なぜ楳図かずおは“年を取らない”のか? ホラーな食生活を「婦人公論」で明かす

 「婦人公論」8月号(中央公論新社)が発売中です。今月号の特集は「小さな『初めて』が毎日を楽しく変える」。仕事や子育てが一段落してくる読者世代に、「年齢やお金を理由にやりたいことをあきらめていませんか?」と問いかけています。

 同誌いわく、新しい体験による刺激は「脳を活性化し若々しさの源にもなる」のだそう。恋に仕事にパワフルな中高年がたくさん登場する今号の中身、さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎林真理子×湯川れい子 女性は三兎も四兎も追える
◎ルポ 平凡な日常に恋が彩りを添えて
◎楳図かずお×酒井順子 新しい作品を生み出す原動力は

中高年の藤井風、大谷翔平人気を思い知る

 巻頭では、数々の「初めの一歩」を積み重ねてきた女性代表として、音楽評論家・作詞家の湯川れい子氏(87歳)と、作家の林真理子氏(69歳)が対談しています。バブル期のエネルギーをまだ蓄えているかのような、パワフルな2人。湯川氏は60歳を超えてから、子育て・介護・看取りを終え、離婚もし、持病も完治したといい、「60を過ぎてからが一番自由」「女性は人生後半、二兎、三兎、四兎でも追える」と読者を鼓舞しています。

 中でも一番楽しいのは「“推し”の追っかけ」だそうで、そのお相手はシンガーソングライターの「藤井風さん」。藤井風、中高年女性からの支持も厚く、同誌の読者アンケートでもよく名前が挙がっている印象です。「ミーハーは女の底力ですね」と言う湯川氏に、林氏は「じゃあ、『大谷翔平さん素敵』と思い続けていたらいつか会えるかしら」と夢を膨らませています。そういえば前々号でも、うつみ宮土理が「翔平くんの汗になりたい」と語っていました。藤井&大谷は、「女の底力」をも支える大変な存在であるのだなと思いました。

妻子ある74歳ジゴロに片思いする72歳が心配

 続いて見ていきたいのは、ルポ「平凡な日常に恋が彩りを添えて」。小学校の同窓会で再会した男性と再婚した61歳、妻子ある74歳男性に片思いする72歳、ピースボートの船旅で8歳年下の男性と出会って事実婚した88歳と、3パターンの老いらくの恋体験談が紹介されています。

 中でも気になったのが、妻子ある74歳に惹かれる72歳パート勤務のミハルさんです。ミハルさんは夫、両親が次々と他界して孤独を感じていたとき、地元の小学校主催の「昔の遊び教室」で講師をすることに。そこでお手玉担当となったミハルさん、竹とんぼ担当の74歳サトシさんが子どもたちと無邪気に遊び回るのを見て「一種の一目惚れ」をしてしまいます。

 後日、スーパーの魚売り場で偶然再会。サトシさんから「ねぇ、めざしはないかな?」「刺身は何が好き?」などと話しかけられ、「仔犬と出会った瞬間みたいに、胸がキュンとなりました」と彼にハマっていきます。その後は流れでスーパーの休憩コーナーへ。そこでサトシさんは、自販機のコーヒーをおごってくれたそうです。

 これは恋の始まりか――!? と思いきや、話すうちにサトシさんは妻・息子夫婦・孫と同居していると知ります。ミハルさんは「心の中で『片思いだけは許してください!』とお願いしつつ、メールアドレスを教えてもらった」そう。それ以来、3日に1通と決めてメールしており、「あなたは素敵な女性です。僕が独身なら放っておきません(笑)」と書かれたメールは大事に保存。2、3週間に1度お茶する仲を保っているそうです。

 しかし、無邪気に小学生と遊び、鮮魚売り場でのトークと自販機のコーヒー1つだけで女性を虜にし、思わせぶりなメールで喜ばせるサトシ74歳、なかなかのジゴロでは。ミハルさん的女性を数人抱え、妻と息子夫婦もあきれていたりして……。ミハルさん、どうか一線を越えないように! 自分を大切に! と呼びかけたくなりましたが、恋で人生が豊かになっているのなら余計なお世話なのかもしれません。

楳図かずおは“不老不死”? 86歳の意外な食生活

 最後に見ていくのは、エッセイスト・酒井順子氏が漫画家・楳図かずお氏にインタビューする「新しい作品を生み出す原動力とは」です。

 昨年、27年ぶりの新作を発表した86歳の楳図氏、「梅雨時は、髪の毛がピンパラピンパラヘナヘナしちゃって」と言っていますが、おなじみのボーダーTシャツを着て、表情も明るい。十数年前の「まことちゃんハウス騒動」でワイドショーを騒がせたころから年を取っていないように見え、もしや不老不死なのでは? とも思わせます。

 そんな楳図氏、若さの秘訣については「働いてください! あとは体を動かしたり、食事に気をつけたりはしたほうがいいね」と意外にもまともな答え。「自然食品を選んだり、たんぱく質をちゃんと摂るようにしていますね」と食生活にも気を使っているようです。

 一方で、「同じ食材を1週間のうちに2回は食べない」と独自のルールも定めているそう。理由は「食べるということは、弱い生き物たちの命をいただいているということ。そういうことをしたら、復讐を受けるだろうと思っているからです。まあ、1週間食べなければ呪いも解けるかな、と」。一気にホラー味が出てきました。

 しかし、そのルールが結果的に多くの食材をまんべんなく摂ることにつながり、妖怪的な活力を支えているのかも? 食生活を整えることの大切さを楳図氏に教えられる日が来るとは……妙な感慨のある記事でした。

「婦人公論」に申真衣さん的スター登場! 103歳のはつらつルーティンに憧れる

 「婦人公論」6月号(中央公論新社)が発売になっています。特集は「脳と体を整えて、100歳時代を健康に」です。

 期待の認知症新薬情報に、薬の飲み合わせ解説、脚力を維持するトレーニング方法、老人性うつ対策など、健康に長生きするためのあれこれが紹介されており、「元気に長く生きてやる!」というやる気が感じられます。人類すべてに備わっていてほしい生命力があふれている中身を、さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎うつみ宮土理×太田裕美 ラジオ体操と推し活が元気の源です
◎石井哲代 よく食べ、よく寝て、よくしゃべり、103歳でひとり暮らし
◎ヌートバー久美子 WBCで戦う息子の姿に子育ての日々が蘇った

うつみ宮土理、夫の死乗り越え「大谷翔平くんの汗になりたい」

 最初に見ていくのは、うつみ宮土理×太田裕美の対談記事「ラジオ体操と推し活が元気の源です」。うつみは、キンキンこと愛川欽也さんとおしどり夫婦として知られていましたが、キンキンは2015年に死去。うつみはその後2年は抜け殻状態となり、「食事をする気になれなくて、体重も37キロに」「どう過ごしていたのか、まったく覚えていない」という日々を過ごしたそうです。

 しかし現在は、気力を回復。「死んだ人って、死んでないのよ。生きている時より近くにいて、いつも『頑張れ』ってエールを送ってくれるの。それが私の元気のもと」と心境の変化を明かしています。

 最近は“推し活”にも励んでいるそう。キンキン存命時から夢中だったヨン様(ペ・ヨンジュン)に始まり、現在は『愛の不時着』きっかけでヒョンビンの虜に。さらに、WBCを見てからは大谷翔平選手に心奪れたそうで、「彼の首に流れる汗を見るたびに思うの。私、大谷くんの汗の粒になりたい!」とメロメロの様子でした。

 心の中のキンキンに見守られながら、推し活に精を出すうつみ。「好奇心があれば、いくつになっても人生は楽しい」と対談を締めています。事実、女性のほうが平均寿命が長いのですから、夫健在の頃から夫以上の推し見つけておいたほうがよいのかも。キンキンも王道の好青年に惹かれがちなうつみを微笑ましく思いつつ、安心していることでしょう。

「婦人公論」の申真衣こと103歳の生活ルーティン

 ご高齢者向けライフスタイルブックが続々と出版される昨今。中でも、今年1月発売の『102歳、一人暮らし。哲代おばあちゃんの心も体もさびない生き方』(文藝春秋)は、17万部を超えるベストセラーになっています。新たなご高齢スターとなった“哲代おばあちゃん”こと石井哲代さんが今回、「婦人公論」にも初登場しました。

 インタビューに答えるほか、「哲代おばあちゃんの1日のスケジュール」を公開したり、「哲代おばあちゃんの元気の秘訣7(セブン)」を明かしたりしています。働く母向けファッション誌「VERY」(光文社)における、申真衣さん(東大卒→ゴールドマンサックス勤務→ベンチャー役員。子ども服店で「VERY」編集者に声をかけられ専属モデルになった2児の母)的なポジションのようです。

 今年4月で103歳になった哲代さんですが、広島県尾道市にて毎日家事と畑仕事に精を出し、柔軟体操を欠かさず、9時間半睡眠と元気はつらつ。毎晩日記をつけるのも習慣で、「一日の終わりに日記を書くとスーッとします。嘆くことにエネルギーを使わず、できた自分を褒めて、まだまだやれると自信に変えるんです」とのこと。勉強になります。今から申真衣になることはできないが、健康に気をつけて前向きに過ごせば、哲代おばあちゃんには近づけるかもしれない――と夢を見させてくれる点も人気の秘密ではないでしょうか。

 来月号にも哲代さんのロングインタビューが掲載されるとのこと。2号連続で特集されるとは、まさにスター。“婦人公論の申真衣”から目が離せません。

「婦人公論」にもヌートバー母が登場

 今号では、WBC日本代表として活躍したラーズ・ヌートバー選手の母、久美子さんのインタビューも掲載されています。明るいキャラクターで一躍メディアから引っ張りだことなった久美子さん。“話題の人のお母さん”がたびたび取り上げられる「婦人公論」にも、きっとそのうち……と思っていたところ、やはり登場しました。

 読者が最も気になる点は、やはり「どんな子育てをしたらヌートバー選手のような人間に育つのか」でしょう。久美子さんは「厳しく言ったことといえば『時間厳守』と『目上の人を敬うこと』、『友達を大切にすること』くらい」と語ったほか、「子ども部屋にテレビを置かない」や「ゲームは買わない」といった約束も明かしています。どれもオーソドックスではありつつ、徹底して実践させるのは難しそう。“話題の人のお母さん”シリーズを読むたび、言いつけを守らせる親の指導力と、素直に守ってくれる子ども自身の性質も大事なのだろうと感じます。

 WBC終了から早2カ月。まだ『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)に追いかけられるなど忙しそうな久美子さんですが、次のWBCが開催される3年後も、その笑顔を「婦人公論」で見たいものです。

加藤茶の“若い妻”礼賛が、「婦人公論」のメッセージをひっくり返したワケ

 「婦人公論」5月号(中央公論新社)が発売中です。今回の特集は「豊かな暮らしは『上手に使い切る』から」。穴あき靴下をかわいく補修する「ダーニング」に、キャベツの芯やエノキの根本を使った「もったいないレシピ」、タンスに眠る着物をバッグなどにリメイクする方法など、たくさんの“使い切る”アイデアが紹介されています。

 これまで同誌をにぎわせてきた「断捨離(R)やましたひでこ」や「ミニマリスト」ブームがさらに新しい次元に入ったことを実感できる中身になっています。さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎豊かな暮らしは「上手に使い切る」から
◎読者体験手記 どうしても捨てられません
◎加藤茶×井上順 売れない時代にジャズ喫茶で出会って60年

捨てるブームに疑問「生活空間をスッキリ整えたとして、それで幸せなのか」

 まず見ていくのは、特集の「豊かな暮らしは『上手に使い切る』から」。「今あなたが持っているものは、まだまだ活かせるし、再利用できる可能性が。家の中はお宝だらけ」と呼びかけ、 “とにかく今あるものを大事に使い切ろう精神”があふれた企画になっています。物価高騰が続く中、これまで同誌で多く取り上げられてきた「断捨離(R)やましたひでこ」や「ときめく片づけ」「ミニマリスト」など、“不要なものを捨ててスッキリ暮らす”程度では赤字になる時代が来たのでしょう。もはや、捨てるって贅沢なことだったのだなぁ……と思ってしまいます。

 そんな一抹の寂しさを感じながらも、紹介されているのは、穴あき靴下をかわいく補修する方法、野菜の切れ端を使っておいしい料理を作る方法、タンスに眠る着物をおしゃれにリメイクする方法など、前向きで環境にもやさしいアクションばかり。参考になります。

 中でも異彩を放っているのが、90歳になった作家・五木寛之氏のインタビュー「無理に手放さなくていい モノは記憶の依代(よりしろ)になる」です。「生活空間をスッキリ整えたとして、それで幸せなのか、と問いたい」――そう語る五木氏の“捨てないこと”へのこだわりは、尋常ならざるものがあり、このインタビュー時に着用しているジャケットは40年以上前のもの、ズボンは1970年代にあつらえたもの、時計は半世紀使っているものだそう。「1968年、パリで起きた五月革命のときに出合ったロンドンブーツ」も大切に所有しているといいます。

 五木氏は「モノを手放すのは、自分が過ごしてきた時代の記憶、歴史を忘れていくのと同じであるように思える」と語り、ウクライナ・ロシアの戦争や、五木氏の戦後体験にも話は広がっていきます。「僕自身、前述したように、終戦後『棄民』になりました。国から『棄てられた』経験をしたのです。『捨てる』という行為を突き詰めると、こういうところまでいってしまう」と言う五木氏。捨てるという行為から、戦争にまで思いをはせる。視野の広がり半端ねぇと驚きました。

婦人公論名物・溜め込む読者

 次に見ていくのは、読者体験手記のコーナー。今回の募集テーマは「どうしても捨てられません」です。捨てる・捨てないがテーマの号の「婦人公論」では、変わった物を溜め込む読者がたびたび登場しますが、それは今号でも健在。

 1通目の投稿者(71歳)は、幼い日に「納豆の袋」を収集していたと書いています。現在のようなトレーではなく、「経木に包まれた三角形のもの」で、それを押し入れに溜め込んでいたそう。「好きな食べ物の残り香に包まれたかったのかもしれない」とのことで、ぷ~んとした臭いまで想像できる味わい深い手記でした。

 2通目の投稿者(56歳)が捨てられない物は「ボディコン服」。バブル期とは体形も変化し、「トップスは首すら入らないし、スカートは片足を入れるのがやっとの状態」だそうですが、「ボディコンは、私の一番楽しかった時代の象徴」のため捨てられないのだといいます。派手なタイプではなく、「内向的なうえに暗い人間」だったという投稿者が、どれほどの決心でディスコに飛び込み、ボディコン服で武装し、どう変わったか――という歴史が語られ、五木氏が語っていた「モノは記憶の依代(よりしろ)になる」という言葉が、より染み入ってきました。

 最後に見ていくのは、加藤茶×井上順の対談「売れない時代にジャズ喫茶で出会って60年」。加藤は80歳、井上は76歳。60年前の出会いから現在までの友情を語っています。2人には、若いパートナーがいるという共通点も。加藤の奥さん・綾菜さんは45歳年下で、井上が交際中のパートナーは30歳年下だそう。

 加藤は最近、綾菜さんからLINEを教え込まれたとも報告。井上は、綾菜さんから「申し訳ないけど加トちゃんとLINEのやり取りをしてほしい」と頼まれ、毎日のように送り合っているそう。誤字だらけだったのが、今では絵文字も使いこなすそうで、加藤は「綾がいなかったら死んでたかもしれない」とも語っています。

 綾菜さんが特別に献身的でよくできた人物であるというのもありますが、やはり若い人との関わりは、感性を若く保ったり、健康管理したりなどのさまざまな点で、大切なのだろうとも感じます。

 “物は最後まで使い切ろう”“古いものに宿る歴史を大切に”――そんなメッセージがあふれた今号ですが、加藤の“パートナーは若いほうがヨシ!”といわんばかりの妻礼賛ぶりに、すべてがひっくり返された気がしてしまいます。ともあれ、お二人にはこれからも元気で活躍してほしいものです。

上野千鶴子が文春砲に反論――“結婚の面倒くささ”を考えさせられる「婦人公論」

 「婦人公論」4月号(中央公論新社)が発売になっています。特集は「やめてスッキリ、幸せになる」。夫と同じ空間で暮らすことをやめた奈美悦子のインタビュー、夫に合わせることをやめた読者の手記、結婚制度に異議を唱え続けていながら結婚報道があった上野千鶴子の「文春砲への反論」などが並び、通して読んでいくと、読者が最もやめてスッキリしたいのは“妻”なのではという感想が浮かんでくる内容になっています。

 なぜこんなに窮屈な思いをしながら人は結婚をするのか……という点まで考えさせられる今号の中身、さっそく見ていきましょう!

<トピックス>
◎奈美悦子 “家庭内別居”で無駄なストレスなし
◎読者体験手記 夫に合わせるのをやめました
◎上野千鶴子 緊急寄稿「文春砲」なるものへの反論 15時間の花嫁

奈美悦子の“家庭内別居”事情

 特集「やめてスッキリ、幸せになる」内では、読者アンケート「〇〇を手放したら肩の荷が下りた」が公開されています。“最近やめたものランキング”に「1位 年賀状」「2位 セール品の購入」「3位 衣服」「4位 お中元・お歳暮」と並ぶ中、目を引いたのが「5位 夫婦一緒の寝室」でした。夫と同じ空間で寝ることにストレスを感じている読者が多くいるようです。

 女優・奈美悦子もインタビュー「“家庭内別居”で無駄なストレスなし」で、夫と別の寝室を選択してうまくいっていると語っています。56歳のときに再々婚をし、現在は3人目の夫と16年目となった奈美。円満の秘訣は、結婚当初からの“家庭内別居”だそう。

 「寝室が別なだけではなく、日中も私は2階、彼は3階で主に過ごす。3階にはお手洗いやお風呂もついているし、ミニキッチンもあるので、内階段でつながっているとはいえ、マンションの別々の部屋で暮らしているようなものです」とのこと。広い家を建てられる経済力があればこそで、うらやましい限りです。

 もともとは70歳になったらベッドルームを一緒にしようと話していたとのこと。「お互いに朝起きて亡くなっていたら嫌だから」という理由だそうですが、72歳になった現在も結局は別々のまま。旅行で一緒の部屋で寝たとき、夫が枕元のライトを点けて本を読みだしたことにストレスを感じ、一方、夫からは朝「いびきがすごかった。前はいびきなんかかかなかったのに、立派なおばあちゃんだね」と言われ、「寝室を一緒にするなんてありえない」と痛感したと話しています。

 また、夫は多趣味で外にたくさん友人がいるほか、自室の掃除をするし、奈美が病気をしたときに料理もするようになったそう。広い家を持とうと思えば持てる経済力と、余計なケアの必要がない自立したパートナーを選ぶ目。それが、ストレスのない結婚生活を送るために必要なことなのだと思わされました。

夫の不倫相手は「熊のよう」……なぜ離婚しないのか!?

 続いて見ていくのは読者体験手記のコーナー。テーマは「夫に合わせるのをやめました」で、特集とも共通した内容になっています。

 特に気になったのは、1通目の76歳女性の投稿です。夫の定年祝いの日、夫の浮気に気づいてしまったとのこと。版画家・ヤマダユウコなる人物が夫の浮気相手で、彼女は自宅にもやって来たそうです。「日焼けした顔に艶のない髪」「冬眠前の熊のような太めの女性」「締まりのない声」という描写に、憎々しさが滲んでいます。そんなヤマダユウコとの関係を夫に問いただし、不倫を認めさせ、「心的外傷後ストレス障害」と診断されるまで苦しんだ投稿主ですが、なぜか離婚はせず、家庭内別居を選びます。

 誓約書には「運悪く廊下で鉢合わせした場合、即刻どちらかが自室に戻り出直す」という項目もあるそう。もう離婚したほうが投稿主も悠々自適に過ごせるし、夫もヤマダユウコと自由にできるのでは……と思いますが、離婚を選ばない理由は書かれていませんでした。ヤマダユウコに夢中の夫のほうも、離婚までは望んでいないようです。こうなってまでも続けたい「結婚」とは一体なんなのだろうと考えさせられます。

 2通目では、夫と寝室を別にした女性が登場。体調も回復し、セックスレスも解消したそうです。奈美しかり、夫婦は別に眠るべきなのかもしれません。

 最後に見ていくのは、ジェンダー研究のパイオニア的存在である社会学者・上野千鶴子の緊急寄稿「『文春砲』なるものへの反論 15時間の花嫁」です。著書『おひとりさまの老後』(文春文庫)などで知られ、かねてから結婚制度に異議を唱えていた上野氏ですが、2月22日発売の「週刊文春」で「おひとりさまの教祖 上野千鶴子が入籍していた」として、2021年に亡くなった歴史学者・色川大吉氏さんと結婚していたことを報じられました。

 上野氏はこの報道に「他人のプライバシーを嗅ぎまわってそれをネタにする卑しい人々がいる」「不愉快でならない」とご立腹で、今回の緊急寄稿に至ったようです。上野氏は死期が迫っていた色川さんの介護をして看取ったこと、色川さんの死の直前に婚姻届を提出したことは認めたうえで、婚姻届提出の15時間後に色川さんが亡くなったことを明かし、「正味15時間の婚姻関係」だったとしています。

 色川さんを在宅介護するうちに、他人では「死亡届を出すこともできない」「万一の時の入院や手術の同意書にサインすることもできない」などの「家族主義の日本の法律」の壁にぶつかったそうで、色川さんとの養子縁組か婚姻かを考え始めたとのこと。

 養子縁組では年少者の上野さんが色川姓になる必要があるため、婚姻を選んで色川さんが上野姓になったと説明し、「その名前の死亡届を見るたびに、憮然とする。選択的夫婦別姓制度が導入されていれば、こんな思いをしなくてもよかっただろう」「日本の法律が家族主義でなければ、こんな思いをすることもなかった」と書いています。書かれていることだけを踏まえると、上野氏は色川さんの死亡届提出のためだけに婚姻届を出したということでしょうか。

 実際には、上野氏が色川姓になっていたとしても、色川さんが亡くなった後に「復氏届」を提出すれば上野姓に戻れるそうですが、「当時は無知だった」とのこと。また財産相続には触れられていないので、気になる点はあるものの、“結婚制度・家族主義への異議”という主張は、「15時間の花嫁」を経ても一貫していました。

 そもそも、上野氏の著書タイトルにある「おひとりさま」は独身のイメージが強いですが、『おひとりさまの老後』は「結婚してもしなくても、みんな最後はひとりになる」という一文から始まっていました。今回の寄稿記事で、おひとりさま=独身ではないことをあらためて認識するとともに、上野氏ほどの社会学者にも知られていないマイナーな制度「復氏届」の存在がわかり、勉強になりました。

 とにかく結婚・離婚には、第三者の想像を絶する面倒くささが夫婦の数だけあるようだ……と思わされた今号でした。

87歳・吉行和子のNetflix加入成功エピソードに希望を感じる「婦人公論」

 「婦人公論」3月号(中央公論新社)が発売中です。今月の特集は「達人たちに学ぶ ひとり暮らしのたのしみ」。フォロワー20万人超えの90歳インフルエンサー、87歳でNetflixに加入してみた吉行和子、70代で恋に落ちた読者など、少し前までの“ご老人像”を打ち破るひとり暮らしの達人が登場します。早速、中身を見ていきましょう! 

<トピックス>
◎大崎博子 90歳、朝は太極拳、夜は晩酌。SNSも使いこなす
◎吉行和子 記憶力も体力も、努力でカバーしています
◎読者体験手記 心ときめく彼との時間

ノリノリ紀香的な魅力あふれる90歳インフルエンサーが登場

 まず見ていくのは、特集「達人たちに学ぶひとり暮らしのたのしみ」内のインタビュー記事「大崎博子 90歳、朝は太極拳、夜は晩酌。SNSも使いこなす」。大崎さんは都営住宅でひとり暮らしをする90歳です。78歳で始めたTwitterが注目を集め、現在のフォロワーは20万人超。『89歳、ひとり暮らし。お金がなくても幸せな日々の作りかた』(宝島社)などの著書も上梓している“ご高齢インフルエンサー”といえる人物です。

 78歳でパソコンに出会った大崎さんは、Macを購入しTwitterを始めたそう。最初のフォロワーは数人の友人のみでしたが、政府への批判をつぶやいてバズったことをきっかけに、フォロワーが増えていったとのことでした。

 78歳初パソコンにMacを選ぶセンスにもしびれますが、大崎さんのツイートを見てみると、その言語センスに驚かされます。後期高齢者と呼ばれるのを嫌い「高貴香麗者」としたり、気合を「喜愛」と書いたりするなど、少し前の(ブログタイトルが『氣愛と喜愛でノリノリノリカ』だった時代の)藤原紀香を彷彿とさせるグルーブ感があふれているのです。

 一方でフォロワーを「フォローワ」としたり、語尾に「♪☆!」を3つ付けたりなど、90歳ならではのかわいらしさも。これは癖になります。フォローワさんたちへのリプライもマメ。麻雀を嗜んだり、ブレイクダンスの大会をテレビ観戦したりと、興味も広い様子です。インフルエンサーになる人というのは、こういうお茶目かつ視野が広い、紀香的な方なのだな……と心打たれました。

87歳・吉行和子がNetflix加入

 女優・吉行和子のインタビューも読みごたえがありました。「28歳のときには一応結婚もしました。でもね、早々に『あー、失敗した』と感じてしまって」「私はひとりでなきゃ生きられないんだ、と確信しました」という吉行さん。「家族と一緒にいるのが楽しい、という感覚が私にはないのです」と言い切れるところ、かっこいいです。

 そんなひとり暮らしを満喫する吉行さんは最近、Netflixに加入したそう。数年にわたって入り方がわからず放置していたそうですが、昨年末、一念発起しスマホでの加入手続きに挑戦。「困って電話で問い合わせたら、親切な人でねえ、一手順ごとに一緒に操作しながら教えてくれたんです」と言い、無事加入できたときには「和子さん、おめでとうございます!」と祝福されたそうです。いくつになっても前進できるという希望を感じます。

 先に触れたご高齢インフルエンサー・大崎さんも「昼食後は、ネットフリックスで映画や韓国ドラマを観てくつろぎます」と語っていましたが、今どきのシニアはNetflixも使いこなすのだなぁと時代の流れを感じます。自分が80代・90代になったとき、こんなふうに柔軟に生きられるだろうか……と思いを馳せました。

老いらくの恋に立ちはだかるのは「お金」

 最後に見ていくのは、読者から寄せられた投稿を掲載する「読者体験手記」のコーナー。今回のテーマは「心ときめく彼との時間」で、2通の投稿が紹介されています。

 一通目は79歳女性。昨年、夫を亡くしたばかりですが、近所の喫茶店のマスター(推定50代)が心の癒しで、喫茶店に通うようになったそうです。マスターの笑顔を見るため必要以上に喫茶店でお金を使っていることに、「夫の遺族年金だって雀の涙ほどしかもらえないのに」「古本屋で売れた本代700円を握りしめ、マスターのもとへ向かったことも」と葛藤もある様子。「ナポリタン700円、チーズケーキとコーヒーのセットで1000円。合計1700円が毎回の平均支出。こんなことをしていたら、いつか破産するだろう」とも書いています。

 喫茶店の営業は週1回とのこと。週1回、1700円の喫茶店通いで、破産の不安を抱かせる日本の行く末の恐ろしさを感じるとともに、淡い恋の一番の不安が、相手の気持ちや恋敵への嫉妬などではなく「お金」である点がリアルでした。楽しい老後には、何につけてもある程度のお金が必要なのかもしれないと思わされます。

「婦人公論」宝くじで“高額当選”連発の読者登場――そのオチは日本昔話?

 「婦人公論」2月号(中央公論新社)が発売中です。今回の特集は「運と縁に恵まれる人になる」。同誌は「誰にでも幸運に恵まれる素質はある」と定義して、「各界で活躍する人の言葉や開運方法」をもとに幸運のヒントを提示してくれるとのこと。さっそく中身を見ていきましょう!

<トピックス>

◎ツキを呼び込む「福顔」のつくり方
◎読者体験手記 宝くじに一喜一憂
◎読者アンケート 45歳から92歳まで178人の「食生活」を覗いてみた

二重あご・三重あごこそ幸運になれる!

 幸運のヒントになる「各界で活躍する人」として登場しているのは、阿川佐和子、清水ミチコ、平野レミ、東京五輪金メダリストのボクシング・入江聖奈選手、お笑いコンビの錦鯉、精神科医Tomy、福原遥ら。

 皆さん、それぞれ強運の秘訣を語っているのですが、平野レミの「大声で笑っていればいいことがいっぱい来る」、清水ミチコの「イヤなことは忘れるようにしてる」、入江選手の「私にはボクシングの神様がついているとしか言いようがない」などが印象に残ります。やはり、明るくサッパリとした性格や「神様がついている」と思える前向きさが、運を呼び込むようです。

 この時点で「私にはもう、そんな明るさも前向きさも残っていないわ……」と残念に思った方もいるかもしれません。でも大丈夫。「婦人公論」は、そんな人にも「もしかして私、運がいいタイプ?」と思わせてくれる根拠を示してくれます。それが開運美容家・木村れい子による「ツキを呼び込む『福顔』のつくり方」なるページです。

 それによれば、「細いあごに憧れる方も多いようですが、運という観点から見ると、たっぷりとしたあごのほうがよいのです」とのこと。「二重あごや三重あごは運に恵まれていますから、自信を持ちましょう」と励ましてくれます。頑張っても前向きになれない……という方は多いと思いますが、頑張っても二重あごになれない……という方は少ないはず。これなら簡単に目指せそうです。フェイスラインのシェーディングも開運的にはNGだそうで、メイクの手間も減らせます。

 さらに鼻も肉厚のほうが開運的にはよいそう。「『肉厚、肉厚』『金運アップ!』『一生、健康!』などと言葉をかけてマッサージすると、願いが手から顔に伝わり、運のいい顔になっていきます」とか。SNSでたくさん見られる華奢なあご・シャープな輪郭・シュッとした鼻の加工顔とは逆を行く開運顔ですが、今年はそんな福福しい顔がはやってほしいものです。

 次に見ていくのは読者から寄せられた手記のコーナー。今回のテーマは「宝くじに一喜一憂」で、次々と高額当選するツワモノの投稿が採用されています。76歳・自営業のこの読者は、10年ほど前から宝くじを購入するように。特に期待していなかった一発目で1万円弱が当たったのを皮切りに、ロト6で50万円、63万円、38万円、サマージャンボで100万円、スクラッチで10万円……と次々と当たるようになったそうです。

 インタビューで登場していた「各界で活躍する人」のどの人よりも強運なのでは!? と思えるこの方。当たる秘訣は「私にもわからないのです」と書いていますが、「あまりお金に執着がなく、物欲もありません」「損得を考えず生きてきました」としていることから察するに、貴重な善人の様子。これまでも義妹など困っている人たちに躊躇わずお金を渡してきたそうです。

 「もしかしたら、その分を、宝くじとして神様が少しずつ返してくださっているのかもしれません」とのこと。『鶴の恩返し』や『舌切りすずめ』などの日本昔話的なオチですが、こんなふうに人助けができる人を目がけて当たりを出すシステムが、宝くじには備わっていてほしいと思いました。

食生活アンケートに見る“意識高い系高齢者”

 最後に見ていくのは、「読者アンケート 45歳から92歳まで178人の『食生活』を覗いてみた」。同誌の読者から回答を得た食生活アンケートをまとめたページですが、178人中、1日3食食べていると答えた人が167人。主食付きの朝食を摂っている人が157人。毎日お味噌汁を飲んでいる人が106人。肉と魚のメニューを交互にしている人が117人などなど。さすが「婦人公論」読者、ていねいな暮らしぶりに驚愕です。

 60代・80代・90代の3人の1週間分の食日記も掲載されていますが、いずれも健康的。「しらすおろし」「栗ごはん」「蒸し里芋のしょうが醤油」「湯豆腐」「だんごのけずり節かけ」「赤魚とごぼうの煮付け」などが並びます。60代の方が一度だけ昼食に「カップラーメン」と書いていますが、ジャンクフード的なメニューは見る限りそれだけ。

 「マクドナルドのセット」「日高屋のラーメン」「ビール」などは出て来ず、これは日本の寿命も延びるはずだと納得。意識の高さが垣間見えるアンケート結果に、あらためて読者への尊敬が湧きます。「婦人公論」読者のようなていねいな生活を送る高齢者になりたいが、なれないだろうな……との思いを強くしました。

あの元『から騒ぎ』メンバーは“介護の星”になっていた――認知症一色の「婦人公論」

 「婦人公論」12月号(中央公論新社)、今回の特集は「『65歳以上の6人に1人』の現実 認知症と明るく暮らすコツ」です。先月号が「目、歯、骨」特集、先々月号は「終活」特集と、このところ想定読者年齢が以前よりさらに上がったように感じます。100歳まで長~く楽しめる「婦人公論」は、女性誌界で唯一無二の存在では。今月号の中身を、さっそく見ていきましょう。

<トピックス>
◎本人も家族も笑顔でいるには、「無理しない」が大切です 岩佐まり×長谷川嘉哉
◎軽度認知障害「MCI」は、早期発見で回復の可能性が
◎脳を刺激するドリル10

元『から騒ぎ』メンバーが登場! 今は介護の星に

 認知症特集の今号は、どうしても全体的に重めのムードです。冒頭を飾るのは、若年性アルツハイマーの母親を2013年から同居介護しているフリーアナウンサー・岩佐まりと、認知症専門医・長谷川嘉哉氏という、ここでしか見られないであろうペアの対談です。

 『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)16期メンバーだった岩佐は、現在39歳。社会福祉士の資格を取り、74歳の母の介護を自宅でしているとのこと。母との生活をつづるブログが話題となり、著書『若年性アルツハイマーの母と生きる』(KADOKAWA)を2015年に刊行しているほか、YouTubeチャンネル「岩佐まりの介護チャンネル」で介護の様子を公開したり、オンラインサロン「岩佐まりの認知症介護サロン」(月990円)、電話介護相談「まりに電話」(30分2,000円~)を運営したりなど、精力的に介護の情報発信を行っているよう。まさに介護の星。同じ境遇の介護者にとっては心強い存在であり、いつか自分も介護されるかもしれないと考える方にとっても、天使のような存在であることがうかがえます。

 同誌では65歳以上の6人に1人が認知症になるとしていますが、対談の中で特に気になったのは、長谷川医師が「私の経験上、認知症の進行が早い女性の夫は、独善的で威張っている人がものすごく多い」と語っていること。岩佐も「母の場合、父と不仲で長年ストレスが蓄積していました」「父は気に入らないことがあると、ちゃぶ台をひっくり返していましたから」と語っています。

 “認知症になるのはパートナーのせい”という意味ではなく、あくまで“パートナーが独善的だと進行が早い傾向がある”ということのようですが……これは明確な心当たりがある人にとっては納得の材料になる一方、心当たりがない周囲の人にとっては「私がストレスを与えていたのかもしれない」と新たな悩みを生むきっかけにもなると感じました。

 認知症に限らず、なぜこの病気になってしまったのか? というハッキリした因果関係が出せないのが病気というもの。このあたりの気持ちの整理の付け方について、もっと知りたいと感じました。

 次に見ていく記事「軽度認知障害『MCI』は、早期発見で回復の可能性が」では、医学的な面から認知症のリスクに言及しています。

 高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病は、脳血管障害が原因の「血管性認知症」だけでなく、「アルツハイマー型認知症」のリスクを高めるそう。そのため、喫煙や大量の飲酒、偏った食事、運動不足などの生活習慣を見直すことが、予防には大切だそうです。

 さらに、うつ病による認知症発症リスクは約2倍というデータもあるとのこと。このあたりを見ていくと、冒頭の対談記事で長谷川医師が言っていた「私の経験上、認知症の進行が早い女性の夫は、独善的で威張っている人がものすごく多い」というのは、夫からのストレスを解消するため暴飲暴食に走ったり、うつ気味になったりすると認知症リスクが高くなる……ということなのか? と。

 また、紹介されている「認知症早期発見 12のチェックリスト」も要チェックです。12項目のうち4つ以上当てはまったら認知症の疑いがあるとされていますが、「同じことを言うことがしばしばある」「特定の単語や言葉が出てこないことがしばしばある」など誰でも当てはまってしまいそうな項目ばかり。不安になること請け合いです。

認知症特集号に「脳トレドリル」を付ける「婦人公論」の良心

 今月号は読者体験手記も「認知症の親を看取る」がテーマ。また、認知症になる前にやっておきたいお金の整理の仕方なども紹介され、ほぼ認知症一色でした。

 「認知症と明るく暮らす」と掲げられていても、どうしても鬱々とした気持ちになってきてしまう認知症特集。しかし、それだけで終わらせない努力を見せるのが「婦人公論」です。「婦人公論」なりの希望を、いくつか提示してくれます。

 掲載されている「脳を刺激するドリル10」は、1日1問解いていくと脳が刺激されるそうで、認知症予防になりそう。また、ルポ「病を得ても働ける場所が増えている」では、認知症患者が働けるカフェや工房も紹介されています。

 いつもは箸休めになる鈴木保奈美や阿川佐和子のエッセイでも、あまり心が晴れない特集内容でしたが、とりあえず「脳を刺激するドリル10」を一つずつ解いていきたいと思います!

歯に人生狂わされ、夫選びも妥協! 歯の大切さを熱く訴える「婦人公論」

 「婦人公論」(中央公論新社)11月号、今回の特集は「目、歯、骨 60代からの元気を支える3つの鍵」。中尾ミエ、大村崑、一条ゆかり、中村メイコなど読者の憧れである元気な高齢者が続々登場し、若々しさをアピールしています。さっそく中身を見ていきましょう! 

<トピックス>
◎大村崑×岡村瑤子 元気ハツラツの秘訣は「筋トレ」と「ブロッコリー」
◎一条ゆかり 緑内障とつきあいながら、体づくりも菜園づくりも
◎〈読者体験手記〉“歯”に人生狂わされて

90歳大村崑のほほえましい地毛アピール

 最初に見ていくのは、俳優・大村崑&歌手・岡村瑤子夫妻のインタビュー。大村90歳、岡村85歳、結婚して62年の大ベテラン夫婦の2人がダンベル片手に笑顔で登場し、全6ページの大ボリュームインタビューに応じています。

 もともとは体が丈夫ではなかったという2人。約4年前にジム「ライザップ」で筋トレを初めてから健康に自信がついてきたそう。岡村はノースリーブで二の腕を披露していますが、たるみがなく美しい! 大村も「先日、レストランで『大村崑や! 若いねえ!』という声が聞こえてきたよ」と、うれしそうです。

 「『髪もカツラっぽくないな』『精巧なカツラちゃう?』やて(笑)。もちろん、カツラちゃいますよ」と地毛をアピールし、「不思議なことに、筋トレを始めてから黒い毛が生えてきたんです」と明かしています。90歳にとって地毛&黒髪というのは大きなステータスであることがうかがえ、なんだかほほえましい気持ちになれます。

 筋トレのインタビューのはずが、話は2人の出会いまで遡り、交際していた頃に大村が書いたラブレターの中身まで公開。「こうして月の光の漏れる宿であなたのことを考えながら」――で始まるロマンチックなラブレター、興味がある方はぜひ読んでみてください。

 そんな2人ですが、今の会話の半分は筋トレで、残りの半分が食べ物とのこと。筋トレは会話が減りがちな熟年夫婦に話題を提供するといううれしい作用もあるのだと知りました。

1本の歯に50万円課金、一条ゆかりインタビューから得た教訓

 次に見ていくのは『有閑俱楽部』(集英社)などで知られる漫画家・一条ゆかりのインタビュー。半世紀前から活躍しており年齢不詳のイメージでしたが、インタビュー時点は72歳とのこと。

 現在はストーリー漫画からは卒業しているそうですが、エッセイやイラストを書き続けている現役で、服装も花柄ワンピースに網タイツと若々しい限り。そんな一条ですが、2004年に緑内障がわかり、現在までに5度の手術を受けているそう。視野欠損もあるそうで、「症状がない人も年に一度は検査を受けることをおすすめします」と啓蒙しています。

 さらに「奥歯が全部ダメに」なったそうで、「1本50万円ほどかけてインプラントにしました」とのこと。一時、差し歯にしたこともあるそうですが、「食べものの味が感じられなかった」といい、インプラントを選択。一条の言う奥歯を臼歯ととらえると、親知らずを入れなくても合計16本になります。ざっと800万円をインプラントにつぎ込んだ計算です。

 売れっ子漫画家にはどうってことのない金額なのかもしれませんが、一般人にはおいそれとは出せません。歯は、大切にしなければいけない――。そう決意を新たにさせられました。

 最後に見ていくのは、読者体験手記。こちらもテーマは「歯」です。1通目の77歳女性の手記には、一条のインタビューと同じく“歯の大切さ”を痛感させられます。

 この女性は20代前半の頃、歯科実習生に抜く必要のなかった奥歯を合計4本抜かれ、さらに仮の歯も入れずに放置されたことがきっかけで、若い頃から入れ歯生活に。入れ歯に引け目を感じ、「好きな人に恥をさらして嫌われるくらいなら、どう思われてもいい人と結婚したほうが」と考えるほどになり、結局「私をお手伝いとしか考えていない、好きでもない男性と夫婦になることにした」そう。

 そんなに人を自暴自棄にさせてしまう入れ歯、なんとおそろしいものなのでしょうか。結婚後、インプラント治療に600万円。それから30年たち、新しい歯を作るために再び200万円。診察台も毎回1万円を超えているそうです。

 さらに怖いのは、結婚した「どうでもいい人」「私をお手伝いとしか考えていない、好きでもない男性」について、それ以外一切触れられていないこと。いまだに「どうでもいい人」で「好きでもなんでもない人」であり続けているのでしょうか。

 そんな相手と何十年もの結婚生活を送らせる元凶となった「歯」。人生を狂わせる可能性のある、こんなにもおそろしい存在が口の中に並んでいるのだ……と実感し、ぞわりとします。毎日の歯みがきは、きちんとしよう! 子どもの頃に習ったことを再確認させられます。

香取慎吾、「婦人公論」で明かした「三谷幸喜の弔辞計画」に見る理想的な“終活”の在り方

 「婦人公論」(中央公論新社)10月号、特集は「悔いなく死ぬために今できること」。「婦人公論」ならではのリアルな手触りで終活に迫ります。遺産はどうする、終末医療の希望は、憧れの有名人(逝き方という意味で)――といった気になる話題が目白押しです。早速、中身を見ていきましょう!

<トピックス>
◎デヴィ・スカルノ 娘と孫が困らぬよう「財産整理」の真っ最中
◎香取慎吾 大切な人とは深くつながり、深く愛したい
◎国生さゆり ネガティブを抜け、いま小説を書く

デヴィ夫人のウットリ葬儀計画

 「終活」特集の今号。アンケートでは理想の最期について、読者からさまざまな声が寄せられていました。「十分生きたからこれでおしまい。いらんことせんでほしい」(90歳)と終末医療を望まない人、「あまりに資産が少ないので伝えるときに赤面しそう」(90歳)と遺産の額を心配する人、「39歳の長男がアルバイトで収入が少ないため、これから先、経済的にやっていけるのか不安」(66歳)など遺す家族を思う人も。

 また、「(死ぬまでに)クロマチックハーモニカの腕を磨いて、マチュピチュで『コンドルは飛んで行く』を吹きたい」(68歳)や、「最期まで一緒にいられるパートナーと巡り合いたい」(53歳)などロマンティックな目標を掲げる方も見られました。

 死というと、どうしても“できればあまり想像したくないもの”というイメージを持ってしまっていましたが、読者アンケートを見ていると、理想の最期を想像するのって、結構楽しいことなのでは……という気もしてきます。

 そう思わせてくれる最たるものが、デヴィ・スカルノ夫人のインタビュー記事でした。デヴィ夫人が計画している自身の葬儀とは、「教会で行い、会場には大好きなラヴェルの『ボレロ』を流します」「白いドレスを身にまとった私が眠る棺を担ぐのは、燕尾服の美男子6名!」「祭壇のお花は白と緑を中心にピンクや紫を少しだけ加えたイングリッシュガーデン風に」という華やかなもの。

 葬儀というよりウエディングパーティーの計画を聞いているようで、うきうきしてきませんか!? 必ず誰にでもやってくる最期。どうせならデヴィ夫人のようにうきうき計画して待ちたいです。

香取慎吾が、三谷幸喜と交わした弔辞の約束が泣ける

 次に見ていくのは香取慎吾のインタビュー。こちらにも終活特集につながる興味深い発言がありました。

 親しい人にも自分の電話番号を教えない、というのがポリシーの彼。NHK大河ドラマ『新選組!』や映画『有頂天ホテル』など何度も一緒に仕事をし、親交が深い脚本家・三谷幸喜氏にも教えておらず、「20年近くにわたり『教えて』『教えたくないです』の攻防を繰り返しています」とのこと。

 今では、三谷氏から「もう教えてくれなくていいよ。その代わりに、僕のお葬式で弔辞を読んでほしい。そして参列者の前で、『ずっと言えませんでしたが、僕のケータイの番号は〇×△です!』と大声で叫んでくれ」と言われているそう。香取は「仕方がないので、『それだったらいいですよ』と返事をしました。もちろん電話番号は葬儀翌日にソッコーで変えますけどね」と了承済みとのこと。

 実は筆者、ドラマ『HR』(日本テレビ系、2002年~03年放送)から香取×三谷ペアを追ってきたファンでして、このエピソードには胸を打たれ、思わず涙しそうに。「電話番号を知らなくても、2人はこれ以上ない絆で結ばれているぞ……!」と、ファンならずとも感動した読者は少なくないのでは?

 「香取が弔事を読む姿を見たい、でも見たくない、どちらにもずっとずっと生きていてほしい」というファン心をひどく揺さぶるとともに、大切な人との絆を確かめ合う理想的な「終活」を見たと思えるインタビューでした。

 特集以外で注目したいのが、国生さゆりのインタビュー「ネガティブを抜け、いま小説を書く」。人気の小説投稿サイト「小説家になろう」で密かに連載していたことが、先ごろネット上で話題になった国生が、小説を書き始めた経緯などを語っています。

 国生は、「それ(投稿サイト)が人々に公開されて読まれるということも、よくわかっていなくて――」という状態のまま、スマホのメモ機能に書き始めた小説のデータ保存先として投稿を始めたそうですが、驚くのは、その作品が“芸能人の話題作り”をはるかに超越した大作であること。

 実際に「小説家になろう」を覗いてみたところ、国生の小説『国守の愛』は3部作で、合計約68万字であることが発覚。単純計算すると、単行本約5~6冊程度にはなるほどの大作で、“ちょっと片手間に書いてみました(笑)”といったレベルではない!

 また、内容も想像を絶する壮大さ。主人公は、「“変異する魔王” 液体デイバイス」を研究している科学者・富士子で、彼女はその技術を狙う組織に命を狙われており、“陸上自衛隊・特殊戦群G分遣隊・アルファチーム“に守られているという設定です。

 物語は、富士子の幼なじみで医師の宗弥、アルファチームリーダーの要、富士子の三角関係を軸に、「液体デバイス」をめぐる攻防が描かれるという内容で、第3章では、目から血の涙を流し続けて死亡するウイルス性の疫病まで流行し始め、物語はさらに複雑になっていきます。すごい……。

 章タイトルだけ見ていても「デイトの申し込みと笑う浮子」「棒倒し 決勝戦」「スマホ紛失」「加藤」「どこかの国の船籍を持つ貨物船」など、ユニークなものばかり。そこに時折、癒やし系グルメ小説かのような章タイトル「マスカット大福」「浮子さんのお弁当」「海軍カレー」「甘い・甘い恋のチョコレート」も挟まれています。

 国生の中に眠る世界の壮大さにしびれました。ぜひ「婦人公論」で小説連載を! と期待したいです。