鈴木保奈美、女優なのに「PASMOで電車に乗った私」をアピール! 「婦人公論」連載でダダ漏れになった自意識

 「婦人公論」(中央公論新社)の5月25日号が発売中です。同誌のカナメといえば、濃い読者手記ですが、今回の特集はその傑作選「私たちのノンフィクション 幸せは涙のあとに」。読者より寄せられたノンフィクション原稿の中から、編集部が選び抜いた「珠玉の6篇」がドドンと掲載されています。胸やけするほど読み応えのある今号の中身、さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎私たちのノンフィクション 幸せは涙のあとに
◎私はこう読んだ 伊藤比呂美、内田樹
◎鈴木保奈美 獅子座、A型、丙午。

読者の暴走プラトニックブ体験記

 特集「私たちのノンフィクション 幸せは涙のあとに」に掲載された6篇の手記の内容は、とてもヘビー。認知症、不倫、がん闘病、精神科入院、借金、遺産争い、兄からの性的虐待――と、盛りすぎの昼ドラのようなラインナップです。

 そんな中、わずかながら希望が感じられなくもない1篇も。そのテーマは「片思い」。ずっと離婚したいと思っていた夫が亡くなったあと、絵画教室の「若い素敵な」男性の先生(60歳・既婚)に恋している76歳女性による手記です。

 「レッスン日のあとは、絵の仲間には知らせずいつも2人きりで夕食をご一緒している」とあり、イイ感じなのでは!? と思ったのも束の間、「支払いは私持ちというのがちょっと気にかかる」。それってタダ飯要員では。

 しかし、夫の遺産がそれなりにあるこの女性、「払える私が払うのが当然かな」と納得したそうで、ある日、先生に愛を告白。結果は、「不義です。それは罪です」と振られてしまったとのこと。なんてイケ好かない野郎。“生徒を惑わすオレ”に酔っていやがる……!

 先生とは振られたあとも食事を続けているそう。つまり、夫の遺産でタダ飯を与え続けているだけなのですが、女性は「もしかして先生もプラトニックラブと思ってくれているのでは」「ああ、身も心も愛されたい」「せめて指一本くらい触らせて」と暴走ぎみです。恋心はいくつになっても人を狂わせるようだ……と教えられました。

 読者手記のあとには、プロがその内容に感想を述べる「私はこう読んだ」という企画も。詩人の伊藤比呂美氏、思想家の内田樹氏によるコメントが掲載されています。読んでみると、意外と厳しい。

 伊藤氏は「『〇〇さ~ん』の”〜”は禁止(中略)。文芸作品に、こういう記号は不要です。『さーん』でいい」等、こまやかな修正を提案。
 
 内田氏は「感情を自制できていることを示そうとすると、なかなかこれほど生々しいものは書けません」と絶賛する一方で、「もちろん実際にいろいろご苦労をされたわけで、大変な人生だったと思います。しかし、少々厳しく聞こえるかもしれませんが、そのご苦労のいくぶんかは無意識のうちに自分で招き寄せたもののようにも見える」とも指摘。「みなさん自分で『穴』を掘って、その定型の中に自分から進んではまり込んでいるような印象」と語っています。

 一歩間違えば読者による“不幸自慢大会”や“悲劇のヒロイン博覧会”になってしまう手記特集に対する、冷静なツッコミだと感じました。

 読者の超力作手記を読んだあと、ほっと一息つける(気が抜けるとも言える)のが鈴木保奈美の連載エッセイ「獅子座、A型、丙午。」です。

 80年代を引きずったホナミ文体による、THEトレンディー・エッセイ。今回は“女優なのにPASMOを使って電車で現場入りしちゃったホナミ”という自意識を直球アピールする、ほほ笑ましい内容となっています。

 それは「新調したバーミキュラのフライパンで自分史上最高のベーコンエッグができた朝」のできごと。マネジャーから、“高速が大渋滞しているから電車で現場入りするように”と連絡を受けたホナミさん。

「え? 一人で電車? と思われたあなた、あのね、アンジェリーナ・ジョリーじゃないんだから、女優だって電車乗るわよ」
「PASMOも持ってるって」
「撮影現場についたら、『ホナミさん電車で来たの!?』とみんなに言われた。だからさ、ジェニファー・ロペスじゃないんだから」
「PASMOをピローン、って乗ってきたのよ」

 非日常のワクワクどきどき感がダダ漏れです。

 読者の人生全てを注ぎ込んだかのような手記を読んだあとでは、“電車に乗った”というだけでエッセイを一本書けてしまうホナミさんの特殊さが染み入ります。

 ちなみにPASMOは「ピローン」とは鳴りません。「ピピッ」です。次に電車に乗るときには(いつになるのかわかりませんが)ぜひ耳を澄ましてみてください、とホナミさんに伝えたいです。

家事は「女の仕事」でも「愛情」でもない! 「婦人公論」の主張が、読者から反感を買いそうなワケ

 「婦人公論」5月11日号(中央公論新社)が発売になりました。今回の特集は「家事は、もうひと工夫でラクになる」です。ていねいな生き方を目指すイメージが強い「婦人公論」読者。「ラクになる」コツを伝授するはずのこの特集からも、家事へのマジメな姿勢がびしびし伝わる内容となっています。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎読者アンケート・126人のホンネ「楽しい」「つらい」の境界線は
◎本橋ひろえ 五つの洗剤だけで家じゅうピカピカに
◎佐光紀子 不機嫌になるくらいならやめてみよう

家事は自分がやってこそ「家事」という価値観

 最初に見ていくのは、特集内の読者アンケート「『楽しい』『つらい』の境界線は」。平均年齢57.7歳、合計126人のアンケート回答から、家事へのホンネを読み解く企画です。

 「好きな家事は?」という問いへの答え1位は「洗濯」で68人。2位は「食材や日用品の買い物」で56人、3位は「布団や洗濯物を干す」で47人。一方の嫌い1位は「お風呂場の掃除」58人、2位は「アイロンがけ」51人、3位は「料理」46人となっていました(共に複数回答可)。嫌いな家事しかない身としては、「好きな家事」があるというだけで尊敬です。
 
 別の問い「家事で疲れを感じるときを教えてください」には、少数ではありますが「特に感じない」派の声も紹介されており、驚きました。「週3回、調理補助のパートをしているので、夫と2人分の食事はチョロいぜ、と思う」「毎日のルーティーンになっているので」とのこと。この“仕事に比べたらラク”や“習慣だから”というのは、“家事に疲れを感じていない”というよりは、“慢性的な疲れで麻痺してる”に近いのでは!? との疑念も浮かびました。
 
 ほかの問いにも「本当はすべての家事が苦手。でもダメな女と思われそうで、必死にやっている」「夫に家事を頼んだら、『俺がやったらお前の仕事がなくなるだろう』と言われた」「食洗機の導入も夫と姑から反対された」「家事は自分がやってこそ『家事』だと思っている」などの回答が。「婦人公論」読者層は主に、昭和な価値観で育った年代であることを痛感させられました。家事の一番のつらいところは、“家族(特に夫)からの圧”なのかもしれません。

 次に見ていくのは、全国でナチュラルクリーニング講座を開催している本橋ひろえさんによる「5つの洗剤だけで家じゅうピカピカに」。“5つもの洗剤を使い分ける”という面倒くさいことが、「ラク」に分類されていることにまず驚きです。

 本橋さんの言う「ナチュラルクリーニング」とは、合成洗剤を一切使用しない掃除。「掃除は毎日のこと」だから「たった5種類の洗剤」で「時短」しましょう、とのことですが、「掃除は毎日のこと」という前提からして、意識の差を感じます。同誌読者にとっては当然の前提なのでしょうか。

 その5種類とは「重曹」「過炭酸ナトリウム」「石けん」「クエン酸」「アルコール」とのこと。“地球にやさしい”という大きなメリットのことを考えれば耐えられる面倒くささ……であるかどうかはその人次第ですが、とにかくこれは一般的な「ラク」ではないと信じたいです。

家事礼賛を「古い価値観」「刷り込み」とバッサリ

 最後に紹介したいのが、ナチュラルライフ研究家・佐光紀子さんによるアドバイス記事「不機嫌になるくらいならやめてみよう」です。

 『「家事のしすぎ」が日本を滅ぼす』(光文社)や『家事は8割捨てていい』(宝島社)といった、興味をひかれるタイトルの著作で知られる佐光さん。今回の記事でも、「家事は女の仕事であり、ちゃんと家族の世話をするのが良き妻、良き母。そんな古い価値観に縛られている人はまだまだ少なくない」とバッサリいきます。

 さらに「日本では、愛情弁当という言葉もあるように、『家事は愛情の証し』と考えがち」とし、「この発想が『ちゃんと家事をやらなきゃ』につながっているのでしょう」と分析。「家事は愛情ではなく、日々の生活を回すための技術」「何品もおかずを用意し、部屋をきれいにして……ちゃんと家事をする妻・母は愛情深くて素晴らしい。そんな刷り込みから自分を解放して」と提言しています。
 
 佐光さんの著書のAmazonレビューの評価が賛否真っ二つに分かれていることからも想像できるとおり、先のアンケートで「家事に疲れは感じない」と回答した“麻痺してる”群からは、「今まで頑張ってきたことを否定しないで!」といった反感も買いそう。しかし、そんな反感を抱く人にこそ、ちゃんと読んでほしい記事だと感じました。

まるで戦時中の「ぜいたくは敵だ!」! 「婦人公論」90歳絵本作家のインタビューを疑うべき理由

 発売中の「婦人公論」(中央公論新社)4月27日号。「暮らしも遊びもお金をかけず、楽しく豊かに」と銘打った特集で、「使うお金は抑えめに、気持ちの充実を味わうヒント」を紹介する読み物が中心となっています。

 先月にも同誌では、似たような中身の特集「エコだけどケチじゃない『始末のいい』暮らし」(3月9日号)を展開。変化したのは、先月は「エコだけどケチじゃない」にこだわっていたのが、今号では「使うお金は抑えめに」と、はっきり“ケチを推奨”してきた部分でしょうか。コロナ禍が長引くにつれ、誰もが少しずつ余裕をなくしてきたということを示しているようで、怖くなりますが、さっそく中身を見ていきましょう。

<トピックス>
◎門倉多似亜 ささやかな幸せは暮らしのそこかしこに
◎甲斐信枝 90歳の絵本作家、大切なことは草や虫たちが教えてくれた
◎アズマカナコ 冷蔵庫・洗濯機ナシ。家族5人のエコ生活

スタバがなければベランダに出ればいいじゃない?

 まずは特集内の、料理研究家・門倉多似亜さんインタビュー「ささやかな幸せは暮らしのそこかしこに」。昨年8月、東京から夫の実家がある鹿児島県鹿屋市に移住。その日々をつづったエッセイ集『心地よく、ていねいに、ゆとりを楽しむこれからの暮らし方』(扶桑社)を3月に発売したそうで、今回のインタビューでは、「今いる場所でいかに快適に暮らすか」をテーマに語っています。

 鹿児島に転居する際、新居は前回の家とはスペースや間取りが違うと気付いた門倉さん。「そこで、家具はすべてサイズを測り(中略)配置を具体的にイメージし、どうしても入らないものはあきらめました」とのこと。なるほど。それは、引っ越しする人のほとんどがやる作業。しかし、そこを当たり前と思わず、“こんなクリエイティブな作業は自分しかやっていないわ”というスペシャルな気持ちで取り組むことが、「ささやかな幸せ」につながるのかもしれません。

 また、都内在住時にはカフェでの一人時間が好きだったそうですが、転居先には「スターバックスもドトールもありません(笑)」。代わりに家のベランダに鳥がよく飛んでくるそうで、その光景を1時間以上眺めたりしているとか。写真を見る限り、ベランダは広く、日当たりも良さそう。椅子はタイの雑貨店で購入したもので、そこらのスタバやドトールよりずっと快適そうに見えます。

 特集タイトルにある「使うお金は抑えめに」よりも、どちらかといえば「パンがなければケーキを食べればいいじゃない?」的精神が漂う、ゆとりを感じるインタビューでした。

 続いて気になったのも、特集内のインタビュー。絵本作家・甲斐信枝さんの「90歳の絵本作家、大切なことは草や虫たちが教えてくれた」です。

 1930年生まれの甲斐さんは、身近な草花や虫を描く現役の絵本作家で、「戦前の日本人には伝統的な美意識がありました」「両親は子どもの前でお金の話なんてひと言も言わなかった」「極端にいえば、金銭というものは人を卑しくさせる(中略)でも今はお金の価値観も美意識も変わってしまった」と嘆いておられます。

 お金を増やすために「(現代人は)心を売っている」、「人間の心を喰うことによってお金が太る」とまで言っているんです。1940年頃から掲げられた戦時中の「ぜいたくは敵だ!」精神が、沁み込んでいるように思います。

 ここで思い出したのが、昨年の「VERY」(光文社)10月号での作家・大塚英志氏の言葉。「VERY」の企画「アフターコロナの世界をひらく言葉」内で大塚氏は、戦時下の女性たちは「『日々の暮らしを工夫しながら楽しむ』ことを、ある種のエンターテインメント的に与えられ」、「知らず知らずのうちに戦時体制に巻き込まれ」たと指摘し、コロナ禍で再び注目を浴びている「ていねいな暮らし」的な物への不信感をつづっていました。

 年長者の知恵には学ぶべき有難いものが多いのは事実とはいえ、その知恵の背景を、念のため疑うこともしてみたいところです。

 戦時中とまでいかなくても、昭和にまで遡った生活様式を送る人物を紹介するインタビューもありました。それが、省エネ生活研究家で著書『昭和がお手本 衣食住』(けやき出版)などで知られるアズマカナコさんのインタビュー「冷蔵庫・洗濯機ナシ。家族5人のエコ生活」。

 夫婦、子ども3人の5人で東京郊外の築80年の家に暮らすアズマさん一家の電気・ガス・水道代は、合わせて月7,000〜8,000円と激安。その理由は、大学で環境問題を学んだことをきっかけに、できるだけ家電に頼らない生活を心がけ始め、現在は冷蔵庫、洗濯機、エアコン、ストーブ、掃除機を持っていないからだそう。

 今、楽しんでいるのは「自家製の化粧品を作ること」で、卵殻膜やドクダミなどを焼酎につけた「化粧水原液」や、飼育しているミツバチの巣から蜜蝋をとって作る「保湿クリーム」などの写真も掲載されています。肌の基礎力が強くなりそうですね。

 アズマさんは「節約や貯金が目的だと誤解されることがありますが、そうではない」とのこと。「ぜいたくは敵だ!」精神からではなく、環境問題や手作りといった自分の興味に焦点を当てた暮らしであれば、楽しいのかもしれない……と納得させられました。

 「婦人公論」が定期的に紹介する「ていねいな暮らし」系のトピック。今後もコロナ禍でどう進化していくのか見届けたいと思います。

泰葉の母・海老名香葉子、「娘より嫁」「お尻の始末も」! 「婦人公論」インタビューに察した、お嫁さんの大変な苦労

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)、特集は「親子の距離は『ほどほど』がいい」。同誌の読者層には、高齢の親がいるパターン、中年の子がいるパターン、どちらもいる板挟みパターンもいるようです。毒親を持つ人のインタビュー、“老親あるある”対処法、孫育てを手伝わされる苦労……など、さまざまな角度から親子の距離感の難しさが伝えられています。

 巻頭の読者アンケート「こんな関係が理想です」には、「2駅ほど離れたところに住み、ほどよく連絡をとりあい、会うときは体調のいいほうが食事をつくる」「互いのプライバシーに立ち入らない」といった、互いに踏み込みすぎないことを理想とする回答が並びます。親子関係も個人主義、さっぱりとしたものを良しとする時代になったのでしょうか。

 さっぱりどころではなく、娘・泰葉と「絶縁」したともいわれた海老名香葉子のインタビューなど見どころたっぷりの中身、早速見ていきましょう。

<トピックス>
◎海老名香葉子 遠くの娘より、近くの嫁 頼れる相手は血縁だけじゃない
◎緊急読者アンケート 森喜朗さんの発言、私たちはこう受け止めた
◎純烈・酒井一圭のお悩み相談室 脱衣所からこんにちは

「娘より嫁」に見る泰葉の今

 まずは海老名香葉子のインタビュー「遠くの娘より、近くの嫁 頼れる相手は血縁だけじゃない」から。初代林家三平の妻で、二代目三平や泰葉の実母であります。泰葉といえば2017年、香葉子に浴びせられたという暴言を次々とSNSに投稿し、海老名家との「絶縁」を宣言。その真偽は不明ながらも話題となりました。

 今回のタイトルの「遠くの娘より、近くの嫁」という文言が、何かとお騒がせな泰葉を案じている多くの読者の期待を煽ります。

 早速読んでみると、4ページに及ぶロングインタビュー中、泰葉の名前が出てくるのは3回。

「ゆっ子ちゃん(註:長男・正蔵の嫁)は、次女・泰葉の同級生の従妹だったんですよ」
「美どりと泰葉という娘が2人いるけれど、嫁のほうがいい」
「泰葉は療養中ですから、生活をちゃんとしてくれればいい」

のみでした。泰葉が気になる読者としては物足りません。泰葉を“なかったもの”としているようにも感じられるアッサリさです。

 療養中という点についてですが、泰葉は「双極性障害1型」と診断されたと明かしています。19年には清里のペンションで働いて社会復帰(?)し、最近は自撮りにスティーブ・ジョブズやココ・シャネルら、偉人の名言を添えた写真をブログにあげる毎日を送っているのです。近頃は精神的に落ち着いているようで、3月23日付のブログでは、過去のブログを振り返って、「私の症状が、残っていた文章ではっきりとわかりました」「読み返して反省して削除しています」と、自分を客観視できるようになったことを示唆しています。しかし、母を糾弾したブログはまだ残っている状態です。

 確かに泰葉は、香葉子と距離を置いておいたほうがいいと思いますが、一方でお嫁さんの負担の大きさについても考えずにはいられません。香葉子はインタビューで、「(嫁は)私の片腕になってほしい」「娘より嫁のほうがいい」「嫁たちがいなかったらとても生きていかれません」「今後もし寝付いて、お尻の始末をしてもらうようになっても、嫁にだったら頼めます」と話していますが、これらの発言からは、お嫁さんたちの大変な苦労が察せられます。海老名家という特殊な環境で生まれ育っていない「嫁」だからこそ、その苦労になんとか耐えられるのでしょうか。

 特に「お尻の始末」問題は、姑自身の意向だけでなく、嫁の気持ちも聞いてあげてくれ。プロに頼むという選択肢もあるんだから。という気持ちになりました。とりあえず泰葉の寛解を祈ります。

 続いては緊急読者アンケート「森喜朗さんの発言、私たちはこう受け止めた」。今年2月、日本オリンピック委員会の臨時評議員会で、東京五輪・パラリンピック組織委員会会長(当時)の森喜朗氏が「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」などと話して批判され、会長を辞任することになった件について、22歳~83歳の女性115人、男性12人、無記入2人の合計129人にアンケートを取っています。

 「森さんの発言を許せますか?」の問いに67%(87人)が「許せない」、29%(37人)が「許せる」と回答(4%は無回答)。思ったより、許せる派が多い印象です。許せない派には、「首相在任中から女性差別発言を繰り返し、そのたびに腹が立ち、だんだんとあきれるように」「一度目の失言ならば許せるが、いったいもう何度目なのだ」など、森の過去にもあった女性差別・蔑視発言を覚えている方も。一方の許せる派は、「私は女性ですが、日頃から女性はお喋りが長いと感じています」や「あの年代の男性は悪気なく女性を下に見ている」といった意見だったのですが、この「悪気はない」ということが一番の問題である気も……。

 最もクールだったのが22歳女性による「私は正直言って高齢の男性が女性のことをどのように考えているか興味がない」のコメント。確かに学生時代は高齢男性とのかかわりは祖父くらいなのかもしれない、と思いつつ、興味のない彼女がどうやってこのアンケートにたどり着いたのか、そして、回答したのか、非常に興味がわきました。

 最後は人気連載「純烈・酒井一圭のお悩み相談室 脱衣所からこんにちは」。読者層に支持される純烈のリーダー・酒井が、毎号、読者から寄せられた悩みに辛口かつ実践的な回答をするという連載です。

 今回のお悩みは、猫を連れて行く動物病院で「〇〇ちゃん(猫の名前)ママ」と呼ばれると腹が立つ、なぜなら子どもを授かることができず、心に傷を抱えているから、との内容。

 それに対し、酒井は「胸に名札(あなたのだよ!)をつけるのはいかがでしょうか」と具体的にアドバイス。名札を付ける理由についても、「この方法であれば、やんわり優しく『私のことは名前で呼んでくださいね』というメッセージをお伝えできるんじゃないでしょうか」と説明し、「あなたが子どもを授かれなかったことを、当然のことながら獣医さんは知りません。だからといって(中略)直球で言われてしまったら、動揺して、猫の病気を治すという本題を忘れてしまうかもしれない」と続けています。かなりかみ砕いて、誰にでもわかるように回答している印象です。

 結構辛口、だけど納得できるし、わかりやすいし、ちょっと笑える。毒蝮三太夫、綾小路きみまろらが築いてきた伝統を追っているかのようです。

御年70歳の由美かおる、全身タイツ姿に圧倒! 「婦人公論」インタビューに見る“西野”への崇拝

 「婦人公論」3月23日号(中央公論新社)、特集は「疲れない体になるヒント」です。何かと漢方と社交ダンスを持ち出しがちな「婦人公論」ですが、今号は健康がテーマとあって、その2つが大活躍。漢方は「櫻井大典 『食べる漢方』で毎日おいしく養生を」と「新・心とからだの養生学 『なんとなく不調』を解消! 漢方でセルフケア」の2つの記事で取り上げられ、社交ダンスについては、インタビュー記事「槇村さとる 病のトンネルをくぐり抜け、社交ダンスで大逆転」で語られています。漢方と社交ダンスを嗜んでおけば、いかなる困難も乗り越えられそうに思えてきますが、漢方と社交ダンス以外で気になった中身を見ていきましょう。

<トピックス>
◎由美かおる 呼吸法、アコーディオン、母ゆずりの献立で毎日しなやか
◎瀧島未香 90歳、運動を始めるのに遅すぎることはありません
◎鈴木保奈美×三浦しをん アイデアはいっぱい作ってあっさり捨てる

由美かおるが崇拝する「西野」とは

 最初に見ていくのは、御年70歳の女優・由美かおるのインタビュー「呼吸法、アコーディオン、母ゆずりの献立で毎日しなやか」です。ここ30年くらい顔も体形も髪形も変わっていない不思議な存在、由美かおる。本人いわく「15歳からスリーサイズは変わらず」とのこと。その秘訣は、主に「30分ほどの西野流呼吸法」「アコーディオンのレッスン」「バランスのいい食事」の3つだとか。そのおかげで今も「Y字バランス」ができるそうで、ハイネックの全身タイツ(?)に白いベルト(?)という謎の出で立ちの由美が、美しいY字バランスをキメた写真も掲載され、圧倒されます。

 全身タイツももちろん気になるのですが、もっと気になったのは「西野流呼吸法」でした。由美によれば「西野バレエ団の主宰である西野皓三先生が創始されたもの」だそう。あの西野(西野亮廣)は関係なかったことに、ひとまず安心。

 具体的には「“足芯呼吸”という、樹木が根から水を吸い上げるイメージで行う呼吸が基本」で、「実践すると、全身にエネルギーが巡り、細胞が活性化するのを感じますし、代謝が良くなって、食べても太らない身体になる」という魔法のような呼吸法だそうです。

 ますます気になって「西野流呼吸法」を検索してみると、インターネット創生期を彷彿とさせるレトロな公式サイトが出現。西野先生の名言が並ぶ「西野語録」、西野先生の若かりし時代のお写真が拝める「西野アルバム」など、中身は意外と充実しています。

 「著書紹介」のページをクリックすると、西野先生と由美はタッグを組み、1986年発売の書籍『由美かおるのダイナフロービクス』(徳間書店)を皮切りに、2019年の『Y字バランス 奇跡のメソッド』(KADOKAWA)まで、西野呼吸法をテーマとした本を9冊出していることが判明。『由美かおるのダイナフロービクス』『Y字バランス 奇跡のメソッド』の表紙ともに、由美はピンクのタイツ(もしかしてレオタードなのか!?)に白いベルトを巻いた格好でY字バランスを披露しています。30年以上、まったくブレていない由美。「婦人公論」のインタビューも含め、彼女の神秘性に触れられた気がしました。

 次は「瀧島未香 90歳、運動を始めるのに遅すぎることはありません」を見ていきましょう。

 こちらは90歳で日本最高齢フィットネスインストラクター、瀧島未香さんのインタビュー。瀧島さんは65歳で近所のスポーツジムに通い始め、87歳にインストラクターデビュー。現在もオンラインレッスンを開いているそうです。そんな瀧島さんの1日は、朝4時から2時間のウォーキング&ランニングでスタート。午前は家事、午後は1時間の筋トレと1時間ストレッチを行うそうです。なお夜の睡眠時間は4時間で「自然に目が覚めます」「毎朝気分よく起きることができます」とのこと。「健康的な生活」で「毎日楽しくてたまりません」と語っています。超人です。

 由美かおる同様、瀧島さんも凄まじい生命力が写真から伝わってきます。瀧島さんが西野流呼吸法をやり出したら、もう無敵なのではないかと感じました。

鈴木保奈美のトレンディー文体にお墨付き

 最後に見ていくのは、女優・鈴木保奈美と作家・三浦しをんの対談「アイデアはいっぱい作ってあっさり捨てる」。鈴木が同誌で連載していたエッセイをまとめた単行本『獅子座、A型、丙午。』(中央公論新社)の発売を記念した企画です。サイゾーウーマンの女性誌レビューでは、連載スタート時から「80年代を引きずりまくった文体」(17年04月19日配信の記事より)と注目してきたあのトレンディーなエッセイ……ついに書籍化とのことで、おめでとうございます。

 保奈美文体は、売れっ子作家である三浦氏にも好評。「滅多に私、こういうこと言わないのですけど――鈴木さんは小説書くの、向いてると思います」とまで言わせしめています。

 「えっ、えっ、そんなの考えたこともないです。(中略)自分には絶対できないと思ってます」と謙遜する鈴木。そこへさらに「うんにゃ、そんなことねえだ」と被せる三浦氏。「うわあ、どうしましょう」とちょっと乗り気になる鈴木。お決まりの古風なやりとりが、一周回ってほほ笑ましい……。80年代をひきずった文体による80年代を描いた小説、書いてほしいです。

小室圭さんは「詐欺のように思えてならない」!? 「婦人公論」読者、眞子さまご結婚への持論が辛口すぎる

 「婦人公論」(中央公論社)2月24日号の特集は「人づきあいは『心地よく』がいい」。巻頭のアンケート結果によれば、読者の約6割が「コロナ禍で人間関係に変化があった」と回答し、「つきあいが途絶えた相手がいる」という人も約5割いました。

 人と交流する機会が減り、寂しさを感じている読者も多いのでは……と心配したのも束の間。孫自慢ばかりの友人と関係が切れて「せいせいしている」という57歳。宗教の勧誘をしてくる友人からの連絡が途絶え「肩の荷が下りた」という33歳。いつも文句を聞かされていた友人と「疎遠になって良かった」という54歳――など、意外と前向きな意見が多く、「婦人公論」読者はたくましい! と再認識できました。

 そんな読者による興味深いアンケート「眞子さまのご結婚、私はこう思う」や手記「これさえあれば生きられる」など、盛りだくさんな今号を、さっそく見ていきましょう。

<トピックス>
◎緊急アンケート・読者250人の本音 眞子さまのご結婚、私はこう思う
◎読者体験手記 これさえあれば生きられる
◎スペシャル対談(後編) 五木寛之×佐藤愛子

小室圭さんに対する「婦人公論」読者の辛口すぎるコメント

 まずは今号の目玉的な企画「緊急アンケート・読者250人の本音 眞子さまのご結婚、私はこう思う」から。2018年より延期状態が続いている秋篠宮家の長女・眞子さまと小室圭氏のご結婚について、同誌は「緊急アンケート」を実施。15歳~91歳の女性読者250人から寄せられた、眞子さまのご結婚について「私はこう思う」という回答が掲載されています。

 「ご結婚について、あなたはどう思いますか?」に「反対」と回答したのは250人中167人。「小室さんは内親王の配偶者としてふさわしいと思いますか?」に、「ふさわしくない」と回答したのは250人中173人。やはり厳しい数字が出ていますが、さらに厳しいのがコメントの中身です。

 結婚反対派に「まだ生業(生きていく手立て)を持たないのになぜ結婚できると思うのか」(59歳・自営業・既婚)、「言葉は悪いが、学生の身分で結婚を前提につきあうこと自体が詐欺のように思えてならない」(61歳・無職・既婚)など辛口すぎるコメントがあるのはもちろんのこと、賛成派にも「お二人が別々に生きたとしても、やはり色眼鏡で見られると思う。それなら一緒になればいい」(68歳・パート・既婚)と投げやり風味なものが。「離婚も珍しくない時代なので、出戻りも認めればいいし、再婚もあっていい」(40歳・会社員・既婚)という離婚前提の意見も見受けられました。

 また「小室さんがふさわしい」派のコメントには、「世の人々はみな成長を目指して生き、努力、協力をしていきます。その意味ではふさわしい人となります」(82歳・無職・既婚)や「二人の記者会見を見たときに、お似合いだと思いました」(56歳・会社員・離婚)といった声が。小室氏がこういった「皮肉」に気付ける人であれば、もうとっくに結婚は諦めているだろう……と少々むなしい気持ちにもなります。

 また「眞子さまにお伝えしたいことをお書きください」の欄では、アンケート回答者の最年長91歳と最年少15歳のコメントが並んで掲載されるというシビれる編集も。

 91歳は「よく荒波に耐えてこられました。人生の船出の時です。美智子さまにも相談なさるのがよいと思います。“叩けよさらば開かれん”。美術、音楽でストレス解消を!」と熱いエールを贈り、15歳は「小室さんが世間から叩かれていることも、ちょっとは考えてみてはいかがでしょうか」と冷静にアドバイスをしていました。世代を超えて白熱する声、ぜひ小室氏にも届いてほしいです。

まるで掌小説、素晴らしき「婦人公論」読者手記

 次は、毎度読者の豊かな感性に心動かされる「読者体験手記」のコーナー。今号のテーマは「これさえあれば生きられる」で、2名の手記が掲載されています。

 1人目、67歳女性の「これさえあれば」は相撲。家族がみな亡くなり、生きる意味を見失いかけたときも相撲に救われたそう。力士の切り抜きやポスターを部屋に貼っていたら、「男の裸の写真を部屋に貼りまくっている」と学校で言いふらされた高校時代、「女性は支度部屋に入れない」という理由で相撲記者を諦めた就活時代を経て、今の夢は「来世では男に生まれ、大横綱へ」。そのために現世でも筋トレに励んでいるとのこと。来世が現世を生きる希望になるという境地、胸アツです。

 そして2人目、58歳女性の生きがいは「トミー」。ペットかな? 愛犬かな?? と思い読んでみると、トミーとは「クマのぬいぐるみ」とのこと。身長25cm、体重150gほどのトミーと過ごしてきた35年の日々がつづられています。季節に合わせ手作りの服を着せ、毎朝ひと口目のトーストを食べさせてもらうトミーには現在、「ぎんじ」「マック」という名の弟もいるそう。みんな心にトミーを持てば平和な世の中になるのでは、と感じさせる、掌小説のような味わいの手記でした。

 最後は前号に続いて掲載された、88歳・五木寛之と97歳・佐藤愛子の大作家対談です。補聴器、老眼、整体――という「お年寄りあるある」から始まりますが、この2人が枯れ果てていないらしいことが、対談でどんどん明らかになります。

 佐藤先生が「うちの娘は、私のことをマグロだって言うんですよ。マグロは死ぬまで泳ぎ続けて、泳げなくなった瞬間にパタッと死んじゃう」と言うと、「あはは。でも佐藤さん、ご自分で『私はマグロ』なんて言わないでくださいね。マグロとはセクシャルな意味で、不感症の女性のことを言うんですから」と五木先生。

佐藤「あら、そうなんですか? それは知らなかったわ」
五木「やっぱり佐藤さんは、お嬢さんなんだな」

 97歳にして「マグロ」の新たな意味を知った佐藤先生と、その反応に「お嬢さんなんだな」と感想を述べる五木先生。ちょっと長生きしてみたいなと思わせる力があります。

 また五木先生は、一昨年に「戦後はじめて」の病院に行ったとも語っています。足が痛くなり、約70年ぶりに病院へ行ったとのこと。昨年はコロナ禍で「戦後初の甲子園休止」「戦後初の無観客大相撲」など「戦後初」という表現に久々に触れましたが、まさかこんな「戦後初」にも出会うとは。どうか、いついつまでもお元気で……。

いとうまい子、遺伝子の研究者になっていた! 東大に通う日々語るも……「更年期障害」と結びつける「婦人公論」の論法

 現在発売中の「婦人公論」(中央公論社)2月8日号、特集は「何歳からでも、やりたいことを」です。最初に回答者91人、平均年齢56.8歳という読者アンケートの結果が紹介されていて、それによれば「挑戦してみたいことはありますか」との問いに、9割超えの85人が「はい」と回答しています。

 56.8歳なんて、前号に登場していた今年99歳になる瀬戸内寂聴先生と比べれば、子どものようなもの。前向きな姿勢あふれる今号、さっそく中身を見ていきましょう。

<トピックス>
◎アイドルだった私が遺伝子の研究者になるなんて いとうまい子
◎「社交ダンス」の魔力で身も心も磨かれて 加藤タキ・市毛良枝
◎女たちの言い訳 いつだって、やる気はこうして阻まれた

若返り研究者・いとうまい子の更年期とは

 特集に合わせて今号では、2018年に63歳で芥川賞を受賞した若竹千佐子さん(1954年生まれ)、著書『90歳セツの新聞ちぎり絵』(里山社)が話題になった木村セツさん(92歳)など、“年齢にこだわらず挑戦して成功した女性”が多く取り上げられています。その中で異彩を放つのが、女優・いとうまい子(56歳)のインタビュー「手に入れたのは壮大な趣味 アイドルだった私が遺伝子の研究者になるなんて」でした。

 いとうは、「社会に対して何か恩返しがしたい」と、10年に早稲田大学の人間科学部健康福祉学科、eスクール(通信教育課程)に進学。ロボット工学を学んだ後、基礎老化学の博士課程へ。博士課程在籍5年となる現在は、東大の研究室と共同でサーチュイン遺伝子の研究をしているといい、「ほぼ毎日、東大のラボに通って、20代の学生たちと一緒に、細胞培養の実験を行っています。50代になった私が、毎日東大に通うことになるなんて!」と語っています。

 博士課程まで極めるとは、なかなかできないこと。まさに読者の憧れの存在だと思いますが、本人は「壮大な趣味を手に入れた感覚」と自然体。「新しい刺激に触れていたせいか、ホットフラッシュを数回感じたくらいで、それ以外は更年期の不調も感じないまま現在に至っています」「若者と過ごすことで、自分の気持ちも自然と若返る」とも明かしています。

 現在の研究テーマは「どんな食品がサーチュイン遺伝子(若返り遺伝子)を活性化するのか」だそうですが、記事ではそういった科学的な観点よりも“新しい挑戦や若者との交流で若返ることができる”といった精神論的な方向からスポットが当たっているように読めました。

 「挑戦=進化」ではなく、「挑戦=更年期障害の解消、若返り」となる部分に「婦人公論」らしさを感じた次第です。

 次に見ていくのは、75歳の加藤タキ&70歳の市毛良枝による対談「『社交ダンス』の魔力で身も心も磨かれて」。2人の共通の趣味である社交ダンスの魅力について語り合っています。

 加藤は「体重は10キロ落ち、体脂肪率も10パーセント減りました。体がどんどん絞られてきて、洋服も13号から9号に。下半身は7号ですよ」と報告。「背中の贅肉がなくなって、どこに行ったかというと、バストにきた」とも語っています。市毛は体重に変化はないものの「ウエストが6センチ減」とのこと。ただし市毛いわく「30年くらいやってらっしゃっても、スリムでない方も」いるとのことで、誰しもに減量効果があるわけではないそう。

 このダイエット効果自慢には、数号前の「2020年12月22日・1月4日合併号」にあった「ダイエットとやりがい 60歳を過ぎて出合った一石二鳥のお仕事」という記事を思い出しました。3カ月で10キロ落とした住み込みの仲居さんや、働き出して3キロ痩せたマンション管理人さんなどが紹介された、おもしろルポでした。

 何を語っても「若返り」か「ダイエット」につながりがちな同誌、大変親近感を覚えます。

やる気をそぐ夫、大集合!

 理想だけを並べて終わらないのが「婦人公論」。挑戦をしぶる読者の声を集めたページ「女たちの言い訳 いつだって、やる気はこうして阻まれた」も、大変味わい深いものがありました。

 例えば、「犬がいて、旅行に行けない」という回答には、ペットホテルに預けるのは心配なほど、犬が大切な存在なのだろうとちょっと心温まったのですが、やる気をそぐ存在として最も多い回答だった“夫”にまつわるエピソードは、殺伐としています。「『家のことをやれ!』となじった夫」「化粧品代も、美容院代も『もったいない』と夫が言う」「夫を介護しながら、ひとりで生計を立てているので余裕がない」「夫の記憶が徐々に曖昧になっている」など、愛憎のこもった切実な嘆きが並んでいました。

 そういえば、芥川賞作家の若竹さんが小説を書き始めたのも、新聞ちぎり絵の木村さんがちぎり絵を始めたのも、共に夫の死がきっかけだったそう。「夫」という存在の重さを感じる今号でした。

いとうまい子、遺伝子の研究者になっていた! 東大に通う日々語るも……「更年期障害」と結びつける「婦人公論」の論法

 現在発売中の「婦人公論」(中央公論社)2月8日号、特集は「何歳からでも、やりたいことを」です。最初に回答者91人、平均年齢56.8歳という読者アンケートの結果が紹介されていて、それによれば「挑戦してみたいことはありますか」との問いに、9割超えの85人が「はい」と回答しています。

 56.8歳なんて、前号に登場していた今年99歳になる瀬戸内寂聴先生と比べれば、子どものようなもの。前向きな姿勢あふれる今号、さっそく中身を見ていきましょう。

<トピックス>
◎アイドルだった私が遺伝子の研究者になるなんて いとうまい子
◎「社交ダンス」の魔力で身も心も磨かれて 加藤タキ・市毛良枝
◎女たちの言い訳 いつだって、やる気はこうして阻まれた

若返り研究者・いとうまい子の更年期とは

 特集に合わせて今号では、2018年に63歳で芥川賞を受賞した若竹千佐子さん(1954年生まれ)、著書『90歳セツの新聞ちぎり絵』(里山社)が話題になった木村セツさん(92歳)など、“年齢にこだわらず挑戦して成功した女性”が多く取り上げられています。その中で異彩を放つのが、女優・いとうまい子(56歳)のインタビュー「手に入れたのは壮大な趣味 アイドルだった私が遺伝子の研究者になるなんて」でした。

 いとうは、「社会に対して何か恩返しがしたい」と、10年に早稲田大学の人間科学部健康福祉学科、eスクール(通信教育課程)に進学。ロボット工学を学んだ後、基礎老化学の博士課程へ。博士課程在籍5年となる現在は、東大の研究室と共同でサーチュイン遺伝子の研究をしているといい、「ほぼ毎日、東大のラボに通って、20代の学生たちと一緒に、細胞培養の実験を行っています。50代になった私が、毎日東大に通うことになるなんて!」と語っています。

 博士課程まで極めるとは、なかなかできないこと。まさに読者の憧れの存在だと思いますが、本人は「壮大な趣味を手に入れた感覚」と自然体。「新しい刺激に触れていたせいか、ホットフラッシュを数回感じたくらいで、それ以外は更年期の不調も感じないまま現在に至っています」「若者と過ごすことで、自分の気持ちも自然と若返る」とも明かしています。

 現在の研究テーマは「どんな食品がサーチュイン遺伝子(若返り遺伝子)を活性化するのか」だそうですが、記事ではそういった科学的な観点よりも“新しい挑戦や若者との交流で若返ることができる”といった精神論的な方向からスポットが当たっているように読めました。

 「挑戦=進化」ではなく、「挑戦=更年期障害の解消、若返り」となる部分に「婦人公論」らしさを感じた次第です。

 次に見ていくのは、75歳の加藤タキ&70歳の市毛良枝による対談「『社交ダンス』の魔力で身も心も磨かれて」。2人の共通の趣味である社交ダンスの魅力について語り合っています。

 加藤は「体重は10キロ落ち、体脂肪率も10パーセント減りました。体がどんどん絞られてきて、洋服も13号から9号に。下半身は7号ですよ」と報告。「背中の贅肉がなくなって、どこに行ったかというと、バストにきた」とも語っています。市毛は体重に変化はないものの「ウエストが6センチ減」とのこと。ただし市毛いわく「30年くらいやってらっしゃっても、スリムでない方も」いるとのことで、誰しもに減量効果があるわけではないそう。

 このダイエット効果自慢には、数号前の「2020年12月22日・1月4日合併号」にあった「ダイエットとやりがい 60歳を過ぎて出合った一石二鳥のお仕事」という記事を思い出しました。3カ月で10キロ落とした住み込みの仲居さんや、働き出して3キロ痩せたマンション管理人さんなどが紹介された、おもしろルポでした。

 何を語っても「若返り」か「ダイエット」につながりがちな同誌、大変親近感を覚えます。

やる気をそぐ夫、大集合!

 理想だけを並べて終わらないのが「婦人公論」。挑戦をしぶる読者の声を集めたページ「女たちの言い訳 いつだって、やる気はこうして阻まれた」も、大変味わい深いものがありました。

 例えば、「犬がいて、旅行に行けない」という回答には、ペットホテルに預けるのは心配なほど、犬が大切な存在なのだろうとちょっと心温まったのですが、やる気をそぐ存在として最も多い回答だった“夫”にまつわるエピソードは、殺伐としています。「『家のことをやれ!』となじった夫」「化粧品代も、美容院代も『もったいない』と夫が言う」「夫を介護しながら、ひとりで生計を立てているので余裕がない」「夫の記憶が徐々に曖昧になっている」など、愛憎のこもった切実な嘆きが並んでいました。

 そういえば、芥川賞作家の若竹さんが小説を書き始めたのも、新聞ちぎり絵の木村さんがちぎり絵を始めたのも、共に夫の死がきっかけだったそう。「夫」という存在の重さを感じる今号でした。

今年99歳の瀬戸内寂聴、転んで頭打っても復活! 「婦人公論」で説く“幸運論”は重みが違う?

 今月からレビューしていくのは、主に40代以上の女性をターゲットとする隔週女性誌「婦人公論」(中央公論社)です。三大ミューズ(?)が美輪明宏、江原啓之、瀬戸内寂聴といったイメージの同誌ですが、今号には江原と寂聴のインタビューが。なんとも華々しい新年号です。

 特集は「幸運は、あなたのすぐそばにある」。特集内には、禅の一種であるらしい「ゼンタングル(R)」の認定講師を名乗る佐藤心美先生による「描けば心が安らぐ華やかな曼荼羅」の誌面講座があったり、「琉球風水志」を名乗るシウマ先生による提案「“ラッキーナンバー”でいい運気を引き寄せる」があったりと、スピリチュアルな雰囲気も漂います。

 新型コロナウイルスの流行が収まらない中、2021年一発目の「婦人公論」は「幸運」という漠然としたテーマでどんなメッセージを伝えてくれるのか……? さっそく中身を見ていきましょう。

<トピックス>
◎瀬戸内寂聴 今に目を向ければ幸せへの入り口は見つかります
◎江原啓之 視野を広く、竹のようにしなやかに
◎読者体験手記 不運に愛されて

寂聴先生、不死鳥エピソード更新

 最初に見ていくのは、今年で99歳になられる瀬戸内寂聴先生のインタビュー「今に目を向ければ幸せへの入り口は見つかります」。なんと寂聴先生、昨年10月に寂聴庵で転倒して頭を打ち、検査入院したと告白しています。なんでも転倒したのは夜中で、朝に秘書が出勤してやっと発見されたそうですが、大事には至らず甦ったという寂聴先生。「元気になりました」「私は今、とても幸せですよ」「退院後も時々、仕事で徹夜をしています」と語る様子は、まるで不死鳥。

 これまでも胆のうがん、頚椎圧迫骨折などから華麗に復活を遂げてきた寂聴先生は、確かに強運の持ち主。気になるのはその秘訣ですが、インタビューで語っているのは、「今持っているものに目を向けると、それが幸運につながる」「不幸だと思ったできごとが、実は思いがけない幸福への入り口になることだってある」といった、誰でもどこかで聞いたことがあるであろう一般論的な内容でした。

 しかし、その“一般論”も寂聴先生が語ることで重みが加わるような気もしてきます。「何を言うか」よりも、「誰が言うか」を重視してしまう現代を、寂聴先生からも垣間見た気がします。

 続いては江原啓之のインタビュー「視野を広く、竹のようにしなやかに」。江原さんは昨年、拠点を東京から熱海に完全に移したそう。熱海の自宅、その名も「スピリチュアル・ヒーリング・サンクチュアリ昌清庵」で取材に応じています。

 「私は昨年の新春講演会で、20年を示すキーワードとして『破綻と崩壊』を挙げました。残念ながらそれは現実となり(以下略)」と、“コロナを予知していたアピール”にも余念がない江原さんですが、「新型コロナウイルス感染拡大の時期と私の完全移転が重なったことで『東京脱出』と言われましたが、移転はコロナ禍前に決まっていました」と、どこか言い訳がましく語っているのも気になります。

 「江原啓之、東京脱出」。そのようなどうでもよいニュース、少なくとも個人的には見聞きした覚えがないので、一部アンチが言っていたのでしょうか。「江原さんてエゴサーチとかしているのかも」との疑念も浮かびました。

 そしてインタビュー内で最も興味深いのは、移転先に熱海を選んだ理由について語った部分でした。

 候補地を探しているある日、「『熱海』『熱海』という文字がお告げのように私の頭に浮かんだ」という江原さん。さっそく熱海に向かい、「『こっちかな』という感じでタクシーを走らせ、『あ、ここだな』と思った場所にたどり着きました」といい、それが今の昌清庵のある場所だそう。「説明するのは難しいですが、『熱海』というメッセージは霊界の導きだったのだと思います」と、まとめています。霊界のお導き、か……。読者の参考にはならなさそうです。

 また写真を見る限り、相変わらず福福しい外見の江原さんですが、最近は「食品添加物を避けたり、無農薬栽培の野菜を選んだりしている」とのこと。自作の野菜を使った料理にもハマっており、大根は葉まで使い切るそうです。

 そんな江原さんは自炊している自分に誇りを感じているようで、「料理のできない人は、人生の悩みを自らの力で乗り越えることが苦手な傾向にあります」という、余計な一言も添えています。

 引っ越し先を「霊界のお導き」で決められる人に、「人生の悩みを自らの力で乗り越える」ことのしんどさは、果たして理解できているのか? 野菜中心の自炊でもエビス様体形を維持できる体質って? ……と、江原さんへの疑問が深まるインタビューでした。

江原啓之を超えていく読者

 「幸運は、あなたのすぐそばにある」と説く今号ですが、公募の読者体験記のテーマは「不運に愛されて」。紹介されている二つの投稿は、これまでの人生を恐るべき記憶力で振り返り、体験した不運をこれでもかと並べています。中でも「ゲリラ豪雨にピンポイントで狙い撃ち」されたというエピソードが、むしろ強運でないと遭遇できない出来事では? この読者のほうが、霊界のお導きで生きる江原さんよりも、何らかの特別な力を持っているのではと感じました。

老後問題とセックスが絶妙に絡み合う「婦人公論」は中高年の“パンドラの箱”

 今号の「婦人公論」(中央公論新社)は、「老後の安心を手に入れる」です。リードには「『人生100年』などと言われるようになり、不安がふくらんでしまう現代。年金や介護など本当に必要なものを知れば、心細さは薄れていくはずです。女性たちの体験談や新情報にふれて、未来の自分をイメージしはじめてみませんか」とあります。読者の声として紹介されていた「私の将来、ココが不安です」には「生活費」「認知症」「定年夫」「親の介護」など「婦人公論」定番ネタがズラリ。でもちょっと待って……。これらのトピックスに関して「婦人公論」が読者の不安解消に作用したことあったかな……どちらかといえば不安倍増の方向に盛り上がる気がするんですが。

<トピックス>
◎特集 老後の安心を手に入れる
◎人生に必要な性と愛
◎「被害者らしく」していては何も変わらないと思ったから

■知性もカネも図々しさもある女たち

 とはいえ、「老後不安」は、「婦人公論」では何度もこすられてきた特集です。「あなたの年金生活をシミュレーション」「認知症やがんを予防して『健康で長生き』を目指すには」のような実生活向け企画もあれば、北斗晶×佐々木健介の“夫婦仲良ければだいたい大丈夫”的対談があったり、「最期まで自分の意志で。『尊厳死』という選択」のような真面目なルポも。その中で今回拝見しますのは「親ですもの、子どもに迷惑かけたっていいじゃない?」。こちら、エッセイストの桐島洋子と社会学者・上野千鶴子の対談ですが、名前だけで圧がすごい。

 以前から、ちょいちょい「婦人公論」で「私は子どもに面倒みてもらいます」宣言をしていた桐島。「なるべく子どもの世話にはなりたくない」という高齢者が増える中、この桐島の発言はショッキングに取り上げられていました。対談は、この桐島の老後論をフェミニズムの親玉である上野がアカデミズムに補完するというスタイルで進んでいきます。

 桐島のこの持論を、上野は「私はとても腑に落ちて、納得したんです。子どもを産み育てるために、女性はものすごいエネルギーと時間を投資しているわけでしょう。老後にちょっとくらいお世話になってもいいじゃないか、と」と賛同。

桐島「他人様に迷惑をかけたり、お国の世話になったりするよりは、身内とりわけ子どもがまず責任を受容してほしいですね」
上野「ところが最近の高齢者は、『子どもの世話にはなりたくない』『迷惑をかけたくない』とおっしゃる」
桐島「どんな親であり子であったにしろ、親子の縁をいやおうなしに結んでしまったのだから。老後、子どもにほどほどの迷惑をかけてもいいと思います」

 と、まぁおっしゃることはわかりますけど、そうやって女性が子育て・家事・介護の役割に追い詰められていくのに対するアンチテーゼが「フェミニズム」ではなかったのか……。しかしよくよく読むと上野先生、介護の核心部分では、自分の意見は述べずに華麗にインタビュアーに擬態するんですよね。その辺りの巧さはさすがといえます。

 今の「婦人公論」読者層は、「子どもは年老いた親の面倒をみるのは当たり前」という前世代と「親の介護で人生狂わされるなんてまっぴら」という後世代のちょうど谷間にいて、多くの人が「自分は親の介護をするけど自分が子どもに要求できない」というジレンマの中で生きているのではないでしょうか。「子どもに迷惑かけたっていいじゃない」は、そんな悶々とした中高年たちの“開き直りの呪文”なのかもしれません。

 さて、老後の安心に続きましては、これも高齢化社会の1つのテーマではないでしょうか。巻末特集「人生に必要な性と愛」。お久しぶりのセックスネタです。「誰かに寄せる想い、肌を交えることでしか得られぬ温もり、そして快感。そんなものとはしばらくご無沙汰……という女性も多いものですが、生きることと直結するあの感覚、思い出してみませんか」とはリードの弁。はて、生きることと直結するあの感覚とは……。

 画家で女優の蜷川由紀が、恋人である作家の猪瀬直樹についてアツく語る「猪瀬直樹さんは、私を導いてくれるウェルギリウス」、みんな大好き読者体験手記「あの“快感”が私を変えた」、「アブノーマルな世界にはまる妻たち」ルポも読み応えあります。夫との性交は3回のみ、悩んだ末にネットの世界に性愛を求めた真面目な主婦、絶倫夫との義務としてのセックスに疲れ、指圧師のテクに溺れた女性、「ゼンタイ(全身タイツ)」で、セックスとはまったく違う快感をおぼえる妻、クンニのプロから開発されたり、禁断のNTR(寝取られ)プレイにハマったり……。

 一通り読みますと、いかに「夫婦」という形式が、「人生に必要な性と愛」と相性が悪いのかを思い知らされます。だいたいが夫婦での淡泊なセックス、もしくはセックスレスから始まってるんですもん。「性愛」の対象を法的に1人と定めた結果のしわ寄せがこの特集には溢れているといいましょうか。こちら、読者体験手記から抜粋すると、

「そうだ、私の身体はおかしくなっていたのではない。倦怠期だからではない。何かを見失い、忘れていたのだ」
「彼の手が肌に触れると私の全身はシャンパンの泡のように弾けていく。感じるたびに、私は岩のような塊ではなく、花も実もつける豊饒な大地になれるのだと信じることができた」

など、夫以外とのセックスは「傍目には幸福な母親」を性の表現者に変えるよう……。泡になったり大地になったりの大騒ぎです。これがいいことなのか悪いことなのかはわからない、そもそも「婦人公論」はそういうジャッジはしない媒体ですからね。

 そんなことを考えながら、特集最後のページ、高齢者の坂爪真吾による性についてのエッセー「『死ぬまでセックス』の呪縛にどう向き合うか」を読んでいたらこんな一文が。「認知症を発症する前は、敬虔なクリスチャンであり、夫は公的機関で重職を担っていました。長女も福祉施設の施設長であり、次女と孫は学校の教師をしている」という87歳の女性が、「認知症になってからは人前で『おっぱい!』『まんこ!』といった性的な言葉を連発するようになった」「笑いながら人前で『おっぱい!』と叫んで胸を露出する」とのこと……。抑圧されていた何かが、認知症をきっかけに、それこそシャンパンの泡のように弾けてしまったのか。性の帳尻合わせの恐ろしさにちょっぴりゾッとした次第です。

 「老後の面倒をみてと子どもには言えない」も「女が性的な発言をすべきでない」も、根っこは同じなのかもしれません。本音よりも、社会における自分の見え方を優先した生き方。ジェンダーという檻の中である意味安全な生活を送るのか、本音というパンドラの箱を開けてしまうのか。中高年女性は選択を迫られているのではないでしょうか。
(西澤千央)