尾上松也×山崎育三郎×城田優、中年3人の「会話の若さ」が輝く! 「婦人公論」老後特集の“シニア”ラインナップ

 「婦人公論」(中央公論新社)の11月9日号が発売中です。今回の特集は「毎日を楽しくするヒント 『明るい老後』と『クヨクヨ老後』」。表紙を飾る女優・草笛光子を始め、輝くシニアへのインタビューが充実しています。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎伊東綾子 コロナから回復した101歳の前向き人生
◎筒井康隆 なにがあろうとも、僕は長く生きようと決めている
◎山崎育三郎×城田優×尾上松也 今こそ僕らが変化を起そう

101歳のコロナ生還インタビュー

 まず見ていくのは、滋賀県大津市在住の一般人・伊東綾子さんへのインタビュー記事「コロナから回復した101歳の前向き人生」。伊東さんとは、今年1月の100歳当時、新型コロナに感染し発熱したものの、約1カ月の入院ののちに回復した人物。退院後の同5月、伊東さんは滋賀県庁で異例の退院会見を開催。体操や自作の詩などを披露し、話題になりました。

 今回の4ページの大ボリュームインタビューでは、コロナ絡みの話は最初の3分の1のみ。後の3分の2では伊東さんのこれまでの歩み(女学生時代、戦後の葛藤、夫との死別、女手一つでのキャンプセンター経営など)が語られています。普通に生きてきて「婦人公論」で半生を語ることになるなんて、伊東さんも予想していなかったでしょう。

 私は一体今、何を読まされているのだ……? と時たま思いつつも、やはり101年分の歩みは読みごたえがあります。会見で体操や詩を見せるサービス精神からも感じましたが、「自分が生きていることは素晴らしいこと」と心から思える自己肯定感も、長生きの秘訣であると教えられたような気がします。

 同誌では、前号でもタレント・野々村真のコロナ生還インタビューを掲載していました。今後は“コロナに打ち克った人物”が、トレンドとなっていくのでしょうか。

87歳・筒井康隆はサラリと引退宣言

 次に見ていくのは小説家・筒井康隆氏へのインタビュー「なにがあろうとも、僕は長く生きようと決めている」。87歳になった筒井氏ですが、今年は自身の一人息子の死をテーマにつづった作品を収める短篇集『ジャックポット』(新潮社)が話題に。約30年前に刊行した小説『残像に口紅を』(中公文庫)もTikTokをきっかけに大重版されるなど、いまだ売れっ子。しかし、今回のインタビューでは「もはや長編小説は書きません」「短編からも卒業する、と関係者に伝えています」と、さらりと宣言しています。

 「今後は文芸誌に原稿用紙十枚くらいの掌篇を寄せていくつもりです。それがある程度まとまれば、最後の作品集ということになるでしょう」とのこと。

 第一線で活躍していながら“引退宣言”することについて、筒井氏は「体力や気力の問題ではなく、長い年月をかけて自分の中に培ってきた知識や発想のストックを使い果たしてしまった」「頭がしっかりしているうちに、『できること』と『できなくなったこと』を見極め、数少なくなった『まだできること』の優先順位を決める。こうして、老いても自分の尊厳は自ら守らなくてはいけません」と語っています。引き際を自ら決めることも「前向きな老後」のひとつであるようです。

 最後に見ていくのは、ほっと一息つける(?)鼎談「山崎育三郎×城田優×尾上松也 今こそ僕らが変化を起そう」。3人とも30代半ば。中年と呼んでもいい年齢のはずですが、老後特集号の少し重苦しい雰囲気の今号の中で見れば、かなり若者オーラが出ているように感じます。彼らの会話の内容も若いのです。

 城田と松也は、学年は違うものの同じ高校の芸能コースに通っていて、当時から仲が良かったそう。

城田「お互い、それぞれの学年の“クレイジー担当”と呼ばれる盛り上げ役みたいなものに任命されていた」

松也「3年生のナカモリくんに『お前が2代目だ』って任命されて。(中略)」

城田「代々続いている担当かと思っていたら、そのナカモリくんから始まって、僕らの3学年だけにしかなかった」

 ……3年生のナカモリくんって誰? 高校時代の内輪ノリを昨日のことのように話せる感覚に若さを感じます。ちなみに、松也は「ビジネスクレイジー」で、城田は「ナチュラルクレイジー」、山崎は「一見おとなしそうだけど、頭の中が一番クレイジー」だそう。クレイジーが褒め言葉になっている感じにも若々しさがあふれていて、読者に若きエキスのおすそ分けをしてくれているページだと感じました。

 

毒親体験の吉川ひなの、“わが子に与えたいもの”とは? 毒母の連鎖を「終わりにする」と「婦人公論」で決意

 「婦人公論」(中央公論新社)の10月26日号が発売になりました。特集は「母が重い、娘がこわい」。母娘問題は最近の流行、かつ婦人公論の得意分野とあり、熱が入っています。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎吉川ひなの 家族は一心同体という呪縛から子どもたちが救ってくれた
◎ルポ いつまでも甘えてくる娘にうんざり
◎読者体験手記 親心を無視されて

毒母告白の吉川ひなの、“わが子に与えたいもの”とは

 まず見ていくのは、ハワイ在住・吉川ひなののインタビュー「家族は一心同体という呪縛から子どもたちが救ってくれた」。今年5月に発売したエッセイ『わたしが幸せになるまで 豊かな人生の見つけ方』(幻冬舎)で、毒母に育てられた生い立ちをつづって話題になった彼女。今回のインタビューでも改めて母親にかけられたという「呪縛」を語っています。

 13歳から家計を支え、母親に搾取され続けていたという吉川は、母親について「『家族は一心同体。私とあなたの人生に境目はない』『私が産んだ子だから、すべて私に権利がある』と本気で思っている人でした」「彼女の言うことは絶対で、何をされても我慢するのは当たり前」と振り返り、「10代から20代まで傷つくことだらけ」「自分を幸せだと思ったことは一度もありませんでした」と告白。

 さらに「環境破壊が進んだこんな時代に子どもを産んでも、苦しみを与えるだけ」とも刷り込まれてきたそうで、「産まないのが当然なのだと思っていました」と語っています。

 その後、20代半ばで夫となる男性に出会ったことが転機となって、「幼い頃から持ちえなかった自分への自信を、少しずつ取り戻すことができた」とのこと。現在は3児の母に。

 エッセイでは毒親体験のほかにも、“洗わない育児”や“おむつ無し育児”、肉は食べない(食べると“殺された動物の気持ちが人体にイラつきなどの悪影響を及ぼす”と感じているそう)、電磁波を避ける(寝る前にテレビのコンセントを抜くなど)といった独自の子育て・生活術をつづり、すっかり“自然派ママ”のカリスマに君臨しています。

 今年6月に誕生した第3子は、西洋医学に基づいた妊婦検診は受けずに自宅水中出産、生後約2週間から「おまる」トレーニングをスタートしたことをインスタグラムで明かすなど、ナチュラリストぶりはエスカレートしているように見えますが、インタビューでは「親子関係の呪縛から逃れられず、わが子にも同じことを繰り返すという話をよく聞きますが、悲しみの連鎖はここまで。『私のところで終わりにするからね』という感じです。私は、母から与えられなかったものを子どもたちに与えたい」と、毒母の連鎖を終わらせる決意表明も。

 「与えたい」の気持ちが高まったあまり、実母とは“わが子のためを思って”の方向性が変わっただけ……という結果になりませんように、との思いが胸をよぎりました。「親子関係の呪縛から逃れられず、わが子にも同じことを繰り返す」。本人がそれをわかっているにもかかわらず、完全に逃れることは難しいのだろうか……と、考えさせられるインタビューでした。

 次はノンフィクションライター・島内晴美氏によるルポ「いつまでも甘えてくる娘にうんざり」。母親側からの娘に対する思いを取材した記事です。

 「知らず知らずのうちに母を支配する娘」「いくつになっても反抗し続ける娘」「親をあてにして自立できない娘」などに対する母親の思いが語られていますが、中でも気になったのは、“コロナワクチンの陰謀論にハマった娘(34歳)”を持つクミコさん(72歳)のパターン。

 「しょっちゅう孫を預けに来るんだから、ワクチンを打ってちょうだいとお願いしても、『ママはワクチンで大勢が死んでること知らないでしょ。私が死んでもいいと思ってるわけ?』と真顔で言う」とのこと。「専業主婦の私のことを馬鹿にしていたくせに、自分は仕事を辞めて今は趣味のダンスに夢中」「コロナ下でも子どもを私に預けてレッスンだの、お茶だのと出かけてばかり。それでワクチン拒否だからいい加減にしろと思います」と怒りは頂点に。今後の金銭的援助は断ち切ることにしたそうです。

 なんと現代的ないざこざでしょうか。コロナは母娘の溝をも深くする、やはり恐ろしいウイルスです。

読者の本音「生まれ変わったら子どもなんか生むものか!」

 最後に見ていくのは同誌名物の読者体験手記のコーナー。テーマは「親心を無視されて」。こちらも親側の目線で、娘への愚痴がつづられます。

 一通目の83歳女性は、無農薬・有機栽培で育てた野菜を娘(60歳)に送っていましたが、娘にとっては迷惑だったらしく、あるとき娘から「これ以上嫌がらせはしないでください」と激昂メールが届いたそう。なぜ娘が「こんな怖い娘」になったかを延々振り返る手記の結びは、「今度生まれ変わったら(中略)子どもなんか生むものか。楽しい恋だけいっぱいするのだ」。なんと潔い。この83歳女性の心の叫びに共感する人もたくさんいるはず。

 二通目は64歳女性。出産した娘から孫の名前候補を聞いてネットで姓名判断をしたところ、どのサイトでも良くない結果が出たことから、「たまらず婿を訪ね、『姓名判断がすべてではないが、字画は変えたほうがいいのではないか』と懇願」して名前を変えさせたり、娘の湿疹を心配して「部屋の絨毯が原因かもしれないから引っ越してはどうか?」などと提案したりなどを繰り返していたところ、娘から「もう私に関わらないで」と縁を切られたつらい経験をつづっています。

 いずれにしても、“わが子のためを思って”の気持ちがあった上でのいざこざ。今号の対談記事で作家・桜木紫乃氏が語っている「子どもにとって薬ばかりで毒にならない親なんていない」という言葉に、すべて集約されるのかもしれません。

氷川きよしことkiiちゃんが「婦人公論」で語る! “演じてきた別人格”と“私”の2つの表現と覚悟

 「婦人公論」(中央公論新社)の10月12日号が発売中です。表紙を飾るのは、萬田久子氏。リーゼントにしか見えない萬田氏が振り返りざまにガンを飛ばすかのような構図の写真で、書店でとても見つけやすくなっています。

 そんな今号の特集は、リーゼント・萬田と特に関連なさそうな「認知症 発症させない、悪化させない」。コロナ下で長引く自粛生活は「『認知症リスク』を高める」とし、予防法、症状との向き合い方、認知症介護のストレスとの付き合い方など多岐に渡って特集しています。ためになる内容ではありますが、ここでは主にそれ以外のページの中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎カータン×村井理子 親の介護ストレスは書いて吹き飛ばせ
◎横尾忠則 肉体が衰えた今こそ自由に描ける
◎氷川きよし 迷わないと決めたら世界が大きく広がった

“介護もネタに!”の軽やかな覚悟

 まずは特集から、ブロガーのカータン氏×ライターの村井理子氏の対談「親の介護ストレスは書いて吹き飛ばせ」。認知症特集の中でも、こちらの企画は“介護する側”に目が向けられています。カータン氏は発売中のコミックエッセイ『健康以下、介護未満 親のトリセツ』(KADOKAWA)で、村井氏は認知症の義母目線でつづったエッセイ『全員悪人』(CCCメディアハウス)で、ともに“親の介護ストレス”をテーマにしていることから対談が実現した模様。

 タイトルに「親の介護ストレスは書いて吹き飛ばせ」とあるとおり、対談から立ち昇るのは、二人の“表現する覚悟”のようなもの。義母の介護についてつづった村井氏は、「『よくこんなのを書いたな』と散々言われましたけど、ネタに昇華したほうが勝ち」と堂々。カータン氏も「描くことで発散できるし、笑いにも変えられる。親に対して、『新しい経験やネタを提供してくれてありがとう』という思い」と前向きに語っています。元祖(?)インフルエンサー・はあちゅう氏の座右の銘「人生全部コンテンツ」に通ずる、軽やかな覚悟が感じられます。

 読者手記コーナーが充実し、自己表現が好きなイメージがある「婦人公論」読者に、この“ストレスは書いてネタにして発散!”というアドバイスは響きやすいのではないでしょうか。

 高齢化社会が進む今、カータン氏や村井氏の後を追う人気“介護インフルエンサー”が読者から続々と誕生する日も遠くないかもしれません。

 続いては、85歳の世界的美術家・横尾忠則氏のインタビュー「肉体が衰えた今こそ自由に描ける」を見ていきます。こちらにも、先ほどの「親の介護ストレスは書いて吹き飛ばせ」に通じる“表現する覚悟”に触れられた部分が見られました。

 「今ではほとんど耳が聞こえません。目もよく見えないんです」と言う横尾氏ですが、「初めて、『アートが始まった』という感覚があります」と語り、現在もほぼ一日アトリエで創作と向き合っているそう。「ものを創造する人間にとっては、毎日が地獄です」「僕も毎日ダンテの『神曲』を生きているつもりです」と言い、交友のあった三島由紀夫についても「晩年はそれこそ毎日、切腹するような気持ちで生きておられたのではないかと思います。毎日が切腹」と回想する横尾氏。

 毎日が地獄、毎日が切腹! “表現することで発散されるものと、犠牲になっていくもののバランス”を取る力が必要なのかもしれないと考えさせられます。はあちゅう的な生き方も、軽やかそうに見えて実は「毎日が切腹」な心境なのでしょうか。

 最後に見ていくのは、氷川きよしのグラビア&インタビュー「迷わないと決めたら世界が大きく広がった」。“表現する覚悟”という、今号の裏テーマ的なものを統括するかのような内容になっています。

 最近では演歌だけでなくポップスにも挑戦し、園芸番組『趣味の園芸』(Eテレ)、料理番組『氷川きよし kiiのおかえりごはん』(ポッドキャスト配信)など活躍の幅を広げている我らがkiiちゃん。いわく、「ずっと演歌を歌ってきましたが、『男の生きざま』みたいなものをテーマにした楽曲も多く、私は歌の主人公になりきることでその世界を表現してきたつもりです。以前は、『歌の主人公のように自分も生きなければ!』と思い、男らしくあろうとさまざま努力もしました。(中略)でも、今は違います。歌の主人公になりきって歌うけれど、現実の私は、お料理と園芸、ファッションが好きな『私』であり、歌の主人公とは別人格なのだとはっきり分けて考えられるようになりました」とのこと。

 「自分を肯定したら、臆さず自己表現することができるようになり、同時に、世界が大きく柔らかく広がり始めた」と話していて、よかったねkiiちゃん……! という思いがあふれます。

 kiiちゃんでさえ、それができるようになるまでに歌手デビューから約20年が必要だったように、簡単なことではないのは百も承知ですが、“自分ではない何かを演じる表現”と“ありのままの自分で行う表現”の2つを、半々にバランスを取ってできるようになってやっと、kiiちゃんのように柔らかな世界を手に入れることができるのかもしれません。

70歳男が「恋愛モードどっぶり」、80代の水森亜土が友達にあてた“濃い”手紙……シニアの友情に迫る「婦人公論」

 発売中の「婦人公論」(中央公論新社)の9月28日号、今回の特集は「友達は、歳をとるほどありがたい」です。同誌によれば「年齢を重ねるなかで友達はよりいっそう代えがたい存在になる」とのこと。

 数々の業界人と友情を築いているテレビプロデューサー・石井ふく子氏(95歳)が語る「友だち付き合いの哲学」や、友人と連絡を取るためにスマホを持つべきか? など60代以上特有のお悩みに答える「誌上相談室」など充実の内容で、シニアの友情に迫っています。男女の友情は成立するのか? といった永遠の問いにも触れている同誌の中身、さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎田村セツコ/水森亜土 なかよし二人の往復書簡
◎読者体験手記 男友達は、いくつになっても厄介で
◎田中圭×中谷美紀 夫婦の衝突を避ける必殺技は?

水森亜土の手紙「キャッホーイ!! 節っちゃん」がスゴイ!

 特集内の企画でもっとも興味深かったのは、1938年生まれの田村セツコ氏と1939年生まれの水森亜土氏による往復書簡「なかよし二人の往復書簡」です。二人はともに60年代からファンシーな少女雑誌の表紙などで活躍し、今も現役の80代イラストレーター。お互いにあてた手紙が公開されているのですが、独自の世界観にあふれていて、読みごたえがあります。

 二人の友達付き合いはいつから始まったのか? 現在はどんな交流があるのか? など具体的なことには一切明らかにされません。「何十年のおつきあい」(田村氏)「付かず離れずのゼツミョウな関係。そこがいいんよねッ」(水森氏)などと触れられるのみで、細かいことは謎に包まれています。

 特に水森氏の手紙「キャッホーイ!! 節っちゃん」は、ファンシーかつミステリアス。書き出しでは「How are ya? この頃、どっか痛いとこないの? 私はあります。腰や肩かな」と体調を自己申告。続けて、いつのことか定かではありませんが、田村氏にスカートをめくられた思い出を回想。「(節ちゃんは)私のフトモモの長いスパッツを見て、ワー、ワーッ、キャーと大きな声で笑ってくださったのでス。ギク! グサッ! ブーッ! となっている私をそのままにして、社交的でチャーミングな節っちゃんは、アッと言う間に他の人の輪の中へ!!」「もともと社交的ではない私(!?)は(ホントよ)、ブーッ! ムッとなって、ただ暗い気持ちで帰りました」とつづっています。

 かなり「ブーッ!」となったことが伝わってきます。カタカタを多用する文章が一周、二周まわってなんだか新しい。

 編集部からは「ずっといい関係でいる理由が伝わってきます」とのコメントが添えられていましたが、いえ、それは伝わってはきません。むしろ、お二人にしかわからない特殊な関係が築かれているのでは……と感じる濃い往復書簡でした。

 次は、読者から寄せられた体験手記のコーナー。今回のテーマは「男友達は、いくつになっても厄介で」です。紹介されているのは64歳女性と70歳女性の二通。

 64歳女性のほうは、亡き夫の墓をお世話してくれた石材店の営業マン(同い年)と、いつしか食事やカラオケに行く関係に。女性は「男友達」という認識だったが、営業マンからのLINEは親密さを増し、やがて「つきあってほしい」と送られてきたそう。「男の人は親密になると、どうして一線を超えたがるのだろう。そして、なぜ恋人か他人かの二者択一にこだわるのか」と悩んだ女性は、結局おつきあいすることに。しかし、交際3年がたった今も、時々「あのままいい男友達として続けられたらそれだけでよかったのに」と思うとのこと。

 もうお一人、70歳女性の場合は、いつも割り勘で「割り勘男」と呼ばれる高校時代の同級生がお相手。その割り勘男と二人きりで居酒屋で飲むことになった女性。帰り道で割り勘男に手を握られ、「いやー。一度君と手をつないで大通りを歩いてみたかったんだ、昔から」と言われたそう。「割り勘男、70歳。青春一直線モード、恋愛モードどっぷりである」という冷静な描写がお見事です。その後も割り勘男からは何度か電話があったそうですが、一切出ていないとのこと。

 10代20代でぶち当たりがちな、“男女の友情は成り立つのか問題”。婦人公論世代になってもその問題は解決しないということが伺える読者手記でした。

 最後に見ていくのは、田中圭×中谷美紀の対談「夫婦の衝突を避ける必殺技は?」。夫婦役でダブル主演を務める映画『総理の夫』(9月23日公開)のPR対談なのですが、二人のかみ合わなさが、よい味を出しています。

 「中谷さんは言葉遣いがとてもきれいで上品なので、どう接すればいいのかとドキドキしていたんです。(中略)たまに、お話が難しくて、『今の、どういう意味だったんだろう』ってなることもありました(笑)」と言う田中。

 撮影について「いや~、待ち時間が長かったですよね」と言えば、中谷からは「え? むしろ短いほうだと思ってました」と真逆のことを言われ、働く女性について「僕自身は女性が働くことになんの違和感もない」と言うと、「でも日本のジェンダーギャップ指数は、156ヵ国中120位、政治においてはなんと147位です」と教えられています。

 細かいデータをスラスラ言えた(ように誌面では読める)中紀もすごいですが、「そんなに遅れているんだ!」と素直に驚いてあげられる田中もすごい。

 最後は“何から何まで違うから絶妙のコンビネーションで夫婦を演じられた”と、うまくまとめられていました。ツーショットの写真の雰囲気にもかみ合わなさが漂っているので、ぜひ見てみては。

江原啓之、熱海支援を「霊界の力」と結び付ける意図は!? 『婦人公論』で語る「災害から身を守るための心得」の違和感

 「婦人公論」(中央公論新社)の9月14日号が発売中になりました。沢口靖子が表紙を飾る今号の特集は「『夏バテ』放置は危険がいっぱい」。

 冷え、脱水、不眠……といった、婦人公論おなじみの不調への助言が盛りだくさんですが、それ以外の読み物もバラエティーに富んでいます。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎読者体験手記 ああ、エアコン狂騒曲
◎みのもんた パーキンソン病を得た今も女性と連れ立って歩きたいね
◎江原啓之 災害から身を守るために私たちに必要な心構え

エアコンについて2,400字もつづる読者の熱意

 最初に見ていくのは、読者から寄せられる体験手記のコーナー。今回のテーマは、夏のエアコンをめぐるひと悶着にスポットを当てた「ああ、エアコン狂騒曲」。なんとピンポイントなお題でしょうか。

 今回、採用されているのはお二人。一人目は美術館の監視員として働く方。貴重な美術品を劣化から守るため、展示室の室温は常時18度に保たれているそうで、冷え症のこの方にとっては大変つらいとのこと。そのつらさについて、約2,400字を使って表現しています。すごい。“職場が寒い”というたったそれだけのことを両親、亡き祖母、同僚、自らの性格などのエピソードを挟みながら、こんなに熱くボリューミーに書ける人は、そうそういません。

 もう一人は家電量販店に勤めて18年という方。主にエアコン売り場が担当だそうで、店頭で見たエアコンをめぐる家族ゲンカあれこれを紹介。各家族の人間模様を写し取っています。「婦人公論」の読者手記にかかると、どんな出来事もドラマチックかつエモーショナルになりがちですが、エアコンという一家電さえも胸に迫るモチーフに変換する読者の手腕、恐るべしです。

みのもんた、久々の“お嬢さん転がし”芸

 次に気になったのは、みのもんたのインタビュー「パーキンソン病を得た今も女性と連れ立って歩きたいね」。昨年春に『秘密のケンミンSHOW』(読売テレビ系)を降板し、「現在、テレビの仕事はゼロ」という彼が、ひさびさに読者の前に登場しています。

 77歳にしてTシャツ、ジーンズ、素足にローファーというシンプルなファッションを着こなしているみのもんた。昨秋、「週刊文春」(文藝春秋)でパーキンソン病であることを公表していますが、見る限り元気そうです。

 読者に向けては、「男はみんな若い女性が好みのように言われるけれど、そんなことはないですよ」「素敵な歳の重ね方をしている女性は、僕にとって『お嬢さん』です」とメッセージ。「あらためて、みなさんに言いましょう。『あなた、男たちに見られていますよ!』『狙われていますよ!』」と呼びかけています。若干うさん臭いのも相変わらずですが、やはり「お嬢さん」がたの潜在的ニーズを汲むのが上手いようです。この“お嬢さん転がし芸”、テレビでもう見られないのかと思うと一抹の寂しさも感じました。

 最後に見ていくのは、スピリチュアリスト・江原啓之の「災害から身を守るために私たちに必要な心構え」。昨年、静岡県熱海市に本格移住した江原は、今年7月に熱海で発生した記録的豪雨に遭遇。その経験から「災害から身を守るために私たちに必要な心構え」を語るという趣旨のインタビューです。

 災害の専門家ではないのに、なぜ江原が……? という疑問も浮かびつつ読んでいくと、江原が呼びかけているのは主に“テレビは土砂崩れの映像だけでなく現地の人に必要な情報を伝えるべきだった”という苦言、あとは“普段から防災意識を高めておきましょう”“被災地に寄付を”という提言でした。熱海在住のみなさんが言いたいことを江原が代表して話した、ということなのでしょうか。

 熱海移住といえば、江原は今年1月26日号で「新型コロナウイルス感染拡大の時期と私の完全移転が重なった」「『熱海』『熱海』という文字がお告げのように私の頭に浮かんだ」「『熱海』というメッセージは霊界の導きだったのだと思います」と語っていました。まるで“コロナを予知し、霊界のお導きで熱海に移住していた”と言っているよう。

 そんな力を持つ江原でも自然災害は予知できないんだな、それほど怖いものだからこそ、地道に防災意識を高めることが大事なんだな……と納得しかけたのですが、江原は最後の最後で、次のように語っています。

「7月22日に沼津市・熱海市復旧支援チャリティとして講演会(ライブ配信)を行いました。また10月に発売予定のCDの売上げも寄付する予定です。どちらも災害が起こる前から決まっていた講演会やアルバム制作ですが、まるで『お役に立ちなさい』と霊界の力が働いたかのようです」

 いやこれは霊界、関係ないんじゃ? こじつけすぎでは? と違和感。もし本当であるのなら霊界も霊界で、もっと早い段階で江原に働きかけてほしいものだと感じました。

 

「婦人公論」怪奇特集がアツい! オカルト界の重鎮・室井滋が語るヤバイ部屋の見分け方とは……? 

 「婦人公論」(中央公論新社)の8月24日号が発売中です。第1特集は同誌おなじみの“ていねいな暮らし系”の「暮らしを小さく整える」ですが、気になるのは第2特集「真夏の怪奇ファイル」。読者から寄せられた奇妙な実話、心霊体質の女優・室井滋やホラー作家・川奈まり子の恐怖体験談など、オカルト誌「月刊ムー」(ワン・パブリッシング)に張り合うがごとく盛りだくさん。

 その中には「婦人公論」ならではの怪奇特集の特徴も見られました。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎読者体験手記傑作選 見た、聞いた、感じた、あれは――
◎室井滋 お稲荷様に呼ばれてずっとお祀りする覚悟を決めた
◎川奈まり子 亡くなった方の魂が生きる者にかかわろうとする

霊にも優しい目線を忘れない「婦人公論」

 まずは読者から寄せられた怪談手記をまとめた「見た、聞いた、感じた、あれは――」から。人の死の臭いを感知できるという読者、若いカラスと心が通じ合った体験をつづる読者、妊娠中のおなかを亡き祖母が撫でに来てくれた体験を持つ読者、金縛りののち鎧兜の武者に話しかけられた読者。合計4編の手記が掲載されています。

 どの手記も、ただ「怖い」だけでなく、どこか温かいまなざしもあるのが特徴。例えば、カラスと15分ほど見つめあうなど、カラスとの不思議な交流をつづった読者は、そのカラスを「顔のシュッとした、ちょっと小柄で若そうなカラス」と、イケメン俳優かのように表現。そんなイケメンカラスと心の交流が生まれ、「優しいカラスには感謝の気持ちさえ湧いてきます」とのこと。この読者とカラス、来世では恋に落ちそうな予感です。

 4編の中で最も怪談らしさが強かったのは、鎧兜の武者の霊を見た読者の手記。午前2時、金縛りにあい、現れた武者から「私のことを覚えておいてほしい。私のことを忘れないでほしい」と話しかけられたというゾッとする内容ですが、読者はその体験後、土地の歴史を調べ上げます。そして、そこで無念の思いを抱いたまま亡くなったのであろう武者に思いを馳せ、「たった一人でもその魂の存在を覚え忘れないことが供養」となるのではないか……と思いやる気持ちから、手記を書いています。

 若い世代が「怪談=エンタメ」的に面白がるのに対し、「婦人公論」読者層は霊的な存在をどこか自分ごととして考えているのかもしれません。人間、年を重ねて身近な人の死や自身の病気に接するごとに、死後の世界と仲良くなっていけるのかも。だとすれば、年を取るのも悪くないと思えるような気もしてきます。

 続いては幼いころから不思議な出来事に遭遇しやすいという女優・室井滋のインタビュー「お稲荷様に呼ばれてずっとお祀りする覚悟を決めた」。室井といえば、心霊体験を中心につづったエッセイ「あなたが怖い」(文春文庫)を出していたり、オカルト好きの間でよく知られた都市伝説「偽の警察官」を生み出していたりと、この界隈のベテランといっていい存在。

  今回のインタビューでは、お稲荷様を祀る土地に引っ越した不思議な縁や、ロケ先で体験した恐怖体験などを語っています。室井いわく、地方ロケでの宿では「薄気味悪い部屋」にあたることもあるとか。「私の場合、そのような部屋に入ったとたん、鉄錆を舐めさせられたような感覚が唾液腺から出てくる」と心霊現象の予兆を語ります。

 ここで注目なのが「鉄錆」というワード。実は、先に取り上げた読者体験手記の中の、人の死の臭いがわかるという読者も実は、翌日死ぬ人からは「錆臭さ」を感じると書いているのです。

 信じやすい筆者は、死後の世界のものって錆臭いのか!? とインプットされてしまいました。

怪談のプロが説く「あの世」とは……

 こういった怪奇現象について、プロ目線で見解を寄せてくれているのが、実話系ホラーを得意とする作家・川奈まり子氏です。5,000件以上の怪談を取材し、自らも数々の不思議な体験をしている川奈氏。

 インタビュー「亡くなった方の魂が生きる者にかかわろうとする」では、「いわゆる『あの世』を信じ込んでいるわけではありません。『そういうものがあるとされている』と知識として捉えています」と冷静に語り、実際に心霊現象を目の当たりにした際には、「もしかすると『あの世』と『この世』の境には、本当に三途の川みたいなものが横たわっているのかもしれないと、柔軟に考えることにしています」としています。川奈氏の考えでは、その「境界線」の向こうから、亡くなった方たちが生きている側に「かかわろうとすることがあるかもしれない」とのことでした。

 もう一つの世界を否定するのではなく知識として取り入れ、説明のつかない現象は正常バイアスにとらわれず柔軟に、あるがまま受け入れる――。怪談だけでなく、今の時代に必要な考え方であるような気がし、陰謀論などにハマる人々にも読んでほしいインタビューです。

 いやしかし、「死後の世界=錆臭い」問題についても、川奈氏の意見を聞いてみたかったです。今号のおかげで、これからは錆臭さを感じるたびにびくびくすることになる読者も多いのではないでしょうか。

元NHK・登坂淳一アナ、セクハラ騒動を「妻との絆」に!? 「婦人公論」で語る再婚の“なれそめ”が気になるワケ

 「婦人公論」(中央公論新社)の8月10日号が発売になりました。今回の特集は「後悔しない、迷惑かけない 終活――いまを豊かに生きるために」。

 読者にとってホットな話題である「終活」について実用的な情報が多く提示されていて、大変ためになる今号。ここではあえて、あんまりためにならない部分を見ていきましょう。

<トピックス>
◎読者100人の「やってよかった」「やらなきゃよかった」
◎森進一 歌手生活56年。亡き母の苦労と、息子たちの成長と
◎登坂淳一 不妊治療を経て娘を授かり、人生が変わった

BL本の行く末を考える終活

 まずは特集より、読者アンケート「読者100人の『やってよかった』『やらなきゃよかった』」。終活をはじめたきっかけは? 進捗状況は? 参考にしている人は? などの問いに、「終活に関心のある100人」が答えています。

 最低限「これだけはやろう」と決めたことは? との問いに、「手放せないBL(ボーイズラブ)本が段ボール1箱分ある。これは娘ではなく妹に処分してもらう約束をしている」(62歳)という回答もありました。確かにこれは一つの懸案事項。しかし、できればこっそり棺に一緒に入れてあげてほしい……と余計なおせっかい心も湧きます。

 また「やらなきゃよかった」ことは? の問いには、「早まって、住所録をすべて処分してしまった」(83歳)や、「写真をすべて処分したのが早すぎた。まだ生きている」(77歳)といった、“早まった!”という後悔を挙げる方も。人生100年時代といわれる今、思い出の品を処分するタイミングを計るのも難しいようです。

森進一の加工アプリ的な美肌

 次に気になったのは、森進一のインタビュー「歌手生活56年。亡き母の苦労と、息子たちの成長と」です。なぜ今、森進一? と不思議でしたが、今年4月に森が「春の叙勲」旭日小綬章を受章した記念のインタビューのようです。

 これまでの波乱万丈の人生を振り返り、離婚後のひとり暮らし、息子たちの活躍、若き日のジャニー喜多川さんに「僕のところに来ない?」と誘われた秘話なども語っている森進一。しかし最も目を引くのはグラビアです。本当に73歳なのか疑わしいほどにシワ、シミがない美肌。黒々とした七三(八二?)分けの髪も、かれこれ30~40年前から変わらず。最後のページの満面の笑顔は特に、加工アプリを通したかのようにホワ~ッと光を放っています。加工アプリ肌を持つ73歳、森進一。インタビューで美容やアンチエイジング法についても掘り下げて聞いてほしかったです。

 今号では元NHKで現在フリーの登坂淳一アナウンサーとその妻による対談「本誌独占 夫婦で初登場! 不妊治療を経て娘を授かり、人生が変わった」も掲載されています。「本誌独占」「夫婦で初登場!」とあおられているものの、奥さまの写真は後ろ姿のみ。“ワンピースが高そう”“とにかく上品そう”ということだけがわかります。

 NHK時代、視聴者に「麿」と呼ばれ親しまれた登坂アナ。最初の奥さまとは17年に離婚し、18年にフリーに転身すると「週刊文春」(文藝春秋)でNHK時代のセクハラ疑惑を報じられ、決まっていた民放レギュラーの座を辞退したことも。その時も「婦人公論」で単独インタビューに応じて「彼女が『セクハラを受けた』と感じるような行為をしてしまった」と認めており、よほど同誌との絆は深いようです。

 その後、19年に現在のお相手と再婚。再婚時の発表によれば、現・奥さまとの出会いはNHK札幌放送局時代の10年夏。その後、鹿児島放送局時代の17年5月、奥さまが鹿児島を旅行で訪れた際に再会し、その年の夏に交際に発展したとされていました。

 今回の対談でも、出会いから結婚、不妊治療、今年4月に誕生した娘のことなどが語られているのですが、やはり気になったのは「なれそめ」の部分。今回の対談によれば出会いは11年前の夏。ビアガーデンで何人か取材したうちの一人が奥さまだったといい、「名刺交換をして、実際に映像を使うことになったのでその旨を連絡して――」「その後は、年始に『あけましておめでとうございます』のメールをやり取りする程度のつきあい」「6年くらいたって、僕が鹿児島放送局にいた時、たまたまあなた(妻)が鹿児島に来て――」「すごく自然な流れ」で交際に発展したとのこと。

 NHKのアナウンサーって麿ほど知名度のある人でも映像使用の連絡を自らするのか~、取材相手と気軽にメル友になる感じなのか~、当時は既婚者のはずだけど近くに旅行へ行ったら会ってくれるのか~、などいろいろ驚きです。

 また、セクハラ騒動の際も今の奥さまが支えたそうで、登坂アナは「あの時そばで励ましてくれたことは一生忘れないし、これからの人生で、できるだけのことをしたいと思ったよ」「失敗と大きな挫折があったからこそ、自分にとって何が大切か、改めて見えてきた」とのこと。それが不妊治療にもつながったようで、二人の間では美談となっているようです。タイトルは「不妊治療を経て娘を授かり、人生が変わった」ですが、「セクハラで人生が変わり、不妊治療を経て娘を授かった」のほうが正しそう。

 過去のあやまちが掘り返されがちな今日この頃。今回の「麿」の発言に対しては、親になる=過去のあやまちが清算されるというわけではないぞと思いつつ、“生きているうちに人生やり直す”ことも今号の特集である「終活」の一部なのかもしれないと考えさせられました。

鈴木保奈美、エッセイで離婚を匂わせ!? トイレは石橋貴明のメタファー? 読者に深読みさせる「婦人公論」連載

 「婦人公論」(中央公論新社)の7月27日号が発売中です。暑さが増し、夏本番といった雰囲気のこの頃ですが、今号の特集は「『健康寿命』は何歳からでものばせる」。夏が来るたびに浮かれるほかのファッション誌とは一線を画し、あまり季節感がない特集は同誌の特徴。表紙を飾る前田美波里も、ニット素材に見えるロングなオレンジ色ワンピース(ISSEI MIYAKE)を着用していて暑そうです。

 季節を問わず読者の最大の興味のひとつである、「健康寿命」に特化した今号の中身、早速見ていきましょう。

<トピックス>
◎箱石シツイ 104歳の理容師、聖火ランナーになる
◎ルポ 生きがいに出合って病からV字回復
◎鈴木保奈美 獅子座、A型、丙午。

これだけで買う価値がある104歳オリジナル体操

 表紙を飾った前田美波里もインタビュー中で「美波里流 健康習慣」を語っており、彼女に憧れる“マエダビバラー”にはとても参考になることと思いますが、そのさらに上をいくインタビューが。

 それが、今年3月に聖火ランナーを務めた104歳、箱石シツイさんについての記事です。箱石さんは、体もメンタルも健康で聖火ランナーを務めあげ、さらに現役で理容師としても活躍するスーパー・ウーマン。オンラインで行われたという取材にも難なく適応した様子です。前田美波里は72歳、箱石さんは104歳と親子ほどの年齢差があり、やはり説得力も変わってきます。

 箱石さんの健康の秘訣は、30年以上続けているというオリジナル体操にあるとか。「全部をやり終わるまで1時間近く」という、その名も「シツイさんオリジナル健康ご長寿体操」。その全貌が誌面でまるっと紹介されているのです。箱石さん、この体操を教えるDVD付きエクササイズ本などを出せば一儲けできるのでは……と思えるくらいに充実の全24工程は、足首に重りをつけて(現在は1.2キロとのこと)うつぶせ状態で左右の足を上げ下げするなど思いのほかハード。箱石さんの30年以上の英知が詰まった体操を、箱石さんのポーズ見本写真付きで教えてもらえるなんて……。同誌1冊650円が安いものに思えてくる尊さを感じました。

ICUから美容整形に直行! の潔さ

 病を乗り越えた読者4人から話を聞いたルポ「生きがいに出合って病からV字回復」も興味深いものでした。そのうちのひとりミサトさん(62歳)は、くも膜下出血で意識をなくし緊急手術、そしてICUへ。幸い後遺症はなく退院の日が近づいたが、気力が落ち、鏡に映った「たるんだ頬にがっくり。こんなんじゃ生きていけない」と感じたそう。

 そこでミサトさんは美容整形を決心。退院したその足で、夫に「このまま美容外科の病院に行くからね」と告げ、フェイスリフトのカウンセリングへ直行し、手術を受けたそう。気持ちが上がると体も元気になったという体験談が語られています。なんてすばらしい決断力。美容整形で「健康寿命」が延びるなら、それは立派な医療行為なのでは!? と発想の転換をさせられました。

トイレとスリッパで離婚を匂わす! 鈴木保奈美の文才

 最後に忘れてはならないのが、鈴木保奈美の連載エッセイ「獅子座、A型、丙午。」。7月16日にとんねるず・石橋貴明との離婚を発表し、注目が集まっている彼女ですが、その3日前となる13日に発売された同誌エッセイのタイトルは「デシジョン」(決断)。意味深です。

 内容はといえば、要約すると“海老名サービスエリアで私が選ぶトイレはいつも必ず汚れている!”と嘆くもので、「わたしが選んだトイレは、絶対ハズレなの」「個室が三つ以上並んでいるトイレで、わたしは必ずハズす」と断言しています。

 そんなホナミさん、最近はスリッパを買いに行き、白黒、白グレー、真っ白のどれを選ぶかで迷ったそう。さて彼女が選んだ色とは!? (ぜひ読んで確かめてみてください)。

 ホナミさんのトイレとか、スリッパの色とかどうでもいいし……と思ったあなた、私も最初はそう思いました。しかし離婚発表後に読むと、その文章の意味が変わって見えるのです。まさか汚れたトイレとは石橋のメタファーなのか!? そのスリッパの色を選んだ意味って? ……といった具合に。

 日常を書いたと思いきや、離婚発表後に読むと「もしかして……」と深読みさせる、何ともさりげない匂わせの技術! 意味深で余韻を残す締めの一文!! ホナミ文体の浮遊感と相まって、ミステリー小説かのような味わいです。恐ろしきホナミ引力。

 次回のエッセイで直接、離婚について書いてくれるのか注目したいです。

熊谷真実に憧れる「マミラー」が浜松で発生中!? 「婦人公論」に見る、女“ひとり老後”の楽しい実態

 発売中の「婦人公論」(中央公論新社)の6月22日号、今回の特集は「つながって、支え合って『ひとり老後』を機嫌よく」です。同誌によれば、年齢を重ねるにつれて、夫との死別や子の巣立ちなどをきっかけに「多くの女性が『ひとり暮らし』を経験します」とのこと。

 老後のひとり暮らしというと、お金の問題、孤独死など、マイナスなイメージも浮かびますが、それあらゆる角度から取り除こうとしてくれるのが「婦人公論」。むしろ希望に満ちる「ひとり老後」の世界を教えてくれる今号の中身、さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎澤地久枝×上野千鶴子 転んで寝たきりになっても、「これで終わり」とは思わなかった
◎熊谷真実 シングルに戻ったけれど浜松住まいを続けます
◎読者体験手記 秘密のMyルーティン

参考にならない“ひとり老後のカリスマ”が誕生

 まずは90歳のノンフィクション作家・澤地久枝と、72歳の社会学者・上野千鶴子の対談「転んで寝たきりになっても、『これで終わり』とは思わなかった」から。澤地氏は昨年5月に自宅で転倒。ひとり暮らしのまま、要介護生活に突入したそう。一時は寝たきりの「要介護4」でしたが、リハビリを経て「今は要介護2」まで改善したとのこと。親族の元や施設に行くしかないと思われがちな“要介護のおひとり様”ですが、澤地氏は介護保険制度を使い、訪問のヘルパーやナースの手を借りながら、ひとり暮らしを実現しているのです。

 今回は、澤地氏が「一生ひとりで過ごす前提で」建てたという自宅を上野氏が訪問し、「危機をいかに乗り切ったか」について、話を聞くというスタイル。しかし読み進めると、澤地氏は“危機を乗り切った”というより、“受け入れている”というイメージが強くなっていきます。澤地氏は「死ぬのは怖くない」「すでにおまけの人生です」と達観しており、「いつ終わるかわからない人生だと思っているから、お医者さんにかかるという気はない」「何かあったら、すぐ死ぬと思う」「この先、私に何かが起きたら、自分の意志で食べなくなるでしょうね」と語っています。

 ここまで腹をくくることができれば、ひとり老後も怖くないのかもしれません。しかし、そこへ行き着くまでが難しい人が大半と思われ、上野氏も「ここまで潔い方の生き方は、あまり普通の人の参考にはならないですね。(笑)」とまとめています。澤地氏、“ひとり老後の孤高のカリスマ”として今後ますます輝きそうです。

 次に見ていくのは、女優・熊谷真実のインタビュー「シングルに戻ったけれど浜松住まいを続けます」。9年前、18歳下の書道家の中澤希水氏と再婚し、昨夏には中澤氏の故郷・静岡県浜松市に夫婦で移住したものの、今年3月に離婚。しかし熊谷は、その後も浜松でひとり暮らしをしています。その訳は、「浜松という土地に恋をしてしまった」からだそう。

 新たな「恋」に生きる熊谷は、とても楽しそう。昨年9月にはYouTubeデビュー。「熊谷真実公式チャンネル」は登録者数約1.49万人(6月15日現在)と盛況とはいかないまでも、浜松グルメ情報、浜松レジャー情報、浜松での朗読……など続々と浜松ネタを発信しています。インタビューでは「浜松にいるとネタが尽きそうにありません。海でしょ、山でしょ、畑でしょ。それから名所めぐりや名産物の紹介とか。浜松産の食材を扱う飲食店、そこに集う温かい人たち……」と語る熊谷。浜松タレントという第二の活路を見出したようです。

 また、インスタグラムでは激安リサイクル着物の着こなしも人気らしく、熊谷いわく「私のことを好きな人たち『マミラー』」も出現中とのこと。試しに「#マミラー」で検索してみると、約80件の投稿が確かにヒット。どうやら浜松で局地的に発生しているようです。おそるべし熊谷真実のパワー。浜松が「熊谷真実の街」と呼ばれるようになるのも時間の問題かもしれません。

 最後に見ていくのは、読者体験手記のコーナー。今号のテーマは「秘密のMyルーティン」です。夫を10年前に亡くし、子どもたちも独立した女性(56歳)からの投稿には、ひとり老後のメリットがあふれています。朝風呂のあと、バスタオル一枚でくつろげる。エビアレルギーのあった娘に気兼ねすることなく、エビ入りの宅配ピザを1枚完食できる。テイクアウトで豪華なディナー。交際5年になる彼氏との「ビデオ通話での顔を見ながらきわどい会話」。彼氏との逢瀬のためにエステ、ダイエット、筋トレ――。楽しそうです。

 「ひとり老後」とは恐れるものではなく、むしろ楽しみに待つものなのでは!? と思わせられる今号でした。

「大野担の86歳」「きよし推しの73歳」……「婦人公論」読者の”推し”は命と直結!?

 発売中の「婦人公論」(中央公論新社)6月8日号、今回の特集は「年齢を味方につけて『いま』を楽しめる人でいたい」です。「昨日より今日、今日より明日をステキな日に」ということで、88歳の女優で作家・岸恵子、1950年生まれのスタイリスト・西ゆり子さん、80歳で少年野球チームを率いる棚原安子さんら、年を重ねて輝きを増すシニアが勢ぞろいしています。

 読んでいくと、昨今のホットワード「推し」が、シニアにも生きがいを与えていると実感することに。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎小林照子×村崎芙蓉子 好奇心をエンジンに、86歳現役を貫く
◎読者体験手記 財布のひもをゆるめて、いざ出発
◎田原俊彦 攻めてる還暦についてこいよ!

hyde推しの86歳×大野担の86歳

 最初に見ていくのは、共に86歳で現役の美容研究家兼メイクアップアーティスト・小林照子さんと医師・村崎芙蓉子さんの対談「好奇心をエンジンに、86歳現役を貫く」。

 86歳には見えないほどシャキッとしているお二方。対談を読むと、共通しているのは新しいものに対する好奇心や行動力のようです。小林さんは米国発の新興SNS「Clubhouse」や音声配信「ポッドキャスト」を使いこなしているそう。村崎さんも、最近になって中古マンションを購入。平日はそこを拠点に、夫と離れて過ごす“週末婚”デビューをしたそうです。

 また、“追っかけ体質”も2人の共通点。村崎さんは、嵐・大野智推し。「“大野担”仲間と札幌や名古屋のコンサートにペンライトを持って追いかけたなあ」と嵐の活動休止前を振り返ります。一方の小林さんは、L’Arc-en-Ciel・hydeの大ファン。コンサートに通い「hydeと親しい知人に紹介してもらって楽屋に挨拶に行った」とパワフルで、80代のファンは小林さんだけだと本人にお墨付きをもらったとか。これが“職権乱用”と言われないのも年の功かもしれません。

 推しがいるから心が若いのか、それとも心が若いから推せるのか。卵が先かニワトリが先か、のような問答ですが、更年期治療を専門とする村崎先生に、いつかそのあたりも明らかにしてほしいです。

氷川きよしを推す73歳の生きざま

 読者体験手記のコーナー「財布のひもをゆるめて、いざ出発」でも、氷川きよしを熱烈に推す73歳女性の投稿が採用されています。ファン歴20年のこの女性は、きよしを「生きる希望」と表現。初めての生きよし、初めての出待ち、初めての着物でのライブ参戦など、数々の初体験がイキイキと描写され、トキメキが伝わってきます。

 そんな淡い思いだけで終わらないのが「婦人公論」読者なのでしょうか。投稿者は、「もし私が和楽器を演奏できたなら、近県でコンサートが開催されたときにお手伝いとして声がかかるかも」と、きよしとの共演を夢に見て、お琴を習い始めます。

 さらに近くで開催される『NHKのど自慢』にきよしがゲスト出演すると知ると、観覧だけでなく、出場にもエントリー。もちろん歌うのはきよしの曲。予選会での敗退が続いていて、さらに新型コロナのせいでコンサートも減り、現在はお琴の練習に励む日々だそうです。このようなたくさんのご高齢ファンの「生きる希望」、つまり寿命の要であり続けるきよしの背負う重圧は、想像を超えるものがありそう。ファンの健康とともに、きよしの心の平安も願いたくなる手記でした。

トシちゃんに時代が追いつく

 今号にはトシちゃんこと田原俊彦のインタビュー「攻めてる還暦についてこいよ!」も掲載されていました。歌手活動歴40年を超え、60歳になったトシちゃん。

 今でこそジャニーズタレントの退所や独立が多くなってきましたが、トシちゃんは1994年に33歳でジャニーズを退所。時代を超先取りしていたといっても過言ではありません。一時は干されたものの、地道に新曲を出し続けてきた彼には、現在も熱心なファンがついている様子で、ライブ会場は今でも満席だそう。

 かつてのアイドル仲間であり、ジャニーズ事務所の長男といわれた近藤真彦は、不倫報道をうやむやにしたまま4月に退所。年末の『ジャニーズカウントダウンライブ』で先輩風を吹かせる以外、アイドルとしてどんな仕事をしていたのかよくわからないマッチに比べれば、トシちゃんは若干おでこが広くなっただけで笑顔には自信がみなぎり、“現役のアイドル”感が輝いています。

 トシちゃんも美女との不倫疑惑を報じられることが度々ありますが、今回のインタビューでも「この間なんて、女の子とカフェでデートしていたらバーンと(次女に)肩を叩かれた」「『ママに言うなよ』と口止めしなかったけど、話しただろうな」とネタに。

 不倫疑惑も“いつまでもモテるトシちゃん”という自己演出の一環なのか!? とさえ思わせるプロなアイドル・トシちゃん。マッチ滅びし今、トシちゃん株がどんどん上がっていく……ことを個人的には期待しています。