の中には、往々にして類似点が指摘されるものがある。比較的最近では尼崎連続不審死事件の角田美代子、北九州連続殺人事件の松永太、そして今回取り上げる久留米の看護婦4人組による連続保険金殺人の主犯・吉田純子である。これらに共通するのが、主犯による従犯への恐怖や暴力による“洗脳”と”支配”だ。

 平成14年8月、中年女性が伯父に伴われ久留米署に出頭した。ベテラン看護婦の石井ヒト美(当時45歳)だった。ヒト美は警察で夫の殺害を告白する。そこから明らかになったのは、夫殺害はヒト美だけでなく看護婦仲間3人が関わっていたこと、また殺害されたのはヒト美の夫だけでなく共犯看護婦の別の夫も殺害されたこと、2件はいずれも保険金目的の殺害だったという驚くべきものだった。これが世に言う「看護婦4人組連続保険金殺害事件」だ。

貧困の時代が生んだ、昭和の毒婦・小林カウの無学と女性性

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 当時、このホテル日本閣事件は女による連続殺人ということで世間が驚愕した。「昭和の毒婦」などとマスコミ報道も盛んで、日本閣には連日見学者が集まった。塩原周辺の人気観光地の一番は那須御用邸だったが、次が日本閣という具合に。初公判にも多くの人が殺到、あぶれた人びとが法廷の外に陣取った。

 貧困の中に育ち、金持ちとの結婚を夢見た女は、不本意な結婚で性的にも不満を持ち続けた。1男1女をもうけたが、長男は17歳で死に、長女は音信不通で、家族に恵まれたとはいい難い。若い男と初めての恋をしたが、貢いだ末に捨てられた。その間も多くの男と関係したというが、それは仕入れ代金や生活費をタダにするための物々交換という概念。信じられるのは金と自分だけ。金のためには身骨惜しまず働き、自分の肉体さえも利用して男を操った。

 カウが善悪の区別さえついていたの疑問だ。

“女”であり続けた死刑囚・小林カウのセックスと金の欲望の先

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第8回]
ホテル日本閣殺人事件

 小林カウは戦後初めて死刑を執行された女死刑囚である。若い男に自分の肉体を与え、その男たちを巻き込みながら3人の人間を殺害した。逮捕された後も、カウは“女”であり続けた。取調べでは捜査官の気を引こうと、手を握ったりシナを作り、着物の裾から“局部”を覗かせることもあった。セックスの話にも積極的だったという。公判でも派手な着物と厚化粧、レースの被り物をしたこともあった。裁判官に色気も振りまいた。まさか自分が死刑になるとは思わず、留置所でも明るく振舞っていたという。

 これは、日本が終戦を経て高度成長期へと突入する直前、貧困と無知の中、自らの肉体を使うことも厭わず、金銭に執着した悲しい女の一生である。

「一生逃げられない」家族で支配と従属を繰り返させ呪縛するモンスター

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■緒方純子と松永太の出会い

 1962年、純子は緒方家の長女として生を受けた。祖父は元村会議員、父は農協の副理事を務める裕福な名家だった。厳格な父の元、まじめで順々な少女だった純子は地元の短大に進む。20歳になった頃、高校の同級生だった松永と再会し交際へと発展した。当時、松永は結婚していたが、「必ず離婚する。緒方家の婿養子になる」といって純子だけでなく家族も籠絡した。最後まで反対する純子の母親を、言葉巧みにラブホテルに連れ込んで関係を持ったともいわれる。そして純子への暴力が始まった。「処女ではなかった」から始まり、些細なことで暴力を振るわれるうち、純子は「暴力を振るわれる自分が悪い」という心理に追い込まれていく。次に、松永は純子を家族や友人から切り離していった。友人たちにひんしゅくを買うような電話を強要し、勤務先の幼稚園も辞めさせた。社会との関係を遮断させるのは、DVでもよく用いるパターンだ。友人や家族から隔離させることにより、松永は純子にとっての“唯一神”“絶対支配者”として君臨することに成功する。

 だが、当初は純子も多少とはいえ抵抗も試みている。それは自殺という自己犠牲の方法だった。だがこれは未遂に終わる。松永の呪縛は自殺未遂以降、さらに激しさを増していった。何度か逃亡も試みたが失敗したという。

尼崎から10年前――監禁、暴力による恐怖支配の“服従者”緒方純子

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 世間を戦慄させた殺人事件の犯人は女だった――。日々を平凡に暮らす姿からは想像できない、ひとりの女による犯行。彼女たちを人を殺めるに駆り立てたものは何か。自己愛、嫉妬、劣等感――女の心を呪縛する闇をあぶり出す。

[第7回]
北九州一家監禁殺害事件

 日本の犯罪史上最も戦慄すべき猟奇事件として、現在世間を大いに騒がせているのが尼崎連続変死事件だ。主犯格と見られている角田美代子容疑者(64)の元、多くの人間や家族が角田の支配下に置かれ、角田の周辺では少なくとも8人の死亡、行方不明者が存在する。

「凶悪事件犯は男」――時代の論理を覆した女死刑囚「フェアレディZ」

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■犯行時の信条は「お金持ちだけが幸せになれる」

 知子は一攫千金を夢見ていた。金銭的に恵まれなかった幼少時代。しかし中学時代から周囲に「自分の父親は地主で大金持ち」といった嘘を吹聴しミエを張った。学力は優秀だったが、家の経済事情で合格した東京の大学にも入学は果たせなかった。最初に結婚した夫はムスタングに乗り「カネがなくても、最高の車に乗り、高級品を身につける。そうすれば自然にカネ回りがよくなる」と嘯くような男だ。そして離婚したが、地道に働くのではなく、売春をし、実母とともに生活保護を受ける生活へと落ちていた。知子は派手な服装で頻繁に外出し、周囲に怪しい儲け話を持ちかけ、「父は古美術の鑑定家」「父親の膨大な遺産が入った」という嘘を相変わらずついた。「貧乏人はいくら苦労しても絶対に幸せになれない。この世はお金持ちだけが幸せになれる。絶対に」。地道に働くなんて真っ平。これが犯行時の知子の信条だったという。また溺愛している息子を医者にするという夢のためにも金が必要だった。そんな中、知子が実行したのが2件の誘拐事件だった。

 知子は一攫千金ばかりに固執した。だがその犯行は実に行き当たりばったりだと言わざるを得ない。保険金殺人にしても、あまりに安易な方法で失敗しているし、誘拐にしても遺体を隠すことなく投げ捨て、挙げ句2件とも金を入手すらできていないのだから。